JP2013228643A - 低反射膜の形成方法およびその低反射膜付き部材 - Google Patents

低反射膜の形成方法およびその低反射膜付き部材 Download PDF

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Abstract

【課題】基体上に多孔質低屈折性の低反射膜を形成する方法およびその低反射膜付き部材を提供する。
【解決手段】有機スズ化合物およびアルコキシシランの加水分解物を含んでなり、アルコキシシランの加水分解物に対して有機スズ化合物が、酸化物換算によるモル比で表して、アルコキシシランの加水分解物:有機スズ化合物=99:1〜50:50の範囲に含まれてなる低反射膜形成用塗布液を基体表面に塗布して塗膜とし、有機スズ化合物の分解温度以上にすることを含む、屈折率1.25以上、1.50以下である多孔質性酸化物膜の低反射膜を基体上に形成する、低反膜の形成方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、基体、特に透明性基体上に低反射膜を形成する低反射膜の形成方法およびその低反射膜付き部材に関する。本発明の低反射膜の形成方法に得られた低反射膜付き部材の中でも、基体に透明性ガラスを用いてなる低反射膜付きガラスは、自動車ガラス、または照明器具の保護部材等に用いられ、特に太陽電池用カバーガラスに好適に用いられる。
低反射膜は、基体の表面反射を低下させるために、基体表面に設けられた膜である。ガラス等の透明性基体においては、表面反射による光損失をなくして、光透過率(以後、単に光透過と呼ぶことがある)を向上させるために、基体表面に形成される。低反射膜は、スチルカメラ、ビデオカメラおよび液晶プロジェクタ等の光学機器のレンズ表面等に限らず、太陽電池用カバーガラス、建築用窓ガラス、ショーケースおよび自動車用窓ガラス等の汎用品にも形成されつつある。ガラス表面に低反射膜を形成することで、例えば、太陽電池用カバーガラスにおいては、カバーガラスの透過率向上による太陽電池の出力向上、建築用窓ガラス、ショーケースまたは自動車用窓ガラスにおいては、映りこみ防止の効果が得られる。
例えば、特許文献1には、5〜30nmの粒子径を有するシリカゾル(a)と、アルコキシシランの加水分解物、金属アルコキシドの加水分解物及び金属塩からなる群より選ばれた少なくとも1種の成分(b)からなり、且つ(a)のSiO100重量部に対して、(b)を金属酸化物に換算して10〜50重量部の割合で有機溶媒に含有した塗布液を、基材に塗布した後、硬化する事により得られる低屈折率反射防止膜が開示されている。
また、特許文献2には、ゾルゲル法による多孔質反射防止層の堆積方法であって、チタン含有前駆物質を使用し、及び、粒子、特にナノ粒子をゾルゲル溶液に添加することを特徴とする多孔質反射防止層の堆積方法が開示されている。
このような低反射膜において、シリカからなる膜内部に屈折率が1である空気を細孔および空隙(以下、これらを纏めてボイドと呼ぶことがある。)に含有させることで、多孔質膜を形成することで膜の屈折率を低下させる方法が試みられ、一般には多孔質シリカ膜、中空性シリカ微粒子を用いたシリカ膜が検討されている。
尚、細孔とは、多孔質微細な空孔のことで。孔の大きさによってマイクロ孔(ミクロ孔、マイクロ細孔、マイクロポア)、メソ孔(メソ細孔、メソポア)、マクロ孔(マクロ細孔、マクロポア)に分けられる。国際純正・応用化学連合(IUPAC)では、直径2nm以下の細孔をマイクロ孔、直径2nm〜50nmの細孔をメソ孔、直径50nm以上の細孔をマクロ孔と定義している。
多孔質シリカ膜は、シリカゾルと、界面活性剤または高沸点溶剤等を混合してなる原料液を、基体に塗布した後、ゾルゲル法で成膜してシリカ膜にメソ孔、またはマクロ孔を形成すること等で得られる。尚、ゾルゲル法とは、ケイ素アルコキシドおよびそれを脱水縮合したコロイダルシリカからなるゾル等を、其体表面に塗布した後にゲル化させ、その後、加熱焼成することで、非晶質、多結晶等の比較的硬質な膜を形成する方法である。
中空シリカ微粒子は、特定のアルキル基を有するアルコキシシラン等を用い、これを凝集縮合させることで、微小ボイドまたはメソ細孔を含有させたシリカ微粒子である。これら中空シリカ微粒子を用いて基体上に形成された膜は、中空シリカ微粒子に由来するボイドまたはメソ孔、またはマクロ孔を有し、ボイドまたはメソ孔に含有した空気により低反射膜となる。
しかしながら、中空シリカ微粒子は、製造工程が複雑であるという問題があった。よって、汎用品である太陽電池用カバーガラス、照明器具の保護部材および自動車ガラス向けとして、採用し難い。
例えば、特許文献3には、シリカとシリカ以外の無機酸化物とからなる多孔質の複合酸化物粒子が、厚さが0.5nm〜20nmである多孔質のシリカ系無機酸化物層で被覆されてなることを特徴とするメソ孔、またはマクロ孔を有する微粒子の製法が開示される。この微粒子を含有する被膜を基材の表面に形成することで、低屈折率で、樹脂等との密着性、強度、反射防止能等に優れた被膜付きの基材を提供できるとされている。
特許文献4には、シリカとAl、B、TiO、ZrO、SnO、Ce、P、Sb、MoOまたは、またはWOから選ばれるシリカ以外の無機酸化物とからなる平均粒径が5nm〜300nmの範囲にある複合酸化物コロイド粒子が水および/または有機溶媒に分散した複合酸化物ゾルであって、前記コロイド粒子は、前記無機酸化物を構成するシリカ以外の元素の一部が除去されると共に粒子表面がシリカ被膜で被覆されてなり、屈折率が1.36〜1.44の範囲にあることを特徴とする複合酸化物ゾルが開示される。当該複合酸化物ゾルを用いて、低屈折率の塗布膜を形成した低反射用の基材が提供できるとされる。
特許文献5には、シリカ微粒子と、酸化タングステン、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化クロム、酸化セリウム、酸化モリブデンおよび酸化ランタンからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属酸化物をシリカ微粒子に対し5質量%以上、40質量%以下に、シリカ微粒子のバインダーとして含有してなり、屈折率1.20以上、1.40以下であることを特徴とする低反射膜およびその形成方法が開示される。
本発明において、有機スズ化合物、言いかえれば、アルキルスズ化合物とは、4価のスズ原子に少なくとも一つの炭素原子が結合している化合物を呼び、有機基Rの結合数によって4つの化合物、即ち、モノ有機スズ化合物(RSnX)、ジ有機スズ化合物(RSnX)、トリ有機スズ化合物(RSnX)およびテトラ有機スズ化合物(RSn)、に分けられる。Xは炭素以外原子、例えば、酸素原子により結合している基である。
これら有機スズ化合物の中で、有機基Rがメチル基、n−ブチル基またはn−オクチル基であり、一つもしくは二つの有機基Rがスズ原子に結合している、モノ有機スズ化合物およびジ有機スズ化合物は、塩化ビニル樹脂を始めとしたハロゲン含有樹脂用の熱安定化剤を主体に、触媒、ガラス被覆剤等に使用される。他に、ポリウレタンの原料、またはシリコーンゴムの硬化剤に使用される。このように、モノ有機スズ化合物およびジ有機スズ化合の主な用途は樹脂の安定剤、反応触媒、および樹脂、塗料の硬化剤であり、具体的には、塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル樹脂または塩素化ポリエチレン等のハロゲン含有樹脂用熱安定化、ハロゲン系難燃剤含有樹脂用熱安定化剤、エステル化反応用触媒、エステル交換反応用触媒、ポリウレタン樹脂用硬化剤、シリコーン樹脂用硬化剤および電着塗料用硬化剤が挙げられる。
日本では、有機スズ化合物は全体の約90%がハロゲン含有樹脂用の熱安定化剤、即ち、有機スズ安定剤として使用される。
また、テトラ有機スズ化合物は、モノ有機スズ化合物およびジ有機スズ化合物の原料として使われるが、トリ有機スズ化合物は毒性や環境への影響の問題から、現在日本においては製造および使用されていない。テトラ有機スズ化合物は非常に安定であり、毒性は低いが、代謝されると有毒なトリ有機スズ化合物になる虞がある。トリ有機スズ化合物は毒性があり、殺菌剤および殺虫剤に使われたが近年生物への環境汚染が問題になっており国内では使用禁止になっている。それに対してモノ有機スズ化合物およびジ有機スズ化合物は毒性を有さない、もしくは低い。
例えば、特許文献6には、分子末端又は側鎖に、加水分解性基と結合した珪素原子を1分子中に少なくとも1個有するシリル基含有有機重合体(A)100重量部と硬化触媒(B)0.1〜10重量部を主要成分とする組成物において、硬化触媒(B)が、ジアルキルスズ化合物80〜50重量%とシリケート化合物20〜50重量%との混合物であることを特徴とする湿気硬化性組成物が開示されている。
また、特許文献7には、
k−mM(OCOR)n
(ここで、MはSn、Ti、In、Si、Zr、およびAlからなる群から選ばれる金属原子であり、Rは炭素数1〜6の、直鎖の、または分岐鎖、または環状のアルキル基、アルケニル基、あるいはアリール基であり、Rは炭素数3〜6の分岐鎖を有するアルキル基であり、kは金属原子Mの価数を表す数であり、mは1〜kの数である。)で表されるガラスコーティング剤、およびそのコーティング剤を450〜750℃に保持されたガラス基材に施して、ガラス表面に金属酸化物被膜を形成させるガラスコーティング方法が開示されている。本方法により、耐久性に優れ、かつヘーズの発生のない被膜をガラス表面に形成することのできるとされる。
特許文献7に記載の発明は、有機カルボン酸塩の熱分解により耐久性に優れ且つヘーズの発生のない金属酸化物被膜を得るものであり、ガラス機材の耐磨耗製の向上が目的である。得られた金属酸化物被膜の屈折率は1.7〜2.2であり、汎用ガラスであるソーダライムガラスの屈折率1.52よりも高く、低屈折率性を有する低反射膜についての発明ではない。具体的には、有機スズ化合物自体が熱分解して酸化スズ膜を形成させるもので、酸化スズ膜がガラス基体の保護のために用いられている。酸化スズ膜は透明であり、強固で耐薬品性に優れるが屈折率が1.8〜2.0であり、低屈折率性を有する低反射膜とはならない。
特開平08−122501号公報 特開2010−134462号公報 国際特許公開公報WO00/37359号 特開2006−117526号公報 国際特許公開公報WO/2012/008427 特開2001−172515号公報 特開2000−119044号公報
太陽電池用カバーガラス、建築ガラス、ショーケースおよび自動車ガラスとしての製造が簡便で安価な低反射膜付きガラスが求められている。
本発明は、基体、特にガラス板上に多孔質低屈折率性の低反射膜を得るための低反射膜の形成方法を提供するものである。
本発明の低反射膜の形成方法において、アルコキシシランが加水分解したゾルと有機スズ化合物を含有してなる低反射膜形成用塗布液を基材表面に塗布被覆して多孔質低屈折性の低反射膜を形成する。ジ有機スズ化合物は、例えば、特許文献6に湿気硬化性組成物の材料として開示され、特許文献7にガラスコーティング剤として選択される金属化合物の一つとして開示されるが、低反射膜の材料として使われた例はなく、多孔質低屈折性の膜を基材表面に得ることについての報告はない。
本発明は、有機スズ化合物、例えば、ジ有機スズ化合物およびアルコキシシランが加水分解したゾルを含む低反射膜形成用塗布液をガラス板等の基材表面に塗布被覆することで、屈折率1の空気をボイドに含む多孔質膜からなる低屈折率の低反射膜を得たものである。アルコキシシランと有機スズ化合物を用いることで、前記ゾルからなる塗布膜中で有機スズ化合物が分解し、二酸化炭素等の有機スズ化合物の分解生成物である有機ガスおよび水からなる分離ガスを塗布膜中で発生し、前記ゾルが縮合したシリカからなる膜中に屈折率1の空気を取り込んだ微小ボイドおよび酸化スズが散在した低屈折性の膜となった。ボイドの径は50nm〜150nmであるので光を分散させることなく、ガラス板の透明性を損なうことはない。
アルコキシシランを焼成した場合、アルコキシシランに含まれるアルコキシ基の分解による発生する有機成分および水は、ボイドの形成には寄与しない。例えば、テトラエトキシシラン(以後、TEOSと呼ぶことがある。)のみを使った場合は、ボイドのないバルク状の膜となり、低屈性の膜は得られない。
また、有機スズ化合物を膜組成に加えると、通常は屈折率が高くなる。しかしながら、本発明においては、有機スズ化合物を含みながら、アルコキシシランと有機スズ化合物を並存させて塗布膜とすることで初めて、多孔質で屈折率の低い膜が得られ、低反射膜として有用であった。
本発明は、発明1〜13に示す通りである。
[発明1]
有機スズ化合物およびアルコキシシランの加水分解物を含んでなり、アルコキシシランの加水分解物に対して有機スズ化合物が、酸化物換算によるモル比で表して、アルコキシシランの加水分解物:有機スズ化合物=99:1〜50:50の範囲に含まれてなる低反射膜形成用塗布液を基体表面に塗布して塗膜とし、有機スズ化合物の分解温度以上にすることを含む、屈折率1.25以上、1.50以下である多孔質性酸化物膜の低反射膜を基体上に形成する、低反膜の形成方法。
[発明2]
有機スズ化合物が一般式(1):R SnA (1)
(式中、Rは炭素数1〜12の直鎖状または炭素数3〜12の分岐鎖状のアルキル基、アルケニル基または炭素数6〜12のアリール基であり、Aは炭素数1〜18の直鎖状または炭素数3〜18の分岐鎖状のアルコキシ基またはアルコキシシリル基である。Xは1または2の整数、Yは4−Xで表される整数である。)
で表される化合物である、発明1の方法。
[発明3]
有機スズ化合物が一般式(2):R SnA (2)
(式中、Rは炭素数1〜12の直鎖状または炭素数3〜12の分岐鎖状のアルキル基、アルケニル基または炭素数6〜12のアリール基であり、Aは炭素数1〜18の直鎖状もしくは炭素数3〜18の分岐鎖状のアルコキシ基またはアルコキシシリル基である。)で表されるジ有機スズ化合物である、発明1または発明2に記載の方法。
[発明4]
有機スズ化合物が
一般式(3):R Sn(OCOR (3)
または
一般式(4):R Sn(OCOR)O (4)
(式中、Rは炭素数1〜12の直鎖状または炭素数3〜12の分岐鎖状のアルキル基、アリール基または炭素数6〜12のアルケニル基であり、Aは炭素数1〜18の直鎖状もしくは炭素数3〜18の分岐鎖状のアルコキシ基またはアルコキシシリル基である。pは1または2の整数、Qは4−Pまたは3−Pで表される整数である。)
で表される化合物である、発明1の方法。
[発明5]
有機スズ化合物が
一般式(5):R Sn(OCOR (5)
または
一般式(6):(R Sn(OCOR))O (6)
(式中、Rは炭素数1〜12の直鎖状または炭素数3〜12の分岐鎖状のアルキル基、アリール基または炭素数6〜12のアリール基であり、Aは炭素数1〜18の直鎖状もしくは炭素数3〜18の分岐鎖状のアルコキシ基またはアルコキシシリル基である。)
で表されるジ有機スズ化合物である、発明4の方法。
[発明6]
アルコキシシランが一般式(7):R Si(OR4−m (7)
(式中、RおよびRはそれぞれ独立に炭素数1〜4の直鎖状または炭素数3〜4分岐鎖状のアルキル基であり、mは0〜3の整数である)で表される化合物またはその加水分解物である、発明1〜5の方法。
[発明7]
アルコキシシランがテトラアルコキシシランである、発明1〜6の方法。
[発明8]
発明1〜7の方法で、低反射膜が形成されてなる低反射膜付き部材。
[発明9]
低反射膜の厚みが膜厚50nm以上、200nm以下である発明8の低反射膜付き部材
[発明10]
JIS R3257(1999)に準拠する接触角が面の2°以上、40°以下である低反射膜が形成されてなる、発明8または発明9の低反射膜部材。
[発明11]
低反射膜が形成された面の1cmあたりの表面抵抗値が10Ωcm以上、1012Ωcm以下である、発明8〜10の低反射膜付き部材。
[発明12]
基体がガラス板である発明8〜11の低反射膜付き部材。
[発明13]
発明12の低反射膜付き部材を用いてなる、太陽電池カバーガラス。
本発明の低反射膜の形成方法により、基材、特にガラス板上に多孔質低屈折率の低反射膜が形成された。
詳しくは、有機スズ化合物およびアルコキシシランの加水分解物を含んでなり、、アルコキシシランの加水分解物に対して有機スズ化合物が、酸化物換算によるモル比で表して、アルコキシシランの加水分解物:有機スズ化合物=99:1〜50:50の範囲に含まれてなる低反射膜形成用塗布液ををガラス板等の基材表面に塗布被覆することで、有機スズ化合物が分解し発生した有機ガスおよび水からなる分離ガスを、アルコキシシランが脱水縮合してなるシリカ膜中に発生させてボイドとし、屈折率1の空気をボイドに含む多孔質膜としての低屈折率を有する、屈折率1.25以上、1.50以下である多孔質性酸化物膜低反射膜が形成された。有機スズ化合物には、ジ有機スズ化合物をもちいることが好ましい。
基材表面に低反射膜を形成する際に、基材にアルコキシシランの加水分解物と有機スズ化合物を同時に塗布したことで、有機スズ化合物は分解し有機ガスおよび水を膜中で発生し、アルコキシシランが脱水縮合してなるシリカ膜中に屈折率1の空気を取り込んだ微小ボイドおよび酸化スズが散在した低屈折率の膜を有する低反射膜付き部材が得られた。
実施例1で作製した低反射膜付きガラスの低反射膜面の図面代用SEM写真である。 実施例1および2で作製した低反射膜付きガラスの光透過率のグラフである。
本発明の低反射膜の形成方法に用いるモノ有機スズ化合物およびジ有機スズ化合物は、前述のように、樹脂を製造する際の重合促進のための重合触媒として用いられ、塩化ビニール樹脂の安定剤として用いられる。シリコーン樹脂に添加したモノ有機スズ化合物またはジ有機スズ化合は硬化触媒としての作用が目的であり、シリコーン樹脂にモノ有機スズ化合物、またはジ有機スズ化合を添加したものは、400℃以上で焼成すると、シリカの粉末になってしまい膜を形成しない。
本発明において、シリコーン樹脂等の多孔質な膜を与えるシリカではなく、脱水縮合した際にボイドのない堅牢なバルク状のシリカ膜を与えるアルコキシシシランと、有機スズ化合物を用いることで、アルコキシシランが脱水縮合してなるシリカ膜形成時に有機スズ化合物が膜中で分解し、二酸化炭素等の有機スズ化合物の分解生成物である有機ガスおよび水からなる分離ガスを塗布膜中で発生し、アルコキシシランが脱水縮合して形成されたシリカ膜中に屈折率1の空気を取り込んだ微小ボイドおよび酸化スズが散在した多孔質低屈折性の低反射膜を形成する。
即ち、本発明は、有機スズ化合物およびアルコキシシランの加水分解物を含んでなり、アルコキシシランの加水分解物に対して有機スズ化合物が、酸化物換算によるモル比で表して、アルコキシシランの加水分解物:有機スズ化合物=99:1〜50:50の範囲に含まれてなる低反射膜形成用塗布液を基体表面に塗布して塗膜とし、有機スズ化合物の分解温度以上にすることを含む、屈折率1.25以上、1.50以下である多孔質性酸化物膜の低反射膜を基体上に形成する、低反膜の形成方法である。
有機スズ化合物の分解温度以上にすることで、有機スズ化合物が酸化スズとなる際の分離ガスにより、加水分解物が脱水縮合したシリカ膜中にボイドを形成させて、ボイドに屈折率1の空気を取り込んだ低反射膜とする
尚、本発明において、液安定性とは、低反射膜形成用塗布液において、有機スズ化合物もしくはアルコキシシランの析出がないこと、または液のゲル化がないことであり、液寿命とは、低反射膜形成用塗布液の経時劣化により液安定性が損なわれるまでの時間である。シリカとはアルコキシシランが加水分解後に縮重合した、シロキサン結合を有する重合体を指す。径とは、粒子またはボイドの最大径を指す。
以下、順を追って説明する。
1.低反射膜形成用塗布液
本発明の低反射膜の形成方法に用いる低反射膜形成用塗布液は、有機スズ化合物およびアルコキシシランの加水分解物を含んでなり、アルコキシシランの加水分解物に対して有機スズ化合物が、酸化物換算によるモル比で表して、即ち,SiOまたはSnOに換算して、アルコキシシランの加水分解物:有機スズ化合物=99:1〜50:50の範囲に含まれてなる低反射膜形成用塗布液である。
前記低反射膜形成用塗布液を用い基体表面に塗布して塗膜とし、有機スズ化合物の分解温度以上にすることで、基体の表面に低反射膜が形成された低反射基材が得られる。前記低反射膜形成用塗布液を用いて形成された低反射膜は、多孔質であり、ボイドに屈折率1の空気を取り込むことで、屈折率1.25〜1.50の低屈折率を得、表面低反射性を基体に与える。
即ち、有機スズ化合物およびアルコキシシランの加水分解物を含んでなり、酸化物換算によるモル比でアルコキシシランの加水分解物:有機スズ化合物=99:1〜50:50の範囲に含まれてなる前記低反射膜形成用塗布液を用い、基体に塗布し塗膜とした後に、アルコキシシランが加水分解後に縮重合してシリカ膜を形成する際に、有機スズ化合物の分解温度以上にすることで、有機スズ化合物が分解して発生した有機ガスおよび水からなるガスを発生させ微小ボイドを得る。尚、有機スズ化合物は焼成後、酸化スズとなる。その際、低反射膜形成用塗布液において、アルコキシシランの加水分解物:有機スズ化合物=99:1〜50:50の範囲とすることで、屈折率1.25以上、1.50以下である多孔質体の低反射膜が基体上に得られる。
前記低反射膜形成用塗布液において、有機スズ化合物が、モル比1未満では多孔質体を得る効果がなく、モル比50より多く加えると低屈折率が得られず、低反射基材が得られないからである。好ましくは、アルコキシシランの加水分解物:有機スズ化合物=95:5〜60:40以下である。
以下、本発明の低反射膜の形成方法に用いる低反射膜形成用塗布液に含まれる必須の成分である、有機スズ化合物、アルコキシシランおよび有機溶剤について説明する。尚、これら構成物以外に、耐湿性および膜硬度を増大させるためのケイ素、ジルコニウム、アルミニウムおよびスズからなる群より選ばれる金属のアルコキシド、金属β-ジケトンまたは金属β-ジケトエステルから選ばれるキレート、ヒドロキシアミネート、ジオレートまたはヒドロキシアシレートから選ばれる水系キレートあるいは、これら金属のカルボン酸塩を加えてもよい。
2.有機スズ化合物
本発明に用いる有機スズ化合物は、毒性があるおよび入手できないトリ有機スズ化合物およびテトラ有機スズ化合物を除く、モノ有機スズ化合物、ジ有機スズ化合物であることが好ましく、入手し易さより、市販のジ有機スズ化合物をもちいることが好ましい。トリ有機スズ化合物およびテトラ有機スズ化合物は入手困難であり、実質的に使用されない。
本発明の低反射膜の形成方法に用いる低反射膜形成用塗布液に含ませる有機スズ化合物には、
一般式(1):R SnA (1)
(式中、Rは炭素数1〜12の直鎖状または炭素数3〜12の分岐鎖状のアルキル基、アリール基または炭素数6〜12のアルケニル基であり、Aは炭素数1〜18の直鎖状または炭素数3〜18の分岐鎖状のアルコキシ基またはアルコキシシリル基である。Xは1または2の整数、Yは4−Xで表される整数である。)で表される化合物が挙げられる。
前記低反射膜形成用塗布系において、市販されており入手が容易であることより、ジ有機スズ化合物を用いることが好ましく、
一般式(2):R SnA (2)
(式中、式中、Rは炭素数1〜12の直鎖状または炭素数3〜12の分岐鎖状のアルキル基、アリール基または炭素数6〜12のアリール基であり、Aは炭素数1〜18の直鎖状もしくは炭素数3〜18の分岐鎖状のアルコキシ基またはアルコキシシリル基である。)で表される化合物を用いることが好ましい。
基体に前記低反射膜形成用塗布液を塗布し塗膜とした後、有機スズ化合物が分解することより、これらRおよびAより有機ガスまたは水が発生し、アルコキシシランの加水分解物とともに塗布した際、加水分解物が縮重合してなるシリカ膜中に微小ボイドを発生させる。
一般式(2)において、Rで表わされる炭素数1〜12の直鎖状または炭素数3〜12の分岐鎖状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基またはラウリル基が挙げられ。好ましくは、炭素数1〜8の基である。炭素数1〜18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ラウリルオキシ基またはステアリルオキシ基が挙げられる。
本発明において、Aで表わされるアルコキシ基としては炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキ等が挙げられる。アルコキシシリル基としては、トリアルコキシシリケート基、モノアルキルジアルコキシシリケート基、ジアルキルモノアルコキシシリケート基またはトリアルキルシリケート基が挙げられる。
一般式(2)で示されるジアルキルスズジアルコキサイドとしては、具体的には、ジメチルスズジメトキサイド、ジメチルスズジエトキサイド、ジメチルスズジプロポキサイド、ジメチルスズジブトキサイド、ジメチルスズビス(2−エチルヘキシルオキサイド)、ジメチルスズジラウリルオキサイド、ジメチルスズジステアリルオキサイド、ジブチルスズジメトキサイド、ジブチルスズジエトキサイド、ジブチルスズジプロポキサイド、ジブチルスズジブトキサイド、ジブチルスズビス(2−エチルヘキシルオキサイド)、ジブチルスズジラウリルオキサイド、ジブチルスズジステアリルオキサイド、ジオクチルスズジメトキサイド、ジオクチルスズジエトキサイド、ジオクチルスズジプロポキサイド、ジオクチルスズジブトキサイド、ジオクチルスズビス(2−エチルヘキシルオキサイド)、ジオクチルスズジラウリルオキサイド、ジオクチルスズジステアリルオキサイド、ジラウリルスズジメトキサイド、ジラウリルスズジエトキサイド、ジラウリルスズジプロポキサイド、ジラウリルスズジブトキサイド、ジラウリルスズビス(2−エチルヘキシルオキサイド)、ジラウリルスズジラウリルオキサイドまたはジラウリルスズジステアリルオキサイドが挙げられる。これらのジアルキルスズジアルコキサイドは、ジアルキルスズオキサイドと相当するアルコールを窒素雰囲気下で加熱して反応させることで得られる。また、ジアルキルスズオキサイドとフタル酸オクチルやラウリン酸エチル等のエステル化合物とを窒素雰囲気下で加熱して反応させることで得られる。
一般式(2)で表されるジアルキルスズビス(トリアルコキシシリケート)としては、具体的には、ジメチルスズビス(トリメトキシシリケート)、ジメチルスズビス(トリエトキシシリケート)、ジメチルスズビス(トリブトキシシリケート)、ジブチルスズビス(トリメトキシシリケート)、ジブチルスズビス(トリエトキシシリケート)、ジブチルスズビス(トリブトキシシリケート)、ジオクチルスズビス(トリメトキシシリケート)、ジオクチルスズビス(トリエトキシシリケート)、ジオクチルスズビス(トリブトキシシリケート)、ジラウリルスズビス(トリメトキシシリケート)、ジラウリルスズビス(トリエトキシシリケート)またはジラウリルスズビス(トリブトキシシリケート)が挙げられる。
一般式(2)で表されるジアルキルスズビス(モノアルキルジアルコキシシリケート)としては、具体的には、ジメチルスズビス(メチルジエトキシシリケート)、ジメチルスズビス(エチルジエトキシシリケート)、ジメチルスズビス(ブチルジエトキシシリケート)、ジブチルスズビス(メチルジエトキシシリケート)、ジブチルスズビス(エチルジエトキシシリケート)、ジブチルスズビス(ブチルジエトキシシリケート)、ジオクチルスズビス(メチルジエトキシシリケート)、ジオクチルスズビス(エチルジエトキシシリケート)、ジオクチルスズビス(ブチルジエトキシシリケート)、ジラウリルスズビス(メチルジエトキシシリケート)、ジラウリルスズビス(エチルジエトキシシリケート)またはジラウリルスズビス(ブチルジエトキシシリケート)が挙げられる。
一般式(2)で表されるジアルキルスズビス(ジアルキルモノアルコキシシリケート)としては、具体的には、ジメチルスズビス(ジメチルエトキシシリケート)、ジメチルスズビス(ジエチルエトキシシリケート)、ジメチルスズビス(ジブチルエトキシシリケート)、ジブチルスズビス(ジメチルエトキシシリケート)、ジブチルスズビス(ジエチルエトキシシリケート)、ジブチルスズビス(ジブチルエトキシシリケート)、ジオクチルスズビス(ジメチルエトキシシリケート)、ジオクチルスズビス(ジエチルエトキシシリケート)、ジオクチルスズビス(ジブチルエトキシシリケート)、ジラウリルスズビス(ジメチルエトキシシリケート)、ジラウリルスズビス(ジエチルエトキシシリケート)またはジラウリルスズビス(ジブチルエトキシシリケート)等が挙げられる。
一般式(2)で表されるジアルキルスズビス(トリアルキルシリケート)としては、具体的には、ジメチルスズビス(トリメチルシリケート)、ジメチルスズビス(トリエチルシリケート)、ジメチルスズビス(トリブチルシリケート)、ジブチルスズビス(トリメチルシリケート)、ジブチルスズビス(トリエチルシリケート)、ジブチルスズビス(トリブチルシリケート)、ジオクチルスズビス(トリメチルシリケート)、ジオクチルスズビス(トリエチルシリケート)、ジオクチルスズビス(トリブチルシリケート)、ジラウリルスズビス(トリメチルシリケート)、ジラウリルスズビス(トリエチルシリケート)またはジラウリルスズビス(トリブチルシリケート)が挙げられる。
これらのジアルキルスズシリケート化合物は、ジアルキルスズオキサイドやジアルキルスズジカルボキシレートとトリオルガノシシリケート化合物とを窒素雰囲気下で加熱して反応させることで得られる。
本発明低反射膜の形成方法に用いる低反射膜形成用塗布液において、好ましいアルコキシシランであるテトラアルコキシシリケートとの相性よく安定性に優れ、屈折率が低く、多孔質でありながら硬い低反射膜を与えることより、
有機スズ化合物には
一般式(3):R Sn(OCOR または 一般式(4):(R Sn(OCOR)O
(式中、Rは炭素数1〜12の直鎖状または炭素数3〜12の分岐鎖状のアルキル基、アリール基または炭素数6〜12のアリール基であり、Aは炭素数1〜18の直鎖状もしくは炭素数3〜18の分岐鎖状のアルコキシ基またはアルコキシシリル基である。Pは1または2の整数、Qは4−Pまたは3−Pで表される整数である。)で表される化合物を用いることが好ましい。即ち、Snの価数は4であるので、一般式(3)において、Qは4−Pであり、一般式(4)において、Qは3−Pである。
毒性の懸念等なく、入手が容易であることより、スズ原子は、2有機置換スズの状態であることが好ましく、本発明の低反射膜形成用塗布液には、
一般式(5):R Sn(OCOR または 一般式(6):(R Sn(OCOR))
(Rは炭素数1〜12の直鎖状または炭素数3〜12の分岐鎖状のアルキル基、アリール基または炭素数6〜12のアリール基であり、Aは炭素数1〜18の直鎖状もしくは炭素数3〜18の分岐鎖状のアルコキシ基またはアルコキシシリル基である。)
で表されるジ有機スズ化合物を用いることが好ましい。
はメチル基、エチル基、プロピル基、ペンチル基、ヘキシル基、ラウリル基またはオクチル基が好ましく、分枝鎖状のイソプロピル基、ターシャリブチル基または2エチルヘキシル基であってもよい。Rも同様に、メチル基、エチル基、プロピル基、ペンチル基、ヘキシル基、ラウリル基またはオクチル基が好ましく、分枝鎖状のイソプロピル基、ターシャリブチル基または2エチルヘキシル基であってもよい。
このような化合物として、ジブチルスズジラウレート、即ち、(CSn[OCO(CH10CH、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ドデカノイルジスタノキサン、即ち、[(CSn(OCO(CH10CH)]O、ジブチルスズジアセテート、即ち、(CSn(OCOCH、ジオクチルスズジラウレート、即ち、(C17Sn[OCO(CH10CH、ジオクチルスズジアセテート、即ち、(C17Sn(OCOCH、またはジオクチルスズジネオデカノエート、即ち(C17Sn(OCO(CHCH−neo)を挙げることができる。
低反射膜形成用塗布液において、特に好ましくは、有機スズ化合物として、ジブチルスズジラウレート、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ドデカノイルジスタノキサン、ジブチルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジアセテートおよびジオクチルスズジネオデカノエートよりなる群から選ばれる少なくとも一つを用いることが好ましい。
これら化合物は、日東化成株式会社から製品名ネオスタンU−100(ジブチルスズジラウレート、即ち、(CSn[OCO(CH10CH)ネオスタンU−130(1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ドデカノイルジスタノキサン、即ち、[(CSn(OCO(CH10CH)]O)、ネオスタンU−200(ジブチルスズジアセテート、即ち、(CSn(OCOCH)、ネオスタンU−810(ジオクチルスズジラウレート、即ち、(C17Sn[OCO(CH10CH)、ネオスタンU−820(ジオクチルスズジアセテート、即ち、(C17Sn(OCOCH)およびネオスタンU−830(ジオクチルスズジネオデカノエート、即ち(C17Sn(OCO(CHCH−neo))として、市販される。
3.アルコキシシラン
本発明の低反射膜の製造方法に使用する低反射膜形成用塗布液に用いるアルコキシシランを加水分解物は、
一般式(7):R Si(OR4−m (7)
(式中、RおよびRはそれぞれ独立に炭素数1〜4の直鎖状または炭素数3、4の分岐鎖状のアルキル基であり、mは0〜3の整数である)
で表されるアルコキシシランの加水分解物であることが好ましい。
一般式(7)において、RおよびRで表される炭素数1〜4の直鎖状または炭素数3、4の分岐鎖状のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル等のアルキル基等が挙げられる。m個のRは同一であってもよく、異なっていてもよい。また(4−m)個のRは同一であっても、異なっていてもよい。
一般式(7)で表されるアルコキシシランおよびその加水分解物としては、具体的には、テトラアルコキシシラン、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシランまたはテトラブトキシシラン、およびそれらの加水分解物、モノアルキルトリアルコキシシラン、例えば、トリエトキシメチルシラン、トリエトキシエチルシラン、トリエトキシプロピルシラン、トリエトキシイソプロピルシランまたはトリエトキシブチルシラン、およびそれらの加水分解物、ジアルキルジアルコキシシラン、例えば、ジエトキシジメチルシラン、ジエトキシジエチルシラン、ジエトキシジプロピルシラン、ジエトキシジイソプロピルシランまたはジエトキシジブチルシラン、およびそれらの加水分解物、トリアルキルモノアルコキシシラン、例えば、エトキシトリメチルシラン、エトキシトリエチルシラン、エトキシトリプロピルシラン、エトキシトリイソプロピルシランまたはエトキシトリブチルシラン、およびこれらの加水分解物が挙げられる。これらの中で、テトラアルコキシシランまたはその加水分解物が好ましく、具体的には、テトラエトキシシランの加水分解物である。
4.有機溶剤
低反射膜形成用塗布液に用いる有機溶剤は、有機スズ化合物およびアルコキシシランが加水分解物を溶解または分散できればよく、アルコール、エステルおよびケトン等の中から、安定性よく液寿命が長いこと、および所望の塗布方法に対し塗布が容易であること、安全性を考慮して選ぶことができる。アルコールとしては、メソノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールまたはターシャリブタノールが挙げられ、エステルとしては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピルまたは酢酸ブチルが挙げられ、ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが挙げられ、これらを混合してもよい。尚、低反射膜形成用塗布液にアルコキシシラン加水分解および液の安全性を考慮して、安定性および液寿命が損なわれない程度に水を加えてもよい。
5.低反射膜形成用塗布液の調製方法
低反射膜形成用塗布液を調製する際は、前述の有機スズ化合物およびアルコキシシランの加水分解物を、前述有機溶媒または水との混合溶媒に溶解させる。
例えば、有機スズ化合物としてはジ有機スズ化合物を用いることが好ましく、ジブチルスズジラウレート、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ドデカノイルジスタノキサン、ジブチルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジアセテートまたはジオクチルスズジネオデカノエートを用い、アルコキシシランとして、エトキシトリメチルシラン、エトキシトリエチルシラン、エトキシトリプロピルシラン、エトキシトリイソプロピルシランまたはエトキシトリブチルシラン、好ましくは、テトラエトキシシランの加水分解物を用い、メソノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールまたはターシャリブタノール等に溶解させる。
塗布液の濃度は、SiO+SnOによる酸化物換算で0.2質量%以上、20質量%以下であることが好ましい。濃度が0.2質量%より薄いと、低反射膜に所望の膜厚が得にくい。即ち、所望より薄いか膜が形成し難い。濃度が20質量%より濃いと、低反射膜に所望の膜厚が得にくく膜が厚くなり、クラックが発生しやすくなる。好ましくは0.2質量%以上、10質量%以下である。
6.低反射膜の形成方法
本発明の低反射膜の形成方法は、上記低反射膜形成用塗布液を、基体表面に塗布し塗膜とした後、有機スズ化合物を分解し酸化スズとなる際の分離ガスを発生により、アルコキシシランが脱水縮合してなるシリカ膜中に、分離ガスの発生によるボイドを形成させつつ塗膜を硬化させ、シリカに対する酸化スズの含有が1質量%以上、50質量%以下の範囲であり、屈折率1.25以上、1.50以下である多孔質性の低反射膜を基体上に形成する。
本発明の低反射膜の規制方法の大きな特徴は、室温下、日単位で放置しても、多孔質低屈折率性の低反射膜が得られることである。このことは、アルコキシシランが脱水縮合する過程で、有機スズ化合物が分解していることによると推察される。
上記、低反射形成用塗布液をガラス板等の基体上に塗布することで、酸化スズおよびシリカが含まれてなり、モル比で表して、シリカ:酸化スズ=99:1〜50:50の範囲に含まれてなる屈折率1.25以上、1.50以下である、低反射膜が得られる。即ち、本発明によって、多孔質であり、孔(ボイド)に屈折率1の空気を取り込んだ屈折率1.25以上、1.50以下の低反射膜が得られた。
また、本低反射膜は、酸化スズを含むために、接触角が低く、2°以上、40°以下となり、低反射膜が形成された面の1cmあたりの表面抵抗値10Ωcm以上、1012Ωcmであった。低反射膜中のシリカ(SiO):酸化スズ(SnO)はモル比で表して、シリカ:酸化スズ=99:1〜50:50であることが好ましく、当該モル比で、シリカに対して酸化スズが1未満では多孔質体を得る効果がなく、50より多く加えると低反射膜に低屈折率が得られず、低反射基材が得られない。より好ましくは、5以上、40以下である。
本方法で、ガラス板を基体としてガラス板両面に膜厚70nm以上、150nm以下の低反射膜を形成することで、光波長域380nm〜1200nmの平均透過率が95%以上である、低反射膜付き部材としての低反射膜付きガラス板が得られた。ガラス板の板厚は、ディプレイ用においては0.3mm以上、1mm以下であり、太陽電池カバーガラスにお手は1mm以上、6mm以下である。
本発明の低反射膜のガラス板表面における、好ましい膜厚は、50nm以上、200nm以下である。膜厚を50nmより薄くすると耐磨耗性に劣る、また成膜が困難である。また200nmより厚くすると、膜厚が不均一となり、成膜し難い。可視光に対し低い反射率を得るためには、好ましくは70nm以上、150nm以下、さらに好ましくは、100nm以上、120nm以下である。
前記低反射膜形成用塗布液を、基体表面に塗布し塗膜とした後に有機スズ化合物の分解温度以上とすることで、有機スズ化合物を分解し酸化スズとなる際に分離ガスを発生させて、アルコキシシランが焼成してなるシリカ膜中に分離ガスの発生によるボイドを形成させ低反射膜を得る。前述のように、低反射膜は有機スズ化合物が分解することで形成することが可能であり、本発明の低反射膜の形成方法において室温(20℃)で、長時間、具体的には24時間以上静置することでも低反射膜は形成される。短時間で硬い低反射膜が得るには、加熱焼成することが好ましく、温度は基体の材料により、適宜調整されるが、900℃以上であると基体が変形し現実的ではない。好ましくは、800℃以下である。
基体がプラスチック製透明基材の場合、基材の種類にもよるが変形または発泡が生じない温度以下で加熱処理することが好ましい。
また、無機質のガラス基材においては、加熱焼成時間を調整することにより、700℃程度の高温での加熱焼成も可能である。好ましい態様として、500℃以上、700℃以下で2〜3分間、即ち、120〜180秒間、加熱焼成することにより、耐磨耗性に優れた低反射膜が得られた。
低反射膜付き部材を得るための、本発明の低反射膜形成用塗布液からなる低反射膜を形成するための基体としての透明基板には、無機質のガラス基材、以外に有機質のプラスチック製基材等を用いることが出来る。無機質のガラス基材の例としては、ソーダライムガラス、硼珪酸ガラス、アルミノ珪酸ガラス、バリウム硼珪酸ガラスまたは石英ガラス等の板状のものを用いることができる。さらには、これらガラス基材は、クリアガラス品、グリーンブロンズ等の着色ガラス品、UV、IRカットガラス等の機能性ガラス品、低Fe高透過ガラス、強化ガラス、半強化ガラスまたは合せガラス等の安全ガラス品も使用され得る。また、これらガラス表面には、型板ガラス等パターンが形成されたものであってもよい。
セラミックスとしてはSi、SiC、サファイヤ、Siウェハー、GaAs、InPまたはAlN等の基板にも使用される。
また、プラスチック製基材の例としては、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメソクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)またはポリイミド等が挙げられる。
本発明の低反射膜の形成方法は、先行技術(特許文献1、特許文献2)と比較して、無機酸化物を除去することなく、コロイド粒子表面をシリカで被覆することなく、複合酸化物ゾルを調整した後に基材表面に被覆することなく、直接、単層膜で基材表面に被覆し低反射膜を形成することが可能である。
7.低反射膜付き部材
本発明の低反射膜の形成方法で、表面に低編者膜が形成された低反射膜付基材は、酸化スズを有することより、親水性であり、帯電防止、防曇性および防汚性を有する。
本発明の低反射膜の形成方法により、低屈折率で親水性であり、酸化スズを有することより、帯電防止、防曇性および防汚性を有する低反射膜付き部材が得られた。
本発明の低反射膜付き部材が、例えば低反射膜付きガラスであるならば、太陽電池用カバーガラス、レンズ等の光学材料、陰極線管や液晶表示装置等の画像表示面、窓あるいはショーケース、天窓材、温水器、照明器具等の板ガラスや透明プラスチック等の親水性・防汚性・低反射帯電防止の求められる広い分野において利用できる。具体的には、本発明の低反射膜の形成方法により得られた低反射膜を有する低反射膜付き部材は、太陽電池用カバーガラス、自動車用ガラス(特にフロントガラス)または照明器具の保護部材に好適に使用され、太陽電池の受光効率向上、発電の変換効率の向上、フロントガラスの映り込み防止、または照明器具やLEDや有機ELなどの保護部材として高い可視光透過率による照度向上等の格別の効果が得られる。
また、本発明の低反射膜の形成方法により低反射膜が形成された低反射膜付き部材は、基体がFe分を極力低減した低Fe高透過ガラスであるならば、太陽電池用カバーガラスとして有用である。太陽電池用カバーガラスとして使用する場合においては、高い透過率および低い反射率が要求されるうえ、太陽電池は太陽光に常時暴露されるため、防汚性、耐水性および耐候性等を併せ持つ材料が望まれる。
実施例1〜3において、アルコキシシランとジ有機スズ化合物のモル比、およびジ有機スズ化合物の種類を変えて、本発明の低反射膜の形成方法による低反射膜付きガラスを作製した。比較例1において、テトラエトキシシランのみ用いた膜付きガラス、比較例2において、ジ有機スズ化合物のみ用いた膜付きガラスを作製し、平均透過率、膜厚、屈折率、表面抵抗値、接触角を測定した。
測定方法を表1に示す。
Figure 2013228643
測定
実施例1
[低反射膜形成用塗布液の調製]
1リットルの3口フラスコ内にイソプロパノール323.3gを量り採り、フラスコ内を窒素置換した後、撹拌しながらテトラエトキシシラン(以下、TEOSと称することがある)22.5gを添加して、さらに30分間撹拌し続けた。次いで、フラスコ内に濃度0.5mol/リットルの硝酸水溶液15.6gを1時間かけて徐々に滴下した後、50℃に加温した状態で3時間撹拌しTEOSを加水分解させて前駆体ゾルを得た。次いで、前駆体ゾルを室温(約20℃、以下同じ)まで冷却した後、酸化物換算によるモル比でアルコキシシランの加水分解物:有機スズ化合物(SiO:SnO)=80:20となるように、ジブチルスズジラウレート(日東化成株式会社製、商品名、U−100)8.57gを添加し、室温で約2時間撹拌して無色透明な低反射膜形成用塗布液を得た。この塗布液の加熱残分の重量分析をしたところ、測定結果は、酸化物換算(SiO+SnO)で固形分濃度2.20質量%であった。
[低反射膜の形成]
ソーダライムガラス基板(厚み3mm、大きさ200mm×100mm)を、表面の付着物を除去するため研磨剤に酸化セリウムを用い表面を研磨後、純水ですすぎ洗いし、表面を清浄に乾燥させ、片面をポリエチレンシートでマスキングした基板を用いた。この基板を、低反射膜形成用塗布液を満たした槽に浸漬した後、3mm/secの速度で引き上げて片面に塗膜を形成した後、100℃の乾燥炉内で乾燥させ、焼成炉で680℃、180秒間焼成した。このようにして片面に低反射膜が形成された、低反射膜付きガラスが得られた。この低反射膜の走査型電子顕微鏡(SEM)によるSEM写真を図1に示す。図1に示したように低反射膜は約30×100nmの扁平楕円形ボイドを含む膜であった。
[膜物性評価]
分光光度計による透過率曲線を図2に示す。
低反射膜形成前のソーダライムガラス基板の平均光透過率(380〜1200nm)が90.2%であったことに対して、実施例1の片面に低反射膜が形成された低反射膜付きガラスの平均光透過率は94.0%であった。前記測定方法で測定した膜厚は112nm、屈折率1.32(635nm)、純水接触角4.0°、表面抵抗値3.8×1010Ωcmであった。
実施例2
[低反射膜形成用塗布液の調製]
1リットルの3口フラスコ内にイソプロパノール322.8gを量り採り、フラスコ内を窒素置換した後、撹拌しながらTEOS 25.4gを添加して、さらに30分間撹拌し続けた。次いで、フラスコ内に濃度0.5mol/リットルの硝酸水溶液17.6gを1時間かけて徐々に滴下した後、50℃に加温した状態で3時間撹拌しTEOSを加水分解させて前駆体ゾルを得た。次いで、前駆体ゾルを室温まで冷却した後、酸化物換算によるモル比でアルコキシシランの加水分解物:有機スズ化合物(SiO:SnO)=90:10となるように、ジブチルスズジラウレート(日東化成株式会社製、商品名、U−100)4.28gを添加し、室温で約2時間撹拌して無色透明な低反射膜形成用塗布液を得た。この塗布液の加熱残分の重量分析をしたところ、測定結果は、酸化物換算(SiO+SnO)で固形分濃度2.20質量%であった。
[低反射膜の形成]
次いで、実施例1と同様の手順で低反射膜付きガラスを作製した。
[膜物性評価]
分光光度計による透過率曲線を図2に示す。
低反射膜形成前のソーダライムガラス基板の平均光透過率(380〜1200nm)が90.2%であったことに対して、の片面に低反射膜が形成された実施例2低反射膜付きガラスの平均光透過率は94.1%であった。前記測定方法で測定した膜厚は103nm、屈折率1.29(635nm)、純水接触角3.5°、表面抵抗値3.5×1010Ωcmであった。
実施例3
1リットルの3口フラスコ内にイソプロパノール322.6gを量り採り、フラスコ内を窒素置換した後、撹拌しながらTEOS 24.0gを添加して、さらに30分間撹拌し続けた。次いで、フラスコ内に濃度0.5mol/リットルの硝酸水溶液16.6gを1時間かけて徐々に滴下した後、50℃に加温し他状態で3時間撹拌しTEOSを加水分解させて前駆体ゾルを得た。次いで、前駆体ゾルを室温まで冷却した後、酸化物換算によるモル比でアルコキシシランの加水分解物:有機スズ化合物(SiO:SnO)=85:15となるように、ジオクチルスズジネオデカノエート(日東化成株式会社製、商品名、U−830)6.78gを添加し、室温で2時間撹拌して無色透明な低反射膜形成用塗布液を得た。この塗布液の加熱残分の重量分析をしたところ、測定結果は、酸化物換算(SiO+SnO)で固形分濃度2.20質量%であった。
[低反射膜の形成]
次いで、実施例1と同様の手順で低反射膜付きガラスを作製した。
[膜物性評価]
低反射膜形成前のソーダライムガラス基板の平均光透過率(380〜1200nm)が90.2%であったことに対して、片面に低反射膜が形成された実施例3の低反射膜付きガラスの平均光透過率は93.8%であった。前記測定方法で測定した膜厚は125nm、屈折率1.30(635nm)、純水接触角3.8°、表面抵抗値3.8×1011Ωcmであった。
比較例1
実施例1で調合したTEOSの前駆体ゾルのみを用い、ジ有機スズ化合物を添加せず、実施例1と同様の手順で前駆体ゾルのみをソーダライムガラス基板に塗布し、実施例1と同様の条件で焼成した。形成された膜の屈折率は1.45、膜厚が108nmであった。得られた片面に膜が形成された膜付きガラスの透過率は91.6%であり、膜は多孔質低屈折性でなくバルク状のボイドのない膜であり、低反射膜付きガラスと言えるものでなかった。
比較例2
イソプロパノールにジブチルスズジラウレート(日東化成株式会社製、商品名、U100)のみ加え、液を調合し、実施例1と同様の手順でソーダライムガラス基板に膜を形成したところ、ガラス基板は白濁しており、酸化スズの粉末が付着しているだけであり、低反射膜の形成ができなかった。

Claims (13)

  1. 有機スズ化合物およびアルコキシシランの加水分解物を含んでなり、アルコキシシランの加水分解物に対して有機スズ化合物が、酸化物換算によるモル比で表して、アルコキシシランの加水分解物:有機スズ化合物=99:1〜50:50の範囲に含まれてなる低反射膜形成用塗布液を基体表面に塗布して塗膜とし、有機スズ化合物の分解温度以上にすることを含む、屈折率1.25以上、1.50以下である多孔質性酸化物膜の低反射膜を基体上に形成する、低反膜の形成方法。
  2. 有機スズ化合物が一般式(1):R SnA (1)
    (式中、Rは炭素数1〜12の直鎖状または炭素数3〜12の分岐鎖状のアルキル基、アルケニル基または炭素数6〜12のアリール基であり、Aは炭素数1〜18の直鎖状または炭素数3〜18の分岐鎖状のアルコキシ基またはアルコキシシリル基である。Xは1または2の整数、Yは4−Xで表される整数である。)
    で表される化合物である、請求項1に記載の方法。
  3. スズ化合物が一般式(2):R SnA (2)
    (式中、Rは炭素数1〜12の直鎖状または炭素数3〜12の分岐鎖状のアルキル基、アルケニル基または炭素数6〜12のアリール基であり、Aは炭素数1〜18の直鎖状もしくは炭素数3〜18の分岐鎖状のアルコキシ基またはアルコキシシリル基である。)で表されるジ有機スズ化合物である、請求項1または請求項2に記載の方法。
  4. 有機スズ化合物が
    一般式(3):R Sn(OCOR (3)
    または
    一般式(4):(R Sn(OCOR)O (4)
    (式中、Rは炭素数1〜12の直鎖状または炭素数3〜12の分岐鎖状のアルキル基、アリール基または炭素数6〜12のアルケニル基であり、Aは炭素数1〜18の直鎖状もしくは炭素数3〜18の分岐鎖状のアルコキシ基またはアルコキシシリル基である。Pは1または2の整数、Qは4−Pまたは3−Pで表される整数である。)
    で表される化合物である、請求項1に記載の方法。
  5. スズ化合物が
    一般式(5):R Sn(OCOR (5)
    または
    一般式(6):(R Sn(OCOR))O (6)
    (式中、Rは炭素数1〜12の直鎖状または炭素数3〜12の分岐鎖状のアルキル基、アリール基または炭素数6〜12のアリール基であり、Aは炭素数1〜18の直鎖状もしくは炭素数3〜18の分岐鎖状のアルコキシ基またはアルコキシシリル基である。)
    で表されるジ有機スズ化合物である、請求項4に記載の方法。
  6. アルコキシシランが一般式(7):R Si(OR4−m (7)
    (式中、RおよびRはそれぞれ独立に炭素数1〜4の直鎖状または炭素数3〜4分岐鎖状のアルキル基であり、mは0〜3の整数である)で表される化合物またはその加水分解物である、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の方法。
  7. アルコキシシランがテトラアルコキシシランである、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の方法で低反射膜が形成されてなる低反射膜付き部材。
  9. 低反射膜の厚みが膜厚50nm以上、200nm以下である請求項8に記載の低反射膜付き部材
  10. JIS R3257(1999)に準拠する純水接触角が2°以上、40°以下である低反射膜が形成されてなる、請求項8または請求項9に記載の低反射膜付き部材。
  11. 低反射膜が形成された面の1cmあたりの表面抵抗値が10Ωcm以上、1012Ωcm以下である、請求項8乃至請求項10のいずれか1項に記載の低反射膜付き部材。
  12. 基体がガラス板である請求項8乃至請求項11のいずれか1項に記載の低反射膜付き部材。
  13. 請求項12の低反射膜付き部材を用いてなる、太陽電池カバーガラス。
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