JP2013210150A - 冷凍装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】冷媒の流通経路を切り換える切換弁が冷媒回路に設けられた冷凍装置において、切換弁の作動に起因して生じる騒音を抑制する。
【解決手段】冷凍装置である空気調和機の冷媒回路には、四方切換弁が設けられる。四方切換弁を構成する切換弁は、四つのポートが開口する弁座面を有する弁座と、弁座面と向かい合って配置された弁体とを備える。弁体は、第1ポートが第3ポートと連通し且つ第2ポートが第4ポートと連通する第1位置と、第1ポートが第4ポートと連通し且つ第2ポートが第3ポートと連通する第2位置の間を回転移動する。弁体が第1位置と第2位置の間に位置する中間状態の切換弁では、第3ポート及び第4ポートが第1ポートと第2ポートの両方と連通する。制御器は、切換弁を切り換える際に切換弁が所定時間に亘って中間状態となるように、弁体を徐々に回転させる。
【選択図】図8

Description

本発明は、冷媒の流通経路を切り換える切換弁が冷媒回路に設けられた冷凍装置に関するものである。
従来より、冷媒の流通経路を切り換える切換弁が冷媒回路に設けられた冷凍装置が知られている。特許文献1に開示された冷凍装置は、切換弁としてパイロット式の四方切換弁を備えている。パイロット式の四方切換弁は、冷媒回路を循環する冷媒の圧力差を利用して作動する。つまり、パイロット式四方切換弁の弁体は、高圧冷媒と低圧冷媒の圧力差を利用して駆動される。また、特許文献2には、弁体が回転することによって切り換わるロータリ式の四方切換弁が開示されている。
特許文献1の冷凍装置において、四方切換弁は、庫外熱交換器が凝縮器となって庫内熱交換器が蒸発器となる運転と、庫内熱交換器が凝縮器となって庫内熱交換器が蒸発器となる運転とを切り換えるために用いられる。つまり、四方切換弁が作動すると、それまで高圧冷媒が流れていた熱交換器が圧縮機の吸入管に接続し、それまで低圧冷媒が流れていた熱交換器が圧縮機の吐出管に接続する。従って、四方切換弁が作動すると、冷媒回路における冷媒の流速や流れ方向が変化する。
特開2009−074791号公報 特開2011−094787号公報
上述したように、切換弁が作動すると、冷媒回路における冷媒の流速や流れ方向が変化する。このため、例えば二酸化炭素を冷媒として用いる場合のように冷凍サイクルの高圧と低圧の差が非常に大きい場合は、切換弁が作動したときの冷媒の流速や流れ方向の変化が非常に大きくなり、比較的大きな騒音が発生するおそれがある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、切換弁の作動に起因して生じる騒音を抑制することにある。
第1の発明は、冷媒を循環させて冷凍サイクルを行う冷媒回路(15)と、上記冷媒回路(15)に設けられて冷媒の流通経路を切り換える切換弁(100,101)とを備える冷凍装置を対象とする。そして、上記切換弁(100,101)は、第1ポート(171)、第2ポート(172)及び第3ポート(173)が開口する平坦な弁座面(141)を有する弁座(140)と、上記弁座面(141)と向かい合って配置され、上記第1ポート(171)を上記第3ポート(173)に連通させる第1位置と、上記第2ポート(172)を上記第3ポート(173)に連通させる第2位置との間を回転移動する弁体(130)とを備え、上記第1ポート(171)は上記冷媒回路(15)の高圧配管(23)に、上記第2ポート(172)は上記冷媒回路(15)の低圧配管(21)にそれぞれ接続され、上記弁体(130)が上記第1位置と上記第2位置の一方から他方へ至る途中に、所定時間に亘って上記第3ポート(173)が上記第1ポート(171)と上記第2ポート(172)の両方に連通する中間状態となるように上記弁体(130)の動作を制御する制御器(80)を備えるものである。
第1の発明の冷媒回路(15)において、切換弁(100,101)は、第1ポート(171)が高圧配管(23)に接続し、第2ポート(172)が低圧配管(21)に接続する。切換弁(100,101)の弁体(130)が第1位置にある場合、冷媒回路(15)のうち第3ポート(173)に接続された部分を流れる冷媒の圧力は、高圧配管(23)を流れる冷媒の圧力と同等となる。一方、切換弁(100,101)の弁体(130)が第2位置にある場合、冷媒回路(15)のうち第3ポート(173)に接続された部分を流れる冷媒の圧力は、低圧配管(21)を流れる冷媒の圧力と同等となる。
第1の発明の切換弁(100,101)は、弁体(130)が第1位置と第2位置の一方から他方へ移動する途中に、中間状態となる。中間状態では、第3ポート(173)が第1ポート(171)と第2ポート(172)の両方に連通する。また、この発明の制御器(80)は、切換弁(100,101)が所定時間に亘って中間状態となるように、弁体(130)の動作を制御する。
第1の発明において、弁体(130)が第1位置から第2位置の一方から他方へ移動する途中の中間状態では、それまで第1ポート(171)だけと連通していた第3ポート(173)が第1ポート(171)と第2ポート(172)の両方に連通する。このため、冷媒回路(15)のうち第3ポート(173)に接続された部分の圧力が次第に低下してゆく。一方、弁体(130)が第2位置から第1位置へ移動する途中の中間状態では、それまで第2ポート(172)だけと連通していた第3ポート(173)が第1ポート(171)と第2ポート(172)の両方に連通する。このため、冷媒回路(15)のうち第3ポート(173)に接続された部分の圧力が次第に上昇してゆく。つまり、弁体(130)が第1位置から第2位置の一方から他方へ一気に移動する場合に比べ、冷媒回路(15)のうち第3ポート(173)に接続された部分の圧力の変動が緩やかとなる。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記制御器(80)は、上記冷媒回路(15)の圧縮機(31,32,34)を運転したままで上記切換弁(100,101)の上記弁体(130)を移動させるものである。
第2の発明では、切換弁(100,101)が作動するときも圧縮機(31,32,34)が運転を継続する。切換弁(100,101)が作動する際には、制御器(80)が切換弁(100,101)を所定時間に亘って中間状態にする。このため、圧縮機(31,32,34)を運転したままで切換弁(100,101)を作動させても、冷媒回路(15)のうち切換弁(100,101)の第3ポート(173)に接続された部分の圧力変動が緩和される。
第3の発明は、上記第1の発明において、上記制御器(80)は、上記冷媒回路(15)の圧縮機(31,32,34)を一時的に停止させた状態で上記切換弁(100,101)の上記弁体(130)を移動させ、該弁体(130)の移動が完了してから上記圧縮機(31,32,34)を起動するものである。
第3の発明では、切換弁(100,101)が作動する際に圧縮機(31,32,34)が一旦停止し、切換弁(100,101)の作動が完了すると圧縮機(31,32,34)が再起動する。
第4の発明は、上記第1〜第3の何れか一つの発明において、上記冷媒回路(15)には、高圧冷媒の膨張によって発生した動力を利用して発電する膨張機(33)が設けられ、上記制御器(80)は、上記膨張機(33)を一時的に停止させた状態で上記切換弁(100,101)の上記弁体(130)を移動させるものである。
第4の発明では、冷媒回路(15)に膨張機(33)が設けられる。この発明では、切換弁(100,101)が作動する際に膨張機(33)が一時的に停止する。ここで、切換弁(100,101)が作動すると、冷媒の流速や流れ方向が変化するため、膨張機(33)の動作が不安定化するおそれがある。そこで、この発明では、切換弁(100,101)を作動させる際に膨張機(33)を一時的に停止させる。
第5の発明は、上記第1〜第4の何れか一つの発明において、上記切換弁(100,101)の上記弁座面(141)には、更に第4ポート(174)が開口しており、上記第4ポート(174)は、上記第1位置のときに上記第2ポート(172)と連通し、上記弁体(130)が上記第2位置のときに上記第1ポート(171)に連通するものである。
第5の発明では、切換弁(100,101)に第4ポート(174)が設けられる。弁体(130)が第1位置にある場合、切換弁(100,101)では、第1ポート(171)が第3ポート(173)と連通し、第2ポート(172)が第4ポート(174)と連通する。一方、弁体(130)が第2位置にある場合、切換弁(100,101)では、第2ポート(172)が第3ポート(173)と連通し、第1ポート(171)が第4ポート(174)と連通する。
本発明の冷凍装置(10)に設けられた制御器(80)は、切換弁(100,101)が所定時間に亘って中間状態となるように、弁体(130)の動作を制御する。切換弁(100,101)が中間状態となっている間は、第3ポート(173)が第1ポート(171)と第2ポート(172)の両方に連通する。このため、本発明の切換弁(100,101)の作動時において、冷媒回路(15)のうち第3ポート(173)に接続された部分の圧力の変動は、弁体(130)が第1位置から第2位置の一方から他方へ一気に移動する場合に比べて緩やかとなる。従って、本発明によれば、切換弁(100,101)の作動に起因する冷媒の流速や流れ方向の変化を緩和することができ、冷媒の流速や流れ方向の変化に起因する騒音を抑えることができる。
上記第2の発明では、制御器(80)の制御動作によって切換弁(100,101)の作動に起因する冷媒の流速や流れ方向の変化を緩和できる。このため、切換弁(100,101)の作動に起因する騒音を抑制しつつ、圧縮機(31,32,34)を運転したままで切換弁(100,101)を作動させることができ、切換弁(100,101)の作動後における冷凍装置(10)の能力を確保することができる。
上記第3の発明では、切換弁(100,101)の作動中に圧縮機(31,32,34)が一旦停止する。このため、切換弁(100,101)の作動に起因する冷媒の流速や流れ方向の変化を一層緩和でき、切換弁(100,101)の作動に起因する騒音を確実に抑制できる。
上記第4の発明の制御器(80)は、切換弁(100,101)が作動する際に膨張機(33)を一時的に停止させる。このため、切換弁(100,101)の作動に起因して冷媒の流速や流れ方向が変化する状態では膨張機(33)を停止させ、膨張機(33)を安定した状態で運転させることができる。
図1は、実施形態1の空気調和機の概略構成を示す冷媒回路の配管系統図と制御器のブロック図である。 図2は、実施形態1の冷媒回路の配管系統図であって、冷房運転時の冷媒の流れを示すものである。 図3は、実施形態1の冷媒回路の配管系統図であって、暖房運転時の冷媒の流れを示すものである。 図4は、実施形態1の四方切換弁を構成する切換弁の縦断面図である。 図5は、図4におけるA−A断面を示す切換弁の横断面図である。 図6は、図4におけるB−B断面を示す切換弁の横断面図である。 図7は、実施形態1の切換弁の動作を示す切換弁の横断面図である。 図8は、実施形態1の制御器が行う動作と圧力差ΔPの変化を示すタイムチャートである。 図9は、実施形態2の制御器が行う動作と圧力差ΔPの変化を示すタイムチャートである。 図10は、実施形態3の空気調和機の概略構成を示す冷媒回路の配管系統図と制御器のブロック図である。 図11は、実施形態3の冷媒回路の配管系統図であって、冷房主体運転中に全ての室内ユニットが冷房動作を行う場合の冷媒の流れを示すものである。 図12は、実施形態3の冷媒回路の配管系統図であって、冷房主体運転中に第1室内ユニットが暖房動作を行う場合の冷媒の流れを示すものである。 図13は、実施形態3の冷媒回路の配管系統図であって、暖房主体運転中に第1及び第2室内ユニットが暖房動作を行う場合の冷媒の流れを示すものである。 図14は、実施形態3の冷媒回路の配管系統図であって、暖房主体運転中に第2室内ユニットが冷房動作を行う場合の冷媒の流れを示すものである。 図15は、実施形態4の空気調和機の概略構成を示す冷媒回路の配管系統図と制御器のブロック図である。 図16は、実施形態4の三方切換弁を構成する切換弁の横断面図である。 図17は、実施形態4の切換弁の動作を示す切換弁の横断面図である。
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態および変形例は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1について説明する。本実施形態の空気調和機(10)は、冷凍サイクルを行う冷媒回路(15)を備えた冷凍装置である。
−空気調和機の構成−
図1に示すように、本実施形態の空気調和機(10)は、一つの室外ユニット(11)と、二つの室内ユニット(12a,12b)とを備えている。なお、室外ユニット(11)及び室内ユニット(12a,12b)の台数は、単なる一例である。
室外ユニット(11)には、室外回路(20)が収容されている。各室内ユニット(12a,12b)には、室内回路(70a,70b)が一つずつ収容されている。室外回路(20)及び室内回路(70a,70b)は、液側連絡管(16)及びガス側連絡管(17)によって互いに接続されて冷媒回路(15)を構成している。冷媒回路(15)には、冷媒として二酸化炭素が充填されている。
室外回路(20)には、低段圧縮機(31)と、高段圧縮機(32)と、第1四方切換弁(100a)と、第2四方切換弁(100b)と、室外熱交換器(35)と、中間圧回路(22)と、ブリッジ回路(24)と、一方向回路(25)とが設けられている。
低段圧縮機(31)と高段圧縮機(32)のそれぞれは、圧縮機構(31a,32a)とそれを駆動する電動機(31b,32b)とを備えた全密閉型圧縮機である。室外熱交換器(35)は、フィン・アンド・チューブ型の熱交換器であって、冷媒を室外空気と熱交換させる。
第1四方切換弁(100a)と第2四方切換弁(100b)のそれぞれは、四つのポートを備えた切換弁(100)により構成されている。第1四方切換弁(100a)及び第2四方切換弁(100b)を構成する切換弁(100)については、後ほど詳細に説明する。各四方切換弁(100a,100b)は、第1ポートが第3ポートと連通し且つ第2ポートが第4ポートと連通する第1状態(図1に実線で示す状態)と、第1ポートが第4ポートと連通し且つ第2ポートが第3ポートと連通する第2状態(図1に破線で示す状態)とに切り換わる。
低段圧縮機(31)の吸入管(31c)は、低圧配管(21)を介して第1四方切換弁(100a)の第2ポートに接続されている。低圧配管(21)には、低圧センサ(63)が設けられている。低圧センサ(63)は、低段圧縮機(31)へ吸入される冷媒の圧力を計測する。低段圧縮機(31)の吐出管(31d)は、逆止弁(51)を介して第1四方切換弁(100a)の第1ポートに接続されている。この逆止弁(51)は、低段圧縮機(31)から第2四方切換弁(100b)へ向かう冷媒の流れを許容し、逆向きの冷媒の流れを阻止する。
中間圧回路(22)は、一端が第2四方切換弁(100b)の第3ポートに接続され、他端が高段圧縮機(32)の吸入管(32c)に接続されている。中間圧回路(22)には、その一端から他端へ向かって順に、中間熱交換器(36)と逆止弁(52)とが配置されている。この逆止弁(52)は、中間熱交換器(36)から高段圧縮機(32)へ向かう冷媒の流れを許容し、逆向きの冷媒の流れを阻止する。中間熱交換器(36)は、フィン・アンド・チューブ型の熱交換器であって、冷媒を室外空気と熱交換させる。また、中間圧回路(22)には、中間圧センサ(62)が設けられている。中間圧センサ(62)は、高段圧縮機(32)へ吸入される冷媒の圧力を計測する。
第2四方切換弁(100b)は、第2ポートが低圧配管(21)に接続され、第4ポートが逆止弁(53)を介して中間圧回路(22)における逆止弁(52)の下流側に接続されている。この逆止弁(53)は、第2四方切換弁(100b)から中間圧回路(22)へ向かう冷媒の流れを許容し、逆向きの冷媒の流れを阻止する。
高段圧縮機(32)の吐出管(32d)は、高圧配管(23)を介して第1四方切換弁(100a)の第1ポートに接続されている。高圧配管(23)には、逆止弁(54)が設けられている。この逆止弁(54)は、高段圧縮機(32)から第1四方切換弁(100a)へ向かう冷媒の流れを許容し、逆向きの冷媒の流れを阻止する。また、高圧配管(23)には、高圧センサ(61)が設けられている。高圧センサ(61)は、高段圧縮機(32)から吐出された冷媒の圧力を計測する。
第1四方切換弁(100a)は、第3ポートが室外熱交換器(35)の一端に接続され、第4ポートが配管を介してガス側連絡管(17)の一端に接続されている。室外熱交換器(35)の他端は、ブリッジ回路(24)に接続されている。
ブリッジ回路(24)は、三つの逆止弁(55,56,57)と第1室外膨張弁(41)とをブリッジ状に接続した回路である。ブリッジ回路(24)は、第1室外膨張弁(41)と逆止弁(55)の間が室外熱交換器(35)に接続され、逆止弁(56)と逆止弁(57)の間が配管を介して液側連絡管(16)の一端に接続されている。また、ブリッジ回路(24)は、逆止弁(55)と逆止弁(56)の間に一方向回路(25)の入口端が接続され、逆止弁(57)と第1室外膨張弁(41)の間に一方向回路(25)の出口端が接続されている。逆止弁(55)及び逆止弁(56)は、一方向回路(25)の入口端へ流入する冷媒の流れを許容し、逆向きの冷媒の流れを阻止する。逆止弁(57)は、一方向回路(25)の出口端から流出する冷媒の流れを許容し、逆向きの冷媒の流れを阻止する。第1室外膨張弁(41)は、開度可変の電子膨張弁である。
一方向回路(25)には、その入口端から出口端へ向かって順に、第1冷却用熱交換器(37)と、膨張機(33)と、レシーバ(39)と、第2冷却用熱交換器(38)とが配置されている。また、一方向回路(25)には、第1冷却用回路(26)と、第2冷却用回路(27)と、バイパス配管(28)とが接続されている。
第1冷却用回路(26)は、一端が一方向回路(25)における第1冷却用熱交換器(37)の上流に接続され、他端が中間圧回路(22)における逆止弁(52)の下流に接続されている。第1冷却用回路(26)には、その一端から他端へ向かって順に、第1冷却用膨張弁(45)と、第1冷却用熱交換器(37)とが配置されている。第1冷却用熱交換器(37)は、一方向回路(25)を流れる冷媒を、第1冷却用回路(26)を流れる冷媒と熱交換させる。第1冷却用膨張弁(45)は、開度可変の電子膨張弁である。
膨張機(33)は、膨張機構(33a)と、膨張機構(33a)によって駆動される発電機(33b)とを備えている。膨張機構(33a)は、ロータリ式流体機械やスクロール型流体機械等の容積型流体機械によって構成され、冷媒の膨張によって動力を発生させる。
バイパス配管(28)は、一端が膨張機(33)の流入管(33c)に接続され、他端が膨張機(33)の流出管(33d)に接続されている。このバイパス配管(28)には、バイパス調節弁(43)が設けられている。バイパス調節弁(43)は、開度可変の電子膨張弁である。
第2冷却用回路(27)は、一端が一方向回路(25)における第2冷却用熱交換器(38)の上流に接続され、他端が低圧配管(21)に接続されている。第2冷却用回路(27)には、その一端から他端へ向かって順に、第2冷却用膨張弁(46)と、第2冷却用熱交換器(38)とが配置されている。第2冷却用熱交換器(38)は、一方向回路(25)を流れる冷媒を、第2冷却用回路(27)を流れる冷媒と熱交換させる。第2冷却用膨張弁(46)は、開度可変の電子膨張弁である。
室外回路(20)には、第2室外膨張弁(42)と、流量調節弁(44)とが更に設けられている。第2室外膨張弁(42)は、一端が一方向回路(25)における第2冷却用熱交換器(38)の下流に接続され、他端が中間圧回路(22)における中間熱交換器(36)と逆止弁(52)の間に接続されている。流量調節弁(44)は、一端がレシーバ(39)の上部に接続され、他端が第2冷却用回路(27)における第2冷却用膨張弁(46)の下流に接続されている。第2室外膨張弁(42)及び流量調節弁(44)は、開度可変の電子膨張弁である。
各室内回路(70a,70b)は、室内熱交換器(71a,71b)と室内膨張弁(72a,72b)とを直列に接続した回路である。各室内回路(70a,70b)は、室内熱交換器(71a,71b)側の一端がガス側連絡管(17)に接続され、室内膨張弁(72a,72b)側の他端が液側連絡管(16)に接続されている。
−空気調和機の運転動作−
本実施形態の空気調和機(10)は、冷房運転と暖房運転と行う。また、暖房運転中に所定の条件が成立すると、除霜運転を行う。
〈冷房運転〉
空気調和機(10)の冷房運転について、図2を参照しながら説明する。
冷房運転時には、第1四方切換弁(100a)及び第2四方切換弁(100b)が第1状態に設定され、第1室外膨張弁(41)及び第2室外膨張弁(42)が全閉状態に保持される。この状態で低段圧縮機(31)及び高段圧縮機(32)を作動させると、冷媒回路(15)内を冷媒が循環することによって冷凍サイクルが行われる。その際、室外熱交換器(35)はガスクーラとして機能し、各室内熱交換器(71a,71b)は蒸発器として機能する。
具体的に、高段圧縮機(32)から高圧配管(23)へ吐出された冷媒は、第1四方切換弁(100a)を通過後に室外熱交換器(35)へ流入し、室外空気へ放熱する。放熱後の冷媒は、ブリッジ回路(24)の逆止弁(55)を通って一方向回路(25)へ流入する。
一方向回路(25)を流れる冷媒は、その一部が第1冷却用回路(26)へ流入し、残りが第1冷却用熱交換器(37)へ流入する。第1冷却用熱交換器(37)へ流入した冷媒は、第1冷却用膨張弁(45)を通過する際に減圧された冷媒と熱交換して冷却される。第1冷却用熱交換器(37)において冷却された冷媒は、膨張機(33)の膨張機構(33a)へ流入して膨張し、その後にレシーバ(39)へ流入する。
レシーバ(39)から流出した冷媒は、その一部が第2冷却用回路(27)へ流入し、残りが第2冷却用熱交換器(38)へ流入する。第2冷却用熱交換器(38)へ流入した冷媒は、第2冷却用膨張弁(46)を通過する際に減圧された冷媒と熱交換して冷却される。第2冷却用熱交換器(38)において冷却された冷媒は、ブリッジ回路(24)の逆止弁(57)を通過し、その後に液側連絡管(16)へ流入する。
液側連絡管(16)を流れる冷媒は、各室内回路(70a,70b)へ分配される。各室内回路(70a,70b)へ流入した冷媒は、室内膨張弁(72a,72b)を通過する際に減圧されてから室内熱交換器(71a,71b)へ流入し、室内空気から吸熱して蒸発する。各室内回路(70a,70b)からガス側連絡管(17)へ流入した冷媒は、合流後に室外回路(20)へ流入する。各室内ユニット(12a,12b)は、室内熱交換器(71a,71b)において冷却された空気を室内へ吹き出す。
室外回路(20)へ戻った冷媒は、第1四方切換弁(100a)を通って低圧配管(21)へ流入し、第2冷却用回路(27)から低圧配管(21)へ流入した冷媒と合流した後に低段圧縮機(31)へ吸入されて圧縮される。低段圧縮機(31)から吐出された冷媒は、第2四方切換弁(100b)を通過して中間圧回路(22)へ流入し、中間熱交換器(36)を通過する間に室外空気へ放熱する。中間熱交換器(36)を通過した冷媒は、第1冷却用回路(26)から中間圧回路(22)へ流入した冷媒と合流し、その後に高段圧縮機(32)へ吸入されて圧縮される。高段圧縮機(32)は、吸入した冷媒を、その臨界圧力よりも高圧にまで圧縮する。
〈暖房運転〉
空気調和機(10)の暖房運転について、図3を参照しながら説明する。
暖房運転時には、第1四方切換弁(100a)及び第2四方切換弁(100b)が第2状態に設定される。この状態で低段圧縮機(31)及び高段圧縮機(32)を作動させると、冷媒回路(15)内を冷媒が循環することによって冷凍サイクルが行われる。その際、各室内熱交換器(71a,71b)はガスクーラとして機能し、室外熱交換器(35)及び中間熱交換器(36)は蒸発器として機能する。
具体的に、高段圧縮機(32)から高圧配管(23)へ吐出された冷媒は、第1四方切換弁(100a)を通過後にガス側連絡管(17)へ流入する。ガス側連絡管(17)を流れる冷媒は、各室内回路(70a,70b)へ分配される。各室内回路(70a,70b)を流れる冷媒は、室内熱交換器(71a,71b)へ流入して室内空気へ放熱し、その後に室内膨張弁(72a,72b)を通過して液側連絡管(16)へ流入する。各室内ユニット(12a,12b)は、室内熱交換器(71a,71b)において加熱された空気を室内へ吹き出す。
各室内回路(70a,70b)から液側連絡管(16)へ流入した冷媒は、合流後に室外回路(20)へ流入する。室外回路(20)へ戻った冷媒は、ブリッジ回路(24)の逆止弁(56)を通って一方向回路(25)へ流入する。
一方向回路(25)を流れる冷媒は、その一部が第1冷却用回路(26)へ流入し、残りが第1冷却用熱交換器(37)へ流入する。第1冷却用熱交換器(37)へ流入した冷媒は、第1冷却用膨張弁(45)を通過する際に減圧された冷媒と熱交換して冷却される。第1冷却用熱交換器(37)において冷却された冷媒は、膨張機(33)の膨張機構(33a)へ流入して膨張し、その後にレシーバ(39)へ流入する。
レシーバ(39)から流出した冷媒は、その一部が第2冷却用回路(27)へ流入し、残りが第2冷却用熱交換器(38)へ流入する。第2冷却用熱交換器(38)へ流入した冷媒は、第2冷却用膨張弁(46)を通過する際に減圧された冷媒と熱交換して冷却される。
第2冷却用熱交換器(38)において冷却された冷媒は、その一部が第2室外膨張弁(42)を通過する際に減圧されてから中間熱交換器(36)へ流入し、残りが第1室外膨張弁(41)を通過する際に減圧されてから室外熱交換器(35)へ流入する。室外熱交換器(35)へ流入した冷媒は、室外空気から吸熱して蒸発し、その後に第1四方切換弁(100a)を通って低圧配管(21)へ流入する。一方、中間熱交換器(36)へ流入した冷媒は、室外空気から吸熱して蒸発し、その後に第2四方切換弁(100b)を通って低圧配管(21)へ流入する。
低圧配管(21)を流れる冷媒は、低段圧縮機(31)へ吸入されて圧縮される。低段圧縮機(31)から吐出された冷媒は、第2四方切換弁(100b)と逆止弁(53)とを順に通過し、その後に高段圧縮機(32)へ吸入されて圧縮される。高段圧縮機(32)は、吸入した冷媒を、その臨界圧力よりも高圧にまで圧縮する。
〈除霜運転〉
上述したように、暖房運転中には、室外熱交換器(35)及び中間熱交換器(36)が蒸発器として機能する。そして、室外熱交換器(35)及び中間熱交換器(36)における冷媒の蒸発温度が0℃を下回る運転状態では、室外空気に含まれる水分が霜となって室外熱交換器(35)及び中間熱交換器(36)に付着し、冷媒と室外空気の熱交換を阻害する。
そこで、空気調和機(10)は、室外熱交換器(35)及び中間熱交換器(36)に対する霜の付着量がある程度に達したと判断できる条件(除霜開始条件)が成立すると、暖房運転を一時的に休止して除霜運転を行う。
暖房運転から除霜運転へ切り換わる際には、第1四方切換弁(100a)及び第2四方切換弁(100b)が第2状態から第1状態へ切り換わる。そして、冷媒回路(15)では、冷房運転時と同様に冷媒が循環する。ただし、除霜運転中は、室外熱交換器(35)及び中間熱交換器(36)へ室外空気は供給されず、各室内熱交換器(71a,71b)へ室内空気は供給されない。
除霜運転中には、低段圧縮機(31)から吐出された冷媒が中間熱交換器(36)へ供給され、中間熱交換器(36)に付着した霜が冷媒によって暖められて融解する。また、除霜運転中には、高段圧縮機(32)から吐出された冷媒が室外熱交換器(35)へ供給され、室外熱交換器(35)に付着した霜が冷媒によって暖められて融解する。
空気調和装置は、室外熱交換器(35)及び中間熱交換器(36)に付着した霜が融けたと判断できる条件(除霜終了条件)が成立すると、除霜運転を停止して暖房運転を再開する。その際、第1四方切換弁(100a)及び第2四方切換弁(100b)は、第1状態から第2状態へ切り換わる。
−切換弁の構成−
第1四方切換弁(100a)及び第2四方切換弁(100b)として冷媒回路(15)に設けられる切換弁(100)について、図4〜6を参照しながら説明する。
図4に示すように、切換弁(100)は、ケーシング(120)と、ケーシング(120)の内部に収納された弁体(130)とを備えている。
ケーシング(120)は、密閉容器に構成され、外側壁を形成する円筒状の胴部(121)と、胴部(121)の下部を閉鎖する円盤状の第1弁座(140)と、胴部(121)の上部を閉鎖する円盤状の蓋体(122)とを備えている。また、ケーシング(120)の内部には、円盤状の第2弁座(150)が収納されている。
図5,6に示すように、第1弁座(140)には、4つのポート(171,172,173,174)が形成されている。各ポート(171〜174)は、第1弁座(140)を厚さ方向に貫通する断面が円形の貫通孔である。4つのポート(171〜174)は、第1弁座(140)の平面視において、一つのピッチ円上に90度の間隔で配置されている。第1弁座(140)の上面は、弁体(130)の下面と対向し、平坦な第1弁座面(141)に形成されている。各ポート(171〜174)は、この第1弁座面(141)に開口している。
各ポート(171〜174)の下端には、冷媒回路(15)を構成する配管が接続されている。第1四方切換弁(100a)を構成する切換弁(100)では、第1ポートの下端に高圧配管(23)が、第2ポートの下端に低圧配管(21)が、第3ポートの下端に室外熱交換器(35)と第1四方切換弁(100a)を繋ぐ配管が、第4ポートの下端にガス側連絡管(17)と第1四方切換弁(100a)を繋ぐ配管が、それぞれ接続されている。一方、第2四方切換弁(100b)を構成する切換弁(100)では、第1ポートの下端に低段圧縮機(31)の吸入管(31c)と第2四方切換弁(100b)を繋ぐ配管が、第2ポートの下端に低圧配管(21)と第2四方切換弁(100b)を繋ぐ配管が、第3ポートの下端に中間圧回路(22)を構成する配管が、第4ポートの下端に逆止弁(53)と第2四方切換弁(100b)を繋ぐ配管が、それぞれ接続されている。
第2弁座(150)は、第1弁座(140)と対向して設けられ、蓋体(122)の下方に位置して胴部(121)に固定されている。第2弁座(150)の下面は、弁体(130)の上面と対向し、平坦な第2弁座面(151)に形成されている。第2弁座(150)は、第2弁座面(151)が第1弁座面(141)と所定間隔を存して平行になるように設けられ、第1弁座面(141)と第2弁座面(151)との間が本体空間(111)に構成されている。
弁体(130)は、図5及び図6に示すように、円盤状に形成され、第1弁座(140)と第2弁座(150)との間の本体空間(111)に設けられている。弁体(130)は、駆動軸(112)が連結される一方、下部がピン部(113)を介して第1弁座(140)に支持されている。駆動軸(112)は、第1弁座面(141)および第2弁座面(151)と直交し、第2弁座(150)および蓋体(122)を貫通している。駆動軸(112)の上端部は、図外のステッピングモータに連結されている。
弁体(130)は、半円状の主弁部(131)と、半円状の副弁部(132)とを備えている。副弁部(132)は、主弁部(131)よりも小径である。弁体(130)は、中心部に駆動軸(112)とピン部(113)とが設けられ、駆動軸(112)の軸心Mの回りに回転可能に設けられている。
主弁部(131)には、連通路(135)が形成される。連通路(135)は、主弁部(131)を厚さ方向に貫通している。また、連通路(135)は、平面視上において、円弧状に形成されている。平面視における連通路(135)の長さは、隣り合う2つのポート(171,173,174)の全体が同時に連通路(135)に開口できるような長さとなっている。また、連通路(135)には、第1ポート(171)の全体が常に開口している。
副弁部(132)には、補助通路(136)が形成されている。補助通路(136)は、副弁部(132)を厚さ方向に貫通している。また、補助通路(136)は、平面視上において、円弧状に形成されている。平面視における補助通路(136)の長さは、隣り合う2つのポート(172,173,174)の全体が同時に連通路(135)に開口できるような長さとなっている。また、補助通路(136)には、第2ポート(172)の全体が常に開口している。
主弁部(131)には、シール部材(161,162)が設けられている。シール部材(161,162)は、主弁部(131)の上面と下面に一つずつ設けられている。シール部材(161,162)は、例えば、PPS (polyphenylenesulfide)、PEEK(polyetheretherketone)、PTFE(polytetrafluoroethylene)などの剛性とシール性を有する材質で形成されたパッキンである。主弁部(131)の上面と下面のそれぞれには、連通路(135)の周縁に沿って凹溝が形成されており、この凹溝にシール部材(161,162)が嵌め込まれている。
弁体(130)の下面に設けられたシール部材(162)は、第1弁座面(141)と摺接し、弁体(130)と第1弁座(140)の隙間をシールする。一方、弁体(130)の上面に設けられたシール部材(161)は、第2弁座面(151)と摺接し、弁体(130)と第2弁座(150)の隙間をシールする。
第1弁座(140)と第2弁座(150)との間には、棒状のストッパ(114)が設けられている。ストッパ(114)は、主弁部(131)と副弁部(132)との段差部に当接し、弁体(130)の回転角度を制限する。
切換弁(100)において、弁体(130)に形成された連通路(135)は、シール部材(161,162)によって本体空間(111)及び補助通路(136)から仕切られている。一方、補助通路(136)は、本体空間(111)と連通している。切換弁(100)では、弁体(130)の位置に拘わらず、連通路(135)が第1ポート(171)と常に連通し、補助通路(136)が第2ポート(172)と常に連通する。
−切換弁の動作−
第1四方切換弁(100a)及び第2四方切換弁(100b)を構成する切換弁(100)の動作について、図7を参照しながら説明する。
切換弁(100)は、第1ポート(171)が第3ポート(173)と連通し且つ第2ポート(172)が第4ポート(174)と連通する第1状態と、第1ポート(171)が第4ポート(174)と連通し且つ第2ポート(172)が第3ポート(173)と連通する第2状態とに切り換わる。
図7(a)に示す切換弁(100)は、第1状態となっている。第1状態の切換弁(100)において、弁体(130)の位置は、第1ポート(171)と第3ポート(173)が互いに連通する第1位置となっている。具体的に、第1状態の切換弁(100)では、第1ポート(171)及び第3ポート(173)がシール部材(162)の内側に位置している。そして、第1ポート(171)が連通路(135)を介して第3ポート(173)と連通し、第2ポート(172)が補助通路(136)を介して第4ポート(174)と連通する。
切換弁(100)が第1状態から第2状態へ切り換わる場合には、弁体(130)が図7における時計方向へ90°だけ回転する。その際、弁体(130)は、図7(b)及び図7(c)に示す状態を経て、図7(d)に示す第2位置へと回転移動する。
切換弁(100)が第1状態から第2状態へ切り換わる過程について、詳しく説明する。
図7(a)に示す状態から弁体(130)が時計方向へ回転すると、図7(b)に示す状態となる。図7(b)に示す状態は、第3ポート(173)が第1ポート(171)と第2ポート(172)の両方に連通する中間状態である。
具体的に、図7(b)に示す状態では、シール部材(162)が第3ポート(173)と重なっている。このため、第1弁座面(141)における第3ポート(173)の開口部は、シール部材(162)の内側に位置する部分が連通路(135)と連通し、シール部材(162)の外側に位置する部分が本体空間(111)と連通する。また、この状態において、第1弁座面(141)における第4ポート(174)の開口部は、その全体がシール部材(162)の外側に位置している。このため、本体空間(111)は、第2ポート(172)及び第4ポート(174)と連通している。従って、この状態において、第3ポート(173)は、第1ポート(171)と第2ポート(172)の両方に連通し、更には第4ポート(174)とも連通する。また、弁体(130)が時計方向へ回転移動するにつれて、第1弁座面(141)における第3ポート(173)の開口部は、シール部材(162)の内側に位置する部分が次第に縮小し、シール部材(162)の外側に位置する部分が次第に拡大する。
図7(b)に示す状態から弁体(130)が時計方向へ更に回転すると、図7(c)に示す状態となる。図7(c)に示す状態は、第4ポート(174)が第1ポート(171)と第2ポート(172)の両方に連通する中間状態である。
具体的に、図7(c)に示す状態では、シール部材(162)が第4ポート(174)と重なっている。このため、第1弁座面(141)における第4ポート(174)の開口部は、シール部材(162)の内側に位置する部分が連通路(135)と連通し、シール部材(162)の外側に位置する部分が本体空間(111)と連通する。また、この状態において、第1弁座面(141)における第3ポート(173)の開口部は、その全体がシール部材(162)の外側に位置している。このため、本体空間(111)は、第2ポート(172)及び第3ポート(173)と連通している。従って、この状態において、第4ポート(174)は、第1ポート(171)と第2ポート(172)の両方に連通し、更には第3ポート(173)とも連通する。また、弁体(130)が時計方向へ回転移動するにつれて、第1弁座面(141)における第4ポート(174)の開口部は、シール部材(162)の内側に位置する部分が次第に拡大し、シール部材(162)の外側に位置する部分が次第に縮小する。
図7(c)に示す状態から弁体(130)が時計方向へ更に回転すると、弁体(130)の位置が図7(d)に示す第2位置となり、第1状態から第2状態への切り換えが完了する。
切換弁(100)が第2状態から第1状態へ切り換わる場合は、弁体(130)が図7における反時計方向へ90°だけ回転する。つまり、この場合、切換弁(100)は、図7(d)に示す状態から、図7(c)及び図7(b)に示す状態を経て、図7(a)に示す状態となる。
−制御器の構成−
本実施形態の空気調和機(10)は、制御器(80)を備えている。図1に示すように、制御器(80)は、室外ユニット(11)に収容され、圧縮機制御部(82)と膨張機制御部(83)とを備えている。
切換弁制御部(81)は、第1四方切換弁(100a)及び第2四方切換弁(100b)の制御を行う。具体的に、切換弁制御部(81)は、第1四方切換弁(100a)及び第2四方切換弁(100b)を構成する切換弁(100)のステッピングモータに対して制御信号を出力し、弁体(130)の回転方向と角速度を調節する。
圧縮機制御部(82)は、低段圧縮機(31)及び高段圧縮機(32)の制御を行う。この圧縮機制御部(82)は、低段圧縮機(31)及び高段圧縮機(32)の圧縮機構(31a,32a)の回転速度を制御する。また、圧縮機制御部(82)は、低段圧縮機(31)及び高段圧縮機(32)の起動と停止も行う。
膨張機制御部(83)は、膨張機(33)の制御を行う。この膨張機制御部(83)は、膨張機(33)の膨張機構(33a)の回転速度を制御する。また、膨張機制御部(83)は、膨張機(33)の起動と停止も行う。
−制御器の制御動作−
制御器(80)が行う制御動作について、図8を参照しながら説明する。なお、ここでは、暖房運転から除霜運転へ切り換わり、その後に除霜運転から暖房運転に切り換わる場合を例に説明する。
暖房運転中には、低段圧縮機(31)、高段圧縮機(32)、及び膨張機(33)が運転され、第1四方切換弁(100a)及び第2四方切換弁(100b)が第2状態に設定される。また、暖房運転中には、高圧センサ(61)の計測値Pと低圧センサ(63)の計測値Pの差ΔP(=P−P)がある程度大きい値となっている。この圧力差ΔPは、冷媒回路(15)が行う冷凍サイクルの高圧と低圧の差と実質的に等しい。
図8の時刻tにおいて除霜開始条件が成立すると、制御器(80)の膨張機制御部(83)は、膨張機(33)を停止させる。また、制御器(80)の切換弁制御部(81)は、第1四方切換弁(100a)及び第2四方切換弁(100b)の弁体(130)を回転移動させる。その際、切換弁制御部(81)は、弁体(130)を第2位置から第1位置へ向かって徐々に回転移動させ、弁体(130)が第1位置に達する前に弁体(130)を一旦停止させる。
上述したように、弁体(130)が第2位置から第1位置へ至る途中は、第1四方切換弁(100a)及び第2四方切換弁(100b)が中間状態となる。
この時、第1四方切換弁(100a)では、それまで第1ポート(171)だけに連通していた第3ポート(173)が第1ポート(171)と第2ポート(172)の両方に連通する。このため、冷媒回路(15)では、第1四方切換弁(100a)の第3ポート(173)に接続する配管の圧力が次第に低下してゆく。
また、この時、第1四方切換弁(100a)では、それまで第2ポート(172)だけに連通していた第4ポート(174)が第1ポート(171)と第2ポート(172)の両方に連通する。このため、冷媒回路(15)では、第1四方切換弁(100a)の第4ポート(174)に接続する配管の圧力が次第に上昇してゆく。
更に、この時、第1四方切換弁(100a)では、第3ポート(173)と第4ポート(174)が互いに連通する。このため、冷媒回路(15)では、第1四方切換弁(100a)の第3ポート(173)に接続する配管と、その第4ポート(174)に接続する配管の圧力差が次第に縮小してゆく。
従って、図8の時刻tを過ぎると、圧力差ΔP(=P−P)が徐々に小さくなってゆき、やがて概ねゼロになる。
図8の時刻tでは、圧力差ΔPが実質的にゼロになっている。時刻tは、時刻tのΔt秒後である。Δtは、圧力差ΔPが充分に小さくなるのに必要な時間(例えば、50〜70秒後)に設定される。
時刻tには、制御器(80)の膨張機制御部(83)が膨張機(33)を起動し、制御器(80)の切換弁制御部(81)が第1四方切換弁(100a)及び第2四方切換弁(100b)の弁体(130)の回転移動を再開する。切換弁制御部(81)は、弁体(130)が第1位置に達すると、弁体(130)を停止させる。制御器(80)の圧縮機制御部(82)は、第1四方切換弁(100a)及び第2四方切換弁(100b)が第2状態から第1状態へ切り換わる前後に亘って、低段圧縮機(31)及び高段圧縮機(32)の運転を継続させる。第1四方切換弁(100a)及び第2四方切換弁(100b)が第1状態に切り換わると、圧力差ΔPが速やかに増大し、除霜運転が開始される。
図8の時刻tにおいて除霜終了条件が成立すると、制御器(80)の膨張機制御部(83)は、膨張機(33)を停止させる。また、制御器(80)の切換弁制御部(81)は、第1四方切換弁(100a)及び第2四方切換弁(100b)の弁体(130)を回転移動させる。その際、切換弁制御部(81)は、弁体(130)を第1位置から第2位置へ向かって徐々に回転移動させ、弁体(130)が第2位置に達する前に弁体(130)を一旦停止させる。
弁体(130)が第1位置から第2位置へ至る途中においても、第1四方切換弁(100a)及び第2四方切換弁(100b)が中間状態となる。このため、図8の時刻tを過ぎると、圧力差ΔP(=P−P)が徐々に小さくなってゆき、やがて概ねゼロになる。
図8の時刻tでは、圧力差ΔPが実質的にゼロになっている。時刻tは、時刻tのΔt秒後である。
時刻tには、制御器(80)の膨張機制御部(83)が膨張機(33)を起動し、制御器(80)の切換弁制御部(81)が第1四方切換弁(100a)及び第2四方切換弁(100b)の弁体(130)の回転移動を再開する。切換弁制御部(81)は、弁体(130)が第2位置に達すると、弁体(130)を停止させる。制御器(80)の圧縮機制御部(82)は、第1四方切換弁(100a)及び第2四方切換弁(100b)が第1状態から第2状態へ切り換わる前後に亘って、低段圧縮機(31)及び高段圧縮機(32)の運転を継続させる。第1四方切換弁(100a)及び第2四方切換弁(100b)が第2状態に切り換わると、圧力差ΔPが速やかに増大し、暖房運転が再開される。
ここでは、暖房運転と除霜運転の一方から他方へ切り換わる場合を例に制御器(80)の動作を説明したが、暖房運転と冷房運転の一方から他方へ切り換わる場合も、制御器(80)は同様の動作を行う。つまり、制御器(80)は、膨張機(33)を一旦停止させた状態で第1四方切換弁(100a)及び第2四方切換弁(100b)の弁体(130)を徐々に回転移動させ、圧力差ΔPが概ねゼロとなった後に膨張機(33)を起動する。
−実施形態1の効果−
本実施形態の空気調和機(10)の制御器(80)は、Δt秒間を超える所定時間に亘って第1四方切換弁(100a)が中間状態となるように、弁体(130)の動作を制御する。第1四方切換弁(100a)が中間状態となっている間は、第3ポート(173)及び第4ポート(174)が第1ポート(171)と第2ポート(172)の両方に連通する。このため、第1四方切換弁(100a)の作動時において、その第3ポート(173)に接続された配管と第4ポート(174)に接続された配管における圧力の変動は、弁体(130)が第1位置から第2位置の一方から他方へ一気に移動する場合に比べて緩やかとなる。従って、本実施形態によれば、第1四方切換弁(100a)の作動に起因する冷媒の流速や流れ方向の変化を緩和することができ、冷媒の流速や流れ方向の変化に起因する騒音を抑えることができる。
また、本実施形態の空気調和機(10)の制御器(80)は、低段圧縮機(31)及び高段圧縮機(32)を運転したままで第1四方切換弁(100a)及び第2四方切換弁(100b)を切り換える。このため、第1四方切換弁(100a)及び第2四方切換弁(100b)の切り換え後に空気調和機(10)の能力を速やかに回復させることができる。
また、本実施形態の空気調和機(10)の制御器(80)は、第1四方切換弁(100a)及び第2四方切換弁(100b)を切り換える際に膨張機(33)を一旦停止させ、圧力差ΔP(=P−P)が実質的にゼロになってから膨張機(33)を再起動する。従って、本実施形態によれば、圧力差ΔPが実質的にゼロになった状態で膨張機(33)を確実に起動させることができる。また、圧力差ΔPが小さくなって冷媒の流速や流れ方向の変化がほぼ無くなってから膨張機(33)を起動させることができ、膨張機(33)を安定した状態で運転することができる。
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2について説明する。本実施形態の空気調和機(10)は、実施形態1の空気調和機(10)において、制御器(80)が行う動作を変更したものである。ここでは、本実施形態の制御器(80)が行う動作について、実施形態1と異なる点を説明する。
本実施形態の制御器(80)は、切換弁制御部(81)及び圧縮機制御部(82)の動作が実施形態1の制御器(80)と異なっている。本実施形態の制御器(80)の膨張機制御部(83)が行う動作は、実施形態1と同じである。
本実施形態の制御器(80)が行う制御動作について、図9を参照しながら説明する。なお、ここでは、暖房運転から除霜運転へ切り換わり、その後に除霜運転から暖房運転に切り換わる場合を例に説明する。
暖房運転中には、低段圧縮機(31)、高段圧縮機(32)、及び膨張機(33)が運転され、第1四方切換弁(100a)及び第2四方切換弁(100b)が第2状態に設定される。また、暖房運転中には、高圧センサ(61)の計測値Pと低圧センサ(63)の計測値Pの差ΔP(=P−P)がある程度大きい値となっている。この圧力差ΔPは、冷媒回路(15)が行う冷凍サイクルの高圧と低圧の差と実質的に等しい。
図9の時刻tにおいて除霜開始条件が成立すると、制御器(80)の圧縮機制御部(82)が低段圧縮機(31)及び高段圧縮機(32)を停止させ、制御器(80)の膨張機制御部(83)が膨張機(33)を停止させる。また、制御器(80)の切換弁制御部(81)は、第1四方切換弁(100a)及び第2四方切換弁(100b)の弁体(130)を回転移動させる。その際、切換弁制御部(81)は、時刻tに弁体(130)の移動を開始し、Δt秒かけて弁体(130)を第2位置から第1位置へ向かって徐々に回転移動させる。そして、切換弁制御部(81)は、時刻tに弁体(130)が第1位置に達すると、弁体(130)を停止させる。
実施形態1と同様に、弁体(130)が第2位置から第1位置へ至る途中は、第1四方切換弁(100a)及び第2四方切換弁(100b)が中間状態となる。また、本実施形態では、時刻tに低段圧縮機(31)及び高段圧縮機(32)が停止する。このため、図9の時刻tを過ぎると、圧力差ΔP(=P−P)は、比較的速やかに縮小してゆき、実施形態1の場合よりも短い時間で概ねゼロになる。
図9の時刻tでは、圧力差ΔPが実質的にゼロになっている。時刻tには、制御器(80)の圧縮機制御部(82)が低段圧縮機(31)及び高段圧縮機(32)を起動し、制御器(80)の膨張機制御部(83)が膨張機(33)を起動する。このため、圧力差ΔPが速やかに増大し、除霜運転が開始される。
図9の時刻tにおいて除霜終了条件が成立すると、制御器(80)の圧縮機制御部(82)が低段圧縮機(31)及び高段圧縮機(32)を停止させ、制御器(80)の膨張機制御部(83)が膨張機(33)を停止させる。また、制御器(80)の切換弁制御部(81)は、第1四方切換弁(100a)及び第2四方切換弁(100b)の弁体(130)を回転移動させる。その際、切換弁制御部(81)は、時刻tに弁体(130)の移動を開始し、Δt秒かけて弁体(130)を第1位置から第2位置へ向かって徐々に回転移動させる。そして、切換弁制御部(81)は、時刻tに弁体(130)が第2位置に達すると、弁体(130)を停止させる。
弁体(130)が第1位置から第2位置へ至る途中においても、第1四方切換弁(100a)及び第2四方切換弁(100b)が中間状態となる。また、本実施形態では、時刻tに低段圧縮機(31)及び高段圧縮機(32)が停止する。このため、図9の時刻tを過ぎると、圧力差ΔP(=P−P)は、比較的速やかに縮小してゆき、実施形態1の場合よりも短い時間で概ねゼロになる。
図9の時刻tでは、圧力差ΔPが実質的にゼロになっている。時刻tには、制御器(80)の圧縮機制御部(82)が低段圧縮機(31)及び高段圧縮機(32)を起動し、制御器(80)の膨張機制御部(83)が膨張機(33)を起動する。このため、圧力差ΔPが速やかに増大し、暖房運転が再開される。
ここでは、暖房運転と除霜運転の一方から他方へ切り換わる場合を例に制御器(80)の動作を説明したが、暖房運転と冷房運転の一方から他方へ切り換わる場合も、制御器(80)は同様の動作を行う。つまり、制御器(80)は、低段圧縮機(31)と高段圧縮機(32)と膨張機(33)とを一旦停止させた状態で第1四方切換弁(100a)及び第2四方切換弁(100b)の弁体(130)を徐々に回転移動させ、圧力差ΔPが概ねゼロとなった後に低段圧縮機(31)と高段圧縮機(32)と膨張機(33)とを起動する。
−実施形態2の効果−
本実施形態の制御器(80)の圧縮機制御部(82)は、第1四方切換弁(100a)及び第2四方切換弁(100b)の切り換え中に、低段圧縮機(31)及び高段圧縮機(32)を一旦停止させる。このため、第1四方切換弁(100a)及び第2四方切換弁(100b)の切り換え中に圧力差ΔP(=P−P)を速やかに縮小することができる。従って、本実施形態によれば、第1四方切換弁(100a)及び第2四方切換弁(100b)の切り換えに起因する冷媒の流速や流れ方向の変化を一層緩和でき、第1四方切換弁(100a)及び第2四方切換弁(100b)の切り換えに起因する騒音を確実に抑制できる。
《発明の実施形態3》
本発明の実施形態3について説明する。
図10に示すように、本実施形態の空気調和機(10)は、一つの室外ユニット(11)と、三つの室内ユニット(12a,12b,12c)と、二つの切換ユニット(90a,90b)とを備えている。なお、室外ユニット(11)、室内ユニット(12a,12b,12c)及び切換ユニット(90a,90b)の台数は、単なる一例である。
室外ユニット(11)には、室外回路(20)が収容されている。各室内ユニット(12a,12b,12c)には、室内回路(70a,70b,70c)が一つずつ収容されている。各切換ユニット(90a,90b)には、接続用配管(91a,91b)と分岐用配管(92a,92b)とが一つずつ収容されている。
室外回路(20)及び室内回路(70a,70b,70c)は、液側連絡管(16)、第1ガス側連絡管(18)及び第2ガス側連絡管(19)によって互いに接続されて冷媒回路(15)を構成している。なお、第1室内ユニット(12a)及び第2室内ユニット(12b)の室内回路(70a,70b)は、切換ユニット(90a,90b)を介して液側連絡管(16)、第1ガス側連絡管(18)及び第2ガス側連絡管(19)に接続している。一方、第3室内ユニット(12c)の室内回路(70c)は、液側連絡管(16)及び第1ガス側連絡管(18)に直接に接続している。
室外回路(20)には、圧縮機(34)と、第1四方切換弁(100a)と、第2四方切換弁(100b)と、室外熱交換器(35)とが設けられている。
圧縮機(34)は、圧縮機構(34a)とそれを駆動する電動機(34b)とを備えた全密閉型圧縮機である。室外熱交換器(35)は、フィン・アンド・チューブ型の熱交換器であって、冷媒を室外空気と熱交換させる。第1四方切換弁(100a)と第2四方切換弁(100b)のそれぞれは、四つのポートを備えた切換弁(100)により構成されている。第1四方切換弁(100a)及び第2四方切換弁(100b)を構成する切換弁(100)は、実施形態1のものと同じである。
圧縮機(34)の吸入管(34c)は、低圧配管(21)を介して第1ガス側連絡管(18)に接続されている。低圧配管(21)には、低圧センサ(63)が設けられている。低圧センサ(63)は、圧縮機(34)へ吸入される冷媒の圧力を計測する。
圧縮機(34)の吐出管(34d)は、高圧配管(23)を介して第1四方切換弁(100a)の第1ポートに接続されている。高圧配管(23)には、逆止弁(58)が設けられている。逆止弁(58)は、圧縮機(34)から流出する冷媒の流れを許容し、逆向きの冷媒の流れを阻止する。また、高圧配管(23)には、高圧センサ(61)が設けられている。高圧センサ(61)は、圧縮機(34)から吐出された冷媒の圧力を計測する。
第2四方切換弁(100b)は、第2ポートが低圧配管(21)に接続され、第3ポートが室外熱交換器(35)の一端に接続されている。また、第2四方切換弁(100b)の第4ポートは、キャピラリチューブ(66)を介して低圧配管(21)に接続されている。室外熱交換器(35)の他端は、室外膨張弁(47)を介して液側連絡管(16)に接続されている。
第1四方切換弁(100a)は、第1ポートが高圧配管(23)に接続され、第2ポートが低圧配管(21)に接続され、第3ポートがキャピラリチューブ(65)を介して低圧配管(21)に接続され、第4ポートが第2ガス側連絡管(19)に接続されている。
切換ユニット(90a,90b)の接続用配管(91a,91b)は、一端が液側連絡管(16)に接続され、他端が対応する室内回路(70a,70b)に接続されている。
切換ユニット(90a,90b)の分岐用配管(92a,92b)は、集合管(93a,93b)と、第1分岐管(94a,94b)と、第2分岐管(95a,95b)とを備えている。集合管(93a,93b)の一端には、第1分岐管(94a,94b)及び第2分岐管(95a,95b)の一端が接続されている。集合管(93a,93b)の他端は、対応する室内回路(70a,70b)に接続されている。第1分岐管(94a,94b)の他端は、第1ガス側連絡管(18)に接続されている。第2分岐管(95a,95b)の他端は、第2ガス側連絡管(19)に接続されている。また、第1分岐管(94a,94b)には第1開閉弁(96a,96b)が設けられ、第2分岐管(95a,95b)には第2開閉弁(97a,97b)が設けられている。
各室内回路(70a,70b,70c)は、室内熱交換器(71a,71b,71c)と室内膨張弁(72a,72b,72c)とを直列に接続した回路である。第1室内ユニット(12a)及び第2室内ユニット(12b)の室内回路(70a,70b)は、室内熱交換器(71a,71b)側の一端が切換ユニット(90a,90b)の分岐用配管(92a,92b)に接続され、室内膨張弁(72a,72b)側の他端が切換ユニット(90a,90b)の接続用配管(91a,91b)に接続されている。一方、第3室内ユニット(12c)の室内回路(70c)は、室内熱交換器(71c)側の一端が第1ガス側連絡管(18)に接続され、室内膨張弁(72c)側の他端が液側連絡管(16)に接続されている。
本実施形態の空気調和機(10)は、制御器(80)を備えている。制御器(80)は、室外ユニット(11)に収容されている。制御器(80)は、切換弁制御部(81)と、圧縮機制御部(82)とを備えている。切換弁制御部(81)は、第1四方切換弁(100a)及び第2四方切換弁(100b)の制御を行う。圧縮機制御部(82)は、低段圧縮機(31)及び高段圧縮機(32)の制御を行う。
−空気調和機の運転動作−
本実施形態の空気調和機(10)は、冷房主体運転と暖房主体運転と行う。
〈冷房主体運転〉
空気調和機(10)の冷房主体運転について説明する。冷房主体運転中は、第1室内ユニット(12a)と第2室内ユニット(12b)の両方が冷房動作を行うことができ、第1室内ユニット(12a)と第2室内ユニット(12b)の一方が冷房動作を行って他方が暖房動作を行うこともできる。一方、第3室内ユニット(12c)は、冷房主体運転中に専ら冷房動作を行う。
先ず、全ての室内ユニット(12a,12b,12c)が冷房動作を行う場合について、図11を参照しながら説明する。
この場合には、第1四方切換弁(100a)及び第2四方切換弁(100b)が第1状態に設定され、室外膨張弁(47)が全開に保持される。また、各切換ユニット(90a,90b)では、第1開閉弁(96a,96b)が開かれ、第2開閉弁(97a,97b)が閉じられる。この状態で圧縮機(34)を作動させると、冷媒回路(15)内を冷媒が循環することによって冷凍サイクルが行われる。その際、室外熱交換器(35)はガスクーラとして機能し、各室内熱交換器(71a,71b,71c)は蒸発器として機能する。
圧縮機(34)から高圧配管(23)へ吐出された冷媒は、第2四方切換弁(100b)を通って室外熱交換器(35)へ流入し、室外空気へ放熱する。その後、冷媒は、液側連絡管(16)を通って各室内回路(70a,70b,70c)へ分配される。その際、第1,第2室内回路(70a,70b)へ向かう冷媒は、切換ユニット(90a,90b)の接続用配管(91a,91b)を通って室内回路(70a,70b)へ流入する。各室内回路(70a,70b,70c)へ流入した冷媒は、室内膨張弁(72a,72b,72c)を通過する際に減圧されてから室内熱交換器(71a,71b,71c)へ流入し、室内空気から吸熱して蒸発する。各室内ユニット(12a,12b,12c)は、室内熱交換器(71a,71b,71c)において冷却された空気を室内へ吹き出す。
第1,第2室内回路(70a,70b)から流出した冷媒は、対応する切換ユニット(90a,90b)の第1分岐管(94a,94b)を通って第1ガス側連絡管(18)へ流入する。一方、第3室内回路(70c)から流出した冷媒は、第1ガス側連絡管(18)へ直接流れ込む。第1ガス側連絡管(18)を流れる冷媒は、室外回路(20)の低圧配管(21)を通って圧縮機(34)へ吸入される。圧縮機(34)は、吸入した冷媒を圧縮する。
次に、第1室内ユニット(12a)が暖房動作を行い、第2,第3室内ユニット(12b,12c)が冷房動作を行う場合について、図12を参照しながら説明する。ここでは、図11に示す場合と異なる点を説明する。
この場合には、第1四方切換弁(100a)が第2状態に設定され、第1室内ユニット(12a)の室内膨張弁(72a)が全開に保持される。また、第1切換ユニット(90a)では、第1開閉弁(96a)が閉じられて第2開閉弁(97a)が開かれる。そして、この場合には、室外熱交換器(35)と第1室内ユニット(12a)の室内熱交換器(71a)とがガスクーラとして機能し、第2室内ユニット(12b)及び第3室内ユニット(12c)の室内熱交換器(71b,71c)が蒸発器として機能する。
圧縮機(34)から高圧配管(23)へ吐出された冷媒は、その一部が第1四方切換弁(100a)を通って第2ガス側連絡管(19)へ流入し、残りが第2四方切換弁(100b)を通って室外熱交換器(35)へ流入する。第2ガス側連絡管(19)へ流入した冷媒は、第1切換ユニット(90a)の第2分岐管(95a)を通って第1室内ユニット(12a)の室内回路(70a)へ流入し、室内熱交換器(71a)において室内空気へ放熱する。第1室内ユニット(12a)は、室内熱交換器(71a)において加熱された空気を室内へ吹き出す。第1室内ユニット(12a)の室内回路(70a)から流出した冷媒は、第1切換ユニット(90a)の接続用配管(91a)を通って液側連絡管(16)へ流入する。
一方、室外熱交換器(35)へ流入した冷媒は、室外空気へ放熱した後に液側連絡管(16)へ流入する。室外回路(20)と第1室内ユニット(12a)の室内回路(70a)から液側連絡管(16)へ流入した冷媒は、第2,第3室内ユニット(12b,12c)の室内回路(70b,70c)へ分配される。第2,第3室内ユニット(12b,12c)の室内回路(70b,70c)へ流入した冷媒は、室内熱交換器(71b,71c)において室内空気から吸熱して蒸発する。室内回路(70b,70c)から流出した冷媒は、図11に示す場合と同様に、第1ガス側連絡管(18)と低圧配管(21)を順に通って圧縮機(34)へ吸入される。
〈暖房主体運転〉
空気調和機(10)の暖房主体運転について説明する。暖房主体運転中は、第1室内ユニット(12a)と第2室内ユニット(12b)の両方が暖房動作を行うことができ、第1室内ユニット(12a)と第2室内ユニット(12b)の一方が暖房動作を行って他方が冷房動作を行うこともできる。一方、第3室内ユニット(12c)は、暖房主体運転中も専ら冷房動作を行う。
先ず、第1,第2室内ユニット(12a,12b)が暖房動作を行い、第3室内ユニット(12c)が冷房動作を行う場合について、図13を参照しながら説明する。
この場合には、第1四方切換弁(100a)及び第2四方切換弁(100b)が第2状態に設定され、第1,第2室内ユニット(12a,12b)の室内膨張弁(72a,72b)が全開に保持される。また、各切換ユニット(90a,90b)では、第1開閉弁(96a,96b)が閉じられ、第2開閉弁(97a,97b)が開かれる。この状態で圧縮機(34)を作動させると、冷媒回路(15)内を冷媒が循環することによって冷凍サイクルが行われる。その際、第1,第2室内ユニット(12a,12b)の室内熱交換器(71a,71b)はガスクーラとして機能し、室外熱交換器(35)と第3室内ユニット(12c)の室内熱交換器(71c)は蒸発器として機能する。
圧縮機(34)から高圧配管(23)へ吐出された冷媒は、第1四方切換弁(100a)を通って第2ガス側連絡管(19)へ流入し、第1,第2室内ユニット(12a,12b)の室内回路(70a,70b)へ分配される。その際、冷媒は、第1,第2切換ユニット(90a,90b)の接続用配管(91a,91b)を通って室内回路(70a,70b)へ流入する。各室内回路(70a,70b)の室内熱交換器(71a,71b)では、冷媒が室内空気へ放熱する。第1,第2室内ユニット(12b)は、室内熱交換器(71a,71b)において加熱された空気を室内へ吹き出す。第1,第2室内ユニット(12a,12b)の室内回路(70a,70b)から流出した冷媒は、対応する切換ユニット(90a,90b)の第2分岐管(95a,95b)を通って液側連絡管(16)へ流入する。
液側連絡管(16)へ流入した冷媒は、一部が第3室内ユニット(12c)の室内回路(70c)へ流入し、残りが室外回路(20)へ流入する。第3室内ユニット(12c)の室内回路(70c)へ流入した冷媒は、室内膨張弁(72c)を通過する際に減圧されてから室内熱交換器(71c)へ流入し、室内空気から吸熱して蒸発する。第3室内ユニット(12c)は、室内熱交換器(71c)において冷却された空気を室内へ吹き出す。第3室内ユニット(12c)の室内回路(70c)から流出した冷媒は、第1ガス側連絡管(18)を通って室外回路(20)の低圧配管(21)へ流入する。
一方、液側連絡管(16)から室外回路(20)へ流入した冷媒は、室外膨張弁(47)を通過する際に減圧されてから室外熱交換器(35)へ流入し、室外空気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器(35)から流出した冷媒は、第2四方切換弁(100b)を通って低圧配管(21)へ流入し、第1ガス側連絡管(18)から低圧配管(21)へ流入した冷媒と共に圧縮機(34)へ吸入される。
次に、第1室内ユニット(12a)が暖房動作を行い、第2,第3室内ユニット(12b,12c)が冷房動作を行う場合について、図14を参照しながら説明する。ここでは、図13に示す場合と異なる点を説明する。
この場合には、第2切換ユニット(90b)の第1開閉弁(96b)が開かれて第2開閉弁(97b)が閉じられる。そして、この場合には、第1室内ユニット(12a)の室内熱交換器(71a)がガスクーラとして機能し、室外熱交換器(35)と第2,第3室内ユニット(12b,12c)の室内熱交換器(71b,71c)が蒸発器として機能する。
圧縮機(34)から吐出されて第2ガス側連絡管(19)へ流入した冷媒は、第1切換ユニット(90a)の第2分岐管(95a)を通って第1室内ユニット(12a)の室内回路(70a)へ流入し、室内熱交換器(71a)において室内空気へ放熱した後に液側連絡管(16)へ流入する。第1室内ユニット(12a)は、室内熱交換器(71a)において加熱された空気を室内へ吹き出す。
液側連絡管(16)へ流入した冷媒は、第2,第3室内ユニット(12b,12c)の室内回路(70b,70c)と、室外回路(20)とに分配される。第2,第3室内ユニットの室内回路(70b,70c)へ流入した冷媒は、室内膨張弁(72b,72c)を通過する際に減圧され、室内熱交換器(71b,71c)において室内空気から吸熱して蒸発する。第2,第3室内ユニットは、室内熱交換器(71b,71c)において冷却された空気を室内へ吹き出す。第2,第3室内ユニットの室内回路(70b,70c)から第1ガス側連絡管(18)へ流入した冷媒は、室外熱交換器(35)において蒸発した冷媒と共に低圧配管(21)を通って圧縮機(34)に吸入される。
−制御器−
図10に示すように、本実施形態の制御器(80)には、切換弁制御部(81)と、圧縮機制御部(82)とが設けられている。切換弁制御部(81)は、実施形態1と同様に、第1四方切換弁(100a)及び第2四方切換弁(100b)の切り換えを行う。一方、圧縮機制御部(82)は、圧縮機(34)の圧縮機構(34a)の回転速度を制御する。また、圧縮機制御部(82)は、圧縮機(34)の起動と停止も行う。
制御器(80)が第1四方切換弁(100a)及び第2四方切換弁(100b)を切り換える際に行う動作を説明する。
本実施形態の制御器(80)の切換弁制御部(81)は、実施形態1と同様に、第1四方切換弁(100a)及び第2四方切換弁(100b)の弁体(130)を第1位置と第2位置の一方から他方へ向かって徐々に回転移動させる。つまり、切換弁制御部(81)は、第1四方切換弁(100a)及び第2四方切換弁(100b)を所定の時間に亘って中間状態に保つ。
本実施形態の制御器(80)の圧縮機制御部(82)は、実施形態1と同様に、第1四方切換弁(100a)及び第2四方切換弁(100b)が切り換わる前後に亘って圧縮機(34)の運転を継続させる。なお、この圧縮機制御部(82)は、実施形態2のように第1四方切換弁(100a)及び第2四方切換弁(100b)の切り換え中に圧縮機(34)を一時的に停止させるものであってもよい。
−実施形態3の効果−
ここで、図11に示す状態において、第2ガス側連絡管(19)は、第1状態の第1四方切換弁(100a)を介して低圧配管(21)に連通しており、その圧力は圧縮機(34)へ吸入される低圧冷媒の圧力と実質的に同じである。一方、図12に示す状態において、第2ガス側連絡管(19)は、第2状態の第1四方切換弁(100a)を介して高圧配管(23)に連通しており、その圧力は圧縮機(34)から吐出された高圧冷媒の圧力と実質的に同じである。このように、第1四方切換弁(100a)が切り換わると、第2ガス側連絡管(19)の圧力が変化する。
これに対し、本実施形態の制御器(80)の切換弁制御部(81)は、第1四方切換弁(100a)を切り換える際に、所定時間に亘って第1四方切換弁(100a)を中間状態に保持する。このため、第1四方切換弁(100a)が切り換わる際には、第2ガス側連絡管(19)の圧力が緩やかに変化する。従って、本実施形態によれば、第1四方切換弁(100a)の切り換え時における第2ガス側連絡管(19)での冷媒の流速や流れ方向の変化を緩やかにすることができ、第2ガス側連絡管(19)の圧力変動に起因する騒音を低減できる。
また、図11に示す状態において、ガスクーラとして機能する室外熱交換器(35)は、第1状態の第2四方切換弁(100b)を介して高圧配管(23)に連通しており、その圧力は圧縮機(34)から吐出された高圧冷媒の圧力と実質的に同じである。一方、図13に示す状態において、蒸発器として機能する室外熱交換器(35)は、第2状態の第2四方切換弁(100b)を介して低圧配管(21)に連通しており、その圧力は圧縮機(34)へ吸入される低圧冷媒の圧力と実質的に同じである。このように、第2四方切換弁(100b)が切り換わると、室外熱交換器(35)の圧力が変化する。
これに対し、本実施形態の制御器(80)の切換弁制御部(81)は、第2四方切換弁(100b)を切り換える際に、所定時間に亘って第2四方切換弁(100b)を中間状態に保持する。このため、第2四方切換弁(100b)が切り換わる際には、室外熱交換器(35)の圧力が緩やかに変化する。従って、本実施形態によれば、第2四方切換弁(100b)の切り換え時における室外熱交換器(35)での冷媒の流速や流れ方向の変化を緩やかにすることができ、室外熱交換器(35)の圧力変動に起因する騒音を低減できる。
《発明の実施形態4》
本発明の実施形態4について説明する。本実施形態の空気調和機(10)は、実施形態3の空気調和機(10)の構成を変更したものである。ここでは、本実施形態の空気調和機(10)について、実施形態3と異なる点を説明する。
図15に示すように、本実施形態の空気調和機(10)の室外回路(20)には、第1四方切換弁(100a)及び第2四方切換弁(100b)に代えて、第1三方切換弁(101a)及び第2三方切換弁(101b)が設けられている。また、本実施形態の空気調和機(10)の室外回路(20)では、キャピラリチューブ(65,66)が省略されている。
図16に示すように、第1三方切換弁(101a)及び第2三方切換弁(101b)を構成する切換弁(101)は、実施形態1の第1四方切換弁(100a)及び第2四方切換弁(100b)を構成する切換弁(100)から第4ポート(174)を省略したものである。この切換弁(101)の構成は、第4ポート(174)が省略されている点を除き、実施形態1の切換弁(100)と同じである。
第1三方切換弁(101a)は、第1ポートが高圧配管(23)に接続され、第2ポートが低圧配管(21)に接続され、第3ポートが第2ガス側連絡管(19)に接続されている。第2三方切換弁(101b)は、第1ポートが高圧配管(23)に接続され、第2ポートが低圧配管(21)に接続され、第3ポートが室外熱交換器(35)の一端に接続されている。第1三方切換弁(101a)と第2三方切換弁(101b)のそれぞれは、第1ポートが第3ポートと連通する第1状態(図15に実線で示す状態)と、第2ポートが第3ポートと連通する第2状態(図15に破線で示す状態)とに切り換わる。
−切換弁の動作−
第1三方切換弁(101a)及び第2三方切換弁(101b)を構成する切換弁(101)の動作について、図17を参照しながら説明する。
切換弁(101)は、第1ポート(171)が第3ポート(173)と連通する第1状態と、第2ポート(172)が第3ポート(173)と連通する第2状態とに切り換わる。
図17(a)に示す切換弁(101)は、第1状態となっている。第1状態の切換弁(101)において、弁体(130)の位置は、第1ポート(171)と第3ポート(173)が互いに連通する第1位置となっている。具体的に、第1状態の切換弁(101)では、第1ポート(171)及び第3ポート(173)がシール部材(162)の内側に位置している。そして、第1ポート(171)が連通路(135)を介して第3ポート(173)と連通し、第2ポート(172)が補助通路(136)と連通する。
切換弁(101)が第1状態から第2状態へ切り換わる場合には、弁体(130)が図17における時計方向へ90°だけ回転する。その際、弁体(130)は、図17(b)及び図17(c)に示す状態を経て、図17(d)に示す第2位置へと回転移動する。
切換弁(101)が第1状態から第2状態へ切り換わる過程について、詳しく説明する。
図17(a)に示す状態から弁体(130)が時計方向へ回転すると、図17(b)に示す状態となる。図17(b)に示す状態は、第3ポート(173)が第1ポート(171)と第2ポート(172)の両方に連通する中間状態である。
具体的に、図17(b)に示す状態では、シール部材(162)が第3ポート(173)と重なっている。このため、第1弁座面(141)における第3ポート(173)の開口部は、シール部材(162)の内側に位置する部分が連通路(135)と連通し、シール部材(162)の外側に位置する部分が本体空間(111)と連通する。本体空間(111)は、第2ポート(172)と連通している。従って、この状態において、第3ポート(173)は、第1ポート(171)と第2ポート(172)の両方に連通する。また、弁体(130)が時計方向へ回転移動するにつれて、第1弁座面(141)における第3ポート(173)の開口部は、シール部材(162)の内側に位置する部分が次第に縮小し、シール部材(162)の外側に位置する部分が次第に拡大する。
図17(b)に示す状態から弁体(130)が時計方向へ更に回転すると、第1弁座面(141)における第3ポート(173)の開口部の全体がシール部材(162)の外側となり、その時点で第3ポート(173)が第1ポート(171)から遮断されて第2ポート(172)と連通する。その状態から弁体(130)が時計方向へ更に回転すると、切換弁(101)は、図7(c)に示す状態を経て、図7(d)に示す状態となる。切換弁(101)が図7(d)に示す状態になると、第1状態から第2状態への切り換えが完了する。
切換弁(101)が第2状態から第1状態へ切り換わる場合は、弁体(130)が図17における反時計方向へ90°だけ回転する。つまり、この場合、切換弁(101)は、図17(d)に示す状態から、図17(c)及び図17(b)に示す状態を経て、図17(a)に示す状態となる。
−制御器−
本実施形態の空気調和機(10)の制御器(80)は、実施形態3と同様に、切換弁制御部(81)と圧縮機制御部(82)とを備えている。切換弁制御部(81)は、第1三方切換弁(101a)及び第2三方切換弁(101b)の切り換えを行う。一方、圧縮機制御部(82)は、実施形態3と同様に、圧縮機(34)の圧縮機構(34a)の回転速度を制御し、更には圧縮機(34)の起動と停止を行う。
本実施形態の制御器(80)の切換弁制御部(81)は、第1三方切換弁(101a)及び第2三方切換弁(101b)の弁体(130)を第1位置と第2位置の一方から他方へ向かって徐々に回転移動させる。つまり、切換弁制御部(81)は、第1三方切換弁(101a)及び第2三方切換弁(101b)を所定の時間に亘って中間状態に保つ。
本実施形態の制御器(80)の圧縮機制御部(82)は、実施形態1と同様に、第1三方切換弁(101a)及び第2三方切換弁(101b)が切り換わる前後に亘って圧縮機(34)の運転を継続させる。なお、この圧縮機制御部(82)は、実施形態2と同様に第1三方切換弁(101a)及び第2三方切換弁(101b)の切り換え中に圧縮機(34)を一時的に停止させるものであってもよい。
《その他の実施形態》
実施形態1及び2の空気調和機(10)では、第1四方切換弁(100a)を構成する切換弁(100)と、第2四方切換弁(100b)を構成する切換弁(100)とが、一体化されていてもよい。この場合は、第1四方切換弁(100a)を構成する切換弁(100)の弁体(130)と、第2四方切換弁(100b)を構成する切換弁(100)の弁体(130)とが一本の駆動軸によって連結され、二つの弁体(130)が一つのステッピングモータによって駆動される。
実施形態1及び2の空気調和機(10)では、低段圧縮機(31)の圧縮機構(31a)と高段圧縮機(32)の圧縮機構(32a)とが一つの電動機によって駆動されていてもよい。この場合は、低段圧縮機(31)の圧縮機構(31a)と高段圧縮機(32)の圧縮機構(32a)とが、一つの電動機の駆動軸に連結される。
実施形態1及び2の空気調和機(10)の冷媒回路(15)は二段圧縮を行うように構成されているが、この冷媒回路(15)は、単段圧縮を行うように構成されていてもよいし、三段圧縮や四段圧縮などの三段以上の圧縮を行うように構成されていてもよい。また、実施形態3及び4の空気調和機(10)の冷媒回路(15)は単段圧縮を行うように構成されているが、この冷媒回路(15)は、複数段圧縮を行うように構成されていてもよい。
以上説明したように、本発明は、冷媒の流通経路を切り換える切換弁が冷媒回路に設けられた冷凍装置について有用である。
10 空気調和機(冷凍装置)
15 冷媒回路
21 低圧配管
23 高圧配管
31 低段圧縮機
32 高段圧縮機
33 膨張機
34 圧縮機
80 制御器
100 四方切換弁(切換弁)
101 三方切換弁(切換弁)
130 弁体
140 第1弁座(弁座)
141 第1弁座面(弁座面)
171 第1ポート
172 第2ポート
173 第3ポート
174 第4ポート

Claims (5)

  1. 冷媒を循環させて冷凍サイクルを行う冷媒回路(15)と、上記冷媒回路(15)に設けられて冷媒の流通経路を切り換える切換弁(100,101)とを備える冷凍装置であって、
    上記切換弁(100,101)は、
    第1ポート(171)、第2ポート(172)及び第3ポート(173)が開口する平坦な弁座面(141)を有する弁座(140)と、
    上記弁座面(141)と向かい合って配置され、上記第1ポート(171)を上記第3ポート(173)に連通させる第1位置と、上記第2ポート(172)を上記第3ポート(173)に連通させる第2位置との間を回転移動する弁体(130)とを備え、
    上記第1ポート(171)は上記冷媒回路(15)の高圧配管(23)に、上記第2ポート(172)は上記冷媒回路(15)の低圧配管(21)にそれぞれ接続され、
    上記弁体(130)が上記第1位置と上記第2位置の一方から他方へ至る途中に、所定時間に亘って上記第3ポート(173)が上記第1ポート(171)と上記第2ポート(172)の両方に連通する中間状態となるように上記弁体(130)の動作を制御する制御器(80)を備えている
    ことを特徴とする冷凍装置。
  2. 請求項1において、
    上記制御器(80)は、上記冷媒回路(15)の圧縮機(31,32,34)を運転したままで上記切換弁(100,101)の上記弁体(130)を移動させる
    ことを特徴とする冷凍装置。
  3. 請求項1において、
    上記制御器(80)は、上記冷媒回路(15)の圧縮機(31,32,34)を一時的に停止させた状態で上記切換弁(100,101)の上記弁体(130)を移動させ、該弁体(130)の移動が完了してから上記圧縮機(31,32,34)を起動する
    ことを特徴とする冷凍装置。
  4. 請求項1乃至3の何れか一つにおいて、
    上記冷媒回路(15)には、高圧冷媒の膨張によって発生した動力を利用して発電する膨張機(33)が設けられ、
    上記制御器(80)は、上記膨張機(33)を一時的に停止させた状態で上記切換弁(100,101)の上記弁体(130)を移動させる
    ことを特徴とする冷凍装置。
  5. 請求項1乃至4の何れか一つにおいて、
    上記切換弁(100,101)の上記弁座面(141)には、更に第4ポート(174)が開口しており、
    上記第4ポート(174)は、上記第1位置のときに上記第2ポート(172)と連通し、上記弁体(130)が上記第2位置のときに上記第1ポート(171)に連通する
    ことを特徴とする冷凍装置。
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