JP2013216936A - 合金化溶融亜鉛めっき熱延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

合金化溶融亜鉛めっき熱延鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】既存の合金化溶融亜鉛めっきラインにて製造可能な、伸びフランジ成形に適した延性および穴広げ性に優れた高強度溶融亜鉛めっき熱延鋼板を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.03〜0.15%、Si:0.5%以下、Mn:1〜4%、P:0.05%以下、S:0.01%以下、N:0.01%以下、Al:0.5%以下、Ti:0.11〜0.50%、Nb:0〜0.50%およびV:0〜0.50%を含有し、マルテンサイトおよびオーステナイトの1種又は2種を合計で1〜8体積%含有し、残部がフェライトおよびベイナイトの1種又は2種からなるとともに、Ti、NbおよびVのいずれかを含む析出物を合計で0.2体積%以上含有する鋼組織とを有する。
【選択図】図3

Description

本発明は溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法に関する。より詳しくは、プレス加工等により様々な形状に成形される自動車用鋼板、特に足回り部品に好適な、延性および穴広げ性に優れた高強度溶融亜鉛めっき熱延鋼板およびその製造方法に関する。
近年、地球温暖化対策に伴う二酸化炭素排出量規制の観点から、自動車の燃費向上が求められており、車体の軽量化と衝突安全性確保のために、高強度鋼板の適用が拡大しつつある。また、耐食性を必要とする部品に対しては、高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板のニーズが高まっている。特にサスペンションアーム等の足回り部品に関しては、大型部品であって、剛性確保の点で一定の板厚を要することから、冷延鋼板よりコストが安く、板厚の大きい熱延鋼板をめっき基材とした高強度合金化溶融亜鉛めっき熱延鋼板が求められている。
自動車用部品に供される高強度鋼板においては、引張強度だけでなく、プレス成形性や溶接性等、部品成形時に要求される各種施工性が満足されなければならない。とりわけ足回り部品のプレス成形においては、伸びフランジ成形の使用頻度は極めて高く、優れた延性および穴広げ性が要求される。したがって、足回り部品に用いられる高強度合金溶融亜鉛めっき熱延鋼板には、引張強度に加え、延性および穴広げ性の双方に優れていることが求められる。
一般に、高い強度と良好な延性とを両立させるには、軟質なフェライトを母相とし、マルテンサイトやオーステナイト等の硬質相を一定量生成させることによる、鋼組織の複合組織化が有効である。しかしながら、このような不均一組織を有する鋼板は、延性に優れる反面、穴広げ性に劣る。これは、延性破壊の起点となるマイクロボイドが、フェライトとマルテンサイト等の硬質相との異相界面、またはその近傍に発生しやすいことに因る。
一方、高い強度と良好な穴広げ性とを両立させるには、鋼組織をフェライト単相組織とし、かつ、Ti、NbおよびVといった炭化物形成元素を添加することによりフェライト素地を均一に強化した析出強化型鋼板、または鋼組織をベイナイト単相組織としたベイナイト鋼板のように、鋼組織の均一化が有効である。しかし、このような均一組織を有する鋼板は穴広げ性に優れる反面、延性に劣る。
以上の通り、従来、高強度合金溶融亜鉛めっき熱延鋼板において、延性と穴広げ性とを高次元で両立させることは極めて困難な課題であった。しかし現在、高強度合金溶融亜鉛めっき熱延鋼板の延性−穴広げ性バランスの改善に関して多数の研究開発がなされ、その組織制御手法が確立されつつある。以下にその開発例を示す。
特許文献1には、フェライト母相の微細粒化、およびマルテンサイトを主体とする第二相の微細粒化により、延性を向上させたとされる高張力溶融亜鉛めっき熱延鋼板が開示されている。しかし、この熱延鋼板は、鋼組織にマルテンサイトを過剰に含むため、延性に優れる反面、十分な穴広げ性が得られていない。また、引張強度に関しても、高々740MPaしか得られておらず、近年のさらなる高強度化のニーズを満足するものではない。
特許文献2には、フェライト地をNbCによる析出強化により強化し、第二相をパーライトまたはセメンタイトとすることにより、高い引張強度と優れた穴広げ性とを有するとされる溶融亜鉛めっき熱延鋼板が開示されている。しかし、延性に関しては何ら言及されておらず、マルテンサイト量が制御されていないと延性が不十分となることからすれば、良好な穴広げ性とともに高い延性をも要求される足回り部品の素材としては適さない。
特許文献3には、鋼組織の一部または全部分を焼戻しマルテンサイトとすることにより、高強度と穴広げ性とを兼ね備えるとされる合金溶融亜鉛めっき熱延鋼板が開示されている。しかし、このような鋼組織を得るには、連続溶融亜鉛めっきラインでの還元焼鈍後、マルテンサイト変態開始温度(Ms点)以下に急冷し、溶融亜鉛めっき浴温度に再加熱する必要がある。そのため特別な設備投資を要し、かつ、製造工程も複雑となることから、製造コストの観点で量産には適していない。
特開2000−212686号公報 特開2002−12947号公報 特開平5−311244号公報
本発明の目的は、自動車用部品、特に足回り部品において多用される伸びフランジ成形に適した、延性および穴広げ性に優れた高強度溶融亜鉛めっき熱延鋼板およびその製造方法を提供することである。別の目的は、特別な設備投資の必要がなく、既存の合金化溶融亜鉛めっきラインにて製造可能な高強度溶融亜鉛めっき熱延鋼板およびその製造方法を提供することである。
本発明者らは、引張強度(以下、「TS」とも表記する。)が750MPa以上、TSと引張試験における破断伸びである全伸び(以下、「EL」とも表記する。)との積(以下、「TS×EL値」とも表記する。)が13000MPa・%以上、TSとJFS T 1001に規定の方法で測定した穴広げ率(以下、「HER」とも表記する。)との積(以下、「TS×HER値」とも表記する。)が60000MPa・%以上である機械特性を有する合金化溶融亜鉛めっき熱延鋼板を得ることを目指して鋭意検討を重ねた結果、下記の知見を得た。
すなわち、フェライトまたはベイナイトを主相とする鋼組織とし、その中にTi系析出物を所定の体積率以上析出させると、従来は穴広げ性を著しく劣化させると考えられていたマルテンサイトおよび残留オーステナイトを含有させても、その体積率の合計を所定の範囲内に制御すれば、TS×HER値を低下させずにTS×EL値を向上させることができ、したがって、従来技術においては困難であった、高強度鋼板における延性−穴広げ性バランスの向上が可能となる。その結果、熱延鋼板を基材とする合金化溶融亜鉛めっき熱延鋼板において、上記TS、TS×EL値、およびTS×HER値の達成が可能となる。
ここで、Ti系析出物とは、少なくともTi炭化物を含み、場合によりVおよびNbの各炭化物を含んでいてもよい析出物を意味する。
上記のような特異な現象が発現するメカニズムは必ずしも明らかではないが、Ti系析出物を所定の体積率以上に析出させ、主相となるフェライトおよびベイナイトを十分に析出強化することにより、主相と硬質相(マルテンサイトおよびオーステナイト)との界面に生ずるマイクロボイドの成長および伝播が抑制されるためであると推定される。
上記知見に基づいてなされた本発明の要旨は次の通りである。
(1)熱延鋼板の表面に合金化溶融亜鉛めっき層を有する合金化溶融亜鉛めっき熱延鋼板であって、
前記熱延鋼板は、質量%で、C:0.03%以上0.15%以下、Si:0.5%以下、Mn:1%以上4%以下、P:0.05%以下、S:0.01%以下、N:0.01%以下、Al:0.5%以下、Ti:0.11%以上0.50%以下であるとともに、下記の式(1)および式(3)を満足する化学組成と、マルテンサイトおよびオーステナイトの1種又は2種を合計で1体積%以上8体積%以下含有し、残部がフェライトおよびベイナイトの1種又は2種からなるとともに、Tiを含む析出物を0.2体積%以上含有する鋼組織とを有することを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき熱延鋼板:
0.001≦C*≦0.060 ・・・(1)
C*=C−12.01×(Ti/47.88) ・・・(2)
0.100≦A≦0.200 ・・・(3)
A=C*+Si/30+Mn/20 ・・・(4)
上記式中、各元素記号は、鋼中のその元素の含有量(質量%)を意味する。
(2)熱延鋼板の表面に合金化溶融亜鉛めっき層を有する合金化溶融亜鉛めっき熱延鋼板であって、
前記熱延鋼板は、質量%で、C:0.03%以上0.15%以下、Si:0.5%以下、Mn:1%以上4%以下、P:0.05%以下、S:0.01%以下、N:0.01%以下、Al:0.5%以下、Ti:0.11%以上0.50%以下であるとともに、Nb:0.50%以下およびV:0.50%以下からなる群から選択される1種または2種を含有し、さらに、下記の式(1)および式(3)を満足する化学組成と、マルテンサイトおよびオーステナイトの1種又は2種を合計で1体積%以上8体積%以下含有し、残部がフェライトおよびベイナイトの1種又は2種からなるとともに、Ti、NbおよびVのいずれかを含む析出物を合計で0.2体積%以上含有する鋼組織、とを有することを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき熱延鋼板:
0.001≦C*≦0.060 ・・・(1)
=C−12.01×{Ti/47.88+Nb/92.91+0.5×V/50.94} ・・・(2’)
0.100≦A≦0.200 ・・・(3)
A=C*+Si/30+Mn/20 ・・・(4)
上記式中、各元素記号は、鋼中のその元素の含有量(質量%)を意味する。
(3)前記化学組成が、質量%で、Cr:1%以下、Mo:1%以下およびB:0.005%以下からなる群から選択される1種または2種以上をさらに含有し、前記式(3)におけるAが、前記式(4)に代えて下記式(4’)により規定される、上記(1)または(2)に記載の高強度合金化溶融亜鉛めっき熱延鋼板:
A=C*+Si/30+Mn/20+Cr/20+Mo/15+5×B・・・(4’)
上記式中、各元素記号は、鋼中のその元素の含有量(質量%)を意味する。
(4)前記化学組成が、質量%で、Ca:0.01%以下およびBi:0.01%以下からなる群から選択される1種または2種をさらに含有する、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の合金化溶融亜鉛めっき熱延鋼板。
(5)引張強度が750MPa以上、引張強度と全伸びとの積が13000MPa・%以上、引張強度と穴広げ率との積が60000MPa・%以上である機械特性を有する、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の合金化溶融亜鉛めっき熱延鋼板。
(6)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の化学組成を有する熱延鋼板を(Ac点−50℃)以上950℃以下の温度域まで加熱し、次いで1℃/秒以上50℃/秒以下の平均冷却速度で前記温度域から400℃以上550℃以下の温度域まで冷却して溶融亜鉛めっき処理を施し、さらに460℃以上650℃以下の温度域に保持して合金化処理を施すことを特徴とする、合金化溶融亜鉛めっき熱延鋼板の製造方法。
本発明により、高強度かつ、優れた延性および穴広げ性を有する合金化溶融亜鉛めっき熱延鋼板を得ることができる。本発明にかかる合金化溶融亜鉛めっき熱延鋼板は、多くの産業上、中でも自動車分野において広範に使用可能である。
合金化溶融亜鉛めっきラインにおけるヒートパターンを示す図である。 本発明に係る鋼板の典型的な鋼組織を示す光学顕微鏡写真であり、暗色部が主相であるフェライトおよびベイナイト、白色部が硬質相であるマルテンサイトおよびオーステナイトを示す。 MAとTS×EL値およびTS×HER値をプロットしたグラフである。ハッチング部はVMAが本発明の範囲であることを示す。
以下に本発明についてより具体的に説明する。以下の説明を含む本明細書において、化学組成を規定する「%」は全て「質量%」である。
1.熱延鋼板の化学組成
本発明の合金化溶融亜鉛めっき熱延鋼板の基材である熱延鋼板の化学組成についてまず説明する。
C:0.03%以上0.15%以下
Cは、鋼板の高強度化のために必須の元素である。したがって、C含有量は0.03%以上とする。好ましくは0.05%以上、さらに好ましくは0.06%以上である。一方、C含有量が0.15%を超えると、穴広げ性や溶接性の低下が著しくなる。したがって、C含有量は0.15%以下とする。好ましくは0.12%以下、さらに好ましくは0.10%以下である。
なお、C含有量は、Tiならびに場合により含有させることができるNbおよびVのそれぞれの含有量との関係で、後述する[0.001≦C*≦0.060]式を満たすようにする。その理由についても後述する。
Si:0.5%以下
Siは、Alと同様に、鋼を脱酸することにより鋼板を健全化する作用を有する。Siは、また、マルテンサイトおよび残留オーステナイトの生成を促進し、鋼板を高強度化する作用も有する。したがって、Siを含有させてもよい。しかし、Si含有量が0.5%を超えると、マルテンサイトおよび残留オーステナイトの体積分率が過剰になる場合がある。また、鋼板と溶融亜鉛めっきとの濡れ性が劣化する。したがって、Si含有量は0.5%以下とする。好ましくは0.2%以下、さらに好ましくは0.1%以下である。上述したように、SiおよびAlは脱酸に関して同様の作用を有するので、Alを含有する場合にはSiは含有させずともよい。Siを含有させて、Siの上記作用による効果をより確実に得るには、Si含有量を0.001%以上とすることが好ましい。
Mn:1%以上4%以下
Mnは、鋼板の高強度化に有効な元素である。したがって、Mn含有量は1%以上とする。好ましくは1.5%以上である。一方、過度の添加は延性および穴広げ性を劣化させる。したがって、Mn含有量は4%以下とする。好ましくは3%以下である。
P:0.05%以下
Pは、一般に不純物として含有される元素であるが、固溶強化元素でもあり、鋼板の高強度化には有効な元素である。したがって、Pを添加しても構わない。しかし、過度の添加は溶接性を劣化させる。したがって、P含有量の上限は0.05%とする。さらに好ましくは0.02%以下である。
S:0.01%以下
Sは、一般に不純物として含有される元素であり、鋼中でMnSを形成して、穴広げ性を劣化させる。S含有量が0.01%を超えると穴広げ性の劣化が著しくなる。したがって、S含有量は0.01%以下とする。好ましくは0.005%以下である。
N:0.01%以下
Nは、一般に不純物として含有される元素であり、鋼中に窒化物を形成して、穴広げ性を劣化させる。N含有量が0.01%を超えると穴広げ性の劣化が著しくなる。したがって、N含有量は0.01%以下とする。好ましくは0.005%以下である。
Al:0.5%以下
Alは、Siと同様に、鋼を脱酸することにより鋼板を健全化する作用を有する。したがって、Alを含有させてもよい。しかし、0.5%を超えてAlを含有させても、上記作用による効果は飽和してしまい、いたずらにコスト上昇を招く。したがって、Al含有量は0.5%以下とする。好ましくは0.2%以下、さらに好ましくは0.1%以下である。上述したように、SiおよびAlは脱酸に関して同様の作用を有するので、Siを含有する場合にはAlは含有させずともよい。Alを含有させて、Alの上記作用による効果をより確実に得るには、Al含有量を0.003%以上とすることが好ましい。
Ti:0.11%以上0.50%以下
Tiは、フェライト変態を促進し、また、鋼中に炭化物を形成してフェライト相を強化するため、鋼板の高強度化作用ならびに強度−延性バランスおよび強度−穴広げ性バランスを向上させる作用を有する。Ti含有量が0.11%未満では上記作用による効果を得ることが困難である。したがって、Ti含有量は0.11%以上とする。好ましくは0.16%以上である。一方、Ti含有量を0.50%超としても、上記作用による効果は飽和してしまい、いたずらにコスト上昇を招く。したがって、Ti含有量は0.50%以下とする。好ましくは0.30%以下である。
以下に説明する元素は、本発明に係る合金化溶融亜鉛めっき熱延鋼板の基材鋼板に必要により含有させてもよい任意元素である。
Nb:0.50%以下およびV:0.50%以下からなる群から選択される1種または2種
NbおよびVは、いずれもTiと同様に鋼中に炭化物を形成してフェライト相を強化し、鋼板の高強度化作用ならびに強度−延性バランスおよび強度−穴広げ性バランスを向上させる作用を有する。したがって、Tiと比較して高価な元素ではあるが、これらの元素の1種または2種を含有させてもよい。しかし、いずれの元素もその含有量を0.50%超としても、上記作用による効果は飽和してしまい、いたずらにコスト上昇を招く。したがって、いずれの元素の含有量も0.50%以下とする。なお、これらの元素の上記作用による効果をより確実に得るには、それぞれ含有量を0.001%以上とすることが好ましい。
Cr:1%以下、Mo:1%以下およびB:0.005%以下からなる群から選択される1種または2種以上
Cr、MoおよびBは、いずれも鋼の焼入性を高め、鋼板を高強度化させる作用を有する。したがって、これらの元素の1種または2種以上を含有させてもよい。しかし、CrおよびMoについては1%を超えて含有させると、Bについては0.005%を超えて含有させると、穴広げ性の劣化を惹き起こす。したがって、各元素の含有量は上記のように規定する。なお、これらの元素の上記作用による効果をより確実に得るには、Cr:0.001%以上、Mo:0.001%以上およびB:0.0001%以上のいずれかを満足させることが好ましい。
Ca:0.01%以下およびBi:0.01%以下からなる群から選択される1種または2種
Caは鋼中介在物を微細に分散させ、Biは鋼中におけるMn等の置換型合金元素のミクロ偏析を軽減させることにより、いずれも鋼板の延性および穴広げ性を向上させる作用を有する。したがって、これらの元素の1種または2種を含有させてもよい。しかしながら、いずれの元素もその含有量を0.01%超とすると、却って延性の劣化を惹き起こす。したがって、各元素の含有量は上記のように規定する。なお、これらの元素の上記作用による効果をより確実に得るには、いずれかの元素の含有量を0.0001%以上とすることが好ましい。
[0.001≦C*≦0.060]
但し、C=C−12.01×{Ti/47.88+Nb/92.91+0.5×V/50.94}]
上記式中、C、Ti、Nb、Vの各記号は、鋼中のその元素の含有量(質量%)を意味する。NbとVの少なくとも一方を含有しない場合には、その含有量に0(%)の値を代入する。従って、鋼がNbとVを含有しない場合のCは次式で算出される:
C*=C−12.01×(Ti/47.88)。
C*は、鋼中の全C量から、鋼中にTi,NbおよびVの炭化物として存在するC量を差し引いた値であり、マルテンサイトおよびオーステナイトの生成源となる鋼中の非固定C量(固溶C量)を示すパラメータである。後述するマルテンサイトおよびオーステナイトの合計体積率を所望の範囲に制御するには、鋼の化学組成を、0.001≦C*≦0.060とする必要がある。好ましくは0.010≦C*≦0.060、さらに好ましくは0.020≦C*≦0.050である。
[0.100≦A≦0.200]
但し、A=C*+Si/30+Mn/20+Cr/20+Mo/15+5×B
上記式中、Si、Mn、Cr、Mo、Bの各記号は鋼中のその元素の含有量(質量%)を意味する。鋼がいずれかの元素を含有しない場合には、その元素の含有量に0(%)を代入する。例えば、鋼がCr以下の元素を含有しない場合のAの値は次式で算出される:
A=C*+Si/30+Mn/20
鋼がさらにSiも含有しなければ、A=C*+Mn/20となる。
Aは鋼の焼入性を示す指標である。後述するマルテンサイトおよびオーステナイトの合計体積率を所望の範囲に制御するには、鋼の化学組成を、0.100≦A≦0.200に制御する必要がある。好ましくは0.120≦A≦0.190、より好ましくは0.130≦A≦0.180である。
2.熱延鋼板の鋼組織
上述したように、本発明は、フェライトおよび/またはベイナイトを主相とする鋼組織とし、その中にTi系析出物を所定の体積率以上析出させると、従来は穴広げ性を著しく劣化させると考えられていたマルテンサイトおよび残留オーステナイトが鋼組織に含まれていても、その体積率の合計を所定の範囲内に制御すれば、TS×HER値を低下させることがなく、TS×EL値を向上させることができること、すなわち、従来技術においては困難であった、高強度鋼板における延性−穴広げ性バランスの向上が可能となる、との新たな知見に基づくものである。そのため、鋼組織においては、マルテンサイトおよびオーステナイトの合計体積率とTi系析出物の体積率とを規定する。
[マルテンサイトおよびオーステナイトの合計体積率:1体積%以上8体積%以下]
マルテンサイトおよびオーステナイトの合計体積率は、鋼板のTS×EL値およびTS×HER値に著しい影響を及ぼすため、本発明において重要な組織因子である。TS×EL値は、上記合計体積率の増加に伴い向上するが、上記合計体積率が1%未満では上記作用による効果を十分に得ることが困難である。したがって、上記合計体積率は1%以上とする。好ましくは2%以上である。一方、上記合計体積率が8%を超えるとTS×HER値が著しく低下する。したがって、上記合計体積率は8%以下とする。好ましく6%以下である。
本発明では、マルテンサイトと残留オーステナイトのそれぞれの体積率は規定されない。したがって、組織分析においては、これらの2相を識別せずに同定できる簡易な方法により、それらの合計体積率を求めれば十分である。その場合、マルテンサイトまたはオーステナイトの一方しか存在しない可能性があるが、それでも構わない。
[Ti系析出物の体積率:0.2%以上]
Ti系析出物(Ti、NbまたはVを含む析出物、鋼がNbおよびVを含有しない場合にはTiを含む析出物、本発明の場合、析出物は実質的に炭化物)は、析出強化および結晶粒の微細化による鋼板の高強度化に作用すると同時に、強度−延性バランスおよび強度−穴広げ性バランスの向上に寄与するため、本発明において重要な組織因子である。Ti系析出物が0.2体積%未満では、上記作用による効果を得ることが困難である。したがって、Ti系析出物を0.2体積%以上含有するものとする。この値は好ましくは0.3体積%以上であり、さらに好ましくは0.35体積%以上である。Ti系析出物の体積%の上限は特に制限されないが、鋼の化学組成により自ずと制限される。
Ti系析出物は、熱延鋼板の化学組成がNb:0.50%以下およびV:0.50%以下からなる群から選択される1種または2種を含有する場合には、Ti、NbおよびVのいずれかを含む析出物の合計体積率により規定され、これらの元素を含有しない場合には、Tiを含む析出物の体積率により規定される。
以上を除いた残部、すなわち、鋼組織の主相は、フェライトおよびベイナイトの1種又は2種からなる。ここで、フェライトはポリゴナルフェライトおよびベイニティックフェライトを含む意味である。主相がフェライトおよび/またはベイナイトであり、かつその中に上述した硬質相(マルテンサイト+オーステナイト、Ti系析出物)を含有させることによって、本発明の特徴である強度−延性バランスおよび強度−穴広げ性バランスの向上が達成される。
3.合金化溶融亜鉛めっき熱延鋼板の機械特性
本発明に係る合金化溶融亜鉛めっき熱延鋼板は、引張強度(TS)が750MPa以上、かつ引張強度と全伸びの積(TS×EL)が13000MPa・%以上、かつ、引張強度と穴広げ率の積(TS×HER)が60000MPa・%以上である機械特性を有することが好ましい。近年の自動車用高強度鋼板に要求される厳しい性能を満足するには、上記のように高い強度、優れた強度−延性バランスおよび強度−穴広げ性バランスの全て具備することが好ましい。TS×ELの値はより好ましくは15000MPa・%以上であり、TS×HERの値はより好ましくは65000MPa・%以上、さらに好ましくは70000MPa・%以上である。
4.合金化溶融亜鉛めっき熱延鋼板の製造方法
上述した鋼組織および機械特性を備えた本発明に係る合金化溶融亜鉛めっき熱延鋼板は、上記化学組成を有する熱延鋼板を(Ac点−50℃)以上950℃以下の温度域まで加熱し、次いで1℃/秒以上50℃/秒以下の平均冷却速度で前記温度域から400℃以上550℃以下の温度域まで冷却してから溶融亜鉛めっき処理を受けさせ、さらに460℃以上650℃以下の温度域に保持して合金化処理を施すことを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき工程により製造することができる。これらの温度はいずれも板温である。この工程は、一般に連続溶融亜鉛めっきラインに熱延鋼板を通板することにより連続的に行われる。
[最高加熱温度:(Ac点−50℃)以上950℃以下]
連続溶融亜鉛めっきラインでは、溶融亜鉛めっき前に実施される焼鈍時に、熱延鋼板を(Ac点−50℃)以上950℃以下の温度域まで加熱する。この時の最高加熱温度が(Ac点−50℃)未満では、オーステナイト中にCが過剰に濃化してしまい、所望のマルテンサイトおよびオーステナイトの体積率が得られない。したがって、最高加熱温度は(Ac点−50℃)以上とする。好ましくは(Ac点−30℃)以上である。一方、最高加熱温度が950℃を超えると、析出物が粗大化し、最終製品において高い強度と優れた穴広げ性とを確保することが困難となる。また、連続焼鈍炉の損傷を惹き起こす場合がある。したがって、最高加熱温度は950℃以下とする。好ましくは900℃以下である。熱延鋼板を上記温度域には10秒間以上200秒間以下保持することが好ましい。
当業者には周知のように、この最高加熱温度における加熱雰囲気は一般に水素を含有する還元雰囲気であり、この最高加熱温度への加熱前に、熱延鋼板は酸化炉または弱酸化性の無酸化炉においてより低い温度で熱処理を受けるのが普通である。この焼鈍により、熱延鋼板の表面は活性化され、溶融亜鉛めっき時のめっき密着性が確保される。
[(Ac点−50℃)以上950℃以下の温度域から400℃以上550℃以下の温度域までの平均冷却速度:1℃/秒以上50℃/秒以下]
(Ac点−50℃)以上950℃以下の温度域まで加熱した後、1℃/秒以上50℃/秒以下の平均冷却速度で前記温度域から400℃以上550℃以下の温度域まで冷却する。この時の平均冷却速度が1℃/秒未満では、セメンタイトの生成が促進され、所望のマルテンサイトおよびオーステナイトを得ることが困難となる。したがって、上記平均冷却速度は1℃/秒以上とする。一方、上記平均冷却速度が50℃/秒を超えると、フェライトの生成が抑制されるため、延性が劣化する。したがって、上記平均冷却速度は50℃/秒以下とする。
冷却停止温度が400℃未満では、後工程である溶融亜鉛めっき処理を施す際に、溶融亜鉛めっき浴への浸漬時の抜熱が過大となり、操業に支障をきたす。したがって、冷却停止温度は400℃以上とする。一方、冷却停止温度が550℃を超えると、セメンタイトの生成が促進され、所望のマルテンサイトおよびオーステナイトの体積率を得ることが困難となる。したがって、冷却停止温度は550℃以下とする。
なお、冷却停止後は400℃以上550℃以下の温度域で1秒間以上1000秒間以下保持することが好ましい。
[溶融亜鉛めっき処理]
冷却された鋼板に溶融亜鉛めっき浴の浸漬することにより溶融亜鉛めっき処理を施す。溶融亜鉛めっき処理は常法にしたがって行えばよい。例えば、めっき浴温:420℃以上500℃以下、侵入板温:420℃以上500℃以下、浸漬時間:5秒間以下とすればよい。溶融亜鉛めっき浴中の化学組成としては、Alを0.08質量%以上0.2質量%以下含有することが好ましい。めっき浴は、その他に不可避的不純物であるFe、Si、Mg、Mn、Cr、TiおよびPb等を含有していても、特に悪影響はない。溶融亜鉛めっき浴への浸漬後に、ガスワイピング等の公知の方法によりめっきの目付量を制御することが好ましい。目付量は、片面あたり25g/m以上75g/m以下とすることが好ましい。
[合金化処理温度:460℃以上650℃以下]
溶融亜鉛めっき処理を施した鋼板に460℃以上650℃以下の温度域に保持する合金化処理を施す。合金化処理温度が460℃未満では、合金化速度が過度に遅くなってしまい生産性が損なわれる。さらに、合金化処理むらが発生する場合がある。したがって、合金化処理温度は460℃以上とする。一方、合金化処理温度が650℃を超えると未変態オーステナイトが分解してしまい、所望のマルテンサイトおよびオーステナイトの体積率を得ることが困難となる。したがって、合金化処理温度は650℃以下とする。さらに好ましくは550℃以下である。
合金化溶融亜鉛めっき工程を除くその他の製造工程に関しては、特に製造条件を限定しないが、以下の製造方法を採用することによって、本発明に係る合金化溶融亜鉛めっき熱延鋼板を、より効率的に製造することができる。
上記化学組成を有する溶鋼を、転炉あるいは電気炉等の既存の溶製方法により溶製して、鋼塊を鋳造する。鋳造法は連続鋳造法、造塊法、薄スラブ鋳造法等いずれを採用しても良いが、生産性の観点からは、連続鋳造法が好ましく、さらに得られた鋼塊を直ちに熱間圧延する直送圧延がより好ましい。
鋳造で得られた鋼塊を熱間圧延する際の圧延開始温度は、1100℃以上1350℃以下が好ましい。最終製品の強度および穴広げ性を確保するには、TiCやNbCを固溶状態のまま熱間圧延に供することが有効である。この点から、熱間圧延する際の圧延開始温度を1100℃以上とすることにより、粗大なTi炭化物およびNb炭化物が形成されるのを抑制することができ、最終製品における強度確保が容易になる。また、熱間圧延する際の圧延開始温度を1350℃以下とすることにより、スケールロスを抑制することができ、コスト的に有利となる。
熱間圧延の仕上温度は、800℃以上950℃以下とすることが好ましい。仕上温度を800℃以上とすることにより、変形抵抗を小さくすることができ、圧延が容易になる。また、仕上温度を950℃以下とすることにより、Ti系析出物の粗大化を抑制し、最終製品の強度確保が容易になる。
熱間圧延は一般に多パス圧延により行われる。1パス当たりの圧下率は10〜60%の範囲内とすることが好ましい。この時の圧下率が高い方が組織は微細になる。得られた熱延鋼板の板厚は、用途に応じて設定すればよいが、一般には1.6〜4.5mmの範囲内である。
熱間圧延の巻取温度は700℃以下とすることが好ましい。巻取温度を700℃以下とすることにより、析出物の粗大化が抑制され、最終製品における強度および穴広げ性の確保が容易になる。
熱間圧延後は、必要に応じて平坦矯正のためのスキンパス圧延を施した後、スケール除去のための酸洗を施し、溶融亜鉛めっきラインに通板する。
溶融亜鉛めっきラインの通板後は、得られた合金化溶融亜鉛めっき熱延鋼板に対して、平坦矯正、表面粗度の調整のために、調質圧延を行ってもよい。この場合、延性の劣化を避けるため、圧延での伸び率を2%以下とすることが好ましい。
こうして得られた合金化溶融亜鉛めっき熱延鋼板は、所望により、耐食性をさらに改善するために、周知の化成処理、好ましくはクロムフリー化成処理を施してもよく、さらに塗装を施してプレコート鋼板とすることも可能である。
表1に示す化学組成を有する鋼を実験室で溶製して鋼塊を鋳造し、これに鍛造を施して鋼片とした。得られた鋼片を、試験用熱間圧延設備において、1250℃に30分間加熱した後、表2に示す仕上圧延温度で多パス熱間圧延を施し、板厚3.2mmの熱延鋼板とした。熱間圧延完了後の熱延鋼板を、表2に示す巻取温度まで水スプレー冷却した。その後、直ちに熱延鋼板を炉に装入してこの巻取温度に30分間保持した後、20℃/時で室温まで徐冷することにより、熱間圧延後の巻取工程を模擬した。
その後、上で得た熱延鋼板に、市販の塩酸酸洗液を用いた酸洗により脱スケール処理を施した後、冷間圧延を施すことなく、連続熱処理シミュレーターを用いて、表2に示す条件にて、溶融亜鉛めっきラインにおける合金化溶融亜鉛めっき処理を模擬した、図1に示すヒートパターンでの熱処理を施した。
表2において、「焼鈍温度」は最高加熱温度を意味し、「焼鈍時間」は、この最高加熱温度における保持時間を意味する。「冷却速度」は、最高加熱温度から冷却停止温度である500℃までの冷却速度である。
なお、オーステナイト化完了温度を示すAc点は、以下の化学組成に関する回帰式を用いて求め、表1に併記した。
こうして得た合金化溶融亜鉛めっきに相当する熱履歴を受けた熱間圧延から、圧延方向に直角方向からJIS5号引張試験片を採取して引張試験を行い、降伏強度(YS)、引張強度(TS)、全伸び(EL)を測定した。また、日本鉄鋼連盟規格の「JFS T 1001穴拡げ試験方法」を行い、穴広げ率(HER)を測定した。これらの試験結果を、下記の鋼組織の結果とともに表2に併記する。
鋼組織の観察は、Metallography, 12 (1979), 263−268 に開示されている試薬を用いて鋼板の圧延方向断面を腐食することにより、マルテンサイトおよびオーステナイトを現出させ、倍率1000倍の光学顕微鏡にて行った。得られた組織写真から、ポイントカウンティング法によってマルテンサイトおよびオーステナイトの体積率の合計VMAを測定した。残部組織の確認は、ナイタールエッチングした鋼板の圧延方向断面を光学顕微鏡または走査型電子顕微鏡を用いて観察することにより行った。
Ti系析出物については、電解抽出残渣分析法により、析出物として存在するTi、Nb、Vの質量%を測定し、以下に示す式を用いて、TiおよびNbおよびVの1種又は2種以上を含む析出物の体積率の合計VMCを算出した。
表2からわかるように、鋼板No.1〜15は、いずれも所望の化学組成および製造条件を満たしているため、マルテンサイトおよびオーステナイトの体積率の合計VMAが1〜8%、Ti、Nb、Vのいずれかを含む析出物であるTi系析出物の合計体積率VMCが0.2%以上である。そして、TSが750MPa以上、TS×ELが13000MPa・%以上、TS×HERが60000MPa・%以上を有し、所望の機械特性を満足していた。
これに対し、鋼板No.16、17および22は、C*およびAのうち少なくとも一方が本発明における下限値に満たないことからVMAが過少となり、結果としてTSおよびTS×EL値が低くなった。鋼板No.18および19は、Tiが本発明における下限値に満たないことからVMCが過少となり、結果としてTSが低く、TS×EL値またはTS×HER値が低くなった。鋼板No.20および21は、C*が本発明における上限値を超えることからVMAが過剰となり、結果としてTS×HER値が低くなった。鋼板No.23,24はAが本発明における上限値を超えることからVMAが過剰となり、結果としてTS×HERが低くなった。
図3は、表2に示した試験結果を、横軸をVMA、縦軸をTS×ELまたはTS×HERとしてプロットしたグラフである。●はVMC(Ti系析出物)の量が0.2体積%以上である場合を、○はVMCの量が0.2体積%未満である場合を示す。
この図からわかるように、VMCの量が0.2体積%以上であって、かつ硬質相であるマルテンサイトおよびオーステナイトの合計体積率VMAが1〜8体積%の範囲内であると、TS×ELとTS×HERがいずれも高いレベルになることがわかる。VMAが1体積%より少ないとTS×ELが著しく低下し、8体積%より多くなるとTS×HERが著しく低下する。しかし、VMCの量が0.2体積%未満になると、VMAが1〜8体積%の範囲内にあっても、上記の結果は得られない。

Claims (6)

  1. 熱延鋼板の表面に合金化溶融亜鉛めっき層を有する合金化溶融亜鉛めっき熱延鋼板であって、
    前記熱延鋼板は、質量%で、C:0.03%以上0.15%以下、Si:0.5%以下、Mn:1%以上4%以下、P:0.05%以下、S:0.01%以下、N:0.01%以下、Al:0.5%以下、Ti:0.11%以上0.50%以下であるとともに、下記の式(1)および式(3)を満足する化学組成と、
    マルテンサイトおよびオーステナイトの1種又は2種を合計で1体積%以上8体積%以下含有し、残部がフェライトおよびベイナイトの1種又は2種からなるとともに、Tiを含む析出物を0.2体積%以上含有する鋼組織、
    を有することを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき熱延鋼板:
    0.001≦C*≦0.060 ・・・(1)
    C*=C−12.01×(Ti/47.88) ・・・(2)
    0.100≦A≦0.200 ・・・(3)
    A=C*+Si/30+Mn/20 ・・・(4)
    上記式中、各元素記号は、鋼中のその元素の含有量(質量%)を意味する。
  2. 熱延鋼板の表面に合金化溶融亜鉛めっき層を有する合金化溶融亜鉛めっき熱延鋼板であって、
    前記熱延鋼板は、質量%で、C:0.03%以上0.15%以下、Si:0.5%以下、Mn:1%以上4%以下、P:0.05%以下、S:0.01%以下、N:0.01%以下、Al:0.5%以下、Ti:0.11%以上0.50%以下であるとともに、Nb:0.50%以下およびV:0.50%以下からなる群から選択される1種または2種を含有し、さらに、下記の式(1)および式(3)を満足する化学組成と、
    マルテンサイトおよびオーステナイトの1種又は2種を合計で1体積%以上8体積%以下含有し、残部がフェライトおよびベイナイトの1種又は2種からなるとともに、Ti、NbおよびVのいずれかを含む析出物を合計で0.2体積%以上含有する鋼組織、
    を有することを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき熱延鋼板:
    0.001≦C*≦0.060 ・・・(1)
    =C−12.01×{Ti/47.88+Nb/92.91+0.5×V/50.94} ・・・(2’)
    0.100≦A≦0.200 ・・・(3)
    A=C*+Si/30+Mn/20 ・・・(4)
    上記式中、各元素記号は、鋼中のその元素の含有量(質量%)を意味する。
  3. 前記化学組成が、質量%で、Cr:1%以下、Mo:1%以下およびB:0.005%以下からなる群から選択される1種または2種以上をさらに含有し、前記式(3)におけるAが、前記式(4)に代えて下記式(4’)により規定される、請求項1または請求項2に記載の高強度合金化溶融亜鉛めっき熱延鋼板:
    A=C*+Si/30+Mn/20+Cr/20+Mo/15+5×B・・・(4’)
    上記式中、各元素記号は、鋼中のその元素の含有量(質量%)を意味する。
  4. 前記化学組成が、質量%で、Ca:0.01%以下およびBi:0.01%以下からなる群から選択される1種または2種をさらに含有する、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の合金化溶融亜鉛めっき熱延鋼板。
  5. 引張強度が750MPa以上、引張強度と全伸びとの積が13000MPa・%以上、引張強度と穴広げ率との積が60000MPa・%以上である機械特性を有する、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の合金化溶融亜鉛めっき熱延鋼板。
  6. 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の化学組成を有する熱延鋼板を(Ac点−50℃)以上950℃以下の温度域まで加熱し、次いで1℃/秒以上50℃/秒以下の平均冷却速度で前記温度域から400℃以上550℃以下の温度域まで冷却して溶融亜鉛めっき処理を施し、さらに460℃以上650℃以下の温度域に保持して合金化処理を施すことを特徴とする、合金化溶融亜鉛めっき熱延鋼板の製造方法。
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