JP2013231829A - ワイヤーグリッド型偏光板及びその製造方法 - Google Patents

ワイヤーグリッド型偏光板及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高温・高湿条件下でも高耐久性を維持できる偏光板であって特にワイヤーグリッド型偏光板を提供する。
【解決手段】透明性基板の表面に複数の直線状且つ略平行の溝を有し、前記溝の内面に金属薄膜が形成されているワイヤーグリッド型偏光板であって、
(1)前記溝は、溝幅が30〜300nm、溝深さが100〜300nm及び溝間隔が50〜200nmであり、
(2)前記金属薄膜は、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、スズ、タンタル及びクロムからなる群から選択される少なくとも1種を含有し且つ膜厚が10nm以下である、
ことを特徴とするワイヤーグリッド型偏光板。
【選択図】なし

Description

本発明は、ワイヤーグリッド型偏光板及びその製造方法に関する。
現在、液晶ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイには偏光板が多く利用されている。偏光板は、一般に吸収型偏光板と称されるものが広く利用されている。これは、異方性の色素をフィルム上で配向させることにより得られ、具体的には、水溶性のヨウ素化合物等を吸水性のポリビニルアルコール(PVA)フィルムに含浸させた後に一方向に延伸し、更にホウ酸等で架橋した後、トリアセチルセルロース(TAC)等の保護フィルムを積層することにより作製されている。当該ヨウ素系偏光板に関する先行技術としては、特許文献1、2等が公知である。
なお、液晶ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイでは、偏光板が単独で使用されることは少なく、例えば、太陽光や照明等の外光がディスプレイに映り込むことを防止するためにアンチグレア処理、反射防止処理等が施されたフィルム、耐傷性や防汚性を高めるためにハードコート処理、防汚処理等が施されたフィルム(機能性フィルム)などが組み合わせて使用されることが多い。また、液晶セルで生じる複屈折を相殺する目的で位相差補償フィルムを貼合し、楕円偏光板として使用されることも多い。
特開平07−294733号公報 特開平10−090517号公報
上記従来の偏光板には、次のような問題がある。
(1)従来の偏光板に用いるヨウ素化合物等の色素は耐熱性が低く、高温条件下では退色して偏光性能が低下する。
(2)PVAフィルムが高倍率で延伸されているため、高温条件下で収縮することにより偏光性能が低下したり、保護フィルムに複屈折が生じてフラットパネルディスプレイに光漏れが生じたりする場合がある。
(3)PVAフィルムやTACフィルムの吸湿性が大きいため、これらのフィルムが吸湿した場合には、偏光板にカールが生じ易い。
以上を踏まえ、本発明は、高温・高湿条件下でも高耐久性を維持できる偏光板であって特にワイヤーグリッド型偏光板を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、透明性基板の表面に複数の直線状且つ略平行の溝を有し、前記溝の内面に金属薄膜が形成されている特定構造のワイヤーグリッド型偏光板が上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記のワイヤーグリッド型偏光板及びその製造方法に関する。
1.透明性基板の表面に複数の直線状且つ略平行の溝を有し、前記溝の内面に金属薄膜が形成されているワイヤーグリッド型偏光板であって、
(1)前記溝は、溝幅が30〜300nm、溝深さが100〜300nm及び溝間隔が50〜200nmであり、
(2)前記金属薄膜は、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、スズ、タンタル及びクロムからなる群から選択される少なくとも1種を含有し且つ膜厚が10nm以下である、
ことを特徴とするワイヤーグリッド型偏光板。
2.透明性基板の表面に複数の直線状且つ略平行の溝を形成した後、前記溝の内面を含む前記透明性基板の全表面に金属薄膜を形成し、次いで凹凸の上部を研磨することにより前記溝の内面のみに金属薄膜を残存させることにより得られる、上記項1に記載のワイヤーグリッド型偏光板。
3.フェムト秒レーザーを用いた掘削又はナノサイズの賦形が可能な金型を用いた成型により前記溝を形成する、上記項2に記載のワイヤーグリッド型偏光板。
4.前記透明性基板は、無アルカリガラス、硼珪酸ガラス、ソーダライム系ガラス又は石英ガラスである、上記項1〜3のいずれかに記載のワイヤーグリッド型偏光板。
5.前記透明性基板は、無アルカリガラス、硼珪酸ガラス、ソーダライム系ガラス又は石英ガラスを基本組成とし、更に化学強化、導電性機能の付与、反射防止機能の付与及び指紋付着防止機能の付与から選択される少なくとも1種が施されている、上記項1〜3のいずれかに記載のワイヤーグリッド型偏光板。
6.上記項1〜5のいずれかに記載のワイヤーグリッド型偏光板を用いた液晶表示装置。
7.透明性基板の表面に複数の直線状且つ略平行の溝を有し、前記溝の内面に金属薄膜が形成されているワイヤーグリッド型偏光板の製造方法であって、
(1)透明性基板の表面に複数の直線状且つ略平行の溝を形成する工程であって、前記溝は、溝幅が30〜300nm及び溝間隔が50〜200nmである工程1、
(2)前記溝の内面を含む前記透明性基板の全表面に金属薄膜を形成する工程であって、前記金属薄膜は、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、スズ、タンタル及びクロムからなる群から選択される少なくとも1種を含有し且つ膜厚が10nm以下である工程2、
(3)凹凸の上部を研磨することにより前記溝の内面のみに金属薄膜を残存させるとともに前記溝の溝深さを100〜300nmとする工程3、
を有することを特徴とする製造方法。
以下、従来品のワイヤーグリッド型偏光板の問題点及び金属と偏光性との関係について説明した後、本発明のワイヤーグリッド型偏光板及びその製造方法について説明する。
従来品のワイヤーグリッド型偏光板の問題点
従来品のワイヤーグリッド型偏光板は、金属格子の偏光性能を利用するものであるが、金属格子は入射光の一部を反射するため、金属格子のピッチ(格子間隔)が入射光の波長より短い場合でも、金属格子の長手方向に対して垂直な方向に振動する偏光成分を100%透過することはできない。
このため、ワイヤーグリッド型偏光板の性能は、「透過率」及び「偏光度」で表される。ここで、「透過率」は金属格子の長手方向に対して垂直な方向に振動する偏光成分の透過率を意味する。また、「偏光度」は以下の式で示される値を意味する。
偏光度(%)=SQRT{(平行配置時透過率−直交配置時透過率)/(平行配置時透過率+直交配置時透過率)}×100
そして、「偏光度」を高めるには、金属格子のピッチが入射光の波長に比べてかなり短くなければならず、「透過率」を高めるには、金属格子の幅寸法を狭くし且つ金属格子の幅寸法及び厚さ寸法が所定の条件を満たす必要がある。
しかしながら、従来のように、数100nmもの厚い金属膜に対するエッチングにより金属格子を形成する方法では、金属格子の幅寸法及び厚さ寸法が金属膜に対するエッチング精度の影響を受ける。例えば、金属格子のピッチとしては140nm程度が限界になるなどの制約がある。そのため「透過率」及び「偏光度」の改善にも限界があり、「透過率」は可視光帯域内で波長により大きな差があるという問題点がある。このため、従来品のワイヤーグリッド型偏光板を用いた液晶装置を、投射型表示装置の赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の光に対するライトバルブとして用いた場合には、赤色(R)の光については光量が低下するなどの問題点がある。
金属と偏光性との関係
光は、進行方向に垂直な面内で互いに直角な方向に振動する2つの偏光(本明細書ではp偏光及びs偏光と言う)に分けることができる。いわゆる偏光膜は、2つの偏光のうち一方の偏光を透過し、他方の偏光を遮断(吸収又は反射)する機能を有する。
最近、幅及び長さがナノメーターサイズである棒状金属が、光などの電磁波に対して異方性を示すことが報告されている。なお、長さ1μm以上の棒状金属を金属ナノワイヤ、長さ1μm未満の棒状金属を金属ナノロッドと呼ぶ場合があるが、以下、本明細書では、両者をまとめて長さ0.4μm以上の棒状金属を金属ナノワイヤと呼ぶ。
以下、電磁波の例として光を挙げて説明する。
金属ナノワイヤの長さが光の波長より長く、幅が光の波長より充分細い場合を考える。金属ナノワイヤに光が入射すると、金属ナノワイヤの長さ方向に電場振動面を持つ偏光は、金属ナノワイヤの自由電子を振動させることにより吸収又は反射される。他方、金属ナノワイヤの幅方向に電場振動面を持つ偏光は、金属ナノワイヤの自由電子が光に共鳴した振動を起こし難いため透過する(正確には「前方散乱する」という表現が正しいが、以下、簡略的に「透過する」と言う。)ことが知られている。
金属が光を吸収又は反射するのは、光が電磁波であり、金属中の自由電子が光の電場に共鳴して振動し、光のエネルギーが運動エネルギーに変わるからである。よって、金属が光を吸収又は反射するためには、光の進行方向と垂直な方向に、金属中の自由電子が振動できるだけの金属の幅が必要である。
ミーの理論及びレイリーの散乱の理論では、金属の幅が10nm程度以下になると自由電子が振動できなくなり、光の吸収又は反射は起こらず透過すると考えられている。また、逆に金属の幅が光の波長以上ならば効率良く吸収又は反射すると考えられている。よって、金属ナノワイヤの場合には、長さが光の波長より長く、幅が10nm程度以下であれば良好な偏光性材料になると考えられる。
次に、金属ナノワイヤの長さが光の波長より長く、幅が10nm程度の場合における、光の吸収・反射の違いについて図1を参照しながら説明する。なお、電場振動面が金属ナノワイヤの長さ方向と一致する光をs偏光とし、電場振動面が金属ナノワイヤの幅方向と一致する光をp偏光とする。図1には、光の進行方向と直角に四角柱状の金属ナノワイヤを並べた場合におけるs偏光及びp偏光の電場の振動方向と、金属ナノワイヤの長さ方向、幅方向及び厚み方向との関係が示されている
p偏光は、金属ナノワイヤの幅が10nm程度以下であれば、金属ナノワイヤの自由電子を振動させない。よって、金属ナノワイヤの長さ、厚みに拘わらず、p偏光は吸収も反射もせず透過する。
s偏光は、金属ナノワイヤの長さが光の波長より長ければ、金属ナノワイヤの自由電子を振動させる。この時、幅が10nm以下でも光は吸収又は反射される。なお、光が吸収されるか反射されるかは、金属ナノワイヤの厚みによって決まる。
入射した光の強度が自然対数の2乗分の1(=約1/7.5)になる厚みは「表皮深さ」と呼ばれ、表皮深さは(2/ωμσ)の1/2乗である。なお、ωは光の角振動数、μは金属の透磁率、σは金属の導電率である。
よって、波長500nmの可視光の場合は、ωμは4.7×10でほぼ一定であり、金属の導電率σ(S/m)は、銀:61×10、アルミニウム:40×10、ニッケル:15×10、タンタル:8×10であるから、表皮深さはそれぞれ、銀:2.7nm、アルミニウム:3.5nm、ニッケル:4.1nm、タンタル:5.3nmとなる。
即ち、導電率が8×10S/m程度以上の導電性の良い金属に光を入射させた場合、厚みが4〜5nm程度ならば光は吸収される。また、厚みがこの2倍以上(10nm以上)であれば表面で光を吸収した後、電磁場が金属の下層に反対の電流を起こし、反射光を生じるため光の反射が起きる。即ち、金属ナノワイヤの厚みが5nm程度ならば吸収され、厚みが10nm程度ならば反射されることになる。このことは、金属ナノワイヤの形状が四角柱から多角柱に変わった場合でも同様である。
金属の表皮深さを併せて考慮すると、金属ナノワイヤの長さが400nm(0.4μm)以上で厚みが5nm以下ならばp偏光は透過し、s偏光は吸収されることが分かる。また、長さが400nm(0.4μm)以上で厚みが10nm程度ならばp偏光は透過し、s偏光は反射されることが分かる。よって、このサイズの金属ナノワイヤを略同一方向に配向させれば偏光膜が得られる。
しかしながら、偏光性及び配向性を高くするには、金属ナノワイヤは直線であることが要求されるが、幅が数nmで直線性が良く、生産性の良い金属ナノワイヤの製造法は殆ど知られていない。また、金属ナノワイヤの幅が細いほど、取り扱い中に曲がったり凝集したりするため、生産上も問題がある。
よって、本発明では金属ナノワイヤに代えて、透明性基板の表面に複数の直線状且つ略平行の溝を有し、前記溝の内面に金属薄膜が形成されているワイヤーグリッド型偏光板及びその製造方法を提案する。より詳細には、金属薄膜が形成された直線状且つ略平行の溝が従来品の偏光板の色素(ヨウ素化合物)に相当する部分であり、従来品の偏光板と比較して高温・高湿条件下でも高耐久性を発揮する。また、本発明のワイヤーグリッド型偏光板は、従来品のワイヤーグリッド型偏光板における「透過率」及び「偏光度」の限界を超えた、優れた偏光性能が得られる。
本発明のワイヤーグリッド型偏光板
本発明のワイヤーグリッド型偏光板は、透明性基板の表面に複数の直線状且つ略平行の溝を有し、前記溝の内面に金属薄膜が形成されており、
(1)前記溝は、溝幅が30〜300nm、溝深さが100〜300nm及び溝間隔が50〜200nmであり、
(2)前記金属薄膜は、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、スズ、タンタル及びクロムからなる群から選択される少なくとも1種を含有し且つ膜厚が10nm以下である、
ことを特徴とする。
上記特徴を有する本発明のワイヤーグリッド型偏光板は、p偏光の透過性及びs偏光の吸収性が効率的に得られ、優れた偏光性を発揮する。また、従来品の偏光板の色素(ヨウ素化合物)に代えて金属薄膜を用いることで高温・高湿条件下でも高耐久性を発揮する。更に、適切な加工手段を採用することにより、従来品のワイヤーグリッド型偏光板の金属格子のピッチと比較してより微細な溝間隔及び溝幅に設定することができるため、従来品の「透過率」及び「偏光度」の限界を超えた優れた偏光性が得られる。
透明性基板としては限定されず、微細な溝加工が可能で且つ高温・高湿条件化での高耐久性が確保された材料であれば好ましい。例えば、樹脂、ガラス等が例示でき、その中でもガラスが好ましい。
ガラスとしては、例えば、無アルカリガラス、硼珪酸ガラス、ソーダライム系ガラス又は石英ガラスを例示することができる。本発明では、これらのガラスをそのまま用いることができるが、無アルカリガラス、硼珪酸ガラス、ソーダライム系ガラス又は石英ガラスを基本組成とし、更に化学強化、導電性機能の付与、反射防止機能の付与及び指紋付着防止機能の付与から選択される少なくとも1種が施されているガラスが好ましい。例えば、反射防止機能を付与したガラスであれば、ガラス(例えば屈折率1.5)の表面及び内部に直径40nm以下の微細気泡(空気の屈折率1.0)を含み、当該微細気泡の含有濃度がガラスの表面から内部に向かって傾斜配分されていることにより屈折率の連続的変化により光の反射を防止するものが挙げられる。
化学強化や各種機能が付与されたガラスを用いることにより、ワイヤーグリッド型偏光板に化学強化のための保護シートや各種機能付与のための機能性シートを積層する必要がなくなることから、偏光板の薄膜化にも寄与する。
透明性基板の厚さは限定的ではないが、0.5〜10mm程度が好ましく、1〜5mm程度がより好ましい。
本発明では、透明性基板の表面に複数の直線状且つ略平行の溝を有し、前記溝の内面に金属薄膜が形成されている。なお、本明細書における「略平行」とは、平行に溝を配置することを意図しているが、加工精度等に起因する不可避的なズレは許容されることを意味するものである。つまり、本発明の効果に影響を与えない範囲(=実質的に平行)であれば略平行の概念に含まれる。
前記溝は、溝幅が30〜300nm、溝深さが100〜300nm及び溝間隔が50〜200nmであればよいが、この中でも、溝幅が30〜100nm、溝深さが100〜200nm及び溝間隔が50〜100nmであることが好ましい。溝幅の上限値300nmは、可視光線の波長から十分に小さい。なお、本明細書における溝の寸法(溝幅、溝深さ及び溝間隔)は、レーザー顕微鏡により測定した値である。
溝幅の下限値30nmは、掘削時のレーザー光源の波長や金型加工精度の点から設定した値である。本発明では、詳細は後記するが、フェムト秒レーザーを用いた掘削又はナノサイズの賦形が可能な金型を用いた成型により溝を形成することが好ましい。
溝間隔の上限値200nmは、溝の内面の金属薄膜から生じる電界が十分な範囲となるように設定した値である。溝間隔の下限値50nmは、50nm未満の間隔では衝撃等に非常に弱く実使用に耐えない点で設定した値である。
なお、溝幅、溝深さ及び溝間隔については、図2に図示される通り、溝幅は溝の開口部の幅を意味し、溝深さは溝の開口部から溝の底部までの深さを意味し、溝間隔は隣接する溝どうしの間隔を意味する。
溝の形状(断面形状)については、概長方形であることが望ましいが、溝幅及び溝深さの要件を満たす限り、図4に例示されるようにプリズムのような山型、おわん型又は台形であっても、入光方向から見た投影面積に極端な差が生じない限り性能に変わりはない。但し、溝の断面形状は略線対称であることが好ましい。これは、溝の断面形状が非対称形状であると光の入射方向に対する性能の偏りが発生するからである。
溝は直線状であればよく、基本的には途切れないが、溝間隔の上限値と同じ200nmの範囲内であれば電場の発生状態に影響は小さいため、断続的(途切れても)でもよい。
金属薄膜は、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、スズ、タンタル及びクロムからなる群から選択される少なくとも1種を含有し且つ膜厚が10nm以下である。これらの金属は、単独又は2種以上の合金(ニッケル−クロム合金等)で用いることができる。導電性薄膜としては、上記以外にも金、銀、銅、白金等の貴金属も挙げられるが、これらの貴金属はプラズモン共鳴吸収の波長が可視光線波長内にあるため、共鳴波長の光が吸収される点で望ましくない。よって、本発明では亜鉛、アルミニウム、スズ、タンタル及びクロムからなる群から選択される少なくとも1種を用いる。
金属薄膜の膜厚は10nm以下であればよいが、その中でも2〜6nm程度が好ましい。本発明では、10nm以下の金属薄膜であれば、厚さが金属の表皮深さ以下であるため、溝に沿った方向(=溝の長手方向)にs偏光を吸収するとともに、p偏光は透過して偏光状態となる。
本発明のワイヤーグリッド型偏光板の製造方法
本発明のワイヤーグリッド型偏光板の製造方法は限定的ではないが、透明性基板の表面に微細な溝加工を施すこと及び溝の内面にのみ金属薄膜を形成することを考慮すると、 透明性基板の表面に複数の直線状且つ略平行の溝を形成した後、前記溝の内面を含む前記透明性基板の全表面に金属薄膜を形成し、次いで凹凸の上部を研磨することにより前記溝の内面のみに金属薄膜を残存させる製造方法により作製することが好ましい。
具体的には、透明性基板の表面に複数の直線状且つ略平行の溝を有し、前記溝の内面に金属薄膜が形成されているワイヤーグリッド型偏光板の製造方法であって、
(1)透明性基板の表面に複数の直線状且つ略平行の溝を形成する工程であって、前記溝は、溝幅が30〜300nm及び溝間隔が50〜200nmである工程1、
(2)前記溝の内面を含む前記透明性基板の全表面に金属薄膜を形成する工程であって、前記金属薄膜は、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、スズ、タンタル及びクロムからなる群から選択される少なくとも1種を含有し且つ膜厚が10nm以下である工程2、
(3)凹凸の上部を研磨することにより前記溝の内面のみに金属薄膜を残存させるとともに前記溝の溝深さを100〜300nmとする工程3、
を有することを特徴とする製造方法(以下、「本発明の製造方法」)が好ましい。
以下、本発明の製造方法を例に挙げて説明する。なお、透明性基板、溝の寸法及び金属薄膜の説明については、上記と同じである。
工程1は、透明性基板の表面に複数の直線状且つ略平行の溝を形成する工程であって、前記溝は、溝幅が30〜300nm及び溝間隔が50〜200nmである。
透明性基板の表面に溝を形成する方法としては、例えば、フェムト秒レーザーを用いた掘削又はナノサイズの賦形が可能な金型を用いた成型が好ましい。特に透明性基板が各種ガラスである場合には、フェムト秒レーザーを用いた掘削により所定の微細加工を効率的に施すことができる。また、透明性基板が樹脂である場合には、ナノサイズの賦形が可能な金型を用いた成型を利用することができる。このような方法により、透明性基板の表面に直線状且つ略並行の溝を形成することができる。
フェムト秒レーザーを用いた掘削ではエネルギーの印加時間が極短時間であるため、一般的なCOレーザー、YAGレーザー等のように加工領域外まで熱拡散が生じる可能性がなく、微細加工の制御が行いやすいという利点がある。このフェムト秒レーザーを用いた掘削方法としては、以下の2通りのものがある。
1)フェムト秒レーザーの非線形又は線形吸収を利用した方法
2)フェムト秒レーザーにより励起されるプラズマを利用する方法
上記1)の方法では、レーザー光で直接掘削するため掘削条件は簡便に決定できるが、加工精度は加工環境の精度に依存してしまうので高精度な加工環境を必要とする。また、レーザーの波長は掘削溝の寸法条件から300nm以下にする必要がある。そのため、一般的には780nm前後の波長光源を持つレーザーをLCOS等の空間変調素子で1/3程度にして最適な掘削レーザー波長に調整する。
上記2)の方法では、1本のレーザー光で複数本の同時掘削が可能であるので、量産化対応を行いやすい。また、波長、繰り返し周波数、パルス幅、スキャンスピード等の条件を最適化することにより狙い通りの溝形成が可能となる。
上記1)、2)のいずれにおいても、後工程の金属薄膜の形成を均一にするために、透明性基板の溝形成面に対して超音波洗浄等によりデブリの除去を行うことが望ましい。
工程2は、前記溝の内面を含む前記透明性基板の全表面に金属薄膜を形成する工程であって、前記金属薄膜は、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、スズ、タンタル及びクロムからなる群から選択される少なくとも1種を含有し且つ膜厚が10nm以下である。
本発明の製造方法では、形成された溝に金属薄膜を形成する際に、先ず溝の内面を含む透明性基板の全表面に金属薄膜を形成し、後の工程3において凹凸の上部のみを研磨することによって金属薄膜を溝の内面のみに残すこととしている。これは選択的に溝の内面にのみ金属薄膜を直接形成することが実質上困難であるからであり、本発明の方法を採用することにより比較的容易に溝の内面のみに金属薄膜を形成することができる。なお、透明性基板の「全表面」に金属薄膜を形成するというのは、図2に示される通り、溝を有する透明性基板の上面の全表面を意図するものであり、透明性基板の側面や裏面にまで形成することを意図するものではない。
金属薄膜の形成方法は、メッキ、スパッタリング、真空蒸着等の一般的に公知の技術によって形成できる。メッキの場合は無電解メッキ法が好ましい。特にニッケルは無電解メッキにより析出し易く、容易に膜形成できる。その際に用いる還元剤は、次亜リン酸よりもジメチルアミンボランを用いるほうが、金属薄膜中の不純物が減り、導電率の向上につなげることができる。
スパッタリングはイオン化された希ガスをターゲット金属に衝突させ、飛び出た原子を膜状に形成させる方法である。多極方式、マグネトロン方式、RF方式等の各種方式が提案されているがどの方法を用いても構わない。
工程3は、凹凸の上部を研磨することにより前記溝の内面のみに金属薄膜を残存させるとともに前記溝の溝深さを100〜300nmとする工程である。例えば、図2に示した点線の研磨ライン以上を研磨することにより溝の内面のみに金属薄膜が残存する。
凹凸の研磨方法は特に規定されるものではないが、具体的にはヘマタイト微粒子や酸化セリウム微粒子、人工単結晶ダイヤモンド、コロイダルシリカ等の研磨剤を用いて市販の研磨装置を用いて実施する。
本発明のワイヤーグリッド型偏光板は、p偏光の透過性及びs偏光の吸収性が効率的に得られ、優れた偏光性を発揮する。また、従来品の偏光板の色素(ヨウ素化合物)に代えて金属薄膜を用いることで高温・高湿条件下でも高耐久性を発揮する。更に、適切な加工手段を採用することにより、従来品のワイヤーグリッド型偏光板の金属格子のピッチと比較してより微細な溝間隔及び溝幅に設定することができるため、従来品の「透過率」及び「偏光度」の限界を超えた優れた偏光性が得られる。
光の進行方向と直角に四角柱状の金属ナノワイヤを並べた場合におけるs偏光及びp偏光の電場の振動方向と、金属ナノワイヤの長さ方向、幅方向及び厚み方向との関係を示す図である。具体的には、s偏光は吸収又は反射され、p偏光は透過して、偏光性材料となることを示す図である。 本発明の製造方法における工程3(研磨ライン)の一例を示す断面図である。図中のa、b及びcの数値は、本発明のワイヤーグリッド型偏光板における溝の溝幅(a)、溝間隔(b)及び溝深さ(c)に対応する。 本発明のワイヤーグリッド型偏光板における偏光状態を示す模式図である。 本発明のワイヤーグリッド型偏光板における溝の断面形状の一例を示す模式図である。 (A)は透明性基板の表面に形成した複数の直線状且つ略平行の溝の一例を示すレーザー顕微鏡観察像である。(B)はフェムト秒レーザーを用いて透明性基板を掘削した製造例1のレーザー顕微鏡観察像(溝が断続的に形成された一例)である。
以下に製造例及び試験例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は下記内容に限定されない。
ワイヤーグリッド型偏光板の製造
(透明性基板への溝加工)
透明性基板として旭硝子社製無アルカリガラスAN100(厚み0.7mm)及びコーニング社製硼珪酸ガラスPYREX(登録商標)#7440(厚み0.15mm)を準備した。
次に、フェムト秒レーザー装置にてLCOSを用いて260nm波長のレーザーを作り、パルス幅を100フェムト秒に設定し、焦点距離を調整し精密ステージ上に設置したターゲットガラスに照射し、アブレーションを生じさせることで、幅260nm×深さ150nmの溝を断続的に掘削することができた。製造例1の掘削した溝のレーザー顕微鏡観察像を図5の(B)に示す。
次に、ガラスサンプルを純水中にて超音波洗浄を行い、不要なデブリ等を除去した後、清浄な空気で乾燥させることで略平行な掘削溝を持つガラス基板を得た。レーザー加工後の溝の断面形状、深さ、間隔は市販のレーザー顕微鏡を用いて評価した。
Figure 2013231829
(金属薄膜の形成)
先のプロセスで得られたガラスに対し以下の条件でジメチルアミンボランを還元剤とし、無電解メッキを実施した。施工後、断面をSEM観察することで平均厚みを計測した。
Figure 2013231829
(凹凸の上部の研磨)
市販の卓上研磨装置を用いてコロイダルシルカを研磨剤に溝部を除くガラス面を100nm前後研磨し、不要部分の金属を除去した。
研磨後の溝のサイズを再度計測した結果、以下のようになった。
Figure 2013231829
(偏光度の測定)
分光光度計(島津製作所製SolidSpec-3700)を用いて実施した。
具体的には市販の偏光板(日東電工社製高偏光度タイプSEG:偏光度99.95%)を準備し、同偏光板を通過した光(偏光)に対して作成サンプルを直交、及び平行に設置して、透過した光の透過率から以下の計算式によって偏光度を求めた。
偏光度(%)=SQRT((平行−垂直)/(平行+垂直))×100
なお、分光光度計では各入光波長毎に透過率が異なるため、400〜780nmの間の偏光度の平均値を計測した。測定結果を表4に示す。
Figure 2013231829
表3の結果から明らかなように、本願発明のワイヤーグリッド型偏光板は、偏光度が97%を超えており優れた偏光性を示すことが分かる。
ワイヤーグリッド型偏光板の耐久性試験
先述までのプロセスで得られた偏光板と汎用で使用されている市販の偏光板「HLC2-5618((株)サンリッツ社製)」を準備し、耐久性の比較評価を実施した。
評価サイズは共に50mm×50mmのサイズとし、吸収軸(実施例では溝の進行方向)の方向を辺方向に合わせた。
サンプルは105℃のドライオーブンと80℃90%RHの高温高湿オーブンに投入し、所定時間後に取り出して先に示した方法で偏光度測定を実施した。
Figure 2013231829
Figure 2013231829
評価結果のように、本発明によって作成された偏光板の耐久性は非常に優れており、測定誤差の範囲でしか偏光度の変動は認められなかったが、市販のヨウ素系偏光板は環境、特に湿度の影響を受けやすく偏光度の低下が著しい。

Claims (7)

  1. 透明性基板の表面に複数の直線状且つ略平行の溝を有し、前記溝の内面に金属薄膜が形成されているワイヤーグリッド型偏光板であって、
    (1)前記溝は、溝幅が30〜300nm、溝深さが100〜300nm及び溝間隔が50〜200nmであり、
    (2)前記金属薄膜は、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、スズ、タンタル及びクロムからなる群から選択される少なくとも1種を含有し且つ膜厚が10nm以下である、
    ことを特徴とするワイヤーグリッド型偏光板。
  2. 透明性基板の表面に複数の直線状且つ略平行の溝を形成した後、前記溝の内面を含む前記透明性基板の全表面に金属薄膜を形成し、次いで凹凸の上部を研磨することにより前記溝の内面のみに金属薄膜を残存させることにより得られる、請求項1に記載のワイヤーグリッド型偏光板。
  3. フェムト秒レーザーを用いた掘削又はナノサイズの賦形が可能な金型を用いた成型により前記溝を形成する、請求項2に記載のワイヤーグリッド型偏光板。
  4. 前記透明性基板は、無アルカリガラス、硼珪酸ガラス、ソーダライム系ガラス又は石英ガラスである、請求項1〜3のいずれかに記載のワイヤーグリッド型偏光板。
  5. 前記透明性基板は、無アルカリガラス、硼珪酸ガラス、ソーダライム系ガラス又は石英ガラスを基本組成とし、更に化学強化、導電性機能の付与、反射防止機能の付与及び指紋付着防止機能の付与から選択される少なくとも1種が施されている、請求項1〜3のいずれかに記載のワイヤーグリッド型偏光板。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のワイヤーグリッド型偏光板を用いた液晶表示装置。
  7. 透明性基板の表面に複数の直線状且つ略平行の溝を有し、前記溝の内面に金属薄膜が形成されているワイヤーグリッド型偏光板の製造方法であって、
    (1)透明性基板の表面に複数の直線状且つ略平行の溝を形成する工程であって、前記溝は、溝幅が30〜300nm及び溝間隔が50〜200nmである工程1、
    (2)前記溝の内面を含む前記透明性基板の全表面に金属薄膜を形成する工程であって、前記金属薄膜は、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、スズ、タンタル及びクロムからなる群から選択される少なくとも1種を含有し且つ膜厚が10nm以下である工程2、
    (3)凹凸の上部を研磨することにより前記溝の内面のみに金属薄膜を残存させるとともに前記溝の溝深さを100〜300nmとする工程3、
    を有することを特徴とする製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017517019A (ja) * 2014-03-26 2017-06-22 メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングMerck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung 偏光放射デバイス

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