JP2013210732A - タッチパネルセンサ、タッチパネルモジュールおよびタッチパネルセンサの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、絶縁基材と、上記絶縁基材上に形成された配線層と、を有し、上記配線層の少なくとも一部が、銅または銅を主成分とする銅合金である銅系材料からなる銅系配線層であり、上記銅系配線層上に、金属材料からなる金属キャップ層が形成され、上記金属材料が、上記銅系材料と同時エッチングでき、かつ、空気雰囲気下での上記金属材料の質量増加量を上記銅系材料の質量増加量で除した値である質量増加量比が1未満であることを特徴とするタッチパネルセンサを提供することにより、上記目的を達成する。
【選択図】図2
Description
また、タッチパネルにおける配線層は、これを覆うようにオーバーコート層が形成されるのが一般的である。しかしながら、タッチパネル表面を触れた際の静電容量変化の検出性や、表示装置に表示される情報視認性等のタッチパネル特有の機能を満たすため、オーバーコート層の材料の選択性や厚みの調整の自由度が低いといった問題があった。また、その結果、配線層を覆うようにオーバーコート層を形成した場合であっても、配線層が外部からの酸素や水分等による酸化を十分に防ぐことが困難な場合があり、品質安定性が低いといった問題があった。
以下、本発明のタッチパネルセンサ、タッチパネルモジュールおよびタッチパネルセンサの製造方法について説明する。
まず、タッチパネルセンサについて説明する。
本発明のタッチパネルセンサは、絶縁基材と、上記絶縁基材上に形成された配線層と、を有し、上記配線層の少なくとも一部が、銅または銅を主成分とする銅合金である銅系材料からなる銅系配線層であり、上記銅系配線層上に、金属材料からなる金属キャップ層が形成され、上記金属材料が、上記銅系材料と同時エッチングでき、かつ、空気雰囲気下での上記金属材料の質量増加量を上記銅系材料の質量増加量で除した値である質量増加量比が1未満であることを特徴とするものである。
なお、この例においては、配線層として、センサ電極である第1電極4a、第2電極4b、導電部である第1導電部5a、第2導電部5b、取出し配線層6および外部接続端子7が形成され、このうち、導電部、取出し配線層6、および外部接続端子7が上記銅系配線層2であり、これら全ての銅系配線層2上に上記金属キャップ層4が形成されている。
また、センサ電極は、タッチパネル使用者が視認可能なアクティブエリア11内に透明導電材料からなる第1電極4aおよび第2電極4bからなり、上記導電部は、上記第1電極4a間を接続する第1導電部5aおよび上記第2電極4b間を接続する第2導電部5bを含むものである。また、上記取出し配線層6は、上記センサ電極に接続され、アクティブエリア11の外側の非アクティブエリア内に形成され、末端にて上記外部接続端子7に接続されるものである。
上記第1導電部5aおよび第2導電部5bはその一部が絶縁層8を介して平面視上重なるように形成され、上記第1導電部5aは絶縁層8に設けられた導電用ホール12を介して第1電極4a間を接続するものである。また、図1においては、説明の容易のため絶縁層について省略するものである。
また、このような銅系配線層上に金属キャップ層が形成されていることにより、上記銅系配線層が空気中の酸素や水分との接触の少ないものとすることができ、上記銅系配線層の酸化の少ないものとすることができる。特に、上記金属材料が、上記銅系材料に対する空気雰囲気下での質量増加量比(上記金属材料の質量増加量/上記銅系材料の質量増加量)が1未満であること、すなわち、上記金属材料が上記銅系材料より耐酸化性に優れ、上記金属キャップ層を上記銅系配線層よりも耐酸化性に優れたものとすることができるため、上記銅系配線層をより安定的に保護し、上記銅系配線層の品質安定性に優れたものとすることができる。
さらに、上記金属材料が上記銅系材料と同時エッチングできるものであることにより、上記金属キャップ層および上記銅系配線層を同一のエッチング液で同時にパターニングすることが可能となる。このため、上記金属キャップ層および銅系配線層の両者をパターンニングするに際して工程の追加がなく、形成容易なものとすることができる。
以下、本発明のタッチパネルセンサの各構成について詳細に説明する。
本発明における配線層は、上記絶縁基材上に形成されるものである。また、少なくとも一部が上記銅系配線層である。
なお、本発明において、配線層の少なくとも一部が上記銅系配線層であるとは、上記配線層に含まれる部材の一部が少なくとも銅系配線層であれば良い。
具体的には、上記配線層として含まれるセンサ電極を構成する第1電極の一部のみが上記銅系配線層で形成される場合も含むものである。
本発明における銅系配線層は、銅系材料からなるものである。
なお、銅系材料からなるとは、銅系材料のみからなるものに限定されるものではなく、必要に応じて不純物等の他の成分を含有するものも含むものである。
ここで、銅を主成分とするとは、上記銅系材料中の含有量が、90at%以上100at%未満であることをいうものであり、なかでも、95at%以上の範囲内であることが好ましく、特に、99at%以上であることが好ましい。上記含有量であることにより、導電性に優れたものとすることができるからである。また、99.9at%以上であることにより、後述する金属濃度勾配領域の厚みを0.5とした場合に、銅高濃度領域の厚みを99を上回る比率とすることが可能となるからである。
なお、銅および銅以外の添加金属の配合比率は、タッチパネルセンサから銅系配線層を採取し、一般的な金属合金の分析方法に採取された銅系配線層を供することにより測定することができる。より具体的な例としては、X線光電子分光法(XPS)のデプスプロファイルを行うことにより、銅系配線層に含まれる銅および銅以外の添加金属の配合比率を測定する方法が挙げられる。
本発明に用いられる添加金属としては、上記銅系配線層に要求される機能等に応じて適宜選択することができるが、例えば、マンガン、クロム、バナジウム、チタン、モリブデン、インジウム、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム等を挙げることができ、なかでも、マンガンを好ましく用いることができる。上記添加金属を含むことにより、上記銅系配線層を耐酸化性に優れたものとすることができるからである。
なお、上記銅系材料に含まれる添加金属の種類としては、1種類であっても良く、2種類以上含むものであっても良い。
また、銅高濃度領域とは、金属濃度勾配領域において示される外周面から内部方向に向けての銅濃度の増大傾向が実質的に終了し、高い銅濃度が示される領域であってよく、ここにおいていう添加金属の濃度の「極小」とは、限定的な数値範囲に特定されるものではないが、金属濃度勾配領域における添加金属の濃度よりも小さい濃度が示され、上述する高い銅濃度中において0質量%を超えて僅かに添加金属が含有されることを示す。
本発明においては、なかでも、金属濃度勾配領域の存在により酸化防止効果および密着性向上効果が良好に得られる範囲内において、銅高濃度領域の厚みが大きいことが好ましく、例えば、一方の表面側の金属濃度勾配領域の厚みを0.5としたときに、銅高濃度領域の厚みが、90以上の比率であることが好ましく、なかでも99以上の比率であることが好ましい。
具体的には、上記絶縁基材上に銅系材料からなる銅系材料層を形成し、次いで、上記銅系材料層上に上記金属材料からなる金属材料層を形成する。その後、上記金属材料層上にパターン状のレジストを形成し、上記レジストをマスクとして上記金属材料層および銅系材料層をエッチングし、同一パターン状の金属キャップ層および銅系配線層を形成する方法を挙げることができる。
なお、エッチングに用いられるエッチング液としては、上記金属材料層および銅系材料層を構成する金属材料および銅系材料等に応じて適宜設定されるものである。具体的には、燐酸、硝酸および酢酸を含む燐硝酢酸水溶液や、過酸化水素水および硫酸に代表される酸化剤を混合した系、臭化水素酸やハロゲン化水素酸等を挙げることができる。
上記金属材料層および銅系材料層を形成する方法としては、均一な膜厚で形成可能な方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、真空蒸着、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法等のドライプロセスを用いて上記銅系材料からなる銅系材料層を形成し、上記銅系材料層上にパターン状のレジストを形成しエッチングする方法を挙げることができる。
また、上記金属材料層および銅系材料層をパターン状にエッチングした後、焼成するものであっても良い。上記銅系材料が銅合金である場合、このような焼成を行うことにより、添加金属が銅系配線層の外周面側に移行させることができるからである。
ここで、焼成温度としては、100℃〜300℃の範囲内とすることができる。また、焼成時の雰囲気としては、大気圧下、減圧下のいずれの雰囲気であっても良い。
本発明における配線層は、上記絶縁基材上に形成され、電源や電気信号としての電気が伝わる導電性を有する部材である。
このような配線層としては、タッチパネルセンサに一般的に用いられるものを含むことができる。
具体的には、接触位置の検出に用いられる第1電極および上記第1電極と絶縁された第2電極を含むセンサ電極、上記第1電極間および第2電極間をそれぞれ接続する導電部である第1導電部および第2導電部、上記センサ電極に接続される取出し配線層、上記取出し配線層の末端に形成され、フレキシブルプリント配線基板等他の部材との接続に用いられる外部接続端子等を挙げることができる。
本発明においては、上記配線層の少なくとも一部が銅系配線層であれば良く、配線層の全てが銅系配線層であっても良い。なかでも本発明においては、上記配線層のうち非アクティブエリア内に形成されるもの、特に、取り出し配線層、外部接続端子を含む配線層が銅系配線層であることが好ましい。銅系配線層を用いることで、低抵抗に抑えられ、電力消費も少なくてすむからである。
本発明におけるセンサ電極は、第1電極および上記第1電極と絶縁された第2電極を含み、アクティブエリア内に形成され、接触位置を検出するために用いられるものである。
なお、第1電極と絶縁された第2電極とは、両電極が電気的に接続されていないことをいうものである。
本発明においては、なかでも、上記センサ電極が上記銅系配線層にて形成されるものである場合には、メッシュ状であることが好ましい。本発明のタッチパネルセンサをタッチパネル付表示装置に用いた場合に、視認性に優れたものとすることができるからである。
上記センサ電極がメッシュ状である場合におけるセンサ電極の開口率としては、本発明のタッチパネルセンサの種類等により異なるものであるが、90%以上とすることが好ましく、なかでも、93%以上であることが好ましく、特に、95%以上であることが好ましい。本発明のタッチパネルセンサをタッチパネルセンサ付表示装置に用いた場合に、視認性に優れたものとすることができるからである。なお、センサ電極の開口率とは、上記センサ電極の面積に占める開口部の面積の割合をいうものである。
また、上記センサ電極がメッシュ状である場合のセンサ電極の線幅としては、接触位置を精度良く検出できるものであれば特に限定されるものではないが、1μm〜10μmの範囲内であることが好ましく、なかでも、2μm〜7μmの範囲内であることが好ましく、特に3μm〜5μmの範囲内であることが好ましい。上記線幅が上記範囲内であることにより、本発明のタッチパネルセンサをタッチパネル付表示装置に用いた際に、表示装置に表示される情報の視認性に優れたものとすることができるからである。
具体的には、既に説明した図2および図3、または図5および図6に例示するように、両者が同一の絶縁基材の一方の表面上に形成されるものであっても良く、図7に例示するように、異なる絶縁基材上に形成されるもの、図8に例示するように、絶縁層を介して形成されたもの、図9に例示するように、同一の絶縁基材の一方の表面と他方の表面とにそれぞれ形成されるものとすることができる。
なお、図5および図6は、既に説明した図2および図3と同様に第1電極および第2電極の両者が同一の絶縁基材の一方の表面上に形成される場合の一例を示す概略断面図であり、それぞれ図1のA−A線断面図およびB−B線断面図である。
また、図5〜図9中の符合については、図1〜図4と同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
本発明における導電部は、上記センサ電極を構成する第1電極間および第2電極間をそれぞれ接続する第1導電部および第2導電部を含むものである。
また、通常、上記第1導電部および第2導電部はその一部が平面視上重なるように形成されるものである。
また、上記導電部の平面視形状および平面視外形形状としては、タッチパネルセンサに一般的なものとすることができる。具体的には、上記平面視形状としては上記センサ電極と同様とすることができる。また、導電部の平面視外形形状としては、センサ電極の平面視外形形状より幅の狭いライン形状等とすることができる。
また、上記第1電極および第2電極の両者が同一の絶縁基材の一方の表面上に形成される場合には、上記第1導電部および第2導電部が絶縁層を介して形成されるものとすることができる。
本発明における取出し配線層は、上記センサ電極に接続されるものである。
上記取出し配線層が上記銅系配線層ではない場合、取出し配線層の形成に用いられる導電性材料としては、具体的には、銀、金、クロム、プラチナ、アルミニウムの単体、あるいはこれらのいずれかを主体とする合金などを例示することができる。金属合金としては、APC、すなわち銀・パラジウム合金が汎用される。また、金属の複合体としては、MAM(Mo−Al−Mo、すなわちモリブデン・アルミニウム・モリブデンの3層構造体)なども適用可能である。
上記取出し配線層の線幅としては、例えば、0.03mm〜0.2mm程度とすることができる。
本発明における外部接続端子は、上記取出し配線層に接続され、フレキシブルプリント配線基板等との接続に用いられるものである。
上記外部接続端子の端子幅、厚みおよび平面視形状や、外部接続端子部内における外部接続端子間の間隔については、一般的なタッチパネルセンサと同様とすることができる。
具体的には、特開2011−210176号公報に記載されるものと同様とすることができる。
本発明における金属キャップ層は、上記銅系配線層上に形成され、金属材料からなるものである。
なお、金属材料からなるとは、金属材料のみからなるものに限定されるものではなく、必要に応じて不純物等の他の成分を含有するものも含むものである。
本発明における金属材料は、上記銅系材料と同時エッチングでき、かつ、空気雰囲気下での上記金属材料の質量増加量を上記銅系材料の質量増加量で除した値である質量増加量比が1未満のものである。
より具体的には、上記金属材料のエッチングに要する時間が、上記銅系材料のエッチングに要する時間の比率の±20%の範囲内になることが好ましい。
なお、空気雰囲気下での質量増加量比とは、同一表面積のサンプル片を10%水蒸気を含む空気雰囲気下で所定時間静置した際の、質量増加量比(金属材料の質量増加量/銅系材料の質量増加量)をいうものである。
本発明においては、なかでも、非耐酸化性金属と、耐酸化性金属と、の両者を含むものであることが好ましい。上記非耐酸化性金属と、耐酸化性金属と、の両者を含むことにより、材料選択の自由度の高いものとすることができるからである。
ここで、非耐酸化性金属としては、上記銅系材料と同一の耐酸化性または低い耐酸化性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、上記銅または銅合金を挙げることができる。
なお、耐酸化性を有するか否かについては、上記銅系材料に対する空気雰囲気下での質量増加量比を用いて判断することができる。
なお、本発明において上記金属材料に含まれる耐酸化性金属の種類としては1種類であっても良く、2種類以上であっても良い。
本発明における金属キャップ層は、上記銅系配線層上に形成されるものである。
なお、上記金属キャップ層が同時エッチングにより上記銅系配線層と同一タイミングで形成されるものである場合には、通常、上記銅系配線層の側面等、上記銅系配線層を上記絶縁層が形成された表面とは反対表面側から平面視した際に観察されない領域には形成されないものである。
このような厚みとしては、具体的には、10nm〜150nmの範囲内であることが好ましく、なかでも20nm〜100nmの範囲内であることが好ましく、特に30nm〜60nmの範囲内であることが好ましい。上記厚みが上述の範囲内であることにより、上記金属材料からなる膜を安定的に形成できるからである。また、このような薄膜であることにより、金属キャップ層を介して上記銅系配線層を他の部材と電気的に接続させることが容易となるからである。
本発明における絶縁基材は、上記銅系配線層が形成されるものである。
本発明においては、なかでも、タッチパネル付表示装置に用いられる場合には透明性を有する材料からなることが好ましい。視認性に優れたものとすることができるからである。
このような透明性を有する材料としては、ガラス等の無機材料であっても良く、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート等の樹脂材料を挙げることができる。
ここで、ガラス等の無機材料を選択することにより、タッチパネルセンサの強度が高くなり、また加熱温度などの製造条件の設定範囲を広くすることが可能である。一方、樹脂材料を選択することにより、タッチパネルセンサの軽量化が図られ、またタッチパネルセンサにフレキシブル性も付加可能である。
なお、本発明において、「透明」「透明性」という場合には、特段の断りがない限り、本発明のタッチパネルセンサが用いられたタッチパネル付表示装置の操作者が、操作面からの視認を妨げない程度の透明性をいう。したがって、無色透明および、視認性を妨げない程度の有色透明を含み、また厳密な透過率で適宜されず、タッチパネルセンサの用途等に応じて、透過性の度合いを決定することができる。
例えば、上記絶縁基材が樹脂材料からなる場合、可撓性を有するフィルム状であることが好ましく、具体的には、50μm〜300μmの範囲内とすることが好ましい。
なお、複数層からなる場合に積層される層としては、上記材料からなる層以外に、ハードコート層、密着調整層、低屈折率層および高屈折率層等を挙げることができる。
本発明のタッチパネルセンサは、絶縁基材、銅系配線層、および金属キャップ層を少なくとも有するものであるが、必要に応じて他の部材を有するものであっても良い。
このような他の部材としては、上記センサ電極を構成する第1電極および第2電極間、または第1導電部および第2導電部間の短絡を防止するために形成される絶縁層や、配線層を覆うように形成される保護層を挙げることができる。
上記絶縁層は、上記センサ電極を構成する第1電極および第2電極間、または第1導電部および第2導電部間の短絡を防止するために形成されるものである。
このような絶縁層の形成箇所としては、タッチパネルセンサに一般的なものとすることができ、例えば、上記センサ電極を構成する第1電極および第2電極の両者が同一の絶縁基材の一方の表面上に形成される場合、既に説明した図2〜図3に示すように、第1電極、第2電極および第1導電部と上記第2導電部との間に形成され、上記第2導電部が上記第2電極と接続するための導電用ホールを有するように形成されるホールタイプや、既に説明した図5〜図6に示すように、上記第2導電部上にのみアイランド状に形成されるアイランドタイプとすることができる。また、既に説明した図7〜図8に示すように、上記センサ電極および導電部を構成する第1電極および第1導電部と、上記第2電極および第2導電部との間に形成されるもの等とすることができる。
具体的には、光透過性のアクリル樹脂、シロキサン樹脂等を挙げることができ、なかでも感光性シロキサン樹脂を好ましく用いることができる。
上記保護層としては、絶縁性を有するものであれば特に限定されるものではないが、上記配線層を覆うように形成されるものである場合には、透明性を有するものであることが好ましい。
このような絶縁性および透明性を有する保護層としては、例えば、アクリル樹脂やSiO2等の無機材料等からなるものを挙げることができる。
次に、本発明のタッチパネルモジュールについて説明する。
本発明のタッチパネルモジュールは、絶縁基材と、上記絶縁基材上に形成された配線層と、を有し、上記配線層の少なくとも一部が、銅または銅を主成分とする銅合金である銅系材料からなる銅系配線層であり、上記銅系配線層上に、金属材料からなる金属キャップ層が形成され、上記金属材料が、上記銅系材料と同時エッチングでき、かつ、空気雰囲気下での上記金属材料の質量増加量を上記銅系材料の質量増加量で除した値である質量増加量比が1未満であるタッチパネルセンサと、上記タッチパネルセンサに接続されたフレキシブルプリント配線板と、上記タッチパネルセンサ上に形成されたオーバーコート層と、上記オーバーコート層上に形成されたカバーレンズと、を有することを特徴とするものである。
以下、本発明のタッチパネルモジュールの各構成について詳細に説明する。
なお、本発明におけるタッチパネルセンサについては、上記「A.タッチパネルセンサ」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
本発明に用いられるFPCは、上記タッチパネルセンサに接続されるものである。
このようなFPCとしては、電極への電力供給や検知信号の出力等を行うことができるものであれば特に限定されるものではなく、特開2009−64343号公報、特開平9−146680号公報、特許第2587975号、特開2011−124332号公報、特開2011−76514号公報等に記載されるようなタッチパネルに一般的に用いられるものとすることができる。
本発明におけるフレキシブル基板としては、所望の絶縁性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、厚さ25μm程度の可撓性のポリイミドフィルム等を挙げることができる。
また、上記接続端子としては、所望の導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、上記タッチパネルセンサにおける外部接続端子と同様とすることができる。
このようなその他の構成としては、例えば、上記接続端子に接続された配線や、上記配線を覆うように形成された保護層等を挙げることができる。また、入力情報処理部や、本発明のタッチパネルモジュールがタッチパネル付表示装置に用いられた場合には、映像情報処理部等の制御部を有するものであっても良い。
上記配線としては、上記取出し配線層と同様とすることができる。また、上記保護層としては、絶縁性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリイミド樹脂からなるものを挙げることができる。
また、FPCの上記タッチパネルセンサとの接続方法としては、両者を電気的に接続することができる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、タッチパネルセンサに形成された外部接続端子と、FPCに形成された接続端子との間に、特開2010−278025号公報に開示されるような異方導電性フィルムを配置し、加熱圧着する方法等を挙げることができる。
本発明におけるオーバーコート層は、上記タッチパネルセンサの一方の表面上に形成されるものであり、上記タッチパネルセンサおよびカバーレンズを接着するものである。
また、このようなオーバーコート層としては、上記タッチパネルセンサおよびカバーレンズを所望の接着力で接着できるものであれば特に限定されるものではないが、透明性を有するものであることが好ましい。本発明のタッチパネルモジュールをタッチパネル付表示装置に用いた場合に視認性に優れたものとすることができるからである。
本発明においては、なかでも、アクリル系材料を用いたものを好ましく用いることができる。アクリル系材料を用いたアクリル系粘着剤やOCAであることにより、密着性および透明性に優れたものとすることができるからである。また、アクリル系材料は、ポリイミド等の電子回路の金属配線を覆う樹脂材料等と比較して酸素透過性や水分透過性が低い傾向にある。これに対して、本発明においては上述のように金属キャップ層が形成されるものであるため、上記銅系配線層の酸化を効果的に防止することができる。このため、本発明の効果をより効果的に発揮できるからである。
本発明においては、なかでも、20μm〜500μmの範囲内であることが好ましい。透明性に優れたものとすることができるからである。また、厚みが薄いことにより、上記銅系配線層に対する酸素や水分のバリア性は低下するものの、上述のように金属キャップ層が形成されるものであるため、上記銅系配線層の酸化を効果的に防止することができる。このため、本発明の効果をより効果的に発揮できるからである。
本発明におけるカバーレンズは、上記オーバーコート層上に形成されるものである。
また、上記タッチパネルセンサを傷等から保護するために形成されるものである。
複数層からなるものとしては、例えば、上述の材料のうち異なる材料からなる層を積層したものや、上記材料からなる層以外に、反射防止層や、防汚層等の機能層を有するものを挙げることができる。また、カバーレンズがガラス類からなるものである場合には、機能層として表面側に飛散防止フィルムを有するものであっても良い。
本発明のタッチパネルモジュールは、上記タッチパネルセンサ、フレキシブルプリント配線板、オーバーコート層およびカバーレンズを少なくとも有するものであるが、必要に応じて他の構成を有するものであっても良い。
このような他の構成としては、例えば、タッチパネルセンサの上記カバーレンズが形成される表面の反対側の表面上に形成され、タッチパネルセンサの信頼性向上のための保護フィルムを接着層を介して貼り合せた裏面保護フィルムを挙げることができる。フィルムと接着層に関しては、タッチパネルの信頼性向上できるものなら特に限定されない。
次に、本発明のタッチパネルセンサの製造方法について説明する。
本発明のタッチパネルセンサの製造方法は、絶縁基材と、上記絶縁基材上に形成された配線層と、を有し、上記配線層の少なくとも一部が、銅または銅を主成分とする銅合金である銅系材料からなる銅系配線層であり、上記銅系配線層上に、金属材料からなる金属キャップ層が形成され、上記金属材料が、上記銅系材料と同時エッチングでき、かつ、空気雰囲気下での上記金属材料の質量増加量を上記銅系材料の質量増加量で除した値である質量増加量比が1未満であるタッチパネルセンサの製造方法であって、上記絶縁基材、上記銅系材料からなる銅系材料層、および上記金属材料からなる金属材料層が少なくともこの順で積層された積層体を準備する積層体準備工程と、上記銅系材料層および上記金属材料層を、同時エッチングし、上記銅系配線層および上記金属キャップ層を形成する同時エッチング工程と、を有することを特徴とするものである。
その後、図11(d)に示すように、絶縁基材1、銅系材料からなる銅系材料層2´、および金属材料からなる金属材料層3´がこの順で積層された積層体を準備し、上記積層体上にパターン状にレジスト13を形成し、上記銅系材料層2´および上記金属材料層3´を、同時エッチングすることにより(図11(e))、同一パターンの銅系配線層2および金属キャップ層3を得る(図11(f))。
その後、図11(g)に示すように、第1電極4aおよび第2電極を覆うように形成された絶縁層8を形成することで、第1導電部5aおよび取出し配線層6、これらと同一パターンで形成された金属キャップ層3を有するタッチパネルセンサ10を得るものである。
なお、図11(d)が積層体準備工程であり、図11(e)〜(f)が同時エッチング工程である。
以下、本発明のタッチパネルセンサの各工程について詳細に説明する。
本発明における積層体準備工程は、上記絶縁基材、上記銅系材料からなる銅系材料層、および上記金属材料からなる金属材料層が少なくともこの順で積層された積層体を準備する工程である。
なお、少なくともこの順であるとは、上記部材がこの順で積層されていれば、他の層を有するものも含むことをいうものである。例えば既に説明した図11では、絶縁基材と銅系材料層との間に、第1電極、第2電極および第2導電部等を含むものである。
本発明における同時エッチング工程は、上記銅系材料層および上記金属材料層を、同時エッチングし、上記銅系配線層および上記金属キャップ層を形成する工程である。
本発明のタッチパネルセンサの製造方法は、上記積層体準備工程および同時エッチング工程を有するものであるが、必要に応じて他の工程を有するものであっても良い。
このような他の工程としては、通常、上記センサ電極を形成するセンサ電極形成工程や、絶縁層を形成する絶縁層形成工程等を有するものである。
また、上記積層体準備工程後に、上記銅系材料層および金属材料層を焼成する焼成工程等を有するものであっても良い。
上記センサ電極形成工程および絶縁層形成工程については、タッチパネルセンサの製造に一般的に用いられる方法を使用できるため、ここでの説明は省略する。また、上記焼成工程については、上記「A.タッチパネルセンサ」の項に記載の内容と同様とすることができる。
透明ガラス基材として、厚み0.5mmの透明ガラス基材(日本板硝子社製青板強化ガラス)を用いた。上記ガラスの表面上にスパッタにより厚み30nmのITO膜を成膜した。そして、ポジ型感光樹脂(レジスト)を用いて感光膜を形成し、フォトリソグラフィ法によってパターニングし、第1導電部、第2電極および第2導電部を形成した。
次に、上述で形成したガラス基材上全面に透明性硬化性樹脂含有塗工材料を用いて、スピンコート法で塗布し、続いてフォトリソグラフィ手法により、一部露出面を残して第1導電部、第2電極および第2導電部を覆う絶縁膜をパターニングした。
次に、銅系材料(金属組成:銅92at%マンガン8at%)からなり、厚み300nmの銅系材料層および金属材料(金属組成:銅55質量%ニッケル45質量%)からなり、厚み50nmの金属材料層をこの順でスパッタリング法にて形成した。
その後、ガラスの表面上の金属材料層上にポジ型感光樹脂(レジスト)を塗布し、フォトリソグラフィー法によってパターニングした。ここで、レジストのパターンは、第1電極間を接続させるためのブリッジ部(第1導電部)、取り出し配線、および接続端子に対応するパターンを有するものとした。
その後、燐・硝・酢酸系のエッチング液を用いて、金属材料層および銅系材料層を同時エッチングした。
最後に、上記パターニングを行ったガラス基材上全面に、透明性硬化性樹脂含有塗工材料をスピンコート法にて塗布し、続いてフォトリソグラフィ手法により接続端子パターンを残して第1電極、第1導電部(ブリッジ部)、第2電極および第2導電部、取り出し配線層を覆うパターン形状の絶縁膜とした。
このようにして、センサ電極、引き回し配線、接続端子を有するタッチパネルセンサを得た。
金属キャップ層の厚み、すなわち、金属材料層の厚みを20nmとした以外は、実施例1と同様にしてタッチパネルセンサを形成した。
上記金属キャップ層を形成しなかった以外は、実施例1と同様にしてタッチパネルセンサを形成した。
金属材料として、ニッケル100at%を用いた以外は、実施例1と同様にしてタッチパネルセンサを形成した。
以下の方法により、エッチング性、耐熱性および信頼性の評価を行った。
得られたタッチパネルセンサの金属キャップ層および銅系配線層の配線パターンを目視にて確認した。
○:同一パターンの銅系配線層および金属キャップ層が形成できた。
×:同一パターンの銅系配線層および金属キャップ層が形成できなかった。
実施例および比較例で得られたタッチパネルセンサを230℃のオーブンに30min投入し、銅系配線層の外観(変色の有無を目視で観察)を確認することにより、後工程(OC積層)における耐熱性を検証した。結果を下記表1に示す。
なお、評価は、以下の基準で行った。
◎:変色なし
○:若干の変色あり
×:大きな変色あり
また、実施例および比較例の配線部に、AC/3Vのパルス電流を印加した状態で、60℃/95%RHの環境試験槽に500h投入する信頼性試験を実施し、銅系配線層の外観(変色の有無を目視で観察)を確認することにより、配線部(銅系配線層)の信頼性を検証した。
結果を下記表1に示す。
なお、評価は、以下の基準で行った。結果を下記表1に示す。
◎:変色なし
○:若干の変色あり
×:大きな変色あり
なお、比較例2では、同時エッチング性を有しない材料からなる層を銅系材料層上に形成するものであるため、一度のエッチングで配線層のパターンの銅系配線層を得ることができなかった。そのため、信頼性試験を実施することができなかった。
2 … 銅系配線層
2´ … 銅系金属層
3 … 金属キャップ層
3´ … 金属材料層
4a、4b … 第1電極、第2電極
5a、5b … 第1導電部、第2導電部
6 … 取出し配線層
7 … 外部接続端子
8 … 絶縁層
10 … タッチパネルセンサ
11 … アクティブエリア
12 … 導電用ホール
13 … レジスト
20 … フレキシブルプリント配線基板
30 … オーバーコート層
40 … カバーレンズ
50 … タッチパネルモジュール
Claims (5)
- 絶縁基材と、
前記絶縁基材上に形成された配線層と、
を有し、
前記配線層の少なくとも一部が、銅または銅を主成分とする銅合金である銅系材料からなる銅系配線層であり、
前記銅系配線層上に、金属材料からなる金属キャップ層が形成され、
前記金属材料が、前記銅系材料と同時エッチングでき、かつ、空気雰囲気下での前記金属材料の質量増加量を前記銅系材料の質量増加量で除した値である質量増加量比が1未満であることを特徴とするタッチパネルセンサ。 - 前記金属材料が、前記銅と、前記銅系材料より耐酸化性に優れた耐酸化性金属と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のタッチパネルセンサ。
- 絶縁基材と、
前記絶縁基材上に形成された配線層と、
を有し、
前記配線層の少なくとも一部が、銅または銅を主成分とする銅合金である銅系材料からなる銅系配線層であり、
前記銅系配線層上に、金属材料からなる金属キャップ層が形成され、
前記金属材料が、前記銅系材料と同時エッチングでき、かつ、空気雰囲気下での前記金属材料の質量増加量を前記銅系材料の質量増加量で除した値である質量増加量比が1未満であるタッチパネルセンサと、
前記タッチパネルセンサに接続されたフレキシブルプリント配線板と、
前記タッチパネルセンサ上に形成されたオーバーコート層と、
前記オーバーコート層上に形成されたカバーレンズと、
を有することを特徴とするタッチパネルモジュール。 - 前記金属材料が、前記銅と、前記銅系材料より耐酸化性に優れた耐酸化性金属と、を含むことを特徴とする請求項3に記載のタッチパネルセンサ。
- 絶縁基材と、
前記絶縁基材上に形成された配線層と、
を有し、
前記配線層の少なくとも一部が、銅または銅を主成分とする銅合金である銅系材料からなる銅系配線層であり、
前記銅系配線層上に、金属材料からなる金属キャップ層が形成され、
前記金属材料が、前記銅系材料と同時エッチングでき、かつ、空気雰囲気下での前記金属材料の質量増加量を前記銅系材料の質量増加量で除した値である質量増加量比が1未満であるタッチパネルセンサの製造方法であって、
前記絶縁基材、前記銅系材料からなる銅系材料層、および前記金属材料からなる金属材料層が少なくともこの順で積層された積層体を準備する積層体準備工程と、
前記銅系材料層および前記金属材料層を、同時エッチングし、前記銅系配線層および前記金属キャップ層を形成する同時エッチング工程と、
を有することを特徴とするタッチパネルセンサの製造方法。
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