以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
まず図1を参照して、本発明の実施の形態に係る、巻回体収容箱としてのラップカートン1、及びラップカートン1に巻回体としてのラップロール91rが収容された巻回体入り収容箱としてのラップ入りカートン100を説明する。図1(A)は、ラップ入りカートン100の正面斜視図、図1(B)はラップカートン1の本体部10、押え板31、押え片33、固定片38を示す部分背面斜視図である。図1(A)は、開蓋状態を示している。図1(B)では、押え片33及び固定片38まわりの構成を示すために、押え板31の一部を切り欠いて示している。ラップロール91rは、薄膜状の長尺物としてのラップフィルム91fが円筒状の巻芯に軸線91aまわりに巻かれてロール状に形成されたものである。以下の説明において、ラップロール91rとラップフィルム91fとの外観形状の区別をしない場合は、「ラップ91」と総称する。ラップフィルム91fは、本実施の形態では、ポリ塩化ビニリデンを原料として厚さが5〜20μmに形成されている。ラップカートン1は、ラップロール91rを収容する本体部10と、本体部10に連接された蓋部20と、本体部10に収容されたラップロール91rの飛び出しを防ぐ押え板31と、押え片33と、固定片38とを備えている。
本体部10は、未使用のラップロール91rを収容できる大きさの直方体に対して、細長い面の1つが開口面10hとなっている箱である。開口面10hは、未使用のラップロール91rを出し入れできる開口が形成された直方体の面であり、本実施の形態では直方体の一面全体が開口となっている。本体部10の大きさは、収容した未使用のラップロール91rを軸線91a回りに回転させるのを妨げない隙間が形成される一方で、できるだけ小さく形成されており、本実施の形態では、長さ310mm、高さ44mm、奥行き44mmの大きさに形成されている。本体部10は、開口面10hと協働して直方体の側面を構成する前板12、底板13、後板14と、直方体の端面を構成する2つの脇板15とを有している。底板13は、開口面10hに対向している。前板12及び後板14は、開口面10h及び底板13に直交している。脇板15は、典型的には正方形に形成されているが、縦横の長さが異なる矩形であってもよい。以下の説明においては、水平な面に底板13が載置された状態を基準として、底板13側を下、開口面10h側を上として説明する場合もある。
脇板15の上端の中央部分には、本実施の形態では、3mm程度上方に延びた小片が外側に折り返されて形成された突起15pが設けられている。突起15pは、2つあるそれぞれの脇板15の上端に設けられている。また、本実施の形態では、前板12の上部の中央よりやや右側であって、蓋部20を閉じたときに後述する掩蓋片22に覆われる部分に、摘み片12fが形成されている。摘み片12fは、上下の辺が平行で、上方から下方にかけて幅が徐々に狭くなる台形状に形成されている。摘み片12fは、左右の辺及び下側の辺の合計3つの辺で前板12が切り込まれることにより形成されている。このように形成されていることで、摘み片12fは、上辺で前板12に接続されると共に、上辺を回転軸線として本体部10の外側に浮くことができるように構成されている。摘み片12fの隣には、指孔12hが形成されている。指孔12hは、摘み片12fが前板12に嵌り込んだときに摘み片12fの裏側にアクセスして摘み片12fを起こすことができるようにするために形成されている。このような趣旨から、指孔12hは、典型的には、人の指先を入れることができる大きさに形成されている。
蓋部20は、本体部10の開口面10hを塞ぐ部材である。蓋部20は、蓋板21と、掩蓋片22と、切断刃23と、側蓋片25とを有している。蓋板21は、開口面10hと略同じ大きさの矩形平板状部材であり、蓋板21を開口面10hに合わせることで本体部10を閉塞した直方体とすることができるようになっている。蓋板21が開口面10hと略同じ大きさとは、蓋板21が、掩蓋片22の厚さ及び側蓋片25の厚さの分大きく、蓋部20の開閉を妨げない隙間が形成される程度大きい場合を含むことを意味している。蓋板21は、本体部10の後板端辺18に接続されている。換言すれば、本体部10と蓋板21とは、後板端辺18を介して連接している。後板端辺18は、後板14と開口面10hとが交わる部分の後板14の端辺であり、本体部10にラップロール91rが収容されたときにラップロール91rの軸線91aが延びる方向(以下「軸線方向D」という。)に平行な辺である。蓋板21は、軸線方向Dの全体にわたって後板14に連接されており、後板端辺18を回転軸線として、本体部10に対して回動することができるように構成されている。
掩蓋片22は、折曲辺21fを介して蓋板21と直交し、蓋部20を閉じたときに底板13に向かって延びるように設けられている。掩蓋片22は、軸線方向Dの両端における高さ(長方形の前板12の短辺方向の距離)が、前板12の短辺方向の距離の約1/2で、軸線方向Dの中央部の高さが、前板12の短辺方向の距離の約3/4となっている。折曲辺21fに対向する先端辺22tは、軸線方向Dにおける中央からそれぞれの端部に移動するに連れて、軸線方向Dに直交する方向における折曲辺21fと先端辺22tとの距離が短くなるように形成されている。このような構成により、折曲辺21fに対向する先端辺22tがV字状に形成されることとなる。掩蓋片22は、蓋部20が閉じられたときに、前板12に沿って前板12の外側に重なり、前板12の上部を五角形状に覆うこととなる。掩蓋片22は、軸線方向Dの長さが前板12よりもわずかに長く構成されており、本体部10に収容されているラップ91の幅よりも長い。これにより、掩蓋片22は、本体部10の中から引き出されたラップフィルム91fを、その幅全体にわたって、前板12との間に挟むことができるように構成されている。掩蓋片22の先端辺22tには、ラップフィルム91fを切断するための切断刃23が取り付けられている。切断刃23は、刃先が先端辺22tから出るように、先端辺22tに沿ってV字状に設けられている。
側蓋片25は、蓋板21及び掩蓋片22の双方に直交して設けられている。側蓋片25は、蓋板21(掩蓋片22)の両端に合計2つ設けられている。側蓋片25は、基本形状が、長辺が蓋板21の短辺と同じ長さで、短辺が掩蓋片22の中央部における高さ(V字状の先端から折曲辺21fまでの最短距離)と略同じ長さの長方形に形成されている。側蓋片25は、掩蓋片22に連接された接合片22jに接着剤で固定されている。側蓋片25の内側には、接合片22jと蓋板21との間に、凹部25dが形成されている。凹部25dには、蓋部20を閉じたときに、脇板15の上端に設けられた突起15pが嵌ることとなる。上述のように構成された蓋部20は、閉じたときに、本体部10の開口10hに覆い被さり、掩蓋片22が前板12の上部を覆うようになっている。
押え板31は、本体部10に収容されたラップロール91rの飛び出しを防ぐための部材である。押え板31は、本体部10に収容されたラップロール91rからラップフィルム91fを引き出す隙間10sを少なくとも残して開口面10hを部分的に覆う平板状の部材である。隙間10sは、ラップフィルム91fの引き出しを妨げない大きさで、ラップフィルム91fが巻かれる巻芯の直径よりも細く形成されていることが好ましい。このように構成すると、ラップフィルム91fが使い終わる時点までラップロール91r(あるいは巻芯)の本体部10からの飛び出しを防ぐことができる。押え板31は、本体部10の前板端辺19に接続されている。換言すれば、本体部10と押え板31とは、前板端辺19を介して連接している。前板端辺19は、前板12と開口面10hとが交わる部分の前板12の端辺であり、軸線方向Dに平行な辺である。
押え板31は、本実施の形態では、ラップフィルム91fを引き出す隙間10sを押え板31と後板端辺18との間に形成するために、後板端辺18に接触しない程度の大きさに形成されて前板端辺19に連接されている。本実施の形態では、さらに、押え板31に窪み31dが形成されている。窪み31dは、後板14側の辺に形成されている。窪み31dは、押え板31の軸線方向Dの中央が最も深くなるように形成されている。窪み31dが形成されている部分においては隙間10sが広くなっている。押え板31は、引き出されたラップフィルム91fの巻き戻り防止の観点からは大きくするとよく、ラップカートン1の組み立てのしやすさの観点からはラップロール91rが飛び出さない範囲で小さくするとよいところ、窪み31dが形成されていないと仮定した場合の面積が、開口面10hの面積に対して、0.25〜0.95倍となる大きさとするのが好ましく、0.45〜0.75倍となる大きさとするのがより好ましく、本実施の形態では約0.65倍となる大きさに形成されている。
ここで図2を併せて参照して、ラップカートン1の構造並びに押え片33、固定片38の位置関係及び接続関係を説明する。図2は、ラップカートン1の展開図である。ラップカートン1は、本実施の形態では、約0.45〜0.7mm厚のコートボール紙が、図2に示す所定の型に打ち抜かれたものが折り曲げ加工されて形成されている。このため、ラップカートン1は、弾性を有している。なお、本実施の形態では、説明の便宜上、本体部10、蓋部20、押え板31等を機能の観点から区別しているが、本体部10、蓋部20、押え板31等は、1枚の原紙を切り出して組み立てられて一体に形成されている。本体部10、蓋部20、押え板31の表面は、消費者の購買意欲を惹起するようなデザインが印刷されたうえで、撥水加工等の表面処理が施されている。
図2に示すように、前板12には、軸線方向Dの両端に前付フラップとしての第2フラップ12jが連接されている。底板13には、軸線方向Dの両端に底付フラップとしての第3フラップ13jが連接されている。突起15pは、第3フラップ13jに形成されている。後板14には、軸線方向Dの両端に後付フラップとしての第1フラップ14jが連接されている。押え板31、前板12、底板13、後板14、蓋板21、掩蓋片22は、この順番で配列されて、押え板31以外は隣接する部材同士が軸線方向Dの全体にわたって連接されている。さらに、掩蓋片22の外側には、ミシン目29cを介して切取片29が連接されている。押え板31は、前板12に隣接する部分の軸線方向Dの両端が、1/4円弧状に切り欠かれている。この切り欠かれた1/4円弧は、前板端辺19の端点を中心とする円弧であって、その半径は、ラップカートン1を組み立てた状態(図1参照)で、固定片38を前板12の裏側に接着しなくても押え片33及び固定片38が反転しない(本体部10の外側に出ない)大きさにすることが好ましく、本実施の形態では、押え板31の最大幅31w(軸線方向Dに直交する方向の距離)の1/2の長さを半径としている。したがって、押え板31は、軸線方向Dの長さが、前板端辺19上で最も短く、軸線方向Dに直交する方向へ前板端辺19から離れるに連れて徐々に長くなり、1/4円弧が形成されていない部分では概ね前板12の長さと同じになっている。押え板31は、本実施の形態では、前板端辺19の長さの約0.92〜0.98倍の長さで前板端辺19に連接されている。押え板31が1/4円弧で切り欠かれた部分は、この1/4円弧を埋めるように主に固定片38が配設されている。また、第2フラップ12jの軸線方向Dに延びる辺の押え板31側に、押え片33が設けられている。
ここで図3を参照して、押え片33及び固定片38まわりの詳細を説明する。図3は、ラップカートン1の部分展開図である。押え片33は、第2フラップ12jの第2端辺19jに接続されている。換言すれば、第2フラップ12jと押え片33とは、第2端辺19jを介して連接している。第2端辺19jは、本実施の形態では、前板端辺19の延長線上に位置する第2フラップ12jの辺である。また、押え片33は、境界線37で固定片38と連接している。境界線37は、前板端辺19と第2端辺19jとの接続点を始点として、押え片33及び固定片38が存在する側に延びる直線である。押え片33と固定片38とが境界線37を介して接続されていることにより、押え片33と固定片38とは一体に構成されている。固定片38は、前板端辺19に連接しており、前板12と一体に構成されている。他方、押え板31は、押え片33及び固定片38に対してそれぞれ連接していない。なお、図3では、構造を分かりやすくするために、押え板31と押え片33及び固定片38との間に隙間が形成されるように誇張して示しているが、1枚の原紙を単に切断することで、押え板31が押え片33及び固定片38に対してそれぞれ連接しないようにすればよい。
押え片33は、第2端辺19jに連接した押え部34と、固定片38に連接した仲介部35とを有している。押え部34と仲介部35との境界には、直線状の補助線36が形成されている。補助線36は、押え片33の折れ曲がりを円滑にするものであり、前板端辺19と第2端辺19jとの接続点から延びている。つまり、補助線36と境界線37とは、始点が共通している。補助線36と第2端辺19jとのなす角αは、概ね15°〜50°が好適であり、20°〜40°とするのがより好ましく、30°〜35°とするのがさらに好ましい。補助線36は、切れ線、ミシン目、半切れ線、罫線等によって形成することができる。切れ線は、補助線36の両端の外側で押え部34と仲介部35とが接続されるように切断された線であり、押え片33の表裏が貫通している。ミシン目は、点線状に切断された線である。半切れ線は、切れ線と同様の線であるが、押え片33の裏側まで貫通しないように表面に切り込みの筋を入れたものである。罫線は、押え片33に切断線を入れずに凹凸をつけて折れ曲がりやすくしたものである。押え部34の幅34wは、ラップカートン1を組み立てたときに、押え板31を適切に押さえることができるようにする観点から、少なくともラップカートン1を構成するコートボール紙の厚さよりも大きく、3mm以上が好ましく、押え板31をたわませて押え片33から外すことができるようにする観点から10mm以下が好ましい。
固定片38は、本実施の形態では、境界線37と同じ長さで前板端辺19に連接しているが、前板端辺19との連接部及び境界線37以外の輪郭が円弧以外の弧状又は直線状に形成されることとして、前板端辺19との連接部と境界線37とが同じ長さでなくてもよい。固定片38と前板端辺19との連接部も、上述の境界線37と同様、ラップカートン1を組み立てた状態(図1参照)で、固定片38を前板12の裏側に接着しなくても押え片33及び固定片38が反転しない大きさにすることが好ましい。前板端辺19と境界線37とのなす角βは、ラップカートン1を組み立てたときに、脇板15に対する押え部34の角度が、押え部34が押え板31を適切に押さえることができる角度(典型的には90°)となるように、押え部34の幅34w(あるいは角度α)を考慮して決定するとよい。角度βは、ラップカートン1を組み立てた状態(図1参照)で、脇板15に対する押え部34の角度が適切な状態を保ちつつ、固定片38が前板12の裏側に接触した状態のときに最も鋭角となる。角度βは、典型的には、この最鋭角と直角との間で決定され、本実施の形態では、概ね80°〜85°としている。
図2に示す展開図から図1に示すラップカートン1に組み立てられる際、押え板31、前板12、底板13、後板14は、軸線方向Dに延びる折曲線で折り曲げられ、第1フラップ14j、第2フラップ12j、第3フラップ13jは、それぞれ、軸線方向Dに直交する方向に延びる折曲線で折り曲げられる。そして、第1フラップ14jの外側に第2フラップ12jが重ねられて接着され、これらのさらに外側に第3フラップ13jが重ねられて接着されることで、押え板31が連接された直方体状の本体部10に形成されている。脇板15は、第1フラップ14j、第2フラップ12j及び第3フラップ13jが重ね合わせられることで構成されている。また、固定片38が前板12に近づくように本体部10の内側に折り曲げられ、固定片38と仲介部35との境界線37が谷折りにされ、かつ、押え片33が補助線36で山折りにされることで、押え部34が、対向する脇板15に向けて突き出ている。このとき、固定片38と仲介部35とに相互に圧縮力が作用することとなって、固定片38及び仲介部35が安定する結果、押え部34も本体部10に対して位置が決まることとなる。つまり、押え片33は、固定片38と協働して、本体部10に固定されることとなる。押え部34は、本実施の形態では、開口面10h上に位置している。このとき、固定片38は、本実施の形態では、角度β(図3参照)が概ね80°〜85°に形成されているため、前板12の裏面に接触せずに浮いているが、ラップロール91の回転に支障のない程度の浮きになっている。押え板31は、押え部34よりも本体部10の内側(ラップロール91rに近い側)に配置されている。このような配置により、押え板31が前板端辺19を回転軸線として本体部10の外側に開くように回動しようとしたときに、押え板31の軸線方向D両端が押え部34に止められて、押え板31が外側へ開くことが防止される。なお、固定片38は、仲介部35から受ける力によって前板12側に押し付けられるため、前板12に接着されていなくても押え片33を安定させることができるが、前板12の裏面に接するように角度β(図3参照)を決定したうえで前板12に面で接着することで本体部10により強固に固定されることとしてもよい。
他方、蓋板21には、図2に示すように、軸線方向Dの両端に側蓋片25が連接されている。掩蓋片22には、軸線方向Dの両端に接合片22jが連接されている。後板14、蓋板21、掩蓋片22は、軸線方向に延びる折曲線で折り曲げられ、側蓋片25及び接合片22jは、それぞれ、軸線方向Dに直交する方向に延びる折曲線で折り曲げられ、前述のように接合片22jの外側に側蓋片25が重ねられて接着されることで、立体的な蓋部20が形成されている。
ラップカートン1の製造場所と、ラップ入りカートン100の製造場所とが異なる場合、典型的には、ラップカートン1は、図2に示す展開図で見て、押え板31及び固定片38と前板12との間(前板端辺19)、底板13と後板14との間、及び蓋板21と掩蓋片22との間でそれぞれ折り曲げ、掩蓋片22及び切取片29を前板12の上に重ねたうえで切取片29を前板12に複数の点で接着した扁平に折り畳まれた状態で、ラップ入りカートン100の製造場所へ搬送される。折り畳まれた状態のラップカートン1は、第1フラップ14j、第2フラップ12j、第3フラップ13j、側蓋片25及び接合片22jが軸線方向Dに直交する折曲線で折り曲げられておらず、したがってこれらが接合されていない状態になっている。折り畳まれた状態のラップカートン1は、ラップカートン1から第1フラップ14j、第2フラップ12j、第3フラップ13j、側蓋片25及び接合片22jを剥離させて扁平にしたものであるが、製造効率向上のため、一旦組み立てることをせず、折り畳まれた状態となるように製造されるのが一般的である。この場合でも、折り畳まれたラップカートン1は、本来、組み立てられた状態で存在意義を発揮するものであるから、ラップカートン1の一形態と見ることができる。
折り畳まれたラップカートン1は、ラップ入りカートン100の製造場所において、まず、両端が開口した四角筒状にされ、一方の端面からラップロール91rが挿入されてから、第1フラップ14j、第2フラップ12j、第3フラップ13j、接合片22j、側蓋片25の順に折り曲げられ、第2フラップ12jが第1フラップ14j及び第3フラップ13jと接着され、接合片22jと側蓋片25とが接着されることで、ラップ入りカートン100となる。本実施の形態に係るラップカートン1は、従来のような、押え板31の回動を抑制するために押え板31を軸線方向Dに延ばして脇板15の外側から本体部10に係止する構造ではないので、押え板31を有さないラップカートンを組み立てる際のカートニングマシン(カートン組み立て機)を使用することができ、設備投資を抑制しながら大量生産することが可能となる。なお、ラップカートン1が折り畳まれた状態のときに、押え板31と蓋板21とが接着されていると、ラップ入りカートン100の製造場所で、両端が開口した四角筒状にされたときに、ラップロール91rが挿入される空間を押え板31が遮ることがないので好適である。このような趣旨から、押え板31と蓋板21とは、折り畳まれた状態のラップカートン1を両端が開口した四角筒状にしたときに剥離せず、ラップ入りカートン100の状態で切取片29を取り除いて初めて蓋部20を開けたときに容易に剥離する強度で接着されているとよい。また、ラップカートン1が折り畳まれた状態のときに、固定片38と蓋板21とが接着されないようにすることで、両端が開口した四角筒状にされたときでも固定片38は前板12に近接して残り、脇板15が形成されたときに押え片33を支えることができる。
引き続き図1乃至図3を参照して、ラップ入りカートン100の作用を説明する。ラップカートン1の作用は、ラップ入りカートン100の作用の一環として説明する。未開封のラップ入りカートン100は、掩蓋片22の先端に、先端辺22t上のミシン目29c(図2参照)を介して切取片29(図2参照)が接続されており、切取片29は前板12に複数の点で接着されている。消費者の手に渡ったラップ入りカートン100の、ラップフィルム91fを初めて使用する際は、切取片29を、前板12から剥がしつつミシン目29cで切断して掩蓋片22から分離する。このようにラップカートン1を開封することで、蓋部20が本体部10に対して後板端辺18まわりに回動可能な状態となる。
開封されたラップ入りカートン100は、当初は、押え板31が押え片33の上(外側)にある。この状態で、押え板31を、前板端辺19を回転軸線として外側に開くと、本体部10の中にラップロール91rが入っている。ラップロール91rには、ラップフィルム91fの先端に引出シール(不図示)が貼り付けられており、引出シール(不図示)を摘んで引き出すことでラップフィルム91fの先端がラップロール91rから剥離し、容易にラップフィルム91fを引き出すことができる。ラップフィルム91fを引き出したら、押え板31を前板端辺19回りに回動させて閉じ、押え板31を押え片33の下に入れる。このとき、ラップカートン1を構成するコートボール紙が弾性を有すると共に、押え板31の前板端辺19に隣接した軸線方向D両端の部分が1/4円弧状に切り欠かれているので、押え板31の軸線方向D両端を相互に近づけるようにして押え板31をしなやかに曲げると、押え板31を押え片33の下に潜らせやすくなる。このようにして、押え板31が、押え片33よりも本体部10の内側に位置するようになると、押え板31に外側へ開かせる力が作用しても、押え片33によって止められ、押え板31が外側に開くことを防ぐことができる。なお、本実施の形態では、押え板31に窪み31dが形成されているので、初めから押え板31が押え片33よりも本体部10の内側に位置するように構成されていても、窪み31dに隣接する隙間10sから引出シール(不図示)を摘んでラップフィルム91fを引き出すことができる。
ラップフィルム91fを使用する際は、蓋部20を開けると、摘み片12fが本体部10の外側に浮いているので、ラップフィルム91fの先端も摘み片12fの外側の前板12から浮くこととなり、摘みやすい。ラップフィルム91fの先端を摘んだら、ラップロール91rからラップフィルム91fを必要な長さ分引き出して切断刃23で切断する。このとき、ラップフィルム91fが自己密着性を有するため、ラップフィルム91fが引き出されるのに随伴してラップロール91rが本体部10から飛び出そうとする。しかし、ラップカートン1は、押え板31を有するので、ラップロール91rが飛び出そうとしても押え板31が飛び出しを防ぐことができる。その押え板31は、脇板15に接続された押え片33によって外側に開かないように押さえられているため、押え板31ごとラップロール91rが飛び出すことを防ぐことができる。さらに、押え片33は、固定片38と協働して本体部10に固定されているため、押え板31を適切に押さえることができる。引き出されたラップフィルム91fを切断する際は、ラップフィルム91fを必要な長さ分引き出した状態で蓋部20を閉じ、ラップフィルム91fを前板12と掩蓋片22とで挟み、掩蓋片22の図心を親指で押さえ、切断刃23の中央を引き出されたラップフィルム91fに食い込ませるようにラップ入りカートン100を軸線91aまわりにひねると、ラッピングする食器等にラップフィルム91fを付けた状態でも切断しやすく、好適である。
使用する分のラップフィルム91fが切断された後、ラップロール91rにつながっているラップフィルム91fの先端は、通常は前板12と掩蓋片22との間に残ることになるが、仮に開口面10hの方向に入り込むような状況になっても、押え板31を備えるラップカートン1では押え板31に載置される状態になるので、巻き戻ってラップロール91rに付着してしまうことを回避することができる。また、ラップフィルム91fを切断刃23で切断する際に、仮に、蓋部20が半開きの状態で切断してしまっても、ラップロール91rにつながっている切断された後のラップフィルム91fの先端は、押え板31上に残り、ラップロール91rに付着してしまうことを回避することができる。なお、切断後のラップフィルム91f先端のラップロール91rへの巻き戻りを防ぐために、蓋部20を閉じたときに掩蓋片22で覆われる部分の前板12の一部又は全部若しくは摘み片12f上に、あるいは押え板31の蓋板21に対向する面の前板12寄りに、ラップフィルム91fが付着する係止手段を、ニスの塗布やラベルの貼付等によって、設けることとしてもよい。
以上で説明したように、本実施の形態に係るラップ入りカートン100によれば、ラップカートン1の構成が、押え板31の軸線方向D両端が押え片33で押さえられ、押え片33は固定片38と協働して本体部10に対して動かないように構成されている(固定されている)ので、比較的単純な構成で、ラップフィルム91fが引き出されたことに伴ってラップロール91rが本体部10から飛び出てしまうことを適切に防ぐことができる。
以上の説明では、切断刃23が先端辺22tに沿ってV字状に形成されているとしたが、直線状に形成されていてもよい。切断刃が直線状に形成されている場合は、一般に、ラップフィルム91fの幅の一端から他端に向けてラップフィルム91fが切断されることとなる。
以上の説明では、本体部10が直方体状に形成されているとしたが、例えば、底板13がラップロール91rの外形に沿って湾曲していたり、前板12と後板14とが接続された軸線方向Dに直交する断面が三角形に形成されたりして、直方体状以外の形状に形成されていてもよい。
以上の説明では、前板12に摘み片12f及び指孔12hが形成されていることとしたが、摘み片12f及び指孔12hは形成されていなくてもよい。
以上の説明では、押え板31の後板14側の辺に窪み31dが形成されているとしたが、押え板31の後板14側の辺が直線状に形成されていてもよく、この場合は後板端辺18(又は前板端辺19)に平行に形成されているとよい。あるいは、押え板31は、開口面10hと同程度の大きさ(後板端辺18に接触してもよい)に形成されたうえで、押え板31の内部にラップフィルム91fを引き出す隙間10sが形成された構成であってもよい。
以上の説明では、押え片33が第2フラップ12jと一体に構成されることで脇板15に接続され、固定片38が前板12と一体に構成されることで本体部10に接続されることとしたが、相互に一体に構成された押え片33及び固定片38が、本体部10とは別体に(分離して)構成されることとして、押え片33が脇板15に接着され又は脇板15に形成された孔に差し込まれることにより脇板15へ接続され、固定片38が本体部10に接着されることにより本体部10へ接続されていてもよい。また、固定片38は、以下に示すように、前板12以外の本体部10に接続されるように構成されていてもよい。
図4は、本発明の実施の形態の変形例に係るラップカートンの部分斜視図であり、第2フラップ12j及び押え片回りを示し、その他の部分は省略している。図4(A)に示す第1の変形例では、第2フラップ12jが第2端辺19jよりも延長され、第2端辺19jで山折りされた後、第2フラップ12jとは反対側でさらに山折り及び谷折りされることで、押え部134、仲介部135、固定片138が形成されている。第2フラップ12j、押え部134、仲介部135、固定片138は一体に構成されている。押え部134と仲介部135とで、押え片133を構成している。第2端辺19jにおける山折りにより、押え部134は本体部10の内側の方向に水平に延びている。第2端辺19jの次の山折りが補助線136となっている。固定片138は、脇板15(図1及び図2参照)の一部を構成する第2フラップ12jと面で接着されることにより、脇板15(本体部10)に接続されている。固定片138と仲介部135との境界は、第2端辺19jから適度に離れており、これにより、押え部134が第2端辺19j回りに回動することを防いでいる。押え部134と仲介部135とのなす角は、押え部134の回動を回避しつつ、押え部134が押え板31(図1参照)を適切に押さえることができるようにする観点から、10°〜30°が好ましく、15°程度がより好ましい。
図4(B)に示す第2の変形例では、第2フラップ12jが第2端辺19jよりも延長され、延長した部分の内部に、陸上競技のトラック状(平行な2本の直線とそれらをつなぐ2つの半円弧からなる形状)の切り込み233cが形成されている。切り込み233cは、陸上競技のトラックの一方の直線部分を残し(切り込まれず)、他方の直線部分及びその両端につながる半円弧状の部分で形成されている。切り込み233cは、第2フラップ12jとは反対側に形成され、切り込まれない直線部分は第2端辺19j上に配置されている。切り込み233cの長さは、本変形例では、第2端辺19jの長さの概ね2/3〜3/4程度となっており、切り込み233cの外側は第2フラップ12jと連続している。この、切り込み233cの外側の第2フラップ12jと連続した部分を山折りすることで、切り込み233cの内部が押え片233として本体部10の内側の方向に水平に延び、切り込み233cの外部が固定片238として脇板15の一部を構成する第2フラップ12jに面で接着されることで脇板15(本体部10)に接続されている。
図4(C)に示す第3の変形例では、ラップカートン1(図1参照)の押え部34の幅34w(図3参照)に相当する分だけ、第2フラップ12jが第2端辺19jよりも延長され、延長された部分が第2端辺19jの両端で第2端辺19jに沿って切り込まれている。そして、切り込まれた部分の端部から、第2端辺19jに対して角度をもって、1つの端部あたり2本の折曲線が形成されている。この2本の折曲線のうち、内側の折曲線が補助線336として山折りされ、外側の折曲線が境界線337として谷折りされる。両方の端部からそれぞれ延びた補助線336に挟まれた部分が押え部334となり、補助線336と境界線337とに挟まれた部分が仲介部335となり、境界線337よりも外側が固定片338となる。押え部334と仲介部335とで、押え片333を構成している。固定片338は、脇板15の一部を構成する第2フラップ12jに面で接着されることで脇板15(本体部10)に接続されている。
本明細書中で引用する刊行物、特許出願及び特許を含むすべての文献を、各文献を個々に具体的に示し、参照して組み込むのと、また、その内容のすべてをここで述べるのと同じ限度で、ここで参照して組み込む。
本発明の説明に関連して(特に以下の請求項に関連して)用いられる名詞及び同様な指示語の使用は、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、単数及び複数の両方に及ぶものと解釈される。語句「備える」、「有する」、「含む」及び「包含する」は、特に断りのない限り、オープンエンドターム(すなわち「〜を含むが限らない」という意味)として解釈される。本明細書中の数値範囲の具陳は、本明細書中で特に指摘しない限り、単にその範囲内に該当する各値を個々に言及するための略記法としての役割を果たすことだけを意図しており、各値は、本明細書中で個々に列挙されたかのように、明細書に組み込まれる。本明細書中で説明されるすべての方法は、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、あらゆる適切な順番で行うことができる。本明細書中で使用するあらゆる例又は例示的な言い回し(例えば「など」)は、特に主張しない限り、単に本発明をよりよく説明することだけを意図し、本発明の範囲に対する制限を設けるものではない。明細書中のいかなる言い回しも、請求項に記載されていない要素を、本発明の実施に不可欠であるものとして示すものとは解釈されないものとする。
本明細書中では、本発明を実施するため本発明者が知っている最良の形態を含め、本発明の好ましい実施の形態について説明している。当業者にとっては、上記説明を読めば、これらの好ましい実施の形態の変形が明らかとなろう。本発明者は、熟練者が適宜このような変形を適用することを期待しており、本明細書中で具体的に説明される以外の方法で本発明が実施されることを予定している。したがって本発明は、準拠法で許されているように、本明細書に添付された請求項に記載の内容の修正及び均等物をすべて含む。さらに、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、すべての変形における上記要素のいずれの組合せも本発明に包含される。