JP2013203787A - 液状組成物、液晶ポリエステルフィルムの製造方法及び液晶ポリエステルフィルム - Google Patents

液状組成物、液晶ポリエステルフィルムの製造方法及び液晶ポリエステルフィルム Download PDF

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宏充 枌
Ryo Miyakoshi
亮 宮越
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Abstract

【課題】熱伝導が高い液晶ポリエステルフィルムを製造し得る液状組成物、液晶ポリエステルフィルムの製造方法及び液晶ポリエステルフィルムの提供。
【解決手段】式(1)芳香族ヒドロキシカルボン酸、(2)芳香族ジカルボン酸、(3)で表される繰返し単位を含み、式(4)で表される基を有する繰返し単位を含む液晶ポリエステルと非プロトン性溶媒とを含む液状組成物。(3)−X−Ar−Y−(Ar:芳香環、式(4),(5);X、Y:イミノ基、酸素原子)
Figure 2013203787

(R:C1〜6のアルキル基;n:3〜5;a:0〜4)(5)−Ar−Z−Ar−(Ar、Ar:フェニレン基、ナフチレン基;Z:酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基、アルキリデン基)
【選択図】なし

Description

本発明は、液状組成物、液晶ポリエステルフィルムの製造方法及び液晶ポリエステルフィルムに関するものである。
従来、溶媒に溶解する液晶ポリエステルが開発されてきた。例えば、特許文献1には非プロトン性溶媒に溶解する液晶ポリエステルが報告されている。特許文献1では、液晶ポリエステルを非プロトン性溶媒に溶解させた組成物を支持基材上に流延した後、溶媒を除去することにより、液晶ポリエステルフィルムが得られることが記載されている。
特許第4470390号公報
しかしながら、上記特許文献に記載された液晶ポリエステルフィルムは、熱伝導率を改善する余地があり、改良が求められていた。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、高い熱伝導を有した液晶ポリエステルフィルムを製造し得る液状組成物を提供することを目的とする。また、高い熱伝導を有した液晶ポリエステルフィルムの製造方法、及び高い熱伝導を有した液晶ポリエステルフィルムを提供することを併せて目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の一態様は、下記式(1)で表される繰返し単位と、下記式(2)で表される繰返し単位と、下記式(3)で表される繰返し単位とを含み、且つ、下記式(4)で表される基を有する繰返し単位を含む液晶ポリエステルと、前記液晶ポリエステルを溶解させる非プロトン性溶媒と、を含む液状組成物を提供する。
(1) −O−Ar−CO−
(2) −CO−Ar−CO−
(3) −X−Ar−Y−
(式中、Arは、ナフチレン基、フェニレン基、ビフェニリレン基又は下記式(4)で表される基を表し、Ar及びArは、それぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基、下記式(4)で表される基又は下記式(5)で表される基を表し、Xはイミノ基又は酸素原子を表し、Yは酸素原子又はイミノ基を表す。)
Figure 2013203787
(式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基を表し、複数のRは互いに同一でも異なっていてもよい。nは3〜5の整数であり、aは0〜4の整数である。aは、複数のフェニレン基において同一でも異なっていてもよい。)
(5) −Ar−Z−Ar
(式中、Ar及びArは、それぞれ独立に、フェニレン基又はナフチレン基を表し、Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキリデン基を表す。)
本発明の一態様においては、前記Ar,Ar,Arで表される基のうち、少なくとも1つが前記式(4)で表される基であることが望ましい。
本発明の一態様においては、前記液晶ポリエステルが、前記式(1)で表される繰返し単位と、前記式(2)で表される繰返し単位と、前記式(3)で表される繰返し単位とからなり、全繰返し単位の合計量に対して、前記式(1)で表される繰返し単位の含有量が30モル%以上80モル%以下、前記式(2)で表される繰返し単位の含有量が10モル%以上35モル%以下、前記式(3)で表される繰返し単位の含有量が10モル%以上35モル%以下であることが望ましい。
本発明の一態様においては、前記式(4)で表される基を有する繰返し単位の含有量が、全繰返し単位の合計量に対して、1モル%以上35モル%以下であることが望ましい。
本発明の一態様においては、前記式(3)で表される繰返し単位が、下記式(6)で表される繰返し単位と、下記式(7)で表される繰返し単位と、を含むことが望ましい。(6) −O−Ar−O−
(式中、Arは、前記式(4)で表される基である。)
(7) −NH−Ar−O−
(式中、Arは、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は前記式(5)で表される基を表す。)
本発明の一態様においては、前記Arで表される基が2,6−ナフチレン基であり、前記Arで表される基が1,3−フェニレン基であり、前記Arで表される基が1,4−フェニレン基であることが望ましい。
本発明の一態様においては、前記式(4)で表される基は、nが3であることが望ましい。
本発明の一態様においては、前記式(4)で表される基が、下記式(8)で表される基であることが望ましい。
Figure 2013203787
(R、R,Rで示される基のうちいずれか1つがメチル基であり、残る2つが水素原子である)
本発明の一態様においては、前記式(4)で表される基が、下記式(9)で表される基であることが望ましい。
Figure 2013203787
本発明の一態様においては、前記非プロトン性溶媒100質量部に対して、前記液晶ポリエステル0.01質量部以上100質量部以下を含有することが望ましい。
本発明の一態様においては、前記非プロトン性溶媒が、ハロゲン原子を含まない化合物であることが望ましい。
本発明の一態様においては、前記非プロトン性溶媒の双極子モーメントが、3以上5以下であることが望ましい。
また、本発明の一態様は、上述の液状組成物を支持体上に流延し、該液状組成物から溶媒を除去することを含む液晶ポリエステルフィルムの製造方法を提供する。
また、本発明の一態様は、上述の液晶ポリエステルフィルムの製造方法を用いて形成される液晶ポリエステルフィルムを提供する。
また、本発明の一態様は、下記式(1)で表される繰返し単位、下記式(2)で表される繰返し単位及び下記式(3)で表される繰返し単位を含み、且つ、下記式(4)で表される基を有する液晶ポリエステルを形成材料とする液晶ポリエステルフィルムを提供する。
(1) −O−Ar−CO−
(2) −CO−Ar−CO−
(3) −X−Ar−Y−
(式中、Arは、ナフチレン基、フェニレン基、ビフェニリレン基、または下記式(4)で表される基を表し、Ar及びArは、それぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基、下記式(4)で表される基、または下記式(5)で表される基を表し、Xはイミノ基又は酸素原子を表し、Yは酸素原子又はイミノ基を表す。)
Figure 2013203787
(式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基を表し、複数のRは互いに同一でも異なっていてもよい。nは3〜5の整数であり、aは0〜4の整数である。aは、複数のフェニレン基において同一でも異なっていてもよい。)
(5) −Ar−Z−Ar
(式中、Ar及びArは、それぞれ独立に、フェニレン基又はナフチレン基を表し、Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキリデン基を表す。)
本発明によれば、高い熱伝導を有した液晶ポリエステルフィルムを製造し得る液状組成物を提供することができる。また、高い熱伝導を有した液晶ポリエステルフィルムの製造方法、及び高い熱伝導を有した液晶ポリエステルフィルムを提供することができる。
本実施形態の液晶ポリエステルフィルムの製造方法を示す工程図である。
[液状組成物]
本実施形態の液状組成物は、下記式(1)で表される繰返し単位と、下記式(2)で表される繰返し単位と、下記式(3)で表される繰返し単位とを含み、且つ、下記式(4)で表される基を有する繰返し単位を含む液晶ポリエステルと、前記液晶ポリエステルを溶解させる非プロトン性溶媒と、を含むものである。
(1) −O−Ar−CO−
(2) −CO−Ar−CO−
(3) −X−Ar−Y−
(式中、Arは、ナフチレン基、フェニレン基、ビフェニリレン基又は下記式(4)で表される基を表し、Ar及びArは、それぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基、下記式(4)で表される基又は下記式(5)で表される基を表し、Xはイミノ基又は酸素原子を表し、Yは酸素原子又はイミノ基を表す。)
Figure 2013203787
(式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基を表し、複数のRは互いに同一でも異なっていてもよい。nは3〜5の整数であり、aは0〜4の整数である。aは、複数のフェニレン基において同一でも異なっていてもよい。)
(5) −Ar−Z−Ar
(式中、Ar及びArは、それぞれ独立に、フェニレン基又はナフチレン基を表し、Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキリデン基を表す。)
以下、順に説明する。
(液晶ポリエステル)
本実施形態の液状組成物に含まれる液晶ポリエステルは、溶融状態で液晶性を示す液晶ポリエステルであり、450℃以下の温度で溶融するものであることが好ましい。なお、液晶ポリエステルは、液晶ポリエステルアミドであってもよいし、液晶ポリエステルエーテルであってもよいし、液晶ポリエステルカーボネートであってもよいし、液晶ポリエステルイミドであってもよい。液晶ポリエステルは、原料モノマーとして芳香族化合物のみを用いてなる全芳香族液晶ポリエステルであることが好ましい。
液晶ポリエステルの典型的な例としては、芳香族ヒドロキシカルボン酸と芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを重合(重縮合)させてなるもの、複数種の芳香族ヒドロキシカルボン酸を重合させてなるもの、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを重合させてなるもの、及びポリエチレンテレフタレート等のポリエステルと芳香族ヒドロキシカルボン酸とを重合させてなるものが挙げられる。ここで、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンは、それぞれ独立に、その一部又は全部に代えて、その重合可能な誘導体が用いられてもよい。
芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸のようなカルボキシ基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、カルボキシ基をアルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基に変換してなるもの(エステル)、カルボキシ基をハロホルミル基に変換してなるもの(酸ハロゲン化物)、及びカルボキシ基をアシルオキシカルボニル基に変換してなるもの(酸無水物)が挙げられる。芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジオール及び芳香族ヒドロキシアミンのようなヒドロキシ基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、ヒドロキシ基をアシル化してアシルオキシル基に変換してなるもの(アシル化物)が挙げられる。芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンのようなアミノ基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、アミノ基をアシル化してアシルアミノ基に変換してなるもの(アシル化物)が挙げられる。
液晶ポリエステルは、下記式(1)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(1)」ということがある。)と、下記式(2)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(2)」ということがある。)と、下記式(3)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(3)」ということがある。)と、を含み、且つ、下記式(4)で表される基を有する繰返し単位を含んでいる。
(1)−O−Ar−CO−
(2)−CO−Ar−CO−
(3)−X−Ar−Y−
(式中、Arは、ナフチレン基、フェニレン基、ビフェニリレン基又は下記式(4)で表される基を表し、Ar及びArは、それぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基、下記式(4)で表される基又は下記式(5)で表される基を表し、Xはイミノ基又は酸素原子を表し、Yは酸素原子又はイミノ基を表す。)
Figure 2013203787
(式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基を表し、複数のRは互いに同一でも異なっていてもよい。nは3〜5の整数であり、aは0〜4の整数である。aは、複数のフェニレン基において同一でも異なっていてもよい。)
(5) −Ar−Z−Ar
(式中、Ar及びArは、それぞれ独立に、フェニレン基又はナフチレン基を表し、Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキリデン基を表す。)
式(1)、(2)、(3)で表される繰返し単位のそれぞれにおいて、Ar、Ar又はArで表される基に含まれるナフチレン基、フェニレン基(但し、式(4)で表される基に含まれる基を除く)及びビフェニリレン基は、各基にある水素原子が、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
前記アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基及びn−デシル基が挙げられ、その炭素数は、好ましくは1〜10である。
前記アリール基の例としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、1−ナフチル基及び2−ナフチル基が挙げられ、その炭素数は、好ましくは6〜20である。
Ar、Ar又はArで表される基に含まれるナフチレン基、フェニレン基(但し、式(4)で表される基に含まれる基を除く)及びビフェニリレン基上の水素原子がこれらの基で置換されている場合、その数は、Ar、Ar又はArで表される前記基毎に、それぞれ独立に、好ましくは2個以下であり、より好ましくは1個である。
前記アルキリデン基の例としては、メチレン基、エチリデン基、イソプロピリデン基、n−ブチリデン基及び2−エチルヘキシリデン基が挙げられ、その炭素数は好ましくは1〜10である。
繰返し単位(1)は、所定の芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し単位である。繰返し単位(2)は、所定の芳香族ジカルボン酸に由来する繰返し単位である。繰返し単位(3)は、所定の芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシルアミン又は芳香族ジアミンに由来する繰返し単位である。
本実施形態の液状組成物に含まれる液晶ポリエステルは、下記式(4)で表される基を有する繰り返し単位を含んでいる。液晶ポリエステルの構造内に下記式(4)で表される基を有することにより、液晶ポリエステルの配向性が高くなる。液晶ポリエステル内に含まれる下記式(4)で表される基は、1種でもよく2種以上であってもよい。
Figure 2013203787
(式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基を表し、複数のRは互いに同一でも異なっていてもよい。nは3〜5の整数であり、aは0〜4の整数である。aは、複数のフェニレン基において同一でも異なっていてもよい。)
炭素数1〜6のアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が挙げられ、これらは直鎖でも分岐していてもよい。
液晶ポリエステルは、「式(4)で表される基を有する繰返し単位」として、Ar,Ar,Arで表される基のうち、少なくとも1つが前記式(4)で表される基であることにより、繰り返し単位(1)〜(3)のうち少なくとも1つが「式(4)で表される基を有する繰返し単位」を兼ねることが好ましい。また、「式(4)で表される基を有する繰返し単位」として、繰返し単位(1)〜(3)以外の繰り返し単位を含んでいてもよい。
また、液晶ポリエステルは、上記式(3)で表される繰返し単位が、下記式(6)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(6)」ということがある。)と、下記式(7)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(7)」ということがある。)と、を含むことが好ましい。
(6) −O−Ar−O−
(式中、Arは、前記式(4)で表される基である。)
(7) −NH−Ar−O−
(式中、Arは、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は前記式(5)で表される基を表す。)
液晶ポリエステルに含まれる上記式(4)で表される基は、nが3であることが好ましい。nが3であると、後述する有機溶媒に液晶ポリエステルが溶解しやすく、目的とする液状組成物を調製しやすい。
例えば、繰返し単位(6)において式(4)で表される基のnが3である場合、繰返し単位(6)は下記式(A)のように表すことができる。
Figure 2013203787
(R〜R12は、それぞれ独立に水素原子、または炭素数1〜6のアルキル基を示す)
上記式(A)の繰返し単位に対応するモノマーとしては、例えば4,4’’−ジヒドロキシ−p−ターフェニル、4,4’’−ジメトキシ−p−ターフェニル、4,4’’−ジエトキシ−p−ターフェニル、4,4’’−ジアセトキシ−p−ターフェニルなどが挙げられる。
また、繰返し単位(6)が有するAr(すなわち、式(4)で表される基)は、下記式(8)で表される基であることが好ましい。
Figure 2013203787
(R、R,Rで示される基のうちいずれか1つがメチル基であり、残る2つが水素原子である)
さらに、式(4)で表される基は、下記式(9)で表される基であることがより好ましい。
Figure 2013203787
液晶ポリエステルが、繰り返し単位(6)(7)を含む場合、繰り返し単位(1)が有するArで表される基が2,6−ナフチレン基であり、繰り返し単位(2)が有するArで表される基が1,3−フェニレン基であり、繰り返し単位(7)が有するArで表される基が1,4−フェニレン基であることが好ましい。
繰り返し単位(1)〜(3)のうち少なくとも1つが「式(4)で表される基を有する繰返し単位」を兼ねる場合、液晶ポリエステルが、繰返し単位(1)と、繰返し単位(2)と、繰返し単位(3)とからなり、全繰返し単位の合計量に対して、繰返し単位(1)の含有量が30モル%以上80モル%以下、繰返し単位(2)の含有量が10モル%以上35モル%以下、繰返し単位(3)の含有量が10モル%以上35モル%以下であることが好ましい。
また、液晶ポリエステルは、「式(4)で表される基を有する繰返し単位」の含有量が、全繰返し単位の合計量に対して、1モル%以上35モル%以下であることが好ましい。
液晶ポリエステルのエステル交換による重縮合は、通常、溶融重合により行なわれるが、溶融重合と固層重合とを併用してもよい。固相重合を行うことにより、製造することが好ましい。これにより、耐熱性や強度・剛性が高い高分子量の液晶ポリエステルを操作性良く製造することができる。溶融重合は、触媒の存在下に行ってもよい。この触媒の例としては、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモン等の金属化合物や、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、1−メチルイミダゾール等の含窒素複素環式化合物が挙げられ、含窒素複素環式化合物が好ましく用いられる。
液晶ポリエステルは、その流動開始温度が、好ましくは150℃以上、より好ましくは200℃以上350℃以下、さらに好ましくは260℃以上330℃以下である。流動開始温度が高いほど、耐熱性や強度・剛性が向上し易いが、あまり高いと、溶媒に対する溶解性が低くなり易かったり、後述する液状組成物の粘度が高くなり易かったりするため、製造工程が煩雑になりやすい。
なお、流動開始温度は、フロー温度又は流動温度とも呼ばれ、毛細管レオメーターを用いて、9.8MPa(100kgf/cm)の荷重下、4℃/分の速度で昇温しながら、液晶ポリエステルを溶融させ、内径1mm及び長さ10mmのノズルから押し出すときに、4800Pa・s(48000ポイズ)の粘度を示す温度であり、液晶ポリエステルの分子量の目安となるものである(小出直之編、「液晶ポリマー−合成・成形・応用−」、株式会社シーエムシー、1987年6月5日、p.95参照)。
(有機溶媒)
本実施形態の液状組成物は、前述のような液晶ポリエステルと、有機溶媒とを含む。有機溶媒としては、用いる液晶ポリエステルが溶解可能なもの、具体的には、50℃にて有機溶媒100重量部に液晶性ポリエステル0.01重量部以上の濃度で溶解可能なものが、適宜選択して用いられる。
有機溶媒の例としては、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;p−クロロフェノール、ペンタクロロフェノール、ペンタフルオロフェノール等のハロゲン化フェノール;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル;アセトン、シクロヘキサノン等のケトン;酢酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート;トリエチルアミン等のアミン;ピリジン等の含窒素複素環芳香族化合物;アセトニトリル、スクシノニトリル等のニトリル;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒(アミド結合を有する有機溶媒)、テトラメチル尿素等の尿素化合物;ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の硫黄化合物;及びヘキサメチルリン酸アミド、トリn−ブチルリン酸等のリン化合物が挙げられる。また、これらの有機溶媒のうち、2種以上の有機溶媒を組み合わせて用いてもよい。
有機溶媒としては、腐食性が低く、取り扱い易いことから、非プロトン性化合物、特にハロゲン原子を含まない非プロトン性化合物を主成分とする溶媒が好ましい。この非プロトン性化合物としては、液晶ポリエステルを溶解し易いことから、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒を用いることが好ましく、ハロゲン原子を含まないアミド系溶媒を用いることがより好ましい。また、有機溶媒全体に占める非プロトン性化合物の割合は、好ましくは50質量%以上100質量%以下、より好ましくは70質量%以上100質量%以下、さらに好ましくは90質量%以上100質量%以下である。
また、有機溶媒としては、液晶ポリエステルを溶解し易いことから、双極子モーメントが3以上5以下(単位:デバイ)である化合物を主成分とする溶媒が好ましく、上述の非プロトン性化合物であって、双極子モーメントが3以上5以下である化合物を用いることがより好ましい。また、有機溶媒全体に占める双極子モーメントが3以上5以下である化合物の割合は、好ましくは50質量%以上100質量%以下、より好ましくは70質量%以上100質量%以下、さらに好ましくは90質量%以上100質量%以下である。
非プロトン性化合物であり、且つ双極子モーメントが3〜5である化合物としては、ジメチルスルホキシド(双極子モーメント:4.1デバイ)、N,N−ジメチルアセトアミド(3.7デバイ)、N,N−ジメチルホルムアミド(3.9デバイ)、N−メチルピロリドン(4.1デバイ)を例示することができる。
また、有機溶媒としては、除去し易いことから、1気圧における沸点が220℃以下である化合物を主成分とするとする溶媒が好ましく、上述の非プロトン性化合物であって、1気圧における沸点が220℃以下である化合物を用いることがより好ましい。また、有機溶媒全体に占める1気圧における沸点が220℃以下である化合物の割合は、好ましくは50質量%以上100質量%以下、より好ましくは70質量%以上100質量%以下、さらに好ましくは90質量%以上100質量%以下である。
非プロトン性化合物であり、且つ1気圧における沸点が220℃以下である化合物としては、N,N−ジメチルアセトアミド(沸点:160℃)N,N−ジメチルホルムアミド(153℃)を例示することができる。
(液状組成物)
液状組成物中の液晶ポリエステルの含有量は、有機溶媒100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上100質量部以下、より好ましくは10質量部以上70質量部以下、さらに好ましくは20質量部以上45質量部以下である。液晶ポリエステルの含有量は、所望の粘度の液状組成物が得られるように適宜調整される。
また、液状組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で充填材、添加剤、液晶ポリエステル以外の樹脂等の成分を1種以上含んでもよい。
充填材の例としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等の無機充填材;及び硬化エポキシ樹脂、架橋ベンゾグアナミン樹脂、架橋アクリル樹脂等の有機充填材が挙げられ、その含有量は、液晶ポリエステルおよび無機充填材の総和に対して、好ましくは0体積%以上80体積%以下である。
添加剤の例としては、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤及び着色剤が挙げられ、その含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、好ましくは0質量部以上5質量部以下である。
液晶ポリエステル以外の樹脂の例としては、ポリプロピレン、ポリアミド、液晶ポリエステル以外のポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルイミド等の液晶ポリエステル以外の熱可塑性樹脂;及びフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シアネート樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられ、その含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、好ましくは0質量部以上20質量部以下である。
液状組成物は、液晶ポリエステル、溶媒、および必要に応じて用いられる他の成分を、一括で又は適当な順序で混合することにより調製することができる。他の成分として充填材を用いる場合は、液晶ポリエステルを溶媒に溶解させて、液状組成物を得た後、この液状組成物に充填材を分散させることにより調製することが好ましい。
本実施形態の液状組成物は、以上のような構成となっている。
[液晶ポリエステルフィルムの製造方法]
図1は、上述した液状組成物を用いた本実施形態の液晶ポリエステルフィルムの製造方法を示す工程図である。
(塗布)
まず、図1(a)に示すように、上述した液状組成物12Sを、支持体10の上に塗布する。支持体10としては、例えば、ガラス板、樹脂板、金属板などの板状部材や、樹脂フィルム、金属箔などのフィルム状部材など種々の形態のものを用いることができる。
支持体10上へ液状組成物12Sを塗布する方法としては、例えば、ローラーコート法、ディップコート法、スプレイコート法、カーテンコート法、スピンコート法、スロットコート法、ダイコート法及びスクリーン印刷法が挙げられる。図1(a)では、ダイ100から液状組成物12Sを塗布することとして図示している。
(溶媒除去)
次に、図1(b)に示すように、支持体10上に塗布した液状組成物12Sから溶媒Sを除去することで、支持体10上に液晶ポリエステルを含む塗膜12Aが形成された積層体14を得る。
溶媒Sの除去は、溶媒Sの蒸発により行うことが、操作が簡便で好ましい。その方法としては、例えば、加熱、減圧及び通風が挙げられ、これらを組み合わせてもよい。中でも、生産性や操作性の点から、加熱により行うことが好ましく、通風しながら加熱することにより行うことがより好ましい。溶媒Sの除去温度は、好ましくは60℃以上220℃以下、より好ましくは120℃以上200℃以下、さらに好ましくは140℃以上180℃以下である。また、溶媒Sの除去時間は、0.2時間以上3時間以下である。
溶媒Sの除去温度が220℃よりも高いと、溶媒除去の操作中に原料として用いる液晶ポリエステルの高分子量化が進行しやすく、流動性が低下しやすいため、溶媒Sが揮発するときに生じる気泡が、塗膜12A内で空孔として残存しやすい。
なお、溶媒Sの除去温度は、用いる溶媒の沸点未満とすることが望ましい。溶媒Sの沸点以上となると、溶媒Sの揮発により塗膜の表面が荒れ、均一な塗膜12Aが得られにくいためである。
また、ここでの溶媒Sの除去は完全である必要はなく、次の熱処理で残存溶媒が除去されてもよいが、熱処理において多量の溶媒Sが蒸発すると、塗膜12Aの表面が荒れるおそれがあるため、熱処理前に極力溶媒Sを除去しておくことが好ましい。
また、上述した液状組成物12Sの塗布から溶媒Sの除去までの操作は、連続式で行ってもよく、枚葉式で行ってもよい。
(熱処理)
次に、図1(c)に示すように、積層体14を不活性ガス雰囲気下で、塗膜12Aに含まれる液晶ポリエステルの液晶転移温度以上の温度で熱処理し、塗膜12Aに含まれる液晶ポリエステルが高分子量化した液晶ポリエステルフィルム12を形成する。
熱処理の温度は、200℃以上350℃以下が好ましく、250℃以上がより好ましく、280℃以上がさらに好ましい。また、熱処理の温度は、340℃以下がより好ましく、330℃以下がさらに好ましい。
なお、支持体10として金属箔のような導電性を有する導電箔を用いると、導電箔の表面に液晶ポリエステルフィルム12が形成された積層基材を得ることができる。
本実施形態の液晶ポリエステルフィルムの製造方法は、以上のような構成となっている。
[液晶ポリエステルフィルム]
本実施形態の液晶ポリエステルフィルムは、上述した液晶ポリエステルフィルムの製造方法を用いて形成されるものである。
または、本実施形態の液晶ポリエステルフィルムは、下記式(1)で表される繰返し単位、下記式(2)で表される繰返し単位及び下記式(3)で表される繰返し単位を含み、且つ、下記式(4)で表される基を有する液晶ポリエステルを形成材料とするものである。
(1) −O−Ar−CO−
(2) −CO−Ar−CO−
(3) −X−Ar−Y−
(式中、Arは、ナフチレン基、フェニレン基、ビフェニリレン基、または下記式(4)で表される基を表し、Ar及びArは、それぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基、下記式(4)で表される基、または下記式(5)で表される基を表し、Xはイミノ基又は酸素原子を表し、Yは酸素原子又はイミノ基を表す。)
Figure 2013203787
(式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基を表し、複数のRは互いに同一でも異なっていてもよい。nは3〜5の整数であり、aは0〜4の整数である。aは、複数のフェニレン基において同一でも異なっていてもよい。)
(5) −Ar−Z−Ar
(式中、Ar及びArは、それぞれ独立に、フェニレン基又はナフチレン基を表し、Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキリデン基を表す。)
このような構成の液晶ポリエステルフィルムでは、形成材料である液晶ポリエステルが構造内に式(4)で表される基を有することにより、式(4)で表される基を含まない液晶ポリエステルを用いた場合と比べ、液晶ポリエステルが配向しやすい。液晶ポリエステルフィルムでは、樹脂の配向方向へ熱を伝えやすいため、液晶ポリエステルが構造内に式(4)で表される基を有することにより、液晶ポリエステルの配向方向への熱伝導率が向上した液晶ポリエステルフィルムとすることができる。
また、上記製造方法で得られる液晶ポリエステルフィルム内においては、液晶ポリエステルが液晶相を示し、膜厚方向に配向したドメインを形成する。用いる液晶ポリエステルには、式(4)で表される基が含まれているため、式(4)で表される基を含まない液晶ポリエステルよりも、このような配向を起こしやすい。
膜厚方向に配向したドメインが形成された液晶ポリエステルは、ドメインが形成されていない(アモルファス状態の)液晶ポリエステルと比べ熱伝導率が高まり、膜厚方向の熱伝導性に優れた液晶ポリエステルフィルムとなる。
本実施形態の液晶ポリエステルフィルムは、以上のような構成となっている。
以上のような構成の液状組成物によれば、熱伝導性が良好な液晶ポリエステルフィルムを提供することができる。
また、以上のような製造方法によれば、熱伝導性が良好な液晶ポリエステルフィルムを高い生産性で製造可能とする製造方法を提供することができる。また、以上のような製造方法では、液晶ポリエステルが膜厚方向に配向しやすいため、膜厚方向に熱伝導性が良好な液晶ポリエステルフィルムを容易に製造することが可能となる。
また、以上のような構成の液晶ポリエステルフィルムは、熱伝導性が良好なものとなる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[測定方法]
(液晶ポリエステルの流動開始温度の測定)
液晶ポリエステルの流動開始温度は、フローテスター((株)島津製作所製、CFT−500型)を用いて測定した。液晶ポリエステル約2gを、内径1mm及び長さ10mmのノズルを有するダイを取り付けたシリンダーに充填し、9.8MPa(100kgf/cm)の荷重下、4℃/分の速度で昇温しながら、液晶ポリエステルを溶融させ、ノズルから押し出し、4800Pa・s(48000ポイズ)の粘度を示す温度を、流動開始温度として測定した。
(熱伝導率の測定)
液晶ポリエステルフィルムの熱伝導率(単位:W/(m・K))は、以下の方法で、フィルムの膜厚方向の熱拡散率(単位:m/s)、比熱(単位:J/(kg・K))および密度(単位:kg/m)を求め、下式の演算を行うことによって算出した。
(熱伝導率)=(熱拡散率)×(比熱)×(密度)
フィルムの膜厚方向の熱拡散率は、温度波熱分析法を測定原理として室温で測定して求められる値である。測定装置として、アイフェイズ社製のai−Phase Mobileを用いた。
比熱は、示差走査熱量計(DSC)を用い、サファイア標準物質との比較により測定して求められる値である。
密度は、アルキメデス法を用いて測定して求められる値である。
[液晶ポリエステルの製造]
(実施例1)
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸98.8g(0.350モル)、4−ヒドロキシアセトアニリド59.0g(0.260モル)、イソフタル酸81.0g(0.325モル)、3−メチル−4,4’’−ジヒドロキシ−p−ターフェニル26.9g(0.0650モル)及び無水酢酸128.6g(1.65モル)を仕込んだ。反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、温度を保持して3時間還流させた。その後、留出する副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら、170分かけて300℃まで昇温し、トルクの上昇が認められた時点で、内容物を取り出し、室温まで冷却した。得られた固形物を、粉砕機で粉砕して、粉末状の液晶ポリエステルを得た。この液晶ポリエステルの流動開始温度は、163℃であった。
得られた液晶ポリエステル(110g)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP、390g)に加え、100℃で2時間加熱して、液晶ポリエステルが完全に溶解した透明な溶液が得られたことを目視確認した後、この溶液を攪拌および脱泡し、液晶ポリエステル溶液1(液状組成物)を得た。
得られた液晶ポリエステル溶液1を銅箔(福田金属箔粉株式会社製)、CF−T8G−UN−35、厚み35μm)に塗布し、100℃で10分乾燥させた後、窒素雰囲気下300℃で3時間熱処理した。得られた銅箔付き樹脂を塩化第二鉄水溶液に2時間含浸し、銅箔を除去して液晶ポリエステルフィルム1を得た。
(比較例1)
実施例1の攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸1976g(10.5モル)、4−ヒドロキシアセトアニリド1474g(9.75モル)、イソフタル酸1620g(9.75モル)及び無水酢酸2374g(23.25モル)を仕込んだこと以外は、実施例1と同様に行い、粉末状の液晶ポリエステルを得た。この液晶ポリエステルの流動開始温度は、235℃であった。
次いで、この液晶ポリエステルを、窒素雰囲気下、223℃で3時間加熱して、固相重合を行った。固相重合後の液晶ポリエステルの流動開始温度は、270℃であった。
固相重合後の液晶ポリエステル(2200g)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP、7800g)に加え、100℃で2時間加熱して、液晶ポリエステルが完全に溶解した透明な溶液が得られたことを目視確認した後、この溶液を攪拌および脱泡し、液晶ポリエステル溶液2(液状組成物)を得た。
液晶ポリエステル溶液1の代わりに、得られた液晶ポリエステル溶液2を用いる以外は実施例1と同様にして、液晶ポリエステルフィルム2を得た。
実施例1、比較例1で得られた液晶ポリエステルフィルム1,2について、それぞれ熱拡散率、比重及び比熱を測定し、熱伝導率を算出した。結果を下記表1に示す。
Figure 2013203787
測定の結果、実施例1で得られた液晶ポリエステルフィルム1は、比較例1の液晶ポリエステルフィルム2よりも熱伝導率が大きいことが確かめられ、本発明の液状組成物を用いると、高い熱伝導を有した液晶ポリエステルフィルムを製造し得ることが確かめられた。また、本発明によれば、高い熱伝導を有した液晶ポリエステルフィルムの製造方法、及び高い熱伝導を有した液晶ポリエステルフィルムを提供することができることが確かめられた。
10…支持体、12…液晶ポリエステルフィルム、12A…塗膜、12S…液状組成物、14…積層体、100…ダイ、S…溶媒

Claims (15)

  1. 下記式(1)で表される繰返し単位と、下記式(2)で表される繰返し単位と、下記式(3)で表される繰返し単位とを含み、且つ、下記式(4)で表される基を有する繰返し単位を含む液晶ポリエステルと、
    前記液晶ポリエステルを溶解させる非プロトン性溶媒と、を含む液状組成物。
    (1) −O−Ar−CO−
    (2) −CO−Ar−CO−
    (3) −X−Ar−Y−
    (式中、Arは、ナフチレン基、フェニレン基、ビフェニリレン基又は下記式(4)で表される基を表し、Ar及びArは、それぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基、下記式(4)で表される基又は下記式(5)で表される基を表し、Xはイミノ基又は酸素原子を表し、Yは酸素原子又はイミノ基を表す。)
    Figure 2013203787
    (式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基を表し、複数のRは互いに同一でも異なっていてもよい。nは3〜5の整数であり、aは0〜4の整数である。aは、複数のフェニレン基において同一でも異なっていてもよい。)
    (5) −Ar−Z−Ar
    (式中、Ar及びArは、それぞれ独立に、フェニレン基又はナフチレン基を表し、Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキリデン基を表す。)
  2. 前記Ar,Ar,Arで表される基のうち、少なくとも1つが前記式(4)で表される基である請求項1に記載の液状組成物。
  3. 前記液晶ポリエステルが、前記式(1)で表される繰返し単位と、前記式(2)で表される繰返し単位と、前記式(3)で表される繰返し単位とからなり、
    全繰返し単位の合計量に対して、前記式(1)で表される繰返し単位の含有量が30モル%以上80モル%以下、前記式(2)で表される繰返し単位の含有量が10モル%以上35モル%以下、前記式(3)で表される繰返し単位の含有量が10モル%以上35モル%以下である請求項2に記載の液状組成物。
  4. 前記式(4)で表される基を有する繰返し単位の含有量が、全繰返し単位の合計量に対して、1モル%以上35モル%以下である請求項1から3のいずれか1項に記載の液状組成物。
  5. 前記式(3)で表される繰返し単位が、下記式(6)で表される繰返し単位と、下記式(7)で表される繰返し単位と、を含む請求項1から4のいずれか1項に記載の液状組成物。
    (6) −O−Ar−O−
    (式中、Arは、前記式(4)で表される基である。)
    (7) −NH−Ar−O−
    (式中、Arは、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は前記式(5)で表される基を表す。)
  6. 前記Arで表される基が2,6−ナフチレン基であり、前記Arで表される基が1,3−フェニレン基であり、前記Arで表される基が1,4−フェニレン基である請求項5に記載の液状組成物。
  7. 前記式(4)で表される基は、nが3である請求項1から6のいずれか1項に記載の液状組成物。
  8. 前記式(4)で表される基が、下記式(8)で表される基である請求項7に記載の液状組成物。
    Figure 2013203787
    (R、R,Rで示される基のうちいずれか1つがメチル基であり、残る2つが水素原子である。)
  9. 前記式(4)で表される基が、下記式(9)で表される基である請求項8に記載の液状組成物。
    Figure 2013203787
  10. 前記非プロトン性溶媒100質量部に対して、前記液晶ポリエステル0.01質量部以上100質量部以下を含有する請求項1から9のいずれか1項に記載の液状組成物。
  11. 前記非プロトン性溶媒が、ハロゲン原子を含まない化合物である請求項1から10のいずれか1項に記載の液状組成物。
  12. 前記非プロトン性溶媒の双極子モーメントが、3以上5以下である請求項1から11のいずれか1項に記載の液状組成物。
  13. 請求項1から12のいずれか1項に記載の液状組成物を支持体上に流延し、該液状組成物から溶媒を除去することを含む液晶ポリエステルフィルムの製造方法。
  14. 請求項13に記載の液晶ポリエステルフィルムの製造方法を用いて形成される液晶ポリエステルフィルム。
  15. 下記式(1)で表される繰返し単位、下記式(2)で表される繰返し単位及び下記式(3)で表される繰返し単位を含み、且つ、下記式(4)で表される基を有する液晶ポリエステルを形成材料とする液晶ポリエステルフィルム。
    (1) −O−Ar−CO−
    (2) −CO−Ar−CO−
    (3) −X−Ar−Y−
    (式中、Arは、ナフチレン基、フェニレン基、ビフェニリレン基、または下記式(4)で表される基を表し、Ar及びArは、それぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基、下記式(4)で表される基、または下記式(5)で表される基を表し、Xはイミノ基又は酸素原子を表し、Yは酸素原子又はイミノ基を表す。)
    Figure 2013203787
    (式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基を表し、複数のRは互いに同一でも異なっていてもよい。nは3〜5の整数であり、aは0〜4の整数である。aは、複数のフェニレン基において同一でも異なっていてもよい。)
    (5) −Ar−Z−Ar
    (式中、Ar及びArは、それぞれ独立に、フェニレン基又はナフチレン基を表し、Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキリデン基を表す。)
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