JP2009102995A - 排気ガス浄化システムの故障診断装置 - Google Patents

排気ガス浄化システムの故障診断装置 Download PDF

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裕 澤田
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Abstract

【課題】より正確に選択還元型NOx触媒の劣化診断を行うことができる選択還元型NOx触媒の異常診断装置を提供する。
【解決手段】内燃機関の排気通路に設けられた選択還元型NOx触媒(34)と、該選択還元型NOx触媒の上流の排気通路に尿素水を供給する尿素水供給手段(40,42,44)とを有する排気ガス浄化システムにおいて、選択還元型NOx触媒(34)の上流側及び下流側の水分濃度をそれぞれ取得する上流側及び下流側の水分濃度取得手段(50,52)と、前記上流側及び下流側の水分濃度取得手段によってそれぞれ取得された水分濃度値に基づき、前記選択還元型NOx触媒(34)の正常又は異常を診断する診断手段(100)とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関の排気ガス浄化システムの故障診断装置、特に選択還元型NOx触媒を備える排気ガス浄化システムの故障診断装置に関する。
一般に、ディーゼルエンジン等の内燃機関の排気系に配置される排気浄化装置として、酸素共存下でも選択的にNOxを還元剤と反応させる性質を備えた選択還元型NOx触媒が知られている。これは、選択還元型NOx触媒の上流側に必要量の還元剤を添加して、該還元剤を触媒上にて排出ガス中のNOx(窒素酸化物)と還元反応させ、これによりNOxの排出濃度を低減し得るようにしたものである。
そして、自動車の場合には、還元剤としてのアンモニアそのものを搭載して走行することに関して安全確保が困難であることから、毒性のない尿素水を還元剤として使用することが提案されている。即ち、尿素水を選択還元型NOx触媒の上流側で排出ガス中に添加すれば、該尿素水が排出ガス中でアンモニアと炭酸ガスに熱分解され、排出ガス中のNOxが選択還元型NOx触媒上でアンモニアにより良好に還元浄化されるからである。
ところで、このような尿素水を還元剤としてNOxを還元浄化するようにした排気浄化装置にあっては、熱や排ガス成分により選択還元型NOx触媒が経時的に劣化して、NOx低減性能が徐々に低下してくるため、選択還元型NOx触媒の初期性能を基準としたまま尿素水の添加量制御を継続していると、運転時間が長くなるにつれて、添加した尿素水に余剰分が生じてしまい、NOxの還元浄化反応に使用されないまま選択還元型NOx触媒の後方へ擦り抜けてしまうアンモニアが生じる虞れがあることから、この対策として、選択還元型NOx触媒の前後で排出ガス中のNOx濃度をNOxセンサにより検出して、尿素水の添加量に見合う適切なNOx低減率が得られているかどうかを監視し、必要な量の尿素水を添加しているにもかかわらず適切なNOx低減率が得られない場合に、選択還元型NOx触媒に経時劣化が生じているものと判断する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、選択還元型NOx触媒の前後で排出ガス中のNOx濃度が予想通りに低下しない現象は、必ずしも選択還元型NOx触媒の長期使用による経時劣化だけに依存するものではなく、そのNOx濃度の検出時点における排気温度(触媒活性に影響)などにも大きく依存しているため、選択還元型NOx触媒の前後で排出ガス中のNOx濃度が予想通りに低下しないからといって、それが選択還元型NOx触媒の経時劣化によるものとは一概に決めつけられない面があり、また、NOxセンサの応答性や出力特性などにもバラツキがあるため、精度の高いNOx濃度の検出が困難である。
そこで、選択還元型NOx触媒の入側に排出ガスの温度を検出する温度センサを備えると共に、該温度センサからの検出信号に基づき排出ガスが所定温度以上となっている時の運転時間を積算して選択還元型NOx触媒の経時劣化の度合を推定する技術が、特許文献2に開示されている。
特開2002−161732号公報 特開2006−242094号公報
ところで、特許文献1に記載のNOxセンサのみを用いるものは、上述のように、NOxセンサの出力特性のバラツキなどに起因して精度の高いNOx濃度の検出が困難であり、また、特許文献2に開示されている、排出ガスが所定温度以上となっている時の運転時間を積算して選択還元型NOx触媒の経時劣化の度合を推定する技術でも、自動車に搭載された選択還元型NOx触媒の交換時期等を決定するための診断のような場合には、上述のような所定の運転時間の積算のみでその診断を正確に行うことは困難である。
そこで、本発明の目的は、より正確に選択還元型NOx触媒の劣化診断を行うことができる選択還元型NOx触媒の異常診断装置を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係る排気ガス浄化システムの故障診断装置の一形態は、内燃機関の排気通路に設けられた選択還元型NOx触媒と、該選択還元型NOx触媒の上流の排気通路に尿素水を供給する尿素水供給手段とを有する排気ガス浄化システムにおいて、前記選択還元型NOx触媒の上流側及び下流側の水分濃度をそれぞれ取得する上流側及び下流側の水分濃度取得手段と、前記上流側及び下流側の水分濃度取得手段によってそれぞれ取得された水分濃度値に基づき、前記選択還元型NOx触媒の正常又は異常を診断する診断手段と、を備えたことを特徴とする。
上記一形態によれば、排気通路に設けられた選択還元型NOx触媒の上流側及びその下流側の排気通路内の水分濃度が水分濃度取得手段によってそれぞれ取得される。すなわち、選択還元型NOx触媒の上流側においては、吸気からの大気中水分、内燃機関における燃焼により生ずる反応水分、及び尿素水供給手段により供給された尿素水中の水分による排気ガス中の水分濃度が取得される一方、選択還元型NOx触媒の下流側においては、アンモニアによりNOxが還元されることにより発生する水分が加えられた排気ガス中の水分濃度が取得される。この選択還元型NOx触媒上で発生する水分の量は、選択還元型NOx触媒においてNOxの還元反応に使用されたアンモニアの量、換言すると、NOx処理量、延いては、選択還元型NOx触媒の触媒能に比例する。そこで、診断手段により、上流側及び下流側の水分濃度取得手段によってそれぞれ取得された水分濃度値に基づいて、すなわち、上流側の水分濃度値と下流側の水分濃度値とによって、水分濃度の変化量が求められ、この変化量が予め求められていた基準値と比較されて選択還元型NOx触媒の正常又は異常が診断される。したがって、この形態によれば、外部からの特別な操作を必要とすることなく、換言すると、NOx触媒の活性度が高いのに敢えてNOx浄化能が低い状態を作り出すなどの排気エミッションを敢えて悪化させることなく、通常のNOx処理過程で単に水分濃度の変化に基づき選択還元型NOx触媒の正確な正常又は異常の診断を行うことができる。
ここで、上記一形態の排気ガス浄化システムの故障診断装置において、前記上流側及び下流側の水分濃度取得手段は、排気通路に設けられ、該選択還元型NOx触媒の上流側及びその下流側の排気通路内の水分濃度をそれぞれ計測する水分濃度計測手段を含み、前記選択還元型NOx触媒の上流側の水分濃度計測手段は、前記尿素水供給手段の下流に設けられていてもよい。
この形態によれば、選択還元型NOx触媒の上流側及びその下流側のいずれにおいても、それぞれの水分濃度が水分濃度計測手段により計測される。そして、選択還元型NOx触媒の上流側の水分濃度計測手段が尿素水供給手段の下流に設けられていることから、尿素水供給手段により供給された尿素水中の水分による排気ガス中の水分濃度をも含めて水分濃度計測手段により計測できるので簡単に水分濃度を把握することができる。
また、上記一形態の排気ガス浄化システムの故障診断装置において、前記上流側及び下流側の水分濃度取得手段は、排気通路に設けられ、該選択還元型NOx触媒の上流側及びその下流側の排気通路内の水分濃度をそれぞれ計測する水分濃度計測手段を含み、前記選択還元型NOx触媒の上流側の水分濃度計測手段は、前記尿素水供給手段の上流に設けられていてもよい。
この形態によれば、選択還元型NOx触媒の上流側及びその下流側のいずれにおいても、それぞれの水分濃度が水分濃度取得手段により取得される。そして、選択還元型NOx触媒の上流側の水分濃度計測手段が尿素水供給手段の上流に設けられていることから、水分濃度計測手段が尿素水供給手段により供給された尿素水の水分付着や噴霧の分布むらなどによる影響を受けることがない。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る内燃機関の概略的なシステム図である。図中、10は、自動車用の圧縮着火式内燃機関即ちディーゼルエンジンであり、11は吸気ポートに連通されている吸気マニフォルド、12は排気ポートに連通されている排気マニフォルド、13は燃焼室である。本実施形態では、不図示の燃料タンクから高圧ポンプ17に供給された燃料が、高圧ポンプ17によりコモンレール18に圧送されて高圧状態で蓄圧され、このコモンレール18内の高圧燃料がインジェクタ14から燃焼室13内に直接噴射供給される。エンジン10からの排気ガスは、排気マニフォルド12からターボチャージャ19を経た後にその下流の排気通路15に流され、後述のように浄化処理された後、大気に排出される。なお、ディーゼルエンジンの形態としてはこのようなコモンレール式燃料噴射装置を備えたものに限らない。またEGR装置などの他の排気浄化デバイスを含むことも任意である。
他方、エアクリーナ20から吸気通路21内に導入された吸入空気は、エアフローメータ22、ターボチャージャ19、インタークーラ23、スロットルバルブ24を順に通過して吸気マニフォルド11に至る。エアフローメータ22は吸入空気量を検出するためのセンサであり、具体的には吸入空気の流量に応じた信号を出力する。スロットルバルブ24には電子制御式のものが採用されている。
排気通路15には、上流側から順に排気ガス中に含まれる未燃成分を酸化処理する酸化触媒30、微粒子(PM)を捕捉して処理するDPF触媒32及びその通路内の排気ガス中に含まれるNOxを還元して浄化するNOx触媒34が設けられている。本実施形態のNOx触媒34は選択還元型NOx触媒であり、還元剤が添加されたときにNOxを連続的に還元して浄化し得る。
DPF触媒32の下流で選択還元型NOx触媒34の上流側の排気通路15には、選択還元型NOx触媒34に還元剤としての尿素を選択的に添加するための添加弁40が設けられている。尿素は尿素水溶液の形で使用され、添加弁40から下流側の選択還元型NOx触媒34に向かって排気通路15内に噴射供給される。添加弁40には、これに尿素水溶液を供給するための供給装置42が接続され、供給装置42には尿素水溶液を貯留するタンク44が接続されている。
また、エンジン全体の制御を司る制御手段としての電子制御ユニット(以下ECUと称
す)100が設けられている。ECUl00は,デジタルコンピュータからなり、双方向バスによって相互に接続されたROM(リードオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、CPU(セントラルプロセッサユニット)、入力ポート、出力ポートおよび記憶装置等を含むものである。ECU100は、各種センサ類の検出値等に基づいて、所望のエンジン制御が実行されるように、インジェクタ14、高圧ポンプ17、スロットルバルブ24等を制御する。またECU100は、尿素添加量を制御すべく、添加弁40及び供給装置42を制御する。また、ECUl00は、ROMに格納されたプログラムを実行することによって、後述する故障診断処理をも実行することが可能に構成されており、本発明に係る排気ガス浄化システムの故障診断装置の一例としても機能するように構成されている。
ECU100に接続されるセンサ類としては、前述のエアフローメータ22の他、本実施の形態では添加弁40の下流側であって選択還元型NOx触媒34の上流側に設けられた触媒前水分濃度センサ50と選択還元型NOx触媒34の下流側に設けられた触媒後水分濃度センサ52、及び、同じく添加弁40の下流側であって選択還元型NOx触媒34の上流側と下流側にそれぞれ触媒前水分濃度センサ50及び触媒後水分濃度センサ52に近接して設けられた触媒前排気温センサ54及び触媒後排気温センサ56が含まれる。触媒前水分濃度センサ50及び触媒後水分濃度センサ52は、それぞれ、その設置位置における排気ガスの水分濃度に応じた信号をECU100に出力する。触媒前排気温センサ54及び触媒後排気温センサ56は、それぞれ、それら設置位置における排気ガスの温度に応じた信号をECU100に出力する。
ここで、上述の排気温センサとしてはサーミスタ、水分濃度センサとしては静電容量タイプのものなどが用いられ得る。この静電容量タイプの水分濃度センサは、例えば、図2に示すように、セラミック基板200上に、導電金属層202、多孔質セラミック絶縁層204、及び多孔質金属導電層206が順に積層されて形成されており、多孔質金属導電層206を透過した水分が多孔質セラミック絶縁層204に吸着されるとき、この吸着される水分量に応じて両導電層202、206間の電気容量が変化するのを利用して、水分濃度を計測する。なお、水分濃度センサとしては上述の静電容量タイプに限られないことはいうまでもない。
また他のセンサ類として、クランク角センサ26及びアクセル開度センサ27がECU100に接続されている。クランク角センサ26はクランク角の回転時にクランクパルス信号をECU100に出力し、ECU100はそのクランクパルス信号に基づきエンジン10のクランク角を検出すると共に、エンジン10の回転速度を計算する。アクセル開度センサ27は、ユーザによって操作されるアクセルペダルの開度(アクセル開度)に応じた信号をECU100に出力する。
選択還元型NOx触媒(SCR: Selective Catalytic Reduction)34は、ゼオライト又はアルミナなどの基材表面にPtなどの貴金属を担持したものや、その基材表面にCu等の遷移金属をイオン交換して担持させたもの、その基材表面にチタニヤ/バナジウム触媒(V25/WO3/TiO2)を担持させたもの等が例示できる。選択還元型NOx触媒34は、その触媒温度(触媒床温)が活性温度域にあり、且つ、還元剤としての尿素が添加されているときにNOxを還元浄化する。尿素水が触媒に添加されると、下記の化学反応式などに代表的に示されるように、選択還元型NOx触媒上でアンモニア(NH3)が生成され、このアンモニアがNOxと反応してNOxが還元され、窒素(N2)と水(H2O)が生成される。
・CO(NH22+H2O → 2NH3+CO2
・4NO+4NH3+O2 → 4N2+6H2
・6NO2+8NH3 → 7N2+12H2
選択還元型NOx触媒34に対する尿素添加量は、本実施形態では、エンジン運転状態(例えばエンジン回転速度とアクセル開度)の情報に基づいて、処理すべきNOx発生量に対応した基本的な尿素水添加量が予め実験により求められて設定されている制御マップから読み出されて決定される。また、選択還元型NOx触媒34の下流に設けられた不図示のNOxセンサに検出されるNOx濃度に基づき、ECU100により制御されてもよい。具体的には、NOx濃度の検出値が常にゼロになるように添加弁40からの尿素噴射量が制御される。この場合、触媒後NOx濃度の検出値のみに基づいて尿素噴射量を設定してもよく、或いは、上述のエンジン運転状態(例えばエンジン回転速度とアクセル開度)の情報に基づく基本的な尿素水添加量が制御マップから読み出されて決定され、これがNOxセンサの検出値に基づきフィードバック補正制御されてもよい。選択還元型NOx触媒34は尿素添加時のみNOxを還元可能なので、通常、尿素水は常時添加される。また、エンジンから排出されるNOxを還元するのに必要な最小限の量しか尿素が添加されないよう、制御が行われる。過剰に尿素を添加するとアンモニアが触媒下流に排出されてしまい(所謂NH3スリップ)、異臭等の原因となるからである。
次に、本実施の形態における選択還元型NOx触媒34の正常又は異常の診断を実行するための処理手順の一例を、図3のフローチャートを参照しつつ説明する。図示されるルーチンはECU100により所定周期(例えば16msec)毎に繰り返し実行される。
まず、最初のステップS301では、診断を実行するための所定条件が成立したか否かが判定される。具体的に例示すると、選択還元型NOx触媒34の床温が後述するように所定温度範囲内にあるか否か、水分濃度センサ50、52が活性済みであるか否か、尿素水添加制御中であるか否か、及び後述の如く正常又は異常の診断が未完了か否かが判定される。これらの所定条件のいずれか一つでも成立していないときは、本ルーチンは一旦終了される。所定条件が成立していないときに診断を実行しても正しい診断はできないからである。
ここで、選択還元型NOx触媒34の床温Tcを求める方法につき説明する。選択還元型NOx触媒34の温度は、触媒に埋設した温度センサにより直接検出することもできるが、本実施形態ではそれを推定することとしている。具体的には、ECU100が、触媒前排気温センサ54及び触媒後排気温センサ56によりそれぞれ検出された触媒前排気温及び触媒後排気温に基づき、床温を推定する。
今、選択還元型NOx触媒34に流入する触媒上流側の排気ガスの温度をTf(℃)、その排気ガスのガス量をGa(g/s)とする。ここで排気ガスのガス量はエンジンに吸入される空気量と等しいとみなせることから、その吸入空気量Gaを排気ガス量としている。この排気ガス量は単位時間(ここでは1秒)当たりに触媒に流入する排気ガス量である。他方、選択還元型NOx触媒34の床温をTc(℃)、選択還元型NOx触媒34の重量をMc(g)、選択還元型NOx触媒34から排出される触媒下流側の排気ガスの温度をTr(℃)とする。
さらに、触媒上流側の排気ガスの持つ熱エネルギをEf、選択還元型NOx触媒34の持つ熱エネルギをEcとする。これら熱エネルギEf,Ecは次式(1)、(2)により表すことができる。但し、Cgは排気ガスの比熱比、Ccは選択還元型NOx触媒34の比熱比で、両者は一定値である。
Ef=Ga×Tf×Cg(J/s) ・・・(1)
Ec=Mc×Tc×Cc(J) ・・・(2)
ところで、熱エネルギEcを持った選択還元型NOx触媒34に、熱エネルギEfを持った排気ガスが供給された場合の熱平衡を考えると、排気ガスの供給開始時点から単位時間経過後に選択還元型NOx触媒34及び排気ガスが熱平衡状態になったと考え、熱平衡後の両者の温度をTmとすると、熱平衡の式は次式(3)で表される。
Ef+Ec=Ga×Tm×Cg+Mc×Tm×Cc ・・・(3)
この温度Tmが選択還元型NOx触媒34の推定温度の基本的な値である。しかしながら、実際には、排気ガスと選択還元型NOx触媒34との間で完全な熱平衡状態に至る訳ではなく、選択還元型NOx触媒34の下流側に温度Trの排気ガスが排出され、熱エネルギが逃げている。よってその温度Trに基づいて下流側に逃げた熱エネルギErが計算され、これにより選択還元型NOx触媒34の基本推定温度Tmがフィードバック補正され、最終的な推定床温Tcが算出される。
上記の説明から理解されるように、本実施形態では、選択還元型NOx触媒上流側の排気ガス温度である触媒前排気温Tfが触媒前排気温センサ54で検出され、選択還元型NOx触媒下流側の排気ガス温度である触媒後排気温Trが触媒後排気温センサ56で検出される。そして、排気ガス量と等価とみなせる吸入空気量Gaがエアフローメータ22で検出される。これら検出値に基づき、ECU100が、NOx触媒34の床温Tcを推定する。
そして、ステップS301ではこの推定された床温Tcが所定の温度範囲(例えば、200〜400℃)内にあるか否かが判断される。また、同時に水分濃度センサ50、52が活性済みであるか否かが、例えば、検知されたインピーダンスが水分濃度センサ50、52の活性温度に対応する所定値に到達したか否かにより、さらに、尿素水の添加制御中であるか否かが、例えば、添加弁40へのECU100からの開弁作動制御信号の有無により判定される。これらの判定の結果、所定条件が成立しているときに次のステップS302に進む。
なお、上述の所定条件として、さらに、触媒前排気温センサ54で検出される触媒前排気温Tf及びエアフローメータ22で検出される吸入空気量Gaに基づき、添加弁40から噴射供給される尿素水の水分が必ず蒸発して水蒸気となる条件を設定するようにしてもよい。このようにすると、より正確に水分濃度延いては水分濃度の変化を把握できるので、より正確に後述する選択還元型NOx触媒34の正常又は異常の診断が行なわれることになる。
次にステップS302においては、触媒前水分濃度センサ50及び触媒後水分濃度センサ52の計測値により、選択還元型NOx触媒34の上流の水分濃度dWf及び下流の水分濃度dWrがそれぞれ取得される。本実施形態において、触媒前水分濃度センサ50により計測される選択還元型NOx触媒34の上流の排気ガス中の水分濃度dWfは、吸入空気に含まれる大気中水分、内燃機関における燃焼による反応水分、及び添加弁40から噴射供給された尿素水中の水分による水分濃度である。一方、触媒後水分濃度センサ52により計測される選択還元型NOx触媒34の下流の排気ガス中の水分濃度dWrは、上流側の水分濃度dWfに対し、選択還元型NOx触媒34の触媒能(NOx処理能力)に比例して生成された水分の量が付加された水分濃度となる。
なお、触媒前水分濃度センサ50及び触媒後水分濃度センサ52により計測された水分濃度dWf及びdWrは、それぞれ、触媒前排気温センサ54で検出された触媒前排気温Tf及び触媒後排気温センサ56で検出された触媒後排気温Trに基づいて、補正されてもよい。触媒前水分濃度センサ50及び触媒後水分濃度センサ52の周りの雰囲気温度により水分濃度は変わり得るからである。
そこで、次のステップS303において、選択還元型NOx触媒34の上下流での水分濃度の変化量が両計測値の差dWcとして、次式(4)により算出される。
dWc = dWr − dWf ・・・(4)
さらに、ステップS304に進み、上述の選択還元型NOx触媒34の上下流での水分濃度の差dWcが所定値dWsを超えているか否かが判定される。この所定値dWsは以下のように設定されてもよい。例えば、上述の添加弁40から噴射供給される所定の尿素水量に対応して、選択還元型NOx触媒34の触媒能(NOx処理能力)が新品状態の100%のとき、選択還元型NOx触媒34にて生成される水分量が求められ、この水分量に起因する水分濃度の変化量が予め実験などにより求められる。そして、この触媒能が100%のときの水分濃度の変化量に基づき、その許容範囲の水分濃度の変化量が診断基準値として設定されるのである。そして、この診断基準値は尿素水量に対応されてマップに保管される。他の方法としては、所定の尿素水量に対応する上述の触媒能が100%のときの水分濃度の変化量値がマップに保管され、これに対し許容範囲を表す所定の率(<100%)を乗じて、診断基準値としてもよい。この場合には、必要に応じて乗ずる所定の率を変更することにより、診断基準値を変えることができる。
かくて、上流側の水分濃度値dWrと下流側の水分濃度値dWfとによって、水分濃度の変化量(dWr − dWf)が求められ、この水分濃度の変化量が例えば予め求められてマップに設定されている診断基準値としての所定値dWsと比較されて、選択還元型NOx触媒34の正常又は異常が診断される。
したがって、この水分濃度の変化量が所定値dWsより大きいときは、選択還元型NOx触媒34の触媒能は100%に近い許容範囲内にあるのでステップS305に進み、選択還元型NOx触媒正常と判定し本ルーチンは終了される一方、この水分濃度の変化量が所定値dWsを下回るときは、選択還元型NOx触媒34の触媒能が許容範囲外にあるのでステップS306に進み、選択還元型NOx触媒異常と判定し本ルーチンは終了される。ここで、異常と診断されたときには、公知の手法により運転者に適宜警報などが与えられるのが好ましい。
なお、図3のフローチャートには図示しないが、本ルーチンにおいて選択還元型NOx触媒34の正常又は異常の判定が行われた際には、正常又は異常の診断が完了した旨のフラグがセットされる。このフラグがセットされた場合には、上述のステップS301における所定条件成立か否かの判定において、診断は既に完了し所定条件不成立として、ステップS302以降の診断ステップは実行されない。これは、正常又は異常の診断は一走行(トリップ)当り少なくとも一度実行されれば十分であるからである。したがって、エンジン10が停止されたときには、このフラグがリセットされるのが好ましい。
この実施形態によれば、外部からの特別な操作を必要とすることなく、運転状態に対応した通常のNOx処理過程における基本的な尿素水添加量による水分濃度の変化に基づき選択還元型NOx触媒の正常又は異常が診断されるので、エミッションの悪化を伴うことなく正確な診断を行うことができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は他の実施形態を採ることも可能である。例えば、図4に示すように、触媒前水分濃度センサ50と触媒前排気温センサ54とをそれぞれ添加弁40の上流側に設けるようにしてもよい。この場合には、触媒前水分濃度センサ50は添加弁40から噴射供給される尿素水に含まれる水分の影響を受けることなく、排気ガス中の水分濃度を計測することになる。より具体的には、尿素水の噴霧液滴が直接に触媒前水分濃度センサ50にかかったり、噴霧の分布むらによる濃淡や水蒸気状と液体状での差による触媒前水分濃度センサ50の計測誤差の発生を防止することができる。但し、この場合には、選択還元型NOx触媒34の上流側における水分濃度の把握が、吸気からの大気中水分及び内燃機関における燃焼により生ずる反応水分に起因する水分濃度については、触媒前水分濃度センサ50の計測により取得される一方、添加弁40から噴射供給された尿素水中の水分に起因する水分濃度については、尿素水供給量と吸入空気量(排気ガス量)から計算により求め、これらを加えることにより行われることになる。
なお、本発明の実施形態は前述の実施形態のみに限らず、特許請求の範囲によって規定される本発明の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が本発明に含まれる。したがって本発明は、限定的に解釈されるべきではなく、本発明の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
本発明の一実施形態に係る排気ガス浄化システムの故障診断装置を示す概略図である。 本発明の実施形態に係る水分濃度センサの一例を示す分解斜視図である。 本発明の実施形態において正常又は異常の診断処理手順の一例を示すフローチャートである。 本発明の他の実施形態に係る排気ガス浄化システムの故障診断装置を示す概略図である。NOx浄化率の実際の立ち上がりを示すグラフである。
符号の説明
10 エンジン
15 排気通路
34 選択還元型NOx触媒
40 添加弁
42 供給装置
50 触媒前水分濃度センサ
52 触媒後水分濃度センサ
54 触媒前排気温センサ
56 触媒後排気温センサ
100 電子制御ユニット(ECU)

Claims (3)

  1. 内燃機関の排気通路に設けられた選択還元型NOx触媒と、該選択還元型NOx触媒の上流の排気通路に尿素水を供給する尿素水供給手段とを有する排気ガス浄化システムにおいて、
    前記選択還元型NOx触媒の上流側及び下流側の水分濃度をそれぞれ取得する上流側及び下流側の水分濃度取得手段と、
    前記上流側及び下流側の水分濃度取得手段によってそれぞれ取得された水分濃度値に基づき、前記選択還元型NOx触媒の正常又は異常を診断する診断手段と、
    を備えたことを特徴とする排気ガス浄化システムの故障診断装置。
  2. 前記上流側及び下流側の水分濃度取得手段は、排気通路に設けられ、該選択還元型NOx触媒の上流側及びその下流側の排気通路内の水分濃度をそれぞれ計測する水分濃度計測手段を含み、前記選択還元型NOx触媒の上流側の水分濃度計測手段は、前記尿素水供給手段の下流に設けられていることを特徴とする請求項1記載の排気ガス浄化システムの故障診断装置。
  3. 前記上流側及び下流側の水分濃度取得手段は、排気通路に設けられ、該選択還元型NOx触媒の上流側及びその下流側の排気通路内の水分濃度をそれぞれ計測する水分濃度計測手段を含み、前記選択還元型NOx触媒の上流側の水分濃度計測手段は、前記尿素水供給手段の上流に設けられていることを特徴とする請求項1記載の排気ガス浄化システムの故障診断装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012072667A (ja) * 2010-09-27 2012-04-12 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 排ガス浄化装置の制御方法および制御装置
WO2012176280A1 (ja) * 2011-06-21 2012-12-27 トヨタ自動車株式会社 排気浄化装置の異常検出装置

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