JP2013220780A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】 通過騒音を悪化させることなく耐チッピング性を向上することを可能にした空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】 トレッド部1にジグザグ状又は波状に蛇行しながらタイヤ周方向に延長する複数本の主溝5を設け、これら主溝5により複数列の陸部6を区画した空気入りタイヤにおいて、少なくとも1列の陸部6にタイヤ幅方向に延びる複数本のラグ溝7を形成し、各ラグ溝7の少なくとも一方の開口端を陸部6においてタイヤ幅方向外側に突き出した凸部6aの頂点位置に配置すると共に、トレッド部1を構成するキャップトレッドゴム層11よりも硬度が高い補強ゴム層12を主溝5の内壁面に露出するように凸部6aに配置し、主溝5の振幅Wgを2mm〜15mmとする一方で補強ゴム層12の幅Wrを主溝5の振幅Wgの50%〜100%の範囲に設定する。
【選択図】 図2
【解決手段】 トレッド部1にジグザグ状又は波状に蛇行しながらタイヤ周方向に延長する複数本の主溝5を設け、これら主溝5により複数列の陸部6を区画した空気入りタイヤにおいて、少なくとも1列の陸部6にタイヤ幅方向に延びる複数本のラグ溝7を形成し、各ラグ溝7の少なくとも一方の開口端を陸部6においてタイヤ幅方向外側に突き出した凸部6aの頂点位置に配置すると共に、トレッド部1を構成するキャップトレッドゴム層11よりも硬度が高い補強ゴム層12を主溝5の内壁面に露出するように凸部6aに配置し、主溝5の振幅Wgを2mm〜15mmとする一方で補強ゴム層12の幅Wrを主溝5の振幅Wgの50%〜100%の範囲に設定する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、キャップトレッドゴム層に低発熱かつ低硬度のゴム組成物を使用する場合に好適な空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、通過騒音を悪化させることなく耐チッピング性を向上することを可能にした空気入りタイヤに関する。
近年、乗用車用の空気入りタイヤにおいては、低燃費化が強く要求されると共に、走行時における通過騒音の低減も求められている。そのため、キャップトレッドゴム層に低発熱かつ低硬度のゴム組成物が使用されることが多くなっている。ところが、このような低発熱かつ低硬度のゴム組成物は、耐摩耗性に劣り、特に耐チッピングに劣るという欠点がある。そのため、キャップトレッドゴム層に低発熱かつ低硬度のゴム組成物を用いた空気入りタイヤをスポーツ・ユーティリティー・ビークル(SUV)等の車体重量が大きい車両に装着した場合、チッピングと呼ばれる陸部の欠損が顕著に現れる傾向がある。特に、SUV等に使用される空気入りタイヤにおいては、ウエット性能やスノー性能を確保するために、トレッド部の陸部にタイヤ幅方向に延びる多数のラグ溝が形成されるが、このようなラグ溝に面する部位ではチッピングが生じ易いのである。
ところで、空気入りタイヤにおいて、複数のタイヤ特性を同時に満足するために、トレッド部にキャップトレッドゴム層よりも高硬度の補強ゴム層を配置し、その補強ゴム層に基づいてトレッド部を局部的に補強することが提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。そこで、このような補強ゴム層に基づいて耐チッピング性を改善することが考えられる。
しかしながら、トレッド部を高硬度の補強ゴム層に基づいて単に補強した場合、その高硬度の補強ゴム層に起因して通過騒音が悪化するという問題がある。そのため、通過騒音の低減が求められる空気入りタイヤでは、トレッド部に安易に補強ゴム層を付加することができないのが現状である。
本発明の目的は、通過騒音を悪化させることなく耐チッピング性を向上することを可能にした空気入りタイヤを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、トレッド部にジグザグ状又は波状に蛇行しながらタイヤ周方向に延長する複数本の主溝を設け、これら主溝により複数列の陸部を区画した空気入りタイヤにおいて、少なくとも1列の陸部にタイヤ幅方向に延びる複数本のラグ溝を形成し、各ラグ溝の少なくとも一方の開口端を前記陸部においてタイヤ幅方向外側に突き出した凸部の頂点位置に配置すると共に、前記トレッド部を構成するキャップトレッドゴム層よりも硬度が高い補強ゴム層を前記主溝の内壁面に露出するように前記凸部に配置し、前記主溝の振幅Wgを2mm〜15mmとする一方で前記補強ゴム層の幅Wrを前記主溝の振幅Wgの50%〜100%の範囲に設定したことを特徴とするものである。
本発明では、トレッド部にジグザグ状又は波状に蛇行しながらタイヤ周方向に延長する複数本の主溝を設け、これら主溝により複数列の陸部を区画した空気入りタイヤにおいて、陸部のタイヤ幅方向外側に突き出した凸部にキャップトレッドゴム層よりも硬度が高い補強ゴム層を配置し、主溝の振幅Wg及び補強ゴム層の幅Wrを規定することにより、通過騒音の発生を抑えつつ、補強ゴム層に基づいてチッピングの発生を抑制することができる。また、ウエット性能やスノー性能を確保するために、複数本のラグ溝を陸部に形成するにあたって、各ラグ溝の少なくとも一方の開口端を陸部のタイヤ幅方向外側に突き出した凸部の頂点位置に配置し、該ラグ溝の開口端の位置を補強ゴム層の位置と一致させることにより、ラグ溝の周辺でのチッピングの発生を効果的に防止することができる。これにより、通過騒音を悪化させることなく耐チッピング性を向上することが可能になる。
本発明において、各ラグ溝の一方の開口端を陸部においてタイヤ幅方向外側に突き出した凸部の頂点位置に配置する一方で各ラグ溝の他方の開口端を陸部においてタイヤ幅方向内側に窪んだ凹部の底点位置に配置し、ラグ溝の凸部側の延長部分の溝幅を2mm以上とし、ラグ溝の前記凹部側の延長部分の溝幅を1mm以下とすることが好ましい。このようにラグ溝の溝幅を補強ゴム層が存在する部分では大きくし、補強ゴム層が存在しない部分では小さくすることにより、耐チッピング性を悪化させることなく陸部を横切るようにラグ溝を配置することができる。
また、各ラグ溝の一方の開口端を陸部においてタイヤ幅方向外側に突き出した凸部の頂点位置に配置する一方で各ラグ溝の他方の開口端を陸部においてタイヤ幅方向内側に窪んだ凹部の底点位置に配置し、ラグ溝の凸部側の延長部分の溝深さを主溝の溝深さの60%〜100%とし、ラグ溝の凹部側の延長部分の溝深さを主溝の溝深さの10%〜50%とすることが好ましい。このようにラグ溝の溝深さを補強ゴム層が存在する部分では大きくし、補強ゴム層が存在しない部分では小さくすることにより、耐チッピング性を悪化させることなく陸部を横切るようにラグ溝を配置することができる。
上記構成において、ラグ溝の凸部側の延長部分の長さL1とラグ溝の凹部側の延長部分の長さL2と補強ゴム層の幅Wrと陸部の幅WRはWr/WR≦L1/(L1+L2)≦(Wr/WR)×3の関係を満足することが好ましい。これにより、耐チッピング性を効果的に改善することができる。
補強ゴム層の硬度Hsrはキャップトレッドゴム層の硬度Hscに対してHsc+3≦Hsr≦Hsc+15の関係を満足し、補強ゴム層の破断伸びは500%以上であり、補強ゴム層の破断強度は17MPa以上であることが好ましい。これにより、耐チッピング性を効果的に改善することができる。
更に、トレッド部にはキャップトレッドゴム層の下地となるアンダートレッドゴム層を埋設し、補強ゴム層をアンダートレッドゴム層と接触するように配置し、補強ゴム層を体積抵抗率が108 Ω・cm以下となる導電性ゴム組成物から構成することが好ましい。つまり、転がり抵抗を低減するにはキャップトレッドゴム層を構成するゴム組成物におけるカーボン配合量を減らし、シリカを配合することが有効であるが、この場合、空気入りタイヤの電気抵抗が高くなり、車両装着時に車両側に静電気が溜まり易くなるという欠点がある。これに対して、キャップトレッドゴム層の下地として必要に応じて導電性を高くしたアンダートレッドゴム層を埋設し、これに接触するように導電性ゴム組成物からなる補強ゴム層を配置することにより、補強ゴム層をアースとして活用し、静電気を効果的に除去することが可能になる。
本発明において、硬度とはJIS−K6253に規定されるデュロメータ硬さを意味し、Aタイプのテュロメータを用いて測定されるものである。また、破断伸び(Eb)及び破断強度(TSb)はJIS−K6251に準拠して測定されるものである。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図1〜図3は本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示すものである。
図1に示すように、本実施形態の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1を備えている。この空気入りタイヤは、トレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備えているが、ここでは省略されている。
トレッド部1には、一対のビード部間に装架されたカーカス層2と、該カーカス層2の外周側に配置されたベルト層3と、該ベルト層3の外周側に配置されたベルトカバー層4とが埋設されている。ベルト層3はタイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。ベルト層3において、補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10°〜40°の範囲に設定されている。一方、ベルトカバー層4は、補強コードをタイヤ周方向に対して5°以下の角度で配列した構造を有している。このベルトカバー層4は少なくとも1本の補強コードを引き揃えてゴム被覆してなるストリップ材をタイヤ周方向に連続的に巻回したジョイントレス構造とすることが望ましい。ベルトカバー層4の補強コードとしては、ナイロンやアラミド等の有機繊維コードが好ましく使用される。
また、トレッド部1には、図2に示すように、ジグザグ状又は波状に蛇行しながらタイヤ周方向に延びる複数本の主溝5が形成されており、これら主溝5により複数列の陸部6が区画されている。各陸部6は、ジグザグ状又は波状に蛇行しながらタイヤ周方向に延びる主溝5によって区画された結果として、タイヤ幅方向外側に突き出した凸部6aとタイヤ幅方向内側に窪んだ凹部6bとを備え、これら凸部6aと凹部6bとがタイヤ周方向に沿って交互に配置されている。
上記空気入りタイヤにおいて、図3に示すように、陸部6にはタイヤ幅方向に延びる複数本のラグ溝7が形成されている。各ラグ溝7は、一方の開口端が陸部6においてタイヤ幅方向外側に突き出した凸部6aの頂点位置に配置され、他方の開口端が陸部6においてタイヤ幅方向内側に窪んだ凹部6bの底点位置に配置されている。また、ラグ溝7の凸部6a側の延長部分7aは溝幅が2mm以上、好ましくは、2mm〜15mmである太溝部を形成し、ラグ溝7の凹部6b側の延長部分7bは溝幅が1mm以下、好ましくは、0.3mm〜1mmである細溝部を形成している。細溝部はサイプであっても良い。
トレッド部1の踏面側にはキャップトレッドゴム層11が配置されているが、図1〜図3の斜線部にて示すように、キャップトレッドゴム層11よりも硬度が高い補強ゴム層12(斜線部)が主溝5の内壁面に露出するように陸部6の凸部6aに配置されている。補強ゴム層12は、グリーンタイヤにおいてタイヤ周方向に沿って帯状に配置され、トレッド部1にジグザグ状又は波状に蛇行しながらタイヤ周方向に延長する主溝5を成形することにより、陸部6の凸部6aにおいて局部的に配置される。
図3において、主溝5の振幅Wgが2mm〜15mmの範囲に設定されるのに対して、補強ゴム層12の幅Wrは主溝の振幅Wgの50%〜100%の範囲、好ましくは、70%〜100%の範囲に設定されている。
上述した空気入りタイヤでは、トレッド部1にジグザグ状又は波状に蛇行しながらタイヤ周方向に延長する複数本の主溝5を設け、これら主溝5により複数列の陸部6を区画すると共に、陸部6のタイヤ幅方向外側に突き出した凸部6aにキャップトレッドゴム層11よりも硬度が高い補強ゴム層12を配置し、主溝5の振幅Wg及び補強ゴム層12の幅Wrを所定の範囲に設定することにより、通過騒音の発生を抑えつつ、補強ゴム層12に基づいてチッピングの発生を抑制することができる。
また、オールシーズンタイヤやウインタータイヤの場合、ウエット性能やスノー性能を確保するために、タイヤ幅方向に延びる複数本のラグ溝7を陸部6に設けることが必要であるが、これらラグ溝7を陸部6に形成するにあたって、各ラグ溝7の少なくとも一方の開口端を陸部6のタイヤ幅方向外側に突き出した凸部6aの頂点位置に配置し、該ラグ溝7の開口端の位置を補強ゴム層12の位置と一致させることにより、ラグ溝7の周辺でのチッピングの発生を効果的に防止することができる。これにより、通過騒音を悪化させることなく耐チッピング性を向上することが可能になる。
ここで、主溝5の振幅Wgが2mm未満であると凸部6aに配置される補強ゴム層12が小さくなるため耐チッピング性の改善効果が不十分になり、逆に15mmを超えると凸部6aに配置される補強ゴム層12が大きくなるため通過騒音が悪化する。また、補強ゴム層12の幅Wrが主溝の振幅Wgの50%未満であると耐チッピング性の改善効果が不十分になり、逆に主溝の振幅Wgの100%を超えると補強ゴム層12の影響により通過騒音が悪化する。
上記空気入りタイヤにおいては、各ラグ溝7の一方の開口端を陸部の凸部6aの頂点位置に配置する一方で各ラグ溝7の他方の開口端を陸部6の凹部6bの底点位置に配置し、ラグ溝7の凸部6a側の延長部分7aの溝幅を2mm以上とし、ラグ溝7の凹部6b側の延長部分7bの溝幅を1mm以下としている。つまり、補強ゴム層12が存在する部位ではラグ溝7を広くし、補強ゴム層12が存在しない部位ではラグ溝7を狭くしている。これにより、耐チッピング性を悪化させることなく陸部6を横切るようにラグ溝7を配置し、そのラグ溝7に基づいてウエット性能やスノー性能を良好に確保することができる。
図4は本発明の空気入りタイヤにおける陸部の変形例を示すものである。図4において、各ラグ溝7は、一方の開口端が陸部6においてタイヤ幅方向外側に突き出した凸部6aの頂点位置に配置され、他方の開口端が陸部6においてタイヤ幅方向内側に窪んだ凹部6bの底点位置に配置されている。また、ラグ溝7の凸部6a側の延長部分7aは溝深さが主溝5の溝深さの60%〜100%である深溝部を形成し、ラグ溝7の凹部6b側の延長部分7bは溝深さが主溝5の溝深さの10%〜50%である浅溝部を形成している。つまり、補強ゴム層12が存在する部位ではラグ溝7を深くし、補強ゴム層12が存在しない部位ではラグ溝7を浅くしている。これにより、耐チッピング性を悪化させることなく陸部6を横切るようにラグ溝7を配置し、そのラグ溝7に基づいてウエット性能やスノー性能を良好に確保することができる。
図3又は図4に示す構成において、ラグ溝7の凸部6a側の延長部分7aの長さL1とラグ溝7の凹部6b側の延長部分7bの長さL2と補強ゴム層12の幅Wrと陸部6の幅WRは、Wr/WR≦L1/(L1+L2)≦(Wr/WR)×3の関係を満足すると良い。なお、主溝の振幅Wg、ラグ溝7の延長部分7aの長さL1、ラグ溝7の延長部分7bの長さL2、補強ゴム層12の幅Wr及び陸部6の幅WRはいずれもタイヤ周方向と直交する方向に測定されたものであり、凸部6aの頂点位置及び凹部6bの底点位置は陸部6のエッジを延長した仮想線に基づいて特定されるものとする。
このようにWr/WR≦L1/(L1+L2)≦(Wr/WR)×3の関係を満足することにより、耐チッピング性を効果的に改善することができる。ここで、Wr/WR>L1/(L1+L2)であるとラグ溝7に基づいて得られるウエット性能やスノー性能が不十分になり、逆にL1/(L1+L2)>(Wr/WR)×3であると耐チッピング性の改善効果が低下する。
補強ゴム層12の物性について、補強ゴム層12の硬度Hsrはキャップトレッドゴム層11の硬度Hscに対してHsc+3≦Hsr≦Hsc+15の関係を満足し、補強ゴム層12の破断伸びは500%以上、好ましくは、550%〜800%であり、補強ゴム層12の破断強度は17MPa以上、好ましくは、20MPa〜30MPaであると良い。これにより、耐チッピング性を効果的に改善することができる。
ここで、補強ゴム層12の硬度Hsrとキャップトレッドゴム層11の硬度Hscとの差が3未満であると耐チッピング性の改善効果が低下し、逆に15を超えると通過騒音が悪化する。なお、キャップトレッドゴム層11の硬度Hscは60〜70の範囲から選択すると良い。また、補強ゴム層12の破断伸びが500%未満であると耐チッピング性の改善効果が低下し、同様に、補強ゴム層12の破断強度が17MPa未満であると耐チッピング性の改善効果が低下する。
補強ゴム層12はトレッド部1の厚さ方向の寸法が特に限定されるものではないが、少なくとも摩耗限度まで存在することが好ましい。
図5及び図6はそれぞれ本発明の空気入りタイヤにおける補強ゴム層の変形例を示すものである。図5及び図6において、トレッド部1にはキャップトレッドゴム層11の下地となるアンダートレッドゴム層13が埋設され、補強ゴム層12がアンダートレッドゴム層13と接触するように配置されている。そして、補強ゴム層12は上述の物性を有することに加えて体積抵抗率が108 Ω・cm以下となる導電性ゴム組成物から構成されている。
空気入りタイヤにおいて、転がり抵抗を低減するために、キャップトレッドゴム層11を構成するゴム組成物におけるカーボン配合量を減らし、シリカを配合することが行われているが、この場合、空気入りタイヤの電気抵抗が高くなり、車両装着時に車両側に静電気が溜まり易くなり、ラジオ等の電子機器へのノイズの原因となる。
これに対して、キャップトレッドゴム層11の下地として導電性を高くしたアンダートレッドゴム層13を埋設し、これに接触するように導電性ゴム組成物からなる補強ゴム層12を配置することにより、補強ゴム層12をアースとして活用し、静電気を効果的に除去することが可能になる。なお、アンダートレッドゴム層13の導電性を高くするには、該アンダートレッドゴム層13を構成するゴム組成物におけるカーボン配合量を多くすれば良い。
タイヤサイズ225/65R17で、トレッド部にタイヤ周方向に延びる4本の主溝を設け、これら主溝により5列の陸部を区画した空気入りタイヤにおいて、トレッド部の各陸部にタイヤ幅方向に延びる複数本のラグ溝を形成すると共に、各陸部の縁部に補強ゴム層を配設し、主溝の形状、主溝の振幅Wg、補強ゴム層の幅Wr、ラグ溝の凸部側延長部分の溝幅、ラグ溝の凹部側延長部分の溝幅、ラグ溝の凸部側延長部分の溝深さ(主溝深さに対する比)、ラグ溝の凹部側延長部分の溝深さ(主溝深さに対する比)、ラグ溝の長さ比(L1/L2)、補強ゴム層の幅比(Wr/WR)、キャップトレッドゴム層及び補強ゴム層の破断伸び(Eb)、破断強度(TSb)、硬度(Hs)を表1のように設定した従来例1,2、実施例1〜3及び比較例1〜5のタイヤを製作した。
これら試験タイヤについて、下記の評価方法により、耐チッピング性及び通過騒音を評価し、その結果を表1に併せて示した。
耐チッピング性:
各試験タイヤをリムサイズ17×7Jのホイールに組み付けて排気量2000ccの四輪駆動車(SUV)に装着し、空気圧230kPaの条件にて、未舗装の悪路を最大60km/hまでの速度範囲にて30km走行し、走行後のトレッド部の外観から耐チッピング性を評価した。評価結果は、チッピングやクラックが全く生じていない場合を「A」で示し、僅かなクラックが生じた場合を「B」で示し、僅かなチッピング(欠け)が生じた場合を「C」で示し、大きなチッピング(ブロック欠け)が発生した場合を「D」で示した。
各試験タイヤをリムサイズ17×7Jのホイールに組み付けて排気量2000ccの四輪駆動車(SUV)に装着し、空気圧230kPaの条件にて、未舗装の悪路を最大60km/hまでの速度範囲にて30km走行し、走行後のトレッド部の外観から耐チッピング性を評価した。評価結果は、チッピングやクラックが全く生じていない場合を「A」で示し、僅かなクラックが生じた場合を「B」で示し、僅かなチッピング(欠け)が生じた場合を「C」で示し、大きなチッピング(ブロック欠け)が発生した場合を「D」で示した。
通過騒音:
各試験タイヤをリムサイズ17×7Jのホイールに組み付けて排気量2000ccの四輪駆動車(SUV)に装着し、空気圧230kPaの条件にて、ISOにて規定された車外騒音測定用の試験路面を時速80km/hで走行したときの通過騒音を計測した。評価結果は、測定値の逆数を用い、従来例1を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど通過騒音が小さいことを意味する。
各試験タイヤをリムサイズ17×7Jのホイールに組み付けて排気量2000ccの四輪駆動車(SUV)に装着し、空気圧230kPaの条件にて、ISOにて規定された車外騒音測定用の試験路面を時速80km/hで走行したときの通過騒音を計測した。評価結果は、測定値の逆数を用い、従来例1を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど通過騒音が小さいことを意味する。
表1から判るように、主溝の形状をストレート状とした従来例1のタイヤに比べて、主溝の形状をストレート状としつつ陸部に補強ゴム層を配設した従来例2のタイヤは、耐チッピング性の改善効果が認められるものの通過騒音が悪化していた。
これに対して、実施例1〜3のタイヤは、主溝の形状をジグザグ状に変更すると共に陸部の凸部に補強ゴム層を配設した結果、従来例1との対比において、通過騒音を悪化させることなく耐チッピング性を向上することができた。
一方、比較例1のタイヤは、主溝の振幅Wgに比べて補強ゴム層の幅Wrが小さ過ぎるため、耐チッピング性の改善効果が不十分であった。比較例2のタイヤは、主溝の振幅Wgに比べて補強ゴム層の幅Wrが大き過ぎるため、通過騒音が悪化していた。比較例3のタイヤは、主溝の振幅Wgが大き過ぎ、それに合わせて補強ゴム層の幅Wrを大きくしているため、通過騒音が悪化していた。比較例4のタイヤは、主溝の振幅Wgが小さ過ぎ、それに合わせて補強ゴム層の幅Wrを小さくしているため、耐チッピング性の改善効果が不十分であった。比較例5のタイヤは、キャップトレッドゴム層の硬度と補強ゴム層の硬度との大小関係が実施例1〜3とは逆であるため、耐チッピング性の改善効果が得られず、通過騒音も悪化していた。
1 トレッド部
2 カーカス層
3 ベルト層
4 ベルトカバー層
5 主溝
6 陸部
6a 凸部
6b 凹部
7 基礎ゴム層
8 ラグ溝
7a ラグ溝の凸部側の延長部分
7b ラグ溝の凹部側の延長部分
11 キャップトレッドゴム層
12 補強ゴム層
13 アンダートレッドゴム層
2 カーカス層
3 ベルト層
4 ベルトカバー層
5 主溝
6 陸部
6a 凸部
6b 凹部
7 基礎ゴム層
8 ラグ溝
7a ラグ溝の凸部側の延長部分
7b ラグ溝の凹部側の延長部分
11 キャップトレッドゴム層
12 補強ゴム層
13 アンダートレッドゴム層
Claims (6)
- トレッド部にジグザグ状又は波状に蛇行しながらタイヤ周方向に延長する複数本の主溝を設け、これら主溝により複数列の陸部を区画した空気入りタイヤにおいて、少なくとも1列の陸部にタイヤ幅方向に延びる複数本のラグ溝を形成し、各ラグ溝の少なくとも一方の開口端を前記陸部においてタイヤ幅方向外側に突き出した凸部の頂点位置に配置すると共に、前記トレッド部を構成するキャップトレッドゴム層よりも硬度が高い補強ゴム層を前記主溝の内壁面に露出するように前記凸部に配置し、前記主溝の振幅Wgを2mm〜15mmとする一方で前記補強ゴム層の幅Wrを前記主溝の振幅Wgの50%〜100%の範囲に設定したことを特徴とする空気入りタイヤ。
- 各ラグ溝の一方の開口端を前記陸部においてタイヤ幅方向外側に突き出した凸部の頂点位置に配置する一方で各ラグ溝の他方の開口端を前記陸部においてタイヤ幅方向内側に窪んだ凹部の底点位置に配置し、前記ラグ溝の前記凸部側の延長部分の溝幅を2mm以上とし、前記ラグ溝の前記凹部側の延長部分の溝幅を1mm以下としたことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 各ラグ溝の一方の開口端を前記陸部においてタイヤ幅方向外側に突き出した凸部の頂点位置に配置する一方で各ラグ溝の他方の開口端を前記陸部においてタイヤ幅方向内側に窪んだ凹部の底点位置に配置し、前記ラグ溝の前記凸部側の延長部分の溝深さを前記主溝の溝深さの60%〜100%とし、前記ラグ溝の前記凹部側の延長部分の溝深さを前記主溝の溝深さの10%〜50%としたことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記ラグ溝の前記凸部側の延長部分の長さL1と前記ラグ溝の前記凹部側の延長部分の長さL2と前記補強ゴム層の幅Wrと前記陸部の幅WRがWr/WR≦L1/(L1+L2)≦(Wr/WR)×3の関係を満足することを特徴とする請求項2又は3に記載の空気入りタイヤ。
- 前記補強ゴム層の硬度Hsrが前記キャップトレッドゴム層の硬度Hscに対してHsc+3≦Hsr≦Hsc+15の関係を満足し、前記補強ゴム層の破断伸びが500%以上であり、前記補強ゴム層の破断強度が17MPa以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記トレッド部に前記キャップトレッドゴム層の下地となるアンダートレッドゴム層を埋設し、前記補強ゴム層を前記アンダートレッドゴム層と接触するように配置し、前記補強ゴム層を体積抵抗率が108 Ω・cm以下となる導電性ゴム組成物から構成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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