JP2013227932A - 内燃機関の排ガス浄化装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】排ガス浄化装置2のECU12は、SCR触媒8の劣化を判定する判定ユニット13を備えている。判定ユニット13は、SCR触媒8にて浄化された浄化NOx量を算出するNOx量算出部15と、当該浄化NOx量の浄化に必要なNH3量を算出する消費アンモニア量算出部30と、当該NH3量を生成するのに必要な有効尿素量を算出する尿素量算出部17と、SCR触媒8をスリップしたNH3量を算出する供給アンモニア量算出部27と、スリップしたNH3量の生成に必要な供給尿素量を算出する供給尿素量算出部19と、供給尿素量及び有効尿素量に基づいてNH3の尿素利用比率を算出する尿素利用比率算出部33と、当該尿素利用比率に基づいてSCR触媒8の劣化を判定する堆積判定部35と、を備えている。
【選択図】 図1
Description
このような排ガス浄化装置では、尿素水を排ガス中に供給するのが一般的であり、尿素水インジェクタなどを用いて排ガス中に尿素水を噴射する。尿素水インジェクタから排ガス中に噴射された尿素水は排ガスの熱により加水分解し、その結果生成されるアンモニアが還元触媒に供給される。こうして還元触媒に供給されたアンモニアと排ガス中のNOxとの間の脱硝反応が還元触媒によって促進されることによりNOxが還元されて排ガスが浄化される。
内燃機関の排ガス通路に設けられ、排ガスに含まれるNOxを還元する還元触媒と、
前記排ガス通路の前記還元触媒よりも上流の部分に尿素水を供給する尿素水供給手段と、
前記尿素水供給手段から前記排ガス通路に供給された尿素水に含まれる供給尿素量を算出する供給尿素量算出手段と、
前記還元触媒で浄化されたNOx量を算出するNOx量算出手段と、
前記NOx量算出手段により算出されたNOx量の浄化に必要な有効尿素量を算出する有効尿素量算出手段と、
前記排ガス通路の前記還元触媒よりも下流を流れる排ガスに含まれるアンモニア量の生成に必要な無効尿素量を算出する無効尿素量算出手段と、
前記供給尿素量算出手段により算出された供給尿素量、前記有効尿素量算出手段により算出された有効尿素量、及び前記無効尿素量算出手段により算出された無効尿素量に基づいて、前記排ガス通路への尿素の堆積を判定する堆積判定手段と、を備えることを特徴とする。
また、堆積判定手段にて、供給尿素量、有効尿素量及び無効尿素量に基づいて尿素の堆積の判定をすることで、精度良く尿素の堆積を検出することができる。これにより、尿素の堆積によって還元触媒に供給されるアンモニアの量が不足して排ガス浄化率が低下することを防止できる。また、尿素が堆積して排ガス通路が閉塞することを防止できる。
前記供給尿素量算出手段により算出された供給尿素量から、前記有効尿素量算出手段により算出された有効尿素量及び前記無効尿素量算出手段により算出された無効尿素量を減算して堆積尿素量を算出し、
当該堆積尿素量の値が第1閾値以上の場合に、尿素が前記排ガス通路内に堆積していると判定することとしてもよい。
そして、堆積判定手段にて、堆積尿素量の値が第1閾値以上の場合に尿素が堆積していると判定するため、尿素の堆積を短時間で検出するこができる。
前記堆積尿素量の値が所定回数以上連続して前記第1閾値以上となる場合に前記尿素が堆積していると判定することとしてもよい。
前記排ガス通路の前記還元触媒よりも下流を流れる排ガスに含まれるアンモニア量の生成に必要な尿素量を加水分解反応のモル比に応じて算出して前記無効尿素量とすることとしてもよい。
図1は、本発明の実施形態に係る排ガス浄化装置が適用されたエンジンシステムの概略全体構成図である。また、図2は、判定ユニットの各部にて算出される算出結果及びその出力先を示す図である。
図1及び図2に示すように、ディーゼルエンジン(以下、エンジン1という)の排ガス浄化装置2は、前段酸化触媒4と、パティキュレートフィルタ(以下フィルタ6という)と、SCR(Selective Catalytic Reduction)触媒8と、後段酸化触媒10と、を備えている。
Control Unit)12によって電子制御されており、かかる噴射時期及び噴射量にて燃焼室5毎に設けられた燃料噴射弁3から、燃焼室5内に燃料が噴射される。
ECU12は、図示しない中央処理装置(CPU)、制御プログラムや制御マップ等を格納する記憶装置、走行距離カウンタ及びタイマカウンタ等を備えている。そして、ECU12は、エンジン1の運転条件や運転者の要求に応じてエンジン1の運転状態を制御する。
排ガス通路16は、ターボチャージャ7のタービン7aを経由して排ガス浄化装置2に接続されている。また、タービン7aはコンプレッサ7bと機械的に連結されており、タービン7aが排ガス通路16内を流動する排気を受けてコンプレッサ7bを駆動する。
フィルタ6は、排ガス中のPM(Paticulate Matter:粒子状物質)を捕集する。このフィルタ6はハニカム型のセラミック体からなり、上流側と下流側とを連通する通路が多数並設されると共に、この通路の上流側開口と下流側開口とが交互に閉鎖されており、エンジン1の排ガスが内部を流通することによって排ガス中のPMが捕集される。
そして、SCR用ケーシング18よりも下流の排ガス通路16には、後段酸化触媒10を収容するための筒状の下流側ケーシング38が設けられている。
そして、尿素水流量計23による計測結果は、尿素水流量計23から尿素水制御部22及び判定ユニット13へ向けて出力される。なお、本実施形態では、尿素水供給用ポンプ25から供給される尿素水の流量を計測する尿素水流量計23を設けた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、尿素水の供給量を計測可能なメータリングユニットを備えた尿素水供給用ポンプを用いてもよい。要は、尿素水供給用ポンプから供給される尿素水の流量を計測できる機能を備えていればよい。
使用すべき正規の尿素水の濃度は、予め定められており、本実施形態では、尿素の飽和状態である32.5%とした。以下、濃度32.5%を規定濃度という。なお、本実施形態では、規定濃度を32.5%としたが、この値に限定されるものではなく、32.5%未満としてもよいが、尿素水の消費量が増加するため、32.5%に近い値であることが望ましい。
判定ユニット13は、ECU12内に備えられている。そして、判定ユニット13は、NOx量算出部15と、有効尿素量算出部17とを備えている。
なお、本実施形態では、エンジン1の運転状態から第1NOx量を定める場合について説明したが、この方法に限定されるものではなく、例えば、タービン7aの直上流の排ガス通路16の部分にNOxセンサを設け、当該NOxセンサにより計測された計測値に、単位時間当たりの排ガス流量を乗算して、エンジン1から排出される単位時間当たりの第1NOx量を算出してもよい。
浄化NOx量=第1NOx積算量−第2NOx積算量・・・式(1)
この浄化NOx量は、所定の走行距離毎に算出される。
An=(浄化NOx量/(46×2))×60×β ・・・式(2)
ここで、Anは有効尿素量(g)であり、浄化NOx量は上記式(1)から算出される値(g)である。また、値46はNO2の分子量(g)、値2はモル数、値60は尿素の分子量(g)である。そして、βは実験等から求められる係数である。係数βの値は予め決定されている。
Un=An×(1/0.325) ・・・式(3)
ここで、Unは、必要尿素水量(g)であり、値0.325は、尿素水の規定濃度である。算出された有効尿素量An及び必要尿素水量Unは、有効尿素量算出部17からそれぞれ堆積判定部35(後述する)及び尿素水制御部22に向けて出力される。
排ガス中に供給された尿素水は霧化し、排ガスの熱により加水分解してNH3となってSCR触媒8に供給される。SCR触媒8は、NH3と排ガス中のNOxとの脱硝反応を促進することにより、NOxを還元して無害なN2とする。なお、このときNH3がNOxと反応せずにSCR触媒8から流出した場合には、このNH3が後段酸化触媒10によって排ガス中から除去される。
尿素水濃度センサ11による計測値は常時、監視されており、尿素水の濃度が所定値よりも小さくなったら警告ランプ等により直ちに濃度低下を検知することができる。
そして、尿素水濃度センサ11による計測値は、尿素水濃度センサ11から後述する供給尿素量算出部19へ向けて出力される。
また、NH3センサ27による計測値は、NH3センサ27から後述する無効尿素量算出部30へ向けて出力される。
判定ユニット13は、供給尿素量算出部19と、無効尿素量算出部30とを更に備えている。
供給尿素量算出部19は、尿素水濃度センサ11及び尿素水流量計23によりそれぞれ計測された尿素水濃度及び尿素水量に基づいて排ガス通路16内に供給された尿素水に含まれる供給尿素量Qnを次式(4)により算出する。
Qn=Wu×Cu ・・・式(4)
ここで、Qnは供給尿素量(g)であり、Wuは排ガス通路16内に供給された尿素水量(g)であり、尿素水流量計23により計測された値である。また、Cuは尿素水濃度センサ11により計測された値(%/100)である。
算出された供給尿素量Qnは、供給尿素量算出部19から堆積判定部35に向けて出力される。
Sn=(((NH3濃度×Egas)/106)/22.4)×(1/2)×60 ・・・式(5)
ここで、Snは無効尿素量(g)である。また、NH3濃度はNH3センサ27により計測された値(ppm)であり、EgasはSCR触媒8と後段酸化触媒10との間の排ガス通路16を通過する排ガスの体積流量を標準状態(10℃、1atm)に換算した排ガス体積流量(L)である。排ガス体積流量は、所定の時間間隔で取得され、無効尿素量算出部30に格納される。また、値22.4は標準状態(10℃、1atm)における1モルの体積(L)、値2はモル数、値60は尿素の分子量(g)である。
算出された無効尿素量Snは、無効尿素量算出部30から堆積判定部35に向けて出力される。
ECU12の判定ユニット13は、堆積判定部35を更に備えている。堆積判定部35は、無効尿素量算出部30により算出された無効尿素量Sn、供給尿素量算出部19により算出された供給尿素量Qn、及び有効尿素量算出部17により算出された有効尿素量Anに基づいて次式(6)にて、排ガス通路16等に堆積する尿素の堆積尿素量Duを算出する。
Du =Qn−An−Sn+γ ・・・式(6)
ここで、Duは堆積尿素量(g)である。また、Qnは供給尿素量算出部19より算出された供給尿素量(g)であり、Anは有効尿素量算出部17より算出された有効尿素量(g)であり、Snは無効尿素量算出部30により算出された無効尿素量(g)である。そして、γは実験等から求められる係数である。係数γの値は予め決定されている。
図3は、総走行距離と堆積尿素量との関係を示すマップである。図3に示すように、堆積判定部35は、ECU12の記憶装置に格納されている総走行距離情報、及び当該総走行距離情報に紐付けられた堆積尿素量Duに基づいてマップを作成する。
そして、堆積尿素量Duが第1閾値未満である場合、尿素は堆積していないとして、この判定結果を記憶装置に格納する。判定結果は、対応する総走行距離情報に紐付けられて格納される。また、運転席付近に設置された緑色の正常ランプ36を点灯させて、尿素は堆積していないことを表示する。なお、本実施形態では、堆積尿素量Duが第1閾値未満のときに正常ランプ36を点灯させる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、正常ランプ36を点灯させる等の対策を実施しなくても良い。なお、第1閾値は、設計等により決定される値である。
そして、堆積判定部35は、判定回数Naが予め設定された所定回数Nth(例えば、4回)以上になったら、運転席付近に設置された警告ランプ37を点滅又は点灯させて、尿素が堆積していることを運転手に警告する。
次に、上述した構成からなる排ガス浄化装置2を用いた尿素の堆積判定フローについて図4を用いて説明する。
そして、算出された浄化NOx量は、NOx量算出部15から有効尿素量算出部17に向けて出力される。
そして、算出された有効尿素量は有効尿素量算出部17から堆積判定部35に向けて出力される。
そして、算出された無効尿素量は無効尿素量算出部30から堆積判定部35に向けて出力される。
そして、算出された供給尿素量は供給尿素量算出部19から堆積判定部35に向けて出力される。
続いて、堆積判定部35は、算出した堆積尿素量Duが第1閾値Dth以上か否かを判定する(ステップS16)。
堆積判定部35は、堆積尿素量Duが第1閾値Dth未満である場合、尿素は堆積していないと判定して、運転席付近に設置された正常ランプ36を点灯させる(ステップS18)。
続いて、堆積判定部35は、判定回数Naをリセットして0(ゼロ)とし(ステップS20)、再び、ステップS4を実施する。
堆積判定部35は、判定回数Naが所定回数Nth以上であると判定した場合、運転席付近に設置された警告ランプ37を点滅又は点灯させて、尿素が堆積していることを表示する(ステップS26)。
一方、堆積判定部35は、判定回数Naが所定回数Nth未満であると判定した場合、再び、ステップS4を実施する。
上述したように、本実施形態に係る排ガス浄化装置2によれば、NOx量算出部15と、有効尿素量算出部17とを備えているため、SCR触媒8で実際に還元されたNOx量の浄化に必要な有効尿素量を正確に算出することができる。
また、尿素水濃度センサ11を備えているため、尿素水の濃度を正確に検出することができる。そして、計測値を常時、監視することで、尿素水の濃度低下を直ちに検出することができる。さらに、尿素水濃度センサ11及び尿素水流量計23による計測値を用いて、供給尿素量算出部19により排ガス中に供給された供給尿素量を算出するので、排ガス通路16内に供給した尿素量を正確に算出することができる。
また、SCR触媒8と後段酸化触媒10との間に設けられたNH3センサ11を備えているため、SCR触媒8をスリップしたアンモニアの濃度を正確に計測することができる。そして、NH3センサ11による計測値を用いて無効尿素量算出部30によりスリップしたアンモニアの生成に必要な無効尿素量を算出することができる。このとき、無効尿素量算出部30は、加水分解反応のモル比に応じて無効尿素量を算出するため、正確な無効尿素量を算出することができる。
そして、堆積判定部35にて、供給尿素量から、有効尿素量及び無効尿素量を減算して排ガス通路16等に堆積した堆積尿素量を算出し、当該堆積尿素量の値が所定回数連続して第1閾値以上の場合に尿素が堆積していると判定することができる。これにより、尿素が堆積したことを直ちに検出することができるため、尿素の堆積によってNH3量が不足して排ガス浄化率が低下したり、尿素が堆積して排ガス通路16が閉塞したりすることを防止できる。
また、尿素が堆積していないこと示す正常ランプ36及び尿素の堆積を示す警告ランプ37を備えているため、運転者は、点検等の作業をすることなく、尿素の堆積を検出することができる。
2 排ガス浄化装置
3 燃料噴射弁
4 前段酸化触媒
5 燃焼室
6 フィルタ
7 ターボチャージャ
7a タービン
7b コンプレッサ
8 SCR触媒
9 排気マニホールド
10 後段酸化触媒
11 尿素水濃度センサ
12 ECU
13 判定ユニット
14 上流側ケーシング
15 NOx量算出部
16 排ガス通路
17 有効尿素量算出部
18 SCR用ケーシング
19 供給尿素量算出部
20 噴射装置
21 制御弁
22 尿素水制御部
23 尿素水流量計
24 尿素水インジェクタ
25 尿素水供給用ポンプ
26 尿素水タンク
27 NH3センサ
28 温度センサ
29 ミキシングチャンバー
30 無効尿素量算出手段
35 堆積判定部
36 正常ランプ
37 警告ランプ
38 下流側ケーシング
46 NOxセンサ
Claims (6)
- 内燃機関の排ガス通路に設けられ、排ガスに含まれるNOxを還元する還元触媒と、
前記排ガス通路の前記還元触媒よりも上流の部分に尿素水を供給する尿素水供給手段と、
前記尿素水供給手段から前記排ガス通路に供給された尿素水に含まれる供給尿素量を算出する供給尿素量算出手段と、
前記還元触媒で浄化されたNOx量を算出するNOx量算出手段と、
前記NOx量算出手段により算出されたNOx量の浄化に必要な有効尿素量を算出する有効尿素量算出手段と、
前記排ガス通路の前記還元触媒よりも下流を流れる排ガスに含まれるアンモニア量の生成に必要な無効尿素量を算出する無効尿素量算出手段と、
前記供給尿素量算出手段により算出された供給尿素量、前記有効尿素量算出手段により算出された有効尿素量、及び前記無効尿素量算出手段により算出された無効尿素量に基づいて、前記排ガス通路への尿素の堆積を判定する堆積判定手段と、を備えることを特徴とする内燃機関の排ガス浄化装置。 - 前記堆積判定手段は、
前記供給尿素量算出手段により算出された供給尿素量から、前記有効尿素量算出手段により算出された有効尿素量及び前記無効尿素量算出手段により算出された無効尿素量を減算して堆積尿素量を算出し、
当該堆積尿素量の値が第1閾値以上の場合に、尿素が前記排ガス通路内に堆積していると判定することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排ガス浄化装置。 - 前記堆積判定手段は、
前記堆積尿素量の値が所定回数以上連続して前記第1閾値以上となる場合に前記尿素が堆積していると判定することを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の排ガス浄化装置。 - 前記無効尿素量算出手段は、
前記排ガス通路の前記還元触媒よりも下流を流れる排ガスに含まれるアンモニア量の生成に必要な尿素量を加水分解反応のモル比に応じて算出して前記無効尿素量とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の排ガス浄化装置。 - 前記NOx量算出手段は、前記内燃機関の直下流のNOx量から前記還元手段よりも下流のNOx量を減算して前記還元触媒で浄化されたNOx量を算出することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排ガス浄化装置。
- 前記堆積判定手段によって尿素が堆積していると判定された際に、運転者に対して警報を発する警告手段を更に備えることを特徴とする請求項1〜3のうち何れか一項に記載の内燃機関の排ガス浄化装置。
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