JP2013202575A - 脱気用複合中空糸膜及び中空糸膜モジュール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】メタロセン系触媒を用いてそれぞれ重合された、(A1)エチレン単位含量が0.5〜6質量%の範囲にあるプロピレン−エチレンランダム共重合体、及び(A2)(A1)よりも3〜20質量%多くのエチレン単位含量を有するプロピレン単位とエチレン単位とを含む共重合体を含み、成分(A1)中に成分(A2)からなる粒子が分散した構造の分離層を脱気用複合中空糸膜に使用することにより解決される。
【選択図】なし
Description
例えば、低密度ポリオレフィンであるエチレン−高級オレフィン共重合体、または、プロピレン−高級オレフィン共重合体を均質薄膜の形態で多孔質基材上に積層した複合膜に関する技術が特許文献1および特許文献2に開示されている。
また特許文献3には、中空糸膜外表面から深さ約1μmまでをポリ(4−メチルペンテン−1)の不均質構造中空糸膜に関する技術が開示されている。
また、ポリ(4−メチルペンテン−1)の不均質構造中空糸膜では、物質としての酸素透過係数が低密度ポリエチレンの150%と高いが、酸化に弱いために多くの酸化防止剤を入れる必要があり、溶出などの問題がある。
その他の改良として、特許文献4に記載されるように、ポリプロピレンと他のポリマーとの機械的な混練をしたポリマーアロイが有るが、均一に混ざりにくいだけでなく、混錬したポリマーの粒径が数十ミクロンと大きく、薄膜化時に分離層内で粒子が連なり、ポリマー間の境界にピンホールが発生しやすく、また、混ぜたポリマーの耐溶剤性の影響を受けやすくなっていた。
すなわち、本発明は以下を提供する。
[1]気体透過機能を有する分離層を有する脱気用複合中空糸膜であって、
前記分離層が、メタロセン系触媒を用いて多段重合された、下記成分(A1)及び成分(A2)を含み、かつ成分(A2)は粒子状物として層内に存在する構造を有することを特徴とする脱気用複合中空糸膜:
(A1)(A1)共重合体質量に対し、エチレン単位含量が0.5〜6質量%の範囲にあるプロピレン−エチレンランダム共重合体、及び
(A2)(A2)共重合体質量に対し、(A1)のエチレン単位の含量よりもさらに3〜20質量%多くのエチレン単位含量を有するプロピレン単位とエチレン単位とを含む共重合体。
[2]前記成分(A2)からなる粒子が成分(A1)に分散していることを特徴とする[1]に記載の脱気用複合中空糸膜。
[3]成分(A1)と成分(A2)の合計質量に対する(A1)の割合が50〜95質量%の範囲にあり、成分(A2)の割合が50〜5質量%の範囲にあることを特徴とする[1]または[2]に記載の脱気用複合中空糸膜。
[4]前記分離層の50℃におけるn−ヘキサン抽出量が5質量%以下であることを特徴とする[1]〜[3]いずれか一項に記載の脱気用複合中空糸膜。
[5]分離層を構成する構造体の曲げ弾性率が100〜350MPaの範囲にあることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか一項に記載の脱気用複合中空糸膜。
[6]分離層を構成する構造体のDSC法により測定された融解ピーク温度(Tm)が110〜150℃の範囲にあることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか一項に記載の脱気用複合中空糸膜。
[7]分離層を構成する構造体のビカット軟化点が90℃以上であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれか一項に記載の脱気用複合中空糸膜。
[8]分離層を構成する構造体の密度が0.86〜0.92g/cm3の範囲内にあることを特徴とする[1]〜[7]のいずれか一項に記載の脱気用複合中空糸膜。
[9]分離層を構成する構造体のメルトフローレート(230℃、21.18N)が1.0〜10g/10分の範囲内にあることを特徴とする[1]〜[8]のいずれか一項に記載の脱気用複合中空糸膜。
[10]成分(A2)からなる粒子の平均粒径が1μm以下である[1]〜[9]のいずれか一項に記載の脱気用複合中空糸膜。
[11][1]〜[10]のいずれか一項に記載の脱気用複合中空糸膜を具備する中空糸膜モジュール。
前記分離層が、メタロセン系触媒を用いて多段重合された、下記成分(A1)及び成分(A2)を含み、かつ成分(A2)は粒子状物として層内に存在する構造を有することを特徴とする脱気用複合中空糸膜:
(A1)(A1)共重合体質量に対し、エチレン単位の含量が0.5〜6質量%の範囲にあるプロピレン−エチレンランダム共重合体、及び
(A2)(A2)共重合体質量に対し、(A1)のエチレン単位の含量よりも3〜20質量%多くのエチレン単位含量を有するプロピレン単位とエチレン単位とを含む共重合体、
である。
本発明の脱気用複合中空糸膜の特徴の一つは、メタロセン系触媒によって多段重合された、エチレン単位を含む共重合体である成分(A1)及び成分(A2)を含み、かつ成分(A2)が粒子状物として層内に存在する気体透過機能を有する分離層を有することである。
また、更なる特徴は、分離層が前記成分(A2)からなる粒子が成分(A1)に分散している構造(海島構造)(分散構造体)をとることである。
本明細書において分散構造とは、プロピレン−エチレンランダム共重合体(A1)をマトリックス(海)として、その中に、少なくとも成分(A2)からなるポリマーの粒子が分散している構造を意味する。本明細書において、分散とは粒子成分(A2)がプロピレン−エチレンランダム共重合体(A1)中で凝集することなく、粒子成分(A2)が独立して分散している状態を意味する。
分離層が三種類以上のポリマーからなる場合には、(A2)からなるポリマーの粒子に加えて、他の成分(A3)、(A4)・・・からなるポリマーの粒子が(A1)内に分散した構造を有していてもよい。
その場合も、多段重合を用い各粒子が凝集することなく独立して分散した状態であることが好ましい。
本発明の脱気用複合中空糸膜においては、気体透過機能を有する分離層が、2種以上の成分によって形成された分散構造(海島構造)をとるために耐溶剤性及び気体透過性を両立することが可能である。分散構造をとることにより、各機能を分離することでそれらを両立することを可能としている。つまり、耐溶剤性については、海島構造の海成分にその主たる機能を持たせ、気体透過性能については海島構造の島成分にその主たる機能を持たせることで、実用上十分な気体透過性能を獲得することができる。そのような構造をとることで互いの単独材料では為し得ない特性の両立を図るものである。
多段重合法により、例えばプロピレン系共重合体に対して第2成分(プロピレン系共重合体以外の成分)をプロピレン系共重合体と第2成分の合計質量に対し約80質量%以上95質量%以下程度含有させることが可能となる。
一方、成分(A1)の割合が少なくなりすぎると柔軟性が増加し気体透過性能が向上するが、耐溶剤性が低下するといった問題を生じるため、成分(A1)と成分(A2)の合計質量に対する成分(A1)の割合は30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることが更に好ましい。
ここで、成分(A1)と成分(A2)のエチレン単位含量の差をE(gap)(=E(A2)−E(A1))と定義すると、E(gap)は3質量%以上、好ましくは6質量%以上であり、更に好ましくは8質量%以上20質量%以下である。
成分(A2)の重量平均分子量は50000以上150000以下が好ましい。重量平均分子量が50000以上であると、成分(A2)が中空糸膜の表面にブリードアウト(脱落)すること、および引張り破断点伸びが劣ることを優れて防止することができる。一方、150000以下であると、成分(A2)の流動性が低下して加工性が低下することを優れて防止できる。
分離層に用いるポリマーには、成分(A1)および(A2)の他に、ガス透過性・耐溶剤性を損なわない範囲で、他のエチレン系樹脂やエチレン系エラストマーあるいはプロピレン系エラストマーなどを配合しても良い。また、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の酸化防止剤、中和剤、耐候剤、滑剤、核剤、帯電防止剤などの添加剤を配合しても良い。
気体透過性能を有する分離層を構成する構造体の曲げ弾性率(本発明でいう「曲げ弾性率」とは、JIS K7171に従って得られたものをいう)は、100MPa以上350MPa以下であるものが好ましい。
中でもn−ヘキサン(C6)抽出量を抑制できるという観点から、多段重合においてメタロセン触媒を用いた日本ポリプロ(株)製のWelnexがより好ましい。
プロピレン−エチレンブロック共重合の分子量分布を調整する方法は、狭くする場合は、後述のメタロセン系触媒を用いたり、プロピレン−エチレンブロック共重合を重合後、有機過酸化物を使用し溶融混練したりすることにより調整することができる。広くする場合は、2種以上のメタロセン触媒成分を併用させた触媒系や2種以上のメタロセン錯体を併用した触媒系を用いて重合することにより調整することができる。
メタロセン触媒の使用量、使用方法、条件等は、本技術分野において良く知られており、当業者であれば適宜選択して用いることができる。
ビカット軟化点が100℃以上であるポリマーは、多孔質支持層を形成するPPの軟化点145〜155℃との差が小さくなるので好ましい。多孔質化に必要な成型温度領域である120〜130℃との差が30℃以上、つまり軟化点が100℃以下になると、多孔質化に適する温度であっても、非多孔質分離層に用いるポリマーの軟化点を大きく上回るために延伸による欠陥を生じやすく好ましくない。
本発明の複合中空糸膜は、多層複合紡糸工程と延伸多孔質化工程により得ることができる。
中空糸膜を構成する複合膜の形態としては、気体透過性能を有する分離層と多孔質支持体層との二層複合膜であってもよいし、気体透過性能を有する分離層が多孔質支持体層で挟まれた三層複合膜であってもよい。特に三層以上の複合膜からなることが好ましい。
1)紡糸工程:
まず、同心円状複合構造ノズル口金の最外層ノズル部および最内周ノズル部に支持体層用溶融ポリマーを供給し、分離層ノズル部に気体透過性能を有する分離層用溶融ポリマーを供給し、同心円状口金から溶融ポリマーを押出しドラフトのかかった状態で冷却固化させて未延伸中空繊維を得る。
支持層ポリマーの結晶成長を進めることを目的として熱処理を行うことができる。この熱処理の温度は、支持層ポリマーのTg(ガラス転移温度)以上Tm(結晶融解ピーク温度)以下であればよく、方法としては延伸工程でのインラインで実施あるいはバッチ処理で実施してもよい。
次に未延伸中空繊維を延伸し、未延伸中空繊維の内、外層部分を多孔質化する。延伸倍率は用いるポリマーにより異なるが、通常、未延伸繊維の2〜5倍とすることが好ましい。多孔質支持体層の空孔率、従って気体透過性の観点から、延伸倍率を2倍以上とすることが好ましい。脱気用複合中空糸膜の破断伸度の観点から延伸倍率を5倍以下とすることが好ましい。
本発明の中空糸膜モジュールは、前述した本複合中空糸膜を具備するモジュールである。本発明の中空糸膜モジュールは、本複合中空糸膜を用いる以外は、公知の中空糸膜モジュールと同様の形態が用いられる。例えば、本複合中空糸膜を数百本束ねて筒状のハウジングに挿入し、それら本複合中空糸膜を封止材(ポッティング用樹脂)で封止した公知の形態の中空糸膜モジュールが挙げられる。
またポッティング加工部容積に対する中空糸膜の充填率が20〜60%程度であることが好ましい。
試料を、150℃の熱プレス機により厚み100μのフィルムに成形し、該シートから約1gの試料を切り出し、フラスコにとった。フラスコ中の試料にn−ヘキサン400mlを加え、あらかじめ50℃±0.2℃に調整したウォーターバスにフラスコを入れて加熱を行った。フラスコ中のn−ヘキサンの温度が50℃に達した後、マグネット式スターラーを使用して2時間撹拌を行った。攪拌後、n−ヘキサンに不溶な試料を濾過によって取り除いた。濾別回収した濾液部は、n−ヘキサンを除去し、さらに真空乾燥機で2時間乾燥して乾固物を得た。フラスコにとった試料の重量、および、濾液部から得られた乾固物の重量を用い、下記式で算出した値をヘキサン抽出量とした。
C=100×{乾固物の重量(g)/試料の重量(g)}
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により、以下の条件で測定した。
GPC測定装置:WATERS 150−GPC(WATERS社製)
温度:140℃
溶媒:o−ジクロロベンゼン
濃度:0.05%(インジェクション量:500マイクロリットル)
カラム:Shodex GPC AT−807/S 1本、Tosoh TSK−GEL GMH6−HT 2本
溶解条件:160℃、2.5時間
キャリブレーションカーブ:ポリスチレンの標準試料を測定し、換算定数を使用し、3次で計算。
DSC(セイコー電子工業製)を用い、約5mgの試料を200℃で5分間融解後、40℃まで10℃/minの速度で降温して結晶化した後に、更に10℃/minで200℃まで昇温して融解した時の融解ピーク温度及び融解終了温度で評価した。
ポリオレフィンのMFRについては、JIS K7210のコードD(測定温度:190℃、荷重:2.16kg)に準拠してMFRD(単位:g/10分)を測定した。
ポリオレフィンの密度(単位:kg/m3)は、JIS K7112に準拠して測定した。
得られたポリオレフィン複合中空糸膜の空孔率(単位:体積%)は、水銀ポロシメーター221型(カルロエルバ社製)を用いて測定した。
得られたポリオレフィン複合中空糸膜をU字型に束ねて中空糸膜の端部をウレタン樹脂で固め、中空糸膜モジュールを作製した。複合中空糸膜の外側から酸素又は窒素を供給し、中空糸膜の内側(中空部分側)を常圧として、25℃における酸素透過速度(QO2)(単位:m/時間・MPa)及び窒素透過速度(QN2)(単位:m/時間・MPa)を測定した。なお、膜面積は、中空糸膜の内径を基に算出した。そして、測定した酸素透過速度(QO2)及び窒素透過速度(QN2)から、分離係数(QO2/QN2)を求めた。
三層複合ノズルの最内層及び最外層(いずれも多孔質支持体層)に供給するポリマーとして、ホモポリプロピレン(日本ポリプロ(株)製、商品名:FY6H 以下、ポリプロピレンA)を用いた。またこのノズルの均質層(分離層)に供給するポリマー素材としては、粒径が約0.1μm〜0.2μmのエチレン−プロピレンランダム共重合体からなる粒子を80質量%含み、この粒子が均一にポリプロピレン中に分散した海島構造を有し多段重合により作られた分散構造重合体組成物(I)(日本ポリプロl社製、商品名:welnex RFX4V MFR6.0g/10min@230℃、曲げ弾性率220MPa、製造時における第1工程の重合課程のエチレン単位含量が1.8質量%、第2工程の重合課程のエチレン単位含量が11質量%、第1工程と第2工程の重合比が0.56/0.44、メタロセン触媒を使用して製造されたもの、以下ポリプロピレンB)を用いた。
これらを用い、吐出口温度220℃、巻取り速度180m/minで溶融紡糸した。
得られた中空糸を140℃で10分間アニール処理をし、連続して常温(23±2℃)下で総延伸倍率が160%の延伸を行い、引き続き125℃に加熱された加熱炉中で総延伸倍率が340%になるまで熱延伸を行い、更に130℃に加熱された加熱炉中で総延伸倍率が300%になるように緩和熱セットを行った。
走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察したところ、内・外表面(多孔質支持体層)には全面に孔径約0.01μmの細孔が密に存在し、分離層部分には、細孔がみられなかった(非多孔質)。
三層複合中空糸膜の空気透過速度を測定したところ、室温(20℃)で酸素透過速度(QO2)は0.07m/hr・Mpa、窒素透過速度(QN2)は0.019m/hr・Mpaであり、分離係数(QO2/QN2)は3.7であった。
三層複合ノズルの最内層及び最外層(いずれも多孔質支持体層)にホモポリプロピレン(日本ポリプロ(株)製、商品名:FY6H)を用いた。分離層に供給するポリマー素材としては、直径約0.1μm〜0.2μmのエチレン−プロピレン共重合体からなる粒子を50質量%含み、この粒子が均一にポリプロピレン中に分散した海島構造を有する2段重合プロピレン系樹脂組成物(日本ポリプロ社製、商品名:welnex RFG4VA(MFR6.0g/10min@230℃、曲げ弾性率280MPa、製造時における第1工程の重合課程のエチレン単位含量が1.8質量%、第2工程の重合課程のエチレン単位含量が10質量%、第1工程と第2工程の重合比が0.56/0.44、メタロセン触媒を使用して製造されたもの)を用いた。最外層ノズル部、中間層ノズル部及び最内層ノズル部が、同心円状に配された複合ノズル口金を用い実施例1と同様に、吐出口温度220℃、巻取り速度180m/minで溶融紡糸した。
このようにして得られた複合中空糸膜の膜性能を評価した結果、中空糸膜全体の空孔率は42%、内径170μm、膜総厚30μm、分離層の膜厚1μm 膜最外層から支持層24μm/分離層1μm/支持層4μmの配置となっていた(分離層の位置:中空糸膜の内側から中空糸膜厚方向に4/30)であった。
走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察したところ、内・外表面(多孔質支持体層)には全面に孔径約0.01μmの細孔が密に存在し、分離層部分には、細孔がみられなかった。
複合中間糸膜の空気透過速度を測定したところ、室温(20℃)で酸素透過速度(QO2)は0.05m/hr・Mpa、窒素透過速度(QN2)は0.013m/hr・Mpaであり、分離係数(QO2/QN2)は3.8であった。
三層複合ノズルの最内層及び最外層(いずれも多孔質支持体層)にホモポリプロピレン(日本ポリプロ(株)社製、商品名:FY6H)を用いた。分離層に供給するポリマー素材としては、直径約0.1μm〜0.2μmのエチレン−プロピレン共重合体からなる粒子を50質量%含み、この粒子が均一にポリプロピレン中に分散した海島構造を有するチーグラーナッター系触媒により2段重合したプロピレン系樹脂組成物(liondelbasell社製、商品名:Hifax CA138A)を用いた。これらを用い、吐出口温度220℃、巻取り速度180m/minで実施例1と同様に溶融紡糸した。
このようにして得られた複合中空糸膜の膜性能を評価した結果、中空糸膜全体の空孔率は41%、内径170μm、膜総厚30μm、分離層膜厚1μmであった。
四酸化ルテニウムによる染色をし、非多孔質分離層部分をトンネル型電子顕微鏡(TEM)で見ると四酸化ルテニウムに染色された直径1〜5μmのポリエチレン粒子が部分的に連なっていることが観察された。ヘキサン抽出量が高いというように耐溶剤性が低く、ピンホールの発生頻度が高く、また、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)を通液して一晩(overnight)置くと薬液の侵出が確認され、リークが見られた。
Claims (11)
- 気体透過機能を有する分離層を有する脱気用複合中空糸膜であって、
前記分離層が、メタロセン系触媒を用いて多段重合された、下記成分(A1)及び成分(A2)を含み、かつ成分(A2)は粒子状物として層内に存在する構造を有することを特徴とする脱気用複合中空糸膜:
(A1)(A1)共重合体質量に対し、エチレン単位の含量が0.5〜6質量%の範囲にあるプロピレン−エチレンランダム共重合体、
(A2)(A2)共重合体質量に対し、(A1)のエチレン単位の含量よりもさらに3〜20質量%多くのエチレン単位の含量を有するプロピレン単位とエチレン単位とを含む共重合体。 - 前記成分(A2)からなる粒子が成分(A1)に分散していることを特徴とする請求項1に記載の脱気用複合中空糸膜。
- 成分(A1)と成分(A2)の合計質量に対する成分(A1)の割合が50〜95質量%の範囲にあり、成分(A2)の割合が50〜5質量%の範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載の脱気用複合中空糸膜。
- 前記分離層の50℃におけるn−ヘキサン抽出量が5質量%以下であることを特徴とする請求項1〜3いずれか一項に記載の脱気用複合中空糸膜。
- 分離層を構成する構造体の曲げ弾性率が100〜350MPaの範囲にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の脱気用複合中空糸膜。
- 分離層を構成する構造体のDSC法により測定された融解ピーク温度(Tm)が110〜150℃の範囲にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の脱気用複合中空糸膜。
- 分離層を構成する構造体のビカット軟化点が90℃以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の脱気用複合中空糸膜。
- 分離層を構成する構造体の密度が0.86〜0.92g/cm3の範囲内にあることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の脱気用複合中空糸膜。
- 分離層を構成する構造体のメルトフローレート(230℃、21.18N)が1.0〜10g/10分の範囲内にあることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の脱気用複合中空糸膜。
- 成分(A2)からなる粒子の平均粒径が1μm以下である請求項1〜9のいずれか一項に記載の脱気用複合中空糸膜。
- 請求項1〜10のいずれか一項に記載の脱気用複合中空糸膜を具備する中空糸膜モジュール。
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