JP2013204007A - 変性ポリオレフィン樹脂及び変性ポリオレフィン樹脂組成物並びに積層体 - Google Patents

変性ポリオレフィン樹脂及び変性ポリオレフィン樹脂組成物並びに積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】 未反応成分やオリゴマー成分が少ない変性ポリオレフィン樹脂及び変性ポリオレフィン樹脂組成物を提供する。また、未反応成分やオリゴマー成分が少なく、接着強度が高く、医療用や食品用の包装材料に適した積層体を提供する。
【解決手段】 ポリオレフィン樹脂(a1)と、該ポリオレフィン樹脂(a1)と反応することができる不飽和化合物(a2)とを反応させて得られた反応物(A)を、反応物(A)の融点−50℃以上、反応物(A)の融点未満の温度の熱水と接触させて得られる変性ポリオレフィン樹脂。
【選択図】 なし

Description

本発明は、各種積層体における接着層として好適な変性ポリオレフィン樹脂及び変性ポリオレフィン樹脂組成物、並びに、該変性ポリオレフィン樹脂又は該変性ポリオレフィン樹脂組成物を用いた積層体に関する。
医療用及び食品用の包装材料に用いられるシートやフィルムは、酸素バリア性や易ヒートシール性などの複数の機能を同時に実現させるために、異なる性能を有する樹脂を積層した積層体が用いられている。その際、各層間の接着が不良であると各層本来の機能が損なわれるため、通常、接着剤を介して積層することが行われている。
接着剤としては、従来より、無水マレイン酸等の反応性化合物をポリオレフィンやポリエステルエラストマーなどの熱可塑性樹脂と反応させて得られる変性樹脂を含んでなる各種の接着性組成物が知られている(特許文献1、2)。
これら接着性組成物は、成形性を維持したまま接着性能を高めるために、従来は、組成物中に含まれる変性樹脂の組成を増したり、エラストマーや粘着付与剤など他の成分を添加したりされてきた。しかしながら、変性樹脂の組成を増やしたり、他の成分を添加したりすると、該接着性組成物を含有する層(接着層)に含有する成分が漏出することに起因して、かえって接着強度が低下したり、医療用や食品用としては衛生面で不適当な包装材料となる場合があった。
接着層に含有する成分が漏出することを抑制する方法としては、接着性樹脂を有機溶媒に溶解した後、エマルジョン状態とし、水洗により不純物を除去する方法が提案されている(特許文献3)。しかしながら、当該技術では、接着性樹脂を溶剤に溶解させるために多量の溶剤と大規模設備を必要とし、製造コストが高くなるとともに、得られる接着性樹脂中に溶媒が残留する等の問題があった。また、特にポリオレフィン系の接着性樹脂については、ポリオレフィン自体が含水性、吸水性に乏しいため、水を用いた洗浄では十分な洗浄効果が得られないことが一般に知られていた。
また、接着性樹脂を、キシレン等の良溶媒を用いて実質的に溶解しない状態で処理することもなされている(特許文献4)。この方法によれば、精製コストは比較的安くなるが、当該技術では良溶媒を使用するため、接着性樹脂の一部が溶解してロスとなるとともに、溶剤分離工程で閉塞等のトラブルが生じることがあった。
このため、従来から知られている何れの接着性樹脂も、医療用や食品用に適した衛生性を十分に保有しつつ、接着強度および成形性に関して市場の要求を十分に満足させ得るには到っていないのが現状である。
特開平6−206946号公報 特開2002−014486号公報 特開昭61−266411号公報 特開昭54−99193号公報
本発明は、未反応成分やオリゴマー成分が少ない変性ポリオレフィン樹脂および変性ポ
リオレフィン樹脂組成物を提供することを課題とする。また、本発明は、未反応成分やオリゴマー成分が少なく、接着強度が高く、医療用や食品用の包装材料に適した積層体を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、ポリオレフィン樹脂と、該ポリオレフィン樹脂と反応することができる不飽和化合物とから得られる反応物を、特定の温度の熱水と接触させることにより前記課題を解決し得ることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は、以下の[1]〜[9]に存する。
[1] ポリオレフィン樹脂(a1)と、該ポリオレフィン樹脂(a1)と反応することができる不飽和化合物(a2)とを反応させて得られた反応物(A)を、反応物(A)の融点−50℃以上、反応物(A)の融点未満の温度の熱水と接触させて得られる変性ポリオレフィン樹脂。
[2] [1]において、不飽和化合物(a2)が、不飽和カルボン酸またはその誘導体である変性ポリオレフィン樹脂。
[3] [1]または[2]において、ポリオレフィン樹脂(a1)と不飽和化合物(a2)との反応が、有機過酸化物の存在下での溶融混練である変性ポリオレフィン樹脂。
[4] [1]〜[3]の何れかに記載の変性ポリオレフィン樹脂1〜99重量%と、熱可塑性樹脂(B)99〜1重量%とを含有する変性ポリオレフィン樹脂組成物。
[5] ポリオレフィン樹脂(a1)と、該ポリオレフィン樹脂(a1)と反応することができる不飽和化合物(a2)とを反応させて反応物(A)を得る工程と、該反応物(A)を、反応物(A)の融点−50℃℃以上、反応物(A)の融点未満の温度の熱水と接触させる工程とを有する変性ポリオレフィン樹脂の製造方法。
[6] [5]において、反応物(A)と熱水との接触を、5分以上行う変性ポリオレフィン樹脂の製造方法。
[7] [5]または[6]において、該熱水との接触により、日本薬局方(プラスチック製医薬品容器試験法、溶出物試験)による蒸発残留物量を0.1mg以上低下させる変性ポリオレフィン樹脂の製造方法。
[8] [1]〜[3]の何れかに記載の変性ポリオレフィン樹脂組成物または[4]に記載の変性ポリオレフィン樹脂組成物を含む層と、樹脂、木材、セラミックス、及び金属から選ばれる少なくとも一層とを有する積層体。
[9] 医療用及び食品用の包装材料である[8]に記載の積層体。
本発明により、未反応成分やオリゴマー成分が少ない変性ポリオレフィン樹脂を提供することができる。また、本発明の変性ポリオレフィン樹脂は、未反応成分やオリゴマー成分が少ない為、高い接着力を示し、且つ、成形加工時に排煙が少ない為、環境負荷を低減させることができる。
さらに、本発明により、未反応成分やオリゴマー成分が少なく、接着強度が高く、未反応成分に起因する臭気や着色を低減した変性ポリオレフィン樹脂とすることができるため、医療用や食品用の包装材料に適した積層体を提供することができる。
また、本発明の変性ポリオレフィン樹脂は未反応成分やオリゴマー成分が少ないため、接着強度の経時変化が小さく、産業資材に適した積層体を提供することができる。
以下、本発明の実施の態様について詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定され
るものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
本発明の変性ポリオレフィン樹脂または変性ポリオレフィン樹脂組成物には、ポリオレフィン樹脂(a1)と不飽和化合物(a2)とを反応して得られる反応物(A)を用いる。
[ポリオレフィン樹脂(a1)]
本発明に用いるポリオレフィン樹脂(a1)は、公知のポリオレフィン樹脂から選択される。
本発明において、ポリオレフィン系樹脂は限定されないが、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン等の単独重合体、それら同士あるいはそれらと3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等の炭素数4〜20程度の他のα−オレフィンや、酢酸ビニル、ビニルアルコール、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等との共重合体等が挙げられる。ここで、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸またはメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリレートについても同様である。
ポリオレフィン系樹脂として具体的には、例えば、低・中・高密度ポリエチレン等(分岐状又は直鎖状)のエチレン単独重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体(エチレン・酢酸ビニル共重合体鹸化物を含む)、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のエチレン系樹脂;プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体等のプロピレン系樹脂;及び1−ブテン単独重合体、1−ブテン・エチレン共重合体、1−ブテン・プロピレン共重合体等の1−ブテン系樹脂;ノルボルネンの開環メタセシス重合体やノルボルネン誘導体−エチレン共重合体等の所謂環状ポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。
ここでエチレン系樹脂とは、原料モノマーとしてエチレンを主要成分とし、好ましくはエチレンを50重量%以上含有する重合体を意味する。また、プロピレン系樹脂とは、原料モノマーとしてプロピレンを主要成分とし、好ましくはプロピレンを50重量%以上含有する重合体を意味する。1−ブテン系樹脂についても同様である。
ポリオレフィン系樹脂として共重合体を用いる場合の連鎖形式は限定されず、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体等の何れであってもよい。また、重合に用いる触媒も公知のものを適宜採用することができる。
これらのポリオレフィン系樹脂は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ポリオレフィン系樹脂としては、エチレン単独重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体、1−ブテン・エチレン共重合体、1−ブテン・プロピレン共重合体等が好ましい。
ポリオレフィン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は限定されないが、成形性の点から通常0.01〜80g/10分、好ましくは0.1〜40g/10分のものが好ましい。ここで、MFRは、ポリオレフィン系樹脂がエチレンまたは炭素数4以上のα−オレフィンを主成分(モル換算)とする場合は190℃、荷重2.16kg(21.2N)で
の値を意味し、ポリオレフィン系樹脂がプロピレンを主成分(モル換算)とする場合は230℃、荷重2.16kgでの値を意味する。
[不飽和化合物(a2)]
本発明に用いる不飽和化合物(a2)は、ポリオレフィン樹脂(a1)と反応することができる不飽和化合物であれば限定されない。ここで「反応することができる」とは、不飽和化合物(a2)を構成する不飽和基によってポリオレフィン樹脂(a1)と反応する場合のみならず、該不飽和基を介さずにポリオレフィン樹脂(a1)と反応する場合をも包含する。
具体的な反応性化合物としては、不飽和カルボン酸又はその誘導体や、エチレン性不飽和シラン化合物、不飽和エポキシ化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。中でも不飽和カルボン酸又はその誘導体が好ましい。
不飽和カルボン酸としては、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸が好ましく、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナジック酸TM(エンドシス−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸)等が挙げられる。誘導体としては、酸無水物、カルボン酸エステル等が例示され、更には、酸ハロゲン化物、アミド、イミドなどの誘導体であってもよい。これらの誘導体としては、酸無水物が好ましい。
不飽和カルボン酸又はその誘導体としては、具体的には、塩化マレニル、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレエ−トなどが例示される。これらの中では、特にマレイン酸又はその無水物が好適である。また、これらの化合物を複数併用してもよい。
エチレン性不飽和シラン化合物としては、具体的には、例えば、一般式RSiR’3−nで表されるものが挙げられる。ここで、Rはエチレン性不飽和炭化水素基であり、例えば、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、ブテニル基、シクロヘキセニル基、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピル基などが挙げられ、ビニル基、またはγ−(メタ)アクリロイルオキシプロピル基が好ましい。R’は脂肪族飽和炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、デシル基、フェニル基などが挙げられる。Yは加水分解可能な有機基を表し、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ホルミルオキシ基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、アリールアミノ基などが挙げられ、メトキシ基、エトキシ基、またはアセトキシ基が好ましい。nは0、1または2を表し、好ましくは0である。
上記不飽和シラン化合物の中でも、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
不飽和エポキシ化合物としては、エチレン性不飽和炭化水素基とエポキシ基とを有する化合物であれば限定されないが、具体的には、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、または特公平2−51550号公報に開示されているエポキシ基を有するアクリルアミドモノマー等が挙げられる。
[反応物(A)]
本発明の変性ポリオレフィン樹脂は、ポリオレフィン樹脂(a1)と不飽和化合物(a2)とを反応させて反応物(A)とし、得られた反応物(A)を後述する熱水と接触させることによって得ることが出来る。
ポリオレフィン樹脂(a1)と不飽和化合物(a2)との反応は如何なる方法を用いてもよく、熱のみの反応でも得ることができるが、反応の際にラジカルを発生させる有機過
酸化物等を反応助剤として添加してもよい。また、反応させる手法としては、溶媒中で反応させる溶液変性法や溶媒を使用しない溶融変性法等が挙げられるが、その他の方法を用いてもよい。
溶融変性法としては、ポリオレフィン樹脂(a1)と不飽和化合物(a2)、及び必要により有機過酸化物を予め混合した上で混練機中で溶融混練させ反応させる方法や、混練機中で溶融したポリオレフィン樹脂(a1)に、溶剤等に溶解した有機過酸化物と不飽和化合物(a2)の混合物を装入口から添加して反応させる方法等を用いることができる。混練機としては、特に限定されるものではなく、例えば一軸又は二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、ブラベンダーミキサー等が使用できる。
溶液変性法としては、ポリオレフィン樹脂(a1)を有機溶剤等に溶解して、これに有機過酸化物と不飽和化合物(a2)を添加してグラフト共重合させる方法が使用できる。有機溶剤としては、特に限定されるものではなく、例えばアルキル基置換芳香族炭化水素やハロゲン化炭化水素を使用することが出来る。
ポリオレフィン樹脂(a1)と不飽和化合物(a2)との配合割合は限定されないが、ポリオレフィン樹脂(a1)100重量部に対し、不飽和化合物(a2)を通常0.01〜30重量部、好ましくは0.05〜5重量部、より好ましくは0.1〜1重量部の割合で配合することが望ましい。
ラジカルを発生させる反応助剤は限定されないが、具体的には、ベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシベンゾエ−ト)ヘキシン−3、ラウロイルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、tert−ブチルペルベンゾエ−ト、tert−ブチルペルイソブチレ−ト、tert−ブチルペルピバレ−ト、及びクミルペルピバレ−ト等の有機ペルオキシドや有機ペルエステル、あるいは、アゾビスイソブチロニトリル、ジメチルアゾイソブチレ−ト等のアゾ化合物等を使用することが出来る。
これらの反応助剤は、ポリオレフィン樹脂(a1)の種類、不飽和化合物(a2)の種類および反応条件に応じて適宜選択することができ、2種以上を併用してもよい。反応助剤の配合量は、ポリオレフィン樹脂(a1)100重量部に対し、通常0.001〜3重量部、好ましくは0.005〜0.5重量部、より好ましくは0.01〜0.2重量部、特に好ましくは0.01〜0.1重量部である。
[熱水処理]
本発明の変性ポリオレフィン樹脂は、前記の反応物(A)を、反応物(A)の融点−50℃以上、反応物(A)の融点未満の温度の熱水と接触させて得ることを特徴とする。ここで熱水処理とは、単に反応物(A)を加熱することを目的とするものではなく、反応物(A)を特定温度の熱水と接触させることにより、反応物(A)の物質表面または内部に存在する、ポリオレフィン樹脂(a1)と化学結合していない不飽和化合物(a2)やオリゴマー等の副生成物を熱水中に抽出することにより、反応物(A)から除去することを意味する。
本発明において熱水とは、反応物(A)の融点−50℃以上、反応物(A)の融点未満の温度の水であれば、その状態は限定されず、液体のみならず、水蒸気をも包含する。熱水の温度が前記下限値未満の場合は、得られる変性ポリオレフィン樹脂の接着性を十分に得ることが出来ない。また、熱水の温度が前記上限値を超過する場合は、熱によって樹脂の劣化が生じるばかりでなく、熱水による処理中に反応物(A)が溶融するため、取扱い
が著しく低下する。
該熱水の温度の下限は、上記と同様の理由により、好ましくは反応物(A)の融点−40℃以上、より好ましくは反応物(A)の融点−30℃以上であることが望ましい。該熱水の温度の上限は、上記と同様の理由により、好ましくは反応物(A)の融点−5℃以下であることが望ましい。
ここで、反応物(A)の融点とは融解終了温度を意味し、示差走査熱量計(DSC セイコー電子社製、SII@6200)を用い、温度範囲50℃〜200℃、昇温速度10℃/分として測定するものとする。
熱水の温度は限定されず、反応物(A)の融点との関係において上記の条件を満たせばよいが、通常80℃以上、好ましくは90℃以上、より好ましくは100℃以上であり、一方、通常200℃以下、好ましくは160℃以下であることが望ましい。熱水の温度が前記下限値未満の場合は、得られる変性ポリオレフィン樹脂の接着性が低下する場合がある。また、熱水の温度が前記上限値を超過する場合は、熱によって樹脂の劣化が生じる場合がある。
本発明に用いる熱水には、他の成分が混合または溶解されていてもよい。このような成分は限定されないが、例えば、アルコール、ケトンなどの有機溶剤を配合することができる。アルコールとしては、メタノールやエタノール、イソプロパノール等が、ケトンとしては、アセトンやメチルエチルケトン等が挙げられる。これらの成分を熱水に混合して用いることにより、反応物(A)からの不飽和化合物(a2)の抽出が促進され、得られる変性ポリオレフィン樹脂の接着性が向上する場合がある。なお、これらの化合物の含有量は限定されないが、熱水に対して1〜30重量%の範囲で用いるのが好ましい。さらに、本発明の目的を損なわない範囲で酸化防止剤や熱安定剤など、後述するその他の成分も添加することができる。
本発明における熱水処理を行う際の圧力は限定されず、常圧で行ってもよいし、加圧下でもよいし、更には、減圧下であってもよい。ここで、熱水の温度を前期範囲とするためには、通常、常圧または減圧下の場合は水蒸気の状態であり、加圧下の場合は水蒸気または液体としての熱水の状態である。
これらの中でも、常圧または加圧下に熱水処理を施すことが好ましい。加圧下に処理する場合の圧力は限定されないが、通常0.11MPa以上、好ましくは0.20MPa以上が望ましい。なお、圧力の上限は限定されないが、通常1.00MPa以下、好ましくは0.70MPa以下程度である。
反応物(A)と熱水との接触時間は限定されず、熱水の温度、圧力等の条件によって最適化すればよいが、通常5分以上、好ましくは10分以上、より好ましくは30分以上、更に好ましくは1時間以上、特に好ましくは2時間以上であることが望ましい。接触時間が前記下限値未満では、変性ポリオレフィン樹脂の接着性が十分でない場合がある。なお、接触時間の上限は限定されないが、通常48時間以下、好ましくは36時間以下程度である。接触時間が前記上限値を超過する場合は、エネルギー効率が悪いばかりか、得られる変性ポリオレフィン樹脂が熱劣化する場合がある。
熱水処理に供する反応物(A)の形状は限定されないが、ペレット、粉体、クラム(塊状)などが例示され、中でも比表面積が大きいものが好ましい。
本発明の熱水処理を行う際の装置や、処理方法は限定されず、バッチ式であっても連続式であってもよい。熱水が水蒸気の場合は、水蒸気雰囲気下に反応物(A)を暴露させたり、通過させればよい。熱水が液体の場合は、オートクレーブ等の加圧チャンバー内に反応物(A)を保持したり、常圧の熱水中に反応物(A)を滞留させたり、常圧の熱水中に
反応物(A)を通過させればよい。
また、反応物(A)に対する熱水の量も限定されず、本発明の効果を奏するために十分な量の熱水を用いればよい。
上記の方法で熱水処理された本発明の変性ポリオレフィン樹脂は、ポリオレフィン樹脂(a1)と化学結合していない不飽和化合物(a2)やオリゴマー等の副生成物が少ないため、各種被着体に対し高い接着力を示し、且つ、成形加工時に排煙が少なく環境負荷を低減させることができる。このため、本発明の変性ポリオレフィン樹脂は、積層体における変性ポリオレフィン樹脂、すなわち接着層として好適に用いることができる。
さらに、本発明の変性ポリオレフィン樹脂は、未反応成分やオリゴマー成分が少なく、接着強度が高く、未反応成分に起因する臭気や着色を低減した変性ポリオレフィン樹脂とすることができるため、医療用や食品用の包装材料に適した積層体における変性ポリオレフィン樹脂、すなわち接着層として好適に用いることができる。
また、本発明の変性ポリオレフィン樹脂は未反応成分やオリゴマー成分が少ないため、接着強度の経時変化が小さく、産業資材に適した積層体における変性ポリオレフィン樹脂、すなわち接着層として好適に用いることができる。
本発明の変性ポリオレフィン樹脂は、上記の方法で熱水処理することにより、第十六改正・日本薬局方(「7.02プラスチック製医薬品容器試験法」の「1.2.溶出物試験」(v)蒸発残留物)に準じて測定した蒸発残留物量が、熱水処理前に較べて0.1mg以上低下させることが好ましく、1.0mg以上低下させることがより好ましい。変性ポリオレフィン樹脂の蒸発残留物の低下量を前記下限値以下とするためには、前記の熱水処理の条件を最適化することによって達成することができ、具体的には、熱水処理の際の温度を前記の通りとすることが効果的である。なお、該蒸発残留物の低下量の上限は限定されず、熱水処理後の変性ポリオレフィン樹脂の蒸発残留物量が0に近づく程好ましい。
[変性ポリオレフィン樹脂組成物]
本発明の変性ポリオレフィン樹脂組成物とは、前記の通り、反応物(A)を熱水と接触させることによって得られた変性ポリオレフィン樹脂と、熱可塑性樹脂(B)とを含有する樹脂組成物を意味する。
[熱可塑性樹脂(B)]
本発明に用いる熱可塑性樹脂(B)は、前記した本発明の変性ポリオレフィン樹脂自体を除けば、何れの熱可塑性樹脂であってもよい。ここで熱可塑性樹脂(B)には、熱可塑性エラストマーを包含する。熱可塑性樹脂(B)は、具体的には、前記のポリオレフィン樹脂;エチレン・プロピレン共重合ゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴム等のオレフィン系エラストマー、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂;前記のポリエステルエラストマー;ポリスチレン樹脂、スチレン共重合体樹脂等のスチレン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド樹脂;ポリアセタール樹脂;(メタ)アクリル樹脂;ウレタン樹脂等が挙げられる。更には、熱水処理を行っていない反応物(A)であってもよい。また、熱可塑性樹脂(B)は、2種以上の樹脂を併用してもよい。
中でも、熱可塑性樹脂(B)としては、ポリオレフィン樹脂やポリエステルエラストマーを使用することが好ましい。また、ポリオレフィン樹脂(a1)として用いた樹脂と同一の樹脂を用いることも好ましい。
熱可塑性樹脂(B)の含有量は限定されず、目的および用途に応じて適宜設定出来るが、本発明の変性ポリオレフィン樹脂組成物中における不飽和化合物(a2)の含有量が0.03〜2重量%となるように用いることが好ましい。また、本発明の変性ポリオレフィン樹脂組成物の配合比率は限定されないが、通常、変性ポリオレフィン樹脂1〜99重量
%、熱可塑性樹脂(B)99〜1重量%である。
本発明の変性ポリオレフィン樹脂組成物における、前記変性ポリオレフィン樹脂と熱可塑性樹脂(B)との混合方法は限定されず、単なる両者の配合であってもよいが、溶融混練等で一体化された樹脂組成物であることが好ましい。具体的には、例えば一軸又は二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、ブラベンダーミキサー等によって溶融混練する方法が挙げられる。
また、反応物(A)のみを熱水処理することにより本発明の変性ポリオレフィン樹脂を製造し、これと熱可塑性樹脂(B)とを混合してもよいが、予め反応物(A)と熱可塑性樹脂(B)とを混合して樹脂組成物としておき、これを熱水処理して得ることもできる。後者の方法であれば、熱水処理によって熱可塑性樹脂(B)に含有される不純物成分を除去することが可能なばかりでなく、溶融混練等によって新たに発生した不純物成分をも除去することが出来るため好ましい。後者の方法における熱水処理の条件も、前記した反応物(A)を単独で熱水処理する場合と同様の方法および条件を採用することができる。
[その他の成分]
本発明の変性ポリオレフィン樹脂または変性ポリオレフィン樹脂組成物は、反応物(A)および熱可塑性樹脂(B)以外の構成成分(以下、「その他の成分」という)を含有していてもよい。その他の成分は限定されず、公知の添加剤、例えば耐熱安定剤、耐候安定剤、ブロッキング防止剤、スリップ剤、帯電防止剤、触媒残渣の中和剤、顔料、染料、無機および/または有機フィラー等を本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。また、その使用量も任意である。
前記その他の成分は、反応物(A)とともに溶融混練等を行って樹脂組成物としてから熱水処理に供してもよいし、本発明の変性ポリオレフィン樹脂を得た後、これと配合または混合してもよい。また、本発明の変性ポリオレフィン樹脂組成物を得る際に、変性ポリオレフィン樹脂と熱可塑性樹脂(B)との混合時に添加してもよい。
なお、熱水処理を行う際に前記その他の成分が含有されていた場合に、これらの成分が熱水によって抽出されてしまう場合には、熱水処理によって得られた変性ポリオレフィン樹脂または変性ポリオレフィン樹脂組成物に対し、その後に添加することが好ましい。
[積層体]
本発明の変性ポリオレフィン樹脂または変性ポリオレフィン樹脂組成物は、この何れかを接着層とし、樹脂、木材、セラミックス、及び金属から選ばれる少なくとも一層(以下、基材という場合がある。)を有する積層体とすることができる。基材が樹脂層の場合は織布又は不織布であってもよいし、金属層の場合は蒸着によって形成された層であってもよい。
積層体を製造する方法は限定されず、逐次押出ラミネート法、サンドイッチ押出ラミネート法、表面被覆法、共押出ラミネート法等により製造することができる。該積層体には、アンカーコート剤を介しても、または介することなく積層してもよい。また、各基材と変性ポリオレフィン樹脂または変性ポリオレフィン樹脂組成物の押出と同時に、もう一つの樹脂等からなる基材を共押出して三層以上の積層体とすることもできる。
このような積層体は必要に応じて、更に延伸加工に付して延伸物としたり、又は真空成形、圧空成形等の熱成形を行うことができ、また共押出ブロー成形により容器状に成形することもできる。
なお、基材として用いることができる樹脂としては熱可塑性樹脂が好ましく、例えば、前記のポリオレフィン樹脂(a1)に該当するポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフ
タレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂;前記のポリエステルエラストマー;ポリスチレン樹脂、スチレン共重合体樹脂等のスチレン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド樹脂;ポリアセタール樹脂;(メタ)アクリル樹脂;ウレタン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、特に前記のポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、前記のポリエステルエラストマー、ポリアミド樹脂が好ましく、前記のポリオレフィン樹脂の中では、低密度ポリエチレン単独重合体、高密度ポリエチレン単独重合体、エチレン・αオレフィン共重合体、プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレン共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体等が好適である。
これらの樹脂を用いて、例えば変性ポリオレフィン樹脂または変性ポリオレフィン樹脂組成物や上記の樹脂の一種類以上を押出機中でそれぞれ溶融した上で、多層ダイスに供給してダイス中で積層する共押出法によりインフレーションフィルム、T−ダイフィルム、積層シート、積層パイプを製造したり、溶融した個々の樹脂を同一金型内へ時間差を持たせて射出成形する、共射出成形法によりパリソン等の積層体を製造することができる。
基材として木材、織布又は不織布、金属等を使用する場合は、押出機中で溶融させた変性ポリオレフィン樹脂または変性ポリオレフィン樹脂組成物をダイスに供給し、押出と同時に積層を行うことにより基材表面に被覆・積層を行う方法や、予め変性ポリオレフィン樹脂または変性ポリオレフィン樹脂組成物からなるシート又はこれらを表面に形成した積層体と、基材とをプレスや熱ロールによって圧着して積層する方法を用いることができる。
本発明の変性ポリオレフィン樹脂または変性ポリオレフィン樹脂組成物を接着層とする積層体は、未反応成分やオリゴマー成分が少なく、接着強度が高いため、医療用や食品用の包装材料に適した積層体として用いることができる。
以下、本発明について実施例を用いて更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。
[実施例1]
<変性ポリオレフィン樹脂の製造>
市販のポリプロピレン単独重合体(密度0.90g/cm、MFR(230℃,荷重2.16kg)0.9g/10分)5kgに対し、無水マレイン酸125g及び有機過酸化物(日油社製、パーブチルP)20gを加えて混合し、これを予め230℃に設定した単軸押出機に投入し、溶融混合してストランドカットによりペレット状の反応物を得た。得られた反応物を後述の方法を用いて融解終了温度を測定した結果、165℃であった。
上記製法で得たペレット状の反応物50gを、オートクレーブ装置を用い、温度135℃、8時間の条件下で熱水処理を行い変性ポリオレフィン樹脂を得た。得られた変性ポリオレフィン樹脂を後述の方法を用いて溶出物試験および未反応不飽和化合物含有量の測定を行った結果を表−1に示す。
<変性ポリオレフィン樹脂組成物の製造>
上記で得られた変性ポリオレフィン樹脂を800g、ポリプロピレン単独重合体(密度0.90g/cm、MFR(230℃,荷重2.16kg)0.9g/10分)を6400g、エチレン・プロピレン共重合ゴム(密度0.87g/cm、MFR(230℃,荷重2.16kg)1.8g/10分)を800gとして事前にドライブレンドにより混合し、単軸押出機(IKG社製、PSM50−32(1V)、D=50mmφ、L/D=32)を用い、設定温度210℃、スクリュー回転数60rpm、押出量20kg/h
で溶融混練し、ストランドカットによりペレット状の変性ポリオレフィン樹脂組成物を得た。
<積層体の製造>
上記で得られた変性ポリオレフィン樹脂組成物を接着材層とし、以下の製造方法により積層体を得た。
住友重機械モダン社製、4種5層共押出多層Tダイ成形機を用いて、3種5層の多層フィルムを得た。層構成は、下記の材料を用い、冷却ロール面に接する側(内側)から外側に向かって、ポリプロピレン層/接着材層/エチレン・ビニルアルコール共重合体層/接着材層/ポリプロピレン層とし、各層の厚みは、それぞれ50μm/10μm/20μm/10μm/50μmとした。成形温度は230℃、冷却ロール温度は30℃とした。成形速度は、5m/分、10m/分、及び20m/分の3段階の条件で積層体をそれぞれ製造した。得られた積層体を後述の方法を用いて接着強度の測定を行った結果を表−1に示す。
・ポリプロピレン層: 日本ポリプロ社製「FW4B」、プロピレン単独重合体、MFR(230℃、2.16kg)7.0g/10分。
・エチレン・ビニルアルコール共重合体層: 日本合成化学社製、ソアノール(商標)AT4403B
[実施例2]
熱水処理の条件を、温度120℃、8時間とした以外は実施例1と同様にして変性ポリオレフィン樹脂を得た。得られた変性ポリオレフィン樹脂について、実施例1と同様に溶出物試験および未反応不飽和化合物含有量の測定を行った結果を表−1に示す。
得られた変性ポリオレフィン樹脂を用い、実施例1と同様の方法により変性ポリオレフィン樹脂組成物とした。
更に、得られた変性ポリオレフィン樹脂組成物を接着材層とし、実施例1と同様の方法で積層体を得た。これを用いて実施例1と同様に接着強度の測定を行った結果を表−1に示す。
[比較例1]
実施例1で得られた反応物を熱水処理を行わずにそのまま用いて変性ポリオレフィン樹脂とし、実施例1と同様に溶出物試験および未反応不飽和化合物含有量の測定を行った結果を表−1に示す。
得られた変性ポリオレフィン樹脂を用い、実施例1と同様の方法により変性ポリオレフィン樹脂組成物とした。
更に、得られた変性ポリオレフィン樹脂組成物を接着材層とし、実施例1と同様の方法で積層体を得た。これを用いて実施例1と同様に接着強度の測定を行った結果を表−1に示す。
[実施例3]
市販のプロピレン・エチレン共重合体(密度0.90g/cm、MFR(230℃,荷重2.16kg)2.0g/10分)5kgに対し、無水マレイン酸100g及び有機過酸化物(日油社製、パーブチルO)50gを加えて混合し、これを予め200℃に設定した二軸押出機に投入し、溶融混合してストランドカットによりペレット状の反応物を得た。得られた反応物について、実施例1と同様に融解終了温度を測定した結果、145℃であった。
上記製法で得たペレット状の反応物を、実施例2と同様の条件下(120℃、8時間)で熱水処理を行い変性ポリオレフィン樹脂を得た。得られた変性ポリオレフィン樹脂について、実施例1と同様に溶出物試験および未反応不飽和化合物含有量の測定を行った結果を表−1に示す。
得られた変性ポリオレフィン樹脂を用い、実施例1と同様の方法により変性ポリオレフィン樹脂組成物とした。
更に、得られた変性ポリオレフィン樹脂組成物を接着材層とし、実施例1と同様の方法で積層体を得た。これを用いて実施例1と同様に接着強度の測定を行った結果を表−1に示す。
[比較例2]
実施例3で得られた反応物を熱水処理を行わずにそのまま用いて変性ポリオレフィン樹脂とし、実施例1と同様に溶出物試験および未反応不飽和化合物含有量の測定を行った結果を表−1に示す。
得られた変性ポリオレフィン樹脂を用い、実施例1と同様の方法により変性ポリオレフィン樹脂組成物とした。
更に、得られた変性ポリオレフィン樹脂組成物を接着材層とし、実施例1と同様の方法で積層体を得た。これを用いて実施例1と同様に接着強度の測定を行った結果を表−1に示す。
[実施例4]
市販のエチレン・α−オレフィン共重合体(密度0.92g/cm、MFR(190℃,荷重2.16kg)2.0g/10分)5kgに対し、無水マレイン酸100g及び有機過酸化物(日油社製、パーヘキサ25B)5.0gを加えて混合し、予め200℃に設定した二軸押出機に投入し、溶融混合してストランドカットによりペレット状の反応物を得た。得られた反応物について、実施例1と同様に融解終了温度を測定した結果、120℃であった。
上記製法で得たペレット状の反応物に対し、温度100℃、8時間の条件下とした以外は実施例1と同様の熱水処理を行い、変性ポリオレフィン樹脂を得た。得られた変性ポリオレフィン樹脂について、実施例1と同様に溶出物試験および未反応不飽和化合物含有量の測定を行った結果を表−1に示す。
上記で得られた変性ポリオレフィン樹脂を800g、エチレン・α−オレフィン共重合体(密度0.92g/cm、MFR(190℃,荷重2.16kg)5.0g/10分)を6400g、エチレン・プロピレン共重合ゴム(密度0.87g/cm、MFR(230℃,荷重2.16kg)1.8g/10分)を800gとして事前にドライブレンドにより混合し、単軸押出機(IKG社製、PSM50−32(1V)、D=50mmφ、L/D=32)を用い、設定温度210℃、スクリュー回転数60rpm、押出量20kg/hで溶融混練し、ストランドカットによりペレット状の変性ポリオレフィン樹脂組成物を得た。
上記で得られた変性ポリオレフィン樹脂組成物を接着材層とし、実施例1におけるポリプロピレン層を下記の材料を用いたポリエチレン層とし、成形温度を220℃とした以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。得られた積層体を用いて実施例1と同様に接着強度の測定を行った結果を表−1に示す。
・ポリエチレン層: 日本ポリエチレン社製「SF8402」、エチレン・α−オレフィン共重合体、MFR(190℃、2.16kg)5.0g/10分。
[比較例3]
実施例4で得られた反応物を熱水処理を行わずにそのまま用いて変性ポリオレフィン樹脂とし、実施例1と同様に溶出物試験および未反応不飽和化合物含有量の測定を行った結果を表−1に示す。
得られた変性ポリオレフィン樹脂を用い、実施例4と同様の方法により変性ポリオレフィン樹脂組成物とした。
更に、得られた変性ポリオレフィン樹脂組成物を接着材層とし、実施例4と同様の方法で積層体を得た。これを用いて実施例1と同様に接着強度の測定を行った結果を表−1に示す。
[実施例5]
無水マレイン酸の使用量を100gとし、有機化酸化物として日本油脂社製、ナイパーBMT−K40を75g用いた以外は実施例1と同様の方法によりペレット状の反応物を得た。得られた反応物について、実施例1と同様に融解終了温度を測定した結果、165℃であった。
上記製法で得たペレット状の反応物を、実施例1と同様の条件下で熱水処理を行い変性ポリオレフィン樹脂を得た。得られた変性ポリオレフィン樹脂について、実施例1と同様に溶出物試験を行った結果を表−1に示す。
得られた変性ポリオレフィン樹脂を用い、実施例1と同様の方法により変性ポリオレフィン樹脂組成物とした。
更に、得られた変性ポリオレフィン樹脂組成物を接着材層とし、実施例1と同様の方法で積層体を得た。これを用いて実施例1と同様に接着強度の測定を行った結果を表−1に示す。
[比較例4]
熱水処理の条件を、温度100℃、8時間とした以外は実施例5と同様にして変性ポリオレフィン樹脂を得た。得られた変性ポリオレフィン樹脂について、実施例1と同様に溶出物試験を行った結果を表−1に示す。
得られた変性ポリオレフィン樹脂を用い、実施例1と同様の方法により変性ポリオレフィン樹脂組成物とした。
更に、得られた変性ポリオレフィン樹脂組成物を接着材層とし、実施例1と同様の方法で積層体を得た。これを用いて実施例1と同様に接着強度の測定を行った結果を表−1に示す。
[比較例5]
実施例5で得られた反応物を熱水処理を行わずにそのまま用いて変性ポリオレフィン樹脂とし、実施例1と同様に溶出物試験を行った結果を表−1に示す。
得られた変性ポリオレフィン樹脂を用い、実施例1と同様の方法により変性ポリオレフィン樹脂組成物とした。
更に、得られた変性ポリオレフィン樹脂組成物を接着材層とし、実施例1と同様の方法で積層体を得た。これを用いて実施例1と同様に接着強度の測定を行った結果を表−1に示す。
<融解終了温度の測定>
示差走査熱量計(DSC:セイコー電子社製、SII@6200)を用い、融解ピークの終了温度を測定した。測定条件は、温度範囲50℃〜200℃、昇温速度10℃/分とした。
<溶出物試験>
第十六改正・日本薬局方(「7.02プラスチック製医薬品容器試験法」の「1.2溶出物試験」)に準じ、121℃、1時間加熱の条件にて溶出試験液を調整し、以下の項目の評価を行った。
・pH: 試験液および空試験液pHの差を測定した。この値が小さいほど良好である。
・過マンガン酸カリウム還元性物質: 試験液20mLにおける過マンガン酸カリウム液の消費量を算出した。この値が小さいほど良好である。
・紫外吸収スペクトル: 波長220〜240nm、及び241〜350nmのそれぞ
れの区間について、最大吸光度を確認した。この値が小さいほど良好である。
・蒸発残留物: 試験液20mLを蒸発乾固した際の蒸発残留物量を測定した。この値が小さいほど良好である。
<未反応不飽和化合物の含有量>
変性ポリオレフィン樹脂を、加熱プレスを用いて200℃で厚み80〜200μmの薄片に成形し、試料−1とした。また試料−1と同様にして作製した試料をソックスレー抽出器に入れ、アセトン還流により試料から未反応変性剤を除去した後、加熱乾燥機を用いて80℃で2時間乾燥させることにより試料−2を得た。
赤外分光光度計を用いて、吸光度比から試料−1および試料−2の不飽和化合物含有量を求めた。未反応不飽和化合物の含有量は、[未反応不飽和化合物の含有量]=[試料−1の不飽和化合物含有量]−[試料−2の不飽和化合物含有量]として求めた。
<接着強度の測定>
上記で得られた積層体を押出方向(MD方向)に幅15mmの短冊状に切り出して試験片とし、23℃雰囲気下、速度300mm/minにて180°ピール剥離試験を行った。なお、接着強度は、エチレン・ビニルアルコール共重合体層と接着材層との界面における接着強度を意味する。
Figure 2013204007

Claims (9)

  1. ポリオレフィン樹脂(a1)と、該ポリオレフィン樹脂(a1)と反応することができる不飽和化合物(a2)とを反応させて得られた反応物(A)を、反応物(A)の融点−50℃以上、反応物(A)の融点未満の温度の熱水と接触させて得られる変性ポリオレフィン樹脂。
  2. 不飽和化合物(a2)が、不飽和カルボン酸またはその誘導体である請求項1に記載の変性ポリオレフィン樹脂。
  3. ポリオレフィン樹脂(a1)と不飽和化合物(a2)との反応が、有機過酸化物の存在下での溶融混練である請求項1または2に記載の変性ポリオレフィン樹脂。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の変性ポリオレフィン樹脂1〜99重量%と、熱可塑性樹脂(B)99〜1重量%とを含有する変性ポリオレフィン樹脂組成物。
  5. ポリオレフィン樹脂(a1)と、該ポリオレフィン樹脂(a1)と反応することができる不飽和化合物(a2)とを反応させて反応物(A)を得る工程と、該反応物(A)を、反応物(A)の融点−50℃以上、反応物(A)の融点未満の温度の熱水と接触させる工程とを有する変性ポリオレフィン樹脂の製造方法。
  6. 反応物(A)と熱水との接触を、5分以上行う請求項5に記載の変性ポリオレフィン樹脂の製造方法。
  7. 該熱水との接触により、日本薬局方(プラスチック製医薬品容器試験法、溶出物試験)による蒸発残留物量を0.1mg以上低下させる請求項5または6に記載の変性ポリオレフィン樹脂の製造方法。
  8. 請求項1乃至3の何れかに記載の変性ポリオレフィン樹脂または請求項4に記載の変性ポリオレフィン樹脂組成物を含む層と、樹脂、木材、セラミックス、及び金属から選ばれる少なくとも一層とを有する積層体。
  9. 医療用及び食品用の包装材料である請求項8に記載の積層体。

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