JP2019156365A - 空気入りタイヤ - Google Patents
空気入りタイヤ Download PDFInfo
- Publication number
- JP2019156365A JP2019156365A JP2018050022A JP2018050022A JP2019156365A JP 2019156365 A JP2019156365 A JP 2019156365A JP 2018050022 A JP2018050022 A JP 2018050022A JP 2018050022 A JP2018050022 A JP 2018050022A JP 2019156365 A JP2019156365 A JP 2019156365A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- rubber layer
- sipe
- tread rubber
- tread
- pneumatic tire
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Tires In General (AREA)
Abstract
【課題】 トレッド部に区画されたブロックの欠損を防止し、耐久性を改善することを可能にした空気入りタイヤを提供する。【解決手段】 トレッド部1と一対のサイドウォール部2と一対のビード部3とを備えると共に、トレッド部1がキャップトレッドゴム層10Aとアンダートレッドゴム層10Bとの積層構造を有し、トレッド部1にタイヤ周方向に延びる複数本の縦溝11とタイヤ幅方向に延びる複数本の横溝12が形成され、縦溝11及び横溝12によりトレッド部1にタイヤ周方向に配列された複数のブロック51からなるブロック列50が区画され、各ブロック51に複数本のサイプ13A,13Bが形成された空気入りタイヤにおいて、サイプ13A,13Bの底側の輪郭線Lがキャップトレッドゴム層10Aとアンダートレッドゴム層10Bとの境界面Pに対して傾斜し、サイプ13A,13Bが各ブロック51の中央側から端部側に向かって徐々に浅くなっている。【選択図】 図3
Description
本発明は、氷雪路用として好適な空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、トレッド部に区画されたブロックの欠損を防止し、耐久性を改善することを可能にした空気入りタイヤに関する。
スタッドレスタイヤに代表される氷雪路用の空気入りタイヤにおいては、一般に、トレッド部にタイヤ周方向に延在する複数本の縦溝とタイヤ幅方向に延在する複数本の横溝とが形成され、これら縦溝及び横溝により多数のブロックが区画され、各ブロックに複数本のサイプが形成されている。
このように構成される空気入りタイヤにおいては、各ブロックに複数本のサイプが密に配置されているため、走行に伴ってサイプの底部から亀裂が生じ、隣り合うサイプに生じた亀裂が互いに繋がった場合、ブロックの一部が欠損するという問題がある。特に、ショルダーブロック列のブロックには走行時に大きな荷重が負荷されるため、ブロックの欠損が懸念される。
上述のようなブロックの欠損を防止するために、トレッド部の内部に硬いゴム層を埋設すること(例えば、特許文献1参照)、サイプをタイヤ周方向に延在させること(例えば、特許文献2参照)、或いは、ブロックの両端部に3次元形状のサイプを配置すること(例えば、特許文献3参照)などが提案されているが、必ずしも有効な解決策にはなっていないのが現状である。
本発明の目的は、トレッド部に区画されたブロックの欠損を防止し、耐久性を改善することを可能にした空気入りタイヤを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備えると共に、前記トレッド部がキャップトレッドゴム層とアンダートレッドゴム層との積層構造を有し、前記トレッド部にタイヤ周方向に延びる複数本の縦溝とタイヤ幅方向に延びる複数本の横溝が形成され、前記縦溝及び前記横溝により前記トレッド部にタイヤ周方向に配列された複数のブロックからなるブロック列が区画され、各ブロックに複数本のサイプが形成された空気入りタイヤにおいて、
前記サイプの底側の輪郭線が前記キャップトレッドゴム層と前記アンダートレッドゴム層との境界面に対して傾斜し、前記サイプが各ブロックの中央側から端部側に向かって徐々に浅くなっていることを特徴とするものである。
前記サイプの底側の輪郭線が前記キャップトレッドゴム層と前記アンダートレッドゴム層との境界面に対して傾斜し、前記サイプが各ブロックの中央側から端部側に向かって徐々に浅くなっていることを特徴とするものである。
本発明者は、氷雪路用の空気入りタイヤについて鋭意研究を重ねた結果、この種の空気入りタイヤでは、キャップトレッドゴム層とアンダートレッドゴム層との境界面がサイプの底部に近接すると共に、サイプの底側の輪郭線がキャップトレッドゴム層とアンダートレッドゴム層との境界面に対して平行に延在する場合、サイプの底部に亀裂が生じ易くなり、しかも、その亀裂がキャップトレッドゴム層とアンダートレッドゴム層との境界面に沿って伸展し、亀裂の拡大を招くことを知見し、本発明に至ったのである。
即ち、本発明では、サイプの底側の輪郭線をキャップトレッドゴム層とアンダートレッドゴム層との境界面に対して傾斜させ、サイプを各ブロックの中央側から端部側に向かって徐々に浅くすることにより、サイプの底部における亀裂の発生を抑制し、かつ、その亀裂がキャップトレッドゴム層とアンダートレッドゴム層との境界面に沿って伸展するのを抑制することができる。これにより、トレッド部に区画されたブロックの欠損を防止し、空気入りタイヤの耐久性を改善することができる。
本発明において、ブロック列のブロック配置領域におけるアンダートレッドゴム層に対するキャップトレッドゴム層の断面積比は0.8〜1.2の範囲にあることが好ましい。スタッドレスタイヤに代表される氷雪路用の空気入りタイヤでは、アンダートレッドゴム層に対するキャップトレッドゴム層の断面積比を上記範囲に設定することにより、所望のタイヤ特性を発揮するようにしているが、このような断面積比を選択した場合、キャップトレッドゴム層とアンダートレッドゴム層との境界面がサイプの底部に近接し易くなる。そのため、サイプの底側の輪郭線をキャップトレッドゴム層とアンダートレッドゴム層との境界面に対して傾斜させることにより、ブロックの欠損を防止する効果を最大限に享受することができる。
また、氷雪路用の空気入りタイヤとしての要求特性を満足するために、キャップトレッドゴム層のJIS硬度が50〜60の範囲にあり、アンダートレッドゴム層のJIS硬度が58〜68の範囲にあることが好ましい。
更に、本発明においては、サイプの底側の輪郭線の少なくとも一部がアンダートレッドゴム層の中に配置されていることが好ましい。サイプの底部がアンダートレッドゴム層の中にあることにより、サイプの底部における亀裂の発生及び伸展を効果的に抑制することができる。
サイプの底側の輪郭線がトレッド部の踏面に対してなす角度は10°〜30°の範囲にあることが好ましい。これにより、サイプの底部における亀裂の発生及び伸展を効果的に抑制することができる。
サイプの厚さ方向の断面において、サイプの底部は半径0.3mm以下の角部を持たない湾曲形状を有することが好ましい。また、サイプの厚さ方向の断面において、サイプは底側に円形又は多角形の拡張部分を有することが好ましい。更に、サイプの踏面での溝幅よりも底部での溝幅の方が大きいことが好ましい。これにより、サイプの底部における亀裂の発生及び伸展を効果的に抑制することができる。
本発明において、JIS硬度は、JIS K−6253に準拠して、Aタイプのデュロメータを用いて温度20℃の条件にて測定されるデュロメータ硬さである。
また、ブロック列のブロック配置領域とは、タイヤ子午線断面において、トレッド部の接地領域内でブロック踏面のタイヤ幅方向両端位置を通って該ブロック踏面に対して垂直となる一対の直線を引いたとき、該一対の直線間に挟まれた領域を意味する。トレッド部の接地領域は、タイヤを正規リムにリム組みして正規内圧を充填した状態で平面上に垂直に置いて正規荷重を加えたときに測定されるタイヤ軸方向の接地幅に基づいて特定される領域である。「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えば、JATMAであれば標準リム、TRAであれば“Design Rim”、或いはETRTOであれば“Measuring Rim”とする。「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表“TIRE ROAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば“INFLATION PRESSURE”であるが、タイヤが乗用車である場合には180kPaとする。「正規荷重」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば表“TIRE ROAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば“LOAD CAPACITY”であるが、タイヤが乗用車である場合には前記荷重の88%に相当する荷重とする。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図1及び図2は本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示し、図3はそのショルダーブロックを示すものである。図2において、TCWは接地幅であり、その接地幅TCW内の領域が接地領域である。
図1に示すように、本実施形態の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1と、該トレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2,2と、これらサイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3,3とを備えている。
一対のビード部3,3間にはカーカス層4が装架されている。このカーカス層4は、タイヤ径方向に延びる複数本の補強コードを含み、各ビード部3に配置されたビードコア5の廻りにタイヤ内側から外側へ折り返されている。ビードコア5の外周上には断面三角形状のゴム組成物からなるビードフィラー6が配置されている。
一方、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層のベルト層7が埋設されている。これらベルト層7はタイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。ベルト層7において、補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10°〜40°の範囲に設定されている。ベルト層7の補強コードとしては、スチールコードが好ましく使用される。ベルト層7の外周側には、高速耐久性の向上を目的として、補強コードをタイヤ周方向に対して例えば5°以下の角度で配列してなる少なくとも1層のベルトカバー層8が配置されている。ベルトカバー層8の補強コードとしては、ナイロンやアラミド等の有機繊維コードが好ましく使用される。
また、トレッド部1におけるカーカス層4、ベルト層7及びベルトカバー層8の外側には、キャップトレッドゴム層10A及びアンダートレッドゴム層10Bが配置されている(図3参照)。キャップトレッドゴム層10Aはアンダートレッドゴム層10Bよりもタイヤ径方向外側に位置し、タイヤ外表面に露出している。アンダートレッドゴム層10Bはキャップトレッドゴム層10Aを構成するゴム組成物よりも硬いゴム組成物から構成されている。
図2に示すように、トレッド部1には、タイヤ周方向に延びる複数本の縦溝11と、タイヤ幅方向に延びる複数本の横溝12とが形成されている。これにより、トレッド部1には、タイヤ赤道上に位置するセンターリブ20と、該センターリブ20のタイヤ幅方向外側に位置していてタイヤ周方向に配列された複数の内側中間ブロック31からなる内側中間ブロック列30と、該内側中間ブロック列30のタイヤ幅方向外側に位置していてタイヤ周方向に配列された複数の外側中間ブロック41からなる外側中間ブロック列40と、該外側中間ブロック列40のタイヤ幅方向外側に位置していてタイヤ周方向に配列された複数のショルダーブロック51からなるショルダーブロック列50が区画されている。
センターリブ20、内側中間ブロック列30の各内側中間ブロック31、外側中間ブロック列40の各外側中間ブロック41及びショルダーブロック列50の各ショルダーブロック51には、タイヤ幅方向に延びる複数本のサイプ13が形成されている。サイプ13は溝幅が2mm以下になっている。サイプ13は2次元構造を有していても良く、或いは、3次元構造を有していても良い。また、ショルダーブロック列50の各ショルダーブロック51においては、各サイプ13がタイヤ幅方向に分割された一対のサイプ13A,13Bから構成されている。
上記空気入りタイヤにおいて、図3に示すように、ショルダーブロック列50の各ショルダーブロック51には、複数本のサイプ13A,13Bが形成されているが、これらサイプ13A,13Bの底側の輪郭線Lはキャップトレッドゴム層10Aとアンダートレッドゴム層10Bとの境界面Pに対して傾斜し、サイプ13A,13Bが各ショルダーブロック51のタイヤ幅方向の中央側から端部側に向かって徐々に浅くなっている。より具体的には、キャップトレッドゴム層10Aとアンダートレッドゴム層10Bとの境界面Pは踏面に対して平行に延在した水平部分を有し、その水平部分に対応する位置においてサイプ13A,13Bの底側の輪郭線Lが境界面Pに対して傾斜している。
このようにサイプ13A,13Bの底側の輪郭線Lをキャップトレッドゴム層10Aとアンダートレッドゴム層10Bとの境界面Pに対して傾斜させ、サイプ13A,13Bを各ショルダーブロック51の中央側から端部側に向かって徐々に浅くすることにより、タイヤ走行時にショルダーブロック51に対する接地圧が大きくなり、サイプ13A,13Bサイプの底部に応力が集中したとしても、サイプ13A,13Bサイプの底部に亀裂が生じ難くなる。また、仮にサイプ13A,13Bサイプの底部に亀裂が生じたとしても、その亀裂がキャップトレッドゴム層10Aとアンダートレッドゴム層10Bとの境界面Pに沿って伸展するのを抑制することができる。これにより、トレッド部1に区画されたショルダーブロック51の欠損を防止し、空気入りタイヤの耐久性を改善することができる。なお、サイプ13A,13Bを各ショルダーブロック51の中央側から端部側に向かって徐々に深くした場合、ショルダーブロック51の欠損を防止する効果が不十分になる。
上記空気入りタイヤにおいて、ショルダーブロック列50のブロック配置領域Xは、タイヤ子午線断面で、トレッド部1の接地領域内でショルダーブロック51の踏面のタイヤ幅方向両端位置を通って該ショルダーブロック51の踏面に対して垂直となる一対の直線L1,L2を引いたとき、該一対の直線L1,L2間に挟まれた領域である。このブロック配置領域Xにおけるアンダートレッドゴム層10Bに対するキャップトレッドゴム層10Aの断面積比は0.8〜1.2の範囲、より好ましくは、0.9〜1.1の範囲にあると良い。スタッドレスタイヤに代表される氷雪路用の空気入りタイヤにおいて、アンダートレッドゴム層10Bに対するキャップトレッドゴム層10Aの断面積比を上記範囲に設定することにより、所望のタイヤ特性を発揮することができる。つまり、高硬度のアンダートレッドゴム層10Bを土台として低硬度のキャップトレッドゴム層10Aにより路面をしっかりと捉えることができ、しかも、キャップトレッドゴム層10Aの摩耗寿命を十分に確保することができる。
また、このような断面積比を選択した場合、キャップトレッドゴム層10Aとアンダートレッドゴム層10Bとの境界面Pがサイプ13A,13Bの底部に近接することになるが、上述のようにサイプ13A,13Bの底側の輪郭線Lをキャップトレッドゴム層10Aとアンダートレッドゴム層10Bとの境界面Pに対して傾斜させているので、ショルダーブロック51の欠損を効果的に防止することができる。
また、氷雪路用の空気入りタイヤとしての要求特性を満足するために、キャップトレッドゴム層10AのJIS硬度は50〜60の範囲にあり、アンダートレッドゴム層10BのJIS硬度は58〜68の範囲にあると良い。キャップトレッドゴム層10AのJIS硬度が50未満であると耐摩耗性が悪化し、逆に60超であると氷雪路での走行性能が悪化する。また、アンダートレッドゴム層10BのJIS硬度が58未満であると転がり抵抗が悪化し、逆に68超であると氷雪路での走行性能が悪化する。キャップトレッドゴム層10AのJIS硬度とアンダートレッドゴム層10BのJIS硬度との差は4〜10の範囲にあると良い。硬度差が4未満であると、キャップトレッドゴム層10AのJIS硬度が高い値である場合にはアンダートレッドゴム層10BのJIS硬度も高くなるため氷雪路での走行性能が悪化し、アンダートレッドゴム層10BのJIS硬度が低い場合にはキャップトレッドゴム層10AのJIS硬度も低くなり、ブロック全体としての剛性が低下するため、耐久性が悪化する。逆に、硬度差が10超であると、ブロックの接地表面側の部分と溝底側の部分との剛性差が大きくなり、両者の剛性がアンバランスとなるため、操縦安定性が悪化する。
上記空気入りタイヤにおいて、サイプ13A,13Bの底側の輪郭線Lの少なくとも一部(一部又は全部)がアンダートレッドゴム層10Bの中に配置されていると良い。このようにサイプ13A,13Bの底部がアンダートレッドゴム層10Bの中に埋没していることにより、サイプ13A,13Bの底部における亀裂の発生及び伸展を効果的に抑制することができる。勿論、サイプ13A,13Bの底側の輪郭線Lはその全長がキャップトレッドゴム層10Aの中にあっても良い。
サイプ13A,13Bの底側の輪郭線Lがトレッド部1の踏面に対してなす角度θは10°〜30°の範囲にあると良い。これにより、サイプ13A,13Bの底部における亀裂の発生及び伸展を効果的に抑制することができる。サイプ13A,13Bの底側の輪郭線Lの角度θが10°未満であると亀裂を抑制する効果が低下し、逆に30°超であるとサイプ13A,13Bの設計自由度が低下する。
上述した実施形態では、ショルダーブロック列50の各ショルダーブロック51に分割された一対のサイプ13A,13Bサイプを設け、両サイプ13A,13Bの底側の輪郭線Lをキャップトレッドゴム層10Aとアンダートレッドゴム層10Bとの境界面Pに対して傾斜させているが、サイプ13A,13Bのいずれか一方の底側の輪郭線Lだけを傾斜させても良い。また、ショルダーブロック51のサイプ13が一対のサイプ13A,13Bに分割されていなくても良い。更に、サイプ13はタイヤ周方向に延在したものであっても良い。
また、上述した実施形態では、ショルダーブロック列50の各ショルダーブロック51に形成されたサイプ13の底側の輪郭線Lを傾斜させているが、このような傾斜構造は他のブロック列を構成するブロックに形成されたサイプに13適用しても良い。
図4はサイプの一例を示す断面図である。図4に示すように、サイプ13の厚さ方向の断面、即ち、サイプ13の長手方向と直交する方向の断面において、サイプ13の底部は半径Rが0.3mm以下となる角部を持たない湾曲形状を有している。このようにサイプ13の底部を湾曲形状とすることにより、サイプ13の底部における応力集中を回避し、亀裂の発生及び伸展を効果的に抑制することができる。
図5(a)〜(c)はそれぞれサイプの変形例を示すものである。図5(a)〜(c)に示すように、サイプ13の厚さ方向の断面、即ち、サイプ13の長手方向と直交する方向の断面において、サイプ13は底側に円形又は多角形の拡張部分14を有している。このようにサイプ13は底側に円形又は多角形の拡張部分14を設けることにより、サイプ13の底部における応力集中を回避し、亀裂の発生及び伸展を効果的に抑制することができる。いずれの場合も、図4に示すように、サイプ13の踏面での溝幅t1よりも底部での溝幅t2を大きくすることにより、サイプ13の底部における亀裂の発生及び伸展を更に効果的に抑制することができる。特に、t2/t1=1.2〜1.5の関係を満足すると良い。
上述した空気入りタイヤは、氷雪路用の空気入りタイヤとしての要求特性を満足するために、下記式(1)で示されるスノートラクションインデックスSTIが180以上、より好ましくは、180〜240の範囲に設定されていることが望ましい。
STI=−6.8+2202ρg+672ρs+7.6Dg・・・(1)
但し、ρg:溝密度(mm/mm2)=溝のタイヤ幅方向の延長成分の総長さ(mm)
/接地領域の総面積(mm2)
ρs:サイプ密度(mm/mm2)=サイプのタイヤ幅方向の延長成分の総長さ
(mm)/接地領域の総面積(mm2)
Dg:平均溝深さ(mm)
STI=−6.8+2202ρg+672ρs+7.6Dg・・・(1)
但し、ρg:溝密度(mm/mm2)=溝のタイヤ幅方向の延長成分の総長さ(mm)
/接地領域の総面積(mm2)
ρs:サイプ密度(mm/mm2)=サイプのタイヤ幅方向の延長成分の総長さ
(mm)/接地領域の総面積(mm2)
Dg:平均溝深さ(mm)
タイヤサイズ205/55R16 91Tで、トレッド部と一対のサイドウォール部と一対のビード部とを備え、トレッド部がキャップトレッドゴム層とアンダートレッドゴム層との積層構造を有し、トレッド部にタイヤ周方向に延びる複数本の縦溝とタイヤ幅方向に延びる複数本の横溝が形成され、縦溝及び横溝によりレッド部にタイヤ周方向に配列された複数のブロックからなるブロック列が区画され、各ブロックに複数本のサイプが形成された空気入りタイヤ(図2)において、ショルダーブロックのサイプをタイヤ幅方向に分割した構成とし、ショルダーブロックにタイヤ幅方向内側に位置する内側サイプとタイヤ幅方向外側に位置する外側サイプを配設し、内側サイプ及び外側サイプの底側の輪郭線がトレッド部の踏面に対してなす角度θ、各サイプの底部の半径R、各サイプの踏面での溝幅t1に対する底部での溝幅t2の比t2/t1を表1のように設定した従来例、比較例1,2及び実施例1〜8のタイヤを製作した。
表1において、角度θがプラス値である場合はサイプがブロックの中央側から端部側に向かって徐々に浅くなっていることを示し、角度θがマイナス値である場合はサイプがブロックの中央側から端部側に向かって徐々に深くなっていることを示す。共通事項として、ショルダーブロック列のブロック配置領域におけるアンダートレッドゴム層に対するキャップトレッドゴム層の断面積比を1.0とし、キャップトレッドゴム層のJIS硬度を55とし、アンダートレッドゴム層のJIS硬度を63とした。
これら試験タイヤについて、下記試験方法により、耐久性を評価し、その結果を表1に併せて示した。
耐久性:
試験タイヤをリムサイズ16×6.5Jのホイールに組み付けてドラム耐久試験気に装着し、空気圧を180Paとし、走行速度を81km/hとし、初期荷重を規格にて規定された最大負荷能力の85%とし、JIS−D4230に準拠して耐久試験を実施した後、引き続き試験を継続し、4時間毎に荷重を最大負荷能力の15%ずつ増加させ、ショルダーブロックに欠損が生じるまでの走行距離を測定した。評価結果は、従来例を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど耐久性が優れていることを意味する。
試験タイヤをリムサイズ16×6.5Jのホイールに組み付けてドラム耐久試験気に装着し、空気圧を180Paとし、走行速度を81km/hとし、初期荷重を規格にて規定された最大負荷能力の85%とし、JIS−D4230に準拠して耐久試験を実施した後、引き続き試験を継続し、4時間毎に荷重を最大負荷能力の15%ずつ増加させ、ショルダーブロックに欠損が生じるまでの走行距離を測定した。評価結果は、従来例を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど耐久性が優れていることを意味する。
この表1から判るように、実施例1〜8のタイヤは、従来例との対比において、ショルダーブロックに欠損が生じ難く、耐久性が優れていた。一方、比較例1,2のタイヤでは、耐久性の改善効果が必ずしも十分ではなかった。
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
11 縦溝
12 横溝
13,13A,13B サイプ
20 センターリブ
30 内側中間ブロック列
31 内側中間ブロック
40 外側中間ブロック列
41 外側中間ブロック
50 ショルダーブロック列
51 ショルダーブロック
2 サイドウォール部
3 ビード部
11 縦溝
12 横溝
13,13A,13B サイプ
20 センターリブ
30 内側中間ブロック列
31 内側中間ブロック
40 外側中間ブロック列
41 外側中間ブロック
50 ショルダーブロック列
51 ショルダーブロック
Claims (8)
- タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備えると共に、前記トレッド部がキャップトレッドゴム層とアンダートレッドゴム層との積層構造を有し、前記トレッド部にタイヤ周方向に延びる複数本の縦溝とタイヤ幅方向に延びる複数本の横溝が形成され、前記縦溝及び前記横溝により前記トレッド部にタイヤ周方向に配列された複数のブロックからなるブロック列が区画され、各ブロックに複数本のサイプが形成された空気入りタイヤにおいて、
前記サイプの底側の輪郭線が前記キャップトレッドゴム層と前記アンダートレッドゴム層との境界面に対して傾斜し、前記サイプが各ブロックの中央側から端部側に向かって徐々に浅くなっていることを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記ブロック列のブロック配置領域における前記アンダートレッドゴム層に対する前記キャップトレッドゴム層の断面積比が0.8〜1.2の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記キャップトレッドゴム層のJIS硬度が50〜60の範囲にあり、前記アンダートレッドゴム層のJIS硬度が58〜68の範囲にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記サイプの底側の輪郭線の少なくとも一部が前記アンダートレッドゴム層の中に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記サイプの底側の輪郭線が前記トレッド部の踏面に対してなす角度が10°〜30°の範囲にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記サイプの厚さ方向の断面において、前記サイプの底部が半径0.3mm以下の角部を持たない湾曲形状を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記サイプの厚さ方向の断面において、前記サイプが底側に円形又は多角形の拡張部分を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記サイプの踏面での溝幅よりも底部での溝幅の方が大きいことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018050022A JP2019156365A (ja) | 2018-03-16 | 2018-03-16 | 空気入りタイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018050022A JP2019156365A (ja) | 2018-03-16 | 2018-03-16 | 空気入りタイヤ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019156365A true JP2019156365A (ja) | 2019-09-19 |
Family
ID=67993213
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018050022A Pending JP2019156365A (ja) | 2018-03-16 | 2018-03-16 | 空気入りタイヤ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2019156365A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114867617A (zh) * | 2019-12-19 | 2022-08-05 | 株式会社普利司通 | 轮胎 |
-
2018
- 2018-03-16 JP JP2018050022A patent/JP2019156365A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114867617A (zh) * | 2019-12-19 | 2022-08-05 | 株式会社普利司通 | 轮胎 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5454602B2 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP6720551B2 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP7031348B2 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP6375851B2 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP6375850B2 (ja) | 空気入りタイヤ | |
WO2018150746A1 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP6646407B2 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP6634711B2 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JPWO2014103643A1 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP6634710B2 (ja) | 空気入りタイヤ | |
US11890897B2 (en) | Pneumatic tire | |
JP6123405B2 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP2019156365A (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP2013199154A (ja) | 空気入りタイヤ | |
US20210331522A1 (en) | Pneumatic tire | |
JP2016022807A (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP5835410B2 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP2018065523A (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP2020108989A (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP6634709B2 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP2020108990A (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP2018002093A (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP2013216184A (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP6888707B1 (ja) | タイヤ | |
JP2017213958A (ja) | 空気入りタイヤ |