JP2013228320A - 水質評価方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】超純水中に含まれるアミン系の有機物などを短時間で高精度に検出し、超純水の水質を評価できる方法および装置を提供する。
【解決手段】試料水は、配管1、バルブ2、加温手段3を通ってカラム4に上向流にて通水される。カラム4内にはシリコン物質の粒子Siが充填されており、このシリコン物質の粒子Siが流動層を形成するように上向流の流速が選定される。シリコン物質の粒子Siと接触した水は、配管5、バルブ6、流量計7を通って排出される。この水の一部は、配管7から分岐する配管8によって分取され、水素濃度計9にて水素濃度が測定された後、流量計10を通って流出する。カラム4への通水速度をSV100〜10,000h−1とする。
【選択図】図1
【解決手段】試料水は、配管1、バルブ2、加温手段3を通ってカラム4に上向流にて通水される。カラム4内にはシリコン物質の粒子Siが充填されており、このシリコン物質の粒子Siが流動層を形成するように上向流の流速が選定される。シリコン物質の粒子Siと接触した水は、配管5、バルブ6、流量計7を通って排出される。この水の一部は、配管7から分岐する配管8によって分取され、水素濃度計9にて水素濃度が測定された後、流量計10を通って流出する。カラム4への通水速度をSV100〜10,000h−1とする。
【選択図】図1
Description
本発明は純水(超純水を含む。)の水質を評価する方法及び装置に関する。
ICやメモリーをはじめとする半導体製造工場や液晶パネル製造工場などでは、超純水が大量に使用されている。
半導体製造工程においては、半導体デバイスの高精細化が進むに従い、シリコン表面の清浄度の維持、平坦度の維持が重要になってくる。高精細度の半導体を製造する工程においては、超純水が表面のシリコンをわずかでも溶解させると、表面のエッチングに伴う表面荒れが生じ、それに伴い電気特性を低下させるおそれがある。
従って、半導体製造工程においては、シリコン表面荒れを生じさせることがない超純水を使用することが必要であり、超純水がシリコン表面をエッチングする性質を有するか否かを判断することは重要な課題である。
超純水中の不純物は、金属などの無機物以外に、有機物があり、全有機性炭素濃度(TOC)での管理がなされており、1ppb程度以下に保持されている。TOCとしては、1ppb以下であっても、アミン系の有機物が含まれていると、シリコンウエハをエッチングしてしまい、表面の粗さを大きくすることが知られている。また、アミン系の有機物のうちでも、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミンあるいはオクタデシルアミンなどのアルキル鎖が長いものほど、エッチング量が多いことが知られている(特許第4056417号)。このアミン系の不純物は、超純水を製造する際に利用されるアニオン交換樹脂などの溶出物である。半導体工場で新設された超純水設備や、運転を中断した後の再開時に、このようなアミン系の有機物が多く含まれる超純水が排出されることが知られている。
超純水設備からの超純水が半導体洗浄に用いても良いものかどうかを判定するために、この超純水を用いてウエハを洗浄し、洗浄後のウエハ表面の凹凸を赤外分光法で分析するか原子間力顕微鏡で観察する方法が行われているが、長時間を要すると共に、現場では行いにくい。
特開2010−236906、特開2011−174869には、試料水をシリコン物質充填カラムに通水してシリコン物質と接触させ、該カラム流出水中の溶存水素濃度を測定し、該シリコン物質との接触によって上昇した溶存水素濃度に基づいて、試料水の水質を評価する水質評価方法が記載されている。
試料水中にアミン類などの有機物が混入していると、シリコン表面に吸着された有機物が触媒的に作用し、Si+2H2O→SiO2+2H2なる反応に従って水素が発生する。この水素は溶存水素となって水中に存在する。従って、溶存水素濃度はシリカ濃度と相関関係にあるため、溶存水素濃度の上昇をモニタリングすることによって、試料水がシリコンにエッチングを生じさせる水質かどうかを評価することができる。
上記特許文献2,3の方法では、常温の試料水をカラムに通水しているため、シリコン物質と試料水との反応に時間がかかり、測定時間が長くなる。
本発明は、純水中に含まれるアミン系の有機物などを短時間で高精度に検出し、純水の水質を評価できる方法および装置を提供することを目的とする。
本発明の水質評価方法は、シリコン物質の粒子が充填されたカラムに純水からなる試料水を通水し、通水後の試料水の溶存水素濃度を測定し、該測定値に基づいて試料水の水質を評価する水質評価方法において、該カラムに試料水を加温して通水することを特徴とするものである。
上記の加温温度は25〜40℃特に30〜40℃が好適である。
本発明の水質評価装置は、シリコン物質の粒子が充填されたカラムと、該カラムに純水からなる試料水を通水する通水手段と、通水後の試料水の溶存水素濃度を測定する手段とを有する水質評価装置において、該試料水を加温する加温手段を備えたことを特徴とするものである。
本発明によれば、試料水をカラムに加温して通水するので、シリコン物質と試料水との反応が速くなる。そのため、超純水中の極微量のアミン系の有機物を短時間で高精度に検出し、超純水の水質を精度よく評価することができる。
本発明の水質評価方法及び装置は、試料水、特に超純水をシリコン物質と接触させて該超純水中の溶存水素濃度を測定することによって、この超純水がシリコンウエハ表面をエッチングする性質を有するか否かを容易に判定できるので、半導体製造上の不具合の発生防止に極めて有効である。
本発明の評価装置を、超純水製造装置直近、製造装置内、工場への供給配管途上等、任意の位置に設置することにより、水質評価を迅速に実行することが可能となる。従って、本発明は、半導体製造上の不具合の原因及びその発生源の解明に役立ち、解決に大きく寄与する。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明では、シリコン物質の粒子が充填されたカラムに純水からなる試料水を加温して通水し、通水後の試料水の溶存水素濃度を測定し、該測定値に基づいて試料水の水質を評価する。
前述の通り、試料水中にアミン類などの有機物が混入していると、シリコン表面に吸着された有機物が触媒的に作用し、Si+2H2O→SiO2+2H2なる反応に従って水素が発生する。この水素は溶存水素となって水中に存在する。従って、溶存水素濃度の上昇をモニタリングすることによって、試料水の水質を評価することができる。
本発明では、試料水をカラムに加温して通水するので、シリコン物質と試料水との反応が速くなる。このため、超純水中の極微量のアミン系の有機物を短時間で高精度に検出し、超純水の水質を精度よく評価することができる。
この加温温度は25℃〜40℃程度とするのが好ましい。常温のように25℃より低いときは反応に時間が多大であり好ましくない。一方、40℃より高いときは通水開始直後から溶存水素濃度が低下して検出困難になることがある。これは、シリコン粒子の表面が酸化されてしまい反応場を失うため溶存有機物の分解反応が起こらず反応に伴う溶存水素の発生も途絶えるためであると考えられる。シリコン粒子の表面は撥水性であるが、高温の試料水を通水した後は撥水性を失っており、シリコン粒子の表面が酸化されて親水性になっているものと推定される。
このように試料水を適切な温度範囲に加温した状態で通水すると、4〜8時間程度の短時間での水質判定が可能となる。
水温を加温する手段に制限はないが、水をステンレスチューブに通して、ウォーターバスなどの加熱装置を用いるものなどが例示される。
本発明に従って、シリコン物質と接触した後の純水中の溶存水素濃度を測定し、当該物質との接触前の溶存水素濃度と比較すれば、当該物質との接触によって上昇した溶存水素濃度を測定することができる。従って、定期的或いは連続的に溶存水素濃度を測定することにより、純水の水質、特にエッチング性の変動をモニタリングすることができる。また、シリコンへの接触条件を一定のものにすることで、複数種の試料水がシリコンに対して有するエッチング能力を相対的に比較対比することができる。
本発明ではシリコンの充填量と通水量との関係が、SV=100〜10,000h−1好ましくは200〜5000h−1となるように調節し、カラム内に流動層を形成するのが好ましい。このように流動層を形成することにより、シリコン物質と試料水との反応が速くなり、超純水中の極微量のアミン系等の有機物を短時間で高精度に検出し、超純水の水質を精度よく評価することができる。ここでSVとはSpace Velocity(空間速度)の略称であり、1時間あたりの通水量をシリコンの充填量で除算した値となる。SVが10000h−1よりも大きくなると、超純水がシリコンの充填材に接触する時間が短くなり、超純水中の有機物の検出感度が低くなる。一方、SVが100h−1を下回ると、水素濃度が飽和状態となるのに極めて長い時間(24時間以上)を要し、検出時間が長くなる。
充填材料のシリコンとしては金属シリコンが用いられる。この金属シリコンとしては、純度が99%の金属シリコン(純度は2N、不純物を1%含む)を用いるよりは、純度6N以上のもの、例えば高純度の半導体ウエハ(99.999999999%,11N)の破砕物あるいは、太陽電池用(99.9999%,6N以上)に球状に形成されたシリコン(例えば特許第4074931号に記載のもの)を利用するのが望ましい。
シリコン物質の大きさ(粒径)は、特に制限はないが、0.2mm〜2.0mmが良く、望ましくは0.2mm〜1.0mm程度とする。シリコン物質の形状は、特に制限はない。再溶解して、球形にしたものでも良い。
シリコンは水素終端化されていることが好ましく、その方法としてまず次亜塩素酸やオゾン水などの酸化剤でシリコン表面の有機物を酸化処理し、次いでフッ酸で水素終端化するのが望ましい。次亜塩素酸の濃度は5〜15%程度が好ましく、処理時間は30分程度が良い。次亜塩素酸を40℃から80℃に加熱してシリコンを処理するのが好ましい。次亜塩素酸は、塩の形態をとるものでもよく、たとえば、次亜塩素酸ナトリウムなどが利用できる。酸化剤としてオゾン水を用いる場合、オゾン水のオゾン濃度は1ppm以上が好ましく、処理時間は30分程度が良い。フッ酸の濃度は0.5〜1%程度で良く、処理時間は5分程度が良い。
シリコン物質を充填するためのカラムとしては、超純水と接触して溶出物を排出しなければ良く、アクリル製でも良く、ポリテトラフルオルエチレン、PFA等のフッ素樹脂製でも良い。
水中の溶存水素濃度測定には、各種の溶存水素濃度計を用いることができ、例えば、隔膜電極式溶存水素濃度計が挙げられる。水から離脱したガス中の水素濃度を測定してもよく、この場合、気体の水素を測定するには、0〜5,000ppm程度の低濃度の水素ガスを検出できる高感度ガスセンサーを用いる。このようなガスセンサーとしては、接触燃焼式あるいは熱線型半導体式のものが望ましい。
なお、本発明において、超純水は次の水質を満たすものであることが好ましい。
電気比抵抗 :18MΩ・cm以上
金属イオン濃度:5ng/L以下
残留イオン濃度:10ng/L以下
微粒子数 :1mL中に0.1μm以上の微粒子5個以下
TOC :0.1〜10μg/L
金属イオン濃度:5ng/L以下
残留イオン濃度:10ng/L以下
微粒子数 :1mL中に0.1μm以上の微粒子5個以下
TOC :0.1〜10μg/L
本発明で検知対象となる、シリコン表面荒れを生じさせる有機物としては、アミン類が挙げられる。アミン類のうち特にドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミンなどのアルキル鎖が長いものは、エッチング量が多いため、本発明方法により精度よく検知することができる。
以下、図面を参照して本発明についてさらに詳細に説明する。
第1図は本発明方法及び装置を示すフロー図である。
試料水は、配管1、流量調節バルブ2及び加温手段3を通ってカラム4に上向流にて通水される。カラム4内にはシリコン物質の粒子Siが充填されており、このシリコン物質の粒子Siが流動層を形成するように上向流の流速が選定される。シリコン物質の粒子Siと接触した水は、配管5、バルブ6、流量計7を通って系外に排出される。この水の一部は、配管7から分岐する配管8によって分取され、水素濃度計9にて水素濃度が測定された後、流量計10を通って系外に排出される。
以下、実施例及び比較例について説明する。
[実施例1]
図1において、内径25mm、高さ700mmのアクリル製カラム内に平均粒径0.6mmの高純度シリコン粒子(純度:6N)を160mL充填した。なお、シリコン粒子は、充填前に60℃の次亜塩素酸ナトリウム12%水溶液で30分洗浄した後に、1%HF溶液中に5分浸漬して水素終端化を行っている。加温手段としては、長さ5mのステンレスチューブをコイル状に巻いたものをウォーターバス中に浸漬配置したものを用いた。
図1において、内径25mm、高さ700mmのアクリル製カラム内に平均粒径0.6mmの高純度シリコン粒子(純度:6N)を160mL充填した。なお、シリコン粒子は、充填前に60℃の次亜塩素酸ナトリウム12%水溶液で30分洗浄した後に、1%HF溶液中に5分浸漬して水素終端化を行っている。加温手段としては、長さ5mのステンレスチューブをコイル状に巻いたものをウォーターバス中に浸漬配置したものを用いた。
超純水製造設備からの超純水(20℃)をこの加温手段で25℃に加温し、0.8L/minの流量にてカラムに上向流で通水したところ、シリコン粒子は展開して層高300mmの流動層となった。このときのSVは300h−1であった。カラム流出水中の溶存水素濃度を、隔膜電極式溶存水素計(アプリクス製)により測定した。
表1の通り、溶存水素濃度は通水開始から3時間経過時までは2.15ppb程度で横ばいであったが、3時間経過後から増加し初め、増加開始から5時間で4ppb程度にまで上昇した。その後は、溶存水素濃度が減少を始めた。この時点で超純水がウエハに及ぼす影響は軽微であり、ウエハ洗浄に使用可能であると判定した。
[実施例2〜5]
超純水の加温温度を表1の通り30、33、35又は40℃としたこと以外は実施例1と同一条件とした。結果を表1に示す。
超純水の加温温度を表1の通り30、33、35又は40℃としたこと以外は実施例1と同一条件とした。結果を表1に示す。
[比較例1]
超純水を加温しないこと以外は、実施例1と同一条件にて通水を行った。その結果、表1の通り、通水開始直後から、溶存水素濃度が上がり始めるのに5時間を要し、さらに5時間水素濃度が上がり続けた。通水開始からウエハ洗浄可能と判断できるまで、16時間を要した。
超純水を加温しないこと以外は、実施例1と同一条件にて通水を行った。その結果、表1の通り、通水開始直後から、溶存水素濃度が上がり始めるのに5時間を要し、さらに5時間水素濃度が上がり続けた。通水開始からウエハ洗浄可能と判断できるまで、16時間を要した。
[比較例2]
超純水の温度を45℃としたこと以外は実施例1と同一条件にて通水を行った。その結果、表1の通り、通水開始直後から溶存水素濃度が低下して30分程度経過した時点でほとんどゼロになり検出が不可能になった。
超純水の温度を45℃としたこと以外は実施例1と同一条件にて通水を行った。その結果、表1の通り、通水開始直後から溶存水素濃度が低下して30分程度経過した時点でほとんどゼロになり検出が不可能になった。
通水試験後のシリコン粒子の表面は撥水性がなくなっており、シリコン粒子の表面が酸化されて溶存有機物との反応がほとんど起こらなくなったものと推定された。
以上のことから、短時間で確実に溶存水素濃度の増加速度を測定するためには、通水する試料水を25〜40℃、特に30〜35℃に加温するのが好ましいことが認められた。
3 加温手段
4 カラム
9 水素濃度計
4 カラム
9 水素濃度計
Claims (3)
- シリコン物質の粒子が充填されたカラムに純水からなる試料水を通水し、通水後の試料水の溶存水素濃度を測定し、該測定値に基づいて試料水の水質を評価する水質評価方法において、
該カラムに試料水を加温して通水することを特徴とする水質評価方法。 - 請求項1において、加温温度が25〜40℃であることを特徴とする水質評価方法。
- シリコン物質の粒子が充填されたカラムと、該カラムに純水からなる試料水を通水する通水手段と、通水後の試料水の溶存水素濃度を測定する手段とを有する水質評価装置において、
試料水を加温する加温手段を備えたことを特徴とする水質評価装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012101426A JP2013228320A (ja) | 2012-04-26 | 2012-04-26 | 水質評価方法及び装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2012101426A JP2013228320A (ja) | 2012-04-26 | 2012-04-26 | 水質評価方法及び装置 |
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JP2013228320A true JP2013228320A (ja) | 2013-11-07 |
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- 2012-04-26 JP JP2012101426A patent/JP2013228320A/ja active Pending
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