JP5759528B2 - 制振建物 - Google Patents

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Description

本発明は、交通振動や強風時または地震時などにおける建物の振動を低減させる制振建物に関するものである。
従来、交通振動や強風時または地震時などにおける建物の振動を低減させるために、建物の最上階などにパッシブ型の制振装置を設置した制振建物が多く実施されている(例えば特許文献1等を参照)。
特開平10−8770号公報
しかしながら、上記した従来の制振建物では、通常、制振装置を、建物の最上階などに設置しなければならないので、この制振装置の設置場所は他の用途に利用することができず、設計の自由度が低かった。
また、制振装置自体を別途用意するので、コストがその分掛かかっていた。
そこで、本発明は、設計の自由度が高いとともに、経済的に実施できる制振建物を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明の制振建物は、屋根部に住宅設備用パネルが設置された建物において、前記住宅設備用パネルは、太陽電池モジュールパネルであり、前記屋根部に設けた長さの異なる少なくとも一対の支持部との間にエネルギー吸収部材がそれぞれ介装されて傾斜するように設置されていることを特徴とする。
このように構成された本発明の制振建物は、住宅設備用パネルとしての太陽電池モジュールパネルが、屋根部との間にエネルギー吸収部材を設けて設置された構成となっているため、エネルギー吸収部材により振動エネルギーを吸収して、交通振動や強風時または地震時などにおける建物の振動を低減でき、また、住宅設備用パネルとしての太陽電池モジュールパネルは屋根部に設置されているので、設計の自由度が高く、さらに、制振装置自体を別途用意する必要がないので、経済的に実施できる。
住宅設備用パネルとして太陽電池モジュールパネルを用いた本発明の制振建物の概略構成を示す斜視図である。 実施例1の制振建物における要部の概略構成を示す側面図である。 本発明で用いられる折板の屋根部の概略構成を示す斜視図である。 実施例2の嵌合部材の概略構成を示す斜視図である。 実施例2の制振建物における要部の概略構成を示す側面図である。 実施例3の嵌合部材の概略構成を示す斜視図である。 実施例3の制振建物における要部の概略構成を示す側面図である。 実施例4の制振建物における要部の概略構成を示す側面図である。 実施例5の制振建物における要部の概略構成を示す側面図である。 住宅設備用パネルとしてバルコニーの床版パネルを用いた本発明の制振建物の概略構成を示す斜視図である。 実施例6の制振建物における要部の概略構成を示す側面図である。
以下、本発明の制振建物を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1〜実施例10に基づいて説明する。
先ず、実施例1の制振建物について説明する。
この実施例1の制振建物は、図1に例示した屋根部2に住宅設備用パネルとしての複数の太陽電池モジュールパネル3,・・・が設置された建物1において実施される。
ここで、屋根部2は、通常の陸屋根である。
まず、図2に示したように、屋根部2に、太陽電池モジュールパネル3が設置される四隅の位置に、上端面に予め平板状のエネルギー吸収部材5の下面を強力接着剤などで固定しておいた支持部としての固定金具4,・・・をボルト6,・・・で取り付けておく。
そして、太陽電池モジュールパネル3を、屋根部2に設けた固定金具4,・・・に固定した平板状のエネルギー吸収部材5,・・・の上面に、強力接着剤などで固定して設置する。
こうして、太陽電池モジュールパネル3が、建物1の屋根部2に設けた固定金具4,・・・との間にエネルギー吸収部材5,・・・が介装されて設置された構成とされている。
ここで、エネルギー吸収部材5には、アクリル系の高減衰部材が使用されている。この高減衰部材としては、アクリル系の他に、スチレン系、ブチルゴム系、又は、これらを複合したものが好適に使用される。
また、エネルギー吸収部材5には、低降伏点鋼や極低降伏点鋼などの降伏点の低い金属部材も好適に使用される。
さらに、予め建物1を構成する部材(柱・梁部材、外壁・内壁部材など)の使用量によって建物1の重量、剛性から固有振動数を概算しておく。そして、エネルギー吸収部材5の剛性は、太陽電池モジュールパネル3がパッシブ型の制振機構のマスとして機能するように、太陽電池モジュールパネル3の重量から建物1の概算固有振動数にあわせたバネ(粘弾性又は塑性)を有するものに設定されている。
ここで、太陽電池モジュールパネル3の重量は、建物1の総重量の約0.5〜3.0%程度に設定し、その固有振動数を建物の概算固有振動数と略同一に調整する必要がある。
例えば、建物1の重量が約30トン(30000kg)である場合、一般的な太陽電池容量3kWシステムの太陽電池モジュールパネル3は、300〜450kgの重量を有するので、重量自体は必要十分である。
そこで、場合によっては、太陽電池モジュールパネル3の固有振動数を建物1の概算固有振動数と略同一にするために、太陽電池モジュールパネル3に重量物を付加したり、太陽電池モジュールパネル3を複数連結したりする。
(1)このように構成された実施例1の制振建物は、太陽電池モジュールパネル3が、屋根部2との間にエネルギー吸収部材5,・・・を設けて設置された構成となっているため、エネルギー吸収部材5,・・・により振動エネルギーを吸収して、交通振動や強風時または地震時などにおける建物の振動を低減できる。
(2)また、太陽電池モジュールパネル3は、屋根部2に設置されているので、設計の自由度が高い。
(3)さらに、制振装置自体を別途用意する必要がないので、経済的に実施できる。
(4)具体的には、エネルギー吸収部材5,・・・が、高減衰部材又は降伏点の低い金属部材であるので、高減衰部材の粘弾性変形又は降伏点の低い金属の塑性変形により、振動エネルギーを熱エネルギーに変換して放散させ吸収することができる。
(5)また、大重量の太陽電池モジュールパネル3をパッシブ型の制振機構のマスとして有効に利用できる。
次に、実施例2の制振建物について説明する。
この実施例2の制振建物も、図1に例示した屋根部2に住宅設備用パネルとしての複数の太陽電池モジュールパネル3,・・・が設置された建物1において実施される。
ここで、屋根部2は、図3に示したように、突出部としての先端に膨出部23を有する山部21,・・・と谷部22,・・・とから成る折板の陸屋根である。
まず、図5に示したように、折板の屋根部2に、太陽電池モジュールパネル3が設置される四隅の位置に、図4に示した嵌合部材7,・・・の各上端面に予め平板状のエネルギー吸収部材5の下面を強力接着剤などで固定しておいたものを、山部21,・・・の膨出部23,・・・に嵌め込んで取り付けておく。
そして、太陽電池モジュールパネル3を、屋根部2に設けた嵌合部材7,・・・に固定した平板状のエネルギー吸収部材5,・・・の上面に、強力接着剤などで固定して設置する。
こうして、太陽電池モジュールパネル3が、建物1の屋根部2に設けた嵌合部材7,・・・との間にエネルギー吸収部材5,・・・が介装されて設置された構成とされている。
すなわち、屋根部2が先端に膨出部23を有する山部21,・・・と谷部22,・・・とから成る折板であり、嵌合部材7が固定金具4の代わりの役割をしていることが実施例1と主に異なる。なお、他の構成は、実施例1と略同様であるので、対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。
このように構成された実施例2の制振建物は、実施例1の(1)〜(5)と略同様の効果に加え、下記の効果を奏する。
(6)すなわち、屋根部2が、先端に膨出部23を有する山部21,・・・と谷部22,・・・とから成る折板であるとともに、嵌合部材7,・・・が山部21,・・・の膨出部23,・・・に嵌まり込む形状であるので、山部21,・・・の膨出部23,・・・に嵌め込まれる嵌合部材7,・・・をわざわざボルトなどで固定する必要がなく、施工性がよい。
次に、実施例3の制振建物について説明する。
この実施例3の制振建物も、図1に例示した屋根部2に住宅設備用パネルとしての複数の太陽電池モジュールパネル3,・・・が設置された建物1において実施される。
ここで、屋根部2は、図3に示したように、突出部としての先端に膨出部23を有する山部21,・・・と谷部22,・・・とから成る折板の陸屋根である。
まず、図7に示したように、折板の屋根部2の山部21,・・・における太陽電池モジュールパネル3が設置される四隅の位置に、平板状のエネルギー吸収部材5の下面を固定しておく。
続いて、各平板状のエネルギー吸収部材5の上面から、実施例2の図4に示した嵌合部材7よりもエネルギー吸収部材5の厚さH分だけ嵌合部分が長い図6に示した嵌合部材70を、山部21,・・・の膨出部23,・・・に嵌め込んで取り付けておく。
ここで、各平板状のエネルギー吸収部材5の上面と嵌合部材70の下面との間は、強力接着剤などで固定しておく。
そして、太陽電池モジュールパネル3を、屋根部2に設けた嵌合部材70,・・・の上面に、強力接着剤などで固定して設置する。
こうして、太陽電池モジュールパネル3が、建物1の屋根部2の山部21と嵌合部材70,・・・との間にエネルギー吸収部材5,・・・が介装された状態で嵌合部材70,・・・の上面に設置された構成とされている。
すなわち、エネルギー吸収部材5,・・・が介装される位置が実施例2と主に異なる。なお、他の構成は、実施例2と略同様であるので、対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。
このように構成された実施例3の制振建物は、実施例1の(1)〜(5)及び実施例2の(6)と略同様の効果を奏する。
次に、実施例4の制振建物について説明する。
この実施例4の制振建物も、図1に例示した屋根部2に住宅設備用パネルとしての複数の太陽電池モジュールパネル3,・・・が設置された建物1において実施される。
ここで、屋根部2は、図3に示したように、突出部としての先端に膨出部23を有する山部21,・・・と谷部22,・・・とから成る折板の陸屋根である。
まず、図8に示したように、折板の屋根部2の山部21,・・・における太陽電池モジュールパネル3が設置される四隅の位置に、実施例2の図4に示した嵌合部材7と同じ形状をした降伏点の低い金属としての極降伏点鋼から成る嵌合部材71,・・・を、山部21,・・・の膨出部23,・・・に嵌め込んで取り付けておく。
そして、太陽電池モジュールパネル3を、屋根部2に設けた嵌合部材71,・・・の上面に、強力接着剤などで固定して設置する。
こうして、太陽電池モジュールパネル3,・・・が、建物1の屋根部2の山部21の膨出部23に嵌めこまれた極降伏点鋼から成る嵌合部材71,・・・の上面に設置された構成とされている。
ここで、降伏点の低い金属から成る嵌合部材71には、極降伏点鋼が使用されているが、これに限定されず、低降伏点鋼など塑性変形して振動エネルギーを熱エネルギーに変換して放散させ吸収できるものが好適に使用される。
すなわち、降伏点の低い金属から成る嵌合部材71が、嵌合部材7とエネルギー吸収部材5の双方の役割をしていることが実施例2と主に異なる。なお、他の構成は、実施例2と略同様であるので、対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。
このように構成された実施例4の制振建物は、太陽電池モジュールパネル3が、降伏点の低い金属から成る嵌合部材71,・・・の上に設置された構成となっているため、降伏点の低い金属から成る嵌合部材71,・・・の塑性変形により振動エネルギーを熱エネルギーに変換して放散させ吸収して、交通振動や強風時または地震時などにおける建物1の振動を低減できる。
また、実施例1の(2)と(3)と(5)及び実施例2の(6)と略同様の効果を奏する。
次に、実施例5の制振建物について説明する。
この実施例5の制振建物も、図1に例示した屋根部2に住宅設備用パネルとしての複数の太陽電池モジュールパネル3,・・・が設置された建物1において実施される。
ここで、屋根部2は、図3に示したように、突出部としての先端に膨出部23を有する山部21,・・・と谷部22,・・・とから成る折板の陸屋根である。
まず、図9に示したように、折板の屋根部2の山部21,・・・における太陽電池モジュールパネル3が設置される四隅の位置に、実施例2の図4に示した嵌合部材7,・・・を、山部21,・・・の膨出部23,・・・に若干の隙間8を設けることにより摺動可能に嵌め込んで取り付けておく。
そして、太陽電池モジュールパネル3を、屋根部2に設けた嵌合部材7,・・・の上面に、強力接着剤などで固定して設置する。
図示は省略したが、太陽電池モジュールパネル3が一定の範囲内で摺動するように、山部21,・・・には、ストッパー機構が設けられている。
こうして、太陽電池モジュールパネル3が、建物1の屋根部2の山部21,・・・の膨出部23,・・・に摺動可能に嵌めこまれた嵌合部材7,・・・の上面に設置された構成とされている。
また、屋根部2が折板でない場合は、屋根部2の上面に突出部としてのガイドレールなどを設け、これにあわせた形状の嵌合部材7を用いて実施してもよい。
すなわち、エネルギー吸収部材5を設けないで、嵌合部材7,・・・が折板の屋根部2の山部21,・・・に沿って摺動する際に、嵌合部材7,・・・と山部21,・・・との間で摩擦が生じ、振動エネルギーを熱エネルギーに変換して吸収することが実施例2と主に異なる。なお、他の構成は、実施例2と略同様であるので、対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。
このように構成された実施例5の制振建物は、太陽電池モジュールパネル3が、折板の屋根部2における山部21,・・・の膨出部23,・・・に摺動可能に嵌め込まれた嵌合部材7,・・・の上に設置された構成となっているため、膨出部23,・・・と嵌合部材7,・・・との間の摩擦により振動エネルギーを熱エネルギーに変換して放散させ吸収して、交通振動や強風時または地震時などにおける建物1の振動を低減できる。
また、実施例1の(2)と(3)と(5)及び実施例2の(6)と略同様の効果を奏する。
次に、実施例6の制振建物について説明する。
この実施例6の制振建物は、図10に例示した屋根部2に住宅設備用パネルとしてのバルコニーの床版パネル30が設置された建物10において実施される。
ここで、屋根部2は、通常の陸屋根である。
また、このバルコニーの床版パネルには、予め手摺り壁材31が設けられている。
まず、図11に示したように、屋根部2に、バルコニーの床版パネル30が設置される四隅の位置に、上端面に予め平板状のエネルギー吸収部材5の下面を強力接着剤などで固定しておいた支持部としての固定金具4,・・・をボルト6,・・・で取り付けておく。
そして、バルコニーの床版パネル30を、屋根部2に設けた固定金具4,・・・に固定した平板状のエネルギー吸収部材5,・・・の上面に、強力接着剤などで固定して設置する。
こうして、バルコニーの床版パネル30が、建物10の屋根部2に設けた固定金具4,・・・との間にエネルギー吸収部材5,・・・が介装されて設置された構成とされている。
ここで、エネルギー吸収部材5には、アクリル系の高減衰部材が使用されている。この高減衰部材としては、アクリル系の他に、スチレン系、ブチルゴム系、又は、これらを複合したものが好適に使用される。
また、エネルギー吸収部材5には、低降伏点鋼や極低降伏点鋼などの降伏点の低い金属部材も好適に使用される。
さらに、予め建物10を構成する部材(柱・梁部材、外壁・内壁部材など)の使用量によって建物10の重量、剛性から固有振動数を概算しておく。そして、エネルギー吸収部材5の剛性は、バルコニーの床版パネル30がパッシブ型の制振機構のマスとして機能するように、バルコニーの床版パネル30の重量から建物10の概算固有振動数にあわせたバネ(粘弾性又は塑性)を有するものに設定されている。
ここで、バルコニーの床版パネル30の重量は、建物10の総重量の約0.5〜3.0%程度に設定し、その固有振動数を建物の概算固有振動数と略同一に調整する必要がある。
例えば、建物10の重量が約30トン(30000kg)である場合、一般的なバルコニー床版パネル30は、400〜800kgの重量を有するので、重量自体は必要十分である。
そこで、バルコニーの床版パネル30の固有振動数を建物10の概算固有振動数と略同一にするために、バルコニーの床版パネル30の手摺り壁材31の重量を調整したりする。
(1)このように構成された実施例6の制振建物は、バルコニーの床版パネル30が、屋根部2との間にエネルギー吸収部材5,・・・を設けて設置された構成となっているため、エネルギー吸収部材5,・・・により振動エネルギーを吸収して、交通振動や強風時または地震時などにおける建物の振動を低減できる。
(2)また、バルコニーの床版パネル30は屋根部2に設置されているので、設計の自由度は高い。
(3)さらに、制振装置自体を別途用意する必要がないので、経済的に実施できる。
(4)具体的には、エネルギー吸収部材5,・・・が、高減衰部材又は降伏点の低い金属部材であるので、高減衰部材の粘弾性変形又は降伏点の低い金属の塑性変形により、振動エネルギーを熱エネルギーに変換して放散させ吸収することができる。
(5)また、大重量のバルコニーの床版パネル30及び手摺り壁材31をパッシブ型の制振機構のマスとして有効に利用できる。
次に、実施例7の制振建物について説明する。
この実施例7の制振建物も、図10に例示した屋根部2に住宅設備用パネルとしてのバルコニーの床版パネル30が設置された建物10において実施される。
ここで、屋根部2は、図3に示したように、突出部としての先端に膨出部23を有する山部21,・・・と谷部22,・・・とから成る折板の陸屋根である。
また、このバルコニーの床版パネルには、予め手摺り壁材31が設けられている。
まず、実施例2の図5に示したように、折板の屋根部2に、バルコニーの床版パネル30が設置される四隅の位置に、実施例2の図4に示した嵌合部材7,・・・の各上端面に予め平板状のエネルギー吸収部材5の下面を強力接着剤などで固定しておいたものを、山部21,・・・の膨出部23,・・・に嵌め込んで取り付けておく。
そして、バルコニーの床版30を、屋根部2に設けた嵌合部材7,・・・に固定した平板状のエネルギー吸収部材5,・・・の上面に、強力接着剤などで固定して設置する。
こうして、バルコニーの床版パネル30が、建物10の屋根部2に設けた嵌合部材7,・・・との間にエネルギー吸収部材5,・・・が介装されて設置された構成とされている。
すなわち、屋根部2が先端に膨出部23を有する山部21,・・・と谷部22,・・・とから成る折板であり、嵌合部材7が固定金具4の代わりの役割をしていることが実施例6と主に異なる。なお、他の構成は、実施例6と略同様であるので、対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。
このように構成された実施例7の制振建物は、実施例6の(1)〜(5)と略同様の効果に加え、下記の効果を奏する。
(6)すなわち、屋根部2が、先端に膨出部23を有する山部21,・・・と谷部22,・・・とから成る折板であるとともに、嵌合部材7,・・・が山部21,・・・の膨出部23,・・・に嵌まり込む形状であるので、山部21,・・・の膨出部23,・・・に嵌め込まれる嵌合部材7,・・・をわざわざボルトなどで固定する必要がなく、施工性がよい。
次に、実施例8の制振建物について説明する。
この実施例8の制振建物も、図10に例示した屋根部2に住宅設備用パネルとしてのバルコニーの床版パネル30が設置された建物10において実施される。
ここで、屋根部2は、図3に示したように、突出部としての先端に膨出部23を有する山部21,・・・と谷部22,・・・とから成る折板の陸屋根である。
また、このバルコニーの床版パネルには、予め手摺り壁材31が設けられている。
まず、実施例3の図7に示したように、折板の屋根部2の山部21,・・・におけるバルコニーの床版パネル30が設置される四隅の位置に、平板状のエネルギー吸収部材5の下面を固定しておく。
続いて、各平板状のエネルギー吸収部材5の上面から、実施例2の図4に示した嵌合部材7よりもエネルギー吸収部材5の厚さH分だけ嵌合部分が長い実施例3の図6に示した嵌合部材70を、山部21,・・・の膨出部23,・・・に嵌め込んで取り付けておく。
ここで、各平板状のエネルギー吸収部材5の上面と嵌合部材70の下面との間は、強力接着剤などで固定しておく。
そして、バルコニーの床版パネル30を、屋根部2に設けた嵌合部材70,・・・の上面に、強力接着剤などで固定して設置する。
こうして、バルコニーの床版パネル30が、建物10の屋根部2の山部21と嵌合部材70,・・・との間にエネルギー吸収部材5,・・・が介装された状態で嵌合部材70,・・・の上面に設置された構成とされている。
すなわち、エネルギー吸収部材5,・・・が介装される位置が実施例7と主に異なる。なお、他の構成は、実施例7と略同様であるので、対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。
このように構成された実施例8の制振建物は、実施例6の(1)〜(5)及び実施例7の(6)と略同様の効果を奏する。
次に、実施例9の制振建物について説明する。
この実施例9の制振建物も、図10に例示した屋根部2に住宅設備用パネルとしてのバルコニーの床版パネル30が設置された建物10において実施される。
ここで、屋根部2は、図3に示したように、突出部としての先端に膨出部23を有する山部21,・・・と谷部22,・・・とから成る折板の陸屋根である。
また、このバルコニーの床版パネルには、予め手摺り壁材31が設けられている。
まず、実施例4の図8に示したように、折板の屋根部2の山部21,・・・におけるバルコニーの床版パネル30が設置される四隅の位置に、実施例2の図4に示した嵌合部材7と同じ形状をした降伏点の低い金属としての極降伏点鋼から成る嵌合部材71,・・・を、山部21,・・・の膨出部23,・・・に嵌め込んで取り付けておく。
そして、バルコニーの床版パネル30を、屋根部2に設けた嵌合部材71,・・・の上面に、強力接着剤などで固定して設置する。
こうして、バルコニーの床版パネル30が、建物10の屋根部2の山部21の膨出部23に嵌めこまれた極降伏点鋼から成る嵌合部材71,・・・の上面に設置された構成とされている。
ここで、降伏点の低い金属から成る嵌合部材71には、極降伏点鋼が使用されているが、これに限定されず、低降伏点鋼など塑性変形して振動エネルギーを熱エネルギーに変換して放散させ吸収できるものが好適に使用される。
すなわち、降伏点の低い金属から成る嵌合部材71が、嵌合部材7とエネルギー吸収部材5の双方の役割をしていることが実施例7と主に異なる。なお、他の構成は、実施例7と略同様であるので、対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。
このように構成された実施例9の制振建物は、バルコニーの床版パネル30が、降伏点の低い金属から成る嵌合部材71,・・・の上に設置された構成となっているため、降伏点の低い金属から成る嵌合部材71,・・・の塑性変形により振動エネルギーを熱エネルギーに変換して放散させ吸収して、交通振動や強風時または地震時などにおける建物10の振動を低減できる。
また、実施例6の(2)と(3)と(5)及び実施例7の(6)と略同様の効果を奏する。
次に、実施例10の制振建物について説明する。
この実施例10の制振建物も、図10に例示した屋根部2に住宅設備用パネルとしてのバルコニーの床版パネル30が設置された建物10において実施される。
ここで、屋根部2は、図3に示したように、突出部としての先端に膨出部23を有する山部21,・・・と谷部22,・・・とから成る折板の陸屋根である。
また、このバルコニーの床版パネルには、予め手摺り壁材31が設けられている。
まず、実施例5の図9に示したように、折板の屋根部2の山部21,・・・におけるバルコニーの床版パネル30が設置される四隅の位置に、実施例2の図4に示した嵌合部材7,・・・を、山部21,・・・の膨出部23,・・・に若干の隙間8を設けることにより摺動可能に嵌め込んで取り付けておく。
そして、バルコニーの床版パネル30を、屋根部2に設けた嵌合部材7,・・・の上面に、強力接着剤などで固定して設置する。
図示は省略したが、太陽電池モジュールパネル3,・・・が一定の範囲内で摺動するように、山部21,・・・には、ストッパー機構が設けられている。
こうして、バルコニーの床版パネル30が、建物10の屋根部2の山部21の膨出部23に摺動可能に嵌めこまれた嵌合部材7,・・・の上面に設置された構成とされている。
また、屋根部2が折板でない場合は、屋根部2の上面に突出部としてのガイドレールなどを設け、これにあわせた形状の嵌合部材7を用いて実施してもよい。
すなわち、エネルギー吸収部材5を設けないで、嵌合部材7,・・・が折板の屋根部2の山部21,・・・に沿って摺動する際に、嵌合部材7,・・・と山部21,・・・との間で摩擦が生じ、振動エネルギーを熱エネルギーに変換して吸収することが実施例7と主に異なる。なお、他の構成は、実施例7と略同様であるので、対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。
このように構成された実施例10の制振建物は、バルコニーの床版パネル30が、折板の屋根部2における山部21,・・・の膨出部23,・・・に摺動可能に嵌め込まれた嵌合部材7,・・・の上に設置された構成となっているため、膨出部23,・・・と嵌合部材7,・・・との間の摩擦により振動エネルギーを熱エネルギーに変換して放散させ吸収して、交通振動や強風時または地震時などにおける建物10の振動を低減できる。
また、実施例6の(2)と(3)と(5)及び実施例7の(6)と略同様の効果を奏する。
以上、図面を参照して、本発明の最良の形態を実施例に基づいて詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
例えば、実施例1〜実施例10では、屋根部2を陸屋根としたが、これに限定されず、勾配屋根などでも実施できる。
ここで、実施例2〜5および実施例7〜10では、屋根部2を先端に膨出部23を有する山部21,・・・と谷部22,・・・とから成る折板の屋根としたが、これに限定されない。要するに、屋根部2は、その上面に複数の突出部を有するものであればよく、例えば、通常の折板の屋根などでも実施できる。
また、実施例1〜実施例10では、住宅設備用パネルとしての太陽電池モジュールパネル3又はバルコニーの床版パネル30の四隅だけを支持したが、これに限定されない。すなわち、要求される支持の安定性及び制振性能を考慮して、支持する箇所と個数及び支持する面積を設定して実施される。
また、実施例1〜実施例5では、住宅設備用パネルとしての太陽電池モジュールパネル3を水平に設置したが、これに限定されず、太陽電池モジュールパネル3を極力太陽光が直角に近くあたるように傾斜させて設置して実施してもよい。
例えば、実施例1においては、片側の支持部としての固定金具4を長くすることで、太陽電池モジュールパネル3を極力太陽光が直角に近くあたるように傾斜させて設置することができる。
さらに、実施例6〜実施例10において、住宅設備用パネルとしてのバルコニーの床版パネル30に予め手摺り壁材31を設けたように、本発明の住宅設備用パネルは、これに付帯物を設けたものも含まれる。
また、実施例1〜5では、1つの太陽モジュールパネル3についてだけ実施したが、複数の太陽モジュールパネル3について実施してもよい。
また、実施例1〜5を複合させて実施してもよい。
例えば、実施例3と実施例5は、細長い建物の弱軸方向に重点的に制振を行う場合に有効なので、必要な制振性能を発揮できるように、実施例1と複合させて実施してもよい。
さらに、実施例6〜10も複合させて実施してもよい。
1,10 建物
2 屋根部
21 山部(突出部)
22 谷部
23 膨出部
3 太陽電池モジュールパネル(住宅設備用パネル)
30 バルコニーの床版パネル(住宅設備用パネル)
4 固定金具(支持部)
5 エネルギー吸収部材
7,70,71 嵌合部材

Claims (5)

  1. 屋根部に住宅設備用パネルが設置された建物において、
    前記住宅設備用パネルは、太陽電池モジュールパネルであり、前記屋根部に設けた長さの異なる少なくとも一対の支持部との間にエネルギー吸収部材がそれぞれ介装されて傾斜するように設置されていることを特徴とする制振建物。
  2. 前記住宅設備用パネルである太陽電池モジュールパネルに重量物を付加することにより、前記建物の概算固有振動数にあわせるための調整がなされていることを特徴とする請求項1に記載の制振建物。
  3. 前記エネルギー吸収部材は、降伏点の低い金属部材であることを特徴とする請求項1又は2に記載の制振建物。
  4. 前記エネルギー吸収部材は、高減衰部材であることを特徴とする請求項1又は2に記載の制振建物。
  5. 前記太陽電池モジュールパネルは複数設置されており、これら太陽電池モジュールパネル間を連結することにより、前記建物の概算固有振動数にあわせるための調整がなされていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の制振建物。
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