JP2013203853A - 共重合ポリエステル組成物およびポリエステル成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、不飽和二重結合を含有し、安定にポリエステルの製造が可能であり、ゲル化が発生せず、溶融成形性の優れた共重合ポリエステル組成物を提供することである。
【解決手段】共重合ポリエステル組成物に対して、特定化学構造を有する不飽和有機化合物を0.5〜20.0モル%および特定化学構造を有するビスフェノール基含有化合物0.5〜20.0重量%を共重合された共重合ポリエステル組成物によって達成される。
【選択図】なし
【解決手段】共重合ポリエステル組成物に対して、特定化学構造を有する不飽和有機化合物を0.5〜20.0モル%および特定化学構造を有するビスフェノール基含有化合物0.5〜20.0重量%を共重合された共重合ポリエステル組成物によって達成される。
【選択図】なし
Description
本発明は不飽和二重結合を有するモノマーを共重合している共重合ポリエステル組成物に関する。さらに詳しくは、安定的にポリエステルの製造が可能であり、工程異常となるゲル化が発生せず、有害な副生成物を発生させず、溶融成形性の優れた共重合ポリエステル組成物を提供することである。
ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートおよびポリテトラメチレンテレフタレートは、その機械的、物理的および化学的性能が優れているため、繊維、フィルムまたはその他の成形物に広く利用されている。ポリエステルは多くの優れた特性を有するがゆえに繊維、フィルム、樹脂として広く用いられているが、優れた化学的な安定性を有し、成形品の化学修飾が困難であるという欠点を有していた。この問題を解決する方法として、不飽和有機化合物を含有するポリエステルが提案されている。しかし、不飽和有機化合物をポリエステル骨格に導入することは、製造上、難易度の高いものであった。
そのようなポリエステルの製造上の問題点としては、不飽和有機化合物を含有するポリエステルを重合工程する際に発生するゲル化がある。ゲル化は、ポリエステル中に含まれる不飽和有機化合物の不飽和二重結合が反応し、ポリマー鎖同士が架橋による原因と推定されている。ゲル化が発生すると、ポリエステル組成物の重合工程・成形品の製造工程において、多大な工程トラブルを引き起こす原因となる。重合工程においては、ポリエステル製造装置の撹拌翼への巻きつきが発生し、撹拌装置の破損をもたらす、重合装置からの取り出しが困難になる。重合装置から取り出されずに残存したポリエステルが重合装置に長期滞留することによって、分解劣化異物が発生する。あるいは、製造装置から取り出した後、カッティングする工程においてストランド切れが多発し、チップ化が不可能になる。これらのような深刻な工程トラブルを引き起こす問題があった。また、このポリエステル組成物を乾燥・溶融・成形する段階において、架橋により均一な成形(吐出・射出)が困難となる。また製糸時においては、断糸・毛羽の原因となり、フィルム成膜時にはフィルム切れやフィルム厚さの不均一化など、トラブルを引き起こす。またポリエステルを溶融する装置内において、ゲル化・架橋が進み、装置内での固化や装置の破損など、深刻なトラブルを引き起こす問題があった。
これらゲル化・架橋の解決方法として、例えばジフェニルフマレートのごときモノマーを使用する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。このポリマーの場合、反応においてフェノールを発生する問題があった。フェノールは、日本国内において劇物にしていされる化合物であり、発生したフェノールの取り扱いの安全性に問題があり、反応で発生したエチレングリコールとフェノールの混合物を処理するために多額の処理費用が必要であり、実用的ではなかった。他方、ゲル化・架橋を解決する方法として、低温で反応させることを特徴とする手法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。しかし、この場合、反応速度が極端に低下するため、生産効率が極めて悪い、多量の重合触媒の必要とするため、熱安定性に劣る欠点を有している。
あるいは、ゲル化・架橋をあきらめ、低真空度で安定に反応させる方法を挙げることがえできる(例えば、特許文献3参照。)。この方法は、低真空度でゆっくりと反応させることにより、多少のゲル化が発生しても安定に製品を得るという発想であり、製造効率が極めて悪い。長期の製造によって、ポリエステル組成物・成形品の製造装置内にゲル化したポリマーが残存し異物が発生するなど、問題を有していた。
本発明は、上記背景に鑑みなされたもので、その目的は、製造時に有害なフェノールなどの化合物の発生が実質的になく、重合性が良好な共重合ポリエステル組成物であり、良好な物性や耐熱性を有するポリエステル繊維などを与えることのできる共重合ポリエステル組成物を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成すべく、鋭意検討した結果、特定量のビスフェノール基含有化合物を共重合させたときに、特異にゲル化が抑制され、安定にポリエステルの製造が可能となることを見出したものである。驚くべきことに、ビスフェノール化合物の共重合によりゲル化を顕著に抑制し、従来の問題であった高温条件や真空条件など特異な反応条件を経ずに、良好な物性を有する不飽和有機化合物を含有する共重合ポリエステル組成物が得られ、本発明の目的が達成できること見出した。
すなわち本発明は、下記一般式(1)で示される不飽和有機化合物から選ばれる少なくとも1種類の不飽和有機化合物を共重合ポリエステル組成物を構成する全酸成分に対して0.5〜20.0モル%共重合した共重合ポリエステル組成物であって、更に下記一般式(2)で示されるビスフェノール基含有化合物から選ばれる少なくとも1種類のビスフェノール基含有化合物Aを共重合ポリエステル組成物に対して0.5〜20.0重量%を共重合することを特徴とする共重合ポリエステル組成物およびそれからなる成形品であり、この共重合ポリエステル組成物等により上記課題を解決することができる。
R1−OOC−CH=CH−COO−R2 (1)
[上記式中、R1は水素原子、炭化水素残基を示す。R2は水素原子、炭化水素残基または金属イオンを示す。R1、R2は同一の官能基であっても異なる官能基であっても良く、あるいはR1およびR2が結合しているカルボキシル基同士が酸無水物構造を形成し環状構造を有していても良い。]
R1−OOC−CH=CH−COO−R2 (1)
[上記式中、R1は水素原子、炭化水素残基を示す。R2は水素原子、炭化水素残基または金属イオンを示す。R1、R2は同一の官能基であっても異なる官能基であっても良く、あるいはR1およびR2が結合しているカルボキシル基同士が酸無水物構造を形成し環状構造を有していても良い。]
本発明によれば、不飽和二重結合を有し、成形可能な共重合ポリエステル組成物を得ることが可能であり、安定的にポリエステルの製造が可能であり、工程異常となるゲル化が発生せず、有害な副生成物を発生させず、溶融成形性の優れた共重合ポリエステル組成物を得ることができ、繊維、フィルム、樹脂などの成形体に成形した時に、優れた機械物性を有する成形体を得ることができる。本発明の共重合ポリエステル組成物を溶融紡糸して製造したポリエステル繊維は、衣料用途、産業用途などで好適に用いることができる。
以下本発明を詳しく説明する。本発明の共重合ポリエステル組成物を構成するポリエステルポリマーとしては、汎用的なポリエステルポリマーが用いられる。中でもポリエステルの主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレート、トリメチレンテレフタレート、トリメチレン−2,6−ナフタレート、ブチレンテレフタレート、ブチレン−2,6−ナフタレートよりなる群から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位からなるポリエステルであることが好ましい。とりわけ物性に優れ、大量生産に適した点を考慮すると、ポリエステル樹脂を構成する主たる酸成分がテレフタル酸、ジオール成分がエチレングリコールであることを特徴とするポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。
ポリエステルの主たる繰返し単位としては、ポリエステルを構成する全ジカルボン酸成分に対して、その繰り返し単位が80モル%以上含有されていることが好ましい。特には90モル%以上含むポリエステルであることが好ましい。またポリエステルポリマー中に少量であれば、適当な第3成分を含む共重合体であっても差し支えない。例えば、本発明で用いられるポリエステルポリマーとしては、テレフタル酸あるいはナフタレン−2,6−ジカルボン酸またはその機能的誘導体と、エチレングリコール、トリメチレングリコールまたはテトラメチレングリコールとを触媒の存在下で、適切な温度・圧力下の反応条件の下に重合することができる。また、ポリエステルの重合完結前に、適切な1種または2種以上の第3成分を添加すれば、共重合ポリエステル組成物が合成される。
適当な第3成分としては、(a)2個のエステル形成官能基を有する化合物、例えば、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸;シクロプロパンジカルボン酸、シクロブタンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラアルキルアンモニウム塩、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラアルキルホスホニウム塩などのカルボン酸;グリコール酸、p−ヒドロオキシ安息香酸、p−ヒドロオキシエトキシ安息香酸などのヒドロオキシカルボン酸;1,2−プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチレングリコール、p−キシリレングリコール、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンジメタノール、p,p′−ジフェノキシスルホン−1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2,2−ビス(p−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ポリアルキレングリコール、p−フェニレンビス(ヒドロキシジメチルシクロヘキサン)などのジヒドロオキシ化合物、あるいはそのエステル結合生成能を有する機能的誘導体、すなわち炭素数1〜6のジアルキルエステル、炭素数6〜10のジアリールエステル、ジ酸ハロゲン化物;前記カルボン酸類、ヒドロオキシカルボン酸類、ヒドロオキシ化合物類またはその機能的誘導体から誘導される高重合度化合物などや、(b)1個のエステル形成官能基を有する化合物、例えば、安息香酸、ベンゾイル安息香酸、ベンジルオキシ安息香酸、メトキシポリアルキレングリコールなどが挙げられる。さらに(c)3個以上のエステル形成官能基を有する化合物、例えば、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリカルバリル酸、トリメシン酸、トリメリット酸なども、重合体が実質的に線状である範囲内で使用可能である。
本発明に使用するポリエステルの製造方法は、通常知られている製造方法が用いられる。すなわち、まずテレフタル酸の如きジカルボン酸成分とエチレングリコールの如きグリコール成分とを直接エステル化反応させる方法により、ジカルボン酸のグリコールエステルおよび/またはその低重合体を製造する。または、テレフタル酸ジメチルのごとき、ジカルボン酸成分とエチレングリコールの如きジオール成分とエステル交換触媒の存在下をエステル交換反応させる方法により、ジカルボン酸のグリコールエステルおよび/またはその低重合体を製造する。次いでこの低重合体を重合触媒の存在下で減圧加熱して所定の重合度になるまで重縮合反応させることによって、目的とするポリエステルが製造される。
<不飽和有機化合物について>
本発明の共重合ポリエステル組成物は、下記一般式(1)で示される不飽和有機化合物から選ばれる少なくとも1種類の不飽和有機化合物を、共重合ポリエステル組成物を構成する全酸成分に対して0.5〜20.0モル%以下共重合することを特徴とする。
R1−OOC−CH=CH−COO−R2 (1)
[上記式中、R1は水素原子、炭化水素残基を示す。R2は水素原子、炭化水素残基または金属イオンを示す。R1、R2は同一の官能基であっても異なる官能基であっても良く、あるいはR1およびR2が結合しているカルボキシル基同士が酸無水物構造を形成し環状構造を有していても良い。]
本発明の共重合ポリエステル組成物は、下記一般式(1)で示される不飽和有機化合物から選ばれる少なくとも1種類の不飽和有機化合物を、共重合ポリエステル組成物を構成する全酸成分に対して0.5〜20.0モル%以下共重合することを特徴とする。
R1−OOC−CH=CH−COO−R2 (1)
[上記式中、R1は水素原子、炭化水素残基を示す。R2は水素原子、炭化水素残基または金属イオンを示す。R1、R2は同一の官能基であっても異なる官能基であっても良く、あるいはR1およびR2が結合しているカルボキシル基同士が酸無水物構造を形成し環状構造を有していても良い。]
<不飽和有機化合物の具体例>
不飽和有機化合物としては、マレイン酸、フマル酸およびこれらのアルキルエステル、無水マレイン酸が挙げられる。具体的には、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸のエチレングリコールジエステル、無水マレイン酸、フマル酸、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸のエチレングリコールジエステルを例示できる。
不飽和有機化合物としては、マレイン酸、フマル酸およびこれらのアルキルエステル、無水マレイン酸が挙げられる。具体的には、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸のエチレングリコールジエステル、無水マレイン酸、フマル酸、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸のエチレングリコールジエステルを例示できる。
<不飽和有機化合物の量>
本発明の共重合ポリエステル組成物にあっては、この不飽和有機化合物は共重合ポリエステル組成物を構成する全酸成分に対して0.5〜20.0モル%共重合されている必要がある。共重合率が0.5モル%未満の場合、ポリエステルの改質効果が低く、好ましくない。一方、20.0モル%を超える場合、ポリエステルの機械物性の低下、結晶性の低下によるポリエステルのハンドリング性の低下を招くため、好ましくない。好ましくは1.0〜15.0モル%、さらに好ましくは2.0〜10.0モル%である。
本発明の共重合ポリエステル組成物にあっては、この不飽和有機化合物は共重合ポリエステル組成物を構成する全酸成分に対して0.5〜20.0モル%共重合されている必要がある。共重合率が0.5モル%未満の場合、ポリエステルの改質効果が低く、好ましくない。一方、20.0モル%を超える場合、ポリエステルの機械物性の低下、結晶性の低下によるポリエステルのハンドリング性の低下を招くため、好ましくない。好ましくは1.0〜15.0モル%、さらに好ましくは2.0〜10.0モル%である。
<不飽和有機化合物の添加方法>
上記の不飽和有機化合物は通常行われているポリエステルへの共重合する化合物を添加する重合方法と同様の方法を採用することが可能である。
上記の不飽和有機化合物は通常行われているポリエステルへの共重合する化合物を添加する重合方法と同様の方法を採用することが可能である。
<ビスフェノール基含有化合物Aについて>
本発明の共重合ポリエステル組成物には、下記一般式(2)で示されるビスフェノール基含有化合物を共重合ポリエステル組成物に対して0.5〜20.0重量%共重合することが必要である。好ましくは1.0〜15.0重量%、より好ましくは2.0〜12.0重量%、更に好ましくは3.0〜10.0重量%共重合することである。
本発明の共重合ポリエステル組成物には、下記一般式(2)で示されるビスフェノール基含有化合物を共重合ポリエステル組成物に対して0.5〜20.0重量%共重合することが必要である。好ましくは1.0〜15.0重量%、より好ましくは2.0〜12.0重量%、更に好ましくは3.0〜10.0重量%共重合することである。
詳細な原理は不明だが、このビスフェノール基含有化合物は、共重合することによって、ポリエステルの重合工程において、ゲル化を防ぐ効果を有している。ゲル化は、ポリエステル中に含まれる不飽和有機化合物の不飽和二重結合が反応し、ポリマー鎖同士が架橋による原因と推定されている。ゲル化が発生すると、共重合ポリエステル組成物の重合工程・成形品の製造工程において、多大な工程トラブルを引き起こす原因となる。重合工程においては、ポリエステル製造装置の撹拌翼への巻き付きが発生し、撹拌装置の破損をもたらす、重合装置からの取り出しが困難になる。重合装置から取り出されずに残存したポリエステルが重合装置に長期滞留することによって、分解劣化異物が発生する。あるいは、製造装置から取り出した後、カッティングする工程においてストランド切れが多発し、チップ化が不可能になる。これらのような深刻な工程トラブルを引き起こす。また、この共重合ポリエステル組成物を乾燥・溶融・成形する段階において、ゲル中に含まれていると考えられる架橋構造により均一な成形(吐出・射出)が困難となる。また製糸時においては、断糸・毛羽の原因となり、フィルム成膜時にはフィルム切れやフィルム厚さの不均一化など、トラブルを引き起こす。またポリエステルを溶融する装置内において、ゲル化反応が進み、架橋構造が増加・進展し、装置内での固化や装置の破損など、深刻なトラブルを引き起こす。
<ビスフェノール基含有化合物の例>
また、ビスフェノール基含有化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2−ジクロロエチレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、1,3−ビス(2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル)ベンゼン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、1,4−ビス(2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル)ベンゼン、5,5’−(1−メチルエチリデン)−ビス[1,1’−(ビスフェニル)−2−オール]プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンもしくは1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのエチレンオキサイド付加体またはプロピレンオキサイドの付加体を挙げることができる。すなわち上記各ビスフェノール化合物の2つのヒドロキシフェニル基に対して、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシヘキシル基またはヒドロキシ−2−エチルヘキシル基を付加反応させ、2−ヒドロキシエトキシフェニル基、3−ヒドロキシプロピルオキシフェニル基、4−ヒドロキシブトキシフェニル基、6−ヒドロキシヘキシルオキシフェニル基またはヒドロキシ−2−エチルヘキシルオキシフェニル基へ置換した化合物に相当する。上記一般式(2)中、Xは炭化水素残基またはスルフォニル基を示し、当該炭化水素基の1もしくは2以上の水素原子がフッ素、塩素もしくは臭素で置換されている官能基も含む。これらの官能基の中でも、スルフォニル基、プロパン−2,2−ジイル基、メチレン基、シクロヘキシリデン基が好ましい。これら残基を用いると安定なポリエステルを得ることができるためである。
また、ビスフェノール基含有化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2−ジクロロエチレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、1,3−ビス(2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル)ベンゼン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、1,4−ビス(2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル)ベンゼン、5,5’−(1−メチルエチリデン)−ビス[1,1’−(ビスフェニル)−2−オール]プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンもしくは1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのエチレンオキサイド付加体またはプロピレンオキサイドの付加体を挙げることができる。すなわち上記各ビスフェノール化合物の2つのヒドロキシフェニル基に対して、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシヘキシル基またはヒドロキシ−2−エチルヘキシル基を付加反応させ、2−ヒドロキシエトキシフェニル基、3−ヒドロキシプロピルオキシフェニル基、4−ヒドロキシブトキシフェニル基、6−ヒドロキシヘキシルオキシフェニル基またはヒドロキシ−2−エチルヘキシルオキシフェニル基へ置換した化合物に相当する。上記一般式(2)中、Xは炭化水素残基またはスルフォニル基を示し、当該炭化水素基の1もしくは2以上の水素原子がフッ素、塩素もしくは臭素で置換されている官能基も含む。これらの官能基の中でも、スルフォニル基、プロパン−2,2−ジイル基、メチレン基、シクロヘキシリデン基が好ましい。これら残基を用いると安定なポリエステルを得ることができるためである。
また、ビスフェノール基含有化合物が下記一般式(3)で示されるビスフェノール基含有化合物Bであることがさらに好ましい。
上記のビスフェノール基含有化合物Bにおいては、R5およびR6の官能基は同一の官能基であっても、異なる官能基であっても良いが、同一の官能基であることが好ましく、具体的には、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基または2−エチルヘキシル基を挙げることができる。
<安定剤について>
本発明の共重合ポリエステル組成物は、下記一般式(4)で示される安定剤を0.05〜5.0重量%含有することが好ましい。
本発明の共重合ポリエステル組成物は、下記一般式(4)で示される安定剤を0.05〜5.0重量%含有することが好ましい。
詳細な原理は不明だが、安定剤も、含有することによって、ポリエステルの重合工程において、ゲル化を防ぐ効果を有している。ただし、その効果は十分でないため、ビスフェノール基含有化合物が、本発明にとっては必須項目となる。
<安定剤の種類について>
上記化学式(4)において、R7は炭化水素残基を示し、R8は炭化水素残基を示し、R9は炭化水素残基を示すが、各々炭化水素残基は置換基を有していても構わない。
このような安定剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ベンゼンプロパン酸,3,5−ビス(1,1−ジメチル−エチル)−4−ヒドロキシ−,C7−C9側鎖アルキルエステル、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−t−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、カルシウムジエチルビス[[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート]、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−t−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ))−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ]フェノール、ビス[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオン酸](2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン−3,9−ジイル)ビス(2,2−ジメチル−2,1−エタンジイル)を例示することができる。これらの化合物の中でも、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−o−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ))−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノールがゲル化抑制の効果が高く、好ましい。チオエーテル構造によるラジカル化反応抑制の相乗によるものと推定される。
上記化学式(4)において、R7は炭化水素残基を示し、R8は炭化水素残基を示し、R9は炭化水素残基を示すが、各々炭化水素残基は置換基を有していても構わない。
このような安定剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ベンゼンプロパン酸,3,5−ビス(1,1−ジメチル−エチル)−4−ヒドロキシ−,C7−C9側鎖アルキルエステル、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−t−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、カルシウムジエチルビス[[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート]、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−t−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ))−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ]フェノール、ビス[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオン酸](2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン−3,9−ジイル)ビス(2,2−ジメチル−2,1−エタンジイル)を例示することができる。これらの化合物の中でも、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−o−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ))−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノールがゲル化抑制の効果が高く、好ましい。チオエーテル構造によるラジカル化反応抑制の相乗によるものと推定される。
<安定剤の含有量について>
安定剤の含有量として0.05〜5.0重量%が好ましい。安定剤の含有量が0.05重量%未満の場合、ゲル化抑制の効果が低く好ましくない。安定剤の含有量が5.0重量%を超える場合、得られる共重合ポリエステル組成物の機械的物性が低下するため、好ましくない。含有される安定剤の範囲としては0.75〜3.0重量%が好ましく、さらに好ましくは1.0〜2.5重量%である。
安定剤の含有量として0.05〜5.0重量%が好ましい。安定剤の含有量が0.05重量%未満の場合、ゲル化抑制の効果が低く好ましくない。安定剤の含有量が5.0重量%を超える場合、得られる共重合ポリエステル組成物の機械的物性が低下するため、好ましくない。含有される安定剤の範囲としては0.75〜3.0重量%が好ましく、さらに好ましくは1.0〜2.5重量%である。
<安定剤の添加時期>
ここでポリエステル製造時における安定剤の添加時期としては、ポリエステルを製造するエステル化反応あるいはエステル交換反応の開始前から重合反応が終了する任意の段階で添加することができる。安定剤の添加時期としては、ポリエステル製造工程において、上述の不飽和有機化合物の添加前の30分前以内、不飽和有機化合物の添加後の30分以内が好ましい。安定剤を不飽和有機化合物の添加前の30分よりも前に添加した場合、安定剤が熱的に劣化し、効果的にゲル化を抑制できず、好ましくない。不飽和有機化合物添加後の30分よりも後に添加した場合、安定剤の効果が不十分であり、好ましくない。
ここでポリエステル製造時における安定剤の添加時期としては、ポリエステルを製造するエステル化反応あるいはエステル交換反応の開始前から重合反応が終了する任意の段階で添加することができる。安定剤の添加時期としては、ポリエステル製造工程において、上述の不飽和有機化合物の添加前の30分前以内、不飽和有機化合物の添加後の30分以内が好ましい。安定剤を不飽和有機化合物の添加前の30分よりも前に添加した場合、安定剤が熱的に劣化し、効果的にゲル化を抑制できず、好ましくない。不飽和有機化合物添加後の30分よりも後に添加した場合、安定剤の効果が不十分であり、好ましくない。
<安定剤の添加方法>
さらに、安定剤のポリエステル中への添加方法としては、安定剤を直接添加する方法、安定剤が可溶な溶媒に溶解させ添加する方法を挙げることができる。溶液として添加する方法の場合、溶解させる溶媒としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、トルエン、キシレンの如き溶媒や、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールの如きポリエステルを構成するジオール成分を溶媒、またこれら溶媒の混合液を例示できる。
さらに、安定剤のポリエステル中への添加方法としては、安定剤を直接添加する方法、安定剤が可溶な溶媒に溶解させ添加する方法を挙げることができる。溶液として添加する方法の場合、溶解させる溶媒としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、トルエン、キシレンの如き溶媒や、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールの如きポリエステルを構成するジオール成分を溶媒、またこれら溶媒の混合液を例示できる。
<安定剤の混練添加方法>
また本発明の共重合ポリエステル組成物の製造方法として、溶融状態のポリエステルに安定剤を混練による添加手法を採用することができる。混練する方法は特に限定されるものではないが、通常の一軸、二軸混練機を使用することが好ましい。さらに好ましくは、得られる共重合ポリエステル組成物の重合度の低下を抑制するために、ベント式の一軸、二軸混練機を使用する方法を例示できる。この混練時の条件は特に限定されるものではないが、例えばポリエステルの融点以上、滞留時間は1時間以内、好ましくは1分〜30分である。また、混練機への安定剤とポリエステルの供給方法は特に限定されるものではない。例えば安定剤とポリエステルを別々に混練機に供給する方法、安定剤とポリエステルを適宜混合して供給する方法などを挙げることができる。
また本発明の共重合ポリエステル組成物の製造方法として、溶融状態のポリエステルに安定剤を混練による添加手法を採用することができる。混練する方法は特に限定されるものではないが、通常の一軸、二軸混練機を使用することが好ましい。さらに好ましくは、得られる共重合ポリエステル組成物の重合度の低下を抑制するために、ベント式の一軸、二軸混練機を使用する方法を例示できる。この混練時の条件は特に限定されるものではないが、例えばポリエステルの融点以上、滞留時間は1時間以内、好ましくは1分〜30分である。また、混練機への安定剤とポリエステルの供給方法は特に限定されるものではない。例えば安定剤とポリエステルを別々に混練機に供給する方法、安定剤とポリエステルを適宜混合して供給する方法などを挙げることができる。
<チオエーテルの安定剤について>
本発明の共重合ポリエステル組成物には、上記の安定剤だけでなく、チオエーテル化合物、リン化合物の安定剤を併用することができる。特にゲル化抑制の効果の高いチオエーテル化合物の安定剤を用いることが好ましい。
本発明の共重合ポリエステル組成物には、上記の安定剤だけでなく、チオエーテル化合物、リン化合物の安定剤を併用することができる。特にゲル化抑制の効果の高いチオエーテル化合物の安定剤を用いることが好ましい。
<エステル交換触媒について>
エステル交換触媒については、特に限定されるものではなく、従来公知のエステル交換触媒を用いることができる。例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタン、マンガン、コバルト、亜鉛、アルミニウム化合物を用いることができる。このような化合物としては、例えば各金属化合物の酸化物、酢酸塩、カルボン酸塩、水素化物、アルコラート、ハロゲン化物、炭酸塩、硫酸塩等を挙げることができる。また、これらの化合物は二種以上を併用してもよい。
エステル交換触媒については、特に限定されるものではなく、従来公知のエステル交換触媒を用いることができる。例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタン、マンガン、コバルト、亜鉛、アルミニウム化合物を用いることができる。このような化合物としては、例えば各金属化合物の酸化物、酢酸塩、カルボン酸塩、水素化物、アルコラート、ハロゲン化物、炭酸塩、硫酸塩等を挙げることができる。また、これらの化合物は二種以上を併用してもよい。
<重合触媒について>
重合触媒については、特に限定されるものではないが、アンチモン、チタン、ゲルマニウム、アルミニウム、ジルコニウム、すず化合物を用いることができる。このような化合物としては、例えばアンチモン、チタン、ゲルマニウム、アルミニウム、ジルコニウム、すずの酸化物、酢酸塩、カルボン酸塩、水素化物、アルコラート、ハロゲン化物、炭酸塩、硫酸塩等を挙げることができる。また、これらの化合物は二種以上を併用してもよい。
重合活性が高く、また入手容易である点からチタン化合物、アンチモン化合物が好ましく用いられる。
重合触媒については、特に限定されるものではないが、アンチモン、チタン、ゲルマニウム、アルミニウム、ジルコニウム、すず化合物を用いることができる。このような化合物としては、例えばアンチモン、チタン、ゲルマニウム、アルミニウム、ジルコニウム、すずの酸化物、酢酸塩、カルボン酸塩、水素化物、アルコラート、ハロゲン化物、炭酸塩、硫酸塩等を挙げることができる。また、これらの化合物は二種以上を併用してもよい。
重合活性が高く、また入手容易である点からチタン化合物、アンチモン化合物が好ましく用いられる。
<ポリエステルの重合温度について>
本発明の共重合ポリエステル組成物を製造する段階の、溶融重合の温度としては、245℃以上320℃以下が好ましい。245℃以下では、重合反応が遅く、共重合ポリエステル組成物の生産性が低く好ましくない。320℃以上の場合、共重合ポリエステル組成物の熱劣化が発生するため、好ましくない。本発明の共重合ポリエステル組成物は、ビスフェノール基含有化合物を含有するため、従来ゲル化が発生する温度であっても安定的にゲル化せず、重合することが可能である。それ故、ポリエステルの工業的に短時間で製造するため、共重合ポリエステル組成物を製造する際の重合温度としては、270℃以上310℃以下が好ましく、285℃以上305℃以下が好ましい。
本発明の共重合ポリエステル組成物を製造する段階の、溶融重合の温度としては、245℃以上320℃以下が好ましい。245℃以下では、重合反応が遅く、共重合ポリエステル組成物の生産性が低く好ましくない。320℃以上の場合、共重合ポリエステル組成物の熱劣化が発生するため、好ましくない。本発明の共重合ポリエステル組成物は、ビスフェノール基含有化合物を含有するため、従来ゲル化が発生する温度であっても安定的にゲル化せず、重合することが可能である。それ故、ポリエステルの工業的に短時間で製造するため、共重合ポリエステル組成物を製造する際の重合温度としては、270℃以上310℃以下が好ましく、285℃以上305℃以下が好ましい。
<ポリエステルの固有粘度>
本発明のポリエステルの固有粘度(溶媒:オルトクロロフェノール、測定温度:35℃)は特に限定はないが、0.3〜1.5dL/gの範囲にあることが好ましい。該固有粘度が0.3dL/g未満の場合、得られるポリエステル繊維の機械的特性が不十分となり、1.5dL/gを超える場合、溶融成形性が低下する為好ましくない、ポリエステルの固有粘度は0.6〜0.1.3dL/gの範囲が更に好ましい。
本発明のポリエステルの固有粘度(溶媒:オルトクロロフェノール、測定温度:35℃)は特に限定はないが、0.3〜1.5dL/gの範囲にあることが好ましい。該固有粘度が0.3dL/g未満の場合、得られるポリエステル繊維の機械的特性が不十分となり、1.5dL/gを超える場合、溶融成形性が低下する為好ましくない、ポリエステルの固有粘度は0.6〜0.1.3dL/gの範囲が更に好ましい。
<その他>
本発明の共重合ポリエステル組成物は、必要に応じて少量の添加剤、例えば滑剤、リン化合物系安定剤、ラジカル捕捉剤、酸化防止剤、固相重合促進剤、整色剤、蛍光増白剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、遮光剤、難燃剤または艶消剤等を含んでいてもよい。
本発明の共重合ポリエステル組成物は、必要に応じて少量の添加剤、例えば滑剤、リン化合物系安定剤、ラジカル捕捉剤、酸化防止剤、固相重合促進剤、整色剤、蛍光増白剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、遮光剤、難燃剤または艶消剤等を含んでいてもよい。
また本発明の共重合ポリエステル組成物は溶融成形して、フィルム、成型品、繊維などのポリエステル成形品を得ることができる。本発明のポリエステル成形品を溶融成形により製造する時の製造方法としては特に限定はなく、従来公知の方法が用いられる。本発明のポリエステル繊維を溶融紡糸により製造する時の製造方法としては特に限定はなく、従来公知の溶融紡糸方法が用いられる。例えば乾燥した共重合ポリエステル組成物を270℃〜300℃の範囲で溶融紡糸して製造することが好ましく、溶融紡糸の速度は400〜9000m/分で紡糸することができ、必要によって延伸工程などを経て繊維の強度を十分なものに高めることが可能である。また紡糸時に使用する口金の形状についても特に制限は無く、円形、異形、中実または中空などのいずれも採用することが出来る。更に本発明のポリエステル繊維は風合を高める為に、アルカリ減量処理も好ましく実施される。
<後加工処理について>
本発明の共重合ポリエステル組成物・成形品は不飽和二重結合を有するため、成形後に好ましく後加工処理が実施される。後加工の方法については特に限定される物ではない。化学的にポリエステル中の不飽和二重結合と後加工剤を反応させる加工方法や、ポリエステル中の不飽和二重結合同士を反応させ、成形後にポリエステル鎖を架橋させる方法などを挙げることができる。
本発明の共重合ポリエステル組成物・成形品は不飽和二重結合を有するため、成形後に好ましく後加工処理が実施される。後加工の方法については特に限定される物ではない。化学的にポリエステル中の不飽和二重結合と後加工剤を反応させる加工方法や、ポリエステル中の不飽和二重結合同士を反応させ、成形後にポリエステル鎖を架橋させる方法などを挙げることができる。
本発明をさらに下記実施例により具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例により限定されるものではない。また各種特性は下記の方法により測定した。
(ア)固有粘度:
共重合ポリエステル組成物チップを100℃、60分間でオルトクロロフェノールに溶解した希薄溶液を、35℃でウベローデ粘度計を用いて測定した値から求めた。
(イ)共重合ポリエステル組成物中の金属元素含有量・リン元素含有量:
共重合ポリエステル組成物中の金属元素量は粒状の共重合ポリエステル組成物サンプルをスチール板上で加熱溶融した後、圧縮プレス機で平坦面を有する試験成形体を作成した。この試験成形体を使って蛍光X線装置(理学電機工業株式会社製3270E型)を用いて求めた。
(ウ)モノマー・安定剤の含有量:
共重合ポリエステル組成物をd−クロロホルム/d−トリフルオロ酢酸=1/1(体積/体積)に溶解させ、1H−NMRにより、解析した。その結果が得られたH(プロトン)のケミカルシフトチャートを元に帰属を行い、各化合物の含有量を決定した。
(ア)固有粘度:
共重合ポリエステル組成物チップを100℃、60分間でオルトクロロフェノールに溶解した希薄溶液を、35℃でウベローデ粘度計を用いて測定した値から求めた。
(イ)共重合ポリエステル組成物中の金属元素含有量・リン元素含有量:
共重合ポリエステル組成物中の金属元素量は粒状の共重合ポリエステル組成物サンプルをスチール板上で加熱溶融した後、圧縮プレス機で平坦面を有する試験成形体を作成した。この試験成形体を使って蛍光X線装置(理学電機工業株式会社製3270E型)を用いて求めた。
(ウ)モノマー・安定剤の含有量:
共重合ポリエステル組成物をd−クロロホルム/d−トリフルオロ酢酸=1/1(体積/体積)に溶解させ、1H−NMRにより、解析した。その結果が得られたH(プロトン)のケミカルシフトチャートを元に帰属を行い、各化合物の含有量を決定した。
[実施例1]
・共重合ポリエステル組成物チップの製造
テレフタル酸ジメチル(以下、DMTと称することがある。)194.2質量部とエチレングリコール124.2質量部(DMT対比200モル%)、ビスフェノールA−2EO付加体(2,2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン)21.4質量部(最終の共重合ポリエステル組成物に対して10質量%)との混合物に、酢酸マンガン・4水和物0.075質量部(DMT対比30ミリモル%)をSUS製容器に仕込んだ。常圧下で140℃から245℃に昇温しながらエステル交換反応させ、エステル交換反応を終了させた。その後、反応生成物にリン酸トリメチル0.0560(DMT対比40ミリモル%)、三酸化二アンチモン0.116質量部(DMT対比40ミリモル%)を加え、次いで、安定剤としてビス[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオン酸](2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン−3,9−ジイル)ビス(2,2−ジメチル−2,1−エタンジイル)0.96質量部(最終の共重合ポリエステル組成物量に対して0.5質量%)、不飽和有機化合物として無水マレイン酸20.0質量部(最終の共重合ポリエステル組成物量に対してマレイン酸2モル%)、を添加し、撹拌装置、窒素導入口、減圧口および蒸留装置を備えた反応容器に移した。反応容器内温を285℃まで昇温し、50Paの高真空で重縮合反応を行い、固有粘度0.64dL/gである共重合ポリエステル組成物(最終の共重合ポリエステル組成物)を得た。さらに常法に従いチップ化した。結果を表1に示した。
・共重合ポリエステル組成物チップの製造
テレフタル酸ジメチル(以下、DMTと称することがある。)194.2質量部とエチレングリコール124.2質量部(DMT対比200モル%)、ビスフェノールA−2EO付加体(2,2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン)21.4質量部(最終の共重合ポリエステル組成物に対して10質量%)との混合物に、酢酸マンガン・4水和物0.075質量部(DMT対比30ミリモル%)をSUS製容器に仕込んだ。常圧下で140℃から245℃に昇温しながらエステル交換反応させ、エステル交換反応を終了させた。その後、反応生成物にリン酸トリメチル0.0560(DMT対比40ミリモル%)、三酸化二アンチモン0.116質量部(DMT対比40ミリモル%)を加え、次いで、安定剤としてビス[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオン酸](2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン−3,9−ジイル)ビス(2,2−ジメチル−2,1−エタンジイル)0.96質量部(最終の共重合ポリエステル組成物量に対して0.5質量%)、不飽和有機化合物として無水マレイン酸20.0質量部(最終の共重合ポリエステル組成物量に対してマレイン酸2モル%)、を添加し、撹拌装置、窒素導入口、減圧口および蒸留装置を備えた反応容器に移した。反応容器内温を285℃まで昇温し、50Paの高真空で重縮合反応を行い、固有粘度0.64dL/gである共重合ポリエステル組成物(最終の共重合ポリエステル組成物)を得た。さらに常法に従いチップ化した。結果を表1に示した。
[実施例2〜3,比較例1〜3]
実施例1において、各化合物の種類・量、金属化合物の量を表1記載に変更したこと以外は実施例1と同様に実施した。結果を表1に示した。これらの実験例の中で比較例1および比較例2は重縮合反応中に反応槽内にてゲルが生成され、重合反応性に劣るものであり、また比較例3はフェノールの発生量が多く、得られる共重合ポリエステル組成物にも若干のフェノール臭が残り、実用的な使用は困難なものであった。結果を表1に示した。
実施例1において、各化合物の種類・量、金属化合物の量を表1記載に変更したこと以外は実施例1と同様に実施した。結果を表1に示した。これらの実験例の中で比較例1および比較例2は重縮合反応中に反応槽内にてゲルが生成され、重合反応性に劣るものであり、また比較例3はフェノールの発生量が多く、得られる共重合ポリエステル組成物にも若干のフェノール臭が残り、実用的な使用は困難なものであった。結果を表1に示した。
本発明によれば、フェノールのような化合物が発生が抑制されていることにより安全性が高く、ゲルの生成が抑制されていることにより重合性の良好な共重合ポリエステル組成物を得ることが可能となる。その結果、その後の種々の成形により、フィルム・樹脂・繊維など、難燃性ポリエステル成形品を生産することができる。
Claims (5)
- 下記一般式(1)で示される不飽和有機化合物から選ばれる少なくとも1種類の不飽和有機化合物を共重合ポリエステル組成物を構成する全酸成分に対して0.5〜20.0モル%共重合した共重合ポリエステル組成物であって、更に下記一般式(2)で示されるビスフェノール基含有化合物から選ばれる少なくとも1種類のビスフェノール基含有化合物Aを共重合ポリエステル組成物に対して0.5〜20.0重量%を共重合することを特徴とする共重合ポリエステル組成物。
R1−OOC−CH=CH−COO−R2 (1)
[上記式中、R1は水素原子、炭化水素残基を示す。R2は水素原子、炭化水素残基または金属イオンを示す。R1、R2は同一の官能基であっても異なる官能基であっても良く、あるいはR1およびR2が結合しているカルボキシル基同士が酸無水物構造を形成し環状構造を有していても良い。]
- 安定剤が、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−o−クレゾールおよび2,6−ジ−t−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ))−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノールよりなる群から選ばれる少なくとも1種類の安定剤であることを特徴とする請求項3記載の共重合ポリエステル組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の共重合ポリエステル組成物を溶融成形して得られるポリエステル成形品。
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