JP2013214368A - 有機エレクトロルミネッセンス素子封止用樹脂組成物、これを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子およびディスプレイ装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子封止用樹脂組成物、これを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子およびディスプレイ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ディスプレイ装置のガラス等の基板との密着性がよく、長期の信頼性が確保でき、不具合の発生を抑制した有機EL素子封止用の樹脂組成物、有機エレクトロルミネッセンス素子およびディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】少なくとも硬化性成分と乾燥剤を含む有機エレクトロルミネッセンス素子封止用樹脂組成物であって、100℃3時間で硬化処理後、85℃、85%、24時間の条件で吸湿処理した場合、1)ガラスとの剪断接着強度が1MPa以上であり、かつ2)DSCで発熱ピークが確認できる、特性を有する有機エレクトロルミネッセンス素子封止用樹脂組成物、有機エレクトロルミネッセンス素子およびディスプレイ装置。
【選択図】なし

Description

本発明は、電界の印加によって高輝度発光する有機エレクトロルミネッセンス素子の封止に使用する樹脂組成物に関し、さらに詳しくは有機エレクトロルミネッセンス素子を水分その他から保護するために、基板上に形成された有機エレクトロルミネッセンス素子およびこれを用いたディスプレイ装置に関する。
発光型の電子ディスプレイデバイスとして、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)がある。ELDの構成要素としては、無機もしくは有機エレクトロルミネッセンス素子(以降、無機もしくは有機EL素子と称す)が挙げられる。無機EL素子は平面型光源として使用されてきたが、発光素子を駆動させるためには交流の高電圧が必要である。有機EL素子は、発光する化合物を含有する発光層を、陰極と陽極とで挟んだ構成を有し、発光層に電子及び正孔を注入して、再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・燐光)を利用して発光する素子であり、数V〜数十V程度の電圧で発光が可能であり、さらに自己発光型であるために視野角に富み、視認性が高く、薄膜型の完全固体素子であるために省スペース、携帯性等の観点から注目されている。
有機EL素子は多結晶の半導体デバイスであり、低電圧で高輝度の発光を得られるため液晶のバックライトなどに使用され、薄型平面表示デバイスと期待されている。しかしながら、有機EL素子は水分にきわめて弱く、金属電極と有機EL層との界面が水分の影響で剥離してしまったり、金属が酸化して高抵抗化してしまったり、有機物自体が水分によって変質してしまったりし、このようなことから発光しなくなったり、輝度が低下してしまったりという欠点がある。
従来、有機EL素子では、封止の後に内部に残存する水分を吸収するとともに、外部から侵入した水分を吸収するために、封止材の内側面に吸湿性材料層を配設することが知られている。例えば、有機EL素子を封止材内に封止すると共に、この封止材の内側面に吸湿剤を配設した有機EL表示装置(特許文献1参照)や、アルカリ土類金属の酸化物からなる吸湿膜を封止材の内側面に配設することにより、有機EL素子内部への水分の侵入を抑制すること(特許文献2参照)が知られている。さらに、フィルムを用いた封止方法が提案されている(特許文献3、4参照)。
特開平9−148066号公報 特開2000−260562号公報 特開2003−059645号公報、 特開平5−101884号公報
しかしながら、透湿度が低い樹脂を用いた場合、その樹脂の官能基を減らすこととなり基板(基盤)・封止ガラスとの接着強度が得られず、長期の信頼性(非発光点や発光面の周囲において発光が得られない表示欠陥、いわゆるダークスポットによる劣化)が保つことが出来ないという問題があり、さらに吸水性を高めるため、樹脂中に吸水性粒子である乾燥剤を混ぜ込んで使用すると、
非接着物質である乾燥剤により基板(基盤)・封止ガラスとの密着性はさらに落ちてしまい、十分な接着強度が得られない問題が発生した。
また、このような封止樹脂に硬化性の樹脂を使用すると、硬化させた後には、樹脂が吸水性粒子を完全に覆った状態で分子運動性がなくなってしまうために、乾燥剤の吸水能力が落ちるという問題が発生した。さらには、吸水後の乾燥剤の体積膨張を緩和することが出来ないために、この応力により基板(基盤)・封止ガラスとの接着性が劣り、上記の信頼性が保てないという問題が発生していた。
そこで、本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたもので、ディスプレイ装置のガラス等の基板との密着性がよく、さらに長期の信頼性(非発光点や発光面の周囲において発光が得られない表示欠陥、いわゆるダークスポットによる劣化)が確保でき、不具合の発生を抑制することが可能な有機エレクトロルミネッセンス素子封止用樹脂組成物、これを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子およびディスプレイ装置を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、硬化・吸湿処理後のガラスとの剪断接着強度とDSCでの発熱ピーク挙動が重要であることを見出し、本発明を完成させるに至ったものである。
すなわち、本発明の上記課題は下記の手段により達成された。
(1)少なくとも硬化性成分と乾燥剤を含む有機エレクトロルミネッセンス素子封止用樹脂組成物であって、100℃3時間で硬化処理後、85℃、85%、24時間の条件で吸湿処理した場合、1)ガラスとの剪断接着強度が1MPa以上であり、かつ2)DSCで発熱ピークが確認できる、特性を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子封止用樹脂組成物。
(2)前記DSCでの発熱ピークが、100℃〜180℃の範囲で確認できることを特徴とする(1)に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子封止用樹脂組成物。
(3)前記DSCでの発熱量が、50J/g以上であることを特徴とする(1)または(2)に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子封止用樹脂組成。
(4)前記硬化成分が、エポキシ基を有するエポキシ化合物もしくは樹脂であり、さらにフェノール系硬化剤を含むことを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子封止用樹脂組成物。
(5)前記樹脂組成物中に、多環式芳香環の骨格を有する化合物もしくは樹脂を含有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子封止用樹脂組成物。
(6)さらにバインダー樹脂を含有し、前記乾燥剤が、該バインダー樹脂100質量部に対し、10質量部以上含まれていることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子封止用樹脂組成物。
(7)前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の樹脂組成物で封止されてなる有機エレクトロルミネッセンス素子。
(8)前記(7)に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を有するディスプレイ装置。
本発明により、ディスプレイ装置のガラス等の基板との密着性がよく、さらに長期の信頼性(非発光点や発光面の周囲において発光が得られない表示欠陥、いわゆるダークスポットによる劣化)が確保でき、不具合の発生を抑制できる有機エレクトロルミネッセンス素子封止用樹脂組成物、これを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子およびディスプレイ装置が提供できる。
本発明の封止用接着フィルムの好ましい形態の断面を模式的に示す図である。 本発明の封止用接着フィルムで封止された有機EL素子の別の好ましい形態の断面を模式的に示す図である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の樹脂組成物は、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)封止用樹脂組成物である。
有機EL素子の封止は、次のように行われる。
まず、ガラスまたはフィルム基板上に透明電極を約0.1μmの厚みで成膜する。透明電極の成膜に際しては、真空蒸着及びスパッタ等による方法がある。ただし、真空蒸着による成膜は、結晶粒が成長して膜表面の平滑度を低下させることがあり、薄膜ELに適用する場合には絶縁破壊膜や不均一発光の原因を作るため注意を要する。一方、スパッタによる成膜は表面の平滑性がよく、その上に薄膜デバイスを積層する場合に好ましい結果が得られている。続いて、透明電極の上部に正孔輸送層及び有機EL層を0.05μm厚みで順次成膜する。また、有機EL層の上部に背面電極を0.1〜0.3μmの厚みで成膜する。
これらの素子の成膜を終えたガラスまたはフィルム基板の上部に本発明の熱硬化型の樹脂組成物をロールラミネータ等で転写する。この時、本発明の熱硬化型の樹脂組成物は予め基体フィルム(離型フィルム)上に延展されフィルム状に形成されていて、このフィルム状に形成された熱硬化型組成物をロールラミネータで転写する。次いで、転写した熱硬化型の樹脂組成物の上から非透水性ガラスまたはフィルム基板を重ね合せる。これを、真空ラミネータ装置を用いて加熱圧着させ、上下基板の仮固着を行う。その後、加熱し、この加熱工程の温度で熱硬化型樹脂を硬化させる。なお、この加熱工程における加熱硬化の温度は、有機EL素子にダメージを与えないように120℃以下で行うことが望ましい。
<樹脂組成物および接着剤層>
本発明の樹脂組成物は、少なくとも乾燥剤および硬化性成分を含み、該樹脂組成物は、100℃3時間で硬化処理後、85℃、85%、24時間の条件で吸湿処理した場合、1)ガラスとの剪断接着強度が1MPa以上であり、かつ2)示差走査熱量測定(DSC)で発熱ピークが確認できる、特性を有するものである。
ガラスとの剪断接着強度は1MPa以上である。
ガラスとの剪断接着強度は以下のようにして測定できる。
ガラス製封止基板に挟まれた有機EL素子を実施例に示すように作製し、有機EL層が存在しない部分(ベゼルと呼ぶ)を使用し、ガラスとの剪断接着強度を測定する。
有機EL素子のベゼル部を縦5mm×横5mmに切断し、これを85℃、相対湿度85%の条件下で24時間処理した後、万能型ボンドテスター(例えば、DAGE社 シリーズ4000)を用いて、ガラスとのステージ温度25℃、ヘッド高さ:接着剤の厚さ+5μm、速度50μm/secにおける剪断接着力を測定する。
もしくは、有機EL素子の作製にはコストや時間がかかるために、次のような方法でガラスとの剪断接着強度の測定を行う。
作製した接着剤層の両面に剥離シートを有する接着フィルムの有機EL素子側に貼合する側の剥離フィルムを剥がし、5mm角のガラスに60℃で加熱しながら貼り合わせ、その後、封止基板を接着させる側の接着剤層の剥離シートを剥離し、12mm角のガラスに60℃/500gf/3sで圧着させ、このようにして作製したサンプルを加熱炉中100℃、3時間で加熱硬化させた後、ガラス/接着フィルム/ガラスと積層されたサンプルを作製し、ガラスとの剪断接着強度を測定する。
上記のように作製したガラス/接着フィルム/ガラスと積層されたサンプルを、85℃、相対湿度85%の条件下で24時間処理した後、万能型ボンドテスター(例えば、DAGE社 シリーズ4000)を用いて、ステージ温度25℃、ヘッド高さ:接着剤の厚さ+5μm、速度50μm/secにおけるガラスとの剪断接着力を測定する。
また、本発明の樹脂組成物は、上記の条件で硬化処理後に、DSCで発熱ピークが確認できるものであるが、この発熱ピークが、100℃〜180℃の範囲で確認できることが好ましく、また、この発熱ピークの発熱量(結晶化熱量)は、50J/g以上であることが好ましい。該発熱量は、50J/g以上800J/g以下が好ましく、100J/g以上500J/g以下がより好ましい。
DSCの発熱ピークおよび発熱量の測定は、以下のようにして測定する。
剪断接着強度の測定で作製した有機EL素子から樹脂組成物(各封止剤)を採取し、これを85℃、相対湿度85%の条件下で24時間処理した後、10mg測り取り、DSC測定装置(例えば、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製のEXSTAR DSC7020)を使用し、昇温速度10℃/minで300℃まで空気中で加熱し、発熱量を測定する。また、リファレンスは、アルミナを使用する。
本発明の樹脂組成物は、硬化型の樹脂組成物であり、この樹脂組成物を半硬化させた接着フィルム状態とすることが取り扱い性の面から好ましい。
すなわち、樹脂組成物からなるフィルム状の接着剤層を形成するものであり、該接着剤層の両面または片面に剥離フィルムを仮着させることが取り扱い性の面からより好ましい。
このため、以下、樹脂組成物を接着剤層と称して説明する。
接着剤層としては、硬化性成分を含むものからなる。また、接着剤層は1層でも2層以上でも構わない。
これらの硬化性成分を硬化させる目的で各成分の硬化剤を適宜使用することもできる。
接着剤層の厚さは、3〜100μmが好ましく、5〜50μmがより好ましい。
(バインダー樹脂)
接着剤層には、フィルムに可とう性を付与する目的でバインダー樹脂を使用することができる。
このようなバインダー樹脂としては、(メタ)アクリル系ポリマー、ゴム系ポリマー、フェノキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂等が挙げられる。これらは1種でも2種以上併用してもよい。
このうち、本発明においては、(メタ)アクリル系ポリマー、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。
(メタ)アクリル系ポリマーとしては、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステルを構成成分とする重合体もしくは共重合体であることが好ましい。また、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、ニトリル基等を有する(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸エステルを構成成分に含んでもよい。(メタ)アクリル系ポリマーの調製方法に特に制限はなく、溶液重合、エマルジョン重合、懸濁重合、塊状重合等の通常の方法で合成することができる。
このような(メタ)アクリル系ポリマーは質量平均分子量が5万以上であることが好ましく、特に10〜100万であることがより好ましい。質量平均分子量が5万以上であると、シート状またはフィルム状としたときの可とう性、強度、タック性が適当である。質量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて換算した値を示す。
また、(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、−10〜30℃が好ましく、0〜20℃がより好ましい。
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ノルボルネン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、アダマンタン骨格、テルペン骨格、トリメチルシクロヘキサン骨格から選択される1種以上の骨格を有するものが挙げられる。これらは1種または2種以上を使用してもよい。フェノキシ樹脂の質量平均分子量としては、30,000〜100,000が好ましく、40,000〜80,000であることがより好ましい。
フェノキシ樹脂の市販品としては、具体的には、ジャパンエポキシレジン(株)製1256、4250(ビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂)、ジャパンエポキシレジン(株)製YX8100(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂)、ジャパンエポキシレジン(株)製YX6954(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂)、ユニオンカーバイド社製PKHH(質量平均分子量(Mw)42,600、数平均分子量(Mn)11,200)、東都化成(株)製FX280、FX293、ジャパンエポキシレジン(株)製YL7553BH30、YL6794、YL7213、YL7290、YL7482等が挙げられ、なかでもジャパンエポキシレジン(株)製1256(ビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂)、ジャパンエポキシレジン(株)製YX8100(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂)、ジャパンエポキシレジン(株)製YX6954(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂)、ユニオンカーバイド社製PKHH(質量平均分子量(Mw)42,600、数平均分子量(Mn)11,200)が好ましい。
ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸成分とポリオール(グリコール)成分との重縮合により得られる。当該多価カルボン酸として、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリメリット酸等の公知のものが挙げられる。また、上記ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールなどの脂肪族アルコールや、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールなどのポリエーテルポリオールなどが挙げられる。本発明に用いるポリエステル樹脂の質量平均分子量は5,000〜50,000であることが好ましく、10,000〜30,000であることがより好ましい。
また、本発明に用いるポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、−20〜80℃であることが好ましく、0〜60℃であることがさらに好ましい。
Tgが高すぎると、樹脂組成物の可とう性が劣ってくる、逆に低すぎると樹脂組成物のタックが高くなり、作業性が悪化することがある。
バインダー樹脂の樹脂組成物中の含有量は、固形分(不揮発成分)100質量部に対し、10〜90質量部が好ましく、30〜70質量部がより好ましい。
(硬化成分)
硬化性成分とは、熱、光などにより硬化反応を起こす組成物をいう。具体的には例えば、接着剤に使用される公知のポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルイミド樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、メラミン樹脂等やその混合物が挙げられる。
このうち本発明においてはエポキシ基を有するエポキシ化合物もしくは樹脂(以下、まとめてエポキシ樹脂と称する)が好ましい。
エポキシ樹脂は、硬化して接着作用を呈するものであれば特に制限はないが、二官能基以上で、好ましくは分子量もしくは質量平均分子量が5,000未満、より好ましくは3,000未満のエポキシ樹脂が使用できる。また、好ましくは分子量が500以上、より好ましくは800以上のエポキシ樹脂が使用できる。
例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノールのジグリシジリエーテル化物、ナフタレンジオールのジグリシジリエーテル化物、フェノール類のジグリシジリエーテル化物、アルコール類のジグリシジルエーテル化物、及びこれらのアルキル置換体、ハロゲン化物、水素添加物などの二官能エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。また、多官能エポキシ樹脂や複素環含有エポキシ樹脂等、一般に知られているものを適用することもできる。これらは単独または二種類以上を組み合わせて使用することができる。さらに、特性を損なわない範囲でエポキシ樹脂以外の成分が不純物として含まれていてもよい。本発明においては、少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ樹脂が好ましく、さらに、芳香環の多いビスフェノール型エポキシ樹脂(グリシジル基でフェノールの水酸基がエーテル化されたp−連結のビスフェノールもしくはノボラック型樹脂)が特に好ましい。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は100〜1000g/eqが好ましく、150〜500g/eqがより好ましい。
エポキシ樹脂の樹脂組成物中の含有量は、固形分(不揮発成分)で全樹脂組成物100質量部に対し、10〜70質量部が好ましく、20〜60質量部がより好ましい。
(硬化剤)
エポキシ樹脂の硬化剤としては、ヒドロキシル基を有する化合物もしくは樹脂が好ましく、例えば、フェノール系樹脂を使用できる。フェノール系樹脂としては、アルキルフェノール、多価フェノール、ナフトール、ビフェニレン等のフェノール類とアルデヒド類との縮合物等が特に制限されることなく用いられる。
本発明においては、芳香環を有する化合物が好ましく、特に上記のナフタレン骨格を有する化合物が好ましい。
これらのフェノール系樹脂に含まれるフェノール性水酸基は、エポキシ樹脂のエポキシ基と加熱により容易に付加反応して、耐衝撃性の高い硬化物を形成できる。
フェノール系樹脂の水酸基当量は50〜300g/eqが好ましく、95〜240g/eqがより好ましい。
さらに、フェノール系樹脂には、フェノールノボラック樹脂、o−クレゾールノボラック樹脂、p−クレゾールノボラック樹脂、t−ブチルフェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエンクレゾール樹脂、ポリパラビニルフェノール樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂、フェノールビフェニレン樹脂、あるいはこれらの変性物等が好ましく用いられる。
その他の硬化剤として、熱活性型潜在性エポキシ樹脂硬化剤を使用することもできる。この硬化剤は、室温ではエポキシ樹脂と反応せず、ある温度以上の加熱により活性化し、エポキシ樹脂と反応するタイプの硬化剤である。活性化方法としては、加熱による化学反応で活性種(アニオン、カチオン)を生成する方法、室温付近ではエポキシ樹脂中に安定に分散しており高温でエポキシ樹脂と相溶・溶解し、硬化反応を開始する方法、モレキュラーシーブ封入タイプの硬化剤により高温で溶出して硬化反応を開始する方法、マイクロカプセルによる方法等が存在する。
熱活性型潜在性エポキシ樹脂硬化剤としては、各種のオニウム塩や、二塩基酸ジヒドラジド化合物、ジシアンジアミド、アミンアダクト硬化剤、イミダゾール化合物等の高融点活性水素化合物等を挙げることができる。
硬化剤の含有量は、エポキシ樹脂100質量部に対し、硬化剤は50〜200質量部が好ましく、80〜120質量部がより好ましい。
(硬化促進剤)
また、助剤として硬化促進剤等を使用することもできる。本発明に用いることができる硬化促進剤としては特に制限がなく、例えば、第三級アミン、イミダゾール類、第四級アンモニウム塩などを用いることができる。本発明において好ましく使用されるイミダゾール類としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート等が挙げられ、これらは1種または2種以上を併用することもできる。イミダゾール類は、例えば、四国化成工業(株)から、2E4MZ、2PZ、2PZ−CN、2PZ−CNSという商品名で市販されている。
硬化促進剤の含有量は、エポキシ樹脂100質量部に対し、硬化促進剤は0.02〜5質量部が好ましく、0.1〜2質量部がより好ましい。
(乾燥剤)
接着剤層中の水分低減、低透湿とするために乾燥剤を添加することが好ましく、本発明においては、少なくとも1層の接着剤層に乾燥剤を含有する。
乾燥剤としては特に限定されず、例えば、シリカゲル、モレキュラーシーブ、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ストロンチウム等の金属酸化物等が挙げられ、酸化マグネシウムまたは酸化カルシウムが好ましい。このような乾燥剤としては、平均粒径0.1〜10μmの範囲の粒子であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5μmであることが好ましい。
乾燥剤の含有量は、固形分(不揮発成分)で全樹脂組成物100質量部に対し、乾燥剤は5〜50質量部が好ましく、10〜40質量部がより好ましい。
(その他の添加剤)
接着剤層には、シランカップリング剤を含有してもよい。
シランカップリング剤としては、具体的には3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−(2−(ビニルベンジルアミノ)エチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤等が挙げられる。これらのシランカップリング剤は2種類以上を混合してもよい。これらの中でも、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−403:信越化学工業社製)は、エポキシ樹脂との相性がよく、安定性に優れているため好ましい。シランカップリング剤の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して0.05〜100質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましい。
本発明では、本発明の目的を達成可能な限り、さらにその他の成分、例えば保存安定剤、酸化防止剤、可塑剤、タック調整剤や樹脂安定剤等を添加することも可能であるが、それらの添加成分中の水分や不純物には注意が必要である。
本発明の樹脂組成物には、透水性の観点からすると、芳香環が多い骨格の化合物もしくは樹脂を含むと、配向性(結晶性)がでるため、より好ましく、特に多環式芳香環の骨格を有する化合物もしくは樹脂がより好ましい。多環式芳香環としては、ナフタレン環、フェナントレン等の縮合多環式芳香環や、ベンゼン環が連結した構造、例えばビフェニル骨格、ビスフェノール類のようなベンゼン環が2価の連結基を介して連結した構造が挙げられる。
これらの化合物は、バインダー樹脂、硬化成分、硬化剤、硬化促進剤、その他の添加剤の構造として組み込むことができる。本発明においては、特に、硬化成分や硬化促進剤として組み込むことが好ましい。
本発明の樹脂組成物に、多環式芳香環の骨格を有する化合物もしくは樹脂の含有量は、樹脂組成物100質量部に対して、5〜70質量部が好ましく、10〜50質量部がより好ましい。
<剥離シート>
本発明においては、上記樹脂組成物を接着フィルム状にする際、樹脂組成物からなる接着剤層は片面または両面に剥離シートを仮着させた構成とすることが好ましい。
剥離シートは、接着フィルムの取り扱い性を良くする目的で、また接着剤層を保護する目的で用いられる。
剥離シートとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ピニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体フィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム等が挙げられる。またこれらの架橋フィルムも用いられる。さらにこれらの積層フィルムであってもよい。特にコスト、取り扱い性等の面からポリエチレンテレフタレートを使用することが好ましい。
剥離シートの表面張力は、40mN/m以下であることが好ましく、35mN/m以下であることがより好ましい。このような表面張力の低い剥離シートは、材質を適宜に選択して得ることが可能であり、またシートの表面にシリコーン樹脂等を塗布して離型処理を施すことで得ることもできる。
剥離シートから接着剤層を剥離する際の剥離力の例としては、0.3N/20mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.2N/20mmである。剥離力の下限に特に制限はないが、0.005N/20mm以上が実際的である。また、両面に剥離フィルムを仮着させる場合には、取り扱い性を良くするために、剥離力の異なるものを使用することが好ましい。
剥離シートの膜厚は、通常は5〜300μm、好ましくは10〜200μm、特に好ましくは20〜100μm程度である。
<接着フィルム>
本発明における接着フィルムは、少なくとも1層の接着剤層からなるが、好ましくは、この接着剤層の両面または片面に、上記剥離シートを有する。
接着フィルムは、2層以上の接着剤層を有してもよく、接着剤層以外の層を有してもよい。
2層以上の層を有する場合、好ましくは、2層以上が接着剤層である。この場合、有機エレクトロルミネッセンス素子を接着する側の層の最外層と基板を接着する側の最外層が接着剤層であることが好ましい。
また、前記接着フィルムが、2層以上の層を有する場合、このうち少なくとも1層は乾燥剤を有する本発明の接着剤層であって、かつ有機エレクトロルミネッセンス素子を接着する側の層が、乾燥剤を含有しないことが好ましい。ここで、2層以上が接着剤層である場合、有機エレクトロルミネッセンス素子を接着する側の層の最外層が乾燥剤を有さない接着剤層であり、基板を接着する側の最外層が乾燥剤を含有する本発明の接着剤層であることが特に好ましい。
ここで、接着剤層の厚さは、通常は3〜100μm、好ましくは5〜50μmであるが、2層以上が接着剤層である場合、有機エレクトロルミネッセンス素子を接着する側の層の最外層の厚さは1〜15μmが好ましく、2〜10μmがより好ましい。また、基板を接着する側の最外層が乾燥剤を含有する本発明の接着剤層の厚さは5〜50μmがより好ましく、10〜20μmがさらに好ましい。また、基板を接着する側の最外層が乾燥剤を含有する本発明の接着剤層の厚さは、有機エレクトロルミネッセンス素子を接着する側の層の接着剤層より、厚いことが好ましい。
ここで、有機エレクトロルミネッセンス素子を接着する側の層の最外層が乾燥剤を有さない接着剤層は、乾燥剤を含有しなければ、どのような接着剤層でも構わないが、乾燥剤を含まない以外は、前述の接着剤層が好ましい。
有機エレクトロルミネッセンス素子を接着する側の層の最外層が乾燥剤を含有せず、基板を接着する側の最外層が乾燥剤を含有させることで、有機EL素子へのダメージが軽減できる。
なお、乾燥剤を含有する場合、硬度が高い無機物が接着剤層表面に微細突起となって出ることがあり、この突起が有機EL素子表面の伝電極層などを傷つけることなり、リーク電流の原因などを引き起こして有機EL素子の発光機能を低下させる問題が生じる。
本発明の樹脂組成物は、接着剤層の接着フィルムを得る際、溶剤を含有してもよい。
このような溶剤としては、メチルエチルケトン、トルエン、エタノール、イソプロパノールの行き溶剤や水が挙げられ、有機溶剤が好ましく、メチルエチルケトン、トルエンが特に好ましい。このような溶剤に樹脂組成物に含まれる個々の素材を加え、混合分散し、得られた接着剤ワニス(分散液)を、剥離シートの剥離面上にロールナイフコーター、グラビアコーター、ダイコーター、リバースコーターなど一般に公知の方法にしたがって直接または転写によって塗工し、乾燥させて接着剤層を得ることができる。
<有機EL素子、ディスプレイ装置>
本発明の有機EL素子は、本発明の樹脂組成物、接着フィルムで封止された構造を有する。
本発明の有機EL素子の好ましい態様を図2に示す。図2では、基板(31)上に、陽極(32)、正孔注入層(33)、正孔輸送層(34)、発光層(35)、電子注入層(36)、および陰極(37)がこの順に設けられた有機EL素子が示され、当該素子は本発明の封止材により封止されて気密性が高められている。また、図2に示される接着フィルム(接着剤層)は、2層構造の接着剤層を有し、乾燥剤含有接着剤層(11)を外側に、乾燥剤を含有しない接着剤層(12)を内側にして、陽極(32)、正孔注入層(33)、正孔輸送層(34)、発光層(35)、電子注入層(36)および陰極(37)を覆うように有機EL素子に密着して配設されている。なお、本発明の有機EL素子の構成は上記態様に限定されるものではなく、有機EL素子として機能しうる素子の構成を有し、かつ本発明の封止材で封止されていれば、いずれも本発明の有機EL素子に包含される。
本発明の有機EL素子は、気密性に優れ、性能の劣化がより抑えられた素子である。
以下、実施例に基づき本発明の構成をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<樹脂組成物および封止剤の作製>
実施例1
アクリルポリマーA(質量平均分子量80万、水酸基価10mgKOH/g、ガラス転移温度(Tg)10℃のアクリルポリマー)100質量部に対し、エポキシ樹脂A(エポキシ当量170〜190g/eqのビスフェノールA型エポキシ樹脂)を50質量部、硬化剤A(水酸基当量200〜240g/eqのビフェニル骨格フェノール樹脂)50質量部、硬化促進剤A(反応開始温度110℃のアミン系促進剤)を1質量部加え、溶媒としてメチルエチルケトン、乾燥剤のMgOを20質量部加え、攪拌することで、樹脂組成物Aを得た。この樹脂組成物Aを厚み25μmの基材フィルム(帝人(株)製 セパレータA31)上に、バーコータで塗布し、乾燥することにより、厚み30μmの封止剤を得た。
実施例2
上記樹脂組成物Aに対し、エポキシ樹脂Aをエポキシ樹脂B(エポキシ当量170〜190g/eqのビフェニルA型エポキシ樹脂)を50質量部、硬化剤Aを硬化剤B(水酸基当量140〜160g/eqのナフタレン骨格フェノール樹脂)50質量部、硬化促進剤Aを硬化促進剤B(反応開始温度80℃のアミン系促進剤)に変更した以外は、樹脂組成物Aと同様にして、樹脂組成物Bを得た。この樹脂組成物Bを厚み25μmの基材フィルム(帝人(株)製 セパレータA31)上に、バーコータで塗布し、乾燥することにより、厚み30μmの封止剤を得た。
実施例3
ポリエステル樹脂B(質量平均分子量2万、水酸基価5mgKOH/g、ガラス転移温度(Tg)0℃のポリエステル樹脂)100質量部に対し、エポキシ樹脂C(エポキシ当量140〜170g/eqのナフタレン型エポキシ樹脂)を50質量部、硬化剤B(水酸基当量140〜160g/eqのナフタレン骨格フェノール樹脂)50質量部を加え、硬化促進剤D(反応開始温度70℃のアミン系促進剤)を1質量部、溶媒としてメチルエチルケトン、乾燥剤のMgOを10質量部加え、攪拌することで、樹脂組成物Cを得た。この樹脂組成物Cを厚み25μmの基材フィルム(帝人(株)製 セパレータA31)上に、バーコータで塗布し、乾燥することにより、厚み30μmの封止剤を得た。
比較例1
前記樹脂組成物Aの1質量部の硬化促進剤Aを1質量部の硬化促進剤C(反応開始温度145℃のアミン系促進剤)に変えた以外は樹脂組成物Aと同様にして、樹脂組成物Dを得た。この樹脂組成物Dを厚み25μmの基材フィルム(帝人(株)製 セパレータA31)上に、バーコータで塗布し、乾燥することにより、厚み30μmの封止剤を得た。
比較例2
前記樹脂組成物Aの1質量部の硬化促進剤Aを1質量部の硬化促進剤D(反応開始温度70℃のアミン系促進剤)に変えた以外は樹脂組成物Aと同様にして、樹脂組成物Eを得た。この樹脂組成物Eを厚み25μmの基材フィルム(帝人(株)製 セパレータA31)上に、バーコータで塗布し、乾燥することにより、厚み30μmの封止剤を得た。
比較例3
前記樹脂組成物Aにおいて、乾燥剤を入れなかった以外は樹脂組成物Aと同様にして、樹脂組成物Fを得た。この樹脂組成物Fを厚み25μmの基材フィルム(帝人(株)製 セパレータA31)上に、バーコータで塗布し、乾燥することにより、厚み30μmの封止剤を得た。
比較例4
前記樹脂組成物Cにおいて、1質量部の硬化促進剤Dを、1質量部の硬化促進剤Cに変更した以外は樹脂組成物Cと同様にして、樹脂組成物Gを得た。この樹脂組成物Gを厚み25μmの基材フィルム(帝人(株)製 セパレータA31)上に、バーコータで塗布し、乾燥することにより、厚み30μmの封止剤を得た。
比較例5
前記樹脂組成物Cの乾燥剤を1質量部にした以外は樹脂組成物Cと同様にして、樹脂組成物Hを得た。この樹脂組成物Hを塗布、乾燥することにより、厚み30μmの封止剤を得た。
比較例6
アクリルポリマーA(質量平均分子量80万、水酸基価10mgKOH/g、ガラス転移温度(Tg)10℃のアクリルポリマー)100質量部に対し、溶媒としてメチルエチルケトン、乾燥剤のMgOを20質量部加え、攪拌することで、樹脂組成物Iを得た。この樹脂組成物Iを厚み25μmの基材フィルム(帝人(株)製 セパレータA31)上に、バーコータで塗布し、乾燥することにより、厚み30μmの封止剤を得た。
なお、使用した樹脂および素材は以下のものである。
バインダー樹脂
アクリルポリマーA:質量平均分子量;80万、水酸基価;10mgKOH/g
ガラス転移温度(Tg);10℃
ポリエステル樹脂B:質量平均分子量;2万、水酸基価;5mgKOH/g
ガラス転移温度(Tg);0℃
硬化成分
エポキシ樹脂A:ビスフェノールA型エポキシ樹脂
エポキシ当量;170〜190g/eq
エポキシ樹脂B:ビフェニル型エポキシ樹脂
エポキシ当量;170〜190g/eq
エポキシ樹脂C:ナフタレン型エポキシ樹脂
エポキシ当量;140〜170g/eq
硬化剤
硬化剤A:ビフェニル骨格フェノール樹脂
水酸基当量;200〜240g/eq
硬化剤B:ナフタレン骨格フェノール樹脂
水酸基当量;140〜160g/eq
硬化促進剤
硬化促進剤A:反応開始温度110℃のアミン系促進剤
硬化促進剤B:反応開始温度80℃のアミン系促進剤
硬化促進剤C:反応開始温度145℃のアミン系促進剤
硬化促進剤D:反応開始温度70℃のアミン系促進剤
乾燥剤
酸化マグネシウム(MgO):平均粒径0.5μm
<有機EL素子の作製>
防湿膜用封止剤を背面基板に60℃、0.1MPaの条件で貼合せしめた後、有機EL素子が形成されている表面基板に対して80℃/0.1MPa/30秒の条件で真空貼合し、有機EL素子(発光素子)を作製した。
<剪断接着強度の測定>
実施例1〜3、比較例1〜6の各剪断接着強度測定は、以下のように行なった。
作製した接着剤層の両面に剥離シートを有する接着フィルムの有機EL素子側に貼合する側の剥離フィルムを剥がし、5mm角のガラスに60℃で加熱しながら貼り合わせ、その後、封止基板を接着させる側の接着剤層の剥離シートを剥離し、12mm角のガラスに60℃/500gf/3sで圧着させ、このようにして作製したサンプルを加熱炉中100℃、3時間で加熱硬化させた後、ガラス/接着フィルム/ガラスと積層されたサンプルを作製し、ガラスとの剪断接着強度を測定する。
上記のように作製したガラス/接着フィルム/ガラスと積層されたサンプルを、85℃、相対湿度85%の条件下で24時間処理した後、万能型ボンドテスター(例えば、DAGE社 シリーズ4000)を用いて、ステージ温度25℃、ヘッド高さ35μm、速度50μm/secにおけるガラスとの剪断接着力を測定する。
<DSC発熱ピークおよび発熱量の測定>
実施例1〜3、比較例1〜6の各DSC発熱ピークおよび発熱量の測定は、以下のように行なった。
作製した各封止剤を100℃で3時間加熱処理後、これを85℃、相対湿度85%の条件下で24時間処理した後、10mg測り取り、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製のEXSTAR DSC7020)を使用し、昇温速度10℃/minで300℃まで空気中で加熱し、発熱量を測定した。なお、リファレンスとしては、アルミナを用いた。
<素子の発光特性>
100℃3時間で加熱処理後、温度85℃、相対湿度85%の条件下で24時間処理した後、各エレクトロルミネッセンス素子に電気印加してダークスポットの発生の程度を観察し、以下の評価基準で評価した。
評価基準
○:ダークスポットの発生が認められなかった。
△:ダークスポットの発生が僅かに認められた。
×:ダークスポットの発生が明らかに認められた。
<基板からの剥離の測定>
100℃3時間で加熱処理後、温度85℃、相対湿度85%の条件下で24時間処理した後、基板側および封止ガラス側から観察することにより、剥離の有無を判断し、以下の評価基準で評価した。
評価基準
○:剥離が全く起きなかった。
△:僅かに剥離が起きた。
×:明らかな剥離が起きた。
得られた結果をまとめて、下記表1、2に示す。
Figure 2013214368
Figure 2013214368
上記表1、2に示すように、実施例1〜3に示す各封止剤は、非常に良好な結果を示した。
1 接着フィルム(接着剤層)
11 乾燥剤含有接着剤層
12 乾燥剤を含有しない接着剤層
30 封止された有機EL素子
31 基板
32 陽極
33 正孔注入層
34 正孔輸送層
35 発光層
36 電子注入層
37 陰極

Claims (8)

  1. 少なくとも硬化性成分と乾燥剤を含む有機エレクトロルミネッセンス素子封止用樹脂組成物であって、100℃3時間で硬化処理後、85℃、85%、24時間の条件で吸湿処理した場合、1)ガラスとの剪断接着強度が1MPa以上であり、かつ2)DSCで発熱ピークが確認できる、特性を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子封止用樹脂組成物。
  2. 前記DSCでの発熱ピーク温度が、100℃〜180℃の範囲で確認できることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子封止用樹脂組成物。
  3. 前記DSCでの発熱量が、50J/g以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子封止用樹脂組成。
  4. 前記硬化成分が、エポキシ基を有するエポキシ化合物もしくは樹脂であり、さらにフェノール系硬化剤を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子封止用樹脂組成物。
  5. 前記樹脂組成物中に、多環式芳香環の骨格を有する化合物もしくは樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子封止用樹脂組成物。
  6. さらにバインダー樹脂を含有し、前記乾燥剤が、該バインダー樹脂100質量部に対し、10質量部以上含まれていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子封止用樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物で封止されてなる有機エレクトロルミネッセンス素子。
  8. 請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を有するディスプレイ装置。
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