以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、建物の周囲に屋外機器が設置された構成において、建物外壁の屋外面を保護する建物外壁の保護構造を本発明として具体化している。図1は、屋外機器27及びその周辺の構成を示す斜視図、図2は、屋外機器27周辺における建物10の縦断面図である。なお、図2の屋外機器27については、縦断面ではなく側面を図示している。
図1、図2に示すように、住宅等の建物10は建物基礎11の上に設けられており、建物外壁としての外壁12により囲まれた屋内空間13を有している。建物基礎11は、鉄筋コンクリート造の布基礎であり、地中に埋設されたフーチング部11aと、フーチング部11aから上方に延びた立ち上がり部11bとを有している。立ち上がり部11bは、地表面GLよりも上方に突出しており、屋内空間13の下方において、立ち上がり部11bに囲まれた内側空間が床下空間15となっている。
建物基礎11の上には床大梁16が設置されている。床大梁16は、天井大梁や柱などと共に建物躯体を形成する構造体であり、床大梁16などの建物躯体が建物基礎11により下方から支持されている。床大梁16は、建物基礎11の立ち上がり部11bの上端面に、通気用の隙間を確保するためのスペーサ17を介して載置されており、その隙間を通じて床下空間15の通気が行われる。外壁12は、床大梁16などの建物躯体により支持されている。
外壁12は、床大梁16等の建物躯体に取り付けられた外壁パネル18と、外壁パネル18の屋内側に設けられた内壁面材19と、外壁パネル18及び内壁面材19の間に設けられた断熱部21とを有している。外壁パネル18は、外壁面を形成する外壁面材22と、外壁面材を支持する下地フレーム23とを有しており、外壁面材22は、例えば窯業系サイディング等の外装材により形成されている。
下地フレーム23は、全体として矩形枠状に形成されており、上下方向に延びる縦フレーム材23aと、左右方向に延びる横フレーム材23bとを有している。これらフレーム材23a,23bは、いずれも断面コ字状の軽量鉄骨材により形成されており、一対のフランジのうち一方が屋外側に配置され且つ他方が屋内側に配置される状態で設けられている。この場合、フレーム材23a,23bにおいては、屋外側フランジが外壁面材22の屋内側面に固定されている。縦フレーム材23aは、溝部を隣の縦フレーム材23aに向けた状態で、外壁面材22に沿って横並びに複数設けられており、横フレーム材23bは、溝部を上方又は下方に向けた状態で、外壁面材22に沿って縦並びに複数設けられている。
内壁面材19は、石膏ボード等により形成されており、下地材を介して外壁パネルに対して固定されている。断熱部21は、グラスウール等の繊維系断熱材により形成されており、内壁面材19の屋外側面に沿って延びるように設けられている。断熱部21の屋外側には、上下方向に延びる通気層24が形成されており、通気層24は、下地フレーム23により断熱部21と外壁面材22との間に確保された隙間空間となっている。
建物10の周囲には、屋外設備機器としての屋外機器27が設けられている。屋外機器27は、例えば給湯設備としてのヒートポンプ式電気給湯装置とされており、外壁12から屋外側に離間した位置にある。屋外機器27は、全体として直方体形状とされており、水平方向において外壁12に沿って延びるように設置されている。この場合、屋外機器27の一側面が外壁12の屋外面(外壁面)と対向しており、その一側面が対向面27aとなっている。また、屋外機器27において対向面27aが延びる方向を幅方向とし、その幅方向と交差する方向を厚み方向とすれば、屋外機器27の幅寸法が厚み寸法よりも大きくされている。
この場合、屋外機器27が水平方向において外壁面と直交する方向に延びるように設置された場合に比べて、外壁12の屋外面を基準とした屋外機器27の屋外側への突出寸法が小さくなり、建物10の周囲において屋外機器27が目立ちにくい状態になる。また、この場合、建物10の敷地が狭小地であっても、屋外機器27の厚み寸法が外壁12と敷地境界線との離間距離よりも小さければ、屋外機器27を外壁12と敷地境界線との間に設置することが可能となる。一方で、屋外機器27は、厚み寸法が幅寸法よりも小さくされていることで、外壁12に沿って延びる方向ではなく、外壁12に近付く方向に揺れやすく(しなりやすく)なっている。
屋外機器27は、機器基礎28の上に設置されている。機器基礎28は、建物基礎11と同様に鉄筋コンクリート造とされており、建物基礎11の屋外側に配置されている。機器基礎28は、矩形板状に形成されており、地表面GLよりも上方に突出した状態で、その地表面GLに沿って延びるように設けられている。
屋外機器27は、揺れの伝わりを低減する免震手段としての免震部材29を挟んで機器基礎28の上に載置されている。免震部材29は、積層ゴムやバネ等により形成されており、機器基礎28と屋外機器27とを構造的に絶縁した状態で設けられ、機器基礎28の振動を吸収することが可能となっている。このため、地震発生等により機器基礎28が水平方向に揺れた場合に、機器基礎28から屋外機器27への揺れの伝わりが免震部材29により低減される。この場合、免震部材29は、すべり支承を構成するものであるとも言える。
ここで、屋外機器27が建物10の周囲に設置されている構成では、地震発生等により建物10と屋外機器27とが相対的に揺れると、屋外機器27の揺れが免震部材29により低減されたとしても、屋外機器27が外壁12の屋外面に接触して外壁12の変形や破損が生じることが懸念される。そこで、本実施形態では、外壁12と屋外機器27との間において、屋外機器27からの衝撃を緩和する緩衝部材31が外壁12の屋外側に取り付けられている。
緩衝部材31は、変形することで衝撃を吸収する衝撃吸収材とされており、例えば低反発ゴム等の低反発素材により板状に形成されている。緩衝部材31は、柔軟性を有しており、外力が加えられることで変形するようになっている。緩衝部材31は、外壁12に沿って延びており、緩衝部材31の裏表両板面のうち一方の板面が外壁12の屋外面と対向した状態で外壁12に対して取り付けられている。この場合、緩衝部材31における外壁12とは反対側の板面が、屋外機器27の対向面27aと対向しており、その板面が機器側板面31aとなっている。
緩衝部材31は、屋外機器27の幅方向に沿って延びており、緩衝部材31の幅寸法は屋外機器27の幅寸法よりも大きくされている。また、緩衝部材31は、上下方向において、緩衝部材31の上端と下端との間に屋外機器27の対向面27aの上端が配置される高さ位置に設けられている。これにより、屋外機器27の幅方向の全体において、対向面27aの上端を含んだ上側部分が、緩衝部材31の機器側板面31aと対向していることになる。
屋外機器27は、緩衝部材31から屋外側に離間しており、屋外機器27と緩衝部材31との間の離間部分には、それら屋外機器27と緩衝部材31との間隔(離間距離)を保持する間隔保持部材32が設けられている。間隔保持部材32は、金属材料や合成樹脂材料などにより形成された硬質部材であり、少なくとも緩衝部材31よりも硬い部材とされている。間隔保持部材32は、緩衝部材31の機器側板面31aに当接した当接部35と、屋外機器27の対向面27aに対して固定された固定部36と、これら当接部35と固定部36とを連結する連結部37とを有している。当接部35と固定部36とは、連結部37を挟んで離間した状態で互いに平行に延びている。
当接部35は、緩衝部材31の機器側板面31aに沿って延びている板部であり、固定部36とは反対側の板面が建物側板面35aとして緩衝部材31の機器側板面31aと対向している。当接部35の建物側板面35aは、緩衝部材31の機器側板面31aと重ねられた状態で当接している。当接部35の建物側板面35aは、緩衝部材31の機器側板面31aよりも表面積が小さく、建物側板面35aの全体が機器側板面31aに当接している状態で、機器側板面31aには、当接部35の建物側板面35aが当接していない部分がある。この場合、当接部35は緩衝部材31の一部に当接している。
固定部36は、屋外機器27の対向面27aに沿って延びている板部であり、連結部37とは反対側の板面が屋外機器27の対向面27aと対向し且つ当接している。連結部37は、当接部35と固定部36との並び方向に延びている板部である。
間隔保持部材32は、例えば形鋼としてのH形鋼により形成されている。H形鋼は、平行に延びる一対のフランジと、それらフランジを連結するウェブとを有しており、一方のフランジにより当接部35が形成され、他方のフランジにより固定部36が形成され、ウェブにより連結部37が形成されている。
なお、間隔保持部材32は溝形鋼により形成されていてもよい。溝形鋼はH形鋼と同様に一対のフランジとウェブとを有しているため、溝形鋼において一方のフランジにより当接部35を形成し、他方のフランジにより固定部36を形成し、ウェブにより連結部37を形成することが可能となる。
屋外機器27と緩衝部材31との離間距離はL1とされており、その離間距離が間隔保持部材32によりL1にて保持される。この場合、間隔保持部材32の厚み寸法が離間距離L1と同じにされている。ここで、外壁12と屋外機器27との離間距離をL2とし、緩衝部材31の厚み寸法をDとすれば、L1+D=L2となる。つまり、緩衝部材31の厚み寸法Dは、外壁12と屋外機器27との離間距離L2よりも小さくされており、その不足分が間隔保持部材32の厚みにより補われていることになる。
L1は間隔保持部材32により一定に保持されるため、緩衝部材31が押し潰される(Dが小さくなる)ことで、屋外機器27と外壁12とが互いに近付く(L2が小さくなる)ことが可能となる。また、緩衝部材31及び間隔保持部材32については、間隔保持部材32の厚み寸法(離間距離L1)が、緩衝部材31の厚み寸法Dよりも大きくされている(L1>D)。
外壁12には、間隔保持部材32と外壁12とが近付く場合に外壁12に対する間隔保持部材32の移動方向を案内するガイド部材41が取り付けられている。なお、間隔保持部材32と外壁12とが近付いた場合、緩衝部材31は、間隔保持部材32により外壁12に押し付けられて少なくとも一部が押し潰された状態となる。ここでは、ガイド部材41の構成について図3を参照しつつ説明する。図3は、図2における間隔保持部材32周辺の拡大図である。なお、図3においては、屋外機器27の部分断面を図示している。
図3に示すように、ガイド部材41は、金属材料や合成樹脂材料により形成された長尺材とされており、外壁12から屋外機器27に向けて突出している。ガイド部材41は、外壁12の内部から外壁面材22を貫通して、屋外において外壁12から離間する方向に延びている。ガイド部材41は、外壁12の内部において下地フレーム23に固定されている。具体的には、ガイド部材41の屋内側端部には取付板42が取り付けられており、その取付板42が、下地フレーム23の縦フレーム材23aに固定されている。取付板42は、縦フレーム材23aの屋内側フランジに対してボルト43により固定されている。
ガイド部材41は、外壁面材22に加えて、緩衝部材31と間隔保持部材32の当接部35とを貫通した状態で設けられている。緩衝部材31には、その緩衝部材31を厚み方向に貫通する貫通孔44が設けられ、間隔保持部材32の当接部35には、その当接部35を厚み方向に貫通する貫通孔45が設けられており、それら貫通孔44,45にガイド部材41が挿通されている。
この場合、ガイド部材41は、外壁面材22と緩衝部材31と間隔保持部材32の当接部35とが重なった部分をまとめて貫通しており、緩衝部材31及び間隔保持部材32を外壁12に対して位置保持している。ここで、緩衝部材31は外壁面材22に対して接着剤により固定され、間隔保持部材32も緩衝部材31に対して接着剤により固定されている。仮に、外壁面材22と緩衝部材31との接着や、緩衝部材31と間隔保持部材32との接着が剥がれても、ガイド部材41が緩衝部材31及び間隔保持部材32の貫通孔44,45から抜けない限りは、緩衝部材31及び間隔保持部材32が外壁面に沿った方向に変位することがガイド部材41により規制される。
ガイド部材41には、間隔保持部材32が緩衝部材31(外壁12)から離間する方向に移動することを規制する規制部としてのストッパ47が取り付けられている。ストッパ47は、間隔保持部材32の当接部35よりも屋外機器27側において、屋外機器27側に移動しないようにガイド部材41に取り付けられたナット等の金属片であり、間隔保持部材32の当接部35における屋外機器27側の面に係止された(引っ掛かった)状態となっている。ストッパ47は、ガイド部材41に固定されている一方で、間隔保持部材32の当接部35には固定されていない。このため、間隔保持部材32は、緩衝部材31から離間する側に移動することがストッパ47により規制されている一方で、緩衝部材31を押し潰す側に移動することが可能となっている。
屋外機器27は、その対向面27aを形成するケース体51を有している。ケース体51は、L形鋼等の鋼材により補強された補強部分53を有しており、その補強部分53の外側面が対向面27aに含まれている。間隔保持部材32の固定部36は、屋外機器27の対向面27aのうち補強部分53の外側面に当接しており、その補強部分53に対してボルト54により固定されている。ボルト54は、間隔保持部材32の固定部36と屋外機器27の補強部分53とを貫通した状態で設けられており、間隔保持部材32が屋外機器27から離間することを阻止している。
図1の説明に戻り、間隔保持部材32は、屋外機器27の幅方向において所定間隔で横並びに配置されている。例えば、2つの間隔保持部材32が、屋外機器27の両端寄りの位置にそれぞれ設けられている。緩衝部材31の設置部分であって、2つの間隔保持部材32の間においては、電気配線61を引き出すための引き出し口62が外壁面材22に形成されており、その引き出し口62を通じて、建物10内に敷設された電気配線61が屋外側に引き出されている(図2参照)。
ここでは、電気配線61が引き出し口62から引き出されている構成について図4を参照しつつ説明する。図4は、引き出し口62周辺の縦断面図である。
図4において、電気配線61は、屋外機器27に接続された電力ケーブルや信号線であり、外壁12の内部を通って建物10の分電盤やホームサーバに接続されている。電気配線61は、外壁12の内部において通気層24に上下方向に延びるように敷設されており、引き出し口62を通じて通気層24から屋外に引き出されている。引き出し口62は、外壁面材22における緩衝部材31と重なっている部分であって、隣り合う間隔保持部材32の間に設けられている。このため、仮に、間隔保持部材32が緩衝部材31を押し潰す側に移動しても、引き出し口62や電気配線61が間隔保持部材32により押圧されるということが回避される。
外壁面材22の屋外面には、引き出し口62を屋外側から覆うカバー部材63が取り付けられている。カバー部材63は金属材料や合成樹脂材料により箱状に形成されており、カバー部材63の周面部は、引き出し口62に向けて開放された部分と、下方に向けて開放された部分とを有している。この場合、外壁12の内部から引き出し口62を通じて引き出された電気配線61を、カバー部材63の内部空間を通じてカバー部材63の下方に引き出すことが可能になっている。
外壁面材22に取り付けられた緩衝部材31は、カバー部材63を屋外側から覆った状態になっている。緩衝部材31には、カバー部材63と対向する面がカバー部材63とは反対側に向けて凹んだ凹部64が形成されており、その凹部64にカバー部材63が収容されている。このため、外壁面にカバー部材63が取り付けられている部分においても、緩衝部材31がカバー部材63の分だけ屋外側に向けて突出するということが回避されている。
次に、地震発生等により建物10や屋外機器27が揺れた場合の緩衝部材31及び間隔保持部材32の様子について、図5を参照しつつ説明する。図5は、屋外機器27が建物10に近付いた場合の屋外機器27周辺における建物10の縦断面図である。なお、図5の屋外機器27については、縦断面ではなく側面を図示している。
地震発生等により建物10や屋外機器27が揺れた場合、屋外機器27と建物10との揺れの周期が異なることなどにより、屋外機器27及び建物10に対して、それら屋外機器27と建物10とが互いに近付く向きや遠ざかる向きに外力が加えられることが想定される。また、屋外機器27は、免震部材29により地表面GLの揺れが伝わりにくい状態となっているため、地表面GLが水平方向に揺れた場合には、地表面GLに対して相対的に水平方向にスライド移動することになる。
図5に示すように、屋外機器27が建物10に近付く向きにスライド移動した場合、間隔保持部材32は外壁12に近付く側に移動し、緩衝部材31の一部を押し潰した状態となる。つまり、緩衝部材31においては、その一部に間隔保持部材32の当接部35が食い込み、その部分が外壁12側に凹んだ状態となる。この場合、屋外機器27が建物10に近付くことで間隔保持部材32から加えられる衝撃が緩衝部材31により吸収されるため、外壁12が変形したり破損したりするということを抑制できる。
また、この場合、ストッパ47により間隔保持部材32が緩衝部材31に常に当接した状態とされているため、間隔保持部材32が緩衝部材31に離れた位置から衝突する場合に比べて、間隔保持部材32から緩衝部材31に加えられる衝撃自体が低減される。これにより、間隔保持部材32から加えられる衝撃が緩衝部材31にて吸収しきれずに外壁12に伝わって外壁12が変形したり破損したりするということを抑制できる。
さらに、間隔保持部材32は、電気配線61の引き出し口62を覆うカバー部材63を挟んで両側に配置されているため、緩衝部材31におけるカバー部材63を覆う部分は、間隔保持部材32によっては押し潰されない。さらに、間隔保持部材32の厚み寸法が緩衝部材31の厚み寸法Dよりも大きいため、間隔保持部材32により緩衝部材31が押し潰されて、緩衝部材31の厚み寸法Dがほぼゼロになった場合でも、外壁12と屋外機器27との離間距離L1は、カバー部材63を覆う部分の緩衝部材31の厚み寸法Dよりも大きい状態で確保される。これにより、屋外機器27の対向面27aが緩衝部材31ごとカバー部材63に押し付けられるということがない。その結果、引き出し口62からの電気配線61の引き出し部分がカバー部材63ごと屋外機器27により押し潰されるということを回避できる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
外壁12と屋外機器27との間に緩衝部材31が設けられているため、地震発生等の揺れにより建物10と屋外機器27とが近付いたとしても、緩衝部材31が外壁12と屋外機器27との間に挟まった状態となり、屋外機器27が外壁12に接触することを抑制できる。しかも、屋外機器27から外壁12に対して加えられる衝撃は緩衝部材31にて吸収されるため、屋外機器27から加えられる衝撃により外壁12が変形したり破損したりするということを回避できる。
また、緩衝部材31が外壁12に取り付けられているため、緩衝部材31により外壁12の屋外面を保護することができる。例えば、緩衝部材31が屋外機器27に取り付けられている場合、建物10と屋外機器27とが相対的に揺れることで、外壁12の屋外面に対する緩衝部材31の接触及び離間が繰り返され、外壁12の屋外面において緩衝部材31の接触部分が汚れたり傷付いたりすることが懸念される。これに対して、緩衝部材31が外壁12に取り付けられていることで、この懸念を解消できる。
以上により、建物10と外壁12とが相対的に揺れた場合に、屋外機器27による外壁12の損傷を好適に抑制することができる。
屋外機器27と外壁12との間には、それらの並び方向において緩衝部材31及び間隔保持部材32が並べて設けられているため、屋外機器27が外壁12から離間して設置されている場合に、その離間距離L2よりも緩衝部材31の厚み寸法Dが小さくても、屋外機器27と緩衝部材31とが間隔保持部材32を介して連続した状態となる。これにより、緩衝部材31により外壁12に対する屋外機器27の揺れを抑え、ひいては、建物10と屋外機器27との相対的な揺れによる外壁12の損傷を抑制することができる。
また、緩衝部材31の厚み寸法Dが屋外機器27と外壁12との離間距離L2よりも小さい構成においては、緩衝部材31を外壁12から取り外して取り替えなくても、間隔保持部材32を緩衝部材31と屋外機器27との離間距離L2の大きさに合わせた部材に取り替えることで、屋外機器27の代わりに間隔保持部材32を屋外機器27に当接させた状態にできる。
緩衝部材31が外壁12の屋外面に沿って延びているため、屋外機器27と緩衝部材31とを面同士で当接させることで、屋外機器27からの衝撃を緩衝部材31の広範囲で吸収することが可能となる。しかも、間隔保持部材32が屋外機器27に固定されているため、建物10と屋外機器27との相対的な揺れに伴って屋外機器27と間隔保持部材32との接触及び離間が繰り返し行われるということがない。これにより、これら屋外機器27や間隔保持部材32が変形したり破損したりするということを回避できる。
外壁12に対する間隔保持部材32の移動方向がガイド部材41により案内されるため、建物10と屋外機器27とが相対的に揺れたとしても、間隔保持部材32が緩衝部材31に当接した状態を維持できる。しかも、ガイド部材41に間隔保持部材32を移動可能な状態で支持させることも可能となる。これにより、間隔保持部材32がガイド部材41から離脱することを回避でき、その結果、間隔保持部材32が緩衝部材31に当接した状態をより確実に維持できる。
ガイド部材41が間隔保持部材32の当接部35を貫通しているため、地震発生等により間隔保持部材32と外壁12とが近付く際に、その間隔保持部材32の移動方向が、ガイド部材41の延びている方向に対して上下左右にずれることを抑制できる。
ガイド部材41が緩衝部材31を貫通しているため、外壁12にガイド部材41を取り付けた後に、緩衝部材31を外壁12に対して取り付ける際に、緩衝部材31の貫通孔44にガイド部材41を挿通させることが緩衝部材31の位置決めを行うことになる。このため、緩衝部材31を外壁12に対して取り付ける作業を容易化できる。しかも、緩衝部材31がガイド部材41により支持されることにもなるため、緩衝部材31を接着剤等により外壁面に固定しなくても、緩衝部材31を位置保持させることができる。
ガイド部材41が外壁12から屋外機器27に向けて延びている構成において、間隔保持部材32が緩衝部材31から離れることがストッパ47により規制されているため、建物10と屋外機器27とが相対的に揺れた際、間隔保持部材32が緩衝部材31から離れた位置からその緩衝部材31に衝突する場合に比べて、間隔保持部材32から緩衝部材31に加えられる衝撃自体を低減することができる。これにより、間隔保持部材32から加えられる衝撃が緩衝部材31にて吸収しきれずに外壁12に伝わって外壁12が変形したり破損したりすることを抑制できる。
ガイド部材41が下地フレーム23を介して床大梁16等の建物躯体に固定されているため、その建物躯体によりガイド部材41を強固に支持することができる。これにより、屋外機器27から間隔保持部材32を介してガイド部材41に衝撃が加えられたとしても、ガイド部材41を、間隔保持部材32の移動を好適に案内できる適正な状態に保持することができる。
ガイド部材41の取付板42が、縦フレーム材23aの屋内側フランジに固定されているため、屋外側フランジに固定されている構成とは異なり、ボルト43の頭部や先端の分だけ外壁面材22が縦フレーム材23aから屋外側に離れた状態となることを抑制できる。
屋外機器27が免震部材29を介して機器基礎28の上に設置されているため、地表面GLに対する屋外機器27の揺れ自体を低減することができる。この場合、建物10と屋外機器27との相対的な揺れが小さくなるため、屋外機器27から緩衝部材31に加えられる衝撃自体を低減することができる。
しかも、免震部材29により下方から支持されている屋外機器27においては、上端部が下端部を支点として揺れるのではなく、屋外機器27の全体が地表面に対して水平方向にスライド移動しやすくなる。この場合、屋外機器27の移動方向とガイド部材41による間隔保持部材32の移動方向とが一致しやすくなり、間隔保持部材32が緩衝部材31に当接した状態をより確実に維持することができる。
外壁12からの電気配線61の引き出し部分がカバー部材63により保護されている構成において、そのカバー部材63が屋外側から緩衝部材31により覆われているため、建物10と屋外機器27とが相対的に揺れた場合に、電気配線61やカバー部材63が屋外機器27により押し潰されることを緩衝部材31により抑制できる。
[他の実施形態]
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)上記実施形態では、ガイド部材41が緩衝部材31及び間隔保持部材32を貫通した状態で設けられていたが、ガイド部材41は、緩衝部材31や間隔保持部材32を貫通しない状態で設けられていてもよい。例えば、緩衝部材31及び間隔保持部材32がガイド部材41の上に載置されている構成とする。この場合でも、ガイド部材41は、外壁12に対する間隔保持部材32の移動方向を案内することができる。また、この場合、緩衝部材31及び間隔保持部材32は、ガイド部材41により下方から支持されていることにもなる。なお、図6に示すように、ガイド部材41は設けられていなくてもよい。
(2)上記実施形態では、ガイド部材41において、ストッパ47が間隔保持部材32の当接部35における屋外機器27側の面に当接した状態で設けられていたが、ストッパ47は、間隔保持部材32の当接部35から屋外機器27側に離間した位置に設けられていてもよい。この場合でも、間隔保持部材32が、ストッパ47と当接部35との離間距離以上に緩衝部材31から離れることを規制できるため、ストッパ47が設けられていない構成に比べて、間隔保持部材32から緩衝部材31に加えられる衝撃を低減できる。
また、ストッパ47と当接部35との間には、ゴムやバネ等の弾性部材が設けられていてもよい。この場合、ストッパ47と当接部35とが離間している構成において、屋外機器27と建物10とが相対的に揺れた際に、当接部35からストッパ47に加えられる衝撃が弾性部材により低減されるため、ストッパ47や当接部35の変形や破損を抑制できる。
さらに、ストッパ47が間隔保持部材32のどこかに係止することで、緩衝部材31からの間隔保持部材32の離間が規制される構成とされていればよい。このため、ストッパ47は、間隔保持部材32の固定部36や連結部37に係止可能に設けられていればよい。
(3)上記実施形態では、間隔保持部材32が屋外機器27と緩衝部材31との間に挟まれた状態で設けられていたが、間隔保持部材32は、緩衝部材31に当接する当接部35を有していれば、屋外機器27と緩衝部材との間に挟まれた状態となっていなくてもよい。
例えば、図6に示すように、間隔保持部材32が屋外機器27の上面に固定された構成とする。この間隔保持部材32においては、連結部37がなく、屋外機器27に固定された固定部71が当接部35から屋外機器27に向けて延びている。間隔保持部材32は、一対の板部が直交しているL形鋼(アングル材)により形成されており、それら板部のうち一方の板部により当接部35が形成され、他方の板部により固定部71が形成されている。固定部71は、屋外機器27のケース体51の上面に重ねられており、ボルト等によりケース体51の上面部に対して固定されている。
また、間隔保持部材32は、1つだけ設けられていてもよく、3つ以上設けられていてもよい。さらに、間隔保持部材32は、緩衝部材31を挟んで外壁12の屋外側に配置されている構成であれば、上下方向において屋外機器27の中央部や下部に合わせた高さ位置に設けられていてもよい。この場合でも、間隔保持部材32により屋外機器27と緩衝部材31との離間距離が保持されることになる。
(4)上記実施形態では、屋外機器27と緩衝部材31との離間距離L1が、緩衝部材31の厚み寸法Dよりも大きくされていた(L1>D)が、L1=Dとされていてもよく、L1<Dとされていてもよい。図6に示すように、L1<Dとされている構成では、屋外機器27と建物10とが相対的に近付いた場合、間隔保持部材32が食い込むことで緩衝部材31の一部が凹み、屋外機器27が離間距離L1を超えて外壁12側に移動することが可能となる。つまり、屋外機器27の対向面27aが、緩衝部材31の凹んでいない部分又は凹みの小さい部分に当接することが可能となる。
この場合、緩衝部材31において、屋外機器27からの衝撃が、間隔保持部材32との当接部分だけでなく、間隔保持部材32を介さずに屋外機器27と当接した部分でも吸収される。つまり、緩衝部材31における衝撃を吸収する面積を大きくすることができる。これにより、屋外機器27からの衝撃を吸収しきれないということを抑制できる。
(5)上記実施形態では、外壁面材22の引き出し口62から電気配線61が屋外に引き出されていたが、引き出し口62からは、可撓性を有する配管やダクトなどが引き出されていてもよい。この場合でも、配管やダクトの引き出し部分がカバー部材63により覆われていることが好ましい。なお、電気配線61や配管やダクトなどは、外壁12を壁厚み方向に貫通した状態で、引き出し口62から引き出されていてもよい。
(6)外壁面材22において、緩衝部材31の設置部分には引き出し口62が設けられていなくてもよい。例えば、図6に示すように、電気配線61が外壁12の下端部から屋外に引き出されている構成とする。この構成では、緩衝部材31の設置部分にカバー部材63が設けられていない。この場合、緩衝部材31は、間隔保持部材32の設置部分にだけ配置されていればよく、間隔保持部材32の非設置部分には設けられていなくてもよい。
ただし、間隔保持部材32の非設置部分に緩衝部材31が設けられていない場合、屋外機器27が外壁12に接触することを防止するために、上記実施形態のように、屋外機器27と緩衝部材31との離間距離L1が、緩衝部材31の厚み寸法Dよりも大きくされていることが好ましい。
(7)図7(a),(b)に示すように、間隔保持部材32は設けられていなくてもよい。図7(a)は、屋外機器27及びその周辺の構成を示す側面図、図7(b)は、層間変形角Θについて説明するための図である。この場合、間隔保持部材32の厚み寸法Dを、建物10の層間変形角Θを用いて設定することが好ましい。層間変形角Θは、地震発生等による建物10の水平方向の層間変位(一階部分の上端の揺れ幅)δを、建物10の階高(一階部分の高さ)hで割った値(δ/h)であり、建物10は、層間変形角Θが上限値(例えば1/200)以下となるように構築されている。
ここで、層間変形角Θを例えば上限値に設定して、δ=Θ×hにより層間変位δを算出し、屋外機器27の上端部の高さ位置(高さ寸法H)における建物10の揺れ幅Wを算出する。そして、屋外機器27と外壁12との離間距離L2から、屋外機器27の上端の高さ位置における建物10の揺れ幅Wを減算し、その値よりも緩衝部材31の厚み寸法Dを大きく設定する(D>L2−W)。
地震発生等により建物10に加えて屋外機器27が揺れた場合には、屋外機器27と外壁12との実際の離間距離はL2よりも小さくなることが想定される。このため、屋外機器27の上端部が緩衝部材31に接触することになり、屋外機器27から外壁12に衝撃が加えられることを抑制でき、さらには、建物10に対する屋外機器27の相対的な揺れを緩衝部材31により低減することも可能となる。
また、緩衝部材31が、屋外機器27の上端を上下に跨ぐ高さ位置であって、屋外機器27の幅方向においてその屋外機器27の上端の全体に沿って延びるように設けられているため、屋外機器27と建物10とが近付いて屋外機器27の上端が緩衝部材31に接触した場合に、屋外機器27の上端からの衝撃を緩衝部材31の広範囲にて吸収することができる。
(8)上記実施形態では、間隔保持部材32の建物側板面35aの表面積が、緩衝部材31の機器側板面31aの表面積よりも小さくされていたが、緩衝部材31の機器側板面31aの表面積と同じ又はそれよりも大きくされていてもよい。つまり、間隔保持部材32の建物側板面35aの全体が、緩衝部材31の機器側板面31aの全体に当接する構成や、間隔保持部材32の建物側板面35aの一部が、緩衝部材31の機器側板面31aの全体に当接する構成とされていてもよい。いずれの構成にしても、地震発生等により屋外機器27と建物10とが近付いた場合に、間隔保持部材32の建物側板面35aにより緩衝部材31の全体が押し潰された状態となる。
(9)上記実施形態では、緩衝部材31が屋外機器27の上部に対応した高さ位置に設けられていたが、緩衝部材31は、屋外機器27の下部や中央部分に対応した高さ位置に設けられていてもよい。また、上下方向において屋外機器27の対向面27aの全体に沿って延びるように設けられていてもよい。
また、緩衝部材31は、外壁12に沿って延びるように設けられていれば、シート状に形成されていてもよい。さらに、緩衝部材31は、衝撃吸収が可能であれば、低反発素材ではなく、ゴムやバネなどにより形成されていてもよく、振動エネルギを吸収可能なダンパ装置とされていてもよい。
(10)ガイド部材41は、外壁12の下地フレーム23ではなく、床大梁16や天井大梁、柱などの建物躯体に直接的に接続されていてもよい。
(11)屋外機器27は、建物10の周囲において外壁12に沿って複数並べて設けられていてもよい。例えば、図8に示すように、外壁12に沿って2つの機器基礎28が並べて設けられ、各機器基礎28の上に屋外機器27がそれぞれ設置されている構成とする。この構成では、屋外機器27が、免震部材29を挟まずに機器基礎28の上に設置されている。また、2つの屋外機器27の間には緩衝部材75が設けられている。緩衝部材75は、屋外機器27と建物10との間に設けられた緩衝部材31と同様に、衝撃吸収材とされており、2つの屋外機器27が互いに近付く方向に揺れた場合に、屋外機器27同士に加えられる衝撃を低減することが可能となっている。
(12)屋外機器27が建物10の周囲に設置されていれば、建物基礎11と機器基礎28とは、構造上、一体的に構築されていてもよい。また、機器基礎28の一部が地中に埋設されていてもよい。