以下、本発明の用紙処理装置の実施の形態として、用紙を綴じる処理を行うステープラについて図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態のステープラの内部構成の詳細を示す側断面図、図2は、本実施の形態のステープラの内部構成を示す側断面図、図3は、カバーを外した状態での本実施の形態のステープラの側面図、図4は、カバーを外した状態での本実施の形態のステープラの内部構成を示す側断面図である。
また、図5及び図6は、本実施の形態のステープラの内部構成を示す斜視図、図7は、本実施の形態のステープラの内部構成を示す一部破断斜視図である。更に、図8は、本実施の形態のステープラの外観を示す側面図、図9及び図10は、本実施の形態のステープラの外観を示す斜視図である。また、図11は、本実施の形態のステープラで用いられるステープルの一例を示す説明図である。
本実施の形態のステープラ1Aは、用紙を綴じる操作に必要な荷重を低減させる倍力機構を備え、用紙を綴じる動作の各工程で、動作に合わせた荷重となるように、荷重の減少率を段階的に切り替えられるようにしたものである。
まず、図11を参照して、本実施の形態のステープラ1Aで使用可能なステープルについて説明する。図11(a)に示す針足の長いステープル10Lは、第1のステープルの一例で、最大の綴じ枚数として80枚程度の用紙を綴じることを想定している。また、図11(b)に示す針足の短いステープル10Sは、第2のステープルの一例で、最大の綴じ枚数として40枚程度の用紙を綴じることを想定している。
ステープル10Lは、針クラウン10Laと、針クラウン10Laの両端から一の方向に略平行となるように折り曲げられて構成される2本の針足10Lbを備え、複数本のステープル10Lが接着で一体とされてステープル束が構成される。ステープル10Sも同様に、針クラウン10Saと、針クラウン10Saの両端から一の方向に略平行となるように折り曲げられて構成される2本の針足10Sbを備え、複数本のステープル10Sが接着で一体とされてステープル束が構成される。
標準的な1枚の用紙の厚さを0.09mmとすると、80枚の用紙は、厚さが約7.2mmとなる。そこで、ステープル10Lでは、針足10Lbで80枚程度の用紙を貫通させてクリンチするために、針足10Lbの長さL1Lを10.0mmとした。
さて、針足の長さを針クラウンの幅の半分未満としたステープルでは、最小の綴じ枚数である2枚の用紙を綴じた場合に、両針足の先端が重なることはない。しかし、針足を長くすると、針クラウンの幅も広くなり、見栄えが悪い。
そこで、針足の長さを針クラウンの幅の半分以上としたステープルでは、2本の針足を、針クラウンに直交する前後方向にずらして折り曲げられるようにすることで、最小の綴じ枚数である2枚の用紙を綴じた場合でも、2本の針足が重ならないようにしている。
一方、針足の長さを針クラウンの幅と同等以上とすると、最小の綴じ枚数である2枚の用紙を綴じた場合に、針足の先端が、用紙の表面側の針クラウンより幅方向の外側に突出する形態になり、見栄えが悪い。
そこで、ステープル10Lでは、針足10Lbの長さを針クラウン10Laの幅の同等未満とし、本例では、針クラウン10Laの外寸L2Lを略11.4mmとした。針クラウン10Laの外寸に対して、針足10Lbの長さを略同等未満に構成することで、最小の綴じ枚数である2枚の用紙を綴じた場合でも、針足10Lbの先端が、用紙の表面側の針クラウン10Laより幅方向の外側に突出せず、見栄えが向上する。
ステープル10Sは、40枚程度の用紙を貫通させてクリンチするために、針足10Sbの長さL1Sを6.0mmとした。また、針クラウン10Saの外寸L2Sは、ステープル10Lとの互換性を考慮して、略11.4mmとした。ここで、上述した各ステープルの寸法は一例であり、針足の長さが異なり、かつ、異なる針足間で互換性があるステープルであれば他の寸法でも良い。
<本実施の形態のステープラの全体構成例>
次に、各図を参照して、本実施の形態のステープラ1Aの実施の形態について説明する。本実施の形態のステープラ1Aは、下ハンドルユニット11aと上ハンドルユニット11bを備え、本例では、下ハンドルユニット11aを机等の作業場所に置き、上ハンドルユニット11bを押す形態で使用される。
図12は、本実施の形態の下ハンドルユニットの一例を示す分解斜視図、図13は、本実施の形態のクリンチャユニットの一例を示す分解斜視図である。下ハンドルユニット11aは、用紙を貫通したステープル10Lの針足10Lb及びステープル10Sの針足10Sbを曲げるクリンチャユニット2Aと、クリンチャユニット2Aの待機位置でのロック及びロックの解除を行うスライダ3を備える。また、下ハンドルユニット11aは、クリンチャユニット2A及びスライダ3が取り付けられる下ハンドルフレーム4を備える。
図14は、本実施の形態の上ハンドルユニットの一例を示す分解斜視図である。上ハンドルユニット11bは、針足の長いステープル10L及び針足の短いステープル10Sの両方が装填可能で、ステープル10Lとステープル10Sの一方が選択されて装填されるマガジンユニット5を備える。
また、上ハンドルユニット11bは、マガジンユニット5に収納されたステープル10Lあるいはステープル10Sを打ち出すドライバユニット6を備える。更に、上ハンドルユニット11bは、マガジンユニット5に収納されたステープル10Lあるいはステープル10Sを打ち出す力をドライバユニット6に加えるハンドルユニット7を備える。
<クリンチャユニットの構成例>
図15は、クリンチャユニットの一例を示す正面図、図16は、クリンチャユニットの一例を示す要部平面図、図17は、クリンチャユニットの一例を示す要部側面図、図18は、クリンチャユニットの一例を示す外観斜視図である。
また、図19は、クリンチャユニットを待機位置で保持する構成を示す要部斜視図、図20は、クリンチャユニットを待機位置で保持する構成を示す要部側面図である。更に、図21は、クリンチャを保持する仕切り板の一例を示す構成図である。
次に、各図を参照して、クリンチャユニット2Aの構成について説明する。クリンチャユニット2Aは針足折曲手段の一例で、用紙を貫通したステープル10Lの針足10Lbあるいはステープル10Sの針足10Sbを折り曲げる一対のクリンチャ20L,20Rと、クリンチャ20Lとクリンチャ20Rを支持するクリンチャホルダ21を備える。
クリンチャユニット2Aは、クリンチャ20Lとクリンチャ20Rの回転動作でステープル10Lの針足10Lbあるいはステープル10Sの針足10Sbを折り曲げる構成である。そして、針足10Lbあるいは針足10Sbの折り曲げを開始する動きとして、クリンチャ20Lとクリンチャ20Rを近づける方向に移動させることで、針足10Lbあるいは針足10Sbを内側に折り曲げる力を加えられるようにする。
このため、クリンチャユニット2Aは、クリンチャホルダ21の昇降方向への移動をガイドすると共に、クリンチャ20L,20Rの回転及び離接する方向への移動をガイドするクリンチャ駆動機構としての一対のクリンチャリンク22L,22Rを備える。更に、クリンチャユニット2Aは、クリンチャホルダ21の昇降動作でクリンチャ20L,20Rを押し上げるクリンチャ受23を備える。
また、クリンチャユニット2Aは、クリンチャリンク22L,22Rを回転可能に支持すると共に、クリンチャ20L,20Rが取り付けられたクリンチャホルダ21の昇降方向への移動をガイドするクリンチャフレーム24を備える。更に、クリンチャユニット2Aは、クリンチャホルダ21を押し上げるリターンバネ25と、クリンチャ20Lとクリンチャ20Rの間を仕切ると共に、クリンチャ20L,20Rの向きを保持する仕切り板26を備える。
クリンチャユニット2Aは、図16に示すように、クリンチャ20Lとクリンチャ20Rが、ステープル10Lの針クラウン10La及びステープル10Sの針クラウン10Saに沿った左右方向、及び針クラウン10La,10Saに対して直交する前後方向に位置をずらして配置される。
クリンチャ20Lは、ステープル10Lの一方の針足10Lb及びステープル10Sの一方の針足10Sbに対向して配置される。クリンチャ20Lは、針足10Lb,10Sbに対向する上面に、図17に示すように、前後方向に位置をずらして配置されるクリンチャ20Rに向けて下降する方向に傾斜したクリンチャ面20Laが形成される。また、クリンチャ20Lは、クリンチャ受23に対向する一方の端部側の下面に、クリンチャ受23に押圧される押圧面20Lbが形成される。
クリンチャ20Lは、他方の端部側が、軸20Lcによりクリンチャリンク22Lの上端側に回転可能に支持されると共に、クリンチャホルダ21に回転及び水平方向に移動可能に支持される。
クリンチャ20Rは、ステープル10Lの他方の針足10Lb及びステープル10Sの他方の針足10Sbに対向して配置される。クリンチャ20Rは、針足10Lb,10Sbに対向する上面に、図17に示すように、前後方向に位置をずらして配置されるクリンチャ20Lに向けて下降する方向に傾斜したクリンチャ面20Raが形成される。また、クリンチャ20Rは、クリンチャ受23に対向する一方の端部側の下面に、クリンチャ受23に押圧される押圧面20Rbが形成される。
クリンチャ20Rは、他方の端部側が、軸20Rcによりクリンチャリンク22Rの上端側に回転可能に支持されると共に、クリンチャホルダ21に回転及び水平方向に移動可能に支持される。
クリンチャホルダ21は、ステープル10Lの針クラウン10La及びステープル10Sの針クラウン10Saに直交する前後方向に沿って前側ホルダ21aと後側ホルダ21bを備える。クリンチャホルダ21は、前側ホルダ21aと後側ホルダ21bが、仕切り板26を挟んで重ねられたクリンチャ20Lとクリンチャ20Rが挿入される空間を設けて対向する。クリンチャホルダ21は、本例では、板材を折り曲げて前側ホルダ21aと後側ホルダ21bが形成される。
クリンチャホルダ21は、クリンチャ20Lの軸20Lcが挿入されるガイド穴21Lと、クリンチャ20Rの軸20Rcが挿入されるガイド穴21Rが、前側ホルダ21aと後側ホルダ21bに形成される。ガイド穴21Lとガイド穴21Rは、クリンチャ20Lとクリンチャ20Rが離接する方向に沿って水平方向の延在する長穴で構成される。
クリンチャホルダ21は、クリンチャ20Lの軸20Lcがガイド穴21Lに挿入されることで、クリンチャ20Lを回転可能かつクリンチャ20Rに対して離接する方向に移動可能に支持する。また、クリンチャホルダ21は、クリンチャ20Rの軸20Rcがガイド穴21Rに挿入されることで、クリンチャ20Rを回転可能かつクリンチャ20Lに対して離接する方向に移動可能に支持する。
クリンチャホルダ21は、クリンチャ20L,20Rに対して後方に位置し、スライダ3が接する後側ホルダ21bに、リターンバネ25に押し上げられる力を受ける受け部21cが形成される。受け部21cは、後側ホルダ21bの左右両側の下面に形成され、リターンバネ25が下方から接して押し上げられる。
また、クリンチャホルダ21は、クリンチャ20L,20Rに対して前方に位置する前側ホルダ21aに、リターンバネ25での押し上げによる移動を規制する高さ規制部21dが形成される。高さ規制部21dは、前側ホルダ21aの左右両側から側方へ突出して形成される。
クリンチャリンク22Lは、下端側が軸22Laによりクリンチャフレーム24に回転可能に支持されると共に、上端側にクリンチャ20Lが軸20Lcによって回転可能に支持される。クリンチャ20L及びクリンチャリンク22Lは、クリンチャホルダ21のガイド穴21Lに、軸20Lcがガイド穴21Lの長穴形状に沿って移動可能に挿入される。
クリンチャリンク22Rは、下端側が軸22Raによりクリンチャフレーム24に回転可能に支持されると共に、上端側にクリンチャ20Rが軸20Rcによって回転可能に支持される。クリンチャ20R及びクリンチャリンク22Rは、クリンチャホルダ21のガイド穴21Rに、軸20Rcがガイド穴21Rの長穴形状に沿って移動可能に挿入される。
これにより、クリンチャリンク22Lは、クリンチャ20Lを回転可能に支持すると共に、クリンチャホルダ21の昇降動作で、クリンチャ20Lをクリンチャ20Rに対して離接する方向に移動させる。クリンチャリンク22Rは、クリンチャ20Rを回転可能に支持すると共に、クリンチャホルダ21の昇降動作で、クリンチャ20Rをクリンチャ20Lに対して離接する方向に移動させる。
クリンチャ受23は、クリンチャホルダ21の下降動作によって、前側ホルダ21aと後側ホルダ21bの間に入り、クリンチャ20Lとクリンチャ20Rを押圧する位置でクリンチャフレーム24に取り付けられる。
クリンチャフレーム24は、左右方向に沿った一方の側に、クリンチャリンク22Lが軸22Laにより回転可能に支持されると共に 左右方向に沿った他方の側に、クリンチャリンク22Rが軸22Raにより回転可能に支持される。
クリンチャフレーム24は、クリンチャホルダ21の昇降動作をガイドするクリンチャガイド24aを備える。クリンチャガイド24aは、クリンチャホルダ21の前側ホルダ21aと後側ホルダ21bとの間の空間に合わせた幅を有し、前側ホルダ21aと後側ホルダ21bとの間に挿入される。これにより、クリンチャホルダ21の前傾及び後傾が抑えられながら、クリンチャホルダ21の昇降動作がガイドされる。
クリンチャリンク22Lとクリンチャリンク22Rは、クリンチャフレーム24に支持される下端側より狭い間隔で、上端側がクリンチャホルダ21に支持される。クリンチャリンク22Lは、クリンチャホルダ21の昇降動作によって、軸22Laを支点に回転し、クリンチャリンク22Rは、クリンチャホルダ21の昇降動作によって、軸22Raを支点に回転する。
クリンチャホルダ21の昇降動作で、クリンチャリンク22Lとクリンチャリンク22Rは、下端側の軸22Laと軸22Raの間隔は変化せず一定である。これに対して、上端側の軸20Lcと軸20Rcの間隔は変化する。
すなわち、クリンチャリンク22Lとクリンチャリンク22Rは、下端側より上端側の間隔が狭く構成されることで、クリンチャホルダ21の下降動作で、クリンチャリンク22Lは、軸22Laを支点に上端側がクリンチャリンク22Rに近づく方向に回転する。また、クリンチャホルダ21の下降動作で、クリンチャリンク22Rは、軸22Raを支点に上端側がクリンチャリンク22Lに近づく方向に回転する。
また、クリンチャホルダ21の上昇動作で、クリンチャリンク22Lは、軸22Laを支点に上端側がクリンチャリンク22Rから離れる方向に回転する。また、クリンチャホルダ21の上昇動作で、クリンチャリンク22Rは、軸22Raを支点に上端側がクリンチャリンク22Lから離れる方向に回転する。
これにより、クリンチャホルダ21の下降動作で、クリンチャリンク22Lは、軸20Lcがガイド穴21Lに沿って移動し、クリンチャリンク22Rは、軸20Rcがガイド穴21Rに沿って移動して、軸20Lcと軸20Rcの間隔が狭くなる。従って、クリンチャホルダ21の下降動作で、クリンチャ20Lとクリンチャ20Rが近づく方向に移動する。
また、クリンチャホルダ21の上昇動作で、クリンチャリンク22Lは、軸20Lcがガイド穴21Lに沿って移動し、クリンチャリンク22Rは、軸20Rcがガイド穴21Rに沿って移動して、軸20Lcと軸20Rcの間隔が広くなる。従って、クリンチャホルダ21の上昇動作で、クリンチャ20Lとクリンチャ20Rが離れる方向に移動する。
次に、各図を参照して、クリンチャユニットを待機位置で保持する構成について説明する。リターンバネ25は、本例ではねじりコイルバネで構成され、一方の端部である前端側がクリンチャフレーム24に固定される。また、リターンバネ25は、図20に示すように、後端側の一方の端部が、クリンチャホルダ21の後側ホルダ21bの左右の一方の側の受け部21cと接し、後端側の他方の端部が、後側ホルダ21bの左右の他方の側の受け部21cと接する。
クリンチャホルダ21は、図19に示すように、前側ホルダ21aの左右の一方の側の高さ規制部21dが、クリンチャフレーム24にクリンチャリンク22Lを支持する軸22Laに接する。また、クリンチャホルダ21は、前側ホルダ21aの左右の他方の側の高さ規制部21dが、クリンチャフレーム24にクリンチャリンク22Rを支持する軸22Raに接する。
これにより、クリンチャホルダ21は、リターンバネ25により受け部21cが左右両側で略均等な力を受けて、後側ホルダ21bが押し上げられると共に、前側ホルダ21aで、左右の高さ規制部21dによってリターンバネ25での押し上げによる移動が規制される。
クリンチャホルダ21は、クリンチャ20L,20Rに対して後方に位置する後側ホルダ21bがリターンバネ25で押し上げられ、クリンチャ20L,20Rに対して前方に位置する前側ホルダ21aが、軸22La,22Raで上方向への移動が規制される。
これにより、クリンチャ20L,20Rが取り付けられたクリンチャホルダ21は、リターンバネ25で押し上げられる待機状態で前傾した状態を保つ。なお、本例では、クリンチャユニット2Aの前側にリターンバネ25を配置する構成としたが、クリンチャユニット2Aの後側にリターンバネを配置し、後側ホルダ21bに力を掛けるような構成としても良い。
次に、各図を参照して、クリンチャ20L,20Rを待機状態の向きで保持する構成について説明する。仕切り板26は、クリンチャ20Lの軸20Lcが挿入される軸受け部26Laと、クリンチャ20Rの軸20Rcが挿入される軸受け部26Raを備える。
仕切り板26は、クリンチャ20Lとクリンチャ20Rの間に挿入され、軸20Lcと軸20Rcに支持される。軸受け部26La,26Raは、クリンチャ20L,20Rの離接する方向への移動に伴う軸20Lc,20Rcの動きに合わせた長穴形状で構成される。
仕切り板26は、待機状態にあるクリンチャ20Lのクリンチャ面20La、及びクリンチャ20Rのクリンチャ面20Raより上方に突出する仕切り部26bを備える。また、仕切り板26は、クリンチャ20L方向に折り曲げられたバネ部26Lcと、クリンチャ20R方向に折り曲げられたバネ部25Rcを備える。
クリンチャ20Lは、仕切り板26のバネ部26Lcで側面が押圧され、クリンチャ20Rは、仕切り板26のバネ部26Rcで側面が押圧されることで、クリンチャ20Lとクリンチャ20Rは、待機状態での向きが保持される。
<下ハンドルユニットの構成例>
次に、各図を参照して、下ハンドルユニット11aの構成について説明する。下ハンドルユニット11aは、下ハンドルフレーム4が板金等で構成される。下ハンドルフレーム4は、クリンチャユニット2Aを構成するクリンチャフレーム24が前方位置に取り付けられる。また、下ハンドルフレーム4は、スライダ3がクリンチャユニット2Aの後方に取り付けられる。更に、下ハンドルフレーム4は、上ハンドルユニット11bが取り付けられる上ハンドル取付部40が形成される。
スライダ3は、クリンチャユニット2Aと対向する前側に係止部30が形成され、後側にリンク受け部31が形成される。スライダ3は、前後方向に沿ってスライド移動可能な構成で下ハンドルフレーム4に取り付けられ、図示しないバネに押圧されて、クリンチャユニット2Aを構成するクリンチャホルダ21の後側ホルダ21bが係止部30に載る位置まで前方に移動する。また、スライダ3は後方へ移動することで、係止部30がクリンチャホルダ21の後側ホルダ21bから外れる。
下ハンドルユニット11aは、クリンチャユニット2A及びスライダ3が取り付けられた下ハンドルフレーム4に、下ハンドルフレーム4を覆う形状を有した下ハンドルカバー41が取り付けられる。
また、下ハンドルユニット11aは、クリンチャユニット2Aを覆うクリンチャカバー42が下ハンドルカバー41に取り付けられる。クリンチャカバー42は、クリンチャユニット2Aを構成するクリンチャ20L及びクリンチャ20Rと、クリンチャ20L,20Rに挟まれた仕切り板26と、クリンチャ20L,20Rが取り付けられたクリンチャホルダ21が露出する開口を有する。クリンチャカバー42は、クリンチャホルダ21の昇降動作に連動して昇降する構成を有して、下ハンドルカバー41に取り付けられる。
更に、下ハンドルユニット11aは、用紙の位置を規制する用紙ガイド43が、下ハンドルカバー41に取り付けられる。用紙ガイド43は、前後方向に沿ってスライド移動可能な構成で下ハンドルカバー41に取り付けられ、用紙が用紙ガイド43に突き当てられることで、ステープル10L,10Sで綴じる位置が調整可能に構成される。
<マガジンユニットの構成例>
次に、各図を参照して、マガジンユニット5の構成について説明する。マガジンユニット5は収納手段の一例で、針足の長いステープル10L及び針足の短いステープル10Sの両方が装填可能で、ステープル10Lとステープル10Sの一方が選択されて装填されるマガジン50を備える。
また、マガジンユニット5は、ステープル10Lあるいはステープル10Sの装填のために、マガジン50を引き出し可能に収納するマガジンガイド51を備える。マガジンガイド51は、前面、上面及び後面が開口して、マガジン50が前面から引き出し可能に収納される空間が形成される。
マガジンユニット5は、ステープル10Lあるいはステープル10Sの装填と、装填されたステープル10Lあるいはステープル10Sの移動をガイドすると共に、ステープル10Lあるいはステープル10Sを1本に分離するためのせん断力を与えるステープルガイド52を備える。また、マガジンユニット5は、ドライバユニット6で打ち出される1本に分離されたステープル10Lあるいはステープル10Sの形状を保持するステープルホルダ53を備える。
更に、マガジンユニット5は、マガジンガイド51に対して引き出し可能に収納されるマガジン50のロック及びロックの解除を行うロック機構54を備える。また、マガジンユニット5は、マガジン50に装填されたステープル10Lあるいはステープル10Sを前方に押圧するプッシャ55と、プッシャ55を押圧するプッシャスプリング55aと、プッシャスプリング55aをガイドするスプリングガイド56を備える。
更に、マガジンユニット5は、マガジン50の収納方向への移動と引き出し方向への移動をガイドすると共に、プッシャ55で押圧されるステープル10Lあるいはステープル10Sを、ステープルガイド52と共にガイドするガイドカバー57を備える。
プッシャ55及びプッシャスプリング55aはステープル押圧手段の一例で、プッシャ55は、マガジンガイド51に収納されたマガジン50の内側で、ステープルガイド52に沿って前後方向に移動可能に取り付けられる。ガイドカバー57は、マガジンガイド51の上面に取り付けられ、マガジンガイド51と共に、マガジン50の収納方向への移動と引き出し方向への移動をガイドする。また、プッシャ55で押圧されるステープル10Lあるいはステープル10Sを、ステープルガイド52と共にガイドする。
プッシャスプリング55aは、プッシャ55をマガジン50のマガジン前壁50a方向に押圧する。プッシャスプリング55aは、ガイドカバー57内に収納され、本例では、マガジンガイド51の前端側に取り付けられるスプリングガイド56により、U形状の配置でプッシャ55と連結される。
<マガジンの構成例>
図22は、本実施の形態のマガジンユニットを構成するマガジンの一例を示す要部側断面図、図23は、本実施の形態のマガジンユニットを構成するマガジンの一例を示す要部上面図であり、次に、各図を参照してマガジン50の構成について説明する。ここで、図22は、図23のA−A線断面図である。
マガジン50は、本例では、板状の金属材料がプレス等の形抜き及び折り曲げ加工によって折り曲げられることで所定の形状に構成され、ステープル10L及びステープル10Sのいずれであっても装填可能で上面が開口した空間が形成される。
マガジン50は、装填されたステープル10Lあるいはステープル10Sが、プッシャ55及びステープルガイド52で押し付けられるマガジン前壁50aの下部に、1本に分離されたステープル10Lあるいはステープル10Sが通る寸法で開口部50bが形成される。また、マガジン50は、対向するマガジン側壁50cの内寸が、ステープル10Lの針クラウン10La及びステープル10Sの針クラウン10Saの外寸より若干広く構成される。
マガジン50は、マガジン側壁50cを構成する側板の先端側を内側に折り曲げることでマガジン前壁50aが構成され、マガジン前壁50aが幅方向の中央部付近で分割されて、ステープル10L及びステープル10Sの打ち出し方向に沿って延在する溝部50asがマガジン前壁50aに形成される。
<ステープルガイドの構成例>
図24は、ステープルガイドの一例を示す要部斜視図、図25は、マガジンにステープルガイドが取り付けられた状態を示す要部側断面図で、次に、各図を参照してステープルガイド52の構成について説明する。
ステープルガイド52はステープルガイド手段の一例で、マガジン50の内側の空間に取り付けられる。マガジン50とステープルガイド52の間には、コイルスプリング50dが取り付けられ、ステープルガイド52がマガジン前壁50a方向に押圧される。
ステープルガイド52は、ステープル10Lの針クラウン10La及びステープル10Sの針クラウン10Saの内寸より若干幅が狭く構成され、マガジン側壁50cとステープルガイド52の間に、ステープル10Lの針足10Lb及びステープル10Sの針足10Sbが挿入可能な空間が設けられる。
ステープルガイド52は、図23に示すように、針足の長いステープル10Lあるいは針足の短いステープル10Sを1本に分離するためのせん断力を与えるせん断ガイド部52aと、1本に分離されたステープル10Lあるいはステープル10Sをマガジン前壁50aに押圧する押圧ガイド部52bを備える。
また、ステープルガイド52は、針足の長いステープル10Lの針足10Lb及び針足の短いステープル10Sの針足10Sbを幅方向にガイドする第1の幅ガイド部52cと、主に針足の短いステープル10Sの針足10Sbを幅方向にガイドする第2の幅ガイド部52dを備える。
せん断ガイド部52aは分離ガイド手段の一例で、ステープルガイド52の前端側上面とマガジン前壁50aとの間に、1本のステープル10L及びステープル10Sの針線幅ts1より広く、2本分のステープル10L,10Sの針線幅より狭い間隔t1が形成される斜面を設けて形成される。
マガジン50にステープル10Lあるいはステープル10Sが装填されると、プッシャ55による押圧力を受けて、前端のステープル10Lあるいはステープル10Sがマガジン前壁50aに押圧される。
マガジン50にステープル10Lあるいはステープル10Sが装填されると、ドライバユニット6により打ち出される前端のステープル10Lあるいはステープル10Sに後続したステープル10Lあるいはステープル10Sは、針クラウン10Laあるいは針クラウン10Saがステープルガイド52の上面に載置される。
これにより、ドライバユニット6によって打ち出される前端のステープル10Lあるいはステープル10Sの直後の1本のステープル10Lあるいはステープル10Sは、打ち出し方向の位置が規制される。
そして、針足10Lbの長いステープル10Lと、針足10Sbの短いステープル10Sの何れであっても、マガジン50に装填されると、針クラウン10Laあるいは針クラウン10Saがステープルガイド52の上面に載置されるので、ステープル10Lあるいはステープル10Sを1本に分離するためのせん断力が与えられる。
押圧ガイド部52bは、せん断ガイド部52aの下端とつながるステープルガイド52の前端面で構成され、第1の幅ガイド部52cの前端がマガジン前壁50aに接している状態で、押圧ガイド部52bとマガジン前壁50aとの間に所定の間隔t2が形成される。
押圧ガイド部52bとマガジン前壁50aとの間隔t2は、1本のステープル10L及びステープル10Sの針線幅より若干狭く構成され、ステープルガイド52を後退させることで、押圧ガイド部52bとマガジン前壁50aとの間に、1本に分離されたステープル10Lあるいはステープル10Sが通る。
そして、押圧ガイド部52bとマガジン前壁50aとの間を通る1本に分離されたステープル10Lあるいはステープル10Sが、コイルスプリング50dによりステープルガイド52がマガジン前壁50a方向に付勢されることで、押圧ガイド部52bでマガジン前壁50aに押圧される。
ここで、図11(a)に示すような針足10Lbが長いステープル10Lが使用される場合に、針足10Lbの先端が用紙に到達する前に、針クラウン10Laが押圧ガイド部52bでガイドされるように、せん断ガイド部52aの高さt3が設定される。
第1の幅ガイド部52cは、ステープルガイド52の前端側の左右両側の下端に設けられる。第1の幅ガイド部52cは、1本のステープル10L及びステープル10Sの針線幅より若干小さい寸法で、押圧ガイド部52bの下端から前方に突出することで、第1の幅ガイド部52cの上方に、マガジン前壁50aとの間に所定の間隔t2で対向する押圧ガイド部52bが形成される。
第1の幅ガイド部52cは、ステープルガイド52から左右に突出し、左右一対の第1の幅ガイド部52cの外寸が、ステープル10L及びステープル10Sの針クラウン10La,10Saの内寸と略同じ幅あるいは若干広い幅で構成される。
これにより、ステープル10Lあるいはステープル10Sがマガジン50に装填され、1本に分離されて打ち出されると、ステープル10Lの針足10Lbあるいはステープル10Sの針足10Sbの内側が第2の幅ガイド部52dと接するように構成される。
第2の幅ガイド部52dは、針足の短いステープル10Sの針足10Sbに対応して、ステープルガイド52の前端側の左右両側で、第1の幅ガイド部52cの上方の中央部に設けられる。
第2の幅ガイド部52dは、ステープルガイド52から左右に突出し、左右一対の第2の幅ガイド部52dの外寸が、ステープル10L及びステープル10Sの針クラウン10La,10Saの内寸と略同じ幅で構成される。
これにより、ステープル10Lあるいはステープル10Sがマガジン50に装填されると、第1の幅ガイド部52cがマガジン前壁50aに接する位置までステープルガイド52が前進している状態では、針足10Lbあるいは針足10Sbの内側が第2の幅ガイド部52dと接するように構成される。
マガジンユニット5は、1本に分離された主に針足の短いステープル10Sの針足10Sbを、ドライバユニット6によるステープル10Sの打ち出しに伴って、マガジン前壁50a方向にガイドする針足ガイド部52eを備える。
針足ガイド部52eは針足ガイド手段の一例で、本例ではステープルガイド52の第1の幅ガイド部52cの近傍に設けられる。針足ガイド部52eは、ステープルガイド52の左右に突出した第1の幅ガイド部52cと、ステープルガイド52との間に形成される斜面に、前端側に向かって左右一対の第1の幅ガイド部52cの外寸が徐々に狭くなる方向に傾斜した傾斜面を設けて構成される。
これにより、針足の短いステープル10Sがマガジン50に装填された場合、1本に分離されたステープル10Sの打ち出しに伴って、用紙に着地する前の針足10Sbの先端が後側に流れても、針足ガイド部52eの傾斜面によって、針足10Sbはマガジン前壁50a方向に誘導される。
<ステープルホルダの構成例>
図26は、ステープルホルダの一例を示す斜視図、図27は、ステープルホルダの一例を示す側面図、図28は、マガジンにステープルホルダが取り付けられた状態を示す要部側断面図で、次に、各図を参照してステープルホルダ53の構成について説明する。
ステープルホルダ53はステープル形状保持手段の一例で、マガジン50に装填されたステープルの種類に応じて、1本に分離されたステープル10Lの針クラウン10Laまたはステープル10Sの針クラウン10Saの形状を保持する針クラウンガイド部53aを備える。また、ステープルホルダ53は、マガジン50の所定の構成要素、本例ではステープルガイド52に取り付けられる取付部53bを備える。
ステープルホルダ53は、取付部53bがステープルガイド52の前端部に取り付けられることで、左右一対の押圧ガイド部52bの間に針クラウンガイド部53aが配置され、針クラウンガイド部53aがマガジン50のマガジン前壁50aと対向する。
ステープルホルダ53は、弾性を有する材質、本例では、弾性を有した金属板材で構成され、針クラウンガイド部53aを主に前後方向に変位させるバネ部53cを備える。ステープルホルダ53は、ステープラ1Aが机上で使用される形態としたときに上側となる針クラウンガイド部53aの上端側が、逆U字状に曲る形態に形成されてバネ部53cが構成される。
ステープルホルダ53は、ステープル10L及びステープル10Sが打ち出される方向に沿って、バネ部53cから針クラウンガイド部53aが延在し、主にバネ部53cの弾性変形によって、針クラウンガイド部53aがマガジン前壁50aに対して離接する方向である前後方向に変位する。
ステープルホルダ53は、1本に分離されたステープル10Lまたはステープル10Sの打ち出しに伴って、ステープル10Lの針クラウン10Laの長手方向における中央部付近、または、ステープル10Sの針クラウン10Saの長手方向における中央部付近を、下側から支える突き出し部53dを備える。
ステープルホルダ53は、マガジン前壁50aの溝部50asに合わせて、針クラウンガイド部53aの幅方向における中央部付近に突き出し部53dが設けられる。突き出し部53dは、ステープル10L及びステープル10Sの打ち出し方向に沿った針クラウンガイド部53aの中央部付近から、針クラウンガイド部53aの下端側に向けてマガジン前壁50a方向である前方に突出する。
突き出し部53dは、本実施の形態では、針クラウンガイド部53aの幅方向における中央部付近を針クラウンガイド部53aの下端側から切り起こす形態で、マガジン前壁50aの溝部50asより狭い所定の幅の舌片部を設けることで構成される。
ステープルホルダ53は、突き出し部53dに掛かる荷重を針クラウンガイド部53aに伝達する連結部53eを備える。連結部53eは、突き出し部53dの基端側の側面が針クラウンガイド部53aに接するような形態とすることで構成され、突き出し部53dに掛かる荷重を、突き出し部53dの基端側と針クラウンガイド部53aとの間に生じる摩擦力等によって、針クラウンガイド部53aに伝達する。
これにより、ステープルホルダ53では、突き出し部53dに掛かる荷重が連結部53eにより針クラウンガイド部53aに伝達され、主にバネ部53cの弾性変形による針クラウンガイド部53aの変位によって突き出し部53dが後退する。
ステープルホルダ53は、図28に示すように、針クラウンガイド部53aの下端側が針クラウンガイド部53aの上端側に対して前方に突出する方向で、針クラウンガイド部53aがマガジン前壁50aに対して傾斜する。
ステープルホルダ53は、針クラウンガイド部53aとマガジン前壁50aとの間隔が、ステープル10L及びステープル10Sの打ち出し方向に沿って狭くなる。本例では、ステープル10Lまたはステープル10Sが打ち出される前及び打ち出された後の待機状態で、針クラウンガイド部53aの下端側がマガジン前壁50aと接する。
また、ステープルホルダ53は、突き出し部53dの下端側が突き出し部53dの上端側に対して前方に突出する方向で、突き出し部53dがマガジン前壁50a及び針クラウンガイド部53aに対して傾斜し、上述した待機状態で、突き出し部53dがマガジン前壁50aの溝部50asに入る。
ステープルホルダ53が取り付けられたステープルガイド52は、押圧ガイド部52b及び第1の幅ガイド部52cと、マガジン前壁50aとの間をステープル10Lまたはステープル10Sが通ることにより、マガジン前壁50aに対して後退する。これにより、取付部53bでステープルガイド52に取り付けられたステープルホルダ53も、ステープルガイド52の後退に伴ってマガジン前壁50aに対して後退する。
ステープルホルダ53は、1本に分離されたステープル10Lまたはステープル10Sの打ち出しに伴って後退するステープルガイド52の移動量を考慮して、針クラウンガイド部53a及び突き出し部53dの傾斜等が設定される。
すなわち、ステープルガイド52の変位では、突き出し部53dとマガジン前壁50aとの間に、1本のステープル10L及びステープル10Sの針線幅以上の隙間が形成されないように、針クラウンガイド部53a及び突き出し部53dの傾斜等が設定される。
これにより、ステープルガイド52及びステープルホルダ53が取り付けられたマガジン50では、1本に分離されて打ち出されるステープル10L及びステープル10Sの移動経路中に突き出し部53dが出没可能に突出する。
針足の長いステープル10Lがマガジン50に装填された場合、ステープルホルダ53では、1本に分離されたステープル10Lの打ち出しに伴って、ステープル10Lの針クラウン10Laにより、主に突き出し部53dが押圧される。針足の短いステープル10Sがマガジン50に装填された場合も同様に、ステープルホルダ53では、1本に分離されたステープル10Sの打ち出しに伴って、ステープル10Sの針クラウン10Saにより、主に突き出し部53dが押圧される。
ステープルホルダ53では、突き出し部53dに荷重が掛かると、主にバネ部53cの弾性変形によって、針クラウンガイド部53aが後退する方向に変位し、針クラウンガイド部53aの変位によって突き出し部53dが後退する。
これにより、突き出し部53dとマガジン前壁50aとの間に、マガジン50に装填されたステープルの種類に応じて、1本に分離されたステープル10Lの針クラウン10La、または、1本に分離されたステープル10Sの針クラウン10Saが通る隙間が形成される。
また、1本に分離されたステープル10Lの打ち出しに伴って、ステープル10Lの針クラウン10Laの長手方向における中央部付近が、バネ部53cが復元しようとする力で押し上げられる方向に変位しようとする突き出し部53dにより、ステープル10Lが打ち出される方向に対して逆向きとなる下側から支えられる。
同様に、1本に分離されたステープル10Sの打ち出しに伴って、ステープル10Sの針クラウン10Saの長手方向における中央部付近が、バネ部53cが復元しようとする力で押し上げられる方向に変位しようとする突き出し部53dにより、ステープル10Sが打ち出される方向に対して逆向きとなる下側から支えられる。
これにより、1本に分離されたステープル10Lあるいはステープル10Sがマガジン前壁50aとステープルガイド52の間を通過すると、突き出し部53dによって針クラウン10Laあるいは針クラウン10Saの長手方向の中央部付近が押し上げられる方向に力が加えられ、針クラウン10La及び針クラウン10Saの変形が抑えられる。
そして、ステープルホルダ53では、突き出し部53dに掛かる荷重が連結部53eにより針クラウンガイド部53aに伝達され、主にバネ部53cの弾性変形による針クラウンガイド部53aの変位によって突き出し部53dが後退するので、突き出し部53dの弾性変形による変位が抑えられ、突き出し部53dに掛かる負荷が軽減される。
図29は、ステープルホルダの取付例を示す正面断面図、図30は、ステープルホルダの取付例を示す側断面図で、次に、各図を参照して、ステープルホルダ53をステープルガイド52に取り付ける構成について説明する。ステープルホルダ53は、取付部53bの幅方向に沿った左右の一方の側部に取付凸部53Lが形成されると共に、他方の側部に取付凸部53Rが形成される。
ステープルホルダ53は、取付凸部53Lと取付凸部53Rの一方には2個以上、他方には1個以上設けられることが好ましく、本例では、ステープルホルダ53の左右の側部のそれぞれ2箇所に、取付凸部53Lと取付凸部53Rが対称の配置で側方に突出して形成される。
ステープルガイド52は、幅方向に沿った左右の一方の側部に、ステープルホルダ53の取付凸部53Lが挿入される取付開口部52Lが形成され、他方の側部に、ステープルホルダ53の取付凸部53Rが挿入される取付開口部52Rが形成される。
ステープルガイド52とステープルホルダ53は、所定の挿入位置にてステープルホルダ53の取付凸部53L,53Rがステープルガイド52の取付開口部52L,53Rに挿入され、固定位置にステープルホルダ53を移動させることで、ステープルホルダ53がステープルガイド52に固定される。
このため、取付開口部52Lは、ステープルホルダ53をステープルガイド52に取り付ける動作で、挿入位置にあるステープルホルダ53の取付凸部53Lが挿入される挿入開口部52Laを備える。
また、取付開口部52Lは、ステープルガイド52に対して後方へ移動させる動作で固定位置にあるステープルホルダ53の取付凸部53Lを支持する支持凸部52Lbを備える。更に、固定位置にあるステープルホルダ53の位置を、マガジン50のマガジン前壁50aとの間で規制する位置規制部52Lcを備える。
取付開口部52Rは、ステープルホルダ53をステープルガイド52に取り付ける動作で、挿入位置にあるステープルホルダ53の取付凸部53Rが挿入される挿入開口部52Raを備える。
また、取付開口部52Rは、ステープルガイド52に対して後方へ移動させる動作で固定位置にあるステープルホルダ53の取付凸部53Rを支持する支持凸部52Rbを備える。更に、固定位置にあるステープルホルダ53の位置を、マガジン50のマガジン前壁50aとの間で規制する位置規制部52Rcを備える。
取付開口部52Lは、ステープルホルダ53の2個の取付凸部53Lの配置に合わせて、2箇所に挿入開口部52Laが形成されると共に、3箇所に支持凸部52Lbが形成される。挿入開口部52Laと支持凸部52Lbは、ステープルガイド52の前後方向に沿って交互に配置されてつながり、取付開口部52Lの後端に位置規制部52Lcが形成される。
取付開口部52Rも同様に、ステープルホルダ53の2個の取付凸部53Rの配置に合わせて、2箇所に挿入開口部52Raが形成されると共に、3箇所に支持凸部52Rbが形成される。挿入開口部52Raと支持凸部52Rbは、ステープルガイド52の前後方向に沿って交互に配置されてつながり、取付開口部52Rの後端に位置規制部52Rcが形成される。
取付開口部52Lと取付開口部52Rは、挿入開口部52La及び挿入開口部52Raと、支持凸部52Lb及び支持凸部52Rbが、上下に対称な配置で形成される。
ステープルホルダ53の取付方法について説明すると、ステープルホルダ53は、ステープルガイド52の左右の側壁の間に取付凸部53L,53Rが入るように、図29(a)に示すように、挿入位置において左右方向に傾けることで、取付凸部53Lが取付開口部52Lの挿入開口部52Laに挿入され、取付凸部53Rが取付開口部52Rの挿入開口部52Raに挿入される。
取付凸部53Lが挿入開口部52Laに挿入され、取付凸部53Rが挿入開口部52Raに挿入されたステープルホルダ53は、図29(b)に示すように、略水平な向きとすることで、後方への水平移動が可能となる。
図30(a)に示すように挿入位置にあるステープルホルダ53を、図30(b)に示すように固定位置に移動させると、左右の取付開口部52L,52Rの間で、取付凸部53L,53Rが支持凸部52Lb,52Rbに挟まれ、ステープルホルダ53は傾く方向へ回転する動きが規制される。
ステープルホルダ53が取り付けられたステープルガイド52がマガジン50に取り付けられ、マガジン50とステープルガイド52の間に、コイルスプリング50dが取り付けられると、ステープルガイド52がマガジン前壁50a方向に押圧される。
ステープルガイド52がマガジン前壁50a方向に押圧されると、ステープルホルダ53の針クラウンガイド部53aがマガジン前壁50aに押圧され、ステープルホルダ53の後端が、取付開口部52L,52Rの位置規制部52Lc,52Rcに押圧される。
これにより、ステープルホルダ53は、針クラウンガイド部53aがマガジン前壁50aに押圧され、突き出し部53dがマガジン前壁50aの溝部50asに入る状態で、傾く方向へ回転する動き及び前後方向への移動が規制されて、ステープルガイド52を介してマガジン50に固定される。
ステープルホルダをステープルガイドに取り付ける構成では、従来は、ステープルホルダの側方に凸部を形成すると共に、ステープルガイドの対向する側壁にステープルホルダの凸部が嵌まる開口部を形成し、ステープルガイドを撓ませることでステープルホルダを取り付けていた。
しかし、ステープルホルダの取り付けでステープルガイドが変形してしまい、ステープルの打ち出しやクリンチ等で必要とされる部品の寸法精度を確保できない可能性があった。
本実施の形態では、ステープルホルダ53をステープルガイド52に取り付ける際に、部品を変形させるような力が加わらない。これにより、ステープルホルダ53の取り付けでステープルガイド52等が変形することがなく、ステープル10L,10Sの打ち出しやクリンチ等で必要とされる部品の寸法精度を確保できる。
<リンク機構の構成例>
ステープラ1Aでは、上ハンドルユニット11bの動きを下ハンドルユニット11aのスライダ3に伝達するリンク機構がマガジンユニット5に設けられる。次に、各図を参照して、上ハンドルユニット11bの動きを下ハンドルユニット11aのスライダ3に伝達する構成について説明する。マガジンユニット5は、上ハンドルユニット11bの動きを下ハンドルユニット11aのスライダ3に伝達して、クリンチャユニット2Aの待機位置でのロック及びロックの解除を行うリンク58を備える。
本実施の形態では、リンク58は、軸58aを支点としてマガジンガイド51に回転可能に取り付けられ、略L形状の一方の端部に形成されたスライダ押圧部58bが、スライダ3のリンク受け部31と接し、他方の端部に形成されたドライバ押圧部58cがドライバユニット6に押圧される。
リンク58は、スライダ押圧部58bがスライダ3のリンク受け部31と接する方向に自重で回転する重量配分で構成され、スライダ押圧部58bとリンク受け部31が常時接触するような状態が保持される。これにより、図4に示すように、リンク58は、スライダ押圧部58bが下ハンドルフレーム4の上ハンドル取付部40の前端より後方に位置する。
用紙に対するステープル10Lあるいはステープル10Sの綴じ位置は、クリンチャユニット2Aのクリンチャ20L,20Rと、用紙ガイド43との間の距離で決められる。このため、リンク58のスライダ押圧部58bが下ハンドルフレーム4の上ハンドル取付部40の前端より後方に位置する構成とすることで、用紙ガイド43の移動位置を、上ハンドル取付部40の前端までにすることができる。従って、用紙の端部からステープル10Lあるいはステープル10Sの綴じ位置までの距離を長くすることができる。
<ロック機構の構成例>
図31は、ロック機構の一例を示す側断面図、図32は、ロック機構の一例を示す要部平面断面図であり、次に、各図を参照して、ロック機構54の構成について説明する。
ロック機構54は、マガジン50を収納位置でロックするマガジンストッパ54aと、マガジンストッパ54aを動かすプッシャスイッチ54bを備える。また、ロック機構54は、マガジン50を排出方向に押す力を加えると共に、マガジンストッパ54aをロック方向に回転させる力を加えるマガジンロックバネ54cを備える。
マガジンストッパ54aは、マガジン50の後端側底面に形成されたロック開口部50eに嵌まるロック爪54dを、略L形状の一方の端部に備え、マガジンロックバネ54cに押されるバネ押圧部54eを、略L形状の他方の端部に備える。マガジンストッパ54aは、ロック爪54dとバネ押圧部54eの間に設けられる軸54fを支点に回転可能な状態で、マガジンガイド51に支持される。
プッシャスイッチ54bは、人手により押されるスイッチ部54gを後端側に備え、マガジンストッパ54aのバネ押圧部54eが形成された略L字形状の他方の端部と、軸54hを介して回転可能に連結される。プッシャスイッチ54bは、軸54hを挟んだ前端側にマガジンロックバネ54cが取り付けられる。
マガジンロックバネ54cは、マガジンガイド51にマガジン50が収納されると、マガジン50のステープルガイド52に前端側が接し、マガジンストッパ54aのバネ押圧部54eに後端側が接する。マガジンロックバネ54cは、プッシャスイッチ54bの前端部に形成される抜け止め防止凸部54iにより、マガジン50が引き出された状態で、プッシャスイッチ54bから外れることが防止される。
マガジン50がマガジンガイド51に収納された状態では、図31(a)に示すように、マガジン50に取り付けられたステープルガイド52の後端側と、マガジンストッパ54aのバネ押圧部54eとの間でマガジンロックバネ54cが圧縮される。
マガジンストッパ54aは、バネ押圧部54eが押圧されることで、ロック爪54dがマガジン50のロック開口部50eに嵌まる方向に、軸54fを支点に回転し、ロック爪54dがロック開口部50eに嵌まる。
これにより、マガジン50は、マガジンガイド51に収納された状態が保持される。また、マガジン50は、ステープルガイド52がマガジンロックバネ54cで押圧されることで、マガジン50とステープルガイド52との間に取り付けられたコイルスプリング50dと共に、マガジンロックバネ54cでステープルガイド52がマガジン前壁50a方向に押圧される。
プッシャスイッチ54bは、スイッチ部54gが押されると、図31(b)に示すように、軸54hを介して連結されたマガジンストッパ54aを、軸54fを支点に回転させて、マガジンストッパ54aのロック爪54dをマガジン50のロック開口部50eから外す。
マガジンストッパ54aのロック爪54dがマガジン50のロック開口部50eから外れると、圧縮されていたマガジンロックバネ54cが復元する力、及び、引っ張られていたプッシャスプリング55aが復元する力によってプッシャ55により押圧される力で、マガジン50が前方に押圧され、マガジンガイド51からマガジン50が引き出される。
<ドライバユニットの構成例>
図33は、ドライバの一例を示す構成図で、次に、各図を参照して、ドライバユニット6の構成について説明する。ドライバユニット6は打出手段の一例で、マガジンユニット5と共に動作部材を構成する。ドライバユニット6は、マガジン50に装填されたステープル10Lあるいはステープル10Sの先頭の1本を押圧し、用紙に貫通させるドライバ60と、ドライバ60及びリンク58を押圧するドライバアーム61を備える。
ドライバ60は作用部材の一例で、図33(a)の正面図に示すように、ステープル10Lの針クラウン10La及びステープル10Sの針クラウン10Saの外寸に合わせた幅を有すると共に、図33(b)の側面図に示すように、1本のステープル10L及びステープル10Sの針線幅に合わせた板厚を有したステープル押圧部60aが下端側に設けられた板状の部材で構成される。また、ドライバ60は、ドライバアーム61に支持される軸部60bと、ドライバアーム61に押圧されるドライバ押圧部60cが上端側に設けられる。
更に、ドライバ60は、ステープル10Lの一対の針足10Lbに対応した針クラウン10Laの両端部、及びステープル10Sの一対の針足10Sbに対応した針クラウン10Saの両端部を押圧する押圧部60dを備える。
ドライバ60は、ステープル押圧部60aの幅方向の左右両側に、所定の形状で下方に突出した凸部を設けて押圧部60dが構成される。ステープル10Lの針クラウン10Laと、ステープル10Sの針クラウン10Saは、外寸がほぼ同じ寸法であるので、ステープル10Lであれば、一対の針足10Lbのそれぞれ略直上の部位が押圧部60dで押圧される。同様に、ステープル10Sであれば、一対の針足10Sbのそれぞれ略直上の部位が押圧部60dで押圧される。
ドライバアーム61は、図2等に示すように、ドライバ60のドライバ押圧部60cを押圧する押圧面61aと、ドライバ60の軸部60bを支持し、ドライバ60を回転及びスライド移動可能にガイドするドライバガイド溝61bを備える。
ドライバアーム61は、押圧面61aが凹状に湾曲した曲面で構成され、ドライバガイド溝61bが、押圧面61aに倣って前後方向に延在して凹状に湾曲した長穴で構成される。ドライバアーム61は、ドライバユニット6の前端側である一方の端部側の上板下面に押圧面61aが設けられると共に、両側板にドライバガイド溝61bが設けられる。ドライバユニット6は、ドライバアーム61のドライバガイド溝61bにドライバ60の軸部60bが挿入されて支持されることで、ドライバアーム61の一方の端部側にドライバ60が取り付けられる。
マガジンユニット5とドライバユニット6は、ドライバユニット6の後端側であるマガジンガイド51とドライバアーム61の他方の端部側が、軸54fを支点に回転可能な状態で、下ハンドルフレーム4の上ハンドル取付部40に取り付けられる。本例では、マガジンストッパ54aと同軸で、マガジンガイド51とドライバアーム61が回転する。
ドライバユニット6は、ドライバアーム61に取り付けられたドライバ60が、マガジンガイド51に取り付けられたスプリングガイド56によって、マガジン50のマガジン前壁50aに沿ってガイドされる。
マガジン50と用紙が接触せず、ドライバアーム61とマガジンガイド51が軸54fを支点に一体的に回転している間は、ドライバ60とマガジン50との相対的な位置関係は変化しない。
クリンチャユニット2Aとマガジン50の間に用紙が挟持され、ドライバアーム61がマガジンガイド51に対して回転すると、マガジンガイド51に対するドライバアーム61の回転動作で、ドライバ60がドライバアーム61に押圧される。
ドライバ60は、軸部60bがドライバガイド溝61bに沿って移動可能であるので、ドライバアーム61の回転に伴い、ドライバアーム61の押圧面61aと、ドライバ60のドライバ押圧部60cが接する位置が変位する。これにより、ステープル10L,10Sを押圧するドライバ60の角度が所定の角度で保たれる。
ドライバアーム61は、待機状態では、リンク58のドライバ押圧部58cとの間に空走空間61cが形成され、ドライバアーム61とリンク58は接触していない。マガジン50と用紙が接触せず、ドライバアーム61とマガジンガイド51が軸54fを支点に一体的に回転している間は、ドライバアーム61とリンク58のドライバ押圧部58cの間の空走空間61cが保持される。
そして、クリンチャユニット2Aとマガジン50の間に用紙が挟持され。ドライバアーム61がマガジンガイド51に対して回転すると、ドライバアーム61の回転動作でリンク58が押圧され、軸58aを支点にリンク58を回転させて、スライダ3を作動させる。
<ハンドルユニットの構成例>
図34は、ハンドルユニットにおける操作荷重を低減する倍力機構の一例を示す側面図で、次に、各図を参照してハンドルユニットの構成について説明する。ハンドルユニット7は操作部材の一例で、ドライバアーム61を押圧するハンドルアーム70と、ハンドルアーム70を覆う上ハンドルカバー71と、上ハンドルカバー71とドライバアーム61との間に形成される隙間を覆うフロントカバー72を備える。
ハンドルアーム70は、下ハンドルフレーム4の上ハンドル取付部40に取り付けられた軸70aに挿入される軸穴部70bを備え、軸70a及び軸穴部70bを介して下ハンドルフレーム4に取り付けられる。また、ハンドルアーム70は、軸54fにより下ハンドルフレーム4の上ハンドル取付部40に支持されたドライバアーム61と、軸70cにより連結される。
ハンドルアーム70は、ハンドルユニット7の前端側である一方の端部側に力が加えられることで、軸70aにガイドされるガイド部である軸穴部70bの形状と、軸70cが移動し得る軌跡によって、ハンドルアーム70を微小に動かしたときの動きを回転動作と見なすことができる。ハンドルアーム70の変位を回転動作と見なすときの仮想回転支点となる支点軸Oが、ハンドルアーム70の他方の端部側に形成される。ハンドルアーム70は、支点軸Oを支点とした回転動作で変位することで、軸70cを介してドライバアーム61を押圧する。
ハンドルアーム70では、軸穴部70bと軸70aとの接触角度を、ハンドルアーム70の回転動作に伴い変化させることで、軸70aにより軸穴部70bがガイドされる方向を変化させ、ハンドルアーム70の回転動作の支点軸Oを移動させる。
このため、軸穴部70bは、ハンドルアーム70の回転動作によって変化する軸70aが接触する部位に応じて、軸70aとの接触角度を異ならせる区間が設定される。本例では、軸穴部70bは、第1の区間70b(1)、第2の区間70b(2)及び第3の区間70b(3)の3つの区間が組み合わせられた所定の長穴形状で構成される。
軸穴部70bは、図34に示すような待機状態でのハンドルアーム70の向きでは、軸70aとの接触角度が、水平方向に対して直立する方向に大きく傾けられた第1の区間70b(1)が、下端側に設けられる。
また、軸穴部70bは、軸70aとの接触角度が、第1の区間70b(1)に対して小さく傾けられ、ハンドルアーム70が回転することによって、軸70aとの接触角度が小さくなる方向に変化する第2の区間70b(2)が、第1の区間70b(1)から連続して設けられる。
更に、軸穴部70bは、円弧状の第3の区間70b(3)が、第2の区間70b(2)から連続して設けられる。
ハンドルアーム70とドライバアーム61は、ハンドルアーム70の他方の端部側とドライバアーム61の他方の端部側が、軸70cにより回転方向への変位が可能に連結される。
ハンドルアーム70とドライバアーム61との連結部である軸70cは、ドライバアーム61の他方の端部側を下ハンドルフレーム4に支持する軸54fの前方に設けられ、軸70cが移動し得る軌跡は、軸54fを中心とした円弧となる。
これにより、ハンドルアーム70では、ハンドルユニット7の前端側である一方の端部側が、使用者により力が加えられる力点E1となり、ドライバアーム61との連結部である軸70cが、ドライバアーム61に対しての力の作用点E2となり、支点軸Oが、回転動作の支点となる。
また、ドライバアーム61では、ハンドルアーム70との連結部である軸70cが、ハンドルアーム70により力が加えられる力点E3となり、ドライバ60が、ステープル10Lあるいはステープル10Sに対しての力の作用点E4となり、軸54fが、回転動作の支点となる。
ハンドルユニット7とドライバユニット6は、ハンドルアーム70及びドライバアーム61における力点及び作用点と支点間との距離の比率によって、ハンドルアーム70に掛かる荷重Fを低減した倍力機構を実現している。
ハンドルアーム70に掛かる荷重Fの減少率D(%)は、以下の(1)式により求められる。
ここで、ハンドルユニット7において、ハンドルアーム70に力が掛かる力点E1から、ハンドルアーム70の回転支点となる支点軸Oまでの長さをL1とし、ドライバアーム61に力を掛ける作用点E2となる軸70cから支点軸Oまでの長さをL2とする。
また、ドライバユニット6において、ドライバアーム61に力が掛かる力点E3となる軸70cから、ドライバアーム61の回転支点となる軸54fまでの長さをL3とし、作用点E4となるドライバ60から軸54fまでの長さをL4とする。
(1)式から、力点E1から支点軸Oまでの長さL1に対する作用点E2となる軸70cから支点軸Oまでの長さL2の比を減少させると、ハンドルアーム70に掛かる荷重Fの減少率が増加する。
そこで、ハンドルアーム70では、ハンドルアーム70の支点軸Oを、用紙Pを綴じる動作でのハンドルアーム70の位置に応じて、軸穴部70bの形状により軸54fの近傍から軸70c方向に移動させる。
これにより、用紙Pを綴じる動作の所望の工程で、動作に合わせた荷重Fとなるように、ハンドルアーム70に掛かる荷重Fを段階的に減少させ、ステープル10L及びステープル10Sが用紙Pを貫通する段階で荷重Fが軽くなるようにする。
このような倍力機構を備えることで、ハンドルアーム70のストロークが長くなり、ハンドルアーム70に取り付けられた上ハンドルカバー71とドライバアーム61との間に隙間が生じる。そこで、図1に示すように、上ハンドルカバー71とドライバアーム61との隙間を覆うフロントカバー72が取り付けられる。
図35は、フロントカバーの一例を示す斜視図である。フロントカバー72は、上ハンドルカバー71とドライバアーム61との隙間の前方と側方を覆う形状を有する。フロントカバー72は、図1に示すように、一方の端部に設けられた軸部72aが、ハンドルアーム70に設けられた軸穴部70dに挿入され、軸部72aを支点として回転可能な状態でハンドルアーム70に取り付けられる。
また、フロントカバー72は、図35に示すように、他方の端部に形成された溝部72bが、ドライバアーム61に設けられたガイド凸部61dに挿入され、ガイド凸部61dを支点に回転及びスライド移動可能な状態でドライバアーム61に取り付けられる。ガイド凸部61dは、抜け止め防止形状として、本例ではT形状に構成されて抜け止め防止部61eが設けられ、フロントカバー72の溝部72bにスライド移動及び回転可能に挿入されると共に、溝部72bが外れることが防止される。
なお、フロントカバー72とドライバアーム61の取り付け構造は、フロントカバー72に側に、抜け止め防止形状を持つガイド凸部を備え、ドライバアーム61側に、ガイド凸部が回転及びスライド移動可能に挿入される溝部を備える構成としても良い。また、フロントカバー72とドライバアーム61を、軸部と軸穴部で回転可能に連結すると共に、フロントカバー72とハンドルアーム70を長穴状の軸穴部と軸部で回転及びスライド移動可能に連結する構成としても良い。
<本実施の形態のステープラの動作例>
図36は、本実施の形態のステープラで用紙を綴じる動作を示す側断面図、図37は、本実施の形態のステープラで用紙を綴じる動作を示す斜視図、図38〜図41は、ハンドルユニットにおける操作荷重を低減する倍力機構の動作の一例を示す側面図で、次に、各図を参照して、本実施の形態のステープラ1Aで用紙を綴じる動作について説明する。
まず、ステープラ1Aの待機状態では、図35(a)に示すように、上ハンドルカバー71とドライバアーム61との隙間が、上ハンドルカバー71とドライバアーム61に取り付けられたフロントカバー72で覆われている。これにより、上ハンドルカバー71とドライバアーム61との隙間に何らかの物体が挿入されることが防止される。
用紙を綴じる動作では、用紙Pが下ハンドルユニット11aの下ハンドルカバー41及びクリンチャカバー42上に載置される。ステープラ1Aでは、用紙ガイド43の位置を調整して、用紙Pを用紙ガイド43に突き当てることで、ステープル10Lあるいはステープル10Sによる綴じ位置が合わせられる。
用紙Pが載置され、待機状態から上ハンドルカバー71が矢印A方向に押されると、上ハンドルカバー71に覆われたハンドルアーム70が、図34等に示す軸70aと軸穴部70bとの接点を移動支点として回転する。
まず、用紙Pを綴じる工程での倍力機構の動作について説明する。ステープラ1Aの待機状態では、図38に示すように、ハンドルユニット7は、ハンドルアーム70の軸穴部70bが第1の区間70b(1)で軸70aと接触している。
ハンドルユニット7は、ハンドルアーム70の軸穴部70bが第1の区間70b(1)で軸70aと接触している状態では、ハンドルアーム70を微小に動かしたときの動きを回転動作と見なすと、ハンドルアーム70の仮想回転支点となる支点軸Oが、ドライバアーム61の回転支点となる軸54fの近傍に形成される。
待機状態から上ハンドルカバー71が押されると、ハンドルアーム70は、軸穴部70bが軸70aにガイドされることで、軸54fの近傍に形成された支点軸Oを支点とした回転動作で変位し、軸70aに対する軸穴部70bの接触部位が移動する。
ドライバユニット6は、ハンドルアーム70の回転動作による軸70cの変位によりドライバアーム61が押圧され、ドライバアーム61がマガジンユニット5と共に軸54fを支点に回転する。
待機状態から上ハンドルカバー71が押され、所定枚数、本例では80枚の用紙Pがクリンチャユニット2Aとマガジン50の間に挟持されると、ハンドルアーム70の軸穴部70bが、図39に示すように第2の区間70b(2)で軸70aと接触する。
ハンドルアーム70は、軸穴部70bの第2の区間70b(2)では、軸70aとの接触角度が、第1の区間70b(1)に対して小さく傾けられ、ハンドルアーム70が回転することによって、軸70aとの接触角度が小さくなる方向に変化するので、ハンドルアーム70の支点軸Oが、軸54fの近傍から軸70c方向に移動する。
ハンドルアーム70の支点軸Oが、軸54fの近傍から軸70c方向に移動すると、図34に示す力点E1から支点軸Oまでの長さL1と、作用点E2となる軸70cから支点軸Oまでの長さL2が減少し、上述した(1)式から、ハンドルアーム70に掛かる荷重Fの減少率が増加し、荷重Fが徐々に低減される。
用紙Pがクリンチャユニット2Aとマガジン50の間に挟持された状態から上ハンドルカバー71が更に押されると、ハンドルアーム70の回転動作による軸70cの変位によりドライバアーム61が押圧され、マガジン50の回転が規制された状態で、ドライバアーム61が軸54fを支点に回転する。
ステープル10L(10R)を打ち出す動作の詳細については後述するが、マガジン50の回転が規制された状態で、ドライバアーム61が軸54fを支点に回転することで、ステープル10Lがドライバ60に押圧されて1本に分離し、1本に分離されたステープル10Lが打ち出されて、用紙Pを貫通する。
用紙Pがクリンチャユニット2Aとマガジン50の間に挟持された状態から上ハンドルカバー71が更に押されることで、ステープル10Lが用紙Pを貫通する位置までハンドルアーム70が回転すると、ハンドルアーム70の軸穴部70bが、図40に示すように第3の区間70b(3)で軸70aと接触する。
ハンドルアーム70では、軸穴部70bの第2の区間70b(2)が軸70aにガイドされることで、軸穴部70bと軸70aとの接触する部位が、第2の区間70b(2)から第3の区間70b(3)に移動すると、支点軸Oが軸54fと軸70cとの中間点より軸70c側に移動する。
ハンドルアーム70の支点軸Oが、軸54fと軸70cとの中間点より軸70c側に移動すると、図34に示す力点E1から支点軸Oまでの長さL1と、作用点E2となる軸70cから支点軸Oまでの長さL2が更に減少し、上述した(1)式から、ハンドルアーム70に掛かる荷重Fの減少率が更に増加して、荷重Fが所望の値にまで低減される。
ステープル10Lが用紙Pを貫通した状態から上ハンドルカバー71が更に押されると、ハンドルアーム70の回転動作による軸70cの変位によりドライバアーム61が押圧され、マガジン50の回転が規制された状態で、ドライバアーム61が軸54fを支点に更に回転する。
ステープル10L(10R)の針足10Lb(10Sb)を折り曲げる動作の詳細については後述するが、ドライバアーム61が更に回転することで、針足10Lb(10Sb)の先端が用紙Pの裏面から突出した所定のタイミングで、スライダ3の動作でクラッチ切れと称す状態なって、針足10Lb(10Sb)の折り曲げが開始される。
ステープル10Lが用紙Pを貫通した状態から上ハンドルカバー71が更に押されると、クラッチ切れの状態では、図41に示すように、ハンドルアーム70は、軸穴部70bの第3の区間70b(3)が軸70aにガイドされることで、軸54fと軸70cとの中間点より軸70c側に形成される支点軸Oを支点に回転する。
ハンドルアーム70では、軸穴部70bの第3の区間70b(3)は、円弧の中心を支点軸Oと一致させることで、第3の区間70b(3)が軸70aにガイドされると、支点軸Oは移動しない。
これにより、図34に示す力点E1から支点軸Oまでの長さL1と、作用点E2となる軸70cから支点軸Oまでの長さL2が変化せず、上述した(1)式から、ハンドルアーム70に掛かる荷重Fの減少率が一定となり、所望の値にまで低減された荷重Fが保持される。
図42〜図44は、荷重の減少率の一例を示す動作説明図、図45は、荷重の減少率の変化の一例を示すグラフである。
ステープラ1Aでは、ステープル10L(10S)で用紙Pを綴じる工程で、ハンドルアーム70を介して上ハンドルカバー71に掛かる荷重を低減するため、上述した倍力機構を備えている。さて、ステープラ1Aでは、ステープル10L(10S)で用紙Pを貫通させる工程で、ハンドルアーム70に掛かる荷重Fが最も重くなる。一方、ステープル10L(10S)をせん断する工程でも、荷重Fが増加する。
例えば、ステープル10L(10S)で用紙Pを貫通させる工程に合わせて、荷重Fの減少率を設定した場合、ステープル10L(10S)をせん断する工程での荷重Fの減少率も同じ値とすると、ハンドルアーム70の操作量が大きくなり、ステープラ1Aを大型にする必要が生じる。
これに対して、ステープル10L(10S)で用紙Pを貫通させる工程に合わせて、待機状態から一定の比率で徐々に荷重Fの減少率を上昇させると、ステープル10L(10S)をせん断する工程での荷重Fが重くなり、操作感が悪く感じられる場合がある。
そこで、溝穴部70bの形状によって、ハンドルアーム11の回転動作に伴い荷重Fの減少率を変化させ、待機状態からステープル10L(10S)をせん断するより前の工程と、ステープル10L(10S)をせん断する工程と、ステープル10L(10S)で用紙Pを貫通させる工程のそれぞれに合わせて、荷重Fの減少率が設定される。
本例では、待機状態からステープル10L(10S)をせん断するより前の第1の工程N1での最大荷重Fmax1に合わせて、荷重Fの第1の減少率D1が設定される。また、ステープル10L(10S)をせん断する第2の工程N2での最大荷重Fmax2に合わせて、荷重Fの第2の減少率D2が設定される。更に、ステープル10L(10S)で用紙Pを貫通させる第3の工程N3での最大荷重Fmax3に合わせて、荷重Fの第3の減少率D3が設定される。
以下に、荷重Fの減少率の実施例について説明する。上述したように、ドライバアーム61に力が掛かる力点E3となる軸70cから、ドライバアーム61の回転支点となる軸54fまでの長さL3と、作用点E4となるドライバ60から軸54fまでの長さL4は一定であり、本例では、図42〜図44に示す値とする。
これに対して、ハンドルアーム70に力が掛かる力点E1から、ハンドルアーム70の回転支点となる支点軸Oまでの長さL1と、ドライバアーム61に力を掛ける作用点E2となる軸70cから支点軸Oまでの長さL2は、ステープル10L(10R)で用紙Pを綴じる動作で変化する。
用紙Pを綴じる動作を開始する前の待機状態では、ハンドルアーム70は、上述したように、軸穴部70bが第1の区間70b(1)で軸70aと接触しており、図42に示すように、ハンドルアーム70の回転動作の支点となる支点軸Oが、ドライバアーム61の回転支点となる軸54fの近傍に形成される。
待機状態からステープル10L(10S)をせん断するより前の第1の工程N1では、ハンドルアーム70において、軸穴部70bが第1の区間70b(1)で軸70aと接触しており、支点軸Oが図42に示す位置に形成される。
この第1の工程N1での力点E1から支点軸Oまでの長さL1と、作用点E2(軸70c)から支点軸Oまでの長さL2を、図42に示す値とすると、荷重Fの第1の減少率(倍力率)D1は、上述した(1)式から、約16%となる。
用紙Pを綴じる動作を開始した後、用紙Pがクリンチャユニット2Aとマガジン50の間に挟持されるまでは、ハンドルアーム70に掛かる荷重Fは、図示しないリターンスプリングの反力が主であり、第1の工程での最大荷重Fmax1は小さいので、荷重の減少率を小さくしている。
用紙Pを綴じる動作を開始した後、次に、ステープル10L(10S)をせん断する第2の工程N2に合わせて、荷重Fの第2の減少率D2が設定されている。ステープル10L(10S)をせん断する第2の工程N2では、ハンドルアーム70は、軸穴部70bが第2の区間70b(2)で軸70aと接触している。
ハンドルアーム70は、軸穴部70bが第2の区間70b(2)で軸70aと接触している状態では、図43に示すように、ハンドルアーム70の回転動作の支点となる支点軸Oが、ドライバアーム61の回転支点となる軸54fと、ハンドルアーム70とドライバアーム61との連結部である軸70cとの中間点に形成される。
ステープル10L(10S)をせん断する第2の工程N2では、ハンドルアーム70において、軸穴部70bが第2の区間70b(2)で軸70aと接触しており、支点軸Oが図43に示す位置に形成される。
この第2の工程N2での力点E1から支点軸Oまでの長さL1と、作用点E2(軸70c)から支点軸Oまでの長さL2を、図43に示す値とすると、荷重Fの第2の減少率(倍力率)D2は、上述した(1)式から、約50%となる。
第2の工程N2では、ステープル10L(10S)をせん断するタイミングT1で、最大荷重Fmax2が発生する。そこで、最大荷重Fmax2に合わせて、荷重Fの第2の減少率D2が、約50%に設定される。
これにより、ハンドルアーム70の操作量の増加を抑えつつ、ステープル10L(10S)をせん断する工程での荷重Fを低減して、操作感が悪く感じられることを防ぐ。また、第2の工程N2では、ステープル10L(10S)が用紙Pへの貫通を開始するタイミングT2で、荷重Fが大きくなり始める。そこで、軸穴部70bの第2の区間70b(2)の形状によって、荷重Fの第2の減少率D2が徐々に大きくなるようにして、荷重Fの急激な上昇を防ぐ。
ステープル10L(10S)をせん断した後、次に、ステープル10L(10S)で用紙Pを貫通させる第3の工程N3に合わせて、荷重Fの第3の減少率D3が設定される。ステープル10L(10S)で用紙Pを貫通させる第3の工程N3では、ハンドルアーム70は、軸穴部70bが第3の区間70b(3)で軸70aと接触している。
ハンドルアーム70は、軸穴部70bが第3の区間70b(3)で軸70aと接触している状態では、図44に示すように、ハンドルアーム70の回転動作の支点となる支点軸Oが、ドライバアーム61の回転支点となる軸54fと、ハンドルアーム70とドライバアーム61との連結部である軸70cとの中間点より軸70c側で、第3の区間70b(3)の円弧の中心に形成される。
ステープル10L(10S)で用紙Pを貫通させる第3の工程N3では、ハンドルアーム70において、軸穴部70bが第3の区間70b(3)で軸70aと接触しており、支点軸Oが図44に示す位置に形成される。
この第3の工程での力点E1から支点軸Oまでの長さL1と、作用点E2(軸70c)から支点軸Oまでの長さL2を、図44に示す値とすると、荷重Fの第3の減少率(倍力率)D3は、上述した(1)式から、約75%となり、その後、荷重の減少率は一定である。
第3の工程N3では、ステープル10L(10S)が用紙Pを貫通するタイミングT3と、後述するスライダ3の動作でクラッチが切れるタイミングT4で荷重Fが大きくなり、ステープル10L(10S)が用紙Pを貫通するタイミングT3で、最大荷重Fmax3が発生する。そこで、最大荷重Fmax3に合わせて、荷重Fの第3の減少率D3が、約75%に設定される。
このように、用紙Pをクランプするタイミングでは、操作に要する荷重が少ないので、荷重Fの減少率Dを少なくする。ステープル10L(10R)をせん断するタイミングでは、操作感が悪化しないように荷重Fの減少率Dを大きくする。ステープル10L(10R)が用紙Pを貫通するタイミングでは、操作に要する荷重が大きいので荷重Fの減少率Dを更に大きくする。これにより、操作に要する荷重に応じて、荷重の減少率を変化させることができる。
従って、ハンドルアーム70の操作量を必要以上に増やすことなく、ステープル10L(10S)で用紙Pを貫通させる工程での荷重Fを必要十分に低減することができ、ステープラ1Aの小型化が可能である。ハンドルアーム70の操作量の増加を抑えて倍力機構を実現することで、手で持って使用する形態のステープラでは、手の小さい女性等であっても、装置が手に収まり使い勝手が向上する。また、卓上型のステープラでは、座った状態で自然な姿勢で実打することができる。
なお、本実施の形態では、ハンドルアーム70側で回転動作の支点を移動させる構成としたが、ドライバアーム61を所定の形状のガイド部で支持される構成として、ドライバ60が所定の軌跡を通るようにして、ドライバアーム61側で回転動作の支点を移動させる構成としてもよい。
次に、フロントカバー72の動作について説明する。上ハンドルカバー71が押されると、上ハンドルカバー71とドライバアーム61との隙間が徐々に狭くなる。フロントカバー72は、上ハンドルカバー71及びハンドルアーム70と、ドライバアーム61の変位に伴い、ハンドルアーム70に対して軸部72aを支点に回転する。
一方、ドライバアーム61に対しては、図1に示すように、溝部72bとガイド凸部61dの係合で、ガイド凸部61dを支点に回転及びスライド移動する。上ハンドルカバー71とドライバアーム61との隙間が狭くなる方向に変位すると、ハンドルアーム70側の軸部72aと、ドライバアーム61側のガイド凸部61dとの距離が短くなる。これにより、上ハンドルカバー71とドライバアーム61との隙間の変位にフロントカバー72を追従させることができる。
また、フロントカバー72は、ハンドルアーム70に対しては、軸部72aで係合しており、容易に外れることはない。また、ドライバアーム61に対しては、溝部72bとガイド凸部61dの係合で、上ハンドルカバー71とドライバアーム61との隙間の変位に対しては自由に動くが、容易に外れることはない。これにより、フロントカバー72のみが動かされて、何らかの物体が上ハンドルカバー71とドライバアーム61との隙間に挟まれることが防止される。
図46〜図48は、本実施の形態のステープラにおけるステープルの打ち出し動作の一例を示す動作説明図であり、次に、各図を参照して、ステープル10L及びステープル10Sを打ち出す時のマガジンユニット5及びドライバユニット6の動作について説明する。ここで、図46,図47は、針足の長いステープル10Lを打ち出す動作を示し、図48は、針足の短いステープル10Sを打ち出す動作を示す。
待機状態からハンドルアーム70が押圧される初期段階では、マガジン50と用紙Pが接触せず、ドライバアーム61とマガジンガイド51が軸54fを支点に一体的に回転する。
クリンチャユニット2Aとマガジン50の間に用紙Pが挟持されると、マガジンガイド51の回転は規制され、ハンドルアーム70が更に押圧されることで、ドライバアーム61がマガジンガイド51に対して回転する。
ドライバアーム61がマガジンガイド51に対して回転すると、ドライバ60がドライバアーム61に押圧される。図11(a)に示すような針足10Lbが長いステープル10Lを使用可能とした構成では、ドライバのストロークが長く必要となる。このため、ドライバがドライバアームに固定された構成では、ドライバアーム61の回転に伴い、マガジン50のマガジン前壁50aに対するドライバの角度の変化が大きくなる。
これに対し、ドライバ60は、ドライバアーム61の回転に伴い、ドライバアーム61の押圧面61aと、ドライバ60のドライバ押圧部60cが接する位置が変位し、ステープル10Lあるいはステープル10Sを押圧するドライバ60の角度が、マガジン50のマガジン前壁50aに沿うように、所定の角度で保たれる。
まず、図46及び図47に示す針足10Lbの長いステープル10Lを打ち出す動作について説明する。マガジン50に装填されたステープル10Lがドライバ60で押圧されると、ステープル10Lの先頭の1本は、図25に示すせん断ガイド部52aにより形成される隙間上に位置し、2本目以降はステープルガイド52の上面に支持された状態であるので、1本目のステープル10Lにせん断力が加わり分離する。
ドライバ60で押圧される1本に分離されたステープル10Lは、マガジン前壁50aとせん断ガイド部52aとの隙間から、マガジン前壁50aと押圧ガイド部52bとの隙間に入る。
マガジン50は、上述したように、ステープルガイド52がコイルスプリング50d及びマガジンロックバネ54cによって前方に押圧されており、ステープル10Lを打ち出している行程以外では、ステープルガイド52の第1の幅ガイド部52cがマガジン前壁50aに接している。
押圧ガイド部52bは、第1の幅ガイド部52cがマガジン前壁50aに接している状態で、マガジン前壁50aとの間隔t2が、1本のステープル10Lの針線幅より若干狭く構成される。
これにより、ドライバ60で押圧される1本に分離されたステープル10Lは、針クラウン10Laの左右両端側で押圧ガイド部52bを押し、コイルスプリング50dを引っ張る方向に弾性変形させると共に、マガジンロックバネ54cを圧縮する方向に弾性変形させて、ステープルガイド52を矢印R方向に後退させる。
ステープルガイド52を後退させることで、押圧ガイド部52bとマガジン前壁50aの間に入るステープル10Lは、コイルスプリング50d及びマガジンロックバネ54cにより、針クラウン10Laの両端側が押圧ガイド部52bでマガジン前壁50aに押圧される。
ドライバによる押圧で1本のステープルを分離して打ち出すためには、ステープルガイドの先端とマガジン前壁との間に、1本のステープルの針線幅より広い隙間を設ける必要がある。ステープルガイドの先端とマガジン前壁との隙間が、ステープルの針線幅より広い区間では、ステープルの針クラウンが前後に動ける。
このため、ステープルの針足の先端が用紙に着地して貫通を始める前に、ステープルの姿勢が変化する可能性があった。また、針足が長いステープルでは、ステープルの針足の先端が用紙に着地して貫通を始めた後でも、ステープルガイドの先端とマガジン前壁との隙間が、ステープルの針線幅より広い区間に針クラウンが存在して、針足の貫通中に、ステープルの姿勢が変化する可能性があった。
本実施の形態では、ステープルガイド52の先端にせん断ガイド部52aと押圧ガイド部52bを備えることで、せん断ガイド部52aでステープル10Lを1本に分離し、1本に分離されたステープル10Lの針クラウン10Laを、押圧ガイド部52bでガイドすることができる。
押圧ガイド部52bとマガジン前壁50aとの間を通るステープル10Lは、針クラウン10Laの両端側が押圧ガイド部52bでマガジン前壁50aに押圧されるので、ステープル10Lの針クラウン10Laが前後に動ける隙間は生じない。
また、上述したように、針足10Lbが長いステープル10Lが使用される場合に、針足10Lbの先端が用紙に到達する前に、針クラウン10Laが押圧ガイド部52bでガイドされるように、せん断ガイド部52aの形状が設定される。
これにより、ステープル10Lの針足10Lbの先端が用紙Pに着地して貫通を始める前に、ステープル10Lの姿勢が変化することを防止できる。また、針足10Lbが長いステープル10Lでも、ステープル10Lの針足10Lbの先端が用紙Pに着地して貫通を始める前に、針クラウン10Laがせん断ガイド部52aを抜けて、押圧ガイド部52bでガイドされるので、針足10Lbの貫通中に、ステープル10Lの姿勢が変化することを防止できる。
針クラウン10Laが押圧ガイド部52bでガイドされる区間にあるステープル10Lは、2本の針足10Lbの間隔が、第1の幅ガイド部52cでガイドされることで、左右方向のガイドを第1の幅ガイド部52cで行うことができる。
ドライバ60で押圧されるステープル10Lは、針クラウン10Laが押圧ガイド部52bを通過すると、ステープルガイド52を更に後退させて、第1の幅ガイド部52cとマガジン前壁50aの間に形成される隙間に入る。針クラウン10Laが第1の幅ガイド部52cとマガジン前壁50aとの間でガイドされる区間にあるステープル10Lは、針足10Lbが用紙Pを貫通するので、第1の幅ガイド部52cでの幅方向のガイドが無くても、ステープルの姿勢が変化することを防止できる。
ステープルホルダ53の動作の詳細については後述するが、針クラウン10Laが押圧ガイド部52bでガイドされる区間にあるステープル10L、及び、針クラウン10Laが第1の幅ガイド部52cとマガジン前壁50aとの間でガイドされる区間にあるステープル10Lは、ステープルホルダ53の針クラウンガイド部53aで、突き出し部53dにより針クラウン10Laが押し上げられる方向に力が加えられる。これにより、ドライバ60の押圧によって、針クラウン10Laの中央付近が下方に向けて撓むような変形を防止することができる。
次に、図48に示す針足10Sbの短いステープル10Sを打ち出す動作について説明する。針足10Sbの短いステープル10Sがマガジン50に装填されると、針足10Sbの先端の内側が第2の幅ガイド部52dに接し、ステープル10Sの針足10Sbが幅方向にガイドされる。
マガジン50に装填されたステープル10Sがドライバ60で押圧されると、針足の長いステープル10Lと同様に、ステープル10Sの先頭の1本は、図25に示すせん断ガイド部52aにより形成される隙間上に位置し、2本目以降はステープルガイド52の上面に支持された状態であるので、1本目のステープル10Sにせん断力が加わり分離する。
ドライバ60で押圧される1本に分離されたステープル10Sは、針クラウン10Saの左右両端側で押圧ガイド部52bを押し、コイルスプリング50dを引っ張る方向に弾性変形させると共に、マガジンロックバネ54cを圧縮する方向に弾性変形させて、ステープルガイド52を矢印R方向に後退させる。
これにより、ドライバ60で押圧される1本に分離されたステープル10Sは、ステープルガイド52を後退させることで、マガジン前壁50aとせん断ガイド部52aとの隙間から、マガジン前壁50aと押圧ガイド部52bとの隙間に入る。
ステープルガイド52を後退させることで、押圧ガイド部52bとマガジン前壁50aの間に入るステープル10Sは、付勢手段であるコイルスプリング50d及びマガジンロックバネ54cにより、針クラウン10Saの両端側が押圧ガイド部52bでマガジン前壁50aに押圧される。
これにより、針足10Sbの短いステープル10Sであっても、針クラウン10Saが押圧ガイド部52bとマガジン前壁50aとの間を通り押圧ガイド部52bでガイドされる区間にある1本に分離されたステープル10Sは、針クラウン10Saが前後に動くことが防止される。
さて、マガジンユニット5では、図47及び図48に示すように、マガジン50にステープル10Lあるいはステープル10Sが装填されると、ステープルガイド52にステープル10Lの針クラウン10Laあるいはステープル10Sの針クラウン10Saが載る形態となる。
マガジン50は、図47に示すように、針足10Lbの長いステープル10Lが装填可能となるように高さ方向の寸法が設定されており、図48に示すように、針足10Sbの短いステープル10Sが装填された場合には、針足10Sbの下端と、マガジン50の開口部50bまでの距離が長くなる。
このため、マガジン50に装填された針足10Sbの短いステープル10Sが1本に分離されて打ち出されると、1本に分離された先行するステープル10Sの針足10Sbの先端が用紙Pに着地する前に、先行するステープル10Sの針クラウン10Saが、後続するステープル10Sの針足10Sbの先端から抜ける。
マガジン50に装填されたステープル10L及びステープル10Sは、プッシャ55によりマガジン前壁50aに押圧される。図47(a)に示すように、針足10Lbの長いステープル10Lでは、1本に分離された先行するステープル10Lの針足10Lbの先端が用紙Pに着地して、用紙Pに貫通を開始した段階で、先行するステープル10Lの針クラウン10Laが、後続するステープル10Lの針足10Lbの先端から抜けない。
これにより、針足10Lbの長いステープル10Lでは、1本に分離された先行するステープル10Lの針足10Lbが用紙Pに貫通を開始した段階で、1本に分離された先行するステープル10Lは、プッシャ55に押圧された後続のステープル10L、あるいは、プッシャ55によりマガジン前壁50aに押圧される。従って、針足10Lbの長いステープル10Lでは、針足10Lbの貫通開始前に、ステープル10Lの姿勢が変化することを防止できる。
一方、図48に示すように、針足10Sbの短いステープル10Sでは、1本に分離された先行するステープル10Sの針足10Sbの先端が用紙Pに着地する前に、1本に分離された先行するステープル10Sの針クラウン10Saが、後続するステープル10Sの針足10Sbの先端から抜ける。
1本に分離された先行するステープル10Sの針クラウン10Saが、後続するステープル10Sの針足10Sbの先端から抜けると、後続するステープル10Sがマガジン前壁50aまで前進し、先行のステープル10Sにはプッシャ55による押圧力が掛からない。
このため、針足10Sbの短いステープル10Sでは、1本に分離された先行するステープル10Sの針足10Sbの先端が用紙Pに着地する前に、先行のステープル10Sにはプッシャ55による押圧力が掛からなくなる。
これにより、針足10Sbの短いステープル10Sがマガジン50に装填された場合、1本に分離されたステープル10Sの打ち出しに伴って、用紙に着地する前の針足10Sbの先端が後側に流れる可能性がある。
針足10Sbの短いステープル10Sでは、1本に分離された先行するステープル10Sの針クラウン10Saが、後続するステープル10Sの針足10Sbの先端から抜ける段階で、先行するステープル10Sの針足10Sbの先端が、第1の幅ガイド部52cと接する位置に到達する。
上述したように、左右一対の第1の幅ガイド部52cの外寸が、ステープル10Sの針クラウン10Saの外寸と略同じ幅あるいは若干広い幅で構成されるので、1本に分離されたステープル10Sで、用紙に着地する前の針足10Sbの先端が後側に流れると、針足10Sbは針足ガイド部52eに当たる。
1本に分離されたステープル10Sの針クラウン10Saが、押圧ガイド部52bとマガジン前壁50aとの間に入ることで、ステープルガイド52が後退しているが、この1本に分離されたステープル10Sの針足10Sbと、針足ガイド部52eが接するように、針足ガイド部52eの形状が設定されている。
針足ガイド部52eは、左右一対の第1の幅ガイド部52cの外寸が、前端側に向かって徐々に狭くなる方向に傾斜しており、針足ガイド部52eに接する針足10Sbは、ステープル10Sの打ち出しに伴って、第1の幅ガイド部52cの前端側に移動する力が掛かり、マガジン前壁50a方向に誘導される。
これにより、針足10Sbの短いステープル10Sで、1本に分離された先行するステープル10Sの針足10Sbの先端が用紙Pに着地する前に、先行のステープル10Sにプッシャ55による押圧力が掛からなくなっても、針足10Sbの貫通開始前に、ステープル10Sの姿勢が変化することを防止できる。従って、用紙Pを貫通したステープル10Sの針足10Sbがクリンチャユニット2Aのクリンチャ20L,20Rから外れることを防ぐことができ、綴じ不良発生を抑えることができる。
図49は、本実施の形態の針足ガイド部の変形例を示すステープルガイドの斜視図であり、次に、針足ガイド部の変形例について説明する。ここで、針足ガイド部以外のステープルガイド52の構成は、図24で説明した実施の形態と同様で良く、本例では同じ符号を付して説明する。
変形例の針足ガイド部52fは針足ガイド手段の一例で、1本に分離された主に針足の短いステープル10Sの針足10Sbを、ドライバユニット6によるステープル10Sの打ち出しに伴って、図25等に示すマガジン前壁50a方向にガイドする。
針足ガイド部52fは、本例ではステープルガイド52の第1の幅ガイド部52cに設けられる。針足ガイド部52fは、ステープルガイド52の左右に突出した第1の幅ガイド部52cと、ステープルガイド52との間に形成される斜面を、前端側に向かって下降する方向に傾斜した傾斜面として構成される。
針足ガイド部52fにステープル10Sの針足10Sbが接すると、ステープル10Sの打ち出しに伴って、針足ガイド部52fの傾斜により針足10Sbには第1の幅ガイド部52cの前端側に移動する力が掛かり、針足10Sbがマガジン前壁50a方向に誘導される。
これにより、針足の短いステープル10Sがマガジン50に装填された場合、用紙に着地する前の針足10Sbの先端が後側に流れても、ステープル10Sの打ち出しに伴って、針足ガイド部52fの傾斜面により針足10Sbがマガジン前壁50a方向に誘導される。従って、針足10Sbの貫通開始前に、ステープル10Sの姿勢が変化することを防止できる。
図50は、本実施の形態の針足ガイド部の他の変形例を示すステープルガイドの斜視図である。
他の変形例の針足ガイド部52gは針足ガイド手段の一例で、1本に分離された主に針足の短いステープル10Sの針足10Sbを、ドライバユニット6によるステープル10Sの打ち出しに伴って、図25等に示すマガジン前壁50a方向にガイドする。
針足ガイド部52gは、本例ではステープルガイド52の第1の幅ガイド部52cに設けられる。針足ガイド部52gは、ステープルガイド52の左右に突出した第1の幅ガイド部52cと、ステープルガイド52との間に形成される斜面に、後端側より前端側が下がる段差を設け、段差部分に、前端側に向かって下降する方向に傾斜した傾斜面を設けて構成される。
針足ガイド部52gにステープル10Sの針足10Sbが接すると、ステープル10Sの打ち出しに伴って、針足ガイド部52gの傾斜により針足10Sbには第1の幅ガイド部52cの前端側に移動する力が掛かり、針足10Sbがマガジン前壁50a方向に誘導される。
これにより、針足の短いステープル10Sがマガジン50に装填された場合、用紙に着地する前の針足10Sbの先端が後側に流れても、ステープル10Sの打ち出しに伴って、針足ガイド部52gの傾斜面により針足10Sbがマガジン前壁50a方向に誘導される。従って、針足10Sbの貫通開始前に、ステープル10Sの姿勢が変化することを防止できる。
図51は、本実施の形態の針足ガイド部の他の変形例を示すマガジンの破断斜視図である。
他の変形例の針足ガイド部52hは針足ガイド手段の一例で、1本に分離された主に針足の短いステープル10Sの針足10Sbを、ドライバユニット6によるステープル10Sの打ち出しに伴って、図25等に示すマガジン前壁50a方向にガイドする。
針足ガイド部52hは、本例ではマガジン50に設けられる。マガジン50は、開口部50bに面した左右のマガジン側壁50cの内面に、ステープル10Sの針足10Sbあるいはステープル10Lの針足10Lbの外側に接する突出高さで凸部52iが設けられる。
マガジン50は、マガジン側壁50cから内側に突出した凸部52iと、マガジン側壁50cとの間に、マガジン前壁50aに向かって下降する方向に傾斜した傾斜面を設けて針足ガイド部52hが形成される。また、マガジン50は、針足ガイド部52hの下端と、マガジン前壁50aとの間のマガジン側壁50cで、ガイド溝部52jが形成される。ガイド溝部52jは、ステープル10Sの針足10Sb及びステープル10Lの針足10Lbの針線幅と略同等に構成される。
針足ガイド部52hにステープル10Sの針足10Sbが接すると、ステープル10Sの打ち出しに伴って、針足ガイド部52hの傾斜により針足10Sbにはマガジン前壁50a方向に移動する力が掛かり、針足10Sbがマガジン前壁50a方向に誘導されてガイド溝部52jに入る。
これにより、針足の短いステープル10Sがマガジン50に装填された場合、用紙に着地する前の針足10Sbの先端が後側に流れても、ステープル10Sの打ち出しに伴って、針足ガイド部52hの傾斜面により針足10Sbがマガジン前壁50a方向に誘導される。従って、針足10Sbの貫通開始前に、ステープル10Sの姿勢が変化することを防止できる。
図52〜図55は、本実施の形態のステープラにおけるステープルホルダの動作の一例を示す動作説明図、図56〜図58は、従来のステープラにおけるステープルホルダの動作の一例を示す動作説明図である。次に、各図を参照して、突き出し部53dを有した本実施の形態のステープルホルダ53と、突き出し部が設けられていない従来のステープルホルダ53Zの動作について説明する。
ここで、図52は、ステープルを打ち出す過程における上面図、図53は、待機状態における側断面図、図54は、ステープルが貫通中の状態における側断面図、図55は、ステープルが貫通終了直前の状態における側断面図である。
また、図56は、ステープルを打ち出す過程における上面図、図57は、針クラウンの端部における針クラウンとステープルホルダの状態を示す図56のB−B線断面図、図58は、針クラウンの中央部における針クラウンとステープルホルダの状態を示す図56のC−C線断面図である。
上述したように、マガジン50は、マガジン側壁50cを構成する側板の先端側を内側に折り曲げてマガジン前壁50aが構成されることで、図52及び図56に示すように、左右一対のマガジン前壁50aの溝部50aw側が前方に突出するような開いた形態となる場合がある。
ステープル10S(10L)は、図33に示すように、一対の針足10Sb(10Lb)のそれぞれ略直上の部位がドライバ60の押圧部60dで押圧される。本例では、ステープル10S(10L)とドライバ60が接する部位が斜面で構成され、一対の針足10Sb(10Lb)に用紙Pを貫通させる方向の力が加えられる。一方、針クラウン10Sa(10La)を長手方向の両端側から内側に押す方向の力も加わる。
これにより、マガジン前壁50aの溝部50awが開いた形態であると、針クラウン10Saが長手方向の両端側から内側に押されることによって、ステープル10Sを打ち出す過程で、図52及び図56に示すように、針クラウン10Saは長手方向の中央部が前方に突出する方向に湾曲した形状となる場合がある。図52及び図56では図示しないが、針足の長いステープル10Lでも同様である。
まず、ステープルホルダ53Zに突き出し部が設けられていない従来の構成での動作について説明する。1本に分離されたステープル10Sを押圧して、針足10Sbを用紙Pに貫通させる過程で、針クラウン10Saの長手方向の中央部が前方に突出する方向に湾曲していると、図57に示すように、針クラウン10Saの端部側では、針クラウン10Saはステープルホルダ53Zの針クラウンガイド部53Zaと接する。
しかし、図58に示すように、針クラウン10Saの中央部付近では、針クラウン10Saはステープルホルダ53Zの針クラウンガイド部53Zaと接しない。これにより、ステープル10Sを打ち出す過程で、針クラウン10Saの長手方向における中央部付近を支えることができず、針クラウン10Saの変形を抑えることができず、座屈が発生する可能性があった。
次に、ステープルホルダ53に突き出し部53dが設けられた本実施の形態の構成での動作について説明する。図53に示す待機状態では、ステープル10Sの先頭の1本は分離しておらず、ステープル10Sの針クラウン10Saはステープルホルダ53の突き出し部53dに到達していない。
上述したように、ドライバ60の押圧部60dに押圧されて、ステープル10Sが1本に分離されて打ち出されると、図54に示すように、ステープル10Sの針足10Sbが用紙Pへの貫通を開始し、針クラウン10Saがステープルホルダ53の突き出し部53dに到達する。
ステープル10Sがドライバ60で更に押圧されると、1本に分離されたステープル10Sの打ち出しに伴って、ステープル10Sの針クラウン10Saにより突き出し部53dが押圧される。ステープルホルダ53では、突き出し部53dが押圧されると、主にバネ部53cの弾性変形によって、針クラウンガイド部53aが後退する方向に変位し、針クラウンガイド部53aの変位によって突き出し部53dが後退する。
1本に分離されたステープル10Sの打ち出しに伴って、ステープル10Sとステープルホルダ53は、針クラウン10Saの長手方向の中央部が突き出し部53dと接する。
これにより、1本に分離されたステープル10Sをドライバ60で押圧して、針足10Sbを用紙Pに貫通させる過程で、ステープル10Sの針クラウン10Saの長手方向における中央部付近が、バネ部53cが復元しようとする力で押し上げられる方向に変位しようとする突き出し部53dにより下側から支えられる。
上述したように、ステープル10Sを打ち出す過程で、針クラウン10Saが長手方向の両端側から内側に押される方向の力が加わることにより、針クラウン10Saには長手方向の中央部が下方に湾曲しようとする力が掛かる。これに対して、ステープル10Sの針クラウン10Saの長手方向における中央部付近が突き出し部53dにより下側から支えられることで、針クラウン10Saの変形が抑えられる。従って、針クラウン10Saの中央部付近が下方に湾曲する所謂M字座屈の発生を抑えることができる。
そして、1本に分離されたステープル10Sの打ち出しに伴って、突き出し部53dとマガジン前壁50aとの間に、1本に分離されたステープル10Sの針クラウン10Saが通る隙間が形成され、針足の短いステープル10Sでは、図55に示すように、ステープル10Sの針足10Sbの先端が用紙Pを貫通するタイミングで、針クラウン10Saが突き出し部53dの先端から外れる。なお、以上の説明では針足の短いステープル10Sを例にしたが、針足の長いステープル10Lでも同様の効果を得ることができる。
図59は、従来の弾性爪片を有したステープルホルダの一例を示す斜視図で、次に、突き出し部53dに連結部53eが設けられた本実施の形態のステープルホルダ53と、連結部が設けられていない従来の弾性爪片53Ydを有したステープルホルダ53Yの動作について説明する。
図59に示す従来のステープルホルダ53Yは、針クラウンガイド部53Yaから前方に突出した弾性爪片53Ydが設けられているが、弾性爪片53Ydの側面と針クラウンガイド部53Yaとの間には隙間が形成され、連結部に相当する構成は設けられていない。
図60は、本実施の形態のステープルホルダと従来のステープルホルダに掛かる応力を示すグラフである。図59に示すような従来のステープルホルダ53Yでは、ステープル(10L,10S)の打ち出しに伴って、弾性爪片53Ydが押圧されると、針クラウンガイド部53Ya全体を変位させるバネ部53Ycに掛かる応力FY1より、弾性爪片53Ydの基端部53Yfに掛かる応力FY2の方が高くなる。
ステープラでは、ステープルを打ち出すことでステープルホルダに応力が繰り返し掛かるが、従来のステープルホルダ53Yでは、針クラウンガイド部53Yaよりも、弾性爪片53Ydが繰り返し変位することになり、弾性爪片53Ydの耐久性が劣る。
これに対して、本実施の形態のステープルホルダ53では、突き出し部53dに掛かる荷重が連結部53eにより針クラウンガイド部53aに伝達され、主にバネ部53cの弾性変形による針クラウンガイド部53aの変位によって突き出し部53dが後退する。
これにより、本実施の形態のステープルホルダ53では、図60に示すように、針クラウンガイド部53a全体を変位させるバネ部53cに掛かる応力F1より、突き出し部53dの基端部53fに掛かる応力F2の方が低くなる。
従って、連結部53eが設けられた本実施の形態のステープルホルダ53では、突き出し部53dよりも、針クラウンガイド部53aが繰り返し変位することになり、突き出し部53dの弾性変形による変位が抑えられ、突き出し部53dに掛かる負荷が軽減されるので、耐久性が向上する。
図61は、本実施の形態のステープルホルダの変形例を示す斜視図、図62は、本実施の形態のステープルホルダの変形例を示す断面図である。ここで、変形例のステープルホルダ53Xにおいて、図26等で説明したステープルホルダ53と同様の構成については同じ符号を付して説明する。
変形例のステープルホルダ53Xは、弾性を有する材質、本例では、弾性を有した金属板材で構成され、図11等で説明したステープル10Lまたはステープル10Sの打ち出しに伴って、ステープル10Lの針クラウン10Laの長手方向における中央部付近、または、ステープル10Sの針クラウン10Saの長手方向における中央部付近を、下側から支える突き出し部53Xdを備える。
突き出し部53Xdは、ステープル10L及びステープル10Sの打ち出し方向に沿った針クラウンガイド部53aの中央部付近から、針クラウンガイド部53aの下端側に向けて前方に突出する。
変形例の突き出し部53Xdは、針クラウンガイド部53aの幅方向における中央部付近に、断面形状が四角形状の凸部を設けることで構成される。突き出し部53Xdは、図62(a)に示すように、プレス加工等により表裏を凹凸形状として構成しても良いし、図62(b)に示すように、中実状の凸部として構成しても良い。
ステープルホルダ53Xは、突き出し部53Xdに掛かる荷重を針クラウンガイド部53aに伝達する連結部53Xeを備える。連結部53Xeは、突き出し部53Xdの側面を針クラウンガイド部53aと一体とすることで構成される。
これにより、ステープルホルダ53Xでは、突き出し部53Xdに掛かる荷重が連結部53Xeにより針クラウンガイド部53aに伝達され、主にバネ部53cの弾性変形による針クラウンガイド部53aの変位によって突き出し部53Xdが後退する。
従って、変形例のステープルホルダ53Xでも、ステープルの打ち出しに伴ってバネ部53cの弾性変形で針クラウンガイド部53aが繰り返し変位することになり、耐久性が向上する。
図63は、本実施の形態のステープルホルダの他の変形例を示す斜視図である。ここで、変形例のステープルホルダ53Wにおいて、図26等で説明したステープルホルダ53と同様の構成については同じ符号を付して説明する。
変形例のステープルホルダ53Wは、弾性を有する材質、本例では、弾性を有した金属板材で構成され、図11等で説明したステープル10Lまたはステープル10Sの打ち出しに伴って、ステープル10Lの針クラウン10Laの長手方向における中央部付近、または、ステープル10Sの針クラウン10Saの長手方向における中央部付近を、下側から支える突き出し部53Wdを備える。
突き出し部53Wdは、ステープル10L及びステープル10Sの打ち出し方向に沿った針クラウンガイド部53aの中央部付近から、針クラウンガイド部53aの下端側に向けて前方に突出する。
変形例の突き出し部53Wdは、針クラウンガイド部53aの幅方向における中央部付近に、断面形状が三角形状の凸部を設けることで構成される。突き出し部53Wdは、プレス加工等により表裏を凹凸形状として構成しても良いし、中実状の凸部として構成しても良い。
ステープルホルダ53Wは、突き出し部53Wdに掛かる荷重を針クラウンガイド部53aに伝達する連結部53Weを備える。連結部53Weは、突き出し部53Wdの側面を針クラウンガイド部53aと一体とすることで構成される。
これにより、ステープルホルダ53Wでは、突き出し部53Wdに掛かる荷重が連結部53Weにより針クラウンガイド部53aに伝達され、主にバネ部53cの弾性変形による針クラウンガイド部53aの変位によって突き出し部53Wdが後退する。
従って、変形例のステープルホルダ53Wでも、ステープルの打ち出しに伴ってバネ部53cの弾性変形で針クラウンガイド部53aが繰り返し変位することになり、耐久性が向上する。
図64は、本実施の形態のステープルホルダの他の変形例を示す斜視図である。ここで、変形例のステープルホルダ53Vにおいて、図26等で説明したステープルホルダ53と同様の構成については同じ符号を付して説明する。
変形例のステープルホルダ53Vは、弾性を有する材質、本例では、弾性を有した金属板材で構成され、図11等で説明したステープル10Lまたはステープル10Sの打ち出しに伴って、ステープル10Lの針クラウン10Laの長手方向における中央部付近、または、ステープル10Sの針クラウン10Saの長手方向における中央部付近を、下側から支える突き出し部53Vdを備える。
突き出し部53Vdは、ステープル10L及びステープル10Sの打ち出し方向に沿った針クラウンガイド部53aの中央部付近から、針クラウンガイド部53aの下端側に向けて前方に突出する。
変形例の突き出し部53Vdは、針クラウンガイド部53aの幅方向における中央部付近に、ステープル10L及びステープル10Sの打ち出し方向に沿った上下方向に延在する折り曲げ部を有した三角形状の折り曲げ片を設けることで構成される。
ステープルホルダ53Vは、突き出し部53Vdに掛かる荷重を針クラウンガイド部53aに伝達する連結部53Veを備える。連結部53Veは、突き出し部53Vdの針クラウンガイド部53aに対する折り曲げ部で構成される。
これにより、ステープルホルダ53Vでは、突き出し部53Vdに掛かる荷重が連結部53Veにより針クラウンガイド部53aに伝達され、主にバネ部53cの弾性変形による針クラウンガイド部53aの変位によって突き出し部53Vdが後退する。
従って、変形例のステープルホルダ53Vでも、ステープルの打ち出しに伴ってバネ部53cの弾性変形で針クラウンガイド部53aが繰り返し変位することになり、耐久性が向上する。
図65は、スライダの動作の一例を示す要部側面図であり、次に、各図を参照して、上ハンドルユニット11bにおけるリンク58の動きをスライダ3に伝達する動作について説明する。
待機状態では、図65(a)に示すように、スライダ3はクリンチャロック位置に前進しており、クリンチャユニット2Aを構成するクリンチャホルダ21の後側ホルダ21bが係止部30に載る。これにより、クリンチャホルダ21の下降が規制される。
ドライバアーム61は、図36(a),図37(a)に示すように、待機状態では、リンク58のドライバ押圧部58cとの間に空走空間61cが形成され、ドライバアーム61とリンク58は接触していない。
マガジン50と用紙Pが接触せず、ドライバアーム61とマガジンガイド51が軸54fを支点に一体的に回転している間は、ドライバアーム61とリンク58のドライバ押圧部58cの間の空走空間61cが保持される。一方、ドライバアーム61とマガジンガイド51が軸54fを支点に一体的に回転することで、スライダ3のリンク受け部31に対してリンク58が変位する。
スライダ3とリンク58は、待機状態からリンク受け部31とスライダ押圧部58bが接する。そこで、スライダ3とリンク58は、リンク受け部31とスライダ押圧部58bの形状が、軸54fを支点としたマガジンガイド51の回転に伴うリンク58の変位では、スライダ3が移動しないように設定される。
クリンチャユニット2Aとマガジン50の間に用紙Pが挟持され、ドライバアーム61がマガジンガイド51に対して回転すると、上述したように、1本に分離されたステープル10Lあるいはステープル10Sがドライバ60により打ち出され、ステープル10Lの針足10Lbあるいはステープル10Sの針足10Sbが用紙Pを貫通する。
ドライバアーム61がマガジンガイド51に対して回転すると、ドライバアーム61とリンク58との間の空走空間61cが徐々に狭くなる。そして、ステープル10Lの針足10Lbあるいはステープル10Sの針足10Sbの先端が用紙Pの裏面より抜けた後に、図36(b),図37(b)に示すように、ドライバアーム61とリンク58のドライバ押圧部58cが接する。
ドライバアーム61とリンク58のドライバ押圧部58cが接触を開始した段階では、図65(b)に示すように、スライダ3はまた動かず、クリンチャホルダ21の後側ホルダ21bが係止部30に載っており、クリンチャホルダ21の下降が規制される。
ハンドルアーム70が更に押圧されることで、ドライバアーム61がマガジンガイド51に対して更に回転すると、ドライバアーム61の回転動作でリンク58が押圧され、図36(c),図37(c)に示すように、軸58aを支点にリンク58が回転する。
リンク58が回転すると、スライダ押圧部58bによってスライダ3のリンク受け部31が押される。これにより、図65(c)に示すように、スライダ3が後退し、クリンチャホルダ21の後側ホルダ21bから係止部30が外れ、クリンチャホルダ21の下降が可能になる。
フラットクリンチ機構及び倍力機構を備えた従来のステープラでは、リンクの先端がドライバアームに対して軸支される構成で、クリンチャとマガジンとの間に用紙が挟持され、ドライバアームがマガジンに対して回転を開始するタイミングで、リンクも回転動作を開始する。
一方、スライダの作動タイミングは、ステープルが用紙を貫通する際の貫通荷重とスライダを引く荷重とを重ならせないため、ステープルの針足の先端が用紙を貫通した後である必要がある。このため、従来のステープラでは、リンクのスライダ押圧部とスライダの間に空走空間を設けている。しかし、針足が長いステープルを使用する構成では、ドライバアームのストロークが大きくリンクの作動量も大きくする必要があるため、リンクとスライダとの間の空走空間が長くなる。
リンクの作動量を大きくするためには、スライダ押圧部を前方に設ける必要があり、用紙の綴じ位置の奥行き方向への挿入量を多くできない。また、リンクの作動量を大きくするため装置が大型化する。
これに対して、本実施の形態では、リンク58をマガジンガイド51に軸支し、リンク58のドライバ押圧部58cとドライバアーム61との間に空走空間61cを設ける構成とした。また、リンク58を、スライダ押圧部58bがスライダ3のリンク受け部31と接する方向に自重で回転する重量配分として、リンク58のスライダ押圧部58bをスライダ3のリンク受け部31と待機位置から接触させる構成とした。
リンク58とドライバアーム61との間に空走空間61cを設けることで、クリンチャユニット2Aとマガジン50との間に用紙Pが挟持され、ドライバアーム61がマガジンガイド51に対して回転を開始するタイミングでは、リンク58は回転動作を開始しない。そして、ステープル10Lの針足10Lbあるいはステープル10Sの針足10Sbの先端が用紙Pを貫通した後、リンク58が回転動作を開始する構成とすることができる。
これにより、針足10Lbの長いステープル10Lを使用可能とする構成でもリンク58の作動量を少なくして、図4及び図36(a),図37(a)等に示す待機状態でも、スライダ押圧部58bとリンク受け部31が常時接触するような状態を保持させ、リンク58のスライダ押圧部58bが下ハンドルフレーム4の上ハンドル取付部40の前端より後方に位置する構成とすることができる。
待機状態で、リンク58のスライダ押圧部58bが下ハンドルフレーム4の上ハンドル取付部40の前端より後方に位置する構成とすることで、用紙ガイド43の移動位置を、上ハンドル取付部40の前端までにすることができる。
従って、図36(a)に示すように、用紙ガイド43の位置を、上ハンドル取付部40の前端とすれば、用紙Pの端部からステープル10Lあるいはステープル10Sの綴じ位置までの距離を長くすることができる。また、用紙ガイド43の位置をクリンチャユニット2Aに近づければ、用紙Pの端部からステープル10Lあるいはステープル10Sの綴じ位置までの距離を短くすることができる。
図66は、変形例のステープラで用紙を綴じる動作を示す側断面図である。本実施の形態の変形例では、リンク58Dは、略L形状の一方の端部に形成されたスライダ押圧部58eが、スライダ3のリンク受け部31と接する。また、リンク58Dは、他方の端部である先端が、ドライバアーム61Fに対して軸支される構成で、ドライバアーム61Fにリンク58Dの軸58fがスライド移動可能に挿入される長穴61gを備えることで、空走空間61hが設けられる。
更に、リンク58Dは、スライダ押圧部58eと軸58fとの間の略L形状の頂点部分に、マガジンガイド51に載る摺動支持部58gを備え、マガジンガイド51の上面に摺動可能に支持される。
リンク58Dは、スライダ押圧部58eがスライダ3のリンク受け部31と接する方向に自重で回転する重量配分で構成され、スライダ押圧部58eとリンク受け部31が常時接触すると共に、軸58fが長穴61gの下端側に位置して空走空間61hが設けられるような状態が保持される。
変形例の動作について説明すると、リンク58Dとドライバアーム61Fは、図66(a)に示すように、待機状態では、リンク58Dの軸58fがドライバアーム61Fの長穴61gの下端側に位置して空走空間61hが形成される。
マガジン50と用紙Pが接触せず、ドライバアーム61Fとマガジンガイド51が軸54fを支点に一体的に回転している間は、ドライバアーム61Fの長穴61gとリンク58Dの軸58fの間の空走空間61hが保持される。一方、ドライバアーム61Fとマガジンガイド51が軸54fを支点に一体的に回転することで、スライダ3のリンク受け部31に対してリンク58Dが変位する。
スライダ3とリンク58Dは、待機状態からリンク受け部31とスライダ押圧部58eが接する。そこで、スライダ3とリンク58Dは、リンク受け部31とスライダ押圧部58eの形状が、軸54fを支点としたマガジンガイド51の回転に伴うリンク58Dの変位では、スライダ3が移動しないように設定される。
クリンチャユニット2Aとマガジン50の間に用紙Pが挟持され、ドライバアーム61Fがマガジンガイド51に対して回転すると、上述したように、1本に分離されたステープル10Lあるいはステープル10Sがドライバ60により打ち出され、ステープル10Lの針足10Lbあるいはステープル10Sの針足10Sbが用紙Pを貫通する。
ドライバアーム61Fがマガジンガイド51に対して回転すると、リンク58Dの軸58fに対してドライバアーム61Fの長穴61gが変位し、空走空間61hが徐々に狭くなる。そして、ステープル10Lの針足10Lbあるいはステープル10Sの針足10Sbの先端が用紙Pの裏面より抜けた後に、図66(b)に示すように、ドライバアーム61Fの長穴61gの上端に、リンク58Dの58fが接する。
ドライバアーム61Fの長穴61gの上端に、リンク58Dの58fが接触を開始した段階では、スライダ3はまた動かず、クリンチャホルダ21の後側ホルダ21bが係止部30に載っており、クリンチャホルダ21の下降が規制される。
ハンドルアーム70が更に押圧されることで、ドライバアーム61Fがマガジンガイド51に対して更に回転すると、ドライバアーム61Fの回転動作で長穴61gが軸58fを押すことでリンク58Dが押圧され、図66(c)に示すように、摺動支持部58gとマガジンガイド51との接点を移動支点としてリンク58Dが回転する。
リンク58Dが回転すると、スライダ押圧部58eによってスライダ3のリンク受け部31が押される。これにより、スライダ3が後退し、クリンチャホルダ21の後側ホルダ21bから係止部30が外れ、クリンチャホルダ21の下降が可能になる。
変形例であっても、リンク58Dの軸58fとドライバアーム61Fの長穴61gにより空走空間61hを設けることで、リンク58Dの作動量を少なくすることができる。
なお、他の変形例として、リンクがドライバアームに対して軸支される構成で、ドライバアームにリンクの軸がスライド移動可能に挿入される長穴を設けることで、リンクがドライバアームの動く方向に沿って移動可能にガイドされる。また、リンクは、略L形状の一方の端部に形成されたスライダ押圧部がスライダと接し、他方の端部に形成されたドライバ押圧部がドライバアームに押圧される。そして、ドライバ押圧部とドライバアームの間に空走空間を設ける構成としても良い。また、リンクの形状は、L形状に限るものではなく、一端側にスライダとの接触部、他端側にドライバアームとの接触部が形成できれば良い。
図67〜図69は、クリンチャユニットの動作の一例を示す動作説明図で、次に、各図を参照して、フラットクリンチ機構の動作について説明する。
用紙Pが所定の位置に載置され、上ハンドルカバー71が押されると、上述したように、1本に分離されたステープル10Lあるいはステープル10Sがドライバ60により打ち出され、図67(a)に示すように、ステープル10Lの針足10Lbあるいはステープル10Sの針足10Sbが用紙Pに刺さり、貫通を開始する。ステープル10Lの針足10Lbあるいはステープル10Sの針足10Sbが用紙Pの貫通を開始した段階では、スライダ3はまた動かず、図65(a)で説明したように、クリンチャホルダ21の後側ホルダ21bが係止部30に載っており、クリンチャホルダ21の下降が規制される。
ステープル10Lあるいはステープル10Sがドライバ60により更に打ち出され、針足10Lbあるいは針足10Sbの先端が用紙Pを貫通して用紙Pの裏面から突出すると、一方の針足10Lbあるいは針足10Sbがクリンチャ20Lを押し、他方の針足10Lbあるいは針足10Sbがクリンチャ20Rを押す。針足10Lbあるいは針足10Sbの先端が用紙Pの裏面から突出を開始した段階では、図65(b)に示すように、スライダ3はまた動かず、クリンチャホルダ21の後側ホルダ21bが係止部30に載っており、クリンチャホルダ21の下降が規制される。
クリンチャ20Lは、仕切り板26のバネ部26Lcで側面が押圧され、クリンチャ20Rは、仕切り板26のバネ部26Rcで側面が押圧されており、向きを保つように構成されている。但し、仕切り板26のバネ部による押圧力より、ドライバ60の押圧によるステープル10L及びステープル10Sの押圧力の方が強い。
これにより、図67(b),図69(a)に示すように、クリンチャ20Lは、ステープル10Lの一方の針足10Lbあるいはステープル10Sの一方の針足10Sbにクリンチャ面20Laが押されることで、軸20Lcを支点に下方へ回転する。また、クリンチャ20Rは、ステープル10Lの他方の針足10Lbあるいはステープル10Sの他方の針足10Sbにクリンチャ面20Raが押されることで、軸20Rcを支点に下方へ回転する。
ステープル10Lあるいはステープル10Sがドライバ60により更に打ち出され、針足10Lbあるいは針足10Sbの先端が用紙Pを貫通すると、上述したリンク58の動作で、図65(c)に示すようにスライダ3が後退し、クリンチャホルダ21の後側ホルダ21bから係止部30が外れ、クリンチャホルダ21の下降が可能になる。
これにより、上ハンドルカバー71が押されてマガジン50が用紙Pを介してクリンチャホルダ21を押す力で、図68(a)に示すように、クリンチャホルダ21が下降する。クリンチャホルダ21の下降動作で、クリンチャリンク22Lは、軸22Laを支点に上端側がクリンチャリンク22Rに近づく方向に回転する。また、クリンチャホルダ21の下降動作で、クリンチャリンク22Rは、軸22Raを支点に上端側がクリンチャリンク22Lに近づく方向に回転する。
このように、クリンチャホルダ21の下降動作で、クリンチャリンク22Lは、軸20Lcがガイド穴21Lに沿って移動し、クリンチャリンク22Rは、軸20Rcがガイド穴21Rに沿って移動して、軸20Lcと軸20Rcの間隔が狭くなる。よって、クリンチャホルダ21の下降動作で、クリンチャ20Lとクリンチャ20Rが近づく方向に水平移動する。
また、クリンチャホルダ21の下降動作で、クリンチャ20Lは、押圧面20Lbがクリンチャ受23に押圧され、クリンチャ20Rは、押圧面20Rbがクリンチャ受23に押圧される。
これにより、クリンチャ20Lは、クリンチャ受23に押圧面20Lbが押し上げられることで、軸20Lcを支点に上方へ回転し、クリンチャ20Rは、クリンチャ受23に押圧面20Rbが押し上げられることで、軸20Rcを支点に上方へ回転する。
従って、クリンチャ20Lとクリンチャ面20Laで接するステープル10Lの一方の針足10Lbあるいはステープル10Sの一方の針足10Sbと、クリンチャ20Rとクリンチャ面20Raで接する他方の針足10Lbあるいは針足10Sbには、クリンチャ20Lとクリンチャ20Rが近づく方向に移動することで、それぞれ内側に折り曲げられる力が加えられる。そして、クリンチャ20Lとクリンチャ20Rが上方に向けて回転することで、それぞれ内側に折り曲げられる。
上ハンドルカバー71が押されてマガジン50が用紙Pを介してクリンチャホルダ21を押す力で、クリンチャホルダ21が最下端位置まで下降すると、図68(b)に示すように、クリンチャ受23に押し上げられたクリンチャ20Lとクリンチャ20Rが略水平位置に復帰する。これにより、用紙Pを貫通したステープル10Lの針足10Lbあるいはステープル10Sの針足10Sbが、用紙Pの面に沿うように曲げられてクリンチが完了する。
左右一対のクリンチャの回転動作でステープルの針足を折り曲げる構成では、用紙の綴じ枚数が多く、用紙の裏面からの針足の突出量が少ない場合、クリンチャの回転支点より上側でクリンチャ面に針足が当たる。このような状態で、針足の折り曲げを開始する動きとしてクリンチャが回転をすると、針足を外側に持ち上げるような力が掛かる。
これに対して、本実施の形態では、針足10Lbあるいは針足10Sbの折り曲げを開始する動きとして、クリンチャ20Lとクリンチャ20Rを近づける方向に移動させることで、針足10Lbあるいは針足10Sbを内側に折り曲げる力を加えることができる。これにより、クリンチャ20L,20Rの回転支点より上側でクリンチャ面20La,20Lbに針足10Lbあるいは針足10Sbが当たる状態でも、針足10Lbあるいは針足10Sbを内側に折り曲げる力を加えて、確実なクリンチ動作を行うことができる。
クリンチ終了後、上ハンドルカバー71を押す力を解除すると、図示しないリターンスプリングにより上ハンドルユニット11bが押し上げられる。クリンチャホルダ21を押す力が解除されると、リターンバネ25によりクリンチャホルダ21が押し上げられる。
クリンチャホルダ21の上昇動作で、クリンチャリンク22Lは、軸22Laを支点に上端側がクリンチャリンク22Rから離れる方向に回転する。また、クリンチャホルダ21の上昇動作で、クリンチャリンク22Rは、軸22Raを支点に上端側がクリンチャリンク22Lから離れる方向に回転する。
このように、クリンチャホルダ21の上昇動作で、クリンチャリンク22Lは、軸20Lcがガイド穴21Lに沿って移動し、クリンチャリンク22Rは、軸20Rcがガイド穴21Rに沿って移動して、軸20Lcと軸20Lcの間隔が広くなる。
クリンチャ受23に押し上げられて略水平位置に復帰したクリンチャ20Lは、仕切り板26のバネ部26Lcで側面が押圧され、クリンチャ20Rは、仕切り板26のバネ部26Rcで側面が押圧される。
これにより、略水平位置に復帰したクリンチャ20Lとクリンチャ20Rは、自重で下方へ回転することなく略水平な位置を保ちながら、図69(b)〜図69(c)に示すように、クリンチャホルダ21の上昇動作で、クリンチャ20Lとクリンチャ20Rが離れる方向に移動する。そして、クリンチャユニット2Aが待機位置に復帰する。
左右一対のクリンチャの回転動作でステープルの針足を折り曲げる構成では、クリンチャは回転方向への付勢力は受けておらず、針足による押圧で下方に回転し、クリンチャ受けによる押し上げで復帰する。このため、クチンチャユニットが待機位置にある状態で、クリンチャが下方に回転した状態となることがある。
このような状態では、クリンチャホルダの内側に空間が形成されることになり、異物が入る原因となる。また、外観性が悪いと感じられる場合がある。
これに対して、本実施の形態では、仕切り板26に設けたバネ部26Lc,26Rcで、クリンチャ20L,20Rの向きを保持することができるので、略水平位置にあるクリンチャ20Lとクリンチャ20Rの向きを、ステープル10Lの針足10Lbあるいはステープル10Sの針足10Sbによる押圧まで保持することができる。
これにより、図18等に示すように、待機状態では、クリンチャカバー42の開口がクリンチャ20L,20Rで塞がれた形態となり、異物が入る原因を排除することができる。また、外観性を向上させることができる。
図70は、クリンチャユニットの変形例を示す分解斜視図、図71は変形例のクリンチャユニットの動作の一例を示す動作説明図である。変形例のクリンチャユニット2Bは、クリンチャ駆動機構として、溝によるガイドでクリンチャを回転及び離接する方向に移動させる。
クリンチャユニット2Bは、用紙を貫通したステープル10Lの針足10Lbあるいはステープル10Sの針足10Sbを折り曲げる一対のクリンチャ27L,27Rと、クリンチャ27Lとクリンチャ27Rを支持するクリンチャホルダ28を備える。
また、クリンチャユニット2Bは、クリンチャホルダ28の昇降方向への移動をガイドすると共に、クリンチャ27L,27Rの回転及び離接する方向への移動をガイドするホルダガイド29を備える。更に、クリンチャユニット2Bは、クリンチャホルダ28の昇降動作でクリンチャ27L,27Rを押し上げるクリンチャ受29aを備える。
クリンチャユニット2Bは、クリンチャ27Lとクリンチャ27Rが、ステープル10Lの針クラウン10Laあるいはステープル10Sの針クラウン10Saに沿った左右方向、及び針クラウン10La,針クラウン10Saに対して直交する前後方向に位置をずらして配置される。
クリンチャ27Lは、ステープル10Lの一方の針足10Lbあるいはステープル10Sの一方の針足10Sbに対向して配置され、針足10Lbあるいは針足10Sbに対向する上面に、前後方向に位置をずらして配置されるクリンチャ27Rに向けて下降する方向に傾斜したクリンチャ面27Laが形成される。また、クリンチャ27Lは、クリンチャ受29aに対向する一方の端部側の下面に、クリンチャ受29aに押圧される押圧面27Lbが形成される。
クリンチャ27Lは、軸27Lcによりクリンチャホルダ28のガイド穴28Laに回転及び水平方向に移動可能に支持される。また、クリンチャ27Lは、他方の端部側が、軸27Ldによりクリンチャホルダ28のガイド穴28Lb及びホルダガイド29のガイド穴29Lbに沿って移動可能に支持される。
クリンチャ27Rは、ステープル10Lの他方の針足10Lbあるいはステープル10Sの他方の針足10Sbに対向して配置され、針足10Lbあるいは針足10Sbに対向する上面に、前後方向に位置をずらして配置されるクリンチャ27Lに向けて下降する方向に傾斜したクリンチャ面27Raが形成される。また、クリンチャ27Rは、クリンチャ受29aに対向する一方の端部側の下面に、クリンチャ受29aに押圧される押圧面27Rbが形成される。
クリンチャ27Rは、軸27Rcによりクリンチャホルダ28のガイド穴28Raに回転及び水平方向に移動可能に支持される。また、クリンチャ27Rは、他方の端部側が、軸27Rdによりクリンチャホルダ28のガイド穴28Rb及びホルダガイド29のガイド穴29Rbに沿って移動可能に支持される。
クリンチャホルダ28は、ガイド穴28La及びガイド穴28Raが、水平方向に延在する長穴で構成される。また、クリンチャホルダ28は、ガイド穴28Lb及びガイド穴28Rbが、上端側より下端側の間隔が狭くなる方向に傾斜した長穴で構成される。
ホルダガイド29は、ガイド穴29Lb及びガイド穴29Rbが、上端側より下端側の間隔が狭くなる方向に傾斜した長穴で構成される。クリンチャユニット2Bは、ホルダガイド29のガイド穴29Lb及びガイド穴29Rbを通るクリンチャ27L,27Rの軸27Ld,27Rdの軌跡と、クリンチャ受29aによりクリンチャ27L,27Rを押し上げる動作で、クリンチャ27Lとクリンチャ27Rを回転及び離接する方向に移動させる。
変形例のクリンチャユニットの動作について説明すると、図71(a)に示すように、ステープル10Lの針足10Lbあるいはステープル10Sの針足10Sbの先端が用紙Pを貫通して用紙Pの裏面から突出すると、一方の針足10Lbあるいは針足10Sbがクリンチャ27Lに接触し、他方の針足10Lbあるいは針足10Sbがクリンチャ27Rに接触する。針足10Lbあるいは針足10Sbの先端が用紙Pの裏面から突出を開始した段階では、クリンチャホルダ28の下降が規制される。
ステープル10Lあるいはステープル10Sが更に打ち出され、針足10Lbあるいは針足10Sbの先端が用紙Pを貫通するとクリンチャホルダ28の下降が可能になる。これにより、用紙Pを介してクリンチャホルダ28を押す力で、図71(b)に示すように、クリンチャホルダ28が下降する。
クリンチャホルダ28の下降動作で、クリンチャ27Lは、クリンチャホルダ28のガイド穴28Laにガイドされる軸27Lcが、クリンチャ27Rに近づく方向に移動し、ホルダガイド29のガイド穴29Lbにガイドされる軸27Ldが、クリンチャ27Rに近づく方向に移動する。また、クリンチャホルダ28の下降動作で、クリンチャ27Rは、クリンチャホルダ28のガイド穴28Raにガイドされる軸27Rcが、クリンチャ27Lに近づく方向に移動し、ホルダガイド29のガイド穴29Rbにガイドされる軸27Rdが、クリンチャ27Lに近づく方向に移動する。
これにより、クリンチャ27L,27Rは、クリンチャホルダ28の下降動作で、軸27Lcと軸27Rcとの間隔が狭くなり、クリンチャ27Lとクリンチャ27Rが近づく方向に移動する。
また、クリンチャホルダ28の下降動作で、クリンチャ27Lは、押圧面27Lbがクリンチャ受29aに押圧され、クリンチャ27Rは、押圧面27Rbがクリンチャ受29aに押圧される。
これにより、クリンチャ27Lは、クリンチャホルダ28のガイド穴28Laにガイドされる軸27Lcを支点に上方へ回転し、クリンチャ27Rは、クリンチャホルダ28のガイド穴28Raにガイドされる軸27Rcを支点に上方へ回転する。
従って、クリンチャ27Lとクリンチャ面27Laで接するステープル10Lの一方の針足10Lbあるいはステープル10Sの一方の針足10Sbと、クリンチャ27Rとクリンチャ面27Raで接する他方の針足10Lbあるいは針足10Sbには、クリンチャ27Lとクリンチャ27Rが近づく方向に移動することで、それぞれ内側に折り曲げられる力が加えられる。そして、クリンチャ27Lとクリンチャ27Rが上方に向けて回転することで、それぞれ内側に折り曲げられる。
クリンチャホルダ28が最下端位置まで下降すると、図71(c)に示すように、クリンチャ受29aに押し上げられたクリンチャ27Lとクリンチャ27Rが略水平位置になる。これにより、用紙Pを貫通したステープル10Lの針足10Lbあるいはステープル10Sの針足10Sbが、用紙Pの面に沿うように曲げられてクリンチが完了する。
次に、各図を参照して、用紙Pを貫通した針足10Lbあるいは針足10Sbを前後にずらして折り曲げる動作について説明する。クリンチャ20Lとクリンチャ面20Laで接するステープル10Lの一方の針足10Lbあるいはステープル10Sの一方の針足10Sbと、クリンチャ20Rとクリンチャ面20Raで接する他方の針足10Lbあるいは針足10Sbは、クリンチャ20Lとクリンチャ20Rが近づく方向に移動する動作と、上方に向けて回転する動作で、それぞれ内側に折り曲げられる。
クリンチャユニット2Aは、ステープル10Lの針クラウン10La及びステープル10Sの針クラウン10Saに対して傾けられて配置され、クリンチャ20Lとクリンチャ20Rは、図16に示すように、ステープル10Lの針クラウン10La及びステープル10Sの針クラウン10Saに対して傾けられ、かつ、前後に位置をずらして配置される。
これにより、クリンチャ20L,20Rの水平移動及び回転動作で、ステープル10Lの一方の針足10Lbあるいはステープル10Sの一方の針足10Sbは、図17に示すクリンチャ面20Laの傾斜により、クリンチャ20R側に近づく矢印NL方向に誘導されながら、斜めに曲げられる。また、他方の針足10Lbあるいは針足10Sbは、クリンチャ面20Raの傾斜により、クリンチャ20L側に近づく矢印NR方向に誘導されながら、斜めに曲げられる。
ステープル10Lの一方の針足10Lbと他方の針足10Lbあるいはステープル10Sの一方の針足10Sbと他方の針足10Sbは、互いが近づく方向に移動しながら折り曲げられて、それぞれ仕切り板26の仕切り部26bに接する。
これにより、針足の長いステープル10Lであっても、用紙Pの綴じ枚数が少ない場合、図11(d)に示すように、2本の針足10Lbが仕切り板26の板厚分の隙間を開けて重ならずに折り曲げられる。
クリンチャに溝を設けて針足をガイドする構成では、溝と溝の間の凸部の厚さが必要で、針足の間隔を狭くすることができない。また、クリンチャの間に仕切りが無いと、針足同士が重なる可能性がある。
本実施の形態では、仕切り板26を利用してクリンチャ20Lとクリンチャ20Rを仕切ることで、2本の針足10Lbを重ねることなく狭い隙間で折り曲げることができる。仕切り板26は、クリンチャ20L,20Rの向きを保つバネとしても機能するので、ステープル10Lに対して強度の高い薄鋼板で構成することができる。
これにより、2本の針足10Lbの隙間を、仕切り板26で規定される最低限の隙間とすることができる。
次に、各図を参照して、クリンチャユニット2Aの向きを待機状態と押圧を受けた状態で同じ向きに保つ動作について説明する。図19及び図20で説明したように、クリンチャホルダ21は、クリンチャ20L,20Rに対して後方に位置する後側ホルダ21bがリターンバネ25で押し上げられ、クリンチャ20L,20Rに対して前方に位置する前側ホルダ21aが、軸22La,22Raで上方向への移動が規制される。
これにより、クリンチャ20L,20Rが取り付けられたクリンチャホルダ21は、リターンバネ25で押し上げられる待機状態で、矢印F1で示す前傾した状態を保つ。
ステープル10Lの針足10Lbあるいはステープル10Sの針足10Sbが用紙Pを貫通する力で、用紙Pを介してクリンチャホルダ21が下方へ押されると、貫通荷重F2がクリンチャホルダ21に掛かる。クリンチャホルダ21は、後側ホルダ21bがスライダ3の係止部30に載った状態であり、貫通荷重F2が掛かると、やはり矢印F1で示す前傾した状態を保つ。
クリンチャホルダ21の昇降は、クリンチャガイド24aでガイドされるが、高さ方向の寸法を短くするため、クリンチャガイド24aの高さが短くなってくると、前後方向への傾きが生じやすくなる。
貫通荷重か掛かる前後でクリンチャの向きが変化すると、用紙の位置がずれることで用紙を貫通している間に用紙内で針足が前後にずれ、用紙を針足が貫通せずに綴じられない場合がある。本実施の形態では、貫通荷重が掛かる前後で、クリンチャホルダ21の向きが変わらないので、用紙Pのずれを抑えることができ、ステープル10L及びステープル10Sの針足を確実に貫通させることができる。
なお、本実施の形態では、クリンチャユニット2Aの後方にスライダ3が配置されるので、後側ホルダ21bに押し上げ力を掛けるようにしたが、クリンチャユニットの前方にスライダ3が配置される構成であれば、前側ホルダに押し上げ力を掛けるようにすれば、貫通荷重が掛かる前後でクリンチャホルダの向きを同じにすることができる。
次に、各図を参照して、マガジン50のロック機構54の動作について説明する。図31(a)に示すように、マガジン50がマガジンガイド51に収納された状態では、マガジン50に取り付けられたステープルガイド52の後端側と、マガジンストッパ54aのバネ押圧部54eとの間でマガジンロックバネ54cが圧縮される。
マガジンストッパ54aは、バネ押圧部54eが押圧されることで、ロック爪54dがマガジン50のロック開口部50eに嵌まる方向に、軸54fを支点に回転し、ロック爪54dがロック開口部50eに嵌まる。これにより、マガジン50は、マガジンガイド51に収納された状態が保持される。
図31(b)に示すように、プッシャスイッチ54bは、スイッチ部54gが押されると、軸54hを介して連結されたマガジンストッパ54aを、軸54fを支点に回転させて、マガジンストッパ54aのロック爪54dをマガジン50のロック開口部50eから外す。
マガジンストッパ54aのロック爪54dがマガジン50のロック開口部50eから外れると、圧縮されていたマガジンロックバネ54cが復元する力で、マガジン50が前方に押圧され、マガジンガイド51からマガジン50が引き出される。
マガジン50を収納する際には、マガジン50をマガジンガイド51に押し込んで行くと、マガジン50のステープルガイド52が、マガジンロックバネ54cを介してマガジンストッパ54aのバネ押圧部54eを押圧する。これにより、マガジンストッパ54aは、ロック爪54dがマガジン50のロック開口部50eに嵌まる方向に軸54fを支点に回転し、ロック爪54dがロック開口部50eに嵌まる。
マガジンをスライドさせる構成では、ステープルを押圧するプッシャスプリングの力を利用して、マガジンが突出するようにしていた。このため、収納されているステープルの本数が多い場合は、マガジンの突出量が多くなるが、ステープルの本数が少ない、あるいはステープルが収納されていない状態では、マガジンの突出量が少なくなる。
これに対して、本実施の形態では、マガジンロックバネ54cは、マガジン50内のステープル10Lあるいはステープル10Sの残数によらず、ロック機構54がロックされることで一定の押圧力を受け、マガジン50の突出量を略一定とすることができる。
本実施の形態では、倍力機構が設けられる用紙処理装置としてステープラを例に説明したが、用紙に穴を開ける穴あけパンチと称す装置にも適用可能である。すなわち、動作部材として、一方の端部に作用部材としての刃部が設けられ、他方の端部が軸を支点に回転可能に支持されるアームを備え、操作部材として、アームと軸を連結部として連結されると共に、支点軸を移動させる形状を有した長穴形状のガイド部で支持されるハンドルを備える構成とすれば良い。