JP2013208107A - レトロウイルスベクターの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】レトロウイルス産生用細胞の培養用培地、及び当該培地を使用したレトロウイルスベクターの製造方法を提供すること。高力価のレトロウイルスベクターを製造する方法、及び当該方法に使用可能なレトロウイルス産生細胞の培養用の培地を提供すること。
【解決手段】ヘキサメチレンビスアセトアミドを含有する培地を使用してレトロウイルス産生細胞の培養を行うことにより、従来に比べ高力価のレトロウイルスベクターを製造することができる。当該培地を用いて製造されたレトロウイルスベクターや当該ウイルスベクターを有効成分とする組成物は遺伝子治療の基礎研究や臨床応用における遺伝子治療に有用である。
【選択図】なし
【解決手段】ヘキサメチレンビスアセトアミドを含有する培地を使用してレトロウイルス産生細胞の培養を行うことにより、従来に比べ高力価のレトロウイルスベクターを製造することができる。当該培地を用いて製造されたレトロウイルスベクターや当該ウイルスベクターを有効成分とする組成物は遺伝子治療の基礎研究や臨床応用における遺伝子治療に有用である。
【選択図】なし
Description
本発明は、遺伝子治療の基礎研究や臨床応用における遺伝子治療に有用なレトロウイルスベクター、特にレンチウイルスベクターの製造に使用される培地、及びその培地を使用したレトロウイルスベクターの製造方法に関する。
現在、先天性遺伝子疾患の治療のほか、癌や感染症の治療を目的として、ウイルスベクターを用いた遺伝子治療が多数試みられている。ウイルスベクターを用いた遺伝子治療としては、従来、レトロウイルスベクターやアデノウイルスベクターについて多くの試みがなされているが、最近ではレトロウイルスベクターの中でもレンチウイルスベクターの安全性が向上し、利用例が増加している。
レンチウイルスはレトロウイルス科に属するウイルスであるが、いくつかのアクセサリータンパク質や調節タンパク質を有することから、分裂していない細胞にも感染して宿主ゲノムにウイルス由来のDNAを導入できる。レンチウイルスは、この点で他のレトロウイルス(オンコレトロウイルスなど)と大きく異なり、近年遺伝子導入用のベクターとして開発が進んできた。
遺伝子導入用のレンチウイルスベクターの製造は、他のレトロウイルスベクターと同様である。即ち、レンチウイルスベクターの製造方法は、ウイルス粒子形成に必須なタンパク質をコードする核酸を搭載した複数のプラスミド(タンパク質発現プラスミド)と、ウイルス粒子に封入されるRNAを転写しうる核酸を搭載したプラスミド(レンチウイルスベクタープラスミド)とを細胞に導入することによって、ウイルス産生能力を獲得した細胞を作製し、該細胞の培養上清中に産生された目的のレンチウイルスベクターを採取することが常法とされる。
遺伝子導入用のレンチウイルスベクターの製造は、他のレトロウイルスベクターと同様である。即ち、レンチウイルスベクターの製造方法は、ウイルス粒子形成に必須なタンパク質をコードする核酸を搭載した複数のプラスミド(タンパク質発現プラスミド)と、ウイルス粒子に封入されるRNAを転写しうる核酸を搭載したプラスミド(レンチウイルスベクタープラスミド)とを細胞に導入することによって、ウイルス産生能力を獲得した細胞を作製し、該細胞の培養上清中に産生された目的のレンチウイルスベクターを採取することが常法とされる。
代表的なレンチウイルスベクターはヒト免疫不全ウイルス1型(Human immunodeficiency virus type 1、以下HIV−1)を基に開発されたものである。HIV−1はAIDS(Acquired Immune Deficiency Syndrome)を引き起こす高い病原性を有するため、ベクター開発に当たっては安全性の向上、即ち、標的細胞への感染性を損なうことなく標的細胞内での複製・増殖能を排除することへの工夫が最優先でなされてきた。
一方、レトロウイルスベクターの製造においては、高力価のウイルスベクター液の取得への工夫が進んできた。例えば、製造されたウイルスベクター液をウイルス産生細胞に重複して感染させ、該ウイルス産生細胞のウイルス産生能力の向上を図る方法(非特許文献1)や、酪酸ナトリウム又はトリコスタチンA(Trichostatin A)を添加する方法(非特許分献2、3)が開示されている。しかしながら、レトロウイルスベクターを遺伝子治療の基礎研究や臨床応用に使用することを目的とした場合には、更に高力価のレトロウイルスベクターの製造方法が求められる。
Gene Therapy、第3巻、第756〜760頁(1996)
Human Gene Therapy、第6巻、第1195〜1202頁(1995)
BioTechniques、第29巻、第884〜890頁(2000)
本発明の目的は、レトロウイルスベクターの製造にあたって、煩雑な操作なく高力価のウイルスベクター液を得るために使用可能な培地、及び当該培地を用いた製造方法の提供することにある。
上述のとおり、遺伝子治療の基礎研究や臨床応用に使用することを目的としたレトロウイルスベクターの製造においては、高力価のレトロウイルスベクターを得るための複数の方法が開示され、必要に応じて併用が試みられているが、より高力価なレトロウイルスベクターの製造方法が求められている。本発明者らは鋭意研究の結果、ヘキサメチレンビスアセトアミドを含む培地を使用することにより、高力価のレトロウイルスベクターが得られることを見出し、本発明を完成させた。
本発明を概説すれば、本発明は
[1]レトロウイルスベクターを産生する能力を有する細胞の培養に使用される培地であって、ヘキサメチレンビスアセトアミドを含有することを特徴とする培地、
[2]ヘキサメチレンビスアセトアミドの濃度が1〜15mMである[1]に記載の培地、
[3]レトロウイルスベクターを産生する能力を有する細胞が、レンチウイルスベクターを産生する能力を有する細胞である[1]又は[2]に記載の培地、
[4]レトロウイルスベクターの製造方法であって、レトロウイルスベクターを産生する能力を有する細胞を、ヘキサメチレンビスアセトアミドを含有する培地で培養する工程を包含することを特徴とするレトロウイルスベクターの製造方法、
[5]培地が、1〜15mMのヘキサメチレンビスアセトアミドを含有する培地である[4]に記載のレトロウイルスベクターの製造方法、
[6]レトロウイルスベクターが、レンチウイルスベクターである[4]に記載のレトロウイルスベクターの製造方法、
[7]レトロウイルスベクターを産生する能力を有する細胞が、(a)Gag−Polタンパク質をコードする核酸、(b)Envタンパク質をコードする核酸、(c)Revタンパク質をコードする核酸、(d)Tatタンパク質をコードする核酸、及び(e)レトロウイルス粒子に封入されるRNAを転写しうる核酸からなる群より選択される少なくとも1つの核酸を一過性に細胞に導入する工程を含む方法により得られた細胞である[4]に記載のレトロウイルスベクターの製造方法、
[8]レトロウイルスベクターを産生する能力を有する細胞が、ヒト免疫不全ウイルス1型由来のU3プロモーターの制御下にレトロウイルスベクターに封入されるRNAを転写する細胞である[4]に記載のレトロウイルスベクターの製造方法、
に関する。
[1]レトロウイルスベクターを産生する能力を有する細胞の培養に使用される培地であって、ヘキサメチレンビスアセトアミドを含有することを特徴とする培地、
[2]ヘキサメチレンビスアセトアミドの濃度が1〜15mMである[1]に記載の培地、
[3]レトロウイルスベクターを産生する能力を有する細胞が、レンチウイルスベクターを産生する能力を有する細胞である[1]又は[2]に記載の培地、
[4]レトロウイルスベクターの製造方法であって、レトロウイルスベクターを産生する能力を有する細胞を、ヘキサメチレンビスアセトアミドを含有する培地で培養する工程を包含することを特徴とするレトロウイルスベクターの製造方法、
[5]培地が、1〜15mMのヘキサメチレンビスアセトアミドを含有する培地である[4]に記載のレトロウイルスベクターの製造方法、
[6]レトロウイルスベクターが、レンチウイルスベクターである[4]に記載のレトロウイルスベクターの製造方法、
[7]レトロウイルスベクターを産生する能力を有する細胞が、(a)Gag−Polタンパク質をコードする核酸、(b)Envタンパク質をコードする核酸、(c)Revタンパク質をコードする核酸、(d)Tatタンパク質をコードする核酸、及び(e)レトロウイルス粒子に封入されるRNAを転写しうる核酸からなる群より選択される少なくとも1つの核酸を一過性に細胞に導入する工程を含む方法により得られた細胞である[4]に記載のレトロウイルスベクターの製造方法、
[8]レトロウイルスベクターを産生する能力を有する細胞が、ヒト免疫不全ウイルス1型由来のU3プロモーターの制御下にレトロウイルスベクターに封入されるRNAを転写する細胞である[4]に記載のレトロウイルスベクターの製造方法、
に関する。
本発明は、レトロウイルスベクターを産生する能力を有する細胞の培養に使用される培地であって、ヘキサメチレンビスアセトアミド(以下、HMBA)を含有することを特徴とする培地を提供する。前記の培地はレトロウイルスの製造を目的としたレトロウイルスベクターを産生する能力を有する細胞の培養に使用される。更に、本発明は、当該培地を用いるレトロウイルスベクターの製造方法を提供する。本発明の培地を使用することにより、煩雑な操作なく従来に比べて高力価のレトロウイルスベクター、特にレンチウイルスベクターを製造することが可能となる。
本発明のHMBAを含有する培地(以下、本発明の培地と称することがある)は、HMBA又はその誘導体を含有する脊椎動物細胞用培地、特に哺乳動物細胞用培地であれば特に限定はなく、市販の培地にHMBAを含有させ、本発明の培地とすることができる。
HMBAはCAS No.3073−59−4、又は146696−00−6で指定された公知の物質であり、市販品が入手可能である。好適には水、又は、生理食塩水、後述する培地などの各種溶液に溶解してから培地に添加して使用することができる。当該HMBAの本発明の培地に含まれる濃度としては、好ましくは1mM〜15mM、より好ましくは2.5mM〜10mMである。
本発明の培地のその他の成分としては、アミノ酸、糖類、有機酸のようなエネルギー源、ビタミン類、pH調整のための緩衝成分、無機塩類などがあげられる。また、フェノールレッドのようなpH指示薬を含有していてもよい。このような成分を含む培地として、血清を含有しない公知の培地、例えば、DMEM、IMDM、ハムF12、RPMI−1640培地などを使用してもよく、これらはLonza社、ライフテクノロジーズ社、シグマ・アルドリッチ社などから市販品として入手することができる。また、製造されたウイルスベクターの用途に応じて、例えば造血系細胞培養に最適化するなどの目的で、アルブミン、インスリン、トランスフェリン、上皮細胞成長因子などの精製タンパク質(天然型又は組換え型)、オレイン酸、プロゲステロンなどを含有していてもよい。例えば、本発明にはGT−T502、GT−T502R、GT−T503、GT−T551、GT−T507、GT−T507R、GT−T−RetroIII(いずれもタカラバイオ社製)、X−VIVO10、X−VIVO15、X−VIVO20、PR0293a−CDM、PR0293s−CDM、UltraCULTURE、UltraDOMA、UltraDOMA−PF(以上Lonza社製)、Opti−ProSFM、VP−SFM、293SFMII(以上ライフテクノロジーズ社製)、HyQ SFM4MegaVir(ハイクローン社製)などの市販の無血清培地も使用することができる。さらにより高力価のレトロウイルスベクターを調製することを目的として、これらの培地に酪酸ナトリウムやトリコスタチンAなどの公知のウイルス産生能力の向上作用を有する物質を添加することもできる。
更に、本発明の培地に、血清や血清由来のタンパク質、例えば牛胎児血清(FBS)やヒト血清アルブミン(HSA)を添加してもよい。前記FBSの添加濃度としては、最終0.05〜20%、好ましくは5〜10%である。また前記HSAの添加濃度としては、最終0.05〜1%、好ましくは0.1〜0.3%である。
本明細書においてレトロウイルスベクターとは、レトロウイルス科に属するオンコレトロウイルス、レンチウイルスなどを基に遺伝子組換え技術により作製されたウイルス粒子のことを指し、オンコレトロウイルスベクター、レンチウイルスベクターを含む。オンコレトロウイルスベクターとしては、例えばモロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)に基づくベクターなどが挙げられる。また、レンチウイルスベクターとしては、HIV−1やHIV−2に基づくベクターやサル免疫不全ウイルス(SIV)に基づくベクターなどが挙げられる。本明細書におけるオンコレトロウイルスベクター、レンチウイルスベクターは、それぞれシュードタイプ化されたオンコレトロウイルスベクター、レンチウイルスベクターを含む。シュードタイプベクターとは、Gagタンパク質やPolタンパク質とは由来が異なるEnvタンパク質を有するレトロウイルスベクターのことを指す。シュードタイプベクターとしては、水泡性口内炎ウイルス(VSV)、テナガザル白血病ウイルス(GaLV)、ネコ内因性ウイルスRD114、マウス白血病ウイルス(Ecotropic−env、Amphotropic−env、10A1−envなど)、球菌ウイルス(Cocal)などのEnvタンパク質を有するオンコレトロウイルスベクターやレンチウイルスベクターが例示される。
本発明の培地を用いて製造されるレトロウイルスベクターには特に限定はない。通常、本発明では、無制限な感染、遺伝子導入を防止された複製能欠損レトロウイルスベクターが製造される。該ウイルスベクターは、感染した細胞中で自己複製できないように複製能を欠損させてあり、非病原性である。これらのウイルスベクターは脊椎動物細胞、特に、哺乳動物細胞のような宿主細胞に感染し、その染色体DNA中にウイルスベクターに挿入された外来遺伝子を安定に組み込むことができる。本発明では、前記レトロウイルスベクターの中でも、レンチウイルスベクターが好適に製造される。
レトロウイルスベクターを産生する能力を有する細胞(以下、レトロウイルス産生細胞)としては、任意の細胞を選択して作製することができ、特に、レトロウイルスベクター産生に必要なタンパク質やウイルス粒子に封入されるRNAを一過的、恒常的もしくは誘導的に発現するように改変した細胞が使用できる。レトロウイルスベクター産生に必要なタンパク質としては、レトロウイルスベクターの産生に必要なタンパク質、例えば、Gag−Polタンパク質、Envタンパク質が挙げられる。さらに、所望によりRevタンパクやTatタンパク質のようなアクセサリータンパク質を発現する細胞も本発明に使用できる。これらタンパク質をコードする核酸、ならびにウイルス粒子に封入されるRNAを転写しうる核酸のそれぞれは、プラスミドベクター等で細胞に導入されていてもよく、細胞の染色体に安定的に組み込まれていてもよい。レトロウイルス産生細胞は、例えば、トランスフェクション効率の高い293細胞(ATCC CRL−1573)や293T細胞(ATCC CRL−11268)、293F細胞、293FT細胞(いずれもライフテクノロジーズ社製)、G3T−hi細胞(国際公開第06/035829号パンフレット)を使用して作製することができる。また、レトロウイルスベクター産生に必要なタンパク質を発現する公知のパッケージング細胞株、例えばPG13(ATCC CRL−10686)、PA317(ATCC CRL−9078)、GP+E−86やGP+envAm−12(米国特許第5,278,056号)、Psi−Crip[Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第85巻、第6460〜6464頁(1988)]、GPRG細胞[Blood、第21巻、第5104〜5110頁(2008)]を使用して作製することもできる。本発明の培地を用いて培養されるレトロウイルス産生細胞には特に限定はないが、レンチウイルス産生細胞が好適である。
本発明のレトロウイルスベクターの製造方法の一態様としては、レトロウイルスベクターのウイルス粒子形成に必須な要素を供給する核酸、即ち(a)Gag−Polタンパク質をコードする核酸、(b)Envタンパク質をコードする核酸、(c)Revタンパク質をコードする核酸、(d)Tatタンパク質をコードする核酸、及び(e)ウイルス粒子に封入されるRNAを転写しうる核酸からなる群より選択される少なくとも1つの核酸を、細胞に導入する工程を含む方法により得られたレトロウイルス産生細胞を、本発明の培地中で培養することで実施される。レトロウイルス産生細胞の好適な例としては、少なくとも前記(a)、(b)及び(e)の核酸を細胞に導入する工程を含む方法により得られたレトロウイルス産生細胞が例示される。さらにレトロウイルスベクターとしてレンチウイルスベクターを製造する場合は、(a)、(b)及び(e)の核酸に加えて、(c)及び/又は(d)の核酸を細胞に導入する工程を含む方法により得られたレトロウイルス産生細胞が例示される。また、レトロウイルス産生細胞としては、レトロウイルスベクターの産生に必要な前記(a)〜(e)からなる群より選択される1つまたは複数の核酸がすでに導入された細胞株に対し、その他に必要な核酸を導入する工程を含む方法によって得られたレトロウイルス産生細胞も例示される。例えば、少なくとも前記(a)及び(b)の核酸が導入されたパッケージング細胞に、前記(e)の核酸を導入して得られたレトロウイルス産生細胞が例示される。そして前記(a)〜(e)からなる群より選択される核酸は、それぞれプラスミド等で一過性に導入してもよく、また染色体に安定的に組み込んでもよい。また、本発明の製造方法は、当該核酸を一過性に供給する場合は、レトロウイルス産生細胞を作製する際の核酸を供給する工程の1〜48時間後、好適には3〜48時間後から本発明の培地を用いた培養を行うことにより、より高い効果を発揮する。
前記ウイルス粒子に封入されるRNAとしては、少なくともレトロウイルス粒子に封入されるためのパッケージングシグナル及び標的細胞ゲノムに導入されるためのLTRを有するRNAが例示される。好適には、ヒト免疫不全ウイルス1型由来のU3プロモーターの制御下に転写されるように改変されているウイルス粒子に封入されるRNAが本発明には使用される。ウイルス粒子に封入されるRNAを供給するプラスミドとしては、公知のプラスミドを用いればよく、例えば、複製能欠損オンコレトロウイルスベクターについては、プラスミドMFGやプラスミドα−SGC(国際公開第92/07943号パンフレット)、pBabe[Nucleic Acids Research、第18巻、第3587〜3596頁(1990)]、pLXIN(クロンテック社製)、pDON−AI(タカラバイオ社製)など、複製能欠損レンチウイルスベクターについては、国際公開第00/66759号パンフレットに開示のプラスミド、pLVSIN(タカラバイオ社製)、pLVX(クロンテック社製)など、あるいはこれらを改変したプラスミドが例示される。本発明の製造方法には、好適には、ウイルス粒子に封入されるRNAがヒト免疫不全ウイルス1型由来のU3プロモーターの制御下に転写されるように改変されているレンチウイルスベクターが用いられる。
前記ウイルス粒子に封入されるRNAには、任意の外来遺伝子、例えばポリペプチド(酵素、成長因子、サイトカイン、レセプター、構造タンパク質など)をコードする配列、アンチセンスRNA、リボザイム、デコイ、RNA干渉を起こすRNAなどを転写しうる配列を搭載させることができる。前記の外来遺伝子の発現の制御のため、適当なプロモーター、エンハンサー、ターミネーターやその他の転写調節要素が当該RNAに搭載されていてもよい。
核酸を細胞に一過性に導入する方法には特に限定はなく、公知の一過性導入方法、例えばリン酸カルシウム法、リポフェクション法、DEAEデキストラン法、ポリエチレンイミン法、エレクトロポレーション法などが使用可能である。また市販の試薬、例えばTransIT(登録商標)−293 Reagent、TransIT(登録商標)−2020(Mirus社製)、Lipofectamine 2000 Reagent、Lipofectamine 2000CD Reagent(以上、ライフテクノロジーズ社製)、FuGene(プロメガ社製)などを用いてもよい。
レトロウイルス産生細胞の培養は、通常の培養条件で行うことができる。例えば温度30〜37℃、湿度95%、CO2濃度5〜10%での培養が例示されるが、本発明はこのような条件に限定されるものではない。培養は、例えば30〜37℃で実施できるが、所望の細胞の増殖、ウイルスベクターの産生が達成できるのであれば前記の範囲以外の温度で実施してもよい。培養期間は特に限定はないが、例えば12〜72時間、好適には24〜48時間が好ましい。また、細胞培養上清を回収した後、更に新たな培地を添加して細胞培養を行った後に再度細胞培養液を回収することで、ウイルスベクターを含有する細胞培養液の上清を繰り返し回収することができる。本発明では、こうして得られる細胞培養液の上清を用いてウイルスベクターの製造が実施される。例えばレンチウイルスベクターにおいては、前記の上清をフィルターろ過したろ液のまま、あるいは公知の方法により濃縮もしくは精製したレンチウイルスベクターとして製造され、適切な方法、例えば凍結を用いて所望の用途に使用するまで保存される。
本明細書中の力価とは、実験的に測定される、ウイルスの細胞への感染能力のことである。感染能力の測定には特に限定はなく、所望の標的細胞について公知の方法で行うことができる。例えばウイルスベクターのRNAをリアルタイムPCRで測定する方法、ウイルスベクターを標的細胞に感染させ、導入遺伝子の発現を検出する方法、細胞の形状が変化する現象(細胞変性)を検出する方法、導入されたプロウイルスコピー数を測定する方法などが使用可能である。
本発明により、本発明の製造方法により取得したレトロウイルスベクターを有効成分として含有する医薬組成物も提供される。当該医薬組成物は、遺伝子治療用レトロウイルスベクターの製造技術に従って適宜調製することができる。例えば、本発明の製造方法により得られたレトロウイルスベクターを公知の方法で濃縮、精製することにより、精製されたレトロウイルスベクターを取得し、医薬組成物とすることができる。当該医薬組成物は、患者由来の細胞に体外で使用するか、もしくは患者へ直接投与することもできる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1 Tat存在下でのHMBAによるレンチウイルスベクターの力価向上試験
(1)レンチウイルスベクター液の調製
T25フラスコ(CELLBIND、コーニング社製)に2.25×106個の293T細胞を播種し、CO2インキュベーター(37℃、CO2濃度5%)にて24時間培養を行った。培地には10%FBS(JRH社製)を含むDMEM(シグマ・アルドリッチ社製)を用いた。Gag−Pol発現プラスミド、Rev発現プラスミド、VSV−G発現プラスミド、及びTat発現プラスミドの混合液に、Truncated form of Low affinity Nerve Growth Factor Receptor(ΔLNGFR)遺伝子[Humman Gene Therapy、第9巻、第2243〜2251頁、(1998)]が搭載されたレンチウイルスベクタープラスミドであるpLV−PL2を添加してDNA混合液を調製し、TransIT(登録商標)−293 Reagent(Mirus社製)を用いて、キットに添付のプロトコールに従って一過性に導入した。導入操作後の細胞はCO2インキュベーター(37℃、CO2濃度5%)にて培養を行った。なお、pLV−PL2はpLVSIN−AcGFPN1(タカラバイオ社製)を基にAcGFP1遺伝子の代わりにΔLNGFR遺伝子を発現するように改変したプラスミドである。一過性導入の翌日、終濃度2.5mMもしくは7.5mMとなるようにHMBA(シグマ・アルドリッチ社製)を添加したX−VIVO15培地(Lonza社製)に培地交換し、培養を継続した。コントロール群はHMBAを添加しないX−VIVO15培地で培地交換した。一過性導入から2日後、培養上清を採取して0.45μmフィルターでろ過し、このろ液をレンチウイルスベクター液として−80℃で凍結保存した。なお、本願明細書実施例において使用されるHMBAは、市販の粉末を注射用水に溶解し500mMに調製したものである。
(1)レンチウイルスベクター液の調製
T25フラスコ(CELLBIND、コーニング社製)に2.25×106個の293T細胞を播種し、CO2インキュベーター(37℃、CO2濃度5%)にて24時間培養を行った。培地には10%FBS(JRH社製)を含むDMEM(シグマ・アルドリッチ社製)を用いた。Gag−Pol発現プラスミド、Rev発現プラスミド、VSV−G発現プラスミド、及びTat発現プラスミドの混合液に、Truncated form of Low affinity Nerve Growth Factor Receptor(ΔLNGFR)遺伝子[Humman Gene Therapy、第9巻、第2243〜2251頁、(1998)]が搭載されたレンチウイルスベクタープラスミドであるpLV−PL2を添加してDNA混合液を調製し、TransIT(登録商標)−293 Reagent(Mirus社製)を用いて、キットに添付のプロトコールに従って一過性に導入した。導入操作後の細胞はCO2インキュベーター(37℃、CO2濃度5%)にて培養を行った。なお、pLV−PL2はpLVSIN−AcGFPN1(タカラバイオ社製)を基にAcGFP1遺伝子の代わりにΔLNGFR遺伝子を発現するように改変したプラスミドである。一過性導入の翌日、終濃度2.5mMもしくは7.5mMとなるようにHMBA(シグマ・アルドリッチ社製)を添加したX−VIVO15培地(Lonza社製)に培地交換し、培養を継続した。コントロール群はHMBAを添加しないX−VIVO15培地で培地交換した。一過性導入から2日後、培養上清を採取して0.45μmフィルターでろ過し、このろ液をレンチウイルスベクター液として−80℃で凍結保存した。なお、本願明細書実施例において使用されるHMBAは、市販の粉末を注射用水に溶解し500mMに調製したものである。
(2)レンチウイルスベクター液の力価評価
表面未処理24ウェルプレート(ベクトン・ディッキンソン社製)に1ウェルあたり500μLの20μg/mLの組換えフィブロネクチンフラグメントであるCH−296[商品名:レトロネクチン(登録商標);タカラバイオ社製]溶液を添加して4℃で一晩放置した。その後、CH−296溶液を除去し、プレートを1mLのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄してCH−296コートプレートとした。
表面未処理24ウェルプレート(ベクトン・ディッキンソン社製)に1ウェルあたり500μLの20μg/mLの組換えフィブロネクチンフラグメントであるCH−296[商品名:レトロネクチン(登録商標);タカラバイオ社製]溶液を添加して4℃で一晩放置した。その後、CH−296溶液を除去し、プレートを1mLのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄してCH−296コートプレートとした。
10%FBSを含むRPMI−1640培地(シグマ・アルドリッチ社製)に1×106cells/mLとなるように懸濁して調製したSUP−T1細胞(ATC CCRL−1942)懸濁液を、前述のCH−296コートプレートに0.25mL/ウェル添加した。更に、実施例1−(1)で調製したレンチウイルスベクター液を解凍し、X−VIVO15培地にて150倍もしくは450倍に希釈した。上記SUP−T1細胞を播種した24ウェルプレートにこの希釈液を0.25mL/ウェル添加し、プレートをロッキングしてよく混合した(レンチウイルスベクター液の終濃度:300倍希釈、900倍希釈)。この24ウェルプレートを1000×g、32℃で30分間遠心して遠心感染を実施した後、CO2インキュベーターにて培養を行った。感染翌日、これらの細胞を10%FBSを含むRPMI−1640培地で5倍希釈し、培養を継続した。
感染から3日後、細胞を回収し、0.1%のウシ血清アルブミン(BSA)を含有するPBS(0.1%BSA/PBS)で洗浄した。次に、0.1%BSA/PBSに細胞を懸濁し、ここにAPC標識マウス抗ヒトLNGFR抗体(Miltenyi Biotec社製)を含む抗体液を添加し、抗体による細胞の標識を行った。その後、0.1%BSA/PBSで細胞を洗浄し、再度0.1%BSA/PBSに懸濁した。この細胞液をフローサイトメトリーに供し、遺伝子導入効率として、ΔLNGFR陽性率を算出した。その結果を表1に示す。
感染から3日後、細胞を回収し、0.1%のウシ血清アルブミン(BSA)を含有するPBS(0.1%BSA/PBS)で洗浄した。次に、0.1%BSA/PBSに細胞を懸濁し、ここにAPC標識マウス抗ヒトLNGFR抗体(Miltenyi Biotec社製)を含む抗体液を添加し、抗体による細胞の標識を行った。その後、0.1%BSA/PBSで細胞を洗浄し、再度0.1%BSA/PBSに懸濁した。この細胞液をフローサイトメトリーに供し、遺伝子導入効率として、ΔLNGFR陽性率を算出した。その結果を表1に示す。
その結果、HMBAを添加した培地を使用することにより、レンチウイルスベクター液の明らかな力価向上が認められた。また、力価向上効果は2.5mMよりも7.5mMの方が高かった。
実施例2 Tat非存在下でのHMBAによるレンチウイルスベクターの力価向上試験
(1)レンチウイルスベクター液の調製
実施例1−(1)と同様に、T25フラスコに2.25×106個の293T細胞を播種し、24時間培養を行った。Gag−Pol発現プラスミド、Rev発現プラスミド、及びVSV−G発現プラスミドの混合液(Tat発現プラスミドは含まない)に、pLVSIN−AcGFPN1(タカラバイオ社製)を添加してDNA混合液を調製し、TransIT(登録商標)−293を用いて添付のプロトコールに従って一過性に導入した。導入操作後の細胞はCO2インキュベーター(37℃、CO2濃度5%)にて培養を行った。一過性導入の翌日、終濃度7.5mMとなるようにHMBAを添加したX−VIVO15培地に培地交換し、培養を継続した。コントロール群はHMBAを添加しないX−VIVO15培地で培地交換した。一過性導入から2日後、培養上清を採取して0.45μmフィルターでろ過し、このろ液をレンチウイルスベクター液として−80℃で凍結保存した。
(1)レンチウイルスベクター液の調製
実施例1−(1)と同様に、T25フラスコに2.25×106個の293T細胞を播種し、24時間培養を行った。Gag−Pol発現プラスミド、Rev発現プラスミド、及びVSV−G発現プラスミドの混合液(Tat発現プラスミドは含まない)に、pLVSIN−AcGFPN1(タカラバイオ社製)を添加してDNA混合液を調製し、TransIT(登録商標)−293を用いて添付のプロトコールに従って一過性に導入した。導入操作後の細胞はCO2インキュベーター(37℃、CO2濃度5%)にて培養を行った。一過性導入の翌日、終濃度7.5mMとなるようにHMBAを添加したX−VIVO15培地に培地交換し、培養を継続した。コントロール群はHMBAを添加しないX−VIVO15培地で培地交換した。一過性導入から2日後、培養上清を採取して0.45μmフィルターでろ過し、このろ液をレンチウイルスベクター液として−80℃で凍結保存した。
(2)レンチウイルスベクター液の力価評価
表面処理された6ウェルプレート(ベクトン・ディッキンソン社製)に5×104個のHT−1080細胞(ATCC CCL−121)を播種し、CO2インキュベーター(37℃、CO2濃度5%)にて培養を行った。培地には10%FBSを含むDMEMを用いた。24時間後、実施例2−(1)で作製したレンチウイルスベクター液を解凍し、終濃度8μg/mL ポリブレン(シグマ・アルドリッチ社製)を含む培地で270倍希釈したレンチウイルスベクター液を調製した。その後、HT−1080細胞の培地を除き、上記調製したレンチウイルスベクター液を添加して感染を行った。
感染から3日後、トリプシン処理により細胞を回収し、フローサイトメトリーに供してAcGFP1陽性率を測定し遺伝子導入効率を算出した。その結果を表2に示す。
表面処理された6ウェルプレート(ベクトン・ディッキンソン社製)に5×104個のHT−1080細胞(ATCC CCL−121)を播種し、CO2インキュベーター(37℃、CO2濃度5%)にて培養を行った。培地には10%FBSを含むDMEMを用いた。24時間後、実施例2−(1)で作製したレンチウイルスベクター液を解凍し、終濃度8μg/mL ポリブレン(シグマ・アルドリッチ社製)を含む培地で270倍希釈したレンチウイルスベクター液を調製した。その後、HT−1080細胞の培地を除き、上記調製したレンチウイルスベクター液を添加して感染を行った。
感染から3日後、トリプシン処理により細胞を回収し、フローサイトメトリーに供してAcGFP1陽性率を測定し遺伝子導入効率を算出した。その結果を表2に示す。
その結果、Tatを使用しない環境下においても、HMBAを添加した培地を使用することにより、レンチウイルスベクター液の明らかな力価向上が認められた。
実施例3 動物由来成分を含まないトランスフェクション試薬を用いたHMBAによるレンチウイルスベクターの力価向上試験
(1)レンチウイルスベクター液の調製
実施例1−(1)と同様に、T25フラスコに2.25×106個の293T細胞を播種し、24時間培養を行った。Gag−Pol発現プラスミド、Rev発現プラスミド、VSV−G発現プラスミド、及びTat発現プラスミドの混合液に、pLV−PL2を添加してDNA混合液を調製し、TransIT(登録商標)−2020 Reagent(Mirus社製)を用いて添付のプロトコールに従って一過性に導入した。なお、TransIT(登録商標)−2020 Reagentは動物由来成分を含まないトランスフェクション試薬である。導入操作後の細胞はCO2インキュベーター(37℃、CO2濃度5%)にて培養を行った。一過性導入の翌日、終濃度7.5mMとなるようにHMBAを添加したX−VIVO15培地に培地交換し、培養を継続した。コントロール群はHMBAを添加しないX−VIVO15培地で培地交換した。一過性導入から2日後、培養上清を採取して0.45μmフィルターでろ過し、このろ液をレンチウイルスベクター液として−80℃で凍結保存した。
(1)レンチウイルスベクター液の調製
実施例1−(1)と同様に、T25フラスコに2.25×106個の293T細胞を播種し、24時間培養を行った。Gag−Pol発現プラスミド、Rev発現プラスミド、VSV−G発現プラスミド、及びTat発現プラスミドの混合液に、pLV−PL2を添加してDNA混合液を調製し、TransIT(登録商標)−2020 Reagent(Mirus社製)を用いて添付のプロトコールに従って一過性に導入した。なお、TransIT(登録商標)−2020 Reagentは動物由来成分を含まないトランスフェクション試薬である。導入操作後の細胞はCO2インキュベーター(37℃、CO2濃度5%)にて培養を行った。一過性導入の翌日、終濃度7.5mMとなるようにHMBAを添加したX−VIVO15培地に培地交換し、培養を継続した。コントロール群はHMBAを添加しないX−VIVO15培地で培地交換した。一過性導入から2日後、培養上清を採取して0.45μmフィルターでろ過し、このろ液をレンチウイルスベクター液として−80℃で凍結保存した。
(2)レンチウイルスベクター液の力価評価
実施例3−(1)で取得したレンチウイルスベクター液を実施例1−(2)と同様の方法でSUP−T1細胞への感染力価評価を行った。ウイルス液の希釈は、細胞への感染時の終濃度が100倍および300倍希釈になるように行った。遺伝子導入効率として算出したΔLNGFR陽性率の結果を表3に示す。
実施例3−(1)で取得したレンチウイルスベクター液を実施例1−(2)と同様の方法でSUP−T1細胞への感染力価評価を行った。ウイルス液の希釈は、細胞への感染時の終濃度が100倍および300倍希釈になるように行った。遺伝子導入効率として算出したΔLNGFR陽性率の結果を表3に示す。
その結果、動物由来成分を含まないトランスフェクション試薬を用いた場合でも、HMBAを添加した培地を使用することにより、レンチウイルスベクター液の明らかな力価向上が認められた。即ち、本発明の方法は医療用途に使用するレンチウイルスベクターの製造においても適していることが示された。
本発明の培地を用いることにより、レトロウイルス産生細胞の培養を効率よく実施することができ、従来に比べ高力価のレトロウイルスベクターを製造することが可能となる。本発明の培地を用いて製造されたレトロウイルスベクターや当該ウイルスベクターを有効成分とする組成物は、遺伝子組換え技術を用いる研究分野のみならず、遺伝子治療の基礎研究や臨床応用における遺伝子治療に非常に有用である。
Claims (8)
- レトロウイルスベクターを産生する能力を有する細胞の培養に使用される培地であって、ヘキサメチレンビスアセトアミドを含有することを特徴とする培地。
- ヘキサメチレンビスアセトアミドの濃度が1〜15mMである請求項1に記載の培地。
- レトロウイルスベクターを産生する能力を有する細胞が、レンチウイルスベクターを産生する能力を有する細胞である請求項1又は2に記載の培地。
- レトロウイルスベクターの製造方法であって、レトロウイルスベクターを産生する能力を有する細胞を、ヘキサメチレンビスアセトアミドを含有する培地で培養する工程を包含することを特徴とするレトロウイルスベクターの製造方法。
- 培地が、1〜15mMのヘキサメチレンビスアセトアミドを含有する培地である請求項4に記載のレトロウイルスベクターの製造方法。
- レトロウイルスベクターが、レンチウイルスベクターである請求項4に記載のレトロウイルスベクターの製造方法。
- レトロウイルスベクターを産生する能力を有する細胞が、(a)Gag−Polタンパク質をコードする核酸、(b)Envタンパク質をコードする核酸、(c)Revタンパク質をコードする核酸、(d)Tatタンパク質をコードする核酸、及び(e)レトロウイルス粒子に封入されるRNAを転写しうる核酸からなる群より選択される少なくとも1つの核酸を一過性に細胞に導入する工程を含む方法により得られた細胞である請求項4に記載のレトロウイルスベクターの製造方法。
- レトロウイルスベクターを産生する能力を有する細胞が、ヒト免疫不全ウイルス1型由来のU3プロモーターの制御下にレトロウイルスベクターに封入されるRNAを転写する細胞である請求項4に記載のレトロウイルスベクターの製造方法。
Priority Applications (1)
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2018516557A (ja) * | 2015-05-13 | 2018-06-28 | カリミューン, インコーポレーティッド | レンチウイルスベクターのバイオ生産法 |
CN113549653A (zh) * | 2020-04-23 | 2021-10-26 | 上海赛比曼生物科技有限公司 | 用于慢病毒载体长期存贮的组合试剂 |
-
2013
- 2013-02-18 JP JP2013028670A patent/JP2013208107A/ja active Pending
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JP7469280B2 (ja) | 2015-05-13 | 2024-04-16 | シーエスエル ベーリング ジーン セラピー インコーポレイテッド | レンチウイルスベクターのバイオ生産法 |
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