JP2013210543A - 撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数のレンズを有する撮像光学系と、撮像光学系の像面近傍に、物体側に凹面を向けて湾曲した撮像面を有する撮像装置であって、
撮像光学系は少なくとも2枚のレンズを有し、2枚のレンズの間を流体媒質で満たし、該流体媒質中に開口絞りが配置され、
開口絞りよりも物体側にあって流体媒質と接したレンズ面の形状を凹面とし、開口絞りよりも像側にあって流体媒質と接したレンズ面の形状を凸面として構成され、
撮像光学系の焦点距離と撮像光学系の射出瞳から撮像面までの距離が略等しく設定されていると共に撮像面の曲率半径が撮像光学系の射出瞳から撮像面までの距離と略等しく設定されている。
【選択図】 図1
Description
球殻レンズと、該レンズの内側に球状レンズとで同心球を成した球レンズが提案されている(特許文献1)。
この球レンズは、球面収差や色収差を良好に補正することが可能である。また点対称な構成のため広画角化が容易であり、広角かつ高解像度が要求される撮像装置の撮像光学系に適している。
この球レンズにおいて、フレア等の有害光を遮断し良好な結像性能を得るために、球レンズの球中心を通る平面上に開口絞りを有した例が開示されている。
電子撮像素子を画像記録媒体とする場合の制約条件を緩和するために、電子撮像素子の受光面を物体側に凹面化して、電子撮像素子に対する光束の入射角度を法線角度に近づけた例が開示されている。
近年の撮像装置では電子撮像素子の画素サイズが急速に小さくなり、撮像光学系は高解像度化が求められている。そのため、撮像光学系は明るいF値においても高い結像性能を実現する必要があった。
さらに、近年の撮像装置は広角化やコンパクト化が求められている。
特に、F/2.0よりも明るいF値の撮像光学系を用いた撮像装置では、被写界深度が浅くなり、開口絞り径の変更によって被写界深度を制御可能であることが望まれている。
しかしながら、特許文献1の球レンズでは被写界深度を制御できない構成であった。
一方、特許文献2の撮像装置では、開口絞り径は変更できるが、F値が暗く明るい撮像光学系ではないという課題を有している。
前記撮像光学系は少なくとも2枚のレンズを有し、該2枚のレンズの間を流体媒質で満たし、該流体媒質中に開口絞りが配置され、
前記開口絞りよりも物体側にあって前記流体媒質と接したレンズ面の形状を凹面とし、前記開口絞りよりも像側にあって前記流体媒質と接したレンズ面の形状を凸面として構成され、
前記撮像光学系の焦点距離と前記撮像光学系の射出瞳から前記撮像面までの距離が略等しく設定されていると共に、
前記撮像面の曲率半径が前記撮像光学系の射出瞳から前記撮像面までの距離と略等しく設定されていることを特徴とする。
その際、前記撮像光学系の焦点距離と前記撮像光学系の射出瞳から前記撮像面までの距離を略等しく設定するため、次の(1)式を満たし、
前記撮像面の曲率半径を前記撮像光学系の焦点距離と略等しく設定するため、次の(2)式を満足させるように構成することができる。
0.8≦f_sys/d_pup≦1.5 …(1)
0.8≦|R_img|/f_sys≦1.5…(2)
但し、f_sysは前記撮像光学系の焦点距離、d_pupは前記撮像光学系の射出瞳から前記撮像面までの距離、R_imgは前記撮像面の曲率半径である。
まず、その全体構成について説明する。
本実施形態の撮像装置は、複数のレンズを有する撮像光学系を備え、該撮像光学系の像面近傍に、物体側に凹面を向けて湾曲した撮像面を有し、この像面湾曲のうちペッツバール像面分を補正できる構成とされている。
さらに、撮像光学系を点対称な光学系に近づけることによって、コマ収差、非点収差、歪曲収差、倍率色収差などの軸外収差の発生を抑え、補正対象収差を球面収差、軸上色収差などの軸上収差のみに限定している。
撮像光学系を点対称な光学系に近づけることは、レンズ形状を制限してしまい光学設計の自由度を狭めることになるが、それ以上に補正すべき収差を軸上収差のみに限定できる利点の方が重要である。
これにより、広画角に渡って明るく高い結像性能を有する撮像装置を実現することができる。
特に、撮像光学系の開口絞りよりも像側の光学系が点対称に近い構成を採ることが重要であり、画角光束に対してコンセントリックな構成としている。
撮像光学系の焦点距離を撮像光学系の射出瞳から撮像面までの距離と略等しく設定することで、撮像光学系の像側主点と射出瞳とを略同位置に揃えることができる。
これは、画角光束の入射高が低くなるので、画角光束を軸上光束と同様に扱うことができ、撮像光学系の開口絞りよりも像側の光学系を点対称に近い構成にすることができる。具体的には、以下で説明するように(1)式(以下の表で示された丸数字1の条件式)を満足させるように構成すると良い。
これにより、広画角に渡ってコマ収差、非点収差、歪曲収差、倍率色収差などの軸外収差を良好に補正することができる。
また、撮像面の曲率半径を撮像光学系の焦点距離と略等しく設定することで、像面湾曲を良好に補正することができる。
具体的には、以下で説明するように(2)式(以下の表で示された丸数字2の条件式)を満足させるように構成すると良い。
撮像光学系の構成により非点収差を良好に補正できるので、像面湾曲をペッツバール像面のみに限定でき、撮像面を湾曲させることによってペッツバール像面を補正できるので、軸外収差の全てに対して発生を小さく抑えることができる。すなわち、残りの収差を軸上収差に限定することができる。
すなわち、複数のレンズを有する撮像光学系と、該撮像光学系の像面近傍に、物体側に凹面を向けて湾曲した撮像面を有する撮像装置において、
前記撮像光学系は少なくとも2枚のレンズを有し、該2枚のレンズの間を流体媒質で満たし、該流体媒質中に開口絞りが配置され、
該開口絞りよりも物体側にあって前記流体媒質と接したレンズ面の形状を凹面とし、前記開口絞りよりも像側にあって前記流体媒質と接したレンズ面の形状が凸面として構成され、
前記撮像光学系の焦点距離と前記撮像光学系の射出瞳から前記撮像面までの距離が略等しく設定されていると共に、前記撮像面の曲率半径が前記撮像光学系の射出瞳から前記撮像面までの距離と略等しく設定されている。
その際、撮像光学系の焦点距離をf_sys、撮像光学系の射出瞳から撮像面までの距離をd_pup、撮像面の曲率半径をR_img、としたとき、以下の(1)式及び(2)式を満足させるように構成することができる。
0.8≦f_sys/d_pup≦1.5 …(1)
0.8≦|R_img|/f_sys≦1.5…(2)
なお、ここでの撮像装置における撮像面とは、湾曲させた電子撮像素子、もしくは、入射面を湾曲させた光伝送手段のことである。
この湾曲させた電子撮像素子とは、例えば、形状可変な基板上に電子撮像素子を形成したものや、小さな平面型電子撮像素子をアレイ状に配置して凹面形状としたものが考えられる。
また、光伝送手段とは、例えば、光ファイバーを束ねてプレート状に構成したイメージプレートが考えられ、一端を凹面形状に、他端を平面に加工したものである。
そして、光伝送手段の入射面を物体側に凹面を向けて湾曲させた面を撮像面とし、平面の射出面を電子撮像素子へと接続して撮像ユニットとする構成を採ることができる。
本実施形態の開口絞りは、絞り径を可変にできることを特徴としている。
特許文献1の球レンズでは、開口絞りの開口部には光学ガラスが充填されており、絞り径を変更することができなかった。
そこで、本発明では開口絞りを流体媒質中に配置して、絞り径を可変にできる構成としている。
ここで、流体媒質とは空気などの気体や、水、オイルなどの液体のことである。一般的に流体媒質は光学ガラスや光学プラスチックなどの光学材料よりも低い屈折率を有しており、流体媒質とレンズ面との間の屈折率差が光学性能を劣化させる要因となっていた。
例えば、球レンズにおいて、開口絞りの周囲を流体媒質で満たした場合について説明する。
球レンズを開口絞りの位置で2つに分け、その間に流体媒質を満たした場合、軸上光束はさほど影響はないが、画角光束は流体媒質と接するレンズ面で大きく屈折してしまう。
球レンズでは点対称性によって収差を補正しているが、画角光束がレンズ面と流体媒質との界面で大きく屈折すると、その光路の点対称性が崩れて大きな収差が発生し問題となる。
具体的には、レンズ面での大きな屈折により、コマ収差、非点収差、像面湾曲、倍率色収差が大きく発生して問題となる。
しかしながら、開口絞りとの距離が近いので球面の曲率半径がきつくなり、画角光束の一部が全反射して光束ケラレの問題が発生する。
すなわち、明るいF値の撮像光学系を実現できない。
そこで、本実施形態では、開口絞りよりも物体側にあって流体媒質と接したレンズ面の形状を凹面としており、該レンズ面における屈折を弱めて、収差の発生を小さく抑えている。
また、開口絞りよりも像側にあって流体媒質と接するレンズ面の形状を凸面としており、前述の凹面で付与されたパワーをキャンセルしている。これにより、後群における画角光束の角度を前群の角度に戻して、後群を点対称な光学系に近い構成とし収差を良好に補正している。
特に、F/2.0よりも明るいF値の撮像光学系に対して大きな効果を発揮する。
また、明るいF値の撮像光学系は被写界深度が狭くなるので、短い焦点距離ながら背景をぼかした撮影が可能となり、例えばコンパクトカメラにおいても背景ぼかしが可能となる。
さらに、明るいF値の撮像光学系は、F値の2乗に比例して露光時間を短く設定することができるため、手ブレや被写体ブレ、ショットノイズを格段に軽減でき、高品位な画像による撮像装置を提供することができる。
一般的な撮像光学系では、画角(入射角)ωに対してcosω4乗則に従って周辺光量比が低下することが知られている。そのため、撮影された画像の周辺部がとても暗くなり奇麗な画像が得られない。
近年のデジタルカメラやデジタルビデオカメラでは、周辺部の感度を大幅に持ち上げて周辺光量落ちをデジタル的に補正するものもあるが、コントラストは低いままノイズが増加してしまうので、画像の中心部と比べて画質がかなり劣化する。
周辺光量落ちは、このような深刻な問題を引き起こす。この傾向は広画角な撮像光学系ほど顕著となり、広画角な撮像光学系を実現するために必要な要素の1つとなっている。
周辺光量比のcosω4乗則の内訳は、
(a)画角に応じて、見かけの焦点距離が長くなることでcosωの2乗分、
(b)画角に応じて見かけの開口径が狭まることでcosωの1乗分、
(c)画角に応じて撮像面への入射角がきつくなることでcosωの1乗分、である。
これにより、周辺光量比をcosωの2乗分を改善することができる。
(2)式を満足することにより、相応の効果を得ることができる。
すなわち、周辺光量比がcosωの4乗からcosωの2乗へ向上させることができる。
広画角な撮像光学系の周辺光量比を大幅に改善することができるので、広画角に渡ってコントラストが高く、ノイズが少なく高画質な画像を撮影することができる撮像装置を提供することができる。
(1)式は、撮像光学系の焦点距離f_sysと撮像光学系の射出瞳から撮像面までの距離d_pupとを略等しく設定する条件であり、撮像光学系の開口絞りよりも像側の光学系を点対称に近い構成にすることができる。
(1)式を満たせば、コマ収差、非点収差、歪曲収差、倍率色収差などの軸外収差を良好に補正することができる。
(1)式の上限を超えると、撮像光学系の開口絞りよりも像側の光学系の点対称性が確保できず、コマ収差、非点収差、歪曲収差、倍率色収差などの軸外収差が発生して問題となる。
(1)式の下限を超えると、撮像光学系の開口絞りよりも像側の光学系の点対称性が確保できず、コマ収差、非点収差、歪曲収差、倍率色収差などの軸外収差が発生して問題となる。
(2)式を満たせば、撮像装置の像面形状をペッツバール像面に近づけることができるので、広画角に渡って非点収差を発生させることなく像面湾曲を補正することができる。
(2)式の上限を超えると、撮像面の周辺部でペッツバール像面からの乖離が大きくなり、像面湾曲が発生して結像性能が劣化する。
(2)式の下限を超えると、撮像面の周辺部でペッツバール像面からの乖離が大きくなり、像面湾曲が発生して結像性能が劣化する。
F値が明るい撮像光学系の場合、焦点深度が狭いので像面湾曲の許容範囲が狭く、像面湾曲は高精度に補正する必要がある。
まず、撮像面の形状が非球面の場合、基準球面の曲率半径を「撮像面の曲率半径」とする。
非球面はα式で表すことができ、α式の光軸上における曲率cの逆数が曲率半径である。
撮像面が非球面形状であっても、光軸上の曲率半径を計測することによって基準曲面の曲率半径を求めることができる。
次に、撮像面の形状が階段状の場合について説明する。
小さな電子撮像素子をアレイ化して構成した場合や、光ファイバーを束ねて湾曲した撮像面を構成した場合、厳密に言うと撮像面が階段状になる。
その場合は、電子撮像素子の1画素もしくは光ファイバーの1本の中心点を結んだ曲面を撮像面とみなすことができる。
その曲面を上記α式で最小二乗法によりフィッティングした結果から基準曲面の曲率半径を算出すれば、撮像面の曲率半径を求めることができる。
図17(a)および図17(b)に物体面を有限距離に配置した際の結像関係を示す。
図17(a)において、OBJは物体面、SYSは撮像光学系、IMGは像面であり、撮像光学系SYSは物体面OBJ上のある物点を像面IMG上の像点へ結像させている。
図17(a)に示したように、撮像光学系SYSは、撮像光学系SYSから等距離にある物点をペッツバール像面上へ結像させるので、このときの物体面OBJは湾曲した形状となる。
しかしながら、撮像光学系では物体面OBJは平面であることが好ましい。
図17(b)に示したように、光軸上以外にある物点は破線で示した湾曲状の物体面ではなく、実線で示した平面の物体面とする。すると、図17(b)の矢印Aで示したように、物点は撮像光学系SYSから離れる方向へ移動し、像点も矢印Bで示したように、破線で示したペッツバール像面から実線で示した像面IMGへと撮像光学系SYSに近づく方向へ移動する。
この像面側の移動量を、光束の進行方向におけるデフォーカス量として図17(b)の撮像光学系のモデルにおいて一例を図18のグラフに示した。
この例では、各パラメーターを、撮像光学系の焦点距離をf_sys=12.0(mm)、撮像面の曲率半径をR_img=12.0(mm)としている。撮像光学系の射出瞳から撮像面までの距離をd_pup=12.0(mm)、物体距離をS=−300(mm)、画角をω=60(deg)としている。
前述の通り、物体面を平面とした場合、各画角光束のピント位置がペッツバール像面から撮像光学系側にデフォーカスする。
光束の進行方向におけるデフォーカス量を丸数字1としてピント位置のグラフに表示している。
また、撮像面の曲率半径は撮像光学系の焦点距離と等しく設定しており、物体距離が無限遠におけるペッツバール像面形状に相当する。
物体距離が無限遠で丸数字1のピント位置と丸数字2の撮像面形状が一致するのは当然だが、図18は物体距離をS=−300(mm)まで近づけた場合でもピント位置と撮像面形状がぴったり一致することを示している。
これは物体距離が無限遠からS=−300(mm)までのどの距離においても、平面の物体面を像面湾曲を発生させることなく、ピント調整できることを意味している。
また、画角−60〜+60(deg)の広範囲において上記が実現できる。
撮像光学系の焦点距離を撮像光学系の射出瞳から撮像面までの距離と略等しく設定し、撮像面の曲率半径を撮像光学系の焦点距離と略等しく設定すれば、撮像面の形状を変化させることなく、撮像光学系と撮像面の距離を変更するだけでピント調整が可能となる。
そのために、(1)式および(2)式を満足させることが重要である。
以上で説明した本実施形態の撮像装置のように、格段に明るいF値の撮像光学系は焦点深度が非常に狭いので、高精度なピント調整を簡単に実現できることは撮像装置にとって極めて重要である。
[実施例1]
実施例1として、本発明を適用した撮像装置の構成例について説明する。
本実施例の撮像装置に用いる撮像光学系は、図1に示すように、4枚のレンズG1,G2,G3,G4と流体媒質FM中に設置した開口絞りSTOとで構成されている。
物体側から順に、
物体側に凸面を向けたメニスカスレンズである第1レンズG1、
像側に凸面を向けたメニスカスレンズである第2レンズG2、
開口絞りSTO、両凸レンズである第3レンズG3、
像側に凸面を向けたメニスカスレンズである第4レンズG4、が配置されている。
図1中のIMGは撮像面である。
本実施例における撮像装置では、電子撮像素子ICDを球状に形成して湾曲した撮像面IMGを構成しており、撮像面IMGの全域に渡って良好な結像性能を実現している。
面番号1は第1レンズG1の入射面、面番号2は第1レンズG1の射出面と第2レンズG2との貼り合せ面、面番号3は第2レンズG2の射出面、面番号4は開口絞りSTOである。
面番号5は第3レンズG3の入射面、面番号6は第3レンズG3の射出面と第4レンズG4の入射面との貼り合せ面、面番号7は第4レンズG4の射出面、そして面番号8は撮像面IMGである。
表中のRは曲率半径(mm)、dは面間隔(mm)、Ndはd線の屈折率、νdはアッベ数を示す。
また、空気の屈折率はNd=1.000であり、光学ガラスと比較して屈折率はかなり低く、画角光束が光学ガラスと空気との界面で大きな角度で屈折し、大きな収差が発生することが問題となっていた。
本実施例の撮像装置においても、空気と接する第2レンズG2の屈折率Nd2=1.54814や第3レンズG3の屈折率Nd3=1.72000に対して、空気の屈折率Nd=1.000はかなり低い。
そこで、開口絞りSTOよりも物体側にあって流体媒質FMと接した第2レンズの射出面(面番号3)を凹面とすることで、画角光束の屈折角を緩め、第2レンズの射出面で発生するコマ収差を小さく抑えている。
開口絞りSTOよりも像側にあって流体媒質FMと接した第3レンズの入射面(面番号5)を凸面とすることで、第2レンズの射出面で与えた負のパワーをキャンセルして、像面湾曲や倍率色収差を補正している。
また、第2レンズの射出面で発生するコマ収差を補正している。
これによって、点対称に近い光学系の内部に低屈折率の流体媒質を配置しても画角光束の収差を良好に補正することができるので、高い光学性能を維持したまま絞り径を可変とした撮像光学系を実現できる。
具体的には、第2レンズの射出面(面番号3)の曲率半径R3=15.6214(mm)を、第2レンズの射出面から開口絞りSTOまでの距離d3=0.2500(mm)よりも大きくしている。
これにより、画角光束が第2レンズの射出面でケラレることを回避しつつ、第2レンズの射出面における各光線の屈折角を弱めている。
また、第3レンズの入射面(面番号5)の曲率半径R5=7.4031(mm)を、第2レンズの射出面(面番号3)の曲率半径R3=15.6214(mm)よりも小さく設定している。
すなわち、開口絞りSTOよりも物体側にあって流体媒質FMと接したレンズ面の曲率半径Rfと、開口絞りSTOよりも物体側にあって流体媒質FMと接したレンズ面の曲率半径Rrとの関係が、次の(3)式を満足するように構成している。
特に、開口絞りSTOよりも物体側にあって流体媒質FMと接したレンズ面のパワーφfと、開口絞りSTOよりも物体側にあって流体媒質FMと接したレンズ面のパワーφrとの関係が次の(4)式を満足させるように構成している。これにより、倍率色収差と色の像面湾曲をバランス良く補正できる。
(5)式を満足するように、第2レンズの射出面と第3レンズの入射面を構成しているので、倍率色収差と像面湾曲をバランス良く補正することができる。
これらによって、絞り径が可変な明るいF値で広画角な撮像装置における画角光束の結像性能を更に向上させることができる。
表2に本実施例の撮像装置の仕様を示す。
表3に、本実施例の撮像装置における、(1)式および(2)式の値を示す。
これにより、撮像光学系の開口絞りから像側の光学系を点対称に近い構成にでき、コマ収差、非点収差、倍率色収差を良好に補正することができる。
(2)式の値は1.02であり、(2)式の範囲を満足している。これにより、120.0(deg)の広画角に渡って像面湾曲と非点収差を良好に補正することができる。
(1)式と(2)式を満足させることで、撮像面の形状を変化させることなく、撮像光学系と撮像面の距離を変更するだけで、無限遠から至近距離までのピント調整が可能となる。
また、本発明の撮像装置では、撮像面の曲率半径を撮像光学系の射出瞳から撮像面までの距離と略等しく設定している。
下記に示した(6)式は、撮像面の曲率半径R_imgを撮像光学系の射出瞳から撮像面までの距離d_pupと略等しく設定する条件である。
0.8≦|R_img|/d_pup≦1.5 …(6)
(6)式を満足すれば、撮像光学系をより点対称に近い構成にできる。
本実施例の撮像装置は、(6)式の値が1.05であり、(6)式の範囲を満足している。
これにより、撮像光学系を点対称に近い構成としコマ収差、非点収差、歪曲収差、倍率色収差を良好に補正している。さらに、無限遠から至近距離までの広範囲のピント調整範囲において高解像度を維持したまま、ピント調整を可能としている。
図2に示したように、球面収差、軸上色収差、非点収差、像面湾曲、及び色の球面収差を良好に補正している。ここでは、色の球面収差を基準波長(例えばd線)の球面収差量に対する各波長(例えば、C線、F線、g線など)の球面収差量の差と定義する。
図3に示したように、各画角光束においても良好な性能が得られており、コマ収差、像面湾曲、倍率色収差が良好に補正されている。特に、大きな画角が付いた光束(例えば画角ω=35(deg)の画角光束)に対して本発明の効果が十分に発揮され、広画角に渡り明るいF値で良好な結像性能を得ている。
本実施例の撮像装置における撮像光学系では、撮像面の曲率半径を撮像光学系の焦点距離と略等しく設定しており、全画角において焦点距離を略同一にすることができる。
これにより、周辺光量比をcosωの2乗分を改善することができる。
本実施例の最大半画角ω=60.0(deg)であり、cos4ω=0.0625のところcos2ω=0.25にでき、周辺光量を4倍に改善できる。
(2)式を満足することにより、相応の効果を得ることができる。
さらに、本実施例の撮像装置における撮像光学系では、撮像面の曲率半径を撮像光学系の射出瞳から撮像面までの距離と略等しく設定しており、撮像面への入射角を略垂直に設定することができる。
これにより、周辺光量比をcosωの1乗分を改善することができる。
本実施例の最大半画角ω=60.0(deg)であり、cos4ω=0.0625のところcos3ω=0.125にでき、周辺光量を2倍に改善できる。
(6)式を満足することにより、相応の効果を得ることができる。
(2)式と(6)式を同時に満たすことにより、周辺光量比をcosωの3乗分を改善することができ、周辺光量を従来の8倍に増加させることができる。
これにより、広画角な撮像光学系の周辺光量比を大幅に改善することができるので、広画角に渡ってコントラストが高く、ノイズが少なく高画質な画像を撮影することができる撮像装置を提供することができる。
また、周辺光量落ちを大幅に改善することができ、広画角に渡って非常に明るい撮像光学系を実現することができる。
これにより、露光時間を大幅に短縮できるので、手ブレ、被写体ブレ、ノイズを良好に低減した高品位な画像を撮影することが可能な撮像装置を提供することができる。
また、コンパクトな構成ながら、デフォーカスした被写体に大きなボケを付与することができる撮像光学系を提供することができる。
さらに、上記の高性能な撮像光学系を、簡便な構成ながら無限遠から至近距離に至る広範囲において、結像性能を殆ど劣化させることなくピント調整を可能とする。
実施例2として、実施例1と異なる形態の撮像装置の構成例について説明する。
本実施例の撮像装置に用いる撮像光学系は、図4に示すように、5枚のレンズG1,G2,G3,G4,G5と流体媒質中に設置した開口絞りSTOで構成されている。
物体側から順に、物体側に凸面を向けたメニスカスレンズである第1レンズG1、
物体側に凸面を向けたメニスカスレンズである第2レンズG2、
物体側に凸面を向けたメニスカスレンズである第3レンズG3、
開口絞りSTO、像側に凸面を向けた両凸レンズである第4レンズG4、
像側に凸面を向けたメニスカスレンズである第5レンズG5、が配置されている。
本実施例における撮像装置では、電子撮像素子ICDを球状に形成して湾曲した撮像面IMGを構成しており、撮像面IMGの全域に渡って良好な結像性能を実現している。
また、図4中のIMGは撮像面であり、光伝送手段OTMの入射面である。撮像面を球形状に形成して湾曲した撮像面IMGを構成しており、撮像面IMGの全域に渡って良好な結像性能を実現している。
本実施例の光伝送手段OTMは数ミクロンピッチの光ファイバーを束ねて構成したイメージファイバーであり、撮像光学系の像面に形成された像を電子撮像素子ICDへ伝送する役割を担う。
光伝送手段OTMの入射面を球状に湾曲させた形状とし、射出面を平面として電子撮像素子ICDに密着させて接続することで、撮像ユニットICUを構成している。
光伝送手段OTMの入射面形状を撮像光学系の像面湾曲に沿わせることによって、撮像面IMGの全域に渡り良好な結像を実現している。
面番号1は第1レンズG1の入射面、面番号2は第1レンズG1の射出面と第2レンズG2の入射面との貼り合せ面、面番号3は第2レンズG2の射出面と第3レンズG3の入射面との貼り合せ面である。面番号4は第3レンズG3の射出面であり空気層と接続している。
面番号5は開口絞りSTOであり、空気層の中に配置している。
面番号6は第4レンズG4の入射面、面番号7は第4レンズG4の射出面と第5レンズG5の入射面との貼り合せ面、面番号8は第5レンズG5の射出面である。
面番号9は撮像面IMGであり、電子撮像部ICUの光伝送手段OTMの入射面である。そして、光伝送手段OTMの射出面が電子撮像素子ICDと接続している。
表中のRは曲率半径(mm)、dは面間隔(mm)、Ndはd線の屈折率、νdはアッベ数を示す。
開口絞りSTOよりも物体側にあって該空気層に接したレンズ面とは第3レンズの射出面(面番号4)であり、開口絞りSTOよりも像側にあって該空気層と接したレンズ面とは第4レンズG4の入射面(面番号6)である。
第3レンズの射出面の形状を凹面とし、第4レンズG4の入射面の形状を凸面に設定している。
これにより、広画角に渡って高い結像性能を実現するとともに、絞り径を可変とした撮像装置を提供することができる。
具体的には、第3レンズの射出面の曲率半径R4=43.5438(mm)を、第3レンズの射出面から開口絞りSTOまでの距離d4=0.6507(mm)よりも大きくしている。
これにより、画角光束が第3レンズの射出面でケラレることを回避しつつ、屈折角を弱めている。
また、第4レンズの入射面の曲率半径R6=25.3784(mm)を、第3レンズの射出面の曲率半径R4=43.5438(mm)よりも小さく設定しており、(3)式の関係を満足している。
このように、第4レンズの入射面に第3レンズの射出面よりもきつい曲率半径を与えることで、倍率色収差や色の像面湾曲を良好に補正することができる。
(5)式を満足するように、第3レンズの射出面と第4レンズの入射面を構成しているので、倍率色収差と像面湾曲をバランス良く補正することができる。
これらによって、絞り径が可変な明るいF値で広画角な撮像装置における画角光束の結像性能を更に向上させることができる。
また、表5に本実施例の撮像装置の仕様を示す。
レンズ5枚のシンプルな構成ながら、F/1.6と明るい光学系を実現している。
また、焦点距離11.997(mm)に対して全長は17.959(mm)であり、L_sys / f_sys=1.50のコンパクトな光学系である。
表6に、本実施例の撮像装置における、(1)式および(2)式の値を示す。
(2)式の値は1.04であり、(2)式の範囲を満足している。これにより、65.5(deg)の画角に渡って像面湾曲と非点収差を良好に補正することができる。
(1)式と(2)式を満足させることで、撮像面の形状を変化させることなく、撮像光学系と撮像面の距離を変更するだけで、無限遠から至近距離までのピント調整が可能となる。
(6)式の値が1.05であり、(6)式の範囲を満足している。これにより、無限遠から至近距離までの広範囲な被物体距離において、ピント調整による像面湾曲を非常に小さく抑えることができ、高解像度な撮影を可能としている。
このように、本実施例においても、明るいF値でも広画角に渡って良好なる結像性能を有した撮像装置をコンパクトな構成で実現できる。
図5に示したように、球面収差、軸上色収差、非点収差、像面湾曲、及び色の球面収差を良好に補正している。
球面収差や色の球面収差を良好に補正されているので、明るいF値においても良好な結像性能で実現できている。
また、非点収差や像面湾曲が良好に補正されているので、広画角においても良好な結像性能が実現できている。
特に、非点収差が補正されており、本発明の効果が十分に発揮されている。
図6に示したように、コマ収差、像面湾曲、倍率色収差が良好に補正されており、各画角光束においても良好な性能が得られている。
特に、コマ収差が補正されており、本発明の効果が十分に発揮されている。
実施例3として、上記各実施例と異なる形態の撮像装置の構成例について説明する。
本実施例の撮像装置の撮像光学系は、図7に示すように、4枚のレンズG1,G2,G3,G4と流体媒質中に設置した開口絞りSTOで構成されている。
物体側から順に、
物体側に凸面を向けたメニスカスレンズである第1レンズG1、
物体側に凸面を向けたメニスカスレンズである第2レンズG2、
開口絞りSTO、両凸レンズである第3レンズG3、
像側に凸面を向けたメニスカスレンズである第4レンズG4、が配置されている。
本実施例の撮像装置でも同様に、開口絞りSTOを第2レンズG2と第3レンズG3との間の空気層に配置しており、可変絞りを設置している。
本実施例における撮像ユニットICUは、実施例2と同様である。
面番号1は第1レンズG1の入射面であり、(4)式で示した多項式で表現される回転対称非球面形状を有している。
面番号2は第1レンズG1の射出面と第2レンズG2の入射面との貼り合せ面である。
面番号3は第2レンズG2の射出面であり、(4)式で示した多項式で表現される回転対称非球面形状を有している。
第3レンズG3の入射面との貼り合せ面、面番号4は第3レンズG3の射出面であり、(6)式で示した多項式で表現される回転対称非球面形状を有している。面番号5は撮像面IMGであり、光伝送手段OTMの入射面である。そして、表記しない光伝送手段OTMの射出面が電子撮像素子ICDと接続している。
表中のRは曲率半径(mm)、dは面間隔(mm)、Ndはd線の屈折率、νdはアッベ数を示す。尚、「*印」がある面は非球面である。
本実施例の撮像装置における面番号1の非球面係数を表8(A)に、面番号3の非球面係数を表8(B)に、面番号5の非球面係数を表8(C)に、面番号7の非球面係数を表8(D)に示す。
開口絞りSTOよりも物体側にあって該空気層に接したレンズ面とは第2レンズの射出面(面番号3)であり、開口絞りSTOよりも像側にあって該空気層と接したレンズ面とは第3レンズG3の入射面(面番号5)である。
これにより、広画角に渡って高い結像性能を実現するとともに、絞り径を可変とした撮像装置を提供することができる。
また、空気と接する第2レンズの射出面で画角光束が大きく屈折し、コマ収差、非点収差、倍率色収差、色の像面湾曲などを発生する点について、本実施例の撮像装置では更なる解決策を講じ良好な収差補正を実現している。
具体的には、第2レンズの射出面(面番号3)の曲率半径R3=52.9741(mm)を、第2レンズの射出面(面番号3)から開口絞りSTOまでの距離d3=1.7051(mm)よりも大きくしている。
これにより、画角光束が第2レンズの射出面でケラレることを回避しつつ、屈折角を弱めている。
このように、第3レンズの入射面に第2レンズの射出面よりもきつい曲率半径を与えることで、倍率色収差や色の像面湾曲を良好に補正することができる。
さらに、第2レンズの射出面のパワーφ3=−0.0117、第3レンズの入射面のパワーφ5=0.0299であり、第2レンズの射出面のパワーと第3レンズの入射面のパワーの比φ5/φ3=−2.549としている。
(5)式を満足するように、第3レンズの射出面と第4レンズの入射面を構成しているので、倍率色収差と像面湾曲をバランス良く補正することができる。
これらによって、絞り径が可変な明るいF値で広画角な撮像装置における画角光束の結像性能を更に向上させることができる。
また、本実施例の撮像装置では、開口絞りSTOから第3レンズG3の入射面までの距離d5=0.3000(mm)を、第2レンズの射出面から開口絞りSTOまでの距離d3=1.7051(mm)よりも短く設定している。
そのため、倍率色収差を更に良好に補正することができる。
これらによって、明るいF値で広画角な撮像装置における画角光束の結像性能を更に向上させることができる。
ここで、非球面量とは非球面が基準球面から光軸方向に変位したサグ量ΔZASPのことであり、(7)式で示される非球面多項式のサグ量から球面のサグ量を引いたものである。
具体的には次の(8)式で表現される。
面番号3の非球面量はレンズ面の周辺部で正としており、基準球面から像側へ変位させている。面番号5の非球面量はレンズ面の周辺部で負としており、基準球面から物体側へ変位させている。
面番号7の非球面量はレンズ面の周辺部で負としており、基準球面から物体側へ変位させている。
これらの非球面形状により、更に良好な結像性能を得ている。
特に、第2レンズの射出面(面番号3)をを凹面とし、該レンズ面の周辺部で基準球面から像側に変位した(非球面量が正となる)非球面形状を付与し、周辺部に負のパワー成分を追加すると、空気層によって発生する収差を良好に補正することができる。
更に、両者を同時に実現すればさらに良好に収差を補正し、高い結像性能を得ることができる。
表9に本実施例の撮像装置の仕様を示す。
表10に、本実施例の撮像装置における、(1)式および(2)式の値を示す。
(2)式の値は1.04であり、(2)式の範囲を満足している。これにより、70.0(deg)の広画角に渡って像面湾曲と非点収差を良好に補正することができる。
(6)式の値が1.11であり、(6)式の範囲を満足している。
これにより、撮像光学系を点対称に近い構成としコマ収差、非点収差、歪曲収差、倍率色収差を良好に補正している。
さらに、本実施例の撮像装置では撮像光学系と撮像面との距離を変更することにより、ピント調整を行う。(6)式を満足しているため、無限遠から至近距離までの広範囲のピント調整範囲において高解像度を維持したまま、ピント調整を可能としている。
図10に示したように、球面収差、軸上色収差、非点収差、像面湾曲、及び色の球面収差を良好に補正している。特に、入射高の低い光線から高い光線に掛けての全域で像面上に集光させることができており、球面収差を非常に良く補正できている。
また、軸上色収差、ならびに色の球面収差も非常に良好に補正できており、高い結像性能が得られている。
図11に示したように、コマ収差、像面湾曲、倍率色収差が良好に補正されており、各画角光束においても良好な性能が得られている。
本実施例のように、最も物体側のレンズ面と最も像側のレンズ面の両方を、レンズ面の周辺部において基準球面から撮像光学系の外側へ変位した非球面量を付与した非球面とすることにより、広画角に渡って高精度に球面収差を補正することが可能となる。
実施例4として、上記各実施例と異なる形態の撮像装置の構成例について説明する。
本実施例の撮像装置の撮像光学系は、図12に示すように、4枚のレンズG1,G2,G3,G4と流体媒質中に設置した開口絞りSTOで構成されている。
物体側から順に、
物体側に凸面を向けたメニスカスレンズである第1レンズG1、
物体側に凸面を向けたメニスレンズである第2レンズG2、
像側に凸面を向けた両凸レンズである第3レンズG3、
像側に凸面を向けたメニスカスレンズである第4レンズG4、が配置されている。
また、第2レンズG2と第3レンズG3との間には流体媒質FMであるシリコンオイルを満たし、その中に開口絞りSTOを配置している。
本実施例における撮像ユニットICUは、実施例2と同様である。
面番号1は第1レンズG1の入射面であり、面番号2はG1の射出面と第2レンズG2の入射面との貼り合せ面である。
面番号3は第2レンズG2の射出面あり、(4)式で示した多項式で表現される回転対称非球面形状を有している。
また、開口絞りよりも物体側にあり開口絞りを配置した流体媒質と接したレンズ面である。
面番号4は第3レンズG3の射出面と第4レンズG4の入射面との貼り合せ面である。
面番号5は第3レンズG3の射出面であり、(4)式で示した多項式で表現される回転対称非球面形状を有している。
面番号6は撮像面IMGであり、湾曲させた電子撮像素子の入射面である。
表中のRは曲率半径(mm)、dは面間隔(mm)、Ndはd線の屈折率、νdはアッベ数を示す。尚、「*印」がある面は非球面である。
シリコンオイルの屈折率はNd=1.404で空気の屈折率よりも高く、シリコンオイルと接する第2レンズや第3レンズの光学ガラスの屈折率に近い。
そのため、第2レンズの射出面や第3レンズの入射面における画角光束の屈折角を小さくすることができ、発生する収差を小さく抑えることに効果を発揮する。本実施例では流体媒質FMにシリコンオイルを用いたが、水であっても良い。水の屈折率はNd=1.333であり、空気の屈折率Nd=1.000よりも高く、光学ガラスの屈折率に近い。そのため、シリコンオイルとほぼ同等の効果を発揮することができる。
この様に、開口絞りを配置する流体媒質FMは、屈折率がNd>1.000である方が好ましく、これによって収差を小さく抑えることができ、高い解像力の実現に効果を発揮する。
本実施例の撮像装置においても、第2レンズの射出面(面番号3)を凹面とし、第3レンズG3の入射面(面番号5)を凸面に設定している。
これにより、広画角に渡って高い結像性能を実現するとともに、絞り径を可変とした撮像装置を提供することができる。
また、シリコンオイルと接する第2レンズの射出面で画角光束が大きく屈折し、コマ収差、非点収差、倍率色収差、色の像面湾曲などを発生する点について、本実施例の撮像装置では更なる解決策を講じ良好な収差補正を実現している。
具体的には、第2レンズの射出面(面番号3)の曲率半径R3=25.6855(mm)を、第2レンズの射出面(面番号3)から開口絞りSTOまでの距離d3=1.0000(mm)よりも大きくしている。
これにより、画角光束が第2レンズの射出面でケラレることを回避しつつ、屈折角を弱めている。
このように、第3レンズの入射面に第2レンズの射出面よりもきつい曲率半径を与えることで、倍率色収差や色の像面湾曲を良好に補正することができる。
さらに、第2レンズの射出面のパワーφ3=−0.0186、第3レンズの入射面のパワーφ5=0.0231であり、第2レンズの射出面のパワーと第3レンズの入射面のパワーの比φ5/φ3=−1.241としている。
(5)式を満足するように、第3レンズの射出面と第4レンズの入射面を構成しているので、倍率色収差と像面湾曲をバランス良く補正することができる。
これらによって、絞り径が可変な明るいF値で広画角な撮像装置における画角光束の結像性能を更に向上させることができる。
そのため、倍率色収差を更に良好に補正することができる。
これらによって、明るいF値で広画角な撮像装置における画角光束の結像性能を更に向上させることができる。
このように、第3レンズG3の入射面に第2レンズの射出面よりも強いパワーを与えることで、倍率色収差や色の像面湾曲を良好に補正することができる。
また、本実施例の撮像装置では、開口絞りSTOから第3レンズG3の入射面までの距離d5=0.5000(mm)を、第2レンズの射出面から開口絞りSTOまでの距離d3=1.0000(mm)よりも短く設定している。
そのため、倍率色収差を良好に補正しつつ、コマ収差を良好に補正することができる。
これらによって、明るいF値で広画角な撮像装置における画角光束の結像性能を更に向上させることができる。
面番号3の非球面量はレンズ面の周辺部で正としており、基準球面から像側へ変位させた非球面形状としている。面番号5の非球面量はレンズ面の周辺部で負としており、基準球面から物体側へ変位させた非球面形状としている。
面番号7の非球面量はレンズ面の周辺部で負としており、基準球面から物体側へ変位させた非球面形状としている。
これらの非球面形状により、更に良好な結像性能を得ている。
特に、第2レンズの射出面(面番号3)を凹面とし、該レンズ面の周辺部で基準球面から像側に変位した(非球面量が正となる)非球面形状を付与し、周辺部に負のパワー成分を追加すると、空気層によって発生する収差を良好に補正することができる。
更に、両者を同時に実現すればさらに良好に収差を補正し、高い結像性能を得ることができる。
表15に本実施例の撮像装置の仕様を示す。
表16に、本実施例の撮像装置における、(1)式および(2)式の値を示す。
(2)式の値は1.01であり、(2)式の範囲を満足している。これにより、120.0(deg)の広画角に渡って像面湾曲と非点収差を良好に補正することができる。
(6)式の値が0.97であり、(6)式の範囲を満足している。
これにより、撮像光学系を点対称に近い構成としコマ収差、非点収差、歪曲収差、倍率色収差を良好に補正している。
さらに、本実施例の撮像装置では撮像光学系と撮像面との距離を変更することにより、ピント調整を行う。(6)式を満足しているため、無限遠から至近距離までの広範囲のピント調整範囲において高解像度を維持したまま、ピント調整を可能としている。
図15に示したように、球面収差、軸上色収差、非点収差、像面湾曲、及び色の球面収差をかなり良好に補正している。
特に、入射高の低い光線から高い光線に掛けての全域で像面上に集光させることができており、球面収差を非常に良く補正できている。
また、軸上色収差、ならびに色の球面収差も非常に良好に補正できており、高い結像性能が得られている。
本実施例のように、最も物体側のレンズ面と最も像側のレンズ面の両方を、レンズ面の周辺部において基準球面から撮像光学系の外側へ変位した非球面量を付与した非球面とすることにより、広画角に渡って高精度に球面収差を補正することが可能となる。
以上で説明した各実施例を含む本発明の構成は、デジタルカメラやデジタルビデオカメラ、携帯電話用カメラ、監視カメラなど、撮像装置を用いる製品に利用可能である。
STO:開口絞り
Asph:非球面
IMG:撮像面
OTM:光伝送手段
ICD:電子撮像素子
ICU:撮像ユニット
Claims (10)
- 複数のレンズを有する撮像光学系と、該撮像光学系の像面近傍に、物体側に凹面を向けて湾曲した撮像面を有する撮像装置であって、
前記撮像光学系は少なくとも2枚のレンズを有し、該2枚のレンズの間を流体媒質で満たし、該流体媒質中に開口絞りが配置され、
前記開口絞りよりも物体側にあって前記流体媒質と接したレンズ面の形状を凹面とし、前記開口絞りよりも像側にあって前記流体媒質と接したレンズ面の形状を凸面として構成され、
前記撮像光学系の焦点距離と前記撮像光学系の射出瞳から前記撮像面までの距離が略等しく設定されていると共に、
前記撮像面の曲率半径が前記撮像光学系の射出瞳から前記撮像面までの距離と略等しく設定されていることを特徴とする撮像装置。 - 前記撮像光学系の焦点距離をf_sys、前記撮像光学系の射出瞳から前記撮像面までの距離をd_pup、前記撮像面の曲率半径をR_img、としたとき、
前記撮像光学系の焦点距離と前記撮像光学系の射出瞳から前記撮像面までの距離を略等しく設定するため、次の(1)式を満足させ、
前記撮像面の曲率半径を前記撮像光学系の焦点距離と略等しく設定するため、次の(2)式を満足させることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
0.8≦f_sys/d_pup≦1.5 …(1)
0.8≦|R_img|/f_sys≦1.5…(2)
- 前記撮像面の曲率半径R_imgと、前記撮像光学系の射出瞳から撮像面までの距離d_pupの関係が、次の式を満足させることを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
0.8≦|R_img|/d_pup≦1.5
- 前記開口絞りよりも物体側にあって前記流体媒質と接したレンズ面の曲率半径を、該レンズ面から開口絞りまでの距離よりも大きくしたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の撮像装置。
- 前記開口絞りよりも物体側にあって前記流体媒質と接したレンズ面の曲率半径よりも、前記開口絞りよりも像側にあって前記流体媒質と接したレンズ面の曲率半径を小さくしたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の撮像装置。
- 前記開口絞りから前記開口絞りよりも像側にあって前記流体媒質と接したレンズ面までの距離を、前記開口絞りよりも物体側にあって前記流体媒質と接したレンズ面から前記開口絞りまでの距離よりも短く設定したことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の撮像装置。
- 前記開口絞りよりも物体側にあって前記流体媒質と接したレンズ面を、該レンズ面の周辺部が基準球面から像側に変位した非球面形状としたことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の撮像装置。
- 前記開口絞りよりも像側にあって前記流体媒質と接したレンズ面を、該レンズ面の周辺部が基準球面から物体側に変位した非球面形状としたことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の撮像装置。
- 前記流体媒質は、液体であることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の撮像装置。
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