JP6304478B2 - リラクタンスモータ - Google Patents

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Description

近年、エネルギー問題などが顕在化し、エアコンの高効率化が進められ、モータを使用したハイブリッド自動車、電気自動車の普及、開発も進められている。また、産業用モータに関する高効率化の規制なども注目されている。本発明はこれらのモータおよびその駆動技術の改良に関わるものである。すなわち、モータの高効率化、小型化、低コスト化、および、モータ駆動の低コスト化に関わるものである。
ハイブリッド自動車の主機モータや産業機械用の高精度、高応答モータ、そして、エアコンなどの家庭電化製品用のモータとして、永久磁石型の同期モータが多く使用されている。その一方で、リラクタンスモータの開発も進められ、製品化されてきている。リラクタンスモータの特徴は、高価な希土類磁石を必要としないので低コストであること、巻線が簡素な集中巻なので巻線巻回が容易であること、巻線占積率が高められるので巻線抵抗を小さくできること、コイルエンドのロータ軸方向長さが短くできること、堅牢なロータ構成であることから高速回転化により小型化、低コスト化できることなどの長所がある。
図29は、ステータの磁極が6個でロータの磁極が4個のスイッチトリラクタンスモータである。299はステータ、29Bはロータ軸である。29Aはロータの突極磁極で、30°幅で、全周に等間隔に4か所配置している。291はA相のステータ磁極で、集中巻巻線297、298を巻回している。292もA相のステータ磁極で、291と292が同時を励磁してロータに磁束を通過させる。293、294はB相ステータ磁極で、295、296はC相ステータ磁極で、それぞれに励磁用巻線を巻回している。この回転位置から反時計回転方向CCWへ回転するためには、B相ステータ磁極293と294励磁してロータの突極磁極を吸引してトルクを発生させる。次に、C相ステータ磁極295、296を励磁してCCWへ回転する。次に、A相ステータ磁極291、292を励磁してCCWへ回転する。このように順次ステータ磁極を励磁することにより、連続的な回転トルクを発生させることができる。
しかし、図29のスイッチトリラクタンスモータは、回転全域にわたって、使用する巻線は全巻線の1/3であり、巻線の利用率が1/3と低い。実質的に巻線抵抗が大きくなる問題がある。励磁電流の入り切り、磁束の増減が急激になり、ステータ及びロータが急激に歪むため振動、騒音が大きくなる問題がある。モータの磁束を誘起する励磁電流が必要なため、小さな電流領域でのトルクが小さく、その領域では効率が低いという問題がある。
図29は3相のリラクタンスモータの例であるが、単相のリラクタンスモータや2相のリラクタンスモータもある。特許文献2では環状巻線を備える単相および2相のリラクタンスモータの例が見られる。モータ構成が単純で、製作が容易で、モータ各部を駆動に活用する利用率を高くすることができる。しかし、これらの単相および2相では連続トルクを得ることが難しく、ロータ磁極の部分的な変形により、ステータ磁極とロータ磁極の間のエアギャップの大きさを工夫することなどが行われている。その結果、トルクリップルが大きくなるなどの問題がある。
特開2013−150492号公報(図2) 再公表特許WO2006/123659(図6、図7)
請求項1が解決しようとする課題は、各ステータ磁極がトルクを発生する回転角幅の拡大とトルクリップルの低減である。
請求項2が解決しようとする課題は、請求項1のモータのトルクの向上、トルクリップルの低減である。
請求項3が解決しようとする課題は、請求項1のモータの巻線構造の改良、高効率化、駆動インバータの簡素化、低コスト化である。
請求項4が解決しようとする課題は、請求項1のモータの巻線構造の改良、高効率化、駆動インバータの簡素化、低コスト化である。
請求項5が解決しようとする課題は、請求項1における簡素なモータ構成の実現である。
請求項6が解決しようとする課題は、請求項1のモータのトルクの向上とトルクリップルの低減である。
請求項7が解決しようとする課題は、請求項1のモータのロータの製作方法の改良と騒音の低減である。
請求項8が解決しようとする課題は、請求項1のモータの歯を通過する磁束の量を増大することである。
請求項9が解決しようとする課題は、請求項1のモータの励磁電流の負担を軽減することである。
請求項10が解決しようとする課題は、請求項1のモータの形態を変形し、環状巻線とクローポール状の磁路で構成して簡素化と低コスト化を行うことである。
請求項1に記載の発明は、A相のステータ磁極と、A相とは電気角で180°の位相差であるA/相のステータ磁極と、A相とは電気角で90°の位相差であるB相のステータ磁極と、A相とは電気角で270°の位相差であるB/相のステータ磁極と、4個以上のステータ磁極と、各ステータ磁極を励磁する巻線と、ロータの円周方向の単位角度幅のロータ軸方向の全長に渡る単位面積についてそのラジアル方向の磁気抵抗平均値R1Rが最も大きい第1の回転部と、前記第1の回転部の円周方向に隣接して配置された第2の回転部と、前記第2の回転部の円周方向に隣接して配置された第3の回転部とを備え、前記第2の回転部の円周方向の単位角度幅のロータ軸方向の全長に渡る単位面積についてそのラジアル方向の磁気抵抗平均値R2Rが前記第3の回転部の円周方向の単位角度幅のロータ軸方向の全長に渡る単位面積についてそのラジアル方向の磁気抵抗平均値R3Rの15%から85%の値であり、前記第1の回転部と前記第2の回転部と前記第3の回転部とで構成した第1のロータ磁極と、前記第1のロータ磁極と同様形状で電気角で180°の位相差である第2のロータ磁極とを備え、前記各相のステータ磁極の円周方向幅SSWは、電気角で90°以下であり、ロータの前記第2の回転部と前記第3の回転部との円周方向幅の合計が電気角で90°以上であるリラクタンスモータの構成である。
この構成によれば、各ステータ磁極がトルクを発生する回転角幅の拡大とトルクリップルの低減を行うことができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記第1のロータ磁極および第2ロータ磁極をNN1倍に多極化したロータ磁極と、
それぞれ(NN1−NN2)個の前記A相のステータ磁極と、前記A/相のステータ磁極と、前記B相のステータ磁極、および、前記B/相のステータ磁極を備えるリラクタンスモータの構成である。ここで、NN1は2以上の整数で、NN2は1以上で(NN1−1)以下の整数である。
この構成によれば、請求項1のモータのトルクの向上、トルクリップルの低減を行うことができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1において、A相のステータ磁極を励磁する電流成分をIaとし、B相のステータ磁極を励磁する電流成分をIbとして、スロットに通電すべき電流が(Ia+Ib)のスロットへ電流Ijを通電する巻線を巻回し、スロットに通電すべき電流が(Ia−Ib)のスロットへ電流Ikを通電する巻線を巻回し、スロットに通電すべき電流が(2×Ia)のスロットへ電流Imを通電する巻線を巻回し、
スロットに通電すべき電流が(2×Ib)のスロットへ電流Inを通電する巻線を巻回し、前記のそれぞれの通電すべき電流の値の正負の符号が逆の場合は逆向きにした巻線を巻回するリラクタンスモータの構成である。
この構成によれば、請求項1のモータの巻線構造の改良、高効率化、駆動インバータの簡素化、低コスト化を行うことができる。
請求項4に記載の発明は、請求項3において、前記の電流Imを通電する巻線とはスロットへ電流Ijを通電する巻線と電流Ikを通電する巻線とを巻回して構成し、前記の電流Inを通電する巻線とは電流Ijを通電する巻線と電流(−Ik)を通電する巻線とを巻回して構成するリラクタンスモータの構成である。
この構成によれば、請求項1のモータの巻線構造の改良、高効率化、駆動インバータの簡素化、低コスト化を行うことができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1、及び、請求項2において、少なくとも、前記A相のステータ磁極円周方向位置と前記A/相のステータ磁極円周方向位置とを相互に交換する配置構成、又は、前記B相のステータ磁極円周方向位置と前記B/相のステータ磁極円周方向位置とを相互に交換する配置構成のいずれか一方の配置構成であるリラクタンスモータの構成である。
この構成によれば、請求項1における簡素なモータ構成の実現することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1において、ロータの円周方向の単位角度幅のロータ軸方向の全長に渡る単位面積についてそのラジアル方向の磁気抵抗平均値R1Rが大きい第1の回転部と、前記第1の回転部の円周方向に隣接して配置された第2の回転部と、 前記第2の回転部の円周方向に隣接して配置された第4の回転部と、 前記第4の回転部の円周方向に隣接して配置された第3の回転部とを備え、前記第4の回転部の円周方向の単位角度幅のロータ軸方向の全長に渡る単位面積についてそのラジアル方向の磁気抵抗平均値R4Rが前記第3の回転部の磁気抵抗平均値R3Rの30%から85%の値であり、 前記第1の回転部と前記第2の回転部と前記第4の回転部と前記第3の回転部とで第3のロータ磁極を構成し、前記第3のロータ磁極と同様形状で180°の位相差である第4のロータ磁極を備え、各相のステータ磁極の円周方向幅SSWは、電気角で90°以下であり、ロータの前記第2の回転部と前記第4の回転部と前記第3の回転部との円周方向幅の合計が電気角で90°以上であるリラクタンスモータの構成である。
この構成によれば、請求項1のモータのトルクの向上とトルクリップルの低減を行うことができる。
請求項7に記載の発明は、請求項1、および、請求項6において、前記第1の回転部の磁気抵抗平均値R1Rと前記第2の回転部の磁気抵抗平均値R2Rと前記第3の回転部の磁気抵抗平均値R3Rと前記第4の回転部の磁気抵抗平均値R4Rとを電磁鋼板に施す複数の穴や溝、および、細長い穴を用いてほぼ等価な磁気抵抗の比となるように作成し、前記電磁鋼板をロータ軸方向に積層するリラクタンスモータの構成である。
この構成によれば、請求項1のモータのロータの製作方法の改良と騒音の低減を行うことができる。
請求項8に記載の発明は、請求項1において、円周方向に並んで配置する2個のステータ磁極において、歯の外径側から内径側へ通過する通電時の磁束方向が逆向きである2個のステータ磁極の歯の先端部近傍に前記磁束方向が逆向きとなるような磁束を供給する極性の永久磁石を備えるリラクタンスモータの構成である。
この構成によれば、請求項1のモータの歯を通過する磁束の量を増大することができる。
請求項9に記載の発明は、請求項1において、モータバックヨークに配置し、各ステータ磁極の磁束方向に向いた極性を持つ永久磁石を備え、前記永久磁石のN極はNN3個のN極のステータ磁極へ磁気的に接続され、前記永久磁石のS極はNN3個のS極のステータ磁極へ磁気的に接続されているリラクタンスモータの構成である。ここで、NN3は2以上の整数である。
この構成によれば、請求項1のモータの励磁電流の負担を軽減することができる。
請求項10に記載の発明は、請求項1において、2個以上のA相ステータ磁極と、前記A相ステータ磁極とはクローポール状に配置した2個以上のA/相ステータ磁極と、前記A相のステータ磁極と前記A/相のステータ磁極に交差するように配置して、両ステータ磁極を通過する磁束を励磁する電流を通電する環状巻線と、2個以上のB相ステータ磁極と、
前記B相ステータ磁極とはクローポール状に配置した2個以上のB/相ステータ磁極と、
前記B相のステータ磁極と前記B/相のステータ磁極に交差するように配置して、両ステータ磁極を通過する磁束を励磁する電流を通電する環状巻線と、前記A相ステータ磁極と前記A/相のステータ磁極とが電磁気的に作用するロータ部RAAと、前記B相ステータ磁極と前記B/相のステータ磁極とが電磁気的に作用するロータ部RBBとを備え、前記ロータ部RAAと前記ロータ部RBBとは機械的に結合し、前記A相ステータ磁極を通る磁束と前記B相ステータ磁極を通る磁束とが分離する位置に前記各ステータ磁極を配置するリラクタンスモータの構成である。
この構成によれば、請求項1のモータの形態を変形し、環状巻線とクローポール状の磁路で構成して簡素化と低コスト化を行うことができる。
本発明のリラクタンスモータは、A相、A/相、B相、B/相などのステータ磁極で構成する簡素な構成のリラクタンスモータでありながら、新規なロータ構造とすることにより各ステータ磁極が駆動可能な回転角幅を広げ、トルクリップルの少ない連続トルクを実現することができる。騒音も低減することができる。さらに、ステータの配置構造の改良により各歯の磁路スペースと巻線スペースを確保することにより、大きな磁束密度、大きな電流通電を可能とし、リラクタンスモータの高トルク化、高効率化を可能とする。また巻線の構成方法、通電方法の改良により、銅損の低減、モータの製作性の改善、駆動用インバータの小型化低コスト化を可能とする。その他、ステータの各歯を通過できる磁束の量の拡大、各ステータ磁極の励磁負担を軽減を、永久磁石の付加により実現し、リラクタンスモータの小型化、低コスト化を行うことができる。
モータ 展開図 電圧、電流、トルク特性 駆動回路 モータ 展開図 電圧、電流、トルク特性 モータ モータ モータ モータ モータ モータ 組み合わせ モータ モータ モータ モータ 駆動回路 駆動回路 駆動回路 展開図 電圧、電流、トルク特性 展開図 電圧、電流、トルク特性 ロータ ステータ モータ 従来モータ
本発明の目的は、簡素で高効率、小形、低コストなリラクタンスモータを得ることである。リラクタンスモータの駆動回路まで含めたモータシステムとして低コストでなければ意味が無く、その観点で駆動法まで含めたリラクタンスモータとして評価する。本発明では、片方向のトルクを優先した構成のリラクタンスモータに関する。
図1に本発明のリラクタンスモータの例を示す。13はステータ、14はロータ軸である。15と16はロータ磁極であり、軟磁性体を使用していて、ロータ表面の磁気抵抗は円周方向に値が異なる特性としている。その円周方向幅12が120°の例であり、後に図2にその形状、特性を示し説明する。
17はA相のステータ磁極である。18はA/相のステータ磁極であり、A相とは逆相の関係である。17と18のステータ磁極幅11は60°の例である。1Bと1CはA相ステータ磁極17を励磁するA相巻線で、図示する電流シンボルの方向に電流を通電する。1Eと1FはA/相ステータ磁極18を励磁するA/相巻線で、図示する電流シンボルの方向に電流を通電する。各巻き線は1Dと1Gの破線で示すように、各ステータ磁極へ集中巻きとしている。17と18の両ステータ磁極は同時に励磁され、励磁磁束がA/相ステータ磁極18を通り、ロータ磁極16と15を通り、A/相ステータ磁極17を通り、ステータバックヨークを介して一巡する。
19はB相のステータ磁極である。1AはB/相のステータ磁極であり、B相とは逆相の関係である。19と1Aのステータ磁極幅はA相、A/相と同様であり、60°の例である。1Jと1HはB相ステータ磁極19を励磁するB相巻線で、図示する電流シンボルの方向に電流を通電する。1Mと1LはB/相ステータ磁極1Aを励磁するB/相巻線で、図示する電流シンボルの方向に電流を通電する。各巻き線は1Kと1Nの破線で示すように、各ステータ磁極へ集中巻きとしている。19と1Aの両ステータ磁極は同時に励磁され、励磁磁束がB/相ステータ磁極1Aを通り、ロータ磁極16と15を通り、B/相ステータ磁極19を通り、ステータバックヨークを介して一巡する。
次に、図1のモータの動作を、図2の展開図を用いて説明する。図2は、図1のステータとロータ間のエアギャップ面のそれぞれの対向する形状を、円周方向を水平展開して示す図である。図2の水平軸は図1で反時計回転方向CCWの円周方向の回転角θrで、縦軸はロータ軸方向を示している。円周方向回転角θrの0°の回転角位置は、図1のA相ステータ磁極17の時計方向端としている。図2の(a)は、図1のステータの内周面形状を水平展開した図であり、21はA相ステータ磁極17のロータに対向する面の形状である。同様に、22はB相ステータ磁極19、23はA/相ステータ磁極18、23はB/相ステータ磁極1Aのそれぞれのロータに対向する面の形状である。それぞれのステータ磁極の円周方向幅は60°で、それぞれの周期は90°に示している。
なお、本発明のリラクタンスモータは、ステータとロータ間のリラクタンス(磁気抵抗)の円周方向変化を利用して回転トルクを得る。ステータ磁極とロータ磁極とが対向し、磁束通過を容易とする両者の対向面積が磁束の通し易さであるパーミアンス(1/磁気抵抗)に比例するという考え方である。巻線に通過する磁束φの時間変化率dφdtと巻線の巻回数の積が巻線の電圧であり、通電する電流と前記電圧の積が入力パワーである。モータ内の損失を無視すると、モータの出力パワーはトルクと回転角周波数(回転速度)の積なので、電圧と電流が決まればトルクが計算される。
図2の(b)は、ロータ磁極15、16のステータに対向する面の形状を示している。25はロータ磁極15のステータに対向する面の形状であり、360°位相が異なる位置に記載して破線で示す27と同一のものである。26はロータ磁極16のステータに対向する面の形状であり、25とは180°の位相差である。図1のロータ磁極16、16の反時計回転方向CCWは、図2の紙面で左から右側の方向である。なお、図2の(a)に示すロータ25の回転角位置は、図1に示すロータ15の回転角位置とは異なっており、ロータ15の反時計回転方向端がロータ回転角θr=0°にさしかかった回転角位置である。ロータ磁極15の回転角位置θrは、ロータ磁極15の反時計回転方向の端を0°と定義して説明する。また、ロータに作用するトルクの方向は、反時計回転方向CCWに発生するトルクを優先しており、CCWトルクの発生に都合の良い形状としている。なお、時計回転方向CWのトルクは、ロータ回転角位置θrにより不連続なトルクとなる。
図2の(b)に示すロータ磁極25の右端であるロータ位置θrは0°近傍にあり、A相巻線17、18へA相電流Iaを通電し、A/相巻線1E、1FへA/相電流−Iaを通電することにより磁気的な吸引力が発生し、図1でCCWのトルク、図2の紙面で右側方向のトルクT2を発生する。ロータ位置θrが0°から60°までは同一のトルクT2を発生することができる。ここで、ロータ位置θrが60°の位置、即ち、図2の(c)のロータ磁極25の回転位置で、ステータ磁極21に対向する部分のロータ磁極25のロータ軸方向幅W2は小さく、25の他の部位のロータ軸方向幅W3の1/2としている。なお、発生するトルクの大きさは、ロータ磁極25がステータ磁極21に対向する面積SSRの回転変化率d(SSR)/dθrとA相電流Iaに関わった値となる。トルクの関係式は、ステータとロータの間の3次元的な漏れ磁束の影響、磁気エネルギーの大きさ、磁性材料の非線形性などにより単純な比例関係ではないが、以降の説明では、単純論理的におおよそ比例するものとして説明する。
図2の(c)は、ロータ磁極25のロータ位置θr=60°の状態を示している。この状態では、ステータ磁極21に対向してさしかかる部分のロータ磁極25のロータ軸方向幅がW2からW3へ変わる回転角位置であり、その幅の差分(W3−W2)=W2となるので、発生トルクT3はロータ回転位置θrが0°から60°の間と同じトルクT2が発生する。そして、この関係は、ロータ回転位置θrが60°から120°の間に渡って保たれ、トルクT3を発生する。
図2の(d)は、ロータ磁極25のロータ回転位置θr=90°の状態を示している。前記のように、トルクT3=T2を発生する。このモータでは、ステータ磁極21の円周方向幅が60°であり、60°でありながらステータ磁極21を励磁して90°以上の間トルクを発生できること、そして、各ステータ磁極を交互に励磁すれば全周に渡って連続したトルクを発生できることを意味し、その観点で駆動条件の境界となる角度である。
また、ロータ磁極25のロータ回転位置θr=90°では、B相のステータ磁極19とB/相ステータ磁極1AもB相の励磁電流IbによりCCWトルクT2の発生を開始できるロータ回転位置θrである。ロータ回転位置θrが90°から120°までは、A相、A/相とB相、B/相の両方がトルクを発生できる区間である。同様に、θrが0°から30°の間、θrが180°から210°の間、θrが270°から300°の間でもA相、A/相とB相、B/相の両方がトルクを発生できる。
図2の(e)は、ロータ磁極25のロータ位置θr=120°の状態を示している。この角度までCCWトルクを発生することができ、逆に、A相電流Iaを通電した状態でロータ回転位置θrが120°を越えると、CWトルクが発生する。従って、CWトルクが発生しないように制御するためには、ロータ回転位置θrが120°を越える前にA相電流Iaを減少して零にする必要がある。
B相のステータ磁極19とB/相ステータ磁極1Aである22、24も、A相、A/相とは90°の位相遅れで、B相の励磁電流IbによりCCWトルクT2を発生することができる。従って、交互に駆動することにより、全周にわたって、CCWトルクT2を発生することができる。
図3は、図2で説明したモータ動作時の電圧特性と電流特性およびトルク特性の例である。図3の(a)と(c)の水平軸はロータ回転角で、縦軸は誘起電圧である。図3の(b)と(d)の水平軸はロータ回転角で、縦軸は電流である。図3の(e)の水平軸はロータ回転角で、縦軸はトルクである。図3の(a)は、ロータ回転位置θrが0°から120°の間と180°から300°の間においてA相電流Iaを一定値として通電した時のA相巻線の誘起電圧の例である。前記の面積SSRの回転変化率d(SSR)/dθrとA相電流Iaに関わった値となる。図3の(a)に示す負電圧は、A相電流を減少するときにモータの磁気エネルギーを回生する現象として発生する負電圧である。なお、電流の減少方法、回転数などにより負電圧の形状は大きく変化する。図3の(c)は、図3の(a)と同様に、ロータ回転位置θrが90°から210°の間と270°から390°すなわち30°の間においてB相電流Ibを一定値として通電した時のB相巻線の誘起電圧の例である。
図3の(b)は、A相電流Iaの通電例であり、この間ではほぼA相電流Iaに類似した形状のトルクが発生する。図3の(d)は、B相電流Ibの通電例であり、この間ではほぼB相電流Ibに類似した形状のトルクが発生する。図3の(b)と(d)ではA相電流IaとB相電流Ibが丁度交互に流れるように通電している。図3の(e)はA相のトルクとB相のトルクとを加算した値であり、均一なモータトルクを発生できることを示している。この結果、90°に満たない60°の4個のA相ステータ磁極17、A/相ステータ磁極18、B相ステータ磁極19、B/相ステータ磁極により、片方向の連続トルクの発生方法を示した。そして、原理的には、トルクリップルの無い高品質な回転トルクを得ることができる。
図4は、前記のA相電流IaとB相電流Ibを通電するインバータの例である。リラクタンスモータであるため、両電流共に片方向電流で駆動することができる。3Xはモータ制御装置、37は直流電圧源、T1、T2、T3、T4は電流Iaを通電する電力制御素子で、パワーMOSFET、IGBTなどのスイッチング素子である。T1、T2をオンすることにより巻線41へ流れる電流Iaを増加し、オフすることにより逆向きの2個のダイオードによりエネルギーを直流電圧源37へ回生する。巻線41は、図1のA相巻線1B、1C、A/相巻線1E、1Fである。T3、T4をオンすることにより巻線42へ流れる電流Iaを増加し、オフすることにより逆向きの2個のダイオードによりエネルギーを直流電圧源37へ回生する。巻線42は、図1のB相巻線1J、1H、B/相巻線1M、1Lである。簡素な回路で駆動することができる。
次に、図1のリラクタンスモータの発生トルクを向上するためステータ磁極の円周方向幅広げた例を図5に示す。図1のモータはトルクリップルのない連続トルクを得ることができるが、トルクの大きさでは図2に示したように、ロータ磁極のロータ軸方向幅が全長の1/2であるため、A相巻線に鎖交する磁束φaの回転変化率dφa/dθr、B相巻線に鎖交する磁束φbの回転変化率dφb/dθrが全域で1/2となり、図3の(a)、(c)に示す電圧が1/2となる。ロータ磁極のロータ軸方向幅がその全長の長さであるモータに比較してトルクが1/2である。図5のモータでは、ステータ磁極の円周方向幅51を75°として広げることにより、平均トルクの向上を図っている。すなわち、回転全域での連続的にトルクを発生するという条件は満たしながら、ロータ回転角θrの一部の回転角領域で磁束の回転変化率dφa/dθr、dφb/dθrを改善し、トルクの増加を図る。
ロータ磁極の円周方向磁極幅52は105°である。57はA相のステータ磁極である。58はA/相のステータ磁極であり、A相とは逆相の関係である。57と58のステータ磁極幅51は75°である。5Bと5CはA相ステータ磁極57を励磁するA相巻線で、図示する電流シンボルの方向に電流を通電する。5Eと5FはA/相ステータ磁極58を励磁するA/相巻線で、図示する電流シンボルの方向に電流を通電する。各巻き線は5Dと5Gの破線で示すように、各ステータ磁極へ集中巻きとしている。57と58の両ステータ磁極は同時に励磁され、励磁磁束がA/相ステータ磁極58を通り、ロータ磁極56と55を通り、A/相ステータ磁極57を通り、ステータバックヨークを介して一巡する。
59はB相のステータ磁極である。5AはB/相のステータ磁極であり、B相とは逆相の関係である。59と5Aのステータ磁極幅はA相、A/相と同様であり、75°である。5Jと5HはB相ステータ磁極59を励磁するB相巻線で、図示する電流シンボルの方向に電流を通電する。5Mと5LはB/相ステータ磁極5Aを励磁するB/相巻線で、図示する電流シンボルの方向に電流を通電する。各巻き線は5Kと5Nの破線で示すように、各ステータ磁極へ集中巻きとしている。59と5Aの両ステータ磁極は同時に励磁され、励磁磁束がB/相ステータ磁極5Aを通り、ロータ磁極56と55を通り、B/相ステータ磁極59を通り、ステータバックヨークを介して一巡する。
図6の(a)は、図5の内周面形状を水平展開した図であり、61はA相ステータ磁極57のロータに対向する面の形状である。同様に、62はB相ステータ磁極59、63はA/相ステータ磁極58、64はB/相ステータ磁極5Aのそれぞれのロータに対向する面の形状である。それぞれのステータ磁極の円周方向幅は75°で、それぞれの周期は90°に示している。
図6の(b)は、ロータ磁極55、56のステータに対向する面の形状を示している。65はロータ磁極55のステータに対向する面の形状であり、360°位相が異なる位置に記載して破線で示す67と同一のものである。66はロータ磁極56のステータに対向する面の形状であり、65と同じ形状であるが配置位置の位相が180°異なる。65の形状は、図6の紙面で、進行方向先端部の回転角幅RFFは15°で、その部分のロータ軸方向厚みはロータの軸方向厚みの1/2である。65の右側15°から105°までの間はロータ軸方向長さがロータコアの軸方向厚みと同じ長さ、すなわち、全長である。図示するように2段の段違いの形状としている。
図6の(b)に示すロータ磁極65の右端であるロータ位置θrは0°近傍にあり、A相巻線57、58へA相電流Iaを通電し、A/相巻線5E、5FへA/相電流−Iaを通電することにより磁気的な吸引力が発生し、図5でCCWのトルク、図6の紙面で右側方向のトルクT2を発生する。ロータ位置θrが0°から15°までは同一のトルクT2を発生することができる。ここで、ロータ位置θrが15°の位置、即ち、図6の(c)のロータ磁極65の回転位置で、ステータ磁極61に対向する部分のロータ磁極65のロータ軸方向幅W2は小さく、65の他の部位のロータ軸方向幅W3の1/2としている。
図6の(c)は、ロータ磁極65のロータ位置θr=15°の状態を示している。この状態では、ステータ磁極61に対向してさしかかる部分のロータ磁極65のロータ軸方向幅がW2からW3の変わる回転角位置であり、発生トルクT3はロータ回転位置θrが15°から75°の間はステータ磁極61に対向する面積SSRの回転変化率d(SSR)/dθrは原理的な最大値をとることができる。
図6の(d)は、ロータ磁極65のロータ回転位置θr=75°の状態を示している。θrが75°から90°の間は、対向面積SSRの回転変化率d(SSR)/dθrが1/2に低下するので発生トルクも1/2となる。
図6の(e)は、ロータ磁極65のロータ位置θr=90°の状態を示している。この角度までCCWトルクを発生することができる。そして、A相電流Iaを通電した状態でもロータ回転位置θrが90°から図6の(f)である105°の間では、対向面積SSRは変化せず、その回転変化率d(SSR)/dθr=0となり、トルクが発生しない状態となる。この間にA相電流Iaを減少して零にすることができる。
B相のステータ磁極59とB/相ステータ磁極5Aである62、64も、A相、A/相とは90°の位相遅れで、B相の励磁電流IbによりCCWトルクを発生することができる。従って、交互に駆動することにより、全周にわたってトルクを発生することができる。
図7は、図6で説明したモータ動作時の電圧特性と電流特性およびトルク特性の例である。図7の(a)と(c)の水平軸はロータ回転角で、縦軸は誘起電圧である。図7の(b)と(d)の水平軸はロータ回転角で、縦軸は電流である。図7の(e)の水平軸はロータ回転角で、縦軸はトルクである。図7の(a)は、ロータ回転位置θrが0°から90°の間と180°から270°の間においてA相電流Iaを一定値として通電した時のA相巻線の誘起電圧の例である。前記の面積SSRの回転変化率d(SSR)/dθrとA相電流Iaに関わった値となる。図7の(a)に示す負電圧は、A相電流を減少するときにモータの磁気エネルギーを回生する現象として発生する負電圧である。なお、電流の減少方法、回転数などにより負電圧の形状は大きく変化する。図7の(c)は、図7の(a)と同様に、ロータ回転位置θrが90°から180°の間と270°から360°の間においてB相電流Ibを一定値として通電した時のB相巻線の誘起電圧の例である。
図7の(b)は、A相電流Iaの通電例であり、この間ではほぼA相巻線の誘起電圧に類似した形状のトルクが発生する。図7の(d)は、B相電流Ibの通電例であり、この間ではほぼB相巻線の誘起電圧に類似した形状のトルクが発生する。図7の(b)と(d)ではA相電流IaとB相電流Ibが丁度交互に流れるように通電している。図7の(e)はA相のトルクとB相のトルクとを加算した値である。このトルクは脈動しているもののその平均値は図3の(e)で示したトルク平均値の1.66倍の値となり、増加している。モータ効率も改善し、モータの小型化、低コスト化が可能である。なお、駆動用のインバータは、図4に示したインバータを使用することができる。
図5、図6、図7に示したモータ特性では、A相ステータ磁極とA/相ステータ磁極が発生するトルクの回転角度幅は90°であり、B相ステータ磁極とB/相ステータ磁極が発生するトルクの回転角度幅も90°である。このモータモデルは、両相のトルクを乗りついで、多回転の連続トルクを発生できる限界の形状である。片相のトルクが90°以上の回転角度幅にわたって発生できなければ、安定して多回転の連続トルクを発生できない。片相のトルクが90°以上発生する条件は、ステータ磁極の円周方向角度幅をSSWとし、図6の紙面でロータ磁極の進行方向先端部の回転角幅をRFFとすると、RFF>(90°−SSW)である。図6では、ステータ磁極の円周方向角度幅をSSWを75°としたので、ロータ磁極の進行方向先端部の回転角幅RFFを15°以上の値、例えば20°とすれば、片相のステータ磁極がトルクを発生する回転角度幅は95°となり、連続トルクを発生するための余裕が5°となる。
また、ロータ磁極の進行方向先端部のロータ軸方向長さは、ロータ積み厚の15%以上で85%以下であれば、ステータ磁極による最初の吸引トルクで起動することができ、また一方、モータの連続トルクを維持できる。
次に、請求項2に関わる実施例を示す。図8に、図1のモータあるいは図5のモータを3倍に多極化したモータの例を示す。81と85と86はA相のステータ磁極である。83と87と8BはA/相のステータ磁極であり、A相とは逆相の関係である。82と86と8AはB相のステータ磁極である。84と88と8CはB/相のステータ磁極であり、B相とは逆相の関係である。A相のステータ磁極81には集中巻き巻線8Fと8Gを巻回し、A相電流Iaを通電して励磁する。A/相のステータ磁極83には集中巻き巻線8Mと8Kを巻回し、A相電流Iaを通電して励磁する。B相のステータ磁極82には集中巻き巻線8Hと8Jを巻回し、B相電流Ibを通電して励磁する。B/相のステータ磁極84には集中巻き巻線8Pと8Nを巻回し、B相電流Ibを通電して励磁する。
図8の残りの2/3についても、前記構成と同様である。図8のモータの動作は、図1のモータあるいは図5のモータと同じ動作をする。ただし、3倍に多極化しているのでロータの回転数は1/3となる。
ここで、図1、図5、図8のモータについて改めて評価する。これらのモータは、簡素な構成であるという特徴があるが、しかし、ステータ側の歯で構成する磁路と各相巻線を巻回するスロットとでスペースの取り合いになっていて、トレードオフの関係になっているという問題がある。具体的には、図1のモータではロータの軸方向幅を、電磁鋼板を積層するコアの厚みである、軸方向幅の全長の1/2としている。従って、ステータ磁極を通る磁束をφとして、磁束φの回転変化率dφ/dθrが1/2となり、トルクも1/2となる。図5のモータではステータの円周方向幅の角度を75°に広げてより多くの磁束φが得られるようにしたが、巻線5B、5C、5E、5F、5J、5H、5M、5Lのスペースが小さくなっている。図5に示すスロット形状は三角状になっているのである程度の広さがあるようにも見えるが、実際には多極化してモータを設計するので、スロット断面積が小さくなる。図8は3倍に多極化しているので、スロット断面積を確保するため、各歯の円周方向幅を各歯のピッチの60%に縮小した図を示している。この場合には、ロータの磁束密度も60%に低減して設計せざるを得ない。磁束φの回転変化率dφ/dθrが低下するので、トルクも低下する問題がある。
図9にこの問題を軽減するモータの例を示す。図9のモータは、図8において破線で示したB相ステータ磁極82、A相ステータ磁極85、B/相ステータ磁極88、A/相ステータ磁極8B、および、それらの巻線を排除し、そのスペースを残ったステータ磁極とそれらの巻線で再配分した構成となっている。ただし、残った各ステータ磁極のロータに対向する面とその近傍の円周方向位置は、変えずに、図8と同一の円周方向位置としている。
図9のモータはステータ磁極の数を2/3の8個としているが、バランス良く配置しているので、モータ全体としての特性は類似したものが得られる。特に、各ステータ磁極の歯の円周方向幅を十分に確保できるので、磁気飽和の問題が大幅に改善し、ピークトルクの大きなモータを設計することができる。連続定格トルクの3倍程度のピークトルクを必要とする用途などでは重要な特性である。勿論、各巻線に作用する磁束φの回転変化率dφ/dθrを理論上の最大値とすることができる。そして、スロット断面積についても大きくできるので、ジュール熱であるいわゆる銅損を低減することができる。ただし、図1、図5のモータを2倍に多極化した8個のステータ磁極と4個のロータ磁極で構成するモータに比較すると、モータの駆動周波数が1.5倍に大きくなり、周波数増加による鉄損の増加は考慮する必要がある。しかし、使用回転数が低ければ、鉄損の問題は小さく、また、鉄損の小さい軟磁性体を使用する方法もある。
図9において、A相ステータ磁極は91と9Gで、A/相ステータ磁極は94と9Dで、B相ステータ磁極は9Aと9Kで、B/相ステータ磁極は97と9Pである。A相ステータ磁極91は、集中巻に巻回した巻線92、93に通電するA相電流Iaにより励磁する。もう一つのA相ステータ磁極9Gの巻線は9H、9Jで、同様である。A相とA/相の両方をA相電流Iaで励磁する。A/相ステータ磁極94は、集中巻に巻回した巻線95、96に通電する負のA相電流−Iaにより励磁する。もう一つのA/相ステータ磁極9Dの巻線は9E、9Fも同様である。B相ステータ磁極9Aは、集中巻に巻回した巻線9B、9Cに通電するB相電流Ibにより励磁する。もう一つのB相ステータ磁極9Kの巻線は9M、9Nで、同様である。B/相ステータ磁極97は、集中巻に巻回した巻線98、99に通電する負のB相電流−Ibにより励磁する。もう一つのB/相ステータ磁極9Pの巻線は9Q、9Rで、同様である。B相とB/相の両方をB相電流Ibで励磁する。
図9の各相ステータ磁極のロータに対向する部分は、図8の該当するステータ磁極の位置と同じで、かつ、両ロータは同一なので、両モータは同一のアルゴリズムで駆動することができる。即ち、図1から図7に示した駆動方法が図9のモータへも適用することができる。図9のモータは、前記のように、ステータ磁極あたりのスペースが図8のモータに比較して12/8=1.5倍に増加しているので、ステータ磁極の歯の円周方向幅を広くしている。ロータの軟磁性体を通過する磁束を1.5倍程度あるいはそれ以上に通過させることが可能である。その結果、ステータ磁極を通過する磁束φの回転変化率dφ/dθrは磁束に比例して1.5倍程度になる。モータの誘起電圧定数、および、トルク定数は、磁束φの回転変化率dφ/dθrと巻回数の積なので、モータ特性が改善することを意味している。各スロットの巻回する巻線の量は1.5倍に増えるが、巻線の数は8/12となり、合計では1.5×8/12=1と変わらないことになる。しかし、スロットの数が減るので巻き易くなり巻占積率の向上が期待できること、絶縁紙などが減少して巻線占積率が向上することにより、実質的には巻線の量も増加することができる。
これらの結果、図9のモータは、高効率化が可能となり、小型化、低コスト化が可能となる。また、各ステータ磁極の磁気飽和を低減できるので、ピークトルクの確保が容易となり、特に、瞬時大トルクが必要な用途では大きな特徴となる。さらに、図9のモータは、各歯がロータに対向する部分の近傍で円周方向のスペースの余裕があるため、歯の先端部の幅を広げること、円周方向に位置をシフトすることなども可能となり、トルクの増大、トルクリップルの低減、通電時の隣りの磁極との漏れ磁束の低減などの改良の余地も出てくる。
次に、図10に請求項2の他の実施例を示す。このモータは、図9のモータのA/相のステータ磁極9DとA相ステータ磁極9Gの位置を交換し、B相ステータ磁極9KとB/相ステータ磁極9Pの位置を交換している。これは、A相とA/相が電磁気的に対象で、B相とB/相も電磁気的に対象なのでこれらの磁極の位置を交換しても原理的な基本特性は類似することを利用している。ステータ磁極の配置によりステータ磁極間の相互作用が変化するので、単純原理的には同じ考え方のモータであっても、大きな特性差を持たせることもできる。
図10のモータのA相ステータ磁極は101と10Dで、A/相ステータ磁極は104と10Gで、B相ステータ磁極は10Aと10Pで、B/相ステータ磁極は107と10Kである。A相ステータ磁極101は、集中巻に巻回した巻線102、103に通電するA相電流Iaにより励磁する。もう一つのA相ステータ磁極10Dの巻線は10E、10Fで、同様である。A相とA/相の両方をA相電流Iaで励磁する。A/相ステータ磁極104は、集中巻に巻回した巻線105、106に通電する負のA相電流−Iaにより励磁する。もう一つのA/相ステータ磁極10Gの巻線は10H、10Jも同様である。B相ステータ磁極10Aは、集中巻に巻回した巻線10B、10Cに通電するB相電流Ibにより励磁する。もう一つのB相ステータ磁極10Pの巻線は10Q、10Rで、同様である。B/相ステータ磁極107は、集中巻に巻回した巻線108、109に通電する負のB相電流−Ibにより励磁する。もう一つのB/相ステータ磁極10Kの巻線は10M、10Nで、同様である。B相とB/相の両方をB相電流Ibで励磁する。
図10のモータは、円周方向に並んだ2個のステータ磁極の極性が同一であるという特徴を持たせている。ステータ磁極に巻回する巻線の電流方向から、ステータ磁極の先端の極性が決まっていて、A相ステータ磁極とB相ステータ磁極の先端はS極であり、A/相ステータ磁極とB/相ステータ磁極の先端はN極である。今、これらのステータ磁極を
電流IaとIbとが零であるときにも永久磁石で励磁する方法を考える。図10のモータでは図示するように、電気角で約90°幅のA/相ステータ磁極104とB/相ステータ磁極107とが90°の位相差で並んでいるので電気角で180°の幅がN極となる。一方ロータ側は、電気角で180°の間には常に1個分のロータ磁極が存在する。ロータが回転してもその関係は変わらない。従って、これらの両ステータ磁極の方へN極の極性を持つ永久磁石10Sと10Tを配置すると、ロータ回転位置にかかわらず励磁でき、永久磁石の磁束がほぼ一定に保たれるので都合がよい。
同様に、B相ステータ磁極10AとA相ステータ磁極10Dとが90°の位相差で並んで180°のS極を構成している。従って、永久磁石10Tと10UとのS極をこれらの両ステータ磁極に向けてバックヨークに配置する。
同様に、A/相ステータ磁極10GとB/相ステータ磁極10Xとが90°の位相差で並んで180°のN極を構成している。従って、永久磁石10Uと10VとのN極をこれらの両ステータ磁極に向けてバックヨークに配置する。
同様に、B相ステータ磁極10PとA相ステータ磁極101とが90°の位相差で並んで180°のS極を構成している。従って、永久磁石10Vと10SとのS極をこれらの両ステータ磁極に向けてバックヨークに配置する。
このように永久磁石を配置することにより、ステータ巻線の励磁負担を軽減できるので、銅損を低減でき、モータの高効率化を実現でき、小型化も実現できる。なお、永久磁石による吸引力は、CCWとCWとへバランスするように作用するので、トルクリップルは小さい。
また、永久磁石10Sを配置するモータバックヨーク部の形状は、永久磁石10Sの両側面に軟磁性体の細い磁路を形成している。永久磁石10Sの磁束の一部はこの軟磁性体部を通って閉回路を成している。この軟磁性体部を通る磁束の量は、軟磁性体の飽和特性により限定される。モータを高速回転まで定出力制御する場合には、低速回転では磁束量を大きくし、高速回転では磁束量を減らす必要がある。前記の軟磁性体の細い磁路を形成しておくことにより、磁束量を減らした状態とし、低速回転で高トルクを必要とする場合には巻線電流を増加させることにより、ステータ磁極の磁束量を増加させることができる。このように前記軟磁性体部を持つことにより、モータ電流の励磁負担を軽減すると共に、定出力制御も可能な構造としている。
次に、図11に請求項2の他の実施例を示す。
図10のモータのA相ステータ磁極は111と11Dで、A/相ステータ磁極は114と11Gで、B相ステータ磁極は117と11Kで、B/相ステータ磁極は11Aと11Pである。A相ステータ磁極111は、集中巻に巻回した巻線112、113に通電するA相電流Iaにより励磁する。もう一つのA相ステータ磁極11Dの巻線は11E、11Fで、同様である。A相とA/相の両方をA相電流Iaで励磁する。A/相ステータ磁極114は、集中巻に巻回した巻線115、116に通電する負のA相電流−Iaにより励磁する。もう一つのA/相ステータ磁極11Gの巻線は11H、11Jも同様である。B相ステータ磁極117は、集中巻に巻回した巻線118、119に通電するB相電流Ibにより励磁する。もう一つのB相ステータ磁極11Kの巻線は11M、11Nで、同様である。B/相ステータ磁極11Aは、集中巻に巻回した巻線11B、11Cに通電する負のB相電流−Ibにより励磁する。もう一つのB/相ステータ磁極11Pの巻線は11Q、11Vで、同様である。B相とB/相の両方をB相電流Ibで励磁する。
本発明の狙いとして先に述べたように、各ステータ磁極のトルク発生域を広げ、かつ、平均トルクを向上させるため、ステータ磁極の円周方向幅を広げたい。例えば、図10のモータにおいて、104と107のステータ磁極の円周方向幅を広げると、両ステータ磁極の先端が接近し、片方のステータ磁極を励磁すると他方のステータ磁極へ大きな漏れ磁束が発生することになる。この漏れ磁束は歯の磁気飽和を助長し、トルクが減少する問題がある。また、漏れ磁束の磁気エネルギーも回転数が大きくなると、無効電力が増大し、問題である。なお、104隣り合う101のステータ磁極とは電気角で90°の空きスペースがあるので、漏れ磁束はそれほど大きくならない。
図11のモータでは、この漏れ磁束の問題を低減するため、隣り合うステータ磁極のN極とS極の極性が逆極性となるように配置している。そして、隣り合う両ステータ磁極の間に永久磁石を漏れ磁束を低減する極性の向きに配置している。図11の永久磁石11S、11T、11U、11Vである。例えば、A/相ステータ磁極114はN極なので、磁石11Sの114側はN極で、S極であるB相ステータ磁極117の方は永久磁石11SのS極を向けている。
これらの永久磁石は、2つの大きな作用、効果がある。その一つは、前記の漏れ磁束を低減する作用、効果である。もう一つは、両ステータ磁極に逆方向の磁束を通し、軟磁性体の磁束Bと磁界の強さHにおける逆バイアスする作用である。ステータ磁極を励磁するときに、ロータからステータ磁極を通ってバックヨークへ通過する磁束の量を増大する効果である。このモータはリラクタンスモータなので、各歯には片方向の磁束しか作用しない構成であるが、永久磁石などで磁気的に逆バイアスしておくことにより、最大2倍の磁束を通過させることが可能となる。図11の永久磁石11S、11T、11U、11Vの特性、大きさなどはモータに求める特性により適正な値を選ぶことができる。
図11のステータ磁極の配置と歯間の永久磁石11S、11T、11U、11Vにより、特にピークトルクの増大が可能となる。ピークトルクが必要な用途のモータとして好適である。また、漏れ磁束の磁気エネルギーに起因する無効電力を低減できるので、モータ効率の向上、インバータの小型化にも寄与する。
次に、図12に請求項2の他の実施例を示す。図12のモータのA相ステータ磁極は121と124で、A/相ステータ磁極は12Dと12Gで、B相ステータ磁極は127と12Aで、B/相ステータ磁極は12Kと12Pである。A相ステータ磁極121は、集中巻に巻回した巻線122、123に通電するA相電流Iaにより励磁する。もう一つのA相ステータ磁極124の巻線は125、126で、同様である。A相とA/相の両方をA相電流Iaで励磁する。A/相ステータ磁極12Dは、集中巻に巻回した巻線12E、12Fに通電する負のA相電流−Iaにより励磁する。もう一つのA/相ステータ磁極12Gの巻線は12H、12Jも同様である。B相ステータ磁極127は、集中巻に巻回した巻線128、129に通電するB相電流Ibにより励磁する。もう一つのB相ステータ磁極12Aの巻線は12B、12Cで、同様である。B/相ステータ磁極12Kは、集中巻に巻回した巻線12M、12Nに通電する負のB相電流−Ibにより励磁する。もう一つのB/相ステータ磁極12Pの巻線は12Q、12Rで、同様である。B相とB/相の両方をB相電流Ibで励磁する。
図11のモータ構成の特徴は、正と負の同一の電流を通電する2個の巻線が同一のスロットに巻回している点で、4個のスロットがその状態となっている。具体的には、巻線123に電流−Iaが通電され、巻線125に+Iaが通電される。従って、概略には、この2個の巻線は機能しておらず、排除することが可能である。同様に、巻線123に電流−Ibが通電され、巻線12Bに+Ibが通電される。巻線12Fに電流+Iaが通電され、巻線12Hに−Iaが通電される。巻線12Nに電流+Iaが通電され、巻線12Qに−Ibが通電される。
図13に、図11の前記8個の巻線を排除した構成を示す。8個の巻線とそれらの該当する4個のスロットを、131、132、133、134のくぼみに置き換えている。巻線122と126の集中巻き巻線へA相電流Iaを通電し、巻線128と12Vの集中巻き巻線へB相電流Ibを通電し、巻線12Eと12Uの集中巻き巻線へ負のA相電流−Iaを通電し、巻線12Mと12Rの集中巻き巻線へ負のB相電流−Ibを通電する。前記くぼみの深さ、形状は、適宜修正することができる。これらの8個の巻線を排除することにより、銅損が半減し、巻線コストが低減し、軽量化が可能である。モータの高効率化と高効率化に伴う小型化、低コストが可能であるという表現をすることもできる。
図11および図13のモータにおいて、A相ステータ磁極121はS極で、隣に配置するB/相ステータ磁極12PはN極なので、121の方がS極極性の永久磁石12Uを追加することができる。B相ステータ磁極12AとA/相ステータ磁極12Dとの間の永久磁石12Vも同様である。これらの永久磁石により、隣り合う2個のステータ磁極間の漏れ磁束を低減できる。また、永久磁石によりそれぞれの歯に負方向の磁束を通しておくことができるので、それぞれの歯を励磁して駆動するときに通る磁束の量を増加させることができ、該当する歯の円周方向幅を減少することが可能となる。図13のモータをさらに多極化する場合に効果的である。なお、A相ステータ磁極124とB相ステータ磁極127は共にS極なので磁石の追加はできない。A/相ステータ磁極12GとB/相ステータ磁極12Kは共にN極なので磁石の追加はできない。
また、図11および図13のモータにおいて、A相ステータ磁極121、124とB相ステータ磁極127、12AはS極で、他の4個のステータ磁極はN極なので、その中間部に各磁極の極性方向を持った永久磁石12S、12Tを追加することができる。4個のステータ磁極121、124、127、12Aへは常に2個分のロータ磁極が対向する関係となっている。これらの永久磁石12S、12Tにより、各巻線に通電する励磁電流成分を低減することが可能となり、モータの高効率化、小型化、低コスト化が可能となる。
なお、前記の巻線123と125には相互に逆方向の電流が流れ、モータの電磁気的な作用を打ち消す効果があるが、ステータとロータとのエアギャップの近傍では磁界の強さHの空間分布に大きく影響する。従って、図12のモータと図13のモータが全く等価なわけではない。例えば、126、巻線122に大きな電流を通電したときに、前記くぼみ131へ漏れ磁束が発生しやすい。従って、図13のモータは、大きなピークトルクが求められない用途で高効率な特性を発揮でき、小形、低コストなモータという見方もできる。
図9、図10、図11、図12、図13に、各ステータ磁極とそれらの各巻線との配置関係を換えた例を示したが、各ステータ磁極の入れ替えの組み合わせは図14に示すような13通りの配置が可能である。図9は組み合わせ1で、図10は組み合わせ4で、図11は組み合わせ7で、図12と図13は組み合わせ9である。具体例を示していないその他のステータ磁極の配列順のモータは、それぞれの特性となっている。
これらのモータの構成は、2個のA相のステータ磁極と、A相とは180°の励磁位相差であって、ステータの空間的にはA相とは電気角の0°あるいは180°の位置に配置するA/相のステータ磁極と、A相とは90°の励磁位相差であって、ステータの空間的にはA相とは電気角の90°あるいは270°の位置に配置するB相のステータ磁極と、A相とは270°の励磁位相差であって、ステータの空間的にはA相とは電気角の90°あるいは270°の位置に配置するB/相のステータ磁極とをそれぞれ2個づつ、合計8個のステータ磁極とそれぞれのステータ磁極を励磁する巻線を備え、円周方向に等間隔に8個のロータ磁極を持つロータを備えたリラクタンスモータである。これらのモータは、多極化することが可能であり、各種モータと複合化すること、変形することも可能である。
次に請求項3の実施例として、図15のモータを示し、説明する。図9のモータでは、例えば、巻線96へは電流Iaが通電され、巻線98へは電流−Ibが通電されるが、大半の時間帯では両電流が同時には通電されない。そこで、このスロットの2個の巻線を1個の巻線に統合すれば、巻き線の太さ、すなわち、断面積を2倍にすることができ、スロット内の巻線抵抗、巻線の銅損を1/2に低減することができる。この時、通電電流は(Ia−Ib)の電流値とすれば、等価である。同様に、巻線9Cと9E、巻線9Jと9M、巻線9Rと92についても巻線の統合の効果が期待できる。
これらの統合した巻線の電流を下記(1)式、(2)式のように置き換え、電流Ijと電流Ikで表現できる。
Ia+Ib=Ij (1)
Ia−Ib=Ik (2)
図9の巻線93、95に通電する電流の合計は−2×Iaで、巻線99、9Bに通電する電流の合計は2×Ibで、巻線9F、9Hに通電する電流の合計は2×Iaで、巻線9N、9Qに通電する電流の合計は−2×Ibである。これらの統合した巻線の電流を下記(3)式、(4)式のように置き換え、電流Imと電流Inで表現できる。
2×Ia=Im (3)
2×Ib=In (4)
図15のモータは、図9のモータの各スロットの2個の巻線を統合して、新たな巻線へ置き換えている。なお、各ステータ磁極の形状、各スロットの形状、各巻線の形状は少し修正している。巻線15Gへは電流Ijを通電し、巻線15Hへは電流Ikを通電し、
巻線15Jへは電流−Ijを通電し、巻線15Kへは電流−Ijを通電する。これらの巻線の断面積は2倍となるので、巻線抵抗、損失を低減することができる。
巻線152へは電流−Imを通電し、巻線153へは電流Inを通電し、巻線151へは電流Imを通電し、巻線154へは電流−Inを通電する。これらの巻線の断面積は2倍となるが、電流も2倍になるので、損失の低減効果はない。ただ、他の4個の巻線の巻回方法を変えるためには、巻線152、153、151、154の巻線構造も変えざるを得ない。
図15のモータの結線、巻回方法は、155に示すように、180°反対側のスロットに巻回しなければならない。15Hの巻線は15Kの巻線と巻回する。その他の巻線も同様である。巻線間の距離が遠いことは好ましくはなく、コイルエンドが長くなるなど、大きな問題である。この問題を軽減する方法として、多極化がある。例えば、2倍に多極化すれば、コイルエンドの長さを1/2に縮小することができる。3倍に多極化すれば、コイルエンドの長さを1/3に縮小することができる。具体的なモータ設計としては、多極化した構成のモータが好ましい。
図15および(1)式、(2)式、(3)式、(4)式に示したこの巻線の統合の技術は、図14に示す13種類の各組あわせのモータへも同様に適用することができる。特に、ロータ軸方向の長さが大きい、細長いタイプのモータでは、スロット内の巻線抵抗を低減できるので高効率化の効果が大きい。
また、図15のモータに永久磁石152、153、154、155を追加することもできる。2個のステータ磁極の隙間が電気角で90°と大きい部分に永久磁石を追加している。図11で示した例に比較して、漏れ磁束の低減効果は少ないが、図11で示した永久磁石11S、11T、11U、11Vと同じ効果がある。各歯には片方向の磁束しか作用しない構成であるが、永久磁石などで磁気的に逆バイアスしておくことにより、最大2倍の磁束を通過させることが可能となる。図15のモータの場合には、歯間のスペースが広く、永久磁石の配置を工夫することによりより多くの逆バイアス用の磁束を作ることが可能である。図15の永久磁石152、153、154、155は、図9、図10などのモータへも付加して適用することができる。
次に請求項3の他の実施例を図16に示す。図16のモータは、図13の巻線を(1)式、(2)式に従う巻線の統合を行った例である。巻線161と巻線163とに巻線を巻回し、電流Ijを通電する。巻線164と巻線162とに巻線を巻回し、電流Ikを通電する。モータの作用は図13のモータと同じである。スロット内の巻線抵抗が1/2となり、スロット内の銅損は1/2となり、高効率化が可能である。ただし、コイルエンドの長さが長くなる問題があり、モータ長の大きいモータに適用すると効果が大きい。あるいは、多極化によりコイルエンド長を短縮することによりこの問題を軽減することができる。
次に請求項3の他の実施例を図17に示す。図17のモータは図8のモータへ(1)式、(2)式で示した巻線の統合を適用したモータである。巻線171と173とを巻回し、電流Ijを通電する。巻線174と172とを巻回し、電流Ikを通電する。このモータは3倍に多極化したモータであり、残りの2/3の巻線についても同様に巻線を巻回し、電流を通電する。スロット内の巻線抵抗が1/2となり、銅損を1/2に低減することができる。
図8のモータの説明で述べたように、図17のモータはステータ磁極の歯の円周方向幅が不足し、ステータ磁極へ作用する磁束を低減せざるを得ない。その結果、トルクが減少する問題がある。この問題を低減するために、図11で示した歯間の永久磁石11S、11T、11U、11Vと同様に、歯間の永久磁石175、176、177、178、179、17Aを追加することができる。これらの永久磁石は、両方の歯にステータ磁極の極性とは逆の方向の磁束を通し、軟磁性体の磁束Bと磁界の強さHにおける逆バイアスするように作用する。
具体的には、例えば、永久磁石176はB相のステータ磁極82の方向をS極とし、A/相ステータ磁極83の方向をN極とする。永久磁石176のN極の磁束φpmは、A/相ステータ磁極83を通り、バックヨークを通り、B相ステータ磁極82を通り、永久磁石176のS極に戻る。この磁束φpmは、この磁束の経路が何らかの理由で磁気飽和しない限りこの経路の磁気抵抗は十分に小さく、おおよそ保たれることになる。一方、Bステータ磁極82がトルクを発生するために励磁されるときにはS極として作用るので、作用する磁束φbはロータ側から82を通り、バックヨーク側へ通る。82の部分では前記磁束φpmと前記磁束φbとは重畳し、前記の磁束φpmと前記磁束φbとは逆方向の向きである。例えば、前記磁束φbと前記磁束φpmとが同じ大きさであるときには、磁束の向きが逆なので、B相ステータ磁極を通過する磁束は零となる。このような作用により、、ステータ磁極を通過する磁束の量を、永久磁石がないときに比較して、最大2倍に増加させることが可能となる。
この結果、図17のステータ磁極を通すことのできる磁束の量が不足するという前記問題を低減することが可能となる。なお、隣り合う両ステータ磁極の極性が同じである場所、例えば、B相ステータ磁極82とA相ステータ磁極81の間では、同様の効果を得ることはできない。また、これらの歯間の永久磁石175、176、177、178、179、17Aは、ステータ磁極間の漏れ磁束を低減する作用、効果もある。
また、図17のステータにおいて、異極の極性を持つステータ磁極の間のバックヨーク部へ永久磁石を追加し、各励磁電流の励磁負担を軽減することも可能である。永久磁石17B、17C、17D、17E、17F、17Gであり、永久磁石の極性の向きは各ステータ磁極の極性の向きである。同じ極性のステータ磁極が2個隣に並ぶ場合、これら2個を通過する磁束の量がロータ回転位置に関係なく一定となるので、これらの永久磁石の追加が可能となる。永久磁石が生成する磁束量はロータ回転位置に関係なく一定となる。各励磁電流の励磁負担を軽減することができるので、モータを高効率化、小型化することができる。
次に請求項4の実施例を図18に示す。図18のモータは、図15に示すモータの電流がIj、Ik、Im、Inの4種類となり、これらの電流を作るインバータが複雑化することを避けるため、通電する電流をIj、Ikの2種類とする構成のモータである。(1)式、(2)式、(3)式、(4)式より次式が成立する。
2×Ia=Ij+Ik=Im (5)
2×Ib=Ij−Ik=In (6)
この関係で、図15のモータを図18のように変換することができる。また、図18のモータのもう一つの狙いは、巻線の結線、コイルエンドの簡素化である。
図15の巻線151を図18の187と188へ置き換えることができる。図15の巻線152を図18の182と181へ置き換えることができる。図15の巻線153を図18の184と185へ置き換えることができる。図15の巻線154を図18の18Aと18Bへ置き換えることができる。
図18の巻線の結線は、図15の巻線の結線とは大幅に異なる。巻線181と182を破線で示すように集中巻きとし、電流Ijを通電する。巻線183と184を破線で示すように集中巻きとし、電流Ikを通電する。巻線185と186を破線で示すように集中巻きとし、電流Ijを通電する。巻線188と189を破線で示すように集中巻きとし、電流Ikを通電する。巻線18Bと18Eに巻線を巻回し、電流Ikを通電する。巻線187と18Aに巻線を巻回し、電流Ijを通電する。
図18のモータは、IjとIkの2種類の電流で駆動できる。また、多少無駄な電流が流れることになるがスロットの狭い場所の巻線が1個で、開口部の広いスロットで2巻線となるので、無理なく巻線を巻回できる。コイルエンドが、図15のモータに比較すると、短い。
次に、前記電流IjとIkの駆動回路の例を図19に示し、説明する。電流Ijは(1)式に示すように片方向の電流であり、T5とT6をオンすることにより、巻線41へ流れる電流を増加し、オフすることにより逆向きの2個のダイオードによりエネルギーを直流電圧源37へ回生する。巻線191は、電流Ijを通電すべき巻線の総称である。電流Ikは(2)式に示すように、Iaを通電すべきロータ回転位置θrかIbを通電すべきロータ回転位置θrかにより電流の正負の値が変わる交流の電流であり、T7、T8、T9、TAにより両方向の電流を制御する。巻線42は、電流Ikを通電すべき巻線の総称である。
図19の駆動回路は6個のトランジスタで構成しており、直流電圧源37からの電力の供給は2つの経路から並列して供給することができる。従って、直流電圧源37の電圧をVtとし、トランジスタの定格電流をItとすると、最大出力電力Pm1は2×Vt×Itである。モータ構成としても、一定回転数で回転するとき、電流の切り替わり領域を除いては、両巻線に鎖交するそれぞれの磁束φ1,φ2がロータの回転と共に変化し、それぞれの磁束の変化率dφ1/dt、dφ2/dtは一定値となるので、モータの最大入力を2×Vt×Itに近い値とすることが可能である。一方、一般的に使用される3相交流電圧電流のインバータも6個のトランジスタを使用するが、3端子回路網であり、最大の出力Pm2はVt×Itとなる。従って、図19のインバータは、3相交流電圧電流のインバータに比較して、トランジスタの電流容量を1/2近くまで小さくできる可能性があり、大幅に小形化できる可能性がある。
次に、前記電流IjとIkとImとInの駆動回路の例を図20に示し、説明する。図20の駆動回路に比較してImとInの駆動回路を追加する必要がある。電流ImはトランジスタT11とT12で駆動し、電流InはトランジスタT13とT14で駆動する。
巻線Yp1は、電流Imを通電すべき巻線の総称である。巻線Yp2は、電流Inを通電すべき巻線の総称である。トランジスタの数が10個となり、素子数が増えるので複雑になる。
次に、図21に、図20のインバータを簡素化した例を示す。電流ImはトランジスタT15とその直列回路で駆動する。巻線211は、電流Imを通電すべき巻線の総称である。電流InはトランジスタT16とその直列回路で駆動する。巻線212は、電流Inを通電すべき巻線の総称である。電流2×Ijは電流Imと電流Inの和であり、トランジスタT17とその直列回路で駆動する。巻線213は、電流Ijを通電すべき巻線の総称である。なお、ダイオード214と215は駆動条件によっては省略しても良い。
ただし、図21では通電の基本的な考え方を示したもので、電流と電圧のバランスは無視している。すなわち、巻線211,212と巻線213は直列になっている。213に流れる電流は2×Ikとなっている。従って、具体的なモータの4組の巻線211、212、213、192の巻き回数を調整する必要がある。例えば、213の巻線は、巻線を2分し、並列にする方法がある。
図21のインバータは、図19のインバータに比較してトランジスタが1個増え、7個となっている。しかし、先に説明したように、3相交流電圧電流インバータに比較すると、2つの経路で電力を供給できることから、インバータの全体の電流容量を小容量化することが可能であり優位性がある。
次に、請求項5の実施例について説明する。本発明のモータは、多極化など種々の変形が可能である。各相のステータ磁極の削除、スペースの再配分なども可能である。例えば、ステータ磁極の数が8個の場合は、図14に示すように、各ステータ磁極の入れ替えの組み合わせが可能である。
次に請求項6の実施例を示し、説明する。図22は図6のロータ形状を修正し、トルクリップルを低減する例である。図22の水平軸は、ロータ回転角の電気角である。縦軸はロータ軸方向である。図22の(a)の221は、図5のA相ステータ磁極57のロータに対向する面の形状である。同様に、222はB相ステータ磁極59、223はA/相ステータ磁極58、224はB/相ステータ磁極5Aのそれぞれのロータに対向する面の形状である。それぞれのステータ磁極の円周方向幅は75°で、それぞれの周期は90°に示している。
225と227は同じもので、ロータのステータに対向する面の形状の水平展開図である。ロータのCCWの方向は、図22の紙面で左から右側方向である。ロータがCCWへ回転する動作を説明する。ロータ磁極225の形状は、図22の紙面で、進行方向先端部の回転角幅RFFは15°で、その部分のロータ軸方向厚みはロータの軸方向厚みの1/3である。225の右側15°から75°までの間はロータの軸方向厚みの2/3である。225の右側75°から105°までの間はロータの軸方向厚みの3/3ですなわち、全長である。図示するように3段の段違いの形状としている。
図22の(b)に示すロータ磁極225の右端であるロータ位置θrは0°近傍にあり、A相巻線57、58へA相電流Iaを通電し、A/相巻線5E、5FへA/相電流−Iaを通電することにより磁気的な吸引力が発生し、図5でCCWのトルク、図6の紙面で右側方向のトルクT2を発生する。ロータ位置θrが0°から15°までは同一のトルクT2を発生することができる。ここで、ロータ位置θrが15°の位置、即ち、図22の(c)のロータ磁極225の回転位置で、ステータ磁極221に対向する部分のロータ磁極225のロータ軸方向幅W2は小さく、ロータの軸方向全長の1/3としている。
図22の(c)は、ロータ磁極225のロータ位置θr=15°の状態を示している。この状態では、ステータ磁極221に対向してさしかかる部分のロータ磁極225のロータ軸方向幅がW2からW3の変わる回転角位置であり、発生トルクT3はロータ回転位置θrが15°から75°の間はステータ磁極221に対向する面積SSRの回転変化率d(SSR)/dθrは原理的な最大値の2/3となる。
図22の(d)は、ロータ磁極225のロータ回転位置θr=75°の状態を示している。θrが75°から90°の間は、対向面積SSRの回転変化率d(SSR)/dθrが1/3に低下するので発生トルクも1/3となる。
図22の(e)は、ロータ磁極225のロータ位置θr=90°の状態を示している。θrが90°から図22の(f)である105°までの間は、対向面積SSRの回転変化率d(SSR)/dθrが1/3に低下するので発生トルクも1/3となる。
B相のステータ磁極59とB/相ステータ磁極5Aである222、224も、A相、A/相とは90°の位相遅れで、B相の励磁電流IbによりCCWトルクを発生することができる。従って、交互に駆動することにより、全周にわたってトルクを発生することができる。
図23は、図22で説明したモータ動作時の電圧特性と電流特性およびトルク特性の例である。図23の(a)と(c)の水平軸はロータ回転角で、縦軸は誘起電圧である。図23の(b)と(d)の水平軸はロータ回転角で、縦軸は電流である。図23の(e)の水平軸はロータ回転角で、縦軸はトルクである。図23の(a)は、ロータ回転位置θrが0°から90°の間と180°から270°の間においてA相電流Iaを一定値として通電した時のA相巻線の誘起電圧の例である。前記の面積SSRの回転変化率d(SSR)/dθrとA相電流Iaに関わった値となる。図23の(a)に示す負電圧は、A相電流を減少するときにモータの磁気エネルギーを回生する現象として発生する負電圧である。なお、電流の減少方法、回転数などにより負電圧の形状は大きく変化する。図23の(c)は、図23の(a)と同様に、ロータ回転位置θrが90°から180°の間と270°から360°の間においてB相電流Ibを一定値として通電した時のB相巻線の誘起電圧の例である。
図23の(b)は、A相電流Iaの通電例であり、この間ではほぼA相巻線の誘起電圧に類似した形状のトルクが発生する。図23の(d)は、B相電流Ibの通電例であり、この間ではほぼB相巻線の誘起電圧に類似した形状のトルクが発生する。図23の(b)と(d)ではA相電流IaとB相電流Ibが丁度交互に流れるように通電している。図23の(e)はA相のトルクとB相のトルクとを加算した値である。このトルクの最大値は図7の(e)で示したトルク最大値の2/3であり、平均トルクは低下しているが、トルク脈動は少なくなっている。
次に請求項6の他の実施例を示す。図24は図6のステータとロータに軟磁性体を付加してトルク特性を改善する例である。付加する軟磁性体はステータの軸方向両端とロータの軸方向両端である。従って、容易に付加できる寸法には制約があり、比較的扁平で、モータ軸方向長さの小さい形状のモータに有効である。
図24の(a)は、ステータ磁極の水平展開図である。各ステータ磁極には軟磁性体248をロータ軸方向両端に付加している。各ステータ磁極がロータに対向する近傍に付加する。各ロータ磁極には軟磁性体249をロータ軸方向両端に付加している。各ロータ磁極がステータに対向する近傍に付加する。その他のステータ磁極の形状およびロータ磁極の形状は図6と同じである。241はA相ステータ磁極、242はB相ステータ磁極、243はA/相ステータ磁極、244はB/相ステータ磁極である。245と246はロータ磁極である。
図24の(b)は、図6の(d)に相当するロータ回転角75°の図である。図6では75°から90°の間でトルクが1/2に低下するが、図24では前記軟磁性体248と249を付加しているのでトルクが低下しない。さらに、図24の(c)の90°から105°の間も前記軟磁性体248と249によりトルクを発生することができる。
図25は、図24の特性の電圧、電流、トルクである。図25の(a)はA相電流Iaを一定値として通電した時のA相巻線の誘起電圧である。図23の(b)は、A相電流Iaの通電例である。図25の(c)はB相電流Ibを一定値として通電した時のB相巻線の誘起電圧である。図23の(b)は、B相電流Ibの通電例であある。図23の(e)はA相のトルクとB相のトルクとを加算した値であり、前記軟磁性体248と249の効果により、トルク脈動を無くすことが可能となる。また、トルク値は、図7の(e)に示すトルクの最大値である。
この結果、前記軟磁性体248と249の形状に制約があるものの、トルク特性の改善が可能である。また。図24の(d)と(e)は、図24の(a)と(b)における前記軟磁性体248と249の両方を同じ角度だけロータ回転角の方向へ移動したもので、モータの特性は変わらない。前記軟磁性体248と249の構成の設計上の都合で取り付け位置を移動するすることが可能である。
次に請求項7の実施例を図26に示し、説明する。図1、図2などにロータ磁極の形状例を示した。これらのロータ形状は、回転方向に形状が変わるため製作コストがかかる問題がある。また、高速回転では騒音の問題が発生することもある。図26の構成は電磁鋼板に穴やくぼみを設けることにより、磁気抵抗が等価なロータを構成するものである。図26の(a)は、図1、図2のロータを意味するもので、261の部分は空間で、263の部分は軟磁性体が詰まっていて、262の部分は261と263のの中間の磁気特性である。
図26の(b)は図26の(a)と等価な磁気特性を、264の大きな穴と265の細長い穴により実現している。このような構成であれば、同一の電磁鋼板を積層するだけで構成できるの製作が容易である。また、外周が円形なので、ロータが風を切る騒音を低減することができる。
図26の(c)は図26の(a)と類似した磁気特性をステータとロータ間のエアギャップで得るものである。267は空間であり、268はステータとロータとの間のエアギャップが少し広くなっている。269の部分は、エアギャップが小さく、ステータとロータとの磁束通過が容易な場所である。ステータとロータが同一の電磁鋼板を積層するだけで構成できるの製作が容易である。
次に、請求項8について説明する。請求項8は、円周方向に並んで配置する2個のステータ磁極において、歯の外径側から内径側へ通過する通電時の磁束方向が逆向きである2個のステータ磁極の歯の先端部近傍に前記磁束方向が逆向きとなるような磁束を供給する極性の永久磁石を備える構成であり、既に説明したように、図11の11S、11T、11U、11Vなどの永久磁石を付加する技術である。
次に、請求項9について説明する。請求項9は、モータバックヨークに配置し、各ステータ磁極の磁束方向に向いた極性を持つ永久磁石を備える構成であり、既に説明したように、図10の10S、10T、10U、10Vなどの永久磁石を付加する技術である。
また、図11のようなモータ構成の場合、図10のように永久磁石を付加することはできない。このような場合には、図27に示すバックヨークの構成とすることが可能である。図27はステータコアの側面図であり、紙面の上下がロータ軸方向である。271はバックヨークを構成するリング状の軟磁性体で、272もバックヨークを構成する同一形状の軟磁性体である。271と272の間には図示するように相互にN極とS極の方向を向いた永久磁石273を配置する。そして、図11においてN極を構成するステータ磁極114、11A、11G、11Pのバックヨーク側を磁気的に272へ接続する。S極を構成するステータ磁極111、117、11D、11Kのバックヨーク側を磁気的に271へ接続する。この時、図11に示しているステータのバックヨークは除去し、各ステータ磁極は前記271あるいは272へ磁気的に接続するものとする。このような構成とすることにより、各ステータ磁極は永久磁石273により励磁することができ、各ステータ磁極を励磁電流成分を低減することができ、モータを高効率化することができる。なお、この構成は、平面状ではなく、3次元状の磁路を構成となるため、電磁鋼板を積層する構造では実現が難しい。この対応策の一つとして、圧粉磁心を用いた3次元形状の磁路を構成することにより、前記磁路を比較的容易に実現することができる。
次に請求項10の実施例を図28に示し、説明する。図28は本発明モータの縦断面図である。281はロータ軸であり、282は図1に示したロータのような構成の第1ロータである。283は同様な第2ロータである。284は空間などの磁気抵抗の大きなスペースである。285は第1ステータで、286と287はクローポール状のステータ磁極であり、それぞれ、A相ステータ磁極とA/相ステータ磁極を構成する。288はA相ステータ磁極とA/相ステータ磁極とを励磁する環状のA相巻線である。289は第2ステータで、28Aと28Bはクローポール状のステータ磁極であり、それぞれ、B相ステータ磁極とB/相ステータ磁極を構成する。28CはB相ステータ磁極とB/相ステータ磁極とを励磁する環状のB相巻線である。28Dは空間などの磁気抵抗の大きなスペースである。円周上に各相のステータ磁極は複数個設けた構成である。モータの大きさにもよるが、最低でも2個以上の各相ステータ磁極を設ける。また、ステータ磁極の特性、ロータ磁極の特性は、本発明で示した他の例と同じである。
前記のクローポール状の磁路は、圧粉磁心を使用することによりプレス技術で製作することができる。また、環状巻線の製作も容易である。環状巻線とクローポール状の磁路を用いることにより、製作性に優れたモータを構成することができる。
また、図28のような2つのモータ構成要素を並列に配置する構成は、ロータ軸方向に並べる以外の方法で構成することができる。モータの外径側に第1モータ構成要素を配置し、モータの内径側に第2モータ構成要素を配置する方法である。また、いわゆるアキシャルギャップモータのように構成して、ロータ軸方向に背中合わせで、第1モータ構成要素と第2モータ構成要素を配置する方法もある。
以上本発明について説明したが、種々の変形、応用、組み合わせが可能である。例えば、ロータ磁極の円周方向の磁気特性は、ロータのスキュー、あるいは、ステータのスキューの技術も応用して実現することもできる。段スキューなどの技術と合わせて実現することもできる。ロータ磁極の数を数個増加して、その増加した間隔でステータ磁極を円周方向に移動することにより、考え方は同じで類似した特性のモータを実現することもできる。極数の変更もできる。外径側に第1のモータを配置し、内径側に第2のモータを配置し、合計2個のモータを配置して一体化したモータ構成が可能である。巻線の種類としてアルミ線などを使用することもでき、限定しない。軟磁性体も電磁鋼板だけでなく、圧分磁心など種々の材料が使える。また、永久磁石に種々のもが使用でき、使用時に磁石の強さを可変することも可能である。これらについても本発明に含むものである。
111、11D A相ステータ磁極
112、113、11E、11F A相巻線
114、11G A/相ステータ磁極
115、116、11H、11J A/相巻線
117、11K B相ステータ磁極
118、119、11M、11N B相巻線
11A、11P B/相ステータ磁極
11B、11C、11Q、11R B相巻線

Claims (10)

  1. A相のステータ磁極と、
    A相とは電気角で180°の位相差であるA/相のステータ磁極と、
    A相とは電気角で90°の位相差であるB相のステータ磁極と、
    A相とは電気角で270°の位相差であるB/相のステータ磁極と、
    各ステータ磁極を励磁する巻線と、
    ロータの円周方向の単位角度幅のロータ軸方向の全長に渡る単位面積についてそのラジアル方向の磁気抵抗平均値R1Rが最も大きい第1の回転部と、
    前記第1の回転部の円周方向に隣接して配置された第2の回転部と、
    前記第2の回転部の円周方向に隣接して配置された第3の回転部とを備え、
    前記第2の回転部の円周方向の単位角度幅のロータ軸方向の全長に渡る単位面積についてのラジアル方向のパーミアンス(1/磁気抵抗平均値R2R)が前記第3の回転部の円周方向の単位角度幅のロータ軸方向の全長に渡る単位面積についてのラジアル方向のパーミアンス(1/磁気抵抗平均値R3R)の15%から85%の値であり、
    前記第1の回転部と前記第2の回転部と前記第3の回転部とで構成した第1のロータ磁極と、
    前記第1のロータ磁極と同様形状で電気角で180°の位相差である第2のロータ磁極とを備え、
    前記各相のステータ磁極の円周方向幅SSWは、電気角で90°以下であり、
    ロータの前記第2の回転部と前記第3の回転部との円周方向幅の合計が電気角で90°以上であり、
    ステータ磁極の円周方向角度幅をSSWとして前記第3の回転部の円周方向幅RFFは、それぞれ電気角で、(90°−SSW)以上の値である
    ことを特徴とするリラクタンスモータ。
  2. 請求項1において、
    前記第1のロータ磁極および第2ロータ磁極をNN1倍に多極化したロータ磁極と、
    それぞれ(NN1−NN2)個の前記A相のステータ磁極と、前記A/相のステータ磁極と、前記B相のステータ磁極、および、前記B/相のステータ磁極を備える
    ことを特徴とするリラクタンスモータ。
    ここで、NN1は2以上の整数で、NN2は1以上で(NN1−1)以下の整数である。
  3. 請求項1において、
    A相のステータ磁極を励磁する電流成分をIaとし、B相のステータ磁極を励磁する電流成分をIbとして、スロットに通電すべき電流が(Ia+Ib)のスロットへ電流Ijを通電する巻線を巻回し、
    スロットに通電すべき電流が(Ia−Ib)のスロットへ電流Ikを通電する巻線を巻回し、
    スロットに通電すべき電流が(2×Ia)のスロットへ電流Imを通電する巻線を巻回し、
    スロットに通電すべき電流が(2×Ib)のスロットへ電流Inを通電する巻線を巻回し、
    前記のそれぞれの通電すべき電流の値の正負の符号が逆の場合は逆向きにした巻線を巻回することを特徴とするリラクタンスモータ。
  4. 請求項3において、
    前記の電流Imを通電する巻線とはスロットへ電流Ijを通電する巻線と電流Ikを通電する巻線とを巻回して構成し、
    前記の電流Inを通電する巻線とは電流Ijを通電する巻線と電流(−Ik)を通電する巻線とを巻回して構成する
    ことを特徴とするリラクタンスモータ。
  5. 請求項1、及び、請求項2において、
    少なくとも、前記A相のステータ磁極円周方向位置と前記A/相のステータ磁極円周方向位置とを相互に交換する配置構成、又は、前記B相のステータ磁極円周方向位置と前記B/相のステータ磁極円周方向位置とを相互に交換する配置構成のいずれか一方の配置構成である
    ことを特徴とするリラクタンスモータ。
  6. 請求項1において、
    ロータの円周方向の単位角度幅のロータ軸方向の全長に渡る単位面積についてそのラジアル方向の磁気抵抗平均値R1Rが最も大きい第1の回転部と、
    前記第1の回転部の円周方向に隣接して配置された第2の回転部と、
    前記第2の回転部の円周方向に隣接して配置された第4の回転部と、
    前記第4の回転部の円周方向に隣接して配置された第3の回転部とを備え、
    前記第4の回転部の円周方向の単位角度幅のロータ軸方向の全長に渡る単位面積についてのラジアル方向のパーミアンス(1/磁気抵抗平均値R4R)が前記第3の回転部のパーミアンス(1/磁気抵抗平均値R3R)の30%から85%の値であり、
    前記第1の回転部と前記第2の回転部と前記第4の回転部と前記第3の回転部とで第3のロータ磁極を構成し、
    前記第3のロータ磁極と同様形状で180°の位相差である第4のロータ磁極を備え、
    各相のステータ磁極の円周方向幅SSWは、電気角で90°以下であり、
    ロータの前記第2の回転部と前記第4の回転部と前記第3の回転部との円周方向幅の合計が電気角で90°以上である
    ことを特徴とするリラクタンスモータ。
  7. 請求項1、および、請求項6において、
    前記第1の回転部の磁気抵抗平均値R1Rと前記第2の回転部の磁気抵抗平均値R2Rと前記第4の回転部の磁気抵抗平均値R4Rと前記第3の回転部の磁気抵抗平均値R3Rとを電磁鋼板に施す複数の穴や溝、および、細長い穴を用いてほぼ等価な磁気抵抗の比となるように作成し、
    前記電磁鋼板をロータ軸方向に積層する
    ことを特徴とするリラクタンスモータ。
  8. 請求項1において、
    円周方向に並んで配置する2個のステータ磁極において、歯の外径側から内径側へ通過する通電時の磁束方向が逆向きである2個のステータ磁極の歯の先端部近傍に前記磁束方向が逆向きとなるような磁束を供給する極性の永久磁石
    を備えることを特徴とするリラクタンスモータ。
  9. 請求項1において、
    モータバックヨークに配置し、各ステータ磁極の磁束方向に向いた極性を持つ永久磁石を備え
    前記永久磁石のN極はNN3個のN極のステータ磁極へ磁気的に接続され、
    前記永久磁石のS極はNN3個のS極のステータ磁極へ磁気的に接続されている
    ことを特徴とするリラクタンスモータ。
    ここで、NN3は2以上の整数である。
  10. 請求項1において、
    2個以上のA相ステータ磁極と、
    前記A相ステータ磁極とはクローポール状に配置した2個以上のA/相ステータ磁極と、
    前記A相のステータ磁極と前記A/相のステータ磁極に交差するように配置して、両ステータ磁極を通過する磁束を励磁する電流を通電する環状巻線と、
    2個以上のB相ステータ磁極と、
    前記B相ステータ磁極とはクローポール状に配置した2個以上のB/相ステータ磁極と、
    前記B相のステータ磁極と前記B/相のステータ磁極に交差するように配置して、両ステータ磁極を通過する磁束を励磁する電流を通電する環状巻線と、
    前記A相ステータ磁極と前記A/相のステータ磁極とが電磁気的に作用するロータ部RAAと、
    前記B相ステータ磁極と前記B/相のステータ磁極とが電磁気的に作用するロータ部RBBとを備え、
    前記ロータ部RAAと前記ロータ部RBBとは機械的に結合し、
    前記A相ステータ磁極を通る磁束と前記B相ステータ磁極を通る磁束とが分離する位置に前記各ステータ磁極を配置する
    ことを特徴とするリラクタンスモータ。
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