JP2013204024A - 分解油回収装置及び分解油製造方法 - Google Patents

分解油回収装置及び分解油製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】簡易な構造であって、小型で効率よく臭素を除去することのできる分解油回収装置を提供する。
【解決手段】不純物を含むプラスチックを熱分解する熱分解槽110と、前記熱分解により発生するガス状の生成物を冷却して分解油として回収する冷却槽と、前記熱分解槽110と前記冷却槽とを接続する配管と、前記熱分解槽内110に設けられており、前記分解油を流すことのできる内部配管を有する不純物付着部210と、前記冷却槽及び前記不純物付着部210と接続されており、前記冷却槽において回収された前記分解油を前記不純物付着部210における前記内部配管に流す循環ポンプ220と、を有することを特徴とする分解油回収装置。
【選択図】図2

Description

本発明は、廃プラスチックからの分解油回収装置及び分解油製造方法に関するものである。
近年、パソコンや携帯電話等の筐体や部品に用いられている廃プラスチックを熱分解により油化し、分解油として回収する廃プラスチックのリサイクル技術が着目されている。このように回収された分解油は燃料等として再利用されるが、廃プラスチックの中には、難燃剤として臭素系難燃剤を含んでいるものがあり、臭素系難燃剤が含まれる廃プラスチックから回収された分解油には、臭素(Br)が多く含まれている。このため、臭素が含まれている分解油を燃料として燃焼させた場合には、臭素ダイオキシン等が発生し、環境に悪影響を与えたり、金属を腐食して装置に損傷を与えたりする可能性があるため、燃料としては好ましくない。
具体的に、図1に基づき廃プラスチックより分解油を回収する分解油回収装置について説明する。廃プラスチックの熱分解による油化技術は、通常、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン等を対象とする場合が多い。この分解油回収装置では、熱分解槽10内に廃プラスチックを投入し、熱分解槽10の内部を窒素置換して酸素を含まない雰囲気とし、加熱部20により熱分解槽10の温度を300℃〜600℃に加熱する。加熱部20において加熱することにより、熱分解槽10内に投入された廃プラスチックは、融点以上の温度となり、溶融した廃プラスチック30となる。このような溶融した廃プラスチック30は熱分解し、気化したガス状の生成物が発生する。
気化したガス状の生成物は、第1の配管40を通って第1の冷却槽50に導かれ、冷却される。これにより、第1の冷却槽50のタンク部51には、ガス状の生成物が液体となった重質の分解油80が溜まる。一方、第1の冷却槽50において液体とならなかった気化したガス状の生成物は、更に、第2の配管60を通って、第2の冷却槽70に導かれ、冷却される。これにより、第2の冷却槽70のタンク部71には、ガス状の生成物が液体となった軽質の分解油90が溜まる。尚、第1の冷却槽50及び第2の冷却槽70はガス状の生成物を回収することができるように、所定の温度となっており、通常、第1の冷却槽50の温度よりも第2の冷却槽70の温度が低くなっている。また、第2の冷却槽70において液体とならなかった気化したガス状の生成物は、分解ガスとして、第2の冷却槽70より排出される。
このような構造の分解油回収装置では、第1の冷却槽50のタンク部51には、ガス状の生成物が液体となった重質の分解油80が溜まり、また、第2の冷却槽70のタンク部71には、分解油80よりも沸点の低い軽質の分解油90が溜まる。このようにして分解油80及び90を燃料となる油として回収することができる。
特開2001−254083号公報 特開2002−226625号公報
ところで、前述したように、図1に示す分解油回収装置において、廃プラスチックに不純物となるもの、例えば、臭素系難燃剤が含まれている場合、特に、第1の冷却槽50に溜まった分解油80には、臭素を含む化合物が多く含まれる。よって、この分解油80を燃料等として燃焼させると、臭素ダイオキシン等が発生したり、金属を腐食したりしてしまう。このため、特許文献1及び2に記載されている分解油回収装置では、第1の配管40等において臭素成分を吸着する部材が設けられており、これにより回収される分解油に含まれる臭素成分を減らすことができる。
しかしながら、熱分解槽10において発生したガス生成物のうち臭素を含む化合物は分解油に比べ沸点等が高いため、熱分解槽10よりも低温となる第1の配管40の内部に付着し、第1の配管40を閉塞してしまう。
また、臭素成分を吸着する部材を設けることにより、装置が大型化してしまう場合や、装置の構造が複雑となってしまう場合があり、これらの場合においては、装置を設置するための広いスペースを要し、また、装置が高価なものとなってしまう。
このため、臭素等の不純物を含む廃プラスチックより分解油を回収する分解油回収装置及び分解油製造方法において、簡易な構造であって、小型で効率よく臭素等の不純物を除去することのできる分解油回収装置及び分解油製造方法が求められている。
本実施の形態の一観点によれば、不純物を含むプラスチックを熱分解する熱分解槽と、前記熱分解により発生するガス状の生成物を冷却して分解油として回収する冷却槽と、前記熱分解槽と前記冷却槽とを接続する配管と、前記熱分解槽内に設けられており、前記分解油を流すことのできる内部配管を有する不純物付着部と、前記冷却槽及び前記不純物付着部と接続されており、前記冷却槽において回収された前記分解油を前記不純物付着部における前記内部配管に流す循環ポンプと、を有することを特徴とする。
また、本実施の形態の他の一観点によれば、不純物を含むプラスチックを熱分解してガス状の生成物を発生させ、前記ガス状の生成物を冷却槽において冷却することにより分解油を製造する分解油製造方法において、熱分解槽内における前記不純物を含むプラスチックを加熱し、熱分解してガス状の生成物を発生させ、前記熱分解槽内に設けられた不純物付着部における内部配管に、前記回収された分解油を流すことにより、前記不純物付着部の表面に、前記不純物を含む化合物を付着させることを特徴とする。
開示の分解油回収装置及び分解油製造方法によれば、臭素等の不純物を含む廃プラスチックより分解油を回収する分解油回収装置及び分解油製造方法において、簡易な構造であって、小型で効率よく臭素等の不純物を除去することができる。
従来の分解油回収装置の構造図 第1の実施の形態における分解油回収装置の構造図 第1の実施の形態における不純物付着部の説明図 第1の実施の形態における他の不純物付着部の説明図 第1の実施の形態における分解油回収方法(分解油製造方法)のフローチャート 第2の実施の形態における分解油回収装置の構造図 第2の実施の形態における分解油回収方法(分解油製造方法)のフローチャート
発明を実施するための形態について、以下に説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。
〔第1の実施の形態〕
(分解油回収装置)
第1の実施の形態における分解油回収装置について図2に基づき説明する。本実施の形態における分解油回収装置は、熱分解槽110、加熱部120、第1の配管140、第1の冷却槽150、第2の配管160、第2の冷却槽170、不純物付着部210、循環ポンプ220、フィルタ部230及び制御部300等を有している。尚、熱分解槽110は、第1の配管140を介し第1の冷却槽150と接続されており、第1の冷却槽150は、第2の配管160を介し第2の冷却槽170と接続されている。また、制御部300は、加熱部120及び循環ポンプ220等における制御を行なう。
本実施の形態における分解油回収装置では、熱分解槽110内に不純物となる臭素成分等を含む廃プラスチックを投入し、熱分解槽110の内部を窒素置換して酸素を含まない雰囲気とし、加熱部120により熱分解槽110の温度を300〜600℃に加熱する。加熱部120はバーナー等であり、加熱部120により熱分解槽110を加熱することにより、投入された廃プラスチックは、融点以上の温度となり、溶融した廃プラスチック130となる。このような溶融した廃プラスチック130は熱分解し、気化したガス状の生成物が発生する。
このように発生した気化したガス状の生成物は、第1の配管140を通り、第1の冷却槽150に導かれて冷却され、液体となった分解油180と沈殿物181等が第1の冷却槽150のタンク部151に溜まる。更に、第1の冷却槽150で液化または固体化しなかったガス状の生成物は、第2の配管160を通って、第2の冷却槽170に導かれて冷却され、液体となった分解油190が第2の冷却槽170のタンク部171に溜まる。尚、本実施の形態においては、第1の冷却槽150は、150℃〜200℃となっており、この温度において液体となる分解油180等が、第1の冷却槽150のタンク部151に溜まる。また、第2の冷却槽170は、約30℃となっており、この温度において液体となる分解油190が、第2の冷却槽170のタンク部171に溜まる。更に、約30℃において気体であるガス状の生成物は、排気口172より排出される。
本実施の形態においては、不純物付着部210は、熱分解槽110の内部に設けられており、熱分解槽110の外部に設けられている循環ポンプ220及びフィルタ部230と接続されている。具体的には、不純物付着部210は、接続管241を介し熱分解槽110の外部に設けられている循環ポンプ220と接続されており、接続管242を介し熱分解槽110の外部に設けられているフィルタ部230と接続されている。また、循環ポンプ220は、接続管243を介し、第1の冷却槽150におけるタンク部151と接続されており、フィルタ部230は接続管244を介し、第1の冷却槽150と接続されている。よって、循環ポンプ220を動かすことにより、分解油180をタンク部151から、接続管243、循環ポンプ220、接続管241、不純物付着部210、接続管242、フィルタ部230、接続管244、第1の冷却槽150の順に循環させることができる。
このように、本実施の形態は、第1の冷却槽150のタンク部151に溜まっている分解油180を不純物付着部210の内部に流すことにより、不純物付着部210の表面における温度を熱分解槽110の内部の温度よりも低い所定の温度にすることができる。これにより、不純物付着部210の表面に、気体となるガス状の生成物に含まれている臭素を含む化合物を付着させることができる。即ち、分解油180を不純物付着部210の内部に流すことにより、不純物付着部210の表面の温度を、臭素を含む化合物の融点又は沸点以下にすることができ、これにより、臭素を含む化合物を液体状態または固体状態等として付着させることができる。
次に、不純物付着部210について、より詳細に説明する。図3に示すように、不純物付着部210は、外部がステンレス等の金属材料またはセラミックス等の材料により板状に形成されており、内部には内部配管211が設けられている。内部配管211は、不純物付着部210を所定の温度に保つことができるように、例えば、蛇行した形状で形成され配設されており、内部配管211の入口は接続管241と接続されており、出口は接続管242と接続されている。これにより、接続管241より、分解油180を内部配管211内に流入させて流すことができ、内部配管211内を流れた分解油180は、接続管242へと排出される。
本実施の形態においては、循環ポンプ220を動かすことにより、第1の冷却槽150のタンク部151に溜まっている分解油180を接続管243から循環ポンプ220、接続管241を介し、不純物付着部210に向けて流すことができる。これにより、分解油180は、不純物付着部210の内部に設けられた内部配管211を流れる。分解油180は、上述したように、150℃〜200℃の温度で液体となったものであるため、不純物付着部210の内部配管211に分解油180を流すことにより、不純物付着部210の表面の温度を熱分解槽110の温度よりも低くすることができる。具体的には、不純物付着部210の表面の温度を、臭素を含む化合物の融点又は沸点以下であって、分解油180の沸点以上となる温度、例えば、250℃〜350℃の温度にすることができる。これにより、不純物付着部210の表面に臭素を含む化合物を付着させることができる。尚、不純物付着部210は、熱分解槽110の内部に設けられているため、熱分解槽110の内部の熱が伝わる。このため、不純物付着部210の内部配管211を流れる分解油180の流量等を循環ポンプ220により調節することにより、不純物付着部210の表面の温度を150℃〜200℃よりも若干高い温度となる250℃〜350℃にすることができる。これにより、臭素を含む化合物は、不純物付着部210の表面に付着されるため、熱分解槽110から殆ど外に出ることはなく、臭素を含む化合物により第1の配管140等が詰まることも殆どない。この後、内部配管211内を流れた分解油180は、接続管242へと排出され、接続管242を介し、フィルタ部230に流入する。
ところで、第1の冷却槽150では、気化したガス状の生成物を冷却することにより、分解油180が第1の冷却槽150のタンク部151に溜まるが、第1の冷却槽150に導かれた気化したガス状の生成物の中には、臭素を含む化合物が若干含まれている。即ち、前述したように、熱分解槽110の内部において気化したガス状の生成物のうち、臭素を含む化合物は、不純物付着部210に付着するため、その多くは除去されるが、不純物付着部210のみでは、臭素を含む化合物を完全には取り除くことはできない。従って、第1の冷却槽150に導かれた気化したガス状の生成物の中には、臭素を含む化合物が若干含まれており、第1の冷却槽150のタンク部151に溜まっている分解油180には、僅かながら不純物成分として臭素又は臭素を含む化合物が含まれている。
本実施の形態における分解油回収装置には、フィルタ部230が設けられており、分解油180に、僅かながら含まれている臭素又は臭素を含む化合物をフィルタ部230により除去することができる。具体的には、フィルタ部230内には、臭素を含む化合物を除去する薬剤等が設置されており、フィルタ部230内に分解油180を通すことにより、分解油180内に含まれる臭素を含む化合物をフィルタ部230内に含まれる薬剤に吸着させて除去する。これにより、タンク部151に溜まっている分解油180に含まれる臭素を含む化合物をより一層減らすことができる。尚、フィルタ部230内に設けられている薬剤等は、化学反応により臭素を含む化合物を吸着し、除去することができるものである。具体的に、フィルタ部230内に設置される薬剤等としては、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物、炭酸カルシウム等の金属炭酸化物等が挙げられる。
本実施の形態においては、不純物付着部210は、熱分解槽110の内部に設置されているため、接続管242へと排出される分解油180の温度は、接続管241より流入する際の温度、即ち、タンク部151に溜まった状態の分解油180の温度よりも高くなる。具体的には、不純物付着部210は、熱分解槽110の内部に設置されているため不純物付着部210にも熱が伝わり、この熱が不純物付着部210の内部配管211内を流れる分解油180に伝わる。従って、不純物付着部210の内部配管211内を流れる分解油180は暖められるため、接続管241より流入する際の温度よりも接続管242へと排出される際の温度が高くなる。前述したように、フィルタ部230内に設置された薬剤は、化学反応により、臭素を含む化合物を吸着し除去するものであるため、分解油180の温度が高いと、薬剤との化学反応が促進される。従って、不純物付着部210の内部配管211内において、分解油180が暖められることにより、フィルタ部230に含まれる薬剤における臭素を含む化合物の吸着効率が高くなり、分解油180における臭素を含む化合物の除去効率を向上させることができる。よって、分解油180に含まれる臭素を含む化合物をより一層減らすことができる。
このように、本実施の形態においては、不純物付着部210の内部配管211内に分解油180を流しており、分解油180が冷媒として機能している。また、不純物付着部210の内部配管211内を流すことにより、内部配管211内において暖められた分解油180をフィルタ部230に流すことにより、臭素を含む化合物の除去効率を高めることができる。
より詳細に説明すると、熱分解槽110は加熱部120により連続的に加熱されているため、熱分解槽110より第1の配管140を介して気化したガス状の生成物は、連続的に第1の冷却槽150に導かれ、新たな分解油180がタンク部151に溜まる。このようにタンク部151に溜まった新たな分解油180は、若干臭素を含む化合物が含まれている。しかしながら、新たな分解油180も、既に、タンク部151に溜まっている分解油180とともに、循環ポンプ220により循環させることにより、フィルタ部230において、臭素を含む化合物を除去することができる。これにより、タンク部151に溜まっている分解油180の全体における臭素を含む化合物の濃度は、フィルタ部230が設けられていない場合と比較すると低くなる。また、本実施の形態においては、分解油180は、不純物付着部210の内部配管211を通った後、フィルタ部230に流入する。このため、不純物付着部210を通すことなく、タンク部151より直接フィルタ部に流入させる場合と比べて、分解油180の温度が高い状態で、フィルタ部230に流入させることができるため、より一層臭素を含む化合物を除去することができる。
このようにして、第1の冷却槽150のタンク部151には、ガス状の生成物が液化したものが溜まるが、この液化した生成物には、重質の分解油180と沈殿物181が含まれている。沈殿物181はタンク部151の底に沈殿するため、上澄みを回収することにより分解油180を回収することができる。尚、分解油180は、フィルタ部230において臭素を含む化合物が除去されているため、分解油180に含まれる臭素を含む化合物の濃度は極めて低い。また、第2の冷却槽170のタンク部171には、分解油180よりも沸点の低い軽質の分解油190が溜まる。このように回収された分解油180及び190は、臭素を含む化合物を殆ど含んでいないため、燃焼させた場合においても臭素ダイオキシン等の有害物質が殆ど発生することはない。
尚、第1の冷却槽150のタンク部151では、重質の分解油が回収され、第2の冷却槽170のタンク部171では、軽質の分解油が回収される。この際、第2の冷却槽170のタンク部171において回収される軽質の分解油は、臭素を含む化合物の沸点や分子量が大きく異なるため、軽質の分解油に臭素を含む化合物が混入する程度は極めて少ない。
また、本実施の形態における分解油回収装置では、不純物付着部210に用いる冷媒として分解油180を用いているため、冷媒や冷媒を入れる容器等を設ける必要がない。従って、簡易で、小型で、低価格な分解油回収装置により、分解油180に含まれる臭素を含む化合物を減らすことができる。また、不純物付着部210の内部を通った分解油180は、その後、タンク部151に溜まっている分解油180よりも高い温度でフィルタ部230を通すため、高い吸着率で臭素を含む化合物を除去することができる。これにより、より一層分解油180に含まれる臭素を含む化合物の量を減らすことができる。
(不純物付着部)
本実施の形態における分解油回収装置に設置される不純物付着部210は、前述したように、外形が板状に形成されたものの内部に内部配管211が形成されている構造以外の構造であってもよい。
例えば、図4(a)に示す不純物付着部310のように、外形が羽状に形成されており、内部には不図示の内部配管が設けられており、接続管241から流入した分解油180が内部配管を通った後、接続管242から排出される構造のものであってもよい。
また、図4(b)に示す不純物付着部311のように、縦横に各々配置された配管の端部を接続することにより、外形が網状の構造となるように形成されたものであってもよい。この不純物付着部311では、接続管241から流入した分解油180が不純物付着部311の内部を通った後、接続管242から排出される。
また、図4(c)に示す不純物付着部312のように、不純物付着部210における内部配管211のみを取り出した構造となる外形がパイプ状の構造となるように形成されたものであってもよい。この不純物付着部312では、接続管241から流入した分解油180が不純物付着部312の内部を通った後、接続管242から排出される。
(分解油回収方法)
次に、本実施の形態における分解油回収方法について説明する。本実施の形態における分解油回収方法は、本実施の形態における分解油回収装置を用いたものであり、図5に基づき説明する。尚、本実施の形態は、分解油回収方法であるが、分解油を回収することにより分解油を製造する方法でもあるため、分解油製造方法と記載する場合がある。
最初に、ステップ102(S102)において、熱分解槽110に廃プラスチックを投入し、300℃〜600℃に加熱する。これにより、熱分解槽110に投入された廃プラスチックは熱分解し、気化したガス状の生成物が発生する。このように、気化したガス状の生成物は、第1の配管140を通り、第1の冷却槽150に導かれて冷却され、所定の温度以上の沸点を有するものが液体となり、第1の冷却槽150のタンク部151に分解油180等として溜まる。
次に、ステップ104(S104)において、循環ポンプ220を駆動し、分解油180を不純物付着部210の内部配管211に流入させる。具体的には、循環ポンプ220を駆動させることにより、第1の冷却槽150のタンク部151に溜まった分解油180をタンク部151より、接続管243、循環ポンプ220、接続管241を介し、不純物付着部210の内部配管211に流入させる。これにより、不純物付着部210の表面の温度が臭素を含む化合物が付着する温度、即ち、250℃〜350℃となり、不純物付着部210の表面には、臭素を含む化合物が付着する。
次に、ステップ106(S106)において、不純物付着部210の内部配管211より排出された分解油180が接続管242を介し、フィルタ部230に流入する。具体的には、分解油180は、不純物付着部210の内部配管211を通ることにより、内部配管211に入る前よりも高温となっており、このような高温状態となった分解油180が、フィルタ部230に流入する。フィルタ部230では、化学反応により臭素を含む化合物を吸着させる薬剤が設置されており、この薬剤により、高温状態となった分解油180に含まれている不純物成分となる臭素または臭素を含む化合物を効率よく除去することができる。
次に、ステップ108(S108)において、フィルタ部230より排出された分解油180は、接続管244を介し、第1の冷却槽150に戻る。これにより、フィルタ部230より排出された分解油180は、第1の冷却槽150のタンク部151に溜まっている分解油180と混合される。フィルタ部230を通った分解油180は、臭素を含む化合物が除去されているため、タンク部151に溜まっている分解油180と混合されることにより、タンク部151に溜まっている分解油180の全体に含まれる臭素を含む化合物を減らすことができる。これにより、タンク部151に溜まっている分解油180の臭素を含む化合物の濃度を低くすることができる。
また、本実施の形態における分解油回収方法では、不純物付着部210に用いる冷媒として分解油180を用いているため、簡易に、低コストで、分解油180に含まれる臭素を含む化合物を減らすことができる。
〔第2の実施の形態〕
(分解油回収装置)
次に、第2の実施の形態における分解油回収装置について説明する。本実施の形態における分解油回収装置は、フィルタ部が設けられていない構造のものである。図6に基づき本実施の形態における分解油回収装置について説明する。本実施の形態における分解油回収装置は、熱分解槽110、加熱部120、第1の配管140、第1の冷却槽150、第2の配管160、第2の冷却槽170、不純物付着部210、循環ポンプ220及び制御部300等を有している。尚、熱分解槽110は、第1の配管140を介し第1の冷却槽150と接続されており、第1の冷却槽150は、第2の配管160を介し第2の冷却槽170と接続されている。また、制御部300は、加熱部120及び循環ポンプ220等における制御を行なう。
本実施の形態における分解油回収装置では、熱分解槽110内に不純物となる臭素成分等を含む廃プラスチックを投入し、熱分解槽110の内部を窒素置換して酸素を含まない雰囲気とし、加熱部120により熱分解槽110の温度を300〜600℃に加熱する。加熱部120はバーナー等であり、加熱部120により熱分解槽110を加熱することにより、投入された廃プラスチックは、融点以上の温度となり、溶融した廃プラスチック130となる。このような溶融した廃プラスチック130は熱分解し、気化したガス状の生成物が発生する。
このように発生した気化したガス状の生成物は、第1の配管140を通り、第1の冷却槽150に導かれて冷却され、液体となった分解油180と沈殿物181等が第1の冷却槽150のタンク部151に溜まる。更に、第1の冷却槽150で液化しなかったガス状の生成物は、第2の配管160を通って、第2の冷却槽170に導かれて冷却され、液体となった分解油190が第2の冷却槽170のタンク部171に溜まる。尚、本実施の形態においては、第1の冷却槽150は、150℃〜200℃となっており、この温度において液体となる分解油180及び沈殿物181等が、第1の冷却槽150のタンク部151に溜まる。また、第2の冷却槽170は、約30℃となっており、この温度において液体となる分解油190が、第2の冷却槽170のタンク部171に溜まる。更に、約30℃において気体となるガス状の生成物は、排気口172より排出される。
本実施の形態においては、不純物付着部210は、熱分解槽110の内部に設けられており、熱分解槽110の外部に設けられている循環ポンプ220と接続されている。具体的には、不純物付着部210は、接続管241を介し熱分解槽110の外部に設けられている循環ポンプ220と接続されている。また、不純物付着部210は、接続管246を介し、第1の冷却槽150と接続されており、循環ポンプ220は、接続管243を介し、第1の冷却槽150におけるタンク部151と接続されている。よって、循環ポンプ220を動かすことにより、分解油180をタンク部151から、接続管243、循環ポンプ220、接続管241、不純物付着部210、接続管246、第1の冷却槽150の順に循環させることができる。
このように、本実施の形態は、第1の冷却槽150のタンク部151に溜まっている分解油180を不純物付着部210の内部に流すことにより、不純物付着部210の表面における温度を熱分解槽110の内部の温度よりも低い所定の温度にすることができる。これにより、不純物付着部210の表面に、気体となるガス状の生成物に含まれている臭素を含む化合物を付着させることができる。即ち、分解油180を不純物付着部210の内部に流すことにより、不純物付着部210の表面の温度を、臭素を含む化合物の融点又は沸点以下にすることができ、これにより、臭素を含む化合物を液体状態または固体状態等として付着させることができる。
本実施の形態においては、分解油180は150℃〜200℃の温度で液体となったものであるため、不純物付着部210の内部配管211に分解油180を流すことにより、不純物付着部210の表面の温度を熱分解槽110の温度よりも低くすることができる。具体的には、不純物付着部210の表面の温度を、臭素を含む化合物の融点又は沸点以下であって、分解油180の沸点以上となる温度、例えば、250℃〜350℃の温度にすることができる。これにより、不純物付着部210の表面に臭素を含む化合物を付着させることができる。尚、不純物付着部210は、熱分解槽110の内部に設けられているため、熱分解槽110の内部の熱が伝わる。このため、不純物付着部210における内部配管211内を流れる分解油180の流量等を循環ポンプ220により調節することにより、不純物付着部210の表面の温度を150℃〜200℃よりも少し高い、250℃〜350℃の温度にすることができる。これにより、臭素を含む化合物は、不純物付着部210の表面に付着されるため、熱分解槽110から殆ど外に出ることはなく、臭素を含む化合物により第1の配管140等が詰まることも殆どない。この後、内部配管211内を流れた分解油180は、接続管246へと排出され、接続管246を介し、第1の冷却槽150に戻る。
このようにして、第1の冷却槽150のタンク部151には、ガス状の生成物が液化したものが溜まるが、この液化した生成物には、重質の分解油180と沈殿物181が含まれている。沈殿物181はタンク部151の底に沈殿するため、上澄みを回収することにより分解油180を回収することができる。また、第2の冷却槽170のタンク部171には、分解油180よりも沸点の低い軽質の分解油190が溜まる。このように回収された分解油180及び190は、臭素を含む化合物を殆ど含んでいないため、燃焼させた場合においても臭素ダイオキシン等の有害物質が殆ど発生することはない。
尚、第1の冷却槽150のタンク部151では、重質の分解油が回収され、第2の冷却槽170のタンク部171では、軽質の分解油が回収される。この際、第2の冷却槽170のタンク部171において回収される軽質の分解油は、臭素を含む化合物の沸点や分子量が大きく異なるため、軽質の分解油に臭素を含む化合物が混入する程度は極めて少ない。
本実施の形態における分解油回収装置では、不純物付着部210に用いる冷媒として分解油180を用いているため、冷媒や冷媒を入れる容器等を設ける必要がない。従って、簡易で、小型で、安価な分解油回収装置により、分解油180に含まれる臭素を含む化合物を減らすことができる。
(分解油回収方法)
次に、本実施の形態における分解油回収方法について説明する。本実施の形態における分解油回収方法は、本実施の形態における分解油回収装置を用いたものであり、図7に基づき説明する。尚、本実施の形態は、分解油回収方法であるが、分解油を回収することにより分解油を製造する方法でもあるため、分解油製造方法と記載する場合がある。
最初に、ステップ202(S202)において、熱分解槽110に廃プラスチックを投入し、300℃〜600℃に加熱する。これにより、熱分解槽110に投入された廃プラスチックは熱分解し、気化したガス状の生成物が発生する。このように、気化したガス状の生成物は、第1の配管140を通り、第1の冷却槽150に導かれて冷却され、所定の温度以上の沸点を有するものが液体となり、第1の冷却槽150のタンク部151に分解油180等として溜まる。
次に、ステップ204(S204)において、循環ポンプ220を駆動し、分解油180を不純物付着部210の内部配管211に流入させる。具体的には、循環ポンプ220を駆動させることにより、第1の冷却槽150のタンク部151に溜まった分解油180をタンク部151より、接続管243、循環ポンプ220、接続管241を介し、不純物付着部210の内部配管211に流入させる。これにより、不純物付着部210の表面の温度が臭素を含む化合物が付着する温度、即ち、250℃〜350℃となり、不純物付着部210の表面には、臭素を含む化合物が付着する。
次に、ステップ206(S206)において、不純物付着部210の内部配管211より排出された分解油180は、接続管246を介し、第1の冷却槽150に戻る。これにより、不純物付着部210の内部配管211より排出された分解油180は、第1の冷却槽150のタンク部151に溜まっている分解油180と混合される。
本実施の形態における分解油回収方法では、不純物付着部210に用いる冷媒として分解油180を用いているため、簡易に、低コストで、分解油180に含まれる臭素を含む化合物を減らすことができる。
(比較例1)
比較例1について説明する。ABS−FR(17)と識別表示されている廃プラスチックは、臭素系難燃剤を含むABS樹脂であり、一般には、臭素系難燃剤が25wt%以下含まれている。この廃プラスチックにおける臭素含有量を分析したところ約8wt%であった。この廃プラスチックを図1に示されるようなバッチ式の熱分解槽10に6kg投入し、密閉した後、熱分解槽10、第1の配管40、第1の冷却槽50、第2の配管60及び第2の冷却槽70の内部を窒素置換した。この後、加熱部20となるバーナーにより、熱分解槽10が450℃になるまで約5℃/分で加熱し、450℃に到達した後は、450℃で一定温度となるように制御し加熱されている。尚、この温度は熱分解槽10の外側の温度である。
熱分解槽10の内部の温度が約300℃を超えると、第1の配管40の内部に付着物が付着し始め、温度が上昇するとともに、付着物の量も増加する。熱分解槽10の内部の温度が約370℃になると、第1の冷却槽50のタンク部51に分解油80が生成され始めるが、その後、第1の配管40に付着している付着物により第1の配管40の内部が塞がれてしまい、この処理を中止した。尚、熱分解槽10の内部の温度は熱電対により測定した温度である。
第1の冷却槽50の内部のタンク部51には、分解油80とドロドロした沈殿物からなる生成物が溜まっており、分解油80に対し沈殿物は比重が重いため、沈殿物はタンク部51の底に沈殿している。沈殿物はタンク部51に溜まっている生成物全体の体積に対し約20%であった。
本比較例では、第1の配管40の内部に付着している付着物の臭素含有量は29wt%であり、分解油80における臭素含有量は2wt%であり、沈殿物における臭素含有量は15wt%であった。このように得られた分解油80を燃焼させて発熱量を測定したところ、36.2MJ/kgであり、発熱量の測定に用いたステンレス(SUS)容器は腐食していた。
(実施例1)
次に、実施例1について説明する。実施例1は、第1の実施の形態に対応する実施例である。ABS−FR(17)と識別表示されている廃プラスチックを図2に示されるようなバッチ式の熱分解槽110に6kg投入し、密閉した後、熱分解槽110、第1の配管140、第1の冷却槽150、第2の配管160及び第2の冷却槽170の内部を窒素置換した。尚、本実施例では、第1の冷却槽150のタンク部151に、予めエチルベンゼン3kgを入れておき、初期段階における不純物付着部210を冷却するための冷媒として使用した。また、フィルタ部230には、内部に薬剤として水酸化ナトリウムを充填したものを用いた。この後、加熱部120となるバーナーにより、熱分解槽110が450℃になるまで約5℃/分で加熱し、450℃に到達した後は、450℃で一定温度となるように制御し加熱されている。尚、この温度は熱分解槽110の外側の温度である。
熱分解槽110の内部の温度が約380℃となると、熱分解槽110の内部で廃プラスチックは溶融・熱分解し、気化したガス状の生成物が発生し、第1の冷却槽150及び第2の冷却槽170において分解油が生成され始める。尚、熱分解槽110の内部の温度は熱電対により測定した温度である。この温度では、第1の配管140の内部には、うっすらと曇りが生じるものの、第1の配管140の内部に臭素を含む化合物等が付着し第1の配管140の内部が閉塞することはなかった。
更に、熱分解槽110を加熱することにより第1の冷却槽150の内部のタンク部151には、分解油180と沈殿物181からなる生成物が溜まり、分解油180に対し沈殿物181の比重が重いため、沈殿物181はタンク部151の底に沈殿している。沈殿物181は、タンク部151に溜まっている生成物全体の体積に対し5%以下であった。
本実施例では、不純物付着部210に付着している付着物の臭素含有量は33wt%であり、分解油180における臭素含有量は220ppm(推定値)であり、沈殿物181における臭素含有量は15wt%であった。このように得られた分解油180を燃焼させて発熱量を測定したところ、39.7MJ/kg(推定値)であり、発熱量の測定に用いたステンレス(SUS)容器の腐食は確認されなかった。尚、本実施例における分解油180における臭素含有量及び分解油180を燃焼させた発熱量は、後述する実施例2と同様に、エチルベンゼンの影響を考慮して得られた値であり推定値である。
このように、本実施例では、分解油180に含まれる臭素の量を比較例1と比べて顕著に減少させることができた。また、分解油180における臭素の含有量は、この程度であれば、分解油180を燃焼させても環境に悪影響を与えるレベルの臭素ダイオキシンが発生することはない。また、本実施例においては、便宜上、初期段階における不純物付着部210を冷却するための冷媒としてエチルベンゼンを用いた。しかしながら、分解油回収装置において、分解油の回収を連続的に行なう場合等には、前に生成された分解油180を所定量残しておくことにより、本実施例と同様の効果を得ることができる。
(実施例2)
次に、実施例2について説明する。実施例2は、第2の実施の形態に対応する実施例である。ABS−FR(17)と識別表示されている廃プラスチックを図6に示されるようなバッチ式の熱分解槽110に6kg投入し、密閉した後、熱分解槽110、第1の配管140、第1の冷却槽150、第2の配管160及び第2の冷却槽170の内部を窒素置換した。尚、本実施例では、第1の冷却槽150のタンク部151に、予めエチルベンゼン3kgを入れておき、初期段階における不純物付着部210を冷却するための冷媒として使用した。この後、加熱部120となるバーナーにより、熱分解槽110が450℃になるまで約5℃/分で加熱し、450℃に到達した後は、450℃で一定温度となるように制御し加熱されている。尚、この温度は熱分解槽110の外側の温度である。熱分解槽110の内部の温度が約380℃となると、熱分解槽110の内部で廃プラスチックは溶融・熱分解し、気化したガス状の生成物が発生し、第1の冷却槽150及び第2の冷却槽170において分解油が生成され始める。尚、熱分解槽110の内部の温度は熱電対により測定した温度である。この温度では、第1の配管140の内部には、うっすらと曇りが生じるものの、第1の配管140の内部に臭素を含む化合物等が付着し第1の配管140の内部が閉塞することはなかった。
更に、熱分解槽110を加熱することにより第1の冷却槽150の内部のタンク部151には、分解油180と沈殿物181からなる生成物が溜まり、分解油180に対し沈殿物181の比重が重いため、沈殿物181はタンク部151の底に沈殿している。沈殿物181は、タンク部151に溜まっている生成物全体の体積に対し5%以下であった。
本実施例では、不純物付着部210に付着している付着物の臭素含有量は33wt%であり、分解油180における臭素含有量は約0.8%(推定値)であり、沈殿物181における臭素含有量は15wt%であった。このように得られた分解油180を燃焼させて発熱量を測定したところ、38.3MJ/kg(推定値)であり、発熱量の測定に用いたステンレス(SUS)容器の腐食は確認されなかった。尚、分解油180における臭素含有量は、タンク部151に入れられているエチルベンゼンと分解油180との混合物における臭素含有量が、0.43%であったことから推定された推定値である。また、分解油180を燃焼させた発熱量は、タンク部151に入れられているエチルベンゼンと分解油180との混合物を燃焼させた発熱量が39.5MJ/kgであり、エチルベンゼンの発熱量が40.9MJ/kgであることから推定された推定値である。
このように、本実施例では、分解油180に含まれる臭素の量を比較例1と比べて顕著に減少させることができた。また、本実施例においては、便宜上、初期段階における不純物付着部210を冷却するための冷媒としてエチルベンゼンを用いた。しかしながら、分解油回収装置において、分解油の回収を連続的に行なう場合等には、前に生成された分解油180を所定量残しておくことにより、本実施例と同様の効果を得ることができる。
以上、実施の形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
上記の説明に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
不純物を含むプラスチックを熱分解する熱分解槽と、
前記熱分解により発生するガス状の生成物を冷却して分解油として回収する冷却槽と、
前記熱分解槽と前記冷却槽とを接続する配管と、
前記熱分解槽内に設けられており、前記分解油を流すことのできる内部配管を有する不純物付着部と、
前記冷却槽及び前記不純物付着部と接続されており、前記冷却槽において回収された前記分解油を前記不純物付着部における前記内部配管に流す循環ポンプと、
を有することを特徴とする分解油回収装置。
(付記2)
前記不純物付着部における前記内部配管と前記冷却槽とが接続されており、前記不純物付着部における前記内部配管を流れた分解油は、前記冷却槽に戻るものであることを特徴とする付記1に記載の分解油回収装置。
(付記3)
前記冷却槽において回収された前記分解油は、前記循環ポンプにより、前記冷却槽と前記不純物付着部における前記内部配管との間を循環するものであること特徴とする付記2に記載の分解油回収装置。
(付記4)
前記冷却槽及び前記不純物付着部と接続されており、前記不純物付着部における前記内部配管より排出された分解油が流入するフィルタ部を有するものであって、
前記フィルタ部より排出された分解油は、前記冷却槽に戻るものであることを特徴とする付記2に記載の分解油回収装置。
(付記5)
前記冷却槽において回収された前記分解油は、前記循環ポンプにより、前記冷却槽、前記不純物付着部における前記内部配管及び前記フィルタ部を順に循環するものであること特徴とする付記4に記載の分解油回収装置。
(付記6)
前記フィルタ部は、金属水酸化物または金属炭酸化物を有するものであることを特徴とする付記4または5に記載の分解油回収装置。
(付記7)
前記不純物付着部は、外形が、板状、羽状、網状、パイプ状のいずれかの形状を含むものであることを特徴とする付記1から6のいずれかに記載の分解油回収装置。
(付記8)
前記不純物付着部に付着する前記不純物は、臭素を含む化合物であることを特徴とする付記1から7のいずれかに記載の分解油回収装置。
(付記9)
前記不純物付着部の表面の温度は、前記不純物を含む化合物の融点または、沸点以下であることを特徴とする付記1から8のいずれかに記載の分解油回収装置。
(付記10)
前記不純物付着部の表面の温度は、前記冷却槽において回収される前記分解油の沸点以上であることを特徴とする付記9に記載の分解油回収装置。
(付記11)
不純物を含むプラスチックを熱分解してガス状の生成物を発生させ、前記ガス状の生成物を冷却槽において冷却することにより分解油を製造する分解油製造方法において、
熱分解槽内における前記不純物を含むプラスチックを加熱し、熱分解してガス状の生成物を発生させ、
前記熱分解槽内に設けられた不純物付着部における内部配管に、前記回収された分解油を流すことにより、前記不純物付着部の表面に前記不純物を含む化合物を付着させることを特徴とする分解油製造方法。
(付記12)
前記不純物付着部における前記内部配管を流れた後の分解油は、前記冷却槽に戻るものであることを特徴とする付記11に記載の分解油製造方法。
(付記13)
前記冷却槽において回収された前記分解油は、前記循環ポンプにより、前記冷却槽と前記不純物付着部における前記内部配管との間を循環するものであること特徴とする付記12に記載の分解油製造方法。
(付記14)
前記不純物付着部における前記内部配管を流れた後の分解油をフィルタ部に流し、前記分解油に含まれる前記不純物成分を除去し、
前記フィルタ部を流れた後の分解油は、前記冷却槽に戻るものであることを特徴とする付記12に記載の分解油製造方法。
(付記15)
前記冷却槽において回収された前記分解油は、前記循環ポンプにより、前記冷却槽、前記不純物付着部における前記内部配管及び前記フィルタ部を順に循環するものであること特徴とする付記14に記載の分解油製造方法。
(付記16)
前記フィルタ部は、金属水酸化物または金属炭酸化物を有するものであることを特徴とする付記14または15に記載の分解油製造方法。
(付記17)
前記不純物付着部は、外形が、板状、羽状、網状、パイプ状のいずれかの形状を含むものであることを特徴とする付記11から16のいずれかに記載の分解油製造方法。
(付記18)
前記不純物付着部に付着する前記不純物は、臭素を含む化合物であることを特徴とする付記11から17のいずれかに記載の分解油製造方法。
(付記19)
前記不純物付着部の表面の温度は、前記不純物を含む化合物の融点または、沸点以下であることを特徴とする付記11から18のいずれかに記載の分解油製造方法。
(付記20)
前記不純物付着部の表面の温度は、前記冷却槽において回収される前記分解油の沸点以上であることを特徴とする付記19に記載の分解油製造方法。
110 熱分解槽
120 加熱部
130 廃プラスチック
140 第1の配管
150 第1の冷却槽
151 タンク部
160 第2の配管
170 第2の冷却槽
171 タンク部
172 排気口
180 分解油(重質)
181 沈殿物
190 分解油(軽質)
210 不純物付着部
211 内部配管
220 循環ポンプ
230 フィルタ部
241、242、243、244 接続管
300 制御部

Claims (10)

  1. 不純物を含むプラスチックを熱分解する熱分解槽と、
    前記熱分解により発生するガス状の生成物を冷却して分解油として回収する冷却槽と、
    前記熱分解槽と前記冷却槽とを接続する配管と、
    前記熱分解槽内に設けられており、前記分解油を流すことのできる内部配管を有する不純物付着部と、
    前記冷却槽及び前記不純物付着部と接続されており、前記冷却槽において回収された前記分解油を前記不純物付着部における前記内部配管に流す循環ポンプと、
    を有することを特徴とする分解油回収装置。
  2. 前記不純物付着部における前記内部配管と前記冷却槽とが接続されており、前記不純物付着部における前記内部配管を流れた分解油は、前記冷却槽に戻るものであることを特徴とする請求項1に記載の分解油回収装置。
  3. 前記冷却槽及び前記不純物付着部と接続されており、前記不純物付着部における前記内部配管より排出された分解油が流入するフィルタ部を有するものであって、
    前記フィルタ部より排出された分解油は、前記冷却槽に戻るものであることを特徴とする請求項2に記載の分解油回収装置。
  4. 前記フィルタ部は、金属水酸化物または金属炭酸化物を有するものであることを特徴とする請求項3に記載の分解油回収装置。
  5. 前記不純物付着部に付着する前記不純物は、臭素を含む化合物であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の分解油回収装置。
  6. 不純物を含むプラスチックを熱分解してガス状の生成物を発生させ、前記ガス状の生成物を冷却槽において冷却することにより分解油を製造する分解油製造方法において、
    熱分解槽内における前記不純物を含むプラスチックを加熱し、熱分解してガス状の生成物を発生させ、
    前記熱分解槽内に設けられた不純物付着部における内部配管に、前記回収された分解油を流すことにより、前記不純物付着部の表面に、前記不純物を含む化合物を付着させることを特徴とする分解油製造方法。
  7. 前記不純物付着部における前記内部配管を流れた後の分解油は、前記冷却槽に戻るものであることを特徴とする請求項6に記載の分解油製造方法。
  8. 前記不純物付着部における前記内部配管を流れた後の分解油をフィルタ部に流し、前記分解油に含まれる前記不純物成分を除去し、
    前記フィルタ部を流れた後の分解油は、前記冷却槽に戻るものであることを特徴とする請求項7に記載の分解油製造方法。
  9. 前記フィルタ部は、金属水酸化物または金属炭酸化物を有するものであることを特徴とする請求項8に記載の分解油製造方法。
  10. 前記不純物付着部に付着する前記不純物は、臭素を含む化合物であることを特徴とする請求項6から9のいずれかに記載の分解油製造方法。
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