JP2013203332A - 自動車用ガラスラン - Google Patents
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Abstract
【課題】取付部への取付作業性の低下を抑制しつつ、長手方向における自身の収縮変形等を抑制することのできるガラスランを提供する。
【解決手段】ガラスランは、基底部14、及び基底部14から延出する一対の側壁部15、16を備えて断面略コ字状をなす本体部と、各側壁部15、16から本体部の内側に延出するシールリップ12、13とを備えている。ガラスランの上辺部を構成する押出成形部には、側壁部15、16において、基材よりも硬質な樹脂よりなる車内側硬質部21、車外側硬質部22が押出成形部の長手方向に沿って設けられている。車内側硬質部21、車外側硬質部22は、ガラスランをドアフレームの内周に沿って取付けた際の車内側側壁部と車外側側壁部における伸縮の中立位置にそれぞれ車内側硬質部と車外側硬質部が少なくとも一方の側壁部に設けられている。
【選択図】図2
【解決手段】ガラスランは、基底部14、及び基底部14から延出する一対の側壁部15、16を備えて断面略コ字状をなす本体部と、各側壁部15、16から本体部の内側に延出するシールリップ12、13とを備えている。ガラスランの上辺部を構成する押出成形部には、側壁部15、16において、基材よりも硬質な樹脂よりなる車内側硬質部21、車外側硬質部22が押出成形部の長手方向に沿って設けられている。車内側硬質部21、車外側硬質部22は、ガラスランをドアフレームの内周に沿って取付けた際の車内側側壁部と車外側側壁部における伸縮の中立位置にそれぞれ車内側硬質部と車外側硬質部が少なくとも一方の側壁部に設けられている。
【選択図】図2
Description
本発明は、ガラスランに関するものである。
一般に、自動車のドアフレームには、その内周に沿ってガラスランが設けられている。ガラスランは、その長手方向に直交する断面方向から見ると、基底部と、該基底部から延びる車内側側壁部及び車外側側壁部とを具備する断面略コ字形の本体部を備えるとともに、両側壁部の先端からそれぞれ本体部の内側に向けて延びる車内側シールリップ及び車外側シールリップを備えている。上記ガラスランは、本体部がドアフレームの内周に沿って設けられた取付部に取着され、両シールリップによって、昇降するドアガラスの内外面の周縁部が挟まれるようにしてシールされる。
ところで、ドアの窓部形状に合わせてドアガラスの上縁部が斜めに形成される場合、ガラスランのうちドアガラスの上縁部に対応して設けられる上辺部についても斜めに延在するようにして取付けられる。このようなドアにおいては、窓部が閉め切られる際にドアガラスがガラスランの上辺部に圧接すると、上辺部にはその長手方向に沿って斜め上方への応力が作用することとなり、場合によっては、上辺部がその長手方向において位置がずれたり、縮んだり、たくれたりしてしまう(波打ち状にいびつに変形してしまう)等の不具合を招くおそれがある。この場合、シール性の低下を招いたり、取付状態の悪化を招いたりすることが懸念される。
これに対し、例えば、側壁部において硬質樹脂よりなる硬質部を設け、ガラスランの長手方向において伸縮し難くなるように構成することが考えられる(例えば、特許文献1参照。)。当該構成を採用することで、上記のように、窓部の閉鎖時に、上辺部が長手方向に縮んだり、たくれたりするといった不具合を抑止することができる。
しかしながら、ドアフレームの上辺部(窓部の上縁部)は、窓部の外周側に凸となるように湾曲したり、屈曲したりしている場合が多い。従って、単に側壁部に硬質部を設けるという思想のみでは、ガラスランに設けられているシールリップに波打つようなシワが生じたり、ドアフレームの湾曲形状に合わせて追従変形させ難くなってしまうことが懸念され、ガラスラン自体のシール性の低下や取付作業性や取付状態の安定性の低下等を招いてしまうおそれがある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ガラスランのシール性の低下を招くことや取付部への取付作業性の低下を抑制しつつ、位置ずれや、長手方向における自身の収縮変形等を抑制することのできるガラスランを提供することにある。
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
手段1.基底部、及び前記基底部から延出する一対の車内側側壁部及び車外側側壁部を備えて断面略コ字状をなし、車両のドアフレームの内周に沿って設けられた取付部に取着される本体部と、前記各側壁部から前記本体部の内側に延出する車内側シールリップ及び車外側シールリップとを備えるガラスランにおいて、 ガラスランの前記車内側側壁部及び車外側側壁部には、前記本体部及び前記シールリップを構成する基材よりも硬質な樹脂よりなり、ガラスランをドアフレームの内周に沿って取付けた際の車内側側壁部と車外側側壁部における伸縮の中立位置にそれぞれ車内側硬質部と車外側硬質部が少なくとも一方の側壁部に設けられていることを特徴とするガラスラン。
手段1によれば、硬質樹脂よりなる車内側硬質部と車外側硬質部が少なくとも一方の側壁部にガラスランの上辺部の長手方向に沿って設けられているため、上辺部をその長手方向において伸縮し難くすることができる。従って、ドアガラスの上縁部が傾斜している等の関係でガラスランの上辺部が斜めに設置される場合において、ドアの窓部が閉め切られる際に上辺部がドアガラスに突き上げられたとしても、上辺部を長手方向において押し縮めようとする応力に抗して硬質部が突っ張ることとなる。これにより、上辺部がその長手方向に圧縮されるような格好でたくれてしまう等といった事態を抑止することができる。
また、ガラスランを取付部に取付ける際に、窓部の外周方向に凸となるようにして湾曲又は屈曲している取付部の形状に合わせて上辺部を追従変形させる場合、側壁部のうち窓部の内周側であるシールリップ側の部位は、上辺部の長手方向において収縮させられ、側壁部のうち窓部の外周側である基底部側の部位は、上辺部の長手方向において伸長させられる。従って、硬質部を基底部やシールリップに近接して設けるとドアフレームに取付ける際のガラスラン上辺部の追従変形が阻害されたり、シールリップにシワが発生しやすくなってしまうおそれがある。
これに対し、本手段1によれば、車内側硬質部と車外側硬質部はそれぞれガラスランをドアフレームの内周に沿って取付けた際の伸縮の中立位置に設けられている。ここでいう中立位置とはガラスランをドアフレームの内周に沿って取付けた際にガラスランの長手方向において伸びも縮みもしない領域の位置のことである。 つまり、ガラスランの上辺部は、窓部の外周方向に湾曲又は屈曲させると、基底部からの延出方向において中立位置を境にして、本体部の長手方向において伸長する部位と収縮する部位とに切替わるのであるが、中立位置上では、本体部の長手方向において伸縮変形が起こらないのである。このため、車内側側壁部、車外側側壁部における中立位置に硬質部を設けることで、硬質部が設けられたとしてもガラスランの上辺部における中立位置が変化することがないので追従変形性への影響を極力小さくすることができる。従って、上辺部に硬質部を設けても、ドアフレームの湾曲形状に合わせて上辺部を比較的スムースに追従変形させることができ、結果として、シールリップのシワがよることによるドアガラスとガラスランの間のシール性の低下や、取付作業性や取付状態の安定性の低下等を防止することができる。
手段2.前記車内側硬質部は、車内側側壁部と車内側シールリップをドアフレームの内周に沿って湾曲させた際の車内側側壁部の伸縮の中立位置に設けられ、 前記車外側硬質部は、車外側側壁部と車外側シールリップをドアフレームの内周に沿って湾曲させた際の車外側側壁部の伸縮の中立位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のガラスラン。
手段2によれば、前記硬質部を設ける位置をガラスランの基底部を除く部位での側壁部の中立位置とする。ガラスランの車内側側壁と車外側側壁の長さが大きく異なった場合には、ガラスラン全体で考えた場合の中立位置に硬質部を埋設するよりも、車内側部分と車外側部分を別々に考慮して硬質部を埋設する位置を決めたほうがよりドアフレームの湾曲形状に合わせてガラスランの上辺部をスムースに追従変形させることができるので、ガラスランのシール性を低下させることなく取付部への形状追従性を向上させ、取付作業性の向上等を図るといった上記手段1の作用効果が一層確実に奏される。
手段3.前記車内側硬質部と前記車外側硬質部は、前記ガラスランの長手方向に対して直交する方向で切断した場合の断面積が1mm2〜9mm2となるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のガラスラン。
窓部の閉鎖時における上辺部の長手方向への変形を防止可能な強度を得るためには、前記車内側硬質部と前記車外側硬質部は、前記ガラスランの長手方向に対して直交する方向で切断した場合の断面積が1mm2〜9mm2となるように構成されている必要がある。断面積が1mm2より小さい場合には、硬質部の剛性が十分ではなくガラスランのたくれを防止することができない。 断面積が9mm2より大きい場合には、硬質部の剛性が高くなりすぎてしまいドアフレームの湾曲形状に合わせてガラスランの上辺部をスムースに追従変形させることができなくなってしまう。
手段4.前記硬質部は、少なくとも前記本体部の外周側の面が前記硬質部よりも軟質な素材よりなる被覆部によって被覆されていることを特徴とする手段1又は2に記載のガラスラン。
手段4によれば、ドアフレームが振動する等した場合に、硬質部と取付部とが接触して比較的大きな異音が発生してしまうといった事態を回避することができる。尚、被覆部は、基材と同じ材料によって構成されてもよいし、シールリップのガラス摺動面等に摺動層を一体形成する場合にはその形成材料で構成されてもよい。これらの構成を採用する場合、上辺部の製造作業性の向上を図ることができ、特に前者の構成を採用する場合には、さらに、製造装置の簡素化を図ることができる。
手段5.前記基材及び前記硬質部はいずれもオレフィン系樹脂材料を主成分としていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載のガラスラン。
手段5によれば、前記基材と前記硬質部がいずれもオレフィン系樹脂材料を主成分としているので、相溶性が良く、硬質部が基材からはがれてしまうといった事態の抑制を図ることができる。従って、例えば、上辺部の長手方向における伸縮を防止する効果が薄れてしまったり、硬質部が側壁部から露出して設けられる場合に硬質部が脱落したりといった各種不具合を防止することができる。また、金属製の硬質部が側壁部に設けられるような場合に比べ、製造作業性の向上を図りつつ、硬質部の相対位置のばらつきを抑制することができるとともに、ガラスランをリサイクル(材料をリユース)する際の作業の簡素化を図ることができる。
以下に、実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1に示すように、自動車のドア用開口部に開閉可能に設けられるフロントドア(以下、単に「ドア1」と称する)には、ドア1の窓部Wを開閉する昇降可能なドアガラスGと、当該ドアガラスGの外周形状に対応して設けられ、ドアガラスGの昇降を案内するとともに、ドアガラスGの周縁部とドアフレーム2との間をシールするガラスラン5とが設けられている。本実施形態のドアフレーム2の上辺部は、後方(図1では紙面右側)に向けて上方傾斜している上、窓部Wの外周側(前方かつ上方;図1では紙面左上側)に凸となるような湾曲形状をなしている。
また、ガラスラン5は、ドアガラスGの上縁部に対応する押出成形部6、ドアガラスGの前後の縦縁部に対応する押出成形部7、8と、押出成形部6−7、6−8の端末部同士を接続する型成形部9、10とから構成されている。各押出成形部6〜8は、図示しない押出成形機によりほぼ直線状に形成される。型成形部9、10は、2つの押出成形部6−7、6−8が所定の角度をなした状態で相互に接続されるように図示しない金型装置にて接続成形される。そして、ドアフレーム2の内周に沿って形成されるサッシュ部DS、及びサッシュ部DSの前後の縦辺部を下方に延長するようにしてドアパネル3内に設けられたチャンネル部DCに当該ガラスラン5が取付けられている。本実施形態では、サッシュ部DS及びチャンネル部DCが取付部に相当する。
図2に示すように、押出成形部6は、基底部14と、該基底部14から延びる車内側側壁部15及び車外側側壁部16とを具備して断面略コ字状をなし、断面略コ字状のサッシュ部DS(チャンネル部DC)に嵌め込まれる本体部11と、車内側側壁部15の先端部から車外側に向けて延びる車内側シールリップ12と、車外側側壁部16の先端部から車内側に向けて延びる車外側シールリップ13とを備えている。ドアガラスGにより窓部Wが閉鎖された状態においては、車内側シールリップ12がドアガラスGの車内側面S1に対して圧接され、車外側シールリップ13がドアガラスGの車外側面S2に対して圧接される。これにより、ドアガラスGの車内側及び車外側がそれぞれシールされるようになっている。尚、図2では、紙面左側が車内側であり、紙面右側が車外側である。
また、本実施形態では、窓部Wの外周側に凸となるように湾曲しつつ、後方に向けて上方傾斜しているドアフレーム2の上辺部に対応して、サッシュ部DSの上辺部(窓部Wの上縁部)、及び、ドアガラスGの上縁部についても、同様に湾曲しつつ後方に向けて上方傾斜している。このため、サッシュ部DSの上辺部に取付けられる押出成形部6についても、窓部Wの外周側に凸となるように湾曲しつつ、後方に向けて上方傾斜するようにして延在している。
さて、本実施形態では、ガラスラン5の上辺部を構成する押出成形部6の車内側側壁部15及び車外側側壁部16において、本体部11やシールリップ12、13等を構成する基材よりも硬質なオレフィン系樹脂よりなる車内側硬質部21及び車外側硬質部22が設けられている。本実施形態の基材はTPO(オレフィン系熱可塑性エラストマー)で構成され、硬質部21、22はポリプロピレンで構成されている。また、押出成形部6は、本体部11等の基材で構成される部位と硬質部21、22とが共押出成形されることで形成されている。尚、押出成形部6は押出成形によって略直線状に形成されており、サッシュ部DSに取付けられることで、追従的に湾曲することとなる。
硬質部21、22は、ガラスラン5をドアフレーム2の内周に沿って取付けた際の車内側側壁部15と車外側側壁部16の伸縮の中立位置に設けられている。ここで言う中立位置とはガラスランをドアフレームの内周に沿って取付けた際にガラスランの長手方向において伸びも縮みもしない領域の位置のことであるが、本実施形態では中立位置はCAEを用いた解析結果を元に側壁部において中立位置となる領域を決定している。 また、硬質部21、22の断面形状は略正方形状をなしている。本実施形態では、各側壁部15、16に設けられる各硬質部21、22の前記ガラスラン5の長手方向に対して直交する方向で切断した場合の断面積が1mm2〜9mm2となるように構成されている。1辺の長さは、それぞれ対応する側壁部15、16の厚みよりも若干小さくなっている。従って、硬質部21、22が上記の位置に設けられることで、硬質部21、22は、側壁部15、16と基底部14との境界部から離間するとともに、側壁部15、16とシールリップ12、13との境界部からも離間することとなる。そして、押出成形部6を湾曲しているサッシュ部DSに取付けるべく追従変
形させた場合、側壁部15、16のうち、硬質部21、22よりも基底部14側の部位は長手方向において伸長し、硬質部21、22よりもシールリップ12、13側の部位は長手方向において収縮することとなる。
形させた場合、側壁部15、16のうち、硬質部21、22よりも基底部14側の部位は長手方向において伸長し、硬質部21、22よりもシールリップ12、13側の部位は長手方向において収縮することとなる。
ガラスラン5の上辺部は、窓部の外周方向に湾曲又は屈曲させると、基底部からの延出方向において中立位置を境にして、本体部の長手方向において伸長する部位と収縮する部位とに切替わるのであるが、中立位置では本体部の長手方向において伸縮変形が起こらない。中立位置に硬質部21、22を設けることで、硬質部21、22が設けられたとしてもガラスラン5の上辺部における中立位置が変化することがない。つまり、サッシュ部DSへの取付けに際しての追従変形性に極力影響のない位置に硬質部21、22が設けられている。
さらに、硬質部21、22のうち本体部11の外周側の面を覆う被覆部が設けられている。本実施形態の被覆部は、基材を構成するTPOを硬質部21、22の外周側の面に回すことで形成されている。また、被覆部25の表面は、側壁部15、16の外周側の面と面一に形成されている。
以上詳述したように、本実施形態によれば、PPよりなる硬質部21、22がガラスラン5の上辺部を構成する押出成形部6の長手方向に沿って設けられているため、押出成形部6をその長手方向において伸縮し難くすることができる。従って、ドアガラスGの上縁部が傾斜している等の関係で押出成形部6が斜めに設置される場合であって、ドア1の窓部Wが閉め切られる際に押出成形部6がドアガラスGに突き上げられたとしても、押出成形部6を長手方向において押し縮めようとする応力に抗して硬質部21、22が突っ張ることとなる。これにより、押出成形部6がその長手方向に圧縮されるような格好でたくれてしまう等といった事態を抑止することができる。
また、押出成形部6をサッシュ部DSに取付ける際に、窓部Wの外周方向に凸となるようにして湾曲しているサッシュ部DSの形状に合わせて押出成形部6を追従変形させる場合、側壁部15、16のうち窓部Wの内周側であるシールリップ12、13側の部位は、押出成形部6の長手方向において収縮させられ、側壁部15、16のうち窓部Wの外周側である基底部14側の部位は、押出成形部6の長手方向において伸長させられる。従って、硬質部21、22を基底部14やシールリップ12、13に近接して設けられると、追従変形が阻害されてしまうおそれがある。
これに対し、本実施形態によれば、硬質部21、22は、ガラスラン5をドアフレーム2の内周に沿って取付けた際の車内側側壁部15と車外側側壁部16の中立位置に設けられている。つまり、ガラスラン5の上辺部は、窓部の外周方向に湾曲又は屈曲させると、基底部からの延出方向において中立位置を境にして、本体部の長手方向において伸長する部位と収縮する部位とに切替わるのであるが、中立位置では、本体部の長手方向において伸縮変形が起こらない。このため、車内側側壁部15、車外側側壁部16の伸縮の中立位置に硬質部21、22を設けることで、硬質部21、22が設けられたとしてもガラスラン5の上辺部における中立位置が変化することがないので追従変形性への影響を極力小さくすることができる。従って、上辺部に硬質部21、22を設けても、ドアフレーム2の湾曲形状に合わせて上辺部を比較的スムースに追従変形させることができ、結果として、シールリップのシワがよることによるドアガラスGとガラスラン5の間のシール性の低下や、取付作業性や取付状態の安定性の低下等を防止することができる。
また、窓部の閉鎖時における上辺部の長手方向への変形を防止可能な強度を得るためには、前記車内側硬質部21と前記車外側硬質部22は、前記ガラスラン5の長手方向に対して直交する方向で切断した場合の断面積が1mm2〜9mm2となるように構成されている必要がある。断面積が1mm2より小さい場合には、硬質部の剛性が十分ではなくガラスラン5のたくれを防止することができない。断面積が9mm2より大きい場合には、硬質部の剛性が高くなりすぎてしまいドアフレーム2の湾曲形状に合わせてガラスラン5の上辺部をスムースに追従変形させることができなくなってしまう。
さらに、硬質部21、22のうち本体部11の外周側の面は、基材と同じTPOよりなる被覆部で覆われている。このため、ドア1が振動する等した場合に、硬質部21、22とサッシュ部DSとが接触して比較的大きな異音が発生してしまうといった事態を回避することができる。また、ガラスラン5は、基材がTPOで構成されるとともに、硬質部21、22がポリプロピレンで構成されている。このTPOとポリプロピレン(PP)とは共にオレフィン系樹脂であるため、相溶性が良い。このため、硬質部21、22が基材からはがれてしまうといった事態を抑制することができる。従って、例えば、押出成形部6の長手方向における伸縮を防止する効果が薄れたり、硬質部21、22が側壁部15、16から露出して設けられる場合に硬質部21、22が脱落したりする等の各種不具合を防止することができる。また、例えば、硬質部が金属で構成される場合のように、はがれを防止するための構成を設けずとも済むため、製造作業性の向上等を図ることができる。
また、例えば、可撓性を有する金属製のワイヤによって硬質部を構成する場合に比べ、リサイクル(構成材料をリユース)する際の作業の簡素化を図ることができる。加えて、例えば、型成形部9のうちガラスラン5の上辺部を構成する部位から上方に突出し、サッシュ部DSに形成された孔、又はサッシュ部DSの端縁に引っ掛けるストッパーを設ける等しなくても、ガラスラン5の上辺部の位置ずれを防止することができる。このため、ストッパーを設けたり、サッシュ部DSにストッパー用の孔を設けたりする手間が省け、製造作業性の向上等が図られるとともに、コストの削減を図ることができる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記実施形態では、フロントドアのガラスラン5に具体化されているが、リアドア等のガラスランに適用してもよい。また、上記実施形態のドアガラスGの上縁部は湾曲しているが、水平部と傾斜部とから構成されるように屈曲させてもよい。さらに、上記実施形態では特に言及していないが、ドア1は、ドアフレーム2を構成するアウタパネルとインナパネルとの間にチャンネル部材を設けたり、アウタパネルやインナパネルの端部にモール部材を取付けたりするタイプに限定されるものではなく、チャンネル部材を介在させないタイプ(チャンネルレス構造)のものを採用してもよい。つまり、上記実施形態では、押出成形部6をサッシュ部DSに引っ掛けたりすることなく、押出成形部6の長手方向におけるずれ(たくれ)を防止することができるため、チャンネルレス構造のドアフレーム2に取付けられるガラスランに適用しても、確実に上記実施形態と同様の作用効果が奏される。
(b)上記実施形態では、ガラスラン5の上辺部を構成する押出成形部6において硬質部21、22が設けられているが、前後の縦辺部を構成する押出成形部7、8や型成形部9、10にも硬質部21、22を設けることとしてもよい。例えば、押出成形部7、8に硬質部21、22が設けられた場合、ドアガラスGの上昇につられて押出成形部7、8が上方にたくれてしまうといった事態をより確実に回避することができる。
また、上記実施形態では、車外側側壁部16及び車内側側壁部15の両方に硬質部21、22が設けられているが、少なくとも一方に設けられていればよい。但し、窓部Wの閉鎖時に、車内側側壁部15及び車外側側壁部16のうち硬質部が設けられた方と設けられていない方とで長手方向にずれが生じてしまうことが懸念されるため、両方に設けることが望ましい。
(c)上記実施形態では、硬質部21、22のうち本体部11の外周側の部位を本体部11の基材であるTPOによって被覆しているが、基材とは別に、摺動性を向上させるためにシールリップ12、13のガラス摺動面等において共押出成形される摺動層を構成する材料(例えば、基材よりも硬いTPO等)によって被覆することも可能である。
(d)上記実施形態では、硬質部21、22が断面略正方形状に構成されているが、必ずしもかかる形状に限定されるものではなく、幾分丸みを帯びていてもよいし、円形、楕円形、長円形等であってもよい。
1 : ドア 2 : ドアフレーム 5 : ガラスラン 6〜8: 押出成形部 11 : 本体部 12 : 車内側シールリップ 13 : 車外側シールリップ 14 : 基底部 15 : 車内側側壁部 16 : 車外側側壁部 21 : 車内側硬質部 22 : 車外側硬質部 DC : チャンネル部 DS : サッシュ部 G : ドアガラス W : 窓部
Claims (5)
- 基底部、及び前記基底部から延出する一対の車内側側壁部及び車外側側壁部を備えて断面略コ字状をなし、車両のドアフレームの内周に沿って設けられた取付部に取着される本体部と、前記各側壁部から前記本体部の内側に延出する車内側シールリップ及び車外側シールリップとを備えるガラスランにおいて、 ガラスランの前記車内側側壁部及び車外側側壁部には、前記本体部及び前記シールリップを構成する基材よりも硬質な樹脂よりなり、ガラスランをドアフレームの内周に沿って取付けた際の車内側側壁部と車外側側壁部における伸縮の中立位置にそれぞれ車内側硬質部と車外側硬質部が少なくとも一方の側壁部に設けられていることを特徴とするガラスラン。
- 前記車内側硬質部は、車内側側壁部と車内側シールリップをドアフレームの内周に沿って湾曲させた際の車内側側壁部の伸縮の中立位置に設けられ、 前記車外側硬質部は、車外側側壁部と車外側シールリップをドアフレームの内周に沿って湾曲させた際の車外側側壁部の伸縮の中立位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のガラスラン。
- 前記車内側硬質部と前記車外側硬質部は、前記ガラスランの長手方向に対して直交する方向で切断した場合の断面積が1mm2〜9mm2となるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のガラスラン。
- 前記硬質部は、少なくとも前記本体部の外周側の面が前記硬質部よりも軟質な素材よりなる被覆部によって被覆されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のガラスラン。
- 前記基材及び前記車内側硬質部、前記車外側硬質部はいずれもオレフィン系樹脂材料を主成分としていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のガラスラン。
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