JP2013221214A - 粉末製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】反応炉に複数の供給ノズルを設けて時間あたりの生産量増、運転管理の簡略化、設置スペースの削減、電力などのコストの削減を目指し、かつ従来の製造装置と同等もしくは同等以上の品質の粉末を得る粉末製造装置を提供する。
【解決手段】2種以上のガスの気相化学反応により粉末を製造する粉末製造装置であって、ガスに気相化学反応を起こさせて粉末を得る反応部2aと、生成した粉末を冷却する冷却部2bとからなり、反応部においてガスを反応部に導入するノズル4を複数備え、冷却部において、粉末製造装置の外周から中心に向かって冷却ガスを吹き出す第1の冷却手段6aと、粉末製造装置の中心から外周に向かって冷却ガスを吹き出す第2の冷却手段6bを備える粉末製造装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子部品などに使用される導電ペーストフィラー、チタン材の接合材、さらには触媒などの各種用途に適したニッケル、銅、あるいは銀などの金属粉末や紫外線遮蔽材や誘電体原料、化粧品などの各種用途に適した酸化チタンなどの無機粉末を気相化学反応により生成するにあたって好適な粉末の製造装置に関する。
Ni、Cu、Ag等の導電性の金属粉末は積層セラミックコンデンサの内部電極形成用として有用であり、とりわけニッケル粉末は、そのような用途として最近注目され、中でも乾式の製造方法によって製造したニッケル超微粉が有望視されている。このようなニッケル超微粉にあっては、コンデンサの小型化、大容量化に伴う内部電極の薄層化・低抵抗化等の要求から、粒径1μm以下は勿論のこと、粒径0.5μm以下、さらには0.3μm以下の超微粉が要望されている。
このようなニッケル粉末の製造装置の一例として、気相還元法を用いたものが挙げられる。この方法においては、塩化ニッケルガス発生装置で発生させた塩化ニッケルガスを、還元ガスである水素ガス雰囲気とされた還元炉内に供給し、塩化ニッケルガスに気相化学反応を起こさせてニッケル粉末を生成させる構造が一般的である。
近年のPCやスマートフォンなどの電子デバイスの需要拡大に伴い、積層セラミックコンデンサの使用量が増加しているため上記ニッケル超微粉の必要量が年々増加している。ニッケル粉末の製造量を増大する方法には製造装置を複数並べて、ニッケル粉末を同時に製造する方法がとられる。しかしながら、製造装置を並べる方法では、運転管理が煩雑化したり装置の設置スペースが増大したりするほか、コスト的にも不利であることは否めない。
上記従来装置では塩化炉と還元炉を一対として構成されるものが故に、生産量を増大させるためには複数の製造装置を具備する必要がある。製造装置1基当たりの生産量を増大するためには特許文献1に示されているように還元炉に複数の供給ノズルを設置し、各反応管に塩化ニッケルガスと還元ガスを供給し、それぞれの反応管で同時に還元反応を起こし、ニッケル粉末を製造する方法が挙げられるが、この方法では従来製造装置に比べて連結粒割合や粗大粒、粒度分布が悪化するという問題があった。
図11は、特許文献2に示されているように気相還元法を採用して金属粉末を生成する際の冷却工程において使用する従来の反応装置の概念図である。同図の下部は、反応部2aと冷却部2bが鉛直方向に隣接配置された正面図であり、同図の上部は、冷却部2bにおける冷却ガス7aの吹き出し方向(同図の4つの太矢印の方向)を示す平面図である。気相化学反応は通常1000℃前後あるいはそれ以上の温度領域で行われる。このため、反応温度から粒子の成長が停止する温度まで粉末が冷却される間に、生成された粉末粒子同士が再度凝集して二次粒子が生成するおそれがある。この二次粒子の生成を抑制するためには、一定の冷却速度以上で急冷する必要がある。しかしながら、図11に示すように、反応装置1の外周から中心に冷却ガス7aを吹き出す形態では、冷却ガスが装置の中心に向かって流れるために、反応熱が装置中心に集中し温度が上昇する。すなわち、装置中心の冷却が不十分となる。その結果、従来の製造装置に比べて連結粒割合や粗大粒、粒度分布が悪化した。
反応装置の中心で発生した粉末を冷却する手法として、加熱粉体の流渦経路の中央に設置した冷媒供給手段を備えた粉粒体冷却装置に粉末を接触させて冷却する方法が特許文献3や特許文献4に開示されている。しかしながら、このように粉末を装置壁面に接触させて冷却する方法では粉末が装置壁面に付着し、粉末の閉塞による装置の故障や付着を除去するために装置を定期的に停止させなければならないことによる生産性の低下は避けられないものである。
特開平6−226085号公報 特許4324109号公報 特開2000−130903号公報 実開平1−69631号公報
従って、本発明の目的は、反応炉に複数の供給ノズルを有し、時間あたりの生産量増、運転管理の簡略化、設置スペースの削減、電力などのコストの削減が可能であり、なおかつ従来の製造装置と同等もしくは同等以上の品質の粉末を得ることができる粉末製造装置を提供することにある。
本発明者らは上記反応装置の中心部分の冷却についてガスを利用することに着目して鋭意検討を行ったところ、反応装置の中心に冷却ガスを供給することで粉末を冷却する方法により連結粒割合が良くなることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、例えば金属化合物ガスと反応性ガスを含む2種以上のガスの気相化学反応により粉末を製造する粉末製造装置であって、前記ガスに気相化学反応を起こさせて粉末を得る反応部と、生成した粉末を冷却する冷却部とからなり、反応部において前記ガスを反応部に導入するノズルを複数備え、冷却部において、粉末製造装置の外周から冷却ガスを吹き出す第1の冷却手段と、粉末製造装置の中心から冷却ガスを吹き出す第2の冷却手段を備えることを特徴としている。
本発明においては、第1の冷却手段は、粉末製造装置の外周から中心に向かって冷却ガスを吹き出すものであり、第2の冷却手段は、粉末製造装置の中心から外周に向かって冷却ガスを吹き出すものであることを好ましい態様としている。
本発明においては、前記ガスが、金属化合物ガス及びこの金属化合物を酸化または還元する反応性ガスを含むことを好ましい態様としている。
本発明においては、前前記第1の冷却手段からの冷却ガス供給量(X)と前記第2の冷却手段からの冷却ガス供給量(Y)が、0.25≦Y/X≦10の関係を満たすことを好ましい態様としている。
本発明によれば、反応装置に具備した供給ノズルの本数に応じて、その生産量を増加することができることから、従来の製造装置を複数基稼動する方法に比べて運転管理の簡略化、設置スペースの削減、電力などのコストの削減という利点を有するものである。その際、粉末製造装置の外周から冷却ガスを吹き出す第1の冷却手段と、粉末製造装置の中心から冷却ガスを吹き出す第2の冷却手段を具備することにより、連結粒子の生成が極めて低いレベルに抑えられ、従来の製造装置と同品質またはそれ以上の品質を維持することができる。例えば、本発明において供給ノズルを4本具備した場合での設置スペースの削減、電力コストの削減については従来の製造設備に比べて、設置スペースは50%減、電力コストは50%減となり大幅なコスト削減が可能である。
本発明の一実施形態に係る粉末の製造装置を示す縦断面図である。 本発明の別の一実施形態に係る粉末の製造装置を示す縦断面図である。 本発明の別の一実施形態に係る粉末の製造装置を示す縦断面図である。 本発明の別の一実施形態に係る粉末の製造装置を示す縦断面図である。 実施例1で得られたニッケル粉末のSEM写真である。 実施例2で得られたニッケル粉末のSEM写真である。 実施例3で得られたニッケル粉末のSEM写真である。 実施例4で得られたニッケル粉末のSEM写真である。 比較例で得られたニッケル粉末のSEM写真である。 参考例で得られたニッケル粉末のSEM写真である。 従来の冷却装置を示す概念図である。
本発明の粉末の製造装置は、2種以上のガスの気相化学反応により粉末を製造する粉末製造装置であって、前記ガスに気相化学反応を起こさせて粉末を得る反応部と、生成した粉末を冷却する冷却部とからなり、反応部において前記ガスを反応部に導入するノズルを複数備え、冷却部において、粉末製造装置の外周から冷却ガスを吹き出す第1の冷却手段と、粉末製造装置の中心から冷却ガスを吹き出す第2の冷却手段を備えることを特徴としている。
上記構成によれば、供給される2種以上のガスが反応部(各図において符号2a)で接触し気相化学反応を起こして粉末が生成する。気相化学反応が起こる際には、反応部2a内への金属ハロゲン化物ガスの吐出状態に応じたLPG等の気体燃料の燃焼炎に似た輝炎8が生じ、気相化学反応は主にこの輝炎の表層部分で進行していく。生成した粉末は冷却部2bにおいて冷却手段から供給される冷却ガスに接触することで冷却される。
2種以上のガスは、金属化合物ガスと、前記金属化合物ガスを酸化または還元する反応性ガスを含むものである。金属化合物ガスとしては、金属ハロゲン化ガス、有機金属ガスが挙げられ、具体的には、四フッ化ケイ素ガス、三塩化ケイ素ガス、四塩化ケイ素ガス、四塩化チタンガス、三塩化チタンガス、塩化ニッケルガス、塩化銅ガス、塩化アルミニウムガス、塩化銀ガス、塩化タングステンガス、塩化モリブデンガス、塩化ニオブガス、塩化タンタルガス、塩化鉄ガス等が挙げられる。また、反応ガスとしては、金属化合物ガスを還元する場合は水素ガス、硫化水素ガス、一酸化炭素ガス、これらの混合ガス等、酸化する場合は酸素ガス、水蒸気ガス、これらの混合ガスが挙げられる。なお、これらの金属ハロゲン化物ガスや反応ガスは、アルゴン、窒素等の不活性ガスで希釈されていても良い。
本発明によれば、反応装置に金属化合物ガス供給ノズルが複数備えられていることからそれぞれの供給ノズルで気相化学反応を起こすことができる。従って、従来の反応装置に比べて時間当たりに生成する粉末の生成量を増加させることができる。
また本発明によれば、生成した粉末は冷却部2bにおいて第1の冷却手段からの冷却ガス7aと第2の冷却手段からの冷却ガス7bとにより冷却される。冷却部2bは、反応装置1の外周から冷却ガス7aを供給する第1の冷却手段の冷却ガス供給口6aと反応装置1の中心から冷却ガス7bを供給する第2の冷却手段の冷却ガス供給口6bから成る。第2の冷却手段の冷却ガス供給口6bから供給される冷却ガス7bにより反応装置1の中心で発生した粉末が冷却されることにより粉末同士の凝集に起因する連結粒子の成長が抑制される。これにより、連結粒子の少ない粉末を安定して得ることができる。
このとき、第1の冷却手段の冷却ガス供給口6aと第2の冷却手段の冷却ガス供給口6bからの冷却ガス供給方向は限定されないが、特に、第1の冷却手段の冷却ガス供給口6aが反応装置1の外周から中心に向かって冷却ガス7aを供給し、かつ第2の冷却手段の冷却ガス供給口6bが反応装置1の中心から外周に向かって冷却ガス7bを供給すると、生成粉末が外周側からと中心側から均等に冷却されるため、好ましい。
さらに、第1の冷却手段の冷却ガス供給量(X)と第2の冷却手段の冷却ガス供給量(Y)は0.25≦Y/X≦10になるように供給することが好ましい。より、好ましくは1≦Y/X≦4である。第2の冷却手段からの冷却ガス供給量を第1の冷却手段からの冷却ガス供給量と同等もしくは同等以上にすることで製造装置の中心に生成した粉末を速やかに冷却することができるため、粉末同士の凝集に起因する連結粒子の成長が抑制される。これにより、連結粒子の少ない粉末を安定して得ることができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
[1]製造装置の構成
図1〜図4は、粉末の製造装置を示している。該装置は円筒状の縦型の反応装置1を主体としており、金属化合物ガスと反応性ガスによる気相化学反応が起こる反応部2aと生成した粉末を冷却する冷却部2bとに分けられる。反応部2aは反応装置1の周囲に配置された加熱手段3により所定の温度に加熱される。
反応部2aの上部には金属化合物ガスを供給するための金属化合物ガス供給ノズル4(以下、単に供給ノズル4と略称する)が複数配置されている。複数とは2本以上、好ましくは4本以上である。この供給ノズル4は円周上に間隔が均等になるように配置されている。この形態により各供給ノズル4から排出される粉末を含むガスや気相化学反応により発生した反応熱の影響が、各供給ノズル4に均等に影響するため、品質の安定した粉末を得ることができる。供給ノズル4には反応性ガスを供給するための反応性ガス供給口5が接続されている。
冷却部2bには第1の冷却手段の冷却ガス供給口6a(以下、単に冷却ガス供給口Aと略称する)と第2の冷却手段の冷却ガス供給口6b(以下、単に冷却ガス供給口Bと略称する)が設置されている。
冷却ガス供給口Aは冷却ガス7aが反応装置1の外周から中心に向かって供給されるように設置されている。冷却ガス7aの供給形式は、
1)反応装置1の周面に対して垂直方向から水平に供給して冷却ガスを放射線状に供給する方法(図示せず)、
2)水平であって反応装置1の周面の法線方向から斜めにずらした方向から冷却ガスを旋回流で供給する方法(図1〜3)、
3)反応装置1の周面の法線方向から斜めにずらした方向から冷却ガスを斜め下向きに旋回流で供給する方法(図4)、
など様々な方法がとられるが、冷却ガス供給口Aを反応装置1の周面の法線方向から斜めになるように設置し冷却ガス7aが旋回流とする2)〜3)の方法が好ましい。
また、冷却ガス供給口Bは供給した冷却ガス7bが反応装置1の中心から外周に向かって供給されるように設置されている。冷却ガス7bの供給方法は、
1)垂直方向から見てそのまま放射線状に、かつ水平方向に冷却ガスを供給する方法(図1、3)、
2)供給口に斜めの溝を設置して、水平方向に旋回流とする方法(図2)、
3)供給口に斜めの溝を設置して、かつ水平方向より斜め下方に旋回流とする方法(図4)、
などがとられるが、冷却ガス7bを放射状に供給する1)の方法が好ましい。
冷却ガス供給口Aと冷却ガス供給口Bの高さは同じになるように設置することが好ましい。二つの冷却手段から供給される冷却ガスが同じ高さで衝突するため、ガス流の乱れに起因する粉末同士の衝突が防止される。これにより粉末粒子同士の凝集による連結粒子の発生が抑制され、連結粒子が少ない粉末を安定して得ることができる。
冷却ガス供給口Aからの冷却ガス供給量(X)と冷却ガス供給口Bからの冷却ガス供給量(Y)は0.25≦Y/X≦10になるように供給することが好ましく、より好ましくは0.5≦Y/X≦7、さらに好ましくは1≦Y/X≦4である。冷却ガス供給口Bからの冷却ガス供給量を冷却ガス供給口Aからの冷却ガス供給量と同等もしくは同等以上にすることで反応装置の中心に生成した粉末を速やかに冷却することができるため、粉末同士の凝集に起因する連結粒子の成長が抑制される。これにより、連結粒子の少ない粉末を安定して得ることができる。
冷却部2bで冷却された粉末は反応装置1の下端部に設けられた回収管9を通って回収される。
[2]ニッケル粉末の製造例
以下、ニッケル粉末の製造例をもとに詳細に説明する。なお、本発明の粉末製造装置によって製造され得る粉末としては、ニッケルの他に、銅もしくは銀のペーストフィラー、チタン材の複合材、または触媒等の各種用途に適した金属粉末が挙げられ、さらにはアルミニウム、チタン、鉄、コバルト、タングステン、モリブデン等の金属粉末、酸化チタン、酸化珪素等の酸化物の製造も可能である。
はじめに、反応装置1に供給される塩化ニッケルガスは塩化ニッケルを加熱蒸発させる方法や金属ニッケルに塩素ガスを接触させ塩化ニッケルガスを発生させる方法が利用できる。前記のいずれかの方法で発生させた塩化ニッケルガスを窒素ガスにより希釈した後、縦型反応装置1の上部に設置した供給ノズル4に供給する。
供給ノズル4に供給された塩化ニッケルガスは供給ノズル4から吐出されると反応性ガス供給口5から供給された反応性ガスと接触して気相化学反応を起こし、ニッケル粉末が生成する。このとき、反応性ガス供給口5から供給される反応性ガスは塩化ニッケルガスを還元することのできる還元性ガスが使用される。還元性ガスとしては水素ガスや硫化水素ガス等を用いることができるが、生成したニッケル粉末への影響を考慮すると、水素ガスが好適である。
また、ニッケル粉末を製造する場合における反応部2aは加熱手段3により1000〜1100℃に加熱されていることが好ましい。なお、塩化ニッケルガスと水素ガスによる還元反応が進行する際、各供給ノズル4の先端部からは、LPGなどの気体燃料の燃焼炎に似た輝炎8が形成される。
反応部2aで生成したニッケル粉末は冷却部2bにおいて冷却ガス供給口Aと冷却ガス供給口Bから供給された冷却ガスにより冷却される。冷却ガスとしては、生成したニッケル粉末に影響のないものであれば特に限定はしないが、窒素ガス、アルゴンガス等が好ましい。これらの中でも、窒素ガスが安価であるためさらに好ましい。
冷却部2bで冷却されたニッケル粉末は冷却ガスや気相化学反応で副生した塩化水素ガス等とともに回収管9から回収される。そして、混合ガスから分離回収され、更に洗浄されて製品とされる。
本実施形態によれば、供給ノズル4が複数設置されていることからそれぞれの供給ノズル4で気相化学反応を同時に起こすことで生成するニッケル粉末の生成量を増加させることができる。さらに、単一の反応装置で複数の供給ノズル4を備えているため、供給ノズル4を一本備えた反応装置1を複数の供給ノズル4の本数分用意するよりも、運転管理の簡略化、消費エネルギーの低減を図ることができる。
また、図11に示す従来の反応装置1では、供給ノズル4は複数基であるが、本発明の冷却手段6bを中央部に備えていないので、反応装置1の外周部と中央部とで温度差が生じ、特に、中央部近傍は高温のままとなり連結粒子が生成していた。これに対して、本発明においては、反応装置1の中央に冷却ガス供給口Bを設置していることから複数の供給ノズル4の中心で生成したニッケル粉末を速やかに冷却することができる。したがって、粉末同士の凝集に起因する二次粒子の成長が抑制される。これにより、連結粒子の少ない粉末を安定して得ることができる。
次に、図5に示した製造装置を用いてニッケル粉末を製造した本発明の実施例を説明する。
[評価方法]
本発明により生成したニッケル粉末は粒形状、粒度分布、連結粒割合により品質を評価した。つぎにそれぞれの評価方法について説明する。
[粒形状]
得られたニッケル粉末を試料台にエタノールを使用して塗布し、走査電子顕微鏡によりニッケル粉末の写真を15000倍の倍率で数視野撮影を行った。撮影した写真から目視で粒形状について観察した。
[個数の粒度分布、連結粒割合]
粒形状の確認のために撮影したニッケル粉の写真から粒子800個の粒径を測定して平均値を算出した。なお、粒径は粒子を包み込む最小円の直径とした。粒子800個の中でアスペクト比が1.2以上となる非球状の粒子を連結粒として計上して連結粒割合を算出した。アスペクト比は、粒子を包み込む最小円の直径(α)と粒子内で接する最大円の直径(β)との比(α/β)である。
[体積の粒度分布、連結粒割合]
個数の粒度分布を評価するために測定した粒子800個の粒径から各粒子の体積を算出した。各粒子の体積の累積値が10%になる粒径をD10、50%になる粒径をD50、90%になる粒径をD90、95%になる粒径をD95として粒径を算出した。SPANは(D90−D10)/D50×100(%)で算出した。粒子800個の中でアスペクト比が1.2以上となる非球状の粒子を連結粒子として計上し、粒子を包み込む最小円の直径が長軸、粒子内で接する最大円の直径が短軸となる楕円に近似して体積を算出して体積の連結粒割合を算出した。
[実施例1]
まず、金属ニッケルに塩素ガスを接触させて塩化ニッケルガスを発生させ、窒素ガスと混合することで60vol%に希釈した。反応部2aを加熱手段3により1000℃に加熱し、前記希釈した塩化ニッケルガスを4本の供給ノズル4にそれぞれ4.2m/秒(1000℃換算)の流速で供給した。反応性ガス供給口5から水素ガスを2.4m/秒(1000℃換算)の流速で流し、塩化ニッケルガスを還元しニッケル粉末を得た。なお、塩化ニッケルガスと水素ガスによる還元反応が進行する際、各供給ノズル4の先端部からは、LPGなどの気体燃料の燃焼炎に似た輝炎8が形成された。
次いで生成したニッケル粉末は、冷却部2bにおいて冷却ガス供給口A(第1の冷却手段の冷却ガス供給口6a)からの供給量Xと冷却ガス供給口B(第2の冷却手段の冷却ガス供給口6b)からの供給量YがY/X=1となるように、冷却ガス供給口Aから生成されるニッケル粉末1g当たり4.8Nl/分・g、冷却ガス供給口Bから生成されるニッケル粉末1g当たり4.8Nl/分・gで供給した窒素ガスにより冷却された。生成したニッケル粉末は、窒素ガスおよび塩化水素ガスとともに回収管9からバグフィルターに導き、分離回収した。この後、回収したニッケル粉末を温水洗浄後、乾燥することでニッケル粉末を得た。実施例1で得られたニッケル粉末のSEM写真を図5に示す。
[実施例2]
ニッケル粉末を冷却部2bで冷却するに当り、Y/X=4となるように窒素ガス供給量を冷却ガス供給口Aからの供給量を1.2Nl/分・g、冷却ガス供給口Bからの供給量を4.8Nl/分・gとした以外は、実施例1と同様にニッケル粉末を得た。得られたニッケル粉末のSEM写真を図6に示す。
[実施例3]
ニッケル粉末を冷却部2bで冷却するに際し、Y/X=0.50となるように窒素ガス供給量を冷却ガス供給口Aからの供給量を4.8Nl/分・g、冷却ガス供給口Bからの供給量を2.4Nl/分・gとした以外は、実施例1と同様にニッケル粉末を得た。得られたニッケル粉末のSEM写真を図7に示す。
[実施例4]
ニッケル粉末を冷却部2bで冷却するに際し、Y/X=10となるように窒素ガス供給量を冷却ガス供給口Aからの供給量を4.8Nl/分・g、冷却ガス供給口Bからの供給量を0.48Nl/分・gとした以外は、実施例1と同様にニッケル粉末を得た。得られたニッケル粉末のSEM写真を図8に示す。
[比較例]
ニッケル粉末を冷却部2bで冷却するに際し、窒素ガス供給量を冷却ガス供給口Aからの供給量を4.8Nl/分・g、冷却ガス供給口Bからの供給を停止した以外は、実施例1と同様にニッケル粉末を得た。得られたニッケル粉末のSEM写真を図9に示す。
[参考例]
反応部2aに設置された供給ノズル4を一本とし、反応装置1の中央に設置した。さらに冷却部2bにおいて第2の冷却手段がない反応装置を使用した。この供給ノズル4に塩化ニッケルガスを4.2m/秒(1000℃換算)で供給した。反応性ガス供給口5から水素ガスを2.4m/秒(1000℃換算)の流速で流し、塩化ニッケルガスを還元しニッケル粉末を得た。次いで得られたニッケル粉末を冷却部2bで冷却するに際し、窒素ガス供給量を冷却ガス供給口Aからの供給量を4.8Nl/分・gとした。この後の回収、洗浄、乾燥工程は実施例1と同様に行った。参考例で得られたニッケル粉末のSEM写真を図10に示す。
表1に実施例1〜4、比較例および参考例で得られたニッケル粒子の連結粒子数に関する測定結果を示す。
Figure 2013221214
表1によれば、各実施例は比較例に対して粒度分布、連結粒割合が良い結果であったことが判る。また、参考例に対して各実施例は、4倍の原料ガスの供給量であるにも関わらず、温度分布の不均一さが抑制され、粒度分布、連結粒割合が同等もしくは同等以上であったことが判る。このため、各実施例は、参考例に比して近年のニッケル粉の需要拡大に対応するために生産量を増加させる方法としてより好適である。
以上説明したように、本発明の粉末製造装置によれば、反応部において複数の金属化合物ガス供給ノズルを備えることにより、従来の粉末製造装置に比べて粉末の時間当たりの製造量を増加させることが可能であり、さらに粉末の流過経路の周囲と中心の両方向から冷却ガスを供給することにより、生成された粉末粒子が凝集し連結粒子に成長することを抑制することができる。
1・・・反応装置
2a・・・反応部
2b・・・冷却部
3・・・加熱手段
4・・・金属ハロゲン化物供給ノズル
5・・・反応性ガス供給口
6a・・・第1の冷却手段の冷却ガス供給口
6b・・・第2の冷却手段の冷却ガス供給口
7a・・・第1の冷却手段からの冷却ガス
7b・・・第2の冷却手段からの冷却ガス
8・・・輝炎
9・・・回収管

Claims (4)

  1. 2種以上のガスの気相化学反応により粉末を製造する粉末製造装置であって、
    前記ガスに気相化学反応を起こさせて粉末を得る反応部と、生成した粉末を冷却する冷却部とからなり、
    前記反応部において前記ガスを反応部に導入するノズルを複数備え、
    前記冷却部において、前記粉末製造装置の外周から冷却ガスを吹き出す第1の冷却手段と、前記粉末製造装置の中心から冷却ガスを吹き出す第2の冷却手段を備えることを特徴とする粉末製造装置。
  2. 前記第1の冷却手段は、前記粉末製造装置の外周から中心に向かって冷却ガスを吹き出すものであり、前記第2の冷却手段は、前記粉末製造装置の中心から外周に向かって冷却ガスを吹き出すものであることを特徴とする請求項1に記載の粉末製造装置。
  3. 前記ガスが、金属化合物ガス及びこの金属化合物を酸化または還元する反応性ガスを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の粉末製造装置。
  4. 前記第1の冷却手段からの冷却ガス供給量(X)と前記第2の冷却手段からの冷却ガス供給量(Y)が、0.25≦Y/X≦10の関係を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の粉末製造装置。
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