JP2013231532A5 - - Google Patents
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Description
この発明は蓄熱機能付き熱交換器およびその製造方法に関する。
たとえば、環境保護や自動車の燃費向上などを目的として、信号待ちなどの停車時にエンジンを自動的に停止させる自動車が提案されている。
しかしながら、通常のカーエアコンにおいては、エンジンを停止させると、エンジンを駆動源とする圧縮機が停止するので、エバポレータに冷媒(冷熱を輸送する媒体)が供給されなくなり、冷房能力が急激に低下するという問題がある。
そこで、このような問題を解決するために、エバポレータに蓄冷機能を付与し、エンジンが停止して圧縮機が停止した際に、エバポレータに蓄えられた冷熱を放冷して車室内を冷却することが考えられている。
この種の蓄冷機能付きエバポレータとして、複数の扁平状冷媒流通管(熱交換管)が、互いに間隔をおいて並列状に配置されており、隣り合う冷媒流通管どうしの間に通風間隙が形成され、全通風間隙のうち一部の通風間隙に蓄冷材が封入された蓄冷材容器が配置されるとともに、残りの通風間隙にアウターフィンが配置され、蓄冷材容器が、2枚の金属板の周縁部どうしをろう付することにより形成されるとともに、2枚の金属板間に設けられた蓄冷材封入部内に蓄冷材が封入されている蓄冷機能付きエバポレータが提案されている(特許文献1参照)。
特許文献1記載には明示されていないが、蓄冷材容器内に蓄冷材を封入するには、蓄冷材容器に蓄冷材注入口を形成しておき、蓄冷材を蓄冷材注入口を通して蓄冷材封入部内に入れた後に蓄冷材注入口が閉じる必要がある。
ところで、特許文献1記載の蓄冷機能付きエバポレータにおいて、蓄冷材容器に蓄冷材注入口を簡単に形成するには、各金属板の周縁部にそれぞれ外方突出状半円筒部を設けるとともに、半円筒状部の両側縁部に外向きフランジを設けておき、外向きフランジどうしを接合して円筒状蓄冷材注入口を形成することが簡単であると考えられる。また、このような蓄冷材注入口は、蓄冷材の封入後にその内部に円柱状の栓を圧入することによって閉鎖するのが簡単であると考えられる。
通常、上述した蓄冷材容器を構成する2枚の金属板は、最終形状に対応する形状を有する2つの金型を用いて金属素板にプレス加工を施すことにより製造されるが、この場合、半円筒状部の内周面と、半円筒状部の両側縁に形成される外方突出部との連接部に丸みが生じることは避け得ない。したがって、両金属板を合わせた際に、両金属板の半円筒状部からなる円筒状蓄冷材注入口の内周面に凹みが発生し、その結果蓄冷材注入口内に円柱状の栓を圧入するだけでは、蓄冷材が洩れが発生するおそれがある。また、栓を用意する必要があるので、部品点数が多くなる。
この発明の目的は、上記問題を解決し、蓄熱材容器内からの蓄熱材の洩れを確実に防止しうる蓄熱機能付き熱交換器を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
1)複数の熱交換管と、内部に蓄熱材が封入された複数の金属製蓄熱材容器とを備えており、蓄熱材容器内の蓄熱材に、熱交換管内を流れかつ熱を輸送する媒体の有する熱が伝わるようになされている蓄熱機能付き熱交換器であって、
蓄熱材容器の周縁部に、蓄熱材容器の内外を通じさせる円筒部が形成され、円筒部内に、内部が蓄熱材注入路となるとともに内周面が金属ベア材面となっている円筒状の金属製蓄熱材注入部材の長さ方向の一端寄りの部分が挿入されて円筒部にろう付されており、蓄熱材注入部材における円筒部よりも外方に突出した部分が径方向の両外側から圧潰されて蓄熱材注入部材の周壁が変形することにより、蓄熱材注入部材に被圧潰部が形成されて蓄熱材注入路が封止され、蓄熱材注入部材の被圧潰部が、第1圧潰部、および第1圧潰部に対して蓄熱材注入部の長さ方向に並んで形成されかつ第1圧潰部よりも圧潰度合の大きい第2圧潰部を有しており、蓄熱材注入部材における圧潰されていない部分の周壁の厚みをtmm、第1圧潰部の厚みをT1mm、第2圧潰部の厚みをT2mmとした場合、T2<T1≦2tという関係を満たしている蓄熱機能付き熱交換器。
蓄熱材容器の周縁部に、蓄熱材容器の内外を通じさせる円筒部が形成され、円筒部内に、内部が蓄熱材注入路となるとともに内周面が金属ベア材面となっている円筒状の金属製蓄熱材注入部材の長さ方向の一端寄りの部分が挿入されて円筒部にろう付されており、蓄熱材注入部材における円筒部よりも外方に突出した部分が径方向の両外側から圧潰されて蓄熱材注入部材の周壁が変形することにより、蓄熱材注入部材に被圧潰部が形成されて蓄熱材注入路が封止され、蓄熱材注入部材の被圧潰部が、第1圧潰部、および第1圧潰部に対して蓄熱材注入部の長さ方向に並んで形成されかつ第1圧潰部よりも圧潰度合の大きい第2圧潰部を有しており、蓄熱材注入部材における圧潰されていない部分の周壁の厚みをtmm、第1圧潰部の厚みをT1mm、第2圧潰部の厚みをT2mmとした場合、T2<T1≦2tという関係を満たしている蓄熱機能付き熱交換器。
2)蓄熱材容器が、ブレージングシートからなる2枚の金属板の周縁部どうしをろう付することにより形成されており、円筒部が、蓄熱材容器の2枚の金属板の周縁部間に形成され、蓄熱材注入部材の全体が金属ベア材からなる上記1)記載の蓄熱機能付き熱交換器。
3)蓄熱材注入部材の被圧潰部の第1圧潰部および第2圧潰部において、蓄熱材注入部材の変形した周壁の一部分からなる変形部どうしが密着しており、第2圧潰部の互いに密着した2つの変形部のうちいずれか一方の外面に、第2圧潰部の全幅にわたる凹みが形成されている上記1)または2)記載の蓄熱機能付き熱交換器。
4)蓄熱材注入部材の長さ方向に沿うとともに圧潰方向と直角をなす方向の縦断面において、互いに密着させられた両変形部どうしの合わせ目が、第2圧潰部において凹みが形成されていない変形部側に曲がっている上記3)記載の蓄熱機能付き熱交換器。
5)蓄熱材注入部材の第2圧潰部において、凹みが形成されていない変形部の最小厚みが、凹みが形成されている変形部の最大厚みよりも薄肉となっている上記3)または4)記載の蓄熱機能付き熱交換器。
6)蓄熱材注入部材の第2圧潰部において、一方の変形部に形成された凹みが角溝状であり、前記一方の変形部における凹みの溝底部の幅方向両端部の厚みが、同じく溝底部の幅方向の中央部の厚みよりも薄肉となっている上記3)〜5)のうちのいずれかに記載の蓄熱機能付き熱交換器。
7)第1圧潰部が第2圧潰部よりも先端側に設けられており、第2圧潰部よりも先端側に設けられた第1圧潰部において、一方の変形部が先端側に向かって薄肉となっている上記1)〜6)のうちのいずれかに記載の蓄熱機能付き熱交換器。
8)第1圧潰部が第2圧潰部よりも先端側に設けられており、第2圧潰部よりも先端側に設けられた第1圧潰部において、両変形部が先端側に向かって薄肉となっている上記1)〜6)のうちのいずれかに記載の蓄熱機能付き熱交換器。
9)蓄熱材注入部材の第1圧潰部および第2圧潰部における蓄熱材注入部材の長さ方向と直角をなす方向での横断面において、第1圧潰部および第2圧潰部の形状が平坦状である上記1)〜8)のうちのいずれかに記載の蓄熱機能付き熱交換器。
10)蓄熱材注入部材の第1圧潰部および第2圧潰部における蓄熱材注入部材の長さ方向と直角をなす方向での横断面において、第1圧潰部および第2圧潰部の形状がU字状である上記1)〜8)のうちのいずれかに記載の蓄熱機能付き熱交換器。
11)蓄熱材注入部材の第1圧潰部および第2圧潰部における蓄熱材注入部材の長さ方向と直角をなす方向での横断面において、第2圧潰部よりも先端側の第1圧潰部の互いに密着させられた変形部どうしの合わせ目が、当該第1圧潰部の幅方向外端部に露出している上記1)〜10)うちのいずれかに記載の蓄熱機能付き熱交換器。
12)蓄熱材注入部材の被圧潰部が、蓄熱材注入部材の長さ方向に間隔をおいて形成された2つの第1圧潰部、および両第1圧潰部間に形成された第2圧潰部を有している上記1)〜11)のうちのいずれかに記載の蓄熱機能付き熱交換器。
13)熱交換管が幅方向を通風方向に向けた扁平状であり、複数の熱交換管が互いに間隔をおいて並列状に配置されるとともに、隣り合う熱交換管どうしの間に通風間隙が形成され、蓄熱材容器が、上下方向にのびるとともに幅方向を通風方向に向けた扁平状であり、全通風間隙のうち一部の通風間隙に蓄熱材容器が配置されている上記1)〜12)のうちのいずれかに記載の蓄熱機能付き熱交換器。
14)冷熱を輸送する媒体が熱交換管内を流れ、蓄熱材容器の内部に冷熱を蓄える蓄熱材が封入されており、蓄熱材容器内の蓄熱材が、熱交換管内を流れる媒体の有する冷熱により冷却されるようになされており、蓄熱機能付きエバポレータとして用いられる上記13)記載の蓄熱機能付き熱交換器。
15)温熱を輸送する媒体が熱交換管内を流れ、蓄熱材容器の内部に温熱を蓄える蓄熱材が封入されており、蓄熱材容器内の蓄熱材に熱交換管内を流れる媒体の有する温熱により加熱されるようになされている上記13)記載の蓄熱機能付き熱交換器。
16)上記1)記載の蓄熱機能付き熱交換器を製造する方法であって、
複数の扁平状熱交換管と、周縁部に内外を通じさせる円筒部を有する複数の蓄熱材容器を用意すること、
各蓄熱材容器の円筒部内に、内部が蓄熱材注入路となるとともに内周面が金属ベア材面となっている円筒状の金属製蓄熱材注入部材の長さ方向の一端寄りの部分を挿入すること、
蓄熱材注入部材を蓄熱材容器の円筒部にろう付し、さらに熱交換管と蓄熱材容器とをろう付すること、
蓄熱材注入部材の蓄熱材注入路を通して蓄熱材容器内に蓄熱材を入れること、
全体にわたる1つの押圧面を有する第1押圧型と、長さ方向の中間部に凸部を有し、かつ凸部の先端面および凸部の上下両側部分が押圧面となっている第2押圧型とを用意し、両押圧型の押圧面によって、蓄熱材注入部材における円筒部よりも外方に突出した部分を径方向の両外側から圧潰して蓄熱材注入部材の周壁を変形させることにより、蓄熱材注入部材に被圧潰部を形成して蓄熱材注入路を封止し、蓄熱材注入部材の被圧潰部に、第1圧潰部、および第1圧潰部に対して蓄熱材注入部の長さ方向に並んで形成されかつ第1圧潰部よりも圧潰度合の大きい第2圧潰部を設け、蓄熱材注入部材における圧潰されていない部分の周壁の厚みをtmm、第1圧潰部の厚みをT1mm、第2圧潰部の厚みをT2mmとした場合、T2<T1≦2tという関係を満たしたものにすることを含む蓄熱機能付き熱交換器の製造方法。
複数の扁平状熱交換管と、周縁部に内外を通じさせる円筒部を有する複数の蓄熱材容器を用意すること、
各蓄熱材容器の円筒部内に、内部が蓄熱材注入路となるとともに内周面が金属ベア材面となっている円筒状の金属製蓄熱材注入部材の長さ方向の一端寄りの部分を挿入すること、
蓄熱材注入部材を蓄熱材容器の円筒部にろう付し、さらに熱交換管と蓄熱材容器とをろう付すること、
蓄熱材注入部材の蓄熱材注入路を通して蓄熱材容器内に蓄熱材を入れること、
全体にわたる1つの押圧面を有する第1押圧型と、長さ方向の中間部に凸部を有し、かつ凸部の先端面および凸部の上下両側部分が押圧面となっている第2押圧型とを用意し、両押圧型の押圧面によって、蓄熱材注入部材における円筒部よりも外方に突出した部分を径方向の両外側から圧潰して蓄熱材注入部材の周壁を変形させることにより、蓄熱材注入部材に被圧潰部を形成して蓄熱材注入路を封止し、蓄熱材注入部材の被圧潰部に、第1圧潰部、および第1圧潰部に対して蓄熱材注入部の長さ方向に並んで形成されかつ第1圧潰部よりも圧潰度合の大きい第2圧潰部を設け、蓄熱材注入部材における圧潰されていない部分の周壁の厚みをtmm、第1圧潰部の厚みをT1mm、第2圧潰部の厚みをT2mmとした場合、T2<T1≦2tという関係を満たしたものにすることを含む蓄熱機能付き熱交換器の製造方法。
17)上記2)記載の蓄熱機能付き熱交換器を製造する方法であって、
複数の扁平状熱交換管を用意すること、
芯材層および芯材層の両面を覆うろう材層を有するブレージングシートからなる2枚の金属板にプレス加工を施すことによって、少なくともいずれか一方の金属板における周縁部を除いた部分に外方膨出部を形成するとともに、両金属板の周縁部に、蓄熱材容器の内外を通じさせる円筒部を形成する半円筒部を設けること、
2枚の金属板を、少なくともいずれか一方の金属板の外方膨出部の開口が他方の金属板側を向くように組み合わせるとともに、両金属板の半円筒部により円筒部を形成して複数の容器形成用組み合わせ体を用意すること、
各容器形成用組み合わせ体の円筒部内に、内部が蓄熱材注入路となった円筒状の金属ベア材製蓄熱材注入部材の長さ方向の一端寄りの部分を挿入すること、
金属板の周縁部どうしをろう付して円筒部を有する蓄熱材容器をつくるとともに、蓄熱材注入部材を蓄熱材容器の円筒部にろう付し、さらに熱交換管と蓄熱材容器とをろう付すること、
蓄熱材注入部材の蓄熱材注入路を通して蓄熱材容器内に蓄熱材を入れること、
全体にわたる1つの押圧面を有する第1押圧型と、長さ方向の中間部に凸部を有し、かつ凸部の先端面および凸部の上下両側部分が押圧面となっている第2押圧型とを用意し、両押圧型の押圧面によって、蓄熱材注入部材における円筒部よりも外方に突出した部分を径方向の両外側から圧潰して蓄熱材注入部材の周壁を変形させることにより、蓄熱材注入部材に被圧潰部を形成して蓄熱材注入路を封止し、蓄熱材注入部材の被圧潰部に、第1圧潰部、および第1圧潰部に対して蓄熱材注入部の長さ方向に並んで形成されかつ第1圧潰部よりも圧潰度合の大きい第2圧潰部を設け、蓄熱材注入部材における圧潰されていない部分の周壁の厚みをtmm、第1圧潰部の厚みをT1mm、第2圧潰部の厚みをT2mmとした場合、T2<T1≦2tという関係を満たしたものにすることを含む蓄熱機能付き熱交換器の製造方法。
複数の扁平状熱交換管を用意すること、
芯材層および芯材層の両面を覆うろう材層を有するブレージングシートからなる2枚の金属板にプレス加工を施すことによって、少なくともいずれか一方の金属板における周縁部を除いた部分に外方膨出部を形成するとともに、両金属板の周縁部に、蓄熱材容器の内外を通じさせる円筒部を形成する半円筒部を設けること、
2枚の金属板を、少なくともいずれか一方の金属板の外方膨出部の開口が他方の金属板側を向くように組み合わせるとともに、両金属板の半円筒部により円筒部を形成して複数の容器形成用組み合わせ体を用意すること、
各容器形成用組み合わせ体の円筒部内に、内部が蓄熱材注入路となった円筒状の金属ベア材製蓄熱材注入部材の長さ方向の一端寄りの部分を挿入すること、
金属板の周縁部どうしをろう付して円筒部を有する蓄熱材容器をつくるとともに、蓄熱材注入部材を蓄熱材容器の円筒部にろう付し、さらに熱交換管と蓄熱材容器とをろう付すること、
蓄熱材注入部材の蓄熱材注入路を通して蓄熱材容器内に蓄熱材を入れること、
全体にわたる1つの押圧面を有する第1押圧型と、長さ方向の中間部に凸部を有し、かつ凸部の先端面および凸部の上下両側部分が押圧面となっている第2押圧型とを用意し、両押圧型の押圧面によって、蓄熱材注入部材における円筒部よりも外方に突出した部分を径方向の両外側から圧潰して蓄熱材注入部材の周壁を変形させることにより、蓄熱材注入部材に被圧潰部を形成して蓄熱材注入路を封止し、蓄熱材注入部材の被圧潰部に、第1圧潰部、および第1圧潰部に対して蓄熱材注入部の長さ方向に並んで形成されかつ第1圧潰部よりも圧潰度合の大きい第2圧潰部を設け、蓄熱材注入部材における圧潰されていない部分の周壁の厚みをtmm、第1圧潰部の厚みをT1mm、第2圧潰部の厚みをT2mmとした場合、T2<T1≦2tという関係を満たしたものにすることを含む蓄熱機能付き熱交換器の製造方法。
18)蓄熱材注入部材の被圧潰部の第1圧潰部および第2圧潰部において、蓄熱材注入部材の変形した周壁の一部分からなる変形部どうしを密着させ、第2圧潰部の互いに密着した2つの変形部のうちいずれか一方の外面に、第2圧潰部の全幅にわたる凹みを形成する上記16)または17)記載の蓄熱機能付き熱交換器の製造方法。
19)蓄熱材注入部材の長さ方向に沿うとともに圧潰方向と直角をなす方向の縦断面において、互いに密着させられた両変形部どうしの合わせ目を、第2圧潰部において凹みが形成されていない変形部側に曲げる上記18)記載の蓄熱機能付き熱交換器の製造方法。
20)蓄熱材注入部材の第2圧潰部において、凹みが形成されていない変形部の最小厚みを、凹みが形成されている変形部の最大厚みよりも薄肉とする上記18)または19)記載の蓄熱機能付き熱交換器の製造方法。
21)蓄熱材注入部材の第2圧潰部において、一方の変形部に形成された凹みが角溝状であり、前記一方の変形部における凹みの溝底部の幅方向両端部の厚みを、同じく溝底部の幅方向の中央部の厚みよりも薄肉とする上記18)〜20)のうちのいずれかに記載の蓄熱機能付き熱交換器の製造方法。
22)第2押圧型における凸部よりも先端側部分の押圧面を、先端側に向かって第1押圧型側に傾斜した傾斜面とし、第2圧潰部よりも先端側の第1圧潰部において、一方の変形部を先端側に向かって薄肉とする上記16)〜21)のうちのいずれかに記載の蓄熱機能付き熱交換器の製造方法。
23)第1押圧型の押圧面の上部および第2押圧型における凸部よりも先端側部分の押圧面を、先端側に向かって他の押圧型側に傾斜した傾斜面とし、第2圧潰部よりも先端側の第1圧潰部において、両変形部を先端側に向かって薄肉とする上記16)〜21)のうちのいずれかに記載の蓄熱機能付き熱交換器の製造方法。
24)第1押圧型の押圧面、および第2押圧型のすべての押圧面を平坦面としておく上記16)〜23)のうちのいずれかに記載の蓄熱機能付き熱交換器の製造方法。
25)第1押圧型の押圧面を横断面凹円弧状とし、第2押圧型のすべての押圧面を横断面凸円弧状とし、第2押圧型の凸部の押圧面の横断面形状における曲率半径を、凸部の両側部分の押圧面の横断面形状における曲率半径よりも大きくしておく上記16)〜23)のうちのいずれかに記載の蓄熱機能付き熱交換器の製造方法。
26)蓄熱材注入部材の周壁における1つの直径上に位置する部分に、それぞれ先端から第2圧潰部を形成すべき部分に至るスリットを形成しておく上記16)〜25)のうちのいずれかに記載の蓄熱機能付き熱交換器の製造方法。
上記1)〜15)の蓄熱機能付き熱交換器によれば、蓄熱材容器の2枚の金属板の周縁部間に、蓄熱材容器の内外を通じさせる円筒部が形成され、円筒部内に、内部が蓄熱材注入路となった円筒状の金属ベア材製蓄熱材注入部材の長さ方向の一端寄りの部分が挿入されて円筒部にろう付されており、蓄熱材注入部材における円筒部よりも外方に突出した部分が径方向の両外側から圧潰されて蓄熱材注入部材の周壁が変形することにより、蓄熱材注入部材に被圧潰部が形成されて蓄熱材注入路が封止され、蓄熱材注入部材の被圧潰部が、第1圧潰部、および第1圧潰部に対して蓄熱材注入部の長さ方向に並んで形成されかつ第1圧潰部よりも圧潰度合の大きい第2圧潰部を有しており、蓄熱材注入部材における圧潰されていない部分の周壁の厚みをtmm、第1圧潰部の厚みをT1mm、第2圧潰部の厚みをT2mmとした場合、T2<T1≦2tという関係を満たしているので、円筒部内に円柱状の栓を圧入するだけの場合に比べて、蓄熱材容器内に封入された蓄熱材の洩れを確実に防止することができる。また、別部材としての栓を必要としない。しかも、蓄熱材注入部材の先端部を溶接、接着などにより密封しなくても、蓄熱材容器内からの蓄熱材の洩れを防止することができる。
上記3)〜12)の蓄熱機能付き熱交換器によれば、蓄熱材注入部材の被圧潰部の第1圧潰部および第2圧潰部において、蓄熱材注入部材の変形した周壁の一部分からなる変形部どうしの密着性が向上し、蓄熱材容器内に封入された蓄熱材の洩れを一層効果的に防止することができる。特に、蓄熱材注入部材の周壁を変形させることによって材料がのびるので、表面の酸化皮膜が破壊されて新生面が現れることがある。したがって、互いに密着させられた両変形部どうしが少なくとも一部分において圧接されることになり、蓄熱材注入部材の変形した周壁の一部分からなる変形部どうしの密着性が向上する。
上記16)〜26)の製造方法によれば、製造された蓄熱機能付き熱交換器の蓄熱材容器内に封入された蓄熱材の洩れを確実に防止することができる。
上記18)〜26)の製造方法によれば、製造された蓄熱機能付き熱交換器の蓄熱材注入部材の被圧潰部の第1圧潰部および第2圧潰部において、蓄熱材注入部材の変形した周壁の一部分からなる変形部どうしの密着性が向上し、蓄熱材容器内に封入された蓄熱材の洩れを一層効果的に防止することができる。特に、蓄熱材注入部材の周壁を変形させることによって材料がのびるので、表面の酸化皮膜が破壊されて新生面が現れることがある。したがって、互いに密着させられた両変形部どうしが少なくとも一部分において圧接されることになり、蓄熱材注入部材の変形した周壁の一部分からなる変形部どうしの密着性が向上する。
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。この実施形態は、この発明の蓄熱機能付き熱交換器を、冷熱を蓄える機能を有する蓄冷機能付きエバポレータに適用したものである。
全図面を通じて同一部分および同一物には同一符号を付して重複する説明を省略する。
以下の説明において、通風方向下流側(図1および図2に矢印Xで示す方向)を前、これと反対側を後というものとし、図1の左右を左右というものとする。
さらに、以下の説明において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。
図1はこの発明の蓄熱機能付き熱交換器を適用した蓄冷機能付きエバポレータの全体構成を示し、図2〜図5はその要部の構成を示す。また、図6は図2〜図5に示す蓄冷材注入部材となる円筒状蓄冷材注入部材を圧潰する方法を示す。
図1において、蓄冷機能付きエバポレータ(1)(蓄熱機能付き熱交換器)は、上下方向に間隔をおいて配置された左右方向にのびるアルミニウム製第1ヘッダタンク(2)およびアルミニウム製第2ヘッダタンク(3)と、両ヘッダタンク(2)(3)間に設けられた熱交換コア部(4)とを備えている。
第1ヘッダタンク(2)は、前側(通風方向下流側)に位置する風下側上ヘッダ部(5)と、後側(通風方向上流側)に位置しかつ風下側上ヘッダ部(5)に一体化された風上側上ヘッダ部(6)とを備えている。風下側上ヘッダ部(5)の右端部に冷媒入口(7)が設けられ、風上側上ヘッダ部(6)の右端部に冷媒出口(8)が設けられている。第2ヘッダタンク(3)は、前側に位置する風下側下ヘッダ部(9)と、後側に位置しかつ風下側下ヘッダ部(9)に一体化された風上側下ヘッダ部(11)とを備えている。第2ヘッダタンク(3)の風下側下ヘッダ部(9)内と風上側下ヘッダ部(11)内とは、両中間ヘッダ部(9)(11)の右端部に跨って接合され、かつ内部が通路となった連通部材(12)を介して通じさせられている。
図1および図2に示すように、熱交換コア部(4)には、長手方向が上下方向を向くとともに幅方向が通風方向(前後方向)を向いた複数のアルミニウム押出形材製扁平状熱交換管(13)が、左右方向に間隔をおいて並列状に配置されている。ここでは、前後方向に間隔をおいて配置された2つの熱交換管(13)からなる複数の組(14)が左右方向に間隔をおいて配置されており、前後の熱交換管(13)よりなる組(14)の隣り合うものどうしの間に通風間隙(15)が形成されている。前側の熱交換管(13)の上端部は風下側上ヘッダ部(5)に接続されるとともに、同下端部は風下側下ヘッダ部(9)に接続されている。また、後側の熱交換管(13)の上端部は風上側上ヘッダ部(6)に接続されるとともに、同下端部は風上側下ヘッダ部(11)に接続されている。
熱交換コア部(4)における全通風間隙(15)のうち一部の複数の通風間隙(15)でかつ隣接していない通風間隙(15)において、冷熱を蓄える蓄冷材(図示略)が封入されたアルミニウム製扁平状蓄冷材容器(16)(蓄熱材容器)が、長手方向が上下方向を向くとともに幅方向が前後方向を向いた状態で組(14)の前後両熱交換管(13)に跨るように配置されている。また、残りの通風間隙(15)に、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートからなり、かつ前後方向にのびる波頂部、前後方向にのびる波底部、および波頂部と波底部とを連結する連結部よりなるコルゲート状のアウターフィン(17)が、前後両熱交換管(13)に跨るように配置されている。また、左右両端の熱交換管(13)の組(14)の外側にも両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートからなるアウターフィン(17)が配置されている。また、左右両端のアウターフィン(17)の外側にアルミニウム製サイドプレート(18)が配置されてアウターフィン(17)にろう付されている。左右両端のアウターフィン(17)とサイドプレート(18)との間も通風間隙となっている。
蓄冷材容器(16)は、前側熱交換管(13)の前側縁よりも後方に位置し、かつ各組(14)の前後2つの熱交換管(13)にろう付された容器本体部(21)と、容器本体部(21)の前側縁部(風下側縁部)に連なるとともに前側熱交換管(13)の前側縁よりも前方(通風方向外側)に張り出すように設けられた外方張り出し部(22)とを備えている。蓄冷材容器(16)の容器本体部(21)の左右方向の寸法は全体に等しくなっている。蓄冷材容器(16)の外方張り出し部(22)は、上下方向の寸法が容器本体部(21)の上下方向の寸法と等しく、かつ左右方向の寸法が容器本体部(21)の左右方向の寸法よりも大きくなっており、容器本体部(21)に対して左右方向外方に膨出している。外方張り出し部(22)の左右方向の寸法は、熱交換管(13)の左右方向の寸法である管高さの2倍に、蓄冷材容器(16)の容器本体部(21)の左右方向の寸法を加えた高さと等しくなっている。
蓄冷材容器(16)内には、容器本体部(21)の後端部から外方張り出し部(22)の前端部に至るアルミニウム製インナーフィン(23)が、上下方向のほぼ全体にわたって配置されている。インナーフィン(23)は、前後方向にのびる波頂部、前後方向にのびる波底部、および波頂部と波底部とを連結する連結部よりなるコルゲート状である。インナーフィン(23)のフィン高さは全体に等しく、蓄冷材容器(16)の容器本体部(21)の左右両側壁内面にろう付されている。
蓄冷材容器(16)内へ充填される蓄冷材としては、凝固点が5〜10℃程度に調整されたパラフィン系潜熱蓄冷材が用いられる。具体的には、ペンタデカン、テトラデカンなどが用いられる。蓄冷材は、蓄冷材容器(16)の上端近傍まで存在するように蓄冷材容器(16)内に封入されている。
蓄冷材容器(16)は、2枚の略縦長方形状アルミニウム板(19)(金属板)の周縁部どうしをろう付することにより形成され、その内部に、ペンタデカン、テトラデカンなどの凝固点が5〜10℃程度に調整されたパラフィン系潜熱蓄冷材(冷熱を蓄える蓄熱材)が封入されたものである。蓄冷材容器(16)を構成するアルミニウム板(19)は、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにプレス加工が施されることによって形成されたものであり、容器本体部(21)および外方張り出し部(22)を形成する膨出部(19a)(19b)と、周縁部に残った所定幅の帯状部(19c)とを有している。そして、2枚のアルミニウム板(19)を、インナーフィン(23)を間に挟んで膨出部(19a)(19b)の開口どうしが対向するように組み合わせ、この状態で両アルミニウム板(19)の帯状部(19c)どうしおよび両アルミニウム板(19)とインナーフィン(23)とをろう付することによって蓄冷材容器(16)が形成されている。
アウターフィン(17)は、前側熱交換管(13)の前側縁よりも後方に位置し、かつ各管組(14)の前後の熱交換管(13)にろう付されたフィン本体部(26)と、フィン本体部(26)の前側縁に連なるとともに前側熱交換管(13)の前側縁よりも前方に張り出すように設けられた外方張り出し部(27)とを備えている。なお、熱交換コア部(4)には、左右方向に隣接した通風間隙(15)に配置されている2つのアウターフィン(17)からなるフィン組(28)と、蓄冷材容器(16)とが左右方向に交互に並んで配置されており、フィン組(28)を構成する2つのアウターフィン(17)の外方張り出し部(27)間に、凝縮水を保持する水保持空隙(29)が設けられている。また、左右両端のアウターフィン(17)を除いた全アウターフィン(17)の外方張り出し部(27)における水保持空隙(29)側とは反対側の側縁部が、蓄冷材容器(16)の外方張り出し部(21)にろう付されている。なお、アウターフィン(17)の外方張り出し部(27)における水保持空隙(29)側とは反対側の側縁部は、蓄冷材容器(16)の外方張り出し部(21)にろう付されず、接触しているだけでもよい。
図3および図4に示すように、蓄冷材容器(16)の外方張り出し部(22)の上端には、2枚のアルミニウム板(19)の帯状部(19c)に跨るように、蓄冷材容器(16)の内外を通じさせる円筒部(31)が形成されている。円筒部(31)は、各アルミニウム板(19)に形成された半円筒部(31a)からなる。円筒部(31)内に、内部が蓄冷材注入路(33)となった円筒状のアルミニウムベア材製蓄冷材注入部材(32)の長さ方向の一端寄りの部分が挿入されて円筒部(31)にろう付されている。蓄冷材注入部材(32)における円筒部(31)よりも外方に突出した部分は、径方向の両外側、ここでは左右両側から圧潰されて蓄冷材注入部材(32)の周壁(32a)が変形することにより、蓄冷材注入部材(32)に被圧潰部(34)が形成されて蓄冷材注入路(33)が封止されている。蓄冷材注入部材(32)の被圧潰部(34)は、蓄冷材注入部材(32)の長さ方向に間隔をおいて形成された2つの第1圧潰部(35)、および両第1圧潰部(35)間に形成されかつ両第1圧潰部(35)よりも圧潰度合の大きい第2圧潰部(36)を有している。蓄冷材注入部材(32)の両第1圧潰部(35)および第2圧潰部(36)における蓄冷材注入部材(32)の長さ方向と直角をなす方向での横断面において、両第1圧潰部(35)および第2圧潰部(36)の形状は平坦状である。蓄冷材注入部材(32)の被圧潰部(34)の両第1圧潰部(35)および第2圧潰部(36)において、蓄冷材注入部材(32)の変形した周壁(32a)の一部分からなる変形部(32b)(32c)どうしが密着しており、第2圧潰部(36)の互いに密着した変形部(32b)(32c)のうちいずれか一方、ここでは右側の変形部(32b)の外面には、前後方向にのびかつ第2圧潰部(36)の全幅にわたる角溝状の凹み(37)が形成されている。蓄冷材注入部材(32)における長さ方向に沿うとともの圧潰方向と直角をなす方向の縦断面(図4参照)において、互いに密着させられた変形部(32b)(32c)の合わせ目(38)は、第2圧潰部(36)において凹み(37)が形成されていない変形部(32c)側、ここでは左側に曲がっている。
ここで、図4および図5に示すように、蓄冷材注入部材(32)における圧潰されていない部分の周壁(32a)の肉厚をtmm、第1圧潰部(35)の厚みをT1mm、第2圧潰部(36)の厚みをT2mmとした場合、T2<T1≦2t(tの2倍)という関係を満たしている。また、蓄冷材注入部材(32)の第2圧潰部(36)において、凹み(37)が形成されていない左側の変形部(32c)の最小厚み(W1)が、凹み(37)が形成されている右側の変形部(32b)の最大厚み(W2)よりも薄肉となっていることが好ましい。さらに、蓄冷材注入部材(32)の第2圧潰部(36)の右側の変形部(32b)における凹み(37)の溝底部の幅方向両端部の厚み(W3)が、同じく溝底部の幅方向の中央部の厚み(W2)(変形部(32b)の最大厚み(W2))よりも薄肉となっていることが好ましい。
上述した蓄冷機能付きエバポレータ(1)は、車両のエンジンを駆動源とする圧縮機、圧縮機から吐出された冷媒を冷却するコンデンサ(冷媒冷却器)、コンデンサを通過した冷媒を減圧する膨張弁(減圧器)とともに冷凍サイクルを構成し、カーエアコンとして、停車時に圧縮機の駆動源であるエンジンを一時的に停止させる車両、たとえば自動車に搭載される。そして、圧縮機が作動している場合には、圧縮機で圧縮されてコンデンサおよび膨張弁を通過した低圧の気液混相の2相冷媒が、冷媒入口(7)を通って蓄冷機能付きエバポレータ(1)の風下側上ヘッダ部(5)内に入り、全熱交換管(13)を通って風上側上ヘッダ部(6)の冷媒出口(8)から流出する。そして、冷媒が熱交換管(13)内を流れる間に、通風間隙(15)を通過する空気と熱交換をし、冷媒は気相となって流出する。
このとき、熱交換管(13)内を流れる冷媒によって蓄冷材容器(16)の容器本体部(21)内の蓄冷材が冷却されるとともに、容器本体部(21)内の冷却された蓄冷材の有する冷熱がインナーフィン(23)を介して蓄冷材容器(16)の外方張り出し部(22)内の蓄冷材に伝えられ、さらに通風間隙(15)を通って冷媒により冷やされた空気によって蓄冷材容器(16)の外方張り出し部(22)内の蓄冷材が冷却され、その結果蓄冷材容器(16)内全体の蓄冷材に冷熱が蓄えられる。これと同時に、熱交換管(13)内を流れる冷媒により冷却されて、アウターフィン(17)の表面に凝縮水が発生し、風により前方に流されて水保持空隙(29)内に入り、毛細管力により水保持空隙(29)内に保持され、凝縮水に顕熱としての冷熱が蓄えられる。また、水保持空隙(29)内に保持された凝縮水は少なくとも一部が凍結し、潜熱としての冷熱が蓄えられる。
圧縮機が停止した場合には、蓄冷材容器(16)の容器本体部(21)および外方張り出し部(22)内の蓄冷材の有する冷熱が、インナーフィン(23)を介して容器本体部(21)および外方張り出し部(22)の左右両側壁に伝えられる。容器本体部(21)の左右両側壁に伝えられた冷熱は、熱交換管(13)および当該熱交換管(13)にろう付されているアウターフィン(17)のフィン本体部(26)を介して通風間隙(15)を通過する空気に伝えられる。外方張り出し部(22)の左右両側壁に伝えられた冷熱は、外方張り出し部(22)の左右両側面にろう付されたアウターフィン(17)の外方張り出し部(27)を介して通風間隙(15)を通過する空気に伝えられる。また、水保持空隙(29)内に保持された凝縮水の顕熱としての冷熱や、水保持空隙(29)内において凝縮水が凍結した場合には、氷の潜熱としての冷熱および溶融した後の凝縮水の顕熱としての冷熱が、フィン組(28)を構成する2つのアウターフィン(17)が配置されている通風間隙(15)を通過する空気に伝えられる。したがって、通風間隙(15)を流れる空気に放冷される放冷時間を延長することが可能になり、エバポレータ(1)を通過した風の温度が上昇したとしても、当該風は冷却されるので、冷房能力の急激な低下が比較的長時間にわたって抑制される。
次に、上述した蓄冷機能付きエバポレータ(1)の製造方法を、図6を参照して説明する。
両ヘッダタンク(2)(3)を形成する部品、熱交換管(13)、アウターフィン(17)、サイドプレート(18)、およびインナーフィン(23)を用意する。
また、芯材層および芯材層の両面を覆うろう材層を有するアルミニウムブレージングシートからなるアルミニウム板(19)にプレス加工を施すことによって、容器本体部(21)および外方張り出し部(22)を形成する膨出部(19a)(19b)と、周縁部に残った所定幅の帯状部(19c)とを形成する。これと同時に、2枚のアルミニウム板(19)の帯状部(19c)における膨出部(19b)の上端に連なった部分に、蓄冷材容器(16)の内外を通じさせる円筒部(31)を形成する半円筒部(31a)を設ける。そして、2枚のアルミニウム板(19)を、インナーフィン(23)を間に挟んで外方膨出部(19a)(19b)の開口どうしが対向するとともに、帯状部(19c)どうしが重なるように組み合わせ、さらに両アルミニウム板(19)の半円筒部(31a)により円筒部(31)を形成することによって容器形成用組み合わせ体を用意する。また、内部が蓄冷材注入路(33)となった円筒状のアルミニウムベア材製蓄冷材注入部材(32)を用意する。
ついで、容器形成用組み合わせ体の円筒部(31)内に蓄冷材注入部材(32)の長さ方向の一端寄りの部分を挿入するともに、容器形成用組み合わせ体に、両ヘッダタンク(2)(3)を形成する部品、熱交換管(13)、アウターフィン(17)、およびサイドプレート(18)を組み合わせて仮止めし、2枚のアルミニウム板(19)の周縁部どうし、半円筒部(31a)どうし、両半円筒部(31a)と蓄冷材注入部材(32)、および両アルミニウム板(19)とインナーフィン(23)とをろう付することによって蓄冷材容器(16)をつくると同時に、両アルミニウム板(19)と熱交換管(13)とをろう付し、さらに他の部品を一括してろう付する。
ついで、蓄冷材注入部材(32)の蓄冷材注入路(33)を通して蓄冷材容器(16)内に蓄冷材を注入した後、蓄冷材注入部材(32)における円筒部(31)よりも外方に突出した部分を、左側に配置された第1押圧型(40)および右側に配置された第2押圧型(41)を用いてアルミニウム板(19)の厚み方向の両側、すなわち径方向の両外側から押圧して圧潰することによって蓄冷材注入部材(32)の周壁(32a)を変形させ、これにより蓄冷材注入部材(32)に被圧潰部(34)を形成して蓄冷材注入路(33)を封止する。
第1押圧型(40)の右側面は、全体にわたって平坦な押圧面(42)となっている。第2押圧型(41)の左側面の長さ方向の中間部には左方に突出した横断面方形状の凸部(43)が設けられており、凸部(43)の上下両側部分および凸部(43)の先端面がそれぞれ平坦な押圧面(44)(45)となっている。したがって、第2押圧型(41)の凸部(43)の上下両側の押圧面(44)と第1押圧型(40)の押圧面(42)とにより2つの第1圧潰部(35)が形成され、第2押圧型(41)の凸部(43)の押圧面(45)と第1押圧型(40)の押圧面(42)とにより第2圧潰部(36)が形成される。こうして、蓄冷機能付きエバポレータ(1)が製造される。
上記実施形態において、第2圧潰部(36)よりも先端側の第1圧潰部(35)が切除される場合がある。
図7〜図16は、蓄冷材注入部材の変形例および各変形例の蓄冷材注入部材の蓄冷材注入路を封止する方法を示す。
図7に示す蓄冷材注入部材(50)の場合、蓄冷材注入部材(50)の周壁(50a)を変形させることにより形成された被圧潰部(34)の両第1圧潰部(35)および第2圧潰部(36)における蓄冷材注入部材(50)の長さ方向と直角をなす方向での横断面において、第2圧潰部(36)よりも先端側の第1圧潰部(35)の互いに密着させられた変形部(50b)(50c)どうしの合わせ目(51)が、第1圧潰部(34)の幅方向外端部に露出している。その他の構成は、上述した蓄冷材注入部材(32)と同様である。
図7に示す蓄冷材注入部材(50)における円筒部(31)よりも外方に突出した部分を、左側に配置された第1押圧型(40)および右側に配置された第2押圧型(41)を用いてアルミニウム板(19)の厚み方向の両側、すなわち径方向の両外側から押圧して圧潰することによって蓄冷材注入部材(32)の周壁(32a)を変形させ、これにより蓄冷材注入部材(32)に被圧潰部(34)を形成して蓄冷材注入路(33)を封止する際には、図8に示すように、蓄冷材注入部材(50)の周壁(50a)における1つの直径上に位置する部分に、それぞれ先端から第2圧潰部(36)を形成すべき部分にまで至るスリット(52)を形成しておく。
図9に示す蓄冷材注入部材(55)の場合、蓄冷材注入部材(55)の周壁(55a)を変形させることにより形成された被圧潰部(34)における第2圧潰部(36)よりも先端側の第1圧潰部(35)の互いに密着させられた変形部(55b)(55c)のうち一方、ここでは右側の変形部(55b)が先端側に向かって薄肉となっており、その外面が上方に向かって左方に傾斜している。その他の構成は、上述した蓄冷材注入部材(32)と同様である。
図10に示すように、図9に示す蓄冷材注入部材(55)における円筒部(31)よりも外方に突出した部分を、アルミニウム板(19)の厚み方向の両側、すなわち径方向の両外側から押圧して圧潰するのに用いられる第2押圧型(56)の左側面における凸部(43)の上側の押圧面(57)は、上方に向かって左方に傾斜している。したがって、第2押圧型(56)の凸部(43)の上下両側の押圧面(57)(44)と第1押圧型(40)の押圧面(42)とにより2つの第1圧潰部(35)が形成されるとともに、第2押圧型(41)の凸部(43)の押圧面(45)と第1押圧型(40)の押圧面(42)とにより第2圧潰部(36)が形成され、第2押圧型(41)の上側の押圧面(57)によって、変形部(55b)が、先端側に向かって薄肉となるとともに、その外面が上方に向かって左方に傾斜させられる。
図11に示す蓄冷材注入部材(60)の場合、蓄冷材注入部材(60)の周壁(60a)を変形させることにより形成された被圧潰部(34)における第2圧潰部(36)よりも先端側の第1圧潰部(35)の互いに密着させられた両変形部(60b)(60c)が先端側に向かって薄肉となっており、右側変形部(60b)の外面が上方に向かって左方に傾斜するとともに、左側変形部(60c)の外面が上方に向かって右方に傾斜している。その他の構成は、上述した蓄冷材注入部材(32)と同様である。
図12に示すように、図11に示す蓄冷材注入部材(60)における円筒部(31)よりも外方に突出した部分を、アルミニウム板(19)の厚み方向の両側、すなわち径方向の両外側から押圧して圧潰するのに用いられる第1押圧型(61)の右側面の押圧面(62)における第2押圧型(56)の凸部(43)の上側の押圧面(57)と対応する部分は、上方に向かって右方に傾斜している。したがって、第2押圧型(56)の凸部(43)の上下両側の押圧面(57)(44)と第1押圧型(61)の押圧面(62)とにより2つの第1圧潰部(35)が形成されるとともに、第2押圧型(56)の凸部(43)の押圧面(45)と第1押圧型(61)の押圧面(62)とにより第2圧潰部(36)が形成され、第2押圧型(56)の上側の押圧面(57)によって、変形部(60b)が、先端側に向かって薄肉となるとともに、その外面が上方に向かって左方に傾斜させられ、第1押圧型(61)の押圧面(62)の上部によって、変形部(60c)が、先端側に向かって薄肉となるとともに、その外面が上方に向かって右方に傾斜させられる。
図13および図14に示す蓄冷材注入部材(65)の場合、蓄冷材注入部材(65)の周壁(65a)を変形させることにより形成された被圧潰部(34)における両第1圧潰部(66)および第2圧潰部(67)における蓄冷材注入部材(65)の長さ方向と直角をなす方向での横断面において、両第1圧潰部(66)および第2圧潰部(67)の形状がU字状となっている。その他の構成は、上述した蓄冷材注入部材(32)と同様である。
図15および図16に示すように、図13および図14に示す蓄冷材注入部材(65)における円筒部(31)よりも外方に突出した部分を、アルミニウム板(19)の厚み方向の両側、すなわち径方向の両外側から押圧して圧潰するのに用いられる第1押圧型(68)の右側面は、全体にわたって曲率半径の等しい水平横断面凹円弧状の押圧面(70)となっている。第2押圧型(69)の左側面の長さ方向の中間部には左方に突出した横断面方形状の凸部(71)が設けられており、凸部(71)の上下両側部分および凸部(71)の先端面がそれぞれ全体にわたって曲率半径の等しい水平横断面凸円弧状の押圧面(72)(73)となっている。ここで、第2押圧型(69)の凸部(71)の押圧面(73)の横断面における曲率半径を、凸部(71)の上下両側部分の押圧面(72)の横断面形状における曲率半径よりも大きくしておく。したがって、第2押圧型(69)の凸部(71)の上下両側の押圧面(72)と第1押圧型(68)の押圧面(70)とにより2つの第1圧潰部(66)が形成され、第2押圧型(69)の凸部(71)の押圧面(73)と第1押圧型(68)の押圧面(70)とにより第2圧潰部(67)が形成される。
図9〜図16に示す蓄冷材注入部材(55)(60)(65)の場合にも、蓄冷材注入部材(55)(60)(65)の両第1圧潰部(35)(66)および第2圧潰部(36)(67)における蓄冷材注入部材(55)(60)(65)の長さ方向と直角をなす方向での横断面において、第2圧潰部(36)(67)よりも先端側の第1圧潰部(35)(66)の互いに密着させられた変形部(55b)(55c)(60b)(60c)(65b)(65c)どうしの合わせ目(38)が、当該第1圧潰部(35)(66)の幅方向外端部に露出していてもよい。この場合、蓄冷材注入部材(55)(60)(65)を圧潰する前の段階において、周壁(55a)(60a)(65a)における1つの直径上に位置する部分に、それぞれ先端から第2圧潰部(36)(67)を形成すべき部分に至るスリットを形成しておく。
上述した実施形態においては、この発明による蓄熱機能付き熱交換器が、蓄冷機能付きエバポレータとして用いられているが、これに限定されるものではなく、温熱を輸送する媒体が流れる複数の熱交換管、および温熱を蓄える蓄熱材を封入する蓄熱材容器を備えた蓄熱機能付き熱交換器として用いられこともある。
この発明による蓄熱材容器は、停車時に圧縮機の駆動源であるエンジンを一時的に停止させる車両のカーエアコンを構成する冷凍サイクルの蓄冷機能付きエバポレータに好適に用いられる。
(1):蓄冷機能付きエバポレータ(蓄熱機能付き熱交換器)
(13):熱交換管
(15):通風間隙
(16):蓄冷材容器(蓄熱材容器)
(19):アルミニウム板(金属板)
(31):円筒部
(31a):半円筒部
(32)(50)(55)(60)(65):蓄冷材注入部材(蓄熱材注入部材)
(32a)(50a)(55a)(60a)(65a):周壁
(32b)(32c)(50b)(50c)(55b)(55c)(60b)(60c):変形部
(33):蓄冷材注入路(蓄熱材注入路)
(34):被圧潰部
(35)(66):第1圧潰部
(36)(67):第2圧潰部
(37):凹み
(38)(51):合わせ目
(52):スリット
(13):熱交換管
(15):通風間隙
(16):蓄冷材容器(蓄熱材容器)
(19):アルミニウム板(金属板)
(31):円筒部
(31a):半円筒部
(32)(50)(55)(60)(65):蓄冷材注入部材(蓄熱材注入部材)
(32a)(50a)(55a)(60a)(65a):周壁
(32b)(32c)(50b)(50c)(55b)(55c)(60b)(60c):変形部
(33):蓄冷材注入路(蓄熱材注入路)
(34):被圧潰部
(35)(66):第1圧潰部
(36)(67):第2圧潰部
(37):凹み
(38)(51):合わせ目
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