JP2013224039A - 遮熱塗装板 - Google Patents
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Abstract
【課題】遮熱性及び耐光性の高い遮熱塗装板を提供する。
【解決手段】表面塗膜を金属板に設けてなる遮熱塗装板において、上記表面塗膜がペリレン系顔料を含有して成り、上記表面塗膜を焼き付け塗装により形成して成ることを特徴とする遮熱塗装板であり、好ましくは、上記表面塗膜と上記金属板の間に白色系塗膜を上記表面塗膜の直下に設けられ、上記金属板がアルミニウム亜鉛合金めっき鋼板であり、表面塗膜の厚さは10〜3μmである。白色系塗膜はルチル系酸化チタン等を白色顔料として塗膜中に配合する。
【選択図】なし
【解決手段】表面塗膜を金属板に設けてなる遮熱塗装板において、上記表面塗膜がペリレン系顔料を含有して成り、上記表面塗膜を焼き付け塗装により形成して成ることを特徴とする遮熱塗装板であり、好ましくは、上記表面塗膜と上記金属板の間に白色系塗膜を上記表面塗膜の直下に設けられ、上記金属板がアルミニウム亜鉛合金めっき鋼板であり、表面塗膜の厚さは10〜3μmである。白色系塗膜はルチル系酸化チタン等を白色顔料として塗膜中に配合する。
【選択図】なし
Description
本発明は、屋根材や壁材などの建材として使用することができる遮熱塗装板に関するものである。
地球温暖化が叫ばれる昨今、特に夏季の都会における太陽光を吸収しやすい建物の屋根や壁は、昼間に蓄積された熱エネルギーが夜間に放散されるため、ヒートアイランド現象を助長する一因とされている。すなわち、金属系の屋根材や壁材であっても、なるべく太陽光を吸収しにくくすることで屋内への熱の流入を抑制し、ヒートアイランド現象の発生を抑えることが考えられている。
このため、従来より、太陽光を反射して遮熱することができる遮熱塗装板が提案されている(例えば、特許文献1〜11)。この遮熱塗装板は、表面化粧や耐食性のために金属板の表面に設けた表面塗膜に、太陽光の反射性に優れる無機顔料や鉄クロム複合酸化物の顔料を使用するものであり、表面塗膜で太陽光を反射して吸収を防止し、屋内への熱の流入を抑制しようとするものである。
しかし、従来の遮熱塗装板の表面塗膜に配合されている顔料には、赤外線の吸収が大きいものがあり、充分な遮熱効果が得られない場合があった。そこでさらに高い遮熱性を有するものが要望されていた。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、遮熱性及び耐光性の高い遮熱塗装板を提供することを目的とするものである。
本発明の請求項1に係る遮熱塗装板は、表面塗膜を金属板に設けてなる遮熱塗装板において、上記表面塗膜がペリレン系顔料を含有して成り、上記表面塗膜を焼き付け塗装により形成して成ることを特徴とするものである。
本発明の請求項2に係る遮熱塗装板は、請求項1において、上記表面塗膜と上記金属板の間に白色系塗膜を上記表面塗膜の直下に設けて成ることを特徴とするものである。
本発明の請求項3に係る遮熱塗装板は、請求項1又は2において、上記金属板がアルミニウム亜鉛合金めっき鋼板であることを特徴とするものである。
有機系の赤外線透過顔料を用いることにより、赤外線が表面塗膜中の赤外線透過顔料でほとんど吸収されないようにすることができると共に、表面塗膜を透過した赤外線は表面塗膜よりも下の金属板等で反射して吸収されないようにすることができ、遮熱性を高くすることができるものである。
請求項1の発明では、赤外線透過顔料がペリレン系顔料であることで、無機顔料や鉄クロム複合酸化物の顔料を用いる場合に比べて、遮熱性を高くすることができ、しかも、ペリレン系顔料は耐熱性が高く、焼き付け塗装しても劣化を起こりにくくすることができるものである。また、上記表面塗膜を焼き付け塗装により形成することで、表面塗膜と金属板とを強固に密着させることができ、曲げ加工での剥離を防止することができるものであり、プレコート鋼板等に好適に用いることができるものである。
請求項2の発明では、表面塗膜を透過した赤外線は白色系塗膜で反射して吸収されないようにすることができ、遮熱性を高くすることができるものである。また、表面塗膜を透過した赤外線はその直後に白色系塗膜で反射して吸収されないようにすることができ、遮熱性をさらに高くすることができるものである。
請求項3の発明では、表面塗膜を透過した赤外線を金属板の表面で反射しやすくなって、遮熱性をさらに高くすることができるものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本発明の遮熱塗装板は表面塗膜(上塗り塗膜)を金属板に設けて形成されるものであるが、表面塗膜としては赤外線吸収性の低いものが好ましい。赤外線吸収性の低い表面塗膜とは赤外線の吸収率が40%以下のものであり、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下である。また、上記の表面塗膜は、赤外線を吸収しにくくするために、実質的にカーボンブラックを含有しない塗膜とするのが好ましい。ここで「実質的」というのは、不可避的に混入されるものを除いて、積極的な塗料へのカーボンブラックの添加を行わないということを意味する。
また、赤外線吸収性の低い表面塗膜は、赤外線反射顔料あるいは赤外線透過顔料を表面塗膜中に含有させることにより形成することができる。赤外線反射顔料は赤外線を反射してほとんど吸収しないものであり、例えば、無機顔料や鉄クロム複合酸化物顔料などを用いることができるが、これに限定されるものではない。また、赤外線透過顔料は赤外線を透過してほとんど吸収しないものであり、例えば、有機系の赤外線透過顔料を用いることができ、具体的には、黒色顔料であるペリレン系顔料、黄色顔料であるアゾ系顔料、赤色顔料であるナフトール系顔料、青色顔料であるフタロシアニンブルー、緑色顔料であるフタロシアニングリーンなどを用いることができるが、これに限定されるものではない。本発明では上記の各種顔料を必要な発色に応じてそれぞれ単独で用いたり併用したりすることができる。尚、表面塗膜に黒色等の濃色を発現させるために、ペリレン系顔料以外の上記各色の顔料を混合して用いても良い。また、ペリレン系顔料は表面塗膜を焼き付け塗装により形成するプレコート鋼板(PCM)に好適に用いることができる。ペリレン系顔料としては、例えば、BASF製のPALIOGEN BLACKなどを用いることができる。
表面塗膜中の顔料の含有量はその着色性に応じて適宜設定可能であるが、有機系の赤外線透過顔料の場合は、表面塗膜中に3〜20重量%含有するのが好ましく、より好ましくは5〜10重量%の含有量にする。有機系の赤外線透過顔料の含有量が3重量%よりも少ないと充分な着色ができないおそれがあり、有機系の赤外線透過顔料の含有量が20重量%よりも多いと、表面塗膜の密着性が損なわれるおそれがある。
表面塗膜を形成するための樹脂成分としては、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂などを例示することができる。また、表面塗膜の厚みは、着色性等の性能から決定することができ、10〜30μmにするのが好ましい。表面塗膜の厚みが10μm未満では着色性が不足して可視光でも塗膜を通過するため隠蔽不足となるおそれがある。一方、表面塗膜の厚みが30μmより大きくなると、経済的に不利となる上に、加工性の低下を招くおそれがある。
また、本発明では、表面塗膜は縮み塗料で形成するのが好ましい。一般的に、太陽光透過性に優れた有機系顔料は、無機系顔料に比べて、自然環境に暴露されることで色が変化しやすいが、表面塗膜を縮み構造とすることにより、本発明で用いる有機系の赤外線透過顔料を太陽光から保護して退色するのを少なくすることができ、遮熱塗装板の耐候性を向上させることができるものである。縮み塗料は表面積が大きくなるため、単位面積当たりの太陽光量が減少するためと思われる。このような縮み塗料としては、アミンブロック型の酸触媒を添加したメラミン架橋型ポリエステル塗料などを用いることができるが、これに限定されるものではない。
上記金属板としては特に限定はされないが、表面塗膜を透過した赤外線の反射性が高い金属板であることが好ましく、例えば、亜鉛系やアルミニウム系のめっきを施しためっき鋼板を用いることができる。また、高い耐食性を維持するために、例えば、55%アルミニウム亜鉛合金めっき鋼板などを用いるのが好ましく、さらなる耐食性向上のために、マグネシウムなどの他の合金成分を含有しためっきを施しても良い。
上記金属板がめっき鋼板の場合は、アルカリ脱脂などの洗浄を行った後、塗膜の密着性向上のために下地処理を施すのが好ましい。下地処理は公知の塗布型クロメート処理あるいはクロメートフリー処理のいずれであってもよい。また、いずれの下地処理においても良好な付着量の範囲(10〜200mg/m2)があり、この範囲よりも少ないと、塗料の密着性が低下するおそれがあり、上記範囲よりも多いと、下地処理層が凝集破壊しやすくなって、遮熱塗装板の加工性が低下するおそれがある。
本発明では、上記金属板の表面に上記表面塗膜を直接形成しても良いが、表面塗膜の密着性向上のために金属板と表面塗膜の間に下塗り塗膜を設けることができ、さらに下塗り塗膜と表面塗膜の間に中塗り塗膜も設けることができる。ここで、下塗り塗膜や中塗り塗膜としてはエポキシ系樹脂やポリエステル系の塗膜を形成することができるが、これに限定されるものではなく、他の樹脂成分の塗膜であっても良い。また、下塗り塗膜や中塗り塗膜の厚みは3〜30μmとするのが好ましい。下塗り塗膜や中塗り塗膜の厚みがこの範囲よりも薄いと、耐食性や密着性の低下を招くおそれがあり、また、下塗り塗膜や中塗り塗膜の厚みが上記範囲よりも厚いと、経済的に不利となる上に加工性が低下するおそれがあり、また遮熱性が低下する場合もある。
本発明では、表面塗膜の直下に形成する下塗り塗膜あるいは中塗り塗膜を白色系塗膜とすることができ、これにより、金属板の表面での赤外線の反射に加えて、下塗り塗膜あるいは中塗り塗膜でも赤外線を反射することができ、遮熱性をさらに高めることができる。この白色系塗膜はルチル系酸化チタンなどの白色顔料を塗膜中に50〜130重量%配合することによって形成することができる。本発明では、表面塗膜が濃色系であっても、それより下層の下塗り塗膜あるいは中塗り塗膜を白色化することで、遮熱塗装板の外観を変化させることなく、赤外線の反射性能を向上させることができる。これは、表面塗膜で可視光を遮断し隠蔽をしているが、赤外線は波長が長いために可視光よりも塗膜への浸入深さが大きいため、表面塗膜よりも下層の下塗り塗膜あるいは中塗り塗膜を白色化することで、下塗り塗膜あるいは中塗り塗膜での赤外線の反射性能を高めることができるものである。尚、白色系塗膜の白色の度合いはL値で85〜95とすることができるが、これに限定されるものではない。また、この下塗り塗膜や中塗り塗膜も実質的にカーボンブラックを含有しないものである。
本発明では、下地処理を施した金属板の表面に下塗り塗装、中塗り塗装、上塗り塗装(表面塗装)を行って順次塗膜を形成することができる。ここで、表面塗膜は200〜250℃の温度による焼き付け塗装で形成することができる。
以下本発明を実施例によって具体的に説明する。
(実施例1〜13、参考例14〜22及び比較例1、2)
金属板に表1に示す塗膜を形成して遮熱塗装板を形成した。各材料としては以下のものを用いた。
金属板に表1に示す塗膜を形成して遮熱塗装板を形成した。各材料としては以下のものを用いた。
金属板としては、AZ150の0.3mm厚の55%アルミニウム亜鉛合金めっき鋼板を用いた。この金属板の表面には塗布型クロメート(日本ペイント製NRC300)をクロム換算で30mg/m2付着させて下地処理を行った。
下塗り塗膜は、下塗り塗料としてエポキシ系樹脂塗料(NFC製P667Sプライマー)を使用し、乾燥塗膜厚として4μmとし、最高到達温度200℃で約40秒間乾燥させて形成した。
中塗り塗膜は、中塗り塗料として白色系塗料(関西ペイント製KP1510、塗膜中に酸化チタン55%含有)を使用し、バーコーターを用いて塗布した。中塗り塗膜の厚みは各実施例で変化させた。また、最高到達温度220℃で約50秒間乾燥させて形成した。
上塗り塗膜(表面塗膜)は、実施例、参考例、比較例とで三種類の異なる上塗り塗料を用いた。塗料1としては、従来の遮熱性のないポリエステル塗料(関西ペイント製KP1580、塗膜中にカーボンブラックを3%含有)を用いた。この塗料1はカーボンブラックを含有している。塗料2としては従来の遮熱性のあるポリエステル塗料(NFC製PZ911、黒色)を用いた。この塗料2は鉄クロム系の複合酸化物を顔料として含有している。塗料3は、ポリエステル(三井化学製アルマテックスP645(固形分60%))130gと、ブチルタイプメラミン(BASF製LUWIPAL012)20gと、ペリレン系顔料(BASF製PALIOGENBLACK L0086)10gとを配合し、これに適宜シンナー(ソルベッソ150とシクロヘキサノンを重量比で1:1で混合したもの)及び添加剤を配合し、さらに分散用のガラスビーズ100gを加えて攪拌して実験用塗料として調製した。これらの塗料1〜3はバーコーターを使用して塗布し、最高到達温度230℃となるようにして約60秒で焼き付けて乾燥させた。
<遮熱性試験>
上記で得られた遮熱塗装板を白熱灯によって加熱し、最高到達温度を測定した。白熱灯は岩崎電気製のアイランプ200Wを使用し、印加電圧を85Vとして点灯させて、約300mmの距離から遮熱塗装板の表面(上塗り塗膜側)に光を照射した。遮熱塗装板の裏面側には発泡スチロールを配置して断熱した。そして、約15分間加熱した後の遮熱塗装板の到達温度(飽和した最高温度)を計測した。
<曲げ加工性>
上記で得られた遮熱塗装板を折り曲げ加工して、加工部の塗膜の割れ程度を調査し、塗膜の加工性を評価した。この試験は常温(20℃)で行った。
<遮熱性試験>
上記で得られた遮熱塗装板を白熱灯によって加熱し、最高到達温度を測定した。白熱灯は岩崎電気製のアイランプ200Wを使用し、印加電圧を85Vとして点灯させて、約300mmの距離から遮熱塗装板の表面(上塗り塗膜側)に光を照射した。遮熱塗装板の裏面側には発泡スチロールを配置して断熱した。そして、約15分間加熱した後の遮熱塗装板の到達温度(飽和した最高温度)を計測した。
<曲げ加工性>
上記で得られた遮熱塗装板を折り曲げ加工して、加工部の塗膜の割れ程度を調査し、塗膜の加工性を評価した。この試験は常温(20℃)で行った。
上記の結果を表1に示す。
塗料1を用いた比較例1では到達温度は85℃となり、塗料2を用いた比較例2では到達温度は70℃となった。一方、本発明の実施例1〜13は到達温度56〜66℃となり、比較例1、2に比べて、大幅な温度低下が見られた。
<耐候性試験>
BASFコーティングスジャパン製の縮み塗料(リンクル)に上記と同様のペリレン系顔料を塗膜中に5重量%配合して上塗り塗料とした。この上塗り塗料を上記実施例で用いた金属板の表面に塗布し、最高温度230℃の焼き付けすることにより、厚み15μmの縮み塗料からなる表面塗膜を有する本発明の遮熱塗装板を得た(実施例23)。
BASFコーティングスジャパン製の縮み塗料(リンクル)に上記と同様のペリレン系顔料を塗膜中に5重量%配合して上塗り塗料とした。この上塗り塗料を上記実施例で用いた金属板の表面に塗布し、最高温度230℃の焼き付けすることにより、厚み15μmの縮み塗料からなる表面塗膜を有する本発明の遮熱塗装板を得た(実施例23)。
また、ポリエステル樹脂塗料(HG0030)に実施例23と同様にペリレン系顔料を配合して上塗り塗料とした。この上塗り塗料を実施例23と同様に金属板の表面に塗布して焼き付けすることにより、厚み15μmの平滑な塗料からなる表面塗膜を有する遮熱塗装板を得た(比較例3)。
これら実施例23及び比較例3について、JIS K 5600に基づいて耐候性試験を行った。結果を表2に示す。
実施例23と比較例3を対比すると明らかなように、実施例23の方が比較例3よりも色の変化が少なく、耐候性が高いものである。
Claims (3)
- 表面塗膜を金属板に設けてなる遮熱塗装板において、上記表面塗膜がペリレン系顔料を含有して成り、上記表面塗膜を焼き付け塗装により形成して成ることを特徴とする遮熱塗装板。
- 上記表面塗膜と上記金属板の間に白色系塗膜を上記表面塗膜の直下に設けて成ることを特徴とする請求項1に記載の遮熱塗装板。
- 上記金属板がアルミニウム亜鉛合金めっき鋼板であることを特徴とする請求項1又は2
に記載の遮熱塗装板。
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