JP2013214626A - 窒化物半導体を用いた電界効果型トランジスタ及びその製造方法 - Google Patents

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Hirokuni Tokuda
博邦 徳田
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Abstract

【課題】本発明は、窒化物半導体の組成及び層厚を変更することなく2DEG濃度を高めることができる窒化物半導体を用いた電界効果型トランジスタ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】サファイア基板1上にGaNからなる第一半導体層2を形成し、第一半導体層2上にAlGaNからなる第二半導体層3を形成したヘテロ接合半導体基板に対して、第二半導体層3の表面にソース電極5及びドレイン電極6を形成する。そして、ソース電極5及びドレイン電極6の間に、第二半導体層3の表面に形成された金属層を真空中で加熱処理することにより第二半導体層3内に形成された介在層8上にゲート電極9を形成して、電界効果型トランジスタを構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、窒化物半導体を用いた電界効果型トランジスタ及びその製造方法に関する。
窒化物半導体は、III−V族半導体においてV族として窒素(N)を用いた半導体で、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化インジウム(InN)といったものが挙げられる。窒化物半導体は、ケイ素(Si)やガリウム砒素(GaAs)を用いた半導体に比べてバンドギャップが大きく、電子飽和速度が高いことから、高耐圧、大電流、高周波での動作に適しており、特に大電力用の電界効果トランジスタといったパワーエレクトロニクス用素子として開発が進められている。
また、窒化物半導体は、上述した優れた材料特性に加え、GaNやAlNよりも電子親和力の小さな窒化物半導体である窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)や窒化アルミニウムインジウム(AlInN)といった半導体とヘテロ接合を形成することができる。AlGaN/GaN、AlInN/AlN/GaN等のヘテロ接合では、窒化物半導体が強い自発分極を示すことから、ヘテロ接合の界面に高濃度の電子が誘起される。そして、界面に誘起された電子は散乱の影響を受けにくいため、GaNやAlN単体の半導体に比べて高い移動度が得られる。そのため、こうした高い電子濃度及び高い移動度といった特性を利用して、窒化物半導体を用いたヘテロ接合を有する電界効果型トランジスタの開発が進められており、実用化が図られている。
例えば、特許文献1では、AlGaN層及びGaN層を積層したIII−V族化合物半導体層上に、真空蒸着法、化学気相成長法、スパッタリング法、電子ビーム蒸着法、分子線エピタキシー(MBE)法のいずれかの薄膜形成方法により、金属酸化物層又は金属層を形成後300℃〜800℃、窒素雰囲気中でアニールすることにより、ソース電極及びドレイン電極のオーミック電極部を形成した電界効果型トランジスタが記載されている。また、特許文献2では、ワイドバンドギャップ化合物半導体層上に、Zrからなる密着層、オーミック層及び酸化防止層が積層されたオーミック電極を形成した電子デバイスが記載されている。
上述したヘテロ接合の界面、例えばAlGaN/GaNの界面に誘起される電子は、深さ方向への運動の自由度が失われて2次元平面での運動を示すことから「2次元電子ガス」(Two Dimensional Electron Gas;以下「2DEG」と略称する)と称される。2DEG濃度は、ヘテロ接合トランジスタのドレイン電流を増加させて伝達コンダクタンスを高めるという観点からみると、高く設定することが望ましい。AlGaN/GaNのヘテロ接合界面における2DEG濃度は、AlGaN層のAl組成及び厚さにより決定されることから、2DEG濃度を高めるためには、Al組成を大きくして層厚を厚くすることが必要となる。
しかしながら、AlGaN層のAl組成を大きくして層厚を厚くすると、AlGaN層上に形成されるソース電極及びドレイン電極のオーミック接触抵抗が大きくなることが避けられず、却ってトランジスタの特性を悪化させてしまうという問題が生じる。また、AlGaN層のAl組成を小さくして層厚を薄くすると、オーミック接触抵抗は小さくなるものの最大ドレイン電流や伝達コンダクタンスが低下するようになる。こうしたことから、現在開発されているヘテロ接合を有する電界効果型トランジスタでは、AlGaN層のAl組成は0.15〜0.3、厚さは10nm〜30nmに設定されており、このように設定された構造では2DEG濃度が1×1013cm-2程度になる。2DEG濃度が制約される結果、電界効果型トランジスタとして、最大ドレイン電流の上限値は1A/mm、伝達コンダクタンスの上限値は0.8S/mm程度となり、得られる最大電力及び最大動作周波数といったトランジスタの特性の向上を図る上で制約となってしまうという課題がある。
特開2004−288853号公報 特開2010−192558号公報
本発明は、上記した従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、窒化物半導体の組成及び層厚を変更することなく2DEG濃度を高めることができる窒化物半導体を用いた電界効果型トランジスタ及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る電界効果型トランジスタは、窒素を構成元素とする第一半導体層及び窒素を構成元素とするとともに当該第一半導体層よりも電子親和力が小さい第二半導体層を積層したヘテロ接合半導体層を備え、前記第二半導体層上にソース電極、ドレイン電極及びゲート電極が所望の領域に形成された電界効果型トランジスタにおいて、前記ゲート電極は、前記第二半導体層の表面に形成された金属層を前記ヘテロ接合半導体層とともに真空中で加熱処理することにより前記第二半導体層内に形成された介在層上に積層されている。さらに、前記第一半導体層がGaN層又はAlGaN層であり、前記第二半導体層がAlGaN層又はAlInN層である。
本発明に係る電界効果型トランジスタの製造方法は、窒素を構成元素とする第一半導体層及び窒素を構成元素とするとともに当該第一半導体層よりも電子親和力が小さい第二半導体層を積層したヘテロ接合半導体層に対して当該第二半導体層上にソース電極及びドレイン電極を形成する工程と、前記第二半導体層の表面において前記ソース電極及び前記ドレイン電極の間に金属層を形成する工程と、前記金属層を前記ヘテロ接合半導体層とともに真空中で加熱処理して前記第二半導体層内に介在層を形成する工程と、前記介在層上にゲート電極を形成する工程とを備えている。さらに、前記金属層は、前記第二半導体層の表面にチタン又はバナジウムを積層した後、金又はアルミニウムを含む少なくとも1種類の金属を積層した金属複合膜である。さらに、前記加熱処理では、真空度5×10-2Torr以下の真空状態に設定して350℃〜700℃の加熱温度で処理する。さらに、前記第一半導体層がGaN層又はAlGaN層であり、前記第二半導体層がAlGaN層又はAlInN層である。さらに、前記介在層上に残留する前記金属層を構成する金属を除去して前記ゲート電極を形成する。さらに、前記介在層上に絶縁膜を形成して当該絶縁膜上に前記ゲート電極を形成することも実施態様に含まれる。
本発明によれば、窒化物半導体の組成及び層厚を変更することなく2DEG濃度を高めることができる。
本発明に係る電界効果型トランジスタに関する断面図である。 本発明に係る電界効果型トランジスタの製造工程に関する説明図である。 測定対象の試料に関する断面図及び平面図である。 シート電子濃度の測定結果の推移を示すグラフである。 キャリア移動度の測定結果の推移を示すグラフである。
以下、本発明について具体的に説明する。図1は、本発明に係る実施形態である電界効果型トランジスタに関する断面図であり、図2は、電界効果型トランジスタの製造工程に関する説明図である。
電界効果型トランジスタは、基板1上に窒化物半導体からなる第一半導体層2及び第二半導体層3が積層されて形成されている。基板1上に積層された第一半導体層2は、その上に積層された第二半導体層3よりも電子親和力が大きく、第一半導体層2がチャネル層となり、第二半導体層3がバリア層となってヘテロ接合半導体層を構成している。そして、第一半導体層2と第二半導体層3との間の界面には、2DEGが誘起される領域4となっている。
そして、第二半導体層3の表面には、ソース電極5及びドレイン電極6が所定間隔を置いて形成されている。ソース電極5及びドレイン電極6の間には、第二半導体層3内に2DEG濃度が高められた介在層8が形成されており、介在層8の表面にゲート電極9が形成されている。
基板1としては、基板1表面に窒化物半導体層が形成可能な結晶であれば特に限定されないが、例えば、シリコン(Si)基板、サファイア基板、SiC基板、及び、GaN基板等を使用できる。基板1の厚さは、半導体技術の分野において通常の厚さであればよく、特に限定されない。また、基板1のサイズは、電界効果トランジスタ(FET)の用途等に応じて適宜設定すればよい。
第一半導体層2としては、GaN、AlGaNが挙げられる。特に、GaNを用いることで、第二の半導体層3との自発分極差が大きく、また格子定数差により生じるピエゾ分極が大きくなることから、より高い2DEG濃度が得られる、といった作用効果が得られる。第一半導体層2の厚さとしては、半導体技術の分野において通常の厚さであればよく、特に限定されない。
第二半導体層3としては、第一半導体層2よりもバンドギャップの大きい材料が使用されることが好ましく、例えば、第一半導体層2がGaNの場合には第二半導体層3にAlGaN又はAlInNを用いることができる。また、第一半導体層をAlGaNとし、第二半導体層を第一半導体層よりもAl組成の大きなAlGaNで構成することもできる。特に、AlGaNをバリア層に用いることで、大電力及び高温条件に対する耐久性を備えることができる。第二半導体層3の厚さとしては、半導体技術の分野において通常の厚さであればよく、特に限定されないが、10nm〜50nmであることが好ましい。
図2(a)は、基板1上に第一半導体層2及び第二半導体層3を公知の結晶成長技術により積層して形成した状態を示している。この状態では、第一半導体層2と第二半導体層3との間の界面に2DEG濃度が1×1013cm-2程度の領域4が形成される。
なお、基板1と第一半導体層2との間には、バッファ層(図示せず)を形成することもできる。バッファ層としては、半導体技術の分野において一般的に用いられるものであればよく、特に限定されないが、例えば、GaN系超格子層等を形成することができる。
基板1上に第一半導体層2及び第二半導体層3を形成した後、図2(b)に示すように、第二半導体層3の表面にソース電極5及びドレイン電極6を所定間隔を置いて形成する。これらの電極は、オーミック特性を示すオーミック電極として形成される。これらの電極に用いる金属材料としては、金(Au)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)といったものが挙げられる。これらの金属材料を複数組み合わせて積層して電極を形成する。最下層にTi又はVを形成した金属複合膜を形成することが好ましく、例えば、Ti/Au、Ti/Al/Ni/Au、Ti/Al/Mo/Au、V/Al/Mo/Auが挙げられる。
こうしたオーミック電極を形成する場合には、まず、第二半導体層3の表面に一定の膜厚でフォトレジストを塗布し、所望の電極パターンが形成されたフォトマスクをフォトレジストの表面にセットして露光した後現像することで、電極形成領域のフォトレジストを除去する。そして、EB(Electron−Beam)蒸着機等の公知の手段を用いて、金属材料を蒸着により積層する。金属層の厚さは、蒸着レート及び蒸着時間に基づいて設定することができる。金属層を積層した後、アセトン又は剥離液に基板を浸漬することで、フォトレジスト及びフォトレジスト上の金属層を除去し、第二半導体層3の表面において電極形成領域にのみ金属層を形成した基板1を得る。こうした電極形成領域への金属層の形成は、公知の方法を用いればよく、特に限定されない。
第二半導体層3の表面において電極形成領域にのみ金属層を形成した基板1を熱処理装置に導入し、窒素等の不活性ガス中において所定温度(例えば800℃〜950℃)で所定時間(例えば30秒〜60秒)加熱してアロイ処理を行う。アロイ処理では、加熱温度の昇温速度及び降温速度をできるだけ速くすることが望ましく、例えば、100℃/秒〜150℃/秒の昇温速度に設定される。こうしたアロイ処理により、電極用金属膜が溶融して第二半導体層3内に合金領域が形成されるようになり、オーミック電極が形成される。
次に、図2(c)に示すように、ソース電極5と、ドレイン電極6との間で第二半導体層3表面上の所望の領域に金属層7を形成する。金属層7は、ソース電極5及びドレイン電極6と同様に形成することができる。具体的には、フォトレジストを塗布してフォトマスクによりソース電極5及びドレイン電極6の間に所望のパターンを露光した後現像液によりフォトレジストを除去して金属層形成領域を露出した状態にし、蒸着装置により金属材料を蒸着させて形成した後フォトレジストを除去して第二半導体層3の表面に金属層7を形成する。金属層7に用いる金属材料としては、Au、Ti、Ni、Al、V、Moといったものが挙げられる。これらの金属材料を複数組み合わせて積層して金属層を形成する。最下層にTi又はVを形成した金属複合膜を形成することが好ましく、例えば、Ti/Au、Ti/Al/Ni/Au、Ti/Al/Mo/Au、V/Al/Mo/Auが挙げられる。
次に、第二半導体層3の表面に金属層7を形成した基板1を真空加熱装置に導入して、真空度5×10-2Torr以下の真空状態において350℃〜700℃の加熱処理温度で加熱する。加熱時間は、金属層7の種類により適宜設定すればよい。こうした加熱処理を行うことで、金属層7の金属が第二半導体層3の窒化物半導体と反応して第二半導体層3内に介在層8が形成される。
図2(d)は、ソース電極5及びドレイン電極6の間に第二半導体層3内に介在層8が形成された状態を示している。形成された介在層8は、2DEG濃度が5×1013cm-2〜7×1013cm-2に高められている。また、加熱処理後の介在層8の表面は、荒れのほとんどない平滑な表面になっているので、後述するゲート電極9のパターン形成を安定して行うことができる。
なお、金属層7が厚い場合には、真空加熱処理後に介在層の表面に金属が残留した状態となるので、余分な金属層は、真空加熱処理後に王水等によりエッチング処理して除去すればよい。
図2(e)は、ソース電極5及びドレイン電極6の間において介在層8の表面にゲート電極9を形成した状態を示している。ゲート電極9は、ソース電極5及びドレイン電極6と同様に形成することができる。具体的には、フォトレジストを塗布してフォトマスクによりソース電極5及びドレイン電極6の間に所望のパターンを露光した後現像液によりフォトレジストを除去して電極形成領域を露出した状態にし、蒸着装置により金属材料を蒸着させて形成した後フォトレジストを除去して介在層8の表面にゲート電極9を形成する。
ゲート電極9は、ソース電極5及びドレイン電極6の間に介在層8の表面に形成される。ゲート電極9に用いる金属材料としては、半導体技術分野において通常使用されているものであればよく特に限定されないが、Ni、Au、白金(Pt)、パラジウム(Pd)といったものが挙げられる。これらの金属材料を複数組み合わせて積層してゲート電極9を形成する。
なお、上述した例では、ゲート電極9として、例えばNi/Au層で形成することでMES(Metal−Semiconductor)型トランジスタを製造することができるが、ゲート電極9と介在層8との間にSiN膜等の絶縁膜を積層することでMIS(Metal−Insulator−Semiconductor)型トランジスタを製造することも可能である。
サファイア基板上にチャネル層としてGaN層を形成し、その上にバリア層としてAl0.25Ga0.75N層(厚さ25nm)を形成した。GaN層及びAlGaN層は、MOCVD法により形成した。
AlGaN層の表面にフォトレジストを塗布してフォトマスクにより所望の領域にソース電極及びドレイン電極のパターンを露光した後、現像液によりフォトレジストを除去して電極形成領域を露出した状態にした。次に、公知のEB蒸着機によりTi、Al、Mo及びAuを順次蒸着させて積層して金属複合膜を形成した。そして、フォトレジスト及びフォトレジスト上の金属複合膜を除去して、電極形成領域にのみTi/Al/Mo/Auからなる金属複合膜を積層した基板を得た。そして、公知の加熱処理装置に基板を導入し、窒素中において加熱温度850℃で30秒間熱処理してソース電極及びドレイン電極となるオーミック電極をAlGaN層の表面に形成した。
次に、ソース電極及びドレイン電極の表面を含むAlGaN層の表面にフォトレジストを塗布してフォトマスクによりソース電極及びドレイン電極の間に所望のパターンを露光した後、現像液によりフォトレジストを除去して金属層形成領域を露出した状態にした。次に、上述したEB蒸着機によりTi及びAuを順次蒸着して金属複合膜を形成した。そして、フォトレジスト及びフォトレジスト上の金属複合膜を除去して、金属層形成領域にのみTi/Auからなる金属複合膜を積層した基板を得た。Ti/Auの厚さは、それぞれ100nmである。
次に、真空加熱装置に基板を導入して、真空度1×10-2Torrの真空状態に設定し、400℃の加熱温度で60分間加熱処理した。加熱処理後のAlGaN層内に形成された介在層の表面を光学顕微鏡で観察したところ、平坦で荒れのほとんどない状態であることが確認できた。
次に、ソース電極及びドレイン電極の間において介在層の表面に、これらの電極と同様の方法でゲート電極としてNi及びAuをそれぞれ積層した金属複合膜を形成した。ゲート電極は、問題なく形成することができ、電界効果トランジスタとして正常に動作することが確認された。
図3は、上記の方法で形成される介在層の特性を測定するための試料を示しており、図3(a)は試料の断面図を、図3(b)は試料の平面図を示している。図3(a)に示すように、サファイア基板100上にチャネル層としてGaN層101を形成し、その上にバリア層としてAlGaN層102(Al組成0.25、厚さ25nm)を形成した実施例と同様のものを準備した。AlGaN層102の表面の四隅には、実施例のソース電極及びドレイン電極と同様に金属材料としてTi/Al/Mo/Auを順次蒸着して積層した金属複合膜をアロイ処理することでオーミック電極103を形成した。
AlGaN層102の表面の中央部分には、実施例で説明した介在層の形成方法と同様にTi/Auを蒸着して積層した金属複合膜104を形成した。試料の寸法は、7mm×7mmである。そして、実施例と同様に真空加熱装置に試料を導入し、真空度1×10-2Torrの真空状態に設定して、室温(絶対温度300K)から750℃(絶対温度1023K)まで加熱温度を上昇させていき、750℃から室温まで降下させて、温度の依存性を調べた。100℃毎に設定された加熱温度において、真空中におけるHall効果(Van der Pauw法)によりヘテロ接合窒化物半導体層のシート電子濃度(ns;×1013cm-2)及びキャリア移動度(μ;cm2/Vs)を測定した。
測定結果を図4及び図5に示す。図4に示すように、シート電子濃度については、昇温時において330℃(600K)付近から急激に増加し、480℃(750K)でピーク値(2.7×1014cm-2)となり、それ以上の加熱温度では低下することがわかる。750℃(1023K)から温度を降下させていくと、350℃(620K)付近をピークに減少することがわかる。また、昇温前のシート電子濃度(1×1013cm-2)に比べて降温後の測定値(6.1×1013cm-2)は約6倍に増加している。図5に示すように、キャリア移動度については、昇温前の測定値(1290cm2/Vs)に比べて降温後の測定値(1580cm2/Vs)が約20%程度増加している。
以上の測定結果をみると、金属複合膜を積層後に真空状態で加熱処理して形成された介在層は、金属複合膜の金属と窒化物半導体とが反応して加熱処理前に比べて高2DEG濃度及び高キャリア移動度を有することが確認できた。
1・・・基板、2・・・第一半導体層、3・・・第二半導体層、4・・・二次元電子ガス、5・・・ソース電極、6・・・ドレイン電極、7・・・金属層、8・・・介在層、9・・・ゲート電極

Claims (9)

  1. 窒素を構成元素とする第一半導体層及び窒素を構成元素とするとともに当該第一半導体層よりも電子親和力が小さい第二半導体層を積層したヘテロ接合半導体層を備え、前記第二半導体層上にソース電極、ドレイン電極及びゲート電極が所望の領域に形成された電界効果型トランジスタにおいて、前記ゲート電極は、前記第二半導体層の表面に形成された金属層を前記ヘテロ接合半導体層とともに真空中で加熱処理することにより前記第二半導体層内に形成された介在層上に積層されている電界効果型トランジスタ。
  2. 前記第一半導体層がGaN層又はAlGaN層であり、前記第二半導体層がAlGaN層又はAlInN層である請求項1に記載の電界効果型トランジスタ。
  3. 前記介在層と前記ゲート電極との間に絶縁膜が形成されている請求項1又は2に記載の電界効果型トランジスタ。
  4. 窒素を構成元素とする第一半導体層及び窒素を構成元素とするとともに当該第一半導体層よりも電子親和力が小さい第二半導体層を積層したヘテロ接合半導体層に対して当該第二半導体層上にソース電極及びドレイン電極を形成する工程と、前記第二半導体層の表面において前記ソース電極及び前記ドレイン電極の間に金属層を形成する工程と、前記金属層を前記ヘテロ接合半導体層とともに真空中で加熱処理して前記第二半導体層内に介在層を形成する工程と、前記介在層上にゲート電極を形成する工程とを備えている電界効果型トランジスタの製造方法。
  5. 前記金属層は、前記第二半導体層の表面にチタン又はバナジウムを積層した後、金又はアルミニウムを含む少なくとも1種類の金属を積層した金属複合膜である請求項4に記載の電界効果型トランジスタの製造方法。
  6. 前記加熱処理では、真空度5×10-2Torr以下の真空状態に設定して350℃〜700℃の加熱温度で処理する請求項4又は5に記載の電界効果型トランジスタの製造方法。
  7. 前記第一半導体層がGaN層又はAlGaN層であり、前記第二半導体層がAlGaN層又はAlInN層である請求項4から6のいずれかに記載の電界効果型トランジスタの製造方法。
  8. 前記介在層上に残留する前記金属層を構成する金属を除去して前記ゲート電極を形成する請求項4から7のいずれかに記載の電界効果型トランジスタの製造方法。
  9. 前記介在層上に絶縁膜を形成して当該絶縁膜上に前記ゲート電極を形成する請求項4から8のいずれかに記載の電界効果型トランジスタの製造方法。
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