JP2013208736A - 発泡成形体の製造方法 - Google Patents

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Yasusuke Yonezawa
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Abstract

【課題】発泡成形体の外面の形状精度を良好なものとすることができ、且つ発泡成形体の通気性部材付近の感触も良好なものとすることが可能な発泡成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】金型1は、キャビティ内面に、該キャビティ内のガスを該キャビティの外部に排出するための排気孔5が設けられ、金型1のキャビティ内に、排気孔5を覆うように通気性部材18を配置すると共に、該通気性部材18の該排気孔5と反対側の面を覆うように非通気性部材19を配置する通気性部材及び非通気性部材配置工程と、該通気性部材配置工程の後、キャビティ内で発泡合成樹脂原料を発泡させる発泡成形工程とを行う。通気性部材18のキャビティ内面からの接離方向の厚さを2〜5mmとし、且つ、該通気性部材の、JISL1096A法(TSG7100G)により規定される通気性を100〜200cm/cm/secとし、排気孔5の開口面積を9πmm以下とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、シートパッド等の発泡成形体を製造するための製造方法に係り、特にキャビティの内面に、該キャビティ内のガスを該キャビティの外部に排出するための排気孔が設けられた金型を用い、発泡成形工程において、キャビティ内に、排気孔を覆うように通気性部材を配置して発泡合成樹脂原料を発泡させる発泡成形体の製造方法に関する。
車両用シートを構成するシートパッドや、車両のドアの内装品等に、ポリウレタンフォーム等の発泡合成樹脂よりなる発泡成形体が用いられている。かかる発泡成形体の製造工程では、金型のキャビティ内に発泡合成樹脂原料を所定量供給し、該発泡合成樹脂原料を発泡させる。この原料が発泡してなる発泡合成樹脂は、膨張しながらキャビティ内に充満し、該キャビティに対応した形状に成形される。かかる過程において、キャビティ内に存在する空気や、発泡反応により発生した二酸化炭素等のガスがキャビティ外に十分に排出されない場合、成形体に欠肉やボイド等の不具合が発生することがある。
そこで、金型に排気孔を設けてキャビティ内のガスを排出することが行われている。しかし、単に排気孔を設けただけでは、キャビティ内に充満した発泡合成樹脂原料が排気孔からキャビティ外に流出する場合があり、原料ロスが生じると共に、排気孔の清掃作業が必要になるという問題があった。
特許文献1には、排気孔を通気性部材で覆った状態にて、金型内で発泡合成樹脂原料を発泡させることが記載されている。第8図(a)〜(c)は、特許文献1の発泡成形体の製造方法を示す金型の排気孔付近の断面図である。なお、第8図(a)〜(c)は、特許文献1の図3(a)〜(c)と実質的に同一内容となっている。
特許文献1では、発泡成形工程に先立ち、金型100のキャビティ内に、該金型100の排気孔101を覆うように、通気性材料(特許文献1では連続気泡ポリウレタン等が例示されている。)よりなる通気性部材102を配置する。特許文献1では、金型100のキャビティ内面から突設されたピン103を通気性部材102に突き刺すことにより、通気性部材102をキャビティ内面に固定している。通気性部材102は、排気孔101だけでなく、該排気孔101の周囲のキャビティ内面まで覆いうる大きさの板状のものとなっている。この通気性部材102の排気孔101と反対側の板面は、非通気性材料(特許文献1ではポリエチレンフィルム等が例示されている。)よりなる非通気性部材104により被覆されている。
排気孔101を通気性部材102で覆った状態にて金型100内で発泡合成樹脂原料を発泡させると、第8図(a)〜(c)の通り、この原料が発泡してなる発泡合成樹脂Uが金型100のキャビティ内を充填していく。その際、第8図(b)の矢印Gの通り、キャビティ内のガスは、通気性部材102の側端面(通気性部材102のうち、非通気性部材104によって覆われておらず、且つキャビティ内面に対向していない面)から通気性部材102内に浸透し、この通気性部材102内を透過して排気孔101に達し、該排気孔101からキャビティ外に流出する。その後、発泡合成樹脂Uが通気性部材102の周囲に充満してくることにより、通気性部材102が該発泡合成樹脂U中に埋没する。
このとき、非通気性部材104を介して通気性部材102が発泡合成樹脂Uに押され、通気性部材102が排気孔101の周囲のキャビティ内面に密着するようになる。また、発泡合成樹脂Uが通気性部材102の側端面から通気性部材102内に含浸し、これが排気孔101に達する前に通気性部材102内で硬化することにより、自己シール効果が生じ、発泡合成樹脂Uが排気孔101内に侵入することが防止される。
この発泡合成樹脂Uがキャビティ全体に充満することにより、発泡成形体が成形される。発泡合成樹脂Uが硬化した後、型開きし、発泡成形体を脱型する。
特開2009−51127号公報
特許文献1においては、発泡成形時に、キャビティ内のガスが通気性部材102を透過して排気孔に流入する際に、このガス流により通気性部材102が排気孔101に吸引される。また、キャビティ内に充満してきた発泡合成樹脂Uにより通気性部材102が押されたときに、通気性部材102の中央部は、キャビティ内面に対してではなく、排気孔101に押し付けられる。そのため、第8図(c)の通り、通気性部材102の中央部が排気孔101内に入り込み、発泡成形体の外面から突出した形状となるおそれがある。その場合、発泡成形体の外面に、この通気性部材102の排気孔101への入り込みに起因する凸部が形成され、発泡成形体の外面の形状精度が低下するおそれがある。
特許文献1には、通気性部材102がどの程度の通気性を有しているのか特に記載はないが、通気性部材102の通気性が低すぎると、発泡成形時にガスをキャビティ外に十分に排出することができず、発泡成形体に欠肉等の成形不良が生じるおそれがある。また、通気性部材102の通気性が過度に高いと、発泡合成樹脂Uが排気孔101からキャビティ外に噴出するおそれがある。
特許文献1には、通気性部材102の厚さについて特に記載はないが、通気性部材102の厚さが過度に大きくなると、発泡成形時に自己シールの発現のために通気性部材102に含浸して硬化した発泡合成樹脂Uの硬化層の厚さも過度に大きくなるため、この硬化層が形成された部分と他の部分との硬さの違い(通気性部材102付近を触った時の触感の違い)が顕著になるおそれがある。また、通気性部材102の厚さが過度に小さくなると、キャビティ外へのガス抜き不足による成形不良が発生したり、キャビティ内面への通気性部材102のセット性が低下し、通気性部材102をキャビティ内面に沿って保持するのが難しくなり、発泡成形中に通気性部材102の位置ずれが生じて発泡合成樹脂Uが排気孔101からキャビティ外に噴出するおそれがある。
本発明は、発泡成形体の外面の形状精度を良好なものとすることができ、且つ発泡成形体の通気性部材付近の感触も良好なものとすることが可能な発泡成形体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明(請求項1)の発泡成形体の製造方法は、金型を用いて発泡合成樹脂よりなる発泡成形体を製造する発泡成形体の製造方法であって、該金型は、キャビティ内面に、該キャビティ内のガスを該キャビティの外部に排出するための排気孔が設けられたものであり、該発泡成形体を製造するに当り、該金型のキャビティ内に、該排気孔を覆うように通気性部材を配置すると共に、該通気性部材の該排気孔と反対側の面を覆うように非通気性部材を配置する通気性部材及び非通気性部材配置工程と、該通気性部材及び非通気性部材配置工程の後、該キャビティ内で発泡合成樹脂原料を発泡させる発泡成形工程とを行う発泡成形体の製造方法において、該通気性部材の該キャビティ内面からの接離方向の厚さを2〜5mmとし、且つ、該通気性部材の、JISL1096 A法(TSG7100G)により規定される通気性を100〜200cm/cm/secとし、該排気孔の開口面積を9πmm以下とすることを特徴とするものである。
請求項2の発泡成形体の製造方法は、請求項1において、前記排気孔は、略円形の開口形状を有したものであり、該排気孔の直径を5mm以下とすることを特徴とするものである。
請求項3の発泡成形体の製造方法は、請求項1又は2において、前記金型のキャビティ内面に、前記排気孔を複数個設け、前記通気性部材配置工程において、少なくとも2個の該排気孔を共通の前記通気性部材で覆うことを特徴とするものである。
請求項4の発泡成形体の製造方法は、請求項3において、前記共通の通気性部材により覆われる前記排気孔同士の間隔を2〜10mmとすることを特徴とするものである。
請求項5の発泡成形体の製造方法は、請求項1ないし4のいずれか1項において、前記通気性部材が前記排気孔を覆うように配置された状態において、該通気性部材の該排気孔側の面の外周縁から該排気孔の周縁部までの最短距離が5〜20mmとなるように構成することを特徴とするものである。
請求項6の発泡成形体の製造方法は、請求項1ないし5のいずれか1項において、前記排気孔を、前記金型のキャビティ内面のうち、前記発泡成形体の意匠面を成形する領域に配置することを特徴とするものである。
請求項7の発泡成形体の製造方法は、請求項1ないし6のいずれか1項において、前記発泡成形体はシートパッドであることを特徴とするものである。
本発明(請求項1)の発泡成形体の製造方法にあっては、金型の排気孔は、開口面積が9πmm以下となっている。また、発泡成形時に排気孔を覆う通気性部材は、厚さが2〜5mmであり、且つ、JISL1096 A法(TSG7100G)により規定される通気性が100〜200cm/cm/secのものとなっている。
このように構成したことにより、発泡成形工程において、キャビティ内のガスが通気性部材を透過して排気孔に流入する際に、このガス流により通気性部材が排気孔に吸引されたり、キャビティ内に充満してきた発泡合成樹脂により非通気性部材を介して通気性部材が排気孔に押し付けられても、通気性部材が排気孔に入り込みにくい。これにより、通気性部材の排気孔への入り込みに起因する凸部が発泡成形体の外面に形成されることをより確実に防止することができる。その結果、発泡成形体の外面の形状精度を良好なものとすることができる。
また、発泡成形時に自己シールの発現のために通気性部材に含浸して硬化した発泡合成樹脂の硬化層の厚さが過度に大きくならないため、この硬化層が形成された部分と他の部分との硬さの違い(通気性部材付近を触った時の触感の違い)が顕著に大きくなることも防止することができる。
しかも、通気性部材は十分な通気性を有しているため、キャビティ内にガスが残留して発泡成形体に欠肉等の成形不良が生じることもより確実に防止することができる。
より具体的な態様としては、請求項2の通り、排気孔が略円形の開口形状を有したものである場合には、この排気孔の直径を5mm以下とすることが好ましい。このように構成することにより、発泡成形工程における通気性部材の該排気孔への入り込みを十分に防止することができる。
請求項3の通り、金型のキャビティ内面に排気孔を複数個設けた場合、通気性部材配置工程において、少なくとも2個の排気孔を共通の通気性部材で覆うようにすることが好ましい。このようにすることにより、複数個の排気孔を個別に通気性部材で覆う場合に比べて、通気性部材配置工程での必要工数が少なくなるので、発泡成形体の製造を容易化することができる。
この場合、請求項4の通り、共通の通気性部材により覆われる排気孔同士の間隔を2〜10mmとすることが好ましい。このようにすることにより、発泡成形体の外面のうち、発泡成形工程において各排気孔と重なった部分が突出した形状になることを防止することができる。
請求項5の通り、本発明においては、通気性部材が排気孔を覆うように配置された状態において、該通気性部材の該排気孔側の面の外周縁から該排気孔の周縁部までの最短距離が5〜20mmとなるように構成することが好ましい。このように構成することにより、発泡成形時に、通気性部材に含浸した発泡合成樹脂が排気孔に到達する前に十分に該通気性部材内で硬化することができるので、この発泡合成樹脂の硬化層により自己シール効果が十分に発現され、発泡合成樹脂が排気孔に入り込むことをより確実に防止することができる。
本発明の発泡成形体の製造方法にあっては、上記の通り、発泡成形時に、通気性部材の排気孔への入り込みに起因する凸部が発泡成形体の外面に形成されることをより確実に防止することができるので、請求項6の通り、キャビティ内面のうち、発泡成形体の意匠面を成形する領域に排気孔を配置した場合でも、意匠面の形状精度を十分に良好なものとすることができる。これにより、排気孔の配置の自由度が向上する。
請求項7の通り、本発明は、シートパッドの製造方法に適用するのに好適である。
第1の実施の形態に係る発泡成形体の製造方法に用いられる金型の断面図である。 図1のII付近の拡大断面図である。 発泡成形工程終了時を示す図2と同様部分の断面図である。 図1の金型のキャビティ内面の排気孔付近(図2のIV付近)の平面図である。 図1の金型により製造された発泡成形体としてのシートパッドの斜視図及び断面図である。 第2の実施の形態に係る発泡成形体の製造方法に用いられる金型のキャビティ内面の排気孔付近の平面図である。 第3の実施の形態に係る発泡成形体の製造方法に用いられる金型のキャビティ内面の排気孔付近の平面図である。 従来例に係る金型の排気孔付近の拡大断面図である。
以下に、図面を参照して実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、シートパッドを製造するための金型、及び、この金型を用いたシートパッドの製造方法への本発明の適用例を示しているが、本発明は、シートパッド以外の発泡成形体を製造するための金型、及び、この金型を用いた発泡成形体の製造方法にも適用可能である。
[第1の実施の形態]
第1図は、第1の実施の形態に係る発泡成形体の製造方法に用いられる金型の断面図である。第2,3図は、それぞれ、第1図のII付近の拡大断面図であり、第2図は発泡成形工程の途中時を示し、第3図は発泡成形工程の終了時を示している。第4図は、この金型のキャビティ内面の排気孔付近(第2図のIV付近)の平面図である。なお、第4図においては、通気性部材は、輪郭のみが二点鎖線にて示されている。第5図(a)は、この金型を用いて製造された発泡成形体としてのシートパッドの斜視図であり、第5図(b)は、第5図(a)のB−B線に沿う断面図である。
この実施の形態では、金型1は、車両用シートを構成するシートパッド10を製造するためのものである。このシートパッド10は、ポリウレタンフォーム等の発泡合成樹脂よりなる。即ち、このシートパッド10は、請求項1の発泡成形体に相当する。なお、この実施の形態では、該シートパッド10は、車両用シートの背もたれ部を構成するバックパッドであるが、本発明は、車両用シートの腰掛部を構成するクッションパッドにも適用可能である。第1図は、この金型1によって成形されるシートパッド(バックパッド)10の使用時の前後方向及び上下方向に沿う断面を示している。以下、シートパッド10の上下方向、左右方向及び前後方向とは、このシートパッド10の使用時の上下方向、左右方向及び前後方向をいう。
<シートパッド10の詳細な説明>
この実施の形態では、シートパッド10は、第5図(a),(b)の通り、ポリウレタンフォーム等の発泡合成樹脂よりなるシートパッド本体11と、該シートパッド本体11の裏面(着座者側の面)に沿って配設され、該シートパッド本体11と一体化された補強材20とを備えている。補強材20は、不織布等よりなることが好ましい。
シートパッド本体11は、乗員の背中と対面する主板部12と、該主板部12の上部、左右両側部及び下部からそれぞれ該主板部12の後面の中央側へ回り込むように張り出した上側張出部13、左側張出部14、右側張出部15及び下側張出部16とを有している。この実施の形態では、上側張出部13と左側張出部14及び右側張出部15とは、主板部12の後面の上側及び左右両側を一続きに取り囲むように一体的に形成されている。下側張出部16と左側張出部14及び右側張出部15とは、実質的に、主板部12の後面を取り囲む方向には不連続となっている。主板部12の後面と各張出部13〜16との間には、該主板部12の後面の中央側に向かって開放した凹所17が形成されている。この主板部12の後面から各張出部13〜16の凹所17側の面にかけて補強材20が配設されている。なお、シートパッド本体11の形状や補強材20の配置はこれに限定されない。
シートパッド本体11の外面のうち、後述の金型1のキャビティ内面に設けられた排気孔5と重なる領域には、通気性部材18が埋設されている。この通気性部材18は、シートパッド本体11の外面に露呈している。本発明においては、この通気性部材18は、シートパッド本体11の外面のうち、このシートパッド10を用いて車両用シートを構成したときに、他のシート構成部材(シートパッド10に被着される表皮材を除く。)の陰に隠れない領域(以下、この領域をシートパッド本体11又はシートパッド10の意匠面ということがある。)に配置されてもよい。
この実施の形態では、シートパッド本体11の外面のうち、実質的に、補強材20が配設された主板部12の後面及び各張出部13〜16の凹所17側の面を除く領域が、該シートパッド本体11の意匠面となっている。即ち、シートパッド10を用いて車両用シートを構成する場合、このシートパッド本体11の外面のうち、実質的に、補強材20が配設されていない領域全体を覆うように、シートパッド10に表皮材(図示略)を被着させ、次いで、この表皮材付きシートパッド10をシートフレームの前面に沿って配置し、凹所17に該シートフレームを係合させてシートパッド10をシートフレームに取り付ける。なお、シートパッド10をシートフレームに取り付けてからシートパッド10に表皮材を被着させてもよい。その後、必要に応じ、シートパッド10の後面側に、シートフレームを覆うようにカバーを取り付ける。これにより、車両用シートが構成される。
この実施の形態では、通気性部材18は、第5図(a),(b)の通り、シートパッド10の意匠面に含まれる上側張出部13及び下側張出部16の後面(凹所17と反対側の面)にそれぞれ埋設されている。この実施の形態では、第5図(a)の通り、上側張出部13の後面には、左右方向に所定の間隔をあけて2個の通気性部材18が埋設され、下側張出部16の後面には、その左右方向の中間付近に1個の通気性部材18が埋設されている。この理由については後述する。なお、通気性部材18の配置はこれに限定されない。
本発明においては、通気性部材18は、キャビティ内面からの接離方向の厚さT(第2図。以下、単に厚さTという。)が2〜5mm好ましくは2〜3mmであり、且つ、JISL1096 A法(TSG7100G)により規定される通気性が100〜200cm/cm/sec好ましくは100〜150cm/cm/secのものとなっている。
なお、通気性部材18の厚さTが5mmよりも大きいと、発泡成形時に自己シールの発現のために通気性部材18に含浸して硬化した発泡合成樹脂Uの硬化層の厚さが過度に大きくなり、この硬化層が形成された部分と他の部分との硬さの違い(通気性部材18付近を触った時の触感の違い)が顕著になるおそれがある。また、通気性部材18の厚さTが2mmよりも小さいと、キャビティ外へのガス抜き不足による成形不良が発生したり、キャビティ内面への通気性部材18のセット性が低下し、通気性部材18をキャビティ内面に沿って保持するのが難しくなり、発泡成形中に通気性部材18の位置ずれが生じて発泡合成樹脂Uが排気孔5からキャビティ外に噴出するおそれがある。
通気性部材18の通気性が100cm/cm/secよりも低いと、発泡成形時にガスをキャビティ外に十分に排出することができず、シートパッド本体11に欠肉等の成形不良が生じるおそれがある。また、通気性部材18の通気性が200cm/cm/secよりも高いと、発泡合成樹脂Uの通気性部材18への含浸が過多となり、発泡合成樹脂Uが排気孔5からキャビティ外に噴出するおそれがある。
このような通気性部材18を構成する材料としては、スラブウレタン及び発泡体樹脂が好適であるが、これに限定されない。
この実施の形態では、通気性部材18は、第4図において二点鎖線にて示されているように、略方形板状のものとなっているが、通気性部材18の形状はこれに限定されない。通気性部材18は、排気孔5を覆うように配置されたときに、該通気性部材18の排気孔5側の面の外周縁から該排気孔5の周縁部までの最短距離Dが5〜20mm特に10〜15mmとなる大きさであることが好ましい。このように構成することにより、発泡成形時に、各通気性部材18に含浸した発泡合成樹脂Uが各排気孔5に到達する前に十分に該通気性部材18内で硬化することができるので、この発泡合成樹脂Uの硬化層により自己シール効果が十分に発現され、発泡合成樹脂Uが各排気孔に入り込むことをより確実に防止することができる。この最短距離Dが5mmよりも小さいと、発泡成形時に、通気性部材18に含浸した発泡合成樹脂Uが排気孔5に到達する前に十分に硬化することができず、自己シール効果が十分に発現しなくなるおそれがある。また、この最短距離Dが20mmよりも大きいと、キャビティ外へのガス抜き不足により成形不良が発生するおそれがある。
通気性部材18の平面積は400〜2500mm特に625〜1600mmであることが好ましい。この実施の形態のように、通気性部材18を略方形板状のものとし、1個の通気性部材18で1個の円形の排気孔5を覆う場合には、該通気性部材18の一辺の長さは20〜100mm特に25〜40mmであることが好ましい。なお、1個の通気性部材18で複数個の排気孔5を覆うように構成してもよい。
この実施の形態では、通気性部材18の排気孔5と反対側の板面は、非通気性材料よりなる非通気性部材19によって被覆されている。この非通気性部材19を構成する非通気性材料としては、粘着剤付PETフィルム、粘着剤付紙テープ、粘着剤付PPフィルム等が好適である。この実施の形態では、非通気性部材19は、通気性部材18の排気孔5と反対側の板面の略全体を覆っているが、非通気性部材19の配置はこれに限定されない。非通気性部材19は、通気性部材18が排気孔5を覆うように配置されたときに、通気性部材18の排気孔5と反対側の板面を、該排気孔5の中心から半径20〜50mm特に25〜40mmの範囲にわたって覆う大きさであることが好ましい。
非通気性部材19は、パルプ、又は、パルプとSBR樹脂との積層体よりなることが好ましい。非通気性部材19をパルプ、又は、パルプとSBR樹脂との積層体よりなるものとした場合、この非通気性部材19は、取り扱い性(例えばテープのようにロール状に巻回された状態から所定長さ引き出してカットする際の作業のし易さ等)が良好である。
図示は省略するが、非通気性部材19は、シート状の基材と、該基材の一方(通気性部材18側)の面に形成された粘着剤層と、該基材の他方(通気性部材18と反対側)の面に形成された被覆層とを有したものとなっていてもよい。なお、非通気性部材19の構成はこれに限定されない。例えば、この基材がパルプよりなり、被覆層がSBR樹脂よりなるものであってもよい。このパルプよりなる基材としては、例えば和紙が好適である。なお、基材及び被覆層の材質はこれに限定されない。
非通気性部材19を構成する基材自体は通気性を有したものであってもよく、この場合、該基材の表面を覆った粘着剤層及び被覆層の少なくとも一方によって非通気性が付与されてもよい。粘着剤層によって非通気性が付与される場合、被覆層は省略されてもよい。非通気性部材19を構成する基材自体が非通気性を有していてもよい。非通気性部材19が、テープのようにロール状に巻回された状態で出荷されるものである場合、被覆層は、粘着剤層からの剥離性を付与するために設けられたものであってもよい。粘着剤層の代わりに接着剤層が形成されてもよい。
非通気性部材19を通気性部材に貼り付けるための粘着剤又は接着剤としては、有機溶剤を含有していないもの、又は、有機溶剤の含有率が0.5重量%以下のものを用いるのが好ましい。このような粘着剤又は接着剤としては、例えばホットメルト、エマルジョン粘着剤等が好適である。
この非通気性部材19の厚さは0.05〜0.20mm特に0.05〜0.15mmであることが好ましい。この非通気性部材19の、JIS−Z−0237により規定される引張強度は、30〜90N/15mm特に40〜60N/15mmであることが好ましい。この非通気性部材19の、JIS−Z−0237により規定される伸び率は、1〜10%特に2〜5%であることが好ましい。
<金型1の詳細な説明>
この実施の形態では、金型1は、第1図の通り、上型2と、下型3と、該上型2にセットされた中型4と、該上型2、下型3及び中型4によって囲まれたキャビティ内のガスを該キャビティの外部に排出するための排気孔5等を備えている。上型2と下型3とは、それらの周縁部において型合せされている。中型4は、上型2のキャビティ天井面(即ち上型2の下面)の周縁部よりも中央側において該上型2と型合せされている。第1図の符号Pは、上型2と下型3とのパーティングライン、及び、上型2と中型4とのパーティングラインを示している。
この実施の形態では、第2,3図の通り、上型2と下型3との合わせ面同士の間、及び、上型2と中型4との合わせ面同士の間に、それぞれ、これらのパーティングラインPをシール(密封)するためのシール部材6が設けられている。シール部材6は、これらのパーティングラインPの全周にわたって設けられている。なお、金型1は、発泡成形時に、これらのパーティングラインPからもキャビティ内のガスが排出されるように構成されてもよい。
この金型1内において、シートパッド本体11は、その前面(着座者側の面)を下向きにした姿勢で成形される。即ち、下型3のキャビティ内面によりシートパッド本体11の前面側が成形され、上型2及び中型4のキャビティ内面によりシートパッド本体11の後面側が成形される。なお、第1図において、図の左方は、この金型1によって成形されるシートパッド本体11の使用時の上部側に対応し、図の右方はシートパッド11の使用時の下部側に対応する。
詳しくは、下型3のキャビティ底面によりシートパッド本体11の主板部12の前面が成形され、下型3のキャビティ側面によりシートパッド本体11の上下左右の側面が成形される。また、中型4の下面により該主板部12の後面が成形され、中型4の周囲の上型2のキャビティ天井面によりシートパッド本体11の各張出部13〜16の後面が成形される。
中型4の側周面からは、四方へ向かって、それぞれ、凹所17を形成するための凸部4aが突設されている。各凸部4aは、中型4の下面と面一状に設けられている。各凸部4aは、型締め時には、下型3のキャビティ側面及び上型2のキャビティ天井面から離隔した状態となる。下型3のキャビティ底面と中型4の下面との間から、各凸部4aと下型3のキャビティ側面及び上型2のキャビティ天井面との間のキャビティ空間を充填するように発泡合成樹脂が膨張することにより、主板部12の上下左右から該主板部12の後面の中央側へ回り込むような形状の各張出部13〜16が形成される。
この実施の形態では、主板部12の後面と上側張出部13、左側張出部14及び右側張出部15との間の凹所17を形成するための三方の凸部4aが一続きに設けられており、主板部12の後面と下側張出部16との間の凹所17を形成するための残り一方の凸部4aは、他の凸部4aと不連続に設けられている。
この実施の形態では、第1図の通り、上型2のキャビティ天井面のうち、シートパッド本体11の上側張出部13の後面に対応する領域、及び、シートパッド本体11の下側張出部16の後面に対応する領域に、それぞれ、排気孔5が設けられている。以下、便宜上、上型2のキャビティ天井面のうち該上側張出部13の後面に対応する領域に設けられた排気孔5をシートパッド上部側排気孔5といい、下側張出部16の後面に対応する領域に設けられた排気孔5をシートパッド下部側排気孔5ということがある。なお、この上下は、シートパッド本体11の使用時の上下と対応する。
本発明においては、各排気孔5の開口面積は、9πmm以下、好ましくは6.25πmm以下、より好ましくは4πmm以下とされる。各排気孔5の開口面積が9πmmよりも大きいと、発泡成形時に、各排気孔5を覆った通気性部材18内を通ってキャビティ内のガスが各排気孔5に流入する際に、各排気孔5に向かって各通気性部材18に作用する吸引力、及び、キャビティ内に充満してきた発泡合成樹脂Uが各通気性部材18を押圧する押圧力により、各通気性部材18が部分的に各排気孔5に入り込み易くなる。なお、各排気孔5の開口面積が小さすぎると、キャビティ外へのガス抜き不足により成形不良が発生するおそれがあるので、各排気孔5の開口面積は1πmm以上特に3πmm以上であることが好ましい。
なお、第4図の通り、この実施の形態では、排気孔5は円形のものとなっているが、排気孔5の開口形状はこれに限定されない。排気孔5が円形である場合、各排気孔5の直径は5mm以下特に4mm以下であることが好ましい。
シートパッド10が一般的な車両に搭載されるものである場合、このシートパッド10を成形するための金型1のキャビティ内の容積は10〜25Lとなる。この場合、一般的に、金型1に設けられた全ての排気孔5の開口面積の合計は、18π〜27πmm特に18π〜22πmmであることが好ましい。具体的には、例えば従来の一般的なシートパッドを製造するための金型においては、直径4mm程度の円形の排気孔が5個程度(即ち、各排気孔の開口面積の合計が20πmm程度となるように)設けられるのが一般的であった。本発明においては、各排気孔5の開口面積が9πmm以下であるとの条件の下、各排気孔5の開口面積の合計が上記好適範囲内となるように、金型1に設けられる排気孔5の個数と、各排気孔5の開口面積とが設定されることが好ましい。このように設定することにより、発泡成形時にキャビティ内のガスを十分にキャビティ外に排出することができる。
この実施の形態では、前述の通り、シートパッド本体11の上側張出部13と左側張出部14及び右側張出部15とは、主板部12の後面の上側及び左右両側を一続きに取り囲むように一体的に形成される。即ち、金型1のキャビティ内においては、該上側張出部13を形成するためのキャビティ空間と、左側張出部14及び右側張出部15を形成するためのキャビティ空間とは、中型4の三方を取り囲むように一続きとなっている。これに対し、下側張出片16を形成するためのキャビティ空間は、実質的に、中型4を取り囲む方向には、他の張出部13〜15を形成するためのキャビティ空間と連通していない。そのため、発泡成形時には、左側張出部14及び右側張出部15を形成するためのキャビティ空間内のガスは、実質的に、シートパッド上部側排気孔5からキャビティ外に排出されることとなる。これにより、シートパッド上部側排気孔5から排出すべきガス量がシートパッド下部側排気孔5から排出すべきガス量よりも多くなる。
この実施の形態では、この排出すべきガス量の違いに対応するために、上型2のキャビティ天井面のうち、該上側張出部13の後面に対応する領域には、シートパッド本体11の左右方向に所定の間隔をあけて2個のシートパッド上部側排気孔5が設けられ、下側張出部16の後面に対応する領域には、シートパッド本体11の左右方向の中間付近に1個のシートパッド下部側排気孔5が設けられている。そして、発泡成形時には、これらの排気孔5をそれぞれ覆うように通気性部材18が配置されることから、前述の通り、シートパッド本体11の上側張出部13の後面に、2個の通気性部材18が埋設され、下側張出部16の後面に、1個の通気性部材18が埋設されることとなる。
なお、排気孔5の個数や配置はこれに限定されない。排気孔5は、必要に応じ、下型3や中型4にも設けられてもよい。
<金型1を用いたシートパッド10の製造方法の説明>
次に、この金型1を用いてシートパッド10を製造する方法について説明する。
(通気性部材配置工程)
まず、上型2と下型3とを型開きし、上型2の天井面の各排気孔5を覆うようにそれぞれ通気性部材18を配置し、ピンやマグネット等の固定具(図示略)により各通気性部材18を上型2に固定する。その際、非通気性部材19を各通気性部材18の排気孔5と反対側に配置する。また、中型4に補強材20を被着させ、ピンやマグネット等の固定具(図示略)により補強材20を中型4に固定する。
(発泡成形工程)
次に、下型3内に発泡合成樹脂原料を注入し、下型3と上型2とを型締めして該発泡合成樹脂原料を発泡させる。
この原料が発泡してなる発泡合成樹脂Uは、第1〜3図の通り、下型3のキャビティ底面と中型4の下面との間、中型4の各凸部4aと下型3のキャビティ側面との間、及び、各凸部4aと上型2のキャビティ天井面との間のキャビティ空間を順に充填していく。その際、第2図の矢印Gの通り、キャビティ内のガスは、各通気性部材18の側端面(各通気性部材18のうち、非通気性部材19によって覆われておらず、且つキャビティ内面に対向していない面)から各通気性部材18内に浸透し、各通気性部材18内を透過して各排気孔5に達し、各排気孔5からキャビティ外に流出する。その後、発泡合成樹脂Uが各通気性部材18の周囲に充満してくることにより、各通気性部材18が該発泡合成樹脂U中に埋没する。
このとき、非通気性部材19を介して各通気性部材18が発泡合成樹脂Uに押され、各通気性部材18が各排気孔5の周囲のキャビティ内面に密着するようになる。また、発泡合成樹脂Uが各通気性部材18の側端面から各通気性部材18内に含浸し、これが各排気孔5に達する前に各通気性部材18内で硬化することにより、自己シール効果が生じ、発泡合成樹脂Uが各排気孔5内に侵入することが防止される。
この発泡合成樹脂Uがキャビティ全体に充満することにより、シートパッド本体11が成形されると共に、該シートパッド本体11の後面に補強材20が一体化される。
発泡合成樹脂Uが硬化した後、型開きしてシートパッド10を脱型する。その後、必要に応じ、シートパッド10の表面の仕上げ処理を行うことにより、シートパッド10が完成する。
<本発明の作用効果の説明>
本発明のシートパッド10の製造方法にあっては、金型1の各排気孔5は、開口面積が9πmm以下となっている。また、発泡成形時に各排気孔5を覆う通気性部材18は、厚さが2〜5mmであり、且つ、JISL1096 A法(TSG7100G)により規定される通気性が100〜200cm/cm/secのものとなっている。
このように構成したことにより、発泡成形工程において、キャビティ内のガスが各通気性部材18を透過して各排気孔5に流入する際に、このガス流により各通気性部材18が各排気孔5に吸引されたり、キャビティ内に充満してきた発泡合成樹脂Uにより各通気性部材18が各排気孔5に押し付けられても、各通気性部材18が各排気孔5に入り込みにくい。これにより、各通気性部材18の各排気孔5への入り込みに起因する凸部がシートパッド本体11の外面に形成されることをより確実に防止することができる。その結果、シートパッド10の意匠面の形状精度を良好なものとすることができる。
また、発泡成形工程において自己シールの発現のために各通気性部材18に含浸して硬化した発泡合成樹脂Uの硬化層の厚さが過度に大きくならないため、シートパッド本体11のうち通気性部材18が埋設された部分と他の部分との硬さの違い(通気性部材18付近を触った時の触感の違い)が過度に大きくなることも防止することができる。
しかも、各通気性部材18は十分な通気性を有しているため、キャビティ内にガスが残留してシートパッド本体11に欠肉等の成形不良が生じることもより確実に防止することができる。
[第2の実施の形態]
第6図は、第2の実施の形態に係る発泡成形体の製造方法に用いられる金型のキャビティ内面の排気孔付近の平面図である。なお、第6図は、第4図と同様部分を示している。
上記の実施の形態では、発泡成形時に、1個の通気性部材18で1個の排気孔5を覆うように構成しているが、本発明においては、第6図のように、1個の通気性部材18で複数個の排気孔5を覆うように構成してもよい。なお、第6図では、1個の通気性部材18で3個の排気孔5を覆っているが、1個の通気性部材18で覆う排気孔5の個数は、2個又は4個以上であってもよい。
1個の通気性部材18で複数個の排気孔5を覆う場合には、通気性部材18は、これらの排気孔5を覆った状態において、該通気性部材18の各排気孔5側の面の外周縁から各排気孔5の周縁部までの最短距離Dが5〜20mm特に10〜15mmとなる大きさであることが好ましい。また、共通の通気性部材18によって覆われる排気孔5同士の間隔Dは2〜10mm特に3〜5mmであることが好ましい。共通の通気性部材18によって覆われる排気孔5同士の間隔Dをこのように設定することにより、シートパッド本体11の外面のうち、発泡成形工程において各排気孔5と重なった部分が突出した形状になることを防止することができる。
このように1個の通気性部材18で複数個の排気孔5を覆うように構成することにより、これらの排気孔5を個別に通気性部材18で覆う場合に比べて、通気性部材配置工程での必要工数が少なくなるので、シートパッド10の製造を容易化することができる。
なお、1個の通気性部材18で複数個の排気孔5を覆うように構成する場合、これらの排気孔5は、第1の実施の形態における1個の排気孔5をさらに細かく分割した如きものであってもよい。このように構成した場合、各排気孔5の開口面積をさらに小さくすることができる。また、発泡成形時には、共通の通気性部材18を透過してきたガスが複数個の排気孔5に分散して流入するため、その際に生じる各排気孔5への通気性部材18の吸引力も、より小さなものとなる。これにより、一層確実に、通気性部材18の各排気孔5への入り込みを防止することが可能となる。
この実施の形態のその他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
[第3の実施の形態]
第7図は、第3の実施の形態に係る発泡成形体の製造方法に用いられる金型のキャビティ内面の排気孔付近の平面図である。なお、第7図も、第4図と同様部分を示している。
上記の各実施の形態では、排気孔5は、円形の開口形状を有したものとなっているが、排気孔5の開口形状はこれに限定されない。
例えば、第7図の排気孔5Aは、スリット状の開口形状を有したものとなっている。このスリット状の排気孔5Aにあっては、その延在方向の長さを大きくしても、これと直交方向の幅をある程度小さくすれば、通気性部材18の該排気孔5Aへの入り込みを十分に防止することができるようになる。具体的には、このスリット状の排気孔5Aにあっては、その延在方向と直交方向の幅を好ましくは4mm以下、特に好ましくは3mm以下とすれば、十分に通気性部材18の該排気孔5Aへの入り込みを防止することができる。
なお、排気孔の開口形状はこれ以外(例えば十字状や星形、楕円形、多角形など)であってもよい。
[実施例1]
各排気孔5の直径を4mm(開口面積=約12.6mm)として第1の実施の形態(第1〜4図)の金型1を作製した。この金型1のキャビティ内の容積は20Lであった。スラブウレタンを構成材料として、厚さ3mm、通気性150cm/cm/secで板面の平面積が25mmの略正方形板状の通気性部材18を作製した。通気性部材18の排気孔5と反対側の板面には、粘着剤により厚さ0.2mmの非通気性部材19を配設した。非通気性部材19は、通気性部材18の排気孔5と反対側の板面の全体を覆うように配設した。
この金型1及び通気性部材18を用い、第1の実施の形態と同様にしてシートパッド10を作製した。
このシートパッド10の外面を観察したところ、各通気性部材18には、各排気孔5への入り込みに起因する凸部は形成されておらず、また各通気性部材18付近に欠肉等の成形不良も発生していなかった。また、各通気性部材18付近の感触を確認したところ、発泡成形時に自己シールの発現のために通気性部材18に含浸して硬化した発泡合成樹脂Uの硬化層の硬さが特に目立つこともなく、感触は良好であった。
[比較例1]
金型1の上型2のキャビティ天井面のうち、シートパッド本体11の上側張出部13の後面に対応する領域に、直径6mm(開口面積=約28.3mm)のシートパッド上部側排気孔5を1個だけ設けると共に、シートパッド本体11の下側張出部13の後面に対応する領域に、同じく直径6mmのシートパッド下部側排気孔5を1個だけ設けたこと以外は、実施例1と同様の金型を作製した。この金型と、実施例1と同様の非通気性部材19付き通気性部材18とを用い、実施例1と同様にしてシートパッド10を作製した。
このシートパッド10の外面を観察したところ、各通気性部材18には、各排気孔5への入り込みに起因する凸部が形成されていた。
上記の各実施の形態はいずれも本発明の一例であり、本発明は図示以外の構成をもとりうる。
例えば、上記の各実施の形態は、シートパッドの製造方法への本発明の適用例を示しているが、本発明は、シートパッド以外の発泡成形体の製造方法にも適用可能である。
1 金型
2 上型
3 下型
4 中型
5,5A 排気孔
6 シール部材
10 シートパッド
11 シートパッド本体
12 主板部
13〜16 張出部
17 凹所
18 通気性部材
19 非通気性部材
20 補強材

Claims (7)

  1. 金型を用いて発泡合成樹脂よりなる発泡成形体を製造する発泡成形体の製造方法であって、
    該金型は、キャビティ内面に、該キャビティ内のガスを該キャビティの外部に排出するための排気孔が設けられたものであり、
    該発泡成形体を製造するに当り、
    該金型のキャビティ内に、該排気孔を覆うように通気性部材を配置すると共に、該通気性部材の該排気孔と反対側の面を覆うように非通気性部材を配置する通気性部材及び非通気性部材配置工程と、
    該通気性部材及び非通気性部材配置工程の後、該キャビティ内で発泡合成樹脂原料を発泡させる発泡成形工程と
    を行う発泡成形体の製造方法において、
    該通気性部材の該キャビティ内面からの接離方向の厚さを2〜5mmとし、且つ、該通気性部材の、JISL1096 A法(TSG7100G)により規定される通気性を100〜200cm/cm/secとし、
    該排気孔の開口面積を9πmm以下とすることを特徴とする発泡成形体の製造方法。
  2. 請求項1において、前記排気孔は、略円形の開口形状を有したものであり、
    該排気孔の直径を5mm以下とすることを特徴とする発泡成形体の製造方法。
  3. 請求項1又は2において、前記金型のキャビティ内面に、前記排気孔を複数個設け、
    前記通気性部材配置工程において、少なくとも2個の該排気孔を共通の前記通気性部材で覆うことを特徴とする発泡成形体の製造方法。
  4. 請求項3において、前記共通の通気性部材により覆われる前記排気孔同士の間隔を2〜10mmとすることを特徴とする発泡成形体の製造方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、
    前記通気性部材が前記排気孔を覆うように配置された状態において、
    該通気性部材の該排気孔側の面の外周縁から該排気孔の周縁部までの最短距離が5〜20mmとなるように構成することを特徴とする発泡成形体の製造方法。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項において、前記排気孔は、前記金型のキャビティ内面のうち、前記発泡成形体の意匠面を成形する領域に配置されていることを特徴とする発泡成形体の製造方法。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項において、前記発泡成形体はシートパッドであることを特徴とする発泡成形体の製造方法。
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