JP5932268B2 - 光学系及びそれを有する撮像装置 - Google Patents

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Description

本発明は、光学系に関し、例えば銀塩フィルム用カメラ、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、デジタルビデオカメラ、TVカメラ等の撮像装置に用いられる撮影光学系に好適なものである。
近年、デジタルカメラやビデオカメラ等の撮像装置に用いられている撮像素子は高画素化(高密度化)されている。このような高画素の撮像素子を備える撮像装置で用いる撮影レンズには、諸収差が良好に補正され、高い光学性能を有し、またシェーディング(光量不足)が少なく、テレセントリック特性の良いこと等が要求されている。また広視野の撮影が容易なレトロフォーカスタイプの広画角の撮影レンズであることが要求されている。
また、より高精細な画像を得るために、撮影時の手ぶれ等の振動の影響による画像の劣化を抑制する機能、所謂防振機構を有すること等が求められている。防振機構としては、光学系の一部のレンズ群を光軸に対して垂直方向の成分を含む方向に移動させることによって手ぶれ等に起因する像位置の変動を補正する方式が知られている。この防振機構は、特に、手ぶれ等による画像劣化が顕著に現われる望遠域を含んだ撮影レンズに多く用いられている。
これに対して、焦点距離がバックフォーカスより短い、所謂レトロフォーカスタイプの広角レンズにおいて、防振機構を用いることで手振れ等に起因する像位置の変動を補正するようにした広角レンズが知られている(特許文献1)。特許文献1では物体側から順に負の屈折力を有するレンズ群GFと正の屈折力を有するレンズ群GLで構成される広角レンズを開示している。そしてレンズ群GLを構成する最も像側の2枚の正レンズを光軸上の点を中心に回転移動させて防振を行うことを開示している。
特開平8−220427号公報
レトロフォーカス型の撮影光学系では、開口絞りの前方に負の屈折力のレンズ群が配置され、開口絞りの後方に正の屈折力のレンズ群が配置されており、長いバックフォーカスを確保しつつ広画角の撮影を容易にしている。広画角の撮影光学系においても撮影光学系が振動すると像ぶれが発生する。このため広画角の撮影光学系でも良好なる画像を得るためには防振機能を用いるのが有効である。
防振機能を設けて光学系(撮影光学系)が振動したときの像ぶれを補正するには、単に光路中に防振機能を設けるのではなく、撮影光学系の適切なる位置に配置することが防振において良好なる光学性能を得るのに重要になってくる。特許文献1では、最も像面側に近い位置に配置した2つのレンズを防振レンズ群としている。このため、防振レンズに入射する軸外光線の主光線の入射位置が高くなり、レンズ径が大きくなり、また防振時の収差補正が困難になる傾向がある。
一方、開口絞りより物体側に近い位置に配置したレンズを防振レンズ群とすると、射出瞳の位置と像面との間隔が狭まる傾向となり、像面への光線入射角が大きくなってしまう。像面への光線入射角が大きい場合、各受光素子の直前に配置されたマイクロレンズアレイの影響を受け、画面周辺部に到達すべき光束が受光素子上に達することが少なくなり、シェーディングが発生してくる。
防振機能を用いて光学系が振動したときの像ぶれを、光学性能を良好に維持しつつ、補正するには、防振レンズ群のレンズ構成及び防振レンズ群を配置する光学系への位置等を適切に設定することが重要である。特に広画角化を図りつつ、画面全体にわたり高い光学性能を得るための広画角の撮影光学系では重要である。これらの要素が不適切であると防振時に偏心収差が多く発生し、光学性能が大きく低下してくる。
本発明は、広画角でありながら画面全域で高画質の画像を得るのが容易で、防振時においても光学性能を良好に維持することが容易な光学系の提供を目的とする。
本発明の光学系は、焦点距離がバックフォーカスより短く、開口絞りに対し、物体側と像側に各々レンズ群が配置された光学系において、
前記開口絞りの像側に隣り合う位置に、光軸に対して垂直方向の成分を含む方向に移動して像位置を移動させる防振レンズ群が配置されており、
前記防振レンズ群は、正の屈折力の単レンズ又は接合レンズよりなり、
全系の焦点距離をf、前記防振レンズ群の焦点距離をfis、前記開口絞りから前記防振レンズ群の前記開口絞り側のレンズ面までの光軸上の距離をDis、無限遠物体にフォーカスしているときにおける、前記光学系の最も物体側のレンズ面から最終レンズ面までの光軸上の距離をDL、前記開口絞りから最終レンズ面までの光軸上の距離をDFS、前記防振レンズ群の光軸上の厚さをLisとするとき、
0.1<f/fis<1.0
0.022≦Dis/DL<0.25
0.3<DFS/f<2.0
0.01<Lis/DL≦0.037
なる条件を満足することを特徴としている。
本発明によれば、広画角でありながら画面全域で高画質の画像を得ることが容易で、防振時においても光学性能を良好に維持することが容易な光学系が得られる。
実施例1のレンズ断面図 実施例1の縦収差図 (A)、(B) 本発明の実施例1の基準状態と0.5°の防振補正をした時の横収差図 実施例2のレンズ断面図 実施例2の縦収差図 (A)、(B) 本発明の実施例2の基準状態と0.5°の防振補正をした時の横収差図 参考例1のレンズ断面図 参考例1の縦収差図 (A)、(B) 本発明の参考例1の基準状態と0.5°の防振補正をした時の横収差図 実施例のレンズ断面図 実施例の縦収差図 (A)、(B) 本発明の実施例の基準状態と0.5°の防振補正をした時の横収差図 本発明の撮像装置の要部概略図
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。本発明の光学系は、焦点距離がバックフォーカスより短く、開口絞りに対し、物体側と像側に各々レンズ群が配置されるレトロフォーカス型の光学系である。
例えば開口絞りよりも物体側の前方レンズ群LFの合成の屈折力が負であり、開口絞りよりも像側の後方レンズ群LRの合成の屈折力が正である。開口絞りの像側に隣り合う位置に、単一レンズ又は接合レンズよりなり、光軸に対して垂直方向の成分を含む方向に移動して像位置を移動させる防振レンズ群が配置されている。
図1は本発明の実施例1のレンズ断面図、図2は実施例1の縦収差図である。図3(A)、(B)は本発明の実施例1における基準状態と0.5°の防振補正をしたときの横収差図である。図4は本発明の実施例2のレンズ断面図、図5は実施例2の縦収差図である。図6(A)、(B)は本発明の実施例2における基準状態と0.5°の防振補正をしたときの横収差図である。
図7は本発明の参考例1のレンズ断面図、図8は参考例1の縦収差図である。図9(A)、(B)は本発明の参考例1における基準状態と0.5°の防振補正をしたときの横収差図である。図10は本発明の実施例のレンズ断面図、図11は実施例の縦収差図である。図12(A)、(B)は本発明の実施例における基準状態と0.5°の防振補正をしたときの横収差図である。図13は本発明の光学系を備える一眼レフカメラ(撮像装置)の要部概略図である。
各実施例の光学系は、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、銀塩フィルム用カメラ等の撮像装置(光学装置)に用いられる撮影光学系である。レンズ断面図において、左方が物体側(前方)で、右方が像側(後方)である。尚、各実施例の光学系をプロジェクターなどの投射レンズとして用いても良い。このときは左方がスクリーン、右方が被投射画像となる。
レンズ断面図において、LAは光学系である。光学系LAは開口絞りSPを挟んで物体側に負の屈折力の前方レンズ群LFと像側に正の屈折力の後方レンズ群LRを有している。L1はフォーカスに際して不動の負の屈折力の第1レンズ群、L2はフォーカスに際して移動する第2レンズ群である。
第2レンズ群L2は開口絞り(絞り)SPの物体側と像側に各々レンズ群L2a、L2bを有している。そして開口絞りSPの像側に隣り合う位置に、単一レンズ又は接合レンズよりなる防振レンズ群Gisを有している。FSは開口径不変の固定絞りである。IPは像面であり、ビデオカメラやデジタルスチルカメラの撮影光学系として使用する際にはCCDセンサやCMOSセンサなどの固体撮像素子(光電変換素子)の撮像面が、銀塩フィルム用カメラのときはフィルム面に相当する。
それぞれの縦収差図は、左から順に、球面収差、非点収差、歪曲、倍率色収差を表している。球面収差と倍率色収差を示す図において、実線はd線(587.6nm)、破線はg線(435.8nm)を表している。また、非点収差を示す図において、実線はd線のサジタル方向ΔS、破線はd線のメリディオナル方向ΔMを表している。また、歪曲を示す図は、d線における歪曲を表している。横収差図において、実線はd線のメリディオナル方向ΔM、破線はd線のサジタル方向ΔSを表している。FnoはFナンバー、ωは撮影画角の半画角(度)、hgtは像高である。
本発明の光学系LAは、開口絞りSPの物体側に負の屈折力の前方レンズ群LFが配置され、開口絞りSPの像側に正の屈折力の後方レンズ群LRが配置された所謂レトロフォーカスタイプ(レトロフォーカス型)よりなっている。
レトロフォーカス型の光学系では像側主点を光学系の最終レンズ面より像側に位置させることが容易であり、全系の焦点距離は光学系の最終レンズ面から像面までの距離(バックフォーカス)より小さい。この光学系は広画角化が容易である。またこの光学系は、最終レンズの像面側にクイックリターンミラーを配置する一眼レフカメラなど、長いバックフォーカスを確保したい撮影レンズに好適である。
レトロフォーカス型の光学系において、開口絞り近傍のレンズの有効径は比較的小さくなる。一般的に像面上の最大像高に到る軸外光線の光軸からの高さは、開口絞りからの距離が離れる(大きくなる)につれ高くなる。特に広画角の光学系ではその傾向がより顕著となる。
このような広画角の光学系において軸外光線(画面周辺)に充分な光量を確保するためには、開放Fナンバー光束を決める開口絞りで軸外光線をなるべく切らないようにすることが望ましい。そのため開口絞りは、光学系の中でも最も物体側の第1レンズ面付近や最も像側の最終レンズ面付近に配置するのではなく、光学系の光軸方向の中央付近に配置することが望ましい。これによれば軸外光線の主光線が開口絞り付近で光軸と交わるように構成することができる。結果として開口絞り近傍に配置するレンズは比較的有効径が小さいものとなる。
本発明の光学系では、開口絞りの像側に隣り合う位置に配置されているレンズ群を光軸に対し垂直方向の成分を持つように移動させる防振レンズ群としている。これにより、防振レンズ群の小型化を図りつつ、レンズの保持機構および駆動機構を容易にしている。さらに、防振レンズ群を絞り近傍に配置することで、防振レンズ群内を通る軸外光線の高さを低くすることができる。これにより防振時に画面周辺の収差の変動が少なくしている。
具体的には、各実施例では、開口絞りSPの像側に隣り合う位置に防振レンズ群Gisを配置し、防振レンズ群Gisを光軸に対し垂直方向の成分を持つように移動させることにより光学系LAの手振れ等に起因する像位置の変動を補正(防振)している。
各実施例において、全系の焦点距離をf、防振レンズ群Gisの焦点距離をfisとする。開口絞りSPから防振レンズ群Gisの開口絞りSP側のレンズ面までの光軸上の距離をDis、無限遠物体にフォーカスしているときにおける最も物体側のレンズ面から最終レンズ面までの光軸上の距離をDLとする。開口絞りSPから最終レンズ面までの光軸上の距離をDFSとする。
このとき、
0.1<f/fis<1.0 ・・・(1)
0.022≦Dis/DL<0.25 ・・・(2)
0.3<DFS/f<2.0 ・・・(3)
なる条件を満足している。
条件式(1)は、全系の焦点距離に対する防振レンズ群Gisの屈折力(焦点距離の逆数)を適切にするためのものである。ここで各実施例において防振レンズ群Gisの屈折力の符号は条件式(1)の数値範囲及び後述する表1に示す各実施例の条件式(1)の値に示すように正である。条件式(1)の上限を超えて防振レンズ群Gisの屈折力が強くなると、防振の際に偏心収差が多く発生し、光学性能が劣化してくる。又、防振レンズ群Gisの移動量に対する像位置の補正量(防振敏感度)が大きくなってくる。このため、一定の防振効果を得るための防振レンズ群Gisの移動量が小さくなり過ぎて、その移動量を電気的又は機械的に精度良く駆動させることが困難になってくる。
また、条件式(1)の下限を超えて防振レンズ群Gisの屈折力が弱くなると、防振敏感度が低くなり過ぎ、防振時に光軸に対して垂直成分を持つように駆動させる量が大きくなって駆動機構が大型化してくる。
条件式(2)は、開口絞りSPから、防振レンズ群Gis内の開口絞りSPに対して最も近いレンズ面までの光軸上の距離を適切にするためのものである。
条件式(2)の上限を超えて防振レンズ群Gisが開口絞りSPから離れて像面側に近づくと、防振レンズ群Gisが大型化してくる。また、防振レンズ群Gisを通る軸外光線の光軸からの高さが高くなり、防振時の軸外光線の収差補正が難しくなってくる。また条件式(2)の下限に近づいて防振レンズ群Gisが開口絞りSPに近づいてくると、開口絞りと防振レンズ群Gisが干渉しやすくなり、Fナンバー光束のコントロールが困難となる。
条件式(3)は、開口絞りSPから光学系LAの最終レンズ面までの距離を規定するものである。条件式(3)の上限を超えて開口絞りSPの位置が像面から離れるとレンズ全長が長くなり、光学系LAの小型化が困難となる。条件式(3)の下限を超えて開口絞りSPの位置が像面に近づくと、射出瞳位置が像面に近くなるため、像面への光線入射角が大きくなる。この結果、CCDやCMOSなどの固体撮像素子を使用する場合、画面周辺光量が低下してくる。またテレセントリックな光学系を確保することが困難となるためシェーディングが多く発生してくる。
各実施例において、更に好ましくは条件式(1)乃至(3)の数値範囲を次の如く設定するのが良い。
0.11<f/fis<0.90 ・・・(1a)
0.022≦Dis/DL<0.08 ・・・(2a)
0.4<DFS/f<1.8 ・・・(3a)
各実施例によれば以上のようにレンズ構成を特定することによって高い光学性能を持ちながらも、防振レンズ群の小型化を容易にし、かつ防振時にも良好な画像を得ることができる防振機能を有した広画角の光学系が得られる。
各実施例において更に好ましくは次の諸条件のうち1以上を満足するのが良い。無限遠物体にフォーカスしているときの防振レンズ群Gisの横倍率をβisとする。無限遠物体にフォーカスしているときの防振レンズ群Gisの像側に配置されている光学系の横倍率をβrとする。防振レンズ群Gisの光軸上の厚さをLisとする。物体距離無限遠における第1レンズ面から最終レンズ面までの光軸上の距離をDLとする。最も物体側のレンズ面から像面までの光軸上の距離(レンズ全長)をTLとする。このとき以下の条件式のうち1以上を満足するのが良い。
0.1<|(1−βis)βr|<1.3 ・・・(4)
0.01<Lis/DL≦0.037 ・・・(5)
1.0<TL/f<4.5 ・・・(6)
条件式(4)は、防振時の光学性能を良好に維持しつつ、高い光学性能を得るためのものである。ここで横倍率βis、βrは全系が物体距離無限遠にフォーカシングした状態での値である。
条件式(4)は防振レンズ群Gisの光軸に対する垂直方向への成分の移動量とこれに伴い発生する結像面上の像点移動量の比(防振敏感度)に関する。防振敏感度の値が大きいほど少ない移動量で像点移動が容易となる。
条件式(4)の上限を超えて防振敏感度が高すぎると一定の防振効果を得るための防振レンズ群Gisの移動量が小さくなり過ぎて、その移動量を電気的又は機械的に精度良く駆動させることが困難になってくる。また、条件式(4)の下限値を超えて防振敏感度が低すぎる場合、防振時に光軸に対して垂直方向の成分を持つように駆動させる量が大きくなって駆動機構が大型化してくる。
条件式(5)は防振レンズ群Gisを小型化するためのものである。条件式(5)は防振レンズ群Gisの光軸上の長さLisと物体距離無限遠における光学系LAの第1レンズ面から最終レンズ面までの光軸上の距離DLの比を適切な範囲に規定している。条件式(5)の上限を超えて防振レンズ群Gisの光軸上の長さが長くなると、防振のための機構が大型化してくる。条件式(4)の下限を超えて防振レンズ群Gisの光軸上の長さが短くなると、防振レンズ群Gisを構成する各レンズの加工が困難なレンズ形状になってくる。
条件式(6)は光学性能を良好に維持しつつ、全系の小型化を図るためのものである。条件式(6)は、光学系LAの焦点距離に対する好適なレンズ全長(第1レンズ面から像面までの長さ)の割合を規定するものであり、光学系のテレ比(望遠比)の程度に対応している。条件式(6)の上限を超えると、全系の小型化が困難になる。逆に、条件式(6)の下限を超えると、充分なバックフォーカスを確保しつつ良好な光学性能を達成するのが困難になる。更に好ましくは条件式(4)、(5)、(6)の数値範囲を次の如く設定するのが良い。
0.11<|(1−βis)βr|<1.20 ・・・(4a)
0.015<Lis/DL≦0.037 ・・・(5a)
2.5<TL/f<4.1 ・・・(6a)
実施例1では、無限遠物体から至近物体へのフォーカシングは、防振レンズ群Gisを含む7枚のレンズと絞りSPとにより構成される第2レンズ群L2を物体側に移動させることで行う。各収差図から明らかなように実施例1では防振時も含めて諸収差が良好に補正されている。防振レンズ群Gisは両凸形状の1つの正レンズである。第1レンズ群L1は負レンズと正レンズよりなっている。
実施例2では、無限遠物体から至近距離物体へのフォーカシングを、防振レンズ群Gisを含む9枚のレンズと絞りSPとにより構成される第2レンズ群L2を物体側に移動させることで行う。各収差図から明らかなように実施例2では防振時も含めて諸収差が良好に補正されている。
参考例1では、無限遠物体から至近距離物体へのフォーカシングを、防振レンズ群Gisを含む8枚のレンズと絞りSPとにより構成される第2レンズ群L2を物体側に移動させることで行う。各収差図から明らかなように参考例1では防振時も含めて諸収差が良好に補正されている。防振レンズ群Gisは両凸形状の正レンズと負レンズとを接合した接合レンズである。第1レンズ群L1は負レンズと正レンズよりなっている。
実施例では、無限遠物体から至近距離物体へのフォーカシングを、防振レンズ群Gisを含む8枚のレンズと絞りSPとにより構成される第2レンズ群L2を物体側に移動させることで行う。各収差図から明らかなように実施例では防振時も含めて諸収差が良好に補正されている。防振レンズ群Gisは物体側の面が凸でメニスカス形状の負レンズと両凸形状の正レンズとを接合した接合レンズである。第1レンズ群L1は負レンズと正レンズより成っている。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
次に、本発明の光学系を撮像光学系として一眼レフカメラシステム(撮像装置)(光学機器)に用いた実施例を、図13を用いて説明する。
図13において、10は一眼レフカメラ本体、11は本発明の光学系を搭載した交換レンズである。12は交換レンズ11を通して形成される像を受光するフィルムや撮像素子などの記録手段である。13は交換レンズ11からの被写体像を観察するファインダー光学系、14は交換レンズ11で形成された被写体像を記録手段12とファインダー光学系13に切り替えて伝送するための回動するクイックリターンミラーである。
ファインダー光学系13で被写体像を観察する場合は、クイックリターンミラー14を介してピント板15に結像した被写体像をペンタプリズム16で正立像としたのち、接眼光学系17で拡大して観察する。撮影時にはクイックリターンミラー14が矢印方向に回動して被写体像は記録手段12に結像して記録される。18はサブミラー、19は焦点検出装置である。
このように本発明の光学系を一眼レフカメラ等の交換レンズ等の撮像装置に適用することにより、高い光学性能を有した撮像装置が実現できる。尚、本発明の光学系はクイックリターンミラーのないミラーレスの一眼レフカメラにも同様に適用することができる。
以下に、実施例1、実施例2、参考例1、実施例3に各々対応する数値実施例1〜4を示す。各数値実施例において、iは物体側からの面の順番を示し、riは第i番目(第i面)の曲率半径である。diは第i面と第i+1面との間の間隔である。ndi、νdiはそれぞれd線を基準とした屈折率、アッベ数を示す。BFはバックフォーカスである。*はその面が非球面であることを示す。面番号1は設計上用いたダミー面であり、レンズ群を構成するものではない。(非球面データ)には、非球面を次式で表した場合の非球面係数を示す。
x=(h2/R)/[1+{1−(1+k)(h/R)21/2 +B・h4+C・h6+D・h8+E・h10+F・h12
但し、
x:光軸方向の基準面からの変位量である。
h:光軸に対して垂直な方向の高さである。
R:ベースとなる2次曲面の半径である。
B、C、D、E、Fはそれぞれ4次、6次、8次、10次、12次の非球面係数である。
なお、「e−Z」の表示は「10−Z」を意味する。又前述の各条件式と数値実施例における諸数値との関係を表1に示す。
[数値実施例1]
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd 有効径
1 ∞ 1.70 51.00
2 62.223 1.53 1.60311 60.6 42.00
3 26.747 6.75 36.15
4 277.138 2.79 1.77250 49.6 35.89
5 -158.852 7.05 35.24
6 72.398 1.13 1.48749 70.2 23.44
7 19.530 10.06 20.54
8 22.447 3.40 1.91082 35.3 13.99
9 -42.595 0.72 1.73800 32.3 13.69
10 29.265 3.28 13.24
11(絞り) ∞ 4.09 13.11
12 105.862 1.59 1.72916 54.7 13.50
13 -105.862 3.57 13.50
14 -13.728 1.45 1.74000 28.3 12.82
15 -251.595 4.39 1.69680 55.5 15.18
16 -18.429 0.80 17.50
17* -64.983 3.21 1.58313 59.4 19.47
18 -19.807 0.00 20.50
19(フレアーカット絞り) 23.78
像面 ∞

非球面データ
第17面
B =-2.52195e-005 C = 4.30341e-008 D =-6.12181e-010 E = 1.94445e-012
F = 0.00000e+000

各種データ
焦点距離 28.60
Gis焦点距離 72.82
Fナンバー 2.86
画角 37.11
像高 21.64
レンズ全長 95.79
BF 38.28
[数値実施例2]
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
1 ∞ 1.70
2 60.045 1.60 1.71300 53.9
3 24.527 6.80
4 210.703 3.00 1.80610 33.3
5 -149.670 7.01
6 36.681 1.00 1.77250 49.6
7 14.802 3.43
8 -534.728 3.65 1.56732 42.8
9 -35.638 1.63
10 -26.187 0.80 1.77250 49.6
11 137.833 0.42
12 24.165 4.25 1.91082 35.3
13 -20.084 4.38 1.84666 23.9
14 -63.845 2.70
15(絞り) ∞ 3.01
16 106.389 1.50 1.72916 54.7
17 -152.064 5.06
18 -11.257 1.35 1.75520 27.5
19 -42.148 3.65 1.59522 67.7
20 -14.866 0.56
21* -61.679 3.98 1.58313 59.4
22 -17.579 0.00
23(フレアーカット絞り)
像面 ∞

非球面データ
第21面
B =-3.22021e-005 C =-2.92301e-008 D = 4.16067e-010 E =-5.09494e-012
F = 1.35149e-014

焦点距離 24.60
Gis焦点距離 86.06
Fナンバー 2.91
画角 41.33
像高 21.64
レンズ全長 99.76
BF 38.28
[数値実施例3]
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
1 ∞ 1.50
2 63.920 1.80 1.60311 60.6
3 29.247 5.41
4 136.457 3.25 1.77250 49.6
5 -462.325 5.83
6 37.049 1.30 1.48749 70.2
7 13.091 11.42
8 24.977 7.57 1.91082 35.3
9 -14.684 0.80 1.83400 37.2
10 29.879 1.56
11(絞り) ∞ 1.20
12 75.785 3.40 1.72916 54.7
13 -12.701 0.80 1.85026 32.3
14 -31.939 0.76
15 -17.094 0.80 1.67270 32.1
16 306.563 0.76
17 -43.846 2.46 1.77250 49.6
18 -17.774 0.80
19* -54.483 2.51 1.58313 59.4
20 -20.711 0.00
21(フレアーカット絞り)
像面 ∞


非球面データ
第19面
B =-1.66198e-005 C = 3.23707e-008 D =-4.23969e-010 E = 0.00000e+000
F = 0.00000e+000

焦点距離 28.61
Gis焦点距離 37.91
Fナンバー 2.86
画角 37.10
像高 21.64
レンズ全長 93.63
BF 37.73
[数値実施例4]
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
1 ∞ 1.50
2 69.324 2.00 1.51633 64.1
3 28.413 4.78
4 84.432 3.29 1.74100 52.6
5 9159.727 5.53
6 42.985 1.30 1.58913 61.1
7 15.781 12.47
8 21.537 4.95 1.83400 37.2
9 -26.310 0.85 1.72342 38.0
10 27.885 2.38
11(絞り) ∞ 1.21
12 72.560 0.80 1.72000 46.0
13 14.632 2.77 1.69100 54.8
14 -97.123 3.88
15 -12.936 0.80 1.74077 27.8
16 -138.758 0.16
17 -117.843 3.47 1.77250 49.6
18 -15.935 0.20
19* -48.747 2.72 1.58313 59.4
20 -20.245 0.00
21(フレアーカット絞り)
像面 ∞

非球面データ
第19面
B =-2.85508e-005 C = 9.53495e-009 D =-4.04896e-010 E = 0.00000e+000
F = 0.00000e+000

焦点距離 28.60
Gis焦点距離 66.00
Fナンバー 2.91
画角 37.10
像高 21.64
レンズ全長 92.78
BF 37.73
LA 光学系 Gis 防振レンズ群 SP 開口絞り
FS 固定絞り

Claims (4)

  1. 焦点距離がバックフォーカスより短く、開口絞りに対し、物体側と像側に各々レンズ群が配置された光学系において、
    前記開口絞りの像側に隣り合う位置に、光軸に対して垂直方向の成分を含む方向に移動して像位置を移動させる防振レンズ群が配置されており、
    前記防振レンズ群は、正の屈折力の単レンズ又は接合レンズよりなり、
    全系の焦点距離をf、前記防振レンズ群の焦点距離をfis、前記開口絞りから前記防振レンズ群の前記開口絞り側のレンズ面までの光軸上の距離をDis、無限遠物体にフォーカスしているときにおける、前記光学系の最も物体側のレンズ面から最終レンズ面までの光軸上の距離をDL、前記開口絞りから最終レンズ面までの光軸上の距離をDFS、前記防振レンズ群の光軸上の厚さをLisとするとき、
    0.1<f/fis<1.0
    0.022≦Dis/DL<0.25
    0.3<DFS/f<2.0
    0.01<Lis/DL≦0.037
    なる条件を満足することを特徴とする光学系。
  2. 無限遠物体にフォーカスしているときの前記防振レンズ群の横倍率をβis、無限遠物体にフォーカスしているときの前記防振レンズ群の像側に配置されている光学系の横倍率をβrとするとき、
    0.1<|(1−βis)βr|<1.3
    なる条件を満足することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
  3. 前記光学系の最も物体側のレンズ面から像面までの光軸上の距離をTLとするとき、
    1.0<TL/f<4.5
    なる条件を満足することを特徴とする請求項1または2に記載の光学系。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光学系と、該光学系によって形成される像を受光する撮像素子を有することを特徴とする撮像装置。
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