JP2013204168A - 炭素繊維用集束剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体を製造する際にハンドリング性に優れ、密度の高い炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体を製造することができる炭素繊維用集束剤を提供する。
【解決手段】炭素数が4以上の糖アルコールと、水と、を含み、前記糖アルコールは、常温常圧で固体である、ことを特徴とする炭素繊維用集束剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、炭素繊維用集束剤に関する。
炭素繊維とケイ酸カルシウムマトリクスとを含有する複合材(炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体)は、耐熱性に優れ、溶融アルミニウム合金と直接接触する樋、スパウト、フロート、ホットトップリング用ヘッダー材およびダイカスト用保持炉などの、移送、鋳造、保持系の断熱材として使用されている。そして、炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体において、炭素繊維はその表面を炭素繊維用集束剤によってサイジング処理が施されたものが使用される。ここで、炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体に用いられる炭素繊維用集束剤はその組成に関して、例えば、ポリエチレングリコールを組成中に含有するもの、あるいは、グリセリンを組成中に含有するもの等が知られている。
特許文献1には、サイジング剤が水および/または分子量100〜600のポリエチレングリコールであることを特徴とするセメント系無機質材補強用炭素繊維について開示がされている。
また、特許文献2には、ポリアクリロニトリル繊維を原料として熱処理して得られた、炭素含有率90%以上、ESCA法により測定されるO1s/C1sのピーク比が0.01以上0.1未満、繊維長が1mm以上30mm以内の炭素繊維束であり、且つ該炭素繊維束はグリセリン集束剤にて集束されることを特徴とする炭素繊維束について開示がされている。
特開平11−116295号公報 特開平11−246248号公報
ところで、炭素繊維とケイ酸カルシウムマトリクスとを含有する複合材である断熱材は、密度が低いと、強度(例えば、曲げ強度等)が低下しまた通気性がよいことにより断熱材使用時に複合材に含まれる炭素繊維の劣化が促進され、耐熱性が使用とともに低下するおそれがある。
また、炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体は、炭素繊維とケイ酸カルシウムマトリクスを形成する原料とを水溶液中で撹拌し互いに分散させた後、脱水プレス工程、乾燥工程等を経て製造される。炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体の密度は、脱水プレス工程にてプレス面圧を上げることで高めることができるが、プレス面圧を上げ過ぎると成形された炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体にてデラミネーション(層間剥離)を起こし製品不良につながる。したがって、炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体にてデラミネーション(層間剥離)を起こさない範囲にて、脱水プレス工程におけるプレス面圧を設定する必要がある。
ここで、ポリエチレングリコールを含有する炭素繊維用集束剤が表面に付着している炭素繊維と、ケイ酸カルシウムマトリクスを形成する原料と、を水溶液中で撹拌し、互いに分散させた場合、ポリエチレングリコールは水を吸って体積膨張した状態で、ケイ酸カルシウムマトリクス中に取り込まれることとなる。そして、ポリエチレングリコールが吸収した水は、脱水プレス工程を経てもポリエチレングリコールから容易に離れることはない。
この様な状態で炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体を、たとえデラミネーション(層間剥離)を起こさない範囲にてとり得る最大のプレス面圧で脱水プレス工程を行ったとしても、ポリエチレングリコールが水を吸って体積膨張した分の体積が乾燥工程にて減少することとなるので、最終的に得られる炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体の密度は低いものとなってしまう。
また、ポリエチレングリコールは水への溶解速度が遅いため、炭素繊維とケイ酸カルシウムマトリクスを形成する原料とを水溶液中で撹拌し互いに分散したとしても、炭素繊維用集束剤に含有されるポリエチレングリコールは、炭素繊維の表面にそのまま付着した状態で残りやすい。この場合、炭素繊維束を構成する複数の炭素繊維は、互いに分散する(バラける)ことなくスラリー中に存在することとなる。
炭素繊維束に含まれる複数の炭素繊維が互いに分散することなくスラリー中に存在した状態で脱水プレス工程が行われた場合、成形された炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体中には炭素繊維束の状態のまま分散することとなり、結果、炭素繊維の分散が悪い炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体が得られることとなる。
また、グリセリンが含有される炭素繊維用集束剤が用いられた場合、最終的に得られる炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体の密度は低くならないが、炭素数が3の糖アルコールであるグリセリンは常温常圧(1気圧、20℃)で液体であるがゆえに、サイジング処理された後の炭素繊維束は柔らかくなり、例えば炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体の製造時における計量などの取り扱いの際に、炭素繊維同士が絡み合いやすくなる。
そして、いったん絡み合ってしまった炭素繊維同士はスラリー中で容易に分散しない。そのためグリセリンが炭素繊維集束剤として用いられた場合、最終的に得られる炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体は、炭素繊維の分散状態が悪いものとなる。
更に、グリセリンは、引火点が176℃と低い引火性液体であるため、炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体を製造する際、取り扱いに注意が必要であり、結果ハンドリング性が悪いという問題がある。
本発明は、上記課題を鑑みて、炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体を製造する際にハンドリング性に優れ、密度の高い炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体を製造することができる炭素繊維用集束剤を提供することを目的の一つとする。また、本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述によって明らかにする。
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る炭素繊維用集束剤は、炭素数が4以上の糖アルコールと、水と、を含み、前記糖アルコールは、常温常圧で固体であることを特徴とする。
また、前記糖アルコールは吸湿性を有することとしてもよい。また、前記糖アルコールは、キシリトール、D−ソルビトール、および、マルチトールからなる群から選択される少なくとも1種の化合物であることとしてもよい。
本発明によれば、炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体を製造する際にハンドリング性に優れ、密度の高い炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体を製造することができる炭素繊維用集束剤が提供される。
D−ソルビトール(付着量8.5wt%)を炭素繊維用集束剤として用いた場合の、炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体における炭素繊維の分散状態を示す図である。 グリセリン(付着量8.5wt%)を炭素繊維用集束剤として用いた場合の、炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体における炭素繊維の分散状態を示す図である。 ポリエチレンオキサイド(付着量6.5wt%)を炭素繊維用集束剤として用いた場合の、炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体における炭素繊維の分散状態を示す図である。
本実施形態に係る炭素繊維用集束剤は、炭素数が4以上の糖アルコールと、水と、を含み、前記糖アルコールは、常温常圧で固体である、ことを特徴とする。
本実施形態の炭素繊維用集束剤に含有される炭素数が4以上の糖アルコールは、鎖状糖アルコールであることとしてもよい。また、本実施形態の炭素繊維用集束剤に含有される炭素数が4以上の糖アルコールの立体配置には制限はなく、D体でもL体でもよく、D体とL体との混合物であるDL体であることとしてもよい。
本実施形態に係る炭素繊維用集束剤は、炭素数が4以上、15以下の糖アルコールと、水と、を含むものであることは好ましい。また、本実施形態に係る炭素繊維用集束剤は、炭素数が5以上、12以下の糖アルコールと、水と、を含むものであることは更に好ましい。炭素繊維用集束剤が、炭素数4以上、15以下の糖アルコールと、水と、を含む場合、本発明の効果を更に高めることとなる。
炭素繊維用集束剤に、トリトール(C(OH)、例えば、グリセリン)のように炭素数が3以下の糖アルコールが用いられる場合、炭素数が3以下の糖アルコールは常温常圧(1気圧、20℃)で液体であるため、サイジング処理された後の炭素繊維束は柔らかくなる。
そして、柔らかい炭素繊維束を用いて炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体を製造する場合、炭素繊維束同士が互いに絡み合い所定量はかりとること自体が困難である。また、いったん絡み合ってしまった炭素繊維同士はスラリー中で容易に分散しないため、当該炭素繊維とケイ酸カルシウムマトリクスを形成する原料とを水溶液中で撹拌し互いに分散させる工程に大きな手間や時間がかかってしまう。
更に、炭素繊維とケイ酸カルシウムマトリクスを形成する原料とを水溶液中で撹拌し互いに分散させる工程に大きな手間や時間をかけたとしても、いったん絡み合ってしまった炭素繊維同士を完全に分散させることは困難である。したがって、グリセリンが炭素繊維集束剤として用いられた場合、最終的に得られる炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体は、炭素繊維の分散状態が悪いものとなる。
また、本実施形態の炭素繊維用集束剤に、ジグリセリン、トリグリセリンが用いられることは、グリセリン同様、ジグリセリン、トリグリセリンも常温常圧(1気圧、20℃)で液体であるため、炭素繊維同士は互いに絡み合い容易に分散せずハンドリング性が悪く好ましくない。
本発明では、上記の点を鑑みて、本実施形態に係る炭素繊維用集束剤に含まれる、炭素数4以上の糖アルコールは、常温常圧で固体であるものを用いることとした。ここで、本発明における常温常圧とは、1気圧、20℃であることとする。
更に、炭素数が3の糖アルコールであるグリセリンは、常温常圧(1気圧、20℃)で引火点176℃という性質を有し、引火性液体であるため、炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体を製造する際、取り扱いに注意が必要であり、結果ハンドリング性が悪いものである。
また、炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体は炭素繊維束とケイ酸カルシウムマトリクスを形成する原料とを水溶液中で撹拌し互いに分散させる工程を経て製造される。ここで、炭素繊維用集束剤は、炭素繊維束が水溶液中に投入された際、速やかに炭素繊維束を構成する炭素繊維を水溶液中に分散させる分散剤としての役割を有する。
本実施形態の炭素繊維用集束剤に含まれる炭素数が4の糖アルコール(テトリトール:C(OH))としては、例えば、エリスリトール、D−トレイトール、L−トレイトール等が挙げられる。
また、本実施形態の炭素繊維用集束剤に含まれる炭素数が5の糖アルコールとしては、例えば、ペンチトール(C(OH):D−アラビニトール、L−アラビニトール、キシリトール、リビトール、等)、ペンタエリスリトール(C(CHOH))等が挙げられる。
また、本実施形態の炭素繊維用集束剤に含まれる炭素数が6の糖アルコール(ヘキシトール:C(OH))としては、例えば、D−ソルビトール、D−イジトール、ガラクチトール、D−グルシトール、マンニトール等が挙げられる。
また、本実施形態の炭素繊維用集束剤に含まれる炭素数が7の糖アルコール(へプチトール:C(OH))としては、例えば、ボレミトール、ペルセイトール等が挙げられる。
また、本実施形態の炭素繊維用集束剤に含まれる炭素数が8の糖アルコール(オクチトール:C10(OH))としては、例えば、D−エリトロ−D−ガラクト−オクチトール等が挙げられる。
また、本実施形態の炭素繊維用集束剤に含まれる炭素数が9以上の糖アルコールとしては、例えば、ラクチトール(C1215(OH))、マルトースを原料として高圧化で接触還元して得られるマルチトール(C1215(OH))等が挙げられる。
すなわち、本実施形態の炭素繊維用集束剤に含まれる糖アルコールは、エリスリトール、D−トレイトール、L−トレイトール、D−アラビニトール、L−アラビニトール、キシリトール、リビトール、ペンタエリスリトール、D−ソルビトール、D−イジトール、ガラクチトール、D−グルシトール、マンニトール、ボレミトール、ペルセイトール、D−エリトロ−D−ガラクト−オクチトール、マルチトール、および、ラクチトールからなる群から選択される少なくとも1種の化合物であることとしてもよい。
また、本実施形態の炭素繊維用集束剤に含まれる糖アルコールは、常温常圧(1気圧、20℃)で固体であり吸湿性を有することが好ましい。ここで、吸湿性を有する糖アルコールは、大気中の水分を吸収する性質を有する糖アルコールである。
炭素数が4以上の糖アルコールであって、常温常圧(1気圧、20℃)で固体であり、かつ、吸湿性を有するものとしては、例えば、キシリトール、D−ソルビトール、マルチトール等が挙げられる。したがって、本実施形態の炭素繊維用集束剤に含まれる、常温常圧で固体であり、炭素数が4以上の糖アルコールは、キシリトール、D−ソルビトール、およびマルチトールからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物であることとしてもよい。
炭素数が4以上の糖アルコールであって、常温常圧(1気圧、20℃)で固体ではあるが、吸湿性を有さない糖アルコールとしては、例えばペンタエリスリトール、マンニトール等が挙げられる。例えば、ペンタエリスリトールからなる炭素繊維用集束剤は、炭素繊維の表面に炭素繊維用集束剤であるペンタエリスリトールが析出して、炭素繊維の表面に付着したペンタエリスリトールの一部がこぼれ落ちてしまうこととなる。これによって、炭素繊維束の集束が弱まることはないが、製造工程においてこぼれ落ちたペンタエリスリトールが飛散することとなり、製造環境上好ましくない。
また、炭素数が4以上の糖アルコールであって、常温常圧(1気圧、20℃)で固体ではあるが、吸湿性を有さない糖アルコールによってサイジング処理された炭素繊維束は、炭素繊維束の表面から当該糖アルコールが析出することによって白化し、外観上も好ましくない。
一方、炭素数が4以上であり、常温常圧で固体であり、かつ、吸湿性を有する糖アルコールを含む炭素繊維用集束剤によってサイジング処理された炭素繊維束は、炭素繊維の表面の糖アルコールは空気中の水(水蒸気)を取り込むことによって、炭素繊維用集束剤が炭素繊維束からこぼれ落ちることがないために、炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体の製造工程において製造環境を悪化させることがない。
また、炭素数が4以上であり、常温常圧で固体であり、かつ、吸湿性を有する糖アルコールを含む炭素繊維用集束剤によってサイジング処理された炭素繊維束は、炭素繊維束の表面を白化させることはなく、外観上も好ましい。
また、本実施形態の炭素繊維用集束剤に含まれる糖アルコールは、常温常圧(1気圧、20℃)で固体であり潮解性を有することとしてもよい。ここで、潮解性を有する糖アルコールは、大気中の水を取り込んで、当該水に溶解して自発的に水溶液となる性質を有する糖アルコールである。
炭素数が4以上の糖アルコールであって、常温常圧(1気圧、20℃)で固体であり、かつ、潮解性を有するものとしては、例えば、キシリトール、D−ソルビトール、マルチトール等が挙げられる。したがって、本実施形態の炭素繊維用集束剤に含まれる、常温常圧で固体であり、炭素数が4以上の糖アルコールは、潮解性を有するという観点からも、キシリトール、D−ソルビトール、およびマルチトールからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物であることとしてもよい。
また、炭素繊維用集束剤によって複数本の炭素繊維によって構成される炭素繊維束をサイジング処理する際、当該サイジング処理において炭素繊維用集束剤が飛散することも考えられる。この様な場合、例えば、本実施形態に係る炭素繊維用集束剤に食品添加物でもあるエリスリトール、キシリトール、D−ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトールを用いることは、仮に炭素繊維用集束剤が飛散したとしても、炭素繊維用集束剤自体の毒性が少なく安心して使用でき好ましい。
したがって、本実施形態の炭素繊維用集束剤に含まれる、常温常圧で固体であり、炭素数が4以上の糖アルコールは、エリスリトール、キシリトール、D−ソルビトール、マンニトール、マルチトール、および、ラクチトールからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物であることとしてもよい。
また、D−ソルビトール、マルチトールはコスト面において、食品添加物として利用し得る他の糖アルコールと比較してメリットがある。したがって、本実施形態の炭素繊維用集束剤に含まれる、常温常圧で固体であり、炭素数が4以上の糖アルコールは、D−ソルビトール、または、マルチトールであることとしてもよい。
なお、本実施形態に係る炭素繊維用集束剤は、上記糖アルコール、水以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、防腐剤、4級アンモニウム塩等の帯電防止剤、及び、界面活性剤等の潤滑剤を含むこととしてもよい。
また、本実施形態に係る炭素繊維用集束剤を用いて炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体を成形する場合、炭素数が4以上の常温常圧で固体の糖アルコールが、炭素繊維の表面に付着量5.0wt%以上、15.0wt%以下で付着することが好ましく、また、付着量6.0wt%以上、12.0wt%以下で付着することが更に好ましい。また、炭素数が4以上の常温常圧で固体の糖アルコールが、炭素繊維の表面に付着量7.0wt%以上、11.0wt%以下で付着することとしてもよい。
本発明における付着量は、JIS R7604(1999年)に準拠して求めた。具体的に本発明における付着量は、下記式(1)に従って算出されたものである。なお、JIS R7604(1999年)には3種類の付着率の求め方が記載されているが、どの方法を用いても求められる付着量は同じものである。
100−(炭素繊維集束剤を取り除いた炭素繊維の重量/表面処理された炭素繊維の重量)×100・・・式(1)
すなわち、本実施形態に係る炭素繊維用集束剤は、炭素繊維の表面に、炭素数が4以上の常温常圧で固体の糖アルコールが上記付着量付着するように、炭素繊維用集束剤中に配合される。炭素繊維用集束剤における、炭素数が4以上の常温常圧で固体の糖アルコールの具体的な配合量は、付着対象とされる炭素繊維の表面状態によって適宜変化するが、5wt%〜90wt%の範囲であることとしてもよい。
前述のように、本実施形態に係る炭素繊維用集束剤に含まれる炭素数が4以上の常温常圧で固体の糖アルコールは、炭素繊維を水溶液中に分散させる分散剤としての役割を有するものである。ここで、本実施形態の炭素繊維用集束剤に用いられる、炭素数が4以上の常温常圧で固体の糖アルコールが炭素繊維表面に付着量5.0wt%未満で付着されている場合、炭素繊維の表面を十分に被覆することができないおそれがあり、結果分散剤としての役割が不十分なものとなるおそれがあり好ましくない。
また、本実施形態の炭素繊維用集束剤に用いられる、炭素数が4以上の常温常圧で固体の糖アルコールの量の炭素繊維の表面に付着する付着量の上限について制限はないが、コストの観点から15.0wt%を超えない範囲であることが好ましい。
本実施形態の炭素繊維用集束剤が適用される炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体における炭素繊維は、例えば、アクリル(PAN)繊維あるいはピッチ繊維といった有機繊維を、N及び/又はAr雰囲気下にて2000〜3000℃に加熱し、炭素以外の元素を脱離させることによって作られたものである。
本実施形態の炭素繊維用集束剤が適用される炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体における炭素繊維は、アクリル(PAN)繊維を原料とするもの、ピッチ繊維を原料とするもの、何れに限定されるものではないが、アクリル(PAN)繊維を原料とする炭素繊維は、強度等の性能、コスト面等の観点から好ましい。
また、エポキシ樹脂などに代表される非水溶性樹脂を含有する炭素繊維集束剤によって、炭素繊維の表面にエポキシ樹脂を被覆するサイジング処理された炭素繊維、もしくはポリビニルアルコールやポリエチレンオキサイドなどに代表される水への溶解に時間が掛かってしまう樹脂を含有する炭素繊維集束剤によってサイジング処理された炭素繊維に関しては、これら炭素繊維集束剤を脱サイジング処理にて取り除いた後、用いることとしても良い。この場合、脱サイジング処理がされた炭素繊維を、本実施形態の炭素繊維用集束剤によって再度サイジング処理を行い、炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体を製造することとなる。
また、本実施形態の炭素繊維用集束剤が適用される炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体における炭素繊維の繊維径は、特に制限はないが10.0μm以下であることが好ましい。また、炭素繊維の繊維径が、3.0μm未満の場合は炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体の成形において、炭素繊維が飛散するおそれがあるため、3.0μm以上であることがより好ましい。
また、炭素繊維の繊維径が10.0μmを超える場合には、例えば、炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体の製造において、炭素繊維とケイ酸カルシウムマトリクスを形成する原料とを水溶液中で撹拌し互いに分散させて当該炭素繊維と当該ケイ酸カルシウムマトリクスを形成する原料との混合物を得る際に、当該炭素繊維束が折れやすくなるため好ましくない。炭素繊維束が折れることによって細かな炭素繊維が発生し、炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体の製造において炭素繊維が飛散するおそれがあるためである。これは、炭素繊維にアクリル(PAN)繊維を原料とするもの、ピッチ繊維を原料とするものが適用されるいずれについても同様である。
また、本実施形態の炭素繊維用集束剤が適用される炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体における炭素繊維は、500〜24000本の炭素繊維によって構成される炭素繊維束の状態で用いられることとしてもよい。また、6000〜24000本の炭素繊維によって炭素繊維束が構成されることは、生産性、コスト面の観点から更に好ましい。
そして、炭素繊維束は本実施形態の炭素繊維用集束剤によってサイジング処理がされた後、約3〜10mmの長さに切断されたチョップドストランドの態様で、炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体の製造に用いられることとしてもよい。これは、炭素繊維にアクリル(PAN)繊維を原料とするもの、ピッチ繊維を原料とするものが適用されるいずれについても同様である。
また、本実施形態の炭素繊維用集束剤が適用される炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体における炭素繊維の含有率は、炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体の所定の耐熱性が得られる範囲において特に限定されないが、炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体の全量を100重量部としたとき、2〜10重量部であることとしてもよい。
本実施形態の炭素繊維用集束剤は、ケイ酸カルシウムマトリクスとして、実質的にゾノトライトからなる炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体に適用されることとしてもよい。ゾノトライトは、石灰原料とケイ酸原料との混合物を水蒸気雰囲気下にて水熱処理を行うことによって形成される。ゾノトライトの形成に関し、詳細については特開昭61−232256に説明がされている。
一般的に、炭素繊維を含有せず耐熱性が強化されていないケイ酸カルシウム成形体に、炭素繊維を添加することによって、耐熱性は向上するものの、成形体自身の強度(曲げ強度等)は低下する。しかしながら、ケイ酸カルシウムマトリクスとしてゾノトライトが用いられた炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体は、炭素繊維を含有していないケイ酸カルシウム成形体の強度と略同等の強度を維持するため好ましい。
また、本実施形態の炭素繊維用集束剤が適用される炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体におけるケイ酸カルシウムマトリクスの含有率は、炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体の所定の耐熱性が得られる範囲において特に限定されないが、炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体の全量を100重量部としたとき、70〜98重量部であることとしてもよい。
本実施形態の炭素繊維用集束剤が適用される炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体の製造方法は、本願実施形態に係る炭素繊維用集束剤が表面に付着している炭素繊維と、ケイ酸カルシウムマトリクスを形成する原料と、を混合する混合工程と、前記混合工程によって得られた混合物を用いて成形体を成形する工程と、を含むものである。当該製造方法によって得られる炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体は、本願実施形態に係る炭素繊維用集束剤と、炭素繊維と、ケイ酸カルシウムマトリクスと、を含むものである。
また、上記製造方法における混合工程は、本願実施形態に係る炭素繊維用集束剤が表面に付着している炭素繊維とケイ酸カルシウムマトリクスを形成する原料とを水溶液中で撹拌し互いに分散させて、前記炭素繊維と前記ケイ酸カルシウムマトリクスを形成する原料との混合物を得る混合工程、であることとしてもよい。
また、上記製造方法における、成形体を成形する工程は、前記混合工程によって得られた混合物を所定の面圧にて脱水プレスして脱水成形体を得る脱水プレス工程を含むこととしてもよいし、更に、前記脱水成形体を水蒸気雰囲気下で養生を行う養生工程と、を含むこととしてもよい。
また、上記製造方法は、例えば、炭素繊維用集束剤を調製する炭素繊維用集束剤調製工程を含むこととしてもよく、更に、前記炭素繊維用集束剤調製工程によって調製された前記炭素繊維用集束剤を用いて、複数(例えば500〜24000本)の炭素繊維を束ねるサイジング処理工程と、を含むこととしてもよい。また、上記製造方法は、炭素繊維を所定長(例えば3〜10mm、6mm等)に切断する工程と、を含むこととしてもよい。
前述のように、炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体の密度は、脱水プレス工程にてプレス面圧を上げることで高めることができるが、プレス面圧を上げ過ぎると成形された炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体にてデラミネーション(層間剥離)を起こし製品不良につながる。したがって、また、脱水プレス工程は、最終的に得られる炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体がデラミネーション(層間剥離)を起こさない程度の一定面圧で行うこととする。
ここで、ポリエチレングリコールを含有する炭素繊維用集束剤が表面に付着している炭素繊維と、ケイ酸カルシウムマトリクスを形成する原料と、を水溶液中で撹拌し、互いに分散させた場合、ポリエチレングリコールは水を吸って体積膨張した状態で、ケイ酸カルシウムマトリクス中に取り込まれることとなる。そして、ポリエチレングリコールが吸収した水は、脱水プレス工程を経てもポリエチレングリコールから容易に離れることはない。
このような状態で脱水プレス工程を行った場合、その後乾燥工程を経て得られた炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体は、乾燥工程にてポリエチレングリコールが水を吸って体積膨張した分の体積が減少することとなるので、最終的に得られる炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体の密度は著しく低下することとなる。
よって、同じ面圧にて脱水プレス工程を行った場合、炭素集束剤にポリエチレンオキサイド(ポリエチレングリコール)が用いられた炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体の密度は、炭素集束剤にD−ソルビトール等の炭素数4以上の糖アルコールが用いられた炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体の密度と比較して、低いものとなる。
本発明において炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体の密度は、最終的に得られる炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体の密度が0.71g/cm以下であると、炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体の耐熱性が低下するだけでなく強度も低下する。なお、炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体の密度と強度(例えば、曲げ強度)との関係は、ほぼ比例関係にあり、密度が0.01g/cm減少すると、約0.25MPa減少する。したがって、炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体の密度が、0.01g/cm低下することは、炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体の強度に大きな影響を与える。
また炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体の密度が低いことに起因して、成形体内部の通気性が高まり、製品使用時に炭素繊維の劣化が促進され、結果、耐熱性が使用とともに低下するおそれがある。
よって、本発明において炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体の密度は、0.71g/cmよりも大きく1.0g/cm以下であることが好ましく、0.72g/cmよりも大きく0.88g/cm以下となることは更に好ましい。したがって、上記の脱水プレス工程は、成形される炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体の密度が0.71g/cmよりも大きく1.0g/cm以下となるように調整した面圧にて脱水プレスすることが好ましい。
また、養生工程は、脱水プレス工程によって得られた脱水成形体をオートクレーブ中に移し、水蒸気雰囲気下で養生を行うこととしてもよい。
また、ケイ酸カルシウムマトリクスとして、実質的にゾノトライトからなる炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体に適用する場合には、ケイ酸カルシウムマトリクスを形成する原料として石灰原料とケイ酸原料との混合物が用いられ、当該養生工程では、石灰原料とケイ酸原料とが反応してゾノトライトを生成するような条件下に、かつその反応が実質的に完了するまで行うことが必要である。具体的には、水蒸気圧力を約1.4MPa上に設定し、反応時間を約5〜48時間に設定する必要がある。
また、本実施形態の炭素繊維用集束剤が適用される炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体の製造方法は、更に、養生工程の後、当該養生工程により硬化した成形体を所定温度にて乾燥させる工程を含むこととしてもよい。ここで、養生工程により硬化した成形体を乾燥させる工程は、約330℃以下の熱風で乾燥することとしてもよい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、これらの実施例は本発明の実施形態を具体的に説明するものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
表1に示される化合物A欄に示される種々の化合物を水と混合することによって炭素繊維集束剤A−1〜A−10,B−1〜B−5,C−1〜C−5,D−1〜D−5を調整した。また、炭素繊維集束剤No.A−1〜A−10,B−1〜B−5,C−1〜C−5,D−1〜D−5のそれぞれを用いて炭素繊維を集束した場合の、炭素繊維束に付着した化合物Aそれぞれの付着量を示す。
付着量は上述のJIS R7604(1999年)に準拠して求めた。表1を参照すると、例えば、炭素繊維集束剤No.A−1の炭素繊維集束剤が用いられた場合、得られた炭素繊維束にはD−ソルビトールが付着率10.5wt%で付着されていることを示している。
炭素繊維集束剤No.A−1〜A−10,B−1〜B−5,C−1〜C−5,D−1〜D−5のそれぞれの炭素繊維集束剤は、所定量の化合物Aを撹拌しながら水溶液中に添加することによって調製を行った。なお、炭素繊維集束剤No.D−1〜D−5を調整する際、水溶性樹脂が水溶液中に溶解しづらい場合には、水溶液を40度程度に加熱しながら撹拌を行い調製することとしてもよい。
表2には、表1に示される種々の炭素繊維集束剤を用いて、炭素繊維(アクリル(PAN)系炭素繊維、繊維径7μm)12000本を束ねた炭素繊維束にサイジング処理を行った後の、外観評価、および、炭素繊維用集束剤が炭素繊維の表面からこぼれ落ちてしまうか否かを評価した結果を示す。
上述の外観評価は、目視による官能評価にて行い、炭素繊維束の表面に白化がみられなく、炭素繊維束の自重により炭素繊維束が曲がらない:○、炭素繊維束の表面に白化がみられるが、自重により炭素繊維束が曲がらない:△、炭素繊維束の表面に白化がみられなく、炭素繊維束の自重により炭素繊維束が曲がる、又は、炭素繊維束の表面に白化がみられ、炭素繊維束の自重により炭素繊維束が曲がる:×として評価を行った。
また、炭素繊維用集束剤が炭素繊維の表面からこぼれ落ちてしまうか否かの評価は、目視による官能評価にて行い、炭素繊維の表面から化合物Aがこぼれ落ちていることが確認できなかった:○、炭素繊維の表面に化合物Aが析出し、炭素繊維の表面から化合物Aがこぼれ落ちていることが確認された:×として評価を行った。
表3には、表1にて示される種々の炭素繊維集束剤が表面に付着している炭素繊維(アクリル(PAN)系炭素繊維、繊維径7μm)と、ケイ酸カルシウムマトリクスとを含有する複合材(炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体)の各種評価結果を示す。
本実施例においては、炭素繊維集束剤No.A−1〜A−10,B−1〜B−5,C−1〜C−5,D−1〜D−5、E−1のそれぞれを用いて製造される、それぞれの炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体は、下記の方法によって製造された。
すなわち、本実施例における炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体は、表1にて示される炭素繊維集束剤No.に対応するそれぞれの炭素繊維用集束剤を調整し(炭素繊維用集束剤調製工程)、当該炭素繊維用集束剤で処理された炭素繊維径7μm、集束本数12000本、繊維長6mmの炭素繊維を用意して、当該炭素繊維3重量部とケイ酸カルシウムマトリクスを形成する原料110重量部(石灰原料とケイ酸原料との混合物)とを水溶液中(水1000重量部)で撹拌し互いに分散させて前記炭素繊維と前記ケイ酸カルシウムマトリクスを形成する原料との混合物を得て、前記炭素繊維と前記ケイ酸カルシウムマトリクスを形成する原料との混合物を、最終的に得られる炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体の密度が0.75g/cmとなるように、面圧を2.1MPa一定に調整して脱水プレスして脱水成形体を得て、前記脱水成形体をオートクレーブ中に移し水蒸気雰囲気下でケイ酸カルシウムマトリクスを形成する原料である石灰原料とケイ酸原料とが反応してゾノトライトを生成するような条件下に、かつその反応が実質的に完了するまで行い(具体的には、水蒸気圧力を約1.7MPa、反応時間を24時間に設定した)、その後約330℃以下の熱風で乾燥することによって製造された。
ここで、上記製造方法によって得られた表1にて示される炭素繊維集束剤No.に対応するそれぞれの炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体は、実質的にケイ酸カルシウムマトリクスがゾノトライトからなるものであった。
上記製造方法によって得られた表1にて示される炭素繊維集束剤No.に対応するそれぞれの炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体は、成形体密度、成形体強度、成形体における炭素繊維の分散性、について測定および評価を行った。なお、炭素繊維集束剤No.に対応するそれぞれの炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体は、それぞれ3つ製造され、各評価、測定値は、3つの炭素繊維集束剤No.に対応するそれぞれの炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体の平均値である。
ここで、炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体の成形体強度は、JIS A1408(2001年)に準拠する方法にて曲げ強度を測定することによって評価を行った。
また、成形体における炭素繊維の分散性は、目視による官能評価にて行い、ケイ酸カルシウムマトリクス中に炭素繊維の凝集物が目視では確認できない:○、ケイ酸カルシウムマトリクス中に炭素繊維の凝集物がみられる:△、ケイ酸カルシウムマトリクス中に炭素繊維の凝集物が顕著にみられる:×として評価を行った。
図1は、D−ソルビトール(付着量8.5wt%)を炭素繊維用集束剤として用いた場合の、炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体における炭素繊維の分散状態を示す図である。また、図2は、グリセリン(付着量8.5wt%)を炭素繊維用集束剤として用いた場合の、炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体における炭素繊維の分散状態を示す図である。また、図3は、ポリエチレンオキサイド(付着量6.5wt%)を炭素繊維用集束剤として用いた場合の、炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体における炭素繊維の分散状態を示す図である。
成形体における炭素繊維の分散性は、図1にて示される炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体における炭素繊維の分散状態を、ケイ酸カルシウムマトリクス中に炭素繊維の凝集物が目視では確認できないとした。また、図2にて示される炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体における炭素繊維の分散状態を、ケイ酸カルシウムマトリクス中に炭素繊維の凝集物がみられるとした。図2を参照すると、炭素繊維の凝集体10が僅かながらに確認できる。図3にて示される炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体における炭素繊維の分散状態を、ケイ酸カルシウムマトリクス中に炭素繊維の凝集物が顕著にみられるとした。図3を参照すると、炭素繊維の凝集体10は、図2と比較するとケイ酸カルシウムマトリクス中に顕著に存在していることが確認できる。
また、炭素繊維集束剤No.に対応するそれぞれの炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体を製造する際に、製造の行い易さ(ハンドリング性)を評価した。
ハンドリング性は、サイジング処理がなされた炭素繊維束とケイ酸カルシウムマトリクスを形成する原料(石灰原料とケイ酸原料との混合物)とを水溶液中で撹拌し互いに分散させて炭素繊維とケイ酸カルシウムマトリクスを形成する原料との混合物を得る際、(1)水溶液が泡立ってしまうか否か(起泡性試験)、炭素繊維を所定重量部はかりとる際に、(2)炭素繊維同士が絡み合うことなくはかりとることができるか否か(絡み合いの有無)、の2つの観点から評価を行った。
また、(1)水溶液が泡立ってしまうか否か(起泡性試験)ついては、JIS K3362(2008年)に従いロスマイル法(Ross Miles Test)によって測定、評価した。すなわち、200mLの“200mlの水に、サイジング処理がなされた炭素繊維2gの割合で混合した試験液”を90cmの高さから内径2.9mmの細孔を通じ、50mLの同試験液を入れた内径50mmの目盛管中に流下させ、全ての試験液が流下した直後の泡高さ(起泡直後の泡高さ)と、全ての試験液が流下した直後から5分後の泡高さ(起泡5分後の泡高さ)とを測定した。
そして、上記測定において、起泡直後の泡高さが5mm以下:○、起泡直後の泡高さは5mm以上であるが、起泡5分後の泡高さが5mm以下:△、起泡5分後の泡高さが5mmより大きい:×として評価した。
そして、サイジング処理がなされた炭素繊維と水とを撹拌した際の起泡性と、サイジング処理がなされた炭素繊維とケイ酸カルシウムマトリクスを形成する原料(石灰原料とケイ酸原料との混合物)とを水溶液中で撹拌し互いに分散させる工程における起泡性と、は互いに相関するものである。よって上記評価結果をそのまま、サイジング処理がなされた炭素繊維とケイ酸カルシウムマトリクスを形成する原料(石灰原料とケイ酸原料との混合物)とを水溶液中で撹拌し互いに分散させて炭素繊維とケイ酸カルシウムマトリクスを形成する原料との混合物を得る際、起泡しないものとする評価結果とした。
また、(2)炭素繊維同士が絡み合うことなくはかりとることができるか否か(絡み合いの有無)については、目視による官能評価にて評価を行った。炭素繊維の絡み合いの有無は、○:炭素繊維同士の絡み合いが確認されない(炭素繊維が絡み合うことなくはかりとることができる)、×:炭素繊維同士の絡み合いが確認された(炭素繊維が絡み合いはかりとることができない)、の二段階にて評価した。
表3にて示されるように、炭素集束剤A−1〜10、B−1〜5、C−1〜5が用いられた炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体のそれぞれは、強度の高いものであった。しかしながら、炭素集束剤C−1〜5が用いられた炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体は、炭素繊維の分散状態が悪く、また製造時、炭素繊維同士の絡み合いがみられハンドリング性は低いものであった。
また、炭素繊維集束剤にポリエチレンオキサイドを用いたものは、炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体の密度が0.71g/cmを超えるものを形成することができなかった。すなわち、0.71g/cmを超える密度の炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体を形成するように脱水プレス工程での面圧を高めると、デラミネーションを起こしてしまったためである。

Claims (6)

  1. 炭素数が4以上の糖アルコールと、水と、を含み、
    前記糖アルコールは、常温常圧で固体である、
    ことを特徴とする炭素繊維用集束剤。
  2. 前記糖アルコールは吸湿性を有する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の炭素繊維用集束剤。
  3. 前記糖アルコールは、キシリトール、D−ソルビトール、および、マルチトールからなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、
    ことを特徴とする請求項2に記載の炭素繊維用集束剤。
  4. 請求項1乃至3いずれかに記載された炭素繊維用集束剤が表面に付着している、
    ことを特徴とする炭素繊維。
  5. 請求項1乃至3いずれかに記載された炭素繊維用集束剤と、
    炭素繊維と、
    ケイ酸カルシウムマトリクスと、を含む、
    ことを特徴とする炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体。
  6. 請求項4に記載された炭素繊維と、ケイ酸カルシウムマトリクスを形成する原料と、を混合する混合工程と、前記混合工程によって得られた混合物を用いて成形体を成形する工程と、を含む、
    ことを特徴とする炭素繊維強化ケイ酸カルシウム成形体の製造方法。
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