JP2009167475A - 高強度鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】伸びおよび加工後の伸びフランジ特性に優れた高強度鋼板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】成分組成は、mass%で、C:0.08%以上0.20%以下、Si:0.2%以上1.0%以下、Mn:0.5%以上2.5%以下、P:0.04%以下、S:0.005%以下、Al:0.05%以下、Ti:0.07%以上0.20%以下、V:0.05%以上0.80%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる。そして、組織は体積占有率で60%以上95%以下のフェライトと、第二相はマルテンサイトである。さらに、大きさが20nm未満の析出物に含まれるTiは450mass ppm以上1800mass ppm以下、Vは350 mass ppm以上7200mass ppm以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は、伸びおよび加工後のフランジ特性に優れ、YRが85%以下で、引張強度(TS)980MPa以上の高強度鋼板およびその製造方法に関するものである。
自動車の足回り部材、または、バンパーやセンターピラーといった衝突部材には、成形性(主に伸びおよび伸びフランジ特性)が必要とされるため、従来より、引張強度が590MPa級鋼が使用されてきた。しかし、近年では、自動車の環境負荷低減や衝撃特性向上の観点から、自動車用鋼板の高強度化が推進されており、引張強度が980MPa級の鋼の使用が検討され始めている。一般に、強度が上昇するに伴い、加工性が低下する。そのため、現在、高強度かつ高加工性を有する鋼板についての研究がなされている。伸びおよび伸びフランジ特性を向上させる技術として、たとえば、以下が挙げられる。
特許文献1には、実質的にフェライト単相組織であり、平均10nm未満のTi,MoおよびVを含む炭化物が分散析出するとともに、該Ti,MoおよびVを含む炭化物は、原子%で表されるTi、Mo、Vが、V/(Ti+Mo+V)≧0.3を満たす平均組成を有する、引張強度が980MPa以上の高張力鋼板に関する技術が開示されている。
特許文献2には、質量で、C:0.08〜0.20%、Si:0.001%以上、0.2%未満、Mn:1.0%超、3.0%以下、Al:0.001〜0.5%、V:0.1%超、0.5%以下、Ti:0.05%以上、0.2%未満およびNb:0.005%〜0.5%を含有し、かつ、(式1)9(Ti/48+Nb/93)×C/12≦4.5×10−5、(式2)0.5%≦(V/51+Ti/48+Nb/93)/(C/12)≦1.5、(式3)V+Ti×2+Nb×1.4+C×2+Mn×0.1≧0.80の3式を満たし、残部Feおよび不純物からなる鋼組織を有し、平均粒径5μm以下で硬度が250Hv以上のフェライトを70体積%以上含有する鋼組織を有し、880MPa以上の強度と降伏比0.80以上を有する高強度熱延鋼板に関する技術が開示されている。
特許文献3には、質量で、C:0.05〜0.2%、Si:0.001%〜3.0%、Mn:0.5〜3.0、P:0.001〜0.2%、Al:0.001〜3%、V:0.1%を超えて1.5%までを含み、残部はFe及び不純物からなり、組織が平均粒径1〜5μmのフェライトを主相とし、フェライト粒内に平均粒径が50nm以下のVの炭窒化物が存在することを特徴とする熱延鋼板に関する技術が開示されている。
特許文献4には、質量%で、C:0.04〜0.17%、Si:1.1%以下、Mn:1.6〜2.6%、P:0.05%以下、S:0.02%以下、Al:0.001〜0.05%、N:0.02%以下、V:0.11〜0.3%、Ti:0.07〜0.25%を含み、残部が鉄および不可避的不純物の鋼組成を有し、圧延直角方向で880MPa以上の引張り強さを有し、降伏比0.8以上を有する高強度鋼板に関する技術が開示されている。
特許文献5には、質量%で、C:0.04〜0.20%、Si:0.001〜1.1%、Mn:0.8%超、Ti:0.05%以上、0.15%未満、Nb:0〜0.05%、かつ、下記(1)式〜(3)式を満たし、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼組成を有し、880MPa以上の強度と降伏比0.80以上を有する高強度熱延鋼板が開示されている。
(1)式:(Ti/48+Nb/93)×C/12≦3.5×10−5
(2)式:0.4≦(V/51+Ti/48+Nb/93)/(C/12)≦2.0
(3)式:V+Ti×2+Nb×1.4+C×2+Si×0.2+Mn×0.1≧0.7
特許文献6には、実質的にフェライト単相組織であり、フェライト組織中にTi、MoおよびCを含む析出物が析出してなり、かつ、圧延方向に平行なベクトルに垂直な断面の板厚1/4〜3/4の領域における、隣接する各結晶粒の<110>方位コロニーの面積率が50%以下である、引張強度が950MPa以上の伸びフランジ性に優れた超高張力鋼板に関する技術が開示されている。
特許文献7には、質量%でC:0.10〜0.25%、Si:1.5%以下、Mn:1.0〜3.0%、P:0.10%以下、S:0.005%以下、Al:0.01〜0.5%、N:0.010%以下およびV:0.10〜1.0%を含み、かつ(10Mn+V)/C≧50を満足し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になり、粒径が80nm以下の析出物について求めたVを含む炭化物の平均粒径が30nm以下であることを特徴とする薄鋼板に関する技術が開示されている。
特許文献8には、質量%でC:0.10〜0.25%、Si:1.5%以下、Mn:1.0〜3.0%、P:0.10%以下、S:0.005%以下、Al:0.01〜0.5%、N:0.010%以下およびV:0.10〜1.0%を含み、かつ(10Mn+V)/C≧50を満足し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になり、焼戻しマルテンサイト相の体積率が80%以上で、粒径:20nm以下のVを含む炭化物の平均粒径が10nm以下であることを特徴とする自動車用部材に関する技術が開示されている。
特許文献9には、鋼板の表面に亜鉛メッキ層を備える亜鉛めっき鋼板において、前記鋼板の化学組成が、質量%で、C:0.02%超え0.2%以下、Si:0.01〜2.0%、Mn:0.1%〜3.0%、P:0.003〜0.10%、S:0.020%以下、Al:0.001〜1.0%、N:0.0004〜0.015%、Ti:0.03〜0.2%を含有し、残部がFeおよび不純物であるとともに、前記鋼板の金属組織がフェライトを面積率で30〜95%含有し、残部の第二相がマルテンサイト、ベイナイト、パーライト、セメンタイトを含有するときのマルテンサイトの面積率は0〜50%であり、そして、前記鋼板が粒径2〜30nmのTi系炭窒化析出物を平均粒子間距離30〜300nmで含有し、かつ粒径3μm以上の晶出系TiNを平均粒子間距離50〜500μmで含有する高張力溶融亜鉛めっき鋼板に関する技術が開示されている。
特許文献10には、質量%で、C:0.01〜0.15%、Si:2.0%以下、Mn0.5〜3.0%、P:0.1%以下、S:0.02%以下、Al:0.1%以下、N:0.02%以下、Cu:0.5〜3.0%を含有する組成を有し、かつ組織がフェライト相を主相とし、面積率で2%以上のマルテンサイト相を含む相を第二相とする複合組織である薄鋼板に、粒径が10nm以下の微細析出物を生成させる歪み時効処理を施すことを特徴とする薄鋼板の耐疲労特性改善方法に関する技術が開示されている。
特許文献11には、質量%で、C:0.18〜0.3%、Si:1.2%以下、Mn:1〜2.5%、P:0.02%以下、S:0.003%以下、Sol.Al0.01〜0.1%を含有し、これに更に、Nb:0.005〜0.030%、V:0.01〜0.10%、Ti:0.01〜0.10%の何れか1種または2種以上を合計で0.005〜0.10%の範囲で含有し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなる鋼を、仕上げ温度Ar3点以上で熱延し、500〜650℃で捲取った後、酸洗、冷間圧延し続く連続焼鈍でAc3〜[Ac3+70℃]に加熱し30秒以上均熱した後、1次冷却でフェライトを体積率で3〜20%析出させ、その後噴流水中で室温まで急冷し、120〜300℃の温度で1〜15分間の過時効処理を施し、マルテンサイト体積率が80〜97%で残部がフェライトからなる微細な2相組織を有する、引張強度が150〜200kgf/mm2の成形性及びストリップ形状の良好な超高強度冷延鋼板の製造方法に関する技術が開示されている。
特許文献12には、質量%で、C:0.0005〜0.3%、Si:0.001〜3.0%以下、Mn:0.01〜3.0%、Al:0.0001〜0.3%、S:0.0001〜0.1%、N:0.0010〜0.05%を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなり、フェライトを面積率最大の相とし、固溶炭素:Sol.C及び固溶窒素:Sol.NがSol.C/Sol.N:0.1〜100を満たし、予歪みを5〜20%付加したとき、110〜200℃で1〜60分の焼付け処理後の降伏強度および引張強度の上昇量の平均またはそれぞれの値が、予歪みを付加しない焼付け処理前の鋼板に比べ50MPa以上であることを特徴とする高予歪み時において高い焼付け硬化能を持つ高強度熱延鋼板に関する技術が開示されている。
特開2007−063668号公報 特開2006−161112号公報 特開2004−143518号公報 特開2004−360046号公報 特開2005−002406号公報 特開2005−232567号公報 特開2006−183138号公報 特開2006−183139号公報 特開2007−16319号公報 特開2003−105444号公報 特開平4−289120号公報 特開2003−96543号公報
しかしながら、上述の従来技術には、次のような問題がある。
特許文献1および4では、Moを含有しているため、近年のMoの原材料価格の高騰に絡んで、著しいコスト増加を招く問題がある。さらに、自動車産業のグローバル化が進み、自動車に使用される鋼板は、外国などの厳しい腐食環境下において使用されるようになり、鋼板に対してより高い塗装後耐食性が必要とされている。これに対して、Moの添加は化成結晶の生成または成長を阻害するため、鋼板の塗装後耐食性を低下させ、上記要求に対応することができない。すなわち、特許文献1および特許文献4に記載の鋼では、近年の自動車産業の要求を十分に満たすことはできない。
一方、近年のプレス技術の進歩により、ドロー(絞りおよび張り出し)→トリム(穴抜き)→リストライク(穴広げ)のような加工工程が採用され始めており、このような加工工程を経て成形される鋼板の伸びフランジ部位には、ドロー・トリム後、すなわち加工後の伸びフランジ特性が必要とされる。しかし、加工後の伸びフランジ特性は、近年、注目された特性であるため、特許文献1〜12では、必ずしも十分ではない。
また、鋼の一般的な強化手法の一つとして、析出強化が挙げられる。析出強化量は、析出物の粒径に反比例し、析出量の平方根に比例することが知られている。これより、たとえば、特許文献1〜12に開示される鋼板においては、Ti、V、Nbなどの炭窒化物形成元素が添加され、特に、特許文献7、9、10では、析出物のサイズに関する研究がなされた。しかし、析出物量は必ずしも十分ではなく、析出効率が悪いために高コスト化することが問題とされている。
特許文献2、5、11に添加されるNbは、熱間圧延後のオーステナイトの再結晶を抑制する働きが高い。そのため、鋼板に未再結晶粒を残存させ、加工性を低下させる問題がある。また、熱間圧延時の圧延荷重を増加させる問題がある。
本発明は、かかる事情に鑑み、伸びおよび加工後の伸びフランジ特性に優れた高強度鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、伸びおよび加工後の伸びフランジ特性に優れ、引張強度が980MPa以上である高強度熱延鋼板を得るべく検討したところ、以下の知見を得た。
i)高強度の鋼板を得るためには、析出物を微細化(大きさ20nm未満)し、微細な析出物(大きさ20nm未満)の割合を高め必要がある。そして、析出物を微細なまま維持するには析出物としてTi−Moを含むもの、または、Ti−Vを含むものが挙げられるが、合金コストの観点からはTiとVの複合析出が有用である。
ii)フェライト相と第二相のマルテンサイト相との硬度差が300以下であるとき、加工後の伸びフランジ性は向上する。また、この加工後の伸びフランジ特性に優れる組織は、第一段冷却停止温度T1および巻取り温度T2を最適範囲に制御することによって得られる。さらに、巻取り温度を300℃以下にすることで、第二相組織が主にマルテンサイト相となり、YRが85%以下になる。
本発明は、以上の知見に基づきなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
[1]成分組成は、mass%で、C:0.08%以上0.20%以下、Si:0.2%以上1.0%以下、Mn:0.5%以上2.5%以下、P:0.04%以下、S:0.005%以下、Al:0.05%以下、Ti:0.07%以上0.20%以下、V:0.05%以上0.80%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、金属組織は、体積占有率で60%以上95%以下のフェライトと第二相として5%以上35%以下のマルテンサイトを有し、大きさが20nm未満の析出物に含まれるTi量が450mass ppm以上1800mass ppm以下、V量が350mass ppm以上7200mass ppm以下であり、マルテンサイト相の硬度(HVS)とフェライト相の硬度(HVα)の差(HVS−HVα)が300以下であり、YRが85%以下であることを特徴とする高強度鋼板。
[2]前記[1]において、mass%で、さらに、Cr:0.01%以上、1.0%以下、W:0.005%以上1.0%以下、Zr:0.0005%以上0.05%以下のいずれか1種または2種以上を含有することを特徴とする高強度鋼板。
[3]mass%で、C:0.08%以上0.20%以下、Si:0.2%以上1.0%以下、Mn:0.5%以上2.5%以下、P:0.04%以下、S:0.005%以下、Al:0.05%以下、Ti:0.07%以上0.20%以下、V:0.05%以上0.80%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼スラブを、1150℃以上1350℃以下の温度に加熱したのち、仕上げ圧延温度を850℃以上1000℃以下として熱間圧延を行ない、次いで、650℃以上800℃未満の温度まで、平均冷却速度30℃/s以上で第一段冷却し、1秒以上10秒未満の時間で空冷し、次いで、冷却速度20℃/s以上で第二段冷却し、300℃以下の温度で巻取り、式(1)を満たすことを特徴とする高強度鋼板の製造方法。
T1≦0.06×T2+764 …(1)
ただし、T1:第一段冷却の停止温度、T2:巻取り温度
[4]前記[3]において、成分組成として、mass%で、さらに、Cr:0.01%以上、1.0%以下、W:0.005%以上1.0%以下、Zr:0.0005%以上0.05%以下のいずれか1種または2種以上を含有することを特徴とする高強度鋼板の製造方法。
なお、本明細書において、鋼の成分を示す%、ppmは、すべてmass%、mass ppmである。また、本発明における高強度鋼板とは、引張強度(以下、TSと称する場合もある)が980MPa以上の鋼板であり、熱延鋼板、さらには、これらの鋼板に例えばめっき処理等の表面処理を施した表面処理鋼板も対象とする。
さらに、本発明の目標とする特性は、伸び(El)≧13%、伸張率10%で圧延後の伸びフランジ特性(λ10)≧40%、YR≦85%である。
本発明によれば、伸びおよび加工後の伸びフランジ特性に優れ、YRが85%以下、TSが980MPa以上である高強度熱延鋼板が得られる。さらに、本発明では、Moを添加せずとも上記効果が得られるので、コスト削減がはかれることになる。
そして、例えば、本発明の高強度熱延鋼板を自動車の足回り部材やトラック用フレームなどに用いることにより、板厚減少が可能となり、自動車の環境負荷が低減され、衝撃特性が大きく向上することが期待される。
以下、本発明を詳細に説明する。
1)まず、本発明における鋼の化学成分(成分組成)の限定理由について説明する。
C:0.08%以上0.20%以下
Cは、TiやVと炭化物を形成しフェライト中に析出することで、鋼板の強度化に寄与する元素である。TSを980MPa以上とするためには、C量を0.08%以上とする必要がある。一方、C量が0.20%を超えると析出物の粗大化により伸びフランジ特性が低下する。以上より、C量は0.08%以上0.20%以下、好ましくは、0.09%以上0.18以下とする。
Si:0.2%以上、1.0%以下
Siは、フェライト変態の促進および固溶強化に寄与する元素である。そのため、Siは0.2%以上とする。ただし、その量が1.0%を超えると鋼板表面性状が著しく劣化し、耐食性が低下するため、Siの上限は1.0%とする。以上より、Si量は0.2%以上1.0%以下、好ましくは、0.3%以上0.9%以下とする。
Mn:0.5%以上、2.5%以下
Mnは固溶強化に寄与する元素である。しかしながら、その量が0.5%に満たないと980MPa以上のTSが得られない。一方、その量が2.5%を越えると、溶接性を著しく低下させる。よって、Mn量は0.5%以上2.5%以下、好ましいくは0.5%以上2.0%以下である。さらに好ましくは、0.8%以上2.0%以下とする。
P:0.04%以下
Pは旧オーステナイト粒界に偏析するため、低温靭性劣化と加工性の低下を招く。そのため、P量は極力低減することが好ましく、0.04%以下とする。
S:0.005%以下
Sは旧オーステナイト粒界に偏析したり、MnSとして多量に析出すると、低温靭性を低下させたり、また、加工の有無に関わらず伸びフランジ性を著しく低下させる。そのため、S量は極力低下することが好ましく、0.005%以下とする。
Al:0.05%以下
Alは、鋼の脱酸剤として添加され、鋼の清浄度を向上させるのに有効な元素である。この効果を得るためには0.001%以上含有させることが好ましい。しかし、その量が0.05%を超えると介在物が多量に発生し、鋼板の疵の原因になるため、Al量は0.05%以下とする。より好ましいAl量は0.01%以上0.04%以下である。
Ti:0.07%以上、0.20%以下
Tiは、フェライトを析出強化する上で非常に重要な元素である。0.07%未満では、必要な強度を確保することが困難であり、0.20%を超えるとその効果は飽和し、コストアップとなるだけである。よって、Ti量は0.07%以上0.2%以下、好ましくは0.08%以上0.18%以下とする。
V:0.05%以上0.80%以下
Vは、析出強化または固溶強化として強度の向上に寄与する元素であり、上記のTiと並んで本発明の効果を得る上で、重要な要件となる。適量をTiとともに複合添加することで、粒径20nm未満の微細なTi−V炭化物として析出する傾向にあり、かつ、Moのように塗装後耐食性を低下させることはない。また、Moに比べコストを低減させるこができる。V量が0.05%未満では、上記添加効果が乏しい。一方、V量が0.80%超えでは、その効果は飽和し、コストアップとなるだけである。よって、V量は0.05%以上0.80%以下、好ましくは、0.06%以上0.60%以下とする。
以上の必須添加元素で、本発明鋼は目的とする特性が得られるが、上記の必須添加元素に加えて、以下の理由により、さらにCr:0.01%以上、1.0%以下、W:0.005%以上1.0%以下、Zr:0.0005%以上0.05%以下のいずれか1種または2種以上を添加してもよい。
Cr:0.01%以上1.0%以下、W:0.005%以上1.0%以下、Zr:0.0005%以上0.05%以下
Cr、WおよびZrは、Vと同様、析出物を形成して、あるいは固溶状態でフェライトを強化する働きを有する。Cr量が0.01%未満、W量が0.005%未満、あるいはZr量が0.0005%未満では高強度化にほとんど寄与しない。一方、Cr量が1.0%超え、W量が1.0%超え、あるいはZr量が0.05%超えでは加工性が劣化する。よって、Cr、W、Zrのいずれか1種または2種以上を添加する場合、その添加量はCr:0.01%以上1.0%以下、W:0.005%以上1.0%以下、Zr:0.0005%以上0.05%以下とする。好ましくはCr:0.1%以上0.8%以下、W:0.01以上0.8以下、Zr:0.001%以上0.04%以下である。
なお、上記以外の残部はFeおよび不可避不純物からなる。不可避不純物として、例えば、Oは非金属介在物を形成し品質に悪影響を及ぼすため、0.003%以下に低減するのが望ましい。また、本発明では、発明の作用効果を害さない微量元素として、Cu、Ni、Sn、Sbを0.1%以下の範囲で含有してもよい。
2)次に、本発明の高強度鋼板の組織について説明する。
フェライトの体積占有率:60%以上95%以下、マルテンサイトの体積占有率:5%以上35%以下
加工後の伸びフランジ性の向上には、転位密度の低いフェライトが有効である。フェライトの体積占有率が60%未満の場合は、硬質第二相が過多となり、第二相の連結が生じるため、加工後の伸びフランジ性(λ)および伸び(El)が低下する。一方、フェライトの体積占有率が95%を超えた場合は、第二相が少ないために伸びが向上しない。したがって、フェライトの体積占有率は、60%以上95%以下、好ましくは、70%以上90%以下とする。
マルテンサイトの体積占有率が5%未満の場合は、第二相が少ないために伸びが向上しなくなる。一方、35%を越えた場合は、硬質第二相が過多となり、鋼板が変形される際に、第二相の連結が生じるため、加工後の伸びフランジ性(λ)および伸び(El)が低下する。なお、体積占有率で2%以下であれば、一部ベイナイトを含んでも良い。第二相として5%以上35%以下のマルテンサイトが生成した鋼板では、YRが85%以下となる。これは、巻取り後の未変態オーステナイトがマルテンサイトへ変態する時、周囲のフェライトに可動転位が導入される。この可動転位により、降伏応力が低下するため、YRが85%以下になると考えられる。これにより、TSに比べて低いプレス荷重で塑性変形させることができ、また、変形後は、加工硬化により、強度を上昇させることができる。
ここで、フェライトおよびマルテンサイトの体積占有率は、圧延方向に平行な板厚断面のミクロ組織を3%ナイタールで現出し、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて1500倍で板厚1/4位置を観察し、住友金属テクノロジー株式会社製の画像処理ソフト「粒子解析II」を用いてフェライトおよびマルテンサイト面積率を測定し、体積占有率とした。
大きさが20nm未満の析出物にふくまれるTi量が450mass ppm以上1800mass ppm以下、V量が350mass ppm以上7200mass ppm以下(ここでTi量とV量は、鋼の全組成の合計を100mass%とした場合の濃度とする)
本発明の高強度鋼板において、Tiおよび/またはVを含む析出物は、主に炭化物としてフェライト中に析出している。これは、フェライトにおけるCの固溶限がオーステナイトの固溶限より小さく、過飽和のCがフェライト中に炭化物として析出しやすいためと考えられる。そして、こうした析出物により軟質のフェライトが硬質化(高強度化)し、980MPa以上のTSが得られることになる。
高強度鋼板を得るためには、上述したように、析出物は微細化(大きさ20nm未満)し、この微細な析出物(大きさ20nm未満)の割合を高めることが重要である。析出物の大きさが20nm以上では、転位の移動を抑制する効果が小さく、フェライトを十分に硬質化できないため、強度が低下する場合がある。よって、析出物の大きさは20nm未満とすることが好ましい。この20nm未満の微細な析出物は、TiとVを共に添加することにより達成される。Vは主にTiと複合炭化物を形成する。理由は明らかではないが、これらの析出物は、本発明範囲の巻取り温度内の高温長時間下において、安定的に微細なままで存在することがわかった。
さらに、本発明では、大きさが20nm未満の析出物に含まれるTi量およびV量の制御が重要となる。20nm未満の析出物に含まれるTi量が450mass ppm未満、また、V量が350 mass ppm未満であると、析出物の数密度が小さくなり、各析出物の間隔が広くなるため、転位の移動を抑制する効果が小さくなることがわかった。そのため、フェライトを十分に硬質化できないため、TSが980MPa以上の強度が得られなくなる。また、20nm未満の析出物に含まれるTi量が450mass ppm以上で、20nm未満の析出物に含まれるV量が350 mass ppm未満の時は、析出物は粗大化し易い傾向にあるため、TSが980MPa以上の強度が得られなくなる場合がある。また、20nm未満の析出物に含まれるTi量が450mass ppm未満で、20nm未満の析出物に含まれるV量が350mass ppm以上の時は、Vの析出効率が悪くなるため、TSが980MPa以上の強度が得られなくなる場合がある。一方、20nm未満の析出物に含まれるTi量が1800mass ppmを越え、または、V量が7200mass ppmを越えて析出すると、理由は明らかではないが、鋼板は脆性的に破壊し、目標の特性が得られなくなる。よって、大きさが20nm未満の析出物に含まれる析出Ti量および析出V量は共に満足する必要がある。
以上より、大きさが20nm未満の析出物に含まれるTi量は450mass ppm以上1800mass ppm以下、V量は350mass ppm以上7200mass ppm以下とする。
なお、析出物及び/又は介在物を、まとめて析出物等と称する。
また、大きさが20nm未満の析出物に含まれるTi量およびV量は、以下の方法により確認することができる。
試料を電解液中で所定量電解した後、試料片を電解液から取り出して分散性を有する溶液中に浸漬する。次いで、この溶液中に含まれる析出物を、孔径20nmのフィルタを用いてろ過する。この孔径20nmのフィルタをろ液と共に通過した析出物が大きさ20nm未満である。次いで、ろ過後のろ液に対して、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法、ICP質量分析法、および原子吸光分析法等から適宜選択して分析し、大きさ20nm未満での析出物における量を求める。
第二相(マルテンサイト相)とフェライト相の硬度差:HVS-HVα≦300
本発明において、重要な構成用件である。第二相(マルテンサイト)とフェライト相の硬度差が300以下であれば、必要とする加工後の伸びフランジ特性が得られる。第二相(マルテンサイト相)とフェライト相の硬度差が300超えでは、鋼板が加工を受けた時にフェライト相と第二相(マルテンサイト)の変形量の差が大きくなるため、クラックが増大し、必要とする加工後の伸びフランジ特性が得られなくなる。硬度差は、小さいほうが良く、好ましくは250以下とする。
3)次に、本発明の高強度鋼板の製造方法について説明する。
本発明の高強度鋼板は、例えば、上記化学成分範囲に調整された鋼スラブを、1150℃以上1350℃以下の温度に加熱したのち、仕上げ圧延温度を850℃以上1000℃以下として熱間圧延を行ない、次いで、650℃以上800℃未満の温度まで、平均冷却速度30℃/s以上で第一段冷却し、1秒以上10秒未満の時間で空冷し、次いで、冷却速度20℃/s以上で第二段冷却し、300℃以下で巻き取り、式(1)を満たすことにより得られる。
T1≦0.06×T2+764 …(1)
ただし、T1:第一段冷却の停止温度、T2:巻取り温度
これらの条件について以下に詳細に説明する。
スラブ加熱温度:1150℃以上1350℃以下
TiあるいはVなどの炭化物形成元素は、鋼スラブ中ではほとんどが炭化物として存在している。熱間圧延後にフェライト中に目標どおりに析出させるためには熱間圧延前に炭化物として析出している析出物を一旦溶解させる必要がある。そのためには1150℃以上で加熱する必要がある。一方、1350℃を超えて加熱すると、結晶粒径が粗大になりすぎて加工後の伸びフランジ特性、伸び特性ともに劣化するので1350℃以下とする。よって、スラブ加熱温度は、1150℃以上1350℃以下とする。より好ましくは1170℃以上1260℃以下である。
熱間圧延における仕上げ圧延温度:850℃以上1000℃以下
加工後の鋼スラブは、熱間圧延の終了温度である仕上げ圧延温度850℃〜1100℃で熱間圧延される。仕上げ圧延温度が850℃未満では、フェライト+オーステナイトの領域で圧延され、展伸したフェライト組織となるため、伸びフランジ特性や伸び特性が劣化する。仕上げ圧延温度が1000℃を超えると、フェライト粒が粗大化するため、980MPaのTSが得られない。よって、仕上げ圧延温度850℃以上1000℃以下で仕上げ圧延を行う。より好ましくは870℃以上960℃以下である。
第一段の冷却:冷却停止温度650℃以上800℃未満の温度まで平均冷却速度30℃/s以上で冷却
熱間圧延後は、仕上げ圧延温度から冷却温度650℃〜800℃まで、平均冷却速度30℃/s以上で冷却を行なう必要がある。冷却停止温度が800℃以上では、核生成が起こりにくいためフェライトの体積占有率が60%以上にならず、Tiおよび/またはVを含む析出物の所定の析出状態が得られない。冷却停止温度が650℃未満では、C、Tiの拡散速度が低下するため、フェライトの体積占有率が60%以上にならず、Tiおよび/またはVを含む析出物の所定の析出状態が得られない。したがって、冷却停止温度は650℃以上800℃未満とする。また、仕上げ圧延温度から冷却停止温度までの平均冷却速度が30℃/s未満では、パーライトが生成するため加工後の伸びフランジ特性や伸び特性が劣化する。なお、冷却速度の上限は、特に限定するものではないが、上記の冷却停止温度範囲内に性格に停止させるためには、300℃/s程度とすることが好ましい。
第一段の冷却後の空冷:1秒以上10秒未満
第一の冷却後、1秒以上10秒以下の間、冷却を停止して空冷する。この空冷している時間が1秒未満ではフェライトの体積占有率60%以上にならず、10秒を超えるとパーライトが生成し、伸びフランジ特性や伸び特性が劣化する。なお、空冷時の冷却速度は、おおむね15℃/s以下である。
第二段の冷却:平均冷却速度20℃/s以上で巻取り温度300℃以下まで冷却
空冷後は、巻取り温度300℃以下まで平均冷却速度20℃/s以上で第二の冷却を行なう。このとき、平均冷却速度が20℃/s未満では、冷却中にパーライトが生成するため、平均冷却速度は20℃/s以上、好ましくは50℃/s以上とする。なお、冷却速度の上限は、特に限定するものではないが、上記の巻取り温度範囲内に正確に停止させるためには、300℃/s程度とすることが好ましい。
また、巻取り温度が300℃超えでは、第二相の主体がベイナイトとなり、YRが85%超えとなる。好ましくは、280℃以下である。
T1≦0.06×T2+764 ここで、T1:第一段冷却停止温度、T2:巻取り温度
第一段冷却後の空冷中に、フェライトへの微細析出が生じる。これより、大部分のフェライト相は析出強化される。析出強化されたフェライト相の硬さは、析出物が生成する温度、つまり、第一段冷却停止温度に影響される。一方、第二相(マルテンサイト相)の硬さは、変態温度、つまり、巻取り温度に影響される。さまざまな研究の結果により、第一段冷却停止温度とT1、巻取り温度をT2とするとT1≦0.06×T2+764を満たすとき、硬度差が300以下となることが明らかとなった。T1>0.06×T2+764では、フェライト相の硬度が低く、かつ、第二相の硬度が高いために、硬度差が300越えとなる。
以上により、伸びおよび加工後の伸びフランジ特性に優れた高強度鋼板が得られる。
なお、本発明の鋼板には、表面に表面処理や表面被覆処理を施したものを含む。特に、本発明の鋼板には溶融亜鉛系めっき皮膜を形成し、溶融亜鉛めっき系鋼板としたものに好適に適用できる。すなわち、本発明の鋼板は良好な加工性を有することから、溶融亜鉛系めっき皮膜を形成しても良好な加工性を維持できる。ここで、溶融亜鉛系めっきとは、亜鉛および亜鉛を主体とした(すなわち約90%以上を含有する)溶融めっきであり、亜鉛のほかにAl、Crなどの合金元素を含んだものも含む、また、溶融亜鉛系めっきを施したままでも、めっき後に合金化処理を行なってもかまわない。
また、鋼の溶製方法は特に限定されず、公知の溶製方法の全てを適応することができる。例えば、溶製方法としては、転炉、電気炉等で溶製し、真空脱ガス炉にて2次精錬を行なう方法が好適である。鋳造方法は、生産性、品質上の観点から、連続鋳造方が好ましい。また、鋳造後、直ちに、または補熱を目的とする加熱を施した後に、そのまま熱間圧延を行なう直送圧延を行なっても、本発明の効果に影響はない。さらに、粗圧延後に、仕上圧延前で、熱延材を加熱してもよく、粗圧延後に圧延材を接合して行なう連続熱延を行なっても、さらには、圧延材の加熱材の加熱と連続圧延を同時に行なっても、本発明の効果は損なわれない。
表1に示す組成の鋼を転炉で溶製し、連続鋳造により鋼スラブとした。次いで、これらの鋼スラブに対して、表2に示す条件で加熱、熱間圧延、冷却、巻取りを施し板厚2.0mmの熱延鋼板を作製した。
Figure 2009167475
得られた熱延鋼板に対して、以下に示す方法で20nm未満の析出物に含まれるTi量およびV量を求めた。また、以下に示す方法で引張強度:TS、YR、伸び:EL、加工後の伸びフランジ特性:λ10および硬度差を求め、評価した。
大きさ20nm未満の析出物に含まれるTi量およびV量の測定
上記により得られた熱延鋼板を適当な大きさに切断し、10%AA系電解液(10vol%アセチルアセトン-1mass%塩化テトラメチルアンモニウム-メタノール)中で、約0.2gを電流密度20mA/cm2で定電流電解した。
電解後の、表面に析出物が付着している試料片を電解液から取り出して、ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液(500mg/l)(以下、SHMP水溶液と称す)中に浸漬し、超音波振動を付与して、析出物を試料片から剥離しSHMP水溶液中に抽出した。次いで、析出物を含むSHMP水溶液を、孔径20nmのフィルタを用いてろ過し、ろ過後のろ液に対してICP発光分光分析装置を用いて分析し、ろ液中のTiとVの絶対量を測定した。次いで、TiとVの絶対量を電解重量で除して、大きさ20nm未満の析出物に含まれるTi量およびV量を得た。なお、電解重量は、析出物剥離後の試料に対して重量を測定し、電解前の試料重量から差し引くことで求めた。
引張強度:TS
圧延方向を引張り方向としてJIS5号試験片を用いてJIS Z 2241に準拠した方法で引張り試験を行ない、引張り強さ(TS)、降伏応力(YS)、およびELを求めた。また、YRは、下降伏応力をTSで割った値とした。
加工後の伸びフランジ特性:λ10
伸張率10%で圧延後、鉄連規格JFST 1001に準じて穴広げ試験を行ない、λ10を求めた。
硬度差:HVS−HVα
ビッカース硬さ試験に用いる試験機は、JISB7725に適合したものを用いた。圧延方向に平行な断面について3%ナイタール溶液で組織を現出して、板厚1/4位置にて試験荷重3gでフェライト粒およびマルテンサイト粒にそれぞれくぼみをつけた。くぼみの対角線長さからJISZ2244にあるビッカース硬さ算出式を用い硬度を算出した。それぞれ30個のフェライト粒およびマルテンサイト粒の硬度を測定し、それぞれの平均値をフェライト相の硬度(HVα)およびマルテンサイト相の硬度(HVS)とし、硬度差(HVS−HVα)を求めた。
以上により得られた結果を表2に製造条件と併せて示す。
Figure 2009167475
表2より、本発明例では、TS(強度)が980MPa以上、λ10が40%以上であり、YRが85%以下で加工後の伸びフランジ特性に優れた熱延鋼板が得られている。
一方、比較例は、TS、YR、EL、λ10のいずれか1つ以上が劣っている。
表3に示す組成の鋼を転炉で溶製し、連続鋳造により鋼スラブとした。次いで、これらの鋼スラブに対して、表4に示す条件で加熱、熱間圧延、冷却、巻取りを施し板厚2.0mmの熱延鋼板を作製した。
Figure 2009167475
得られた熱延鋼板に対して、実施例1と同様の方法で20nm未満の析出物に含まれるTi量およびV量を求めた。また、実施例1と同様の方法で引張強度:TS、YR、伸び:EL、加工後の伸びフランジ特性:λ10および硬度差を求め、評価した。
以上により得られた結果を表4に示す。
Figure 2009167475
表4より、本発明例では、TSが980MPa以上、λ10が40%以上であり、YRが85%以下で加工後の伸びフランジ特性に優れた熱延鋼板が得られている。さらに、鋼No.1(表2)に比べて、Cr、WやZrを添加した鋼においては、TSが向上していることがわかる。
本発明の鋼板は高強度であり、かつ、優れた加工後の伸びフランジ特性を有するので、例えば、自動車やトラック用のフレーム等、伸びおよび伸びフランジ特性を必要とする部品として最適である。

Claims (4)

  1. 成分組成は、mass%で、C:0.08%以上0.20%以下、Si:0.2%以上1.0%以下、Mn:0.5%以上2.5%以下、P:0.04%以下、S:0.005%以下、Al:0.05%以下、Ti:0.07%以上0.20%以下、V:0.05%以上0.80%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、金属組織は、体積占有率で60%以上95%以下のフェライトと第二相として5%以上35%以下のマルテンサイトを有し、大きさが20nm未満の析出物に含まれるTi量が450mass ppm以上1800mass ppm以下、V量が350mass ppm以上7200mass ppm以下であり、マルテンサイト相の硬度(HVS)とフェライト相の硬度(HVα)の差(HVS−HVα)が300以下であり、YRが85%以下であることを特徴とする高強度鋼板。
  2. mass%で、さらに、Cr:0.01%以上、1.0%以下、W:0.005%以上1.0%以下、Zr:0.0005%以上0.05%以下のいずれか1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の高強度鋼板。
  3. mass%で、C:0.08%以上0.20%以下、Si:0.2%以上1.0%以下、Mn:0.5%以上2.5%以下、P:0.04%以下、S:0.005%以下、Al:0.05%以下、Ti:0.07%以上0.20%以下、V:0.05%以上0.80%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼スラブを、1150℃以上1350℃以下の温度に加熱したのち、仕上げ圧延温度を850℃以上1000℃以下として熱間圧延を行ない、次いで、650℃以上800℃未満の温度まで、平均冷却速度30℃/s以上で第一段冷却し、1秒以上10秒未満の時間で空冷し、次いで、冷却速度20℃/s以上で第二段冷却し、300℃以下の温度で巻取り、式(1)を満たすことを特徴とする高強度鋼板の製造方法。
    T1≦0.06×T2+764 …(1)
    ただし、T1:第一段冷却の停止温度、T2:巻取り温度
  4. 成分組成として、mass%で、さらに、Cr:0.01%以上、1.0%以下、W:0.005%以上1.0%以下、Zr:0.0005%以上0.05%以下のいずれか1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項3に記載の高強度鋼板の製造方法。
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