JP4329506B2 - 廃プラスチックのケミカルリサイクル装置 - Google Patents
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Description
高炉原料化方法は、高炉原料に廃プラスチックを添加して、製鉄時の還元剤とするものであるが、最終的には二酸化炭素(CO2 )となって排出されるものである。
油化方法は、廃プラスチックを、鉄や白金を担持した活性炭触媒の存在下、又は触媒の存在なしで加熱処理することにより熱分解し、その後コンデンサーにより凝縮させて水素(H2 )を含む炭素数1〜20の多様の組成が混在した回収油を得るようにしたものである。この回収油は、種々の燃焼設備でそのまま燃料として用いたり、或いは精製することによってガソリンを得たり、更にはオレフィンガスや化学/医薬原料等を得るようにしている。
ガス化方法は、廃プラスチックを600〜1400℃で加熱して熱分解し、得られた分解ガスをメタノールやアンモニアを合成する際の原料とするものである。
このようなハロゲン元素を含む廃プラスチックは、環境汚染の問題から確実にハロゲン元素を分離除去して処理する必要があるが、一般には単に高温で焼却処理するという方法が取られていたので、ダイオキシンの発生という新たな環境汚染問題が生じるようになってきた。
本出願人も、先に上記実情に鑑み廃プラスチックを脱ハロゲン元素処理をしてハロゲン元素を確実に除去し、かつ脱ハロゲン元素された廃プラスチックからプラスチック原料としてのオレフィンガス及び水素並びに化学/医薬原料としてのBTXを効果的に回収することができるようにした廃プラスチックのケミカルリサイクル方法及び装置を提案した(例えば、特許文献2参照。)。
この方法は、廃プラスチックからポリオレフィン系プラスチックとそれ以外のプラスチックとを分離する前処理工程(I)と、ポリオレフィン系プラスチックを熱分解により気化する加熱分解工程(II)と、その熱分解ガスをガリウム又はホウ素を含有した珪酸塩触媒の存在下で反応させ、炭素数2〜4のオレフィン成分と水素並びに芳香族炭化水素を生成する触媒分解工程(III) と、前記触媒分解工程(III) で得られたガスから高沸点成分を分離する高沸点成分分離工程(IV)と、前記高沸点成分分離工程(IV)で得られたガスからオレフィン成分と水素並びにベンゼン、トルエン及びキシレンを分離取得する気液分離工程(V)とを有する方法である。
またこの方法を実施するための装置としては、廃プラスチックをポリオレフィン系プラスチックとそれ以外のプラスチックとに分離する選別装置を少なくとも備えた前処理装置と、ポリオレフィン系プラスチックを加熱分解により気化させる熱分解槽と、熱分解槽で得られた熱分解ガスを導入しホウ素又はガリウム含有珪酸塩触媒の存在下で加熱分解することにより炭素数2〜4のオレフィン、ベンゼン、トルエン、キシレン及び水素を生成させる触媒分解部と、該触媒分解部出口のガスを導入して該ガス中の高沸点成分を分離する還流器と、該還流器で高沸点成分が除去されたガスを冷却して炭素数2〜4のオレフィンガス及び水素を主体とする気相と、ベンゼン、トルエン、キシレンを主体とする液相とに分離するコンデンサーとを備えた廃プラスチックのケミカルリサイクル装置が開示されている。
しかしながら、上述の廃プラスチックのケミカルリサイクル方法で使用する従来の装置では、ポリオレフィン系プラスチックを熱分解槽で熱分解する際に発生する分解残渣を、溶融状体のプラスチックを循環させてその途中から抜き取ったり、あるいは熱分解槽を開放して槽内から抜き取っていた。この作業は高温で抜き取るためハンドリングが難しく、火災ややけど等のトラブルの発生が絶えなかった。また、抜き取り作業のために熱分解槽の運転を一時停止しなければならなかった。
さらに、前記分解残渣排出槽の底部に重質残渣受槽を接続した廃プラスチックのケミカルリサイクル装置としても良い。
図1中、1は廃プラスチックの分別前処理を実施する前処理工程(I)のための前処理装置であり、前処理装置1は、少なくとも廃プラスチックからポリオレフィン系プラスチックとそれ以外のプラスチックとに分離する選別装置を備えている。選別装置としては、光選別方式又は比重差選別方式を採用することができる。また、上記廃プラスチックのうち、内容物が内部に残っている容器等については洗浄する必要があり、そのために、前処理装置1には、予め廃プラスチックを破砕する破砕装置や、破砕した廃プラスチックを洗浄する洗浄装置等を備えることが好ましい。
分別回収された廃プラスチックゴミの中身を解析してみると、ポリエチレン(PE)が18〜37%、ポリプロピレン(PP)が24〜36%、ポリスチレン(PS)が11〜36%、ポリエチレンテレフタラート(PET)が8〜14%、ポリ塩化ビニル(PVC)が1〜2%、その他、紙や割り箸、金属などの異物が6〜12%含まれているのが実状である。
したがって、塩素やフッ素などのハロゲン元素を含む廃プラスチックゴミは、塩素やフッ素などの排ガス処理設備の整った専用設備で処理する必要があり、専用設備で集中的に処理する方が効率的にも経済的にも有利である。
また、珪酸塩触媒を用いた廃プラスチックのケミカルリサイクル法においては、塩素やフッ素、臭素などのハロゲン元素が存在すると触媒活性が低下し、長時間安定した操業が維持できなくなるばかりでなく、オレフン類や芳香族炭化水素類の回収率が低下する。
そこで本発明では、廃プラスチックから化学原料として有用な水素、低級炭化水素及びBTXを低コストで回収するケミカルリサイクル方法においては、前処理工程で廃プラスチックを分別処理しておくことが有効となる。
ポリオレフィン系プラスチックを溶融状態で供給すると、空気などの気体の巻き込みもなく、溶融浴が泡立って分解反応の安定性が損なわれることはない。また、供給量はスクリューコンベアの回転速度を制御することにより、任意に調整しながら連続的に供給することができる。加熱溶融されたポリオレフィン系プラスチックは、密度が約0.95g/cm3 程度で、粘度は約10ポイズ程度である。
溶融押出機では200℃以上、250℃程度の比較的低温度で加熱して溶融するので、廃プラスチックが分解するまでには至らず、有害な塩化水素ガスは発生しない。
熱分解槽3においては、活性炭又はゼオライトのような触媒を使用すれば、反応に必要な加熱温度を低下させることができ、廃プラスチックの熱分解速度を高めることが可能となる。
分解残渣排出槽4のタンク41内は、ヒーター12によって最高600℃まで加熱できるようになっている。
分解残渣排出槽4に集められた残渣はヒーター12によって560℃前後の温度に加熱して分解し、加熱分解により生じた分解ガスは再び熱分解槽3に戻す。分解残渣排出槽4でも分解しない残渣は、分解残渣排出槽4の下部に設けられた残渣受槽19に移される。
残渣受槽19への移行も前述と同じ圧力差を利用して行う。残渣受槽19に溜まる残渣も少量なので、残渣受槽19が満杯になったら開放して残渣を排出して棄却する。
熱分解槽3と触媒反応槽6とを繋ぐ配管の直径は100mmであり、この配管内を熱分解ガスがおよそ10cm/sec程度で流れていく。熱分解ガス中に飛沫はフィルターで捕捉され再加熱して気化するので残渣はほとんど残らない。最後まで残った残渣は1年に1回の設備メンテナンスの際に、分解して清掃する。フィルターに付着した残渣は廃棄する。
触媒反応槽6は、外筒7内に珪酸塩触媒が充填された触媒層8を備えており、外筒7の周囲に取り付けられたヒーター13によって内部温度を350〜550℃の範囲で任意に設定できるようになっている。
珪酸塩触媒としては、ホウ素含有珪酸塩触媒もしくはガリウム含有珪酸塩触媒を使用することができる。ホウ素含有珪酸塩触媒としては、プロトン置換したH型ホウ素化珪酸塩が望ましく、ガリウム含有珪酸塩触媒としては、H型ガリウム珪酸塩を用いるのが望ましい。
また、珪酸塩触媒としてガリウム含有珪酸塩触媒を使用する場合は、ベンゼン、トルエン、キシレンと水素を効果的に生成する作用を有する。
このように目的とする回収原料の種類に応じて珪酸塩触媒を使い分ければよい。
還流器14で高沸点成分が除去されたガスは、気液分離工程(V)であるコンデンサー15に導かれて冷却され、炭素数2〜4のオレフィンガス及び水素を主体とする気相16と、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香属炭化水素を主体とする液相17とに分離されるようになっている。
コンデンサー15からの気相は、ガス分離装置24に導かれ、深冷分離法或いはその他の方法によって、炭素数2〜4の低級オレフィンガスと水素とに分離されるようになっている。
又、コンデンサー15からの液相は、蒸留塔18に導いて、ベンゼン、トルエン、キシレン(BTX)に分離するようにしている。
1・・・・・前処理装置、2・・・・・溶融押出機、3・・・・・熱分解槽、4・・・・・分解残渣排出槽、5・・・・・フィルター、6・・・・・触媒反応槽、7・・・・・外筒、8・・・・・触媒層、11・・・・・撹拌器、12・・・・・ヒーター、13・・・・・ヒーター、14・・・・・還流器、15・・・・・コンデンサー、16・・・・・気相、17・・・・・液相、18・・・・・蒸留塔、19・・・・・重質残渣受槽
Claims (2)
- 廃プラスチックを熱分解により気化させる熱分解槽と、前記熱分解槽で得られた熱分解ガスを珪酸塩触媒の存在下で加熱分解して水素、炭素数2〜4の低級炭化水素及び芳香族炭化水素を生成させる触媒分解槽と、該触媒分解槽を出たガスから高沸点成分を分離して前記熱分解槽に戻す還流器とを有する廃プラスチックのケミカルリサイクル装置であって、
前記熱分解槽の底部に接続されガス出入パイプを使用して内部を減圧状態とする分解残渣排出槽と、
該分解残渣排出槽と前記熱分解槽との間に設けられたバルブと備え、
前記ガス出入パイプを使用して前記熱分解槽の内部を減圧雰囲気とした上で、前記バルブを開いて前記熱分解槽から残渣を間歇的に抜き取ることを特徴とする廃プラスチックのケミカルリサイクル装置。 - 前記分解残渣排出槽の底部にさらに重質残渣受槽を接続してなることを特徴とする請求項1に記載の廃プラスチックのケミカルリサイクル装置。
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