JP2013219954A - モータ - Google Patents

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Abstract

【課題】制御回路を含むモータ全体の低コスト化と高品質化。
【解決手段】ステータにA相ステータ磁極13、A相巻線1Aと1B、B相ステータ磁極14、B相巻線1Cと1D、ステータとロータとの間に磁束を通過させるC1相ステータ磁極15とC2相ステータ磁極16とを配置し、ロータにN極磁極19とS極磁極17と前記両極の中間の磁気的特性を示す第3のロータ磁極であるX極磁極18とを備え、A相巻線1A、1BとB相巻線1C、1Dへ2個の片方向電流を交互に通電し、トルクリップルの小さな連続トルクを生成し、静粛な回転駆動を低コストに実現するモータ。
【選択図】 図1

Description

本発明は、自動車やトラック等に搭載されるモータとその独特な制御回路に関する。また、産業用機器、家庭電化製品などへの適用も可能である。
簡素で低コストな小型モータとして、ファンなどの用途に単相交流モータが使用されている。図23に2極の単相交流モータの断面図の例を示す。ファンの用途ではアウターロータモータの構成とすることが多いが、図23はインナーロータ構成のモータで説明している(特許文献1参照)。D1はA相ステータ磁極、D2とD3はA相巻線である。D4はA/相ステータ磁極、D5とD6はA/相巻線である。ここで、巻線D2とD3は巻線D5とD6と同一空間に巻回しており、電磁気的には同一の励磁作用となる。D9はステータのバックヨークである。
D7はロータのN極で、D8はS極であり、永久磁石で界磁磁束を作っている。1Bはロータ軸である。図23は電磁気的な作用、動作の理解がし易い2極のモータモデルを示しているが、実際のモータは、4極、6極、8極などへ多極化して設計し、使用することが多い。
図23に示すような単相交流モータは簡素であるだけでなく、モータの全ての界磁磁束が単相巻線に正方向あるいは逆方向に交互に鎖交して回転するので、効果的にトルクを発生することができ、原理的に効率が良いモータでもある。
しかし、単相交流モータは連続トルクを発生することができないので、間歇的な回転トルクとなり、トルクリップルが大きく、振動、騒音の問題がある。大型モータではこの問題が顕在化するので、比較的小型の単相交流モータが使用されている。
また、単相交流モータのトルクが不連続であることから、停止時のロータ回転位置によっては起動ができないという問題もある。
上記の起動問題を解決する一つの方法は、図23に示すようにステータとロータとの間のエアギャップの大きさを円周方向に不均一として、ロータの停止時に永久磁石の吸引力により特定回転位置に停止するようにしている(特許文献2参照)。この特定回転位置はトルク発生が可能な位置であって、次に電源を投入するときに起動が可能な回転位置である。ある程度の回転速度で起動することができれば、その後はロータの慣性を利用しながら、連続的にモータを回転駆動することができる。ただし、エアギャップの大きな部分はトルク発生効率がやや低下していること、トルクリップルもやや増加する問題がある。
図24は単相交流モータの駆動回路の例である。2Eは直流電圧源で、EBは前記A相巻線D2とD3で、ECは前記A/相巻線D5とD6である。E1、E2、E3、E4は駆動用トランジスタで、各トランジスタには逆並列にダイオードE7、E8、E9、EAを接続している。このような駆動回路で、前記巻線EB、ECへ交流電圧を印加し、交流電流を通電することができる。
図24の駆動回路は、4個のトランジスタで回転駆動することができるので、3相交流モータの駆動回路に比較して簡素であるが、さらなる簡素化も求められている。いわゆる2相半波モータは、図23と同じモータ構成で、2個の巻線にそれぞれ片方向電流を交互に通電するモータである。2個のトランジスタで回転駆動できることから、単相交流モータよりさらなる低コスト化が可能である。小型のファンなどに使用されている(特許文献3参照)。
ただし、各巻線へは片方向電流しか通電しないので、波形率が低下しモータ効率は単相交流モータよりやや低下する。また、トルクリップルによる振動、騒音の問題があり、起動の問題についても単相交流モータと同様の問題がある。
また、3相交流モータは、従来より各種用途へ広く使用されている。モータの大きさについても小型モータから大型モータまで広範囲に使用されている。正統な3相交流理論に基づいた各種機器が使用されている。しかし、3相交流機器は常に2/3は活動しているが、1/3は交互に休止していると見ることもでき、磁束および巻線の利用率の観点で改善の余地がある。台形波、矩形波などの非正弦波の制御が容易な現代においては、電圧と電流についても非正弦波による改善の余地がある。これらの点について、本発明を後に説明する。
特開2006−238536号公報(図1、図2) 特開2006−20459号公報(図3) 特開2002−325485号公報(図1、図6)
請求項1に記載のモータは、永久磁石を使用するブラシレスモータであって、ステータに配置するA相ステータ磁極SPaと、前記A相ステータ磁極を励磁するA相巻線Waと、前記A相ステータ磁極と同一の円周上に配置するB相ステータ磁極SPbと、前記B相ステータ磁極を励磁するB相巻線Wbと、前記A相ステータ磁極と同一の円周上に隣接して配置していてステータとロータとの間に磁束を通過させるC1相ステータ磁極SPc1と、前記A相ステータ磁極と同一の円周上に隣接して配置していてステータと前記ロータとの間に磁束を通過させるC2相ステータ磁極SPc2と、前記ロータのN極磁極と、前記ロータのS極磁極と、磁気的に前記ロータのN極磁極とS極磁極との間の磁気的特性を示す第3のロータ磁極であるX極磁極とを備え、少なくとも前記ステータ磁極SPaとSPbの内の片方のステータ磁極の円周方向磁極幅が電気角で180°以下であることを特徴とするモータである。
この構成によれば、単相交流モータあるいは2相半波モータに近い簡素なモータ構成でありながら、ロータの全周において回転トルクを発生することができ、起動トルクが得られない問題を解消し、トルクリップルおよび振動、騒音の問題を軽減することが可能である。
請求項2に記載のモータは、請求項1において、前記X極磁極の円周方向幅をθxとし、前記A相ステータ磁極の円周方向幅をθaとし、前記B相ステータ磁極の円周方向幅をθbとして、前記θxが前記θaと前記θbとの少なくともどちらかの値と等しい値であることを特徴とするモータである。
この構成によれば、ロータのX極磁極があるステータに対向する位置に差し掛かってから、X極磁極とその後にさしかかるロータ磁極が前記ステータに対向する区間において、トルクリップルの少ないトルク発生が可能である。
請求項3に記載のモータは、請求項1において、前記ロータの回転位置に応じて、前記A相巻線Waへ片方向電流であるA相電流Iaを通電し、前記ロータの回転位置に応じて、前記B相巻線Wbへ片方向電流であるB相電流Ibを通電し、前記両電流IaとIbを通電して回転駆動することを特徴とするモータである。
この構成によれば、A相電流IaとB相電流Ibとを、例えば、台形波状に互いに補うように通電することにより、トルクリップルの小さなトルク発生が可能である。
請求項4に記載のモータは、請求項1において、第1のトランジスタTR1により前記A相巻線Waへ片方向電流であるA相電流Iaを通電し、第2のトランジスタTR2により前記B相巻線Wbへ片方向電流であるB相電流Ibを通電し、前記2個のトランジスタTR1、TR2により回転駆動することを特徴とするモータである。
この構成によれば、2個のトランジスタで本発明モータを回転駆動できるので、低コストなモータ構成を実現することができる。
請求項5に記載のモータは、請求項4において、前記トランジスタTR1のコレクタへカソードを接続し、トランジスタTR1のエミッタへアノードを接続するダイオードDD1と、前記トランジスタTR2のコレクタへカソードを接続し、トランジスタTR2のエミッタへアノードを接続するダイオードDD2とを備えることを特徴とするモータである。
この構成によれば、片側の巻線の通電電流により励磁され生成した磁束の磁気エネルギーの一部を他方の巻線とダイオードにより直流電源へ回生することが可能となる。そして、各トランジスタの前記アバランシェ特性とあいまって、前記磁気エネルギーを吸収することができる。
請求項6に記載のモータは、請求項4において、前記トランジスタTR1とTR2のアバランシェ特性を活用して前記電流IaとIbを可変制御して回転駆動することを特徴とするモータである。
この構成によれば、通電電流により励磁され生成した磁束の磁気エネルギーの一部を前記トランジスタTR1とTR2のアバランシェ特性で吸収させるので、その周辺回路を簡素化することができ、低コストなモータとすることができる。
請求項7に記載のモータは、請求項1において、前記ロータの前記X極磁極の円周方向幅θxが電気角で90°以下の値で、前記A相ステータ磁極の円周方向幅をθaとし、前記B相ステータ磁極の円周方向幅をθbとして、(θx+θa)と(θx+θb)との少なくともどちらかの値が180°以上であることを特徴とするモータである。
この構成によれば、片方向電流のA相電流Iaと片方向電流であるB相電流Ibにより、ロータが全周において回転トルクを発生することができる。請求項7がその必要条件である。
請求項8に記載のモータは、請求項1において、前記ロータの回転位置に応じて、前記A相巻線Waの正負の誘起電圧に応じて正負の両方向電流であるA相電流Iaを通電し、前記ロータの回転位置に応じて、前記B相巻線Wbの正負の誘起電圧に応じて正負の両方向電流であるB相電流Ibを通電し、前記両電流IaとIbを通電して回転駆動することを特徴とするモータである。
この構成によれば、正負の両方向電流を各巻線へ通電してトルクを発生するので、波形率を改善することができ、モータ効率を向上することができる。ただし、駆動回路は増加し、そのコストは増加する。
請求項9に記載のモータは、請求項1において、前記A相巻線Waの両端の端子がTa1とTa2であり、前記B相巻線Wbの両端の端子がTb1とTb2であり、両巻線WaとWbの誘起電圧の位相が近い方の端子がTa1とTb1であるとき、これらの両端子を接続し、直流電源PSの正側にトランジスタTR21を配置し、負側にトランジスタTR22を配置し、これら両トランジスタの接続点に前記の両端子Ta1とTb1を接続して、前記A相巻線Waの電流Iaと前記B相巻線Wbの電流Iaとの和である(Ia−Ib)の電流を通電し、直流電源PSの正側にトランジスタTR23を配置し、負側にトランジスタTR24を配置し、これら両トランジスタの接続点に前記の端子Ta2を接続して、前記A相巻線Waの負の電流(−Ia)を通電し、直流電源PSの正側にトランジスタTR25を配置し、負側にトランジスタTR26を配置し、これら両トランジスタの接続点に前記の端子Tb2を接続して、前記B相巻線Wbの負の電流(Ib)を通電して駆動することを特徴とするモータである。
この構成によれば、ほぼ同相の2個の交流電圧と交流電流を6個のトランジスタで印加することができる。そして、従来の3相交流モータの駆動回路に比較し、2/3の電流容量に低減することができ、低コスト化、小型化を実現することができる。
請求項10に記載のモータは、請求項1において、前記A相巻線Waは電気的に独立し、並列に巻回した2個の巻線Wa1とWa2であり、前記B相巻線Wbは電気的に独立し、並列に巻回した2個の巻線Wb1とWb2であることを特徴とするモータである。
この構成によれば、駆動電流により励磁した磁束を並列に巻回する巻線で直流電源へ回生することができるため、駆動回路のトランジスタの数を低減することができ、駆動回路を低コスト化することができる。ただし、巻線抵抗は増加するのでモータ効率はやや低下する。
請求項11に記載のモータは、請求項1において、モータのトルク脈動特性に応じて、モータトルクが低下するロータ回転位置θrではモータ電流を増加し、モータトルクが増大するロータ回転位置θrではモータ電流を減少して、モータのトルク脈動を低減して制御することを特徴とするモータである。
この構成によれば、ロータ回転位置によって変動するモータトルクを補償するように電流を通電するので、トルクリップルを低減することができ、振動、騒音を低減することができる。
請求項12に記載のモータは、請求項1において、前記ロータの前記X極磁極は空間あるいは樹脂などの非磁性体で構成することを特徴とするモータである。
この構成によれば、ロータの前記X極磁極を安価に製作することが可能である。
請求項13に記載のモータは、請求項1において、前記ロータの前記X極磁極は永久磁石のN極と永久磁石のS極とを使用して構成し、X極磁極の平均特性をN極とS極との間の磁気特性とすることを特徴とするモータである。
この構成によれば、ロータの前記X極磁極を永久磁石のN極と永久磁石のS極で複合的に構成するので、ステータとロータの間の吸引力がロータの全周に渡ってより均一にすることができ、ステータとロータ間の吸引力の変動によって発生する振動成分、騒音成分を低減することが可能である。
請求項14に記載のモータは、請求項1において、前記ロータが2極対以上のモータであって、前記ロータの前記N極磁極とS極磁極との境界部を円周方向に反時計回転方向に移動した境界部RCCWと、前記ロータの前記N極磁極とS極磁極との境界部を円周方向に時計回転方向に移動した境界部RCWとを備え、前記ロータの円周方向の複数のロータ磁極の形状を電気角の0°〜360°に割り当てて見るとき、前記の境界部RCCWと前記境界部RCWとの円周方向の間に位置する2つ以上のロータ磁極の磁気的特性を合成して前記第3のロータ磁極であるX極磁極を構成することを特徴とするモータである。
この構成によれば、N極磁石とS極磁石の形状が比較的単純な形状とすることができ、ロータの製作コストを低減することができる。また、ステータとロータの間の吸引力がロータの全周に渡ってより均一にすることもできる。
2相の電流で回転駆動する本発明モータの縦断面を示す図である。 図1のモータのエアギャップ面形状の展開図である。 図1のモータを8極に多極化した断面図である。 図3のモータのエアギャップ面形状の展開図である。 図4のロータ位置を移動した関係と各相巻線の誘起電圧を示す図である。 図3のモータの誘起電圧と電流の例、および、トルクの補償制御の例を示す図である。 ロータのX極磁極幅を電気角で60°とした時の誘起電圧と電流の例を示す図である。 図7のモータの誘起電圧と電流の例を示す図である。 図1のモータの駆動回路の例である。 図1のモータの駆動回路の例である。 図1のモータの駆動回路の例である。 図1のモータの駆動回路の例である。 図1のモータの駆動回路の例である。 図7に示す構成のモータの誘起電圧と正負の両方向の電流とトルクの例を示す図である。 図1のモータを8個のトランジスタで駆動する回路の例である。 図1のモータを6個のトランジスタで駆動する回路の例である。 A相巻線とB相巻線をそれぞれ並行する2個の巻線で構成する例である。 A相巻線とB相巻線をそれぞれ並行する2個の巻線で構成する例である。 モータの全体構成およびトルク補償の構成を示す図である。 ロータのN極とS極とを分割して混在させることによりX極磁極を構成する例である。 ロータのN極とS極との形状を変形してX極磁極を構成する例である。 ロータのN極とS極の円周方向幅を調整して等価的にX極磁極を構成する例である。 従来の単相交流モータの断面図である。 図23の従来モータの駆動回路である。
本発明では、低コストと高品質を両立するモータシステムを提案する。少し具体的には、非対称な2相モータの構成で、2個の片方向電流で回転駆動することができ、2個のMOSFETなどの電力素子で制御することが可能である。従って、MOSFETだけでなくそのドライバを含めて部品点数を低減できるため、低コストである。モータの電圧および電流は特有の特性となり、独特の電圧制御と電流制御で実現することになる。そして、トルクリップルの小さく、高品質な回転駆動を実現することができる。このように、低コストと高品質を両立することができる。この用途例として、生活の場に近いところで使用される各種のファンなどがあり、特にそのような用途では静かさは重要である。従来の単相交流ブラシレスモータによるファン駆動は、比較的安価であるがトルクリップルが大きい。
また、2個の片方向電流で回転駆動する前記モータの効率を改善するため、ステータ磁極幅を大きくするなど形状を変形することもできる。その場合、駆動回路の利点もあり、高効率化と小型化および低コスト化を実現できる。しかし、トルクリップルは増加する傾向にある。なお、トルクリップルの補償方法についても提案する。
また、本発明モータの効率をさらに改善するため、両方向電流を通電することも可能であり、その技術についても提案する。この場合には、駆動回路の素子数が増加するが、3相交流モータの駆動回路に比較すると小型である。そして当然、モータ効率は片方向電流駆動に比較して向上する。しかし、トルクリップルは増加する傾向にある。なお、トルクリップルの補償方法についても提案する。
(実施例1)
次に、具体的な本発明モータの断面図の例を図1に示す。
1Eはロータ軸、17はロータ表面に配置した永久磁石を含むS極磁極、19はロータ表面に配置した永久磁石を含むN極磁極、18は前記S極磁極17とN極磁極19の間の磁気特性を示すX極磁極である。この第3の磁極であるX極磁極18は、詳しくは図20、図21、図22などで詳細な例を示すが、例えば空気、あるいは、樹脂などの非磁性体でも良い。
図1に示す形状は、本発明モータの横断面図であって、ロータ軸方向の縦断面図などの形状は図示していないが、通常の3相交流モータなどと同様に、ロータ軸方向に円筒形状のステータコアと巻線および円筒形状のロータなどの構成となっている。
ステータのロータ軸方向両端には、各巻線を折り返すいわゆるコイルエンド部がある。ステータコアは、通常、電磁鋼板をロータ軸方向へ積層して構成することが多い。フェライトコア、圧粉磁心などを使用することができる。
13はA相のステータ磁極、14はB相のステータ磁極、15はC1相のステータ磁極、16はC2相のステータ磁極である。1Fはステータのバックヨーク部である。1Aと1BはA相のステータ磁極13へ巻回した集中巻のA相巻線である。1Cと1DはB相のステータ磁極14へ巻回した集中巻のB相巻線である。C1相のステータ磁極15とC2相のステータ磁極16へは巻線を巻回していない。ただし、何らかの他の理由で、C1相のステータ磁極15およびC2相のステータ磁極16へ巻線を付加することは可能である。また、集中巻きの例を示したが、波状巻線、鼓状巻線、環状巻線などへの変形も可能である。
A相のステータ磁極13の円周方向角度幅をθa、B相のステータ磁極14の円周方向角度幅をθb、C1相のステータ磁極15の円周方向角度幅をθc1、C2相のステータ磁極16の円周方向角度幅をθc2と呼称する。図1は、θa=120°、θb=120°、θc1=60°、θc2=60°の例である。また、ロータのS極磁極17の円周方向角度幅をθs、N極磁極19の円周方向角度幅をθn、X極磁極18の円周方向角度幅をθxと呼称する。図1は、θs=θn=θx=120°の例である。なお、図1のモータの軸受け、モータのケース、ケースとステータとを固定する部材等は省略し、図示していない。
図2は、図1のステータとロータの間のエアギャップ面の円周方向形状を、図2の水平軸方向に直線状に展開した図である。各ステータ磁極と各ロータ磁極はエアギャップを介して対向しており、図2の上部にステータ磁極の形状を、図2の下部にロータ磁極形状を示している。各部の符号は図1と同じである。
図1では電磁気的な作用が視覚的に理解し易いように1極対のモータ形状を示した。実用的なモータは、ステータバックヨークの薄型化、製作性などから2極対以上に多極化して製作し、使用することが多い。
図3は図1に示したモータを4極対に多極化したモータの例である。ロータのS極磁極27とX極磁極28とN極磁極29が、ロータ全周にそれぞれ4個ずつ配置している。ロータ全周は電気角で360°×4=1440°であり、もちろん機械角で360°である。P31はA相のステータ磁極で電気角で120°であり機械角で30°である。P32はB相のステータ磁極で電気角で120°であり機械角で30°である。P33はC1相のステータ磁極で電気角で60°であり機械角で15°である。P34はC2相のステータ磁極で電気角で60°であり機械角で15°である。各ステータ磁極を円周方向に4個配置している。P35とP36はA相巻線を巻回するスロットであり、P37とP38はB相巻線を巻回するスロットである。
図4は、図3のステータとロータの間のエアギャップ面の円周方向形状を、図4の水平軸方向に直線状に展開した図である。
各ステータ磁極と各ロータ磁極はエアギャップを介して対向しており、図4の上部にステータ磁極の形状を、図4の下部にロータ磁極形状を示している。各部の符号は図3と同じである。なお、水平軸はロータ回転位置θrを電気角で示している。θrの720°以上は同じ形状の繰り返しであり、図を省略している。
次に、図5に本発明モータの動作例を示し、説明する。
図5のモータは、図3、図4のロータが一定回転速度で順次回転するときの、相対的な位置関係を示し、各相巻線の電圧を示す図である。図5の横軸はロータの回転位置θrを電気角で、−180°から720°まで示している。図5の(a)から(h)までの縦軸はロータ軸方向形状を示している。
図5の(a)は、図4に示したステータ磁極の形状であり、図5の(b)は、図4に示したロータ磁極の形状であり、S極磁極27、X極磁極28、N極磁極29である。これらのロータ磁極27、28、29の円周方向幅は電気角で120°の例である。
図5の(c)から(h)は、図5の(b)の状態から紙面で右方向に電気角で60°ずつ移動した状態、すなわち、ロータの回転位置θrが移動する状態を示している。ロータの回転位置θrの値である0°から360°の値を付記している。なお、図5でロータ回転位置が紙面で左から右に移動する動きは、図3の断面図ではロータが反時計回転方向CCWへ回転する状態を示している。
A相のステータ磁極83は、電気角で0°から120°に配置し、対向する部分のロータの各永久磁石の磁束を通過させ、その通過磁束はA相磁束φaである。B相のステータ磁極84は、電気角で180°から300°に配置し、対向する部分のロータの各永久磁石の磁束を通過させ、その通過磁束はB相磁束φbである。C相のステータ磁極は85と86に分かれていて、電気角で120°から180°の部分と300°から360°の部分である。C1相ステータ磁極85とC2相ステータ磁極86は、対向する部分のロータの各永久磁石の磁束を通過させ、その通過磁束はそれぞれφc1、φc2である。これらの合計磁束をC相磁束φc=φc1+φc2とする。
また、A相とB相の関係は位相が180°円周方向にシフトされた相似の関係となっている。このような状態では、ロータからステータ側へ出入りする磁束の総和は零なので、次式が成立する。
φa+φb+φc=0 (1)
図5の(b)に示すロータ回転位置はθr=0°の回転位置である。これは、図3の回転位置θr=0°の状態を示している。図5の(c)はロータ回転位置はθr=60°、図5の(d)はロータ回転位置はθr=120°、図5の(e)はロータ回転位置はθr=180°、図5の(f)はロータ回転位置はθr=240°、図5の(g)はロータ回転位置はθr=300°である。図5の(h)はロータ回転位置はθr=360°であり、図5の(b)のθr=0°と電磁気的作用は同じである。ロータ回転位置θrの変化に伴い、各ステータ磁極に対向するロータ磁極の位置が変化するので、各ステータ磁極を通過する磁束φa、φb、φcの大きさがロータの回転に伴って変化する。
ロータの回転方向は、図2では第1象限から第2象限側へ回転する方向であり、反時計回転方向CCWの回転方向をロータ回転位置θrの値が増加する正回転とする。このロータの正回転方向は、展開図である図5のロータが紙面で左側から右側へ移動する動きに対応させて説明する。
図5の(i)は、ロータが一定回転速度で回転する状態において、A相巻線1A、1Bに発生する誘起電圧(以下、A相電圧Vaと言う)を示す。A相電圧VaはA相巻線の鎖交磁束であるA相磁束φaの時間変化率に比例し、A相巻線とB相巻線の巻き回数をNwとすると、A相電圧Vaは次式となる。
Va=Nw×d(φa)/dt (2)
このA相磁束φaは、A相ステータ磁極83が対向するロータのS極磁極27、X極磁極28、N極磁極29より供給される。従って、前記A相磁束φaは、ロータ回転位置θrの回転移動に伴い、変化する。
図5の(i)のA相電圧Vaについて、ロータ回転位置θrの順に説明する。
θr=0°のロータ回転位置では、図5の(a)と(b)を対比して分かるように、A相ステータ磁極83はロータのS極磁極27にほぼ全面が対向している。従って、A相磁束φaは負の最大値−φmaxである。この状態でロータが正回転すると、すなわち、図5の(b)では、ロータが紙面で右側へ移動すると、ロータのX極磁極28が対向するようになり、A相磁束φaは負の最大値−φmaxから零に近づくことになり増加する。
そして、A相電圧Vaは(2)式より、S極磁極27、N極磁極29の磁束密度Bmに比例した値となり、A相磁束の回転変化率Δφa/Δθrに比例した正の値となる。
Va=Nw×d(φa)/dθr×dθr/dt (3)
ここで、θr=0°から120°の時、X極磁極28の磁束密度が零であると仮定すると、次式となる。
d(φa)/dθr≒Pn×Bm×Hr×R×Δθr/Δθr (4)
=Pn×Bm×Hr×R (5)
Pnはモータの極対数、Hrはロータ磁極である永久磁石のロータ軸方向長さ、Rはロータ半径である。また、dθr/dtはロータの回転速度である。
図5の(c)ではθr=60°であり、前記(3)、(4)、(5)式のA相電圧Vaとなる。図5の(d)のθr=120°のロータ回転位置では、図5の(a)と(d)を対比して分かるように、A相ステータ磁極83はロータのX極磁極28にほぼ全面が対向している。従って、A相磁束φaはほぼ零の値となっている。この状態でロータが正回転すると、すなわち、図5の(d)では、ロータが紙面で右側へ移動すると、ロータのN極磁極21が対向するようになり、A相磁束φaは零から正の最大値φmaxに近づくことになり増加する。θr=120°から240°の時、次式となる。
d(φa)/dθr≒Pn×Bm×Hr×R×Δθr/Δθr (6)
=Pn×Bm×Hr×R (7)
X極磁極28の平均磁束密度が零であり、N極磁極29とS極磁極27の磁束密度が同じ大きさの場合には、(5)式と(7)式は同じ値となる。そして、A相電圧Vaは前記(7)式より、正の値となる。図5の(e)ではθr=180°であり、前記(6)、(7)式のA相電圧Vaとなる。(5)式は、ロータ回転位置θrが0°から120°の間で成り立ち、(7)式は120°から240°の間で成り立つ。(5)式と(7)式は同じ値なので、結局、0°から240°の間で同一電圧の特性が得られたことになる。
180°以上の区間で力を発生させることができれば、もう一組の電磁気的な機構と交互に駆動することにより、2組の電磁気的な機構で連続駆動が可能となる。なお、従来の電磁気的な駆動機構では、電気角で180°以下の間を駆動できるものは多いが、180°以上の区間で同一の力を発生させるためには何らかの特殊な方法が必要となる。
図5の(f)のθr=240°のロータ回転位置では、図5の(a)と(f)を対比して分かるように、A相ステータ磁極83はロータのN極磁極29にほぼ全面が対向している。従って、A相磁束φaはほぼ正の最大値φmaxとなっている。この状態でロータが正回転すると、すなわち、図5の(d)では、ロータが紙面で右側へ移動すると、ロータのS極磁極27が対向するようになり、A相磁束φaは正の最大値φmaxから負の最大値−φmaxに近づくことになり減少する。θr=240°から360°の時、次式となる。
d(φa)/dθr≒−Pn×2×Bm×Hr×R×Δθr/Δθr (8)
=−2×Pn×Bm×Hr×R (9)
このように、A相電圧Vaは、θr=240°から360°の区間では、前記(5)、(7)式の2倍の負の値となる。なお、θr=0°から360°の全区間の平均値は零となる。
次に、図5の(j)は、ロータが一定回転速度で回転する状態において、B相巻線1C、1Dに発生する誘起電圧(以下、B相電圧Vbと言う)を示す。A相巻線1A、1Bに発生するA相電圧Vaとは対称的な特性となる。B相電圧VbはB相巻線の鎖交磁束であるB相磁束φbの時間変化率に比例し、B相電圧Vbは次式となる。
Vb=Nw×d(φb)/dt (10)
このB相磁束φbは、B相ステータ磁極84が対向するロータのS極磁極27、X極磁極28、N極磁極29より供給される。従って、前記B相磁束φbは、ロータ回転位置θrの回転移動に伴い変化する。
図5の(j)のB相電圧Vbについて、ロータ回転位置θrの順に説明する。
θr=0°のロータ回転位置では、図5の(a)と(b)を対比して分かるように、B相ステータ磁極84はロータのX極磁極28とN極磁極29とがほぼ半分ずつ対向している。従って、B相磁束φbは正の最大値φmaxの約1/2である。この状態でロータが正回転すると、すなわち、図5の(b)では、ロータが紙面で右側へ移動すると、ロータのN極磁極29が対向部分が増加するので、B相磁束φbはφmax/2から最大値φmaxに近づくことになり増加する。そして、B相電圧Vbは(10)式より、N極磁極29の磁束密度Bmに比例した値となり、B相磁束の回転変化率Δφb/Δθrに比例した正の値となる。
Vb=Nw×d(φb)/dθr×dθr/dt (11)
ここで、θr=0°から60°の時、次式となる。
d(φb)/dθr≒Pn×Bm×Hr×R×Δθr/Δθr (12)
=Pn×Bm×Hr×R (13)
図5の(c)のθr=60°のロータ回転位置では、図5の(a)と(c)とを対比して分かるように、B相ステータ磁極84は、ロータのN極磁極29にほぼ全面が対向している。従って、A相磁束φaはほぼ正の最大値φmaxとなっている。この状態でロータが正回転すると、すなわち、図5の(c)では、ロータが紙面で右側へ移動すると、ロータのS極磁極27が対向するようになり、B相磁束φbは正の最大値φmaxから負の最大値−φmaxに近づくことになり減少する。θr=60°から180°の時、次式となる。
d(φb)/dθr≒−Pn×2×Bm×Hr×R×Δθr/Δθr (14)
=−2×Pn×Bm×Hr×R (15)
図5の(d)ではθr=120°であり、前記(14)、(15)式のB相電圧Vbとなる。図5の(e)のθr=180°のロータ回転位置では、図5の(a)と(e)を対比して分かるように、B相ステータ磁極84は、ロータのS極磁極27にほぼ全面が対向している。従って、B相磁束φbはほぼ負の最大値−φmaxとなっている。この状態でロータが正回転すると、すなわち、図5の(e)では、ロータが紙面で右側へ移動すると、ロータのX極磁極28が対向するようになり、B相磁束φbは負の最大値−φmaxから零に近づくことになり増加する。θr=180°から300°の時、次式となる。
d(φb)/dθr≒Pn×Bm×Hr×R×Δθr/Δθr (16)
=Pn×Bm×Hr×R (17)
図5の(f)ではθr=240°であり、前記(16)、(17)式のB相電圧Vbとなる。図5の(g)のθr=300°のロータ回転位置では、図5の(a)と(g)を対比して分かるように、B相ステータ磁極84はロータのX極磁極28にほぼ全面が対向している。従って、B相磁束φbはほぼ零となっている。この状態でロータが正回転すると、すなわち、図5の(g)では、ロータが紙面で右側へ移動すると、ロータのN極磁極29が対向するようになり、B相磁束φbは零から正の最大値φmaxに近づくことになり増加する。θr=300°から420°の時、次式となる。
d(φb)/dθr≒Pn×Bm×Hr×R×Δθr/Δθr (18)
=Pn×Bm×Hr×R (19)
次に、図5の(k)は、ロータが一定回転速度で回転する状態において、C相ステータ磁極を通過するC相磁束φcに鎖交する巻線の誘起電圧に相当する。このモータではC相巻線は存在しないが、A相巻線1A、1BとB相巻線1C、1Dとを直列に接続した状態がC相巻線に相当する。ただし、極性は逆方向となる。
仮想のC相電圧Vcは次式となる。
Vc=−Nw×d(φa+φb)/dt=−Va−Vb (20)
従って、各相電圧の和は零であり、次式も成立する。
Va+Vb+Vc=0 (21)
ただし、前記の各式では、巻線抵抗を零であるとして無視し、各相の漏れ磁束を零であるとして、モータを理想化している。
次に、図6においてロータを正回転方向、すなわち、反時計回転方向CCWへ一定回転速度で回転する場合に、一定の回転トルクを発生させる電流の通電方法の具体的な例を示し、説明する。
モータの特性は図1、図5に示した特性を使用する。基本的な構成は、A相磁極83を通るA相磁束φaはA相巻線1A、1Bに鎖交し、B相磁極84を通るB相磁束φbはB相巻線1C、1Dに鎖交する。
モータの電気入力として、A相電流IaとA相電圧Vaの積PaとB相電流IbとB相電圧Vbの積Pbとの和P1が一定値とすることができれば、機械的出力Pmも一定値となると考えることができ、次式となる。
P1=Pa+Pb
=Ia×Va+Ib×Vb (22)
=Tm×ω=Pm (23)
ここで、Tmはモータトルク、ω=dθr/dtはモータ回転速度であり、モータ内部の損失は零とし、モータ内部の保存エネルギーも一定と理想化している。例えば、A相電圧Vaが正の値の時に、A相巻線へ正のA相電流Iaを通電すれば、比例したトルクが発生する。B相についても同様である。
前記(22)式は電気的な側面であるが電磁気的に説明すると、前記(2)式でA相電圧Vaが正の値の時、すなわち、A相磁束φaが増加しているときに、さらにA相磁束φaが増加するようにA相巻線へ正のA相電流Iaを通電して、A相ステータ磁極とロータとの間に吸引力を発生させ、トルクを生成することを意味している。B相についても同様である。
図6の(a)は図5の(i)に示したA相電圧Vaと同じである。A相電圧Vaが電気角で240°に渡ってほぼ均一な正の電圧となっているので、この間に、A相巻線へ直流電流を与えることにより、電気角で240°の間ほぼ均一な正のトルクを得ることができる。同様に、図6の(b)は、図5の(j)に示したB相電圧Vbと同じものである。B相電圧Vbも電気角で240°に渡ってほぼ均一な電圧を効果的に得ている。これらのことから、A相巻線とB相巻線へ交互に直流電流を通電することにより、連続的な回転トルクが得られることになる。図6の(c)は、電気角でおおよそ180°の幅の台形状の電流波形をしたA相電流Iaの例である。図6の(d)は、電気角でおおよそ180°の幅の台形状の電流波形をしたB相電流Ibの例である。図6の(e)はモータの発生トルクTmであり、A相電流IaとB相電流Ibとで丁度発生トルクが補間し、連続するように通電することにより均一なトルクTmを生成している。
以上の説明により、図1、図3で示すモータは、A相電流IaとB相電流Ibの2個の片方向電流の通電により、連続トルクの発生が可能であり、連続回転が可能であることが解った。トルクの特性についても、原理的に均一なトルクの生成が比較的容易であり、振動、騒音などの少ない高品質な回転が期待できる。ただし、図5、図6で示した方法は片方向のトルク発生と回転駆動の方法である。
図1、図3、図6では、A相ステータ磁極とB相ステータ磁極、および、ロータのS極磁極、X極磁極、N極磁極の幅が電気角で120°の場合について説明した。ここで改めて、同一の制御状態で、電気角で180°以上の角度幅を均一トルクで駆動できる条件について考えてみる。本発明では、ステータ磁極が同一の電流制御状態でトルク発生が2個のロータ磁極にわたってトルク発生を行っている。この条件から考えて、ロータのX極磁極の円周方向幅θxと少なくとも片方のステータ磁極の円周方向幅とが等しければ良い。例えば、A相磁極幅とX極時極幅とが110°幅でも良い。
次に、本発明のモータの独特な電流通電方法について説明する。
図6の(c)と(d)に、片方向電流であるA相電流IaとB相電流Ibをほぼ電気角180°ずつ、交互に通電して一定のトルクを発生させる方法を示した。このA相電流IaとB相電流Ibを通電する具体的な駆動回路の例を図9から図13に示しており、後に説明する。2個の片方向電流なので、MOSFETあるいはIGBTなどの電力制御素子を2個で制御し、モータを回転駆動することも可能である。電力制御素子の数が少ないと、電力制御素子のドライブ制御回路も少なくてすみ、制御の演算なども簡単になることから、コストの低減が容易となる。また、電力制御部の小型化、高効率化なども容易となることが多い。なお、以降では各種の電力制御素子を総称してトランジスタと称する。
なお、図6の(c)と(d)に示す片方向電流であるA相電流IaとB相電流Ibを通電して全回転域について均一なトルクを発生できるのは片方向回転に限定される。図6の(a)、(b)に示すような電圧特性であり、片方向回転に都合の良いモータ特性としている。片方向回転モータの用途は、ファン、コンプレッサ、家電など多くの用途がある。 また、図6の(c)と(d)に示す片方向電流の位相を変え、図6の(a)、(b)の電圧が負となっている領域で電流を通電することにより負のトルクを発生し、回転を制動することもできる。あるいは、負のトルクにより逆回転方向へ回転させることもできる。ただし、その場合は、負のトルクが不連続となり、トルクリップルは増加する。
次に、トルクリップルが多少増大しても大きな平均トルク出力が必要な場合は、各相電流の通電幅を広げることにより発生トルクを増大することもできる。例えば、図6の(a)、(b)の電圧波形と同じく、電流の通電幅を電気角で240°まで広げることができる。図6の(f)は通電幅を240°に広げたA相電流Iaの波形であり、図6の(g)は通電幅を240°に広げたB相電流Ibの波形である。図6の(h)はこの時のトルクである。両電流の電流振幅は変えずに、平均トルクが4/3倍に増加している。
なお、勿論、電流値を大きくすることによりトルクを増大することもできる。ただし、その場合には駆動用トランジスタの電流容量を大きくするなどの対応策が必要となる。
図6の(h)に示したトルク特性は、トルクリップルが大きくなっており、モータ出力として品質が問題となることもある。このトルクリップルを低減する方法として、図6の(i)に示すようなトルク補償を行うことにより、モータのトルクリップルを低減することができる。具体的には、A相電流Iaは、図6の(f)の電流波形に図6の(i)を乗算した電流波形とし、B相電流Ibは、図6の(g)の電流波形に図6の(i)を乗算した電流波形とし、通電する方法である。理論的にはトルクリップルが零となる。現実には、トルクリップルが零とならなくとも、少しでも低減できればトルクリップルの問題を低減することができる。
なお、ここでは、2個の片方向電流の場合のトルクリップル補償制御について説明したが、後に示すような電流が正負両方向の電流である場合についても、トルク補償の考え方は同じである。
図9に具体的な駆動回路の例を示す。
105はA相巻線Wa、106はB相巻線Wbであり、その誘起電圧特性は、例えば、図5の(i)、(j)である。2Eは直流電圧源である。101はA相巻線105に電流を通電するトランジスタで、107はトランジスタ101がオフとなる時にA相電流Iaを通電して磁気エネルギーを回生するダイオードである。102はB相巻線106に電流を通電するトランジスタで、108はトランジスタ102がオフとなる時にB相電流Ibを通電して磁気エネルギーを回生するダイオードである。
破線で示す10Eは、回生されたモータの磁気エネルギーを前記直流電圧源2Eへ充電する機能を成す、いわゆる、DC−DCコンバータである。10Cは磁気エネルギーを充電するコンデンサで、10Aは放電用トランジスタ、LDccはチョークコイル、10Bはダイオードである。トランジスタ10Aをオン、オフして電流を通電することにより、コンデンサ10Cに充電された電荷を直流電圧源2Eへ移動させることができる。トランジスタ10Aをオンすることによりコンデンサ10Cから電流が放電され、トランジスタ10AのオフすることによりチョークコイルLDccに溜まった磁気エネルギーをダイオード10Bを介して直流電圧源2Eへ移動する。
A相巻線105へA相電流Iaを通電する方法は、例えば、パルス幅変調PWMにより、トランジスタ101をオンしてA相電流Iaを増加させ、オフすることによりA相電流Iaがダイオード107を介してコンデンサ10Cへ充電するように作用させて減少させ、適切な電流値となるようにトランジスタ101のオン幅とオフ幅とを制御する。
B相巻線106へB相電流Ibを通電する方法もA相電流Iaの制御と同様に、トランジスタ102のオン幅とオフ幅とを制御する。
図9に示す駆動回路は多数の小型モータを駆動する場合に、破線で示す前記DC−DCコンバータ10Eを共通回路として使用することができるので、総合的には低コストなモータ駆動回路となる。特に、多数の小型モータが同時に回転することが無い用途では、記DC−DCコンバータ10Eは小容量なものとすることもできる。
また、ダイオード10Fと10Gの付加により、前記説明とは異なった作用を付加することもできる。図1のモータ構造から視覚的にも分かるように、A相巻線1A、1Bを通過する磁束の一部はB相巻線1C、1Dも通過する。すなわち、両巻線に共通の鎖交磁束があり、相互インダクタンスがあるとも言える。特に、C1相ステータ磁極15の円周方向幅θc1とC2相ステータ磁極16の円周方向幅θc2とが小さくて、A相ステータ磁極13の円周方向幅θaとB相ステータ磁極14の円周方向幅θbが大きい場合は、両巻線を通過する共通の鎖交磁束の割合が高くなる。ただし、図1から分かるように、それぞれの巻線の電流が発生する起磁力方向が逆向きなので、両巻線へ通過する前記共通磁束の方向は相互に逆向きとなる。
このような磁気的関係となっているので、図9の駆動回路でダイオード10Fと10Gの付加している場合の動作は、次のようになる。トランジスタ101がオンしてA相巻線105へA相電流Iaが流れている状態でトランジスタ101がオフすると、A相巻線105とB相巻線106との共通の鎖交磁束成分については、B相巻線106へダイオード10Gを介して逆向きの電流成分Ia2が流れ始める。そして、その磁気エネルギー成分は徐々に直流電圧源2Eへ回生する。一方、A相電流Iaと鎖交するがB相巻線106とは鎖交しない磁束成分については、通電中のA相電流Iaの一部の電流Ia1がダイオード107を介しコンデンサ10Cへ流れ、その磁気エネルギー成分が回生することになる。2つの回路系統で磁気エネルギーが回生されることになる。
トランジスタ102がオン、オフしてB相巻線へB相電流Ibを制御する場合においても、前記A相電流Iaの制御の場合と同様である。また、このように相互に他方の巻線を使用して磁気エネルギーを回生する作用は、両巻線に共通に通過する磁束の比率が高い特性のモータの場合には特に効果的である。なお、MOSFETの場合は逆並列に寄生ダイオードが存在することが多いので、トランジスタ101、102に逆並列に配置したダイオード10F、10Gを付加する必要が無い場合が多い。
(実施例2)
次に、4個のトランジスタで2個の直流電流を制御する回路の例について図10に示し説明する。
2個のトランジスタ111と112をオンすることによりA相巻線105へA相電流Iaを増加し、2個のトランジスタ111と112をオフすることによりA相電流Iaがダイオード115と116を介して直流電圧源2Eへ流れ、回生しながら減少する。そして、2個のトランジスタ113と114をオンすることによりB相巻線106へB相電流Ibを増加し、2個のトランジスタ113と114をオフすることによりB相電流Ibがダイオード117と118を介して直流電圧源2Eへ流れ、回生しながら減少する。
また、図10の回路においても、A相巻線105とB相巻線106の磁気的相互作用すなわち相互インダクタンスを利用して磁気エネルギを回生することができる。図10の駆動回路の場合は、ダイオード11A、11B、11C、11Dを付加することにより、図9の駆動回路の場合と同様な動作を実現することができる。
(実施例3)
次に、2個の直流電圧源2Eと231がある場合の例を図11に示し説明する。
トランジスタ221をオンすることによりA相巻線105へA相電流Iaを増加し、トランジスタ221をオフすることによりA相電流Iaがダイオード224を介して直流電圧源231へ流れ、回生しながら減少する。そして、トランジスタ222をオンすることによりB相巻線106へB相電流Ibを増加し、トランジスタ222をオフすることによりB相電流Ibがダイオード223を介して直流電圧源2Eへ流れ、回生しながら減少する。また、A相巻線105とB相巻線106の磁気的相互作用すなわち相互インダクタンスを利用して磁気エネルギを回生することもできる。
図11の駆動回路の場合は、ダイオード225、226を付加することにより、図9の駆動回路の場合と同様な動作を実現することができる。
また、コンデンサ227と228を利用して、図11に示した2個の電源がある場合と等価な制御を行う例を図12に示す。図12の回路動作は図11の場合と同じであり、直流電圧源が1個でありながら回路の簡素化が可能である。
(実施例4)
次に、回路が簡素である例を図13に示し説明する。
2個のトランジスタ211、212で2個の直流電流Ia、Ibを作り出す。このトランジスタはいわゆるアバランシェ特性を強化したトランジスタで、トランジスタのベース電流がオフの状態でも、大きな電圧がコレクタとエミッタ間に印加されるとツェナーダイオードのように電圧が降伏して電流が流れる特性のトランジスタを使用する。
図13で、トランジスタ211をオンすることによりA相巻線105へA相電流Iaを増加する。トランジスタ211がオフするとコレクタとエミッタ間の電圧がアバランシェ特性の電圧となり、A相電流Iaは減少する。PWM制御などで前記動作を繰り返してA相電流Iaを通電し、制御する。B相巻線106のB相電流Ibについても同様に制御する。このように2個のトランジスタで2個の直流電流を制御することが可能である。駆動回路の部品の数が少なく、低コスト化することができる。
しかし、過大な電流を減少させる時に、モータの磁気エネルギーの一部をトランジスタで熱として消費するため、全体の効率の問題、発熱の問題、トランジスタの発熱等による破損の可能性について考慮する必要がある。
図13の駆動回路においても、A相巻線105とB相巻線106に共通に鎖交する磁束の磁気エネルギーを他方の巻線を活用して回生する手法が使える。すなわち相互インダクタンスを利用して磁気エネルギを回生することができる。図13の駆動回路の場合は、ダイオード213と214を付加することにより、図9の駆動回路の場合と同様な動作を実現することができる。MOSFETの場合は逆並列に寄生ダイオードが存在することが多く、実際にはダイオードを付加する必要がないことが多い。
具体的な動作としては、まず、トランジスタ211をオンすることによりA相巻線105へA相電流Iaを増加する。トランジスタ211がオフするとA相巻線105とB相巻線106との共通の鎖交磁束成分については、B相巻線106へダイオード214を介して逆向きの電流成分Ia2が流れ始める。そして、その磁気エネルギー成分は徐々に直流電圧源2Eへ回生する。
一方、A相電流Iaと鎖交するがB相巻線106とは鎖交しない磁束成分については、通電中のA相電流Iaの一部の電流Ia1がコレクタとエミッタ間のアバランシェ特性の電圧に流れ、A相電流Iaは減少する。このようにしてA相電流Iaの増減をPWMなどにより制御することができる。このような動作では、A相電流Iaにかかわる磁気エネルギーの一部はB相巻線を利用して直流電圧源2Eへ回生され、一部はアバランシェ特性トランジスタの内部で吸収、発熱することになる。
B相の動作についてもA相と同様である。数W程度の小さなモータの場合、発熱量は小さく、部品点数が少ないことによるコスト低減が優先できる用途もある。
(実施例5)
次に、図1から図6に示したモータの効率を改善する方法を図7に示し説明する。
具体的には、C1相ステータ磁極143の円周方向幅θc1とC2相ステータ磁極144の円周方向幅θc2およびロータのX極磁極146の円周方向幅θxを小さくする方法である。図7の(a)に示す141はA相ステータ磁極、142はB相ステータ磁極である。図7の(b)に示す145はS極磁極、147はN極磁極である。
この方法は、同時に、図13の駆動回路などにおいてアバランシェ特性を使用する時のトランジスタ内部のエネルギー消費を低減する方法でもある。
図7は、図5に比較し、C1相ステータ磁極143の円周方向幅θc1とC2相ステータ磁極144の円周方向幅θc2およびロータのX極磁極146の円周方向幅θxをそれぞれ1/2としたモータモデルである。それぞれ電気角で、θa=θb=150°、θc1=θc2=30°、θx=60°、θn=θs=150°である。A相巻線WaとB相巻線Wbの誘起電圧が大きくなるように形状を変更している。
図7の(a)から(h)までの相対的な位置関係は、図5の(a)から(h)と同じである。図7の(i)は、ロータが一定回転速度で回転する状態におけるA相巻線Waの誘起電圧(A相電圧Va)であり、(2)式の関係より求めている。
図7の(j)はB相巻線Wbの誘起電圧(B相電圧Vb)であり、(10)式の関係より求めている。図7の(k)は、C1相ステータ磁極143を通過する磁束φc1とC2相ステータ磁極144を通過する磁束φc2の和の時間変化率であって、仮想のC相巻線の誘起電圧に相当する。(20)式あるいは(21)式から求めることができる。
図8は図7に関連する電圧、電流、トルクの例である。図8の(a)は図7の(i)と同じでA相電圧Vaであり、(c)はA相電流Iaの例である。図8の(b)は図7の(j)と同じでB相電圧Vbであり、(d)はB相電流Ibの例である。図8の(e)はこの時のトルクTである。
次に、図7、図8の例では、図5、図6に比較して、トルクを増大できることを説明する。図7の(i)のA相電圧Vaは、図5の(i)に比較して、正の部分の値の幅は240°から210°へ狭くなっているが、正の幅210°の中の中央部分の90°幅は電圧が2倍になっている。従って、正の幅210°の中の中央部分の180°幅は電圧平均値が1.5倍に増加している。この結果、この間に均一なA相電流Iaを通電すれば、トルクが1.5倍に増加することが見込める。図7の(j)のB相電圧Vbは、図5の(i)に比較して、同様に1.5倍であり、トルクが1.5倍に増加する。従って、モータ効率の向上が見込める。
さらにトルクを増加するためには、図8の(c)のA相電流Ia、および、図8の(d)のB相電流Ibに示すように、それぞれの巻線電圧が正である区間の全てで電流を通電することができる。図8の(e)がその時のトルク出力である。この方法が、片方向電流の通電でトルク平均値を最大にできる方法である。ただし、図8の(e)に示すように、電圧の凹凸が大きく、トルクリップルは小さくない。
このように、トルクを向上しモータ効率を向上するために、図1に示したモータ構造を変形することができる。そして、モータ全周に渡って連続的にトルクが得られるためには、A相ステータ磁極141が発生するトルクの正の部分と、B相ステータ磁極142が発生するトルクの正の部分との和が電気角で360°以上である必要がある。その必要条件は次式と言える。
θa+ θx>180° あるいは θb+ θx>180° (24)
例えば、θa+ θx=185°であれば、(θb+ θx)は175°以上であれば良い。この時、A相電流IaとB相電流Ibが片方向電流であっても、モータ全周にわたって正のトルクを生成することが可能である。
ステータとロータ間の漏れ磁束などを無視して、単純に考えると、図7のC1相ステータ磁極143の円周方向幅θc1とC2相ステータ磁極144の円周方向幅θc2およびロータのX極磁極146の円周方向幅θxをそれぞれ小さくすることにより平均トルクを向上することが可能となる。図1で考えて、前記θc1とθc2とθxを小さくすると、A相巻線1A、1Bを通過する磁束がB相巻線1C、1Dも通過する比率が大きくなる。極端には、前記θc1とθc2とθxが零に近づくと、A相巻線1A、1Bを通過する磁束のほとんどがB相巻線1C、1Dを通過することになる。
このようにトルク向上を図ったモータの電流駆動を図13で行う場合について考える。トランジスタ211をオンすることによりA相巻線105へA相電流Iaを増加する。トランジスタ211がオフすると、A相電流Iaにより励起された磁束成分で、かつ、B相巻線に鎖交している磁束成分はB相巻線Wbに逆方向電圧を誘起し、ダイオード214を介して電流成分Ia2が流れ始め、その両巻線に鎖交する磁気エネルギー成分は直流電圧源2Eへ回生しながら電流Ia2が減少していく。残りの磁気エネルギー成分は、トランジスタ211のアバランシェ特性で決まるアバランシェ電圧にA相電流成分Ia1が流れてトランジスタ内で消費され熱となり、A相電流成分Ia1が減少して行く。
次にトランジスタ211をオンすると、その時点のA相電流Iaの値が増加し始める。このようにPWM的にA相電流Iaの増減を繰り返してA相電流Iaの制御を行うことができる。なお、ここで対象としている磁束および磁気エネルギーとは、永久磁石が供給している磁束成分および磁気エネルギー成分ではなく、A相とB相の電流が生成する磁束成分および磁気エネルギー成分である。
前記説明ではA相について説明したが、実際には、上記動作にB相電流の制御が重なり、複雑な電圧、電流の制御となる。本発明モータの特性を図13に都合のよい特性にすれば、エネルギーの供給と回生を効率よく実現することができ、回生が困難な残りの磁気エネルギー成分をトランジスタのアバランシェ特性で吸収することができる。例えば、図10の駆動回路に比較すると、回路素子数が少なく、トランジスタのオン損失も少なくできる。
(実施例6)
ここまでは、本発明モータの巻線へ片方向電流を通電する方法について説明した。
次に、モータトルクをさらに向上するために電流を両方向電流とする例について図14に示し説明する。
図14の(a)と(b)はA相電圧VaとB相電圧Vbであり、図8の(a)と(b)と同じ値である。図14の(c)はA相電流Iaであり、A相電圧Vaが正の値の時には正の電流を通電し、A相電圧Vaが負の値の時には負の電流を通電している。
図14の(d)はB相電流Ibであり、B相電圧Vbが正の値の時には正の電流を通電し、B相電圧Vbが負の値の時には負の電流を通電している。図14の(e)はこの時のトルク出力Tである。なお、モータトルクは、モータの内部損失を無視すると、(22)式、(23)式で表されるので、電圧の凹凸がトルクリップル成分として現われる。
図14のような通電方法が、図1と図7で示したモータに両方向電流を通電して平均トルクを最大とする方法である。ただし、図14の(e)のトルク出力Tに示すように、トルクリップルは小さくない。
(実施例7)
次に、図14の(a)から(d)に示す電圧、電流を供給する駆動回路の例を図15に示す。WaはA相巻線で、TR1、TR2、TR3、TR4はトランジスタであり、よく知られたいわゆるHブリッジを構成していて、交流電流を供給する。同様に、WbはB相巻線で、TR5、TR6、TR7、TR8はトランジスタであり、よく知られたいわゆるHブリッジを構成していて、交流電流を供給する。前記の2組のHブリッジは電気作用的に独立しているので、両巻線へ独立に任意の電流を通電することができる。従って、図14に示したような電圧、電流を問題なく出力することができる。また、正負の両方向電流を通電できるので、モータ回転方向についても両方向に回転制御することができる。しかし、トランジスタの数が8個と多くなる点に課題が残る。
図16にトランジスタの数を6個に低減する駆動回路の例を示す。
トランジスタTR21、TR22はA相巻線WaとB相巻線Wbに共通の駆動回路であり、電流(Ia−Ib)を出力する。トランジスタTR23、TR24はA相巻線Waの負側の電流(−Ia)を出力する。トランジスタTR25、TR26はB相巻線Wbの正側の電流(Ib)を出力する。
A相電圧VaはB2の電位に対するB1の電位であり、B相電圧VbはB1の電位に対するB3の電位である。
巻線の電流と磁束との関係については、図1に示すA相巻線Waの1A、1BとB相巻線Wbの1C、1Dの巻回方向を考慮して電流方向を決めている。例えば両巻線を通過する磁束φcomが図1のB相磁極14からA相磁極13の方向へ通過すると成分について考えると、前記磁束φcomに対して同一方向の起磁力を生成するためには、A相電流Iaを正の値に、B相電流Ibを負の値にする。共通磁束φcomに対しては、両電流は逆方向に通電する必要がある。これらの逆方向の両電流は図14の(c)と(d)の大半の部分に相当する。0°から30°にかける電流値など、一部の両電流は同一方向の電流である。そして、電圧も同一方向である。この区間では、A相電圧VaとB相電圧Vbが共に最大電圧の1/2であり、電流がB3の点からB1の点を経由してB2の点に両巻線を直列に流れる。
図1と図7と図14に示した本発明モータの巻線の電圧と電流の特性は、単相モータの電圧と電流の特性に近いので、トランジスタTR21とTR22を両巻線駆動に共用することが可能となり、図16の6個のトランジスタによる2相の電流の駆動が可能となっている。また、正負の両方向電流を通電できるので、モータ回転方向についても両方向に回転制御することができる。
図16の駆動回路で図14のように通電とすることにより、電圧および電流に関して無駄の少ない駆動を実現することができる。3相交流モータをY結線で駆動する場合には、その電流経路の制約から、おおよそ2/3の部分は電力変換に役立っているが、残りの1/3は休止している。これに比較し、図14、図16に示した方法では、トランジスタの数は同じ6個であるが、TR23、TR24、TR25、TR26の電流容量を1/2に近い小さな値にすることができる。6個のトランジスタ合計の電流容量では、3相交流モータに比較し、2/3に近い小さな値にすることができる。従って、低コスト化、小型化を実現することができる。
図1に示すような本発明モータに、図14に示すような2相の両方向電流を通電すると、ほとんどの区間で両巻線がトルクを発生することになり、モータ各部がトルク発生に寄与する利用率が100%に近くなる。従って、3相交流モータの各部がトルク発生に寄与する利用率が2/3で66.7%であることに比較して、本発明モータの方が効率が高いと定性的に言える。具体的には、3相交流モータの3相巻線の銅線配置容積の中に本発明モータの2相巻線を配置することになり、巻線抵抗を概略2/3に低減できることになる。従って、銅損を低減でき、小型化、低コスト化が可能となる。
(実施例8)
次に、図1のモータの巻線をそれぞれ並列する2個の巻線に置き換える方法について、図17に示し説明する。
巻線N61とN62は、図1のA相巻線1A、1Bを2個の並列する巻線に置き換えたもので、N61とN62の巻き始め、巻き終わりは逆方向となっている。その磁気的極性を図17では巻線シンボル近傍に点で示している。同様に、巻線N63とN64は、図1のB相巻線1C、1Dを2個の並列する巻線に置き換えたもので、N63とN64の巻き始め、巻き終わりは逆方向となっている。その磁気的極性を図17では巻線シンボル近傍に点で示している。それぞれの並列巻線の鎖交磁束は共通していて、相互インダクタンスで磁気的に結合されている。並列巻線はいわゆるバイファイラ巻きとすることもできる。
図17においてPWM制御で電流制御を行う場合、A相電流Iaを通電するためにトランジスタN71をオンしてA相電流Ia1を増加する。
次に、トランジスタN71をオフするとA相電流Ia1は遮断され零となり、同時に、ダイオードN73を介して巻線N62へA相電流Ia2が流れ始め、直流電圧源2Eへ巻線の磁気エネルギーが回生され、A相電流Ia2は徐々に減少する。トランジスタN71をオフする前後のA相電流Ia1とIa2の大きさは等しい。両巻線は磁気的に結合しているので、電流の流れる場所を切り替えることができる。
次に、トランジスタN71をオンするとA相電流Ia1はIa2の値まで急激増加し、同時にIa2は零になる。その後、A相電流Ia1は時間と共に増加する。以降、同様の動作を繰り返しながら、A相電流Ia1とIa2の電流を制御することができる。
B相の電流Ib1とIb2についてもA相電流と同様に制御することができる。実際には、A相電流とB相電流とが同時に制御されることになり、A相巻線N61、N62に鎖交する磁束の一部はB相巻線N63、N64へも鎖交するので少し複雑な現象となる。A相電流とB相電流のPWM制御の同期化を行うなどの工夫が、全体の電磁気的作用を単純化するために効果的である。
図17に示した方法は、2個のトランジスタで駆動できるので、駆動回路を簡素化することができる。巻線の磁気エネルギーを効率良く直流電圧源に回生することもできる。アバランシェ特性に優れたMOSFETを使用する場合にも、MOSFETの内部での熱損失を低減することができる。ただし、モータはやや複雑になり、巻線抵抗が増加する。
(実施例9)
次に、図18に、図17で示したモータ構成と同一で両方向電流を通電する方法を示す。A相巻線側は、負の電流を駆動するトランジスタM41とダイオードM42を追加している。B相巻線側は、負の電流を駆動するトランジスタM43とダイオードM44を追加している。正側と負側を電気的、磁気的に対称に構成していて、電流を正の値と負の値に制御することができる。即ち、図17で示し説明した正の電流制御と同様に負の電流制御を行うことができる。
図18のA相電流Ia1、Ia2を負の値に制御する場合は、トランジスタM41を前記の説明と同様にオン、オフして制御する。B相電流Ib1、Ib2を負の値に制御する場合は、トランジスタM43を前記の説明と同様にオン、オフして制御する。
図18の構成とすることにより、A相巻線およびB相巻線へ両方向電流を通電することが可能となり、図15あるいは図16の駆動回路構成と同じ機能を実現することができる。また、図17の構成に比較してモータ効率を向上することができる。さらに、正負の両方向電流を通電できるので、モータ回転方向についても両方向に回転制御することができる。
(実施例10)
図19に本発明モータのシステム全体の構成例を示す。また、トルクリップルを低減する補償器の構成例NF1を示す。
NC9は本発明モータ、105はA相巻線、106はB相巻線である。NB1はA相電流を検出するシャント抵抗、NB2はB相電流を検出するシャント抵抗である。NCBは両巻線の電圧とシャント抵抗の電圧降下信号からモータ電流値を検出し、モータ回転位置を検出する手段である。通常、小型モータの場合、低コスト化のため、センサレス位置検出が行われることが多い。θrはロータ回転位置、NCEはA相電流検出値、NCFはB相電流検出値である。
ωrcはロータ回転数指令値、NCDはロータ回転位置θrからロータ回転速度ωrを検出する速度演算器である。NC1は速度誤差検出器であり、速度誤差信号NC2を出力する。NC3は速度誤差補償器で、NC4はトルク指令値である。
NF1はトルクリップルを低減する補償器である。回転位置θrに固有のトルクリップルが図6の(h)のように発生することが分かっているので、図6の(i)に示すような回転位置θrに応じた補償係数を入力NC4に乗ずることにより、トルクリップルを低減することが可能な電流振幅指令であるNF2を出力する。
NC5は回転位置θrに応じた図6の(f)および(g)に示すようなA相とB相の電流パターンの値に電流振幅指令NF2を乗じて、A相電流指令値NC6とB相電流指令値NC7を出力する。
NC8は電流制御部で、A相電流指令値NC6からA相電流検出値NCEを差し引いてフイードバックし、その差分からA相電圧指令を作り、電力制御部で増幅してA相巻線105へ電圧を印加する。そして、B相電流指令値NC7からB相電流検出値NCFを差し引いてフイードバックし、その差分からB相電圧指令を作り、電力制御部で増幅してB相巻線106へ電圧を印加する。
図19に示したように、モータの平均トルクを向上するために、トルクリップルが発生するような通電モードで制御する場合においても、そのトルクリップルを逆補正するように補償制御することにより、トルクリップルを低減して制御することができる。
(実施例11)
次に、図5、図7などに示すロータのX極磁極を構成する方法を図20の(a)から(d)に示し説明する。
ここで、紙面で水平方向はロータ円周方向で、垂直方向はロータ軸方向である。前にも述べたように、ロータのX極磁極の磁気的な特性は、S極とN極の間の磁気特性である。従って、空気や樹脂であっても良い。この場合、ロータを簡素化することができる。
しかし、モータの振動、騒音は、ステータとロータ間の吸引力の変動に起因して発生することが多い。吸引力の変動がステータの歯に発生し、ステータコアを振動させる減少となる。例えば、X極磁極が樹脂の場合、歯と樹脂の間の吸引力は零となるので、回転時に各ステータの歯にかかるラジアル方向吸引力の変動の原因となり、モータの振動および騒音の原因となる可能性がある。
図20に示すX極磁極の各構成は、ステータとロータ間の吸引力をS極やN極と同等とし、かつ、磁気的にはS極とN極の間の特性とする構成例である。
図20の(a)に示すX極磁極は、S極磁石122とN極磁石121をロータ軸方向へ並列に配置した例である。このX極磁極全体としては磁気特性は平均値なので中間の磁気特性となる。そして、ステータとこのX極磁極の各部との間では磁束密度は高く、相互の吸引力はS極やN極と同様に発生する。従って、ロータが回転する時、各ステータの歯にかかるラジアル方向吸引力の変動を小さくすることができる。
図20の(b)に示すX極磁極は、多くのS極磁石124とN極磁石123とをほぼ均等に分散して配置した例である。
図20の(c)に示すX極磁極は3角形状のS極磁石126、128とN極磁石125、127とを組み合わせた例である。図20の(d)に示すX極磁極は、台形状のS極磁石12AとN極磁石129とを組み合わせた例である。なお、樹脂などの非磁性体を永久磁石の代わりに混在することもできる。
図21の(b)は、図5に示したS極磁極、N極磁極と図20に示したX極磁極とを組み合わせた構成である。さらに図21の(c)、(d)、(e)のように変形することもできる。165、167、169、16BはN極磁極の例であり、166、168、16A、16CはS極磁極の例である。なお、S極磁極とN極磁極とは個別の磁石の組合わせではなく、同一磁石素材へ着磁によってその磁極形状を作り出すこともできる。
図20、図21のようにX極磁極を複数の永久磁石を組み合わせて構成することにより、ロータが回転する時、各ステータの歯にかかるラジアル方向吸引力の変動を小さくすることができ、モータの振動および騒音を低減することができる。
(実施例12)
次に、本発明モータを4極以上の多極のモータとして構成することを前提に、円周上の複数のX極磁極の平均値で所望のX極磁気特性を得る方法を図22に示し説明する。
図22の(b)の0°から720°にかける磁気特性の平均値は、図5の(b)と等価な磁気特性となっている。S2B、S2CはS極磁極であり、S29、S2AはN極磁極である。図22の(c)は、図22の(b)を電気角で360°円周方向にシフトした特性である。S2HはS極磁極であり、S2JはN極磁極である。この状態で、図22の(b)と(c)を足し合わせた形状は、図22の(d)となる。S2N、S2Q、S2SはS極磁極であり、S2P、S2RはN極磁極である。
そして、図22の(d)は、図21の(b)と同じ形状である。
この結果から分かるように、図5の(b)の0°から720°の間の2箇所のX極磁極の位置へ、S極とN極を配置することにより、その合計平均値はS極とN極の中間となり、時期的に中性の磁極となる。すなわち、図22の(b)の形状により、X極磁極をS極とN極とで構成できたことになる。図22の(b)は単純な形状であり、製作が容易である。また、S極とN極とで作ることができるので、着磁パターンを変えるだけで構成することもできる。
(変形例)
以上、本発明の実施例について説明した。なお、本発明のモータは説明した構成に限らず、発展あるいは変形を行うことも可能であり、本発明に含むものである。例えば、ステータの各部形状の変形、ロータ各部形状の変形、各部コアの分割および組み合わせなどが可能である。巻線についても、丸線、角線などの巻線形状の種類、切断あるいは溶接などの巻線製作方法の選択が可能である。
アウターロータモータ、2個のモータを内径側と外形側に組み合わせた複合型のモータ、アキシャルギャップ型のモータ、環状巻線と3次元形状磁路で構成するモータ、リニアモータなどへ変形することができる。
ロータについても、表面磁石型のロータを説明したが、磁石内蔵型のロータ、巻線界磁型のロータ、クローポール型のロータなどが可能である。永久磁石の種類についても種々特性の永久磁石使用することができ、いわゆるボンド磁石、他種の永久磁石を組み合わせなども使用することもできる。
駆動回路についても種々変形が可能である。例えば、電圧、電流の制御法についても、いわゆるPWM制御であるパルス幅変調制御を前提に説明したが、種々の電流制御法を適用できる。
高速回転制御の場合などには、巻線を分割するなどの方法によりいわゆる巻線切り替え方式も適用できる。また、界磁磁束の大きさを変更する機械的な磁束量制御の構成とすることも可能である。磁石の強さを可変する、いわゆる磁石可変制御も適用することができる。
ロータの位置検出、速度検出の目的で、エンコーダを使用しない、いわゆるセンサレス制御を適用することができる。モータ電流値を検出するいわゆるセンサレス電流検出も適用することができる。
本発明のモータは、モータ巻線が集中巻きの2個の巻線で簡素な構成としており、モータの製作が容易で巻線占積率も高くできる。その特有な駆動回路は、直流電流で駆動可能であることから制御回路を簡素化することができる。そして、簡素なモータ構成でありながら、トルクリップルが原理的に小さくできる特性なので、低騒音、低振動の実現が容易である。駆動回路を簡素化できるモータ構成、特性である。これらのことから、広範囲な用途に活用することができる。分野的には、自動車用、家電用、OA用、産業用などの各種機器の駆動用モータとして利用することができる。
また、両方向電流で制御する場合には、電流の波形率を改善できることから、トルクを増大することができる。そして、モータの効率を向上することができる。また、大半の時間領域で、A相磁束、A相巻線、B相磁束、B相巻線をトルク発生に活用できるので、概略1/3の部分がトルク発生に使用できない3相交流モータのY結線構成より優れている面がある。すなわち、本発明モータのトルクリップルの問題点はあるものの、平均トルク、平均パワーの点で比較すると、高効率化、小型化、低コスト化が可能である。そして、単相モータに近い電磁気特性なので、駆動回路のトランジスタ電流容量を低減することができ、インバータの小型化、低コスト化が可能である。これらのことから、電気自動車の主機モータ、ハイブリッド自動車の駆動用モータ、コンプレッサ用の駆動モータなどの動力用モータとして利用することができる。
13 A相のステータ磁極
14 B相のステータ磁極
15 C1相のステータ磁極
16 C2相のステータ磁極
1A A相ステータ磁極を励磁するA相巻線
1B A相ステータ磁極を励磁するA相巻線
1C B相ステータ磁極を励磁するB相巻線
1D B相ステータ磁極を励磁するB相巻線
1E ロータ軸
1F ステータのバックヨーク
θa A相のステータ磁極の円周方向幅
θb B相のステータ磁極の円周方向幅
θc1 C1相のステータ磁極の円周方向幅
θc2 C2相のステータ磁極の円周方向幅

Claims (14)

  1. 永久磁石を使用するブラシレスモータであって、
    ステータに配置するA相ステータ磁極SPaと、
    前記A相ステータ磁極を励磁するA相巻線Waと、
    前記A相ステータ磁極と同一の円周上に配置するB相ステータ磁極SPbと、
    前記B相ステータ磁極を励磁するB相巻線Wbと、
    前記A相ステータ磁極と同一の円周上に隣接して配置していてステータとロータとの間に磁束を通過させるC1相ステータ磁極SPc1と、
    前記A相ステータ磁極と同一の円周上に隣接して配置していてステータと前記ロータとの間に磁束を通過させるC2相ステータ磁極SPc2と、
    前記ロータのN極磁極と、
    前記ロータのS極磁極と、
    磁気的に前記ロータのN極磁極とS極磁極との間の磁気的特性を示す第3のロータ磁極であるX極磁極とを備え、
    少なくとも前記ステータ磁極SPaとSPbの内の片方のステータ磁極の円周方向磁極幅が電気角で180°以下であることを特徴とするモータ。
  2. 請求項1に記載したモータにおいて、
    前記X極磁極の円周方向幅をθxとし、前記A相ステータ磁極の円周方向幅をθaとし、前記B相ステータ磁極の円周方向幅をθbとして、前記θxが前記θaと前記θbとの少なくともどちらかの値と等しい値であることを特徴とするモータ。
  3. 請求項1に記載したモータにおいて、
    前記ロータの回転位置に応じて、前記A相巻線Waへ片方向電流であるA相電流Iaを通電し、
    前記ロータの回転位置に応じて、前記B相巻線Wbへ片方向電流であるB相電流Ibを通電し、
    前記両電流IaとIbを通電して回転駆動することを特徴とするモータ。
  4. 請求項1に記載したモータにおいて、
    第1のトランジスタTR1により前記A相巻線Waへ片方向電流であるA相電流Iaを通電し、
    第2のトランジスタTR2により前記B相巻線Wbへ片方向電流であるB相電流Ibを通電し、
    前記2個のトランジスタTR1、TR2により回転駆動することを特徴とするモータ。
  5. 請求項4に記載したモータにおいて、
    前記トランジスタTR1のコレクタへカソードを接続し、トランジスタTR1のエミッタへアノードを接続するダイオードDD1と、
    前記トランジスタTR2のコレクタへカソードを接続し、トランジスタTR2のエミッタへアノードを接続するダイオードDD2とを備えることを特徴とするモータ。
  6. 請求項4に記載したモータにおいて、
    前記トランジスタTR1とTR2のアバランシェ特性を活用して前記電流IaとIbを可変制御して回転駆動することを特徴とするモータ。
  7. 請求項1に記載したモータにおいて、
    前記ロータの前記X極磁極の円周方向幅θxが電気角で90°以下の値で、
    前記A相ステータ磁極の円周方向幅をθaとし、前記B相ステータ磁極の円周方向幅をθbとして、(θx+θa)と(θx+θb)との少なくともどちらかの値が180°以上であることを特徴とするモータ。
  8. 請求項1に記載したモータにおいて、
    前記ロータの回転位置に応じて、前記A相巻線Waの正負の誘起電圧に応じて正負の両方向電流であるA相電流Iaを通電し、
    前記ロータの回転位置に応じて、前記B相巻線Wbの正負の誘起電圧に応じて正負の両方向電流であるB相電流Ibを通電し、
    前記両電流IaとIbを通電して回転駆動することを特徴とするモータ。
  9. 請求項1に記載したモータにおいて、
    前記A相巻線Waの両端の端子がTa1とTa2であり、
    前記B相巻線Wbの両端の端子がTb1とTb2であり、
    両巻線WaとWbの誘起電圧の位相が近い方の端子がTa1とTb1であるとき、これらの両端子を接続し、
    直流電源PSの正側にトランジスタTR21を配置し、負側にトランジスタTR22を配置し、これら両トランジスタの接続点に前記の両端子Ta1とTb1を接続して、前記A相巻線Waの電流Iaと前記B相巻線Wbの電流Iaとの和である(Ia−Ib)の電流を通電し、
    直流電源PSの正側にトランジスタTR23を配置し、負側にトランジスタTR24を配置し、これら両トランジスタの接続点に前記の端子Ta2を接続して、前記A相巻線Waの負の電流(−Ia)を通電し、
    直流電源PSの正側にトランジスタTR25を配置し、負側にトランジスタTR26を配置し、これら両トランジスタの接続点に前記の端子Tb2を接続して、前記B相巻線Wbの負の電流(Ib)を通電して駆動することを特徴とするモータ。
  10. 請求項1に記載したモータにおいて、
    前記A相巻線Waは電気的に独立し、並列に巻回した2個の巻線Wa1とWa2であり、
    前記B相巻線Wbは電気的に独立し、並列に巻回した2個の巻線Wb1とWb2であることを特徴とするモータ。
  11. 請求項1に記載したモータにおいて、
    モータのトルク脈動特性に応じて、モータトルクが低下するロータ回転位置θrではモータ電流を増加し、モータトルクが増大するロータ回転位置θrではモータ電流を減少して、モータのトルク脈動を低減して制御することを特徴とするモータ。
  12. 請求項1に記載したモータにおいて、
    前記ロータの前記X極磁極は空間あるいは樹脂などの非磁性体で構成することを特徴とするモータ。
  13. 請求項1に記載したモータにおいて、
    前記ロータの前記X極磁極は永久磁石のN極と永久磁石のS極とを使用して構成し、X極磁極の平均特性をN極とS極との間の磁気特性とすることを特徴とするモータ。
  14. 請求項1に記載したモータにおいて、
    前記ロータが2極対以上のモータであって、
    前記ロータの前記N極磁極とS極磁極との境界部を円周方向に反時計回転方向に移動した境界部RCCWと、
    前記ロータの前記N極磁極とS極磁極との境界部を円周方向に時計回転方向に移動した境界部RCWとを備え、
    前記ロータの円周方向の複数のロータ磁極の形状を電気角の0°〜360°に割り当てて見るとき、前記の境界部RCCWと前記境界部RCWとの円周方向の間に位置する2つ以上のロータ磁極の磁気的特性を合成して前記第3のロータ磁極であるX極磁極を構成することを特徴とするモータ。
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