JP4337517B2 - 廃プラスチックのケミカルリサイクル方法及びその装置 - Google Patents
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Description
高炉原料化方法は、高炉原料に廃プラスチックを添加して、製鉄時の還元剤とするものであるが、最終的には二酸化炭素(CO2 )となって排出されるものである。
油化方法は、廃プラスチックを、鉄や白金を担持した活性炭触媒の存在下、又は触媒の存在なしで加熱処理することにより熱分解し、その後コンデンサーにより凝縮させて水素(H2 )を含む炭素数1〜20程度の多様の組成が混在した回収油を得るようにしたものである。この回収油は、種々の燃焼設備でそのまま燃料として用いたり、或いは精製することによってガソリンを得たり、更にはオレフィンガスや化学/医薬原料等を得るようにしている。
ガス化方法は、廃プラスチックを600〜1400℃で加熱して熱分解し、得られた分解ガスをメタノールやアンモニアを合成する際の原料とするものである。
このようなハロゲン元素を含む廃プラスチックは、環境汚染の問題から確実にハロゲン元素を分離除去して処理する必要があるが、一般には単に高温で焼却処理するという方法が取られていたので、ダイオキシンの発生という新たな環境汚染問題が生じるようになってきた。
本出願人も、先に上記実情に鑑み廃プラスチックを脱ハロゲン元素処理してハロゲン元素を確実に除去し、かつ脱ハロゲン元素された廃プラスチックからプラスチック原料としてのオレフィンガス及び水素、並びに化学/医薬原料としてのBTXを効果的に回収することができるようにした廃プラスチックのケミカルリサイクル方法及び装置を提案した(例えば、特許文献2参照。)。
この方法は、廃プラスチックからポリオレフィン系プラスチックとそれ以外のプラスチックとを分離する前処理工程(I)と、ポリオレフィン系プラスチックを熱分解により気化する加熱分解工程(II)と、その熱分解ガスからガリウム又はホウ素を含有した珪酸塩触媒の存在下で反応させて、炭素数2〜4のオレフィン成分と水素からなる気相成分と、芳香族炭化水素を主体とする液相成分を生成する触媒分解工程(III)と、前記触媒分解工程(III) で得られた気相成分と液体成分とを分離する気液分離工程(IV)と、前記気液分離工程(IV)で得られた気相成分からオレフィン成分と水素を分離する水素分離工程(V)及び前記気液分離工程(IV)で得られた液相成分からベンゼン、トルエン及びキシレンを分離取得する分溜工程(VI)とを有する方法である。
触媒分解槽は少なくとも2基設置する。触媒分解槽が2基あれば、一方の触媒分解槽で廃プラスチックの触媒分解反応を行っている間に、他方の触媒分解槽では触媒の再生処理を行うことができるので、操業を停止することなく廃プラスチックのケミカルリサイクル処理を行うことが可能となる。
触媒表面に固着したコーキング生成物を燃焼させて完全に除去し、触媒活性を回復させるためである。
各触媒分解槽は配管で連結し、出入口に制御バルブを設けて操業スケジュールに基づいて触媒分解反応を行う触媒分解槽に切り替えられるようにする。
本発明の廃プラスチックのケミカルリサイクル装置は、2基以上の複数の触媒分解槽を有しているので、いずれかの触媒分解槽で触媒分解反応と触媒再生処理を同時に行うことができるので、触媒活性を完全に回復させた状態で高取得率の廃プラスチックのケミカルリサイクル操業を連続して維持することが可能となる。
図1中、1は廃プラスチックの分別前処理を実施する前処理工程(I)のための前処理装置であり、前処理装置1は、少なくとも廃プラスチックからポリオレフィン系プラスチックとそれ以外のプラスチックとに分離する選別装置を備えている。選別装置としては、光選別方式及び比重差選別方式を採用する。この時、廃プラスチックにはポリオレフィン系プラスチックによる容器類が非常に多く含まれているので、このような比較的大きい容器類は、光選別方式によって予め選別してしまうのが好ましい。又廃プラスチックに含まれる袋や帯状物或いはその他の破断したプラスチック小片等は、これらを所要の大きさに破砕し、比重差選別方式によって選別するのが好ましい。
又、上記廃プラスチックのうち、内容物が内部に残っている容器等については洗浄する必要があり、そのために、前処理装置1には、予め廃プラスチックを破砕する破砕装置や、破砕した廃プラスチックを洗浄する洗浄装置等を備えることが好ましい。
分別回収された廃プラスチックゴミの中身を解析してみると、ポリエチレン(PE)が18〜37%、ポリプロピレン(PP)が24〜36%、ポリスチレン(PS)が11〜36%、ポリエチレンテレフタラート(PET)が8〜14%、ポリ塩化ビニル(PVC)が1〜2%、その他、紙や割り箸、金属などの異物が6〜12%含まれているのが実状である。
したがって、塩素やフッ素などのハロゲン元素を含む廃プラスチックゴミは、塩素やフッ素などの排ガス処理設備の整った専用設備で処理する必要があり、専用設備で集中的に処理する方が効率的にも経済的にも有利である。
また、珪酸塩触媒を用いた廃プラスチックのケミカルリサイクル法においては、塩素やフッ素、臭素などのハロゲン元素が存在すると触媒活性が低下し、長時間安定した操業が維持できなくなるばかりでなく、オレフィン類や芳香族炭化水素類の回収率が低下する。 そこで本発明では、廃プラスチックから化学原料として有用な水素、低級炭化水素及びBTXを低コストで回収するケミカルリサイクル方法において、前処理工程で廃プラスチックを分別処理してハロゲン元素を含むプラスチックの含有量を5wt%未満とすることが好ましい。また、ハロゲン元素の含有量を0.5wt%未満、望ましくは0.1wt%未満とするのが好ましい。
ポリオレフィン系プラスチックを固体状態で供給すると、空気などの気体が巻き込まれて溶融浴が泡立ち、安定した分解反応が維持しに難くなる。気体が巻き込まれるのを防止するためには、減圧状体に抜気して供給する方法もあるが、供給が間歇的になる難点がある。そこで、ポリオレフィン系プラスチックを溶融して熱分解槽に供給すれば、気体の巻込みを防止するとともに、供給速度を任意に調整しながら連続的に供給することができるので好ましい。加熱溶融されたポリオレフィン系プラスチックは、密度が約0.95g/cm3 程度で、粘度は約10ポイズ(p)である。
熱分解槽3においては、活性炭又はゼオライトのような触媒を使用すれば、反応に必要な加熱温度を低下させることができ、廃プラスチックの熱分解速度を高めることが可能となる。
触媒反応槽6は、外筒7内に珪酸塩触媒が充填された触媒層8を備えており、外筒7の周囲に取り付けられたヒーター13によって内部温度を350〜600℃の範囲で任意に設定できるようになっている。
珪酸塩触媒としてホウ素含有珪酸塩触媒を使用する場合は、熱分解ガスから炭素数2〜4の低級オレフィンガスを効果的に生成する作用を有し、例えば50wt%以上、或いは70%以上の高い収率を得ることができる。このように、プラスチックの原料として再利用できる炭素数2〜4のオレフィンを高い収率で得られることは、プラスチックのリサイクル上大変有利である。
また、珪酸塩触媒としてガリウム含有珪酸塩触媒を使用する場合は、ベンゼン、トルエン、キシレンと水素を効果的に生成する作用を有する。
このように目的とする回収原料の種類に応じて珪酸塩触媒を使い分ければよい。
触媒再生処理は初期には酸素濃度5%以下の空気中で500〜550℃に加熱し、後期は通常に空気中で525±25℃に加熱する2行程からなる方法を採用するのが好ましい。初期の所要時間はおよそ10時間、後期の所要時間はおよそ14時間である。
触媒再生反応は燃焼を伴う発熱反応であり、触媒再生処理の進行とともに触媒反応槽内の温度が40〜60℃上昇する。このため初期には酸素量を低く抑えて、急激な温度上昇を抑制し、その後酸素量を増やして完全に燃焼させるようにするのが好ましい。あまり高温になると触媒の結晶構造が変化し、触媒活性が低下するからである。
例えば本発明では、触媒分解反応と触媒再生処理に必要な時間を考慮し、その他の整備に要する時間を含めて待機時間を8時間設定して、40時間で1サイクルさせる操業方式を採用して連続的にケミカルリサイクル操業をする方法を採用した。1基の触媒反応槽を1サイクル40時間で繰り返すためには、5基の触媒反応槽を設置すればよい。各触媒反応槽の操業スケジュールを図2に示す。
図2に示すように、例えばNo.1触媒反応槽が触媒分解反応を行っている間に、No.2触媒反応槽は待機状態にあり、No.3〜No.5触媒反応槽は2工程にわたる触媒再生処理を行っている。すなわち、常時触媒分解反応の稼動状態にあるのは1基であり、3基は再生処理中、1基は待機状態にある。
このような運転スケジュールを採用することにより、連続した廃プラスチックのケミカルリサイクル操業が可能となり、処理能力は飛躍的に増大し、必要エネルギーを大幅に低減させることができる。
還流器14で高沸点成分が除去されたガスは、気液分離工程(V)であるコンデンサー15に導かれて冷却され、炭素数2〜4のオレフィンガス及び水素を主体とする気相16と、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香属炭化水素を主体とする液相17とに分離されるようになっている。
コンデンサー15からの気相は、ガス分離装置24に導かれ、深冷分離法或いはその他の方法によって、炭素数2〜4の低級オレフィンガスと水素とに分離されるようになっている。
又、コンデンサー15からの液相は、蒸留塔18に導いて、ベンゼン、トルエン、キシレン(BTX)に分離するようにしている。
その結果、炭素数2〜4のオレフィン、BTX並びに水素を生成させ、炭素数2〜4のオレフィンガスはプラスチック原料として再利用でき、又水素は燃料電池用燃料、水添・脱硫用原料として再利用でき、液相は蒸留塔によってベンゼン、トルエン、キシレンに分離することで化学/医薬用原料として再利用できる。従って、本発明では、廃プラスチックを有効且つ高効率にケミカルリサイクルを実現できる。
1・・・・・前処理装置、2・・・・・溶融押出機、3・・・・・熱分解槽、4・・・・・分解残渣排出槽、5・・・・・フィルター、6・・・・・触媒反応槽、7・・・・・外筒、8・・・・・触媒層、11・・・・・撹拌器、12・・・・・ヒーター、13・・・・・ヒーター、14・・・・・還流器、15・・・・・コンデンサー、16・・・・・気相、17・・・・・液相、18・・・・・蒸留塔、19・・・・・重質残渣受槽
Claims (4)
- 廃プラスチックからポリオレフィン系プラスチックとそれ以外のプラスチックとを分離する前処理工程と、前記分離されたポリオレフィン系プラスチックを熱分解により気化させる加熱分解工程と、前記加熱分解工程で得られた熱分解ガスを珪酸塩触媒の存在下で加熱分解して、水素及び炭素数2〜4の低級炭化水素からなる気相成分と、芳香族炭化水素を主成分とする液相成分を生成させる触媒分解工程と、該触媒分解工程を出た気相成分から水素を分離して炭素数2〜4の低級炭化水素を得る工程、並びに前記触媒分解工程で得られた液相成分をベンゼン、トルエン、キシレンを主体とする芳香族炭化水素に分離する工程とを有する廃プラスチックのケミカルリサイクル方法において、
前記触媒分解工程が複数の触媒分解槽を使用して触媒分解、触媒再生及び必要に応じて待機の工程を順次繰り返し、触媒再生の工程は酸素濃度5%以下の空気中で500〜550℃に加熱する第1の工程、通常に空気中で525±25℃に加熱する第2の工程の2行程からなることを特徴とする廃プラスチックのケミカルリサイクル方法。 - 前記触媒分解槽が2基設けられ、2基の触媒分解槽で分解、再生工程を交互に繰り返すことを特徴とする請求項1に記載の廃プラスチックのケミカルリサイクル方法。
- 前記触媒分解槽が5基設けられ、5基の触媒分解槽で分解、再生及び待機の工程を順次繰り返すことを特徴とする請求項2に記載の廃プラスチックのケミカルリサイクル方法。
- 廃プラスチックからポリオレフィン系プラスチックとそれ以外のプラスチックとを分離する前処理設備と、
前記分離されたポリオレフィン系プラスチックを加熱 溶融して加熱分解設備へ供給する溶融押出機と、
前記供給された溶融ポリオレフィン系プラスチックを熱分解により気化させる熱分解槽と、
前記熱分解槽で得られた熱分解ガスを珪酸塩触媒の存在下で加熱分解して水素、炭素数2〜4の低級炭化水素及び芳香族炭化水素を生成させる複数の触媒分解槽と、
該複数の触媒分解槽でそれぞれ発生したガスから高沸点成分を分離して前記熱分解槽に戻す還流器と、
該還流器で高沸点成分が除去されたガスを冷却して水素及び炭素数2〜4の低級炭化水素を主成分とする気相成分と芳香族炭化水素を主成分とする液相成分に分離するコンデンサーと、
該コンデンサーで分離された気相成分を水素と炭素数2〜4の低級炭化水素に分離するガス分離装置並びに該コンデンサーで分離された液相成分をベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素に分離する分溜装置とを有し、
前記触媒分解槽では、酸素濃度5%以下の空気中で500〜550℃に加熱する第1の工程、通常に空気中で525±25℃に加熱する第2の工程の2行程からなる触媒再生を行うことを特徴とする廃プラスチックのケミカルリサイクル装置。
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