JP2013209815A - 地下壁の構造と構築方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】鏡切が容易な地下壁の構造を提供する。
【解決手段】ソイルセメントDやコンクリート内にH型鋼1を芯材として埋設した地下壁を対象とする。地下壁の開設予定範囲には、H型鋼1の開削側と地山側のフランジ11間に解体が容易な作業室型枠3が設置してあり、かつこの作業室型枠3は、隣接するH型鋼1の作業室型枠3と密着状態にあり、さらに切断予定位置の地山側のフランジ11の裏面にはソイルセメントDなどが充填されない空間を形成するため背面箱抜き4を設けてある。
【選択図】図2

Description

本発明は、地下壁の構造と構築方法に関するものである。
例えばシールド掘進機を発進させるための発進立坑の壁面は、地下壁によって構築してある。
シールド掘進機を発進する場合には、この地下壁の一部を事前に切断して地山を露出させた状態でシールド機を発進させることになる。
しかし地山の崩壊を阻止するために構築した地下壁は、H型鋼などの鋼材を芯材としてその周囲をコンクリートやソイルセメントで固めた強固な構造である。
そのために発進時には、特に鋼材部分を切断する作業に時間と労力を要している。
そのような切断工程を簡略化するために、図8に示すような構造が開発されている。(特許文献1)
この構成は、ウエブc前後のH型鋼のフランジaの間に箱体b、袋体を設置する構造である。
特開2009−13626号公報
前記した特許文献1に記載したような従来の地下壁の構造にあっては、次のような問題点がある。
<1> 開削側からみて前後のフランジ間に箱体が位置しているだけで、その他の部分はすべてソイルセメントで充填してある。
<2> 隣接する鋼材と鋼材との間に距離があるが、その間隔はすべてソイルセメントなどで充填した状態である。
<3> そのためにフランジの切断ができても、鋼材間に充填しているソイルセメントの撤去の工程が必要となる。
<4> さらに開削側からみて後方のフランジは、その背面にソイルセメントが充填しているから、切断のガスが背面に抜けることがなく、切断効率が悪い。
上記のような課題を解決するために、本発明の地下壁の構造は、ソイルセメントやコンクリート内にH型鋼を芯材として埋設した地下壁であって、地下壁の一部を開設する予定範囲には、H型鋼の開削側と地山側のフランジ間に解体が容易な作業室型枠が設置してあり、かつこの作業室型枠は、隣接するH型鋼の作業室型枠と密着状態にあり、さらに切断予定位置の地山側のフランジの裏面にはソイルセメントなどが充填されない空間を形成してあることを特徴としたものである。
また本発明の地下壁の構築方法は、ソイルセメントやコンクリート内にH型鋼を芯材として埋設した地下壁であって、その一部を開設する予定の地下壁の構築方法であって、H型鋼の開削側と地山側のフランジ間に解体が容易な作業室型枠が設置してあり、かつ切断予定位置の地山側のフランジの裏面にはソイルセメントなどが充填されない空間を形成してあるH型鋼を使用し、ひとつのH型鋼の作業室型枠が、隣接するH型鋼の作業室型枠とその外側表面が密着状態にあるようにソイルセメントなどの内部に設置して行うことを特徴とするものである。
本発明の地下壁の構造は以上説明したようになるから次のような効果の少なくともひとつを得ることができる。
<1> ソイルセメントなどに埋設したH型鋼と、それと隣接するH型鋼との間には、解体が容易な作業室型枠が位置しており、そこにはソイルセメントなどが充填されていない。
<2> そのために作業室型枠を解体するだけで、隣接するH型鋼の間に広い作業室を作ることができる。
<3> 作業室が形成できると、H型鋼の開削側フランジの裏にはソイルセメントなどの充填材が存在しなくなるから、開削側のフランジの切断際にガスが吹き抜けることになり、効率よく開削側フランジの切断を行うことができる。
<4> さらにこの作業室が確保できるので、この作業室に切断工具や作用員の半身を位置させて切断作業を行うことができ、地山側のフランジのガス切断も容易である。
<5> 地山側のフランジのガス切断に際しては、その裏側にはソイルセメントなどが充填しない空間が形成してあるので、やはりガスが吹き抜けて効率のよい切断を行うことができる。
一般の鏡切の例の説明図。 本発明の地下壁に設置するH型鋼の説明図。 図2のH型鋼の裏側の説明図。 地下壁の一面を開削した状態の説明図。 開削直後の地下壁の断面図。 作業室でフランジを切断している状態の説明図。 図6の平面からの説明図。 従来のH型鋼の一例の説明図。
以下図面を参照にしながら本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。
<1>対象とする地下壁
本発明の対象とする地下壁Aは、ソイルセメントやコンクリート内にH型鋼1を芯材として埋設した地下壁Aを対象にしたものである。
そしてこの地下壁Aの一部に、例えばシールド掘進機Bを発進させるために、事前に「鏡切C」という開口を行うことを前提とした地下壁Aである。
<2>H型鋼
H型鋼1は、2枚の平行したフランジ11の間を、それと直交するウエブ12で接続した、断面H字状の鋼材である。
地下壁Aを構築するには、まずオーガー削孔機などで削孔し、その内部にセメントを噴射圧入したり、置き換えたりして地中に鉛直のソイルセメントの柱を構築する。
そしてこのセメント分が硬化する前に、内部にH型鋼1を沈めて硬化を待つと、地中に地下壁Aを構築することができる。
この場合にH型鋼1は、壁Aの芯材として作用するので、適当な間隔だけ離して位置させる。
したがって各H型鋼1と、それと隣接するH型鋼1との間はソイルセメントなどが充填していることになる。
<3>H型鋼の切断予定線(図4)
H型鋼1の切断は、地下壁Aを正対して見た場合に、円形、楕円形、矩形の線状にガスで切断して行く。
したがって1本のH型鋼1においては、上下に二か所の切断予定線2が発生する。
<4>作業室型枠
H型鋼1は、ソイルセメントの内部に沈降させる前に、工場においてフランジ11の間に作業室型枠3を取り付ける。
この作業室型枠3の取り付け位置は、上記した上下の切断予定線2の外側まで達するように取り付ける。
すなわち上の切断予定線2よりも上部の位置から、下の切断予定線2よりも下の位置までである。
この作業室型枠3は、解体が容易な発泡スチロールのブロックや木製の中空容器などを使用することができる。
またこの作業室型枠3は、単にフランジ11の間に位置するだけではなく、隣接するH型鋼1の側に向けて突出した状態で設置する。
この突出寸法は、相対向するH型鋼1のウエブ12間の距離の半分である。
したがって、複数のH型鋼1を配置した場合に、各H型鋼1に設置した作業室型枠3の外側の面は、隣接するH型鋼1の作業室型枠3の外側の面と密着状態に設置することになる。
作業室型枠3をH型鋼1のフランジ11間に取り付けるには、例えば図3に示すようにフランジ11の間に水平に棚板13を突設してその棚板13間に挟み込めば容易に取り付けることができる。
<5>作業室型枠の浮き上がり防止
作業室型枠3として中空の容器や発泡スチロールで構成した場合、H型鋼1をソイルセメントD内に立て込むときに浮力が作用して正確な位置に設置できない可能性がある。
そのために作業室型枠3が中空の容器であった場合にはその内部に水や砂など比重が1よりも大きい材料を充填する。
中空容器内に水や砂を充填する場合に、漏水や充填の手間をなくすためにビニールなどの袋に入れて充填すると作業が簡単である。
また作業室型枠3が発泡スチロールなどの軽量部材である場合には、その一部に砂などを充填した袋を設置すればよい。
そのように比重の大きい材料を添えることで、H型鋼1のソイルセメントD内への建込みの際に働く浮力を低減して、精度のよい建込みを行うことができる。
<6>背面箱抜き
上記したように、H型鋼1には上下に二か所の切断予定線2がある。
そのH型鋼1の切断予定線2のフランジ11の背面側に箱抜き4を設ける。
この場合に箱抜き4とは、ソイルセメントDが入り込まないようにつくった中空の容器のことであり、ソイルセメントDの圧力で変形しない強度を保持できれば、鋼製、木製、合成樹脂製などその材料は問わない。
また、ここで背面側とは、開削側から見てH型鋼1の奥のフランジ11の裏側を意味する。
この箱抜き4を、H型鋼1の背面側フランジ11の裏側に配置して中空の空間を形成しておけば、背面側のフランジ11をガス切断する場合に、背面にはソイルセメントDが充填してないから、ガスが裏側に吹き抜けて効率の良い切断を行うことができる。
<7>施工方法
次の上記の構成を利用した施工法について説明する。
<8>地下壁の構築
アースオーガー削孔機で地山を鉛直柱状に撹拌し、排土せずに内部にセメントを噴射してソイルセメントDの撹拌柱を形成する。
セメントが硬化する前に、上記した構造のH型鋼1を撹拌柱の内部に沈降させて設置する。
この作業を連続して行い、上記の構造のH型鋼1を一定間隔を介して沈降設置し、セメント分を硬化させれば、地下壁Aを構築することができる。
なおこの方法は一例であって、他にも多数の地下壁Aの構築方法が公知であるから、図の方法に限定するものではないが、鉛直状態のH型鋼1が一定間隔を介して林立しているような地下壁Aが対象となる。
こうしてH型鋼1の切断予定範囲の切断線2の位置に、作業室型枠3と箱抜き4を位置させたH型鋼1群の設置を行う。
<9>開削
地下壁Aを構築する目的は、その後に地下壁Aの一側を開削した場合の地山の崩壊を阻止するためのである。
そこで上記の工程で設置した地下壁Aの一側を、公知の手段で開削して、例えばシールド掘進機Bの発進立坑を構築する。
開削する際に、H型鋼1および作業室型枠3の開削側表面に付着しているソイルセメントDの層も剥離させてH型鋼1のフランジ11の表面、作業室型枠3の開削側表面を露出させる。
<10>鋼材間の空間の形成
作業室型枠3は、例えば発泡スチロールのブロックや、木製の中空容器のような、解体、撤去が容易な材料で構成してある。
開削側にその表面が露出したら、人力やブレーカーなどを使用して作業室型枠3を解体して、フランジ11の間から取り出す。
すると隣接するH型鋼1間において、奥行きがウエブ12の寸法、幅が隣接するフランジ11間の寸法、そして高さがH型鋼1の上下の切断線の間隔より広い寸法の作業室5を形成することができる。
<11>H型鋼の切断
H型鋼1の開削側のフランジ11は、その背面に上記の作業室5が形成してあるから、ガス切断の場合にガスがフランジ11の裏まで吹き抜けて効率のよい切断を行うことができる。
その後、ウエブ12の切断と、背面側フランジ11の切断を行う。
ウエブ12の切断も、その背面には、ウエブ12を挟んで隣接する作業室5が形成してあるから、切断が容易である。
次に背面側のフランジ11の切断を行うが、この作業では、切断用具や作業員の半身を作業室5に入れることができるので、きわめて容易に行うことができる。
さらに背面側フランジ11の切断線付近の背面には背面箱抜き4が位置していてソイルセメントDが充填されていないのでガスが吹き抜けてその作業はさらに効率的である。
<12>鏡切り
事前に地下壁Aの背面の地山には薬液注入を行って補強しておく。
そして開口予定線2に位置するH型鋼1の上下二か所を上記の工程で切断したら、その間のH型鋼1を引き出して撤去する。
その後、開口部に接近して設置してあるシールド掘進機Bを発進させる。
H型鋼1を撤去した後の背面側にはソイルセメントDが残っているが、強度は大きくないので、シールド掘進機Bのカッタで切削が可能である。
1:H型鋼
2:切断予定線
3:作業室型枠
4:背面箱抜き
5:作業室

Claims (2)

  1. ソイルセメントやコンクリート内にH型鋼を芯材として埋設した地下壁であって、
    地下壁の一部を開設する予定範囲には、
    H型鋼の開削側と地山側のフランジ間に解体が容易な作業室型枠が設置してあり、
    かつこの作業室型枠は、隣接するH型鋼の作業室型枠と密着状態にあり、
    さらに切断予定位置の地山側のフランジの裏面にはソイルセメントなどが充填されない空間を形成してある、
    地下壁の構造。
  2. ソイルセメントやコンクリート内にH型鋼を芯材として埋設した地下壁であって、その一部を開設する予定の地下壁の構築方法であって、
    H型鋼の開削側と地山側のフランジ間に解体が容易な作業室型枠が設置してあり、
    かつ切断予定位置の地山側のフランジの裏面にはソイルセメントなどが充填されない空間を形成してあるH型鋼を使用し、
    ひとつのH型鋼の作業室型枠が、隣接するH型鋼の作業室型枠とその外側表面が密着状態にあるようにソイルセメントなどの内部に設置して行う、
    地下壁の構築方法。
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