JP2005336307A - 油化装置、及びこれを用いた油化方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 油化対象物を効率良く油化処理し、高収率で高純度の油分を回収することができ、しかも用いる触媒の再利用が容易な油化装置を提供する。
【解決手段】 本発明の油化装置1は、供給された油化対象物の少なくとも一部を熱分解し、油分を含む熱分解ガスを生成する熱分解手段40と、油分の少なくとも一部を低分子量化する触媒81を熱分解ガスに接触させる触媒接触手段80と、触媒接触手段80による処理後の熱分解ガス中の油分の少なくとも一部を凝縮する油分凝縮手段140とを具備し、触媒接触手段80は、触媒81が油化対象物及び残渣に接しないように、熱分解手段40の後段に設けられていることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明の油化装置1は、供給された油化対象物の少なくとも一部を熱分解し、油分を含む熱分解ガスを生成する熱分解手段40と、油分の少なくとも一部を低分子量化する触媒81を熱分解ガスに接触させる触媒接触手段80と、触媒接触手段80による処理後の熱分解ガス中の油分の少なくとも一部を凝縮する油分凝縮手段140とを具備し、触媒接触手段80は、触媒81が油化対象物及び残渣に接しないように、熱分解手段40の後段に設けられていることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、廃プラスチック等の油化対象物を熱分解油化する油化装置、及びこれを用いた油化方法に関する。
従来より、触媒を用いて、廃プラスチックを熱分解油化処理することで、再資源化を図る試みがなされている。
例えば、ポリ塩化ビニルを主成分とする廃プラスチックを、触媒としてカルシウム化合物存在下で熱分解してガス化し、得られた熱分解ガスを凝縮して油分を回収すると共に、熱分解によって発生した塩化水素ガスをカルシウム化合物と反応させて除去する熱分解油化技術が開示されている(特許文献1)。
熱分解油化処理に用いる触媒としては、二酸化珪素と酸化アルミニウムとの合計含有量が70質量%以下であり、且つこれらの組成比が質量比で0.7〜1.7:1であるシリカ・アルミナ触媒が開示されている(特許文献2)。
例えば、ポリ塩化ビニルを主成分とする廃プラスチックを、触媒としてカルシウム化合物存在下で熱分解してガス化し、得られた熱分解ガスを凝縮して油分を回収すると共に、熱分解によって発生した塩化水素ガスをカルシウム化合物と反応させて除去する熱分解油化技術が開示されている(特許文献1)。
熱分解油化処理に用いる触媒としては、二酸化珪素と酸化アルミニウムとの合計含有量が70質量%以下であり、且つこれらの組成比が質量比で0.7〜1.7:1であるシリカ・アルミナ触媒が開示されている(特許文献2)。
また、廃プラスチック等の油化対象物と、触媒として、貝殻、珊瑚の死骸、鍾乳石よりなる群から選ばれる少なくとも一種の粉砕物との混合物を、密閉された乾留槽内で加熱し、熱分解ガスを冷却して油分を回収する連続式油化装置が開示されている(特許文献3)。この装置によれば、油化対象物に紙等の異物が混入している場合にも、高収率で高純度の油分を安定的に連続回収することができる。
同文献にはまた、油化対象物にポリ塩化ビニル等が含まれる場合には、熱分解処理によって発生する塩化水素ガスを、金属触媒等の存在下でアンモニアと反応させ処理することが開示されている。
特開2000−169858号公報
特開2001−152163号公報
特開平11−235561号公報
同文献にはまた、油化対象物にポリ塩化ビニル等が含まれる場合には、熱分解処理によって発生する塩化水素ガスを、金属触媒等の存在下でアンモニアと反応させ処理することが開示されている。
特許文献1〜3に記載の先行技術ではいずれも、油化対象物に触媒を添加し混合した状態で、熱分解処理を行っている。そのため、触媒が残渣に混ざって回収され、触媒を再利用することが困難となっている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、廃プラスチック等の油化対象物を効率良く油化処理し、高収率で高純度の油分を回収することができ、しかも用いる触媒の再利用が容易な油化装置、及びこれを用いた油化方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するべく鋭意検討し、以下の油化装置、及び油化方法を発明した。
本発明の油化装置は、供給された油化対象物の少なくとも一部を熱分解し、油分を含む熱分解ガスを生成する熱分解手段と、油分の少なくとも一部を低分子量化する触媒を前記熱分解ガスに接触させる触媒接触手段と、前記触媒接触手段による処理後の前記熱分解ガス中の油分の少なくとも一部を凝縮する油分凝縮手段とを具備し、前記触媒接触手段は、前記触媒が油化対象物(熱分解により生成する溶融物も含む。)及び残渣に接しないように、前記熱分解手段の後段に設けられていることを特徴とする。
前記熱分解手段は、油化対象物が供給されると共に、これを熱処理する熱分解槽を具備すると共に、前記熱分解槽の底面は断面視弧状とされ、かつその内部には、回動により、前記熱分解槽の底部に付着した固形物を掻き取ると共に、溶融物を拡げるパドル翼が設けられていることが好ましい。
なお、本明細書において、「溶融物」とは、溶融状態にある成分のみならず、これに混入した液分(熱分解により生成するものや必要に応じて添加されるもの。具体的には、水分、ガス化前の油分、タール等。)や固形分(未溶融の油化対象物、油化対象物に含まれていた異物、熱分解槽の底部に堆積した固形物等)も含めた全体を指すものとする。
また、熱分解槽の「断面」は、パドル翼を回動させるパドル軸に対して垂直な面を意味するものとする。
なお、本明細書において、「溶融物」とは、溶融状態にある成分のみならず、これに混入した液分(熱分解により生成するものや必要に応じて添加されるもの。具体的には、水分、ガス化前の油分、タール等。)や固形分(未溶融の油化対象物、油化対象物に含まれていた異物、熱分解槽の底部に堆積した固形物等)も含めた全体を指すものとする。
また、熱分解槽の「断面」は、パドル翼を回動させるパドル軸に対して垂直な面を意味するものとする。
本発明の油化方法は、油化対象物の少なくとも一部を熱分解し、油分を含む熱分解ガスを生成する熱分解工程と、油分の少なくとも一部を低分子量化する触媒を前記熱分解ガスに接触させる触媒接触工程と、前記触媒接触工程後の前記熱分解ガス中の油分の少なくとも一部を凝縮する油分凝縮工程とを具備し、触媒接触工程においては、前記触媒を油化対象物及び残渣に対して非接触状態とすることを特徴とする。
本発明によれば、廃プラスチック等の油化対象物を効率良く油化処理し、高収率で高純度の非グリース状の油分を回収することができ、しかも用いる触媒の再利用が容易な油化装置、及びこれを用いた油化方法を提供することができる。
本発明の油化装置及び油化方法は、油化対象物の少なくとも一部を熱分解し、油分を回収するものである。
油化対象物としては熱分解により油分を回収できるものであれば特に限定されないが、本発明は1種又は2種以上の樹脂を含む廃プラスチックに好ましく適用できる。構成樹脂の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフイン系樹脂や、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂、これらの発泡体、ゴムタイヤ等が挙げられる。
油化対象物としては熱分解により油分を回収できるものであれば特に限定されないが、本発明は1種又は2種以上の樹脂を含む廃プラスチックに好ましく適用できる。構成樹脂の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフイン系樹脂や、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂、これらの発泡体、ゴムタイヤ等が挙げられる。
廃プラスチックは種々の樹脂が混在しており、組成を特定することが難しく、また油化処理時に塩化水素ガスを発生するポリ塩化ビニル等の含塩素ポリマーが含まれる場合もあるが、本発明は油化対象物の組成に関係なく処理を行うことができる。
また、油化対象物には、段ボール紙、新聞紙、チラシ等の紙や、その他の異物が混入していても、異物の有無や種類、量に関係なく処理を行うことができる。但し、油分の収率を考慮すれば、異物の混入量は少ない量が好ましく、油化対象物中50質量%程度以下、さらには10質量%程度以下、特に5質量%程度以下が好ましい。
また、油化対象物には、段ボール紙、新聞紙、チラシ等の紙や、その他の異物が混入していても、異物の有無や種類、量に関係なく処理を行うことができる。但し、油分の収率を考慮すれば、異物の混入量は少ない量が好ましく、油化対象物中50質量%程度以下、さらには10質量%程度以下、特に5質量%程度以下が好ましい。
また、残渣排出をスムースに進行させる、後記する熱分解槽や残渣排出スクリューのコーキングを抑制する等を目的として、油化対象物に混入している異物とは別に、意識的に、ガラス繊維等の耐熱繊維を短くカットしたものや、小砂利、貝殻粉砕物等の固形物を添加し、熱分解処理を行うこともできる。添加タイミングは特に限定されず、油化対象物を熱分解槽に投入する前に予め添加混合しても良いし、熱分解槽内に直接投入しても良い。
以下、図面に基づいて、本発明に係る一実施形態の油化装置、及びこれを用いた油化方法について説明する。図1は装置全体図、図2は熱分解手段及び触媒接触手段のA−A’断面図、図3及び図4はガス処理塔の内部構造を示す図である。
図1に示す如く、本実施形態の油化装置1は、供給された油化対象物の少なくとも一部を熱分解し、油分を含む熱分解ガスを生成する熱分解手段40と、触媒を熱分解ガスに接触させる触媒接触手段80と、触媒接触手段80による処理後の熱分解ガス中の油分の少なくとも一部を凝縮する油分凝縮手段140とから概略構成されている。
熱分解手段40は、主として、油化対象物が供給されると共に、これを熱処理する熱分解槽60と、これを加熱する加熱炉50とから構成されており、この後段に触媒接触手段80と油分凝縮手段140とが順次設けられている。
熱分解手段40は、主として、油化対象物が供給されると共に、これを熱処理する熱分解槽60と、これを加熱する加熱炉50とから構成されており、この後段に触媒接触手段80と油分凝縮手段140とが順次設けられている。
詳細には、油化装置1には、油化対象物を熱分解手段40に供給する供給手段として、廃プラスチックの破砕物等の油化対象物を貯留する貯留ホッパ(図示略)から供給される油化対象物を一時的に保管し、かつ適宜供給可能な密閉系のサークルフィーダ10と、サークルフィーダ10から供給された油化対象物を熱分解槽60内へ投入する供給スクリュー20とが設けられている。
サークルフィーダ10と供給スクリュー20とを繋ぐ配管には、サークルフィーダ10内の油化対象物の供給スクリュー20への供給のオンオフや、供給量を制御するバルブ11が取り付けられている。
サークルフィーダ10と供給スクリュー20とを繋ぐ配管には、サークルフィーダ10内の油化対象物の供給スクリュー20への供給のオンオフや、供給量を制御するバルブ11が取り付けられている。
サークルフィーダ10には、油化対象物のブリッジングを防ぎ、油化対象物を供給スクリュー20に安定的に供給するべく、内容物を攪拌する攪拌翼が内蔵されている。これによって、油化対象物にブリジッシングしやすい発泡系廃プラスチック等が含まれる場合にも、安定的に処理を実施することができる。さらには、少なくともバルブ11直上については油化対象物を緻密に充填できるので、万一、熱分解槽60内からの熱分解ガスや水蒸気の逆流があったとしても、これを遮断することができる。
供給スクリュー20は、サークルフィーダ10に繋がる上流側が高く、熱分解槽60に繋がる下流側が低く傾斜して配置されている。供給スクリュー20の下流側先端部が開口され、熱分解槽60へ油化対象物を投入する投入口21となっている。この投入口21は熱分解槽60の側面底部に設けられている。また、供給スクリュー20は、略全体が冷却ジャケット22で覆われている。
熱分解槽60内への油化対象物の投入にあたっては、熱分解反応を安定的に実施するために、熱分解処理により生成される溶融物の液面高さが略一定となるように、投入量を制御することが好ましい。
例えば、熱分解手段40(加熱炉50)の下方にロードセル110を配置し、熱分解槽60の質量変化に応じて、バルブ11の開閉度合いを調整することで、比較的簡便に液面高さを略一定に制御することができる。
すなわち、熱分解槽60内の油化対象物(ここでは説明を簡略化するため、熱分解により生成する油分も含む)の質量がロードセル110で測定されるので、このデータを基に、油化対象物の平均密度から溶融物の液面高さが概算される。なお、後記するように、熱分解槽60内に水を添加する場合もあるが、この場合には添加する水の質量と液面高さの関係を予め実測しておき、この関係を踏まえ、ロードセル110にて測定される油化対象物(熱分解により生成する油分も含む)の質量と添加する水の質量、及びこれらの密度(油化対象物については平均密度)から、液面高さが概算される。
このように、熱分解槽60内の油化対象物(熱分解により生成する油分も含む)の質量に基づいて、溶融物の液面高さが概算されるので、これに応じてバルブ11の開閉度合いを調整することで、液面高さを略一定に制御することができる。この際、ロードセル110からの信号をバルブ11に伝達する信号伝達手段111を設け、バルブ11を自動制御することが好ましい。
すなわち、熱分解槽60内の油化対象物(ここでは説明を簡略化するため、熱分解により生成する油分も含む)の質量がロードセル110で測定されるので、このデータを基に、油化対象物の平均密度から溶融物の液面高さが概算される。なお、後記するように、熱分解槽60内に水を添加する場合もあるが、この場合には添加する水の質量と液面高さの関係を予め実測しておき、この関係を踏まえ、ロードセル110にて測定される油化対象物(熱分解により生成する油分も含む)の質量と添加する水の質量、及びこれらの密度(油化対象物については平均密度)から、液面高さが概算される。
このように、熱分解槽60内の油化対象物(熱分解により生成する油分も含む)の質量に基づいて、溶融物の液面高さが概算されるので、これに応じてバルブ11の開閉度合いを調整することで、液面高さを略一定に制御することができる。この際、ロードセル110からの信号をバルブ11に伝達する信号伝達手段111を設け、バルブ11を自動制御することが好ましい。
その他、熱分解ガス及び溶融物の温度を各々測定し、その差(廃プラスチックでは、通常、熱分解ガスの温度は溶融物の温度よりも数十℃高い。)から、熱分解ガスと溶融物の界面(溶融物の液面高さに相当)を推測し、この推測結果に基づいて、バルブ11の開閉度合いを調整することでも、液面高さを略一定に制御することができる。
熱分解手段40は上記したように、主として熱分解槽60と加熱炉50とからなる。
熱分解槽60は、投入口21に平行な断面(A−A’断面)が図2に示す如く、上面が略平坦で底面が弧状を呈し、投入口21側から他側に向けて(図1では左右方向)延在している。熱分解槽60の底面は、断面視略半円状であることが特に好ましい。
加熱炉50は、燃焼バーナ90及び燃焼筒91を備えたもので、燃焼バーナ90から放射される炎や、それによって加熱された空気によって、熱分解槽60を外部から加熱する炉である。加熱炉50には、不要なガスを排出する煙突100が接続されている。
熱分解槽60は、投入口21に平行な断面(A−A’断面)が図2に示す如く、上面が略平坦で底面が弧状を呈し、投入口21側から他側に向けて(図1では左右方向)延在している。熱分解槽60の底面は、断面視略半円状であることが特に好ましい。
加熱炉50は、燃焼バーナ90及び燃焼筒91を備えたもので、燃焼バーナ90から放射される炎や、それによって加熱された空気によって、熱分解槽60を外部から加熱する炉である。加熱炉50には、不要なガスを排出する煙突100が接続されている。
熱分解槽60には、熱分解槽60の延在方向に沿って設けられ、モータ等に接続された回転軸71、これに直交するように取り付けられた複数のパドルアーム72、及び各パドルアーム72の先端に取り付けられたパドル翼73とからなるパドル装置70が内蔵されている。パドル装置70は、パドル翼73の先端が、熱分解槽60の底面に近接するように、パドルアーム72の長さ等が調整されている。例えば、パドル翼73の先端と、熱分解槽60底面との最小離間距離は15mm程度に設定することが好ましい。
パドルアーム72は、投入口21側から他側に向けて、一定の角度の位相差、例えば30°程度の位相差をつけて複数設けられていることが好ましい。また、パドル翼73は、パドルアーム72の軸に対しておよそ5°程度傾斜していることが好ましい。
複数のパドルアーム72を設ける場合、図2に示すように配置することが好ましいが、本発明はこれに限定されず、適宜設計できる。なお、図1、図2では、図面を視認しやすくするため、適宜パドルアーム72の配置を異ならせてある。
パドルアーム72は、投入口21側から他側に向けて、一定の角度の位相差、例えば30°程度の位相差をつけて複数設けられていることが好ましい。また、パドル翼73は、パドルアーム72の軸に対しておよそ5°程度傾斜していることが好ましい。
複数のパドルアーム72を設ける場合、図2に示すように配置することが好ましいが、本発明はこれに限定されず、適宜設計できる。なお、図1、図2では、図面を視認しやすくするため、適宜パドルアーム72の配置を異ならせてある。
熱分解槽60内に設けられたパドル装置70は、回転軸71をモータ等にて回動させることで、これに取り付けられたパドルアーム72やパドル翼73を回動させ、これによって、熱分解槽60内の溶融物を攪拌させると同時に、これを熱分解槽60の延在方向に沿って送り、残渣を後記残渣排出手段に送るものである。
さらに、本実施形態では、熱分解槽60の底面を上記のように断面視弧状、好ましくは断面視略半円状とし、パドル翼73の先端が、熱分解槽60の底面に近接するように構成しているので、パドル翼73は、熱分解槽60の底部に付着した固形物(コーキング)を掻き取ると共に、溶融物を熱分解槽60の底面に沿って薄く拡げる機能も呈する。これによって、コーキングの堆積を抑え、油化対象物の処理量を増大することができる。また、溶融物の表面積が増大するので、溶融物のガス化をより効率良く進行させ、熱分解処理効率を高めることができる。
パドル翼73の回動方向は固定しても良いが、一定時間毎に反転させることが好ましい。これによって、溶融物の攪拌効率が高まり、熱分解処理効率を一層高めることができる。
パドル翼73の回動方向は固定しても良いが、一定時間毎に反転させることが好ましい。これによって、溶融物の攪拌効率が高まり、熱分解処理効率を一層高めることができる。
熱分解槽60の他側(投入口21と反対側)には、熱処理後に、熱分解槽60の底部に堆積した油化対象物の未分解物やタール等の残渣を排出する残渣排出手段として、残渣排出スクリュー30と残渣受容器33とが接続されている。
残渣排出スクリュー30と残渣受容器33とを繋ぐ配管には、残渣排出のオンオフや、排出量を制御するバルブ32が取り付けられている。
残渣排出スクリュー30は、熱分解槽60に繋がる上流側が低く、残渣受容器33に繋がる下流側が高く傾斜して配置されている。残渣排出スクリュー30の上流側先端部が開口され、熱分解槽60から残渣を抜出す残渣抜出口31となっている。この残渣抜出口31は、熱分解槽60の底面、好ましくは溶融物の液面より下方に設けられている。
また、残渣排出スクリュー30は、略全体が加熱ジャケット34で覆われている。加熱ジャケット34は、熱分解槽60を加熱する加熱炉50やこれに付属する煙突100に連結されており、加熱炉50と同一の熱源及び排ガスシステムが採用されている、
残渣排出スクリュー30と残渣受容器33とを繋ぐ配管には、残渣排出のオンオフや、排出量を制御するバルブ32が取り付けられている。
残渣排出スクリュー30は、熱分解槽60に繋がる上流側が低く、残渣受容器33に繋がる下流側が高く傾斜して配置されている。残渣排出スクリュー30の上流側先端部が開口され、熱分解槽60から残渣を抜出す残渣抜出口31となっている。この残渣抜出口31は、熱分解槽60の底面、好ましくは溶融物の液面より下方に設けられている。
また、残渣排出スクリュー30は、略全体が加熱ジャケット34で覆われている。加熱ジャケット34は、熱分解槽60を加熱する加熱炉50やこれに付属する煙突100に連結されており、加熱炉50と同一の熱源及び排ガスシステムが採用されている、
「背景技術」の項で述べたように、従来は、油化対象物に触媒を添加し、熱分解処理を行っていたのに対し、本実施形態では、熱分解槽60の後段に触媒接触手段80を配し、熱分解処理時には触媒を用いない構成を採用している。したがって、基本的には、油化対象物をそのまま熱分解槽60内に投入し、熱処理すれば良い。但し、油化対象物中の水分量が著しく低い場合等には、必要に応じて水を添加することができる。水の添加手順は特に限定されず、油化対象物の投入前、投入中、投入後のいずれであっても良い。
熱分解処理が開始すると、油化対象物中の水や、必要に応じて添加された水が蒸発し、熱分解槽60内の空気の多くが排出される。この結果、熱分解槽60内は無酸素又は希薄酸素状態となり、乾留状態となった油化対象物の少なくとも一部が分解され、油分を主成分とする熱分解ガスが生成される。
熱分解処理が開始すると、油化対象物中の水や、必要に応じて添加された水が蒸発し、熱分解槽60内の空気の多くが排出される。この結果、熱分解槽60内は無酸素又は希薄酸素状態となり、乾留状態となった油化対象物の少なくとも一部が分解され、油分を主成分とする熱分解ガスが生成される。
熱分解条件は、油化対象物の種類等にもより特に限定されないが、廃プラスチックでは、熱処理温度を250〜400℃程度、特に300〜400℃程度に設定することが好ましい。
熱処理温度は、例えば、熱分解槽60の気相部や、触媒接触手段80の気相部等に温度センサを設け、これらに基づいて、燃焼バーナ90のオン・オフや、火力を調整することで、所定範囲に制御できる。
また、熱分解槽60の酸化腐食を防ぐ観点から、熱分解槽60内温度が600℃程度となった時点で、燃焼バーナ90が停止するよう制御するなど、燃焼バーナ90の火力が過剰にならないよう制御することが好ましい。そのためには、油分凝縮手段140の下流側に温度計を設け、この温度が規格外を示した場合に、燃焼バーナ90が停止するようなインターロックをかけることもできる。
熱処理温度は、例えば、熱分解槽60の気相部や、触媒接触手段80の気相部等に温度センサを設け、これらに基づいて、燃焼バーナ90のオン・オフや、火力を調整することで、所定範囲に制御できる。
また、熱分解槽60の酸化腐食を防ぐ観点から、熱分解槽60内温度が600℃程度となった時点で、燃焼バーナ90が停止するよう制御するなど、燃焼バーナ90の火力が過剰にならないよう制御することが好ましい。そのためには、油分凝縮手段140の下流側に温度計を設け、この温度が規格外を示した場合に、燃焼バーナ90が停止するようなインターロックをかけることもできる。
熱分解処理を安定的かつ連続的に実施するには、熱分解槽60内を無酸素又は希薄酸素状態に保持することが重要である。
本実施形態では、上記した如く、供給スクリュー20を熱分解槽60側が低くなるように傾斜して設け、かつ投入口21を熱分解槽60の側面と面一とし、供給スクリュー20を熱分解槽60内まで延出しない構成としているので、供給スクリュー20の熱分解槽60側に堆積した油化対象物の存在によって、熱分解ガスや水蒸気の供給スクリュー20側への逆流や、供給スクリュー20側からの外部空気の流入が抑制され、熱分解槽60内の高気密性が確保される。
また、供給スクリュー20に、冷却ジャケット22を設ける構成としているので、万一熱分解ガス等が逆流したとしても、これを冷却により液化し、熱分解槽60側に戻すことができ、高気密性が保持される。
本実施形態では、上記した如く、供給スクリュー20を熱分解槽60側が低くなるように傾斜して設け、かつ投入口21を熱分解槽60の側面と面一とし、供給スクリュー20を熱分解槽60内まで延出しない構成としているので、供給スクリュー20の熱分解槽60側に堆積した油化対象物の存在によって、熱分解ガスや水蒸気の供給スクリュー20側への逆流や、供給スクリュー20側からの外部空気の流入が抑制され、熱分解槽60内の高気密性が確保される。
また、供給スクリュー20に、冷却ジャケット22を設ける構成としているので、万一熱分解ガス等が逆流したとしても、これを冷却により液化し、熱分解槽60側に戻すことができ、高気密性が保持される。
同様に、残渣排出スクリュー30を熱分解槽60側が低くなるように傾斜して設け、かつ残渣抜出口31を熱分解槽60の底面と面一とし、残渣排出スクリュー30を熱分解槽60内まで延出しない構成としているので、残渣排出スクリュー30の熱分解槽60側に堆積した残渣の存在によって、熱分解ガスや水蒸気の残渣排出スクリュー30側への流出や、残渣排出スクリュー30側からの外部空気の流入が抑制され、熱分解槽60内の高気密性が確保される。
特に、残渣抜出口31を油化対象物の溶融物の液面より下方に設けた場合には、残渣排出スクリュー30の上流側に、溶融物が入り込むので、熱分解ガスや水蒸気の残渣排出スクリュー30側への流出や、残渣排出スクリュー30側からの外部空気の流入が一層抑制され、より高い気密性が確保できる。
特に、残渣抜出口31を油化対象物の溶融物の液面より下方に設けた場合には、残渣排出スクリュー30の上流側に、溶融物が入り込むので、熱分解ガスや水蒸気の残渣排出スクリュー30側への流出や、残渣排出スクリュー30側からの外部空気の流入が一層抑制され、より高い気密性が確保できる。
熱分解槽60の上面には、触媒81が充填された触媒接触手段80が接続されている。本実施形態では、触媒接触手段80は熱分解槽60の上面に接続されているので、油化対象物や残渣等は熱分解槽60内に留め、熱分解槽60内で生成する熱分解ガスのみを選択的に触媒接触手段80に送入することができる。換言すれば、触媒接触手段80は、触媒81が油化対象物(熱分解により生成する溶融物も含む。)及び残渣に接しないように、熱分解手段60の後段に設けられている。
触媒接触手段80の具体的形態としては、触媒81を必要に応じて網袋等に収容し、これを網状等の触媒棚に載置したもの等が挙げられる。
本実施形態では、触媒81として、熱分解ガス中に含まれる油分の少なくとも一部を低分子量化する触媒を用いる。かかる触媒81を用いることで、高沸点成分量を減じることができ、後段の油分凝縮手段140の高沸点成分の付着によるコーキングの発生を抑制することができる。
廃プラスチックでは、通常熱分解ガス中に含まれる油分はC(炭素数)1〜40程度の炭化水素化合物の混合物であるが、熱分解ガスを触媒81と接触させることで、例えば、C30〜40程度の高沸点油分量を減じることができる。
本実施形態では、触媒81として、熱分解ガス中に含まれる油分の少なくとも一部を低分子量化する触媒を用いる。かかる触媒81を用いることで、高沸点成分量を減じることができ、後段の油分凝縮手段140の高沸点成分の付着によるコーキングの発生を抑制することができる。
廃プラスチックでは、通常熱分解ガス中に含まれる油分はC(炭素数)1〜40程度の炭化水素化合物の混合物であるが、熱分解ガスを触媒81と接触させることで、例えば、C30〜40程度の高沸点油分量を減じることができる。
用いて好適な触媒81としては、「背景技術」の項で挙げた特許文献3に記載のもの、具体的には、帆立貝、浅蜊貝、ばか貝、大貝、牡蠣貝、蛤貝等の貝類の貝殻、珊瑚の死骸、鍾乳石等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。中でも、貝類の貝殻が好ましく用いられる。
使用する触媒81の量は、油化対象物の組成や供給量等にもよるが、熱分解槽60内の油化対象物量に対して、5〜50質量%、特に5〜20質量%が好ましい。
使用する触媒81の量は、油化対象物の組成や供給量等にもよるが、熱分解槽60内の油化対象物量に対して、5〜50質量%、特に5〜20質量%が好ましい。
本実施形態では上記したように、触媒を油化対象物とブレンドせずに、熱分解槽60の後段に触媒接触手段80を設け、熱分解ガスのみを触媒81に接触させる構成としている。したがって、触媒81が油化対象物や残渣に混じることがなく、充分な触媒作用を得つつ、触媒81を容易に回収し、再利用することができる。
さらには、触媒81が油化対象物や残渣と混じらないため、触媒81と熱分解ガスとの接触面積が従来に比して著しく大きく確保され、触媒81による熱分解ガスの処理効率が格段に増す。
さらには、触媒81が油化対象物や残渣と混じらないため、触媒81と熱分解ガスとの接触面積が従来に比して著しく大きく確保され、触媒81による熱分解ガスの処理効率が格段に増す。
本実施形態ではさらに、触媒接触手段80の触媒81が充填されていない気相部に、C30〜40程度の高沸点成分を凝縮させ、触媒81側に還流させる還流手段130が設けられている。還流手段130は、触媒通過後の熱分解ガスを、低沸点成分(C1〜30程度)の沸点以上、高沸点成分(C30〜40程度)の沸点未満の温度、具体的には320℃以下に冷却する冷却管等からなる。
かかる構成とすることで、触媒81通過後もC30〜40程度の高沸点成分が存在する場合には、これを触媒81側に還流させて再処理させ、触媒81による低分子量化が不充分な状態のまま、C30〜40程度の高沸点成分が後段側に移行することを極力抑制することができる。その結果、後段の油分凝縮手段140の高沸点成分の付着によるコーキングの発生を抑制し、油分の回収効率を向上することができる。
かかる構成とすることで、触媒81通過後もC30〜40程度の高沸点成分が存在する場合には、これを触媒81側に還流させて再処理させ、触媒81による低分子量化が不充分な状態のまま、C30〜40程度の高沸点成分が後段側に移行することを極力抑制することができる。その結果、後段の油分凝縮手段140の高沸点成分の付着によるコーキングの発生を抑制し、油分の回収効率を向上することができる。
触媒81及び還流手段130の処理を経た熱分解ガスは、触媒接触手段80の頭頂部に設けられたガス排出管120から排出され、熱分解ガスに含まれる油分の少なくとも一部を凝縮する油分凝縮手段140に送入される。油分凝縮手段140は、冷媒循環手段150にて循環供給され、所定温度に調整された冷媒にて冷却を行うコンデンサ等からなる。
油分凝縮手段140による冷却温度を調整することで、沸点の異なる油分を選択的に回収することもできる。油化対象物の種類にもよるが、例えば20〜30℃程度の冷媒にて冷却する場合には、主としてC9成分を含む油分を回収できる。
油分凝縮手段140による冷却温度を調整することで、沸点の異なる油分を選択的に回収することもできる。油化対象物の種類にもよるが、例えば20〜30℃程度の冷媒にて冷却する場合には、主としてC9成分を含む油分を回収できる。
油分凝縮手段140で得られた凝縮物は、油水分離槽160に一旦貯留され、同槽にて油分と水分に分離される。分離された油分は貯油タンク170に回収され、水分は廃水タンク180に回収される。回収された油分はそのまま、あるいは必要に応じて蒸留精製されてから、燃料油等として用いられる。
油分凝縮手段140にて凝縮されなかった熱分解ガスは、ガス処理塔190にて処理される。ガス処理塔190は、充填材層、活性炭層、及びアルカリ溶液接触層のうち、少なくとも一つを有するものである。ガス処理塔190の塔数は限定されず、単数でも複数でも良い。
図3に基づいて、単独の塔で、充填材層、活性炭層、及びアルカリ溶液接触層をすべて備えた一体型のガス処理塔を例として、その内部構造を説明する。
図示するように、一体型のガス処理塔190内は複数の部屋に仕切られ、熱分解ガスの流入側から、充填材層191と、活性炭層194と、アルカリ溶液接触層195とが順次設けられている。
詳細には、ガス処理塔190のガス流入管190Aから流入した熱分解ガスは、充填材層191、塔底部、ガス通路192、ガス通過室A、ガス通路193、ガス通過室B、活性炭層194、アルカリ溶液接触層195を順次通過して、ガス排出管190Bから排出される。
図示するように、一体型のガス処理塔190内は複数の部屋に仕切られ、熱分解ガスの流入側から、充填材層191と、活性炭層194と、アルカリ溶液接触層195とが順次設けられている。
詳細には、ガス処理塔190のガス流入管190Aから流入した熱分解ガスは、充填材層191、塔底部、ガス通路192、ガス通過室A、ガス通路193、ガス通過室B、活性炭層194、アルカリ溶液接触層195を順次通過して、ガス排出管190Bから排出される。
充填材層191は、熱分解ガスを充填材に接触させることで、ガス中の霧状成分の凝縮液状化を促進し、回収するための層である。図示するガス処理塔190では、得られた凝縮物Sは塔底部に堆積(留出)する。充填材層191をなす充填材としては特に限定されないが、SUS製ラシヒリング等が好ましく用いられる。なお、「霧状成分」とは、油分凝縮手段140にて凝縮されなかった成分で、凝縮により凝縮物になり得る成分を指す。
活性炭層194は、主に熱分解ガス中の臭気成分を物理吸着除去する層である。
活性炭層194は、主に熱分解ガス中の臭気成分を物理吸着除去する層である。
アルカリ溶液接触層195は、アルカリ溶液を貯蔵するアルカリ溶液槽196から、アルカリ溶液供給管197、及び散水口198を介して、散水されるアルカリ溶液を熱分解ガスに接触させる層である。アルカリ溶液接触層195としては、ポリプロピレン製詰め物等が充填されたものが好適である。図示するガス処理塔190では、アルカリ溶液接触層195を設けた熱分解ガス通過室の入口近傍に、隔壁199を設け、活性炭層194による処理後の熱分解ガスのアルカリ溶液接触層195への流入効率を高めている。
アルカリ溶液接触層195は、油化対象物にポリ塩化ビニル等の含塩素ポリマーが含まれている場合、熱分解ガスに含まれる塩化水素の少なくとも一部を中和し吸収する。同層はまた、熱分解ガスを洗浄する機能も有する。アルカリ溶液としては水酸化ナトリウム水溶液等が挙げられ、そのpHは7〜9程度、特に7.5〜8.5程度が好ましい。
なお、塩化水素ガスの中和には、アルカリ溶液の代わりにアンモニア等のアルカリ性ガスを用いても良いが、アルカリ溶液を用いる方が効率が良く、取り扱い性にも優れる。また、アンモニアはそれ自身の臭気が強いという難もある。
アルカリ溶液接触層195は、油化対象物にポリ塩化ビニル等の含塩素ポリマーが含まれている場合、熱分解ガスに含まれる塩化水素の少なくとも一部を中和し吸収する。同層はまた、熱分解ガスを洗浄する機能も有する。アルカリ溶液としては水酸化ナトリウム水溶液等が挙げられ、そのpHは7〜9程度、特に7.5〜8.5程度が好ましい。
なお、塩化水素ガスの中和には、アルカリ溶液の代わりにアンモニア等のアルカリ性ガスを用いても良いが、アルカリ溶液を用いる方が効率が良く、取り扱い性にも優れる。また、アンモニアはそれ自身の臭気が強いという難もある。
図4に基づいて、ガス処理塔190の他の構成例について説明する。図3と同じ構成要素には同じ参照符号を付し、説明は省略する。
この例では、ガス処理塔190は、充填材層191及び活性炭層194が設けられた第1のガス処理塔190Xと、アルカリ溶液接触層195が設けられた第2のガス処理塔190Yとから構成されている。かかる構成としても、図3の一体型ガス処理塔と同様に処理を行うことができる。
この例では、ガス処理塔190は、充填材層191及び活性炭層194が設けられた第1のガス処理塔190Xと、アルカリ溶液接触層195が設けられた第2のガス処理塔190Yとから構成されている。かかる構成としても、図3の一体型ガス処理塔と同様に処理を行うことができる。
ガス処理塔190を2塔構成とした場合、図示するように、熱分解ガスが充填材層191を通過する方向を、図3に示すガス処理塔とは逆に、下方から上方に向かう方向とすることができる。かかる構成とすることで、熱分解ガス中の霧状成分をより凝縮させやすく、回収効率を増すことができる。このことは、後段のアルカリ溶液接触層195に散水されるアルカリ溶液の汚染抑制にも繋がり、第2のガス処理塔190Yがステンレススチール等の場合には、その腐食を低減する効果ももたらす。
また、熱分解ガスがアルカリ溶液接触層195を通過する方向を下方から上方に向かう方向とすることができる。かかる構成とすれば、図3のガス処理塔の隔壁199のようなものを設けなくとも、熱分解ガスのアルカリ溶液接触層195への流入効率を高くすることができる。
また、熱分解ガスがアルカリ溶液接触層195を通過する方向を下方から上方に向かう方向とすることができる。かかる構成とすれば、図3のガス処理塔の隔壁199のようなものを設けなくとも、熱分解ガスのアルカリ溶液接触層195への流入効率を高くすることができる。
ガス処理塔190で処理された熱分解ガスは、臭い等に問題がなければそのままオフガスとして大気中に放出することもできるが、図示するように、脱臭器210にて脱臭処理してから、オフガスとして大気中に放出することが好ましい。脱臭器210としては、直燃タイプ、吸着タイプ、薬洗吸収タイプ、触媒酸化タイプ等が挙げられ、設備が簡素であることから、特に直燃タイプ等が好ましく用いられる。直燃タイプとしてはガス燃焼器等が挙げられ、その燃焼温度は、例えば700〜850℃、特に750〜800℃が好ましい。
本実施形態の油化装置1及びこれを用いた油化方法によれば、油化対象物の組成等に関係なく、油化対象物を効率良く油化処理し、高収率で高純度の非グリース状の油分を回収することができる。特に、熱分解槽60の底面形状を断面視弧状とし、内部にパドル装置70を設けた点、触媒接触手段80を熱分解手段40の後段に設け、触媒81を油化対象物及び残渣に対して非接触状態とした点、さらには、触媒接触手段80に還流手段130を設けた点等により、油分の回収効率が高められている。
また、触媒81を油化対象物や残渣と非接触としているので、触媒81の機能を充分に発揮させつつ、用いる触媒を容易に再利用することができ、好適である。
また、触媒81を油化対象物や残渣と非接触としているので、触媒81の機能を充分に発揮させつつ、用いる触媒を容易に再利用することができ、好適である。
なお、油化装置1は一実施形態にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜設計変更可能である。
例えば、熱分解ガスの流路を1系列として説明したが、熱分解ガスの流路を途中で分岐させたり、分岐した熱分解ガスを再度合流させたりすることもできる。
例えば、熱分解ガスの流路を1系列として説明したが、熱分解ガスの流路を途中で分岐させたり、分岐した熱分解ガスを再度合流させたりすることもできる。
次に、本発明に係る実施例及び比較例について説明する。下記例中、「部」は質量基準とする。また、評価項目及び評価方法は以下の通りとした。
(1)比重:比重瓶法により15℃/4℃の値を測定した。
(2)発熱量:JIS K2279に準じて測定した。
(3)流動点:JIS K2269に準じて測定した。
(4)硫黄濃度:JIS K2541に準じて測定した。
(5)塩素濃度:JIS K0106に準じて測定した。
(6)ダイオキシン濃度:JIS K0311に準じて測定した。
(1)比重:比重瓶法により15℃/4℃の値を測定した。
(2)発熱量:JIS K2279に準じて測定した。
(3)流動点:JIS K2269に準じて測定した。
(4)硫黄濃度:JIS K2541に準じて測定した。
(5)塩素濃度:JIS K0106に準じて測定した。
(6)ダイオキシン濃度:JIS K0311に準じて測定した。
(実施例1〜2)
図1に示した油化装置を用い、油化処理を行った。ガス処理塔としては図3に示した一体型を用いた。
実施例1では、油化対象物として、ポリプロピレン(PP)62部、ポリエチレン(PE)12部、ポリスチレン(PS)15部、及びその他の樹脂11部からなるフィルム状のフラフ発泡状破砕品の混合廃プラスチックを用い、実施例2では、油化対象物として、同組成の弁当箱成型品を破砕した混合廃プラスチックを用いた。
いずれの例においても、油化対象物は、サークルフィーダから供給スクリューを介して熱分解槽内に連続的に供給した。供給量は100kg/hとした。
供給スクリューの冷却ジャケット温度は40℃以下とした。
熱分解槽としては、図1に示す高さが1750mm、奥行きが1900mm、幅が4000mmのものを用いた。パドル装置としては、外径がφ1330で、長手方向ピッチ250mmにて、計15個の150mm(幅)×300mm(長さ)のパドル翼を、図2に示すように配置したものを用いた。
熱分解槽のパドル装置の運転条件は、回転数を2rpmとし、5分間回転/1分間停止を繰り返す間欠運転とし、反転は行わなかった。
熱分解槽内温度は380℃に設定した。
触媒としては浅蜊貝の貝殻をそのまま用い、熱分解槽内の油化対象物に対して12質量%の量を触媒棚に載置し、触媒接触手段とした。還流手段による冷却温度は320℃以下とした。
油分凝縮手段としてはコンデンサを用い、冷媒循環装置により25℃に調整された冷媒を連続的に供給し、凝縮処理を行った。
ガス処理塔に用いる充填材としてはSUS製ラシヒリング、アルカリ溶液としてはpH8.5の水酸化ナトリウム水溶液を選定した。
脱臭器としては直燃タイプを用い、燃焼温度は750℃とした。
熱分解槽の底部に残った残渣は、油化処理後に排出した。
図1に示した油化装置を用い、油化処理を行った。ガス処理塔としては図3に示した一体型を用いた。
実施例1では、油化対象物として、ポリプロピレン(PP)62部、ポリエチレン(PE)12部、ポリスチレン(PS)15部、及びその他の樹脂11部からなるフィルム状のフラフ発泡状破砕品の混合廃プラスチックを用い、実施例2では、油化対象物として、同組成の弁当箱成型品を破砕した混合廃プラスチックを用いた。
いずれの例においても、油化対象物は、サークルフィーダから供給スクリューを介して熱分解槽内に連続的に供給した。供給量は100kg/hとした。
供給スクリューの冷却ジャケット温度は40℃以下とした。
熱分解槽としては、図1に示す高さが1750mm、奥行きが1900mm、幅が4000mmのものを用いた。パドル装置としては、外径がφ1330で、長手方向ピッチ250mmにて、計15個の150mm(幅)×300mm(長さ)のパドル翼を、図2に示すように配置したものを用いた。
熱分解槽のパドル装置の運転条件は、回転数を2rpmとし、5分間回転/1分間停止を繰り返す間欠運転とし、反転は行わなかった。
熱分解槽内温度は380℃に設定した。
触媒としては浅蜊貝の貝殻をそのまま用い、熱分解槽内の油化対象物に対して12質量%の量を触媒棚に載置し、触媒接触手段とした。還流手段による冷却温度は320℃以下とした。
油分凝縮手段としてはコンデンサを用い、冷媒循環装置により25℃に調整された冷媒を連続的に供給し、凝縮処理を行った。
ガス処理塔に用いる充填材としてはSUS製ラシヒリング、アルカリ溶液としてはpH8.5の水酸化ナトリウム水溶液を選定した。
脱臭器としては直燃タイプを用い、燃焼温度は750℃とした。
熱分解槽の底部に残った残渣は、油化処理後に排出した。
(比較例1〜2)
比較例1では実施例1と同じ油化対象物、比較例2では実施例2と同じ油化対象物を用いた。これら比較例では、熱分解槽内のパドル装置、及び触媒接触手段(触媒棚及び還流手段)を設けず、その他の条件は実施例と同様として、油化処理を行った。
比較例1では実施例1と同じ油化対象物、比較例2では実施例2と同じ油化対象物を用いた。これら比較例では、熱分解槽内のパドル装置、及び触媒接触手段(触媒棚及び還流手段)を設けず、その他の条件は実施例と同様として、油化処理を行った。
(結果)
油化処理条件や運転結果を表1にまとめる。また、回収油分及びオフガスの性状、供給した油化対象物の処理後の組成を表2に示す。
実施例1〜2ではいずれも、高収率で油分を回収することができた。具体的には供給した油化対象物100質量%中、68〜71質量%を油分として回収することができた。
また、油化処理中、油化対象物は供給スクリュー内で詰まることなく、安定的に熱分解槽に供給され、油分凝縮手段内にはコーキングや、それによる閉塞等は発生しなかった。回収された油分は液状(非グリース状)の良好な外観を呈するものであった。
オフガスに含まれる塩素やダイオキシンの量もほとんどなく、良好であった。
油化処理条件や運転結果を表1にまとめる。また、回収油分及びオフガスの性状、供給した油化対象物の処理後の組成を表2に示す。
実施例1〜2ではいずれも、高収率で油分を回収することができた。具体的には供給した油化対象物100質量%中、68〜71質量%を油分として回収することができた。
また、油化処理中、油化対象物は供給スクリュー内で詰まることなく、安定的に熱分解槽に供給され、油分凝縮手段内にはコーキングや、それによる閉塞等は発生しなかった。回収された油分は液状(非グリース状)の良好な外観を呈するものであった。
オフガスに含まれる塩素やダイオキシンの量もほとんどなく、良好であった。
対して、比較例1〜2ではいずれも、触媒接触手段を設けなかったため、回収油分はグリース状を呈し、外観や取り扱い性が不良であった。また、油化処理中に油分凝縮手段がコーキングにより閉塞し、これにより処理量が著しく低下し、連続運転に支障を来した。また、熱分解槽内にパドル装置を設けなかったので、油化処理後の熱分解槽の底面にはコーキングが見られた。
油分凝縮手段の部分的な閉塞により、連続運転ができなかったため、回収油分及びオフガスの性状、供給した油化対象物の処理後の組成は測定できなかった。
油分凝縮手段の部分的な閉塞により、連続運転ができなかったため、回収油分及びオフガスの性状、供給した油化対象物の処理後の組成は測定できなかった。
本発明の油化装置及び油化方法は、廃プラスチック等の油化対象物の油化処理に好適に用いられる。
1 油化装置
40 熱分解手段
60 熱分解槽
80 触媒接触手段
81 触媒
140 油分凝縮手段
40 熱分解手段
60 熱分解槽
80 触媒接触手段
81 触媒
140 油分凝縮手段
Claims (2)
- 供給された油化対象物の少なくとも一部を熱分解し、油分を含む熱分解ガスを生成する熱分解手段と、
油分の少なくとも一部を低分子量化する触媒を前記熱分解ガスに接触させる触媒接触手段と、
前記触媒接触手段による処理後の前記熱分解ガス中の油分の少なくとも一部を凝縮する油分凝縮手段とを具備し、
前記触媒接触手段は、前記触媒が油化対象物及び残渣に接しないように、前記熱分解手段の後段に設けられていることを特徴とする油化装置。 - 油化対象物の少なくとも一部を熱分解し、油分を含む熱分解ガスを生成する熱分解工程と、
油分の少なくとも一部を低分子量化する触媒を前記熱分解ガスに接触させる触媒接触工程と、
前記触媒接触工程後の前記熱分解ガス中の油分の少なくとも一部を凝縮する油分凝縮工程とを具備し、
触媒接触工程においては、前記触媒を油化対象物及び残渣に対して非接触状態とすることを特徴とする油化方法。
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-
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