JP2013209578A - 窒化物蛍光体の製造方法と蛍光体及び発光装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】LSN蛍光体を製造する際に、粒度のばらつきを押さえ、かつ蛍光体の輝度を向上させる。
【解決手段】下記一般式(1)で表される蛍光体の製造方法であって、所定量の各元素源を含む調合粉と、少なくとも下記一般式(1)で表される蛍光体と同じ母体を有する化合物を調合粉に対し0.2〜10重量%含んだ原料粉を、焼成することを特徴とする下記一般式(1)で示される蛍光体の製造方法。
LnaSibc:Zd …(1)
(ただしa,b,c,dは、a+d=3、5.4≦b≦6.6、10≦c≦12、d>0を
満たす数であり、LnはLaを必須とし、希土類金属又はアルカリ土類金属からなる群より選ばれる元素であり、Zは賦活剤元素である。)
【選択図】図1

Description

本発明は、窒化物蛍光体の製造方法に関り、より詳しくは、粒子径の安定した高輝度な窒化物蛍光体の製造方法に関る。
近年、省エネルギーの流れを受け、LEDを用いた照明やバックライトの需要が増加している。ここで用いられるLEDは,青または近紫外線を発するLEDチップ上に、蛍光
体を配置した白色発光LEDである。白色発光LEDの多くは青色LEDチップ上に、青色LEDチップからの青色光を励起光として黄色に発光するYAG(イットリウムアルミニウムガーネット)蛍光体を用いたものが多く用いられている。しかしながらYAG蛍光体は、大出力下で用いられる場合、蛍光体の温度が上昇すると輝度が低下する、いわゆる温度消光が大きいという問題や、より優れた色再現範囲や演色性を求めて、近紫外線(通常、青励起に対する言葉として350−420nm程度の紫を含めた範囲を近紫外線と呼んでいる)で励起しようとすると、輝度が著しく低下するという問題があった。そしてこれらの問題を解決するため、窒化物蛍光体で黄色発光のものが検討され、その有力な候補として例えば特許文献1、2に記載されるLa3Si611(以下LSNと略記することがある)蛍光体などが開発されている。
この蛍光体は、従来のYAG蛍光体に比べ、温度が上昇しても輝度の低下が小さく、かつ、近紫外線での励起でも十分な発光が得られる。
一方、LED用に使用される蛍光体は、その粒径が、CRT、蛍光灯、CCFLあるいは、PDPなどに使用される場合より、大きくなる傾向がある。これは励起光(この場合の光は電磁波を含む)が近紫外から青色となり、従来の励起光より波長が長いため、蛍光体粒子に内部に侵入した光が、そのまま蛍光体粒子を通過してしまうことが生じるため、十分な発光を得るために大粒子化しているものである。
国際公開第2008/132954号パンフレット 国際公開第2010/114061号パンフレット
しかしながら、この蛍光体を量産するに当たり、従来よりも大粒子の蛍光体を製造しようとすると、その粒径が安定せず、その重量中央粒径が、2倍近い範囲で変動するという問題を生じた。例えば、焼成後の目標粒径(重量中央粒径)30ミクロンにした場合に、焼成後の重量中央粒径が60ミクロン程度まで大きくなってしまうことが頻発する。
このように重量中央粒径が、大きな粒子になってしまうと、塗布時に塗布ノズルを詰まらせたり、あるいは塗布後の沈降速度が他の蛍光体の粒子に比べ速いため、沈降して蛍光体の濃度が高くなった部分と、逆に薄くなった部分を生じ、それぞれの部分の色が目標と違ってしまうなどの問題を生じ易い。このような状態で重量中央粒径を下げるためには、主として2つの方法が用いられている。一つはボールミルなどで目標より大きな粒子を粉砕することであり、もう一つは沈降速度の差を利用するなどして、目標より大きい粒子を除去することである。
しかし、粉砕する方法ではどうしても蛍光体自体にダメージを与え、転移などの非発光輻射の原因となるような欠陥を導入してしまうことになり、蛍光体の輝度を下げてしまう

もう一方の粗大粒子を除去する方法は、蛍光体に与えるダメージは少ないものの、目標粒径より大きい重量中央粒径を持つ粒子を大量に捨てることになり、歩留まりの点で大きな課題があった。
すなわち、蛍光体の焼成後に大きな粒子への対策を立てるのではなく、焼成後に除去しなければならない大粒子を生じさせないようにする製造方法を提供すること、さらには輝度が向上し、重量中央粒径の安定したLSN蛍光体の製造方法を提供することが、本発明の課題である。
そこで本発明者らは、鋭意検討の結果、LSN蛍光体を製造する際に、製造しようとする蛍光体自体か、その蛍光体の母体と実質的に同じ組成を有するLSN自体を調合粉に添加して焼成することにより、粒度のばらつきが解決されることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明の要旨は、以下に存する。
(1)下記一般式(1)で表される蛍光体の製造方法であって、所定量の各元素源を含む調合粉と、少なくとも下記一般式(1)で表される蛍光体と同じ母体を有する化合物を、調合粉に対し0.2から10重量%含んだ原料粉を、焼成することを特徴とする下記一般式(1)で示される蛍光体の製造方法。
LnaSibc:Zd …(1)
(ただしa,b,c,dは、a+d=3、5.4≦b≦6.6、10≦c≦12、d>0を
満たす数であり、LnはLaを必須とし、希土類金属又はアルカリ土類金属からなる群より選ばれる元素であり、Zは賦活剤元素である。)。
(2)焼成後の蛍光体の重量中央粒径が1μm以上40μm以下である(1)に記載の蛍光体の製造方法。
(3)該蛍光体と同じ母体を有する化合物の粒径が、重量中央粒径で10μm以上25μm以下である(1)または(2)に記載の蛍光体の製造方法。
(4)該蛍光体と同じ母体を有する化合物が、下記一般式(2)で表される(1)ないし(3)のいずれかに記載の蛍光体の製造方法。
Lna1Sib1c1:Zd1 …(2)
(ただしa1,b1,c1,d1はa1+d1=3、5.4≦b≦6.6、10≦c1≦12
、d1≧0を満たす数であり、LnはLaを必須とし、希土類金属又はアルカリ土類金属からなる群より選ばれる元素であり、Zは賦活剤元素である。)。
(5)(1)ないし(4)のいずれかの製造方法により製造された蛍光体。
(6)(5)の蛍光体を用いた発光装置。
本発明により、輝度が向上し、かつ重量中央粒径の安定した蛍光体の製造方法を提供できる。
図1は、種の添加量と焼成後の重量中央粒径の関係を表したグラフである。 図2は、種の添加量と輝度の関係を表したグラフである。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することが出来る。
(蛍光体の種類)
本発明で製造される蛍光体は、以下の一般式(1)で表される蛍光体である。
LnaSibc:Zd …(1)
ただしa,b,c,dは、a+d=3、5.4≦b≦6.6、10≦c≦12、d>0を
満たす数であり、LnはLaを必須とし、希土類金属又はアルカリ土類金属からなる群より選ばれる元素であり、Zは賦活剤元素である。
そしてLnは、より好ましくは、Laを80モル%以上含む希土類元素であり、より好ましくはLaが95モル%以上含む希土類元素であり、そして最も好ましくはLaである。
La以外の元素としては、希土類であれば特に制限されないが、好ましくは、他の蛍光体の場合にもしばしば置換が行われるイットリウムやガドリニウムなどであり、これらの元素はイオン半径も近く電荷も等しいため好ましい。
賦活剤Zとしては、Eu、Ceのどちらかを含むことが好ましく、Ceを80モル%以上含むことがより好ましく、Ceを95モル%以上含むことが更に好ましく、そしてCeであることが最も好ましい。
元素のモル比、すなわちa,b,cの比は、化学量論組成としては3:6:11であり、これに1割程度の過不足が有っても蛍光体として使用可能であることから、a、b、cの値はa+dを基準値として3とおいたときに、それぞれ、5.4≦b≦6.6、10≦c≦12の範囲に設定される。また蛍光体としては賦活剤が必須であるのでd>0となる。
尚、本発明の蛍光体は、上述の一般式(1)で表されるものではあるが、色度点を変えるなどの目的で、カルシウム、ストロンチウムなどのアルカリ土類金属元素やアルミニウムなどで一部のサイトを置換したものも、本発明の範囲から排除されるものではない。例えば、カルシウム、イットリウム、ガドリニウム、ストロンチウムによる置換は発光波長を長くする際に使用でき、好ましく例示できる。またこれらの元素は、電荷保存則を満たすため、他の元素と同時に置換され、その結果SiやNのサイトが一部酸素などで置換されることがあり、そのような蛍光体も好適に使用することができる。(蛍光体の目標とする重量中央粒径)
本発明の蛍光体は、焼成後の目標とする重量中央粒径が、通常1μm以上、中でも5μm以上、また、通常40μm以下、中でも35μm以下の範囲であることが好ましい。また、最終的に得られる蛍光体の粒径も同じ範囲が好ましい。これは、本発明の製造方法が、焼成後の粒径調整のための粉砕をなるべく少なくすることを目的としているためである。
重量中央粒径が小さすぎると、輝度が低下し、蛍光体粒子が凝集してしまう傾向がある。一方、重量中央粒径が大きすぎると、やはり輝度が低下し、さらに塗布ムラやディスペンサー等の閉塞が生じる傾向がある。このため上記範囲が好ましい。
(蛍光体の製造方法)
本発明の特徴は、蛍光体の焼成時に、その目的の蛍光体と同じ母体を有する化合物(以下、「種」と呼ぶことがある)を、目的の蛍光体を得るための各元素源を含む調合粉に加えて焼成することである。すなわち、一般式(1)で示される蛍光体を製造する際に、Lna1Sib1c1:Zd1で表される一般式(2)に記載の化合物(ただしa1=3かつd1=0の場合を含むことを除き、aとa1、bとb1、cとc1、dとd1はそれぞれ一般式(1)と同じ範囲になる。製造しようとする蛍光体と種として用いる化合物が同一の組成である必要が無いことを明確にするためaとa1のように区別している)を、調合粉全体に対し0.2重量(wt)%以上、10重量(wt)%以下添加し、これを焼成することである。尚、以下重量%をwt%と書くことがある。
本発明の製造方法により、重量中央粒径が安定する理由については、発明者の推測ではあるが、一般式(1)で表される蛍光体が形成される際に、添加したLna1Sib1c1:Zd1で表される化合物の表面が、成長の核となり、ここから粒子成長が始まっては剥離することを繰り返すため、成長の核となる粒子が、焼成の早い時点で多数供給され、その結果、それぞれの粒子が同じ様に成長することによるのではないかと考えられる。
一方このような粒子成長の核となる粒子が無い場合には、焼成の微妙な条件によって、比較的少数の粒子が最初に発生した場合(重量中央粒径は大きくなる)と、最初から多数の粒子が発生した場合(重量中央粒径は小さくなる)で、重量中央粒径が大きく異なってしまう。
最初に多数の成長の核となる粒子として、得ようとする蛍光体と同じ母体を有する化合物を添加しておくことで、同一製造条件での粒径を安定させることができ、重量中央粒径のばらつきを減らすことができる。
本発明に用いられる所望の蛍光体と同じ母体を有する化合物とは、母体の構成元素が、実質的に同じものであればよく、例えば構成元素のモル比が、ストイキオ組成から1割程
度の範囲で異なっていたり、不純物元素が含まれてい
たりしても、本発明の効果を得ることができる。
賦活剤元素の濃度に関しては、一般式(1)で表される蛍光体の賦活剤元素の濃度と同じ濃度であることが好ましいが、賦活剤の濃度が異なっていても、更には賦活剤元素が含まれていなくても、成長の核としての役割を果たすことができるので、問題なく使用することができる。
種の大きさ(重量中央粒径)としては、目標とする重量中央粒径の蛍光体を得る観点からは、一般式(1)で表される蛍光体の重量中央粒径に対し、極端に大きくない限り、本発明の効果を得られると思われるが、好ましくは、蛍光体としての目標粒径と同等から、やや小さい範囲が好ましく、目標とする焼成後の重量中央粒径に対し110%以下、目標とする焼成後の重量中央粒径の10%以上の範囲が好ましく、より好ましくは、目標とする焼成後の重量中央粒径に対し100%以下であり、また目標とする焼成後の重量中央粒径の40%以上である。
また、別の観点からは、重量中央粒径で5μm以上、好ましくは10μm以上、25μm以下が好ましい。5μm未満であると、後述する混合時の攪拌効果が得られにくく、25μmを超えると、粗大粒子となって得られた蛍光体のQDを悪化させやすい傾向がある。
また、種とする蛍光体は、結晶成長の核となるものであるから、その表面に欠陥の多いものより(例えば過剰な粉砕を行ったものより)、あまり粉砕処理をしていないものが好ましい。
その添加量は、前述のとおり、仕込み原料全体に対し、0.2重量%以上、10重量%以下であり、より好ましくは、下限が、1重量%以上、上限が3重量%以下である。あまり少なすぎても、多すぎても、成長の核としての働きが悪くなりやすい。
(原料とその混合)
本発明の蛍光体は、原料混合の際に、あらかじめ種を添加しておく以外は、公知の特許文献1や、特許文献2に記載の製造方法で製造することができる。
例えば、原料として蛍光体を構成する各元素源を含む調合粉および種を用意し、その調合粉および種を混合し、混合した蛍光体原料粉を焼成する工程(焼成工程)を経て製造することができる。
なお、調合粉は、種の量を規定するための仮想的なものであって、本発明の製造方法に
おいて、必ず種を含まない調合粉を作る必要があるものではなく、各元素源と種を一度に混合して原料粉を焼成してもよい。
これら製造方法の中で、合金を、原料の少なくとも一部とする方法、さらに詳しくは、少なくとも上記式(1)におけるLn元素、Z元素及びSi元素を含有する合金(以下これを「蛍光体製造用合金」ということがある。)を、フラックスの存在下で焼成する工程を有する方法により製造することが好ましい。かかる原料の一部又は全てを蛍光体製造用合金として、本発明の蛍光体を作成することができるが、この原料合金の製造方法については、前述の特許文献2に詳しく記載され、原料合金の製造、粉砕、分級など必要に応じて使用できる方法が詳述されている。
蛍光体製造用合金に含有される金属元素の組成が、式(1)で表される結晶相に含まれる金属元素の組成に一致していれば蛍光体製造用合金のみを焼成すればよい。一方、蛍光体製造用合金を使用しないか、その組成が一致していない場合には、別の組成を有する蛍光体製造用合金、金属単体、金属化合物などを蛍光体製造用合金と混合して、原料中に含まれる金属元素の組成が式(1)で表される結晶相に含まれる金属元素の組成に一致するように調整し、焼成を行う。
蛍光体製造用合金を用いない場合、あるいは蛍光体製造用合金と併用して用いられる金属化合物に制限はなく、例えば、窒化物、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、蓚酸塩、カルボン酸塩、ハロゲン化物等が挙げられる。具体的な種類は、これらの金属化合物の中から、目的物への反応性や焼成時におけるNOx、SOx等の発生量の低さ等を考慮して適宜選択すればよいが、本発明の蛍光体が窒素含有蛍光体である観点から、窒化物及び/又は酸窒化物を用いることが好ましい。中でも、窒素源としての役割も果たすため、窒化物を用いることが好ましい。
窒化物及び酸窒化物の具体例としては、Si、LaN、EuN等の蛍光体を構成する元素の窒化物、LaSi合金、LaSi合金の一部を窒化物、LaSi35等の蛍光体を構成する元素の複合窒化物等が挙げられる。
また、上記の窒化物は、微量の酸素を含んでいてもよい。窒化物における酸素/(酸素+窒素)の割合(モル比)は本発明の蛍光体が得られる限り任意であるが、通常5%以下、好ましくは1%以下、より好ましくは0.5%以下、更に好ましくは0.3%以下、特に好ましくは0.2%以下とする。窒化物中の酸素の割合が多すぎると輝度が低下する可能性がある。
種として加えるLna1Sib1c1:Zd1は、他の原料と比べると粒径が比較的大きくできるので、前述のように、例えば重量中央粒径で5μm以上、より好ましくは10μm以上とすることで、原料の混合を促進する効果も期待できる。
(フラックス)
焼成工程においては、良好な結晶を成長させる観点から、反応系にフラックスを共存させるのが好ましい。
フラックスの種類は特に制限されないが、例えば、NHCl、NHF・HF等のハロゲン化アンモニウム;NaCO、LiCO、CsCO、RbCO等のアルカリ金属炭酸塩LiCl、NaCl、KCl、CsCl、LiF、NaF、KF、CsF、RbF等のアルカリ金属ハロゲン化物;CaCl、BaCl、SrCl、CaF、BaF、SrF、MgCl、MgFなどのアルカリ土類金属ハロゲン化物;BaO等のアルカリ土類金属酸化物;B、HBO、Na等のホウ素酸化物、ホウ酸及びアルカリ金属又はアルカリ土類金属のホウ酸塩化合物;LiPO、NHPO等のリン酸塩化合物;AlF等のハロゲン化アルミニウム;ZnCl、ZnF等のハロゲン化亜鉛、酸化亜鉛等の亜鉛化合物;Bi等の周期
表第15族元素化合物;LiN、Ca、Sr、Ba、BN等のアルカリ金属、アルカリ土類金属又は第13族元素の窒化物などが挙げられる。
さらに、フラックスとして、例えば、LaF、LaCl、GdF、GdCl、LuF、LuCl、YF、YCl、ScF、ScCl等の希土類元素のハロゲン化物、La、Gd、Lu、Y、Sc等の希土類元素の酸化物も挙げられる。
上記フラックスとしては、ハロゲン化物が好ましく、具体的には、例えばアルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、Znのハロゲン化物、希土類元素のハロゲン化物が好ましい。また、ハロゲン化物の中でも、フッ化物、塩化物が好ましい。
ここで、上記フラックスのうち潮解性のあるものについては、無水物を用いる方が好ましい。また、フラックスは1種のみを使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
さらに好適なフラックスとして、MgFが挙げられるが、それ以外にCeF、La
、YF、GdF等も好適に使用できる。このうちYF、GdF等は発光色の色度座標(x、y)を変化させる効果を有する。
また、蛍光体組成中に入りにくいという観点からは、イオン半径の大きい、Rb化合物、Cs化合物が、特に好適に用いられる。
フラックスの使用量は、原料の種類やフラックスの材料等によっても異なり任意であるが、原料全体に対して、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.3重量%以上、また、通常20重量%以下、好ましくは10重量%以下の範囲が適当である。フラックスの使用量が少な過ぎると、フラックスの効果が現れない可能性があり、フラックスの使用量が多過ぎると、フラックス効果が飽和したり、母体結晶に取り込まれて発光色を変化させたり、輝度低下を引き起こしたり、焼成炉の劣化を引き起こしたりする場合がある。
(焼成条件)
このようにして得られた、種を含む原料粉を、通常は坩堝、トレイ等の容器に充填し、雰囲気制御が可能な加熱炉に納める。この際、容器の材質としては、金属化合物との反応性が低いことから、ここで使用する焼成容器の材質は、例えば、窒化ホウ素、窒化珪素、炭素、窒化アルミニウム、モリブデン、タングステン等が挙げられる。中でも、モリブデン、窒化ホウ素が耐食性に優れることから好ましい。なお、上記の材質は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
ここで、使用する焼成容器の形状は任意である。例えば、焼成容器の底面が、円形、楕円形等の角のない形や、三角形、四角形等の多角形であってもよいし、焼成容器の高さも加熱炉に入る限り任意であり、低いものでも高いものでもよい。中でも、放熱性のよい形状を選択することが好ましい。また、その炉内のスペースや、ガスの流れなどを考慮して適宜選択するとよい。
そして、原料粉(種を含む)を加熱することにより、本発明の蛍光体を得ることができる。ただし、上記の原料粉は、40%以下の体積充填率に保持した状態で焼成することが好ましい。なお、体積充填率は、
(混合粉末の嵩密度)/(混合粉末の理論密度)×100[%]
により求めることが出来る。
この蛍光体原料を充填した焼成容器を、焼成装置(以下これを「加熱炉」ということがある。)に納める。ここで使用する焼成装置としては、本発明の効果が得られる限り任意
であるが、装置内の雰囲気を制御できる装置が好ましく、さらに圧力も制御できる装置が好ましい。例えば、熱間等方加圧装置(HIP)、抵抗加熱式真空加圧雰囲気熱処理炉等が好ましい。
また、加熱開始前に、焼成装置内に窒素を含むガスを流通して系内を十分にこの窒素含有ガスで置換することが好ましい。必要に応じて、系内を真空排気した後、窒素含有ガスを流通しても良い。
窒化処理の際に使用する窒素含有ガスとしては、窒素元素を含むガス、例えば窒素、アンモニア、或いは窒素と水素の混合気体等が挙げられる。また、窒素含有ガスは、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。これらの中で、窒素含有ガスとしては、水素を含む窒素ガス(水素含有窒素ガス)が好ましい。なお、水素含有窒素ガスにおける水素の混合割合は4体積%以下が爆発限界外で有り、安全上好ましい。
窒化処理は、水素含有窒素ガスを充填した状態或いは流通させた状態で蛍光体原料を加熱することにより行なうが、その際の圧力は大気圧よりも幾分減圧、大気圧或いは加圧の何れの状態でも良い。ただし、大気中の酸素の混入を防ぐためには大気圧以上とすることが好ましい。圧力を大気圧未満にすると加熱炉の密閉性が悪い場合には多量の酸素が混入して特性の高い蛍光体を得ることができない可能性がある。水素含有窒素ガスの圧力は少なくともゲージ圧で0.1MPa以上が好ましい。あるいは、20MPa以上の高圧下で加熱することもできる。また、200MPa以下が好ましい。
その後、窒素を含むガスを流通して、系内を十分にこのガスで置換する。必要に応じて、系内を真空排気した後、ガスを流通しても良い。
ところで、金属の窒化反応は、通常は発熱反応である。したがって、特に合金法による蛍光体の製造時には、急激に放出される反応熱により合金が再度融解し、表面積が減少する可能性がある。このように表面積が減少すると、気体窒素と合金との反応を遅延させることがある。このため、合金法では、合金が融解しない反応速度を維持することが、高性能の蛍光体を安定に製造することができるために好ましい。特に、その窒化熱生成が激しい1150〜1400℃なる焼成温度領域の、少なくとも、発熱ピークの立ち上がりがおこる温度領域において、1.5℃/分以下の低速度で昇温させて焼成することが好ましい。昇温速度の上限は、通常1.5℃/分以下、好ましくは0.5℃/分以下、より好ましくは0.1℃/分以下である。また、下限に特に制限はなく、工業生産としての経済的観点より定めればよい。ここで、発熱ピークとは、TG−DST(熱重量・示差熱)測定により求められる発熱ピークである。
本方法により、合金の窒化熱の急激な生成を抑制することができ、局所的な温度上昇を抑制し、良好な蛍光体が得られるとともに、窒化熱を生成しない他の温度領域を高い昇温速度に設定することにより、全体の焼成時間を短縮し効率的に蛍光体を製造することができる。
加熱温度は、原料粉の組成等によっても異なるが、通常1000℃以上1800℃以下であり、1400℃以上1700℃以下がより好ましい。また、上記の温度は、加熱処理の際の炉内温度、即ち、焼成装置の設定温度をさす。
窒化処理時の加熱時間(最高温度での保持時間)は、原料粉と窒素との反応に必要な時間で良いが、通常1分以上、好ましくは10分以上、より好ましくは30分以上、更に好ましくは60分以上である。加熱時間が1分より短いと窒化反応が完了せず特性の高い蛍光体が得られない可能性がある。また、加熱時間の上限は生産効率の面から決定され、通常50時間以下であり、好ましくは24時間以下である。
本発明の製造方法において、原料粉の少なくとも一部として合金が含まれている場合には、必要に応じて、原料粉(の合金部分)を予備的に窒化(一次窒化)した後に、上述した窒化処理を行ってもよい。具体的には、窒素含有雰囲気下、所定の温度域で所定の時間、原料粉を加熱することにより予備的な窒化を行なうことになる。このような一次窒化工程の導入により、その後の窒化処理における原料粉中の合金と窒素との反応性を制御することができ、原料粉から蛍光体を工業的に生産が容易となる可能性がある。
また、窒化処理は、必要に応じて、複数回に渡って繰り返して行なってもよい。この場合、1回目の焼成(一次焼成)の条件と2回目の焼成(二次焼成)以降の焼成条件は、いずれも上述の通りである。二次焼成以降の条件は、一次焼成と同じ条件でもよく異なる条件に設定してもよい。
このように原料粉に対して窒化処理することにより、一般式(1)で表される本発明の蛍光体を得ることができる。
(後処理)
本発明の製造方法においては、上述した工程以外にも、必要に応じてその他の工程を行ってよい。例えば、上述の焼成工程後、必要に応じて粉砕工程、洗浄工程、分級工程、
表面処理工程、乾燥工程などを行なってもよい。
(粉砕工程)
粉砕工程には、例えば、ハンマーミル、ロールミル、ボールミル、ジェットミル、リボンブレンダー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー等の粉砕機、乳鉢と乳棒を用いる粉砕などが使用できる。このとき、生成した蛍光体結晶の破壊を抑え、二次粒子の解砕等の目的とする処理を進めるためには、例えば、アルミナ、窒化珪素、ZrO、ガラス等の容器中にこれらと同様の材質又は鉄芯入りウレタン等のボールを入れてボールミル処理を10分〜24時間程度の間で行うことが好ましい。この場合、有機酸やヘキサメタリン酸などのアルカリリン酸塩等の分散剤を0.05重量%〜2重量%用いても良い。
本発明においては、焼成後の蛍光体の粒径と、最終的な製品となる蛍光体の粒径の差が比較的小さいため、この工程は主に洗浄の効率向上のための分散と、粒度の微調整に使用する。
(洗浄工程)
洗浄工程は、例えば、脱イオン水等の水、エタノール等の有機溶剤、アンモニア水等のアルカリ性水溶液などで行うことができる。
使用されたフラックスを除去する等、蛍光体の表面に付着した不純物相を除去し発光特性を改善するなどの目的のために、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、王水、フッ化水素酸と硫酸との混合物などの無機酸;酢酸などの有機酸などを含有する酸性水溶液を使用することもできる。
不純物相である非晶質分を除去する目的のためにフッ化水素酸、フッ化アンモニウム(NHF)、フッ化水素アンモニウム(NHHF)、フッ化水素ナトリウム、フッ化水素カリウム等を含有する酸性水溶液等が使用できる。これらの中で、NHHF水溶液が好ましい。NHHF水溶液の濃度は、通常1重量%〜30重量%、好ましくは5重量%〜25重量%である。また、必要に応じてこれらの薬剤を適宜混合して使用することもできる。
また、酸性水溶液を使用する場合には、安全性と、廃液の処理が比較的容易であることから塩酸を使用することが好ましく、塩酸の濃度は、0.1Nから5N程度が好ましい。
また、アルカリ性水溶液や酸性水溶液中で洗浄処理した後に、水で更に洗浄することが好ましい。
上記の洗浄工程により、蛍光体の輝度、発光強度、吸収効率、物体色を向上させることができる。
洗浄の程度は、洗浄後の蛍光体を重量比で10倍の水に分散後、1時間静置して得られる上澄み液の電気伝導度でも表すことができる。上記電気伝導度は、発光特性の観点からは低いほど好ましいが、生産性も考慮すると通常10mS/m以下、好ましくは5mS/m以下、より好ましくは4mS/m以下となるまで洗浄処理を繰り返し行うことが好ましい。
電気伝導度は、蛍光体の10重量倍の水中で所定時間(例えば10分間)撹拌して分散させた後、1時間静置して水よりも比重の重い粒子を自然沈降させ、このときの上澄み液の電気伝導度を、例えば東亜ディケーケー社製電気伝導度計「EC METER CM−30G」等を用いて測定すればよい。洗浄処理や電気伝導度の測定に用いる水としては、特に制限はないが、脱塩水又は蒸留水が好ましい。中でも特に電気伝導度が低いものが好ましく、通常0.0064mS/m以上、また、通常1mS/m以下、好ましくは0.5mS/m以下のものを用いる。なお、電気伝導度の測定は、通常、室温(25℃程度)にて行う。
(分級工程)
分級工程は、例えば、水篩を行う、あるいは、各種の気流分級機や振動篩など各種の分級機を用いることにより行うことができる。中でも、ナイロンメッシュによる乾式分級や、水簸処理とを組み合わせて用いることにより、重量中央粒径20μm程度の分散性の良い蛍光体を得ることができる。
ここで、水篩や水簸処理では、通常、水媒体中に0.1重量%〜10重量%程度の濃度で蛍光体粒子を分散させる、また、蛍光体の変質を抑えるために、水媒体のpHを、通常4以上、好ましくは5以上、また、通常9以下、好ましくは8以下とする。また、上記のような重量中央粒径の蛍光体粒子を得るに際して、水篩及び水簸処理では、例えば50μm以下の粒子を得てから、30μm以下の粒子を得るといった、2段階での篩い分け処理を行う方が作業効率と収率のバランスの点から好ましい。また、下限としては、通常1μm以上、好ましくは5μm以上のものを篩い分ける処理を行うのが好ましい。
(乾燥工程)
このようにして洗浄を終了した蛍光体を、100℃〜200℃程度で乾燥させる。必要に応じて乾燥凝集を防ぐ程度の分散処理(例えばメッシュパスなど)を行ってもよい。
(表面処理工程)
本発明の蛍光体を用いて発光装置を製造する際には、耐湿性等の耐候性を一層向上させるために、又は後述する発光装置の蛍光体含有部における樹脂に対する分散性を向上させるために必要に応じて、蛍光体の表面を異なる物質で一部被覆する等の表面処理を行っても良い。
また、本発明の一般式(1)で表される蛍光体は、高圧水蒸気の存在中に保持する処理により、輝度を向上させる処理を行うことが出来る。
こうして得られた本発明の蛍光体は、従来の製造方法で作られた蛍光体よりも輝度にすぐれている、本発明の蛍光体を樹脂中に混合し、青又は紫、あるいは紫外線などの励起光で発光させ、励起光、あるいは必要に応じ他の蛍光体などからの光を混合して得られる白色発光する発光装置も、高い輝度が得られる。
以下、実施例、比較例を示して本発明について更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更
して実施することができる。
なお、実施例、比較例の蛍光体の発光特性等の測定は、次の方法で行った。
(発光スペクトル)
発光スペクトルは、励起光源として150Wキセノンランプを、スペクトル測定装置としてMCPD7000(大塚電子社製)を用いて測定した。励起光455nmの条件で、380nm以上800nm以下の波長範囲においてスペクトル測定装置により各波長の発光強度を測定し、発光スペクトルを得た。
(色度座標)
x、y表色系(CIE 1931表色系)の色度座標は、上述の方法で得られた発光スペクトルの420nm〜800nmの波長領域のデータから、JIS Z8724に準じた方法で、JIS Z8701で規定されるXYZ表色系における色度座標xとyとして算出した。
(重量中央粒径)
粒径測定は「COULTER MULTISIZERII」(ベックマン・コールター社)を用いた、電気的検知帯法によって測定した。使用したアパーチャーサイズは100μmであり、蛍光体は事前に水中で超音波分散させてから測定を行った。 続いて実際の蛍光体の製造方法を説明する。
(QD)
粒度分布の広がりの大きさを表す尺度であり、重量中央粒径と同様な条件にて測定後、以下の計算式に則りQD値を求めた。
(75%径−25%径)/(75%径+25%径)
(実施例1)
(原料粉の調合)
原料としてLa:Si=1:1(モル比)の合金、Si、CeFをLa:Si=3:6(モル比)かつCeF/(合金+Si)=6wt%になるように秤量した。
更に、種としてLSN蛍光体(重量中央粒径=21.8μm:賦活剤濃度は製造する蛍光体
と同じ)を前記原料の総重量に対して2wt%を秤量した。
秤量した原料と種、すべてをポリ袋で十分に混合した後ナイロンメッシュの篩を通して原料粉を作成した。なお秤量〜調合までの作業は酸素濃度1%以下の窒素雰囲気のグローブボックス内で実施した。
(焼成)
調合した原料粉(種を含む)をMoるつぼに充填し、タングステンヒーターの電気炉内にセットした。装置内を真空排気した後、水素含有窒素ガス(窒素:水素=96:4(体積比))を大気圧になるまで導入した。その後1550℃で8時間保持した後降温を開始し、焼成処理を終了し蛍光体を得た。
(洗浄)
焼成した蛍光体をナイロンメッシュの篩を通した後、1Nの塩酸中で1時間攪拌し、水洗・120℃の熱風乾燥機で乾燥後にナイロンメッシュの篩を通して実施例1の蛍光体を得た。得られた蛍光体の発光スペクトルを測定し、色度座標と輝度、及び粒径とQDを測定した。
(実施例2)
混合する種の量を5.1wt%に変えた以外は実施例1と同様に実施例2の蛍光体を得た。
(比較例1)
種を混合しなかった以外は実施例1と同様に比較例1の蛍光体を得た。
以上の実施例1、2と比較例1は同時に焼成した一組の結果である。
また、以下の実施例3、4、5と比較例2も同時に焼成した一組の結果である。
(実施例3)
混合する種の量を1wt%に変えた以外は実施例1と同様に実施例2の蛍光体を得た。
(実施例4)
実施例1と同じ実験(種の量:2wt%)を繰り返し行った。
(実施例5)
種として小粒子のLSN蛍光体(重量中央粒径=14.1μm)を使用した以外は実施例4
の蛍光体と同様(種の量:2wt%)に実施例5の蛍光体を得た。
(比較例2)
比較例1の繰り返し実験を行った。
(実施例6)
混合する種の量を10wt%に変えた以外は実施例1と同様に実施例2の蛍光体を得た。表1に実施例1から6、及び比較例1、2の種の重量中央粒径(μm)、添加量(wt%)及び得られた蛍光体の重量中央粒径(μm)、色度座標(x,y)、輝度、そして粒度分布QDの結果を示す。尚、輝度は、P46−Y3蛍光体(YAG:化成オプトニクス社製)を標準品とし(輝度100)、蛍光分光光度計FP−6500にて測定した。
Figure 2013209578
表1より、同じ重量中央粒径の種の添加量を増やすと、粒度が下がり、かつ輝度は上昇することがわかる。輝度の点では1wt%の添加でも十分輝度向上の効果が得られている。また重量中央粒径は、種の添加量に応じて下がっている。このことを図1、図2にまとめる。
図1は、種の添加量と、焼成後の重量中央粒径の相関を示すものであり、図2は、種の添加量と輝度の相関を示すものである。
これらの結果を考察すると、焼成後の重量中央粒径減少の効果は、添加量に応じて得られている。
一方輝度向上の効果については、1%でも十分な効果が得られ、後は少しずつ向上するが、10wt%になると若干輝度が低下し始める気配がある。
このように驚くべきことに小粒子化、輝度向上ともに、僅か1wt%の添加でも大きな効果が得られるので種添加によるコスト負荷は小さく抑えることができる。
また、粒度分布を表すQDは、添加した重量に比例して悪化し、10wt%あたりで0.35となり、実用上、好ましく使用できる上限が10wt%あたりにあると考えられる。
種の粒径を小さくすると焼成後の重量中央粒径も小さくなることがわかる。より小粒子化を目指す際には有効である。
(実施例7、8、9と比較例3)
種の添加量をそれぞれ0wt%(比較例3)、1wt%(実施例7)、2wt%(実施例8)、5wt%(実施例9)とした以外は、実施例1と同様に焼成、篩までを行った(洗浄工程はなし)。
焼成を繰り返したときの焼成後の重量中央粒径の安定を確認するため、この篩までの工程を、それぞれ5、19、34、7回繰り返し行い、各回の焼成後の重量中央粒径と輝度を測定し、その平均粒径と輝度標準偏差、平均輝度を計算した。その結果を表2に示す。
その後、それぞれのサンプルに、仕上りの重量中央粒径が20μm程度になるように1〜
3時間のボールミル分散処理を施し、実施例1と同様に洗浄し輝度測定を行った。この輝度の値は実際に製品化される場合には、使い勝手を良くするために、ある程度の分散を行なうことが好ましいため、これを想定した状況での輝度に相当する値である。ただし種を加えなかったもの(0wt%の比較例3)は、あまりにも粒径が大きかったため、ボールミル分散せず、そのまま輝度測定した参考値である。
Figure 2013209578
種添加により粒度が小さくなり、輝度が向上している点については実施例1から6と比較例1、2の実験結果と同様である。そして実施例7と比較例3の結果から、種を添加することにより、繰り返し数を重ねた際に重量中央粒径のばらつき(粒度標準偏差)が大幅に改善され、生産安定化につながることもわかる。
本発明により、輝度に優れ、焼成後の重量中央粒径が安定する窒化物蛍光体の製造方法を提供でき、これにより高輝度の蛍光体が得られ、この蛍光体を用いることにより、輝度の高い発光装置を得ることができる。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で表される蛍光体の製造方法であって、所定量の各元素源を含む調合粉と、少なくとも下記一般式(1)で表される蛍光体と同じ母体を有する化合物を、調合粉に対し0.2から10重量%含んだ原料粉を、焼成することを特徴とする下記一般式(1)で示される蛍光体の製造方法。
    LnaSibc:Zd …(1)
    (ただしa,b,c,dは、a+d=3、5.4≦b≦6.6、10≦c≦12、d>0
    を満たす数であり、LnはLaを必須とし、希土類金属又はアルカリ土類金属からなる群より選ばれる元素であり、Zは賦活剤元素である。)
  2. 焼成後の蛍光体の重量中央粒径が1μm以上40μm以下である請求項1に記載の蛍光体の製造方法。
  3. 該蛍光体と同じ母体を有する化合物の粒径が、重量中央粒径で10μm以上25μm以下である請求項1または2に記載の蛍光体の製造方法。
  4. 該蛍光体と同じ母体を有する化合物が、下記一般式(2)で表される請求項1ないし3のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法。
    Lna1Sib1c1:Zd1 …(2)
    (ただしa1,b1,c1,d1はa1+d1=3、5.4≦b≦6.6、10≦c1≦1
    2、d1≧0を満たす数であり、LnはLaを必須とし、希土類金属又はアルカリ土類金属からなる群より選ばれる元素であり
    、Zは賦活剤元素である。)
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の製造方法により製造された蛍光体。
  6. 請求項5記載の蛍光体を用いた発光装置。
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