しかしながら、上述の詰め替え用ロール状包装材料収納カートンでは、フィルムをロールから引き出す際にカートン本体からロールが飛び出してしまうことがあった。
本発明は上述の課題に鑑み、ラップフィルムを引き出す際のラップロールの飛び出しを防ぐことができる嵌挿用ラップロール収容箱、詰替用ラップロール、及びラップロールセットを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る嵌挿用ラップロール収容箱は、例えば図1に示すように、直方体状の一面10hが開口された本体部10と、本体部10に連接されて開口10hを塞ぐ開閉可能な蓋部20と、を有する箱本体1、に嵌挿される嵌挿用ラップロール収容箱110であって;合成樹脂製のラップフィルム91fが巻かれたラップロール91rを収容する、直方体状に形成されたカートン110を備え;カートン110は、ラップロール91rが収容されたときにラップロール91rからラップフィルム91fが引き出される引出開口111hがラップフィルム91fの幅よりも大きな幅で形成されると共に開口隣接板111が設けられた開口形成面111Vと、引き出されたラップフィルム91fの幅方向の両端で開口形成面111Vに直交する一対の端面板115とを有し、一対の端面板115のそれぞれに開口隣接板111が連接して構成されている。
このように構成すると、ラップロールが収容されたうえで箱本体に嵌挿されたときに、開口隣接板が箱本体の開口に現れるように嵌挿された場合はラップフィルムが引き出された際にラップロールがつられて飛び出してしまうことを防ぐ抑え板の役割を開口隣接板が果たし、他方、箱本体の蓋部が連接された本体部の面に開口隣接板が対向するように嵌挿された場合は開口形成面に直交する部材が抑え板の役割を果たすと共にカートンが箱本体に嵌挿される際にラップロールが引出開口を介してカートンから落下してしまうことを抑制することができる。
また、本発明の第2の態様に係る嵌挿用ラップロール収容箱は、例えば図7に示すように、上記本発明の第1の態様に係る嵌挿用ラップロール収容箱において、カートン110Eが、開口形成面111V及び端面板115に直交する2つの面のうちの一方を構成する補助板114であって、開口隣接板111よりも引出開口111h側に存在して一対の端面板115のそれぞれに連接された補助板114を有し;補助板114に、ラップロール91rからラップフィルム91fが引き出されたときにラップフィルム91fの幅よりも大きな幅の補助開口114hが形成され;引出開口111h及び補助開口114hが連続して形成されている。
このように構成すると、ラップロールが収容された場合、嵌挿用ラップロール収容箱が箱本体に嵌挿される前のラップフィルムが引き出される際に、ラップフィルムの引き出しをより円滑に行うことができる。
また、本発明の第3の態様に係る嵌挿用ラップロール収容箱は、例えば図2に示すように、上記本発明の第1の態様に係る嵌挿用ラップロール収容箱110Sにおいて、引出開口111hを塞ぐ閉塞部材118を備える。
このように構成すると、箱本体に嵌挿される前の嵌挿用ラップロール収容箱に、引出開口から異物が侵入することを防ぐことができる。
また、本発明の第4の態様に係る嵌挿用ラップロール収容箱は、例えば図7に示すように、上記本発明の第3の態様に係る嵌挿用ラップロール収容箱において、カートン110Eが、開口形成面111V及び端面板115に直交する2つの面のうちの一方を構成する補助板114であって、開口隣接板111よりも引出開口111h側に存在して一対の端面板115のそれぞれに連接された補助板114を有し;補助板114に、ラップロール91rからラップフィルム91fが引き出されたときにラップフィルム91fの幅よりも大きな幅の補助開口114hが形成され;引出開口111h及び補助開口114hが連続して形成されている。
このように構成すると、ラップロールが収容された場合、閉塞部材が除去されたうえで嵌挿用ラップロール収容箱が箱本体に嵌挿される前のラップフィルムが引き出される際に、ラップフィルムの引き出しをより円滑に行うことができる。
また、本発明の第5の態様に係る詰替用ラップロールは、例えば図1(A)に示すように、上記本発明の第3の態様又は第4の態様に係る嵌挿用ラップロール収容箱110と;嵌挿用ラップロール収容箱110に収容された、合成樹脂製のラップフィルム91fが巻かれたラップロール91rとを備える。
このように構成すると、箱本体に嵌挿されたときに、開口隣接板が箱本体の開口に現れるように嵌挿された場合はラップフィルムが引き出された際にラップロールがつられて飛び出してしまうことを防ぐことができ、箱本体の蓋部が連接された本体部の面に開口隣接板が対向するように嵌挿された場合は開口形成面に直交する部材が抑え板の役割を果たすと共にカートンが箱本体に嵌挿される際にラップロールが引出開口を介してカートンから落下してしまうことを抑制することができる。
また、本発明の第6の態様に係る詰替用ラップロールは、例えば図2(図4)に示すように、上記本発明の第1の態様又は第2の態様に係る嵌挿用ラップロール収容箱110S(130S)と;嵌挿用ラップロール収容箱110S(130S)に収容された、合成樹脂製のラップフィルム91f(例えば図1参照)が巻かれたラップロール91r(例えば図1参照)とを備える。
このように構成すると、閉塞部材が除去されたうえで箱本体に嵌挿されたときに、開口隣接板が箱本体の開口に現れるように嵌挿された場合はラップフィルムが引き出された際にラップロールがつられて飛び出してしまうことを防ぐことができ、箱本体の蓋部が連接された本体部の面に開口隣接板が対向するように嵌挿された場合は開口形成面に直交する部材が抑え板の役割を果たすと共にカートンが箱本体に嵌挿される際にラップロールが引出開口を介してカートンから落下してしまうことを抑制することができる。
また、本発明の第7の態様に係るラップロールセットは、例えば図1に示すように、上記本発明の第5の態様に係る詰替用ラップロール191と;詰替用ラップロール191が嵌挿された箱本体1であって、収容されたラップロール91rの軸線91aと平行になる4つの長方形面のうちの1つが開口した開口面10hに形成されると共に、開口面10hに直交する2つの長方形面のうちの一方を構成する後板14と、後板14に対向する前板12と、4つの長方形面に直角で直方体状の端面を構成する一対の脇板15と、を含む本体部10と、後板14の開口面10hと交わる端辺である後板端辺18に、回動可能に連接されて開口面10hを覆う蓋部20と、を有する箱本体1とを備え;引出開口111hが本体部10の開口面10hに現れる状態、又は引出開口111hが後板14に対向する状態(例えば図3及び図10参照)で、詰替用ラップロール191が箱本体1に嵌挿されて構成されている。
このように構成すると、開口隣接板が、又は開口形成面に直交する部材が、抑え板の役割を果たし、ラップフィルムが引き出された際にラップロールがつられて飛び出してしまうことを防ぐことができる。
また、本発明の第8の態様に係るラップロールセットは、例えば図8に示すように、上記本発明の第7の態様に係るラップロールセットにおいて、本体部10(例えば図1(A)参照)の開口面10hに現れるカートン110H(130H)の面111(114)に、人の手の指が入る指孔111g(114g)が形成されている。
このように構成すると、ラップフィルムを使い切った後の嵌挿用ラップロール収容箱の箱本体からの取り出しを容易にすることができる。
また、本発明の第9の態様に係るラップロールセットは、例えば図1に示すように、上記本発明の第7の態様又は第8の態様に係るラップロールセット100において、蓋部20が、蓋部20を閉じたときに前板12の一部を覆う掩蓋片22を含んで構成され;前板12は、蓋部20が閉じられたときにラップロール91rから引き出されたラップフィルム91fを掩蓋片22との間で挟むことができるフラップ12fを有する。
が形成されている。
このように構成すると、フラップ上にあるラップフィルムに本体部の前板から浮き上がる方向の力が作用することとなり、蓋部を開けたときにラップフィルムが摘みやすくなると共に、蓋部を閉じてラップフィルムを切断する際はラップフィルムが蓋部の側に抑えられて切断しやすくなる。
また、本発明の第10の態様に係るラップロールセットは、例えば図1に示すように、上記本発明の第7の態様乃至第9の態様のいずれか1つの態様に係るラップロールセット100において、ラップフィルム91fが引き出されるときに引き出されるラップフィルム91fと摺動するカートン110の部分であって引出開口111hとの境界を構成する開口境界部分111sが円滑に形成されている。引き出されるラップフィルムと摺動するカートンの部分は、典型的には、引出開口が本体部の開口面に現れる状態で詰替用ラップロールが箱本体に嵌挿された場合(図1参照)は引出開口111hとの境界を構成する開口隣接板111の辺となり、引出開口が後板に対向する状態で詰替用ラップロールが箱本体に嵌挿された場合であって、引出開口が本体部の開口面の側にある場合(図3参照)は引出開口111hとの境界を構成する補助板114の辺となり、開口隣接板が本体部の開口面の側にある場合(図10参照)は引出開口111hとの境界を構成する開口隣接板111の辺となる。
このように構成すると、ラップフィルムが開口境界部分によって損傷することが抑制される。
また、本発明の第11の態様に係るラップロールセットは、例えば図1(B)に示すように、上記本発明の第10の態様に係るラップロールセットにおいて、開口境界部分111sと一体に形成された副板117であって、開口境界部分111sにおいて折り曲げられることによりカートン110(例えば図1(A)参照)の内側に配設された副板117を備える。
このように構成すると、開口境界部分まわりのカートンの強度の向上を図ることができる。
また、本発明の第12の態様に係るラップロールセットは、例えば図9に示すように、上記本発明の第7の態様乃至第11の態様のいずれか1つの態様に係るラップロールセットにおいて、前板12の開口面10hと交わる端辺である前板端辺19に連接されて開口面10hの内側に延びる前延板12e、及び脇板15の開口面10hと交わる端辺である脇板端辺15sに連接されて開口面10hの内側に延びる脇延板15eの少なくとも一方を備える。
このように構成すると、詰替用ラップロールが箱本体から飛び出ることを抑制することができる。
また、本発明の第13の態様に係るラップロールセットは、例えば図5を参照して示すと、上記本発明の第7の態様乃至第12の態様のいずれか1つの態様に係るラップロールセットにおいて、一対の脇板15A(例えば図5参照)にカートン110Aと係合する係合部15hが形成され;詰替用ラップロール191Aは、開口隣接板111がラップフィルム91fの幅方向の両端で端面板115よりも突き出た突出部116を有し、突出部116は、端面板115に外側から重なるように折り曲げられて形成されると共に、端面板115に剥離可能に連接されて構成され;突出部116が、係合部15hと係合する係止片として構成されている。
このように構成すると、詰替用ラップロールを箱本体に固定することができ、使用時の箱本体からの詰替用ラップロールの飛び出しを防ぐことができる。
また、本発明の第14の態様に係るラップロールセットは、例えば図5及び図6に示すように、上記本発明の第7の態様乃至第12の態様のいずれか1つの態様に係るラップロールセットにおいて、カートンが、開口形成面111V及び端面板115に直交する2つの面のうちの一方を構成する補助板114であって開口隣接板111よりも引出開口111h側に存在する補助板114を有し;一対の脇板15A(例えば図5参照)にカートンと係合する係合部15h(例えば図5参照)が形成され;係合部15hと係合する係止片116、116F(図6(B)参照)、115t(図6(C)参照)が、端面板115C(図6(C)参照)、開口隣接板111(図5、図6(B)参照)、又は補助板114(図6(A)参照)に連接して設けられている。
このように構成すると、詰替用ラップロールを箱本体に固定することができ、使用時の箱本体からの詰替用ラップロールの飛び出しを防ぐことができる。
本発明によれば、嵌挿用ラップロール収容箱にラップロールが収容されたうえで箱本体に嵌挿されたときに、開口隣接板が箱本体の開口に現れるように嵌挿された場合はラップフィルムが引き出された際にラップロールがつられて飛び出してしまうことを防ぐ抑え板の役割を開口隣接板が果たし、他方、箱本体の蓋部が連接された本体部の面に開口隣接板が対向するように嵌挿された場合は開口形成面に直交する部材が抑え板の役割を果たすと共にカートンが箱本体に嵌挿される際にラップロールが引出開口を介してカートンから落下してしまうことを抑制することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
まず図1を参照して、本発明の実施の形態に係るラップロールセットとしてのラップセット100を説明する。図1(A)は、ラップセット100の分解斜視図である。ラップセット100は、詰替ラップ191が箱本体1に収容されたものである。詰替ラップ191は、ラップロール91rがカートン110に収容されたものである。ラップロール91rは、薄膜状の長尺物としてのラップフィルム91fが円筒状の巻芯に軸線91aまわりに巻かれてロール状に形成されたものである。以下の説明において、ラップロール91rとラップフィルム91fとの外観形状の区別をしない場合は、「ラップ91」と総称する。ラップフィルム91fは、本実施の形態では、ポリ塩化ビニリデンを原料として厚さが5〜20μmに形成されている。
箱本体1は、本体部10と、蓋部20とを有している。本体部10は、詰替ラップ191を嵌合できる大きさの直方体に対して、細長い面の1つが開口面10hとなっている箱である。本体部10は、詰替ラップ191を嵌める際に嵌めやすく、詰替ラップ191が嵌められた状態でラップフィルム91fを引き出した際に詰替ラップ191が外れない大きさに形成されている。本体部10は、カートン110を介さずに直接ラップロール91rを収容することもでき、その際は、カートン110を介さずに収容された未使用のラップロール91rを軸線91a回りに回転させるのを妨げない隙間が形成される。本体部10は、本実施の形態では幅44mm、高さ44mm、長さ310mmの大きさに形成されている。
本体部10は、開口面10hと協働して直方体の側面を構成する前板12、底板13、後板14と、直方体の端面を構成する2つの脇板15とを有している。底板13は、開口面10hに対向している。前板12及び後板14は、開口面10h及び底板13に直交している。脇板15は、典型的には正方形に形成されているが、縦横の長さが異なる矩形であってもよい。以下の説明においては、水平な面に底板13が載置された状態を基準として、底板13側を下、開口面10h側を上として説明する場合もある。脇板15の上端の中央部分には、3mm程度上方に延びた小片が外側に折り返されて形成された突起15pが設けられている。突起15pは、2つあるそれぞれの脇板15の上端を形成する辺である脇板端辺15sに設けられている。また、本体部10は、前板端辺19で前板12と連続する内接板(不図示)を有している。前板端辺19は、前板12と開口面10hとが交わる部分の前板12の端辺であり、本実施の形態では前板12と内接板との境界を兼ねている。内接板は、前板12と略同じ大きさであるが底板13とは接しておらず、前板12よりも本体部10の内側に設けられている(したがって、図1(A)では現れないが、図9(B)を参照して後述する内接板16が相当する)。内接板は、底板13側の端辺が、長手方向に沿って前板12に接着されている。内接板が設けられていることにより、本体部10の強度の向上を図っている。
蓋部20は、本体部10の開口面10hを塞ぐ部材である。蓋部20は、蓋板21と、掩蓋片22と、切断刃23と、側蓋片25とを有している。蓋板21は、開口面10hと略同じ大きさの矩形平板状部材であり、蓋板21を開口面10hに合わせることで本体部10を閉塞した直方体とすることができるようになっている。蓋板21が開口面10hと略同じ大きさとは、蓋板21が、掩蓋片22の厚さ及び側蓋片25の厚さの分大きく、蓋部20の開閉を妨げない隙間が形成される程度大きい場合を含むことを意味している。蓋板21は、長手方向の一辺が、本体部10の後板端辺18で連接している。換言すれば、本体部10と蓋板21とは、後板端辺18を介して連接している。後板端辺18は、後板14と開口面10hとが交わる部分の後板14の端辺である。蓋板21は、後板端辺18を回転軸線として、本体部10に対して回動することができるように構成されている。
掩蓋片22は、折曲辺21fを介して蓋板21と直交し、蓋部20を閉じたときに底板13に向かって延びるように設けられている。掩蓋片22は、詰替ラップ191が本体部10に収容された場合におけるラップロール91rの軸線91aが延びる方向(以下「軸線方向D」という。)の両端における高さ(長方形の前板12の短辺方向の長さ)が、前板12の短辺方向の長さの約1/2で、軸線方向Dの中央部の高さが、前板12の短辺方向の長さの約3/4となっている。折曲辺21fに対向する先端辺22tは、軸線方向Dにおける中央からそれぞれの端部に移動するに連れて、軸線方向Dに直交する方向における折曲辺21fと先端辺22tとの距離が短くなるように形成されている。このような構成により、折曲辺21fに対向する先端辺22tがV字状に形成されることとなる。掩蓋片22は、蓋部20が閉じられたときに、前板12に沿って前板12の外側に重なり、前板12の上部を五角形状に覆うこととなる。掩蓋片22は、軸線方向Dの長さが前板12よりもわずかに長く構成されており、本体部10に収容されるラップ91の幅よりも長い。これにより、掩蓋片22は、本体部10の中から引き出されたラップフィルム91fを、その幅全体にわたって、前板12との間に挟むことができるように構成されている。掩蓋片22の先端辺22tには、ラップフィルム91fを切断するための切断刃23が取り付けられている。切断刃23は、刃先が先端辺22tから出るように、先端辺22tに沿ってV字状に設けられている。
側蓋片25は、蓋板21及び掩蓋片22の双方に直交して設けられている。側蓋片25は、蓋板21(掩蓋片22)の両端に合計2つ設けられている。側蓋片25は、基本形状が、長辺が蓋板21の短辺と同じ長さで、短辺が掩蓋片22の中央部における高さ(V字状の先端から折曲辺21fまでの最短距離)と略同じ長さの長方形に形成されている。この基本形状を基に、側蓋片25は、底板13側の辺と後板14側の辺とが交わる角部が、除去されている。側蓋片25は、掩蓋片22に連接された接合片22jに接着剤で固定されている。側蓋片25の内側には、接合片22jと蓋板21との間に、凹部25dが形成されている。凹部25dには、蓋部20を閉じたときに、脇板端辺15sに設けられた突起15pが嵌ることとなる。上述のように構成された蓋部20は、閉じたときに、本体部10の開口10hに覆い被さり、掩蓋片22が前板12の上部を覆うようになっている。
本体部10及び蓋部20は、本実施の形態では、約0.45〜0.7mm厚のコートボール紙が加工されて形成されている。このため、箱本体1は、弾性を有している。なお、本実施の形態では、説明の便宜上、本体部10と蓋部20とを機能の観点から区別しているが、本体部10及び蓋部20は、1枚の原紙を切り出して組み立てられて一体に形成されている。本体部10及び蓋部20の表面は、消費者の購買意欲を惹起するようなデザインが印刷されたうえで、全体に表面処理が施されている。また、箱本体1は、前板12の上部に、前板12の面が切り込まれることにより、内接板(不図示)から離れて本体部10の外側に浮くフラップ12fが形成されている。つまり、前板12は、フラップ12fを含んで構成されている。フラップ12fは、蓋部20を閉じたときに掩蓋片22に覆われて外面に表れない大きさで、左右対称に合計2つ形成されている。各フラップ12fは、前板端辺19で内接板(不図示)と連接していることにより、前板端辺19を回転軸線として回動することができるように構成されている。
各フラップ12fの表面には、係止手段としてのストッパー12sが、UVニスが塗布されることで形成されている。ストッパー12sは、本実施の形態では、実質的に各フラップ12fの軸線方向Dの長さ全体にわたって形成されている。ここで「実質的にフラップ12fの軸線方向Dの長さ全体にわたって形成されている」とは、厳密に連続して形成されていることを求める意図ではなく、ラップフィルム91fの切断時に、適切な切断を妨げるほどにラップフィルム91fが移動してしまうことを回避できる程度にラップフィルム91fを係止させることができる範囲で、断続的に形成されていない部分があったり、両端に形成されていない部分があることを許容することを意味している。本実施の形態では、ストッパー12sが、各フラップ12fよりも外側の前板12の面、及び両フラップ12fの間の前板12の面にも形成されている。
カートン110は、箱本体1の本体部10内に嵌め込むことができる大きさで、基本的な形状が直方体に形成されている。カートン110は、直方体の側面に相当する4つの長方形面である開口形成面111V、側面板112、対向板113、補助板114と、直方体の端面に相当する一対の端面板115とを有している。開口形成面111Vには、ラップフィルム91fを引き出すための引出開口111hが形成されていると共に、引出開口111hに隣接して開口隣接板111が存在している。このような構成により、引出開口111hは、開口形成面111V全体に形成されているのではなく、開口形成面111Vよりも小さくなっている。対向板113は、開口形成面111Vに対向している。側面板112及び補助板114は、開口形成面111V及び対向板113に直交している。一対の端面板115は、開口形成面111V、側面板112、対向板113、及び補助板114に直交しており、本実施の形態では正方形に形成されている。カートン110は、本実施の形態では、側面板112、対向板113、補助板114、及び端面板115には、開口が形成されていない。
引出開口111h及び開口隣接板111は、開口形成面111Vを短辺方向Pで分割したうちの、補助板114側に引出開口111hが形成されおり、側面板112側に開口隣接板111が設けられている。なお、短辺方向Pは、開口形成面111V上で軸線方向Dに直交する方向である。引出開口111hは、典型的には、補助板114及び一対の端面板115に到達した長方形に形成されているが、補助板114及び/又は端面板115に到達していなくてもよい。引出開口111hは、本実施の形態では、両端面板115に到達していることで、ラップフィルム91fの幅(軸線方向Dの長さ)よりも大きな幅に形成されている。開口隣接板111は、側面板112及び一対の端面板115に連接している。開口隣接板111は、両端面板115に連接していることで、側面板112に対して直交する状態を維持することができるように構成されている。
開口隣接板111の面積は、開口形成面111Vの面積の概ね10%〜98%を有している。開口隣接板111の面積の、開口形成面111Vの面積に占める割合は、カートン110に収容されたラップロール91rの飛び出し及びラップフィルム91fの巻き戻りを抑制する観点からは、20%以上とするとよく、40%以上が好ましく、55%以上がより好ましい。他方、カートン110内からラップフィルム91fの先端を引き出しやすくする観点からは、90%以下とするとよく、85%以下が好ましく、75%以下がより好ましい。開口隣接板111の、引出開口111hとの境界となる辺である境界辺111sは、円滑に形成されている。ここでいう「円滑」は、カートン110内のラップロール91rからラップフィルム91fが引き出される際、ラップフィルム91fが境界辺111sを摺動しながら引出方向(軸線方向Dに直交する方向)に移動しても、ラップフィルム91fが損傷しない程度の滑らかさである。本実施の形態では、図1(B)に示すように、開口隣接板111と一体に形成された副板117がカートン110の内側に折り曲げられることにより、開口隣接板111と副板117との境界部分(折り曲げられた部分)が境界辺111sとして形成されている。このように構成されることで、境界辺111sまわりの強度の向上を図っている。境界辺111sは、引出開口111hと開口隣接板111との境界を構成する部分であり、開口境界部分に相当する。
詰替ラップ191は、ラップフィルム91fの巻き方向が所定の方向となる状態で、ラップロール91rがカートン110に収容されて構成されている。所定の巻き方向は、本実施の形態では、ラップロール91rの中心から表面に現れている先端に向かう方向に辿ったときに、開口隣接板111、側面板112、対向板113、補助板114の順に出会う方向である。換言すれば、ラップフィルム91fが開口隣接板111の表面に沿うように引き出されたときに、ラップフィルム91fが境界辺111sで鋭角に折れ曲がることがない方向に巻かれた状態で収容されている。
カートン110及び詰替ラップ191は、典型的には、箱本体1と別個に流通するものである。流通する際は、引出開口111hが塞がれた未開封カートンあるいは未開封詰替ラップとなっている。未開封詰替ラップは、未開封カートンにラップロール91rが収容されたものである。未開封カートンは、板紙で形成されている。未開封カートンの紙坪量は、詰め替え用として流通することを考慮して、250g/m2〜550g/m2であることが好ましく、強度を維持する観点からは300g/m2以上であることがより好ましく、省資源化の観点からは450g/m2以下であることがより好ましい。なお、詰め替え用のラップロール91rを、プラスチックフィルムや薄紙等で簡易梱包して流通過程に置くことも考えられるが、未開封カートンに収容することにより、流通過程におけるラップ91の損傷を抑制することができる。
図2に、本発明の実施の形態に係る嵌挿用ラップロール収容箱としての未開封カートン110Sを示す。本発明の実施の形態に係る詰替用ラップロールとしての未開封詰替ラップ191Sは、外観が未開封カートン110Sと同じであるため構成の説明は省略する。図2(A)は、未開封カートン110Sの斜視図、図2(B)は未開封カートン110Sを折り畳んだ状態の平面図である。図2(A)に示すように、未開封カートン110Sは、引出開口111hが閉塞部材としての閉塞板118で覆われている。つまり、未開封カートン110Sは、カートン110と閉塞板118とを備えるものである。閉塞板118は、補助板114に連接されて設けられており、補助板114に対して直交している。閉塞板118の大きさは、軸線方向Dは両側の端面板115の厚さ分引出開口111hよりも大きく(概ね等しい)、短辺方向Pは引出開口111hよりも大きく形成されている。閉塞板118の、短辺方向Pにおける大きさは、閉塞板118が開口隣接板111に面で接着可能に重なる程度である。
閉塞板118と補助板114との境界には、閉塞板118を分離させることができるように切取線118cが形成されている。切取線118cは、典型的にはミシン目で形成されているが、長さ全体にわたって切り込みが入れられる等、閉塞板118が補助板114に対して、流通時には分離されず、使用時には容易に分離することができるような構成とするとよい。閉塞板118は、一部が開口隣接板111に重ねられて、その重なった部分が接着剤で剥離可能に接着されている。このようにすることで、閉塞板118が取り除かれたときに境界辺111sが滑らかな状態で出現するように構成されている。未開封カートン110S(未開封詰替ラップ191S)から閉塞板118を取り除くと、図1に示すカートン110(詰替ラップ191)となる。
未開封カートン110Sの製造場所と、未開封詰替ラップ191Sの製造場所とが異なる場合、図2(B)に示すように、未開封カートン110Sは、折り畳まれた状態で未開封詰替ラップ191Sの製造場所へ搬送される。折り畳まれた状態の未開封カートン110Sは、補助板114の長手方向両端に連接された接合片114p、対向板113の長手方向両端に連接された接合片113p、側面板112(図2(A)参照)の長手方向両端に連接された接合片(不図示)が、端面板115に接合されていない状態になっている。折り畳まれた状態の未開封カートン110Sは、未開封カートン110Sから各接合片114p、113pを剥離させて扁平にしたものであるが、製造効率向上のため、一旦組み立てることをせず、折り畳まれた状態となるように製造されるのが一般的である。この場合でも、折り畳まれた未開封カートン110Sは、本来、組み立てられた状態で存在意義を発揮するものであるから、未開封カートン110Sの一形態と見ることができる。なお、未開封カートン110Sの状態ではなく、閉塞板118を有さないカートン110の状態で流通することとしてもよい。
引き続き図1及び図2を参照して、ラップセット100の組み立てを説明する。当初、消費者がラップ91を店舗で購入する際、ラップ91はカートン110を介さずに箱本体1に直接収容されている。当初箱本体1に直接収容されていたラップ91を使い切ったら、箱本体1を捨てずに保存しておくと共に、別途店舗で購入した未開封詰替ラップ191Sを用意する。未開封詰替ラップ191Sを用意したら、閉塞板118を開口隣接板111から剥がし、切取線118cで切り取って、閉塞板118をカートン110から分離する。閉塞板118を取り除くと、開口隣接板111の隣に引出開口111hが現れる。引出開口111hを通してカートン110の中を見ると、カートン110に収容されているラップロール91rが見える。ラップロール91rとして巻かれているラップフィルム91fの先端には、引出シール(不図示)が貼付されているので、この引出シール(不図示)を摘み、引出開口111hを通して、ラップフィルム91fを、その先端が側面板112に対向する位置に来る程度までカートン110から引き出す。この状態で、詰替ラップ191を箱本体1の本体部10に嵌め込む(嵌挿する)。
詰替ラップ191を本体部10に嵌め込む際は、カートン110の対向板113が本体部10の底板13に対向するように、また、側面板112が前板12に、補助板114が後板14に、それぞれ対向するように嵌め込む。このように嵌め込むことで、カートン110の引出開口111h及び開口隣接板111が、箱本体1の開口面10hに現れたラップセット100となる。このとき、開口隣接板111は前板12側、引出開口111hは後板14側に位置することとなる。
上述のように構成されたラップセット100において、ラップ91を使用する際は、箱本体1の蓋部20を開け、ラップフィルム91fを摘んで開口隣接板111の表面に沿わせて短辺方向Pに引き出す。このとき、ラップ91は比較的自己密着性が高いため、ラップロール91rからラップフィルム91fが円滑に剥離せず、ラップフィルム91fに引っ張られてラップロール91rがカートン110から飛び出す方向に移動することがある。このような場合でも、ラップセット100では、開口隣接板111がラップロール91rを抑え、かつ、開口隣接板111が端面板115に連接されていて動かないため、ラップロール91rがカートン110から飛び出ることを防ぐことができる。つまり、開口隣接板111は、ラップフィルム91fが引き出される際にカートン110からのラップロール91rの飛び出しを阻止する役割を果たしている。さらに、カートン110は、箱本体1の本体部10に嵌め込まれているので、仮に開口面10hに垂直に引き上げられた場合は本体部10から外れるものの、通常ラップフィルム91fを引き出す際に働く力によっては前板12に押し付けられることとなって本体部10から外れることはない。ひいては、ラップフィルム91fを引き出しても、ラップロール91rは箱本体1の中に残り、ラップ91を安定して使用することができる。
ラップフィルム91fを必要な長さ分引き出したら、切断刃23で切断する。このとき、ラップフィルム91fを必要な長さ分引き出した状態で蓋部20を閉じ、ラップフィルム91fを前板12と掩蓋片22とで挟み、掩蓋片22の図心を親指で押さえ、切断刃23の中央を引き出されたラップフィルム91fに食い込ませるようにラップセット100を軸線91aまわりにひねると、ラッピングする食器等にラップフィルム91fを付けた状態でも切断しやすく、好適である。このとき、箱本体1は、フラップ12fが前板12に形成されているので、引き出されたラップフィルム91fをフラップ12fと掩蓋片22とで挟むことができ、ラップフィルム91fの切断時の滑りを抑制することができる。さらに、フラップ12fに形成されたストッパー12sが、ラップフィルム91fの切断時の滑りをより抑制することに寄与することとなる。
また、ラップセット100は、箱本体1にカートン110が嵌挿された二重構造になっており、開口隣接板111、側面板112、端面板115により強固な立体構造を有することで、ラップフィルム91fを切断する際に掩蓋片22の上から前板12が押されても箱本体1にかかる負荷がカートン110にも分散されることとなり、箱本体1の損傷が抑制されて、詰替ラップ191を交換しても箱本体1は繰り返し使用することが可能となる。箱本体1とカートン110とは、協働して相互の強度低下の抑制に寄与している。また、ラップセット100は、前板12にストッパー12sが形成されているので、切断された後にフラップ12fと掩蓋片22との間に挟まれているラップフィルム91fの先端をストッパー12sに係止させることができ、ラップフィルム91fの先端がラップロール91rに付着してしまうことによる、いわゆる巻き戻りの状態になることを防止することができる。また、蓋部20を開けたままラップフィルム91fを切断した場合等、ラップフィルム91fの先端がストッパー12sに付着できない程短くなった場合でも、箱本体1の開口面10hに開口隣接板111が現れているので、ラップフィルム91fの先端が開口隣接板111に載置されることとなり、ラップフィルム91fの先端が巻き戻りの状態になることを防ぐことができる。さらに、前板12にはフラップ12fが形成されているので、ラップ91を使用する際にラップフィルム91fが前板12から浮いて摘みやすい。
次に図3を参照して、本発明の実施の形態の第1の変形例に係るラップセット103を説明する。ラップセット103は、ラップセット100(図1参照)と同様に、詰替ラップ193が箱本体1に収容されたものである。ラップセット103は、ラップセット100(図1参照)と比較して、箱本体1は共通であるが、詰替ラップ193が開口隣接板111を後板14に対向させて嵌め込むことを前提にしている点で異なっている。詰替ラップ193は、本実施の形態では、詰替ラップ191(図1参照)と比較して、カートン130及びラップロール91rを備える点は共通であるが、ラップロール91rを構成するラップフィルム91fの巻き方向が、ラップロール91rの中心から表面に現れている先端に向かう方向に辿ったときに、補助板114、対向板113、側面板112、開口隣接板111の順に出会う方向となっている状態でカートン110に収容されている点で異なっている。
図4に、嵌挿用ラップロール収容箱としての未開封カートン130S及び詰替用ラップロールとしての未開封詰替ラップ193Sを示す。図4(A)は未開封カートン130Sの斜視図、図4(B)は未開封詰替ラップ193Sの軸直角方向における断面図である。未開封カートン130Sと未開封詰替ラップ193Sとは外観が同じであるため、図4(A)は未開封詰替ラップ193Sの斜視図と見ることもできる。未開封カートン130Sは、未開封カートン110S(図2参照)と同様に、開口隣接板111、側面板112、対向板113、補助板114、一対の端面板115を有し、引出開口111hが開口形成面111V上に形成されている。その一方で、未開封カートン130Sは、閉塞板138の構成が、未開封カートン110Sの閉塞板118(図2参照)と異なっている。未開封カートン130Sの閉塞板138は、補助板114にではなく、切取線138cを介して開口隣接板111に接続されている。これに伴い、補助板114の、引出開口111hとの境界となる辺(開口境界部分に相当)が、この辺にラップフィルム91fが交差して摺動しても損傷しない程度に円滑に形成されている。なお、図示は省略するが、カートン110における副板117(図1(B)参照)の構成が、補助板114の引出開口111hとの境界となる辺(開口境界部分)に一体に接続され、カートン130の内側で補助板114に沿って延びるように設けられていてもよい。
閉塞板138の、切取線138cに対向する部分は、カートン130の内側に向けて折り曲げられ、補助板114の内壁に沿う先端138e(図4(B)参照)が形成されている。閉塞板138は、先端138eが引出開口111hからカートン130の内部に入れられることで、引出開口111h全体を覆うように構成されている。閉塞板138の大きさは、軸線方向Dにおいては引出開口111hと概ね等しく、短辺方向Pにおいては引出開口111hよりも先端138eの長さ分大きい。閉塞板138は、軸線方向Dの中央部にテープ138tの一部が貼付され、テープ138tの残りが補助板114に貼付されることにより、流通過程で開かないようになっている。未開封カートン130Sも、未開封カートン110S(図2参照)と同様、未開封カートン130Sの製造場所と、未開封詰替ラップ193Sの製造場所とが異なる場合は、扁平に折り畳まれた状態となるように製造されるのが一般的である。
図3及び図4を参照して、ラップセット103の組み立てを説明する。まず、箱本体1と、店舗で購入する等して入手した未開封詰替ラップ193Sとを用意する。未開封詰替ラップ193Sを用意したら、テープ138tを剥がし、切取線138cに沿って折り曲げるようにして閉塞板138をカートン130から起こし、切取線138cで切り取って、閉塞板138をカートン130から分離する。閉塞板138を取り除くと、開口隣接板111の隣に引出開口111hが現れるので、カートン130の中に収容されているラップフィルム91fの先端に貼付されている引出シール(不図示)を摘み、引出開口111hを通して、ラップフィルム91fを、その先端が補助板114と対向板113との交線に対向する位置に来る程度までカートン130から引き出す。この状態で、詰替ラップ193を箱本体1の本体部10に嵌挿する。
詰替ラップ193を本体部10に嵌め込む際は、カートン130の開口形成面111Vが本体部10の後板14に対向するように、また、側面板112が底板13に、対向板113が前板12に、それぞれ対向するように嵌め込む。詰替ラップ193を本体部10に嵌め込む際、開口隣接板111が設けられているので、ラップロール91rがカートン130の外側に落下することがない。詰替ラップ193を本体部10に嵌め込むことで、カートン130の補助板114が、本体部10の開口面10hに現れたラップセット103となる。このとき、開口隣接板111は下側(底板13側)、引出開口111hは上側(開口面10h側)に位置することとなる。また、本体部10の開口面10hは、全体的に補助板114で覆われることとなる。ラップセット103は、本体部10に対するカートン130の嵌め込み及び取り出しを可能にする程度の隙間が、本体部10とカートン130との間に形成されており、この隙間からラップフィルム91fが本体部10の外側に出てくることになる。
上述のように構成されたラップセット103において、ラップ91を使用する際は、箱本体1の蓋部20を開け、ラップフィルム91fを摘んで補助板114の表面に沿わせて前板12側に引き出す。このとき、本体部10の開口面10hが補助板114で覆われているため、比較的自己密着性が高いラップフィルム91fをラップロール91rから引き出す際に、ラップフィルム91fが引き出される方向につられて移動しようとするラップロール91rを補助板114が抑え、補助板114が端面板115に連接されていて動かないため、ラップロール91rがカートン130から飛び出ることを防ぐことができる。さらに、カートン130は、箱本体1の本体部10に嵌め込まれているので、通常ラップフィルム91fを引き出す際に働く力によっては前板12に押し付けられることとなって本体部10から外れることはない。ひいては、ラップフィルム91fを引き出しても、ラップロール91rは箱本体1の中に残り、ラップ91を安定して使用することができる。また、蓋部20を開けたままラップフィルム91fを切断した場合等、ラップフィルム91fの先端が短くなった場合でも、その短くなった先端が補助板114に載置された状態になり、ラップフィルム91fの先端がラップロール91rに付着してしまうことによる巻き戻りの状態になることを防止することができる。また、カートン130は、補助板114と、これに連接する対向板113及び端面板115とが協働して強固な立体構造が形成されているので、ラップフィルム91fの切断時に外力が作用しても、箱本体1及びカートン130が変形することを抑制することができる。
図5を参照して、本発明の実施の形態の第2の変形例に係るラップセット100Aを説明する。図5(A)はラップセット100Aの部分分解斜視図、図5(B)は軸線方向Dに平行な方向の断面におけるラップセット100Aの部分縦断面図である。ラップセット100Aは、詰替ラップ191Aと、箱本体1Aとを備えている。詰替ラップ191Aは、詰替ラップ191(図1参照)と比較して、開口隣接板111の軸線方向Dの両端に抑え側板116が設けられている点、及び一対の端面板115の先端部115eに開口隣接板111が接合されている点で相違しており、その余の点は共通している。箱本体1Aは、箱本体1(図1参照)と比較して、カートン110Aの抑え側板116の先端116eが差し込まれる係合部としての貫通孔15hが脇板15Aの適切な位置に形成されている点で相違しており、その余の点は共通している。貫通孔15hは、先端116eの幅及び厚さよりも一回り大きい長方形で、一対の脇板15のそれぞれに形成されている。
抑え側板116は、係止片の一形態であり、開口隣接板111から端面板115側に突き出るように、開口隣接板111に連接している。抑え側板116と開口隣接板111とは、典型的には一体に形成されており、両者の境界線116bまわりに抑え側板116が回動可能に構成されている。抑え側板116の高さは、端面板115の高さに対して、概ね1/3以上、典型的には2/3に形成されている。抑え側板116の幅は、境界線116bにおいては開口隣接板111の幅と等しく、対向板113に近づくにつれて少しずつ小さくなり、先端116eで急激に半分程度の幅になっている。抑え側板116には、境界線116bに沿った細長い矩形において、境界線116b以外の3つの辺が切り込まれることにより、境界線116bよりも外側に突き出る突起116pが形成されている。突起116pは、開口隣接板111と同一面状で、カートン110Aの外側に突き出ている。突起116pが形成されていることで、詰替ラップ191Aが嵌挿された箱本体1Aの蓋部20を閉じたときに、側蓋片25の内側に形成されている凹部25d(図1参照)が突起116pと係合し、蓋部20を閉状態に維持することができる。
カートン110Aの端面板115は、補助板114よりも開口形成面111V側に延びており、この延びた部分が先端部115eとなっている。先端部115eは、開口形成面111Vに沿うように内側に折り曲げられている。折り曲げられた先端部115eの上に、開口隣接板111が重ねられ、両者の接する面同士は適量の接着剤が塗布されて接着されている。一対の端面板115からそれぞれ延びて内側に折り曲げられた両先端部の間に現れる引出開口111hの幅(軸線方向Dの距離)が、ラップフィルム91f(図1参照)の幅よりも大きくなるように、先端部115eの大きさが決定されている。
詰替ラップ191Aは、流通過程においては、未開封詰替ラップ191S(図2参照)と同様の要領で、引出開口111hが閉塞板118(図2参照)で塞がれている。このとき、抑え側板116は、端面板115に接着剤等で剥離可能に付着されている。ラップセット100Aに組み立てる際は、用意した未開封詰替ラップから閉塞板118(図2参照)を分離して詰替ラップ191Aとし、抑え側板116を端面板115から剥がして先端116eを折り曲げる。そして、カートン110Aに収容されているラップロール91rからラップフィルム91fを引き出し、ラップセット100(図1参照)と同じ向きで、詰替ラップ191Aを箱本体1Aの本体部10Aに嵌め込む。このとき、抑え側板116が脇板15の外側になるようにする。詰替ラップ191Aが本体部10Aに嵌ったら、抑え側板116の先端116eを、貫通孔15hに通して本体部10Aの中に入れる。このようにして組み立てられたラップセット100Aは、抑え側板116の先端116eと貫通孔15hとが係合し、カートン110Aを箱本体1Aに固定することができ、ラップフィルム91fを引き出したときにカートン110Aごと箱本体1Aから飛び出してしまうことを防ぐことができる。
なお、カートン110Aは、先端部115eの上に開口隣接板111が重ねられて接着される構成に代えて、先端部115eを設けずに、抑え側板116の先端116eを貫通孔15hに係合させることで、開口隣接板111が箱本体1Aに固定されるように構成されていてもよい。つまり、カートン110Aを箱本体1Aに嵌挿する際は、開口隣接板111が端面板115に固定されずに開口隣接板111と側面板112との交線まわりに回動可能な状態になることとしてもよい。この場合でも、流通過程においては抑え側板116が端面板115に対して剥離可能に付着されることで、流通過程(閉塞板118(図1参照)が設けられた状態)においては抑え側板116(開口隣接板111の一部と見ることができる)と端面板115とが連接されていることとなる。
次に図6(A)を参照して、本発明の実施の形態の第3の変形例に係る詰替ラップ193Aを説明する。詰替ラップ193Aは、詰替ラップ191Aに設けられていたのと同様の抑え側板116(図5参照)が、詰替ラップ193(図3参照)に設けられて構成されたものである。詰替ラップ193Aは、ラップセット100A(図5参照)における詰替ラップ191Aに代えて、貫通孔15hが形成された箱本体1Aに嵌め込まれることにより、ラップセットを構成する。詰替ラップ193Aは、抑え側板116が、補助板114に連接している。抑え側板116は、その幅が補助板114の幅よりも小さく、開口形成面111Vに隣接する位置で補助板114に連接している。抑え側板116と補助板114とは、典型的には一体に形成されており、両者の境界線116bまわりに抑え側板116が回動可能に構成されている。カートン130Aの端面板115は、対向板113よりも補助板114側に延び、補助板114側に沿うように内側に折り曲げられた先端部115eを有している。折り曲げられた先端部115eの上に、補助板114が重ねられ、両者の接する面同士は適量の接着剤が塗布されて接着されている。
詰替ラップ193Aは、流通過程においては、未開封詰替ラップ193S(図4参照)と同様の要領で、引出開口111hが閉塞板138(図4参照)で塞がれている。抑え側板116は、端面板115に接着剤等で剥離可能に付着されている。詰替ラップ193Aにおいても、閉塞板138(図4参照)を分離してラップフィルム91fを引出開口111hから引き出し、抑え側板116を端面板115から剥がし、詰替ラップ193Aを箱本体1A(図5参照)に嵌め込んで、先端116eを貫通孔15hに係合させる。これにより、カートン130Aを箱本体1Aに固定することができ、ラップフィルム91fを引き出したときにカートン130Aごと箱本体1Aから飛び出してしまうことを防ぐことができる。
次に図6(B)を参照して、本発明の実施の形態の第4の変形例に係る詰替ラップ191Bを説明する。詰替ラップ191Bは、抑え側板116Fの形態が抑え側板116(図5参照)と異なる点を除き、詰替ラップ191A(図5参照)と同様に構成されている。抑え側板116Fの高さは、抑え側板116(図5参照)と同様である。抑え側板116Fの幅は、境界線116bにおいては開口隣接板111の幅と概ね等しく、対向板113に近づくにつれて少しずつ小さくなり、先端(対向板113に最も近い端部)は、緩やかな丸みを帯びていて、角部が円弧状に形成されている。また、抑え側板116Fは、境界線116bと平行に延びる折れ線116sの幅方向の中央部から、境界線116b側に、半円弧状の切り込み116cが形成されている。切り込み116cは、半円弧の直径が折れ線116s上にある。これにより、折れ線116sと切り込み116cとで囲まれた部分に舌片116tが形成されることとなる。抑え側板116Fの丸みを帯びた先端部を、折れ線116sに沿って曲げることで、舌片116tが突出し、箱本体1Aの貫通孔15h(図5参照)に係合可能となる。
詰替ラップ191Bにおいても、舌片116tを貫通孔15h(図5参照)に係合することで、詰替ラップ191A(図5参照)と同様に、カートン110Bを箱本体1Aに固定することができ、ラップフィルム91fを引き出したときにカートン110Bごと箱本体1Aから飛び出してしまうことを防ぐことができる。なお、抑え側板116Fの構成は、詰替ラップ193A(図6(A)参照)における抑え側板116と置き換えることもできることはいうまでもない。
次に図6(C)を参照して、本発明の実施の形態の第5の変形例に係るラップセット106を説明する。ラップセット106は、箱本体1Cの本体部10Cに嵌挿される詰替ラップ191Cに抑え側板116(図5参照)が設けられておらず、本体部10Cの脇板15Cに外舌片15tが、及び詰替ラップ191Cの端面板115Cに内舌片115tが、それぞれに形成されることで、箱本体1Cと詰替ラップ191Cとが係合するように構成されている。外舌片15t(係合部に相当)と内舌片115t(係合片に相当)とは、対応する位置に形成されており、典型的には脇板15C及び端面板115Cそれぞれの中央部分に形成されている。ラップセット106は、箱本体1Cに詰替ラップ191Cを嵌挿した後、脇板15Cの外舌片15tを端面板115C側に押し込むと、外舌片15tによって内舌片115tが内側に押し込まれ、外舌片15tと内舌片115tとが係合するように構成されている。これにより、カートン110Cを箱本体1Cに固定することができ、ラップフィルム91fを引き出したときにカートン110Cごと箱本体1Cから飛び出してしまうことを防ぐことができる。なお、内舌片115tは、カートン130(図3参照)に適用できることはいうまでもない。
次に図7を参照して、本発明の実施の形態の第6の変形例に係る詰替ラップ197を説明する。詰替ラップ197は、詰替ラップ191(図1参照)を基にして、補助板114の一部を開口し、補助開口114hを形成したものである。補助開口114hは、開口前の補助板114に比べて短辺方向の距離が短く形成されており、引出開口111hと接するように、開口形成面111Vに寄って形成されている。補助開口114hと引出開口111hとが連続して形成されることで、詰替ラップ197を構成するカートン110Eは、直方体の角部が長手方向に沿って除去された形態となっている。補助開口114hの幅は、引出開口111hと同じく、ラップフィルム91fの幅よりも大きく形成されている。補助開口114hの面積は、補助開口114hが形成されないと仮定したときの補助板114の面積の概ね10%〜90%となっており、カートン110Eからのラップ91の出しやすさの観点からは30%以上が好ましく、60%以上がより好ましい。
詰替ラップ197は、流通過程においては、典型的には、図7(B)に示すように、引出開口111h及び補助開口114hが閉塞板118Eで塞がれた未開封詰替ラップ197Sとなっている。閉塞板118Eは、長手方向に直交する断面がL字状に形成されている。未開封詰替ラップ197Sでは、切取線118cが、補助板114と補助開口114hとの境界のほか、両方の端面板115にも形成されている。端面板115に形成された切取線118cは、引出開口111hと開口隣接板111との境界に対応する点と、補助開口114hと補助板114との境界に対応する点とを結ぶ直線で形成されている。未開封詰替ラップ197Sによれば、閉塞板118Eを切取線118cで切断して取り除いたときに、ラップロール91rの飛び出しを防ぐ役割を果たす開口隣接板111を比較的大きくしながら、カートン110Eの中からラップフィルム91fを引き出すための開口(引出開口111h及び補助開口114h)が比較的大きくなるため、ラップフィルム91fが引き出しやすくなり、ラップフィルム91fの引き出しをより円滑に行うことができる。また、引出開口111hと補助開口114hとで形成されたカートン110Eの開口の引出方向の長さが、ラップロール91rの直径以上に形成された場合は、使用途中でラップロール91rを取り出したい場合に、必要な開口面積を確保することができる。なお、カートン110Eの製造場所と、未開封詰替ラップ197Sの製造場所とが異なる場合は、ラップロール91rが収容されていないカートン110Eの状態で未開封詰替ラップ197Sの製造場所へ搬送されることとなる。つまり、カートン110Eの状態で流通することとなる。このとき、閉塞板118Eを有さない状態で流通することとしてもよい。
次に図8を参照して、本発明の実施の形態の第7の変形例に係るカートン110H、及び第8の変形例に係るカートン130Hを説明する。図8(A)に示すカートン110Hは、カートン110(図1参照)を基にして、開口隣接板111に、人の手の指が入る指孔111gが形成されたものである。指孔111gは、開口隣接板111の面の中央部分に1個が形成されているが、適宜間隔を開けて複数形成されていてもよい。各指孔111gは、典型的には成人の人差し指が入る大きさに形成されている。図8(B)に示すカートン130Hは、カートン130(図3参照)を基にして、補助板114の面の中央部分に指孔114gが1個形成されたものである。指孔114gは、適宜間隔を開けて複数形成されていてもよい。指孔114gは、カートン110H(図8(A)参照)の指孔111gと同じ大きさに形成されている。これらのカートン110H、130Hによれば、詰め替えたラップ91を使い切った後、カートン110H、130Hを箱本体1(図1参照)から取り出す際に、指孔111g、114gに指を入れて引き上げることができ、取り出しが容易になる。
なお、図7に示す詰替ラップ197、及び図8に示すカートン110H、130Hに対しても、図5及び図6に示す抑え側板116等の係止片を設けることができるのはいうまでもない。
次に図9を参照して、本発明の実施の形態の第9の変形例に係るラップセット109を説明する。図9(A)はラップセット109の斜視図、図9(B)はラップセット109の本体部10Jの前板12を内側から見た立面図である。ラップセット109は、ラップセット100(図1参照)と比較して、箱本体1Jの本体部10Jの構成が異なっている。本体部10Jは、前板端辺19に前延板12eが設けられていると共に、両側の脇板端辺15sに脇延板15eが設けられている。
図9(B)に示すように、前延板12eは、本実施の形態では、前板端辺19で前板12と連続する内接板16に切り込みが入れられることで形成されている。内接板16は、前板12と略同じ大きさであるが底板13とは接しておらず、本体部10Jの内側に設けられ、底板13側の端辺が長手方向に沿って前板12に接着されている。前延板12eは、フラップ12fと概ね相似形状を呈しており、前板12に投影したときにフラップ12fに包含される大きさ及び位置で、2つ形成されている。前延板12eの輪郭を形成する切り込みは、両端が前板端辺19に到達している。このように形成されていることにより、前延板12eは、前板端辺19を回動軸線として回動可能に前板12に連接している。また、前延板12eの外側に存在する内接板16が前板12の裏側に接着されていることで、カートン110が嵌挿されていない状態では、前延板12eも内接板16と同一面に近づくように(前板12の裏側に近づくように)本体部10Jの内側に入り込んでいる。
脇延板15eは、ラップセット100(図1参照)の突起15pに代わって設けられている。脇延板15eは、脇板端辺15sに連接されており、突起15p(図1参照)よりも大きく、外側ではなく内側に折り曲げられることにより、開口面10hの内側に延びるように構成されている。脇延板15eは、脇板端辺15sの長さと概ね同じであるがやや短い幅を有しており、幅の両端が中央寄りも突き出た2コブ状に形成されている。脇延板15eの両端に形成されたコブの長さは、カートン110に収容されているラップロール91rの飛び出しを抑制することができる長さとするとよく、例えば前延板12eの最大高さと同程度の長さにすることができる。脇延板15eのコブに挟まれた中央部分の高さは、一対の脇板15のそれぞれに設けられている各脇延板15eの中央部分の間の距離が、ラップフィルム91fの幅以上になるような高さに形成されているとよい。ラップセット109の上記以外の構成は、ラップセット100(図1参照)と同じである。
ラップセット109では、カートン110を箱本体1Jの本体部10Jに嵌め込む際、前延板12e及び脇延板15eを、カートン110の軌跡を遮らないように、開口面10hの外側に折り曲げておく。そして、カートン110を本体部10Jに嵌め込んだ後、前延板12e及び脇延板15eを元のように開口面10hの内側に延びるように折り返す。すると、前延板12eは、開口隣接板111を底板13側に抑えるように開口隣接板111に載置される。脇延板15eは、前板12側のコブが開口隣接板111に載置されるようにして開口面10hの内側に延びている。このように、前延板12e及び脇延板15eがカートン110に掛かるので、ラップフィルム91fを使用しようとして引き出したときにラップロール91rと共にカートン110が箱本体1Jから飛び出てしまうことを抑制することができる。また、前延板12e及び脇延板15eが設けられた部分は、本体部10Jとカートン110との隙間が前延板12e又は脇延板15eで塞がれることになるので、ラップセット109の外観を向上させることができる。
なお、前延板12eは、大きさ及び/又は形状を適宜変更することができ、設けられる数も2つに限られず1つあるいは3つ以上としてもよい。脇延板15eは、大きさ及び/又は形状を適宜変更することができ、設けられる数も一方の脇板端辺15sについて2つ以上としてもよい。前延板12e及び脇延板15eは、両方同時に設けられていなくてもよく、一方を設けて他方を省略することとしてもよい。
前述した第1の変形例に係るラップセット103(図3参照)の説明では、開口形成面111Vを短辺方向で分割したうちの、補助板114側に引出開口111hが形成され、側面板112側に開口隣接板111が設けられているカートン130が箱本体1に嵌挿されていることとしたが、図10に示すように、引出開口111hと開口隣接板111との配置を入れ替え、側面板112側に引出開口111hが形成され、補助板114側に開口隣接板111が設けられたカートン130B(これは図1に示すカートン110と同じになる)が、開口形成面111Vが後板14に対向する向きで箱本体1に嵌挿されることとしてもよい。この場合、カートン130Bが箱本体1に嵌挿されると、引出開口111hが底板13側に、開口隣接板111が開口面10h側に、それぞれ位置することとなる。また、これと同様に、ラップセット100(図1参照)においても、カートン110の開口形成面111Vにおける引出開口111hと開口隣接板111との配置を入れ替えて、側面板112側に引出開口111hが形成され、補助板114側に開口隣接板111が設けられたカートンが、引出開口111hが開口面10hに現れる向きで箱本体1に嵌挿されることとしてもよい。この場合、引出開口111hが、開口形成面111Vからラップロール91rが飛び出さない程度の大きさに形成されることで、ラップロール91rの飛び出しを防ぐことができる。図5乃至図8に示す変形例においても同様である。
以上の説明では、閉塞部材としての閉塞板118(E)、138が、カートン110(E)、130に対して切取線118c、138cを介して接続されて一体的に設けられていることとしたが、閉塞部材を、カートン110(E)、130とは別体の例えば合成樹脂フィルム等の部材とし、引出開口111h(及び補助開口114)全体を覆うようにカートン110(E)、130に貼り付けることとしてもよい。このようにすると、引出開口111h(及び補助開口114)の外周全体を滑らかに形成することができると共に、閉塞部材をカートン110(E)、130から剥離しやすくなる。他方、閉塞部材をカートン110(E)、130に一体的に接続された構成とすると、単一の材料でカートン110(E)、130及び閉塞部材を同時に作ることができるため、製造が簡便になる。
以上の説明では、カートン100E(図7参照)以外のカートンにおいて、引出開口111hが形成された面以外の5つの面は、開口が形成されていない非開口面になっているとしたが、箱本体1の開口面10hに現れる面にラップロール91rの飛び出しを防ぐ板状の部材が存在すれば、カートンとしての体を成す限りにおいて、他の面にも適宜開口が形成されていてもよい。また、カートン100E(図7参照)においても、引出開口111hが形成された面及び補助開口114hが形成された面以外の面に、カートンとしての体を成す限りにおいて、適宜開口が形成されていてもよい。
以上の説明では、開口隣接板111の内側に沿うように副板117が設けられているとしたが、副板117が設けられていなくてもよい。しかしながら、副板117が設けられていると、境界辺111sまわりの強度の低下を抑制することができて好ましい。補助板114の内側に沿うように設けられた副板についても同様である。
以上の説明では、ラップフィルム91fがカートンの中から外に引き出される際に、カートンと開口との境界の辺においてラップフィルム91fが鋭角に折れ曲がることがない方向に巻かれた状態で、ラップロール91rがカートンに収容されているとしたが、ラップフィルム91fに損傷を与えないのであれば、境界の辺においてラップフィルム91fが鋭角に折れ曲がる方向に巻かれた状態で、ラップロール91rがカートンに収容されていてもよい。
以上の説明では、当初はカートン110を介さずに箱本体1に直接収容されていたラップ91を使い切った後、巻芯を取り出し、詰替ラップ191を箱本体1に嵌め込むことでラップセット100が構成されることとしたが、当初から詰替ラップ191が箱本体1に収容された状態で販売されることとしてもよい。換言すれば、ラップセット100の状態で流通することとしてもよい。このようにすると、カートン110を介さない場合に比べて箱本体1の強度を向上させることができる。他方、流通段階ではカートン110を介さず、消費者の下でラップセット100が構築されることとすると、カートン110を介さないラップロール91r入りの箱本体1の製造が簡便になる。ラップセット100以外の、各変形例に係るラップセットにおいても同様である。
以上の説明では、前板12にフラップ12fが形成され、ストッパー12sが主にフラップ12f上に形成されているとしたが、ラップフィルム91fの使用状況を勘案して、適宜、フラップ12f及び/又はストッパー12sを省略してもよい。
以上の説明では、箱本体1がコートボール紙で形成されているとしたが、合成樹脂、金属等で形成されていてもよい。しかしながら、カートン110が嵌合されることで箱本体1が補強されることとなるので、コートボール紙で形成されていても繰り返し使用に耐えうる強度を維持することが可能になる。そのため、ラップセット100は、箱本体1をコートボール紙で形成して、製造を簡便にしつつ経済性を向上させることができる。ラップセット100以外の、各変形例に係るラップセットにおいても同様である。