JP2013210554A - 位相差フィルムの評価方法、位相差フィルムの製造方法、及び位相差フィルム - Google Patents

位相差フィルムの評価方法、位相差フィルムの製造方法、及び位相差フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】位相差フィルムの耐溶剤性やリワーク性を簡易に評価することができる位相差フィルムの評価方法、当該評価方法を用いることにより、耐溶剤性及びリワーク性に優れた位相差フィルムを製造できる位相差フィルムの製造方法、及び、耐溶剤性及びリワーク性に優れた位相差フィルムを提供する。
【解決手段】トリアセチルセルロース基材の一面側に、配向層、及び位相差層がこの順に設けられた位相差フィルムを準備する工程と、前記位相差フィルムの前記位相差層が設けられた側の表面に溶剤を滴下し、前記位相差フィルムの前記トリアセチルセルロース基材側表面から前記溶剤が検出されるまでの時間を測定することにより、前記配向層と前記位相差層からなる積層体における平均溶剤浸透時間を算出する工程と、前記算出された平均溶剤浸透時間に基づいて位相差フィルムを評価する工程とを有することを特徴とする、位相差フィルムの評価方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、位相差フィルムの評価方法、位相差フィルムの製造方法、及び位相差フィルムに関する。
従来より液晶表示装置においては、視角依存性の問題を改善するために、様々な技術が開発されており、その1つとして、複屈折性を示す位相差層を有する位相差フィルムが液晶セルと偏光板との間に配置された液晶表示装置が知られている(例えば、特許文献1〜2)。
上記位相差層を有する位相差フィルムとしては、樹脂基材上に、液晶材料を一定方向に配列させる配向規制力を有する配向膜と、当該配向膜上に形成され、一定方向に配列された液晶材料を含有する位相差層とを有するものが用いられている。
また、フラットパネルディスプレイとしては、従来、2次元表示のものが主流であったが、近年においては3次元表示可能なフラットパネルディスプレイが注目を集め始めている。そして、今後のフラットパネルディスプレイにおいては3次元表示可能であることが、その性能として当然に求められる傾向にあり、3次元表示可能なフラットパネルディスプレイの検討が幅広い分野において進められている。
フラットパネルディスプレイにおいて3次元表示をするには、通常、視聴者に対して何らかの方式で右目用の映像と、左目用の映像とを別個に表示することが必要とされる。右目用の映像と左目用の映像とを別個に表示する方法としては、例えば、パッシブ方式というものが知られている。このようなパッシブ方式の3次元表示方式について図を参照しながら説明する。図2はパッシブ方式の3次元表示の一例を示す概略図である。図2に示すようにこの方式では、まず、フラットパネルディスプレイを構成する画素を、右目用映像表示画素と左目用映像表示画素の2種類の画素に分類し、ディスプレイ表示領域に右目用の画素と左目用の画素が隣接し合うようなパターン状に配列する。一方のグループの画素では右目用の映像を表示させ、他方のグループの画素では左目用の映像を表示させる。また、直線偏光板と、当該画素の配列パターンに対応したパターン状の位相差層が形成されたパターン位相差フィルム(以下、単にパターン位相差フィルムということがある。)とを用い、右目用の映像と、左目用の映像とを互いに直交関係にある円偏光に変換する。さらに、視聴者には右目用レンズと左目用レンズとに互いに直交する円偏光レンズを採用した円偏光メガネを装着させ、右目用の映像が右目用レンズのみを通過し、かつ左目用の映像が左目用のレンズのみを通過するようにする。このようにして右目用の映像が右目のみに届き、左目用の映像が左目のみに届くようにすることによって3次元表示を可能となる。
このようなパッシブ方式では、上記パターン位相差フィルムと、対応する円偏光メガネとを用いることにより容易に3次元表示が可能なものにできるという利点がある。
上記パターン位相差フィルムとして、例えば、特許文献3には、ガラス基板上に配向規制力がパターン状に制御された光配向膜と、当該光配向膜上に形成され、液晶材料の配列が上記光配向膜のパターンに従うように規制された位相差層(液晶層)とを有するパターン位相差板が開示されている。
特開平3−67219号公報 特開平4−322223号公報 特開2005−49865号公報
画像表示装置において、位相差フィルムは、通常、他のフィルム等と粘着層を介して貼り合わせて用いられる。当該粘着層は、貼り合わせようとする2つのフィルムのうち少なくとも一方に、溶剤を含有する粘着剤を塗布して設けられる。位相差フィルムの種類によっては耐溶剤性が低く、位相差フィルムの厚み方向のリタデーションの値が変化するということがわかった。リタデーション値が変化すると、視角依存性などの表示特性に影響を与える。
また、位相差フィルムは、画像表示装置の表示特性に影響を与えるので、所定の貼り合わせ位置に正確に貼り合わせる必要がある。このため、貼り合わせ位置にずれが生じた場合には、位相差フィルムを剥離して再度貼り直すことがある(以下、リワークということがある。)。位相差フィルムの種類によっては、当該剥離の際に位相差フィルムの基材から位相差層や配向層が剥離して、粘着層側に残ってしまうという問題があった。
従来、どのような組成の配向層や位相差層とすれば、耐溶剤性に優れているか、また、位相差フィルムの基材から位相差層や配向層が剥離せず、繰り返し使用性(以下、リワーク性ということがある。)に優れているかを理論的に解析することは困難であった。また従来、位相差フィルムの耐溶剤性やリワーク性を評価する簡易な方法がなかった。
このようなことから、位相差フィルムの耐溶剤性やリワーク性を評価する簡易な方法が求められていた。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、位相差フィルムの耐溶剤性やリワーク性を簡易に評価することができる位相差フィルムの評価方法、当該評価方法を用いることにより、耐溶剤性及びリワーク性に優れた位相差フィルムを製造できる位相差フィルムの製造方法、及び、耐溶剤性及びリワーク性に優れた位相差フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、配向層と位相差層からなる積層体における平均溶剤浸透時間と、当該積層体を有する位相差フィルムの耐溶剤性及びリワーク性との間に相関があるとの知見を得た。
本発明は、係る知見に基づいて完成したものである。
本発明に係る位相差フィルムの評価方法は、トリアセチルセルロース基材の一面側に、配向層、及び位相差層がこの順に設けられた位相差フィルムを準備する工程と、
前記位相差フィルムの前記位相差層が設けられた側の表面に溶剤を滴下し、前記位相差フィルムの前記トリアセチルセルロース基材側表面から前記溶剤が検出されるまでの時間を測定することにより、前記配向層と前記位相差層からなる積層体における平均溶剤浸透時間を算出する工程と、
前記算出された平均溶剤浸透時間に基づいて位相差フィルムを評価する工程とを有することを特徴とする。
本発明に係る位相差フィルムの製造方法は、トリアセチルセルロース基材の一面側に、配向層、及び位相差層がこの順に設けられた位相差フィルムの製造方法であって、
前記配向層は、配向層用硬化性組成物の硬化物からなり、
前記位相差層は、重合性液晶化合物を含む位相差層用硬化性組成物の硬化物からなり、
前記位相差フィルムの前記位相差層が設けられた側の表面に溶剤を滴下し、前記位相差フィルムの前記トリアセチルセルロース基材側表面から前記溶剤が検出されるまでの時間を測定することにより、前記配向層と前記位相差層からなる積層体における平均溶剤浸透時間を算出する工程と、
前記算出された平均溶剤浸透時間を予め設定された所定値と対比する工程とを有することを特徴とする。
本発明に係る位相差フィルムの評価方法、及び本発明に係る位相差フィルムの製造方法においては、前記平均溶剤浸透時間は、フーリエ変換型赤外分光法により測定することにより算出されることが好ましい。
また、本発明に係る位相差フィルムは、トリアセチルセルロース基材の一面側に、配向層、及び位相差層がこの順に設けられた位相差フィルムあって、
前記配向層は、配向層用硬化性組成物の硬化物からなり、
前記位相差層は、重合性液晶化合物を含む位相差層用硬化性組成物の硬化物からなり、
前記配向層と前記位相差層からなる積層体における平均溶剤浸透時間が45s/μm以上であることを特徴とする。
本発明によれば、位相差フィルムの耐溶剤性やリワーク性を簡易に評価することができる位相差フィルムの評価方法、当該評価方法を用いることにより、耐溶剤性及びリワーク性に優れた位相差フィルムを製造できる位相差フィルムの製造方法、及び、耐溶剤性及びリワーク性に優れた位相差フィルムを提供することができる。
本発明の位相差フィルムの評価方法の一例を示す工程図である。 パッシブ方式で3次元映像を表示可能な液晶表示装置の一例を示す概略図である。
以下、本発明に係る位相差フィルムの評価方法、位相差フィルムの製造方法、及び位相差フィルムを順に説明する。
本発明においては、遅相軸と進相軸とを合わせて、光軸と総称する。
本発明において、配向規制力とは、液晶材料を特定方向に配列させる相互作用を意味する。
本発明において、位相差フィルムとは、特に断りがない限りパターン位相差フィルムをも含むものである。
また、本発明において、(メタ)アクリレートとは、メタアクリレート及び/又はメタクリレートを表す。
[位相差フィルムの評価方法]
本発明に係る位相差フィルムの評価方法(以下、単に評価方法ということがある。)は、トリアセチルセルロース基材の一面側に、配向層、及び位相差層がこの順に設けられた位相差フィルムを準備する工程(以下、単に準備工程ということがある。)と、前記位相差フィルムの前記位相差層が設けられた側の表面に溶剤を滴下し、前記位相差フィルムの前記トリアセチルセルロース基材側表面から前記溶剤が検出されるまでの時間を測定することにより、前記配向層と前記位相差層からなる積層体における平均溶剤浸透時間を算出する工程(以下、単に算出工程という場合がある。)と、前記算出された平均溶剤浸透時間に基づいて位相差フィルムを評価する工程(以下、単に評価工程ということがある。)とを有することを特徴とする。
当該評価方法によれば、位相差フィルムの耐溶剤性やリワーク性を簡易に評価することができる。
このような本発明の位相差フィルムの評価方法について図を参照しながら説明する。図1は、本発明の位相差フィルムの評価方法の一例を示す工程図である。
まず、図1(A)に示される、トリアセチルセルロース基材1の一面側に、配向層2、及び位相差層3がこの順に設けられた位相差フィルム10を準備する。当該位相差フィルム10の前記位相差層3側の表面に溶剤4を何らかの滴下手段5を用いて滴下6する(図1(B))。次いで、前記位相差フィルム10の前記トリアセチルセルロース基材側表面8から前記溶剤4が検出されるまでの時間、即ち、図1(C)のように、溶剤4が位相差フィルム10の位相差層側表面7に付着してから、図1(D)のように溶剤4が位相差層3及び配向層2を通過して、図1(E)のように、位相差フィルム10のトリアセチルセルロース基材側表面8において溶剤4が検出されるまでの時間を測定する。当該検出されるまでの時間から後述の通り、配向層2と位相差層3からなる積層体における平均溶剤浸透時間を算出する。算出された平均溶剤浸透時間に基づいて位相差フィルムを評価する。
図1においては、図1(A)が準備工程であり、図1(B)〜図1(E)が算出工程である。
上記本発明に係る位相差フィルムの評価方法により、位相差フィルムの耐溶剤性やリワーク性を簡易に評価することができる原理としては、未解明の部分もあるが次の通りである。
位相差層や配向層における平均溶剤浸透時間が短い場合には、平均溶剤浸透時間が長いものと比較して、溶剤が位相差フィルムの位相差層や配向層に浸透しやすいものと推測される。位相差層や配向層に溶剤が浸透しやすい場合には、粘着剤層から移行してくる溶剤の量が相対的に多く、また、位相差層乃至配向層全体に拡散しやすいものと推定される。位相差層乃至配向層に浸透した溶剤は、例えば位相差層中の液晶材料等を膨潤させるなどの影響を与える結果、位相差フィルムのレタデーションを低下させるものと推定される。また、位相差層や配向層に溶剤が浸透することにより、当該位相差層乃至配向層と粘着層との密着性が高まったり、位相差層や配向層の凝集破壊や界面剥離等が起きやすくなり、その結果、位相差層が位相差フィルムの基材から剥離しやすくなり、リワーク性が低下するものと推定される。そのため、溶剤の浸透しやすさの評価と耐溶剤性、レタデーションの低下しやすさ及びリワーク性とに相関があると推定される。従って、本発明においては、配向層と位相差層からなる積層体における平均溶剤浸透時間を簡易的に測定することにより、溶剤の浸透のしやすさの程度に基づいて、位相差フィルムの耐溶剤性やリワーク性を簡易に評価することができる。
本発明の評価方法は、少なくとも準備工程と、算出工程と、評価工程とを有するものであり、必要に応じて他の工程を有していてもよいものである。
以下、このような本発明の評価方法の各工程について順に説明する。
<準備工程>
準備工程は、少なくとも、トリアセチルセルロース基材の一面側に、配向層、及び位相差層がこの順に設けられた位相差フィルムを準備する工程である。
(位相差フィルム)
位相差フィルム10は、図1に示されるように、トリアセチルセルロース基材1上に、配向層2及び位相差層3がこの順で設けられているフィルムであって、他の層を有していてもよいものである。
(1)トリアセチルセルロース基材
トリアセチルセルロース基材は、位相差フィルムに用いられる公知のトリアセチルセルロース基材を適宜選択して用いればよい。
トリアセチルセルロース基材の厚みは、後述する溶剤が160秒以内に貫通するものであればよく適宜設定すればよい。通常は、20μm〜200μmの範囲内であり、30μm〜90μmの範囲内であることが好ましい。上記上限値より厚い基材を用いると、溶剤が検出されない恐れがある。
(2)配向層
配向層は、配向規制力を有し、位相差層用硬化性組成物に含まれる液晶材料を一定方向に配列させるための層である。
配向層は、通常、配向層用硬化性組成物の硬化物からなる。当該配向層用硬化性組成物の組成は、特に限定されず、配向規制力を付与する手段との組み合わせにより適宜選択される。本発明において、硬化性とは、化学反応を経て硬くなる性質をいう。硬化性組成物には、通常、反応性基を有する化合物が含まれる。反応性基としては、光二量化反応性基、重合性官能基、熱硬化性官能基などが挙げられる。
配向層に配向規制力を付与する手段は、従来公知のものとすることができ、例えば、ラビング法、光配向法、賦形法などが挙げられる。
配向層を光配向法により形成する場合には、配向層用硬化性組成物としては、偏光を照射することにより配向規制力を発現する光配向性材料を含むものであれば特に限定されない。光配向性材料としては、例えば、シンナメート、クマリン、ベンジリデンフタルイミジン、ベンジリデンアセトフェノン、ジフェニルアセチレン、スチルバゾール、ウラシル、キノリノン、マレインイミド、または、シンナミリデン酢酸誘導体を有するポリマーを例示することができる。なかでも、シンナメート、または、クマリンの少なくとも一方を有するポリマー、シンナメートおよびクマリンを有するポリマーが好ましく用いられる。また、例えば、特開平9−118717号公報、特表平10−506420号公報、特表2003−505561号公報、および、WO2010/150748号公報に記載された化合物を挙げることができる。
配向層用硬化性組成物は、必要に応じて光配向性材料以外の化合物を含むものであっても良い。このような化合物としては、配向層の配向規制力を損なわないものであればよく、例えば、重合性官能基を有するモノマー又はオリゴマー(以下単に、重合性モノマー、重合性オリゴマーという場合がある。)が好適に用いられる。
本発明に用いられる上記重合性モノマー又は重合性オリゴマーとしては、例えば、アクリレート系の重合性官能基を有する単官能モノマー(例えば、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン)及び多官能モノマー(例えば、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリエチレン(ポリプロピレン)グリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸ポリ(メタ)アクリレート(例えば、イソシアヌル酸EOジアクリレート等))や、ビスフェノールフルオレン誘導体(例えば、ビスフェノキシエタノールフルオレンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールフルオレンジエポキシ(メタ)アクリレート)等を単体もしくは混合したものとして用いることができる。
また、配向層を賦形法により形成する場合、配向層用硬化性組成物としては、所望の微細凹凸形状を形成することにより、配向規制力を発現できるものを用いればよく、例えば、紫外線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂等を用いることができる。中でも、配向層の形成が容易である点から紫外線硬化性樹脂が用いられることが好ましい。紫外線硬化性樹脂の具体例としては、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、メラミンアクリレート等のアクリロイル基をもつ重合性モノマー、重合性オリゴマーと、アクリル酸、アクリルアミド、アクリロニトリル、スチレン等重合性ビニル基をもつ重合性モノマー、重合性オリゴマー等の単体あるいは配合したものに、必要に応じて増感剤等や光重合開始剤を加えたもの等を挙げることができる。
配向層の厚さは、後述する液晶層中の液晶材料が一定方向に配列できればよく、配向層に配向規制力を付与する手段や、用いる配向層用硬化性組成物の組成等に応じて適宜設定すればよい。光配向法により配向層を形成する場合、配向層の厚さは、通常、1〜1000nmであり、3〜100nmであることが好ましい。また、賦形法により配向層を形成する場合、配向層の厚さは、通常、1〜10μmであり、2〜5μmであることが好ましい。
(3)位相差層
位相差層は、重合性液晶化合物を含む位相差層用硬化性組成物の硬化物からなる層であり、前記配向層によって、液晶材料が一定方向に配列されたものである。
位相差層用硬化性組成物は、少なくとも、液晶材料を含有するものであり、他の成分を含むものであってもよい。
重合性液晶化合物は、液晶分子内に重合性官能基を有し、光の照射によって光重合開始剤から発生したラジカル、または電子線等の作用により、液晶分子間で架橋することができるため位相差フィルムの安定性が向上する。例えば、重合性基を有する、ネマチック液晶性分子材料、コレステリック液晶性分子材料、カイラルネマチック液晶性分子材料、スメクチック液晶性分子材料、ディスコチック液晶性分子材料を挙げることができる。
位相差層の形成方法としては、所望の厚みの位相差層を精度良く塗工できる方法であればよく、適宜選択することができる。例えば、グラビアコート法、リバースコート法、ナイフコート法、ディップコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、浸漬引き上げ法、カーテンコート法、ダイコート法、キャスティング法、バーコート法、エクストルージョンコート法、E型塗布方法などが挙げられる。
位相差層の厚みは、特に限定されないが、製造する位相差フィルムの膜厚と同様のものとすることが好ましく、例えば1nm〜2000nmの範囲内で設定することができ、好ましくは、500nm〜1000nmである。
<算出工程>
算出工程は、位相差フィルムの位相差層側の表面に溶剤を滴下し、前記位相差フィルムのトリアセチルセルロース基材側表面から溶剤が検出されるまでの時間(以下、位相差フィルムにおける浸透時間ということがある。)を測定することにより、前記配向層と前記位相差層からなる積層体における平均溶剤浸透時間を算出する工程である。
溶剤を滴下する方法は、所定量の溶剤を滴下できる方法であればよく、適宜選択すればよい。例えば、滴下手段としてマイクロシリンジ等を用いて所定量を滴下する方法などが挙げられる。滴下量は評価される位相差フィルムのトリアセチルセルロース基材等の厚み等を考慮し、当該基材等を十分な速さで貫通する程度の量で、且つ、浸透時間が測定可能な量に適宜設定すればよい。滴下量としては、位相差フィルム1cmあたり1〜5μlとすることが好ましい。
用いる溶剤は、適宜選択すればよい。使用する粘着剤に含まれる溶剤を用いることが好ましいが、配向層、位相差層及びトリアセチルセルロース基材に対して比較的浸透性の高い溶剤を選択して評価を行ってもよい。浸透性の高い溶剤の具体例としては、例えば、酢酸エチル、トルエン等が挙げられる。溶剤は1種単独であっても、2種以上組み合わせた混合溶剤であってもよい。
次に、位相差フィルムのトリアセチルセルロース基材側表面から前記溶剤が検出されるまでの時間を測定する。当該時間は、図1(C)のように、溶剤4が位相差フィルム10の位相差層4側表面に付着してから、図1(E)のように、位相差フィルム10のトリアセチルセルロース基材側表面8において溶剤4が検出されるまでの時間(位相差フィルムにおける浸透時間)である。
トリアセチルセルロース基材側表面における溶剤の検出方法は、公知の方法から適宜選択すればよい。例えば、トリアセチルセルロース基材側表面を所定時間ごとにフーリエ変換型赤外分光法(FT−IR法)により測定し、溶剤に由来する吸収帯のピークの検出をもって、溶剤の検出とすることができる。FT−IR法の中でも、全反射測定法(ATR法)を用いることが好ましい。
前記配向層と前記位相差層からなる積層体における平均溶剤浸透時間(s/μm)は、下記式(1)に示される通り、上記位相差フィルムにおける浸透時間(S1(秒(s)))から、後述するトリアセチルセルロース基材における浸透時間(S2(s))を減じることにより、前記配向層と前記位相差層からなる積層体における浸透時間(S1−S2(s))を求めた後、当該積層体の膜厚(D(μm))で当該積層体における浸透時間を除することにより算出することができる。
上記トリアセチルセルロース基材における浸透時間は、前記位相差フィルムにおける浸透時間の測定において、位相差フィルムの代わりに、位相差フィルムに用いられたものと同一のトリアセチルセルロース基材を用いて測定することにより求められる。
前記配向層と前記位相差層からなる積層体の膜厚は、膜厚測定器(例えば、テスター産業株式会社製、フィルム用厚さ測定器(TH−104))によって測定することができる。
位相差フィルムにおける浸透時間、トリアセチルセルロース基材における浸透時間、及び、前記配向層と前記位相差層からなる積層体の膜厚から、上述の通り上記積層体の平均溶剤浸透時間が算出できる。
なお、本発明の評価方法においては、溶剤の滴下から十分な時間が経過した後であってもトリアセチルセルロース基材側表面から溶剤が検出されない場合がある。この場合、平均溶剤浸透時間を値として算出することはできないが、溶剤が浸透していないか、或いは浸透していたとしても平均溶剤浸透時間が十分に長いものであるとすることができる。
<評価工程>
評価工程は、前記算出された平均溶剤浸透時間に基づいて位相差フィルムを評価する工程である。
前記算出工程において算出された平均溶剤浸透時間の値から、位相差フィルムの耐溶剤性及びリワーク性を評価することができる。上記算出工程で得られた平均溶剤浸透時間と、実際の位相差フィルムの耐溶剤性及びリワーク性との相関から、適宜評価基準を設定することができる。
上記本発明に係る位相差フィルムの評価方法により得られた、配向層と位相差層からなる積層体の平均溶剤浸透時間を、予め設定された所定値と対比することにより、当該積層体を有する位相差フィルムは耐溶剤性及びリワーク性に優れているかどうかを判定することができる。対比される所定値は、後述する製造方法の対比工程に記載したものと同様に適宜設定される。
なお、上記本発明の位相差フィルムの評価方法の説明は、そのままパターン位相差フィルムにおいてもあてはまるものである。また、耐溶剤性及びリワーク性に優れていると判定された位相差フィルムを構成する配向層用硬化性組成物及び位相差層用硬化性化合物を用いて同様の条件でパターン位相差フィルムを製造した場合、当該パターン位相差フィルムも耐溶剤性及びリワーク性に優れている。
[位相差フィルムの製造方法]
本発明に係る位相差フィルムの製造方法は、トリアセチルセルロース基材の一面側に、配向層、及び位相差層がこの順に設けられた位相差フィルムの製造方法であって、
前記配向層は、配向層用硬化性組成物の硬化物からなり、
前記位相差層は、重合性液晶化合物を含む位相差層用硬化性組成物の硬化物からなり、
前記位相差フィルムの前記位相差層が設けられた側の表面に溶剤を滴下し、前記位相差フィルムの前記トリアセチルセルロース基材側表面から前記溶剤が検出されるまでの時間を測定することにより、前記配向層と前記位相差層からなる積層体における平均溶剤浸透時間を算出する工程と、
前記算出された平均溶剤浸透時間を予め設定された所定値と対比する工程(以下、対比工程という場合がある。)とを有することを特徴とする。
本発明の製造方法によれば、位相差フィルムの平均溶剤浸透時間を算出し、予め設定された所定値と対比することにより、耐溶剤性及びリワーク性に優れた位相差フィルムを製造することができる。
本発明の製造方法は、少なくとも前記準備工程と、算出工程と、対比工程とを有するものであり、必要に応じて他の工程を有していてもよいものである。
以下、このような本発明の製造方法を説明するが、上記本発明に係る位相差フィルムの評価方法と共通する工程は上述の通りであるため、ここでの説明は省略する。
<対比工程>
対比工程は、前記算出された平均溶剤浸透時間を予め設定された所定値と対比する工程である。
所定値は、耐溶剤性及びリワーク性に優れるかどうかを判定できる数値を適宜設定すればよい。例えば、耐溶剤性及びリワーク性が許容できる公知の位相差フィルムを用いて、上記本発明に係る評価方法と同様の方法により、当該公知の位相差フィルムを構成する配向層と位相差層からなる積層体における平均溶剤浸透時間を算出し、これを所定値とすることができる。所定値の値としては特に限定されないが、例えば、20〜300s/μmの範囲内で設定することができ、45〜250s/μmの範囲内で設定することが好ましい。
算出された位相差フィルムの配向層と位相差層からなる積層体における平均溶剤浸透時間を予め設定された所定値と対比した結果、当該平均溶剤浸透時間が所定値以上であれば、当該位相差フィルムは、耐溶剤性及びリワーク性に優れていると判断される。
位相差フィルムの製造方法における、配向層及び位相差層の形成方法は、従来公知の方法を用いることができ、特に限定されない。
例えば、トリアセチルセルロース基材の一面側に、配向層用硬化性組成物を塗工し、公知の手段を用いて配向規制力を付与して配向層を形成した後、重合性液晶化合物を含む位相差層用硬化性組成物を塗工し、乾燥させ、硬化させることにより位相差層を形成する方法等が挙げられる。
また、パターン位相差フィルムの製造方法としては、例えば、トリアセチルセルロース基材の一面側に、光配向性材料を含む配向層用硬化性組成物を塗工し、第一の偏光紫外線を所望のパターンを有するマスクを介して照射し、次いで、第一の偏光紫外線の偏光軸と異なる偏光軸を有する第二の偏光紫外線をマスクを介さずに照射して、パターン状に配向規制力を付与した配向層を形成した後、重合性液晶化合物を含む位相差層用硬化性組成物を塗工し、乾燥させ、硬化させることにより位相差層を形成する方法(光配向法)や、所望のパターン状に微細凹凸形状が形成された配向層用原版に、紫外線硬化性樹脂を含む配向層用硬化性組成物を塗布し、その上にトリアセチルセルロース基材を密着させ、紫外線を照射することにより微細凹凸形状が賦型された配向層を形成した後、重合性液晶化合物を含む位相差層用硬化性組成物を塗工し、乾燥させ、硬化させることにより位相差層を形成する方法(賦型法)などが挙げられる。
パターン位相差フィルムの製造方法として、より具体的には、例えば、特開2012−14064号公報等に記載の方法を用いることができる。
上記賦型法における、微細凹凸形状が形成された配向層用原版の形成方法としては、は、例えば、金属製の板状やロール状の基材の表面を、特定の方向に研磨することにより微小なライン上凹凸構造を形成する研磨処理を行う方法を挙げることができる。中でも、先端に微細凹凸形状を有するダイヤモンドバイト等のバイト等を用いて、特定の方向に切削することによりストライプ状のライン上凹凸構造を形成する切削処理を行う方法が好ましい。
[位相差フィルム]
本発明に係る位相差フィルムは、トリアセチルセルロース基材の一面側に、配向層、及び位相差層がこの順に設けられた位相差フィルムあって、
前記配向層は、配向層用硬化性組成物の硬化物からなり、
前記位相差層は、重合性液晶化合物を含む位相差層用硬化性組成物の硬化物からなり、
前記配向層と前記位相差層からなる積層体における平均溶剤浸透時間が45s/μm以上であることを特徴とする。
上記本発明に係る位相差フィルムは、前記配向層と前記位相差層からなる積層体における平均溶剤浸透時間が45s/μm以上であるため、耐溶剤性及びリワーク性に優れている。
配向層と位相差層からなる積層体における平均溶剤浸透時間を45s/μm以上とする方法は、特に限定されない。例えば、位相差層用硬化性組成物に含まれる重合性液晶化合物の架橋密度を高くすることによって、溶剤の浸透性を低下させることができる。
本発明の位相差フィルムにおいて、配向層、位相差層は、前記位相差フィルムの評価方法において説明したものと同様の構成とすることができる。なお、パターン位相差フィルムの構成も適宜従来公知の構成とすることができ、例えば、特開2012−14064号公報に記載の構成とすることができる。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。
(製造例1:パターン位相差フィルム1の製造)
厚さが60μmで、面積が25cmのTAC基材1の一面側に、光配向材料として光二量化反応型の光配向材料を含有する配向層用硬化性組成物を塗布し、乾燥させて塗膜とした。当該塗膜に、第一の偏光紫外線を幅500μmのストライプパターンを有するマスクを介して照射した。次いで、第一の偏光紫外線の偏光軸とのなす角が90°の偏光軸を有する第二の偏光紫外線をマスクを介さずに照射して、ストライプパターンを有する膜厚が100nmの配向層を形成した。次に、前記配向層上に、重合性液晶化合物を含む位相差層用硬化性組成物1を塗布し、紫外線を照射することにより硬化させて、膜厚が1μmの位相差層を形成し、パターン位相差フィルム1を得た。
(製造例2:パターン位相差フィルム2の製造)
製造例1において、位相差層用硬化性組成物1の代わりに、重合性液晶化合物を含む別の位相差層用硬化性組成物2を用いて、膜厚が1μmで架橋密度の異なる位相差層を形成した以外は、製造例1と同様にしてパターン位相差フィルム2を得た。
(製造例3:パターン位相差フィルム3の製造)
製造例1において、位相差層用硬化性組成物1の代わりに、重合性液晶化合物を含む別の位相差層用硬化性組成物3を用いて、膜厚が1μmで架橋密度の異なる位相差層を形成した以外は、製造例1と同様にしてパターン位相差フィルム3を得た。
(製造例4:パターン位相差フィルム4の製造)
製造例1において、位相差層用硬化性組成物1の代わりに、重合性液晶化合物を含む別の位相差層用硬化性組成物4を用いて、膜厚が1μmで架橋密度の異なる位相差層を形成した以外は、製造例1と同様にしてパターン位相差フィルム4を得た。
(製造例5:パターン位相差フィルム5の製造)
製造例1において、位相差層用硬化性組成物1の代わりに、重合性液晶化合物を含む別の位相差層用硬化性組成物5を用いて、膜厚が1μmで架橋密度の異なる位相差層を形成した以外は、製造例1と同様にしてパターン位相差フィルム5を得た。
(製造例6:パターン位相差フィルム6の製造)
直径5cm、長さ20cmの大きさの表面が銅であるロール状基材を準備し、回転させながら、FIB加工で作製したピッチが200nmの凹凸を有するダイヤモンドバイトで左右方向に、銅表面の切削後の凹凸形状が回転方向に対して斜め45度になる様に切削した。その後、紫外線硬化性樹脂組成物を有する配向層用硬化性組成物を銅版上に塗布し、厚さが80μmのトリアセチルセルロース(TAC)基材2を乗せて密着させ、紫外線を照射して硬化させた。
次に、上記TAC基材2を銅版から剥離し、凹凸形状を配向層用硬化性組成物に賦形することにより、膜厚が5μmの配向層を形成した。次いで、当該配向層上に、重合性液晶化合物を含む位相差層用硬化性組成物6を塗布し、紫外線を照射することにより硬化させて、膜厚が1μmの位相差層を形成し、パターン位相差フィルム6を得た。下記実施例においては、当該パターン位相差フィルム6の面積が25cmとなるように切断して用いた。
(実施例1:パターン位相差フィルム1の評価)
(1)パターン位相差フィルム1における溶剤浸透時間の測定
製造例1で得られたパターン位相差フィルム1の位相差層側表面にマイクロシリンジを用いて酢酸エチルを50μL滴下した。次いで当該パターン位相差フィルム1の基材側表面をアジレント・テクノロジー株式会社製FTS6000を用いて、フーリエ変換型赤外分光法の全反射測定法(ATR法)により、酢酸エチルに由来する吸収帯を測定したところ、300秒経過後も酢酸エチルは検出されなかった。
(2)トリアセチルセルロース基材1における溶剤浸透時間の測定
上記(1)において、パターン位相差フィルム1の代わりに、トリアセチルセルロース基材1を用いた以外は、上記(1)と同様にして、酢酸エチルに由来する吸収帯を測定したところ、トリアセチルセルロース基材1における溶剤浸透時間は20秒であった。
(3)パターン位相差フィルム1の評価
上記の結果から、パターン位相差フィルム1の配向層と位相差層からなる積層体における溶剤浸透時間は280秒以上である。よって、配向層と位相差層からなる積層体における平均溶剤浸透時間は少なくとも254秒/μm以上であり、45秒/μm以上であることから、パターン位相差フィルム1は、耐溶剤性及びリワーク性に優れていると評価された。
(実施例2:パターン位相差フィルム2の評価)
(1)パターン位相差フィルム2における溶剤浸透時間の測定
実施例1の(1)において、パターン位相差フィルム1の代わりに、パターン位相差フィルム2を用いた以外は、実施例1の(1)と同様に酢酸エチルに由来する吸収帯を測定したところ、300秒経過後も酢酸エチルは検出されなかった。
(2)パターン位相差フィルム2の評価
上記の結果、及び実施例1の(2)の結果から、パターン位相差フィルム2の配向層と位相差層からなる積層体における溶剤浸透時間は280秒以上である。よって、配向層と位相差層からなる積層体における平均溶剤浸透時間は少なくとも254秒/μm以上であり、45s/μm以上であるから、パターン位相差フィルム2は、耐溶剤性及びリワーク性に優れていると評価された。
(実施例3:パターン位相差フィルム3の評価)
(1)パターン位相差フィルム3における溶剤浸透時間の測定
実施例1の(1)において、パターン位相差フィルム1の代わりに、パターン位相差フィルム3を用いた以外は、実施例1の(1)と同様に酢酸エチルに由来する吸収帯を測定したところ、300秒経過後も酢酸エチルは検出されなかった。
(2)パターン位相差フィルム4の評価
上記の結果、及び実施例1の(2)の結果から、パターン位相差フィルム3の配向層と位相差層からなる積層体における溶剤浸透時間は280秒以上である。よって、配向層と位相差層からなる積層体における平均溶剤浸透時間は少なくとも254秒/μm以上であり、45s/μm以上であることから、パターン位相差フィルム3は、耐溶剤性及びリワーク性に優れていると評価された。
(実施例4:パターン位相差フィルム4の評価)
(1)パターン位相差フィルム4における溶剤浸透時間の測定
実施例1の(1)において、パターン位相差フィルム1の代わりに、パターン位相差フィルム4を用いた以外は、実施例1の(1)と同様に酢酸エチルに由来する吸収帯を測定したところ、溶剤浸透時間は30秒であった。
(2)パターン位相差フィルム4の評価
上記の結果、及び実施例1の(2)の結果から、パターン位相差フィルム5の配向層と位相差層からなる積層体における溶剤浸透時間は10秒である。よって、配向層と位相差層からなる積層体における平均溶剤浸透時間は9秒/μmと算出され、45s/μm未満であることから、パターン位相差フィルム4は、耐溶剤性及びリワーク性が悪いと評価された。
(実施例5:パターン位相差フィルム5の評価)
(1)パターン位相差フィルム5における溶剤浸透時間の測定
実施例1の(1)において、パターン位相差フィルム1の代わりに、パターン位相差フィルム5を用いた以外は、実施例1の(1)と同様に酢酸エチルに由来する吸収帯を測定したところ、溶剤浸透時間は60秒であった。
(2)パターン位相差フィルム5の評価
上記の結果、及び実施例1の(2)の結果から、パターン位相差フィルム5の配向層と位相差層からなる積層体における溶剤浸透時間は40秒である。よって、配向層と位相差層からなる積層体における平均溶剤浸透時間は36.4秒/μmと算出され、45s/μm未満であることから、パターン位相差フィルム5は、耐溶剤性及びリワーク性が悪いと評価された。
(実施例6:パターン位相差フィルム6の評価)
(1)パターン位相差フィルム6における溶剤浸透時間の測定
実施例1の(1)において、パターン位相差フィルム1の代わりに、パターン位相差フィルム6を用いた以外は、実施例1の(1)と同様に酢酸エチルに由来する吸収帯を測定したところ、300秒経過後も酢酸エチルは検出されなかった。
(2)トリアセチルセルロース基材2における溶剤浸透時間の測定
実施例1の(2)において、トリアセチルセルロース基材1の代わりに、トリアセチルセルロース基材2を用いた以外は、実施例1の(2)と同様にして、酢酸エチルに由来する吸収帯を測定したところ、トリアセチルセルロース基材2における溶剤浸透時間は30秒であった。
(3)パターン位相差フィルム6の評価
上記の結果から、パターン位相差フィルム6の配向層と位相差層からなる積層体における溶剤浸透時間は270秒以上である。よって、配向層と位相差層からなる積層体における平均溶剤浸透時間は少なくとも45秒/μm以上であることから、パターン位相差フィルム6は、耐溶剤性及びリワーク性に優れていると評価された。
(実施例1の評価の検証)
(1)耐溶剤性評価
実施例1において耐溶剤性に優れていると評価されたパターン位相差フィルム1のリタデーション値(Re1)を位相差測定装置(王子計測機器株式会社製、KOBRA−WR)により測定した。次に、パターン位相差フィルム1の位相差層側表面に、マイクロシリンジを用いて溶剤(酢酸エチル)を50μl滴下した後、自然乾燥させた。自然乾燥後の位相差フィルム1のリタデーション値(Re2)を上記と同様に測定した。溶剤滴下前後のリタデーション変化を下記式(2)により算出した。結果を表1に示す。リタデーション変化が±10%以内であれば、耐溶剤性に優れている。
リタデーション変化(%)={(Re1−Re2)/Re1}×100 (2)
(2)リワーク性評価
実施例1においてリワーク性に優れていると評価されたパターン位相差フィルム1と、トリアセチルセルロース基材を準備した。パターン位相差フィルム1の位相差層側表面に溶剤を滴下し、当該位相差層に前記トリアセチルセルロース基材を圧着し、溶剤を乾燥させた。次いでパターン位相差フィルム1から、圧着したトリアセチルセルロース基材を剥離し、パターン位相差フィルム1のトリアセチルセルロース基材1から位相差層や配向層の剥離を目視により評価した。結果を表1に示す。
(リワーク性評価基準)
○:位相差層及び配向層の剥離が認められなかった。
×:位相差層又は配向層の剥離が認められた。
(実施例2〜6の評価の検証)
上記実施例1の評価の検証において、パターン位相差フィルム1の代わりに、パターン位相差フィルム2〜6をそれぞれ用いた以外は、上記実施例1の評価の検証と同様の方法により、耐溶剤性とリワーク性を検証した。結果を表1に示す。なお、表1中、実施例による評価は、上記実施例において、耐溶剤性及びリワーク性に優れていると評価されたものを○、耐溶剤性及びリワーク性が悪いと評価されたものを×とした。
[結果のまとめ]
実施例1〜3及び6により、耐溶剤性及びリワーク性に優れていると評価されたパターン位相差フィルム1〜3及び6について、耐溶剤性及びリワーク性を実際に検証したところ、いずれも耐溶剤性及びリワーク性に優れていた。また、実施例4及び5により、耐溶剤性及びリワーク性が悪いと評価されたパターン位相差フィルム4及び5について、耐溶剤性及びリワーク性を実際に検証したところ、リタデーション変化が大きく、リワーク性も悪かった。このように、本発明の評価方法によれば、簡易な方法により耐溶剤性及びリワーク性を評価できることが明らかになった。
また、平均溶剤浸透時間が45s/μm以上である、上記パターン位相差フィルム1〜3及び6は、耐溶剤性及びリワーク性に優れた本発明の位相差フィルムに該当するものであることがわかった。
1 トリアセチルセルロース基材
2 配向層
3 位相差層
4 溶剤
5 マイクロシリンジ
6 滴下
7 位相差層側表面
8 トリアセチルセルロース基材側表面
10 位相差フィルム

Claims (5)

  1. トリアセチルセルロース基材の一面側に、配向層、及び位相差層がこの順に設けられた位相差フィルムを準備する工程と、
    前記位相差フィルムの前記位相差層が設けられた側の表面に溶剤を滴下し、前記位相差フィルムの前記トリアセチルセルロース基材側表面から前記溶剤が検出されるまでの時間を測定することにより、前記配向層と前記位相差層からなる積層体における平均溶剤浸透時間を算出する工程と、
    前記算出された平均溶剤浸透時間に基づいて位相差フィルムを評価する工程とを有することを特徴とする、位相差フィルムの評価方法。
  2. 前記平均溶剤浸透時間は、フーリエ変換型赤外分光法により測定することにより算出されることを特徴とする、請求項1に記載の位相差フィルムの評価方法。
  3. トリアセチルセルロース基材の一面側に、配向層、及び位相差層がこの順に設けられた位相差フィルムの製造方法であって、
    前記配向層は、配向層用硬化性組成物の硬化物からなり、
    前記位相差層は、重合性液晶化合物を含む位相差層用硬化性組成物の硬化物からなり、
    前記位相差フィルムの前記位相差層が設けられた側の表面に溶剤を滴下し、前記位相差フィルムの前記トリアセチルセルロース基材側表面から前記溶剤が検出されるまでの時間を測定することにより、前記配向層と前記位相差層からなる積層体における平均溶剤浸透時間を算出する工程と、
    前記算出された平均溶剤浸透時間を予め設定された所定値と対比する工程とを有することを特徴とする、位相差フィルムの製造方法。
  4. 前記平均溶剤浸透時間は、フーリエ変換型赤外分光法により測定することにより算出されることを特徴とする、請求項3に記載の位相差フィルムの製造方法。
  5. トリアセチルセルロース基材の一面側に、配向層、及び位相差層がこの順に設けられた位相差フィルムあって、
    前記配向層は、配向層用硬化性組成物の硬化物からなり、
    前記位相差層は、重合性液晶化合物を含む位相差層用硬化性組成物の硬化物からなり、
    前記配向層と前記位相差層からなる積層体における平均溶剤浸透時間が45s/μm以上であることを特徴とする、位相差フィルム。
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