JP2013203597A - 窒化アルミニウム焼結基板及びその製造方法 - Google Patents

窒化アルミニウム焼結基板及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 焼成後未加工の状態で表面が平滑であって、全体の反りは勿論、基板外周部の反りが少なく、優れた特性を有する窒化アルミニウム基板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 窒化アルミニウム焼結基板であり、焼成後、未加工の状態において、図1に示すように、基板全体の反りが5μm/インチ以下であり、且つ、周辺から5mm以内の範囲における外周部の反りの絶対値が最大で10μm以下、平均で6μm以下、更には表面荒さ(Ra)が、0.1〜0.2μmの範囲にあることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、基板外周部(端部)の反りが少ない、新規な窒化アルミニウム焼結基板に関する。詳しくは、特定の粒度分布と嵩密度を有する粉末を特定の流動特性を有するスラリーに調製し、ドクターブレード法により成形することによって、シートの深さ方向の密度を均一に制御し、焼結時に均一に収縮を進行させることによって端部反りの少ない窒化アルミニウム焼結基板を供するものである。
窒化アルミニウム焼結基板(以下、単に「焼結基板」ということもある。)は、高熱伝導性、高耐プラズマ性、電気絶縁性などの優れた特性を有している。そのため、高熱伝導性と電気絶縁性を利用した絶縁放熱基板として産業用ロボット分野や電気鉄道車両、自動車分野、LED照明分野など様々な分野で用いられている。近年、回路の小型化の要求に伴って、窒化アルミニウム焼結基板にも、反りの低減が求められるようになってきた。
図1に示すように、窒化アルミニウム焼結基板の反りには焼結基板の全体にわたって発生する全体反りと焼結基板外周部(端部)に発生する端部反りが存在する。従来の検討においては、焼結基板全体の反りを対象としていたきが、焼結基板外周部の端部反りに関しては殆ど検討されてきていなかった。しかしながら、上記端部反りはメタライズ工程での位置合わせの精度低下や、金属基板圧着時の端部に応力が集中し欠けの原因となる事から、改善が望まれている。
窒化アルミニウム焼結基板はその生産性の高さと表面粗度の少なさから、成形方法として原料である窒化アルミニウム粉末と、焼結助剤、分散剤、バインダー、可塑剤等の添加物と共に溶媒中で混合し、スラリーの粘度を調整して成形を行うドクターブレード法が採用されることが多い。即ち、ドクターブレード法によれば、窒化アルミニウム焼結基板は、ドクターブレードにより成形して得られたシート成形体(以下、グリーンシートともいう。)を大気中または非酸化性雰囲気中で熱処理することによって脱脂し、非酸化性雰囲気中で凡そ1700〜1900℃で0.5〜10時間程度焼成することによって製造される。
従来、上記焼結基板の反りの対策方法としては、前記グリーンシート或いはこれを脱脂した脱脂体を積層し、これに重石を載せた状態で焼結を行う方法や(特許文献1参照)、グリーンシートを成形するためのスラリーを高圧で分散させることにより、シート密度を向上させて、グリーンシートの脱脂後の焼結における収縮率を小さくすることで得られる焼結基板の反りを発生しにくくするという方法(特許文献2参照)が提案されている。
しかし、これらの方法では、基板全体の反りを低減することはできるが、端部反りを十分に低減することが困難であった。特に、シートを積層して焼成する方法においてはシート自身の重みが重石として作用するため、積層体上部と下部で重石の荷重に差があり、得られる焼結基板の端部反りに大きな差が生じることとなる。
また、他の端部反りを解消する方法としては、焼成により反った基板に荷重をかけて再度熱処理することにより反りを戻す方法や、外周部分をダイサーやスクラバーなどで切断して除去する方法、あるいは所望の厚みよりも厚い基板を作製し、全体を研磨して平坦にするといった方法も検討されている。しかし、焼結基板の端部を除去する方法を適用する場合、加工廃棄物の処理による環境負荷という点からも好ましくない。また、焼結基板を研磨する方法も、コスト、時間の面から好ましくない。
また、プレス成形や押出し成形など、グリーンシートを固形分濃度が高い状態で得ることにより、端部反りは抑制されることが期待されるが、押出成形により表面粗度が大きくなってしまうため、やはり後加工が必要となりコスト高になってしまう。加えて押出し成形を用いた場合には窒化アルミニウムの硬さから、装置の摩耗が起こりやすく、電機特性や色調などの品質に問題が生じる可能性がある。
そのため、焼成後未加工の状態で表面が平滑で、安定的に端部反りが少ない基板を作製する方法が求められてきた。
特開2010−159184公報 特開2007−106621号公報
従って、本発明の目的は、焼成後未加工の状態で表面が平滑であって、全体の反りは勿論、基板外周部の反りが少なく、優れた特性を有する窒化アルミニウム基板及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、全体反りはシートを回収または保管する際の形態(例えば巻き取り型など)の癖やシート密度などの影響を受けるが、端部反りについてはシートの断面方向での粉末の充填率の差に大きな影響を受け、充填が均一なものほど端部反りが小さいという知見を得た。特に、ドクターブレード法を用いた場合、スラリーがブレードを通過する際に受けるせん断力や乾燥工程における粒子の沈降現象によってスラリー中の粒子が移動するため、断面方向の充填率に差が生じ易い。一方で、表面粗度、コンタミ抑制、生産性の観点から考えた場合にはドクターブレード法が好適である。
かかる知見に基づき、ドクターブレード法を用いて、シート断面方向の粒子充填率が均一となる成形体の作製条件を検討した結果、特定の粒度分布、嵩密度を有する窒化アルミニウム粉末を使用し、該窒化アルミニウム粉末、有機バインダー、分散剤、有機溶剤とを含んだ窒化アルミニウムスラリーを特定の範囲の粘度及びTI値となるように調製することによって、スラリー中の粒子の分散状態と沈降速度を制御することを可能とし、高密度且つシート断面の上部、下部とも均一に窒化アルミニウム粒子が充填されたグリーンシートを得ることに成功し、これを用いて、焼成することにより、焼成後の加工処理を行うことなく、端部反りが少なく、且つ、表面が滑らかな窒化アルミニウム焼結体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、焼成後、未加工の状態において、基板全体の反りが5μm/インチ以下であり、周辺から5mm以内の範囲における外周部の反りの絶対値が最大で10μm以下、平均で6μm以下であり、且つ、表面荒さ(Ra)が、0.1〜0.2μmの範囲にあることを特徴とする窒化アルミニウム焼結基板を提供するものである。
また、本発明は、上記窒化アルミニウム焼結基板を得るために好適な製造方法をも提供する。即ち、本発明によれば、D50が0.8〜1.2μm、D90/D10が4以下、タップ嵩密度が0.9g/cm以上の窒化アルミニウム粉末を使用し、該窒化アルミニウム粉末を有機バインダーと有機溶剤とを含み、TI値(η(10S−1)/η(0.01S−1))が、2〜4の範囲となるように調整された窒化アルミニウムスラリーをドクターブレード法によりシート状に成形した後、脱脂、焼成することを特徴とする窒化アルミニウム焼結体基板の製造方法が提供される。
本発明によれば、焼成後、未加工の状態において、基板表面が平滑であり、基板全体の反りは勿論、基板外周部(端部)反りの小さい窒化アルミニウム焼結体が提供される。これにより、メタライズ工程での歩留まりが向上するとともに、更なる基板の小型化が可能となる。
また、本発明の前記製造方法によれば、前記特定の窒化アルミニウム焼結基板を効率よく、且つ、確実に製造することが可能である。即ち、前記したように、特定の粒度の粉末を用いて、特定のスラリーを調製し、これをドクタープレートによりシート状に成形することにより、成形体断面方向の粒子を均一に充填させることで、従来のように研磨などの加工をせずに、表面が平滑で基板全体および外周部の反りが小さい窒化アルミニウム基板を簡便に製造することができる。
本発明における全体反りの測定概念を示す概略図 本発明における端部反りの測定概念を示す概念図
以下、本発明について詳細に説明する。
(窒化アルミニウム焼結体基板)
本発明における窒化アルミニウム焼結基板は焼成後、未加工の状態において、基板全体の反りが5μm/インチ以下、特に、4μm以下であり、且つ周辺から5mm以内の範囲における外周部の反りの絶対値が最大で10μm以下、平均で6μm以下、特に、4μm以下、更には、表面荒さ(Ra)が、0.1〜0.2μmの範囲にあるという特徴を有する。
本発明において、焼成後、未加工の状態とは、グリーン体を脱脂後、焼成を行った後に何も加工しない状態をいうものである。即ち、本発明の窒化アルミニウム焼結体基板は、上記焼成後に、加熱下での加圧、周囲の切除、研磨等の反りを修正する加工や表面を研磨する加工などを一切行うことなく得られた状態をいう。
本発明における基板全体の反りは、上記未加工の焼結基板を、図1に示すように、平坦なガラス基板上に置き、デジマチックインジケータ(商品名 株式会社ミツトヨ製)を用いて、焼結体裏表両面にて中央部の高さを測定し、その最大値と最小値の差を反りとしている。
また、基板の端部反りは、前記未加工の焼結基板を、図1に示すように、平坦なガラス基板上に置き、デジマチックインジケータ(商品名 株式会社ミツトヨ製)を用い、基板外周部から5mmの位置の高さゼロとし、そこから外周部に向かって針を走査した時の最大値(絶対値)を端部反りと定義している。
本発明は、後述する特定の製造方法を採用することによって、未加工従来の基板においては、表・裏面を重ねて積層体を作製し重石を載せた状態であってもの端部反りが20μm程度あるものが半数を占めていたのに対し、本基板においてはその半分以下である6μm以下にすることが可能となった。
本発明においてはシート断面方向の粒子充填率を均一にすることによって、従来よりも収縮が均一に起こることによって基板全体の反りも5μm/インチ以下と非常に小さい値となることを可能としている。
更に、本発明基板においてはドクターブレード法を使用しているため、未加工の状態で、表面粗さが、0.1〜0.2μmの範囲にあり、表面加工をすることなく、メタライズ工程に適用することが可能であり、前記未加工の状態での反りの少なさと併せて、このような焼結基板は従来存在しないものであった。
尚、本発明において、表面荒さ(Ra)は、実施例において詳述するが、 東京精密株式会社製表面粗さ形状測定器(サーフコム480A)によって測定した値である。
本発明における焼結基板の大きさは特に限定されないが、本発明の特徴が従来の焼結基板に対して顕著に現れ、且つ、生産性や、製品形状の観点から、一辺の長さが2インチ〜8インチ、厚みが0.3〜2mm程度のものであることが好ましい。
(窒化アルミニウム焼結基板の製造方法)
本発明の窒化アルミニウム焼結基板の製造方法は、特に制限されるものではないが、代表的な製造方法を示せば、D50が0.8〜1.2μm、D90/D10が4以下、タップ嵩密度が0.9g/cm以上の窒化アルミニウム粉末を使用し、該窒化アルミニウム粉末を有機バインダーと有機溶剤とを含み、TI値(η(10S−1)/η(0.01S−1))が、2〜4の範囲となるように調整された窒化アルミニウムスラリーをドクターブレード法によりシート状に成形した後、脱脂、焼成する方法が挙げられる。
上記製造方法において、D50が0.8〜1.2μm、D90/D10が4以下、タップ嵩密度が0.9g/cm以上である窒化アルミニウム粉末を使用することが必要である。本発明の趣旨である反りの少ない基板を得るためには、グリーンシートの面方向及び断面方向の収縮が均一に起こることが必要であり、その為には、AlN粒子がグリーンシートの面方向及び断面方向に均一に充填されているというシート構造を達成する必要がある。
前記D50が0.8μmよりも小さい場合、粉末の凝集が起こりやすくなり、凝集粉はシートの粒子充填均一性が損なうため、収縮バラつきが発生し、反りが大きくなる。またD50が1.2μmよりも大きい場合は、焼結性が低下するため収縮時のバラつきが生じやすくなり、本発明の目的である反りの少ない基板を得ることが困難となる。D90/D10が4よりも大きい場合は、凝集粒または粗大粉を多く含むことを意味し、シート断面方向での粒子の充填率、分散性に悪影響を与え、反りの増大に繋がる。
本発明においては、比較的強固な凝集粒を含む従来の窒化アルミニウム粉よりも、粉砕後に脱酸化処理することにより、酸素濃度を低減させた凝集粒の少ない窒化アルミニウム粉末を使用する事が好ましい。また、本発明に用いる窒化アルミニウム粉末の嵩密度は0.9g/cmであることが、スラリーの流動性や均一な分散性、また、粒子の沈降速度を制御する上で重要である。0.9g/cmよりも低い粉末は流動性が悪く、凝集粉が多い事を意味し、やはりシートの充填率にバラつきを生じさせ、基板の反りを増大させる原因となる。
前記シート構造を達成するためには、原料である窒化アルミニウム粉末は凝集粒が少なく、粒度分布がシャープで、また角が丸い形状、好ましくは、角が無い球形状であることが好ましい。即ち、窒化アルミニウム粉末において粒子の形状が角ばっている場合は、全体として粒子の充填性が低下するとともに、充填性の差が生じ易い。
本発明において、窒化アルミニウム粉末の比表面積は、2.0〜3.0m/g、酸素濃度は0.8〜1.1%の範囲であることが良好な焼結性及び焼結体物性を達成する上でも好ましい。
本発明の特徴である粒子が均一に充填されたグリーンシートを得るためには、上記特徴を有する窒化アルミニウム粉末を用い、更に有機バインダー(分散剤含む)と有機溶剤とを含んだ状態で、TI値(η(10S−1)/η(0.01S−1))が、2〜4の範囲となるように調整することが必要である。ここで、TI値とは、チクソトロピックインデクス(またはTF値(チクソコトピックファクター))と言い、塗料業界でよく利用されている構造粘性を示す指数である。
上記TI値は、以下の式でと表わされ、1に近いほどニュートン流動になり、TI値が大きくなるほど構造粘性が高い。
TI=ηN2(せん断速度N2での粘度)/ηN1(せん断速度N1での粘度)
なお、N2>N1である。本発明においては沈降などの現象が起こる0.01S−1から、スラリーがブレード通過時にかかるせん断速度である10S−1の範囲から求めたTI値を指標としており、この値を前記範囲に調製することが、均一な粒子充填率を有する成形体を得る上で重要である。即ち、TI値(η(10S−1)/η(0.01S−1))が2よりも小さい場合、グリーンシートの密度は比較的高く、ボイドは少ないものの、原料として使用した窒化アルミニウム粒子の内比較的粒度の大きい粒子が下に、小さい粒子が上に偏る傾向にあり、シート断面方向で焼結性に差が生じるため、反り増大の原因となる。これは、TI値(η(10S−1)/η(0.01S−1))が2よりも小さい場合にはニュートン流動に近い為、粒子沈降が起こりやすくストークスの方式に従って、粒度の大きいものが優先的に沈降するためと推定する。また、流動性が高すぎるとシート幅の制御が困難となり歩留まりに悪影響を与えるため望ましくない。一方でTI値(η(10S−1)/η(0.01S−1))が4よりも大きい場合は、シート上面方向の粒子充填率が下面よりも低く、シート全体で均一な粒子充填状態を達成することができず、反りの低減が達成できない。TI値(η(10S−1)/η(0.01S−1))が4よりも大きいスラリー中で窒化アルミニウム粒子が凝集している事を意味し、更に沈降も遅く、凝集粒がシート上面に偏るため、シート断面方向に粒子充填むらが発生すると考えられる。
従って、本発明の範囲であるTI値(η(10S−1)/η(0.01S−1))=2〜4を満たすことにより、適度な構造維持性と流動性を有し、粒度分布も含めた均一な粒子分散状態を有するグリーン体作製を達成することが可能となる。
上記TI値は各種樹脂分の種類、分子量、添加量などによって調整することが可能である。例えば、TI値は、樹脂成分の種類により異なり、また、分子量が大きいものほど低下する傾向にある。また、樹脂成分の添加量が少なくなるほどその値は大きくなる傾向にある。従って、本発明は、これらの条件を適宜変更してTI値を前記範囲に調整すればよい。このように窒化アルミニウム粉末の粒度、嵩密度と樹脂成分の組み合わせによってグリーンシート中の粒子充填状態を制御することは従来実施されてこなかった。
また、本発明の製造方法において、ドクターブレードによる成形時のスラリーは、6rpmの時の粘度が15,000〜32,000mPaSであることが、成形時のスラリーのハンドリング、シートの乾燥性、出来上がりのシートの外観などを良好に保つ上で好ましい。グリーンシートの密度は高い方が全体反りの低減の上では好ましいが、脱脂性等を考慮すると2.2〜2.5g/cmの範囲であることが望ましい。
尚、前記グリーンシートを製造するにあたっては焼結助剤を添加することが望ましい。使用する焼結助剤としては希土類金属酸化物が好ましい。上記希土類酸化物としては、特に限定されないが、熱伝導率の観点からイットリウム化合物特には酸化イットリウムを使用することが好ましい。該希土類化合物はAlN粉末に対し3〜7質量%添加する。該希土類化合物の添加量が3質量%よりも少ない場合は、液相が十分に生成せず緻密化が不十分な個所が発生し易くなる。また、熱伝導率の向上が不十分となり窒化アルミニウムの特性を十分に発揮できなくなる。一方、7質量%よりも多い場合は余剰の液相が生成することによって、焼結体外部への助剤の移動がしやすくなり、この助剤の排出に伴って反りが増大することがある。
本発明において、前記グリーン体は、焼成に先立ち、脱脂処理を行う。上記脱脂処理の条件は、公知の条件が特に制限なく採用される。例えば、酸化性雰囲気下或いは非酸化性雰囲気下で、温度300〜1000℃で1〜10時間処理する方法が一般的である。この際、得られる脱脂体は炭素が極力残存していないことが好ましい。炭素が存在した場合、窒化アルミニウム表面に存在する酸素と素によって還元されてしまうため、適量の液相が生成せず焼結性を悪化させ、反り発生の原因となりうる。
本発明において、焼成は、1700℃を超え、1800℃以下の温度で行うことが好ましい。焼成温度が1700℃以下では十分な緻密化ができず、一方、1800℃よりも高い温度で焼成した場合は、焼結助剤が焼結体外へ染み出しやすくなり、前述したように反りの増大に繋がるとともに焼結体の外観不良が発生しやすくなる。
また、本発明において、焼成における雰囲気は、公知の条件が特に制限なく採用されるが、特に、窒素などの非酸化性雰囲気下で行うことが好ましい。また、焼成時間は、一般的な2〜10時間が適用できるが、長時間焼成すると、クリープ現象により冶具の反りの影響を受けて反りが増大する事や、助剤の粒成長と焼結体外移動に伴って反りが発生しやすくなる事があるため2〜5時間が好ましい。
また、焼成工程においては適宜重石を載せても良い。
以上説明した本発明のAlN焼結基板の製造方法によれば、表面が平滑であって、基板全体の反り及び端部の反りが少ない基板を未加工の状態で安定的に得られる。因みに、本発明の製造方法により得られるAlN焼結体は、好ましくは170W/mK以上、さらに好ましくは180W/mK以上の熱伝導率を達成することができ、また、500MPa以上、好ましくは550MPa以上の曲げ強度を達成可能である。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<測定方法>
1)粒度分布
日機装製MICROTRACK−HRAを用いて、レーザー回折法により求めた。水90mlに対し、5%ピロリン酸ソーダ水溶液を加えた溶液の中に窒化アルミニウム粉末を加え、これをホモジナイザーにて出力200mA,3分間分散させたものを測定した。前記方法からD90を求めた。なお、データは個数分布である。
2)タップかさ密度
JIS:R1628(−1997)を用いて求めた。
3)比表面積
島津製作所製流動式表面積自動測定装置フローソーブ2300形を用いてN吸着によるBET法により求めた。
4)酸素濃度
(株)堀場製作所製 酸素・窒素同時分析装置(EMGA−620W/C)を用いて、不活性ガス中でインパルス加熱融解法によりAlNを融解して抽出された酸素を一酸化炭素の形態として、この一酸化炭素を非分散赤外線検出器にて測定した。キャリアガスとしてHeガス(純度:99.995%以上)を用いた。
5)TI値
ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製 レオメーター AR−2000exを用いて、23℃にてスラリーのフローカーブを測定し、せん断速度TI値10S−1及びせん断速度0.01S−1の粘度を測定し、その比率(η(10S−1)/η(0.01S−1))からTI値を求めた。
6)スラリー粘度
成形前のスラリー粘度は東機産業株式会社製B型粘度計 TVB−10を用いて測定した。
7)全体反り
焼結体を平坦なガラス基板上に置き、株式会社ミツトヨ製デジマチックインジケータを用い、焼結体裏表両面にて中央部の高さを測定し、その最大値と最小値の差を反りとし基板20 枚の平均値を求めた。
8)端部反り
焼結体を平坦なガラス基板上に置き、株式会社ミツトヨ製デジマチックインジケータを用い、基板外周部から5mmの位置をゼロとし、そこから外周部に向かって針を走査した時の最大値を反りとした。基板一枚につき8点測定し、基板20枚の内の最大値と平均値を求めた。
9)表面粗さ
東京精密株式会社製表面粗さ形状測定器(サーフコム480A)を用いて、評価長さ2.5mm、測定速度:0.3mm/sで針を走査させ、基板の裏表の外周部、中央部を拡散点ずつ測定し、20枚の平均値を求めた。
10)密度
グリーンシート及び焼結体の密度はアルキメデス法により測定した。
11)熱伝導率
作製したAlN焼結体の熱伝導率は京都電子工業製LFA−502を用いてレーザーフラッシュ法により測定した。
12)曲げ強度
JIS R1601に準拠して、クロスヘッド速度0.5mm/分、スパン30m mで3点曲げ強度を測定した。試験片の幅は4mmで平面研削して作製した。20サンプルの平均値を求めた。
実施例1
D50が0.99μm、D90/D10=3.7、タップ嵩密度0.93g/cm、比表面積2.6μm、酸素濃度0.84wt%のAlN粉末を使用し、希土類化合物(酸化イットリウム粉末)5質量%を添加して、更に分散剤と溶媒を添加してボールミルを用いて混合した。その後、バインダーとしてポリビニルブチラール及び可塑剤を添加して混合し、AlNスラリーをTI値(η(10S−1)/η(0.01S−1)が2.3となるように調整し、ドクターブレード法で厚み0.75mmの成形体を作製した。調製したスラリーの粘度は6rpmで23,000mPa・sであった。
得られた成形体を540℃、4時間、空気雰囲気中で脱脂して得た脱脂体を窒素雰囲気中にて1750℃で5時間焼成して、AlN焼結体を得た。得られた焼結体の物性を表1に示す。
実施例2
D50が0.85μm、D90/D10=3.6、タップ嵩密度0.91g/cm、比表面積2.7μm、酸素濃度0.86wt%のAlN粉末を使用し、希土類化合物(酸化イットリウム粉末)5質量%を添加して、更に分散剤と溶媒を添加してボールミルを用いて混合した。その後、バインダーとして実施例1の70%の量のポリビニルブチラール及び同量の可塑剤を添加して混合して、AlNスラリーをTI値(η(10S−1)/η(0.01S−1)が3.7となるように調整し、ドクターブレード法で厚み0.75mmの成形体を作製した。調製したスラリーの粘度は6rpmで23,000mPa・sであった。
得られた成形体は実施例1と同様の方法で焼結体を作製した。得られた焼結体の物性を表1に示す。
実施例3
D50が1.16μm、D90/D10=3.9、タップ嵩密度0.93g/cm、比表面積2.4μm、酸素濃度0.79wt%のAlN粉末を使用し、希土類化合物(酸化イットリウム粉末)5質量%を添加して、更に分散剤と溶媒を添加してボールミルを用いて混合した。その後、バインダーとして実施例1で使用したものよりも分子量が1.2倍のポリビニルブチラール及び可塑剤を添加して混合して、AlNスラリーをTI値(η(10S−1)/η(0.01S−1)が2.1となるように調整し、ドクターブレード法で厚み0.75mmの成形体を作製した。調製したスラリーの粘度は6rpmで24,000mPa・sであった。
得られた成形体は実施例1と同様の方法で焼結体を作製した。得られた焼結体の物性を表1に示す。
比較例1
実施例1の窒化アルミニウム粉末を用いて、TI値(η(10S−1)/η(0.01S−1)が5.4となるように調製し、ドクターブレード法で厚み0.75mmの成形体を作製した。調製したスラリーの粘度は6rpmで27,000mPa・sであった。
得られた成形体は実施例1と同様の方法で焼結体を作製した。得られた焼結体の物性を表1に示す。
比較例2
実施例1の窒化アルミニウム粉末を用いて、TI値(η(10S−1)/η(0.01S−1)が1.8となるように調製し、ドクターブレード法で厚み0.75mmの成形体を作製した。調製したスラリーの粘度は6rpmで24,000mPa・sであった。
得られた成形体は実施例1と同様の方法で焼結体を作製した。得られた焼結体の物性を表1に示す。
比較例3
D50が1.0μm、D90/D10=8.5、タップ嵩密度0.47g/cm、比表面積2.6μm、酸素濃度0.82wt%のAlN粉末を使用し、実施例と同じ条件でAlNスラリーを混合した。
AlNスラリーのTI値(η(10S−1)/η(0.01S−1)は5.8、6rpmでの粘度は23,000mPa・sであった。ドクターブレード法で厚み0.75mmの成形体を作製した。得られた成形体を実施例1と同様に処理してAlN焼結体を得た。得られた焼結体の物性を表1に示す。
比較例4
D50が1.6μm、D90/D10=1.5、タップ嵩密度0.92g/cm、比表面積2.7μm、酸素濃度2.00wt%のAlN粉末を使用し、実施例と同じ条件でAlNスラリーを混合した。
AlNスラリーのTI値(η(10S−1)/η(0.01S−1)は20、6rpmでの粘度は24,000mPa・sであった。ドクターブレード法で厚み0.75mmの成形体を作製した。得られた成形体を実施例1と同様に処理してAlN焼結体を得た。得られた焼結体の物性を表1に示す。
Figure 2013203597
1 窒化アルミニウム焼結基板

Claims (3)

  1. 焼成後、未加工の状態において、基板全体の反りが5μm/インチ以下であり、周辺から5mm以内の範囲における外周部の反りの絶対値が最大で10μm以下、平均で6μm以下であり、且つ、表面荒さ(Ra)が、0.1〜0.2μmの範囲にあることを特徴とする窒化アルミニウム焼結基板。
  2. ドクターブレード法によって得られたグリーンシートを焼成して得られる請求項1記載の窒化アルミニウム焼結基板。
  3. D50が0.8〜1.2μm、D90/D10が4以下、タップ嵩密度が0.9g/cm以上の窒化アルミニウム粉末を使用し、該窒化アルミニウム粉末を有機バインダーと有機溶剤とを含み、TI値(η(10S−1)/η(0.01S−1))が、2〜4の範囲となるように調整された窒化アルミニウムスラリーをドクターブレード法によりシート状に成形した後、脱脂、焼成することを特徴とする窒化アルミニウム焼結基板の製造方法。
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