JP2013227888A - エンジンのカムシフティング装置 - Google Patents
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- F01L2013/101—Electromagnets
Abstract
【解決手段】吸気カムシャフト1に設けられたカムスリーブ20と、このカムスリーブ20の外周に並設されたカム部21a,21bと、カムスリーブ20を一方側へシフトする第1シフト案内部22と、この第1シフト案内部22と重複して形成され且つカムスリーブ20を他方側へシフトする第2シフト案内部23と、第1,第2シフト案内部22,23に夫々係合可能なアウタピン42及びインナピン43と、これらピン42,43の基端部に夫々設けられ且つ磁界が作用する面の極性が異なる永久磁石45,46と、これら永久磁石45,46に対応して設けられた励磁コイル44と、励磁コイル44の通電方向を切換えて励磁コイル44の磁界方向を変更するピン制御手段50を備えた。
【選択図】 図2
Description
しかし、特許文献1のバルブ駆動装置では、カムシャフトが分割されているため、カムシャフトの構造自体が複雑化し、しかも、部分的とはいってもカムシャフト自体を軸方向へシフトするため、装置が大掛かりになることは避けられない。
しかし、特許文献2のバルブ機構であっても、動弁系のバルブ特性を変更するカムシフティング装置として構成の簡単化と装置の小型化は十分ではなく、更に改善の余地がある。
これにより、構成の簡単化と装置の小型化を図り、エンジンへの搭載性を向上することができる。
請求項3の発明によれば、カムシフティング装置における軸直交方向のスペースを小さくできる。
請求項5の発明によれば、励磁コイルの通電を行なうことなく、後退位置においてインナピン及びアウタピンを保持することができ、省電力化を図ることができる。
請求項7の発明によれば、ディテント機構を備えているため、第1シフト案内部の片側の案内壁部を円周全体に亙って形成する必要がなく、カムスリーブを一層小型化及び軽量化することができる。
尚、本実施例では、4つのシリンダボアを有するシリンダブロック上にシリンダヘッドを取り付け、このシリンダヘッドに燃焼室に連通する吸気ポートと排気ポートとが形成された4気筒直列エンジンに適用した例について説明する。
図1,図2に示すように、本実施例のエンジンは、エンジンのクランクシャフト(図示略)と連結され同期回転する吸気カムシャフト1(軸部材)と、吸気ポートを開閉する吸気バルブ2と、エンジンのクランクシャフトと連結され同期回転する排気カムシャフト(図示略)と、排気ポートを開閉する排気バルブ(図示略)と、カムシフティング装置3等を備えている。吸気カムシャフト1及び排気カムシャフトは、夫々気筒列方向に延びるように平行状に配置され、複数のカムシャフト軸受によって軸支されている。
吸気側動弁系と排気側動弁系とは左右対称の構造であるため、以下、吸気側動弁系について説明する。また、説明の便宜上、図において矢印LR方向を、夫々左右方向として説明する。
各吸気バルブ2は、シリンダヘッド4に固着されたバルブガイド5内にバルブステム2aが挿通され、このバルブステム2aの上端に分割コレット6を介して上側スプリングリテーナ7aが嵌合されている。上側スプリングリテーナ7aとシリンダヘッド4に固定された下側スプリングリテーナ7bとの間にバルブスプリング8が張架されている。
ロッカーアーム10の左端(揺動端)は押圧部11を介してバルブステム2aの上端に圧接し、右端は部分球面状のピボット受部10aを介して球状のピボット12に当接している。ロッカーアーム10の中間部、所謂ロッカーシャフト9の左側部分には、吸気カムシャフト1に平行な回動軸を有するローラフォロア13が回転自在に枢支されている。
図2に示すように、カムシフティング装置3は、筒状のカムスリーブ20と、切換機構40と、ピン制御手段50等によって構成されている。
このカムスリーブ20は、鋼球15が低速用凹部24aに係合しているとき、低速用カム部21aがローラフォロア13に当接する低速運転状態に保持され、鋼球15が高速用凹部24bに係合しているとき、高速用カム部21bがローラフォロア13に当接する高速運転状態に保持される。これにより、エンジンが高速高負荷運転時、カムスリーブ20を右方向へシフトし、バルブリフト量を大きく且つバルブタイミングを進角させ、エンジンが低速低負荷運転時、カムスリーブ20を左方向へシフトし、バルブリフト量を小さく且つバルブタイミングを遅角させている。尚、鋼球15と圧縮コイルスプリング14と低速用凹部24aと高速用凹部24bとが、本発明のディテント機構Dに相当する。
右壁部27は、吸気カムシャフト1の回転方向リーディング側部分に形成された上り傾斜部27aと、トレーディング側部分に形成され誘導部26aに平行状に形成された誘導部27bとを備え、上り傾斜部27aと誘導部27bとの間は吸気カムシャフト1の軸直交状に構成されている。誘導部27bは、トレーディング側程軸方向の幅が狭くなるように構成されている。これにより、底壁部25のリーディング側部分は、トレーディング側部分に比べて左側位置に配置されている。
底壁部28は、吸気カムシャフト1の回転方向リーディング側部分に形成され且つ上り傾斜部27aのトレーディング側近傍位置に設けられた下り傾斜部28aと、トレーディング側部分に形成され且つ下り傾斜部26bのリーディング側近傍位置に設けられた上り傾斜部28bとを備えている。底壁部28は、左壁部26が形成された部分では左壁部26に隣接状に並設されると共に右壁部27が形成された部分では右壁部27に隣接状に並設され、誘導部26aと誘導部27bとの間においてストレート状に連なるように構成されている。これにより、底壁部28のリーディング側部分は、トレーディング側部分に比べて右側位置に配置されている。
図2に示すように、切換機構40は、筒状の磁性体製、例えばスチール製ケーシング41と、アウタピン42と、このアウタピン42に挿通可能且つ同軸状のインナピン43と、励磁コイル44等を備えた電動アクチュエータである。
ケーシング41は、アウタピン42とインナピン43と励磁コイル44等を収容可能に構成され、先端部分がOリング18を介してヘッドカバー17に装着されている。ケーシング41の基端部には、インナピン43を退避位置に保持する保持部41a(磁性体製保持部材)が設けられている。
アウタピン42の先端部は、径方向外側に張り出した環状に形成され、アウタピン42が第1シフト案内部22に進入したとき、第1シフト案内部22の左壁部26に軸方向に対して係合可能に構成されている。アウタピン42の基端部には、環状のアウタ側永久磁石45が装着されている。このアウタ側永久磁石45は、励磁コイル44の磁界が作用する基端側面がS極、先端側面がN極になるように配置されている。アウタピン42とアウタ側永久磁石45の軸心部分には、基端から先端に亙ってストレート状に連通する連通開口が形成されている。
インナピン43の先端部は、インナピン43が第2シフト案内部23に進入したとき、第2シフト案内部23の右壁部30に軸方向に対して係合可能に構成されている。インナピン43の基端部には、環状のインナ側永久磁石46が装着されている。このインナ側永久磁石46は、励磁コイル44の磁界が作用する先端側面がN極、基端側面がS極になるように配置されている。
まず、低速運転状態から高速運転状態へのシフト動作について説明する。
図2に示すように、低速運転状態のとき、鋼球15が低速用凹部24aに係合し、カムスリーブ20は左側位置に保持されている。通電遮断状態では、アウタ側永久磁石45が着座部47aに吸着し、インナ側永久磁石46が保持部41aに吸着しているため、アウタピン42とインナピン43は、右壁部27の上端と底壁部28(底壁部25)とから夫々所定距離基端側へ離隔している。この状態から高速高負荷運転状態の指令に基づき、ピン制御手段50がスイッチ機構51を図2に示す通電状態に切換える。
図7に示すように、インナ側永久磁石46が先端側へ吸引されるため、インナピン43は先端側に突出して第2シフト案内部23に進入を開始する。このとき、インナピン43の先端部は、下り傾斜部28aに沿って進出し、第2シフト案内部23に進入する。
第2シフト案内部23(底壁部28)のリーディング側部分がトレーディング側部分に比べて右側位置に配置されているため、吸気カムシャフト1の回転力によりインナピン43から右壁部30に右方向の応力が作用し、鋼球15と低速用凹部24aとの係合が解除されてカムスリーブ20が右側へスライドする。
図11に示すように、高速運転状態のとき、鋼球15が高速用凹部24bに係合し、カムスリーブ20は右側位置に保持されている。通電遮断状態では、低速運転状態のときと同様に、アウタ側永久磁石45が着座部47aに吸着し、インナ側永久磁石46が保持部41aに吸着しているため、アウタピン42とインナピン43は、左壁部26の上端と底壁部25とから夫々所定距離基端側へ離隔している。この状態から低速低負荷運転状態の指令に基づき、ピン制御手段50がスイッチ機構51を図2とは逆の通電状態に切換える。
図12に示すように、アウタ側永久磁石45が先端側へ反発されるため、アウタピン42は先端側に突出して第1シフト案内部22に進入を開始する。このとき、アウタピン42の先端部は、下り傾斜部26bに沿って進出し、第1シフト案内部22に進入する。
第1シフト案内部22(底壁部25)のリーディング側部分がトレーディング側部分に比べて左側位置に配置されているため、吸気カムシャフト1の回転力によりアウタピン42から左壁部26に左方向の応力が作用し、鋼球15と高速用凹部24bとの係合が解除されてカムスリーブ20が左側へスライドする。
このカムシフティング装置3によれば、カムスリーブ20の軸方向長さを短縮化できるため、カムスリーブ20の軽量化と小型化とを図ることができ、単一の励磁コイル44でインナピン43とアウタピン42とを選択的に突出させるため、励磁コイル44の軸直交方向の配置スペースを小型化できる。これにより、構成の簡単化と装置の小型化を図り、エンジンへの搭載性を向上することができる。
高速運転状態へシフトするとき、ピン制御手段50は、励磁コイル44の先端側磁極がN極、基端側磁極がS極になるようにコイル48に通電している。
図16(b)に示すように、アウタ側永久磁石45Aは励磁コイル44に吸引されて着座部47aとの吸着状態を維持し、インナ側永久磁石46Aは励磁コイル44に反発されて着座部47aから先端側へ突出する。
図16(c)に示すように、インナ側永久磁石46Aは励磁コイル44に吸引されて着座部47aとの吸着状態を維持し、アウタ側永久磁石45Aは励磁コイル44に反発されて着座部47aから先端側へ突出する。
この切換装置40Aによれば、カムシフティング装置における軸直交方向のスペースを小さくすることができる。
芯金55の先端には、径方向外側へ張り出した環状の着座部55aが一体形成されている。
高速運転状態へシフトするとき、ピン制御手段50は、励磁コイル44の先端側磁極がN極、基端側磁極がS極(補助励磁コイル49の先端側磁極がS極、基端側磁極がN極)になるようにコイル48a,48bに通電している。
図17(b)に示すように、アウタ側永久磁石45は励磁コイル44に吸引されて着座部47aとの吸着状態を維持し、インナ側永久磁石46は励磁コイル44に吸引且つ補助励磁コイル49に反発されて着座部55aから離脱し着座部47へ吸着される。
図17(c)に示すように、インナ側永久磁石46Aは補助励磁コイル49に吸引且つ励磁コイル44に反発されて着座部55aに吸着され、アウタ側永久磁石45Aは励磁コイル44に反発されて着座部47aから先端側へ突出する。
この切換装置40Bによれば、インナピンの突出動作初期の推進力を増加できるため、インナピン43の突出ストロークがアウタピン42の突出ストロークよりも大きな場合でも、確実にインナピン43を突出することができる。
1〕前記実施例においては、第1シフト案内部の左壁部と右壁部とを円周上の一部のみに夫々形成した例を説明したが、何れか一方の壁部を全周に亙って形成しても良い。また、第1シフト案内部の左壁部と右壁部とを全周に亙って形成することにより、走行振動によるカムスリーブの誤作動等を防止することが可能である。
4〕その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
3 カムシフティング装置
20 カムスリーブ
21a 低速用カム部
21b 高速用カム部
22 第1シフト案内部
23 第2シフト案内部
26 左壁部
30 右壁部
40,40A, 切換機構
40B
41a 保持部
42 アウタピン
43 インナピン
44 励磁コイル
45,45A アウタ側永久磁石
46,46A インナ側永久磁石
47a 着座部
49 補助励磁コイル
50 ピン制御手段
55a 着座部
D ディテント機構
Claims (7)
- エンジンの出力軸と同期回転する軸部材と、この軸部材に回転不能且つ軸方向にシフト可能に設けられたカムスリーブと、このカムスリーブの外周に並設され且つ動弁系のバルブ特性が異なる複数のカム部と、前記カムスリーブを前記軸方向一方側へ軸部材に対してシフトする第1シフト案内部と、この第1シフト案内部と重複して形成され且つ前記カムスリーブを前記軸方向他方側へ軸部材に対してシフトする第2シフト案内部と、前記第1,第2シフト案内部に夫々係合可能なインナピン及びこのインナピンと同軸状のアウタピンとを備え、前記インナピンとアウタピンを先端側へ選択的に突出させて前記カムスリーブを前記軸方向へシフトさせることによりバルブ特性を変更可能なエンジンのカムシフティング装置であって、
前記インナピンとアウタピンの基端部に夫々設けられ且つ磁界が作用する面の極性が異なるインナピン側永久磁石及びアウタピン側永久磁石と、
前記インナピン側永久磁石及びアウタピン側永久磁石に対応して設けられた励磁コイルと、
前記インナピンとアウタピンの突出動作を制御するためのピン制御手段であって、前記励磁コイルの通電方向を切換えて励磁コイルの磁界方向を変更するピン制御手段を備えたことを特徴とするエンジンのカムシフティング装置。 - 前記インナピンの基端側部分がアウタピンの基端部よりも基端側へ突出状に形成され、前記インナピン側永久磁石とアウタピン側永久磁石との間に前記励磁コイルを配置し、
前記ピン制御手段が、前記インナピンを突出させるとき、前記インナピン側永久磁石を吸引し、前記アウタピンを突出させるとき、前記アウタピン側永久磁石を反発させるように前記励磁コイルの磁界方向を変更することを特徴とする請求項1に記載のエンジンのカムシフティング装置。 - 前記インナピン側永久磁石とアウタピン側永久磁石との基端側に前記励磁コイルを配置し、
前記ピン制御手段が、前記インナピンを突出させるとき、前記インナピン側永久磁石を反発させ、前記アウタピンを突出させるとき、前記アウタピン側永久磁石を反発させるように前記励磁コイルの磁界方向を変更することを特徴とする請求項1に記載のエンジンのカムシフティング装置。 - 前記第1シフト案内部が前記アウタピンを案内し、
前記第2シフト案内部が前記インナピンを案内し且つ前記第1シフト案内部よりもインナピンの突出方向に深く凹入され、
前記第1,第2シフト案内部は、少なくとも前記軸方向一方側に案内壁部を備え且つ前記軸部材の回転方向において案内されるピンを基端側に後退させる上り斜面を夫々有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のエンジンのカムシフティング装置。 - 前記インナピンとアウタピンの基端側に配置され且つ前記励磁コイルの通電を遮断したとき、前記上り斜面によって基端側に後退されたピンを永久磁石を介して退避位置に保持する磁性体製保持部材を設けたことを特徴とする請求項4に記載のエンジンのカムシフティング装置。
- 前記インナピンの基端側に、前記励磁コイルに直列接続されると共にこの励磁コイルの励磁方向と逆方向に励磁する補助励磁コイルを配置し、
前記ピン制御手段が、前記インナピンを突出させるとき、前記励磁コイルが前記インナピン側永久磁石を吸引し、前記補助励磁コイルが前記インナピン側永久磁石を反発させるように前記励磁コイルと補助励磁コイルの磁界方向を変更することを特徴とする請求項2に記載のエンジンのカムシフティング装置。 - 前記カムスリーブと軸部材との間に、カムスリーブの前記軸方向一方側シフト位置と他方側シフト位置とを保持するディテント機構を設け、
前記第1シフト案内部の片側の案内壁部が円周上の一部のみに形成されたことを特徴とする請求項4に記載のエンジンのカムシフティング装置。
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