JP2013215632A - 腰椎牽引装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】どのような体格の患者でも腰椎牽引に適切とされる姿勢にして、安全で効果的な、省力化された腰椎牽引装置を提供する。
【解決手段】牽引ベッドを椅子状態から牽引位にリクライニングして牽引治療を行う椅子型の牽引治療器において、被治療者が座る着座部6の奥行き2を、上腿部の長さに合わせ調節することでき、着座部6と背もたれ部8の角度、着座部6と下腿載置部5の角度の、一方又は両方を調節して牽引治療を行うことができる構成とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、腰椎の牽引治療に使用する腰椎牽引装置に関するものであり、特に、治療を受ける人を、牽引時に最適とされる姿勢にして、安全で効果的な牽引治療を行うことができる牽引装置を提供することを目的とする。
腰椎牽引療法は、脇を支持固定して骨盤を牽引し、腰椎疾患を治療するもので、整形外科やリハビリテーションなどの分野で広く用いられている。
従来の腰椎牽引装置の例を図6に示す。図6(A)は平面状のベッドを利用するタイプのもので、これを改良したものが図6(B)である。
図6(A)の装置は、牽引用ベッド50と牽引器本体51から構成され、治療の補助として脇装具54と腰装具53を使用する。
ベッドは、通常はマットを2つに分割して、フレーム57に載置されている。上半身が載る側のマット55はフレーム57にほぼ固定され、下肢側マット56はフレーム57に沿ってベッドの長さ方向(患者の身長方向)移動自在にしてある。上半身が載る側のマット55と下肢側マット56の境界に腰椎がくるようにする。
治療前にベッドに載り、仰臥位になり、腰装具53を腰(骨盤部)に装着し、牽引用ワイヤ52を介して牽引装置51に接続する。また、脇装具54を脇に当てて牽引時に体がずれないように固定する。この状態で牽引装置51を作動させると、脇が支持されているため、腰椎を牽引することができる。
牽引は、図9に示すように、治療を開始すると、所定時間だけ休止を行い(休止モードと称する。休止する時間を休止時間と称する。)、休止時間が終了すると、所定の牽引力になるまで牽引する(牽引モードと称する)。牽引力は、牽引器本体51のモータを駆動して牽引用ワイヤ(52)巻き取って、発生する。牽引力が設定値になると所定時間だけモータを停止してその牽引力を維持する(持続モードと称する。持続する時間を持続時間と称する。)。持続モードが終了するとモータを逆回転させて牽引力を緩め(緩和モードと称する)、牽引力がゼロ又は所定値以下になると休止を行い、これを治療時間が終了するまで繰り返す。このように、繰り返し牽引を行うものを間欠牽引と称する。
場合によっては、牽引を開始し、最初に設定値まで牽引したままこの牽引力を治療時間だけ持続することもある。これを持続牽引と称する。
このような牽引の条件(牽引力、治療時間、持続時間、休止時間、その他)は、装置の操作パネルの操作部に設けたキースイッチやボリュームなどを操作しておこなう。メモリカードなどを用いて設定するものもある。
この操作部の情報は装置の制御部に送られ、これを元に、制御部は牽引用モータや治療に関する時間その他、装置全体の制御をおこない、所定の牽引治療をおこなう。
牽引治療の経過時間やそのときの牽引力等は、パネル面に設けた表示器に表示される。
図6(A)には記載していないが、実際の治療では、図8(A)のように、膝を曲げてその下に脚台Kを敷いて牽引を行う。これによって、腰椎の前方への湾曲(前湾)を少なくして治療をおこなっている。前湾を無くして治療をおこなう理由は以下のとおりである。
通常、人は立位で腰椎は少し前湾している。しかし、立位では常に腰部には上体の荷重がかかっており、特に前湾の程度が大きいと、荷重が一部に集中し、腰痛が生じやすくなる。腰痛には、筋筋膜性腰痛や椎間板ヘルニアなど様々な種類があるが、いずれも部位は腰椎の後部に生じることが多い。
この治療には腰椎牽引治療が効果的であるが、前湾を残したままで牽引を行うと、通常は間欠的に牽引をおこなうため、繰り返し患部にストレスを与え、これがダメージとなって、腰痛を増悪させる可能性がある。このため、図8(A)に示すように、前湾を矯正した姿勢が適切とされ、この状態で治療を行うことが重要とされる。腰部と大腿部のなす角度及び膝の屈曲角度がそれぞれ90度にすると、腰椎は直線状になり、間欠牽引を行っても、患部へのダメージが少ない。
牽引療法は効果的ではあるが、装置には問題も残っている。
図6(A)の装置では、治療前に、患者はベッドに乗り、装具を装着し、仰臥位になり、膝の下に脚台を入れる。治療後には、これと逆の動作をおこなう必要がある。しかし、腰痛を有する患者にとって、これらの動作をおこなうことは肉体的に大きな苦痛を伴っていた。
また、装具の装着に手間がかかり、患者だけでなく、介助者の手も煩わせていた。
これらの課題を解決するものとして、ベッドを椅子状にし、患者はこの椅子に座るだけにしたものがある(例えば特許文献1参照)。
図6(B)は特許文献1の実施例である。
装置は、患者の上半身(背部から頭部まで)を載せる背凭部(図6(B)の8)と、患者の下半身(臀部から下肢まで)を載せる座席部(図6(B)の16)で臥台(図6(B)の2)を構成し、臥台を基台(図6(B)の1)に載置し、頃動機構部(図6(B)の3)で臥台を座位から所定角度後方にリクライニングさせた牽引位まで頃動するようにしている。
着座部(図6(B)の6)の奥行きは、図8(A)に示す従来牽引時に使用する脚台Kの高さに相当する。
牽引位で牽引機構部(図6(B)の10)を作動させると、座席用フレーム(図6(B)の15)に沿って座席部が背凭部から所定方向(10〜20度程度の方向。フレーム(図6(B)の4))と座席用フレーム(図6(B)の15のなす角度で決定する)に移動して牽引力を発生する。実際には、座席部を往復移動させることで間欠牽引を行うことが多い。
座席部を固定し背凭れ部を移動させる方法もあるが、本質的に差は無い。
座席部には腰固定手段としてベルト(B)を設け、このベルトで骨盤部を座席部に固定するようにしている。実際には、牽引用の装具がずれないように、骨盤から腰にかけての、骨盤よりも周囲サイズが小さくなった部分を牽引する。また、背凭部の両側に一対の脇用アーム(図6(B)の13)を設けて、患者の両脇を支持するようにしている。
脇用アームは、図7(A)に示すように、矢印T方向に回動させ、脇の位置近傍にセットして脇を支持する。患者が乗り降りするときには、脇用アームを矢印T方向に回動させ、邪魔にならない位置に退避させておくことができる。また、図7(B)に示すように、脇の位置近傍にセットして、ベッドの長さ方向に頭側に平行移動して、脇を支持する位置まで移動させることができる。このため、身長が違っても、脇を支持する。
図7(A)と図7(B)の脇用アームの運動は、脇用アーム13取り付け部Tを制御して、いずれも自動的におこなうことができる。つまり、脇用アームを着脱したり、退避部位への移動を、自動的におこなうことができる。
図示はしていないが、装置にはパネル面に操作部を設けて、牽引条件の設定を行い、治療の経過や現在の牽引力などを表示できる表示器を備えている。
また、図示はしていないが、装置には装置全体を制御する制御部を設けており、操作部で入力した情報はこの制御部に送られ、この情報などを基に、牽引力や治療に関する時間などを制御する。
治療は以下のとおりである。
治療開始前に、患者の疾患の状態に応じて、操作部のスイッチ類を操作して、牽引力や治療時間、持続時間、休止時間などの牽引条件を入力する。標準的な牽引条件を制御部に記憶させておき、改めて入力する必要はないようにすることもできる。
続いて、患者を着座部(図6(B)の6)に座らせ、ベルトBを締めて座席部に臀部を固定する。骨盤を固定して牽引するというのが基本であるが、下肢を牽引する方法もある。
操作部の治療開始スイッチを押すと治療タイマがスタートして治療を開始する。
まず、頃動機構部(図6(B)の3)が作動して臥台(図6(B)の2)が後方に頃動(リクライニング)して牽引治療をおこなう牽引位になる。
これと連動して、図7(A)のようにリクライニング時に脇用アーム駆動部Qが作動し、脇用アームを、退避位(頭側上方の乗り降りに邪魔にならない位置)から、自動的に矢印Tのように回動し、脇当12が背凭れ8の近傍にくるように移動する。
さらに、脇用アーム駆動部Qが作動し、図7(B)のように、初期位置P0から患者の脇の位置Pまで移動し、脇当12で脇を支持し、牽引時に体がずれないように脇を固定する。
つまり、脇用アームは自動的に装着できる。
その後、牽引機構部(図6(B)の10)が作動し、フレーム(図6(B)の15)に沿って座席部16を移動させ、腰椎の牽引をおこなう。
牽引力は荷重センサ9で検出し、牽引力が設定値になると、牽引機構部(図6(B)の10)を停止し、持続モードに入る。
持続モードで、持続タイマが設定値になると、緩和モードに入る。
緩和モードでは、牽引機構部(図6(B)の10)を牽引時とは逆方向に作動させ、座席部16を元の方向(背凭れ8に近づく方向)に戻す。このとき牽引力を検出し、牽引力が0又は所定値以下になると、牽引機構部を停止し、休止モードに入る。
この動作を、治療時間内に繰り返す。
背凭れ部のフレーム(図6(B)の4)と座席部のフレーム(図6(B)の15)との角度は10〜20度程度にしており、これが牽引方向の角度(牽引角度)となる。牽引角度は図6(A)の従来装置と同程度にしている。
図6(B)の装置は、脇を支持して骨盤を牽引するという点では、図6(A)に示す従来の装置と同様である。骨盤を支持して脇を牽引しても、同様に腰椎牽引は可能であり、両者に本質的な差異はない。
しかし、患者は座席6に座るだけでよいので、腰痛の人がベッド50に乗り降りするときの大きな苦痛を解消することができる。また、腰の固定はベルトを締めるだけであるため、手間を省力化している。脇固定は、患者の脇に位置合わせを行うことまで全て自動化しているため、手間がかからない。
特開2006−87853
通常、人の腰椎は少し前湾しているが、これは上体を支える上で重要なことである。
しかし、腰部には、常に上体の荷重がかかってストレスとなっている。特に、何らかの原因で前湾の程度が大きくなると、腰椎後部の局所に荷重が集中し、腰痛が生じやすくなる。腰痛には、筋筋膜性腰痛やヘルニアなど様々な種類があるが、いずれも神経や筋肉を圧迫し、疼痛が発生する。
このような腰部疾患の治療には牽引療法が有効である。
しかし、大腿の前面と腹部の間には大きな筋肉があるため、この筋肉に引かれて、足を伸ばしてベッド上に仰臥位になっても、前湾を改善することはできず、むしろ前湾は強調される。前述のように、前湾を残したままで牽引を行うと、患部にダメージを与え、腰痛を増悪させる可能性がある。
これを解決し、脊柱の形状を適切に矯正して牽引治療をおこなうために、図8(A)に示すように、腰椎と大腿部のなす角度がほぼ90度になるようにして、脚長と合った高さの脚台Kを脚の下に置く。この姿勢にすると、腰椎の前湾が矯正され、腰椎は直線状になるため、安全に牽引治療をおこなうことができる。また、この姿勢ではリラックスできるため、腰部や腹部などの筋肉が収縮しないため、牽引力が効率的に腰椎に伝えられ、効果的な牽引治療をおこなうことができる。
つまり、図8(A)の姿勢が牽引に適した姿勢であり、このようにして牽引を行うと、安全で効果的な牽引治療が可能となる。つまり、実際の牽引装置では、図8(B)のように、腿の長さに合った台を使用するのが望ましい。脚台は図8(A)のような台でなく、図6(A)のような三角脚台であってもよい。要は、脚を曲げて、腰椎の前湾を無くした状態で牽引治療をおこなうことが重要である。
しかし、従来の牽引装置では、固定サイズの脚台Kを使用していたため、患者の脚長と脚の下に置く台の高さが合わないことが多かった。
身長(脚長)が高い人は図8(C)に示すように、腿が余り、前湾は十分には矯正されない。また、上腿の一部が下腿載部の端部に当たり痛みが生じることがある。踵も局所が当たるため、同様に痛みが生じることがある。しかも、この状態では脚が不安定であり、この姿勢を維持しようとすると腰部や腹部に力が入り、牽引力が腰椎に伝えられないため、効果的な牽引治療ができなかった。
逆に、身長が低い人の場合、図8(D)に示すように、台に対して脚の長さが足りないため、腰部の前屈角度(腰部と大腿部のなす角度)がきつくなり、腰椎は後湾になる。この状態で牽引を行うと、腰椎後部に大きな荷重がかかり、組織にダメージを与える可能性があり、危険である。また、下腿の一部が下腿載部の端部に当たり、痛みが生じる。この姿勢でも下肢は不安定であるため、腰部や腹部に力が入り、治療効果が低下する。
図6(B)の装置は、従来の図6(A)を改良したものであるが、着座部(図6(B)の16)のサイズは固定であった。このため、図6(B)の装置では、患者の体格によって、図8(C)や(D)のように、患者の脚長と座席部のサイズが合わず、図8(A)のような、牽引に適した姿勢にすることはできなかった。
本願出願の発明は、このような課題を解決し、腰椎の形状を牽引治療に適するように矯正した上で、筋肉をリラックスさせて、安全で効果的な治療を受けることができるようにするものである。
これを解決するために、請求項1記載の発明では、図8のように、患者の体格に応じて、着座部16のサイズを調節できるようにした。つまり、
患者の腰部と下肢を支持する座席部(16)と、前記患者の背部と頭部を支持する背凭部(8)とを有する椅子状の臥台(2)と、
臥台(2)を載置する基台(1)と、
基台(1)と臥台(2)の間に設けて、臥台(2)を座位と所定角度背面側へ傾倒した牽引位の間で頃動させる頃動機構部(3)と、
座席部(16)と背凭部(8)の間に設けて、座席部(16)と背凭部(8)の距離を所定方向に離開して牽引力を発生させる牽引機構部(10)と、
座席部(16)に設けて、前記患者の腰部を座席部(16)に固定する腰部固定部(B)と、
前記患者の脇を支持して牽引時に前記患者の体がずれないように固定する脇固定部(13)と、
牽引力を含む治療条件を入力する入力部と、設定値や現在の状態を表示する表示部とを有する操作部と、
前記操作部からの情報やメモリに記憶させた情報を基に、頃動機構部(3)や牽引機構部(10)などの装置全体を制御する制御部と
を設けた牽引装置において、
座席部(16)を腰当部(7)と着座部(6)と下腿載置部(5)とで構成し、
下腿載置部(5)を着座部(6)の奥行き方向に移動させるか、又は、着座部(6)の奥行きの長さを調節可能にするとともに、
腰椎牽引に適した姿勢にするために
前記患者の上腿部の長さ(L)に着座部(6)の奥行き(D)を合わせる
着座部奥行き調節手段(20)を設けた。
つまり、図2のように、脚長に合わせて着座部の奥行きDを調節して、従来の図7(A)や(B)のように脚長と脚台の高さが合った状態にして、適切な牽引姿勢にすることができる。その結果、腰椎は直線状になるので、安全に治療をおこなうことができる。また、脚長と座席のサイズが合っているので、安定して脚を支持し、腰部や腹部周囲の筋肉はリラックスさせることができるため、牽引力が効果的に腰椎牽引に利用され、効果的な治療が得られる。
請求項2記載の発明では、請求項1記載の腰椎牽引装置において、
脇固定手段(13)を、初期設定位置(P0)から患者の脇固定位置(P)まで距離Sだけ移動させたとき、
これ連動して着座部奥行き調節手段(20)を作動させ、下腿載置部(5)を移動距離Sに対応させた距離sだけが移動させるようにした。
つまり、脇の支持と同時に着座部の奥行きも調節するようにして、最適な牽引姿勢をとらせるための介助者の手間を省力化できるようにした。
請求項3記載の発明では、請求項1又は2記載の牽引治療装置において、
着座部奥行き調節手段(20)を、着座部駆動部(18)と、着座部駆動部(18)の駆動力を検出する圧力検出手段(19)とで構成し、
着座部駆動部(18)を作動させながら、圧力検出手段(19)で圧力を検出し、検出した圧力が所定値になったとき、着座部駆動部(18)を停止させるようにし、着座部の奥行き(D)を、自動的に、患者の上腿部の長さ(L)に合わせることができるようにした。
これにより、着座部の奥行き(D)を被治療者の上腿部の長さ(L)に合うよう自動的に調節することができ、簡単に牽引に適した姿勢にすることができ、介助者の手間を省力化できる。
請求項4記載の発明では、請求項1から3のいずれかに記載した牽引治療装置において、着座部(6)と腰当部(7)のなす角度と、着座部(6)と下腿載置部(5)のなす角度のうち、一方又は両方を可変にし、これらの角度を調節する調節手段を設け、
調節手段を操作して、患者の脊柱の湾曲に応じて、着座部(6)と腰当部(7)のなす角度と、着座部(6)と下腿載置部(5)のなす角度のうち、一方又は両方を調節して、脊柱の湾曲をさらに少なくなるようにして牽引治療を行うことができるようにした。
患者によっては前湾又は後湾が大きく、図7(B)のように、脚のサイズに着座部6の奥行き(D)をあわせても、腰椎が直線状にならない人もいる。
今請求項記載の発明では、このような場合も、着座部6と腰当部7のなす角度と、着座部6と下腿載置部5のなす角度のうち、一方又は両方を調節することで、腰椎を牽引に適した形状にすることができるため、より安全に、効果的な牽引治療をおこなうことができる。
請求項5記載の発明では、
請求項1乃至4に記載の牽引装置において、
座席部(16)に下肢保持部(101)を設けて下肢を安定した状態に保持するようにし、リラックスして牽引治療を受けることができるようにした。
図8(B)のように、患者の上腿部の長さ(L)に着座部6の奥行き(D)をあわせても、腿載置部5に脚を乗せただけでは、脚は開く傾向にあるため、これを防止するために、腰部や腹部に力が入り、その結果、治療効果が低下する。
本請求項記載の発明では、下腿載置部5に下腿保持部(101)を設け、牽引治療中に下腿を保持して安定にするため、患者はリラックスすることができ、効果的な牽引治療を受けることができる。
請求項6記載の発明では、請求項1から4のいずれかに記載した腰椎牽引装置の座席部(16)に、請求項5記載の下腿保持部101に下腿(N)を載置する枠体(102)とクッション部(103)を設け、最も適切な牽引姿勢にし、しかもリラックスできるようにして、牽引治療をおこなうことができる。このため、より安全で効果的に、牽引治療をおこなうことができる。
請求項7記載の発明では、請求項1から6のいずれかに記載した腰椎牽引装置において、着座部(6)を昇降させる昇降部(Q)を設け、
椅子状にして、臥台(2)に患者を座らせるとき、着座部(6)を昇降させて、患者が座りやすい高さになるように調節するようにした。
療者の身長に合わせて臥台(2)を昇降させることができるため、どのような体格の患者であっても、苦痛を伴うことなく、楽に臥台(2)に座ることができる。
請求項1記載の発明により、
着座部6の奥行き(D)と座席部16に着座した患者の上腿部の長さ(L)を合わせて、患者の脊柱の形状を牽引治療に最適な状態にして、安全な牽引治療を行うことができる。
このため、身長が高い人でも、図4(C)のように足が余ることはなく、図4(A)のように適切な牽引姿勢を得ることができるため、上腿部は着座部6に密着し、下腿部も下腿載部5に密着し、下肢の一部が下腿載部5のエッジに当たることはないため、痛みが生じるという不都合はない。また、治療中に下肢が安定するため腰部近傍の筋肉が緊張することはなく、このため牽引力が効果的に脊椎に伝えられるため効果的な牽引治療ができる。さらに、この姿勢では、前湾を正しく共生して治療を行うため、危険性は少ない。このため、高い治療効果が得られる。
一方、背が低い人でも、図4(D)のように過前屈となることはなく、図4(A)のように適切な牽引姿勢をとることができる。このため、身長が高い人と同様に、体の一部を圧迫して痛みが生じることは無く、リラックスして効果的な牽引治療ができる。
請求項2記載の発明により、請求項1記載の発明において、
治療直前に脇固定手段13を移動させて患者の脇を支持・固定するとき、同時に、脇固定手段13の移動量に対応させて、例えば比例させて、下腿載置部5を移動させ、着座部6の奥行き(D)を調節し、座席部16に腰をかけた患者の上腿部の長さ(L)に合わせるようにした。身長と上腿部の長さLはほぼ比例するため、着座部6の奥行き(D)を、患者の上腿部の長さ(L)に、自動的に調節することができるため、介助者の労力を要することなく、適切な牽引姿勢をとることができ、効果的な治療を行うことができる。
請求項3載の発明により、請求項1又は2記載の発明において、
着座部奥行き調節手段(20)を、着座部駆動部(18)と、着座部駆動部(18)が発する圧力を検出する圧力検出手段(19)とで構成し、
着座部駆動部(18)を作動させたとき、圧力検出手段(19)で検出する圧力が所定値になると、圧力検出手段(19)からの信号に基づいて着座部駆動部(18)を停止させるようにした。これにより、着座部の奥行き(D)を被治療者の上腿部の長さ(L)に合うよう自動的に調節することができ、簡単に牽引に適した姿勢にすることができ、介助者の手間を省力化できる。
請求項4載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載した牽引装置において、
着座部(6)と腰当部(7)のなす角度と、着座部(6)と下腿載置部(5)のなす角度のうち、一方又は両方の角度を調節可能にし、
患者の脊柱の湾曲に応じて、着座部(6)と腰当部(7)のなす角度と、着座部(6)と下腿載置部(5)のなす角度のうち、一方又は両方を調節して、脊柱の湾曲をさらに少なくなるように調節して牽引治療を行うことができるようにした。
患者によっては脊椎の変形が大きく、患者の上腿部の長さ(L)に合わせて着座部6の奥行き(D)を調節しても、脊柱の湾曲を十分には直線状にすることができない場合もある。このような患者であっても、本請求項記載の発明によると、着座部6の奥行き(D)と患者の上腿部の長さ(L)を合わせて安定した牽引姿勢にするとともに、前屈角度(大腿と体幹のなす角度)や膝の角度を調節することで、腰椎の形状をより適切に矯正した状態にして、牽引治療を行うことができるので、患者の体型によらず、効果的な治療を行うことができる。
請求項5記載の発明により、
座席部16に下肢保持部101を設け、牽引治療中に下肢を保持して安定化させるため、リラックスして牽引治療を受けることができるようにしたため、より高い治療効果が期待できる。
請求項6記載の発明により、
請求項1から4のいずれかに記載した腰椎牽引装置に、請求項5記載の下肢保持部101を設けた。このため、適切な牽引姿勢にした上に、下肢を安定に保持するので、よりリラックスして治療を行うことができ、このため、より高い治療効果が期待できる。
請求項7記載の発明により、請求項1から6のいずれかに記載した腰椎牽引装置において、着座部(6)を昇降させて、患者が座りやすい高さになるように調節することができる。このため、腰椎疾患の患者が、より楽に、苦痛が少ない、安全で効果的な牽引治療を受けることができる。
本発明の実施形態に係る腰椎牽引装置の構成を示す図である。 請求項1から3記載の発明の実施例である。 請求項4記載の発明の実施例である。 請求項5及び6記載の発明の実施例である。 請求項7記載の発明の実施例である。 従来の牽引装置の実施例である。 牽引装置の脇用アームの動作例である。 牽引姿勢の例である。 牽引パターン
以下に本発明の実施例を示す。
請求項1記載の発明は、図1のような、椅子状の牽引装置において、患者の上腿部の長さ(L)に着座部の奥行き(D)を合わせて、牽引に最適な姿勢にして治療をおこうことのできる牽引装置に関する、
装置は、患者の腰部と下肢を支持する座席部(16)と、座席部(16)を載置する座席用フレーム15と、患者の背部と頭部を支持する背凭部(8)と、背凭部(8)を載置するフレーム4を有する椅子状の臥台(2)と、
臥台(2)を載置する基台(1)と、
基台(1)と臥台(2)の間に設けて、臥台(2)を座位と所定角度背面側へ傾倒した牽引位の間で頃動させる頃動機構部(3)と、
座席部(16)と背凭部(8)の間に設けて、座席部(16)と背凭部(8)の距離を所定方向に離開して牽引力を発生させる牽引機構部(10)と、
座席部(16)に設けて、骨盤を座席部(16)に固定する腰部固定部(B)と、
脇を支持して牽引時に患者の体がずれないように固定する脇固定部(13)と、
牽引力を含む治療条件を入力する入力部と、設定値や現在の状態を表示する表示部とを有する操作部と、
操作部からの情報やメモリに記憶させた情報を基に、頃動機構部(3)や牽引機構部(10)などの装置全体を制御する制御部と
を設けた腰椎牽引装置において、
座席部(16)を腰当部(7)と着座部(6)と下腿載置部(5)とで構成し、
下腿載置部(5)又は着座部(6)を、着座部(6)の奥行き方向に移動可能に構成し、下腿載置部(5)又は着座部(6)を、着座部(6)の奥行き方向に移動させる着座部奥行き調節手段(20)を設け、
患者の上腿部の長さ(L)に着座部の奥行き(D)を合わせることができるようにした。
図1には、腰当部(7)と着座部(6)を一体にして、下腿載置部(5)を分離し、着座部奥行き調節手段(20)を設けている。着座部奥行き調節手段(20)は、図には示していないが、着座部(6)と下腿載置部(5)を、着座部の奥行き方向にスライドするレールで結合し、このレールに沿って下腿載置部(5)を着座部の奥行き方向に移動可能に構成している。
この着座部奥行き調節手段(20)を作動させると、着座部(6)の奥行きを調節することができる。図1では、着座部奥行き調節手段(20)に、着座部駆動部(18)を設けて、着座部(6)の奥行きを調節するようにしている。この例では、着座部駆動部(18)にリニアアクチュエータを用いている。
従来の高さが固定の脚台Kを用いると、身長が高い患者では、図8(C)のように、下肢が安定せず、このため腰部や腹部に筋肉が緊張して、牽引力が腰椎に伝わりにくく、効果的な腰椎牽引治療ができなかった。また、前湾が残っているため、牽引により、患部が刺激され、疾患が増悪することがあった。
しかし、本請求項記載の腰椎牽引装置を用いると、着座部奥行き調節手段(20)を操作して着座部(6)の奥行きを調節することができるので、図8(B)に示すように上腿部の長さLと着座部の奥行き(D)の高さを合わせることができ、図8(A)に示されるような、牽引治療に最適とされる姿勢にすることができる。このため、腰椎をほぼ直線状にして、安全な治療をおこなうことができる。また、下肢を下腿載置部(5)に安定して載置するので、腰部や腹部に余分な力が入らず筋肉をリラックスさせることができ、牽引力を腰椎に効率的に伝えることができるので、効果的な治療をおこなうことができる。さらに、下肢の一部が下腿載置部(5)のエッジに当たらないため、局所を圧迫した痛みは生じない。身長が低い患者では、従来は図8(D)に示すように、高さが固定の脚台Kを用いると、不自然な姿勢になり、前述のように、腰部や腹部の筋肉が緊張して牽引効果が低下することがあった。また、下肢の一部が下腿載置部(5)のエッジにあたり、痛みを生じることがあった。しかし、本請求項記載の腰椎牽引装置を用いると、身長が低い患者であっても、図8(B)のように脚長と脚台Kの高さを合わせることができ、図8(A)に示されるような、牽引治療に最適とされる姿勢にすることができる。また、図8(D)に示すような腰椎を直線状にして後湾を矯正することができる。このため、安全で効果的な牽引治療をおこなうことができ、治療中に局所圧迫による痛みもない。
請求項1記載の発明は、下腿載置部(5)を、又は着座部(6)と下腿載置部(5)を、又は着座部(6)と下腿載置部(5)と腰当部7を、着座部(6)の奥行き方向に移動可能に構成し、これにより、着座部(6)の奥行きのサイズを調節できるようにしたものである。
つまり、本請求項記載の発明は、着座部(6)の奥行きのサイズを調節するものであり、その構成や駆動源は問わない。
以上の説明で、構成は着座部奥行き調節手段(20)として、着座部(6)と下腿載置部(5)を、着座部の奥行き方向にスライドするレールで結合し、このレールに沿って下腿載置部(5)を着座部の奥行き方向に移動可能にした例を示したが、ガイドとスライドバーを組み合わせたものやパンタグラフを用いる方法など、どのような方法でもよい。
また、図1には、着座部(6)と下腿載置部(5)を分離し、下腿載置部(5)を移動させる例を示したが、腰当部(7)と着座部(6)を分離し、着座部(6)と下腿載置部(5)を一体にして移動させるようにしても良い。下腿載置部(5)を分離して移動させるようにしても良い。
本請求項記載の発明で、着座部奥行き調節手段(20)を操作するには、仰臥位で操作すると、下肢の荷重がかかるため、余分なエネルギーを要するので、座位でおこなう方が効率的である。座位で着座部の奥行き(D)を調節する例を図2(A)で説明する。身長が高い場合は、図2(C)に示すように、大腿部の長さLが着座部(6)の奥域Dよりも長いため、着座部(6)から大腿部がはみ出し、このまま牽引位になると、図8(C)のように、牽引に適しない姿勢になる。
そこで、本請求項起債の発明では、牽引治療を開始する前に、座位で、着座部奥行き調節手段(20)を操作して、図2(D)のように、大腿部(上腿)の長さLが着座部(6)の奥域Dと一致するようにする。
請求項1記載の発明は着座部奥行き調節手段(20)を設けて、着座部の奥行きを調節できるようにしたものである。
請求項2記載の発明は、脇固定手段(13)を、初期設定位置(P0)から患者の脇固定位置(P)まで距離Sだけ移動させたとき、これ連動して着座部奥行き調節手段(20)を作動させ、下腿載置部(5)を移動距離Sに対応させた距離sだけが移動させるようにした、請求項1記載の腰椎牽引装置である。
図1の実施例でも、特許文献1と同様に、脇固定部(13)に、脇用アームを用いている。特許文献1の脇用アームは、図7(A)に示すように、牽引治療時には脇を支持し、患者が装置に乗り降りするときには邪魔にならないように退避位置に退避させることができる。また、図7(B)に示すように、脇用アームを背凭れ8側の初期設定位置P0にセットして牽引を開始するとき、脇を支持するために、脇用アームを初期設定位置P0から、患者の脇固定位置Pまで、脇装具駆動部Qを作動させて、距離Sを自動的に移動させる。この技術の詳細は特許文献1に記載しているとおりである。
請求項2記載の発明は、図には記載していないが、特許文献1と同じ技術を用いて、脇固定手段(13)(脇用アーム)を、図7(A)のように背凭れ部と退避意位置の間で移動可能にしている。また、図7(B)のように、脇固定手段(13)を身長方向に移動させて、どのような身長の患者であっても確実に、自動的に、脇を支持し固定できるようにしている。その上で、請求項2記載の牽引装置は、図7(B)のように、脇固定手段(13)を距離Sだけ移動させたとき、これと対応させた距離sだけ下腿載置部(5)が移動するように、着座部奥行き調節手段(20)を作動させる。
距離Sと対応させた距離sとは、標準的な人の身長と上腿の長さの比から求めた数値にすればよい。身長と上腿の長さの比を補正した値でもよい。
つまり、請求項2記載の発明は、脇固定手段(13)を距離Sだけ移動させて脇を支持・固定すると同時に、下腿載置部(5)の奥行きDも自動調節し、図8(A)に示す牽引に最適な姿勢に自動的に行うものである。
つまり、請求項1で下腿載置部(5)の奥行きDを調節できる構造にした上で、駆動源を設け、これで着座部奥行き調節手段(20)を作動させ、下腿載置部(5)の奥行きDを自動的に調節するものである。
請求項3記載の発明は、図1に示すように、着座部奥行き調節手段(20)を、着座部駆動部(18)と、着座部駆動部(18)の駆動力を検出する圧力検出手段(19)とで構成し、制御部の制御信号で着座部駆動部(18)を駆動しながら、圧力検出手段(19)で圧力を検出し、検出した圧力が所定値になったとき、着座部駆動部(18)を停止させるようにし、着座部の奥行き(D)を、自動的に、患者の上腿部の長さ(L)に合わせるものである。
図2は着座部奥行き調節手段(20)の部分の例である。
請求項2記載の装置により、着座部の奥行き(D)を、自動的に、患者の上腿部の長さ(L)に合わせることができるが、身長と上腿の長さの比が標準と異なる人も多い。このため、請求項2記載の発明により、着座部の奥行き(D)を調節しても、上腿の長さと下腿載置部(5)の奥行きが一致せず、図8(C)や(D)のように、牽引に適しない姿勢になることがある。
このような場合、請求項3記載の発明を用いると、上腿の長さと下腿載置部(5)の奥行きを正確に一致させることができる。
身長が高い人で、上腿の長さLが下腿載置部(5)の奥行きDよりも大きい場合は圧力検出手段(19)で検出する圧力が小さい。逆に、身長が低い人では、上腿の長さLが下腿載置部(5)の奥行きDよりも小さいので、圧力検出手段(19)で検出する圧力は小さい。圧力が大きい場合も小さい場合も、圧力が一定値になるように着座部奥行き調節手段(20)を作動させるので、身長が高い人でも低い人でも、自動的に、患者の上腿部の長さ(L)に合わせることができる。
本請求項記載の発明により、請求項1記載の発明と組み合わせると、患者を牽引に適した姿勢に自動的にすることができる。
求項2記載の発明で、おおよそ、着座部の奥行き(D)を患者の上腿部の長さ(L)にあわせ、求項3記載の発明により、微調整を行うようにすると、短時間で、正確な着座部の奥行き(D)の調節が可能になる。
請求項1から3までの発明により、通常は、どのような身長の人でも、牽引に最適な姿勢にすることができる。
しかし、腰椎の変形が大きい場合、下肢のサイズに合わせて、腰椎と大腿部の角度を90度にしただけでは、腰椎を直線状にすることはできない。
そこで、請求項1から3までの発明により、一般に牽引に最適な姿勢とされる姿勢にした上で、請求項4記載の発明では、着座部6と背凭れ部8のなす角度と、着座部6と下腿載置部5のなす角度のうち、一方又は両方を可変にして、患者の体型(脊柱の湾曲やサイズなど)に応じて着座部6と腰当部7のなす角度を調節して、脊椎を腰椎を直線状にし、安全で効果的な治療ができるようにした。
具体的には、図3に示すように、着座部6と下腿載置部5のなす角度を自在に変更できる構成にして、着座部6と下腿載置部5のなす角度を調節する下腿載置部角度調節手段を設け、着座部6と下腿載置部5のなす角度を調節できるようにした。下腿載置部角度調節手段は手動でもよいし、電動で自動的におこなっても良い。
着座部6と腰当部7のなす角度の調整も同様に、着座部6と腰当部7の角度を調節できる構成にし、着座部6と腰当部7の間に着座部角度調節手段を設け、これを作動させて着座部6と腰当部7の角度を調節できるようにした。着座部角度調節手段は手動でも自動でもよい。
本請求項記載の発明により、請求項1から3に記載した発明でも腰椎の形状を牽引治療に適した形状にすることができない場合でも、腰椎の湾曲を少なくして、安全で効果的な牽引治療を行うことができるようになった。
図6に示すような従来の牽引装置では、請求項1から4記載の発明による牽引装置も含めて、脚台K又は下腿載置部(5)に脚を載せて牽引治療をおこなうと、脚は大腿部が太いため、牽引をおこなって脚がすこし動くと、少しずつ脚が開く。このため、力を入れて脚が開かないようにするため、腰部や腹部の筋肉も緊張する。このため、牽引力が腰椎に伝わりにくく、効果的な牽引ができないことがある。
この問題を解決して、常にリラックスして効果的な牽引治療をおこなうことができるようにするのが、請求項5記載の発明である。
請求項5記載の発明では、座席部(16)に下肢保持部(101)を設けて下肢を安定した状態に保持するようにし、リラックスして牽引治療を受けることができるようにしている。この実施例を図4に示す。
座席部(16)に、この実施例では下腿載置部(5)に、下肢保持部(101)を設けて脚を支持して開脚しないようにしている。
このため、患者は開脚に気を使う必要は無く、腰部や腹部の筋肉は余分な緊張を生じないため、リラックスして、効果的な牽引治療を受けることができる。
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明の具遺体的な実施例である。請求項1から4のいずれかに記載した腰椎牽引装置に、請求項5に記載した下肢保持部(101)を座席部(16)に設けて、下肢を安定した状態に保持するようにし、リラックスして牽引治療を受けることができるようにするものである。
図4(A)は、本請求項記載の発明により牽引治療を子なっているときの正面図で、(B)はその平面図である。(C)は下肢保持部(101)の例である。
請求項1から4記載の発明により、患者は牽引治療に最適の姿勢になることができる。これに下肢保持部(101)を追加することで、下肢の開脚を防止する。このため、本請求項記載の発明により、最も安全で効果的な牽引治療が可能になる。
この実施例では、下肢保持部(101)を下腿載置部(5)に設けている例を示している。しかし、下肢の開脚を防止するには、下肢保持部(101)を着座部(6)に設けても良い。
図4(C)には、下肢保持部(101)の実施例を示す。枠体102にクッション部103を設け、この中に下肢Nを置くようにすることで、下肢を一定の状態に保持している。
下肢保持部(101)は、下腿載置部(5)又は着座部(6)に2つの凹部を設けてその中に脚を置いて保持するようにしても良い。下肢保持部(101)の構造は問わない。
クッション部103に流体を通して加圧すると、脚のサイズによらず、より安定に保持することができ、さらに、クッション部103の加圧を変動させると、牽引治療時に脚のマッサージをおこなうこともできる。
請求項7記載の発明は、着座部(6)を昇降させる昇降部(P)を設け、治療前後に椅子状にした臥台(2)の着座部(6)を昇降させて、患者が座りやすい高さになるように調節するようにした、請求項1から6のいずれかに記載した腰椎牽引装置に関する。
この実施例を図5に示す。この例では、基台1と臥台2の間に昇降機後部Pを設け、患者の下肢長に合わせて着座部(6)を昇降させるようにしている。このようにすることで、どのような体格の患者でも、楽に着座部(6)に着座することができ、患者の肉体的な苦痛を大幅に軽減できる。
図5は臥台全体を昇降させるようにしているが、着座部(6)だけを昇降させるようにしても良い。昇降部(P)の昇降手段や構造、取り付け位置などは問わない。
請求項1から6までに記載した発明で、最適な牽引姿勢にして、また、最も安全な姿勢にして、リラックスして、効果的な治療をおこなうことができるが、本請求項記載の発明により、治療前後も患者の苦痛を少なくすることができる。
以下に、本願発明のよる腰椎牽引装置の動作について説明する。
治療前に、装置は椅子状にしておく。脇固定手段である脇用アーム13は、患者の装置への乗り降りの邪魔にならないように、図7(A)のように矢印T方向に回動させて、退避位置にしておく。
患者の疾患に適した治療条件を、操作部から入力する。
患者が臥台2に載る前に、請求項7記載の発明を利用して、昇降機後部Pを作動させて患者の体格に合わせて、着座部(6)の高さを楽に座れる位置に調節する。
この状態で患者を着座部(6)に座らせ、ベルトBを締めて患者の腰部を座席部(16)に固定する。続いて、請求項1から3のいずれかにより、又はこれらを組み合わせて、着座部(6)の奥行きDを調節して、患者の脚長に合わせ、また、請求項4記載の発明により腰椎の変形を勘案して、腰椎が直線状になるように調節する。
これで牽引姿勢は最適の状態になり、治療の準備は完了である。
操作部の治療開始スイッチを押すと治療タイマがスタートし、頃動機構部(3)を作動させ、臥台2が後方に頃動する。この頃動と同期して、脇用アームが患者の邪魔にならない退避位置から矢印Tのように回動して脇用アームの初期位置P0にセットされる。初期位置P0は想定する最も背の低い患者の脇位置程度である。
頃動が終了して牽引する角度(牽引位)になると、休止モードになり、休止タイマがスタートする。これと同時に、脇用装具駆動部14を駆動して、脇のほうに脇用アーム13を移動させる。脇用アーム13の移動中、図には示していないが、脇当12と脇の間の圧力を測定する圧力計で圧力をモニタし、12が脇に当たって所定値以上の圧力になると、脇用装具駆動部14をその位置に固定する、これで脇は脇用アーム13で支持され、その位置に固定される。このようにして脇用アーム13をセットするので、どのような身長の患者であっても、簡単に自動的に脇の位置を検出して、脇を支持・固定することができる。
これで腰部と脇が固定され、牽引をおこなうのを待つ状態になった。
休止時間が終了すると、牽引モードに移る、牽引モードでは、牽引機構部(10)を作動させて、座席部(16)を移動して牽引をおこなう。この間、圧力計9で牽引力をモニタし、牽引力が設定値になると、牽引機構部(10)を停止し、牽引力を持続し、持続モードに移る。
持続モードでは持続タイマが作動し、設定時間が経過すると、緩和モードになり、牽引機構部(10)を牽引と逆方向に作動させ、牽引を緩和する。
牽引力がゼロ又は所定値以下になると、牽引機構部(10)を停止し、休止モードになる。
治療時間が経過するまで、これを繰り返し、間歇牽引をおこなう。
牽引条件の設定時に、持続時間を治療時間以上にすると、治療時間中、持続して一定牽引力で牽引をおこなう連続牽引をおこなうことができる。
治療時間が終了すると、牽引機構部(10)を停止し、頃動機構部(3)を作動させて、臥台2を元の座位に戻す。」この頃動と同期して、脇用アーム13を初期位置P0に移動させ、さらに、退避位置に退避させる。これで脇の固定が解除される。
座位で、着座部(6)の高さを調節して、患者が乗り降りするのに楽な高さにする。この常置にした後、腰用ベルトBを取り外すと、全ての治療が終了になり、患者は装置から降りることができる。以上が、本発明の腰椎牽引装置による治療である。
1:基台
2:臥台
3:傾動機構部
4:フレーム
5:下腿載置部
6:着座部
7:腰当部
8:背凭部
9:荷重検出部
10:牽引機構部
11:アーム
12:脇当
13:脇固定手段
14:脇装具駆動部
15:座席用フレーム
16:座席部
18:下腿載置部駆動手段
19:圧力検出手段
20:下腿載置部移動手段
101:下肢保持部
102:枠体
103:クッション部
D:着座部の奥行き
L:患者の上腿部の長さ
H:着座部角度調節用駆動部
B:腰部固定ベルト
Q:着座部(6)昇降部
P:脇固定位置
P0:初期設定位置
S:脇用アームの脇方向への移動距離
S:着座部の奥行きの調整距離
T:脇用アームの回動方向
M:患者
U:座席部の高さ調節距離

Claims (7)

  1. 患者の腰部と下肢を支持する座席部(16)と、患者の背部と頭部を支持する背凭部(8)とを有する椅子状の臥台(2)と、
    臥台(2)を載置する基台(1)と、
    基台(1)と臥台(2)の間に設けて、臥台(2)を座位と所定角度背面側へ傾倒した牽引位の間で頃動させる頃動機構部(3)と、
    座席部(16)と背凭部(8)の間に設けて、座席部(16)と背凭部(8)の距離を所定方向に離開して牽引力を発生させる牽引機構部(10)と、
    座席部(16)に設けて、腰部を座席部(16)に固定する腰部固定部(B)と、
    脇を支持して牽引時に患者の体がずれないように固定する脇固定部(13)と、
    牽引力を含む治療条件を入力する入力部と、設定値や現在の状態を表示する表示部とを有する操作部と、
    操作部からの情報やメモリに記憶させた情報を基に、頃動機構部(3)や牽引機構部(10)などの装置全体を制御する制御部と
    を設けた牽引装置において、
    座席部(16)を腰当部(7)と着座部(6)と下腿載置部(5)とで構成し、
    着座部(6)と背凭部(8)のなす角度と、着座部(6)と下腿載置部(5)のなす角度のうち、一方又は両方の角度を調節可能にし、患者の体型に応じて脊柱の湾曲が少なくなるよう、着座部(6)と背凭部(8)のなす角度と、着座部(6)と下腿載置部(5)のなす角度のうち、一方又は両方を調節して牽引治療を行うようにしたことを特徴とする腰椎牽引装置。
  2. 請求項1に記載した牽引装置において、
    座席部(16)を腰当部(7)と着座部(6)と下腿載置部(5)とで構成し、
    下腿載置部(5)又は着座部(6)を、着座部(6)の奥行き方向に移動可能に構成し、
    下腿載置部(5)又は着座部(6)を、着座部(6)の奥行き方向に移動させる着座部奥行き調節手段(20)を設け、
    患者の上腿部の長さ(L)に着座部の奥行き(D)を合わせることで、
    前記腰部と大腿部のなす角度及び膝への屈曲角度がそれぞれ90度になるよう
    にしたことを特徴とする腰椎牽引装置。
  3. 脇固定手段(13)を、初期設定位置(P0)から患者の脇固定位置(P)まで距離Sだけ移動させたとき、
    これと連動して着座部奥行き調節手段(20)を作動させ、下腿載置部(5)を移動距離Sに対応させた距離sだけが移動させるようにした、請求項1乃至2記載の腰椎牽引装置。
  4. 着座部奥行き調節手段(20)を、着座部駆動部(18)と、着座部駆動部(18)の駆動力を検出する圧力検出手段(19)とで構成し、
    着座部駆動部(18)を作動させながら、圧力検出手段(19)で圧力を検出し、検出した圧力が所定値になったとき、着座部駆動部(18)を停止させるようにし、着座部の奥行き(D)を、自動的に、患者の上腿部の長さ(L)に合わせることができるようにしたことを特徴とする請求項1乃至3記載の腰椎牽引装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載した牽引装置において、
    座席部(16)に下肢保持部(101)を設けて下肢の開脚を防止して安定した状態に保持して牽引治療を受けることができるようにしたことを特徴とする腰椎牽引装置。
  6. 下腿(N)を載置する枠体(102)とクッション部(103)を設けた下肢保持部(101)を下腿載置部(5)に設け、下肢を安定した状態に保持するようにしたことを特徴とする、請求項1乃至5記載の腰椎牽引装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載した牽引装置において、
    着座部(6)を昇降させる昇降部(P)を設け、
    椅子状にした臥台(2)に患者を座らせるとき、着座部(6)を昇降させて、患者が座りやすい高さになるように調節するようにしたことを特徴とする、腰椎牽引装置。
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