JP2013207338A - 振動素子、振動子、電子デバイス、及び電子機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】厚み滑り振動で振動する基板10と、前記基板の一方の主面に設けられ、矩形の四隅を切り欠いた形状の第1の励振電極25aと、前記基板の他方の主面に設けられている第2の励振電極25bと、を含み、前記矩形の面積S1と前記第1の励振電極の面積S2との比(S2/S1)が87.7%≦(S2/S1)<95.0%である振動素子1。
【選択図】図1
Description
また、特許文献1の段落[0024]においては、「面積比が95%未満であると、実際に振動に寄与している振動部分の励振電極部を欠くことになり、等価直列容量C1が小さくなり、容量比γを小さくする効果が得られなくなる。」と記載されている。
そこで、高周波(200MHz以上)において、電圧制御型発振器の周波数可変範囲を大きくして、振動子の製造歩留りの向上を図るために、容量比γの小さな振動素子を提供する。
また、第1の励振電極と第2の励振電極とを金属マスク法で形成する場合、多少の位置ずれがあった場合でも、第1の励振電極と第2の励振電極との対向面積が変化し難いため、等価直列容量C1と等価並列容量C0のばらつきが生じないので、容量比γのばらつきが小さい振動素子が得られるという効果がある。
振動素子1は、振動部12及び振動部12に連設され、振動部12の厚みよりも厚い厚肉部13を有する基板10と、振動部12の両主面(±Y’方向の表裏面)に夫々対向するようにして形成された第1の励振電極25a、第2の励振電極25bと、第1の励振電極25a、第2の励振電極25bから厚肉部に設けられたパッド電極29a、29bに向けて、夫々延出されて形成されたリード電極27a、27bと、を備えている。
なお、第1の厚肉本体14a、第2の厚肉本体15a、及び第3の厚肉本体16a(第1、第2及び第3の厚肉本体14a、15a、16aとも称する)とは、Y’軸に平行な厚みが一定である領域をいう。
また、第1の傾斜部14b、第2の傾斜部15b、及び第3の傾斜部16b(第1、第2及び第3の傾斜部14b、15b、16bとも称する)とは、第1、第2及び第3の厚肉本体14a、15a、16aと、振動部12と、の間に生じる傾斜面をいう。
振動部12の一方の主面と、第1、第2及び第3の厚肉部14、15、16の夫々の一方の面とは、同一平面上、即ち図1に示す座標軸のX−Z’平面上にあり、この面(図1(b)の−Y’方向にある下面側)をフラット面(平坦面)といい、凹陥部11を有する反対側の面(図1(b)の+Y’方向にある上面側)を凹陥面という。
また、第1の励振電極25a、第2の励振電極25bは、リード電極27a、27bと接続している部分について、励振電極形状の外縁(外辺)に沿った延長線(仮想線)を境界として形状や面積として説明する。
リード電極27aは、凹陥面に形成した励振電極25aから延出し、振動部12上から第3の傾斜部16bと、第3の厚肉本体16aとを経由して、第2の厚肉本体15aの凹陥面に形成されたパッド電極29aに導通接続されている。また、リード電極27bは、フラット面に形成された励振電極25bから延出し、基板10のフラット面の端縁部を経由して、第2の厚肉本体15aのフラット面に形成されたパッド電極29bと導通接続されている。
また、第1の励振電極25a、第2の励振電極25b、リード電極27a、27b、パッド電極29a、29bは、蒸着装置、あるいはスパッタ装置等を用いて、例えば、下地にニッケル(Ni)を成膜し、その上に金(Au)を重ねて成膜してある。なお、電極材料として、下地のニッケル(Ni)の代わりにクロム(Cr)、また、金(Au)の代わりに銀(Ag)、白金(Pt)を用いても構わない。
なお、本実施形態例に係る基板10は、図2に示す角度θが略35°15’のATカットに限定されるものではなく、厚み滑り振動を励振するBTカット等の基板にも広く適用できる。
更に、振動部12の外縁に沿って厚肉部を設けた例を用いて説明したが、これに限らず、振動部12の外縁全周に沿って厚肉部を設けた基板や厚肉部が設けられていない平板状の基板にも広く適用できる。
S=−△CL/2・γ・C0・(1+CL/C0)2・・・(1)
ここで、△CLは負荷容量変化、γは容量比(C0/C1)、C0は等価並列容量、CLは負荷容量である。
式(1)より、周波数可変感度Sは発振回路で構成される負荷容量CLが一定であれば、振動素子の等価並列容量C0と容量比γにより決定され、特に、容量比γによる影響が大きい。従って、容量比γが小さければ、電圧制御型発振器の周波数可変感度Sを大きくすることができ、振動子の製造歩留りを向上することができる。
矩形状励振電極の面積(0.30mm×0.24mm)を基準面積S1として、矩形の四隅の電極部を徐々に除去した電極の面積S2とした場合の電極面積比(S2/S1)に対する主振動の等価直列容量C1値と等価並列容量C0値を示したものである。
図4より、等価直列容量C1は電極面積比(S2/S1)の減少に伴い、約90%までは振動に寄与していない部分を除去しているため影響が小さくほぼ一定値を示しているが、約90%を超えると振動に影響を及ぼし始め、小さくなる傾向を示していることが判明した。また、等価並列容量C0については電極面積比(S2/S1)の減少に比例し、小さくなる傾向を示していることも確認された。
そこで、本願発明者らは、電極面積比(S2/S1)が約90%を超えてもATカット水晶振動素子の主振動の特性に実質上悪影響を生じさせず、容量比γを小さくし、従来技術よりも更に周波数可変感度を良好にする領域について実験とシミュレーションを積み重ね、分析を行った。
従来技術である特許文献1では「面積比が95%未満であると、実際に振動に寄与している振動部分の励振電極部を欠くことになり、等価直列容量C1が小さくなり、容量比γを小さくする効果が得られなくなる。」と記載されており、容量比γを更に小さくすることは不可能であるとされていたが、本願発明者らは電極面積比(S2/S1)が87.7%≦(S2/S1)<95%の領域に、即ち、特許文献1では不可能とされた領域に容量比γを更に小さくすることができる領域があることを導き出すことができた。
エネルギー閉じ込め係数Mは、下記式(2)で表される。
M=K・(hx/2・ts)・√△・・・(2)
ここで、Kは基板の異方性係数、hxは振動モードの変位方向の励振電極寸法、tsは基板の板厚、△はプレートバック量である。
また、プレートバック量△は下記式(3)で表される。
△=(fs−fe)/fs・・・(3)
ここで、fsは基板のカットオフ周波数、feは基板全面に励振電極を成膜した場合の周波数である。
fs=R/ts・・・(4)
fe=R/[ts+te・(ρe/ρx)]・・・(5)
ここで、Rは基板の周波数定数、tsは基板の板厚、teは表裏の励振電極の膜厚の和、ρeは励振電極の密度、ρxは基板の密度である。
fs=R/[ts+te2・(ρe/ρx)]・・・(6)
fe=R/[ts+te・(ρe/ρx)]・・・(7)
ここで、Rは基板の周波数定数、tsは基板の板厚、te2は面積の大きい励振電極の膜厚、teは表裏の励振電極の膜厚の和、ρeは励振電極の密度、ρxは基板の密度である。
また、エネルギー閉じ込め係数Mを同一とした場合には、表裏の励振電極の形状と面積が同一の場合に比べ、励振電極の膜厚teを厚くすることができるので、CI値の劣化を抑えることができる。
例えば、491MHz帯の共振周波数で振動するATカット水晶振動素子は、励振電極寸法hx=0.30mmとした場合、エネルギー閉じ込め係数M=2.8となる励振電極の膜厚が約1nmと非常に薄く、製造上実現不可能な膜厚となり、例え実現できたとしても電極薄膜化によるオーミックロスの影響によりCI値が非常に大きくなり発振回路で発振することはできない。
そのため、高周波の振動素子は電極膜厚のオーミックロスを避けるために膜厚を厚くする必要があるので、エネルギー閉じ込め係数Mが大きくなり、主振動のみを閉じ込めることはできず、インハーモニックモードのスプリアスも閉じ込めてしまう。しかし、スプリアスのCI値が主振動のCI値より1.8倍以上大きければ、理論上発振回路では主振動のみが発振するので、問題とはならない。
但し、第1の励振電極25aは矩形で、四隅を切り欠きしていない。
第1の励振電極25a、第2の励振電極25bは下地のニッケル(Ni)膜厚を7nmで一定とし、金(Au)の膜厚を45nm〜120nmとしている。第1の励振電極25aはhx/hzを約1.28で一定とし、hxを0.14mm〜0.70mmとしている。
また、表裏のリード電極27a、27bとパッド電極29a、29bはオーミックロスの影響を回避するために励振電極と同等の膜厚を形成した上層部に、ニッケル(Ni)膜厚を7nm積層し、その上に金(Au)を膜厚200nm積層している。
しかし、エネルギー閉じ込め係数Mが35.7を超えると主振動よりもCI値の小さなスプリアスが多発するので、エネルギー閉じ込め係数Mは35.7以下とする必要があることが解った。
なお、実施形態例では第2の励振電極25bとして矩形の例を示したが、これに限定する必要はなく、円形や楕円形であってもよい。
なお、現状の設備で製造可能な周波数の上限は800MHz程度と予想される。
パッケージ本体40は、図9に示すように、第1の基板41と、第2の基板42と、第3の基板43と、シールリング44と、実装端子45と、を積層して形成されている。実装端子45は、第1の基板41の外部底面に複数形成されている。第3の基板43は中央部が除去された環状体であり、第3の基板43の上部周縁に例えばコバール等のシールリング44が形成されている。
第3の基板43と第2の基板42とにより、振動素子1を収容する凹部(キャビティ)が形成される。第2の基板42の上面の所定の位置には、導体46により実装端子45と電気的に導通する複数の素子搭載パッド47が設けられている。素子搭載パッド47は、振動素子1を載置した際に第2の厚肉本体15aに形成したパッド電極29aに対応するように配置されている。
アニール処理を施した後、第2の励振電極25bに質量を付加するか、又は質量を減じて周波数調整を行う。その後、パッケージ本体40の上面に形成したシールリング44上に、蓋部材49を載置し、真空中、又は窒素ガスの雰囲気中で蓋部材49をシーム溶接して密封し、振動子2が完成する。又は、パッケージ本体40の第3の基板43の上面に塗布した低融点ガラスに蓋部材49を載置し、溶融して密着する方法もある。この場合もパッケージのキャビティ内は真空にするか、又は窒素ガス等の不活性ガスで充填して、振動子2が完成する。
以上の振動子2の実施形態例では、パッケージ本体40に積層板を用いた例を説明したが、パッケージ本体40に単層セラミック板を用い、蓋体に絞り加工を施したキャップを用いて振動子を構成してもよい。
第1の基板61と、第2の基板62と、第3の基板63と、により、振動素子1、IC部品51、および電子部品52などを収容する凹部(キャビティ)が形成される。第2の基板62の上面の所定の位置には、導体46により実装端子45と電気的に導通する複数の素子搭載パッド47が設けられている。素子搭載パッド47は、振動素子1を載置した際に第2の厚肉本体15aに形成したパッド電極29aに対応するように配置されている。
パッド電極29bとパッケージ本体50の電極端子48とをボンディングワイヤーBWで接続する工法は、振動素子1を支持する部位が一カ所(一点)になり、導電性接着剤30に起因して生じるマウント応力を小さくする。また、パッケージ本体50に収容するに当たり、振動素子1を反転して、より大きな励振電極25bを上面にしたので、電子デバイス3の周波数調整が容易となる。
また、電子デバイス3として発振器、温度補償型発振器等を構成することが可能であり、周波数再現性、エージング特性、周波数温度特性に優れた発振器を構成できるという効果がある。
図11は、本発明の一実施形態に係る振動素子を備える電子機器としてのモバイル型(又はノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。この図において、パーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部100を備えた表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。このようなパーソナルコンピューター1100には、フィルター、共振器、基準クロック等として機能する振動素子1が内蔵されている。
ディジタルスチールカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、表示部100が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、表示部100は、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。また、ケース1302の正面側(図中裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCD等を含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部100に表示された被写体像を確認し、シャッターボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリー1308に転送・格納される。また、このディジタルスチールカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示されるように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニター1430が、データ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピューター1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、メモリー1308に格納された撮像信号が、テレビモニター1430や、パーソナルコンピューター1440に出力される構成になっている。このようなディジタルスチールカメラ1300には、フィルター、共振器等として機能する振動素子1が内蔵されている。
Claims (9)
- 厚み滑り振動で振動する基板と、
前記基板の一方の主面に設けられ、矩形の四隅を切り欠いた形状の第1の励振電極と、
前記基板の他方の主面に設けられている第2の励振電極と、
を含み、
前記矩形の面積S1と前記第1の励振電極の面積S2との比(S2/S1)が87.7%≦(S2/S1)<95.0%であることを特徴とする振動素子。 - 請求項1において、
前記第1の励振電極と前記第2の励振電極は、
前記主面と直交する方向から投影して視た場合に、前記第2の励振電極の外縁内に、前記第1の励振電極が収まるように互いに異なる形状であることを特徴とする振動素子。 - 請求項1又は2において、
前記第1の励振電極と前記第2の励振電極から夫々前記基板の端部に向って延在して設けられているリード電極を含み、
前記切り欠いた形状を有する前記励振電極から延在して設けられている前記リード電極は、前記切り欠いた領域を除く前記励振電極の端部から延在されていることを特徴とする振動素子。 - 請求項1乃至3のいずれか一項において、
エネルギー閉じ込め係数Mが17.1≦M≦35.7であることを特徴とする振動素子。 - 請求項1乃至4のいずれか一項において、
前記厚み滑り振動の共振周波数が200MHz以上であることを特徴とする振動素子。 - 請求項1乃至5のいずれか一項において、
前記基板が水晶基板であることを特徴とする振動素子。 - 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の振動素子と、
前記振動素子を収容するパッケージと、
を備えていることを特徴とする振動子。 - 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の振動素子と、
前記振動素子を励振する発振回路と、
を備えていることを特徴とする電子デバイス。 - 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の振動素子を備えていることを特徴とする電子機器。
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