JP2013214649A - 半導体装置およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、撥液性を充分に確保しながら、ムラも生じることのない絶縁性の良好な絶縁膜を有し、性能の良好な薄膜トランジスタを有する半導体装置を提供する。
【解決手段】銅微粒子が連接して形成されたゲート電極12、ソース電極13およびドレイン電極14と、ゲート電極12とソース電極13およびドレイン電極14との間に設けられ、撥液性重合体と絶縁性ポリマーとを含む硬化性組成物から得られたゲート絶縁膜16と、ソース電極13とドレイン電極14との間に設けられた塗布型半導体15と、を有する半導体装置10。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体装置およびその製造方法に係り、特に、薄膜トランジスタ構造を有する半導体装置およびその製造方法に関する。
薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor)は、例えば、アクティブマトリックス型の液晶ディスプレイにおいて画素電極のスイッチングに用いられるなど、電子回路において欠かすことのできない素子となってきている。
しかし、半導体材料としてアモルファスシリコンや多結晶シリコンを用いるSi系無機半導体トランジスタの場合、露光、ドーピング、成膜、エッチング等の精密かつ複雑な工程を必要とする。また、クリーンルームや真空装置など、設備も大型となるため、コストが高く、成膜後にエッチング等を行うため材料の利用効率も低かった。
一方、塗布型半導体装置は、塗布型半導体材料を溶媒に溶解してインク化し、これを塗工することで半導体を形成でき、塗布型半導体やその他の部材を形成できる親液性領域とこれら部材を形成しない撥液性領域のパターンとを形成できる硬化膜も、硬化性材料を塗工して得ることができる。すなわち、塗布型半導体トランジスタの製造は、常温・常圧での成膜操作が可能であって、真空プロセスを必要としないため製造コストを低減できる。また、このような塗工による製造は材料の利用効率も高いので低コストかつ環境負荷も低減した薄膜トランジスタを形成できる(例えば、特許文献1〜3参照)。
ここで、親液性領域と撥液性領域とのパターンを形成するには、紫外線の照射によって親液化し得る撥液性を有する材料を用いればよい。このような材料としては、例えば、下記が提案されている。
(1)光触媒(二酸化チタン等)およびバインダ(オルガノポリシロキサン等)を含む材料(特許文献4参照)。
(2)紫外線の照射によって分解、除去し得る低分子量の含フッ素化合物を含む組成物(特許文献5、6および非特許文献1参照)。
(3)側鎖に疎水性基を有するポリイミド(特許文献7および8参照)。
(4)主鎖にチオールエステル結合を有するポリイミド(特許文献9参照)。
また、フレキシブルデバイス製造の観点から、金属インクを用いた配線形成が検討されている。これらは、金属元素を含むインク・ペーストを用い印刷法によりパターン形成した後、印刷された配線パターンに金属導電性を付与することにより実現される。これまで、低温での焼結特性の観点から銀ナノ粒子を用いた配線形成が検討されてきた(特許文献10および11参照)。
特開2011−77470号公報 特開2011−119529号公報 特開2011−124312号公報 特許第4300012号公報 国際公開第2005/054256号 特開2008−50321号公報 特許第4629997号公報 特開2005−310962号公報 国際公開第2008/133300号 特開2010−185140号公報 特開2010−150543号公報
K.クリッチリー他(Critchley, K. etc)著、「温和な光活性化による親水性/疎水性スイッチ(A Mild Photoactivated Hydrophilic/Hydrophobic Switch)」,ラングミュア(Langmuir),米国,米国化学会,2005年5月10日発行,21,p4554
上記(1)の材料を用いて撥液性を有する硬化膜を形成した場合、光触媒が該硬化膜に残存したままとなる。機能性薄膜を有する物品が薄膜トランジスタ、半導体素子等の場合、硬化膜は絶縁膜となるため、この残存する光触媒が、絶縁膜の特性(絶縁性等)に悪影響を及ぼす。
上記(2)の含フッ素化合物を含む組成物を用いて撥液性を有する硬化膜を形成した場合、含フッ素化合物が比較的低分子量のため、該硬化膜中に含フッ素化合物が均一に分散して、含フッ素化合物が硬化膜の表面(基材と反対側)に偏在しない。そのため、硬化膜の表面の撥液性が不充分となる場合がある。また、得られた硬化膜は、絶縁特性が不充分な場合がある。
上記(3)、(4)のポリイミドを用いて撥液性を有する硬化膜を形成した場合、ポリイミドが比較的長波長側の紫外線(たとえば、波長300nm以上の紫外線)を吸収する。そのため、高圧水銀灯(i線365nm)、YAGレーザ(3倍波355nm)等の紫外線の光源として通常よく用いられる光源を用いた場合、感度が不充分となる。また、本発明者の知見によれば、特許文献8に記載のポリイミドを用いて硬化層を形成した場合、ポリイミドが側鎖に疎水性基を有するため、疎水性基が硬化層表面に効率的に存在することができない。そのため、硬化層表面の撥液性にムラが生じることがある。また、硬化層の内部に存在する疎水性基は紫外線の照射によって分解できず、親液性にムラが生じることがある。硬化層内部に存在する疎水性基は分解して脱離できたとしても、除去できずに硬化層中に残存するおそれがある。疎水性基の分解物が残存すると、半導体装置使用時に異物となって、電極のスイッチング特性を阻害するおそれがある。
また、配線に関しては、銀はエレクトロマイグレーションを起こしやすい特徴があり、微細な配線形成に用いた場合、このエレクトロマイグレーションにより配線がショートする問題がある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、本発明の半導体装置およびその製造方法により、上記問題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の半導体装置は、銅微粒子が連接して形成されたゲート電極、ソース電極およびドレイン電極と、前記ゲート電極と前記ソース電極および前記ドレイン電極との間に設けられ、撥液性重合体と絶縁性ポリマーとを含む硬化性組成物から得られたゲート絶縁膜と、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に設けられた塗布型半導体と、を有することを特徴とする。
また、本発明の半導体装置の製造方法は、基板上に、撥液性重合体と絶縁性ポリマーとを含む硬化性組成物または前記硬化性組成物と溶剤とを含む塗布用組成物を塗工して塗膜を形成し、加熱または光照射により硬化させて硬化膜を形成する工程と、前記硬化膜の所望の箇所に紫外線を照射し、撥液性領域とゲート電極用の親液性領域とのパターンを有する硬化膜を形成する工程と、前記硬化膜上に形成されたゲート電極用の親液性領域のパターンの上に、平均一次粒子径が5〜100nmの水素化銅微粒子または銅微粒子を含有する導電インクを塗工し、加熱してゲート電極を形成する工程と、前記硬化膜および前記ゲート電極の上に、前記硬化性組成物または前記塗布用組成物を塗工して塗膜を形成し、加熱または光照射により硬化させてゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜の所望の箇所に紫外線を照射し、撥液性領域とソース・ドレイン電極用の親液性領域とのパターンを有するゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたソース・ドレイン電極用の親液性領域のパターン上に、前記水素化銅微粒子または銅微粒子を含有する導電インクを塗工し、加熱してソース電極およびドレイン電極を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜上において、前記ソース電極とドレイン電極との間の所望の箇所に紫外線を照射し、塗布型半導体用の親液性領域のパターンを形成する工程と、前記ゲート絶縁膜上に形成された塗布型半導体用の親液性領域のパターン上に、塗布型半導体組成物を塗工し、加熱して塗布型半導体を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜、前記ソース電極、前記ドレイン電極および前記塗布型半導体上に、前記硬化性組成物または前記塗布用組成物を塗工して塗膜を形成し、加熱または光照射により硬化させて層間絶縁膜を形成する工程と、を有することを特徴とする。
本発明の他の半導体装置の製造方法は、基板上に、撥液性重合体と絶縁性ポリマーとを含む硬化性組成物または前記硬化性組成物と溶剤とを含む塗布用組成物を塗工して塗膜を形成し、必要に応じて溶剤を除去して、乾燥膜を形成する工程と、前記乾燥膜の所望の箇所に紫外線を照射し、撥液性領域とゲート電極用の親液性領域とのパターンを有する乾燥膜を形成する工程と、前記撥液性領域とゲート電極用の親液性領域とのパターンを有する乾燥膜を加熱または光照射により硬化させて、撥液性領域とゲート電極用の親液性領域とのパターンを有する硬化膜を形成する工程と、前記硬化膜上に形成されたゲート電極用の親液性領域のパターン上に、平均一次粒子径が5〜100nmの水素化銅微粒子または銅微粒子を含有する導電インクを塗工し、加熱してゲート電極を形成する工程と、前記硬化膜および前記ゲート電極の上に、前記硬化性組成物または前記塗布用組成物を塗工して塗膜を形成し、必要に応じて溶剤を除去して、ゲート絶縁膜用の乾燥膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜用の乾燥膜の所望の箇所に紫外線を照射し、撥液性領域とソース・ドレイン電極用の親液性領域とのパターンを有する乾燥膜を形成する工程と、前記撥液性領域とソース・ドレイン電極用の親液性領域とのパターンを有する乾燥膜を加熱または光照射により硬化させて、撥液性領域とソース・ドレイン電極用の親液性領域とのパターンを有するゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたソース・ドレイン電極用の親液性領域のパターンの上に、前記水素化銅微粒子または銅微粒子を含有する導電インクを塗工し、加熱してソース電極およびドレイン電極を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜上において、前記ソース電極とドレイン電極との間の所望の箇所に紫外線を照射し、撥液性領域と塗布型半導体用の親液性領域とのパターンを形成する工程と、前記ゲート絶縁膜上に形成された塗布型半導体用の親液性領域のパターン上に、塗布型半導体組成物を塗工し、加熱して塗布型半導体を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜、前記ソース電極、前記ドレイン電極および前記塗布型半導体上に、前記硬化性組成物または前記塗布用組成物を塗工して塗膜を形成し、必要に応じて溶剤を除去して、加熱または光照射により硬化させて層間絶縁膜を形成する工程と、を有することを特徴とする。
本発明のさらに他の半導体装置の製造方法は、基板上に、撥液性重合体と絶縁性ポリマーとを含む硬化性組成物または前記硬化性組成物と溶剤とを含む塗布用組成物を塗工して塗膜を形成し、加熱または光照射により硬化させて硬化膜を形成する工程と、前記硬化膜上の所望の領域に紫外線を照射し、撥液性領域とソース・ドレイン電極用の親液性領域とのパターンを有する硬化膜を形成する工程と、前記硬化膜上に形成されたソース・ドレイン電極用の親液性領域のパターンの上に、平均一次粒子径が5〜100nmの水素化銅微粒子または銅微粒子を含有する導電インクを塗工し、加熱してソース電極およびドレイン電極を形成する工程と、前記硬化膜上において、前記ソース電極とドレイン電極との間の所望の箇所に紫外線を照射し、塗布型半導体用の親液性領域のパターンを形成する工程と、前記硬化膜上に形成された塗布型半導体用の親液性領域のパターン上に、塗布型半導体組成物を塗工し、加熱して塗布型半導体を形成する工程と、前記硬化膜、前記塗布型半導体、前記ソース電極および前記ドレイン電極の上に、前記硬化性組成物または前記塗布用組成物を塗工して塗膜を形成し、加熱または光照射により硬化させてゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜の所望の箇所に紫外線を照射し、撥液性領域とゲート電極用の親液性領域とのパターンを有するゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極用の親液性領域のパターンの上に、前記水素化銅微粒子または銅微粒子を含有する導電インクを塗工し、加熱してゲート電極を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜およびゲート電極上に、前記硬化性組成物または前記塗布用組成物を塗工して塗膜を形成し、加熱または光照射により硬化させて層間絶縁膜を形成する工程と、を有することを特徴とする。
そして、本発明のさらに他の半導体装置の製造方法は、基板上に、撥液性重合体と絶縁性ポリマーとを含む硬化性組成物または前記硬化性組成物と溶剤とを含む塗布用組成物を塗工して塗膜を形成し、必要に応じて溶剤を除去して、乾燥膜を形成する工程と、前記乾燥膜の所望の箇所に紫外線を照射し、撥液性領域とソース・ドレイン電極用の親液性領域とのパターンを有する乾燥膜を形成する工程と、前記撥液性領域とソース・ドレイン電極用の親液性領域とのパターンを有する乾燥膜を加熱または光照射により硬化させて、撥液性領域とソース・ドレイン電極用の親液性領域とのパターンを有する硬化膜を形成する工程と、前記硬化膜上に形成されたソース・ドレイン電極用の親液性領域のパターンの上に、平均一次粒子径が5〜100nmの水素化銅微粒子または銅微粒子を含有する導電インクを塗工し、加熱してソース電極およびドレイン電極を形成する工程と、前記硬化膜上において、前記ソース電極とドレイン電極との間の所望の箇所に紫外線を照射し、撥液性領域と塗布型半導体用の親液性領域とのパターンを形成する工程と、前記塗布型半導体用の親液性領域のパターン上に、塗布型半導体組成物を塗工し、加熱して塗布型半導体を形成する工程と、前記硬化膜、前記塗布型半導体、前記ソース電極および前記ドレイン電極の上に、前記硬化性組成物または前記塗布用組成物を塗工して塗膜を形成し、必要に応じて溶剤を除去して、ゲート絶縁膜用の乾燥膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜用の乾燥膜の所望の箇所に紫外線を照射し、撥液性領域とゲート電極用の親液性領域とのパターンを有するゲート絶縁膜用の乾燥膜を形成する工程と、前記撥液性領域とゲート電極用の親液性領域とのパターンを有する乾燥膜を加熱または光照射により硬化させて、撥液性領域とゲート電極用の親液性領域とのパターンを有するゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極用の親液性領域のパターンの上に、前記水素化銅微粒子または銅微粒子を含有する導電インクを塗工し、加熱してゲート電極を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜およびゲート電極上に、前記硬化性組成物または前記塗布用組成物を塗工して塗膜を形成し、必要に応じて溶剤を除去し、加熱または光照射により硬化させて層間絶縁膜を形成する工程と、を有することを特徴とする。
本発明の半導体装置およびその製造方法によれば、撥液性を充分に確保しながら、ムラも生じることのない絶縁性の良好な絶縁膜が得られ、薄膜トランジスタを有する半導体装置の性能を良好なものとできる。また、配線用の金属として銅微粒子を用い、エレクトロマイグレーションによるショートの問題を生じにくい半導体装置が得られる。
本発明の一実施形態である半導体装置の概略構成を示した断面図である。 図1の半導体装置の製造方法を説明する図である。 図1の半導体装置に画素電極を形成した構成を示した断面図である。 本発明の他の実施形態である半導体装置の概略構成を示した断面図である。 図4の半導体装置の製造方法を説明する図である。
以下、本発明について図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1の実施形態]
ここで、図1は、本発明の一実施形態である半導体装置の概略構成を示した断面図である。本発明の第1の実施形態である半導体装置10は、図1に示したように、基板11と、ゲート電極12と、ソース電極13と、ドレイン電極14と、塗布型半導体15と、を有し、ゲート電極12と、ソース電極13およびドレイン電極14との間には、撥液性重合体と絶縁性ポリマーとを含む硬化性組成物から形成されたゲート絶縁膜16が設けられている。
また、ゲート電極12を形成するにあたって、基板表面を改質するための硬化膜17、ソース電極13、ドレイン電極14および塗布型半導体15を外部環境から保護したり、他のトランジスタ構成を積層したり、するための層間絶縁膜18が、形成されている。
さらに、図3に示すように、層間絶縁膜18に孔部をレーザアブレーション法等で形成し、ドレイン電極14と接続するように画素電極19を形成して、液晶ディスプレイ等に好適な半導体装置とすることもできる。
以下、本実施形態の半導体装置10の構成についてそれぞれ説明する。
<基板>
本発明に用いられる基板11としては、半導体装置として使用できれば特に限定されず、例えば、ガラス基板、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルフォン、ポリイミド等のプラスチック基板、ガラス繊維強化プラスチック基板等の繊維強化複合材料等が挙げられる。また、本発明に用いられる基板11の厚みは、こちらも特に限定されないが、例えば、20〜500μmが好ましく、50〜300μmがより好ましい。
<電極>
本発明の電極としては、上記の通り、ゲート電極12、ソース電極13およびドレイン電極14が設けられる。ここで形成される電極は、導電性を付与するために銅微粒子を使用したものであり、後述する製造方法によるもので、銅微粒子が連接して形成された銅電極である。銅電極は、銀電極に比較し表面拡散係数が小さく、微粒子が連接していることで表面積が小さいためエレクトロマイグレーションによるショートの問題を生じにくく、半導体装置の電極として好ましい。
このような銅電極を形成するには、水素化銅微粒子または銅微粒子を含有する導電インクを使用して、電極を形成したい箇所に、該インクを塗工し、加熱して焼成することで銅微粒子が連接した状態とすればよい。ここで用いられる導電インクは次のようにして得られる。
(導電インク)
本発明に使用する導電インクは、水素化銅微粒子または銅微粒子を含有する分散液を用いて製造したインクであり、例えば、後述する製造方法により得られる。
水素化銅微粒子分散液は、後述する溶媒(A)中で、後述するアルキルアミン(B)の存在下、ヒドリド系還元剤により銅(II)塩を還元することにより得られる。
生成させる水素化銅微粒子(一次粒子)の平均一次粒子径は、5〜100nm以下が好ましく、5〜70nmがより好ましく、5〜35nmが特に好ましい。水素化銅微粒子の平均一次粒子径が上記範囲の上限以下であれば、微粒子の特徴である低温での焼結性が良好となり、得られる導体の体積抵抗値を低くできる。また、水素化銅微粒子の平均一次粒子径が上記範囲の下限以上であれば、水素化銅微粒子を安定に分散させることができる。本明細書において、分散している粒子の最小単位を一次粒径とする。また、凝集状態にある粒子の場合は、凝集体を構成している個々の粒子を一次粒子とする。
銅(II)塩としては、例えば、シュウ酸銅(II)(遊離するシュウ酸の分解点:189.5℃)、塩化銅(II)(遊離する塩酸の沸点110℃)、酢酸銅(II)(遊離する酢酸の沸点:118℃)、ギ酸銅(II)(遊離するギ酸の沸点:100.75℃)、硝酸銅(II)(遊離する硝酸の沸点:82.6℃)、硫酸銅(II)(遊離する硫酸の沸点:290℃)、クエン酸銅(II)(遊離するクエン酸の分解点:175℃)、オレイン酸銅(II)(遊離するオレイン酸の沸点:193℃/100Pa、分解点:400℃以上)が挙げられる。なかでも、酢酸銅(II)、ギ酸銅(II)、硝酸銅(II)、炭酸銅(II)が好ましい。
銅(II)塩は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ヒドリド系還元剤としては、例えば、NaBH、LiBH、Zn(BH、(CHNBH(OCOCH、NaBHCN、LiAlH、(i−Bu)AlH(DIBAL)、LiAlH(t−BuO)、NaAlH(OCHCHOCH(Red−Al)等が挙げられる。なかでも、水素化銅微粒子の粒子径の制御に重要である還元速度が調節しやすい点から、NaBH、LiBH、およびNaBHCNからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
ヒドリド系還元剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
溶媒(A)は、溶解度パラメータ(SP値)が8〜12の溶媒である。SP値が8〜12であれば、溶媒(A)と水との相溶性が低く、反応系中に水が混入することを抑制できる。これにより、溶媒(A)中に溶解したヒドリド系還元剤が水と反応して不活性化することを抑制できる。
溶媒(A)のSP値は、8.5〜9.5がより好ましい。
溶媒(A)としては、例えば、シクロヘキサン(SP値8.2)、酢酸イソブチル(SP値8.3)、酢酸イソプロピル(SP値8.4)、酢酸ブチル(SP値8.5)、四塩化炭素(SP値8.6)、エチルベンゼン(SP値8.8)、キシレン(SP値8.8)、トルエン(SP値8.9)、酢酸エチル(SP値9.1)、テトラヒドロフラン(SP値9.1)、ベンゼン(SP値9.2)、クロロホルム(SP値9.3)、塩化メチレン(SP値9.7)、二硫化炭素(SP値10.0)、酢酸(SP値10.1)、ピリジン(SP値10.7)、ジメチルホルムアミド(SP値12.0)等が挙げられる。
また、溶媒(A)としては、還元反応に使用するヒドリド系還元剤に対して不活性な溶媒を使用することが好ましい。すなわち、溶媒(A)として、還元反応に使用するヒドリド系還元剤によって還元されない溶媒、または活性水素を持たない溶媒を使用することによって、ヒドリド系還元剤による不活性化を抑制できる。
溶媒(A)としては、還元反応の制御が容易な点、および生成する水素化銅微粒子および銅微粒子の分散性の点から、トルエン、キシレン、べンゼン等の炭化水素類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル等のエステル類;が好ましく、トルエン、キシレンが特に好ましい。
溶媒(A)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、ヒドリド系還元剤は種類によって還元力に差がある。例えば、NaBHはエステル類を還元しないが、LiAlHはエステル類を還元する。よって、使用するヒドリド系還元剤の種類により、上記溶媒(A)として記載された溶媒から、適切な溶媒を選択して使用する。
アルキルアミン(B)は、炭素数7以上のアルキル基を有し、かつ沸点が250℃以下のアルキルアミンである。
アルキルアミン(B)におけるアルキル基の炭素数が7以上であれば、生成する水素化銅微粒子の分散性が良好となる。なお、本発明では反応場が有機相であるため、水からの保護を目的として、炭素数の大きいアルキルアミンを使用する必要がない。アルキルアミン(B)におけるアルキル基の炭素数は、沸点が高くなりすぎることを抑制する点から、11以下が好ましい。
アルキルアミン(B)の沸点が250℃以下であれば、導体を形成する際、アルキルアミン(B)が微粒子表面から脱離し、揮発して体積抵抗率の低い導体を形成できる。アルキルアミン(B)の沸点は、加熱時の脱離性および揮発性の点から、250℃以下が好ましく、200℃以下がより好ましい。また、アルキルアミン(B)の沸点は、アルキル基の炭素数を7以上とする点から、通常は150℃以上が好ましい。
アルキルアミン(B)のアルキル基は、得られる水素化銅微粒子の分散安定性の点から、直鎖アルキル基が好ましい。ただし、アルキルアミン(B)のアルキル基は、分岐アルキル基であってもよい。
アルキルアミン(B)としては、n−ヘプチルアミン(アルキル基の炭素数7、沸点157℃)、n−オクチルアミン(アルキル基の炭素数8、沸点176℃)、n−ノニルアミン(アルキル基の炭素数9、沸点201℃)、1−アミノデカン(アルキル基の炭素数10、沸点220℃)、1−アミノウンデカン(アルキル基の炭素数11、沸点242℃)が好ましく、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミンがより好ましい。
アルキルアミン(B)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の水素化銅微粒子分散液の製造方法では、アルキルアミン(B)の存在下において、ヒドリド系還元剤で銅(II)塩を還元することで水素化銅微粒子を生成させる。アルキルアミン(B)の存在下では、アルキルアミン(B)が銅(II)に配位して銅(II)アミン錯体が形成された後、該銅(II)アミン錯体がヒドリド系還元剤によって還元される。これにより、銅(II)塩の急激な還元による水素化銅の塊の形成を抑制でき、水素化銅の微粒子の表面にアルキルアミン(B)が配位した水素化銅微粒子が生成する。
また、本発明の製造方法では、ヒドリド系還元剤の溶媒(A)に対する溶解性がさほど高くないため、大半が固形状で溶媒(A)中に存在し、一部が溶媒(A)中に溶解している。この溶媒(A)中に溶解しているヒドリド系還元剤が銅(II)塩を還元して消費されると、固形状で存在するヒドリド系還元剤が溶媒(A)に徐々に溶解する。そして、溶媒(A)に徐々に溶解したヒドリド系還元剤が順次還元反応に寄与するので、還元反応が急激に進行せず、水素化銅微粒子が安定して生成する。
生成する水素化銅微粒子は、表面にアルキルアミン(B)が配位していることで、溶媒(A)中に分散できる。
銅(II)塩、ヒドリド系還元剤、アルキルアミン(B)を溶媒(A)に添加する順序は、アルキルアミン(B)、銅(II)塩、ヒドリド系還元剤の順が好ましい。これにより、上記銅(II)アミン錯体が形成された後に、該銅(II)アミン錯体のヒドリド系還元剤による還元が進行しやすくなり、水素化銅微粒子がより安定して得られる。
ただし、銅(II)塩、ヒドリド系還元剤、アルキルアミン(B)を溶媒(A)に添加する順序は、ヒドリド系還元剤による還元反応がアルキルアミン(B)の存在下で進行する順序であれば上記順序には限定されない。例えば、溶媒(A)に、アルキルアミン(B)、ヒドリド系還元剤、銅(II)塩の順に添加してもよい。この場合、ヒドリド系還元剤は溶媒(A)中に固形状で存在しており、溶媒(A)中で上記銅(II)アミン錯体が形成された後、固形状で存在する該銅(II)アミン錯体がヒドリド系還元剤と反応する。さらに、ヒドリド系還元剤、アルキルアミン(B)、銅(II)塩の順に添加しても、差し支えない。
ヒドリド系還元剤による還元反応は、溶媒(A)を撹拌しながら行ってもよい。これにより、還元反応が進行しやすくなる。
また、銅微粒子分散液は、上記のように得られた水素化銅微粒子分散液を、不活性雰囲気中で60℃以上に加熱することで製造できる。加熱温度は、水素化銅から水素が分解(脱離)する60℃以上が好ましく、処理時間(温度が低いと時間がかかる)と得られる銅微粒子の分散粒径(温度が高すぎると凝集してしまう)の観点から80〜100℃がより好ましい。
そして、水素化銅微粒子分散液または銅微粒子分散液における固形分である水素化銅微粒子または銅微粒子の濃度は、分散液全体を100質量%としたとき、1〜6質量%が好ましく、2.5〜4.5質量%がより好ましい。これら分散液の固形分濃度が上記範囲の下限未満であると、濃縮工程に時間がかかり、生産性が低下するおそれがある。水素化銅微粒子分散液または銅微粒子分散液の固形分濃度が上記範囲を超えると、分散液中の水素化銅微粒子または銅微粒子の分散安定性が悪化するおそれがある。
本発明で使用する導電インクは、上記のようにして得られた水素化銅微粒子分散液または銅微粒子分散液の固形分濃度、粘度を調整するか、溶媒(A)を溶媒(A)以外の他の溶媒(すなわち、SP値が8未満または12超の溶媒、以下、「溶媒(C)」と記す。)に置換し、固形分濃度、粘度を調整することで得られる。
このとき、溶媒(C)としては、非水溶性の有機溶媒を使用することが好ましい。非水溶性とは、室温(20℃)における水100gへの溶解量が0.5g以下であることを意味する。溶媒(C)は、アルキルアミン(B)との親和性の点から、極性の小さい有機溶媒が好ましい。また、溶媒(C)は、導体を形成する際の加熱によって熱分解を起こさないものが好ましい。
溶媒(C)としては、例えば、デカン(水に不溶。)、ドデカン(水に不溶。)、テトラデカン(水に不溶。)、デセン(水に不溶。)、ドデセン(水に不溶。)、テトラデセン(水に不溶。)、ジペンテン(水100gへの溶解量0.001g(20℃)。)、α−テルピネオール(水100gへの溶解量0.5g(20℃)。)、メシチレン(水に不溶。)等が挙げられる。なかでも、インクの乾燥性の制御、塗布性の制御が容易である点から、α−テルピネオール、デカン、ドデカン、テトラデカンが好ましい。溶媒(C)は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
水素化銅微粒子分散液または銅微粒子分散液の溶媒(A)を溶媒(C)に置換する方法としては、公知の溶媒置換方法を採用でき、例えば、溶媒(A)を減圧濃縮しつつ、溶媒(C)を添加する方法が挙げられる。
本発明の導電インクは、水素化銅微粒子または銅微粒子の分散媒体として添加溶媒(s)を含有してもよい。添加溶媒(s)は、水素化銅微粒子分散液を製造する過程で、溶媒置換する際に主溶媒(溶媒(A)および/または(C))に添加して置換してもよく、溶媒置換した後に添加してもよい。また、溶媒(A)が添加溶媒(s)を含んでいてもよく、この場合、上記製造方法で製造された水素化銅微粒子分散液の溶媒濃度を調整して得ることができる。
添加溶媒(s)は、非水溶性の有機溶媒の沸点を超える沸点を持ち、かつ20℃での表面張力が35〜73dyn/cmである。
添加溶媒(s)は、基材上の親液撥液パターンを有する高分子膜に塗布された本発明の導電インクを加熱して導体を形成する際に、比較的沸点の低い主溶媒が蒸発する過程で分散溶媒中に残留し濃縮され、導電インクに表面張力を付与する働きをする。したがって、添加溶媒(s)は、その沸点が主溶媒の沸点以上である。
添加溶媒(s)は、20℃において表面張力が35dyn/cm以上であり、40dyn/cm以上であることが好ましく、45dyn/cm以上がさらに好ましい。20℃での表面張力が35dyn/cm未満であると、導電インクの表面張力が充分でなく、インクの残渣が残るおそれがある。インクの残渣は、導電インクから形成された導体配線の断線や、短絡、マイグレーションを生じさせる原因となる。入手が容易である点から、添加溶媒(s)は、20℃での表面張力が73dyn/cm以下である。
このような添加溶媒(s)としては、ピロリドン、N−メチルピロリドン、イミダゾール、1-メチルイミダゾール、1、3−ジメチルイミダゾール、ブタンジオール、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ホルムアミド、トリエタノールアミン、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。これらの添加溶媒(s)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
添加溶媒(s)としては、取り扱い性、入手のし易さの点から、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコールが特に好ましい。
添加溶媒(s)の含有割合は、主溶媒(溶媒(A)および/または(C))に対して0.2〜10.0質量%が好ましく、0.5〜5.0質量%が特に好ましい。添加溶媒(s)の含有割合が0.2質量%以上であると、導電インクに充分な表面張力を付与でき、10.0質量%以下であると、導電インクの塗布性に優れる。
本発明に使用する導電インク(100質量%)の固形分濃度は、要求される粘度によっても異なるが、15〜70質量%が好ましく、20〜60質量%がより好ましい。導電インクの固形分濃度が上記範囲の下限以上であれば、充分な厚みを有する導体を形成しやすい。導電インクの固形分濃度が上記範囲の上限以下であれば、粘度、表面張力等のインク特性の制御が容易であり、導体の形成が容易になる。
本発明に使用する導電インクの20℃での粘度は、5〜60mPa・sが好ましく、8〜40mPa・sがより好ましい。導電インクの粘度が上記範囲の下限以上であれば、精度良くインクを吐出できる。導電インクの粘度が上記範囲の上限以下であれば、入手しうるほとんどのインクジェットヘッドに適用可能となる。
本発明に使用する導電インクの20℃での表面張力は、20〜45dyn/cmが好ましく、25〜40dyn/cmがより好ましい。導電インクの表面張力が上記範囲の下限以上であれば、精度良くインクを吐出できる。導電インクの表面張力が上記範囲の上限以下であれば、入手しうるほとんどのインクジェットヘッドに適用可能となる。
このような導電インクを、基板11上に塗工し、加熱して導体を形成し、ゲート電極12、ソース電極13およびドレイン電極14とできる。
このような導電インクを加熱し得られた電極は、銅微粒子が連接した構造を有している。連接した構造とは、銅粒子が焼結し、銅粒子同士が物理的に接合した状態であり、加熱方法、加熱温度、加熱時間、加熱雰囲気により連接状態が異なる。連接状態は走査型電子顕微鏡(SEM)の高倍率(5万倍以上)の観察において確認できる。300℃以上の温度で加熱を行った場合、窒素中または真空中の加熱において、粒子同士の焼結が進み、接合部分が大きく、膜の密度が低い状態で観察される。真空中300℃以下での加熱温度では、膜密度が高く、空隙の無い膜組織が得られる。一方窒素中300℃以下の加熱を行った場合、焼結による接合部分が小さく、微細な空隙が観察され真空中で加熱したものに比較し膜密度が高くない組織が得られる。真空中300℃以下の加熱を行うと膜が平滑でかつ比抵抗が低いため、この条件での加熱が好ましい。
加熱方法としては、オーブン、ホットプレートによる加熱、IR加熱、フラッシュランプ加熱、レーザ加熱、μ波プラズマ加熱等を用いた方法が挙げられる。加熱方法としては、予め100〜200℃で加熱した後に、導電インク部分にさらにレーザ光を照射して300〜500℃となるように加熱することもできる。
このようにして形成されるゲート電極12、ソース電極13およびドレイン電極14の厚さは、0.3〜2.0μmが好ましい。導体の厚さが0.3μm未満となる場合、薄すぎて所定の導電性を均一に得ることが難しくなるおそれがある。また、導体の厚さが2.0μm超となる場合、配線の厚みによる段差が回路形成上問題となるおそれがある。
ゲート電極12、ソース電極13およびドレイン電極14の体積抵抗率は、3〜35μΩ・cmが好ましい。導体の体積抵抗率が3μΩ・cm未満の場合、得られる配線の抵抗値としては問題ないが、金属粒子の焼結が進み体積収縮が大きな状況となり、配線にクラックが生じるおそれがあるため好ましくない。一方、導体の体積抵抗率が35μΩ・cm超の場合、得られる配線の抵抗値が高く、回路設計によっては細線での導電パターンが形成できなくなるおそれがあるため好ましくない。
得られる電極の断面形状は、台形、長方形、かまぼこ状のものが、好ましい。電極断面形状に突起がある場合、デバイスの耐電圧特性に悪影響を及ぼすため好ましくない。断面形状を制御するため、インク組成により乾燥状態を制御する。
なお、上記した水素化銅微粒子分散液または銅微粒子分散液から得られる導電インクは、その製造方法のため、還元剤およびアルキルアミンが含まれ、電極形成時にこれらの成分も残留するが、残留量が少量であるため、電極特性に悪影響を及ぼすことはなく問題ない。また、還元剤由来の成分やアルキルアミン由来の炭素が電極中に存在していれば、電極形成のための材料を推定できる。例えば、還元剤としてNaBHを使用した場合には、電極中に、ナトリウム、ボロンおよび炭素が含まれることとなる。
<塗布型半導体>
本発明で用いる塗布型半導体15としては、公知の塗布型半導体が挙げられ、例えば、酸化物半導体、有機半導体等が挙げられる。
酸化物半導体として使用するのは、半導体前駆体材料、すなわち熱酸化等の変換処理によって金属酸化物からなる半導体材料に変換される材料である。
酸化物半導体層形成用前駆体組成物が含有する金属塩の金属は、例えば、Li、Be、B、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Cd、In、Ir、Sn、Sb、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、Tl、Pb、Bi、Ce、Pr、Nd、Pm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luからなる群から選ばれる少なくとも1種である。
酸化物半導体前駆体のうち、好ましいのは、金属の硝酸塩、金属のハロゲン化物、アルコキシド類である。具体例としては、硝酸インジウム、硝酸亜鉛、硝酸ガリウム、硝酸スズ、硝酸アルミニウム、塩化インジウム、塩化亜鉛、塩化スズ(2価)、塩化スズ(4価)、塩化ガリウム、塩化アルミニウム、トリ−i−プロポキシインジウム、ジエトキシ亜鉛、ビス(ジピバロイルメタナト)亜鉛、テトラエトキシスズ、テトラ−i−プロポキシスズ、トリ−i−プロポキシガリウム、トリ−i−プロポキシアルミニウムなどである。
酸化物半導体前駆体組成物により得られる酸化物半導体としては、酸化インジウムガリウム亜鉛、酸化インジウムガリウム、酸化インジウムスズ亜鉛、酸化ガリウム亜鉛、酸化インジウムスズ、酸化インジウム亜鉛、酸化スズ亜鉛、酸化亜鉛、酸化スズ、例えば、InGaZnOx、InGaOx、InSnZnOx、GaZnOx、InSnOx、InZnOx、SnZnOx(いずれもx>0)、ZnO、SnOなどが挙げられる。
有機半導体としては、例えば、ポリピロールおよびポリピロール置換体、ポリチオフェンおよびポリチオフェン置換体、ポリイソチアナフテンなどのイソチアナフテン類、ポリチェニレンビニレンなどのチェニレンビニレン類、ポリ(p−フェニレンビニレン)などのポリ(p−フェニレンビニレン)類、ポリアニリンおよびポリアニリン置換体、ポリアセチレン類、ポリジアセチレン類、ポリアズレン類、ポリピレン類、ポリカルバゾール類、ポリセレノフェン類、ポリフラン類、ポリ(p−フェニレン)類、ポリインドール類、ポリピリダジン類、ポリビニルカルバゾール、ポリフエニレンスルフィド、ポリビニレンスルフィドなどのポリマーおよび多環縮合体;上述した材料中のポリマーと同じ繰返し単位を有するオリゴマー類、ナフタセン、ペンタセン、ヘキサセン、ヘプタセン、ジベンゾペンタセン、テトラベンゾペンタセン、ピレン、ジベンゾピレン、クリセン、ペリレン、コロネン、テリレン、オバレン、クオテリレン、サーカムアントラセンなどのアセン類およびアセン類の炭素の一部をN、S、Oなどの原子、カルボニル基などの官能基に置換した誘導体(トリフェノジオキサジン、トリフェノジチアジン、ヘキサセン−6,15−キノンなど);金属フタロシアニン類;テトラチアフルバレンおよびテトラチアフルバレン誘導体;テトラチアペンタレンおよびテトラチアペンタレン誘導体;ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド、N,N'−ビス(4−トリフルオロメチルベンジル)ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミドとともに、N,N'−ビス(1H,1H−ペルフルオロオクチル)、N,N'−ビス(1H,1H−ペルフルオロブチル)およびN,N'−ジオクチルナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド誘導体;ナフタレン2,3,6,7テトラカルボン酸ジイミドなどのナフタレンテトラカルボン酸ジイミド類;アントラセン2,3,6,7−テトラカルボン酸ジイミドなどのアントラセンテトラカルボン酸ジイミド類などの縮合環テトラカルボン酸ジイミド類;C60、C70、C76、C78、C84等フラーレン類;SWNTなどのカーボンナノチューブ;メロシアニン色素類、ヘミシアニン色素類などの色素等が挙げられる。
塗布型半導体15は、ソース電極13とドレイン電極14の間であって、ゲート絶縁膜16の表面に設けられている。この位置は、ゲート絶縁膜16を挟んでゲート電極12と対向する位置であり、ゲート電極12に電圧をかけたときに、ソース電極13とドレイン電極14の導通を確保するためのものである。
この塗布型半導体15は、上記した塗布型半導体を揮発性の溶媒(D)に溶解し、これを所望の位置に、塗工し、硬化させることによって得られる。ここで、塗布型半導体15が酸化物半導体の場合には、溶媒(D)としては、水の他、用いる金属化合物を溶解するものであれば特に制限されるところではないが、エタノール、プロパノール、エチレングリコールなどのアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等グリコールエーテル系、また、アセトニトリルなど、さらに、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、o−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、m−クレゾール等の芳香族系溶媒、ヘキサン、シクロヘキサン、トリデカンなどの脂肪族炭化水素溶媒、α−テルピネオール、クロロホルムや1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、N−メチルピロリドン、二硫化炭素などが使用できる。
<硬化膜、ゲート絶縁膜、層間絶縁膜>
本発明で使用される硬化膜17、ゲート絶縁膜16および層間絶縁膜18は、各部材間の絶縁性を確保しながら、半導体装置を簡便な操作により製造可能とするものである。本実施形態の半導体装置の製造方法については後述するが、基本的には半導体装置の各部材を形成する液状材料を塗工し、硬化させる工程で、必要な部材を所定の順番、位置に積層して形成できるように、上記硬化膜17、ゲート絶縁膜16および層間絶縁膜18は、撥液性を有しながら、所望の箇所を親液性へと転換できる材料から形成される。
ここで、硬化膜17は、基板11の表面に設けられ、基板表面を所望の特性にするための下地膜であって、その上にゲート電極12が形成される層である。ゲート絶縁膜16は、ゲート電極12とソース電極13およびドレイン電極14との間に設けられ、これらの電極間を電気的な絶縁状態に保持する層である。層間絶縁膜18は、ソース電極13、ドレイン電極14および塗布型半導体15の上に、外部環境や他の装置構成から保護する層である。この上にはさらに、他の部材を構成できる。なお、層間絶縁膜18は、後述する図3で示すように、微細なビア穴を開けて他の要素と電気的に接続できる。
硬化膜17、ゲート絶縁膜16および層間絶縁膜18の厚さは、用途に応じて適宜設定でき、通常、0.1〜100μm程度であり、0.2〜50μmが好ましい。
上記した硬化膜17、ゲート絶縁膜16および層間絶縁膜18は、上記のように、各部材間に設けられ、半導体装置を構成する要素を順番に積層して形成するため、膜形成が容易で、かつ、他の要素の形成を妨げることのない材料を用いる。
このような膜形成を可能とするものとして、本発明者らは、撥液性重合体と絶縁性ポリマーとを含む硬化性組成物が、硬化膜17、ゲート絶縁膜16および層間絶縁膜18の形成に好適であることを見出した。ここで使用する硬化性組成物は、塗布性が良好である場合にはそのまま、塗布性をより良くする場合には溶剤(I)を含有させて塗布用組成物とし、硬化性組成物または塗布用組成物を塗工して塗膜を形成し、必要に応じて溶剤(I)を除去して、乾燥膜とする。該乾燥膜を加熱または光照射により硬化させて得られる硬化膜は、絶縁性、撥液性に優れる。さらに、上記乾燥膜または硬化膜の所望の箇所に紫外線照射することで、照射部を親液性にすることを可能としたものである。なお、本明細書において、「塗膜」とは硬化性組成物または塗布用組成物を塗工して得られる膜であり、「乾燥膜」とは、硬化性組成物の場合には塗膜と同義であり、塗布用組成物の場合には溶剤(I)を除去した膜を意味し、「硬化膜」は乾燥膜を加熱または光照射により完全に硬化させた膜をいう。以下、硬化性組成物について詳細に説明する。なお、層間絶縁膜18にビア穴をあける場合には、孔部の形成は種々の方法で可能であるが、レーザアブレーション法を用いる場合にはさらに後述する色素(J)を含有する硬化性組成物であることが好ましい。
(硬化性組成物)
本発明で使用する硬化性組成物は、上記のとおり、撥液性重合体と絶縁性ポリマーとを含む組成物である。後述するように、本発明の硬化性組成物は、熱硬化または光硬化させて硬化膜を形成するものである。したがって、本発明の硬化性組成物は、熱硬化性の組成物または光硬化性の組成物である。
(撥液性重合体)
本発明で使用する撥液性重合体は、以下に説明する撥液性化合物に基づく単位(以下、「単位(u1)」とも記す。)を有する撥液性重合体(以下、「撥液性重合体(E)」とも記す。)である。
(撥液性化合物)
本発明で使用される撥液性化合物は、フルオロアルキル基を含み、撥液性に優れる化合物である。また、紫外線の照射によって分子内において分解が起こり、フルオロアルキル基を含む分解残基が脱離できる撥液性化合物である。したがって、本発明で使用される撥液性化合物に由来する単位(u1)を有する撥液性重合体を有する硬化性組成物からなる硬化膜は、紫外線の照射がない部分は撥液性に優れ、紫外線を照射した部分のみ親液性に優れる、撥液性領域と親液性領域とのパターンを有することが可能になる。なお、照射する紫外線の波長により、適宜撥液性化合物選択することが好ましい。
本発明で使用される撥液性化合物としては、下式(m1)で表される化合物(m1)、下式(m2)で表される化合物(m2)、下式(m3−1)〜(m3−5)で表される化合物(m3−1)〜(m3−5)等が挙げられる。特に化合物(m1)と化合物(m2)は、300nm以上の波長の紫外線の照射によって分解できるため、好ましい。
化合物(m1)は下式(m1)で表され、単位(u1)を形成する成分でもある。なお、化合物(m1)におけるRとCfの境界は、Cfの炭素数が最も少なくなるように定める。
Figure 2013214649
化合物(m1)には、オキシムの二重結合によるシス−トランス異性体が存在する。本発明における化合物(m1)は、上記式に示すものに限定はされず、シス体のみであってもよく、トランス体のみであってもよく、両方の混合物であってもよい。
は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基またはフェニル基であり、化合物(m1)の溶解性が良好な点から、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。
は、単結合またはフッ素原子を有さない2価の有機基である。Rの2価の有機基としては、−C−、−CO(CHw1−(ただし、w1は0〜10の整数である。)、−CCOO(CHw2−(ただし、w2は0〜10の整数である。)、−CH−、−(CHw3COO(CHw4−(ただし、w3は1〜10の整数であり、w4は0〜10の整数である。)、−CHO(CHw5−(ただし、w5は0〜10の整数である。)、−CH(CH)O(CHw6−(ただし、w6は0〜10の整数である。)が挙げられる。波長300nm以上の紫外線を吸収しやすい点からは、−C−、−CO(CHw1−、−CCOO(CHw2−が好ましい。また、Cf基を含む分解残基が除去しやすい点からは、単結合、−CH−、−(CHw3COO(CHw4−、−CHO(CHw5−、−CH(CH)O(CHw6−が好ましい。なお、w1は0〜4の整数が好ましく、製造しやすい点から0〜2の整数が特に好ましい。w2は、0〜4の整数が好ましく、製造しやすい点から0〜2の整数が特に好ましい。w3は、0〜6の整数が好ましく、製造しやすい点から1〜3の整数が特に好ましい。w4は、0〜4の整数が好ましく、製造しやすい点から0〜2の整数が特に好ましい。w5は、0〜4の整数が好ましく、製造しやすい点から0〜2の整数が特に好ましい。w6は、0〜4の整数が好ましく、製造しやすい点から0〜2の整数が特に好ましい。
Cfは、炭素数1〜20のフルオロアルキル基、または炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2〜20のフルオロアルキル基である。
Cf基の炭素数は、撥液性に優れるとともに、他の単量体との相溶性が良好である点から、2〜20が好ましく、2〜15がより好ましく、4〜8が特に好ましい。また、Cf基の炭素数は、環境負荷が低くなる点からは、6以下が好ましく、2〜6がより好ましく、4〜6が特に好ましい。
Cf基は、硬化膜の表面の撥液性がより良好となる点から、フッ素原子と水素原子の合計数に対してフッ素原子の数が80%以上であることが好ましく、100%であること、すなわち、炭素数1〜20のペルフルオロアルキル基、または炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2〜20のペルフルオロアルキル基が特に好ましい。ここで、Cf基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。
Cf基としては、具体的には、−CF、−CFCF、−CF(CF、−CH(CF、−CFCHF、−(CFCF、−(CFCF、−(CFCF、−(CFCF、−(CFCF、−(CFCF、−(CFCF、−(CFCF、−(CF11CF、−(CF15CF、−CF(CF)O(CFCF、−CFO(CFCFO)CF(ただし、pは1〜8の整数である。)、−CF(CF)O(CFCF(CF)O)13(ただし、qは1〜4の整数である。)、−CF(CF)O(CFCF(CF)O)(ただし、rは0〜5の整数である。)が挙げられる。
Xは、酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはNHであり、撥液性重合体(E)を製造しやすい(撥液性重合体(E)がゲル化しにくい)点から、酸素原子、硫黄原子、NHが好ましく、原料を入手しやすい点から、酸素原子、硫黄原子がより好ましく、化合物(m1)を製造しやすい点から、硫黄原子が特に好ましい。
mは、Xが酸素原子、硫黄原子またはNHである場合には1であり、Xが窒素原子である場合には2であり、撥液性重合体(E)を製造しやすい(撥液性重合体(E)がゲル化しにくい)点から、1が好ましい。
nは、0〜4の整数であり、原料の入手性と合成の簡便さの点から、0〜2の整数が好ましく、0または1が特に好ましい。
kは、0または1であり、原料の入手性と合成の簡便さの点から、1が特に好ましい。−O−Ph−X−(ただし、Phはフェニレン基である。)におけるXとOとの位置関係は、原料の入手容易性の点から、パラ位置関係が好ましい。
Zは、RC=CR−CO−である。R、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子またはメチル基であり、反応性が高い点から、Rが水素原子またはメチル基で、RおよびRが水素原子であることが好ましい。すなわち、Zとしてはアクリロイル基またはメタクリロイル基が好ましい。
化合物(m1)の製造方法としては、下式で表される反応を行う方法が挙げられる。化合物(a1)のHO−を、3級アミンの存在下に化合物(b1)を用いてエステル化し、化合物(c1)を得る。次いで、亜硝酸エステルを用いてオキシム化し、化合物(d1)を得る。次いで、化合物(d1)の−OHを、カルボジイミドの存在下に化合物(e1)を用いてエステル化し、化合物(m1)を得る。
Figure 2013214649
化合物(a1)は、公知の製造方法によって製造できる。たとえば、Xが硫黄原子、nが0、kが1の場合、HO−C−SHとBr−C−CO−CH−Rとを反応させることによって製造できる。
化合物(m2)は下式(m2)で表され、単位(u1)を形成する成分でもある。
Figure 2013214649
ただし、
Cfは、炭素数1〜20のフルオロアルキル基、または炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数1〜20のフルオロアルキル基であり、
およびRは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基またはフェニル基であり、
Xは、酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはNHであり、
nは、0〜4の整数であり、
lは、Xが酸素原子、硫黄原子またはNHである場合には1であり、Xが窒素原子である場合には2であり、
Zは、RC=CR−CO−であり、
、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子またはメチル基である。
化合物(m2)の製造方法としては、下式で表される反応を行う方法が挙げられる。化合物(a11)の左側のHO−を、3級アミンの存在下に化合物(b1)を用いて選択的にエステル化して化合物(c11)を得た後、化合物(c11)の右側の−OHを、化合物(d11)を用いてエステル化して化合物(m2)を得る。
Figure 2013214649
化合物(a11)は、RおよびRがメチル基、Xが酸素原子、nが1である化合物の場合、特開昭62−81345号公報に記載された「4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル2−ヒドロキシ−2−プロピルケトン」の製造方法によって製造できる。市販品としては、IRGACURE 2959(製品名、チバスペシャルティケミカルズ社製)等が挙げられる。
化合物(m1)および化合物(m2)以外には、下式(m3−1)〜(m3−5)で表される化合物が挙げられる。該化合物は単位(u1)を形成する成分でもある。
−R−Cf ・・・(m3−1)
−Ph−Y−R−Cf ・・・(m3−2)
−(CH−Ph−Y−R−Cf ・・・(m3−3)
−Ph−Y−Ph−Y−R−Cf ・・・(m3−4)
−(CH−Ph−Y−Ph−Y−R−Cf ・・・(m3−5)
Cf:炭素数2〜15のペルフルオロアルキル基
:(メタ)アクリルロイルオキシ基
:ビニル基または(メタ)アクリルロイルオキシ基
:炭素数1〜10のアルキレン基または単結合
Ph:フェニレン基
:−CHO−または−COO−
:−OCH−または−CHO−
g:1または2
式(m3−1)で表される化合物としては、CH=CHCOOCHCF、CH=CCHCOOCHCF、CH=CHCOOCHCFCF、CH=CCHCOOCHCFCF、CH=CHCOOCH(CF、CH=CCHCOOCH(CF、CH=CHCOOCH(CFCF、CH=CCHCOOCH(CFCF、CH=CHCOOCHCH(CFCF、CH=CCHCOOCHCH(CFCF、CH=CHCOOCHCH(CFCF、CH=CCHCOOCHCH(CFCF、CH=CHCOOCHCH(CFCF、CH=CCHCOOCHCH(CFCF、CH=CHCOOCHCH(CFCF、CH=CCHCOOCHCH(CFCF、CH=CHCOOCHCH(CFCF、CH=CCHCOOCHCH(CFCF、CH=CHCOOCHCH(CFCF、CH=CCHCOOCHCH(CFCF、CH=CHCOOCHCH(CF11CF、CH=CCHCOOCHCH(CF11CF、CH=CHCOOCHCH(CF15CF、CH=CCHCOOCHCH(CF15CF、CH=CHCOOCHCF(CF)O(CFCF、CH=CCHCOOCHCHCF(CF)O(CFCF、CH=CHCOOCHCFO(CFCFO)CF(hは1〜8)、CH=CCHCOOCHCHCFO(CFCFO)CF(hは1〜8)、CH=CHCOOCHCF(CF)O(CFCF(CF)O)13(iは1〜4)、CH=CCHCOOCHCHCF(CF)O(CFCF(CF)O)13(iは1〜4)、CH=CHCOOCHCF(CF)O(CFCF(CF)O)(jは1〜5の整数。)、CH=CCHCOOCHCHCF(CF)O(CFCF(CF)O)(jは1〜5の整数。)が挙げられる。入手容易の点から、CH=CHCOOCH(CF、CH=CCHCOOCH(CF、CH=CHCOOCHCH(CFCF、CH=CCHCOOCHCH(CFCF、CH=CHCOOCHCH(CFCFおよびCH=CCHCOOCHCH(CFCFが好ましい。
式(m3−2)で表される化合物としては、下式(m3−2a)で表される化合物、式(m3−2b)で表される化合物および下式(m3−2c)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2013214649
Figure 2013214649
Figure 2013214649
式(m3−3)で表される化合物としては、下式(m3−3a)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2013214649
式(m3−5)で表される化合物としては、下式(m3−5a)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2013214649
(単位(u1))
単位(u1)は、化合物(m1)、(m2)、(m3−1)〜(m3−5)が重合することによって形成された撥液性化合物に由来する単位である。上記撥液性化合物のZ基、V基およびV基(架橋性官能基と同種の基)における炭素−炭素不飽和二重結合は、重合によって失われるため、単位(u1)は、架橋性官能基を有さない。
撥液性重合体(E)における単位(u1)の割合は、10〜90質量%が好ましく、15〜90質量%がより好ましく、20〜85質量%が特に好ましい。単位(u1)の割合が上記範囲の下限値以上であると、硬化膜の表面における撥液性がより良好となる。上記範囲の上限値以下であると、撥液性重合体(E)が後述する塗布用組成物の溶剤(I)に溶けやすい。
また、撥液性重合体(E)は、硬化膜の硬度、耐溶剤性等の点から、架橋性官能基を有し、かつCf基を有さない単位(以下、「単位(u2)」とも記す。)をさらに有することが好ましい。
撥液性重合体(E)は、単位(u1)および単位(u2)以外の、他の単位(u3)を有していてもよい。
(単位(u2))
単位(u2)は、架橋性官能基を有し、かつCf基を有さない単位である。
単位(u2)の架橋性官能基は、後述する含フッ素ポリアリーレンプレポリマー(以下、「プレポリマー(F)」ともいう。)や後述する化合物(G)の架橋性官能基と反応し、これらと一体となって硬度が高く、耐溶剤性に優れた硬化膜を形成する。
単位(u2)における架橋性官能基の数は、原料の入手性と合成の簡便さの点から、1個が好ましい。
単位(u2)における架橋性官能基としては、プレポリマー(F)や化合物(G)の架橋性官能基との反応性が高い点から、(メタ)アクリロイル(オキシ)基が好ましい。硬化性組成物中に共存する、化合物(G)の架橋性官能基と、撥液性重合体(E)の架橋性官能基とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
単量体が有する重合性官能基(架橋性官能基と同種の基)は重合により失われるため、単位(u2)の架橋性官能基は、単量体が有していた重合性官能基ではない。したがって、単位(u2)の架橋性官能基は、通常、単量体を重合して共重合体を得た後に、該共重合体に変性等で導入された架橋性官能基である。
単位(u2)の架橋性官能基は、反応性官能基を有する共重合体に、架橋性官能基を有する化合物を反応させる各種変性方法によって導入することが好ましい。該変性方法としては、公知の方法を適宜用いることができる。具体的には、重合性官能基および反応性官能基を有する化合物(m5)を撥液性化合物と共重合させて反応性官能基を有する単位(u4)を有する共重合体を得た後、単位(u4)の反応性官能基と反応する官能基と架橋性官能基とを有する化合物(a2)とを反応させて、単位(u2)を有する撥液性重合体(E)を得る方法が好ましい。単位(u2)は、化合物(m5)の重合により形成された単位(u4)と化合物(a2)との反応によって生じる単位である。
反応性官能基としては、水酸基、エポキシ基、カルボキシ基等が挙げられる。反応性官能基が水酸基の場合、反応性官能基と反応する官能基は、カルボキシ基、イソシアネート基、塩化アシル等が挙げられる。反応性官能基がエポキシ基の場合、反応性官能基と反応する官能基は、カルボキシ基等が挙げられる。反応性官能基がカルボキシ基の場合、反応性官能基と反応する官能基は、水酸基、エポキシ基等が挙げられる。
具体的な変性方法としては、たとえば、下記の方法(i)〜(vi)が挙げられる。
(i)水酸基を有する単量体を共重合して得られた共重合体に、架橋性官能基を有する酸無水物を反応させる方法。
(ii)水酸基を有する単量体を共重合して得られた共重合体に、イソシアネート基および架橋性官能基を有する化合物を反応させる方法。
(iii)水酸基を有する単量体を共重合して得られた共重合体に、塩化アシル基および架橋性官能基を有する化合物を反応させる方法。
(iv)重合性官能基を有する酸無水物を共重合して得られた共重合体に、水酸基および架橋性官能基を有する化合物を反応させる方法。
(v)カルボキシ基を有する単量体を共重合させて得られた共重合体に、エポキシ基および架橋性官能基を有する化合物を反応させる方法。
(vi)エポキシ基を有する単量体を共重合して得られた共重合体に、カルボキシ基および架橋性官能基を有する化合物を反応させる方法。
単位(u4)を有する共重合体に化合物(a2)を反応させる場合、共重合体の反応性官能基の全てに反応させてもよく、共重合体の反応性官能基の一部に反応させてもよい。後者の場合、得られた撥液性重合体(E)は、化合物(m5)に由来する単位(u4)を有する。硬化性組成物に用いる撥液性重合体(E)は、単位(u4)を有していてもよい。また、単位(u4)の反応性官能基が硬化性組成物に好ましくない影響を与えるおそれがある場合は、単位(u4)の反応性官能基に、該反応性官能基と反応する官能基を有し、架橋性官能基を有さない化合物(b2)を反応させて、反応性官能基を不活性な基に変換することもできる。
なお、反応性官能基を不活性な基に変換した単位を単位(u5)という。
化合物(m5)としては、方法(i)、(ii)、(iii)においては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。方法(iv)においては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水フタル酸等が挙げられる。方法(v)においては、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。方法(vi)においては、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート等が挙げられる。
化合物(a2)としては、方法(i)においては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水フタル酸等が挙げられる。方法(ii)においては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等が挙げられる。方法(iii)においては、(メタ)アクリロイルクロライド、3−ブテノイルクロライド等が挙げられる。方法(iv)においては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。方法(v)においては、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート等が挙げられる。方法(vi)においては、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
単位(u2)としては、水酸基を有する単量体に由来する単位にイソシアネート基および架橋性官能基を有する化合物を反応させた単位、または、水酸基を有する単量体に由来する単位に塩化アシル基および架橋性官能基を有する化合物を反応させた単位が好ましい。2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよび4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートからなる群から選択される1種以上の単量体に由来する単位に、塩化(メタ)アクリロイル、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートおよび2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートからなる群から選択される1種以上の化合物を反応させて形成された単位が特に好ましい。プレポリマー(F)との反応性が良好になる。
(単位(u3))
撥液性重合体(E)は、撥液性の向上効果を損なわない範囲で、必要に応じて、単位(u1)および単位(u2)以外の他の単位(u3)を有していてもよい。撥液性重合体(E)が単位(u4)または単位(u5)を有する場合は、これらの単位は単位(u3)とみなす。
単位(u3)は、重合性官能基を有する化合物(m4)を重合させることによって撥液性重合体(E)に導入することが好ましい。また、撥液性重合体(E)の反応性官能基と反応する官能基を有する化合物(a3)を反応させて、共重合体に導入することも好ましい。
単位(u3)を与える化合物(m4)としては、化合物(m5)以外に、炭化水素系オレフィン類、ビニルエーテル類、イソプロペニルエーテル類、アリルエーテル類、ビニルエステル類、アリルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、芳香族ビニル化合物、クロロオレフィン類、共役ジエン類、化合物(m1)以外の含フッ素単量体等が挙げられる。化合物(m4)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
化合物(m4)の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、3−メチルブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチル−n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)(メタ)アクリルレート、2−アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート(たとえば、新中村化学社製、製品名:SA)、3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェネチルメタクリレート(たとえば、大塚化学社製、製品名:RUVA−93)、2−(1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−1−カルボキシアミド)エチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ビス(メトキシメチル)(メタ)アクリルアミド等が挙げられ、入手しやすさの点から、アクリル酸、メタクリル酸、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェネチルメタクリレートが好ましい。
撥液性重合体(E)における単位(u2)の割合は、10〜90質量%が好ましく、10〜85質量%がより好ましく、10〜80質量%がさらに好ましく、10〜50質量%が特に好ましい。単位(u2)の割合が上記範囲の下限値以上であると、後述するプレポリマー(F)や後述する化合物(G)との反応が良好になる。上記範囲の上限値以下であると、硬化膜の表面における撥液性がより良好となる。
撥液性重合体(E)における単位(u3)の割合は、70質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、20質量%以下が特に好ましい。下限は0質量%が好ましい。単位(u3)の割合が上記範囲の上限値以下であると、単位(u1)および単位(u2)の充分な割合を確保でき、硬化膜の表面における撥液性や硬化性組成物の硬化性を損なわない。
撥液性重合体(E)が単位(u1)と単位(u2)とからなる場合には、単位(u1)の含有量は撥液性重合体(E)におけるフッ素含有量が前記好ましい範囲となる量であり、残部が単位(u2)であることが好ましい。
撥液性重合体(E)が単位(u1)、単位(u2)および単位(u3)からなる場合には、単位(u1)の含有量が撥液性重合体(E)におけるフッ素含有量が前記好ましい範囲となる量であり、単位(u3)が上述の好ましい割合の範囲であり、残部が単位(u2)であることが好ましい。
なお、撥液性重合体(E)中の単位(u1)、単位(u2)、他の単位(u3)はランダム状に結合していてもブロック状に結合していてもよい。
撥液性重合体(E)のフッ素含有量は、5〜60質量%が好ましく、8〜40質量%が特に好ましい。フッ素含有量が上記範囲の下限値以上であると、硬化膜の表面における撥液性がより良好となる。上記範囲の上限値以下であると、硬化膜とこれに隣接する層との密着性が良好となる。
撥液性重合体(E)の数平均分子量(Mn)は、1,000〜50,000が好ましく、3,000〜20,000が特に好ましい。数平均分子量(Mn)が上記範囲の下限値以上であると、撥液性重合体(E)が硬化膜の表面に充分に移行するため、より良好な撥液性を発現できる。上記範囲の上限値以下であると、硬化性組成物中のプレポリマー(F)との相溶性が良好となり、欠陥のない硬化膜を形成できる。
(絶縁性ポリマー)
本発明で使用する絶縁性ポリマーとしては、ポリイミド、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルフェノール、シリコーン樹脂、シクロオレフィン樹脂、含フッ素ポリアリーレンプレポリマー等が挙げられる。誘電率が低い点、吸水率が低い点から、含フッ素ポリアリーレンプレポリマーが好ましい。
以下、含フッ素ポリアリーレンプレポリマー(F)について説明する。
プレポリマー(F)は、複数の芳香族環が単結合または連結基を介して結合しているポリアリーレン構造を有するとともに、フッ素原子を有するポリマーである。硬化性組成物がプレポリマー(F)を含むことによって、硬化膜の誘電率を低くできる。プレポリマー(F)としては、硬化しやすい点で架橋性官能基を含むことが好ましい。
プレポリマー(F)の架橋性官能基は、プレポリマー(F)の製造時には実質上反応を起こさず、ラジカル重合開始剤(H)の存在下で、外部エネルギーを与えることによってラジカル重合反応を生じ、プレポリマー(F)分子間の架橋または鎖延長を引き起こす。また、化合物(G)や撥液性重合体(E)の架橋性官能基とも反応し、これらと一体となって硬化膜を形成する。プレポリマー(F)における架橋性官能基としては、プレポリマー(F)の製造時の反応性が低く、ラジカル重合開始剤(H)の存在下での反応性が良好である点から、ビニル基、エチニル基が好ましい。
ポリアリーレン構造における連結基としては、エーテル結合(−O−)、スルフィド結合(−S−)、カルボニル基(−CO−)、スルホニル基(−SO−)等が挙げられる。プレポリマー(F)のうち、芳香族環同士がエーテル結合(−O−)を有する連結基で結合されている構造を有するポリマーを「含フッ素ポリアリーレンエーテルプレポリマー」という。該含フッ素ポリアリーレンエーテルプレポリマーは、エーテル性酸素原子を有するため、分子構造が柔軟性を有し、硬化膜の可とう性が良好であり、好ましい。プレポリマー(F)としては、含フッ素ポリアリーレンエーテルプレポリマーを含むことが好ましく、含フッ素ポリアリーレンエーテルプレポリマーのみからなることが特に好ましい。
該エーテル結合を有する連結基の具体例としては、エーテル性酸素原子のみからなるエーテル結合(−O−)、炭素鎖中にエーテル性酸素原子を含むアルキレン基等が挙げられれる。
プレポリマー(F)は、フッ素原子を有する。フッ素原子を有すると、硬化膜の誘電率および誘電損失が低くなりやすいため、絶縁膜を形成する材料として好ましい。絶縁膜の誘電率および誘電損失が低いと、信号伝播速度の遅延を抑制でき、電気特性に優れた素子が得られる。また、フッ素原子を有すると、硬化膜の吸水率が低くなるため、接合電極、その周辺の配線部分等における接合状態の変化が抑制できる点、または金属の変質(錆等)が抑制できる点に優れる。素子の信頼性向上という点で効果が大きい。
本発明におけるプレポリマー(F)の具体例としては、架橋性官能基およびフェノール性水酸基を有する化合物(x1)ならびに架橋性官能基およびフッ素原子置換芳香環を有する化合物(x2)のいずれか一方または両方と、下式(y)で表される化合物(y)と、フェノール性水酸基を3個以上有する化合物(z)とを、脱ハロゲン化水素剤の存在下に縮合反応させて得られた、架橋性官能基およびエーテル結合を有するプレポリマー(以下、「プレポリマー(F1)」ともいう。)が挙げられる。
Figure 2013214649
ただし、cは0〜3の整数であり、aは0〜3の整数であり、bは0〜3の整数であり、Rfは炭素数8以下のフルオロアルキル基であり、Rfが複数の場合、複数のRfは同一であってもよく異なっていてもよく、Rfは炭素数8以下のフルオロアルキル基であり、Rfが複数の場合、複数のRfは同一であってもよく異なっていてもよく、芳香環内のFは該芳香環の水素原子が全てフッ素原子で置換されていることを表す。
プレポリマー(F1)は、フェノール性水酸基を3個以上有する化合物(z)を用いることにより、ポリマー鎖に分岐構造を導入し、分子構造を三次元化することにより、ポリマーの自由体積を増大させて低密度化、すなわち低誘電率化が達成される。また、一般的に、芳香環を有する直鎖状ポリマーは芳香環のスタッキングによる分子の配向が起き易いが、本発明にかかる硬化物では分岐構造を導入することにより分子の配向が抑えられ、その結果、複屈折が小さくなる。
化合物(x1)としては、フェノール性水酸基を1個有する化合物(x11)およびフェノール性水酸基を2個有する化合物(x12)が好ましい。
化合物(x11)の具体例としては、4−ヒドロキシスチレン等の反応性二重結合を有するフェノール類;3−エチニルフェノール、4−フェニルエチニルフェノール、4−(4−フルオロフェニル)エチニルフェノール等のエチニルフェノール類が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
化合物(x12)の具体例としては、2,2’−ビス(フェニルエチニル)−5,5’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ビス(フェニルエチニル)−4,4’−ジヒドロキシビフェニル等のビス(フェニルエチニル)ジヒドロキシビフェニル類;4,4’−ジヒドロキシトラン、3,3’−ジヒドロキシトラン等のジヒドロキシジフェニルアセチレン類が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
化合物(x2)としては、架橋性官能基と、ペルフルオロフェニル、ペルフルオロビフェニル等のペルフルオロ芳香環とを有する化合物が好ましい。具体例としては、ペンタフルオロスチレン、ペンタフルオロベンジルアクリレート、ペンタフルオロベンジルメタクリレート、ペンタフルオロフェニルアクリレート、ペンタフルオロフェニルメタクリレート、ペルフルオロスチレン、ペンタフルオロフェニルトリフルオロビニルエーテル、3−(ペンタフルオロフェニル)ペンタフルオロプロペン−1等の反応性二重結合を有する含フッ素アリール類;ペンタフルオロベンゾニトリル等のシアノ基を有する含フッ素アリール類;ペンタフルオロフェニルアセチレン、ノナフルオロビフェニルアセチレン等の含フッ素アリールアセチレン類;フェニルエチニルペンタフルオロベンゼン、フェニルエチニルノナフルオロビフェニル、デカフルオロトラン等の含フッ素ジアリールアセチレン類が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。比較的低温で架橋反応が進行し、かつ得られるプレポリマー硬化物の耐熱性が高くなることから、化合物(x2)としては、二重結合を有する含フッ素アリール類、三重結合を有する含フッ素アリールアセチレン類が好ましい。
化合物(x1)を使用するプレポリマー(F1)における化合物(z)の使用量は、化合物(y)に対するモル比で0.1〜1倍が好ましく、0.3〜0.6倍が特に好ましい。化合物(x1)の使用量は、化合物(y)に対するモル比で0.1〜2倍が好ましく、0.2〜1.5倍が特に好ましい。
化合物(x2)を使用するプレポリマー(F1)における化合物(z)の使用量は、化合物(y)に対するモル比で0.5〜2倍が好ましく、0.6〜1.5倍が特に好ましい。化合物(x2)の使用量は、化合物(y)に対するモル比で0.1〜2倍が好ましく、0.2〜1.5倍が特に好ましい。
それぞれの使用量がこの範囲にあると、得られたプレポリマー(F1)が低い誘電率値と高い耐熱性を併せ持つので好ましい。
プレポリマー(F1)の好適な例としては、含フッ素芳香族化合物(ペルフルオロ(1,3,5−トリフェニルベンゼン)、ペルフルオロビフェニル等)と、フェノール系化合物(1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等)と、架橋性官能基含有芳香族化合物(ペンタフルオロスチレン、アセトキシスチレン、クロルメチルスチレン、ペンタフルオロフェニルアセチレン等)とを、反応させて得られるポリマーが挙げられる。
プレポリマー(F)の数平均分子量(Mn)は、1,000〜100,000が好ましく、5,000〜50,000が特に好ましい。数平均分子量(Mn)が上記範囲の下限値以上であると、硬化膜の可とう性が低下しにくい。上記範囲の上限値以下であると、硬化性組成物の精製が容易である。
本発明における硬化性組成物中のプレポリマー(F)の含有量は、10〜99.99質量%が好ましく、20〜99.95質量%がより好ましく、30〜70質量%がさらに好ましく、50〜70質量%が特に好ましい。上記範囲の下限値以上であると、硬化膜の誘電率が充分に低くなる。また、上記範囲の上限値以下であると、低温で硬化しやすくなるため、硬化膜の耐溶剤性が充分に向上できる。
硬化性組成物が化合物(G)を含む場合は、プレポリマー(F)の含有量は、プレポリマー(F)と化合物(G)との合計(100質量部)のうち、20〜90質量部が好ましく、30〜85質量部がより好ましく、40〜80質量部が特に好ましい。
(化合物(G))
化合物(G)は、数平均分子量(Mn)が140〜5,000であり、架橋性官能基を有し、フッ素原子を有さない化合物である。硬化性組成物に化合物(G)を含ませることによって、硬度が高い硬化膜を形成できる。
化合物(G)の数平均分子量(Mn)は、200〜3,000が好ましく、250〜2,500が特に好ましい。数平均分子量(Mn)が上記範囲の下限値以上であると、加熱によって化合物(G)が揮発しにくい。上記範囲の上限値以下であると、化合物(G)の粘度が低く抑えられ、プレポリマー(F)と混合したときに均一な硬化性組成物が得られやすい。
化合物(G)の架橋性官能基は、分子間を架橋できる点から、2個以上が好ましく、2〜20個がより好ましく、2〜8個が特に好ましい。
化合物(G)の架橋性官能基は、フッ素原子を有さず、プレポリマー(F)の架橋性官能基がラジカル重合反応を生じる工程と、同工程で反応を生じる基が好ましい。
化合物(G)の架橋性官能基は、少なくとも架橋性官能基同士が反応して架橋または鎖延長を引き起こす。また、プレポリマー(F)や撥液性重合体(E)の架橋性官能基と反応し、これらと一体となって硬化膜を形成する。
化合物(G)の架橋性官能基としては、反応性が高く、入手が容易である点から、(メタ)アクリロイル(オキシ)基が好ましく、反応性がより高い点から、アクリロイル(オキシ)基が特に好ましい。また、架橋性官能基は、1分子中に2種以上を有していてもよい。
なお、プレポリマー(F)、化合物(G)および撥液性重合体(E)は、それぞれ1分子中に2種以上の架橋性官能基を有していてもよい。また、硬化性組成物中に共存するプレポリマー(F)、化合物(G)および撥液性重合体(E)における架橋性官能基は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
化合物(G)の具体例としては、ジペンタエリスリトールトリアクリレートトリウンデシレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートモノウンデシレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジアクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメタアリルイソシアヌレート、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,9−ノナンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、メタクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、下式(G−1)で表されるエトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、下式(G−2)で表されるプロポキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールメタクリレート、下式(G−3)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2013214649
化合物(G)としては、ポリエステルアクリレート(二価アルコールと二塩基酸との縮合物の両末端をアクリル酸で修飾した化合物:東亞合成社製、製品名:アロニックス(M−6100、M−6200、M−6250、M−6500);多価アルコールと多塩基酸との縮合物の水酸基末端をアクリル酸で修飾した化合物:東亞合成社製、製品名:アロニックス(M−7100、M−7300K、M−8030、M−8060、M−8100、M−8530、M−8560、M−9050))も利用できる。これらは市販品から入手できる。
本発明に用いる化合物(G)としては、入手のしやすさおよび反応性の点から、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレートが好ましい。
本発明の硬化性組成物に化合物(G)を含有させる場合、その含有量は、プレポリマー(F)と化合物(G)との合計(100質量部)のうち、10〜80質量部が好ましく、15〜70質量部がより好ましく、20〜60質量部が特に好ましい。含有量が上記範囲の下限値以上であると、低温で硬化しやすくなるため、硬化膜の耐溶剤性が充分に向上する。耐熱性が低い基材を用いた低温プロセスに適用できる。また、基材が大面積である場合には、基材の反りを防止できる。上記範囲の上限値以下であると、硬化膜の誘電率が充分に低くなる。
本発明の硬化性組成物は、硬化性の点からラジカル重合開始剤(H)をさらに含むことが好ましい。硬化膜の耐溶剤性、誘電率等の点からは、プレポリマー(F)をさらに含む硬化性組成物であることが好ましい。硬化膜の硬度の点からは、さらに化合物(G)を含むことが好ましい。
本発明における硬化性組成物中の撥液性重合体(E)の含有量は、0.01〜20質量%が好ましく、0.05〜10質量%がより好ましく、0.1〜5質量%が特に好ましい。含有量が上記範囲の下限値以上であると、硬化膜の表面の撥液性が良好になる。上記範囲の上限値以下であると、硬化膜の膜物性が良好になる。
本発明の硬化性組成物にプレポリマー(F)と化合物(G)とを含有させる場合、撥液性重合体(E)の含有量は、プレポリマー(F)と化合物(G)との合計(100質量部)に対して、0.1〜20質量部が好ましく、0.2〜15質量部が特に好ましい。
(ラジカル重合開始剤(H))
本発明の硬化性組成物は熱硬化性であっても、光硬化性であってもよい。熱硬化性の場合は、硬化性組成物に、ラジカル重合開始剤(H)として熱重合開始剤(H1)を含ませ、光硬化性の場合は光重合開始剤(H2)を含ませる。光硬化性の硬化性組成物は、ネガ型の感光性材料として用いることができる。
熱重合開始剤(H1)としては、公知のものを用いることができる。具体例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド等が挙げられる。分解温度の点から、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシドが好ましい。熱重合開始剤(H1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の硬化性組成物に熱重合開始剤(H1)を含有させる場合、その含有量は、0.1〜20質量%が好ましく、1〜15質量%が特に好ましい。含有量が上記範囲の下限値以上であると、低温で硬化しやすくなるため、硬化膜の耐溶剤性が充分に向上する。上記範囲の上限値以下であると、硬化性組成物の貯蔵安定性が良好になる。
光重合開始剤(H2)としては、公知のものを用いることができる。具体例としては、オキシムエステル誘導体(1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(o−ベンゾイルオキシム)](たとえば、チバスペシャリティケミカルズ社製、製品名:IRGACURE OXE01)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(o−アセチルオキシム)(たとえば、チバスペシャリティケミカルズ社製、製品名:IRGACURE OXE02)等)、α−アミノアルキルフェノン系化合物(チバスペシャリティケミカルズ社製の製品名:IRGACURE 369、製品名:IRGACURE 907等)、アシルホスフィンオキシド系化合物(チバスペシャリティケミカルズ社製、製品名:DAROCUR TPO等)等が挙げられる。発生するラジカルの反応性の点から、IRGACURE OXE01、IRGACURE OXE02が好ましい。
本発明の硬化性組成物に光重合開始剤(H2)を含有させる場合、その含有量は、0.1〜20質量%が好ましく、1〜15質量%が特に好ましい。含有量が上記範囲の下限値以上であると、低温で硬化しやすくなるため、硬化膜の耐溶剤性が充分に向上する。上記範囲の上限値以下であると、硬化性組成物の貯蔵安定性が良好になる。
(添加剤)
硬化性組成物には、必要に応じて安定剤類(紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱重合防止剤等)、界面活性剤類(レベリング剤、消泡剤、沈殿防止剤、分散剤等)、可塑剤、増粘剤等のコーティング分野で周知の各種添加剤の中から選択される添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で配合できる。
硬化膜が、製造工程途中で除去されずに最終製品において機能する部材として残る材料(たとえば、層間絶縁膜等)である場合に、硬化性組成物に、接着性向上剤(シランカップリング剤等)を添加してもよい。硬化性組成物に接着性向上剤を含ませると、該硬化性組成物からなる硬化膜と、これに隣接する層との接着性が向上する。該隣接する層にあらかじめ接着性向上剤を塗布する方法であっても、接着性を向上できる。
本発明の硬化性組成物に添加剤を含有させる場合、その含有量は、0.0001〜30質量%が好ましく、0.0001〜20質量%が特に好ましい。
(溶剤(I))
本発明の硬化性組成物は、溶剤(I)とを含ませて、塗布性を調整し、塗布用組成物としてもよい。該塗布用組成物は、該硬化性組成物を基材の表面に塗布して塗膜を形成し、該塗膜から溶剤(I)を除去する。通常、溶剤(I)の除去は、溶剤(I)を蒸発させることによって行う。したがって、溶剤(I)は、塗布用組成物中の溶剤(I)以外の成分よりも低沸点であることが必要である。上記(F)〜(H)の成分のうち最も低沸点の化合物は、通常、化合物(G)であるので、硬化性組成物が化合物(G)を含む場合は、これよりも低沸点の溶剤(I)が使用される。逆に、化合物(G)としては、使用される溶剤(I)よりも充分に高い沸点を有する化合物を使用することが好ましい。
溶剤(I)としては、公知のものを用いることができる。ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、アミド系溶剤、芳香族系溶剤等が挙げられ、具体例としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」ともいう。)、メシチレン、N,N−ジメチルアセトアミド、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
このとき、塗布用組成物中の溶剤(I)の含有量は、組成物中に1〜99.995質量%が好ましく、30〜99.99質量%がより好ましく、50〜90質量%が特に好ましい。
(色素(J))
本発明の硬化性組成物は、レーザアブレーション法によるビア穴の形成をする場合においては、硬化膜に照射されるレーザ光を吸収する色素(J)を含むことが好ましい。すなわち、図1における層間絶縁膜18を形成する硬化性組成物においては、色素(J)を含むことが好ましい。色素(J)を含有させることにより、硬化膜における照射エネルギーの吸収率が向上し、より低い照射エネルギーで硬化膜のレーザ加工が可能となる。またプレポリマー(F)による吸収が少ない波長であっても、該波長において吸収能を有する色素(J)を含有させることにより、該波長のレーザ光を用いたレーザ加工を良好に行うことができる。
色素(J)はレーザ光の吸収能を有する化合物であればよく、例えばベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾエート系化合物、トリアジン系化合物等が挙げられる。
色素(J)は、照射されるレーザ光の波長に応じて適宜選択して用いられる。例えばレーザ光として紫外線レーザ光を用いる場合、色素(J)としては、紫外線吸収剤として公知の化合物を使用できる。
本発明の硬化性組成物を硬化して得られる硬化膜を多層配線構造体に用いる場合、色素(J)としては、可視光領域に吸収が少なく、透明である化合物が好ましい。
色素(J)の分子量は特に限定されないが、揮発性が高くない点で200以上が好ましく、400以上が特に好ましい。該分子量の上限は、樹脂との相溶性の点で2,000以下が好ましく、1,000以下が特に好ましい。
色素(J)は、プレポリマー(F)との良好な相溶性が得られやすい点で、極性基を有することが好ましい。極性基としては、例えばカルボニル基、アルコキシ基が挙げられる。また色素(J)は、架橋性官能基を有することが、プレポリマー(F)または化合物(G)との架橋反応により色素(J)が固定化されやすい点で好ましい。
かかる色素(J)として、例えばベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾエート系化合物、またはトリアジン系化合物であって、極性基および/または架橋性官能基有するものが挙げられる。
架橋性官能基を有する色素(J)は、市販品から入手可能であるほか、架橋性官能基を導入可能な反応性官能基を有する化合物(d1)と、架橋性官能基を有し前記反応性官能基と反応可能な化合物(d2)とを、公知の方法で反応させる方法で合成したものでもよい。
前記反応性官能基としては、例えば水酸基、メルカプト基、アミノ基、カルボキシ基が挙げられる。例えば化合物(d1)の反応性官能基が水酸基である場合、化合物(d2)として架橋性官能基を有するイソシアネート化合物を、化合物(d1)と反応させる方法;化合物(d2)として架橋性官能基を有するカルボン酸ハロゲン化物を、塩基性条件下で化合物(d1)と反応させる方法;または、化合物(d2)として架橋性官能基を有するハロゲン化アルキルを、化合物(d1)と反応させる方法で、化合物(d1)の末端に架橋性官能基を導入された化合物を得ることができる。
架橋性官能基を導入可能な反応性官能基を有する化合物(d1)は、市販品から入手可能であり、公知の方法で合成することもできる。化合物(d1)を合成し、さらに化合物(d2)と反応させて、架橋性官能基を有する色素(J)を得てもよい。
また、化合物(d1)と化合物(d2)とをそれぞれ硬化性組成物に含有させ、該硬化性組成物の硬化膜を形成する過程でこれらを反応させる方法によっても、硬化性組成物に架橋性官能基を有する色素(J)を含有させた場合と同様の効果が得られる。この場合、化合物(d1)と化合物(d2)の全体を色素(J)という。
市販品から入手可能な色素(J)の例として、以下のものが挙げられる。
TINUVIN P(BASF社製)、TINUVIN PS(BASF社製)、TINUVIN 99−2(BASF社製)、TINUVIN 109(BASF社製)、TINUVIN 120(BASF社製)、TINUVIN 213(BASF社製)、TINUVIN 234(BASF社製)、TINUVIN 326(BASF社製)、TINUVIN 328(BASF社製)、TINUVIN 329(BASF社製)、TINUVIN 384−2(BASF社製)、TINUVIN 400(BASF社製)、TINUVIN 405(BASF社製)、TINUVIN 460(BASF社製)、TINUVIN 477DW(BASF社製)、TINUVIN 479(BASF社製)、TINUVIN 571(BASF社製)、TINUVIN 900(BASF社製)、TINUVIN 928(BASF社製)、TINUVIN 1130(BASF社製)、TINUVIN 1577(BASF社製)、TINUVIN 5236(BASF社製)、CHIMASSORB 81(BASF社製)、アデカスタブLAシリーズ(ADEKA社製)、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−t−ブチルフェノール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3,5−ジ(1,1−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−オクチルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノール等。
また、市販品から水酸基有する色素(J)を入手し、その水酸基を(メタ)アクリロイル基に変換した化合物を、架橋性官能基を有する色素(J)として使用できる。
本発明の硬化性組成物に色素(J)を含有させる場合、その含有量は、プレポリマー(F)と化合物(G)との合計(100質量部)に対して、0.01〜20質量部が好ましく、0.1〜10質量部が特に好ましい。上記範囲の下限値以上であると、色素(J)の添加効果が充分に得られやすく、上記範囲の上限値以下であると、電気的な特性を損なわない。
次に、半導体装置10の製造方法について図2を参照しながら説明する。図2は、図1に示した半導体装置10の製造方法の一例を説明する図である。
まず、用意した基板11上に、撥液性重合体と絶縁性ポリマーとを含む硬化性組成物またはさらに溶媒(I)を含む塗布用組成物を塗工して塗膜を形成し、必要に応じて溶剤(I)を除去し、乾燥膜を形成する。塗膜は、基材11の表面に塗膜を直接形成する形態、および基材の表面に任意の層を形成し、その表面に塗膜を形成する形態の両方を含む。
ここで、基材11上に硬化性組成物または塗布用組成物を塗工する方法としては、均一な塗膜が形成できる方法であれば特に限定されない。たとえば、スピンコート法、ワイプコート法、スプレーコート法、スキージーコート法、ディップコート法、ダイコート法、インクジェット法、フローコート法、ロールコート法、キャスト法、スリットコート法、スクリーン印刷法、ラングミュア・ブロジェット法またはグラビアコート法等が挙げられる。生産性の点から、スピンコート法、インクジェット法、スリットコート法が好ましい。
また、塗膜中の溶剤(I)を除去する方法としては、公知の方法が挙げられ、加熱、減圧、加熱と減圧を組合せ方法等が挙げられる。乾燥膜に欠陥が生じにくく、操作も簡便な点から、常圧での加熱が好ましい。このとき、加熱温度は30〜200℃が好ましく、40〜150℃が特に好ましい。
次いで、得られた乾燥膜を加熱または光照射により硬化させ、撥液性の硬化膜17を形成する(図2(a))。
硬化膜17の形成を加熱して行う場合(熱硬化)は、硬化性組成物を塗工する場合には、硬化を目的として加熱(キュア)することによって硬化膜が得られる。塗布用組成物を塗工する場合には、溶剤(I)の除去を目的とした加熱(プリベーク)の後、硬化を目的として加熱(キュア)することによって硬化膜が得られる。プリベークの加熱温度は40〜200℃が好ましく、60〜200℃が特に好ましい。キュアの加熱温度は100〜200℃が好ましく、120〜200℃が特に好ましい。プリベークの加熱時間は1〜10分が好ましく、1〜5分が特に好ましい。キュアの加熱時間は1〜10分が好ましく、1〜5分が特に好ましい。なお、加熱温度が200℃以下とは、加熱に供される物品の温度が200℃を超えないことを意味する。実質的には、ホットプレートやオーブン等の加熱装置の設定温度を200℃以下とすればよい。なお、この熱硬化による硬化膜17の形成の場合は、硬化のための加熱が、溶剤除去のための加熱を兼ねることができ、工程を分けずに処理することもできる。
硬化膜17の形成を光照射して行う場合(光硬化)は、硬化性組成物を塗工する場合には、光を照射(露光)し、必要に応じて加熱(キュア)することによって硬化膜17が得られる。塗布用組成物を塗工する場合には、溶剤(I)の除去を目的として加熱(プリベーク)して乾燥膜を形成した後、該乾燥膜に光を照射(露光)し、必要に応じて加熱(キュア)することによって硬化膜17が得られる。硬化させるために照射する光は、硬化性組成物に含まれる光重合開始剤(H2)が感度を有する波長の光であればよく、特に限定されない。通常、硬化に使用する光は紫外線であるが、これに限定されない。なお、撥液性重合体(E)における単位(u1)の側鎖において分解が起こる波長の光および該波長の光に感度を有する光重合開始剤(H2)を用いないことが好ましい。
光硬化で行う場合のプリベークの加熱温度は30〜100℃が好ましく、40〜100℃が特に好ましく、キュアの加熱温度は60〜200℃が好ましく、100〜200℃が特に好ましい。プリベークの加熱時間は1〜20分が好ましく、1〜10分が特に好ましい。キュアの加熱時間は1〜20分が好ましく、1〜10分が特に好ましい。
フォトリソグラフィによる微細加工を行う場合は、フォトマスクまたはレーザを用いて光を選択的に照射(露光)することによって、照射した部分(露光部)を硬化させる。したがって、露光後に現像(未露光部を溶剤に溶解ないし分散させて除去する工程)を行って、未露光部を除去し、硬化部の残存溶剤を取り除くことによって微細加工された硬化膜が得られる。必要に応じて現像後に加熱(キュア)してもよい。この場合は、該キュアで残存溶剤を取り除くことができる。また、露光後かつ現像前に必要に応じて加熱(露光後ベーク)してもよい。露光後ベークの加熱温度は60〜200℃が好ましく、100〜200℃が特に好ましい。露光後ベークの加熱時間は1〜20分が好ましく、1〜10分が特に好ましい。
次に、得られた硬化膜17の所望の箇所に紫外線を照射し、ゲート電極用の親液性領域のパターンを形成する(図2(b)−(c))。
図2(b)では、ゲート電極を形成する箇所に部分的に紫外線を照射して、図2(c)のように硬化膜17の表面に撥液性領域と親液性領域とのパターンを形成する。具体的には、図1(a)で形成された硬化膜17が撥液性の膜であるため、図2(b)で紫外線照射した部分のみが親液性となり、電極形成が可能な親液性領域のパターンが形成される。なお、以下、紫外線が照射されなかった部分を撥液性領域、紫外線の照射によって親液化した部分を親液性領域と記す。
撥液性領域と親液性領域とからなるパターンを形成する方法としては、硬化膜の表面にフォトマスクを介して紫外線を照射する方法、または、硬化膜の表面にレーザを用いて選択的に紫外線を照射する方法が挙げられる。
紫外線の光源としては、高圧水銀灯(i線365nm)、YAGレーザ(3倍波355nm)等の波長300nm以上の紫外線を照射し得る光源を使用できる。なお、硬化膜の表面は波長300nm未満の紫外線によっても親液化できるため、波長300nm未満の紫外線を照射し得る光源を用いても構わない。
この工程の後、Cf基を含む分解残基を除去してもよい。たとえば、加熱または真空条件で除去することが挙げられる。
図2の方法は、硬化膜17に対して紫外線を照射し、撥液性領域と親液性領域とからなるパターンを形成する方法である。それ以外に、次の方法によって撥液性領域と親液性領域とからなるパターンを形成することもできる。すなわち、基材11上に硬化性組成物または塗布用組成物を塗工して塗膜を形成し、必要に応じて溶剤(I)を除去して、乾燥膜を形成し、該乾燥膜の所望の箇所に紫外線を照射し、撥液性領域と親液性領域とからなるパターンを形成する。その後に加熱または光照射し、撥液性領域と親液性領域とからなるパターンを有する乾燥膜を硬化させて、撥液性領域と撥液性領域とからなるパターンを有する硬化膜17を製造することもできる。
次に、得られたゲート電極用の親液性領域のパターン上に、水素化銅微粒子または銅微粒子を含有する導電インクを塗工し、加熱してゲート電極を形成する(図2(d))。
硬化膜17におけるゲート電極用の親液性領域とされたパターン上に、上記した水素化銅微粒子または銅微粒子を含有する導電インクを塗工し、加熱して銅微粒子を焼成することで導体を形成する。
水素化銅微粒子または銅微粒子を含有する導電インクを塗布する方法としては、例えば、ダイコート法、スピンコート法、キャップコート法、ディップコート法、エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、ナイフコーター法、スクイズコーター法、リバースロールコーター法、トランスファーロールコーター法、グラビアコーター法、キスコーター法、キャストコーター法、スプレーコーター法、スリットオリフィスコーター法、カレンダーコーター法、といった各種塗工法や、スクリーン印刷、インクジェット印刷、オフセット印刷等の印刷法等が挙げられるが、用いる導電インクや硬化性組成物によって適宜選択するのがよい。
インクジェット印刷の場合、所望のパターンの導体の形成が容易な点から、インク吐出孔の孔径を0.5〜100μmとし、基材上に付着した際の水素化銅微粒子または銅微粒子を含有する導電インクの直径が1〜100μmとなるようにすることが好ましい。
基材上に水素化銅微粒子または銅微粒子を含有する導電インクを塗布した後の加熱温度は、60〜300℃が好ましく、60〜150℃がより好ましい。
加熱時間は、加熱温度に応じて、溶媒(C)、銅(II)塩から遊離した酸、微粒子表面から脱離したアルキルアミン(B)等を揮発させて導体が形成できる時間を設定すればよい。
また、加熱は、形成する導体の酸化を抑制しやすい点から、窒素雰囲気等の不活性雰囲気下または真空中で行うことが好ましい。
このようにして水素化銅微粒子または銅微粒子を含有する導電インクを加熱し得られた電極は、銅微粒子が連接した構造を有している。連接した構造とは、銅粒子が焼結し、銅粒子同士が物理的に接合した状態であり、焼成方法、温度により連接状態が異なる。連接状態は走査型電子顕微鏡(SEM)の高倍率(5万倍以上)の観察において確認できる。300℃以上の温度で焼成を行った場合、窒素中または真空中の焼成において、粒子同士の焼結が進み、接合部分が大きく、膜の密度が低い状態で観察される。真空中300℃以下での焼成温度では、膜密度が高く、空隙の無い膜組織が得られる。一方窒素中300℃以下の焼成を行った場合、焼結による接合部分が小さく、微細な空隙が観察され膜密度は真空中で焼成したものに比較し高くない組織が得られる。
加熱方法はオーブンおよびホットプレートによる加熱方法に限らず、IR加熱、フラッシュランプ加熱、レーザ加熱、μ波プラズマ加熱等の方法を使用できる。
次に、硬化膜17およびゲート電極12の上に、硬化性組成物または塗布用組成物を塗工して塗膜を形成し、必要に応じて溶剤(I)を除去して、乾燥膜を形成し、該乾燥膜を加熱または光照射により硬化させて撥液性のゲート絶縁膜16を形成する(図2(e))。
この工程では、硬化膜17およびゲート電極12の上を覆うように、硬化膜の形成と同様の操作によって硬化性組成物または塗布用組成物を塗工して塗膜を形成し、必要に応じて溶剤(I)を除去して、乾燥膜を形成し、該乾燥膜を加熱または光照射により硬化させて、ゲート電極12が他の部材と電気的に接続しないようにゲート絶縁膜16を形成する。
そして、得られたゲート絶縁膜16の所望の箇所に紫外線を照射し、ソース・ドレイン電極用の親液性領域のパターンを形成する(図2(f))。
この工程における親液性領域のパターンの形成は、上記硬化膜における親液性領域のパターンの形成と同様の操作によって、ゲート絶縁膜16上にソース・ドレイン電極用の親液性領域を形成する。なお、乾燥膜の所望の箇所に紫外線を照射し、撥液性領域とソース・ドレイン電極用の親液性領域とのパターンを形成してから、その後加熱または光照射により硬化させて親液性領域を有するゲート絶縁膜16とできる点でも、同様である。
次に、ゲート絶縁膜16上に形成されたソース・ドレイン電極用の親液性領域のパターンの上に、水素化銅微粒子または銅微粒子を含有する導電インクを塗工し、加熱してソース電極13およびドレイン電極14を形成する(図2(g))。
この工程では、ゲート電極の形成と同様の操作により、ソース電極13およびドレイン電極14を形成すればよい。
そして、ゲート絶縁膜16上の、ソース電極13およびドレイン電極14の間の所望の箇所に紫外線を照射し、塗布型半導体用の親液性領域のパターンを形成する(図2(h))。
この工程では、ゲート電極の形成およびソース・ドレイン電極の形成と同様の操作によって、ゲート絶縁膜16上に塗布型半導体用の親液性領域を形成する。
次に、得られた塗布型半導体用の親液性領域のパターン上に、塗布型半導体組成物を塗工し、加熱して塗布型半導体を形成する(図2(i))。
塗布型半導体組成物を塗布する方法としては、例えば、ダイコート法、スピンコート法、キャップコート法、ディップコート法、エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、ナイフコーター法、スクイズコーター法、リバースロールコーター法、トランスファーロールコーター法、グラビアコーター法、キスコーター法、キャストコーター法、スプレーコーター法、スリットオリフィスコーター法、カレンダーコーター法、といった各種塗工法や、スクリーン印刷、インクジェット印刷等の印刷法等が挙げられるが、用いる塗布型半導体組成物によって適宜選択するのがよい。
塗布型半導体用組成物を用いてゲート絶縁膜16上に形成した塗膜を、加熱により硬化させて塗布型半導体15が得られる。このとき、加熱温度は、酸化物半導体前駆体材料が、熱酸化等の変換処理によって金属酸化物からなる半導体層に変換される温度を適宜選択できる。加熱温度は、100〜500℃が好ましく、150〜400℃がより好ましく、200〜300℃がさらに好ましく、220〜275℃が特に好ましい。加熱時間は特に限定されないが、例えば、3分〜24時間であればよい。
さらに、ゲート絶縁膜16、ソース電極13、ドレイン電極14および塗布型半導体15上に、硬化性組成物または塗布用組成物を塗工し、必要に応じて溶剤(I)を除去して、乾燥膜形成し、該乾燥膜を加熱または光照射により硬化させて撥液性の層間絶縁膜を形成する(図2(j))。上述したように、用いる硬化性組成物には色素(J)を含ませることが好ましい。
この工程では、ゲート絶縁膜16、ソース電極13、ドレイン電極14および塗布型半導体15の上を覆うように、硬化膜の形成と同様の操作によって硬化性組成物または塗布用組成物を塗工し、必要に応じて溶剤(I)を除去して、乾燥膜形成し、得られた乾燥膜を硬化させて、ソース電極13およびドレイン電極14が他の部材と電気的に接続しないように、かつ、ソース電極13、ドレイン電極14および塗布型半導体15が外部環境に直接晒されず、保護するものとして層間絶縁膜18を形成する。
以上の各工程によって、半導体装置10が製造できる。なお、さらに、図3に示すように、層間絶縁膜18に孔部を形成し、ドレイン電極14と接続するように画素電極19を形成して、液晶ディスプレイ等に好適な半導体装置とすることもできる。
ここで、孔部は、層間絶縁膜の表面からドレイン電極14まで貫通させる孔部とされ(孔部形成工程)、レーザアブレーション法、ドライエッチング法、ウェットエッチング法、フォトリソグラフィ法等の方法により形成できる。
そして、得られた孔部に電極材料を満たし、さらに層間絶縁膜18表面に電極パターンを形成し、画素電極19とする。このとき、画素電極19は、ソース・ドレイン・ゲート電極と同様、導電インクを塗布し、焼成することにより形成できる。
[第2の実施形態]
次に、本発明の他の実施形態について説明する。ここで、図4は、第2の実施形態である半導体装置20の概略構成を示した断面図である。
第2の実施形態である半導体装置20は、図4に示したように、基板21と、ゲート電極22と、ソース電極23と、ドレイン電極24と、塗布型半導体25と、を有し、ゲート電極22と、ソース電極23およびドレイン電極24との間には、撥液性重合体と絶縁性ポリマーとを含む硬化性組成物から形成されたゲート絶縁膜26が設けられている。
また、ソース電極23、ドレイン電極24および塗布型半導体25を形成するにあたって、基板表面を改質するための硬化膜27、ゲート電極22を外部環境から保護したり、他のトランジスタ構成を積層したり、するための層間絶縁膜28が、形成されている。
この第2の実施形態では、上記説明した第1の実施形態とは、基板上に形成される半導体装置構成の上下が逆転している点のみが異なり、その基本的な構造および製造方法は第1の実施形態と同様である。
この第2の実施形態の半導体装置の製造方法について、図5に示したが、構成順序が異なるのみであるので、基本的には第1の実施形態において説明した半導体装置の製造方法と対応する工程と同様の操作により得られる。
すなわち、用意した基板21上に、撥液性重合体と絶縁性ポリマーとを含む硬化性組成物または前記硬化性組成物と溶剤(I)を含む塗布用組成物を塗工して塗膜を形成し、必要に応じて溶剤(I)を除去して、乾燥膜を形成する。次いで、得られた乾燥膜を加熱または光照射により硬化させ、撥液性の硬化膜27を形成する(図5(a))。
次に、得られた硬化膜27の所望の箇所に紫外線を照射し、ソース・ドレイン電極用の親液性領域のパターンを形成する(図5(b)−(c))。
図5(b)では、ソース電極およびドレイン電極を形成する箇所に部分的に紫外線を照射して、図5(c)のように硬化膜27の表面に撥液性領域と親液性領域とのパターンを形成する。具体的には、形成された硬化膜27が撥液性の硬化膜であるため、紫外線照射した部分のみが親液性となり、電極形成が可能な親液性領域のパターンが形成される。
なお、乾燥膜の所望の箇所に紫外線を照射し、その後加熱または光照射により硬化させて撥液性領域とソース・ドレイン電極用の親液性理域とのパターンを有する硬化膜27を形成できる点は、第1の実施形態と同様である。
次に、得られたソース・ドレイン電極用の親液性領域のパターン上に、水素化銅微粒子または銅微粒子を含有する導電インクを塗工し、加熱してソース電極およびドレイン電極を形成する(図5(d))。
そして、硬化膜27上の、ソース電極23およびドレイン電極24の間の所定の箇所に紫外線を照射し、塗布型半導体用の親液性領域のパターンを形成する(図5(e))。
この工程では、ソース・ドレイン電極の形成と同様の操作によって、硬化膜27上に塗布型半導体用の親液性領域を形成する。
次に、硬化膜27上に形成された塗布型半導体用の親液性領域のパターン上に、塗布型半導体組成物を塗工し、加熱して塗布型半導体25を形成する(図5(f))。
塗布型半導体用組成物を用いて硬化膜27上に形成した塗膜を、加熱により硬化させて塗布型半導体25が得られる。
次に、硬化膜27およびソース電極23、ドレイン電極24および塗布型半導体25の上に、硬化性組成物または塗布用組成物を塗工して塗膜を形成し、必要に応じて溶剤(I)を除去して、乾燥膜を形成し、次に乾燥膜を加熱または光照射により硬化させて撥液性のゲート絶縁膜26を形成する(図5(g))。
この工程では、硬化膜27、ソース電極23、ドレイン電極24および塗布型半導体25の上を覆うように、硬化膜の形成と同様の操作によって硬化性組成物または塗布用組成物を塗工して塗膜を形成し、必要に応じて溶剤(I)を除去して、乾燥膜とし、該乾燥膜を硬化させて、ソース電極23およびドレイン電極24が他の部材と電気的に接続しないように、かつ、ソース電極23、ドレイン電極24および塗布型半導体25が外部環境に直接晒されないように保護するゲート絶縁膜26を形成する。
そして、得られたゲート絶縁膜26の所定の箇所に紫外線を照射し、ゲート電極用の親液性領域のパターンを形成する(図5(h))。
この工程における親水性領域のパターンの形成は、パターンを有する硬化膜27の形成と同様の操作によって、ゲート絶縁膜26上にゲート電極用の親液性領域を形成する。なお、乾燥膜の所望の箇所に紫外線を照射し、その後加熱または光照射により硬化させて撥液性領域とゲート電極用の親液性領域とのパターンを有するゲート絶縁膜26とできる点は、第1の実施形態と同様である。
次に、ゲート絶縁膜26上に形成されたゲート電極用の親液性領域のパターン上に、水素化銅微粒子または銅微粒子を含有する導電インクを塗工し、加熱してゲート電極を形成する(図5(i))。
親液性領域とされたパターン上に、上記した水素化銅微粒子または銅微粒子を含有する導電インクを塗工し、加熱して銅微粒子を焼成することで導体を形成できる。
さらに、ゲート絶縁膜26およびゲート電極22上に、硬化性組成物または塗布用組成物を塗工して塗膜を形成し、必要に応じて溶剤(I)を除去して、乾燥膜を形成し、該乾燥膜を加熱または光照射により硬化させて撥液性の層間絶縁膜28を形成する(図5(j))。
この工程では、ゲート絶縁膜26およびゲート電極22の上を覆うように、硬化膜の形成と同様の操作によって硬化性組成物または塗布用組成物を塗工して塗膜を形成し、必要に応じて溶剤(I)を除去して、乾燥膜を形成し、該乾燥膜を硬化させて、ゲート電極22が他の部材と電気的に接続しないように、かつ、ゲート電極22が外部環境に直接晒されず、保護するものとして層間絶縁膜28を形成する。
この第2の実施形態において、さらに、層間絶縁膜28の表面からドレイン電極24まで貫通した孔部を形成し、得られた孔部に電極材料を満たし、さらに層間絶縁膜28表面に電極パターンを形成し、画素電極を設けることもできる。このとき、孔部は、ゲート絶縁膜26および層間絶縁膜28に設けられる。したがって、この孔部形成に、レーザアブレーション法を用いる場合には、ゲート絶縁膜26および層間絶縁膜28を形成する硬化性組成物に色素(J)を含有させておくのが好ましい。
[合成例1]
(プレポリマー(F1−1)の製造)
ジムロートコンデンサ、熱電対温度計、メカニカルスターラの付いた10Lガラス製4つ口フラスコに、ペルフルオロビフェニル(650g)、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン(117g)、N,N−ジメチルアセトアミド(以下、「DMAc」ともいう。)(6,202g)を仕込んだ。撹拌しながらオイルバス上で加温し、液温が60℃となった時点で炭酸ナトリウム(575g)を素早く添加した。撹拌を継続しながら60℃で24時間加熱した。次いで、撹拌をしながら0℃に冷却し、4−アセトキシスチレン(200g)、水酸化カリウム(532g)を添加し、さらに0℃で24時間加熱した。その後、反応液を室温に冷却し、激しく撹拌した0.5N塩酸水の約10Lに徐々に滴下し、再沈殿を行った。沈殿をろ過後、さらに純水で2回洗浄した。その後、60℃で12時間真空乾燥を行って白色粉末状のプレポリマー(F1−1)(800g)を得た。プレポリマー(F1−1)の数平均分子量(Mn)は10,000であった。
[合成例2−1]
(化合物(m1−1)の製造)
下式で表される反応を行った。4−ヒドロキシベンゼンチオールの17.7gと4’−ブロモプロピオフェノンの20.0gをDMAcの151gに溶解し、溶液を得た。該溶液を80℃で撹拌しながら、該溶液に炭酸カリウムの25.9gを添加した。80℃で12時間撹拌し、化合物(a1−1)の溶液を得た。次いで、得られた化合物(a1−1)の溶液を水に投入し、沈殿物を真空乾燥して化合物(a1−1)の24.0gを得た。
化合物(a1−1)の20.0gとトリエチルアミンの19.0gをテトラヒドロフラン(以下、「THF」ともいう。)の100gに溶解し、溶液を得た。該溶液を0℃で撹拌しながら、該溶液に化合物(b1−1)の9.3gを滴下して加えた。さらに0℃で1時間撹拌し、化合物(c1−1)の溶液を得た。次いで、得られた化合物(c1−1)の溶液を水に投入し、酢酸エチルで3回抽出した。有機相を真空乾燥して化合物(c1−1)の28.0gを得た。
化合物(c1−1)の25.0gと亜硝酸イソアミルの15.0gと35質量%塩酸水溶液の12.5gをTHFの125gに溶解し、溶液を得た。該溶液を室温で3日間撹拌し、化合物(d1−1)の溶液を得た。次いで、得られた化合物(d1−1)の溶液を水に投入し、酢酸エチルで3回抽出した。有機相を真空乾燥して化合物(d1−1)の25.0gを得た。
無水フタル酸の7.5g、1H,1H,2H,2H−ペルフルオロオクタノールの20.0g、4−ジメチルアミノピリジンの8.9g、トリエチルアミンの7.5gを、ジクロロメタンの200gに溶解し、溶液を得た。該溶液を室温で5時間撹拌し、化合物(e1−1)の溶液を得た。次いで、得られた化合物(e1−1)の溶液を1N塩酸で3回、水で1回洗浄した。有機相を真空乾燥して化合物(e1−1)の25.0gを得た。
化合物(d1−1)の7.5gとジイソプロピルカルボジイミドの3.3gをTHFの50gに溶解し、溶液を得た。該溶液を0℃で撹拌しながら、化合物(e1−1)の13.5gをTHF13gに溶解した溶液を滴下して加えた。さらに0℃で1時間撹拌した後、室温で5時間撹拌し、化合物(m1−1)の溶液を得た。該溶液からエバポレータで溶媒を除去した後、真空乾燥して化合物(m1−1)の18gを得た。
Figure 2013214649
[合成例2−2]
(化合物(m1−2)の製造)
下式で表される反応を行った。合成例2−1で得られた化合物(a1−1)の20.2gとトリエチルアミンの9.7gをTHFの89gに溶解し、溶液を得た。該溶液を0℃で撹拌しながら、該溶液に化合物(b1−2)の9.0gを滴下して加えた。さらに0℃で1時間撹拌した後、室温で3.5時間撹拌し、化合物(c1−2)の溶液を得た。次いで、得られた化合物(c1−2)の溶液を水に投入し、酢酸エチルで3回抽出した。有機相を真空乾燥して化合物(c1−2)の26.6gを得た。
化合物(c1−2)の20.0gと亜硝酸イソアミルの10.9gと35質量%塩酸水溶液の5.0gをTHFの107gに溶解し、溶液を得た。該溶液を室温で1日間撹拌し、化合物(d1−2)の溶液を得た。次いで、得られた化合物(d1−2)の溶液を水に投入し、酢酸エチルで3回抽出した。有機相を真空乾燥して化合物(d1−2)の14.2gを得た。
化合物(d1−2)の10.0gとジイソプロピルカルボジイミドの5.5gをTHFの70gに溶解し、溶液を得た。該溶液を0℃で撹拌しながら、化合物(e1−1)の21.8gをTHFの20gに溶解した溶液を滴下して加えた。さらに0℃で1時間撹拌した後、室温で20時間撹拌し、化合物(m1−2)の懸濁液を得た。該懸濁液をろ過し、得られた溶液からエバポレータで溶媒を除去した後、真空乾燥して化合物(m1−2)の15.0gを得た。
Figure 2013214649
[合成例2−3]
(化合物(m1−3)の製造)
化合物(d1−2)を合成例2−2で得て、次いで、下式で表される反応を行った。
無水コハク酸の3.5g、1H,1H,2H,2H−ペルフルオロオクタノールの13.7g、4−ジメチルアミノピリジンの1.1g、トリエチルアミンの5.4gを、ジクロロメタンの106gに溶解し、溶液を得た。該溶液を室温で17時間撹拌し、化合物(e1−2)の溶液を得た。次いで、得られた化合物(e1−2)の溶液を1N塩酸で3回、水で1回洗浄した。有機相を真空乾燥して化合物(e1−2)の15.7gを得た。
化合物(d1−2)の5.1gとジイソプロピルカルボジイミドの2.7gをTHFの30gに溶解し、溶液を得た。該溶液を0℃で撹拌しながら、化合物(e1−2)の9.7gをTHF10gに溶解した溶液を滴下して加えた。さらに0℃で1時間撹拌した後、室温で19時間撹拌し、化合物(m1−3)の溶液を得た。該溶液からエバポレータで溶媒を除去した後、真空乾燥して化合物(m1−3)の9.7gを得た。
Figure 2013214649
[合成例3−1]
(撥液性重合体(E−1)の製造)
2−ブタノンの20.0g中にて、化合物(m1−1)の9.8gおよび2−ヒドロキシエチルメタクリレートの1.5gを、n−ドデシルメルカプタンの0.34gおよび2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬社製、製品名:V−70)の0.05gの存在下に、50℃で24時間反応させた。室温(20〜25℃)に冷却した後、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートの1.7g、ジブチル錫ジラウレートの0.007gおよび2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールの0.084gを加え、40℃で24時間反応させて下式の単位(u1−1)および単位(u2−1)を有する撥液性重合体(E−1)の2−ブタノン溶液を得た。得られた撥液性重合体(E−1)の2−ブタノン溶液をヘキサンに投入し、沈殿物を真空乾燥して粉末状の撥液性重合体(E−1)の10.1gを得た。撥液性重合体(E−1)におけるフッ素含有量は22.3質量%、数平均分子量(Mn)は8,000であった。
Figure 2013214649
[合成例3−2]
(撥液性重合体(E−2)の製造)
2−ブタノンの2.7g中にて、化合物(m1−2)の1.0gおよび2−ヒドロキシエチルメタクリレートの0.15gを、n−オクタデシルメルカプタンの0.33gおよび2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬社製、製品名:V−65)の0.005gの存在下に、50℃で24時間反応させた。室温(20〜25℃)に冷却した後、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートの0.17g、ジブチル錫ジラウレートの0.0007gおよび2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールの0.008gを加え、40℃で24時間反応させて下式の単位(u1−2)および単位(u2−1)を有する撥液性重合体(E−2)の2−ブタノン溶液を得た。合成例3−1と同様にして、粉末状の撥液性重合体(E−2)の1.18gを得た。撥液性重合体(E−2)におけるフッ素含有量は22.0質量%、数平均分子量(Mn)は8,000であった。
Figure 2013214649
[合成例3−3]
(撥液性重合体(E−3)の製造)
2−ブタノンの2.2g中にて、化合物(m1−3)の0.8gおよび2−ヒドロキシエチルメタクリレートの0.13gを、n−オクタデシルメルカプタンの0.03gおよび2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬社製、製品名:V−65)の0.004gの存在下に、50℃で24時間反応させた。室温(20〜25℃)に冷却した後、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートの0.14g、ジブチル錫ジラウレートの0.0006gおよび2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールの0.007gを加え、40℃で24時間反応させて下式の単位(u1−3)および単位(u2−1)を有する撥液性重合体(E−3)の2−ブタノン溶液を得た。合成例3−1と同様にして、粉末状の撥液性重合体(E−3)の0.89gを得た。撥液性重合体(E−3)におけるフッ素含有量は23.0質量%、数平均分子量(Mn)は8,000であった。
Figure 2013214649
[製造例1−1〜1−3]
(塗布用組成物の製造)
合成例1で合成したプレポリマー(F1−1)の1.2g、化合物(G)であるジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(数平均分子量(Mn):578)の0.8g、合成例2−1で製造した撥液性重合体(E−1)の0.01gおよび熱重合開始剤(H1)であるベンゾイルペルオキシドの0.2gを、PGMEAの8.0gに溶解させ、塗布用組成物(1)を製造した。
また、化合物(G)としてジトリメチロールプロパンヘキサアクリレートを使用し、撥液性重合体として(E−2)〜(E−3)を使用した以外は製造例1−1と同様にして、塗布用組成物(2)〜(3)を製造した。
(硬化膜の製造)
ガラス基材の上に塗布用組成物(1)〜(3)を毎分1,000回転、30秒にてスピンコートし、塗膜を得た。次いで、該塗膜付きガラス基材を60℃のホットプレートを用いて90秒加熱し、膜厚1μmの乾燥膜を形成した。
乾燥膜の表面に、マスクパターンを介して紫外線(i線365nm)を部分的に照射した。紫外線の照射は、SUSS社製の製品名:MA−8を用い、照射条件は1J/cmとした。該装置および条件では、波長350nm以下の紫外線は照射されない。
次いで、パターンが形成された乾燥膜付きガラス基材を150℃のオーブンを用いて30分加熱し、パターンが形成された乾燥膜を硬化させた。
紫外線が照射された部分のPGMEA接触角および紫外線が照射されなかった部分のPGMEA接触角を測定した。評価結果を表1に示す。
なお、PGMEA接触角の測定は、協和界面科学社製の製品名:接触角計CA−Aを用い、25℃の条件下、液滴法で行った。硬化膜の上に、約1μLのPGMEAを滴下して接触角を測定した。
Figure 2013214649
[合成例4]
(化合物(m2−1)の製造)
化合物(a11−1)(チバスペシャルティケミカルズ社製、製品名:IRGACURE 2959)の2.5gとトリエチルアミンの2.3gをジクロロメタンの62mLに混合して溶解させて、溶液を得た。該溶液を0℃で撹拌しながら、該溶液に、アクリル酸クロライド(化合物(b1−1))の1.0gをジクロロメタンの8mLに溶解した溶液を、滴下して加えた。滴下が終了した後、0℃で1時間撹拌し、化合物(c11−1)を含む溶液を得た。
化合物(c11−1)を含む溶液を0℃で撹拌しながら、トリエチルアミンの1.7gを加えた。次いで、2−(ヘプタフルオロプロポキシ)−2,3,3,3−テトラフルオロプロピオン酸フルオリド(化合物(d11−1))の4.4gを滴下して加えた。滴下が終了した後、室温で1時間撹拌し、化合物(m2−1)を含む溶液を得た。
化合物(m2−1)を含む溶液を氷水に注ぎ入れ、酢酸エチルを用いて3回抽出し、有機相を乾燥し、シリカゲルカラムクロマトグラムで精製を行うことで、化合物(m2−1)の2.0gを得た。
Figure 2013214649
[合成例5]
(撥液性重合体(E−10)の製造)
2−ブタノンの2.0g中にて、化合物(m2−1)の0.70gおよび2−ヒドロキシエチルメタクリレートの0.15gを、n−ドデシルメルカプタンの0.034gおよび2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬社製、製品名:V−70)の0.005gの存在下に、50℃で24時間反応させた。室温(20〜25℃)に冷却した後、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートの0.17g、ジブチル錫ジラウレートの0.0007gおよび2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールの0.0084gを加え、40℃で24時間反応させて下式の単位(u1−4)および単位(u2−1)を有する撥液性重合体(E−10)の2−ブタノン溶液を得た。得られた撥液性重合体(E−10)の2−ブタノン溶液をヘキサンに投入することによって沈殿させ、真空乾燥して粉末状の撥液性重合体(E−10)の0.75gを得た。撥液性重合体(E−10)におけるフッ素含有量は24.2質量%、数平均分子量(Mn)は8,000であった。
Figure 2013214649
[製造例2]
(塗布用組成物の製造)
プレポリマー(F1−1)の1.2g、化合物(G)であるジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(数平均分子量(Mn):578)の0.8g、撥液性重合体(E−10)の0.02gおよび熱重合開始剤(H1)であるベンゾイルペルオキシドの0.2gを、PGMEAの8.0gに溶解させ、塗布用組成物を製造した。
(硬化膜の製造)
ガラス基材の上に塗布用組成物を毎分1,000回転、30秒にてスピンコートし、150℃のホットプレートを用いて20分間加熱することによって、膜厚1μmの硬化膜を形成した。
硬化膜の表面に、マスクパターンを介して紫外線(i線365nm)を部分的に照射した。紫外線の照射は、SUSS社製の製品名:MA−8を用い、照射条件は100J/cmとした。該装置および条件では、波長350nm以下の紫外線は照射されない。
紫外線が照射された部分のPGMEA接触角は10°以下であり、紫外線が照射されなかった部分のPGMEA接触角は53゜であった。
[合成例6−1]
(撥液性重合体(E−11)の合成)
2−ブタノン(199g)中で、化合物(m3−2c)(50g)とHEMA(35g)とを連鎖移動剤DSH(5.2g)および重合開始剤V−70(0.7g)の存在下に、50℃で24時間反応させ、続いて70℃で2時間反応させた。
室温(20〜25℃)に冷却後、AOI(38g)、DBTDL(0.2g)とBHT(1.9g)を仕込み、40℃で24時間反応させて共重合体(E−11)を合成した。得られた撥液性重合体(E−11)の2−ブタノン溶液をヘキサンに投入することで再沈精製し、真空乾燥して粉末状の撥液性重合体(E−11)を115g得た。フッ素含有量は18質量%、数平均分子量(Mn)は5,500であった。
[合成例6−2]
(撥液性重合体(E−12)の合成)
2−ブタノン(197g)中で、化合物(m3−3a)(50g)とHEMA(34g)とを連鎖移動剤DSH(5.1g)および重合開始剤V−70(0.7g)の存在下に、50℃で24時間反応させ、続いて70℃で2時間反応させた。
室温(20〜25℃)に冷却後、AOI(37g)、DBTDL(0.1g)とBHT(1.9g)を仕込み、40℃で24時間反応させて共重合体(E−12)を合成した。得られた撥液性重合体(E−12)の2−ブタノン溶液をヘキサンに投入することで再沈精製し、真空乾燥して粉末状の撥液性重合体(E−12)を115g得た。フッ素含有量は18質量%、数平均分子量(Mn)は6,000であった。
[合成例6−3]
(撥液性重合体(E−13)の合成)
2−ブタノン(184g)中で、化合物(m3−5a)(50g)とHEMA(29g)とを連鎖移動剤DSH(4.3g)および重合開始剤V−70(0.6g)の存在下に、50℃で24時間反応させ、続いて70℃で2時間反応させた。
室温(20〜25℃)に冷却後、AOI(31g)、DBTDL(0.1g)とBHT(1.6g)を仕込み、40℃で24時間反応させて共重合体(E−13)を合成した。得られた撥液性重合体(E−13)の2−ブタノン溶液をヘキサンに投入することで再沈精製し、真空乾燥して粉末状の撥液性重合体(E−13)を100g得た。フッ素含有量は17質量%、数平均分子量(Mn)は6,000であった。
[合成例6−4]
(撥液性重合体(E−14)の合成)
2−ブタノン(212g)中で、化合物(m3−2a)(50g)とHEMA(41g)とを連鎖移動剤DSH(6.0g)および重合開始剤V−70(0.8g)の存在下に、50℃で24時間反応させ、続いて70℃で2時間反応させた。
室温(20〜25℃)に冷却後、AOI(44g)、DBTDL(0.2g)とBHT(2.2g)を仕込み、40℃で24時間反応させて共重合体(E−14)を合成した。得られた撥液性重合体(E−14)の2−ブタノン溶液をヘキサンに投入することで再沈精製し、真空乾燥して粉末状の撥液性重合体(E−14)を125g得た。フッ素含有量は19質量%、数平均分子量(Mn)は5,500であった。
[合成例6−5]
(撥液性重合体(E−15)の合成)
2−ブタノン(288g)中で、化合物(m3−2b)(50g)とHEMA(73g)とを連鎖移動剤DSH(11g)および重合開始剤V−70(1.5g)の存在下に、50℃で24時間反応させ、続いて70℃で2時間反応させた。
室温(20〜25℃)に冷却後、AOI(79g)、DBTDL(0.3g)とBHT(4.0g)を仕込み、40℃で24時間反応させて共重合体(E−15)を合成した。得られた撥液性重合体(E−15)の2−ブタノン溶液をヘキサンに投入することで再沈精製し、真空乾燥して粉末状の撥液性重合体(E−15)を195g得た。フッ素含有量は9質量%、数平均分子量(Mn)は5,000であった。
[合成例6−6]
(撥液性重合体(E−16)の合成)
2−ブタノン(174g)中で、化合物(m3−2b)(50g)とHEMA(24g)とを連鎖移動剤DSH(5.4g)および重合開始剤V−70(0.7g)の存在下に、50℃で24時間反応させ、続いて70℃で2時間反応させた。
室温(20〜25℃)に冷却後、AOI(27g)、DBTDL(0.1g)とBHT(1.3g)を仕込み、40℃で24時間反応させて共重合体(E−16)を合成した。得られた撥液性重合体(E−16)の2−ブタノン溶液をヘキサンに投入することで再沈精製し、真空乾燥して粉末状の撥液性重合体(E−16)を90g得た。フッ素含有量は18質量%、数平均分子量(Mn)は5,000であった。
[合成例6−7]
(撥液性重合体(E−17)の合成)
2−ブタノン(136g)中で、化合物(m3−2b)(50g)とHEMA(8.1g)とを連鎖移動剤DSH(3.6g)および重合開始剤V−70(0.5g)の存在下に、50℃で24時間反応させ、続いて70℃で2時間反応させた。
室温(20〜25℃)に冷却後、AOI(8.8g)、DBTDL(0.04g)とBHT(0.4g)を仕込み、40℃で24時間反応させて共重合体(E−17)を合成した。得られた撥液性重合体(E−17)の2−ブタノン溶液をヘキサンに投入することで再沈精製し、真空乾燥して粉末状の撥液性重合体(E−17)を60g得た。フッ素含有量は27質量%、数平均分子量(Mn)は6,500であった。
[製造例3−1〜3−7]
合成例1で製造したプレポリマー(F1−1)、合成例6−1〜6−7で製造した撥液性重合体(E)、および以下の原料を用い、表2に示す配合で塗布用組成物を調製した。ガラス基板上に該塗布用組成物を毎分1,000回転、30秒にてスピンコートし、ホットプレートを用いて150℃で20分間加熱した(プリベーク)。続いて、オーブンを用いて150℃で10分間加熱(キュア)して、膜厚1μmの硬化膜を形成した。
硬化膜の表面に、マスクパターンを介して紫外線を部分的に照射した。紫外線の照射は、スポットキュアSP−7(ウシオ電機社製)を用い、照射条件は50J/cmとした。この条件では波長200nm以下の光は照射されない。
紫外線が照射された部分(照射部)と照射されなかった部分(未照射部)について、それぞれ上記の方法で接触角を測定した。評価結果を表2に示す。
Figure 2013214649
なお、ここで使用した材料は次のとおりである。
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート。
AOI:2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート。
DSH:n−ドデシルメルカプタン。
V−70:2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬社製、製品名:V−70)。
DBTDL:ジブチル錫ジラウレート。
TEA:トリエチルアミン。
BHT:2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール。
<化合物(G)>
M408:ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(数平均分子量(Mn):466)。
<熱開始剤(H1)>
BPO:過酸化ベンゾイル。
<溶剤(I)>
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート。
以上の結果から、撥液性重合体と絶縁性ポリマーとを含有する硬化性組成物は、撥液性領域と親液性領域とのパターンを紫外線照射により容易に形成でき、得られた硬化膜の紫外線照射部分における親液性領域のムラも生じなかった。したがって、導電インクの使用と組み合わせることで、所望の形状に、かつ特性の安定した配線パターンを形成でき、品質の安定した薄膜トランジスタを有する半導体装置を製造できる。
10,20…半導体装置、11,21…基板、12,22…ゲート電極、13,23…ソース電極、14,24…ドレイン電極、15,25…塗布型半導体、16,26…ゲート絶縁膜、17,27…硬化膜、18,28…層間絶縁膜

Claims (17)

  1. 銅微粒子が連接して形成されたゲート電極、ソース電極およびドレイン電極と、
    前記ゲート電極と前記ソース電極および前記ドレイン電極との間に設けられ、撥液性重合体と絶縁性ポリマーとを含む硬化性組成物から得られたゲート絶縁膜と、
    前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に設けられた塗布型半導体と、
    を有することを特徴とする半導体装置。
  2. 表面に撥液性重合体と絶縁性ポリマーとを含む硬化性組成物からなる硬化膜を有する基板と、
    前記硬化膜上に形成されたゲート電極と、
    前記撥液性重合体と絶縁性ポリマーとを含む硬化性組成物からなり、前記ゲート電極および前記硬化膜上に形成されたゲート絶縁層と、
    前記ゲート絶縁層上に形成されたソース電極およびドレイン電極と、
    前記ゲート絶縁層上であって、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に形成された塗布型半導体層と、
    前記撥液性重合体と絶縁性ポリマーとを含む硬化性組成物からなり、前記ソース電極、前記ドレイン電極、前記塗布型半導体層および前記ゲート絶縁層上に形成された層間絶縁膜と、
    を有する請求項1記載の半導体装置。
  3. 表面に撥液性重合体と絶縁性ポリマーとを含む硬化性組成物からなる硬化膜を有する基板と、
    前記硬化膜上に形成されたソース電極およびドレイン電極と、
    前記硬化膜上であって、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に形成された塗布型半導体層と、
    前記撥液性重合体と絶縁性ポリマーとを含む硬化性組成物からなり、前記硬化膜、前記ソース電極、前記ドレイン電極および前記塗布型半導体の上に形成されたゲート絶縁層と、
    前記ゲート絶縁層の所定の箇所に形成されたゲート電極と、
    前記撥液性重合体と絶縁性ポリマーとを含む硬化性組成物からなり、前記ゲート絶縁層および前記ゲート電極の上に形成された層間絶縁膜と、
    を有する請求項1記載の半導体装置。
  4. 前記ドレイン電極と接続された画素電極を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置。
  5. 前記ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極が、ボロン、ナトリウムおよび炭素を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体装置。
  6. 基板上に、撥液性重合体と絶縁性ポリマーとを含む硬化性組成物または前記硬化性組成物と溶剤とを含む塗布用組成物を塗工して塗膜を形成し、加熱または光照射により硬化させて硬化膜を形成する工程と、
    前記硬化膜の所望の箇所に紫外線を照射し、撥液性領域とゲート電極用の親液性領域とのパターンを有する硬化膜を形成する工程と、
    前記硬化膜上に形成されたゲート電極用の親液性領域のパターンの上に、平均一次粒子径が5〜100nmの水素化銅微粒子または銅微粒子を含有する導電インクを塗工し、加熱してゲート電極を形成する工程と、
    前記硬化膜および前記ゲート電極の上に、前記硬化性組成物または前記塗布用組成物を塗工して塗膜を形成し、加熱または光照射により硬化させてゲート絶縁膜を形成する工程と、
    前記ゲート絶縁膜の所望の箇所に紫外線を照射し、撥液性領域とソース・ドレイン電極用の親液性領域とのパターンを有するゲート絶縁膜を形成する工程と、
    前記ゲート絶縁膜上に形成されたソース・ドレイン電極用の親液性領域のパターン上に、前記水素化銅微粒子または銅微粒子を含有する導電インクを塗工し、加熱してソース電極およびドレイン電極を形成する工程と、
    前記ゲート絶縁膜上において、前記ソース電極とドレイン電極との間の所望の箇所に紫外線を照射し、塗布型半導体用の親液性領域のパターンを形成する工程と、
    前記ゲート絶縁膜上に形成された塗布型半導体用の親液性領域のパターン上に、塗布型半導体組成物を塗工し、加熱して塗布型半導体を形成する工程と、
    前記ゲート絶縁膜、前記ソース電極、前記ドレイン電極および前記塗布型半導体上に、前記硬化性組成物または前記塗布用組成物を塗工して塗膜を形成し、加熱または光照射により硬化させて層間絶縁膜を形成する工程と、
    を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  7. 基板上に、撥液性重合体と絶縁性ポリマーとを含む硬化性組成物または前記硬化性組成物と溶剤とを含む塗布用組成物を塗工して塗膜を形成し、必要に応じて溶剤を除去して、乾燥膜を形成する工程と、
    前記乾燥膜の所望の箇所に紫外線を照射し、撥液性領域とゲート電極用の親液性領域とのパターンを有する乾燥膜を形成する工程と、
    前記撥液性領域とゲート電極用の親液性領域とのパターンを有する乾燥膜を加熱または光照射により硬化させて、撥液性領域とゲート電極用の親液性領域とのパターンを有する硬化膜を形成する工程と、
    前記硬化膜上に形成されたゲート電極用の親液性領域のパターン上に、平均一次粒子径が5〜100nmの水素化銅微粒子または銅微粒子を含有する導電インクを塗工し、加熱してゲート電極を形成する工程と、
    前記硬化膜および前記ゲート電極の上に、前記硬化性組成物または前記塗布用組成物を塗工して塗膜を形成し、必要に応じて溶剤を除去して、ゲート絶縁膜用の乾燥膜を形成する工程と、
    前記ゲート絶縁膜用の乾燥膜の所望の箇所に紫外線を照射し、撥液性領域とソース・ドレイン電極用の親液性領域とのパターンを有する乾燥膜を形成する工程と、
    前記撥液性領域とソース・ドレイン電極用の親液性領域とのパターンを有する乾燥膜を加熱または光照射により硬化させて、撥液性領域とソース・ドレイン電極用の親液性領域とのパターンを有するゲート絶縁膜を形成する工程と、
    前記ゲート絶縁膜上に形成されたソース・ドレイン電極用の親液性領域のパターンの上に、前記水素化銅微粒子または銅微粒子を含有する導電インクを塗工し、加熱してソース電極およびドレイン電極を形成する工程と、
    前記ゲート絶縁膜上において、前記ソース電極とドレイン電極との間の所望の箇所に紫外線を照射し、撥液性領域と塗布型半導体用の親液性領域とのパターンを形成する工程と、
    前記ゲート絶縁膜上に形成された塗布型半導体用の親液性領域のパターン上に、塗布型半導体組成物を塗工し、加熱して塗布型半導体を形成する工程と、
    前記ゲート絶縁膜、前記ソース電極、前記ドレイン電極および前記塗布型半導体上に、前記硬化性組成物または前記塗布用組成物を塗工して塗膜を形成し、必要に応じて溶剤を除去して、加熱または光照射により硬化させて層間絶縁膜を形成する工程と、
    を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  8. 基板上に、撥液性重合体と絶縁性ポリマーとを含む硬化性組成物または前記硬化性組成物と溶剤とを含む塗布用組成物を塗工して塗膜を形成し、加熱または光照射により硬化させて硬化膜を形成する工程と、
    前記硬化膜上の所望の領域に紫外線を照射し、撥液性領域とソース・ドレイン電極用の親液性領域とのパターンを有する硬化膜を形成する工程と、
    前記硬化膜上に形成されたソース・ドレイン電極用の親液性領域のパターンの上に、平均一次粒子径が5〜100nmの水素化銅微粒子または銅微粒子を含有する導電インクを塗工し、加熱してソース電極およびドレイン電極を形成する工程と、
    前記硬化膜上において、前記ソース電極とドレイン電極との間の所望の箇所に紫外線を照射し、塗布型半導体用の親液性領域のパターンを形成する工程と、
    前記硬化膜上に形成された塗布型半導体用の親液性領域のパターン上に、塗布型半導体組成物を塗工し、加熱して塗布型半導体を形成する工程と、
    前記硬化膜、前記塗布型半導体、前記ソース電極および前記ドレイン電極の上に、前記硬化性組成物または前記塗布用組成物を塗工して塗膜を形成し、加熱または光照射により硬化させてゲート絶縁膜を形成する工程と、
    前記ゲート絶縁膜の所望の箇所に紫外線を照射し、撥液性領域とゲート電極用の親液性領域とのパターンを有するゲート絶縁膜を形成する工程と、
    前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極用の親液性領域のパターンの上に、前記水素化銅微粒子または銅微粒子を含有する導電インクを塗工し、加熱してゲート電極を形成する工程と、
    前記ゲート絶縁膜およびゲート電極上に、前記硬化性組成物または前記塗布用組成物を塗工して塗膜を形成し、加熱または光照射により硬化させて層間絶縁膜を形成する工程と、
    を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  9. 基板上に、撥液性重合体と絶縁性ポリマーとを含む硬化性組成物または前記硬化性組成物と溶剤とを含む塗布用組成物を塗工して塗膜を形成し、必要に応じて溶剤を除去して、乾燥膜を形成する工程と、
    前記乾燥膜の所望の箇所に紫外線を照射し、撥液性領域とソース・ドレイン電極用の親液性領域とのパターンを有する乾燥膜を形成する工程と、
    前記撥液性領域とソース・ドレイン電極用の親液性領域とのパターンを有する乾燥膜を加熱または光照射により硬化させて、撥液性領域とソース・ドレイン電極用の親液性領域とのパターンを有する硬化膜を形成する工程と、
    前記硬化膜上に形成されたソース・ドレイン電極用の親液性領域のパターンの上に、平均一次粒子径が5〜100nmの水素化銅微粒子または銅微粒子を含有する導電インクを塗工し、加熱してソース電極およびドレイン電極を形成する工程と、
    前記硬化膜上において、前記ソース電極とドレイン電極との間の所望の箇所に紫外線を照射し、撥液性領域と塗布型半導体用の親液性領域とのパターンを形成する工程と、
    前記塗布型半導体用の親液性領域のパターン上に、塗布型半導体組成物を塗工し、加熱して塗布型半導体を形成する工程と、
    前記硬化膜、前記塗布型半導体、前記ソース電極および前記ドレイン電極の上に、前記硬化性組成物または前記塗布用組成物を塗工して塗膜を形成し、必要に応じて溶剤を除去して、ゲート絶縁膜用の乾燥膜を形成する工程と、
    前記ゲート絶縁膜用の乾燥膜の所望の箇所に紫外線を照射し、撥液性領域とゲート電極用の親液性領域とのパターンを有するゲート絶縁膜用の乾燥膜を形成する工程と、
    前記撥液性領域とゲート電極用の親液性領域とのパターンを有する乾燥膜を加熱または光照射により硬化させて、撥液性領域とゲート電極用の親液性領域とのパターンを有するゲート絶縁膜を形成する工程と、
    前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極用の親液性領域のパターンの上に、前記水素化銅微粒子または銅微粒子を含有する導電インクを塗工し、加熱してゲート電極を形成する工程と、
    前記ゲート絶縁膜およびゲート電極上に、前記硬化性組成物または前記塗布用組成物を塗工して塗膜を形成し、必要に応じて溶剤を除去し、加熱または光照射により硬化させて層間絶縁膜を形成する工程と、
    を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  10. 前記撥液性重合体が、波長300nm以上の紫外線を照射して分解する化合物である、請求項6〜9のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  11. 前記絶縁性ポリマーが、含フッ素ポリアリーレンプレポリマーである請求項6〜10のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  12. 前記含フッ素ポリアリーレンプレポリマーが、架橋性官能基およびフェノール性水酸基を有する化合物(x1)ならびに架橋性官能基およびフッ素原子置換芳香環を有する化合物(x2)のいずれか一方または両方と、下記化学式(y)で表される化合物(y)と、フェノール性水酸基を3個以上有する化合物(z)とを、脱ハロゲン化水素剤の存在下に縮合反応させて得られた、架橋性官能基およびエーテル結合を有するプレポリマーである、請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
    Figure 2013214649
    (ただし、式中、cは、0〜3の整数であり、aは、0〜3の整数であり、bは、0〜3の整数であり、Rfは、炭素数8以下のフルオロアルキル基であり、Rfは、炭素数8以下のフルオロアルキル基であり、芳香環内のFは、該芳香環の水素原子が全てフッ素原子で置換されていることを表す。)
  13. 前記硬化性組成物が、さらに紫外線吸収剤を含む、請求項6〜12のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  14. 前記導電インクが、炭化水素系溶媒に、炭素数7以上のアルキル基を有し、かつ沸点が250℃以下のアルキルアミンにて表面被覆された平均一次粒子径が5〜100nmの水素化銅微粒子または銅微粒子が分散したインクであり、20℃での表面張力が25〜40dyn/cm、20℃での粘度が8〜40mPa・sである、請求項6〜13のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  15. 前記層間絶縁膜形成工程の後に、前記層間絶縁膜の表面から前記ドレイン電極まで貫通する孔部を設ける孔部形成工程を有する、請求項6〜14のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  16. 前記孔部形成工程が、レーザアブレーション法により行われる、請求項15に記載の半導体装置の製造方法。
  17. 前記孔部形成工程の後に、ドレイン電極に接続された画素電極を形成する画素電極形成工程を有する、請求項15または16に記載の半導体装置の製造方法。
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