本発明は、型開された下型に対して材料供給装置から溶融材料を供給し、その後に下型と上型を閉鎖して前記溶融材料を圧縮する圧縮成形装置および圧縮成形方法に関するものである。
樹脂等の溶融材料を型内で圧縮して成形する方法としては、型閉されたキャビティ内に溶融材料を射出装置から射出し、更に圧縮する射出圧縮成形方法が知られている。しかし前記射出圧縮成形方法は、射出時に溶融材料に高圧が掛かり繊維材料等が損傷を受ける場合があるという問題や溶融材料の流動性が悪い場合に射出時に充填が困難な場合があるという問題があり、型を開いた状態で溶融材料を下型のキャビティ面に供給後に上型と下型を閉鎖して圧縮を行う圧縮成形方法も知られている。後者の圧縮成形の場合、ポットから比較的硬めで原型を留めた溶融材料が型内に供給されるトランスファ成形とも呼ばれる圧縮成形と、射出装置または押出装置から流動状態の溶融材料が型内に供給されるスタンピング成形とも呼ばれる圧縮成形がある。
前記のスタンピング成形の場合は、材料供給装置から下型のキャビティ面に最適なバランスで溶融材料を供給する必要がある。しかしながら前記キャビティ面の形状が不定形であって突出した部分がある場合や面積が広い場合などは、ノズルが前後方向に移動するだけの供給装置では、必要な個所に最適なバランスで溶融材料を供給できない場合がある。
このような問題を解決するために特許文献1、特許文献2に記載されたものが知られている。特許文献1、特許文献2では、材料供給装置のノズルの先端の供給孔の長さ方向の寸法は、キャビティの幅に対応した長さではなくてもっと短くなっている。そしてノズルがX軸方向およびY軸方向に水平面上を移動できるため、下型のキャビティ面の所望の位置に溶融材料を供給することができる。しかしながら特許文献1では、重量の大きい材料供給装置を前後左右に移動させるための移動装置は、複雑かつ大掛かりになるという問題があった。また特許文献2のように材料供給装置のプランジャの部分だけをX軸方向およびY軸方向に移動させることも考えられるが、それでも装置が複雑かつ大掛かりになり、操業停止時のメンテナンス(プランジャやノズル内の樹脂交換等)もより一層面倒なものになるという問題があった。
また材料供給装置から下型への溶融材料の供給位置については、特許文献3のように、プレス装置の外部に下型を移動させた上で、前記下型に材料供給装置から溶融材料を供給することも行われている。しかしながら特許文献3については、下型を移動させて材料供給装置から溶融材料を供給する位置を変えただけであり、上記の下型のキャビティ面の最適な位置に溶融材料を供給するという点については何ら解決策が示されていない。
実開昭61−47609号公報(実用新案登録請求の範囲、第1図)
特開昭56−129151号公報(請求項9、図4)
特開昭60−132743号公報(請求項1、図)
上記のように、特許文献1、特許文献2では、下型のキャビティ面の最適な位置に溶融材料を供給するために、材料供給装置の構造が大掛かりになりすぎるという問題があった。また特許文献3は、プレス装置の型開間隔を狭めることが出来る場合があるが、下型のキャビティ面の最適な位置に溶融材料を供給する上で、最適な機構とは言えないものであった。
そこで本発明の圧縮成形装置および圧縮成形方法は、型開された下型に対して材料供給装置から溶融材料を供給し、その後に下型と上型を閉鎖して前記溶融材料を圧縮する圧縮成形装置において、材料供給装置の構造を複雑化させることなく、下型の所望の位置に溶融材料を供給することができる圧縮成形装置および圧縮成形方法を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に記載の圧縮成形装置は、型開された下型に対して材料供給装置から溶融材料を供給し、その後に下型と上型を閉鎖して前記溶融材料を圧縮する圧縮成形装置において、プレス装置の加圧位置を含み一側および他側方向へ移動可能な下型と、前記下型の移動方向と交差方向に移動可能な材料供給装置とを備えたことを特徴とする。
本発明の請求項2に記載の圧縮成形装置は、型開された下型に対して材料供給装置から溶融材料を供給し、その後に下型と上型を閉鎖して前記溶融材料を圧縮する圧縮成形装置において、プレス装置の加圧位置を含み該加圧位置とプレス装置の外部との間で移動可能な下型と、前記下型の移動方向と交差方向に移動可能な材料供給装置とを備えたことを特徴とする。
本発明の請求項3に記載の圧縮成形装置は、型開された下型に対して材料供給装置から溶融材料を供給し、その後に下型と上型を閉鎖して前記溶融材料を圧縮する圧縮成形装置において、プレス装置の加圧位置を含み一側および他側方向へ移動可能であって、かつ前記下型の移動方向と交差方向にも移動可能な下型と、プレス装置の外部の下型の上方に移動可能な材料供給装置とを備えたことを特徴とする。
本発明の請求項4に記載の圧縮成形方法は、型開された下型に対して材料供給装置から溶融材料を供給し、その後に下型と上型を閉鎖して前記溶融材料を圧縮する圧縮成形装置において、プレス装置の加圧位置を含み一側および他側方向へ移動可能な下型と、前記下型の移動方向と交差方向に移動可能な材料供給装置とを備え、前記一側および他側方向への下型の移動と、前記下型の移動方向と交差方向への材料供給装置の移動を同時または交互に実行して溶融材料を供給し、前記下型をプレス装置の加圧位置に固定し、プレス装置の上型を下降させて、溶融材料を圧縮することを特徴とする。
本発明の請求項5に記載の圧縮成形方法は、請求項4において、前記材料供給装置から供給される溶融材料は、炭素繊維と樹脂の混合材料であることを特徴とする。
本発明の圧縮成形方法および圧縮成形装置は、型開された下型に対して材料供給装置から溶融材料を供給し、その後に下型と上型を閉鎖して前記溶融材料を圧縮する圧縮成形装置において、プレス装置の加圧位置を含み一側および他側方向へ移動可能な下型と、前記下型の移動方向と交差方向に移動可能な材料供給装置とを備えているので、材料供給装置の構造を複雑化させることなく、下型の所望の位置に溶融材料を供給することができる。
本実施形態の圧縮成形装置の平面図である。
平面図において矢印A方向から見た正面図である。
平面図において矢印B方向から見た側面図である。
別の実施形態の圧縮成形装置の要部を拡大した平面図である。
図1ないし図3により本実施形態の圧縮成形装置11について説明する。本実施形態の圧縮成形装置11は、炭素繊維を含有する樹脂が溶融された溶融材料Mを上型12と下型13の間で圧縮するプレス装置14と、前記溶融材料Mの材料供給装置15,16が設けられている。そしてプレス装置14と第1の材料供給装置15による供給位置a1の間には下型13の移動装置17が設けられている。
プレス装置14について説明すると、図2および図3に示されるように、下盤である固定盤18の四隅近傍には4本のタイバ19が立設されており、タイバ19の上部は、上盤である受圧盤20の四隅近傍に固定されている。また固定盤18と受圧盤20の間には、可動盤21がタイバ19に挿通されて上下方向に移動可能となっている。受圧盤20には型締機構である型締シリンダ22が設けられ、型締シリンダ22のラム23は可動盤21の背面に固定されている。また受圧盤20と可動盤21の間には型開閉機構である型開閉シリンダ24が設けられている。また可動盤21にはハーフナット25が取付けられ、タイバ19に形成された図示しない係合溝に係合可能となっている。なお型締シリンダ22および型開閉シリンダ24は電動機構を用いたものでもよく、例えばトグル機構により圧縮成形を行うプレス装置であってもよい。
プレス装置14の可動盤21の下面には上型12が取付け可能となっている。また固定盤18の上面の加圧位置a2には下型13が固定可能となっている。プレス装置14の下型13は、下型取付板26に取付けられ、プレス装置14の内部の加圧位置a2を含み加圧位置a2とプレス装置14の外部の供給位置a1の間で、図1における一側および他側方向であるX軸方向に移動可能なものである。そして固定盤18の一側(図1において左側)には、下型13の移動装置17が連結・固定されている。前記下型13の移動装置17の上面は、固定盤18の上面と同じ高さとなっており、下型13を移動させるための2本のガイドレール27が両方の上面に亘って設けられている。そして前記ガイドレール27に沿って下型取付板26が移動されるようになっている。図示はしないが、下型取付板26の下面側は、バネを介して転動ボールまたは車軸と車輪が設けられており、下型取付板26が下型13をプレス装置14の内部の加圧位置a2とプレス装置14の外部の供給位置a1の間で移動する場合は、固定盤18の上面や移動装置17の上面から下型取付板26の下面が浮き上がるようになっている。また固定盤18の加圧位置a2で上型12と下型13が型閉され圧縮成形がなされる際は、前記バネが収縮されて、固定盤18の上面と下型取付板26の下面が密着するようになっている。
下型13の移動装置17の駆動源はサーボモータ28であって、移動装置17の供給位置a1側の側面にサーボモータ28が固定されている。そして前記ガイドレール27と平行にボールネジ29が設けられ、ボールネジ29の一方はベアリングを介して移動装置17の上面に回転自在に固定され、他方はべリングを介して固定盤18の上面に回転自在に固定されている。また前記ベアリングよりも更に一方寄りのボールネジ29の端部近傍には従動プーリ30が固定され、サーボモータ28の駆動プーリ31との間に駆動力伝達用のタイミングベルト32が掛け渡されている。更に前記下型取付板26の側面にはボールネジナット33が固定され、ボールネジナット33には前記ボールネジ29が挿通されている。そしてサーボモータ28が駆動されると、ボールネジ29が回転され、ボールネジナット33と下型取付板26と下型13が一側および他側方向のX軸方向に直線運動されるようになっている。なお下型13の移動装置17のボールネジナット33は、下型取付板26の裏面に取付けてもよく、構造についてはこれに限定されない。
プレス装置14に取付けられて使用される金型13,14について説明すると、下型13は供給した溶融材料Mがこぼれないように凹型(キャビ型)にすることが望ましく、上型12は凸型(コア型)にすることが望ましい。また下型13は溶融材料Mを供給してから移動するので、その間に溶融材料Mの固化が進行しないように、加熱機構を有することが望ましい。加熱機構としてはヒータや、金型内に供給される媒体を加熱媒体と冷却媒体に切換えられる機構が用いられる。また下型13の移動装置17の上方に供給した溶融材料Mの固化が進行しないように赤外線照射やヒータなどの熱源を設けてもよい。そして下型13に加熱機構が設けられる場合は、成形品の反りの発生の問題から、上型12にも加熱機構が設けられることが望ましい。図示しない突出装置は上下いずれかの金型に設けられる。なお本実施形態では1個の下型13に1個のキャビティ形成面34が形成された例について説明したが、上型12、下型13、キャビティ形成面34等の個数は複数であってもよく限定されない。
次に主に図1および図3により第1の材料供給装置15について説明する。第1の材料供給装置15は、移動装置35により、下型13の移動装置17および移動方向と略水平面上において交差方向に移動可能となっている。本実施形態において第1の材料供給装置15は、下型13の移動方向であるX軸方向に直交するY軸方向に移動される。しかし発明としては直交方向に移動されるものに限定されず、下型13の移動方向Xに対して交差方向に移動する第1の材料供給装置15の移動方向の角度は、45度以上の角度であることが望ましく、更には60度以上がより一層望ましい。そして直交する90度が最も望ましい。また図1等のように下型13を一側および他側方向へ移動させるものとは異なるが、下型が加圧位置からロータリテーブル等により1点を中心として円弧方向にプレス装置の外部に移動される場合は、その円弧の移動軌跡に対して中心からの放射方向の線に沿って第1の材料供給装置を移動させることが望ましく、その場合も交差方向に移動に該当する。そして前記放射方向の線に対して45度以内に第1の材料供給装置が移動する場合も望ましい例に含まれる。
図3に示されるように第1の材料供給装置15の移動装置35は、ベースまたは床面上に2本のガイドレール36が設けられ、ガイドレール36上を第1の材料供給装置15の基台37が移動可能となっている。またベースまたは床面上には、ボールネジ38が回転可能に配置され、基台37に固定されたボールネジナット50が前記ボールネジ38に挿通されている。またボールネジ38の端部近傍には従動プーリ39が固定され、サーボモータ40の駆動プーリ41との間にはタイミングベルト42が掛け渡されている。従ってサーボモータ40の駆動により、第1の材料供給装置15の基台37と図示しないボールネジナットとが直線運動されるようになっている。なお移動装置35は、基台37と移動装置17の側面の間に取り付けてもよく、構造については限定されない。
第1の材料供給装置15の基台37上に載置されているのは、射出成形機の射出装置と略同じ機能を有する可塑機能と射出機能を有する装置である。基台37上に固定的に立設された前プレート43にはヒータが取付けられた加熱筒44が挿通されている。また前プレート43には垂直方向に成形材料の供給口45が設けられ、供給口45の下方は加熱筒44の孔を通じて加熱筒内部に連通している。また供給口45の上方には、フィードスクリュを有する成形材料フィード装置46が接続されている。加熱筒44の先端にはヒータが取付けられたノズル47が取付けられている。本実施形態のノズル47の先端には、供給孔48が下方を向けられたダイ49が取付けられている。ダイ49の供給孔48は所定の幅と長さを有している。そしてノズル47の先端に取付られるダイ49の部分は、下型13のキャビティ面34の形状や面積に応じて最適なものに交換可能となっている。またダイ49は、溶融材料Mの流動性や溶融材料Mに含まれる炭素繊維等の切れ等の問題から、成形材料によっても異なるダイ49に交換される。ノズル47の先端のダイ49またはその手前のノズル47の部分には、流路を開閉するバルブ(図示せず)が設けられることが多い。
前プレート43の後方には所定の距離を隔てて前プレートと平行に後プレート51が設けられている。前プレート51の前面側の加熱筒44の両側には、それぞれ射出用のサーボモータ52が設けられ、後プレート51の両側にもそれぞれボールネジナット53が設けられている。そして前記サーボモータ52の駆動軸に直結されるボールネジ54が前記ボールネジナット53に挿通されている。また加熱筒44の内部には逆流防止弁が取付けられた射出成形用として一般的なスクリュ(図示せず)が配置されて、スクリュの軸の後端は、スリーブやカップリング等を介して後プレート51の後面に固定された計量用のサーボモータ55の駆動軸に固定されている。
従って加熱筒内のスクリュは、前記計量用のサーボモータ55の駆動により回転され、射出用のサーボモータ52の駆動により、前後進されるようになっている。なお第1の材料供給装置15の構造は前記したものに限定されず、3枚のプレートを有するものでもよく、射出用のサーボモータは1個でもよい。また射出用や計量用の駆動源は油圧を用いたものでもよい。更には溶融材料Mをプランジャで押出す材料供給装置や、加熱筒内のスクリュが回転のみして溶融材料を押出す押出式の材料供給装置を第1の材料供給装置として用いてもよい。
また本実施形態ではプレス装置14の他側(図1において右側)には第2の材料供給装置16が配置されている。第2の材料供給装置16の構造については、第1の材料供給装置15と類似するので、相違点のみを記載する。第2の材料供給装置16の前後進装置は、基台56にシフトシリンダ57のシリンダ筒57aが固定され、固定盤18の側面にシフトシリンダ57のロッド57bが固定されている。そして第2の材料供給装置16を射出装置として用いる際には金型へノズルを当接させるノズルタッチ力を発生させる。またノズルについては、種々のノズルが取付けられる点は第1の材料供給装置15と同じであるが、図示のものは、一般的な射出成形用のノズル58が取付けられている。従って本実施形態では、第2の材料供給装置16は、射出成形用のものであって、圧縮成形装置11は、プレス装置14の金型を取り替えることにより、射出成形と、型開された下型13上に溶融材料Mを供給してから型閉する圧縮成形(スタンピング成形)の両方を実施することができるようになっている。
また圧縮成形装置11の別の使用方法としては、炭素繊維等の繊維が多くて流動性が悪く、繊維の切断の問題のある材料を第1の材料供給装置15から型開された下型13上に直接供給し、その後に下型13と上型12を閉鎖してプレス装置14で圧縮成形して1次成形を行い、その後更に僅かに型を開いて第2の材料供給装置16からキャビティの開かれたスペースに射出を行って最終成形品を成形するものでもよい。その場合、図示しない金型には溶融樹脂を射出するスプルとスプルを開閉するバルブが必要となる。また圧縮成形装置11の更に別の使用方法としては、第2の材料供給装置16も圧縮成形(スタンピング成形)用の材料供給装置としてもよい。その場合、下型13は他方側へも引き出されるものでもよく、プレス装置14の加圧位置a2へ第2の材料供給装置16のノズルとダイが侵入するものでもよい。そして例えば第1の材料供給装置15からは、炭素繊維の含有量の多い樹脂(溶融材料M)を下型13のキャビティ面34に供給し、第2の材料供給装置16からはその上に炭素繊維を含まないか或いは炭素繊維の含有量の少ない樹脂を供給してプレス装置14で圧縮成形することにより、2層またはそれ以上複層のサンドイッチ成形品を成形することも可能である。
次に本実施形態の圧縮成形装置11を用いた圧縮成形について説明する。本実施形態では使用される材料として熱可塑性樹脂(たとえばポリカーボネート)に炭素繊維を配合した溶融材料Mを使用した例について記載する。成形材料としては、熱可塑性樹脂の場合は、ポリカーボネートの他、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ABS等の少なくとも一種類の樹脂が選ばれる。また熱硬化性樹脂の場合は、エポキシ、ポリウレタン、フェノール等の少なくとも一種類の樹脂から選ばれ、熱可塑性と熱硬化性樹脂の混合樹脂でもよい。また流動性の悪い材料としては、炭素繊維の他、ガラス繊維、植物繊維、化学繊維等の別の繊維を含有するものや、カーボンと樹脂の混合物などがあげられ、本実施形態の圧縮成形装置11は、それらの成形材料の成形にも向いている。
成形の手順としてはまず、プレス装置14が型開された状態で、サーボモータ28が駆動されて下型取付板26と下型13がプレス装置14の外部の供給位置a1へ移動され、一旦位置決め停止される。下型13の供給位置a1への移動までに第1の材料供給装置15は計量用のサーボモータ40を回転させるとともに射出用のサーボモータ52で背圧を加えて、加熱筒44内のスクリュの前方への溶融材料Mである炭素繊維含有のポリカーボネート樹脂の計量(貯留)が行われ、供給位置a1で待機している。第1の材料供給装置15は、計量中から供給位置a1の上方でのノズル47および供給孔48が停止されていてもよく、計量時は後退していて下型13の移動と前後してY軸方向に沿って前進移動されるようにしてもよい。
前記したようにこの際の下型13は、キャビティ面34が加熱されている。そして下型13のキャビティ面34の上に第1の材料供給装置15から溶融材料Mである炭素繊維を含有した樹脂が供給される。溶融材料Mの供給は、第1の材料供給装置15のノズル47の図示しないバルブが開かれ、射出用のサーボモータ52が駆動されてスクリュが前進移動され、ダイ49の供給孔48から溶融材料Mが落下されることにより行われる。本発明では、この際に第1の材料供給装置15と下型取付板26および下型13の少なくとも一方を移動させながら溶融材料Mの供給を行うことができ、供給のバリエーションを拡げることができる。とりわけ、第1の材料供給装置15のY軸方向への移動と、下型取付板26および下型13の一側および他側方向であるX軸方向への移動の両方を組合わせることにより、下型13のキャビティ面34に対してダイ49の供給孔48を相対的にX軸方向とY軸方向に移動することができ、二次元方向の水平面をカバーしてキャビティ面34の所望の場所に自在な供給を行うことができる。
そして本実施形態では、ノズル47の供給孔48と下型13のキャビティ面34の相対的な移動は、サーボモータ28とサーボモータ40によって制御されて移動されるので高速にて正確な移動を行うことができる。更には溶融材料M供給時のX軸方向の移動は下型13をプレス装置14の外部へ引き出すための移動装置17の移動機構を使用するので、わざわざ材料供給装置側に2方向に向けて移動する機構を設ける必要がない。そのため特許文献1や特許文献2の装置のように材料供給装置側の構造が複雑にならない。
溶融材料Mの供給をより具体的に説明すると、第1の材料供給装置15を停止した状態で溶融材料Mを供給開始した状態で、移動装置17により下型13をX軸方向である一側および他側方向のいずれか一方へ移動させて停止させ、次に第1の材料供給装置15をY軸方向である前進方向(または後進方向)へ移動させて停止させ、再度移動装置17により下型13を先ほどとは逆方向へ移動させて停止させ、次に第1の材料供給装置15を前進(または後進)させて停止させてというように、下型13と第1の材料供給装置15を交互に移動させることにより、矩形などの広いキャビティ面34をカバーして溶融材料を供給することができる。この際、移動距離の長い方は第1の材料供給装置15の供給孔48であっても、下型13であってもよい。
また移動装置17による下型13のX軸方向への移動と、第1の材料供給装置15のY軸方向への移動とを同時に行うことも可能である。その場合下型13のキャビティ面34における溶融材料Mは、斜め方向に供給されることになり、矩形以外の複雑な形状のキャビティ面34の場合にも対応が可能となる。また両者の速度を制御することにより供給における自由度が増し、厚肉部やリブを有する成形品であっても成形品に応じて溶融材料Mを最適に供給することができる。(厚肉部等の部分ではノズル47の供給孔48または下型13の移動速度を低下または停止させたりして、部分的に供給量を増やすこともできる。)
従って本実施形態では1回の成形のための材料供給の際に、下型13の移動と前記下型13の移動方向と交差方向への第1の材料供給装置15の移動を同時または交互に実行可能となっている。そして本実施形態において下型13の供給位置a1とは、一点ではなくX軸方向に一定の幅を有する。そして第1の材料供給装置15により供給を開始される際の下型13の位置と供給が終了された際の下型13の位置は、相違している場合も多くあり得る。
加熱筒44内のスクリュが所定位置まで前進されると、ノズル47のバルブが閉鎖され、下型13上のキャビティ面34への溶融材料Mの供給が終了される。次に下型13の移動装置17のサーボモータ28が駆動され、下型取付板26と下型13がプレス装置14の加圧位置a2に移動される。なおサーボモータ28は、溶融材料Mの供給時から連続的に駆動され下型13が停止せずにそのまま加圧位置a2へ移動されるものでもよい。プレス装置14の加圧位置a2において下型取付板26は位置決め停止され、更に図示しない位置決めピン等で固定される。そして型開閉シリンダ24が作動して上型12が下降し、上型の凸部が下型13の凹部と嵌合されるかその直前で、ハーフナット25が作動されてハーフナット25とタイバ19の係合溝が係合される。そして次に型締シリンダ22が駆動される。その際に固定盤18に対して僅かに浮上している下型取付板26が固定盤18とは密着され、加圧力が固定盤18に伝達されることは上記した通りである。
そして下型13の凹部のキャビティ面34と上型のキャビティ面の凸部が嵌合されてその間に形成されたキャビティ内で溶融材料Mは圧縮され、附形される。なお下型13と上型12とが当初加熱されている場合は、圧縮されている途中から冷却に切換えられ、溶融材料Mの冷却固化が促進される。そして所定時間が経過するとプレス装置14の型締シリンダ22および型開閉シリンダ24が型開方向に作動して、下型13から上型12が上昇し、成形品が取出し可能となる。なお上型12はプレス装置14に固定的に取付られていてプレス装置14内で下型13と型閉されるのが一般的であるが、型開閉機能を有する下型と上型の組合せがプレス装置14の外部に移動できるものや溶融材料Mが供給された下型13上に対してプレス装置14とは別の位置で上型12を型閉するものでもよい。
更に図1の実施形態において、プレス装置14内、あるいはプレス装置14内とプレス装置14外に両方に亘って加圧位置を含む領域内で、下型13を一側および他側方向であるX軸のみに移動させることも可能である。換言すればプレス装置14外のみで、下型13に対して第1の材料供給装置15から溶融材料Mの供給を行わない場合である。その場合は第1の材料供給装置15等はY軸(またはX軸とX軸に交差方向)に移動させ、プレス装置14等の内部に侵入させる必要がある。従ってプレス装置14の型開間隔を大きくする必要はあるが、移動装置63による下型62の移動距離を小さくすることができる。
次に別の実施形態について図4により、図1の例との相違点を中心に説明する。別の実施形態の圧縮成形装置61の下型62の移動装置63は、図示しないプレス装置外での下型62の移動の自由度を向上させたものである。移動装置63の上面には2本のガイドレール64が設けられ、ガイドレール64に沿って一定の厚みの平板状の移動部材65が移動可能となっている。移動部材65はプレス装置の固定盤上に直接当接される部材である。そして移動部材65の側面にはボールネジナット66が固定されている。一方移動装置63にはサーボモータ67が固定され、移動装置63の上面に軸方向には移動不能であって回転自在に設けられたボールネジ68を回転駆動されるようになっている。従ってサーボモータ67の駆動により移動部材65は一側および他側方向であるX軸方向に移動される。
また移動部材65の上面には前記ガイドレール64と直交方向に2本のガイドレール69が設けられ、前記ガイドレール69に沿ってその上方に下型取付板70が移動可能となっている。下型取付板70の上面には下型62が取付けられる。そして下型取付板70の側面にはボールネジナット71が固定されている。一方移動部材65にはサーボモータ72が固定され、移動部材65の上面に軸方向には移動不能であって回転自在に設けられたボールネジ73を回転駆動されるようになっている。なおボールネジ73の取付方向は、ボールネジ68と直交方向のY軸に沿って取付られている。従ってサーボモータ72の駆動により下型取付板70と下型62はY軸方向にも移動される。なお下型62をX軸およびY軸方向に移動させる機構は上記に限定されず、例えば下型取付板がX軸方向に移動可能であって、下型62がY軸方向に移動可能なものでもよい。また下型62は、前記のようにプレス装置の加圧位置と外部の間の移動方向であるX軸と直交方向であるY軸方向に移動可能なことが最も望ましいが、少なくとも交差方向であれば目的を達成でき、交差方向の角度は45度以上が望ましく更には60度以上がより望ましい。
下型62の移動装置63を前記構造とし、固定的または前後進のみ可能な材料供給装置のノズルの供給孔の下方で下型62のキャビティ面74をX軸およびY軸方向に水平面上を移動させることにより、下型72のキャビティ面74の所望の位置に溶融材料を供給することができる。そして別の実施形態では、特許文献1のように重量の大きい材料供給装置をX軸およびY軸方向へ移動させずに比較的重量の軽い下型13等をX軸およびY軸方向に移動させることが出来るので、移動装置63等のサーボモータ67,72を小型化させることができ、装置のコストダウンやエネルギー消費量の削減につなげることができる。
また図4の例についても、プレス装置外に下型62を移動させないで実施することも可能である。即ち、プレス装置内、あるいはプレス装置内とプレス装置外に両方に亘って加圧位置を含む領域内で下型62をX軸およびY軸(またはX軸とX軸に交差方向)に移動させる。その場合、材料供給装置が進入するためプレス装置の型開間隔を大きくする必要はあるが、移動装置63による下型62の移動距離を小さくすることができる。
更には図1の実施形態、図4の別の実施形態の両方の場合において、供給位置a1において、下型取付板26等と下型13等を第1の材料供給装置15に対して上下方向に移動させるようにしてもよい。その場合単に下型13等を昇降させて、第1の材料供給装置15の供給孔48との距離を変化させるようにしてもよい。
また更には下型取付板26等または下型13等にバイブレータを取付けることにより、下型13等のキャビティ面34等に供給された溶融材料Mに下型を介して振動を与えることができる。溶融材料Mに振動を与えることにより、溶融材料Mの流動化を促進することができる。
本発明については、一々列挙はしないが、上記した本実施形態のものに限定されず、当業者が本発明の趣旨を踏まえて変更を加えたものについても、適用されることは言うまでもないことである。本発明に用いられる成形材料は、流動性の低いものであって、炭素繊維、ガラス繊維、その他の繊維等を含むものが想定されるがそれらに限定されず、一例としてセラミックス、含水有機材料等の成形材料も用いることができる。
11,61 圧縮成形装置
12 上型
13,62 下型
14 プレス装置
15 第1の材料供給装置
16 第2の材料供給装置
17,63 移動装置
18 固定盤
21 可動盤
26,70 下型取付板
34,74 キャビティ面
47 ノズル
48 供給孔
M 溶融材料
X 下型の移動方向(一側および他側方向)
Y 下型の移動方向と直交方向
本発明は、型開された下型に対して材料供給装置から溶融材料を供給し、その後に下型と上型を閉鎖して前記溶融材料を圧縮する圧縮成形方法に関するものである。
樹脂等の溶融材料を型内で圧縮して成形する方法としては、型閉されたキャビティ内に溶融材料を射出装置から射出し、更に圧縮する射出圧縮成形方法が知られている。しかし前記射出圧縮成形方法は、射出時に溶融材料に高圧が掛かり繊維材料等が損傷を受ける場合があるという問題や溶融材料の流動性が悪い場合に射出時に充填が困難な場合があるという問題があり、型を開いた状態で溶融材料を下型のキャビティ面に供給後に上型と下型を閉鎖して圧縮を行う圧縮成形方法も知られている。後者の圧縮成形の場合、ポットから比較的硬めで原型を留めた溶融材料が型内に供給されるトランスファ成形とも呼ばれる圧縮成形と、射出装置または押出装置から流動状態の溶融材料が型内に供給されるスタンピング成形とも呼ばれる圧縮成形がある。
前記のスタンピング成形の場合は、材料供給装置から下型のキャビティ面に最適なバランスで溶融材料を供給する必要がある。しかしながら前記キャビティ面の形状が不定形であって突出した部分がある場合や面積が広い場合などは、ノズルが前後方向に移動するだけの供給装置では、必要な個所に最適なバランスで溶融材料を供給できない場合がある。
このような問題を解決するために特許文献1、特許文献2に記載されたものが知られている。特許文献1、特許文献2では、材料供給装置のノズルの先端の供給孔の長さ方向の寸法は、キャビティの幅に対応した長さではなくてもっと短くなっている。そしてノズルがX軸方向およびY軸方向に水平面上を移動できるため、下型のキャビティ面の所望の位置に溶融材料を供給することができる。しかしながら特許文献1では、重量の大きい材料供給装置を前後左右に移動させるための移動装置は、複雑かつ大掛かりになるという問題があった。また特許文献2のように材料供給装置のプランジャの部分だけをX軸方向およびY軸方向に移動させることも考えられるが、それでも装置が複雑かつ大掛かりになり、操業停止時のメンテナンス(プランジャやノズル内の樹脂交換等)もより一層面倒なものになるという問題があった。
また材料供給装置から下型への溶融材料の供給位置については、特許文献3のように、プレス装置の外部に下型を移動させた上で、前記下型に材料供給装置から溶融材料を供給することも行われている。しかしながら特許文献3については、下型を移動させて材料供給装置から溶融材料を供給する位置を変えただけであり、上記の下型のキャビティ面の最適な位置に溶融材料を供給するという点については何ら解決策が示されていない。
実開昭61−47609号公報(実用新案登録請求の範囲、第1図)
特開昭56−129151号公報(請求項9、図4)
特開昭60−132743号公報(請求項1、図)
上記のように、特許文献1、特許文献2では、下型のキャビティ面の最適な位置に溶融材料を供給するために、材料供給装置の構造が大掛かりになりすぎるという問題があった。また特許文献3は、プレス装置の型開間隔を狭めることが出来る場合があるが、下型のキャビティ面の最適な位置に溶融材料を供給する上で、最適な機構とは言えないものであった。
そこで本発明の圧縮成形方法は、型開された下型に対して材料供給装置から溶融材料を供給し、その後に下型と上型を閉鎖して前記溶融材料を圧縮する圧縮成形方法において、材料供給装置の構造を複雑化させることなく、下型の所望の位置に溶融材料を供給することができる圧縮成形方法を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に記載の圧縮成形方法は、型開された下型に対して材料供給装置から溶融材料を供給し、その後に下型と上型を閉鎖して前記溶融材料を圧縮する圧縮成形方法において、プレス装置の加圧位置を含み一側および他側方向へ移動可能な下型と、前記下型の移動方向と交差方向に移動可能な材料供給装置とを備え、前記一側および他側方向への下型の移動と、前記下型の移動方向と交差方向への材料供給装置の移動を同時または交互に実行して溶融材料を供給し、前記下型をプレス装置の加圧位置に固定し、プレス装置の上型を下降させて、溶融材料を圧縮することを特徴とする。
本発明の請求項2に記載の圧縮成形方法は、請求項1において、前記材料供給装置から供給される溶融材料は、炭素繊維と樹脂の混合材料であることを特徴とする。
本発明の圧縮成形方法は、型開された下型に対して材料供給装置から溶融材料を供給し、その後に下型と上型を閉鎖して前記溶融材料を圧縮する圧縮成形方法において、プレス装置の加圧位置を含み一側および他側方向へ移動可能な下型と、前記下型の移動方向と交差方向に移動可能な材料供給装置とを備え、前記一側および他側方向への下型の移動と、前記下型の移動方向と交差方向への材料供給装置の移動を同時または交互に実行して溶融材料を供給し、前記下型をプレス装置の加圧位置に固定し、プレス装置の上型を下降させて、溶融材料を圧縮するので、材料供給装置の構造を複雑化させることなく、下型の所望の位置に溶融材料を供給することができる。
本実施形態の圧縮成形装置の平面図である。
平面図において矢印A方向から見た正面図である。
平面図において矢印B方向から見た側面図である。
別の実施形態の圧縮成形装置の要部を拡大した平面図である。
図1ないし図3により本実施形態の圧縮成形装置11について説明する。本実施形態の圧縮成形装置11は、炭素繊維を含有する樹脂が溶融された溶融材料Mを上型12と下型13の間で圧縮するプレス装置14と、前記溶融材料Mの材料供給装置15,16が設けられている。そしてプレス装置14と第1の材料供給装置15による供給位置a1の間には下型13の移動装置17が設けられている。
プレス装置14について説明すると、図2および図3に示されるように、下盤である固定盤18の四隅近傍には4本のタイバ19が立設されており、タイバ19の上部は、上盤である受圧盤20の四隅近傍に固定されている。また固定盤18と受圧盤20の間には、可動盤21がタイバ19に挿通されて上下方向に移動可能となっている。受圧盤20には型締機構である型締シリンダ22が設けられ、型締シリンダ22のラム23は可動盤21の背面に固定されている。また受圧盤20と可動盤21の間には型開閉機構である型開閉シリンダ24が設けられている。また可動盤21にはハーフナット25が取付けられ、タイバ19に形成された図示しない係合溝に係合可能となっている。なお型締シリンダ22および型開閉シリンダ24は電動機構を用いたものでもよく、例えばトグル機構により圧縮成形を行うプレス装置であってもよい。
プレス装置14の可動盤21の下面には上型12が取付け可能となっている。また固定盤18の上面の加圧位置a2には下型13が固定可能となっている。プレス装置14の下型13は、下型取付板26に取付けられ、プレス装置14の内部の加圧位置a2を含み加圧位置a2とプレス装置14の外部の供給位置a1の間で、図1における一側および他側方向であるX軸方向に移動可能なものである。そして固定盤18の一側(図1において左側)には、下型13の移動装置17が連結・固定されている。前記下型13の移動装置17の上面は、固定盤18の上面と同じ高さとなっており、下型13を移動させるための2本のガイドレール27が両方の上面に亘って設けられている。そして前記ガイドレール27に沿って下型取付板26が移動されるようになっている。図示はしないが、下型取付板26の下面側は、バネを介して転動ボールまたは車軸と車輪が設けられており、下型取付板26が下型13をプレス装置14の内部の加圧位置a2とプレス装置14の外部の供給位置a1の間で移動する場合は、固定盤18の上面や移動装置17の上面から下型取付板26の下面が浮き上がるようになっている。また固定盤18の加圧位置a2で上型12と下型13が型閉され圧縮成形がなされる際は、前記バネが収縮されて、固定盤18の上面と下型取付板26の下面が密着するようになっている。
下型13の移動装置17の駆動源はサーボモータ28であって、移動装置17の供給位置a1側の側面にサーボモータ28が固定されている。そして前記ガイドレール27と平行にボールネジ29が設けられ、ボールネジ29の一方はベアリングを介して移動装置17の上面に回転自在に固定され、他方はべリングを介して固定盤18の上面に回転自在に固定されている。また前記ベアリングよりも更に一方寄りのボールネジ29の端部近傍には従動プーリ30が固定され、サーボモータ28の駆動プーリ31との間に駆動力伝達用のタイミングベルト32が掛け渡されている。更に前記下型取付板26の側面にはボールネジナット33が固定され、ボールネジナット33には前記ボールネジ29が挿通されている。そしてサーボモータ28が駆動されると、ボールネジ29が回転され、ボールネジナット33と下型取付板26と下型13が一側および他側方向のX軸方向に直線運動されるようになっている。なお下型13の移動装置17のボールネジナット33は、下型取付板26の裏面に取付けてもよく、構造についてはこれに限定されない。
プレス装置14に取付けられて使用される金型13,14について説明すると、下型13は供給した溶融材料Mがこぼれないように凹型(キャビ型)にすることが望ましく、上型12は凸型(コア型)にすることが望ましい。また下型13は溶融材料Mを供給してから移動するので、その間に溶融材料Mの固化が進行しないように、加熱機構を有することが望ましい。加熱機構としてはヒータや、金型内に供給される媒体を加熱媒体と冷却媒体に切換えられる機構が用いられる。また下型13の移動装置17の上方に供給した溶融材料Mの固化が進行しないように赤外線照射やヒータなどの熱源を設けてもよい。そして下型13に加熱機構が設けられる場合は、成形品の反りの発生の問題から、上型12にも加熱機構が設けられることが望ましい。図示しない突出装置は上下いずれかの金型に設けられる。なお本実施形態では1個の下型13に1個のキャビティ形成面34が形成された例について説明したが、上型12、下型13、キャビティ形成面34等の個数は複数であってもよく限定されない。
次に主に図1および図3により第1の材料供給装置15について説明する。第1の材料供給装置15は、移動装置35により、下型13の移動装置17および移動方向と略水平面上において交差方向に移動可能となっている。本実施形態において第1の材料供給装置15は、下型13の移動方向であるX軸方向に直交するY軸方向に移動される。しかし発明としては直交方向に移動されるものに限定されず、下型13の移動方向Xに対して交差方向に移動する第1の材料供給装置15の移動方向の角度は、45度以上の角度であることが望ましく、更には60度以上がより一層望ましい。そして直交する90度が最も望ましい。また図1等のように下型13を一側および他側方向へ移動させるものとは異なるが、下型が加圧位置からロータリテーブル等により1点を中心として円弧方向にプレス装置の外部に移動される場合は、その円弧の移動軌跡に対して中心からの放射方向の線に沿って第1の材料供給装置を移動させることが望ましく、その場合も交差方向に移動に該当する。そして前記放射方向の線に対して45度以内に第1の材料供給装置が移動する場合も望ましい例に含まれる。
図3に示されるように第1の材料供給装置15の移動装置35は、ベースまたは床面上に2本のガイドレール36が設けられ、ガイドレール36上を第1の材料供給装置15の基台37が移動可能となっている。またベースまたは床面上には、ボールネジ38が回転可能に配置され、基台37に固定されたボールネジナット50が前記ボールネジ38に挿通されている。またボールネジ38の端部近傍には従動プーリ39が固定され、サーボモータ40の駆動プーリ41との間にはタイミングベルト42が掛け渡されている。従ってサーボモータ40の駆動により、第1の材料供給装置15の基台37と図示しないボールネジナットとが直線運動されるようになっている。なお移動装置35は、基台37と移動装置17の側面の間に取り付けてもよく、構造については限定されない。
第1の材料供給装置15の基台37上に載置されているのは、射出成形機の射出装置と略同じ機能を有する可塑機能と射出機能を有する装置である。基台37上に固定的に立設された前プレート43にはヒータが取付けられた加熱筒44が挿通されている。また前プレート43には垂直方向に成形材料の供給口45が設けられ、供給口45の下方は加熱筒44の孔を通じて加熱筒内部に連通している。また供給口45の上方には、フィードスクリュを有する成形材料フィード装置46が接続されている。加熱筒44の先端にはヒータが取付けられたノズル47が取付けられている。本実施形態のノズル47の先端には、供給孔48が下方を向けられたダイ49が取付けられている。ダイ49の供給孔48は所定の幅と長さを有している。そしてノズル47の先端に取付られるダイ49の部分は、下型13のキャビティ面34の形状や面積に応じて最適なものに交換可能となっている。またダイ49は、溶融材料Mの流動性や溶融材料Mに含まれる炭素繊維等の切れ等の問題から、成形材料によっても異なるダイ49に交換される。ノズル47の先端のダイ49またはその手前のノズル47の部分には、流路を開閉するバルブ(図示せず)が設けられることが多い。
前プレート43の後方には所定の距離を隔てて前プレートと平行に後プレート51が設けられている。前プレート51の前面側の加熱筒44の両側には、それぞれ射出用のサーボモータ52が設けられ、後プレート51の両側にもそれぞれボールネジナット53が設けられている。そして前記サーボモータ52の駆動軸に直結されるボールネジ54が前記ボールネジナット53に挿通されている。また加熱筒44の内部には逆流防止弁が取付けられた射出成形用として一般的なスクリュ(図示せず)が配置されて、スクリュの軸の後端は、スリーブやカップリング等を介して後プレート51の後面に固定された計量用のサーボモータ55の駆動軸に固定されている。
従って加熱筒内のスクリュは、前記計量用のサーボモータ55の駆動により回転され、射出用のサーボモータ52の駆動により、前後進されるようになっている。なお第1の材料供給装置15の構造は前記したものに限定されず、3枚のプレートを有するものでもよく、射出用のサーボモータは1個でもよい。また射出用や計量用の駆動源は油圧を用いたものでもよい。更には溶融材料Mをプランジャで押出す材料供給装置や、加熱筒内のスクリュが回転のみして溶融材料を押出す押出式の材料供給装置を第1の材料供給装置として用いてもよい。
また本実施形態ではプレス装置14の他側(図1において右側)には第2の材料供給装置16が配置されている。第2の材料供給装置16の構造については、第1の材料供給装置15と類似するので、相違点のみを記載する。第2の材料供給装置16の前後進装置は、基台56にシフトシリンダ57のシリンダ筒57aが固定され、固定盤18の側面にシフトシリンダ57のロッド57bが固定されている。そして第2の材料供給装置16を射出装置として用いる際には金型へノズルを当接させるノズルタッチ力を発生させる。またノズルについては、種々のノズルが取付けられる点は第1の材料供給装置15と同じであるが、図示のものは、一般的な射出成形用のノズル58が取付けられている。従って本実施形態では、第2の材料供給装置16は、射出成形用のものであって、圧縮成形装置11は、プレス装置14の金型を取り替えることにより、射出成形と、型開された下型13上に溶融材料Mを供給してから型閉する圧縮成形(スタンピング成形)の両方を実施することができるようになっている。
また圧縮成形装置11の別の使用方法としては、炭素繊維等の繊維が多くて流動性が悪く、繊維の切断の問題のある材料を第1の材料供給装置15から型開された下型13上に直接供給し、その後に下型13と上型12を閉鎖してプレス装置14で圧縮成形して1次成形を行い、その後更に僅かに型を開いて第2の材料供給装置16からキャビティの開かれたスペースに射出を行って最終成形品を成形するものでもよい。その場合、図示しない金型には溶融樹脂を射出するスプルとスプルを開閉するバルブが必要となる。また圧縮成形装置11の更に別の使用方法としては、第2の材料供給装置16も圧縮成形(スタンピング成形)用の材料供給装置としてもよい。その場合、下型13は他方側へも引き出されるものでもよく、プレス装置14の加圧位置a2へ第2の材料供給装置16のノズルとダイが侵入するものでもよい。そして例えば第1の材料供給装置15からは、炭素繊維の含有量の多い樹脂(溶融材料M)を下型13のキャビティ面34に供給し、第2の材料供給装置16からはその上に炭素繊維を含まないか或いは炭素繊維の含有量の少ない樹脂を供給してプレス装置14で圧縮成形することにより、2層またはそれ以上複層のサンドイッチ成形品を成形することも可能である。
次に本実施形態の圧縮成形装置11を用いた圧縮成形について説明する。本実施形態では使用される材料として熱可塑性樹脂(たとえばポリカーボネート)に炭素繊維を配合した溶融材料Mを使用した例について記載する。成形材料としては、熱可塑性樹脂の場合は、ポリカーボネートの他、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ABS等の少なくとも一種類の樹脂が選ばれる。また熱硬化性樹脂の場合は、エポキシ、ポリウレタン、フェノール等の少なくとも一種類の樹脂から選ばれ、熱可塑性と熱硬化性樹脂の混合樹脂でもよい。また流動性の悪い材料としては、炭素繊維の他、ガラス繊維、植物繊維、化学繊維等の別の繊維を含有するものや、カーボンと樹脂の混合物などがあげられ、本実施形態の圧縮成形装置11は、それらの成形材料の成形にも向いている。
成形の手順としてはまず、プレス装置14が型開された状態で、サーボモータ28が駆動されて下型取付板26と下型13がプレス装置14の外部の供給位置a1へ移動され、一旦位置決め停止される。下型13の供給位置a1への移動までに第1の材料供給装置15は計量用のサーボモータ40を回転させるとともに射出用のサーボモータ52で背圧を加えて、加熱筒44内のスクリュの前方への溶融材料Mである炭素繊維含有のポリカーボネート樹脂の計量(貯留)が行われ、供給位置a1で待機している。第1の材料供給装置15は、計量中から供給位置a1の上方でのノズル47および供給孔48が停止されていてもよく、計量時は後退していて下型13の移動と前後してY軸方向に沿って前進移動されるようにしてもよい。
前記したようにこの際の下型13は、キャビティ面34が加熱されている。そして下型13のキャビティ面34の上に第1の材料供給装置15から溶融材料Mである炭素繊維を含有した樹脂が供給される。溶融材料Mの供給は、第1の材料供給装置15のノズル47の図示しないバルブが開かれ、射出用のサーボモータ52が駆動されてスクリュが前進移動され、ダイ49の供給孔48から溶融材料Mが落下されることにより行われる。本発明では、この際に第1の材料供給装置15と下型取付板26および下型13の少なくとも一方を移動させながら溶融材料Mの供給を行うことができ、供給のバリエーションを拡げることができる。とりわけ、第1の材料供給装置15のY軸方向への移動と、下型取付板26および下型13の一側および他側方向であるX軸方向への移動の両方を組合わせることにより、下型13のキャビティ面34に対してダイ49の供給孔48を相対的にX軸方向とY軸方向に移動することができ、二次元方向の水平面をカバーしてキャビティ面34の所望の場所に自在な供給を行うことができる。
そして本実施形態では、ノズル47の供給孔48と下型13のキャビティ面34の相対的な移動は、サーボモータ28とサーボモータ40によって制御されて移動されるので高速にて正確な移動を行うことができる。更には溶融材料M供給時のX軸方向の移動は下型13をプレス装置14の外部へ引き出すための移動装置17の移動機構を使用するので、わざわざ材料供給装置側に2方向に向けて移動する機構を設ける必要がない。そのため特許文献1や特許文献2の装置のように材料供給装置側の構造が複雑にならない。
溶融材料Mの供給をより具体的に説明すると、第1の材料供給装置15を停止した状態で溶融材料Mを供給開始した状態で、移動装置17により下型13をX軸方向である一側および他側方向のいずれか一方へ移動させて停止させ、次に第1の材料供給装置15をY軸方向である前進方向(または後進方向)へ移動させて停止させ、再度移動装置17により下型13を先ほどとは逆方向へ移動させて停止させ、次に第1の材料供給装置15を前進(または後進)させて停止させてというように、下型13と第1の材料供給装置15を交互に移動させることにより、矩形などの広いキャビティ面34をカバーして溶融材料を供給することができる。この際、移動距離の長い方は第1の材料供給装置15の供給孔48であっても、下型13であってもよい。
また移動装置17による下型13のX軸方向への移動と、第1の材料供給装置15のY軸方向への移動とを同時に行うことも可能である。その場合下型13のキャビティ面34における溶融材料Mは、斜め方向に供給されることになり、矩形以外の複雑な形状のキャビティ面34の場合にも対応が可能となる。また両者の速度を制御することにより供給における自由度が増し、厚肉部やリブを有する成形品であっても成形品に応じて溶融材料Mを最適に供給することができる。(厚肉部等の部分ではノズル47の供給孔48または下型13の移動速度を低下または停止させたりして、部分的に供給量を増やすこともできる。)
従って本実施形態では1回の成形のための材料供給の際に、下型13の移動と前記下型13の移動方向と交差方向への第1の材料供給装置15の移動を同時または交互に実行可能となっている。そして本実施形態において下型13の供給位置a1とは、一点ではなくX軸方向に一定の幅を有する。そして第1の材料供給装置15により供給を開始される際の下型13の位置と供給が終了された際の下型13の位置は、相違している場合も多くあり得る。
加熱筒44内のスクリュが所定位置まで前進されると、ノズル47のバルブが閉鎖され、下型13上のキャビティ面34への溶融材料Mの供給が終了される。次に下型13の移動装置17のサーボモータ28が駆動され、下型取付板26と下型13がプレス装置14の加圧位置a2に移動される。なおサーボモータ28は、溶融材料Mの供給時から連続的に駆動され下型13が停止せずにそのまま加圧位置a2へ移動されるものでもよい。プレス装置14の加圧位置a2において下型取付板26は位置決め停止され、更に図示しない位置決めピン等で固定される。そして型開閉シリンダ24が作動して上型12が下降し、上型の凸部が下型13の凹部と嵌合されるかその直前で、ハーフナット25が作動されてハーフナット25とタイバ19の係合溝が係合される。そして次に型締シリンダ22が駆動される。その際に固定盤18に対して僅かに浮上している下型取付板26が固定盤18とは密着され、加圧力が固定盤18に伝達されることは上記した通りである。
そして下型13の凹部のキャビティ面34と上型のキャビティ面の凸部が嵌合されてその間に形成されたキャビティ内で溶融材料Mは圧縮され、附形される。なお下型13と上型12とが当初加熱されている場合は、圧縮されている途中から冷却に切換えられ、溶融材料Mの冷却固化が促進される。そして所定時間が経過するとプレス装置14の型締シリンダ22および型開閉シリンダ24が型開方向に作動して、下型13から上型12が上昇し、成形品が取出し可能となる。なお上型12はプレス装置14に固定的に取付られていてプレス装置14内で下型13と型閉されるのが一般的であるが、型開閉機能を有する下型と上型の組合せがプレス装置14の外部に移動できるものや溶融材料Mが供給された下型13上に対してプレス装置14とは別の位置で上型12を型閉するものでもよい。
更に図1の実施形態において、プレス装置14内、あるいはプレス装置14内とプレス装置14外に両方に亘って加圧位置を含む領域内で、下型13を一側および他側方向であるX軸のみに移動させることも可能である。換言すればプレス装置14外のみで、下型13に対して第1の材料供給装置15から溶融材料Mの供給を行わない場合である。その場合は第1の材料供給装置15等はY軸(またはX軸とX軸に交差方向)に移動させ、プレス装置14等の内部に侵入させる必要がある。従ってプレス装置14の型開間隔を大きくする必要はあるが、移動装置63による下型62の移動距離を小さくすることができる。
次に別の実施形態について図4により、図1の例との相違点を中心に説明する。別の実施形態の圧縮成形装置61の下型62の移動装置63は、図示しないプレス装置外での下型62の移動の自由度を向上させたものである。移動装置63の上面には2本のガイドレール64が設けられ、ガイドレール64に沿って一定の厚みの平板状の移動部材65が移動可能となっている。移動部材65はプレス装置の固定盤上に直接当接される部材である。そして移動部材65の側面にはボールネジナット66が固定されている。一方移動装置63にはサーボモータ67が固定され、移動装置63の上面に軸方向には移動不能であって回転自在に設けられたボールネジ68を回転駆動されるようになっている。従ってサーボモータ67の駆動により移動部材65は一側および他側方向であるX軸方向に移動される。
また移動部材65の上面には前記ガイドレール64と直交方向に2本のガイドレール69が設けられ、前記ガイドレール69に沿ってその上方に下型取付板70が移動可能となっている。下型取付板70の上面には下型62が取付けられる。そして下型取付板70の側面にはボールネジナット71が固定されている。一方移動部材65にはサーボモータ72が固定され、移動部材65の上面に軸方向には移動不能であって回転自在に設けられたボールネジ73を回転駆動されるようになっている。なおボールネジ73の取付方向は、ボールネジ68と直交方向のY軸に沿って取付られている。従ってサーボモータ72の駆動により下型取付板70と下型62はY軸方向にも移動される。なお下型62をX軸およびY軸方向に移動させる機構は上記に限定されず、例えば下型取付板がX軸方向に移動可能であって、下型62がY軸方向に移動可能なものでもよい。また下型62は、前記のようにプレス装置の加圧位置と外部の間の移動方向であるX軸と直交方向であるY軸方向に移動可能なことが最も望ましいが、少なくとも交差方向であれば目的を達成でき、交差方向の角度は45度以上が望ましく更には60度以上がより望ましい。
下型62の移動装置63を前記構造とし、固定的または前後進のみ可能な材料供給装置のノズルの供給孔の下方で下型62のキャビティ面74をX軸およびY軸方向に水平面上を移動させることにより、下型72のキャビティ面74の所望の位置に溶融材料を供給することができる。そして別の実施形態では、特許文献1のように重量の大きい材料供給装置をX軸およびY軸方向へ移動させずに比較的重量の軽い下型13等をX軸およびY軸方向に移動させることが出来るので、移動装置63等のサーボモータ67,72を小型化させることができ、装置のコストダウンやエネルギー消費量の削減につなげることができる。
また図4の例についても、プレス装置外に下型62を移動させないで実施することも可能である。即ち、プレス装置内、あるいはプレス装置内とプレス装置外に両方に亘って加圧位置を含む領域内で下型62をX軸およびY軸(またはX軸とX軸に交差方向)に移動させる。その場合、材料供給装置が進入するためプレス装置の型開間隔を大きくする必要はあるが、移動装置63による下型62の移動距離を小さくすることができる。
更には図1の実施形態、図4の別の実施形態の両方の場合において、供給位置a1において、下型取付板26等と下型13等を第1の材料供給装置15に対して上下方向に移動させるようにしてもよい。その場合単に下型13等を昇降させて、第1の材料供給装置15の供給孔48との距離を変化させるようにしてもよい。
また更には下型取付板26等または下型13等にバイブレータを取付けることにより、下型13等のキャビティ面34等に供給された溶融材料Mに下型を介して振動を与えることができる。溶融材料Mに振動を与えることにより、溶融材料Mの流動化を促進することができる。
本発明については、一々列挙はしないが、上記した本実施形態のものに限定されず、当業者が本発明の趣旨を踏まえて変更を加えたものについても、適用されることは言うまでもないことである。本発明に用いられる成形材料は、流動性の低いものであって、炭素繊維、ガラス繊維、その他の繊維等を含むものが想定されるがそれらに限定されず、一例としてセラミックス、含水有機材料等の成形材料も用いることができる。
11,61 圧縮成形装置
12 上型
13,62 下型
14 プレス装置
15 第1の材料供給装置
16 第2の材料供給装置
17,63 移動装置
18 固定盤
21 可動盤
26,70 下型取付板
34,74 キャビティ面
47 ノズル
48 供給孔
M 溶融材料
X 下型の移動方向(一側および他側方向)
Y 下型の移動方向と直交方向