JP2013209057A - ウイング扉の係止装置 - Google Patents

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六法 小池
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Abstract

【課題】 被係止部材を係止する係止片の可動領域を良好にし、ウイング扉の開閉を円滑にし得る係止装置を提供する。
【解決手段】 係止装置を構成する係止手段4は、荷台基部15に当接しつつ固定されるベース部40と、このベース部に連続して設けられるハウジング41と、このハウジングに装着される枢軸47によって支持され、該枢軸を中心に回動可能に装着された係止部本体5と、この係止本体を略鉛直方向に付勢する鉛直付勢部6とを備える。係止片は、枢軸に遊嵌される回動基部51と、枢軸からベース部に接近する方向に突出する短尺部50aと、枢軸からハウジングの外方に突出する長尺部50bとを備え、枢軸と回動基部との間に、所定方向に付勢する付勢手段67を備える。
【選択図】 図3

Description

本発明は、ウイング扉の係止装置に関し、特に、手動によることなく係止および開放が可能な係止装置に関するものである。
トラックに搭載する箱型の荷台構造には、後部開閉型、幌型またはウイング扉型など種々の構造が存在するが、ウイング扉型の荷台構造は、屋根部分の左右中央において前後方向に沿った屋根フレームを中心に、その左右に開閉するように構成されたものであった。そして、当該開閉個所は屋根部分の半分と片方の側面部分であり、開放状態が鳥の翼に似た形状となるためウイング型と呼ばれ、当該開閉する部分をウイング扉と呼ばれているのである。
そこで、従来のウイング扉は、その開閉のための動力源(油圧等)が用意され、シリンダ操作等によって開閉されていた。しかし、係止機構にあっては、ウイング扉の閉塞後に複数の係止装置を手動により操作していた。そのため、係止装置の操作が未了または不十分である場合には、運送途中においてウイング扉と荷台基部とが離れ、両者に隙間を生じさせることとなるため、荷物落下の可能性があった。また、横転事故が発生した場合には、ウイング扉が容易に開放して荷物が路上に散乱することも考えられ得るものであった。
そのため、本願の出願人は、ウイング扉を自動で係止できる係止装置を開発した(特許文献1参照)。この技術は、荷台基部の設けられる係止手段を構成している係止片が、回動可能かつ昇降可能に設けられるとともに、ウイング扉の端縁に回動可能な被係止部材が装着されたものであった。そして、この被係止部材はウイング扉の表面に対して内側に向かって有角的に傾斜するように付勢されており、当該被係止部材の先端が荷台基部に到達するとき、当該被係止部材が上記付勢に抗して回動し、被係止部材の突出方向がウイング扉の表面に近くなり傾斜角度が小さくなるものであった。このような被係止部材の回動により、ウイング扉の端縁からの突出長が実質的に長くなり、当該被係止部材の先端を係止手段のハウジング内部に大きく侵入することとなるため、係止片の回動を促進させる構成としたものであった。
ところが、一般的なウイング扉は、荷台の前後二個所に設けられた逆L字状のウイングフレームによって支持されているため、当該ウイングフレームの近傍においては、当該フレームの傾倒に応じて、このフレームに近い移動軌跡を描く作動態様となるものの、上記ウイングフレームから離れた場所においては、その自重によって撓みが生じ、その撓みの程度によって被係止部材と係止手段との位置関係が変化する(フレーム付近とは異なる)こととなり、安定的な係止状態を確保することが困難な場合もあり得た。
そこで、本願の出願人は、被係止部材が荷台基部に到達しない場合、すなわち、係止手段を構成する係止片に到達した場合であっても、当該係止片が下方に移動することに加えて、突出片後退することができるような構成とする係止装置を開発した(特許文献2参照)。
特開2005−60982号公報 特開2008−87556号公報
上記の特許文献2に記載の技術は、係止片の案内によって、突出片の先端が係止片と荷台基部表面との間隙部分に移動することができることとなり、また、突出片の先端が荷台基部の表面に到達したときには、当該突出片が回動し、係止手段のハウジング内部に侵入することを可能とするものであった。
ところが、係止手段を構成する係止片の回動により被係止部材を挟持した状態から、ウイング扉を開放しようとする場合、やはり前述のウイングフレームとの距離等に応じてウイング扉の端縁部の回動軌跡に差違を生じ、ウイング扉の開放動作の際にも複雑な軌道を描くことがあった。そのため、係止片による被係止部材の係止の前後において、被係止部材が係止片との距離を最適な状態に維持できず、場合によっては係止が不十分となり、また、場合によっては係止状態からの解除が難しくなることがあり得た。これは、係止片による被係止部材の係止に必要な動作を得るため、当該係止片の機械的可動領域を制限していることから、可動領域の範囲を逸脱するような外力に対しては、係止片が移動(作動)できないこと(いわゆる噛み込み)によることが原因であった。
本発明は、上記諸点にかんがみてなされたものであって、その目的とするところは、被係止部材を係止する係止片の可動領域を良好にし、ウイング扉の開閉を円滑にし得る係止装置を提供することである。
そこで、本発明は、荷台基部およびウイング扉により構成されるトラック荷台構造に装着され、上記ウイング扉の端縁から突出する被係止部材と、上記荷台基部の端縁付近で上記被係止部材を挟持可能に設けられた係止手段とからなるウイング扉の係止装置において、上記係止手段は、上記荷台基部に当接しつつ固定されるベース部と、このベース部に連続して設けられるハウジングと、このハウジングに装着される枢軸によって支持され、該枢軸を中心に回動可能に装着された係止片と、この係止片を略鉛直方向に付勢する鉛直付勢部とを備え、上記係止片は、上記枢軸に遊嵌される回動基部と、上記枢軸から上記ベース部に接近する方向に突出する短尺部と、上記枢軸から上記ハウジングの外方に突出する長尺部とを備え、上記枢軸と上記回動基部との間に、所定方向に付勢する付勢手段を備えたことを特徴とするものである。
上記構成によれば、被係止部材を挟持するための係止手段には、回動可能な係止片が装着され、当該係止片が、鉛直方向に進退可能であるとともに、枢軸との相対的な位置関係の変更を許容することができる。従って、ウイング扉の閉塞時において、被係止部材の接近により、係止手段の係止片が当該被係止部材の当接を受け、その軌道に応じて回動する際、想定外に被係止部材が鉛直方向への軌跡を描くときには下降することができ、鉛直方向以外の方向への軌跡を描くときには、係止片が枢軸との相対的な位置関係を変更することにより、その外力を分散させることができる。また、係止手段が被係止部材を係止した状態から、ウイング扉を開放させる場合においても、被係止部材が係止手段から脱する方向へ移動する際、想定された本来の軌道から逸れて移動したとしても、係止片が枢軸との相対的な位置関係を変更することにより、当該被係止部材の移動を可能にすることができる。
本発明は、上記構成において、前記回動基部が、前記枢軸の外径よりも大径に設けられた貫通孔を有し、前記付勢手段が、前記係止片を枢軸から離れる方向に付勢する付勢手段である構成とすることができる。
上記構成によれば、枢軸よりも大きい貫通孔に枢軸を挿通させているので、当該貫通孔の範囲内において枢軸と係止片との相対的な位置関係を変化させることが可能となる。ここで、付勢手段は、枢軸から係止片を離す方向に付勢していることから、係止片に外力が作用しない状態においては、枢軸と係止片の位置(回動の中心)は一定となり、係止片の回動軌跡は同じ状態となる。そして、外力が作用する場合には、当該貫通孔の範囲内で両者の相対的な位置を変化させるが、当該外力が消失することにより、両者の相対的な位置関係は元の状態に復元され得ることとなる。
また、本発明は、上記構成において、前記貫通孔が、所定の範囲内に前記枢軸を案内する長孔状の貫通孔である構成とすることができる。
上記構成によれば、貫通孔が長孔状であることから、当該長孔の長手方向に枢軸の移動を案内させることができる。これを換言すれば、枢軸は鉛直方向の進退を除けば位置が固定されるものであり、当該枢軸に対して長孔の方向に係止片が移動可能となるものである。この長孔の長手方向は、枢軸が移動可能な鉛直方向とは異なる方向に設けられることが好ましいが、係止片は回動することから、その向きは係止片の状態により変化するものである。
さらに、本発明は、上記構成において、前記貫通孔が、前記係止片の長手方向に対して有角方向に前記枢軸を案内する長孔状の貫通孔である構成とすることができる。
上記構成によれば、長孔状の貫通孔の長手方向が、係止片の長手方向に対して角度を有して設けられていることから、係止片の長手方向に向かう外力の緩和を目的とするものではなく、係止片の長手方向に対して所定の角度を有する状態で被係止部材によって与えられる外力を緩和することができることとなる。
そこで、本発明は、上記構成において、前記貫通孔が、前記枢軸を案内する長孔状に形成され、前記係止片の長尺部先端を上向きにするとき、上端を前記ベース部に接近し、下端を前記ベース部より離れるように斜状に向かって長尺な貫通孔である構成とすることができるものである。
上記構成により、係止片がその長尺部先端を上向きとするとき、すなわち、被係止部材を係止しているとき、係止片が斜め下方への移動を許容できることとなる。これにより、ウイング扉の開放操作の始動により、被係止部材が移動を開始する際、当該被係止部材が係止片を僅かに外向きに移動させることによって、係止状態を容易に解除させることができる。
また、本発明は、上記構成において、前記鉛直付勢部が、前記枢軸を回動自在に連結する円筒状の枢軸連結部を備えた鉛直付勢部である構成とすることができる。
上記構成により、枢軸の鉛直方向の移動に対する付勢は枢軸連結部を介して枢軸に作用することとなり、この枢軸連結部に対する付勢により、枢軸の位置は標準とすべき位置に配置(または復元)されることとなり、係止片の相対的な位置は、上記枢軸を基準として変化させることができる。これにより、鉛直付勢部による枢軸の鉛直方向の移動と、枢軸を基準に貫通孔の範囲内において相対的な位置を変動させる係止片の移動とは、単一の枢軸を使用するものではあるが、それぞれの個別の動きを円滑にすることができる。
本発明によれば、係止片は、枢軸と当該枢軸を挿通する貫通孔との間において、両者に生じる遊びの範囲において相対的な位置の変動を可能にすることから、ウイング扉の開閉時における係止片の機械的可動範囲を拡大することができ、被係止部材を係止し、またはその解除をする際の可動領域を良好にすることができる。従って、ウイング扉の開閉操作が円滑となるのみならず、係止状態の不完全な状態を回避でき、また、係止の解除を良好にすることができるものである。
また、貫通孔と枢軸との間には付勢手段が介在していることから、被係止部材による外力が作用しない状態では、係止片と枢軸との相対的な関係は一定となり、係止片の回動軌跡を安定させることができる。
さらに、貫通孔を長孔状とする構成の場合には、係止片と枢軸との相対的な位置関係の変化を所定方向に案内させることができることから、係止片が枢軸との位置関係を不必要に変動させることを抑えることができる。
また、鉛直付勢部に枢軸連結部を備えた構成の場合には、枢軸の移動と係止片の移動とが、独立して動くことを円滑にすることができ、枢軸を移動させるべき外力の作用の場合とは異なる方向の外力、すなわちウイングの開閉動作時の一次的な外力のみを、係止片の移動によって緩和させることができるものである。従って、本来的な係止片の回動による被係止部材の係止動作を維持しつつ、全体の動作を円滑にすることができるものである。
本発明の実施形態を使用するトラックの斜視図である。 本発明の実施形態を使用する係止装置の概略を示す説明図である。 本発明の実施形態を示す説明図である。 付勢手段の詳細を示す説明図である。 枢軸と係止片との関係を示す説明図である。 貫通孔の状態を示す説明図である。 本実施形態の作動態様を示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、トラックの荷台部分におけるウイング扉を係止する装置であって、まず、トラックの荷台部分の構造を概ね説明すれば、図1に示すように、荷台部分1は、運転席の後方に設けられた壁面部分で構成される荷台前部11、荷台の後面を構成する荷台後部12、屋根部分および側面部分を構成するウイング扉13、荷台の底面を構成する荷台底部14、および、荷台底部の左右両端において回動可能に設けられた荷台基部15によって、全体として箱形の荷台が形成されるものである。
上記のような荷台の構成部材のうちのウイング扉13は、荷台部分1の荷台側部13aおよび屋根部13bを一体的に構成したものであり、屋根部13bのほぼ中央には屋根フレーム13cが横架され、この屋根フレーム13cを境にして左右に二分され、図示せぬ回転軸により回転可能に支持されているものである。なお、ウイング扉1は、上記構成により開放するとき、図示のように、翼(ウイング)に似た形態となるため、当該名称で呼ばれているものである。ここで、ウイング扉13の全体は、前後両端縁に設けられる逆L字状のウイングフレーム13d,13eによって支持されており、上記ウイングフレーム13d,13eは、荷台前部11および荷台後部12の枠部分を構成するフレームとの間で、シリンダ16,17を介在させている。従って、シリンダ16,17を操作することにより、ウイングフレーム13d,13eが屋根フレーム13cの回動軸を中心として開閉方向に回動し、これにより、ウイング扉13の全体も開閉方向に回動することとなるのである。
荷台基部15は、荷台底部14の左右両端縁に設けられ、荷台の側部の一部を構成するものであり、この荷台基部15は、荷台底部14との間で回動可能に設けられる構成とすることもできる。そして、このウイング扉11を閉鎖した状態で係止するためには、一般的に、ウイング扉11の端縁13fから突出する突出部材2と、荷台基部15に設けられ、上記突出部材2と一対をなす係止部材3とが必要となり、ウイング扉11を閉鎖させるとき、それぞれの突出部材2が係止部材3によって係止されるように構成されている。
本実施形態では、上記突出部材2との係止状態を良好にするための係止装置であり、その概略を図2に示す。この図に示すように、荷台基部15には係止手段4が設けられ、この係止手段4の概略は、板状のベース部40の表面にハウジング41を設け、このハウジング41によって係止片5を支持する構成である。この係止手段によって係止される突出部材の構成は、ウイング扉に装着される被係止装置7によって構成され、この被係止装置7には、回動および進退が可能な被係止部材71が設けられている。この被係止部材71は、ウイング用ハウジング72によって支持軸72が保持されており、この支持軸72を中心として回動が可能となっているのである。また、当該支持軸72は長孔74に挿通されて支持されることから、当該長孔74の範囲内で進退が可能となっている。なお、ウイング用ハウジング72は、断面コ字形に構成され、図示しないが、長孔74は、対向する壁面にも形成され、支持軸72を両端で支持している。また、ウイング用ハウジング72の内部に付勢手段を備え、前記被係止部71に対して、所定方向への回動を付勢するとともに、進退方向への移動をも付勢しており、被係止部材72の姿勢を安定させている。
そこで、上記構成に使用される本実施形態の詳細について説明する。図3は、係止手段4の詳細を示す分解斜視図である。この図に示すように、本実施形態の係止手段4は、ハウジング41と係止片5とで構成されている。ハウジング41は、荷台基部15に装着するためのベース部40と、横断面形状を略コ字形にしてなる周辺部42とで構成され、ベース部40を荷台基部15に装着することによって、その表面が荷台基部15の表面と同化するものであり(両者を含めて荷台基部と称する場合がある)、また、上記係止片5が、周辺部42の内部に保持されるものである。そして、上記周辺部42は、平行な2枚の保持部43,44を有しており、この両保持部43,44には、対称に設けられた長孔45,46が設けられ、この長孔45,46を同時に挿通できる枢軸47が設けられるのである。また、枢軸47は、上記長孔45,46の範囲内に限り、その移動が制限されるものであって、上記長孔45,46が案内溝として機能するものである。そして、この長孔45,46による案内方向は、鉛直方向に設けられている。すなわち、枢軸47は、長孔45,46の上端から下端に向けて直線的に移動するように構成されている。なお、この長穴45,46を上端から下端に向かって僅かに傾斜する方向に構成することにより、ベース部40から徐々に離れるように構成することもでき、枢軸47が下降するとき、当該枢軸47はベース部40から徐々に離れるように案内させることも可能である。
係止片5は、上記ハウジング41に対して回動可能に保持される回動基部51と、この回動基部51に連続する平板状の回動片部52と、この回動片部52に連続する基端部53とで構成されている。回動基部51には、貫通孔50が設けられ、ハウジング41の内部において枢軸47によって保持されるものである。上記貫通孔50は、枢軸47に遊嵌されるように、枢軸47の外径よりも大径に設けられるものである。例えば、本実施形態では、長孔状に穿設しており、当該貫通孔50の範囲内において枢軸47と回動基部51(特に係止片5)との位置関係を変化させることができるようになっている。詳細は後述するが、この長孔状の貫通孔50の長手方向を調整することにより、係止片5の可動領域を調整することができるものである。
従って、係止片5が枢軸47を回動軸とする軸回りに回動可能となるものである。また、回動片部52は、ハウジング41の外方に突出する状態で配置されるものであり、このとき、回動片部52に連続する基端部53は、ベース部40の近傍に位置することとなる。なお、回動基部51から基端部53の先端までを短尺部と称し、回動基部51から回動片部52の先端までを長尺部と称する。
また、ハウジング41と係止片5との間には、付勢部6が装着されるものであって、荷台基部15に固定されるハウジング41に対して係止片5を所定方向に付勢するものである。具体的には、圧縮バネ61によって枢軸47を介して係止片5の回動基部51を上向きに付勢するものであって、上記圧縮バネ61を挿通するバネ規制軸62が、枢軸47の挿通を許容する枢軸連結部63に固定されて押圧規制部64を構成し、係止片5をハウジングに装着する際、枢軸連結部63に枢軸47を挿通することによって、上記押圧規制部64の全体が係止片5に装着されるのである。また、ハウジング底部48には、貫通孔49が設けられており、圧縮バネ61を貫通するバネ規制軸62の先端が、この貫通孔49に挿通できるようになっている。
従って、枢軸47が上記枢軸連結部63を挿通することにより、押圧規制部64が係止片5との間で相対的に回動自在となることから、係止片5が枢軸47を中心として回動するときであっても、押圧規制部64の状態が変動することがないのである。そして、圧縮バネ61は、枢軸連結部63とハウジング底部68との間で付勢力を発揮し、係止片5の回動基部51を上方に付勢することとなる。一方、係止片5に対して下向きの力が作用するときには、回動基部51および枢軸47を介して、圧縮バネ61による付勢力に抗して枢軸連結部63が下降することとなり、バネ規制軸62の先端部分は、ハウジング底部48の貫通孔49から外方に突出することとなる。そして、上記下向きの力が消滅することにより、圧縮バネ61の付勢力により、枢軸連結部63および枢軸47を介して回動基部51を上昇させることができるのである。
さらに、上記枢軸連結部63の両側にはコイルバネ67が配置され、このコイルバネ67は、枢軸47に装着されるとともに、コイルの先端を係止片5の裏面に当接させることによって、係止片5に対する付勢力を付与し、付勢手段として機能させている。このコイルバネ67による付勢により、枢軸47に遊嵌される係止片5の貫通孔50の遊びを排除し、枢軸47と貫通孔50との位置関係を一定とし、通常の状態において、係止片5が枢軸47を中心に回動できるようにしている。なお、このコイルバネ67の両側にはストッパ用のリング部材68が設けられ、コイルバネ67の位置を安定させている。
ここで、コイルバネ(付勢手段)67との関係を詳述する。図4に示すように、コイルバネ67は、2個所に離れたコイル部81,82と、その外側両端において突出する突出部83,84を備え、さらに、内側両端は連結されて押圧部85が構成されている。コイル部81,82は、枢軸47との間に円筒部材69を介して装着されており、この円筒部材69は、枢軸47を挿通できる大きさに設けられ、枢軸47を円筒部材69に挿通することにより、枢軸47の周方向への回動が自在となっており、この円筒部材69に装着されるコイルバネ67は、円筒部材69とともに枢軸47の軸回りへの回動が可能となっている。また、上記コイルバネ67(円筒部材69)の位置を安定させるために、リング部材68が枢軸47に装着される。このリング部材68は、枢軸に圧入されるものであり、枢軸47の表面には、リング部材68を装着するための溝部A1,A2が設けられており、圧入されたリング部材68は、この溝部A1,A2に掛止される状態で固定されるものである。上記のように構成されるコイルバネ67は、その突出部83,84および押圧部85が、ともに係止片5(図3参照)の裏面に当接されるものであり、枢軸47の中心線から適宜離間した個所で係止片5の裏面を押圧することにより、枢軸47との係止片5との距離を保持させている。この所定距離の保持は、前記貫通孔50による遊びを制限するためのものである。
本実施形態は、上記のような構成であるから、図5に示すように、上記係止手段4は、係止片5の基端部53に対して何らの外力が作用しない状態においては、回動片部52の自重によって開放する状態となり、この開放状態は、ハウジング41の枢軸47が挿通される枢軸連結部63に設けられたストッパ66によって所定角度に停止するものである。そして、上記基端部53に外力が作用し、すなわち、当該基端部53に対して下向きの力が作用するとき、係止部材3の全体が起立状態となるのである。このようにして係止部材3が起立するとき、前記被係止部材71を係止することができるのである。
ここで、貫通孔50について説明する。前述のとおり、貫通孔50は、枢軸47を遊嵌できるような大きい径の孔で構成することができるが、係止片5(回動片部52)の作動を規制するために長孔状とするものである。そこで、その長孔状とした場合の貫通孔50は、図6に示すように、係止片5を起立させた状態(回動片部52の長尺部50aの先端を上向きとした状態)において、貫通孔50の上端はベース部40に接近し、下端はベース部40から離れるような斜状に形成するのである。このように貫通孔50の長手方向を調整することにより、係止片5(回動片部52)に対する外力は、第1に、ハウジング41の長孔45,46に沿った鉛直方向の移動と、第2に、上記貫通孔50の長手方向に沿った移動の二方向が許容されることとなる。これにより、係止片5の機械的可動範囲を拡大するとともに、その自由度を制限することができ、被係止部材を係止することに適する状態の作動を実現し得るものとなる。
このような構成によれば、図7に示すように、被係止部材71を係止する状態(図7(a))から、ウイング扉を開放するため、被係止部材が移動する際(図7(b))、係止片5が斜め下方に移動可能となり、被係止部材71の移動を円滑にすることができる。また、ウイング扉を閉塞する場合においても、被係止部材71が接近し(図7(b))、最終的に回動片部52によって被係止部材71を係止する際(図7(a))においても、同様に、係止片5が斜め下方に移動可能であるから、当該係止時の係止片5の動作を円滑にすることができる。
本実施形態は上記のとおりであるが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様をとることは可能である。例えば、本実施形態においては、付勢手段としてコイルバネ67を例示したが、同様の効果を得るための付勢手段としてはコイルバネに67に限定されるものではない。また、貫通孔50は、長孔状としたものを中心に説明したが、機械的可動領域を拡大させるための貫通孔は、長孔状に限定されるものでもなく、機械的可動領域の制限によって不完全となる係止片5の作動を緩和させる構成であれば、その形状を問うものではない。
1 荷台部分
2 突出部材
3 係止部材
4 係止手段
5 係止片
6 付勢部
7 被係止部材
8 偏心カム
9 押圧板
11 荷台前部
12 荷台後部
13 ウイング扉
14 荷台底部
15 荷台基部
40 ベース部
41 ハウジング
42 周辺部
43,44 保持部
45,46 長孔
47 枢軸
51 回動基部
52 回動片部
53 基端部
61 圧縮バネ
62 バネ規制部
63 枢軸連結部
64 押圧規制部
66 ストッパ
67 付勢部(コイルバネ)
68 リング部
69 円筒部材
71 突出片
72 ウイング用ハウジング
73 支持軸
74 長孔

Claims (6)

  1. 荷台基部およびウイング扉により構成されるトラック荷台構造に装着され、上記ウイング扉の端縁から突出する被係止部材と、上記荷台基部の端縁付近で上記被係止部材を挟持可能に設けられた係止手段とからなるウイング扉の係止装置において、
    上記係止手段は、上記荷台基部に当接しつつ固定されるベース部と、このベース部に連続して設けられるハウジングと、このハウジングに装着される枢軸によって支持され、該枢軸を中心に回動可能に装着された係止片と、この係止片を略鉛直方向に付勢する鉛直付勢部とを備え、
    上記係止片は、上記枢軸に遊嵌される回動基部と、上記枢軸から上記ベース部に接近する方向に突出する短尺部と、上記枢軸から上記ハウジングの外方に突出する長尺部とを備え、
    上記枢軸と上記回動基部との間に、所定方向に付勢する付勢手段を備えたことを特徴とするウイング扉の係止装置。
  2. 前記回動基部は、前記枢軸の外径よりも大径に設けられた貫通孔を有し、前記付勢手段は、前記係止片を枢軸から離れる方向に付勢する付勢手段である請求項1に記載のウイング扉の係止装置。
  3. 前記貫通孔は、所定の範囲内に前記枢軸を案内する長孔状の貫通孔である請求項1または2に記載のウイング扉の係止装置。
  4. 前記貫通孔は、前記係止片の長手方向に対して有角方向に前記枢軸を案内する長孔状の貫通孔である請求項1または2に記載のウイング扉の係止装置。
  5. 前記貫通孔は、前記枢軸を案内する長孔状に形成され、前記係止片の長尺部先端を上向きにするとき、上端を前記ベース部に接近し、下端を前記ベース部より離れるように斜状に向かって長尺な貫通孔である請求項1または2に記載のウイング扉の係止装置。
  6. 前記鉛直付勢部は、前記枢軸を回動自在に連結する円筒状の枢軸連結部を備えた鉛直付勢部である請求項1ないし5のいずれかに記載のウイング扉の係止装置。
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