JP2013220028A - 直流電源装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】低コストながら、さらに高効率をはかることができる直流電源装置を得る。
【解決手段】交流電源1の交流電圧を直流電圧に整流する整流器2の出力端子に接続された3以上のリアクタ3と、ダイオード5を介して各リアクタ3と接続され、直流電力を平滑化するコンデンサ6と、各リアクタ3と接続され、整流器2を介して電源短絡経路を形成する3以上のスイッチ素子4と、1のキャリアと複数の変調波とに基づいて、各スイッチ素子を互いに異なる位相差で動作させる動作信号を生成する制御手段10とを備え、3以上のスイッチ素子の動作周波数に対し、キャリアの周波数をスイッチ素子数倍した周波数の疑似キャリアに基づいて、各スイッチ素子4の動作信号を生成し、制御手段10は、キャリアと疑似キャリアとの波形における上昇下降の関係が異なる期間における、信号のオンとオフの関係を入れ換えて動作信号を生成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば交流電圧を直流電圧に変換制御する直流電源装置に関するものである。特に高調波電流抑制と電源力率改善を行うためのものである。
例えば商用電源等における交流電力を直流電力に変換する直流電源装置がある。このような直流電源装置では、交流電源からの電力を整流する。このとき、リアクタで高調波電流抑制と電源力率改善を行って負荷側に直流電圧を印加している。
ここで、さらに高調波電流抑制と電源力率改善を行うため、従来の直流電源装置として、リアクタ、スイッチ素子等を有する2組の素子を設けているものがある。そして、2つのスイッチ素子の動作を互いに異なる位相にて動作させることにより、2つの合成電流の電流リップル(高調波電流)を低減する(例えば、特許文献1参照)。
また、2つのスイッチ素子を逆位相で動作させることにより、リアクタを小型・軽量化することによる低価格化を行うものもある(例えば、特許文献2参照)。
特開2007−195282号公報(図1、0014) 特開2008−86107号公報
上記のような技術は、出力する直流電圧を任意の値に制御し、スイッチングによるリップルの重畳した正弦波状の入力電流に制御する。さらに、2つのスイッチ素子の動作を互いに異なる位相にて動作させて、2つのリアクタに流れる電流の統合値を小さくし、ノイズとなる高調波電流を低減させるものである。ここで、高調波電流の低減等をさらに有効に実現するには、2つではなく、3以上(2超)のスイッチ素子等を用いて、合成する電流成分を増やして平滑化をはかる方がよい。
しかし、3以上のスイッチ素子を互いに異なる位相で動作させる場合には、2つのスイッチ素子を、単に逆位相にするだけの制御ではなくなるため、具体的な信号生成方法を検討する必要がある。このとき、新たな回路構成等で制御手段を構成し、制御を行うようにすることも可能ではあるが、その分高コストになる。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、3以上の素子を互いに異なる位相で動作させるようにし、低コストながら、さらに高効率をはかることができる直流電源装置を得るためになされたものである。
本発明に係る直流電源装置は、交流電圧を直流電圧に整流する整流器の出力端子に接続された3以上のリアクタと、ダイオードを介して各リアクタと接続され、直流電力を平滑化するコンデンサと、各リアクタと接続され、整流器を介して電源短絡経路を形成する3以上のスイッチ素子と、1のキャリアと複数の変調波とに基づいて、各スイッチ素子を互いに異なる位相差で動作させる動作信号を生成する制御手段とを備え、3以上のスイッチ素子の動作周波数に対し、キャリアの周波数をスイッチ素子数倍した周波数の疑似キャリアに基づいて、各スイッチ素子の動作信号を生成し、制御手段は、キャリアの1周期分の時間の間に1のパルスの動作信号を発生させるため、キャリアと疑似キャリアとの波形における上昇下降の関係が異なる期間における、信号のオンとオフの関係を入れ換えて動作信号を生成するものである。
本発明の直流電源装置においては、リアクタ、スイッチ素子、ダイオードをそれぞれ3つ以上有し、各スイッチ素子を互いに異なる位相差で動作させるようにしたので、電源力率改善、直流電圧を一定にした、高効率な直流電源装置を提供することができる。そして、リアクタの小型化や軽量化を実現することができる。そして制御手段の制御により、各リアクタに流れる電流が合流した電流の脈動(リップル)を低減させ、ノイズとなる高調波を低減させた直流電力を負荷に供給することができる。
実施の形態1に係る直流電源装置を中心とする回路ブロック図である。 3つのスイッチ素子4を同じ位相で動作させる動作信号等の波形図である。 3つのスイッチ素子4を異なる位相で動作させる動作信号等の波形図である。 120度の位相差に係る3つの動作信号とキャリアの波形図である。 擬似キャリアに基づく動作を説明するための波形図である。 ステージ2および5の制御手段10の処理に係る動作信号の波形図である。 制御手段10の加工に係る処理手順のフローチャートを表す図である。 本発明の実施の形態2に係る制御手段10の回路ブロック図である。 本発明の実施の形態2に係る制御手段10の他の回路ブロック図である。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る直流電源装置を中心とする回路ブロック図である。図1において、交流電源1は、直流電源装置に交流電圧を印加して電力の供給を行う。整流器2は交流電源1の供給に係る交流電力を整流する。
リアクタ(インダクタ)3a〜3cは、力率改善等をはかるために整流器2の出力端子側にそれぞれ並列に接続される。スイッチ素子4a〜4cは、制御手段10から送られる動作信号(PWM信号、ゲート信号)に基づいてスイッチング動作を行う。オン状態の場合には、交流電源1、整流器2、リアクタ3を介した短絡経路を形成することになる。ここで、各組が並列に接続されていることで電流が分散されるので、各スイッチ素子4a〜4cの電流容量は負荷7の定格電流容量以下とすることができる。このため、スイッチ素子4a〜4cは、必要以上に耐久性を備えなくても素子の保護をはかることができる。さらにダイオード5a〜5cにはスイッチ素子4a〜4cがオフ状態の間、電流が流れる。以下、特に区別したり、特定したりする必要がない場合には、添字を省略して記載する場合もある。
本発明は3以上のスイッチ素子4を互いに異なる位相で動作させるものである。このため、本実施の形態では3つのスイッチ素子4で説明する。そして、スイッチ素子4a、リアクタ3aおよびダイオード5aを組にする。同様に、スイッチ素子4b、リアクタ3bおよびダイオード5bを組にし、スイッチ素子4c、リアクタ3cおよびダイオード5cを組にして3組の素子に係る動作処理等について説明するものとする。ここで、各組において、リアクタ3の一端と、ダイオード5のアノード側、スイッチ素子4のドレイン(コレクタ)側とが接続されている。
コンデンサ6は、ダイオード5a〜5cおよびスイッチ素子4a〜4cと、負荷7とに、並列に挿入され、電力を平滑させる。負荷7はコンデンサ6と並列に接続される。電圧検出器8はコンデンサ6の両端電圧を検出する。電流検出器9は整流器2から流れ出す電流を検出する。
制御手段10は、例えば1または複数のマイクロコンピュータ(マイコン)を有している。直流電圧を検出する電圧検出器8と直流電流を検出する電流検出器9の検出値に基づいて、スイッチ素子4a〜4cにそれぞれ動作信号を出力する。そして、スイッチ素子4a〜4cのスイッチング動作をPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)制御し、負荷7に供給する直流電圧および直流電流を制御する。ここで、PWM制御できる機能(以下、PWM機能という)を実現するため、制御手段10は、パルスをオンオフするタイミングを得るための1つのPWMタイマを有しているものとする。
図2は3つのスイッチ素子4a〜4cを互いに同じ位相で動作させる場合の動作信号の生成を表すための波形図である。ここでは、キャリア周波数(スイッチ素子4のスイッチング動作に係る周波数と同じ周波数)で発生させる三角波(キャリア)の信号(以下、キャリアという)と変調波とを比較する三角波比較により動作信号を生成する。3つのスイッチ素子4を互いに同位相で動作させることは同一の動作信号を生成することと同義である。
図3は3つのスイッチ素子4a〜4cが互いに異なる位相で動作させる場合の動作信号の生成を表すための波形図である。図3では、スイッチ素子4a〜4cをPWM制御するためのキャリア(三角波)における位相が互いに異なっている。ここでは、3つの動作信号に係る波の合成ベクトルが0となるように、互いに120度の位相差を持たせている。このように、キャリア周波数で動作する3つのキャリアと1つの変調波とを三角波比較することで、3つのスイッチ素子4a〜4cに対して、互いに異なる位相の動作信号を生成することができる。
一方、例えば2つのスイッチ素子を互いに異なる位相で動作させる場合、合成ベクトルが180度位相差で駆動動作させると電流リップルの低減効果が最も高くなる。ここで、180度の位相差を有する信号は、基準となるキャリアを反転させて逆位相にして比較する等すればよい。そのため、信号生成はそれほど複雑ではなく、一般的な論理回路等により容易に生成することができる。例えば市販されている既存のマイコンにおいても、動作信号と180度の位相差を有する動作信号とを出力することができるPWM機能は標準機能として有していることが多い。
しかしながら、3以上のスイッチ素子を互いに異なる位相で動作させる場合、信号を単に反転させるだけでは無くなる。例えば、各スイッチ素子4をPWM制御するため、3以上の異なるキャリアと変調波とを比較して動作信号を生成するマイコンを構成することが考えられる。ただ、このようなマイコンは一般的ではなく、カスタムIC(特別な回路)を製造する、外部回路で設計する等により構成することになる。カスタムIC、外部アナログ回路等は汎用性が無いため、高コストとなり、コスト低減が難しい。
そこで、本実施の形態では、例えば制御手段10として、一般的に市販されているPWM機能を有する電動機(モータ)駆動用のマイコン(以下、PWMマイコンという)を利用する。そして、3以上の異なる位相の動作信号を生成し、3以上のスイッチ素子4のスイッチング動作により、合成電流のリップルを低減する。例えば、交流電源1が単相電源の場合には3つの動作信号を組み合わせて、電源電圧を相似形の略正弦波状の入力電流に制御でき、また、交流電源1が三相電源の場合、矩形波状の入力電流に制御することができる。ここで、PWMマイコンにおけるPWM機能は、1のキャリアと複数の変調波(電動機は、通常三相なので3つ)とを比較して動作信号を生成するものである。
図4は120度の位相差に係る3つの動作信号とキャリア(三角波)の波形図である。図4(a)はduty比率(デューティー比)=小、図4(b)はduty比率=中、図4(c)はduty比率=大の波形をそれぞれ表す。また、図4のキャリアは、3つの動作信号を生成するための3つのキャリアのうちの1つのキャリアを表している。図4(b)では、半キャリア周期(キャリアにおける半周期)中に3つの動作信号において、エッジは各1回のみ発生するため、PWMマイコンでも所定のduty比率のパルスを有する動作信号を出力できる。ここでエッジとは、HiからLoまたはLoからHiへの動作信号の電圧の極性変化のことをいうものとする。
しかし、図4(a)、図4(c)のように、duty比率が異なれば、スイッチ素子4b、4cの動作信号に示すように、半キャリア周期中に、動作信号においてエッジが2回発生することがある。この場合、どちらか一方の半キャリア周期側に集中してしまうことになる。一方、スイッチ素子4aは半キャリア周期中にエッジが1回のみ表れるため問題ない。これは、図4に示している三角波とは異なる位相を有する三角波による三角波比較にてスイッチ素子4b、4cの動作信号を生成しているためである。したがって、1つのキャリアしか有していないPWMマイコンでは、基本的に、1つの動作信号についてはduty比率に関わらず生成を行うことができるが、他の2つの動作信号については、duty比率が50%前後の動作信号しか生成できない。
そこで、制御手段10は、まず、n個(n≧3)のスイッチ素子4へ互いに異なる位相の動作信号を生成するにあたり、本来のキャリア周期を分割し、周期を1/n倍(周波数をn倍)にした三角波である擬似キャリアを有するまたは生成するようにする。n個にて分割する場合、360/n度の位相差を有するようにスイッチング動作を行うようにすれば、合成ベクトルを0にすることができ、合成された電流のリップルを最大限低減できることとなる。本実施の形態では、スイッチ素子4を3つ有しているのでn=3となる。
図5は擬似キャリアに基づく動作を説明するための波形図である。図5の(a)〜(c)の波形は、互いに120度の位相差を有した3つのキャリアを表す。図5(d)は、キャリアにおけるキャリア周波数を3倍にした擬似キャリア周波数の疑似キャリアを表す。さらに、図5(e)は、擬似キャリアにおける三角波の立上りおよび立下り毎に割り付けたステージを表す。このとき、3倍の周波数である擬似キャリアの立上りと立下りに基づき、6個のステージができる。例えば、4倍の擬似キャリアであれば8ステージ、5倍の擬似キャリアであれば10ステージとなる。
図5(d)に示す擬似キャリアとなる三角波は、120度の位相差を有する本来各キャリアとなる三角波(a)〜(c)と、ピーク点(図5の黒点)が必ず一致している。PWMマイコンでは、このピーク点(一般的には、山・谷と称す)でdutyを変化させるような機能を有している。このため、duty比率が0%超、100%未満の場合、このピーク点となる山・谷の間において、動作信号のエッジが発生する。したがって、6段階に割り付けられたステージにおいて、同一ステージ内では3つの動作信号のエッジは必ず1回のみとなる。このため、擬似キャリアに基づいてPWMマイコンが処理を行った場合、図4(a)、(c)のようなduty比率の動作信号を生成する場合であっても、擬似キャリアである三角波における山・谷の間での3つの動作信号におけるエッジ発生は1回のみとなる。
以上より、本来のキャリア周波数の3倍の擬似キャリア周波数を有する疑似キャリアに基づいて切替えを行うことにより、1つのキャリアしか有していないPWMマイコンにおいて、直流電源装置を効率よく動作させるための、3つの互いに異なる位相を持つ動作信号を生成することができる。このため、流通量が最も多い安価な制御回路にて構築できる。また、1つのキャリアから複数の動作信号の生成を行えるため、PWMタイマを1つだけ有していればよいことになる。
ここで、このように擬似キャリアを用いて位相の異なる動作信号を3つ生成することは機械的には実現できるが、本来のキャリアで生成する動作信号と同じ動作信号を擬似キャリアに基づいて生成するためには、もう一工夫必要となる。
例えば、変調率Kc=20%の変調波とキャリア周波数の3倍の疑似キャリア周波数を有する擬似キャリアとを比較した場合、信号の周波数が3倍(スイッチングに係る周期が1/3)の動作信号(パルス幅1/3)が3つ生成されることになる。ここで、変調率Kcは、キャリアに対する変調波の位置(高さ)を表すものであり、キャリア周期においてはduty比率と同じになる。このような動作信号でも理想的にはduty比率等が変化しないが、時間(1周期)あたりのパルス数(エッジ数)が増えるため、スイッチング損失等が多くなる等、効率が悪くなる。
そこで、本実施の形態では、制御手段10は、6つのステージ毎に、変調率に係る処理を行い、本来のキャリアに基づく動作信号(連続した1つのパルス)が生成されるように加工する(疑似キャリアに基づく3つの動作信号のパルスを1つにまとめたかたちになる)。その際、変調率Kcとステージとに基づいて、正負の極性(上昇にあるか下降にあるか)を判断する。
以上のような制御手段10の加工に係る処理について、図5(a)の三角波にて生成される(本来の)動作信号と図5(d)の擬似キャリアの三角波にて生成される動作信号との比較に基づいて説明する。ここで、図5(e)において、図5(a)の三角波の谷となるピーク点の直前のステージをステージ開始点となるステージ0と定義し、6つのステージを順にそれぞれステージ0〜5とする。
擬似キャリア周波数は、本来のキャリア周波数よりも3倍多いので、動作信号におけるパルス幅を同一にしようとすると、擬似キャリアと比較する変調波における変調率を3倍にし、パルス幅が3倍になるようにする。ここで、本来のキャリアでの変調率をKc、擬似キャリアでの各ステージにおいて変調率を表す疑似変調率をKc’とする。ここで、ステージ毎に疑似変調率Kc’は異なるため、制御手段10はステージ毎に計算を行うものとする。
変調率Kcが0超、約33%(1/3)未満であれば、変調率Kcを3倍しても疑似変調率Kc’は1以下となる。したがって、ステージ0およびステージ1の期間においてエッジが発生する(ステージ0は立ち上がり、ステージ1は立ち下がり)。動作信号が生成される。ここで、ステージ2、ステージ3、ステージ4およびステージ5では疑似変調率Kc’は0となる。ここで、本実施の形態ではスイッチ素子4が3つであるため、変調率Kcは、1/3、2/3の近似値で場合分けを行っている。
変調率Kcが約33%(1/3)以上の場合、3倍した値は1を超えるので、エッジはステージ0およびステージ1以外の他のステージで発生することとなる。このため、ステージ0およびステージ1における疑似変調率Kc’は100%(1。全オン状態)とする。
変調率Kcが約33%(1/3)以上から約66%(2/3)未満の場合、エッジはステージ2およびステージ5の期間に発生する(ステージ5は立ち上がり、ステージ2は立ち下がり)。変調率Kcを3倍すると1を超えてしまうが、ステージ0およびステージ1で全オン状態となることから、変調率Kcを3倍した値から1(全オン状態に係る値)を減じた値が、ステージ2およびステージ5の期間における本来の疑似変調率Kc’となる。
図6はステージ2およびステージ5の期間エッジが発生する場合の制御手段10の処理を説明するための動作信号の波形図である。通常、ステージ1の期間は全オン状態であるため、ステージ2の期間における動作信号はオン状態から開始されることとなるが、三角波比較による動作信号の生成を行うと、ステージ2の期間はオフ状態からの開始となってしまう。同様に、ステージ5の期間は、オフ状態からの開始となって、エッジが発生してパルスが立ち上がり、ステージ0における全オン状態に繋がるが、三角波比較による動作信号生成を行うと、ステージ2はオフ状態で終了することになる。したがって、パルスが連続して発生せず、途切れてしまう(図6(a))。
これは、ステージ2、ステージ5の期間において、キャリアと疑似キャリアとの極性が違うことに関連するからである。例えば、ステージ2の期間においては、本来のキャリアである三角波は右上がりで上昇しているのに対し、擬似キャリアとなる三角波は右下がりで下降している。また、ステージ5の期間では、本来のキャリアの三角波は右下がりであるのに対し、擬似キャリアの三角波は右上がりになっている。このため、三角波比較の結果をそのまま用いることができなくなってしまう。
そこで、制御手段10が、変調率Kcが約33%以上から66%未満のステージ2およびステージ5においては、変調率Kcの3倍の値を2から減じた値を疑似変調率Kc’(以下、特別の疑似変調率Kc’という)として三角波比較を行う。そして、その結果を反転させた信号を出力するようにする。ステージ2およびステージ5の期間における本来の疑似変調率Kc’を維持し、パルスが分断しない動作信号の生成を行う(図6(b))。
また、変調率Kcが33%(1/3)以上から66%(2/3)未満の場合には、ステージ4およびステージ3の期間は疑似変調率Kc’が0となる。
変調率Kcが約66%(2/3)以上、100%(1.00)未満の場合、3倍した値は2を超えるので、エッジはステージ3およびステージ4の期間に発生する(ステージ4は立ち上がり、ステージ3は立ち下がり)。このため、ステージ0およびステージ1だけでなく、ステージ2およびステージ5における疑似変調率Kc’も100%(1。全オン状態)となる。そして、変調率Kcを3倍した値から2を減じた値が、ステージ3およびステージ4の期間における疑似変調率Kc’となる。
図7は制御手段10の加工に係る処理手順のフローチャートを表す図である。図7は上述した処理の流れを表している。制御手段10は、変調率Kcが34%以上67%以下であるかどうかを判断する(S1)。変調率Kcが約33%以上約66%未満でなければ、変調率Kcに基づいて各ステージにおける通常の疑似変調率Kc’を算出する(S3)。ここで、変調率Kcを3倍して1または2を減じたときの値が、1以上の場合は疑似変調率Kc’は1とし、0以下の場合には疑似変調率Kc’は0とする。算出した疑似変調率Kc’に基づいて三角波比較を行い(S4)、動作信号の生成を行う(S5)。
一方、S1において変調率Kcが約33%以上約66%未満であると判断すると、さらにステージ2またはステージ5の期間に係る動作信号の生成であるかどうかを判断する(S2)。ステージ2またはステージ5の期間でなければ、通常の疑似変調率Kc’を算出し(S3)、その後の処理を行う。
S2においてステージ2またはステージ5の期間に係る動作信号の生成であると判断すると、特別の疑似変調率Kc’を算出する(S6)。そして、算出した疑似変調率Kc’に基づいて三角波比較を行い(S7)、信号を反転させた動作信号の生成を行う(S8)。
ここで、図6等では、図5(a)の三角波を本来のキャリアとする動作信号の生成について説明した。例えば、この動作信号と120度の位相差を有する図5(b)の三角波をキャリアとしたときの動作信号の生成については、ステージ1とステージ4とが上述した説明におけるステージ2とステージ5とに該当するため、読み替えればよいことになる。同様に、図5(c)の三角波をキャリアとしたときの動作信号の生成については、ステージ0とステージ3とが該当することになる。
以上より、擬似キャリアの三角波1つとなり、擬似変調波が互いに位相の異なる3つの三角波に対応して3つとなることから、1つのキャリアと3つの変調波3の組合せで位相が異なる3つの動作信号を生成することができる。このため、PWMマイコンにおいて、位相が異なる3つの動作信号を簡単に生成することができる。
ここで、上述した説明では、3つのスイッチ素子4に異なる位相でスイッチングさせるための動作信号生成に際し、1/3、2/3が割り切れない数であるため、百分率は近似値を用いて変調率Kcの場合分けを行った。例えば、4以上のn個のスイッチ素子4に係る動作信号生成では、スイッチ素子4の数(リアクタ3、スイッチ素子4、ダイオード5の組数)に応じた場合分けを行う等することで、市販のPWM機能を有するマイコンで実現できることはいうまでも無い。
以上のように、実施の形態1の直流電源装置においては、リアクタ3、スイッチ素子4、ダイオード5の組を3組以上有し、各組のスイッチ素子4を互いに異なる位相差で動作させるようにしたので、ゼロカレントスイッチング等を実現し、電源力率改善、直流電圧を一定にした、高効率な直流電源装置を提供することができる。そして、リアクタの小型化や軽量化を実現することができる。このとき、制御手段10は、各組のリアクタ3に流れる電流において発生する脈動(リップル)による振幅幅が、各組の電流を合成した合成電流における脈動による振幅幅よりも少なくなるように制御を行うようにするので、脈動が少なく、ノイズとなる高調波を低減させた直流電力を負荷7に供給することができる。さらに、実施の形態1の直流電源装置はスイッチ素子4等の組を3組以上有するようにしたので、2組の直流電源装置より、さらに高調波電流の抑制等をはかることができる。
また、制御手段10は、キャリア周波数を組数倍した周波数の疑似キャリアと、組数に応じた変調波とを三角波比較することにより、各組のスイッチ素子4の動作信号を生成するようにしたので、位相が180度異なる2つの動作信号だけでなく、互いに位相が異なる3以上の動作信号を容易に生成することができる。特に本実施の形態のように、スイッチ素子4が3つの場合には、PWM機能を有する電動機駆動用のマイコンを適用することができるので、制御手段10(直流電源装置)を安価に構成することができる。このとき、本来のキャリアと極性の異なる部分に対しては、動作信号の反転等を行って、生成方法を変更し、調整するようにしたので、疑似キャリアとの三角比較でもキャリアにより生成する動作信号と同じ信号を生成することができる。また、各スイッチ素子4の電流容量を直流電源装置の定格電流容量以下になるようにしたので、素子の保護をはかり、耐久性を向上し、長寿命化をはかることができる。
実施の形態2.
図8は本発明の実施の形態2に係る制御手段10の構成例を表す回路ブロック図である。制御手段10は、上述したように、電圧検出器8と電流検出器9の検出値に基づいて、スイッチ素子4a〜4cに動作信号を出力し、直流電圧および直流電流を制御する。
まず、PI制御部11は、直流電圧を一定にするため、直流電圧の指令値Vdc*とローパスフィルタ15において高周波成分のノイズが除去された電圧検出値とを比較し、その偏差が0となるようにPI制御を行う。PI制御部11が制御の結果として出力した値が直流電流の指令値Idc*となる。
PID制御部12は、直流電流の指令値Idc*とローパスフィルタ16において高周波成分のノイズが除去された電流検出値とを比較し、その偏差が0となるようにPID制御を行う。PID制御部12が制御の結果として出力した値が実施の形態1で記述した変調率Kcとなる。
ここで、本実施の形態では、PID制御部12を標準的なマイコンで構成するものとする。そのため、直流電流の制御をPID制御で行っている。例えば、一般的にデジタル制御の場合、制御演算から信号出力によるPWM動作(実動作)までの時間に制御遅れが発生する。この制御遅れはデジタル制御の離散化による無駄時間により発生する。制御遅れが発生すると位相が遅れるため、スイッチ素子4の制御性が悪化する。ここで位相進み補償を行うため、微分による制御が用いられることが知られている。そこで、本実施の形態ではPID制御部12において微分動作を行い、位相進み補償の制御を行うようにしている。
そして、PID制御部12の出力に係る変調率Kcに基づいて、PWM演算器13は、実施の形態1で説明したように、スイッチ素子4a〜4cを互いに異なる位相差で動作させる動作信号を生成し、スイッチ素子4a〜4cに出力する。
これにより、既存のPWM機能を有するマイコンでも簡単に、3以上のスイッチ素子4を動作させることができる制御手段10を構成することができ、安価で高効率な直流電源装置を提供することができる。
図9は本発明の実施の形態2に係る制御手段10の他の構成例を表す回路ブロック図である。図8に示すように、無駄時間のための位相進み補償を擬似微分として、ハイパスフィルタ17を用いてゲイン器14の出力を加算し、変調率Kcを得るような構成にしても、図7の制御手段10と同様な効果を有することは言うまでもない。
以上のようにして、制御手段10を構成することによって、交流電源1が単相電源の場合、電源電圧を相似形の略正弦波状の入力電流に制御でき、また、交流電源1が三相電源の場合、矩形波状の入力電流に制御することができる。これにより、高調波電流を低減すると共に、電源力率改善、直流電圧一定の制御が実現でき、安価な構成にて、複数のスイッチ素子を互いに異なる位相差で動作することによる電流リップルの低減、ノイズ抑制、リアクタの小型化や軽量化も実現できる。
実施の形態3.
上述の実施の形態では特に示さなかったが、スイッチ素子4、ダイオード5の材料として、SiC(炭化ケイ素)系、GaN(窒化ガリウム)系デバイス等のワイドバンドギャップ半導体を用いるようにしてもよい。ワイドバンドギャップ半導体の場合、スイッチング動作等による損失を大幅に低減することができるため、Si(シリコン)系デバイスのスイッチ素子4、ダイオード5を用いた場合に比べて、キャリア周波数をより高くすることができる。
また、3以上のスイッチ素子4を、互いに異なる位相差の動作信号で動作させることにより、合成電流の周波数はスイッチング周波数よりもさらに高くなる。このため、大幅にノイズを低減することができ、ノイズ対策コストを少なくした直流電源装置を提供できるようになる。
本発明の活用例として、直流で電力消費を行う負荷向けの直流電源装置に利用可能である。特に、直流交流変換装置であるインバータの電源装置として利用でき、永久磁石電動機を駆動するインバータに適用することで省エネルギの実現、安価でノイズの少ない直流電源装置の構成を得ることができる。このため、空気調和機や冷凍機、洗濯乾燥機のほか、冷蔵庫、除湿器、ヒートポンプ式給湯機、ショーケース、掃除機等の家電製品全般に適用可能である。また、ファンモータや換気扇、手乾燥機等の電源装置への適用も可能である。
1 交流電源、2 整流器、3a〜3c リアクタ、4a〜4c スイッチ素子、5a〜5c ダイオード、6 平滑コンデンサ、7 負荷、8 電圧検出器、9 電流検出器、10 制御手段、11 PI制御部、12 PID制御部、13 PWM演算器、14 ゲイン器、15,16 ローパスフィルタ、17 ハイパスフィルタ。

Claims (7)

  1. 交流電圧を直流電圧に整流する整流器の出力端子に接続された3以上のリアクタと、
    ダイオードを介して各リアクタと接続され、直流電力を平滑化するコンデンサと、
    各リアクタと接続され、前記整流器を介して電源短絡経路を形成する3以上のスイッチ素子と、
    1のキャリアと複数の変調波とに基づいて、各スイッチ素子を互いに異なる位相差で動作させる動作信号を生成する制御手段とを備え、
    前記3以上のスイッチ素子の動作周波数に対し、前記キャリアの周波数をスイッチ素子数倍した周波数の疑似キャリアに基づいて、各スイッチ素子の動作信号を生成し、
    前記制御手段は、前記キャリアの1周期分の時間の間に1のパルスの動作信号を発生させるため、前記キャリアと前記疑似キャリアとの波形における上昇下降の関係が異なる期間における、信号のオンとオフの関係を入れ換えて前記動作信号を生成することを特徴とする直流電源装置。
  2. 前記制御手段は、極性が異なる期間において、前記パルスがオンしている時間とオフしている時間とを入れ換えて生成した信号を反転させて前記動作信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の直流電源装置。
  3. 前記制御手段は、各スイッチ素子に対してPWMの動作信号を生成するための1つのPWMタイマを有することを特徴とする請求項1または2に記載の直流電源装置。
  4. 前記制御手段は、各リアクタに流れる電流の合成電流における脈動幅が1つのリアクタに流れる電流における脈動幅より小さくなるように、前記各スイッチ素子の動作信号を生成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の直流電源装置。
  5. 前記スイッチ素子の電流容量より大きい定格電流容量を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の直流電源装置。
  6. 前記制御手段は、電動機駆動用のPWM機能を有するマイクロコンピュータを有し、前記各スイッチ素子の動作信号を生成することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の直流電源装置。
  7. スイッチ素子またはダイオードの少なくとも1つをワイドバンドギャップ半導体で構成することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の直流電源装置。
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