JP2013210546A - 電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】地図データの利用制限に関する新しい技術を提供する。
【解決手段】ナビゲーション装置は、出荷当初の初期地図データに加えてサーバ装置から得たバーション毎の差分地図データを記憶する。差分地図データは、前バーションの地図データが示す道路網からの差分により新規道路網を示す。初期地図データ及び差分地図データは、区域毎のデータ群により構成される。差分地図データは、有料データとして提供され、この差分地図データには、購入/未購入に応じて、バージョン毎に利用権限の有無が定義される。本装置は、地図表示処理等から地図データの読出要求を受けると、読出要求による指定区域の初期地図データ、及び、差分地図データのうちの利用権限のあるバージョンの差分地図データを読み出し(S430)、これら読み出した地図データをマージして結合地図データを生成し(S460)、この地図データを読出要求元に提供する(S470)。
【選択図】図6

Description

本発明は、地図データを用いた処理を実行する電子機器に関する。
地図データを用いた処理を実行する電子機器としては、道路地図をユーザに向けて表示する処理や、目的地までの経路を探索し、この探索より得られた経路をユーザに向けて表示する処理や、目的地までの経路を案内する処理等を実行する電子機器が従来知られている。また、この種の電子機器としては、配信センタからの受信データに基づき、自装置が記憶する地図データを更新するものが知られている(特許文献1参照)。
この他、地図データを更新するためのデータを、放送により電子機器に提供する技術も知られている(特許文献2参照)。更に、配信センタから提供する地図データを電子機器(ナビゲーション装置等)に試用させ、地図データの購入意志確認後に、この地図データの継続的な利用権限を電子機器に付与する技術も知られている(特許文献3参照)。
特開2003−315051号公報 特開2005−121719号公報 特開2005−114988号公報
ところで、電子機器による地図データの利用を制限する技術としては、地図データの利用権限を有料にて提供することを前提として、地図データの利用権限が購入されるまでは、試用期間を除いて、地図データの利用を禁止する技術が従来知られている程度である。
一方、ユーザ側には、必要な地図データのみを購入することで出費を抑えたいといった潜在的なニーズが存在している。更に、地図データを用いた処理を実行する電子機器(ナビゲーション装置等)の利用形態は、ユーザによって様々で、経路探索や経路案内を好んで利用するユーザや、道路地図を確認する程度で経路探索や経路案内の利用頻度の低いユーザ等が存在する。
本発明は、こうした点に着目してなされたものであり、地図データ(特に差分地図データ)を有料にて提供する局面等において好適な、地図データの利用制限に関する技術を提供することを目的とする。
上記目的を達成するためになされた本発明(請求項1)の電子機器は、道路地図データを用いた複数種類の処理を実行する電子機器であって、地図データ記憶手段と処理実行手段とを備える。地図データ記憶手段は、道路地図データとして、基本道路地図データ、及び、当該基本道路地図データが示す道路網からの差分により新規道路網を示す差分道路地図データを記憶する。一方、処理実行手段は、複数種類の処理の夫々を、処理の種類に応じて上記差分道路地図データを用いるか否かを切り替えつつ実行する。
複数種類の処理の夫々としては、地図表示処理、経路探索表示処理及び経路案内処理の夫々、又は、これらを分類して定義される各種類の処理を一例に挙げることができる(請
求項9)。ここで言う地図表示処理は、道路地図データを用いて、特定地域の道路地図をユーザに向けて表示する処理のことであり、経路探索表示処理は、道路地図データを用いて、目的地までの経路を探索し、当該探索より得られた経路をユーザに向けて表示する処理のことであり、経路案内処理は、道路地図データを用いて、現在位置に応じた目的地までの経路案内をユーザ向けて行う処理のことである。
本発明の電子機器によれば、処理の種類に応じて差分道路地図データを用いるか否かを切り替えることができるので、例えば、差分道路地図データの利用を、特定の種類の処理での利用に制限することができる。
従って、本発明の電子機器を活用すれば、例えば、ユーザ毎に異なる電子機器の利用形態に応じて差分道路地図データを利用可能な処理の種類を制限して、当該差分道路地図データの利用権限を有料で提供することができ、必要な道路地図データの利用権限のみを購入することで料金をなるべく抑えたいといったユーザのニーズに応えることができる。即ち、差分道路地図データの利用を一部制限する代わりに、差分道路地図データの販売価格を下げ、差分道路地図データをユーザに提供するといった道路地図データの販売形態を採用することができる。
この他、本発明の電子機器を活用すれば、例えば、特定種類の処理に関しては差分道路地図データの利用権限を無料にて提供し、他の種類の処理に関しては差分道路地図データの利用権限を有料にて提供するといった道路地図データの販売形態を採用することができる。そして、この形態によれば、差分道路地図データの利用権限を一部無料にて開放することで、差分道路地図データの購入層を広げることができる。従って、本発明によれば、道路地図データの提供者側にも有益な電子機器を提供することができる。
付言すると、処理実行手段の構成例としては、具体的に次のようなものを挙げることができる。例えば、処理実行手段は、地図表示処理、経路探索表示処理及び経路案内処理の夫々を互いに異なる種類の処理であると取り扱って、差分道路地図データを用いるか否かを、実行する処理の種類に応じて切り替える構成にすることができる。
この他、地図表示処理を第一の種類に分類し、経路探索表示処理及び経路案内処理を第二の種類に分類し、このような分類によって定義される処理の種類に応じて差分道路地図データを用いるか否かを切り替えるように、上記処理実行手段は構成されてもよい。この例によれば、経路探索や経路案内を好んで利用するユーザや、道路地図を確認する程度で経路探索や経路案内の利用頻度の低いユーザのニーズに合わせて、差分道路地図データの利用権限を分けて付与することができる。
また、別例として、地図表示処理及び経路探索表示処理を第一の種類に分類し、経路案内処理を第二の種類に分類し、このような分類によって定義される処理の種類に応じて差分道路地図データを用いるか否かを切り替えるように、上記処理実行手段は構成されてもよい。
この他、地図収録地域を分割して地域毎の差分道路地図データを生成し、地図データ記憶手段に、地域毎の差分道路地図データを記憶させる場合には、次のように処理実行手段を構成することも可能である。即ち、処理実行手段は、地域毎に、この地域の差分道路地図データを利用するか否かを切り替えつつ、上記複数種類の処理の夫々を実行する構成にすることができる(請求項3)。
また、電子機器は、上述した機能を実現するために、複数種類の処理の少なくとも一つの種類の処理に関して、この種類の処理の差分道路地図データに対する利用権限の有無を
定義する利用権限データを記憶する利用権限記憶手段を備えた構成にすることができる。そして、処理実行手段は、利用権限記憶手段が記憶する利用権限データを参照することにより、利用権限の有無が定義された種類の処理の夫々を、利用権限がある場合には差分道路地図データを利用し、利用権限がない場合には、差分道路地図データを利用しないようにして実行する構成にすることができる(請求項2)。利用権限の有無が定義されていない種類の処理の夫々については、例えば、差分道路地図データの利用権限が有るものとみなして又は無いものとみなして、当該種類の処理を実行すればよい。尚、このような利用権限記憶手段を設ける方法以外には、地図データそのものに利用権限の情報を埋め込んでおくといった方法が考えられるが、このように地図データそのものに利用権限の情報を埋め込む方法では、利用権限の変更が容易ではない可能性がある。
この他、上記利用権限データは、差分道路地図データに対する利用権限の有無を上記地域毎に定義するデータとして構成することができ、処理実行手段は、利用権限記憶手段が記憶する利用権限データを参照することにより、利用権限の有無が定義された種類の処理の夫々を、利用権限のある地域の差分道路地図データを利用し、利用権限のない地域の差分道路地図データを利用しないようにして実行する構成にすることができる(請求項4)。
また、差分道路地図データの購入による利用制限の解除を想定すれば、電子機器には、利用権限記憶手段が記憶する利用権限データを更新することにより、利用権限データによって定義される利用権限の有無を切り替える利用権限更新手段を設けることができる。
具体的に、ネットワークを通じて外部の管理装置と通信可能な環境を想定した場合、利用権限更新手段は、ネットワークを通じて送信されてくる管理装置からの信号に従って、利用権限記憶手段が記憶する利用権限データを更新することにより、利用権限データによって定義される利用権限の有無を切り替える構成にすることができる(請求項5)。
付言すれば、管理装置としては、差分道路地図データの課金処理を行う装置を一例に挙げることができ、利用権限更新手段は、管理装置からの信号に従って、利用権限記憶手段が記憶する利用権限データを更新することにより、管理装置にて課金処理される差分道路地図データに対する利用権限を「有り」に切り替える構成にすることができる。
更に付言すれば、利用権限更新手段は、ユーザから課金要求が入力されると、当該課金要求が入力されたことを、ネットワークを通じて管理装置に通知し、当該通知に対して管理装置から送信されてくる応答信号に従って、利用権限記憶手段が記憶する利用権限データを更新することにより、管理装置にて課金処理される差分道路地図データに対する利用権限を「有り」に切り替える構成にすることができる(請求項6)。
このように利用権限更新手段を構成した電子機器によれば、ユーザは当該電子機器に対する課金要求を行う程度で、差分道路地図データを購入することができて、簡単な操作で、電子機器を、差分道路地図データを利用できる状態にすることができる。
また、差分道路地図データの利用権限には有効期限を設けてもよい。この場合、利用権限更新手段は、利用権限データを更新することによって、予め定められた期限の経過した利用権限を無しに切り替える構成にすることができる(請求項7)。
この他、上述の電子機器には、差分道路地図データの有用性をユーザに実感してもらうために、差分道路地図データを試用する機能を設けることができる。即ち、処理実行手段は、予め定められた試用条件が満足されている期間に限っては、利用権限データにおいて利用権限がないと定義されている種類の処理においても、差分道路地図データを利用した
処理を実行する構成にすることができる。
更に、処理実行手段は、差分道路地図データを利用したケースと差分道路地図データを利用しないケースでの処理の実行結果の差異を表す情報をユーザに向けて出力する構成にすることができる(請求項8)。このように差分道路地図データを利用したケースと差分道路地図データを利用しないケースでの実行結果の差異を表す情報をユーザに向けて出力すれば、差分道路地図データの有用性をユーザに分かり易く伝えることができる。
地図情報提供システム1の構成を表すブロック図である。 サーバ装置10の演算ユニット15が実行する地図提供処理を表すフローチャートである。 演算ユニット15が実行する課金処理を表すフローチャートである。 アクセス管理データの構成を表す図である。 ナビゲーション装置50の演算ユニット55が実行する地図取得処理を表すフローチャートである。 演算ユニット55が実行する読出制御処理を表すフローチャートである。 演算ユニット55が実行する地図表示処理を表すフローチャートである。 演算ユニット55が実行する試用制御処理を表すフローチャートである。 演算ユニット55が実行する購入処理を表すフローチャートである。 演算ユニット55が実行する経路探索表示処理を表すフローチャートである。 演算ユニット55が実行する経路探索表示処理を表すフローチャートである。 演算ユニット55が実行する期限切れ管理処理を表すフローチャートである。
以下に本発明の実施例について、図面と共に説明する。
図1に示すように、本実施例の地図情報提供システム1は、道路地図データ(以下、単に「地図データ」と表現する)を提供するサーバ装置10と、サーバ装置10と無線通信可能に構成された車載型のナビゲーション装置50と、を備え、サーバ装置10とナビゲーション装置50とが、双方向に無線通信可能に構成された通信システムである。
サーバ装置10は、記憶ユニット11と、演算ユニット15と、ナビゲーション装置50と無線通信可能な通信ユニット19と、を備え、ナビゲーション装置50に地図データを提供する装置として機能する他、ナビゲーション装置50のユーザにより購入意思の表示された地図データに対する課金処理を行う管理装置として機能する。
記憶ユニット11は、ハードディスク装置等により構成され、ナビゲーション装置50に提供する地図データとして、バーション毎の差分地図データを記憶する。この差分地図データの一群は、最初に公開されたオリジナルの道路地図データ(以下「オリジナル地図データ」と表現する)が示す道路網を基準に、この道路網からの差分により新規道路網を表す地図データ群である。各バージョンの差分地図データは、オリジナル地図データと前バーションまでの各バージョンの差分地図データとの結合により示される道路網からの差分により新規道路網を表す地図データとして構成され、前バージョンからの道路網の変化分を表す。以下では、オリジナル地図データとバーションXまでの各バージョンの差分地図データとの結合により生成される結合地図データのことを、単に「バージョンXの地図データ」と表現する。Xは、任意のバージョン番号である。
この他、記憶ユニット11は、課金処理済みの差分地図データのリストを有するユーザ毎の課金データ、演算ユニット15により用いられるプログラム、及び、その他のデータを記憶する。
また、演算ユニット15は、CPU、ROM及びRAM等から構成されるものであり、記憶ユニット11に記憶されたプログラムに従う処理を実行することにより、ナビゲーション装置50に対して差分地図データを提供したり、ナビゲーション装置50のユーザにより購入意思の表示された差分地図データに対する課金処理を行ったりする。
具体的に、この演算ユニット15は、通信ユニット19を通じてナビゲーション装置50から地図データの要求信号を受信すると、図2に示す地図提供処理を開始して、差分地図データを、要求信号送信元のナビゲーション装置50に提供する。この地図提供処理を開始すると、演算ユニット15は、上記受信した要求信号に記されるバージョン情報に基づき、要求信号送信元のナビゲーション装置50が有する地図データのバージョンを識別し(S110)、要求信号送信元のナビゲーション装置50が有する地図データのバージョンが最新バージョンであるか否かを判断する(S120)。
そして、最新バージョンであると判断すると(S120でYes)、既に最新バージョンの地図データを所有している旨のメッセージを記した応答信号を、要求信号送信元のナビゲーション装置50に通信ユニット19を通じて送信して(S130)、当該地図提供処理を終了する。
一方、S120で否定判断すると(S120でNo)、要求信号送信元が所有していない最新バージョンまでの各バージョンの差分地図データを応答信号として、要求信号送信元のナビゲーション装置50に通信ユニット19を通じて送信する(S140)。その後、当該地図提供処理を終了する。
また、演算ユニット15は、通信ユニット19を通じてナビゲーション装置50から課金要求信号を受信すると、図3に示す課金処理を開始する。この課金処理を開始すると、演算ユニット15は、受信した課金要求信号に従って、該当ユーザの課金データに、課金対象の情報を記したレコードを登録する。課金要求信号には、ユーザID、課金対象の区域及び利用権限レベル等の情報が含まれる。
課金データは、決済口座やクレジット番号等の情報を含むユーザ情報、及び、課金ログからなる。演算ユニット15は、この課金ログに、今回受信した課金要求信号が示す課金対象の情報(課金対象の区域及び利用権限レベル)及び現在日時(登録日時)の情報を含んだレコードを登録することによって、S210での処理を終える。
ここで、用語「区域」及び「利用権限レベル」について説明する。本実施例では、差分地図データが、全国を複数に分割してなる区域毎の地図データ群として構成されている。用語「区域」は、このようにして分割された各区域(地域)のことを言う。以下では、差分地図データを構成する各区域の地図データのことを、その区域の差分地図データと表現する。付言すると、本実施例では、差分地図データに対する課金を、区域毎に行う手法を採用している。課金要求信号に示される課金対象の区域は、ユーザが購入することを所望している差分地図データの区域に対応する。
また、本実施例では、差分地図データの利用権限を複数段階に分けて定めている。利用権限レベルは、このように段階的に定められた利用権限の各段階(レベル)のことを言う。即ち、課金要求信号に示される課金対象の利用権限レベルは、ユーザが購入して得ようとする差分地図データに対する利用権限のレベルに対応する。本実施例によれば、利用権
限レベルとして、差分地図データの利用が地図表示処理での利用に限られる第一のレベル、差分地図データの利用が地図表示処理及び経路探索表示処理に限られる第二のレベル、及び、差分地図データの利用権限が地図表示処理、経路探索表示処理及び経路案内処理の全てに付与される第三のレベルが定められている。
サーバ装置10の運営側では、このようにS210で更新される課金データに基づく決済処理を別途実行して、ユーザから対応する金銭を領収する。尚、本実施例では、説明を簡単にするために、差分地図データの購入は、その購入直前の時点で配信されている最新バージョンの差分地図データ及びその購入直前の時点で未購入の旧バージョンの差分地図データ群の一括購入に限られ、差分地図データの利用権限は、最新バージョンを含む購入直前の時点で利用権限無しとされている各バージョンの差分地図データの全てに対して一括して付与されるものとする。
S210での処理を終えると、演算ユニット15は、S220に移行し、今回課金データに登録された区域及び利用権限レベルの情報を記した肯定応答信号を、課金要求信号送信元のナビゲーション装置50に送信することにより、課金データに登録された区域に対応する差分地図データの利用権限をナビゲーション装置50に付与する。その後、当該課金処理を終了する。
続いて、ナビゲーション装置50の構成を詳細説明する。本実施例のナビゲーション装置50は、図1に示すように、位置検出ユニット51と、記憶ユニット53と、演算ユニット55と、入力ユニット57と、表示ユニット58と、通信ユニット59とを備える。位置検出ユニット51は、本ナビゲーション装置50を搭載した車両の現在位置を検出するものであり、例えば、周知のジャイロスコープ、距離センサ及びGPS受信機等を有した構成にされる。
一方、記憶ユニット53は、ハードディスク装置やフラッシュメモリ等により構成されるものであり、地図データとして、ナビゲーション装置50の出荷当初に搭載された初期地図データを記憶する他、サーバ装置10から提供された差分地図データの一群を記憶するものである。この初期地図データは、上記オリジナル地図データと同じものであってもよいし、オリジナル地図データを差分地図データを用いて改訂した地図データであってもよい。以下では説明を簡単にするために、初期地図データはオリジナル地図データと同じものとする。尚、上述したように、差分地図データは、区域毎の地図データ群により構成されるものであるが、初期地図データも、差分地図データと同様、区域毎の地図データ群により構成される。以下では、この初期地図データを構成する各区域の地図データのことを、その区域の初期地図データと表現する。
この他、記憶ユニット53は、後述するアクセス管理データ等の管理データの一群、演算ユニット55により用いられるプログラムの一群、及びその他のデータを記憶する。
また、演算ユニット55は、CPU、ROM及びRAM等から構成されるものであり、記憶ユニット53に記憶されたプログラムに従って各種処理を実行するものである。例えば、演算ユニット55は、記憶ユニット53に記憶されたプログラムに従って、差分地図データを通信ユニット59を通じてサーバ装置10から取得する地図取得処理や、現在地周辺又は入力ユニット57を通じてユーザにより指定された地域周辺の道路地図を表示ユニット58の画面に表示する地図表示処理や、ユーザにより指定された目的地までの経路を探索し、当該探索より得られた経路を表示ユニット58の画面に表示する経路探索表示処理や、現在位置に応じた目的地までの経路案内を、表示ユニット58による画像表示や音声出力により実現する経路案内処理を実行する。
尚、入力ユニット57は、表示ユニット58の画面上に設けられたタッチパネルや、そ
の周辺に設けられた各種キースイッチからなり、ユーザのナビゲーション装置50に対する操作を受け付けるためのユーザインタフェースとして機能する。一方、表示ユニット58は、液晶ディスプレイやスピーカ等から構成され、各種画像を画面に表示し、併せて音声を出力するものであり、通信ユニット59は、外部のサーバ装置10と無線通信可能な無線通信インタフェースとして機能する。
続いて、図4を用いて、記憶ユニット53が記憶する管理データとしてのアクセス管理データ及び試用管理データの構成について説明する。図4に示すように、ナビゲーション装置50が有する記憶ユニット53は、地図データを用いて道路情報をユーザに提供する処理である上記地図表示処理、経路探索表示処理及び経路案内処理の夫々に対し、換言すれば、演算ユニット55を通じてこの処理を実現するアプリケーションプログラム(以下単に「アプリ」と表現する)毎に、アクセス管理データを記憶する。具体的に、アクセス管理データは、地図表示処理を実現するアプリである地図表示アプリ、経路探索表示処理を実現するアプリである経路探索表示アプリ、及び、経路案内処理を実現するアプリである経路案内アプリの夫々に対して設けられる。
各アプリのアクセス管理データは、対応するアプリによって実現される処理における差分地図データの利用権限を定義するものであり、各区域の差分地図データ毎に、この区域の差分地図データの利用権限があるか否かを表すレコードを有する。具体的に、区域毎のレコードは、差分地図データのバージョン毎に、このバージョン及び区域の差分地図データの利用権限がナビゲーション装置50のユーザにあるか否かを表す情報を有する。但し、図4に示す「N/A」は、該当するバージョン及び区域に対応する差分地図データがないことを表す。例えば、道路網に変化がない区域の差分地図データは存在しない。
また、記憶ユニット53が記憶する試用管理データは、アクセス管理データによって利用権限がないと定義される差分地図データについての試用履歴を表すデータであり、演算ユニット55による差分地図データの試用を管理するためのデータである。本実施例のナビゲーション装置50には、本来利用権限のない差分地図データについても、その利用を一時的に試用できる機能が付与されている。試用管理データには、試用履歴として、試用を開始した日時、試用を終了した日時、その試用期間に試用された差分地図データを特定可能な情報、及び、差分地図データを試用した処理(アプリ)の情報等が書き込まれる。
続いて、演算ユニット55が実行する処理の詳細について説明する。ナビゲーション装置50の演算ユニット55は、所定条件が満足される度に、図5に示す地図取得処理を実行する。例えば、演算ユニット55は、ナビゲーション装置50が起動する度に、図5に示す地図取得処理を実行する。この他、地図取得処理の前回実行時からの経過日数が所定日数を超える度に、図5に示す地図取得処理を実行する構成にされてもよい。
地図取得処理を開始すると、演算ユニット55は、自装置が所有する地図データのバーション(所有する差分地図データの最新バージョン)の情報を記した地図データの要求信号を、通信ユニット59を通じて外部のサーバ装置10に送信する(S310)。そして、この要求信号に対するサーバ装置10からの応答信号を受信する(S320)。そして、応答信号として、最新バージョンまでの差分地図データを受信した場合には(S330でYes)、受信した差分地図データの一群を記憶ユニット53に格納すると共に(S340)、各アクセス管理データにおいて、当該受信した最新バージョンまでの差分地図データについてのバーション毎及び区域毎の利用権限の有無を登録し(S350)、当該地図取得処理を終了する。尚、今回新しく受信したバーション及び区域の差分地図データの利用権限については、利用権限無しで登録する。
一方、応答信号として、最新バージョンの地図データを既に所有している旨の応答信号
を受信した場合には、S330で否定判断して、当該地図取得処理を終了する。
続いて、各アプリ(地図表示処理、経路探索表示処理及び経路案内処理の夫々)による記憶ユニット53からの差分地図データの読出を制御するために、演算ユニット55が実行する読出制御処理について説明する。演算ユニット55は、地図表示処理、経路探索表示処理及び経路案内処理のいずれかからの読出要求を受けると、図6に示す読出制御処理を開始する。
読出制御処理を開始すると、演算ユニット55は、まず発せられた読出要求が制限解除要求付きの読出要求であるか否かを判断する(S410)。尚、制限解除要求付きの読出要求は、基本的に、読出要求元が未購入の差分地図データを試用しようとする場合に限って発生する。即ち、通常時には、制限解除要求を伴わない読出要求が発せられる。
ここで、制限解除要求付きの読出要求ではないと判断すると(S410でNo)、演算ユニット55は、読出要求元の処理(アプリ)に対応したアクセス管理データを参照して(S420)、読出要求によって指定された区域(以下「指定区域」と表現する)の初期地図データ、及び、指定区域の差分地図データ群の内の上記参照したアクセス管理データによって利用権限があると定義される差分地図データ群を読み出す(S430)。
即ち、指定区域の差分地図データ群については、アクセス管理データにおいて利用権限があると定義されているバージョンの差分地図データ群のみを読み出し、利用権限がないと定義されているバージョンの差分地図データ群を読み出さないようにする。尚、各区域の差分地図データの利用権限は、上述したように、この区域の差分地図データの購入時に、最新バージョン以下の差分地図データ群(未購入分)に対して一括して付与される。このため、S430において、利用権限がないと定義されていることに起因して読み出されない差分地図データ群は、読み出される差分地図データ群よりもバージョンが新しい差分地図データ群に限定される。
また、S430での上記読み出し時には併せて、上記指定区域に、アクセス管理データにおいて利用権限がないと定義されている差分地図データがあるか否かを判別する。
その後、演算ユニット55は、S460に移行し、読み出した上記指定区域の初期地図データ及び差分地図データ群を結合(マージ)して、上記指定区域の初期地図データが表す道路網に差分地図データ群が示す道路網の差分を反映してなる新規道路網を表す結合地図データを生成する。
尚、この結合地図データを生成する際には、読出要求元の処理(アプリ)の種類に特化した結合地図データを生成することができる。例えば、読出要求元が地図表示処理である場合には、各道路の情報として地図表示に必要な情報のみを選択的に記した結合地図データを生成することができ、読出要求元が経路探索表示処理である場合には、各道路の情報として経路探索に必要な情報を記した結合地図データを生成することができる。例えば、地図表示処理に対しては、一方通行等の交通規制に関する情報を削った結合地図データを生成し、経路探索表示処理に対しては、このような交通規制に関する情報を含んだ結合地図データを生成するといった具合である。
S460の処理後、演算ユニット55は、このように生成した上記指定区域の結合地図データを、読出要求元に提供することによって、読出要求に応答する(S470)。また、この応答時には、上記指定区域に、アクセス管理データにおいて利用権限がないと定義されている差分地図データ(換言すれば未購入の差分地図データ)があるか否かを表す情報を読出要求元に提供する。
このような処理によって、S430の処理後のS470では、購入が済んでおらず利用
権限のないバージョンの差分地図データが存在する場合、利用権限のないバージョンの差分地図データで表現される最近の新設道路等の情報の欠けた結合地図データを読出要求元に提供する。
一方、発せられた読出要求が制限解除要求付きの読出要求であると判断すると(S410でYes)、演算ユニット55は、S440に移行し、読出要求元の処理(アプリ)に対応したアクセス管理データを参照し、読出要求による指定区域の初期地図データ、及び、指定区域の差分地図データの全てを、利用権限の有無に依らず読み出すと共に、当該読み出し時には、上記指定区域に、読出要求元の処理(アプリ)に対応するアクセス管理データにおいて利用権限がないと定義されている差分地図データがあるか否かを判別する(S450)。
また、続くS460では、S450で読み出した上記指定区域の初期地図データ及び差分地図データ群を結合することによって、ナビゲーション装置50が有する最も新しいバージョンの差分地図データまでを利用した結合地図データを生成する。その後、演算ユニット55は、この結合地図データを、読出要求元に提供することによって、読出要求に応答する(S470)。また、この応答時には、上記指定区域に、アクセス管理データにおいて利用権限がないと定義されている差分地図データがあるか否かを表す情報についても読出要求元に提供する。その後、当該地図提供処理を終了する。
このような処理によって、S450の処理後のS470では、ナビゲーション装置50が有する最も新しいバージョンの差分地図データまでを利用した結合地図データが読出要求元に対して提供される。
続いて、道路地図表示が必要な期間において、演算ユニット55が繰り返し実行する地図表示処理を、図7を用いて説明する。地図表示処理を開始すると、演算ユニット55はまず、道路地図の描画対象エリアを決定する。即ち、表示ユニット58の画面に道路地図を表示する地域を決定する(S510)。例えば、入力ユニット57を通じて、道路地図を表示すべき地域がユーザから指定されている場合には、この指定された地域を含むように描画対象エリアを決定する。一方、このようなユーザ操作による明示的な地域の指定がない場合には、位置検出ユニット51から得られる現在位置を中心とした地域を、周知の技法で、描画対象エリアに決定する。
その後、演算ユニット55は、S520に移行し、図8に示す試用制御処理を実行する。この試用制御処理を開始すると、演算ユニット55は、まず差分地図データの試用を開始する必要があるか否かを判断する(S710)。具体的に、S520で実行する試用制御処理のS710では、入力ユニット57を通じて、ユーザから差分地図データの試用を開始するように指示が入力されている場合に肯定判断し、それ以外の場合に否定判断することができる。そして、S710で肯定判断すると、試用開始制御処理(S711〜S719)を実行し、S710で否定判断すると、S720に移行する。
試用開始制御処理を開始すると、演算ユニット55は、まず記憶ユニット53が記憶する試用管理データを参照し(S711)、試用管理データに記されている差分地図データの過去の試用履歴から、未購入の差分地図データについての試用権限がユーザにあるか否かを判断する(S713)。
例えば、S520で実行する試用制御処理のS711では、地図表示処理において最後に未購入の差分地図データを試用した時点から、予め定められた時間経過している場合、ユーザに試用権限があると判断し、そうでない場合には、ユーザに試用権限がないと判断することができる。その他、描画対象エリアの差分地図データの試用が一定回数/頻度/
時間未満である場合には、ユーザに試用権限があると判断し、そうでない場合には、ユーザに試用権限がないと判断してもよい。どのような条件が満足されると試用権限があると判断するか否かについては、設計段階で任意に定めることができる。
そして、試用権限があると判断すると(S713でYes)、演算ユニット55は、試用許可フラグをオンに設定することによって(S715)、差分地図データの試用を許可する。尚、試用許可フラグの初期値はオフである。また、試用管理データに、差分地図データの試用を開始した日時としての現在日時及び当該差分地図データを試用する処理の種類(ここでは「地図表示処理」)を記した試用履歴を登録する(S717)。更に、差分地図データの試用を開始した旨のメッセージを記したメッセージウィンドウを表示ユニット58の画面に表示し(S719)、当該試用開始制御処理を終了する。同時に、試用制御処理を終了する。
一方、試用権限がないと判断すると(S713でNo)、試用できない旨のメッセージを記したメッセージウィンドウを表示ユニット58の画面に表示し(S719)、当該試用開始制御処理及び試用制御処理を終了する。
これに対し、S720に移行すると、演算ユニット55は、差分地図データの試用終了条件が満足されているか否かを判断する。例えば、S520で実行する試用制御処理のS720では、地図表示処理による差分地図データの試用開始時点から、予め定められた時間が経過するか、又は、入力ユニット57を通じてユーザから試用の終了指示が入力されると、差分地図データの試用終了条件が満足されていると判断する。
そして、試用終了条件が満足されていないと判断すると(S720でNo)、当該試用制御処理を終了し、試用終了条件が満足されていると判断すると(S720でYes)、試用許可フラグをオフに設定した後(S721)、試用管理データに、差分地図データの試用を終了した日時としての現在日時及び当該差分地図データを試用した処理の種類(ここでは「地図表示処理」)を記した試用履歴を登録する(S723)。更に、差分地図データの試用を終了した旨のメッセージを記したメッセージウィンドウを表示ユニット58の画面に表示し(S725)、当該試用制御処理を終了する。
また、S520での試用制御処理を終了すると、演算ユニット55は、試用許可フラグがオンに設定されているか否かを判断し(図7:S530)、試用許可フラグがオンに設定されていないと判断した場合には(S530でNo)、S540に移行する。
そして、S540では、S510で決定した描画対象エリアに該当する区域の夫々を読出対象区域に指定した地図データの読出要求を、読出制御処理に対して発し、読出制御処理から提供される上記指定した各区域の結合地図データを取得する(S550)。尚、S540で発する読出要求は、制限解除要求を伴わない読出要求であるため、この読出要求を契機に実行される読出制御処理では、上述したS420,S430,S460,S470の処理(図6参照)が実行される。即ち、S550では、利用権限のない差分地図データが示す道路網の情報が反映されていない結合地図データを取得することになる。
また、このようにして描画対象エリアに対応する区域の結合地図データを取得すると、演算ユニット55は、描画対象エリアに対応する区域において、地図表示処理による利用権限のない差分地図データが存在するか否かを、読出制御処理からの通知(S470)に基づいて判断し(S560)、利用権限のない差分地図データが存在すると判断すると(S560でYes)、上記取得した結合地図データに基づき、描画対象エリアの道路地図を表示ユニット58の画面に表示すると共に、この表示に際しては、未購入の新しい差分地図データがあることを示す画像オブジェクト(マーク)を、表示ユニット58の画面の
端、又は、表示ユニット58の画面における道路地図を表示する領域とは異なる領域に付属的に表示する(S580)。その後、当該地図表示処理を一旦終了し、再度、この地図表示処理をS510から開始することで、表示ユニット58の画面に表示する道路地図を逐次更新する。
一方、S560において、利用権限のない差分地図データが存在しないと判断すると(S560でNo)、演算ユニット55は、S570に移行して次の処理を行う。即ち、このケースにおいて読出制御処理から得られる結合地図データは、ナビゲーション装置50が備える最も新しいバージョンまでの差分地図データを利用したものであるので、上述したような画像オブジェクトを付さずに、この結合地図データに基づいた描画対象エリアの道路地図を表示ユニット58の画面に表示する。その後、地図表示処理を一旦終了する。
この他、S530において試用許可フラグがオンに設定されていると判断すると(S530でYes)、演算ユニット55は、S610以降の処理を実行する。具体的に、S610では、描画対象エリアに該当する区域を、差分地図データを試用した区域として記した試用履歴であって、現在日時及び差分地図データを試用した処理の種類(「地図表示処理」)を記した試用履歴を、試用管理データに登録する。
また、S620では、描画対象エリアに該当する区域の夫々を読出対象区域に指定した地図データの読出要求であって制限解除要求を伴わない通常の読出要求を、S540での処理と同様に、読出制御処理に対して発する。そして、この読出要求に応じて実行される読出制御処理から、この読出要求にて指定した各地域の結合地図データを取得する(S630)。
また、結合地図データと共に読出制御処理から得られる情報に基づき、描画対象エリアに対応する区域において、地図表示処理による利用権限のない差分地図データが存在するか否かを判断し(S640)、利用権限のない差分地図データが存在すると判断した場合には(S640でYes)、描画対象エリアに該当する区域の夫々を読出対象区域に指定した地図データの読出要求であって制限解除要求付きの読出要求を、読出制御処理に対して発する(S650)。そして、この制限解除要求付きの読出要求に応じて実行される読出制御処理から、この読出要求にて指定した地域の結合地図データであって利用権限のない差分地図データについても試用された結合地図データを取得する(S660)。
その後、演算ユニット55は、S630で取得した利用権限のない差分地図データが示す道路網の情報が反映されていない結合地図データ、及び、S660で取得した利用権限のない差分地図データが示す道路網の情報も反映された結合地図データに基づき、これらの結合地図データに含まれる道路網の差異を強調表示した描画対象エリアの道路地図を表示ユニット58の画面に表示する(S670)。その後、演算ユニット55は、当該地図表示処理を一旦終了し、再度処理をS510から開始する。
尚、S670において差異を強調表示する方法としては、上記二つの結合地図データ間で相違する道路と相違しない共通の道路とを互いに異なる色で表示することにより上記差異を強調表示する例や、相違する道路のみを点滅表示することで差異を強調表示する例を挙げることができる。本実施例によれば、このようにして試用モードでは、利用権限のない差分道路地図データを利用したケースと差分道路地図データを利用しないケースでの地図表示処理の実行結果の差異を表す情報をユーザに向けて出力する。このようして試用による実行結果の違いを表示すれば、新しいバージョンの差分地図データを購入する意欲をユーザに湧かせることができる。
続いて、入力ユニット57を通じてユーザから購入処理の実行指示が入力されると、演
算ユニット55が実行する購入処理の内容を、図9を用いて説明する。
演算ユニット55は、この購入処理を開始すると、記憶ユニット53が記憶する試用管理データを参照して、最近試用された差分地図データの区域群を特定する(S810)。具体的には、現時点から所定時間前までに試用された差分地図データの区域群を特定することができる。
その後、演算ユニット55は、差分地図データを購入する対象の区域を選択可能な購入対象区域選択ダイアログを表示ユニット58の画面に表示し、購入対象区域の選択操作を、入力ユニット57を通じてユーザから受け付ける。この際には、S810での処理結果に基づき、最近試用された差分地図データの区域の夫々を強調表示するようにして、各区域に対応する画像オブジェクト(選択ボタン)を配列した購入対象選択ダイアログを表示することができる。更に付言すれば、このダイアログには、選択操作に応じて請求金額を表示することができ、請求金額については、購入する利用権限レベル毎に表示することができる。
そして、購入をキャンセル旨の操作がなされた場合には(S830でYes)、当該購入処理を終了し、購入対象区域の選択を完了した旨の操作がなされた場合には(S840でYes)、S850以降の処理を実行する。
S850に移行すると、演算ユニット55は、購入対象の利用権限レベルとして、上記第一、第二及び第三のレベルのいずれかを選択可能なダイアログである利用権限レベル選択ダイアログを表示ユニット58の画面上に表示し、購入対象の利用権限レベルの選択操作を受け付ける。そして、購入をキャンセル旨の操作がなされた場合には(S860でYes)、当該購入処理を終了し、購入対象の利用権限レベルの選択を完了した旨の操作がなされた場合には(S870でYes)、S880に移行する。
そして、S880では、S820,S850で表示したダイアログを通じてユーザにより選択された区域群及び利用権限レベルを、課金対象の区域及び利用権限レベルの情報と記した課金要求信号であって、予め当該ナビゲーション装置50に対して付与されたユーザIDを更に記した課金要求信号を、サーバ装置10に通信ユニット59を通じて送信する。その後、課金要求後処理(S910〜S990)を実行する。
具体的に、課金要求後処理では、課金要求信号に対する肯定応答信号を、通信ユニット59を通じてサーバ装置10から受信できたか否かを判断する(S910)。ここで予め定められた時間内に応答信号を受信できなかった場合や、課金エラーを示す否定応答信号を受信した場合には、肯定応答信号を受信できなかったと判断して(S910でNo)、対応するエラー処理を実行し(S990)、当該処理を終了する。
一方、課金要求信号に対する肯定応答信号、即ち、課金処理された区域及び利用権限レベルの情報が記された応答信号を受信した場合には(S910でYes)、応答信号の内容に従って、課金処理された利用権限レベルに対応する各アプリのアクセス管理データを編集して、課金処理された区域のアクセス管理データが示す最新バージョンまでの差分地図データ群の利用権限を「有り」に変更する(S920)。具体的に、利用権限レベルが、第一のレベルである場合には、地図表示アプリのアクセス管理データのみを編集して、上記課金処理された区域毎に、このアクセス管理データが示す当該区域のアクセス管理データが示す最新バージョンまでの差分地図データ群の利用権限を「有り」に変更する。
一方、利用権限レベルが、第二のレベルである場合には、地図表示アプリ及び経路探索表示アプリのアクセス管理データの夫々を編集して、上記課金処理された区域毎に、これらのアクセス管理データの夫々が示す最新バージョンまでの差分地図データ群の利用権限
を「有り」に変更する。また、利用権限レベルが、第三のレベルである場合には、全てのアクセス管理データを編集して、上記課金処理された区域毎に、これらのアクセス管理データの夫々が示す最新バージョンまでの差分地図データ群の利用権限を「有り」に変更する。
このようにして本実施例では、課金処理された利用権限レベルが第一のレベルである場合には、地図表示処理、経路探索表示処理、及び経路案内処理の内の地図表示処理のみに対して差分地図データの利用権限を付与し、課金処理された利用権限レベルが第二のレベルである場合には、地図表示処理及び経路探索表示処理のみに対して差分地図データの利用権限を付与し、課金処理された利用権限レベルが第三のレベルである場合には、地図表示処理、経路探索表示処理、及び経路案内処理の全てに対して差分地図データの利用権限を付与する。その後、演算ユニット55は、購入完了の旨のメッセージを記したメッセージウィンドウを表示ユニット58の画面上に表示して(S930)、当該課金要求後処理を終了し、上記購入処理を終了する。
続いて、入力ユニット57を通じてユーザから経路探索表示処理の実行指示が入力されると、演算ユニット55が実行する経路探索表示処理について、図10を用いて説明する。図10に示す経路探索表示処理を開始すると、演算ユニット55は、経路探索に必要なパラメータとして、出発地及び目的地並びに探索条件を設定する(S1010)。出発地としては、例えば、位置検出ユニット51から得られる現在位置を設定することができ、目的地及び探索条件としては、経路探索表示処理の実行指示の際にユーザから指定された目的地及び探索条件を設定することができる。探索条件としては、有料道路を利用する経路優先、有料道路を利用しない経路優先、目的地までの道のりが短い経路優先、目的地までの所要時間が短い経路優先、幹線道路を利用する経路優先等の探索条件を例に挙げることができる。
S1010での設定を終えると、演算ユニット55は、経路探索処理を通常モードで実行して、探索条件に適合した出発地から目的地までの経路を探索する(S1020)。尚、経路探索処理では、探索条件に適合する経路を複数探索してもよいが、本実施例では説明を簡単にするため、探索条件に最も適合する経路の一つだけを探索することとする。
この経路探索処理では、経路探索を行うために地図データの読出要求を読出制御処理に発し(S1021)、読出制御処理から提供される結合地図データを取得する(S1023)ことになるが、通常モードでは、読出要求として制限解除要求を伴わない読出要求を読出制御処理に発し、利用権限のない差分地図データの道路網の情報が反映されていない結合地図データを取得する。通常モードでは、このように取得した結合地図データに基づいて経路探索を行う。
また、通常モードでの経路探索処理を終えると、演算ユニット55は、未購入の差分地図データを試用した経路探索を行うか否かを問い合わせるダイアログを表示ユニット58の画面上に表示し、入力ユニット57を通じて、その問い合わせに対する回答をユーザから取得する(S1030)。そして、問い合わせに対する回答が未購入の差分地図データを試用しないとの回答である場合には(S1040でNo)、S1020における経路探索処理にて探索された目的地までの経路を、表示ユニット58の画面に表示する(S1050)。
その後、演算ユニット55は、この経路の表示処理を実行しつつ、経路案内処理の実行指示が入力ユニット57を通じて入力されるか、キャンセル指示が入力ユニット57を通じて入力されるか、探索条件の変更要求が入力ユニット57を通じて入力されるまで待機する(S1050〜S1080のループ)。そして、キャンセル指示が入力されると(S
1070でYes)、当該経路探索表示処理を終了する。
一方、探索条件の変更要求が入力ユニット57を通じて入力されると(S1080でYes)、演算ユニット55は、具体的な探索条件の変更指示を、入力ユニット57を通じて受けて、その指示内容に従って探索条件を再設定した後に(S1090)、S1020以降の処理を再実行する。具体的に、S1020では、当該再設定された探索条件で経路探索処理(通常モード)を実行する。
この他、経路案内指示が入力ユニット57を通じて入力されると(S1060でYes)、演算ユニット55は、S1100に移行し、直前のS1020で探索され、S1050で表示された目的地までの経路が案内可能な経路であるか否かを判断する。具体的には、上記探索された経路に、経路案内処理での利用権限のない差分地図データで表される道路が含まれているか否かを判断し、利用権限のない差分地図データで表される道路が含まれている場合には案内不可能な経路であると判断し、利用権限のない差分地図データで表される道路が含まれていない場合には、案内可能な経路であると判断する。ここでは、仮に上記探索された経路に沿う各区域の結合地図データを経路案内処理からの読出要求により取得した場合に、この結合地図データが示す道路網において上記探索された経路が存在するか否かを判断することによって、探索された経路が案内可能な経路であるか否かを判断することができる。
そして、案内可能な経路であると判断すると(S1100でYes)、S1150に移行し、S1020で探索された経路に沿ってユーザが車両を走行させることができるようにするための経路案内処理を開始する。即ち、本実施例の経路案内処理では、周知の経路案内処理と同様、現在位置に応じた経路案内として、現在走行している道路や車線、進行方向等に応じた車両の右左折の案内及び車線変更の案内等を、画面表示又は音声出力の形態で行う。この際には、探索された経路に対応する区域の地図データの読出要求を読出制御処理に発し、この区域の結合地図データとして、車線情報や交通規制情報等を含む経路案内用の地図データを取得する。
この経路案内処理は、車両が目的地に到着したりユーザからキャンセル指示が入力されたりすると終了する。また、この経路案内処理では、車両が案内対象の経路を大きく逸脱して走行している場合、リルート処理を実行して目的地までの経路を修正し、この修正後経路に沿ってユーザが車両を走行させることができるように経路案内を行う。
また、リルート処理では、リルート処理開始時点での現在位置を出発地として、経路探索処理と同様の処理を実行するが、読取制御処理は、このリルート処理からの読出要求に対して結合地図データを生成し、これをリルート処理に提供する際に、経路案内処理のアクセス管理データを参照して、そこに定義された利用権限に従って結合地図データを生成し、これをリルート処理に提供する。このような内容の経路案内処理を開始すると、演算ユニット55は、当該経路探索表示処理を終了する。
一方、S1100において上記探索された経路が案内可能な経路ではないと判断すると、演算ユニット55は、経路案内には差分地図データの購入が必要である旨のメッセージと共に、差分地図データを購入するか否かを問い合わせるメッセージを記した購入問い合わせダイアログを表示ユニット58の画面上に表示し(S1110)、購入しないとの回答が入力ユニット57を通じてユーザから得られた場合には(S1120でNo)、再度、S1050〜S1080のルーチンを実行する。
尚、本実施例によれば、利用権限の関係から経路案内できない経路が探索される場合があるため、本実施例に特有な探索条件として、経路案内可能な経路優先等の探索条件を定
め、S1120で否定判断して、S1050〜S1080のルーチンに戻った場合には、探索条件の変更要求を受けて、S1090で、このような探索条件を設定してもよい。このような探索条件が設定された場合、経路探索処理では、例えばS1100で説明した方法と同様の方法で経路が案内できるか否かを判断しつつ、案内可能な経路を探索すればよい。若しくは、経路探索表示処理からの読出要求であっても、経路案内処理のアクセス管理データを参照するように要求された場合には、経路案内処理のアクセス管理データを参照して結合地図データを生成するように読出制御処理を構成すればよい。
一方、差分地図データを購入するか否かの問い合わせに対し、購入するとの回答が入力ユニット57を通じてユーザから得られた場合には(S1120でYes)、S1130に移行し、経路案内に必要な差分地図データに対する課金を要求する課金要求信号をサーバ装置10に通信ユニット59を通じて送信する。
具体的に、S1120では、S1020で探索された案内対象の経路が位置する各区域を課金対象の区域として記し、経路案内までの利用権限が付与されるように、課金対象の利用権限レベルとして上述した第三のレベルを記し、更にユーザIDを記した課金要求信号を生成して、これをサーバ装置10に送信する(S1130)。その後、演算ユニット55は、図9に示したような課金要求後処理を実行することで、課金要求信号に対応する肯定応答信号に基づき、課金処理された差分地図データについての利用権限を「有り」と定義するように、アクセス管理データを編集する(S1140)。
この後、演算ユニット55は、S1150に移行し、S1020で探索された経路に沿ってユーザが車両を走行させることができるようにするための上記経路案内処理を開始する。その後、当該経路探索表示処理を終了する。尚、課金要求信号に対する肯定応答信号をサーバ装置10から受信できない場合には、経路案内処理を開始せずに、当該経路探索表示処理を終了すればよい。
この他、未購入の差分地図データを試用した経路探索を行うか否かの問い合わせに対する回答が未購入の差分地図データを試用するとの回答である場合には(S1040でYes)、S1200(図11参照)に移行する。
そして、S1200では、試用開始制御処理(図8:S711〜S719)を実行することにより、試用管理データに記されている差分地図データの過去の試用履歴から、未購入の差分地図データについての経路探索表示処理での試用権限がユーザにあるか否かを判断する(S713)。但し、S520での試用開始制御処理におけるS713では、地図表示処理での試用権限がユーザにあるか否かを判断する一方、S1200での試用開始制御処理におけるS713では、経路探索表示処理での試用権限がユーザにあるか否かを判断する。このため、S1200での試用開始制御処理におけるS713では、試用権限があるか否かを、S520で実行する試用開始制御処理とは異なる基準で判断することができる。例えば、S1200で実行する試用開始制御処理のS713では、差分地図データの試用を伴う(換言すればS1220の処理の実行を伴う)経路探索表示処理の実行回数であって、現時点より遡って所定時間前の時点から現時点までの実行回数が閾値を超える場合には、試用権限がないと判断し、当該実行回数が閾値以下である場合には、試用権限があると判断することができる。
そして、試用権限がある場合には、試用許可フラグをオンに設定する(S715)。尚、試用許可フラグは、地図表示処理と経路探索表示処理との両者で用いられるが、この試用許可フラグについては、各処理に対して個別に設けることができる。即ち、各処理では、自己の使用許可フラグのオン/オフ及び参照を行うことができる。
また、このようにしてS1200における試用開始制御処理を終了すると、演算ユニット55は、試用許可フラグがオンに設定されているか否かを判断し(S1210)、試用許可フラグがオンに設定されていないと判断した場合には(S1210でNo)、S1050に移行して、ユーザが試用を所望しない場合と同様の処理を行う。
一方、試用許可フラグがオンに設定されていると判断した場合には(S1210でYes)、S1220に移行し、試用モードで経路探索処理を実行し、未購入の差分地図データを利用しつつ、探索条件に適合した出発地から目的地までの経路を探索する。尚、本実施例では説明を簡単にするため、この経路探索処理でも、探索条件に最も適合する経路の一つだけを探索することとする。
この試用モードでは、経路探索を行うために必要な地図データを取得する際に、制御解除要求を伴う読出要求を読出制御処理に発して(S1221)、読出制御処理から提供される結合地図データを取得する(S1223)。即ち、試用モードでは、利用権限のない差分地図データの道路網の情報についても反映された結合地図データを取得する。試用モードでは、このようにしてナビゲーション装置50が備える最も新しいバージョンまでの差分地図データを利用した結合地図データに基づく経路探索を行う。
また、試用モードでの経路探索処理を終えると、演算ユニット55は、通常モードで(S1020で)探索された経路及び試用モードで(S1220で)探索された経路を一緒に表示ユニット58の画面上に表示する(S1230)。この際には、試用モードで探索された経路を強調表示する。例えば、試用モードで探索された経路における通常モードで探索された経路とは異なる部位を点滅表示するなどして、試用モードで探索された経路を強調表示する。
また、このような経路表示に併せて、通常モードの経路探索により得られた経路による目的地までの所要時間及び目的地までの移動距離の夫々からの、試用モードの経路探索により得られた経路による目的地までの所要時間及び目的地までの移動距離の差の情報を、文字表示等で表示ユニット58の画面上に表示する。
その後、演算ユニット55は、これらの経路の表示処理を実行しつつ、案内経路の選択操作が入力ユニット57を通じてなされるか、キャンセル指示が入力ユニット57を通じて入力されるか、探索条件の変更要求が入力ユニット57を通じて入力されるまで待機する(S1230〜S1260のループ)。尚、案内経路の選択操作とは、通常モードにより探索された経路及び試用モードにより探索された経路のいずれか一方を案内対象の経路として選択し、この経路について経路案内処理の実行を要求する操作のことである。そして、キャンセル指示が入力されると(S1250でYes)、当該経路探索表示処理を終了する。
一方、探索条件の変更要求が入力ユニット57を通じて入力されると(S1260でYes)、演算ユニット55は、具体的な探索条件の変更指示を、入力ユニット57を通じて受けて、その指示内容に従って探索条件を再設定した後(S1270)、当該再設定された探索条件で経路探索処理(通常モード)を実行する(S1280)。その後、S1220に移行し、当該再設定された探索条件で経路探索処理(試用モード)を実行し、S1230以降の処理を実行する。
この他、経路案内の選択操作がなされると、演算ユニット55は、通常モードによる探索経路及び試用モードによる探索経路の内の当該操作により案内するように指示された経路(案内対象経路)が、案内可能な経路であるか否かを判断する(S1290)。ここでの判断手法としては、S1100と同様のものを採用することができる。
そして、案内可能な経路ではないと判断すると(S1290でNo)、S1300に移行し、経路案内には差分地図データの購入が必要である旨のメッセージと共に、差分地図データを購入するか否かを問い合わせるメッセージを記した購入問い合わせダイアログを表示ユニット58の画面上に表示する。そして、購入しないとの回答が入力ユニット57を通じてユーザから得られた場合には(S1310でNo)、再度、S1230〜S1260のルーチンを実行する。
一方、差分地図データを購入するか否かの問い合わせに対し、購入するとの回答が入力ユニット57を通じてユーザから得られた場合には(S1310でYes)、S1320に移行し、S1130での処理と同様、経路案内に必要な差分地図データに対する課金を要求する課金要求信号をサーバ装置10に通信ユニット59を通じて送信する。その後、演算ユニット55は、図9に示したような課金要求後処理を実行することで、課金要求信号に対応する肯定応答信号に基づき、課金処理された差分地図データについての利用権限を「有り」と定義するように、アクセス管理データを編集する(S1330)。この後、S1340に移行する。
この他、S1290にてユーザから指定された案内対象経路が案内可能な経路であると判断すると(S1290でYes)、演算ユニット55は、S1340に移行する。
そして、S1340に移行すると、演算ユニット55は、上記案内対象の経路に沿ってユーザが車両を走行させることができるようにするための経路案内処理を開始する。経路案内処理の内容は、S1150で開始する経路案内処理と同様である。
その後、演算ユニット55は、試用許可フラグをオフに設定し(S1350)、試用管理データに、差分地図データの試用を終了した日時としての現在日時及び当該差分地図データを試用した処理の種類(ここでは「経路探索表示処理」)を記した試用履歴を登録した後(S1360)、当該経路探索表示処理を終了する。
以上、本実施例の地図情報提供システム1について説明したが、この地図情報提供システム1によれば、アクセス管理データを参照して差分地図データを用いるか否かを切り替えつつ、地図表示処理、経路探索表示処理、及び経路案内処理の夫々を実行する。そして、アクセス管理データにおいては、差分地図データに対する利用権限の管理を行うことによって、未購入の差分地図データについては試用時以外利用できないようにし、差分地図データが購入されると、アクセス管理データで定義される利用権限を「有り」に変更することで、差分地図データを購入したユーザに限って、差分地図データを継続的に利用できるようにする。
特に、本実施例によれば、購入された利用権限のレベルに応じて、各アプリのアクセス管理データにおける利用権限を変更するようにナビゲーション装置50を構成し、地図表示処理、経路探索表示処理、及び経路案内処理の夫々における差分地図データの利用の有無を、利用権限レベルに応じて切り替えることができるようにした。
従って、本実施例によれば、差分地図データ(の利用権限)を、その利用権限のレベルの単位で個別に販売/購入することができ、従来よりも、消費者のニーズに適合した好ましい地図情報提供システム1を構築することができる。例えば、ナビゲーション装置のユーザには、経路探索や経路案内を好んで利用するユーザや、道路地図を確認する程度で経路探索や経路案内の利用頻度の低いユーザ等がいるが、このような多様なユーザのナビゲーション装置50の利用形態に合わせて、利用権限レベル毎の差分地図データの販売を行うことができる。この場合、ユーザは、全ての利用権限を一括して購入しなくて済むので、自身の利用形態に適合するレベルの利用権限を購入して、差分地図データの購入に要す
る出費を抑えることができる。
更に、本実施例によれば、アクセス管理データにおいて区域毎に利用権限を定義し、区域毎に、利用権限の有無に基づき、差分地図データの読出制御を行うようにした。従って、本実施例によれば、区域毎に差分地図データの利用を購入まで制限するといったことが可能であり、差分地図データの販売を、区域毎に行うことができる。そして、ユーザは、全国の差分地図データを一括して購入しなくて済むので、自身の行動範囲に対応する区域の差分地図データに限って、最新バージョンの差分地図データを購入することができて、少ない出費で必要な差分地図データを購入することができる。従って、本実施例によれば、ユーザによる満足度の高い地図情報提供システム1を構築することができる。
この他、本実施例によれば、利用権限のない差分地図データを試用した地図表示の際には、その試用した差分地図データによって地図上に現れた新設道路を点滅表示等で強調表示するようにした。また、経路探索表示の際には、差分地図データを試用した場合に得られた経路と、差分地図データを試用しない場合に探索された経路との差異を、その差異のある経路部分の点滅表示等で強調表示するようにした。従って、本実施例によれば、未購入の差分道路地図データの有用性をユーザに分かり易く伝えることができ、差分地図データに対するユーザの購入意欲を高めることができる。
特に、本実施例によれば、経路探索表示処理の際に、差分地図データの試用の有無によって生じた探索経路の距離や目的地までの所要時間の差異を表示ユニット58の画面上に表示するので、より一層、未購入の差分地図データの有用性をユーザに分かり易く伝えることができる。
[変形例]
以上に説明した実施例では、区域毎に利用権限を管理することで、細やかに差分地図データの利用を制御できるようにしたが、利用権限を区域毎に定義するのを止めて、全国に対して一律の利用権限を定義するように、地図情報提供システム1は構成されてもよい。
また、上記実施例では、利用権限レベルを三段階に設定したが、例えば、次のようにして利用権限レベルを二段階に設定することも可能である。即ち、利用権限レベルは、差分地図データの利用が地図表示処理、経路探索表示処理及び経路案内処理の内の地図表示処理に限定される第一のレベル、及び、差分地図データの利用権限が地図表示処理、経路探索表示処理及び経路案内処理の全てに付与される第二のレベルの二段階に設定されてもよい。別例として、利用権限レベルは、差分地図データの利用が地図表示処理及び経路探索表示処理に限定される第一のレベル、及び、差分地図データの利用権限が地図表示処理、経路探索表示処理及び経路案内処理の全てに付与される第二のレベルの二段階に設定することも可能である。利用権限をどのように細分化するかは、地図データ販売側の戦略やユーザのニーズ等に従って好ましい形態に調整することができる。
更に付言すれば、利用権限の販売形態としては、一部のアプリ(処理)における差分地図データの利用権限を無料にてユーザに付与し、その他の利用権限を有料にてユーザに付与するといった形態も考えられる。この形態によれば、差分地図データを無料で利用できるアプリ(処理)によって最新バージョンの地図データの有用性を広くユーザに確認してもらい、地図データの購入層を広くすることができる可能性がある。
例えば、地図表示処理における差分地図データの利用権限に限っては、無料にてユーザに付与し、経路探索表示処理及び経路案内処理における差分地図データの利用権限については、有料にてユーザに付与するといった形態や、地図表示処理及び経路探索表示処理における差分地図データの利用権限に限っては、無料にてユーザに付与し、経路案内処理における差分地図データの利用権限については、有料にてユーザに付与するといった形態が
考えられる。
この場合、ナビゲーション装置50の演算ユニット55は、図5に示す地図取得処理のS350において、受信した最新バージョンまでの差分地図データについてのバーション毎及び区域毎の利用権限の有無を、各アクセス管理データに登録する際に、無料で付与される利用権限を「有り」に設定すればよい。更に言及すれば、上記実施例では、アプリ毎のアクセス管理データを設けたものの、利用権限の無料付与によってアクセス管理データ内の全利用権限の定義が「有り」となるようなケースにおいては、そもそも、このアプリについてのアクセス管理データを用意する必要はない。即ち、このようなアプリからの読出要求に対しては、読出制御処理(図6参照)において、S450,S460及びS470の処理を実行すれば良く、アクセス管理データの参照は不要である。
また、利用権限レベルを二段階とする例によれば、アクセス管理データを、地図表示処理、経路探索表示処理及び経路案内処理の夫々に対して設ける必要はなく、利用権限レベル(第一及び第二のレベル)で分類される処理の種類毎に設ければよい。
更に、販売される差分地図データには、利用権限についての有効期限を設けてもよい。この場合には、例えば、差分地図データの購入履歴を表す購入履歴データを記憶ユニット53に記憶させ、演算ユニット55が、課金要求信号に対する肯定応答信号に従って、アクセス管理データを更新する際には、併せて購入履歴データに、購入した差分地図データの詳細(区域や利用権限レベル等)や購入日時や有効期限の情報を登録するように、ナビゲーション装置50を構成すればよい。そして、このナビゲーション装置50は、演算ユニット55が、図12に示す期限切れ管理処理を繰り返し実行して、購入履歴データを参照し(S1410)、有効期限の経過した区域及びバージョンの差分地図データの利用権限を「無し」に再定義する(S1420)構成にすることができる。
また、上記実施例では、車載用のナビゲーション装置50を用いた例について説明したが、本発明の思想は、車載用のナビゲーション装置の他に、スマートフォンなどの情報端末にも適用することが可能である。
この他、上記実施例では、購入を促すために未購入分の差分地図データを利用したケースと当該差分地図データを利用しないケースでの処理の実行結果の差異を表す情報をユーザに向けて出力するようにしたが、購入したことの効果を示すために、仮に差分地図データを購入していない場合との処理の実行結果の差異を表す情報をユーザに向けて出力するようにしてもよい。例えば、ナビゲーション装置50の購入後、一定期間に提供される差分地図データについては無料にて利用権限が付与されるケースにおいては、その無料期間終了後の差分地図データの購入を促すために、このような情報出力をすると有効である。
また、上記実施例では、差分地図データをサーバ装置10から無線通信にて提供するようにしたが、これに限らず、差分地図データは、USBメモリ等の着脱自在な記録メディアを利用して、ナビゲーション装置10に提供するようにしてもよい。また、差分地図データをディジタル放送によりナビゲーション装置10に提供しても良い。
[最後に]
変形例を含む本発明の実施例を以上に説明したが、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができることは言うまでもない。
また、用語間の対応関係は、次の通りである。ナビゲーション装置50は、電子機器の一例に対応し、記憶ユニット53における初期地図データ及び差分地図データ群の記憶領域は、基本道路地図データ及び差分道路地図データを記憶する地図データ記憶手段の一例
に対応し、記憶ユニット53におけるアクセス管理データ群の記憶領域は、利用権限データを記憶する利用権限記憶手段の一例に対応する。
この他、演算ユニット55が実行する読出制御処理、地図表示処理、経路探索表示処理及び経路案内処理にて実現される機能は、基本的に、処理実行手段にて実現される機能の一例に対応し、演算ユニット55が実行する購入処理、経路探索表示処理におけるS1110〜S1140,S1300〜S1330、及び、期限切れ管理処理によって実現される機能は、利用権限更新手段によって実現される機能の一例に対応する。
1…地図情報提供システム、10…サーバ装置、11…記憶ユニット、15…演算ユニット、19…通信ユニット、50…ナビゲーション装置、51…位置検出ユニット、53…記憶ユニット、55…演算ユニット、57…入力ユニット、58…表示ユニット、59…通信ユニット

Claims (9)

  1. 道路地図データを用いた複数種類の処理を実行する電子機器であって、
    前記道路地図データとして、基本道路地図データ、及び、前記基本道路地図データが示す道路網からの差分により新規道路網を示す差分道路地図データを、区別して記憶する地図データ記憶手段と、
    前記複数種類の処理の夫々を、前記種類に応じて前記差分道路地図データを用いるか否かを切り替えつつ、実行する処理実行手段と、
    を備えることを特徴とする電子機器。
  2. 請求項1記載の電子機器であって、
    前記複数種類の処理の少なくとも一つの種類の処理に関して、この種類の処理の前記差分道路地図データに対する利用権限の有無を定義する利用権限データを記憶する利用権限記憶手段
    を備え、
    前記処理実行手段は、前記利用権限記憶手段が記憶する前記利用権限データを参照することにより、前記利用権限の有無が定義された前記種類の処理の夫々を、前記利用権限がある場合には前記差分道路地図データを利用し、前記利用権限がない場合には、前記差分道路地図データを利用しないようにして実行すること
    を特徴とする電子機器。
  3. 請求項1記載の電子機器であって、
    前記地図データ記憶手段は、地域毎の前記差分道路地図データを記憶し、
    前記処理実行手段は、前記地域毎に、この地域の前記差分道路地図データを利用するか否かを、前記処理の種類に応じて切り替えつつ、前記複数種類の処理の夫々を実行すること
    を特徴とする電子機器。
  4. 請求項2記載の電子機器であって、
    前記地図データ記憶手段は、地域毎の前記差分道路地図データを記憶し、
    前記利用権限データは、前記差分道路地図データに対する利用権限の有無を前記地域毎に定義するデータであり、
    前記処理実行手段は、前記利用権限記憶手段が記憶する前記利用権限データを参照することにより、前記利用権限の有無が定義された前記種類の処理の夫々を、前記利用権限のある地域の前記差分道路地図データを利用し、前記利用権限のない地域の前記差分道路地図データを利用しないようにして実行すること
    を特徴とする電子機器。
  5. ネットワークを通じて外部の管理装置と通信可能な請求項2又は請求項4記載の電子機器であって、
    前記ネットワークを通じて送信されてくる前記管理装置からの信号に従って、前記利用権限記憶手段が記憶する前記利用権限データを更新することにより、前記利用権限データによって定義される前記利用権限の有無を切り替える利用権限更新手段
    を備えることを特徴とする電子機器。
  6. 請求項5記載の電子機器であって、
    前記利用権限更新手段は、ユーザから課金要求が入力されると、当該課金要求が入力されたことを、前記ネットワークを通じて前記管理装置に通知し、当該通知に対して前記管理装置から送信されてくる応答信号に従って、前記利用権限記憶手段が記憶する前記利用権限データを更新することにより、前記管理装置にて課金処理される前記差分道路地図デ
    ータに対する前記利用権限を有りに切り替えること
    を特徴とする電子機器。
  7. 請求項5又は請求項6記載の電子機器であって、
    前記利用権限更新手段は、前記利用権限データを更新することによって、予め定められた期限の経過した前記利用権限を無しに切り替えること
    を特徴とする電子機器。
  8. 請求項2及び請求項4〜請求項7のいずれか一項記載の電子機器であって、
    前記処理実行手段は、予め定められた試用条件が満足されている期間に限っては、前記利用権限データにおいて前記利用権限がないと定義されている種類の処理においても、前記差分道路地図データを利用した処理を実行する一方、この処理の前記差分道路地図データを利用したケースと前記差分道路地図データを利用しないケースでの実行結果の差異を表す情報をユーザに向けて出力すること
    を特徴とする電子機器。
  9. 請求項1〜請求項8のいずれか一項記載の電子機器であって、
    前記処理実行手段は、前記道路地図データを用いて、特定地域の道路地図をユーザに向けて表示する地図表示処理、前記道路地図データを用いて、目的地までの経路を探索し、当該探索より得られた前記経路をユーザに向けて表示する経路探索表示処理、及び、前記道路地図データを用いて、現在位置に応じた目的地までの経路案内をユーザ向けて行う経路案内処理を実行する構成にされ、
    前記複数種類の処理の夫々は、前記地図表示処理、経路探索表示処理及び経路案内処理の夫々、又は、これらを分類して定義される各種類の処理であること
    を特徴とする電子機器。
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