JP2013208106A - 植物繁殖体、及びその栽培方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】改良された植物繁殖体等を提供する。
【解決手段】本発明に係る植物繁殖体は、モリブデン含有物、及びタングステン含有物からなる群より選択される第一の資材と、pH調整作用によって当該第一の資材から供給される機能性成分の供給を調整する第二の資材とが植物繁殖体の表面又は内部に付与されている。
【選択図】なし

Description

本発明は、植物の生育を向上させる資材が付された植物繁殖体、及びその栽培方法に関するものである。
米は世界三大穀物の1つであり、イネは日本において最も作付面積が広い重要な作物である。現在の日本で行われている一般的な稲作は、育苗箱に種子を播いて生長させた苗を本田に植えるため、諸外国の稲作と比べてコスト高であり、コスト削減が望まれている。また、農家の高齢化が進んでおり、省力化も求められている。このように、稲作のコスト削減及び省力化を実現する観点から、イネの種子を本田に直接播種する直播が注目されている。
しかし、直播のうち、湛水及び代かきの後の水田に種子を播種する湛水直播では苗立ちが不安定になりやすく、その原因は、一般に、酸素不足であるとされている。また、非特許文献1には、土壌中の酸素が無くなったのちに酸素の代わりに電子を受け取る物質が消費される土壌還元が原因であることが記載されている。
そこで、湛水直播では、苗立ちを改善する目的で、播種前に、種子の表面を、酸素発生剤等の苗立ちを安定化させる資材で被覆する方法が普及している(非特許文献2)。
また、鳥害及び浮き苗の発生を避けるために、鉄等を被覆した種子を酸素不足が起きない土壌の表面に播種する方法も試みられている(特許文献1)。
特開2005−192458(2005年7月21日公開) 国際公開WO2011/093341A1(2011年8月4日)
萩原素之、石川県農業短期大学特別研究報告第20号、「水稲の湛水土壌中直播における出芽・苗立ちに関する研究」、1993年3月 農林水産省第9回検討会資料1、「米の直播技術等の現状」、p.13、2008年3月(http://www.maff.go.jp/j/study/kome_sys/09/pdf/data1.pdf)
しかし、酸素発生剤等の資材を用いる方法では、被覆する資材にコストがかかり、また、種子に対する資材の必要量が多いため、被覆の手間もかかる。
また、鉄等を用いる方法では、そもそも土壌表面に播種しなければならず、種子が土壌中に潜ってしまった場合は、苗立ち低下が起きる。
そこで、本願発明者らは、これらに代わる手法として、モリブデン等を用いた植物の生育改善の方法を検討し、著しい効果を認めた(特許文献2)。しかし、特許文献2に記載した方法をもってしてもさらなる改良が求められる場合がありうる。本発明者らの検討の結果、例えば土壌や土壌代替物の、pH緩衝力が低い又は酸性などの環境条件では、モリブデン酸イオンなどの機能成分が溶出しにくく、充分な効果が得られにくいことが予想された。
本発明は、上記の従来技術が有する問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、改良された植物繁殖体、及びその栽培方法を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本願発明は以下のものを提供する。
1)モリブデン含有物、及びタングステン含有物からなる群より選択される第一の資材と、pH調整作用によって当該第一の資材から供給される機能性成分の供給を調整する第二の資材(ただし、過酸化カルシウムは除く)と、が植物繁殖体の表面又は内部に付与された、植物繁殖体。
2)上記第二の資材は、室温での水に対する溶解割合が重量比1%以下の微溶性の資材である、1)に記載の植物繁殖体。
3)上記第二の資材が、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、ベントナイト、及びタルクからなる群より選択される少なくとも一種である、2)に記載の植物繁殖体。
4)上記第一の資材は、金属モリブデン、三酸化モリブデン、モリブデン酸とその塩、モリブドリン酸とその塩、モリブドケイ酸とその塩、金属タングステン、三酸化タングステン、タングステン酸とその塩、タングストリン酸とその塩、タングストケイ酸とその塩、からなる群より選択される少なくとも一種である、1)から3)の何れかに記載の植物繁殖体。
5)上記植物繁殖体はイネ科、又はマメ科の植物である、1)〜4)のいずれかに記載の植物繁殖体。
6)植物繁殖体の苗立ちが向上する、1)〜5)のいずれかに記載の植物繁殖体。
7)上記植物繁殖体は種子である、1)〜6)のいずれかに記載の植物繁殖体。
8)上記1)から7)の何れかに記載の植物繁殖体を植え付ける植付工程を包含する、植物繁殖体の栽培方法。
9)上記植付工程以降から苗立ち期の間に、植物体の少なくとも一部が湛水状態となる期間を有する、8)に記載の栽培方法。
10)酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、及び炭酸亜鉛からなる群より選択される少なくとも一種が植物繁殖体の表面又は内部に付与されるとともに、モリブデン含有物、及びタングステン含有物からなる群より選択される資材が植物繁殖体の表面又は内部に付与されていない、植物繁殖体。なお、10)の植物繁殖体において、さらに酸化鉄、望ましくは酸化鉄(III)(Fe)が植物繁殖体の表面又は内部に付与されていることが好ましい場合がある。
本発明によれば、生育向上の作用を示す改良された植物繁殖体、及びその栽培方法を提供することができる。
一実施例における試験の結果を示す図である。 他の実施例における試験の結果を示す図である。 さらに他の実施例における試験の結果を示す図である。 さらに他の実施例における試験の結果を示す図である。 さらに他の実施例における試験の結果を示す図である。 さらに他の実施例における試験の結果を示す図である。
〔1.植物繁殖体〕
(植物繁殖体の概要)
本発明に係る植物繁殖体は、1)モリブデン含有物、及びタングステン含有物からなる群より選択される第一の資材と、2)pHの調整作用によって当該第一の資材から供給される機能性成分の供給を調整する第二の資材(ただし、過酸化カルシウムは除く)と、が植物繁殖体の表面又は内部に付与されたものである。
なお、「植物繁殖体の表面又は内部に付与されている」とは、第一の資材と第二の資材とが植物繁殖体の表面及び内部の少なくとも一方に付与されていればよく、第一の資材が植物繁殖体の表面に付与され、第二の資材が植物繁殖体の内部に付与されているような形態も含まれる。好ましくは、例えば、(1)植物繁殖体の表面の少なくとも一部が固形状の第一の資材と第二の資材とで被覆されていること、(2)植物繁殖体の表面及び内部に、第一の資材と第二の資材とを含む溶液が浸透していること、等の形態が挙げられる。より好ましくは、(1)の形態である。また、(1)の形態においては、第一の資材と第二の資材とが同じ被覆層中に混在していてもよく、被覆層が多層構造をとっていて異なる被覆層中に第一の資材と第二の資材とが別々に存在していてもよい。
また、植物繁殖体の表面に付与とは、植物繁殖体の外側に、当該植物繁殖体と一体的に資材が存在している状態を指す。
(植物繁殖体の種類等)
上記植物繁殖体の種類は特に限定されず、例えば、種子、むかご等の栄養繁殖器官、幼植物(苗)等が挙げられ、中でも種子が好ましい。植物繁殖体は、具体的には、例えば、水稲、オオムギ、コムギ等のイネ科植物の種子;ダイズ、ソラマメ、インゲンマメ等のマメ科植物の種子;アブラナ、チンゲンサイ、コマツナ、ダイコン等のアブラナ科植物の種子;ソバ等のソバ科植物の種子;等が挙げられる。
なお、「種子」は、発芽に必須ではない構造(例えば、籾殻、外種皮、内種皮等)を取り除いた後の種子であってもよい。
(第一の資材)
第一の資材は、モリブデン資材、及びタングステン資材からなる群より選択される少なくとも一種の資材である。モリブデン資材、及びタングステン資材は、オキソアニオンを生成することで、植物の生育環境中における硫化物イオンの生成を抑制する。さらに、これらのオキソアニオンは、植物の生育環境中における腐敗等の微生物の活動を抑制する。したがって、モリブデン資材又はタングステン資材を用いることにより、植物の苗立ち及び生育の低下を抑制することができる。
なお、モリブデン資材とタングステン資材とを比較した場合、モリブデン資材の方がより好ましい場合がある。より具体的には、モリブデン資材は、植物に対する施用実績も十分にある。また、モリブデン資材は、タングステン資材と比較して腐敗抑制効果がより強い。なお、タングステンも、植物及び動物等への毒性は報告されていない。
上記モリブデン資材の種類はモリブデン元素を含む限り特に限定されず、種々の物質がその範疇に含まれるが、モリブデン酸イオンを供給し、かつ対象となる植物への安全性が高い資材又は単体を選択することが好ましい。したがって、モリブデン資材は、金属モリブデン(単体)、三酸化モリブデン(無水モリブデン酸)、モリブデン酸とその塩、モリブドリン酸(リンモリブデン酸)とその塩、モリブドケイ酸(ケイモリブデン酸)とその塩からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。安価で市販されているものでは、金属モリブデン、三酸化モリブデン、モリブデン酸、モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸マグネシウム、モリブドリン酸アンモニウム(リンモリブデン酸アンモニウム)、モリブドリン酸カリウム(リンモリブデン酸カリウム)、モリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、モリブドリン酸、モリブドリン酸ナトリウム(リンモリブデン酸ナトリウム)、モリブドケイ酸からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
また、水に対してわずかに溶ける微溶性のモリブデン資材は、対象となる植物に対する安全性の観点では特に好ましい。微溶性のモリブデン資材とは、室温で、水に対する可溶割合が重量比10%以下(室温で水10gに対して1g以下溶ける)の資材又は単体であり、例えば、金属モリブデン、三酸化モリブデン、モリブデン酸、モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸マグネシウム、モリブドリン酸アンモニウム、及びモリブドリン酸カリウム等が挙げられる。また、オキソアニオンが縮合したポリ酸やヘテロ酸、及びそれらの塩やそれらを含む資材は、モリブデン酸イオンが容易に供給されにくく、対象となる植物に対する安全性の観点で特に好ましい。
これらのうち、モリブドリン酸アンモニウム及びモリブドリン酸カリウムは、水に対して微溶性であり、かつ、モリブデン酸イオンを容易に供給しないヘテロ酸の塩であるとともに、植物の苗立ち及び生育の低下を抑制する効果に優れている。また、これらの資材は黄色に着色しているため、被覆処理した種子の誤飲防止に役立つ点からも好ましい。さらに、モリブドリン酸カリウムは、アンモニアガスが発生する可能性が無い観点で、モリブドリン酸アンモニウムよりも望ましい場合がある。
同様に上記タングステン資材の種類はタングステン元素を含む限り特に限定されず、種々の物質がその範疇に含まれるが、タングステン酸イオンを供給し、かつ対象となる植物への安全性が高い資材又は単体を選択することが好ましい。したがって、タングステン資材としては、金属タングステン(単体)、三酸化タングステン(無水タングステン酸)、タングステン酸とその塩、タングストリン酸(リンタングステン酸)とその塩、タングストケイ酸(ケイタングステン酸)とその塩からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。安価で市販されているものでは、金属タングステン、三酸化タングステン、タングステン酸、タングステン酸アンモニウム、又はタングストリン酸アンモニウム(リンタングステン酸アンモニウム)が好ましい。
また、モリブデン資材の場合と同様に、タングステン資材は微溶性のものが好ましく、また、タングステン酸イオンを容易に供給しにくいポリ酸又はヘテロ酸の形態をとる資材が好ましい。なお、上記具体的に化合物名を例示した化合物は、何れも微溶性のものである。また、タングストリン酸アンモニウム及びタングストリン酸カリウムは、水に対して微溶性であり、かつタングステン酸イオンを容易に供給しないヘテロ酸の塩である。
なお、モリブデン資材及びタングステン資材の使用量は、特に限定されないが、例えば、植物繁殖体が種子の場合には、風乾種子重量1kgに対して、モリブデン元素やタングステン元素として0.01mol以上で10mol以下の範囲内とすればよい。
なお、第一の資材として具体名を挙げたものは、植物繁殖体に実際に含まれるもの(植物繁殖体の製造又は使用のプロセスにおいて生成するものも含む)のほか、植物繁殖体の製造に用いる原料として使われるものでありうる。すなわち、植物繁殖体に対する処理前又は処理時に、これらの第一の資材と反応する別の資材を添加することで、植物繁殖体では異なる化合物に変化している場合もある。
(第二の資材)
第二の資材は、そのpH調整作用を以って、第一の資材から供給される機能成分の供給を調整(好ましくは促進)する資材である。また、第二の資材は、第一の資材から供給される機能成分を安定化する。第一の資材は液体(水)の存在下で機能成分であるオキソアニオンを生成する。オキソアニオンの生成は環境におけるpHにも依存し、pHが高くなるに従いその供給量が増える傾向にある。また、そのオキソアニオンはアニオンであるので、対となるカチオンの存在によって安定して存在しうる。第二の資材は、第一の資材から機能成分たるオキソアニオンを安定的に供給させるため、一例において、第二の資材の非存在下における土壌のみの作用以上にpHを上昇させるか、pHを降下させない。言い換えれば、第二の資材は、一例において、土壌又は土壌代替物中において、これら(特に土壌)のpH緩衝力が作用して示される植物繁殖体の周囲環境のpHをより上昇させるか、pHを降下させないで、第一の資材からのオキソアニオンの供給を促進する資材である。
第二の資材の一例はアルカリ資材(水に溶解してアルカリ溶液を与えるもの)であるが、酸アルカリの中性に留まるよう緩衝力を持つ資材でもよく、特にアルカリ資材に限定されない。ただし、酸素発生剤として作用する過酸化カルシウムは第二の資材から除かれる。
上記第二の資材は、室温で、水に対する溶解割合が重量比1%以下(室温で、水10gに対して0.1g以下溶ける)の微溶性の資材であることが好ましい。これは、溶液を使って種子に処理する際や処理した後の状態では第一の資材に作用しにくく、土壌などに播種された後、十分な水分に接触した場合に、第一の資材に作用し、機能性成分であるオキソアニオンの供給を促進する観点からより好ましいためである。微溶性の資材としては、特に限定されないが、例えば、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、ベントナイト、及びタルクからなる群より選択される少なくとも一種が挙げられる。中でも、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムは、pHの降下を抑制する効果が強く、しかもpHが過度に上昇しにくく、種子に障害を与える虞も低いため、好ましい場合がある。その中でも、物質量が小さくて少量で済み、嵩が小さい観点から、酸化マグネシウムが望ましい場合がある。酸化マグネシウムの中でも、高温加熱した重質や電融と呼ばれる酸化マグネシウムは、溶解度がより低く、嵩が小さいため好ましい場合がある。さらに、マグネシウム資材は、肥料成分として利用されてきた実績も十分にあり好ましい場合がある。また、溶解度が低く、安全性も高く、比較的安価に入手が可能な酸化亜鉛は、亜鉛が両性元素であることから、酸性土壌でもアルカリ性土壌でもpHを中性付近に調整でき、酸やアルカリに弱い植物でも利用できる点で好ましい場合がある。また、ベントナイトやタルクは、他の資材に比べて著しく安価であるため、好ましい場合がある。
なお、第二の資材として、水溶性(すなわち微溶性よりよく溶ける)の資材を否定するものではない。水溶性資材でも、必要に応じて、溶解時に水溶性資材を吸収できる担体(例えば、粘土や酸化鉄など)を併用したり、溶液の移動を妨げる資材(例えば、ケン化度が高いPVAやラテックスなど)を併用することにより、流亡や種子による吸収等を抑制できるからである。
なお、第二の資材の使用量は、特に限定されないが、例えば、植物繁殖体が種子の場合には、風乾種子重量1kgに対して、二価の陰イオンであるモリブデン酸イオンやタングステン酸イオンに換算して0.1mol以上で50mol以下の範囲の量とイオン的に等しい陽イオンを供給できる量とすればよい。例えば、二価の陽イオンを供給する資材であれば、二価の陽イオンを0.1mol以上で50mol以下の範囲で含む、又は供給できる量とすれば良い。第一の資材に対する倍率で規定すれば、例えば、第一の資材から供給されるモリブデン酸イオンやタングステン酸イオンの量(mol)に対し、第二の資材から供給される陽イオンの量(mol)が、価数を考慮したイオン的な当量として0.5〜300倍の範囲内である。
なお、第二の資材として具体名を挙げたものは、植物繁殖体に実際に含まれるもの(植物繁殖体の製造又は使用のプロセスにおいて生成するものも含む)のほか、植物繁殖体の製造に用いる原料として使われるものでありうる。すなわち、植物繁殖体に対する処理前又は処理時に、これらの第二の資材と反応する別の資材を添加することで、植物繁殖体では異なる化合物に変化している場合もある。
(その他の資材)
本発明に係る植物繁殖体は、上記第一及び第二の資材以外に、必要に応じて、鉄資材又は粘土等の資材を含んでいてもよい。鉄資材の種類は特に限定されないが、具体的には、例えば、還元鉄(Fe)、酸化鉄(III)(Fe)、酸化鉄(II,III)(Fe)、酸化鉄(II)(FeO)等が挙げられ、これらの組成物であっても良い。
(植物繁殖体の製造例)
第一及び第二の資材が付与された植物繁殖体の製造方法は特に限定されず、第一及び第二の資材を適切な方法で植物繁殖体に付与すればよい。当該植物繁殖体が被覆種子の場合、具体的には、例えば、1)固形状(粉末状を含む)の第一及び第二の資材を十分に混ぜ合わせて、そこに種子等の植物繁殖体を加えて、適量の液体(水等)を噴霧器等を用いて添加しながら塑性状の被覆層を植物繁殖体の表面に形成する方法、2)固形状の第一及び第二の資材、並びに液体を混合して懸濁状態にして攪拌をし、そこに種子等の植物繁殖体を加えて、さらに液体以外の資材を追加で添加(例えば、第一及び第二の資材の追加投入)して相対的に水分含量を減らし、塑性状の被覆層を形成する方法、3)種子等の植物繁殖体を加え懸濁状態にして攪拌するまでは2)と同様にし、次いで、熱、通風、及び/又は放置(保管又は運搬等の他の作業と兼ねて、時間の経過に伴い、徐々に水分含量が低下する工程も放置の範疇に包含される)等で水分を減らし、塑性状の被覆層を形成する方法、4)種子等の植物繁殖体を加え懸濁状態にして攪拌するまでは2)と同様にし、次いで、植物繁殖体を液体から取り出して、塑性状の被覆層を植物繁殖体の表面に形成する方法、5)植物繁殖体の表面又は内部(植物繁殖体に吸水させておく等)に液体を予め付与しておき、次いで固形状の第一及び第二の資材をまぶして、塑性状の被覆層を植物繁殖体の表面に形成する方法、等が挙げられる。ただし、植物繁殖体は最初から第一及び第二の資材等と混合しても構わないし、植物繁殖体を予め十分湿らせてから、第一及び第二の資材等と混合しても構わない。これらを混合するタイミングは同時でもよく、又は適宜順番を変えても構わない。
また、必要に応じて、強制乾燥、又は自然乾燥によって、形成された上記被覆層から液体を蒸発させてもよい。
また、植付(播種を含む概念)までの保管が可能である場合は、植物繁殖体に残る水分を、乾燥をしなくても良い。
なお、上記の被覆層は、硫酸塩又は硫酸イオン等の硫黄成分を実質的に含まないことが好ましい。ここで「硫黄成分を含まない」とは、硫黄原子を含む成分を実質的に含まないことを意味する。硫黄原子を含む成分とは、例えば硫酸塩又は硫酸イオン等をさし、より具体的な化合物名を例示すれば、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム等が挙げられる。すなわち、本発明では、被覆層を構成する成分中に石膏等が含まれないことが好ましい。したがって、第一の資材、及び第二の資材を植物繁殖体に付着させるためにバインダーを用いる場合は、ポリビニルアルコール(特にケン化度が高いもの)等を用いることが好ましい。
〔2.植物の栽培方法〕
本発明は、得られた植物繁殖体を植え付けて植物を栽培する方法も提供する。すなわち、本発明に係る植物繁殖体は、植え付けられ(植付工程)た後に、利用可能な大きさの植物体となるまで栽培される。
植物繁殖体を植え付ける方法は特に限定されず、例えば、第一及び第二の資材を被覆(バインダー等を用いた付着による被覆も含む)された被覆種子の場合であれば、点播機、条播機、又は散播機等の播種機を用いて農地等に播種してもよく、人の手で直接播種してもよい。また、植物繁殖体が、第一及び第二の資材を付着させた幼植物(苗)の場合には、植え付け機又は人手により植え付ければよい。
植物繁殖体の植え付けは、例えば、土壌又は土壌代替物に対して行われる。ここで、土壌代替物とは、例えば、人工土(ピートモス等)、水耕用等の培地、等の、土壌の代わりに植物を生育させることが可能な培地を指す。
本発明に係る栽培方法の一例では、植物繁殖体は、少なくとも一時的に湛水状態となる条件で植付及び/又は出芽するものである。当該植物繁殖体はとりわけ湛水状態での植物の生育改善(例えば、苗立ち向上)に効果を発揮する。なお、少なくとも一時的に湛水状態となる条件とは、水田、水耕等のような長期湛水状態のみならず、多雨等によって、一時的に湛水状態となる場合をも含む。
また、本発明において、上記植付工程は、湛水直播の形態で行われてもよい。ここで、湛水直播とは、湛水状態の土壌又は土壌代替物等に直接播種(直播)することを意味する。湛水状態の土壌又は土壌代替物とは、例えば、代かき後の水田、水耕培地、雨等によって湛水した畑、排水が不良な土壌又は土壌代替物、等である。なお、「水田」とは、稲を栽培する耕地に限らず、水を引いて作物を栽培する耕地であればよい。
また、本発明において、上記植付工程は、乾田直播の形態で行われてもよい。ここで、乾田直播とは、畑状態の土壌又は土壌代替物等に直接播種(直播)することを意味する。この場合、もしも雨等によって湛水した場合などに、生育改善(例えば、苗立ち向上)に効果を発揮できる。
本発明では、土壌のpH緩衝力に依存するのではなく、第一の資材からの機能性成分の供給を、第二の資材によって積極的に調整(好ましくは促進)するものであるから、土壌のpH緩衝力が弱い土壌(酸やアルカリ剤を入れたときにpHが変化しやすい土壌。例えば、粘土質の土壌に比べ構造が単純な砂質の土壌などでその傾向が強い。)において、特に効果が期待される。また、第一の資材の機能性成分の供給が進みにくい酸性土壌においても効果が期待される。さらに、植物の栽培環境が劣悪な場合等では、積極的に機能成分を溶解させ、機能成分を効かせることができることから、より高い効果が期待される。
〔3.被覆種子のより具体的な例示〕
以下、本発明に係る植物繁殖体の一形態である被覆種子のより具体的な構成例を示す。
<構成例1>
第一の資材:モリブドリン酸カリウム、モリブドリン酸アンモニウム、及び三酸化モリブデンからなる群より選択される少なくとも一種類。モリブドリン酸カリウムが望ましい。粉状。風乾種子1kgあたりモリブデン元素で0.05mol以上で0.5mol以下の範囲内で用いる。0.1mol以上で0.2mol以下の範囲内が望ましい。
第二の資材:酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、ベントナイト、及びタルクからなる群より選択される少なくとも一種類。酸化マグネシウムが望ましく、高温加熱で生成された重質又は電融と形容される酸化マグネシウムがより望ましい。粉状。酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、又は酸化亜鉛は、第一資材に含まれるモリブデン元素と当量となる金属元素を含む相当量の0.5倍からその50倍までの範囲(ただし、畑作物や水稲乾田直播など積極的に湛水しない場合は、第一資材に含まれるモリブデン元素と当量となる金属元素を含む相当量の0.5倍からその2倍までの範囲。)。ベントナイト又はタルクについては、風乾種子重の0.1から2倍重までの範囲。
必要に応じて添加する資材:重量を増すために、酸化鉄及び粘土からなる群より選択される少なくとも一種類。粉状。風乾種子重の0.1から2倍重までの範囲。添加しない場合もある。
結合剤(バインダー):重合度1500以上で3500以下の範囲内で、ケン化度は90モル%以上で98モル%以下の範囲内のポリビニルアルコール粉末。第一の資材、第二の資材、及び必要に応じて添加する資材の合計重量の1%重から3%重までの範囲。
種子の種類は限定されない。第一の資材、第二の資材、必要に応じて添加する資材、及びPVAとが混合された組成物により、種子の外表面の被覆が行われる。
<構成例2>
第一の資材:三酸化モリブデン。風乾種子1kgあたりモリブデン元素で0.01mol以上で0.2mol以下の範囲内、あるいは0.01mol以上で0.1mol以下の範囲内で用いる。
第二の資材:酸化マグネシウム、および水酸化マグネシウムからなる群より選択される少なくとも一種類。酸化マグネシウムが望ましく、高温加熱で生成された重質又は電融と形容される酸化マグネシウムがより望ましい。粉状。風乾種子1kgあたり金属マグネシウムとして1mol以上で5mol以下の範囲内で用いる。
必要に応じて添加する資材:重量や親水性を増すため、酸化鉄。望ましくは酸化鉄(III)(Fe)。還元鉄を被覆し、被覆後に酸化されて酸化鉄となるものも範疇に含まれる。粉状。粒径10μm以下の酸化鉄が好ましく、粒径1μm以下の酸化鉄がより好ましく、粒径0.1以上1μm以下の酸化鉄がさらに好ましい。風乾種子重の0.05から0.5倍重までの範囲で用いる。必要に応じて添加しなくてもよい。
結合剤(バインダー):重合度1500以上で3500以下の範囲内で、ケン化度は90モル%以上で98モル%以下の範囲内のポリビニルアルコール粉末。第一の資材、第二の資材、及び必要に応じて添加する資材の合計重量の0.1%重から2%重までの範囲。
種子の種類は限定されない。第一の資材、第二の資材、必要に応じて添加する資材、及びPVAが混合された組成物により、種子の外表面の被覆が行われる。
<構成例3>
第一の資材:使用しない。または、三酸化モリブデンを0から0.01molの範囲内で用いる。
第二の資材:酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、および炭酸亜鉛からなる群より選択される少なくとも一種。より好ましくは、酸化マグネシウム、および水酸化マグネシウムからなる群より選択される少なくとも一種類。中でも酸化マグネシウムが望ましく、高温加熱で生成された重質又は電融と形容される酸化マグネシウムがより望ましい。粉状。風乾種子1kgあたり金属原子(Mg、Ca、またはZn)として1mol以上で5mol以下の範囲内で用いる。
必要に応じて添加する資材:重量や親水性を増すため、酸化鉄。望ましくは酸化鉄(III)(Fe)。還元鉄を被覆し、被覆後に酸化されて酸化鉄となるものも範疇に含まれる。粉状。粒径10μm以下の酸化鉄が好ましく、粒径1μm以下の酸化鉄がより好ましく、粒径0.1以上1μm以下の酸化鉄がさらに好ましい。風乾種子重の0.05から0.5倍重までの範囲で用いる。必要に応じて添加しなくてもよい。
結合剤(バインダー):重合度1500以上で3500以下の範囲内で、ケン化度は90モル%以上で98モル%以下の範囲内のポリビニルアルコール粉末。第二の資材、必要に応じて添加する第一の資材、及び必要に応じて添加する酸化鉄の合計重量の0.1%重から2%重までの範囲。
種子の種類は限定されない。第二の資材、必要に応じて添加する第一の資材、必要に応じて添加する酸化鉄、及びPVAが混合された組成物により、種子の表面被覆が行われる。
構成例3の被覆種子において、植物の苗立ち向上に寄与する活性成分は、第一の資材として三酸化モリブデンを用いる場合は第一の資材と第二の資材とであり、第一の資材を用いない場合は第二の資材である。この被覆種子は、第一の資材と第二の資材以外に、植物の苗立ち向上に寄与する活性成分を含んでいなくてもよい。
また、構成例3の被覆種子は、第二の資材とPVAとのみによって被覆されていてもよく、さらに必要に応じて、第一の資材(三酸化モリブデン)および酸化鉄からなる群から選択される一方または両方のみをさらに含んでいてもよい。
構成例3の被覆種子の特に具体的な一例は、酸化鉄とPVAと苦土(酸化マグネシウム)とによって種子が被覆されているものである。
以下に実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1:モリブドリン酸カリウムと酸化マグネシウムの組合せ(1)〕
<試験1a〜1e>
0.2molMo/kg(風乾種子。以下、同様。)相当量のモリブドリン酸カリウム(日本新金属(株)製。以下、MoPKと表記。)と、表1に示すmolMg/kg相当量の酸化マグネシウム(和光純薬工業(株)製、試薬特級、重質。以下、MgOと表記。)をよく混合し、この混合物重量の1%(試験1cと1dと1eでは2%)重のPVA粉末(日本酢ビ・ポバール(株)製、JM−17S。以下、PVAと表記。以後の試験の被覆において、PVAについて個別に記載しない場合、PVAを同様に混合物重量の2%重を混合した。)をさらに混合し、水を霧吹きでかけて風乾水稲種子(品種:にこまる)に被覆し、できた被覆種子を風乾した。
乾土100g相当量の水田湿潤土壌を、直径約7cm円筒形容器に採取し、使用するまで湿潤のまま冷蔵保管した。なお、水田湿潤土壌は、試験1aと1bは福岡県筑後市水田から、試験1c〜1eは、佐賀県上峰町で実際の直播で苗立ちが良くないことが問題となっている水田一筆(以下、不良土と表記。)から採取した。
そして、この水田湿潤土壌に、乾土の約1.5倍重に相当する水溶液を添加した。水溶液は、乾土100kg/m換算で、0.1molK/mとなるように塩化カリウム(試薬特級)を溶解した。塩化カリウムについては、以下の試験で個別に記載しないが、実施例2以降を含む全ての試験で添加した。また、試験1a、1b、1c、1dでは、0.4molN/mとなるように硫酸アンモニウム(試薬特級)も溶解した。試験1eでは、0.4molN/mとなるように塩酸アンモニウム(試薬特級)も溶解した。試験1a、1b、1d、1eでは、容器当たり100mg相当量のD(+)−マルトース一水和物(和光特級。以下、糖と記載。)を添加した。さらに、試験1bでは容器当たり0.2mmolHCl相当量の6N塩酸(容量分析用。以下、酸と記載。)を添加した。いずれも和光純薬工業(株)製の試薬を使用した。
硫酸アンモニウムに含まれる硫酸根の添加は、還元条件で有害な硫化物イオンの生成を促進する。また、前作残渣を鋤込むと、有機物である前作残渣の分解によって、土壌の還元が早くなり、苗立ちが阻害されることが知られている。マルトースは、これを模して、苗立ちにとって厳しい条件を作出するため、添加した。さらに、土壌によっては、塩基の溶脱が進み、酸性を呈する場合がある。塩酸は、このような酸性土を模して、添加した。容器に蓋をして室温で1時間ほど振盪した後、4℃で2日間静置し、湛水土壌を作製した。
この湛水土壌に、上述の被覆種子又は無処理の種子を播種した。1つの容器には、同じ処理を施した8個の種子を深さ15mm、約2cm間隔で播種し、軽く揺らして播種穴を塞いだ。各処理には6容器を充てた。播種した容器は蓋をせずに、1日のうち半日だけ蛍光灯が点灯する20℃の恒温器内に静置した。土壌表面上の水深は約15mmとし、蒸発により減った際に蒸留水を補った。播種約4週間後に、各容器の苗立ち割合(第3葉抽出個体数の割合)を調査し、処理別の苗立ち割合の平均と標準誤差とを求めた。
Figure 2013208106
表1に示した様に、苗立ちしにくい条件とした全ての試験で、MgOを加えない場合に比べて、わずか0.1〜0.5molMg/kg相当量のMgOを加えて被覆した種子でも、苗立ちが顕著に向上した。また、極めて苗立ちしにくかった試験1bや試験1dでは、5〜20molMg/kg相当量のMgOを加えて被覆した種子で、さらに苗立ち割合が向上した。
<試験1f>
試験1a〜eと同様に、0.2molMo/kg相当量のMoPKと、0又は0.2molMg/kgのMgOをよく混合し、被覆種子を作成した(PVAは混合物重量の2%重)。試験1a〜eと同様に、福岡県筑後市の水田土壌を容器に詰めた。ただし、溶液を加えず、土壌表面を平らに静置し、作成した種子を土壌表面に8粒ずつ並べ、板で押さえつけた。試験1a〜eと同様に、20℃の恒温器内にいれ、種子に触れない程度に水をかけて土壌を湿らせた。この条件は、種子にとって空気と水分が適度に利用できる畑条件である。播種後11日目に第2葉を展開した個体数を調査した。
Figure 2013208106
この試験では、湛水していないため、ほぼ全ての個体が出芽した。しかし、表2に示した様に、播種後11日目まで第2葉を展開した個体数は、MgOを添加した場合に約2倍となり、生育が促進されることが示唆された。
〔実施例1−1:モリブドリン酸カリウムと酸化マグネシウムの組合せ(2)〕
実施例1の試験1aと同様にして、硫酸アンモニウムと糖とを水田湿潤土壌に混合した試験用の土壌を調整した。水稲種子(品種:にこまる)を蒸留水に10℃で5日間ほど、その後30℃で6時間ほど浸漬した。この状態で水稲種子は発芽していなかった。0.1molMo/kg(風乾種子)相当量のモリブドリン酸カリウムに、このモリブドリン酸カリウムの2%重に相当するPVAと、図1に示すmolMg/kg相当量の酸化マグネシウム(タテホ化学工業(株)製、電融マグネシア96、高温加熱でつくられた電融酸化マグネシウム)と、この酸化マグネシウムの1%重に相当するPVAとを混合し、水を霧吹きでかけて水稲種子の表層に被覆し、できた被覆種子を風乾した。
次いで、実施例1と同様にして、調整した試験用の土壌に被覆種子を播種した。そして、実施例1と同様にして、20℃での苗立ち割合の平均と標準誤差とを求めた。ただし、蛍光灯の代わりに、メタルハライドランプ(土壌面の光強度 0.4mmol/m/s)を半日おきに点灯させた。
図1に示したように、酸化マグネシウムを加えない場合に比べて、0.2〜10molMg/kg相当量の酸化マグネシウムを加えて被覆した種子で、苗立ちがより一層向上した。
〔実施例1−2:モリブドリン酸カリウムと酸化鉄と酸化マグネシウムとの組合せ〕
実施例1−1と同様にして、硫酸アンモニウムと糖とを水田湿潤土壌に混合した試験用の土壌を調整した。実施例1−1と同様にして、水稲種子を、発芽しない程度に蒸留水に浸漬した。0.2molMo/kg(風乾種子)相当量のモリブドリン酸カリウムに、風乾種子重の0.1倍重の酸化鉄粉末(森下弁柄工業(株)製、品名:No.1094、酸化鉄(III)、99重量%、平均粒径 0.57μm)をよく混合し、この混合物の2%重のPVA粉をさらに加えてよく混合し、最終的に得られた混合物を、実施例1−1と同様にして水稲種子に被覆した。さらに、図2に示すmolMg/kg相当量の酸化マグネシウム(タテホ化学工業(株)製、電融マグネシア96)と、酸化マグネシウムの1%重に相当するPVAとを混合し、実施例1−1と同様にして、水稲種子にさらに被覆し、できた被覆種子を風乾した。すなわち、得られた被覆種子は、モリブドリン酸カリウムおよび酸化鉄を含む内層と、酸化マグネシウムを含む外層とを有する。
次いで、実施例1−1と同様にして、調整した試験用の土壌に被覆種子を播種し、20℃での苗立ち割合の平均と標準誤差とを求めた。
図2に示したように、酸化マグネシウムを加えない場合に比べて、0.2〜20molMg/kg相当量の酸化マグネシウムを加えて被覆した種子で、苗立ちがより一層向上した。
〔実施例2:三酸化モリブデンと酸化マグネシウムの組合せ〕
実施例1の試験1bと同様に、硫酸アンモニウムと糖と酸を加えて湛水土壌を調整した。被覆種子は、MoPKの代わりに、三酸化モリブデン(和光純薬工業(株)製。以下、MoOと表記。)を用いた以外は試験1bと同様に作成し(PVAは混合物重量の1%重)、無処理の種子とともに苗立ち割合を調べた。
Figure 2013208106
表3に示した様に、苗立ちしにくい土壌条件において、わずか0.1molMg/kg相当量のMgOを加えた被覆種子でも、MgOを加えない場合に比べて苗立ちが向上した。さらにMgOの量を増やした場合、苗立ち割合がより向上する傾向がみられた。
〔実施例3:モリブドリン酸アンモニウムと酸化マグネシウムの組合せ〕
実施例1の試験1aと同様に、硫酸アンモニウムと糖を加えて湛水土壌を調整した。被覆種子は、MoPKの代わりに、モリブドリン酸アンモニウム(和光純薬工業(株)製。以下、MoPNHと表記。)を用いた以外は試験1aと同様に作成し(PVAは混合物重量の1%重)、無処理の種子とともに苗立ち割合を調べた。
Figure 2013208106
表4に示した様に、MgOを加えない場合に比べて、0.5molMg/kg相当量のMgOを加えた被覆種子では、苗立ちが向上した。
〔実施例4:モリブドリン酸カリウムと水酸化マグネシウムの組合せ〕
実施例1の試験1aと同様に、硫酸アンモニウムと糖を加えて湛水土壌を調整した。被覆種子は、MgOの代わりに、水酸化マグネシウム(和光純薬工業(株)製。以下、Mg(OH)と表記。)を用いた以外は試験1aと同様に作成し(PVAは混合物重量の1%重)、無処理の種子とともに苗立ち割合を調べた。
Figure 2013208106
表5に示した様に、Mg(OH)を加えない場合に比べて、0.1〜0.2molMg/kg相当量のMg(OH)を加えた被覆種子では、苗立ちが向上した。
〔実施例5:モリブドリン酸カリウムと酸化亜鉛の組合せ〕
糖を加えない以外は、実施例1の試験1aの条件(硫安を添加)で湛水土壌を調整した。被覆種子は、MgOの代わりに、酸化亜鉛(和光純薬工業(株)製、試薬特級。以下、ZnOと表記。)を用いた以外は試験1aと同様に作成し(PVAは混合物重量の1%重)、無処理の種子とともに苗立ち割合を調べた。
Figure 2013208106
表6に示した様に、0.1〜10molMg/kg相当量のZnOを加えた被覆種子では、ZnOを加えない場合に比べて苗立ちがより向上した。
〔実施例6:モリブドリン酸カリウムと様々な資材との組合せ〕
<試験6a>
実施例1の試験1aと同様に、硫酸アンモニウムと糖を加えて湛水土壌を調整した。種子は、無処理の場合と、MgOを除いてMoPKのみとした以外は試験1aと同様にした場合と、MgOに代えて、0.5mol(金属元素)/kg相当の、Mg(OH)、炭酸カルシウム(和光純薬工業(株)製、試薬特級。以下、CaCOと表記。)、ZnO、炭酸マグネシウム(和光純薬工業(株)製、塩基性、重質。以下、MgCOと表記。)を用いた以外は試験1aと同様にした場合(MoPKと各資材との組合せ)とを準備し(PVAは混合物重量の1%重)、苗立ち割合を調べた。
Figure 2013208106
表7に示した様に、無処理に対して、MoPKのみでも一定の苗立ち向上効果が得られるが、MoPKに上記の資材を混合した被覆種子では、苗立ちがより向上した。
<試験6b>
実施例1の試験1dで用いた不良土に、実施例5と同様に硫酸アンモニウムを添加して湛水土壌を調整した。種子は、試験6aと同様に、無処理の場合と、MoPKのみの場合と、MoPKに加えて2mol(金属元素)/kg相当の、MgCO、MgO、Mg(OH)、CaCO、酸化カルシウム(和光純薬工業(株)製。以下、CaOと表記。)を併用した場合とを作成し(PVAは混合物重量の2%重)、苗立ち割合を調べた。
Figure 2013208106
表8に示した様に、無処理に対して、MoPKのみでも一定の苗立ち向上効果が得られるが、MoPKにこれらの資材を混合した被覆種子では、苗立ちがより向上した。
<試験6c>
実施例1の試験1dで用いた不良土に、試験6bのように硫安を添加し、さらに試験1bの様に酸を添加して(ただし糖は添加しなかった)湛水土壌を調整した。種子は、試験6bの各処理と同様にしたもの(ただし、MoPKのみの場合は無し)に加え、MoPKに2molCa/kg相当の水酸化カルシウム(和光純薬工業(株)製、試薬特級。以下、Ca(OH)と表記。)を併用したものも作成し(PVAは混合物重量の2%重)、苗立ち割合を調べた。
Figure 2013208106
表9に示した様に、無処理では苗立ちが得られなかったが、これらの資材を混合した被覆種子では、苗立ちがより向上した。
<試験6d>
糖を入れない点以外は、実施例1の試験1bと同様の条件で湛水土壌を調整した。被覆種子は、試験6cと同様に、MoPKのみとした場合と、MoPKに加えて、種子重の2倍重のベントナイト((株)ホージュン製、榛名)、又はタルク(滑石)5銘柄(A:富士タルク工業(株)製、PK−50、B:同、NK−48、C:竹原化学工業(株)、Tタルク、D:日本タルク(株)、SW、E:(株)福岡タルク工業所、CX−A)のいずれかを併用した場合とを作成し(PVAは混合物重量の2%重)、同様に苗立ち割合を調べた。
Figure 2013208106
表10に示した様に、MoPKにこれらの資材を混合した被覆種子では、苗立ちがより向上した。
〔実施例7:酸化マグネシウムのみの場合(1)〕
実施例5と同様に硫酸アンモニウムを添加し、湛水土壌を作成した。種子は、MoPKを用いず、0〜12.4molMg/kg相当量のMgO、又は0〜10molZn/kg相当量のZnOを種子に被覆した(PVAは混合物重量の1%重)点以外は試験1aと同様にして作成した。そして、この被覆種子を、作成した湛水土壌に播種して、同様に苗立ち割合を調べた。さらに、土壌の調整は同様で、10mol(金属元素)/kg相当量の、ZnO、MgCO、MgO、Mg(OH)、CaO、Ca(OH)2を被覆した種子も作成し(PVAは混合物重量の2%重)、同様に播種後、1日のうち半日だけ人工灯(照度は約0.4mmol/m/s)を点灯するように設定した20℃の恒温器内に静置して、同様に苗立ち割合を調べた。
Figure 2013208106
Figure 2013208106
Figure 2013208106
表11〜13に示した様に、MgOやZnOなどこれらの資材を被覆することで、一定の苗立ち向上効果が得られた。
〔実施例7−1:酸化マグネシウムのみの場合(2)〕
硫化物イオンが生成しにくい穏やかな条件となるよう、硫酸アンモニウムの量を0.1molN/mに減らした点以外は、実施例7と同様にして湛水土壌を調整した。図3に示すmolMg/kg相当量の酸化マグネシウム(和光純薬工業(株)製、試薬特級、重質)にその1%重のPVAを混合して得た混合物を、実施例7と同様にして水稲種子に被覆し、得られた被覆種子を湛水土壌に播種した。実施例1と同様にして、蛍光灯を用いた、20℃での苗立ち割合の平均と標準誤差とを求めた。
図3に示したように、酸化マグネシウムを加えない場合に比べて、0.05〜5molMg/kg相当量の酸化マグネシウムを加えて被覆した水稲種子で、苗立ちが向上した。実施例7に比べて、より少ない酸化マグネシウムの量で、苗立ちの向上効果が得られることが示された。
〔実施例7−2:酸化マグネシウムと酸化鉄との組み合わせ〕
実施例7−1と同様にして、湛水土壌を調整した。風乾種子重の0.1倍重の酸化鉄粉末(森下弁柄工業(株)製、品名:No.1094)と、図4に示すmolMg/kg相当量の酸化マグネシウム(タテホ化学工業(株)製、電融マグネシア96)とを混合し、得られた混合物の1%重のPVAをさらに混合して被覆用の混合物を得た。実施例7−1と同様にして、被覆用の混合物を水稲種子に被覆し、得られた被覆種子を湛水土壌に播種した。実施例7−1と同様にして、20℃での苗立ち割合の平均と標準誤差とを求めた。
図4に示したように、酸化マグネシウムを加えない場合に比べて、0.12〜12.4molMg/kg相当量の酸化マグネシウムを加えて被覆した水稲種子で、苗立ちが向上した。
〔実施例7−3:水酸化マグネシウムと酸化鉄との組み合わせ〕
実施例7−2と同様にして、湛水土壌を調整した。風乾種子重の0.1倍重の酸化鉄粉末(森下弁柄工業(株)製、品名:No.1094)と、図5に示すmolMg/kg相当量の水酸化マグネシウム(和光純薬工業(株)製)とを混合し、得られた混合物の1%重のPVAをさらに混合して被覆用の混合物を得た。実施例7−2と同様にして、被覆用の混合物を水稲種子に被覆し、得られた被覆種子を湛水土壌に播種した。実施例7−2と同様にして、20℃での苗立ち割合の平均と標準誤差とを求めた。
図5に示したように、水酸化マグネシウムを加えない場合に比べて、0.05〜5molMg/kg相当量の水酸化マグネシウムを加えて被覆した水稲種子で、苗立ちが向上した。
〔実施例7−4:様々な資材と酸化鉄の組み合わせ〕
実施例7−3と同様にして、湛水土壌を調整した。実施例6と同じ、酸化亜鉛(ZnO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、炭酸カルシウム(CaCO)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム(Ca(OH))のいずれか一種類を2mol(金属元素)/kgと、風乾種子重の0.1倍重の酸化鉄粉末(森下弁柄工業(株)製、品名:No.1094)とを混合し、この混合物重量の1%重のPVAをさらに混合して、被覆用の混合物を得た。実施例7−3と同様にして、被覆用の混合物を水稲種子に被覆し、得られた被覆種子を湛水土壌に播種した。実施例7−3と同様にして、20℃での苗立ち割合の平均と標準誤差とを求めた。なお、酸化鉄粉末とPVAのみで水稲種子を被覆した場合も調べた。
図6に示したように、酸化鉄粉末とPVAのみの場合(「無」と記載)に比べて、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウムのいずれを加えた場合でも、苗立ちが向上した。
〔実施例8:麦への効果〕
<試験8a>
実施例5と同様に硫酸アンモニウムを添加し、湛水土壌を作成した。ただし、この試験では乾土の約0.6倍重に相当する硫酸アンモニウム水溶液を添加した。添加された溶質の量は試験5と同じで、水面が土壌表面と近くなるよう、水量のみを減らした。
表14に示すようにMoPKとMgOの量を変えて混合し、水稲種子に代えて小麦種子(品種:チクゴイズミ)を用いた以外は実施例5と同様に被覆種子を作成した(PVAは混合物重量の3%重)。そして、被覆種子及び無処理の種子を土壌表面に播種し、板で土壌に押し込んだ。その後、1日のうち半日だけ人工灯(照度は約0.4mmol/m/s)を点灯するように設定した20℃の恒温器内に静置した。土壌表面上の水深は約15mmとし、その状態でも種子が完全に土壌中に入るように、板で繰り返し種子を土壌に押し込んだ。土壌表面は代かき状態となり、畑作物の苗立ちには大変厳しい条件となった。湛水を3日間維持し、その後、土壌表面の水を除いた。その後は、乾燥による土壌の白化がみられた場合、1日に2度ほど白化部を無くす程度に水を補給し、湿潤な状態を維持した。播種約3週間後に、本葉抽出個体を数え、その割合を苗立ち割合として、平均と標準誤差とを求めた。
Figure 2013208106
表14に示した様に、MoPKによって苗立ち割合が高まるが、MgOを加えることで、さらに苗立ち向上効果が得られた。
<試験8b>
試験8aと同様に、硫酸アンモニウムを添加し、湛水土壌を作成した。無処理の場合と、0.2molMo/kgのMoPKのみの場合と、MoPKに加えて0.1mol/kg相当の、MgCO、MgO、Mg(OH)、CaCOを混合した点以外は、試験8aと同様に、小麦種子に被覆し(PVAは混合物重量の2%重)、湛水土壌における苗立ち割合を調べた。
Figure 2013208106
表15に示した様に、MoPKによって苗立ち割合が高まるが、さらにこれらの資材を混合した被覆種子では、苗立ちがより向上した。
<試験8c>
福岡県筑後市の水田において、2011年10月19日に、慣行の麦栽培に従って、小麦(品種:チクゴイズミ)と大麦(品種:ニシノチカラ)を機械播種した。種子は、無処理と、0.5molMo/kgのMoOに加えて1molZn/kg相当のZnOを混合して、試験8aと同様に被覆したもの(PVAは混合物重量の1%重)を用いた。播種後、表土を鎮圧し、土壌中に波板を打ち込んで区画を分けて、播種後湛水1日後に排水する区(湛水1日と表記)と、播種後湛水3日後に排水する区(湛水3日と表記)を設けた。11月8日(湛水1日)と11月14日(湛水3日)に本葉抽出個体を数え、播種種子数に対する割合を苗立ち割合として求めた。各条件で3m×48箇所の調査に基づき、平均と標準誤差を求めた。
Figure 2013208106
表16に示した様に、MoOとZnOを被覆した区では、小麦でも大麦でも苗立ち割合が顕著に向上した。
〔実施例9:大豆への効果〕
試験8aと同様に、硫酸アンモニウムを添加し、湛水土壌を作成した。土壌表面は代かき状態となり、畑作物の苗立ちには大変厳しい条件となった。無処理と0.2molMo/kgのMoPKのみの場合と、MoPKに加えて0.1又は0.2molMg/kg相当のMgOを混合して、試験8aと同様に、大豆種子(フクユタカ)に被覆し(PVAは混合物重量の3%重)、同様に湛水土壌に播種して3日後の落水した場合の苗立ち割合を調べた。
Figure 2013208106
表17に示した様に、MoPKによって苗立ち割合が高まるが、MgOを加えることで、さらに苗立ち向上効果が得られた。
〔実施例10:モリブデン資材と各種資材を混合した際のpH〕
0.2molMo/kgのモリブデン資材(MoO、MoPNH、MoPK)と、0〜10mol/kgの各種資材(名称は、表10a中にモリブデン資材の下に記載。電融MgOは、高温加熱してつくられた電融酸化マグネシウム(タテホ化学工業(株)製、電融マグネシア96)。)を混合し、風乾種子約2g相当の被覆した種子を10mlの水に入れて1日経過した後に、水溶液のpHを計測した。また、MoPKに加えて、ベントナイト又はタルクを併用して被覆した試験6dの種子についても同様に水に付けて、水溶液のpHを計測した。
Figure 2013208106
Figure 2013208106
表18〜19に示した様に、いずれのモリブデン資材に、各種の資材を混合した場合も、被覆種子を入れた水溶液のpHは上昇した。当量の資材を使用した際のpHは、ZnO<CaCO<MgCO<Mg(OH)<MgO<CaO≒Ca(OH)の順に上がりにくく、種子に対し、アルカリによる障害を及ぼしにくいと考えられた。また、電融MgOは、一般的なMgO(重質)に比べて、pHが上昇しにくかった。より多い資材を使用してもpHを高めすぎず、このため、より長時間効果を及ぼすことが期待された。
なお、表20には、参考として各種資材の一部に関して溶解度(文献値)を示す。
Figure 2013208106
特に、MgO、Mg(OH)、MgCO、CaCOの溶解度が低く、種子に及ぼす影響が小さいことが期待される。
本発明は、作物を栽培する農業分野での広範な利用が可能である。

Claims (10)

  1. モリブデン含有物、及びタングステン含有物からなる群より選択される第一の資材と、
    pH調整作用によって当該第一の資材から供給される機能性成分の供給を調整する第二の資材(ただし、過酸化カルシウムは除く)と、が植物繁殖体の表面又は内部に付与された、植物繁殖体。
  2. 上記第二の資材は、室温での水に対する溶解割合が重量比1%以下の微溶性の資材である、請求項1に記載の植物繁殖体。
  3. 上記第二の資材が、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、ベントナイト、及びタルクからなる群より選択される少なくとも一種である、請求項2に記載の植物繁殖体。
  4. 上記第一の資材は、金属モリブデン、三酸化モリブデン、モリブデン酸とその塩、モリブドリン酸とその塩、モリブドケイ酸とその塩、金属タングステン、三酸化タングステン、タングステン酸とその塩、タングストリン酸とその塩、タングストケイ酸とその塩、からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1から3の何れか一項に記載の植物繁殖体。
  5. 上記植物繁殖体はイネ科、又はマメ科の植物である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の植物繁殖体。
  6. 植物繁殖体の苗立ちが向上する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の植物繁殖体。
  7. 上記植物繁殖体は種子である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の植物繁殖体。
  8. 請求項1から7の何れか一項に記載の植物繁殖体を植え付ける植付工程を包含する、植物繁殖体の栽培方法。
  9. 上記植付工程以降から苗立ち期の間に、植物体の少なくとも一部が湛水状態となる期間を有する、請求項8に記載の栽培方法。
  10. 酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、及び炭酸亜鉛からなる群より選択される少なくとも一種が植物繁殖体の表面又は内部に付与されるとともに、モリブデン含有物、及びタングステン含有物からなる群より選択される資材が植物繁殖体の表面又は内部に付与されていない、植物繁殖体。
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